(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-20
(45)【発行日】2025-01-06
(54)【発明の名称】飛行体
(51)【国際特許分類】
B64C 29/00 20060101AFI20241223BHJP
B64C 3/10 20060101ALI20241223BHJP
B64C 25/06 20060101ALI20241223BHJP
B64C 39/02 20060101ALI20241223BHJP
B64U 10/16 20230101ALI20241223BHJP
B64U 10/20 20230101ALI20241223BHJP
B64U 30/10 20230101ALI20241223BHJP
B64U 30/295 20230101ALI20241223BHJP
B64U 60/50 20230101ALI20241223BHJP
B64C 39/10 20060101ALI20241223BHJP
【FI】
B64C29/00 A
B64C3/10
B64C25/06
B64C39/02
B64U10/16
B64U10/20
B64U30/10
B64U30/295
B64U60/50
B64C39/10
(21)【出願番号】P 2020055433
(22)【出願日】2020-03-26
【審査請求日】2023-03-27
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)平成28年度、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構次世代人工知能・ロボット中核技術開発(革新的ロボット要素技術分野)UAV向け環境認識・経路生成、産業技術力強化法第19条の適用を受ける特許出願
(73)【特許権者】
【識別番号】516304883
【氏名又は名称】エアロセンス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】矢幡 潤
【審査官】志水 裕司
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2008/0001025(US,A1)
【文献】米国特許第09120560(US,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B64C 29/00
B64C 27/08
B64C 39/00
B64U 10/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
機体左右方向に延在する主翼と、
機体前後方向に延在するアームと、
前記アームに設けられたロータと、
機体上下方向に延在する尾翼と、
を備え、
前記尾翼は、前記主翼の上に設けられ、
前記機体左右方向において、前記アームの少なくとも一部と、前記尾翼の少なくとも一部とは、同じ位置に配置されている、
飛行体。
【請求項2】
前記アームは、前記主翼から所定距離離して、かつ、前記主翼に対して所定角度で前方傾斜して配置される
請求項1に記載の飛行体。
【請求項3】
前記機体左右方向における前記アームの中心と前記尾翼の中心とのずれ量は、前記アームの最小幅の50%以下である、
請求項1に記載の飛行体。
【請求項4】
前記アームは、前記主翼から延在し、
前記尾翼は、前記主翼の前記アームとは反対側に延在する、
請求項1に記載の飛行体。
【請求項5】
前記主翼の上側及び下側の一方側に前記アームが設けられ、他方側に前記尾翼が設けられる、
請求項4に記載の飛行体。
【請求項6】
前記主翼と前記アームとの間に設けられ、前記主翼と前記アームとを接続する接続部をさらに備える、
請求項2に記載の飛行体。
【請求項7】
前記接続部は、前記主翼と前記アームとの間に3mm以上のギャップを与える、
請求項6に記載の飛行体。
【請求項8】
前記接続部は、前記主翼と前記アームとの間に6mm以上のギャップを与える、
請求項6に記載の飛行体。
【請求項9】
前記アームは、前記主翼に対して2°以上の角度で前方傾斜している、
請求項1に記載の飛行体。
【請求項10】
前記アームは、前記主翼に対して4°以上の角度で前方傾斜している、
請求項1に記載の飛行体。
【請求項11】
前記アームは、前記主翼に対して6°以上の角度で前方傾斜している、
請求項1に記載の飛行体。
【請求項12】
前記アームの端部は、先端に向かうにつれて先細る流線形状を有する、
請求項1に記載の飛行体。
【請求項13】
前記アームの端部は、前記アームにおける機体前方端部を含む、
請求項12に記載の飛行体。
【請求項14】
前記アームの端部は、翼型形状を有する、
請求項12に記載の飛行体。
【請求項15】
前記アームの端部は、前記アームの延在方向と交差する方向からみたときに、前記主翼の対応する端部の断面形状と相似する断面形状を有する、
請求項14に記載の飛行体。
【請求項16】
前記アームの端部は、前記アームの延在方向と交差する方向からみたときに、前記尾翼の対応する端部の断面形状と相似する断面形状を有する、
請求項14に記載の飛行体。
【請求項17】
ランディングギアをさらに備え、
前記アームの端部は、前記アームの延在方向と交差する方向からみたときに、前記ランディングギアの対応する端部の断面形状と相似する断面形状を有する、
請求項14に記載の飛行体。
【請求項18】
前記主翼の両端から前記機体上下方向に延在するウィングレットをさらに備え、
前記アームの端部は、前記アームの延在方向と交差する方向からみたときに、前記ウィングレットの対応する端部の断面形状と相似する断面形状を有する、
請求項14に記載の飛行体。
【請求項19】
前記主翼の両端から前記機体上下方向に延在するウィングレット、及び、ランディングギアをさらに備え、
前記アームの端部及び中央部の各々は、前記アームの延在方向と交差する方向からみたときに、前記主翼の断面形状、前記尾翼の断面形状、前記ウィングレットの断面形状及び前記ランディングギアの断面形状のいずれかの断面形状と相似する断面形状を有する、
請求項14に記載の飛行体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、飛行体に関する。
【背景技術】
【0002】
機体から張り出したアームを備える飛行体が知られている(例えば特許文献1の
図6を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
アームに加えて主翼も備える飛行体においては、アームの受ける風の影響等により気流が乱れ、主翼の揚力が弱まる可能性がある。
【0005】
本開示の一側面は、主翼の揚力低下を抑制することが可能な飛行体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一側面に係る飛行体は、機体左右方向に延在する主翼と、機体前後方向に延在するアームと、アームに設けられたロータと、機体上下方向に延在する尾翼と、を備え、尾翼は、主翼の上に設けられ、機体左右方向において、アームの少なくとも一部と、尾翼の少なくとも一部とは、同じ位置に配置されている。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】実施形態に係る飛行体の概略構成の例を示す図である。
【
図4】気流のシミュレーション結果を示す図である。
【
図5】気流のシミュレーション結果を示す図である。
【
図6】機体迎角とC
L/C
D値との関係の示す図である。
【
図7】気流のシミュレーション結果を示す図である。
【
図8】気流のシミュレーション結果を示す図である。
【
図9】尾翼の位置と、C
L/C
D値との関係の例を示す図である。
【
図11】気流のシミュレーション結果を示す図である。
【
図12】機体迎角とC
L/C
D値との関係を示す図である。
【
図13】アーム取付角度とC
L/C
D値との関係を示す図である。
【
図15】アームの概略構成の例を示す側面図である。
【
図16】アームの概略構成の例を示す平面図である。
【
図18】飛行体の概略構成の例を示す側面図である。
【
図22】飛行体の概略構成の例を示す平面図である。
【
図26】飛行体の概略構成の例を示す側面図である。
【
図29】飛行体の概略構成の例を示す側面図である。
【
図32】飛行体の概略構成の例を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下に、本開示の実施形態について図面に基づいて詳細に説明する。なお、以下の各実施形態において、同一の部位には同一の符号を付することにより重複する説明を省略する。
【0009】
以下に示す項目順序に従って本開示を説明する。
1. 実施形態
1.1 飛行体の概略構成の例
1.2 アームに対する尾翼の配置の例
1.3 主翼、尾翼に対するアームの配置の例
1.4 アームの形状の例
2. 変形例
2.1 翼型の例
2.2 他の変形例
3. 効果
【0010】
1. 実施形態
1.1 飛行体の概略構成の例
図1及び
図2は、実施形態に係る飛行体の概略構成の例を示す図である。
図1に示される飛行体1は、垂直離着陸機(VTOL:Vertical Take-Off and Landing Aircraft)である。例示される飛行体1は、本体2と、主翼3と、アーム4と、ロータ5と、ロータ6と、尾翼7と、接続部8と、ウィングレット9と、ランディングギア10とを備える。飛行体1の機体を、機体20と称し図示する。機体20は、本体2、主翼3、アーム4、ロータ5、ロータ6、尾翼7、接続部8、ウィングレット9及びランディングギア10等を指し示す。図において、XYZ座標系が示される。X軸方向及びY軸方向は、水平方向に対応する。Z軸方向は、鉛直方向に対応する。機体が水平姿勢の場合、X軸方向は機体左右方向に、Y軸方向は機体前後方向に、Z軸方向は機体上下方向にそれぞれ対応する。
【0011】
本体2は、機体20の中央部分を構成する。本体2は、例えば、飛行制御及び外部通信等を行う制御装置(不図示)を内部に備える。
【0012】
主翼3は、飛行体1の前方飛行時に、揚力を発生する。この例では、主翼3は、本体2から機体左右方向に延在する一対の翼部である。「~の方向に延在する」とは、その方向(この例では機体左右方向)と同じ方向に延在することだけでなく、その方向からある程度ずれた方向、例えばその方向からの角度が40°未満、35°未満、30°未満、25°未満、20°未満、15°未満、10°未満又は5°未満等の方向に延在することを含む意味である。なお、図においては、その角度がほぼ0°である場合が例示される。
【0013】
アーム4は、ロータ5を所望の位置に配置する。この例では、アーム4は、機体前後方向に延在する一対のアームである。アーム4は、棒形状を有しうる。アーム4が機体前後方向に延在することで、飛行体1の前方飛行時のアーム4に対する風の抗力(アーム4の空気抵抗)が低減される。各アーム4は、対応する主翼3の下側(機体下方側)に設けられる。
【0014】
ロータ5は、推力を発生する。この例では、ロータ5は、アーム4の両端部において、アーム4の上側(機体上方側)に設けられる。ただし、ロータ5は、アーム4の下側に設けられてもよいし、上側及び下側の両側にそれぞれ設けられてもよい。「ロータ」は、広義には、回転運動を生じる機関(内燃、外燃、モーター等の電動機)とプロペラとから構成される推進器を指し、狭義には、プロペラを指すものであるが、とくに説明がある場合を除き、ここでは、ロータとして、モータ及びプロペラを含む態様を説明する。すなわち、ロータ5は、モータ5a及びプロペラ5bを含む。ロータ5は、プロペラ5bの回転軸が機体上下方向となるように設けられる。モータ5aによってプロペラ5bが回転し、機体上方に向かう推力(揚力)が発生する。隣り合うロータ5は互いに逆回転制御されてよく、また、各ロータ5の回転速度は個別に制御されてよい。各ロータ5の回転速度に差異を持たせることによって、回転速度の大きいロータ5から回転速度の小さいロータ5に向かう方向に飛行体1が飛行する。
【0015】
ロータ6は、推力を発生する。ロータ6は、モータ6a及びプロペラ6bを含む。ロータ6は、プロペラ6bの回転軸が機体前後方向となるように設けられる。モータ6aによってプロペラ6bが回転し、機体前方に向かう推力(推進力)が発生する。
【0016】
尾翼7は、飛行体1の前方飛行時に、飛行を安定化する。この例では、尾翼7は、機体上下方向に延在する一対の翼部である。尾翼7は、主翼3から機体上方(Z軸負方向)に延在する垂直尾翼であってよい。各尾翼7は、対応する主翼3の上側に設けられる。この場合、尾翼7は、機体前後方向及び機体上下方向を面方向とする板形状を有してよい。機体左右方向における尾翼7の長さ(尾翼7の翼厚)は、アーム4の長さ(アーム4の幅)よりも小さくてもよいし、大きくてもよい。本実施形態において、尾翼7による飛行の安定化は気流の整流を含み、これについては後に改めて説明する。
【0017】
接続部8は、主翼3とアーム4とを接続する。この例では、接続部8は、主翼3とアーム4との間に設けられる。接続部8については、後に
図6を参照して改めて説明する。
【0018】
ウィングレット9は、飛行体1の前方飛行時に、翼端渦の発生を低減してエネルギー消費を抑制する。この例では、ウィングレット9は、主翼3の両端から機体上下方向に延在する一対の翼部である。
【0019】
ランディングギア10は、着陸時に飛行体1を支持する。この例では、ランディングギア10は、本体2の下部に設けられる。ランディングギア10は、各々が機体下方に向かって突出するU字形状(コの字形状)を有する一対の棒状部材である。U字形状の底部は、機体前後方向に延在する。着陸時にU字形状の底部が地面等に当接し、飛行体1が支持される。
【0020】
以上説明した飛行体1においては、とくにロータ5の推進力及び尾翼7の揚力を用いて前方飛行しているときに、アーム4の受ける風の影響等により、主翼3の揚力が弱まる可能性がある。この主翼3の揚力低下を抑制するために、飛行体1はさまざまな特徴を備えている。以下、順に説明する。
【0021】
1.2 アームに対する尾翼の配置の例
飛行体1は、尾翼7を備えることによって、主翼3の揚力低下を抑制しうる。これについて、
図3~
図9を参照して説明する。
【0022】
図3は、飛行体の概略構成の例を示す平面図である。
図3に示されるように、機体上下方向からみたときに(機体20を平面視したときに)アーム4は機体前後方向に延在しており、機体左右方向において、アーム4の少なくとも一部と、尾翼7の少なくとも一部とは、同じ位置に配置されている。例えば、機体左右方向におけるアーム4の中心と尾翼7の中心と間の距離(ずれ量)が所定値以下となるように、アーム4と尾翼7とが配置されてよい。所定値については、後に
図9を参照して改めて説明する。このように配置された尾翼7による気流の整流作用について、
図4~
図6を参照して説明する。
【0023】
図4及び
図5は、気流のシミュレーション結果を示す図である。図中、矢印の向きは、気流の向きを示す。矢印の長さは、気流の大きさを示す。
図4に示される飛行体は、飛行体1(
図1等)と比較して、とくに、尾翼7及び接続部8に相当する構成を備えていない点において相違する。
図5に示される飛行体は、
図4に示される飛行体と比較して、尾翼7に相当する構成を備えている点において相違する。機体迎角は10°に設定した。
図4及び
図5に示されるように、尾翼が存在する場合、尾翼が存在しない場合よりも、主翼翼面の気流の剥離が抑えられる。すなわち、飛行体が尾翼を備えることによって、主翼の揚力低下が抑制される(主翼が失速しにくくなる)。
【0024】
図6は、機体迎角とC
L/C
D値との関係の示す図である。グラフの横軸は、機体迎角(°)を示す。グラフの縦軸は、C
L/C
D値を示す。C
L/C
D値が大きいほど、主翼の効率が良く、主翼の揚力低下が抑制される。グラフ中、実線は、尾翼が存在する場合(
図5)のC
L/C
D値を示し、破線は、尾翼が存在しない場合(
図4)のC
L/C
D値を示す。尾翼が存在することにより、機体迎角の増加に伴うC
L/C
D値の低下が緩やかになっていることがわかる。この例では、とくに機体迎角が13°のときに、尾翼が存在する場合のC
L/C
D値が、尾翼が存在しない場合のC
L/C
D値よりも大きくなり、上述の効果が顕在化する。
図7は、尾翼が存在する場合の気流のシミュレーション結果である。
図8は、尾翼が存在しない場合の気流のシミュレーション結果である。
図7及び
図8に示されるように、尾翼の存在によって、主翼翼面の気流の剥離が抑えられる。
【0025】
図9は、尾翼の位置と、C
L/C
D値との関係の例を示す図である。グラフの横軸は、尾翼の位置(mm)を示す。グラフの縦軸は、C
L/C
D値を示す。尾翼の位置は、アームに対する尾翼の位置であり、機体右方向を正方向とする位置である。例えば、位置が0mmのときには、機体左右方向において、アームの中心と尾翼の中心とが一致している。位置が10mmのときには、機体左右方向において、アーム4の中心の位置が、尾翼7の中心の位置よりも機体右方向(Y軸正方向)に10mmずれている。
【0026】
図9に示されるように、尾翼の位置が0mm、すなわちアームの中心と尾翼の中心とが一致しているときに、C
L/C
D値が最も大きくなり、尾翼の効果が最大化する。尾翼の中心とアームの中心とのずれ量が大きくなるにつれて、尾翼の効果が低下する。このシミュレーション結果によれば、ずれ量が10mm以下の範囲であれば十分な大きさのC
L/C
D値が得られ、尾翼による上述の効果がより顕在化する。効果はアーム4と尾翼7との間に重複する部分が存在していれば得られるので、その重複部分が存在する範囲内においてずれ量の上限値が設定されてよい。この意味において、ずれ量は上述の10mmより大きい場合(例えば50mmまたはそれよりも大きい値)もありうる。また、尾翼の中心とアームの中心とのずれ量(オフセット)は、アームのサイズを用いて特定されてもよい。アームのサイズを用いる場合、例えば、尾翼の中心とアームの中心とのずれ量は、アームの最小幅の50%以下に設定されてよく、36%以下(今回のシミュレーションの上述の10mm以下に相当)に設定されてもよい。アームの最小幅に対するずれ量の比率が小さくなるにつれて、尾翼による主翼翼面の気流の剥離を抑制する効果が高められる。尾翼の中心とアームの中心とのずれ量は、尾翼のサイズを用いて特定されてもよい。例えば、尾翼の最小板厚(最小翼厚)は、1mmでよい。尾翼の中心とアームの中心とのずれ量は、尾翼の最大翼厚の56%以下に設定されてよく、尾翼の最小翼厚の1000%以下(以上は、今回のシミュレーションのずれ量である10mm以下の数値から算出)に設定されてもよい。
【0027】
1.3 主翼、尾翼に対するアームの配置の例
飛行体1は、主翼とアームとの間(あるいは尾翼とアームとの間)にギャップを備えることによって、主翼3の揚力低下を抑制しうる。ギャップは、接続部8(
図1等)によって与えられる。これについて、
図10及び
図11を参照して説明する。
【0028】
図10は、接続部の概略構成の例を示す図である。
図10に示されるように、接続部8は、機体上下方向において、主翼3とアーム4との間に接続される。接続部8の上端は主翼3に接続され、接続部8の下端はアーム4に接続される。接続部8は、主翼3とアーム4との間にギャップを与える。機体上下方向におけるギャップを、ギャップGAPと称し図示する。ギャップGAPの大きさは、機体上下方向における接続部8の長さによって調節される。ギャップGAPの大きさについては、後に
図12を参照して改めて説明する。なお、
図10に示される例では、接続部8は、機体上下方向及び機体前後方向を面方向とする板形状を有しており、飛行体1の前方飛行時の接続部8に対する風の抗力が低減されうる。
【0029】
飛行体1において、アーム4は、主翼3に対して傾斜して設けられてよい。
図10には、主翼3に対するアーム4の傾斜角度が、角度θとして図示される。角度θは、機体左右方向を回転軸とする回転方向の角度であり、アーム4の前方傾斜の角度である。角度θが大きいほど、アーム4は前傾姿勢となる。角度θについては、後に
図13を参照して改めて説明する。
【0030】
図11は、気流のシミュレーション結果を示す図である。
図11に示される飛行体は、
図5に示される飛行体と比較して、とくに、接続部8に相当する構成を備える点において相違する。
図5及び
図11に示されるように、接続部によるギャップが存在する場合(
図11)、ギャップが存在しない場合(
図5)よりも、主翼翼面の気流の剥離がさらに抑えられる。したがって、主翼の揚力低下が抑制される。
【0031】
図12は、ギャップの大きさと、C
L/C
D値との関係を示す図である。グラフの横軸は機体迎角(°)を示す。グラフの縦軸は、C
L/C
D値を示す。グラフには、3つの異なる大きさのギャップに対応するグラフ線が示される。実線は、ギャップが6mmの場合に対応する。破線は、ギャップが3mmの場合に対応する。一点鎖線は、ギャップが0mmの場合に対応する。
【0032】
図12に示されるように、機体迎角が10°~15°の範囲においては、機体迎角が大きくなるにつれてC
L/C
D値が低下する傾向にある。しかしながら、ギャップを0mmよりも3mm、さらには3mmよりも6mmと大きくすることで、機体迎角の増大に起因するC
L/C
D値の低下(主翼の失速)、ひいては主翼3の揚力低下を抑制することができる。このことから、先に
図10を参照して説明したギャップGAPは、3mm以上に設定されてよく、6mm以上に設定されてもよい。ギャップGAPの上限値を設定する場合、例えば200mm以下としてよい。
【0033】
図13は、アーム取付角度とC
L/C
D値との関係を示す図である。グラフの横軸は、アーム取付角度を示す。グラフの縦軸は、C
L/C
D値を示す。アーム取付角度は、先に説明した
図10に示される角度θである。例えば、アーム取付角度が0°のときには、アーム4は、主翼3と並行に設けられる。アーム取付角度が6°のときには、アーム4は、アーム4の前端(X軸正方向側端)がアーム4の後端(X軸負方向側端)よりも下方(Z軸正方向側)に位置するように、主翼3に対して6°だけ傾斜する。なお、機体迎角は13°に設定した。
【0034】
図13に示されるように、少なくともアーム取付角度が0°~6°の範囲においては、アーム取付角度が大きくなるにつれてC
L/C
D値が大きくなり、したがって、翼の失速、ひいては主翼3の揚力低下が抑制される。このことから、先に
図10を参照して説明した角度θは、2°以上に設定されてよく、4°以上に設定されてもよく、6°以上に設定されてもよい。角度θの上限値を設定する場合、例えば20°以下としてよい。
【0035】
1.4 アームの形状の例
飛行体1は、アーム4の形状によって、主翼3の揚力低下を抑制しうる。これについて、
図14~
図16を参照して説明する。
【0036】
図14は、アームの概略構成の例を示す図である。
図15は、アームの概略構成の例を示す側面図である。
図16は、アームの概略構成の例を示す平面図である。アーム4は、前縁部41、後縁部42及び中央部43を含む。前縁部41は機体前方側(X軸正方向側)の端部であり、後縁部42は、機体後方側(X軸負方向側)の端部である。中央部43は、前縁部41と後縁部42との間に位置する。
【0037】
前縁部41は、先端に向かうにつれて先細る流線形状を有する。例えば、機体左右方向からみたときに(
図15)、機体上下方向における前縁部41の長さ(アーム4の高さ)は、先端に向かうにつれて短く(低く)なる。機体上下方向からみたときに(
図16)、機体左右方向における前縁部41の長さ(アーム4の幅)は、先端に向かうにつれて短く(小さく)なる。
【0038】
後縁部42も、先端に向かうにつれて先細る流線形状を有する。例えば、機体左右方向からみたときに(
図15)、機体上下方向における後縁部42の長さ(アーム4の高さ)は、先端に向かうにつれて短く(低く)なる。機体上下方向からみたときに(
図16)、機体左右方向における後縁部42の長さ(アーム4の幅)は、先端に向かうにつれて短く(小さく)なる。
【0039】
中央部43は、中央に向かうにつれて先細る流線形状を有する。例えば、機体左右方向からみたときに(
図15)、機体上下方向における中央部43の長さ(アーム4の高さ)は、中央に向かうにつれて短く(低く)なる。機体上下方向からみたときに(
図16)、機体左右方向における中央部43の長さ(アーム4の幅)は、中央に向かうにつれて短く(小さく)なる。ただし、中央部43におけるアーム4の高さ及び幅はそのような態様に限られない。例えば、中央部43におけるアーム4の高さ及び幅は、中央部43にわたって一定であってもよいし、中央に向かうにつれて大きくなってもよい。
【0040】
例えば上記のような流線形状をアーム4の先端部が有することによって、アーム4に対する風の抗力(アーム4の空気抵抗)が低減し、それによって、アーム4による気流の乱れが低減され、主翼3の揚力低下が抑制される。
【0041】
上述の抗力に影響しうる形状だけでなく、アーム4は、揚力にも影響しうる形状を有してよい。そのような形状の例は、翼型形状である。これまで説明した
図14~
図16に示されるアーム4の前縁部41及び後縁部42は、翼型形状も有している。
【0042】
2. 変形例
2.1 翼型の例
翼型形状は、
図14~
図16に示される形状に限られない。例えば、アームの各部は、飛行体1の他の要素の対応する端部の断面形状と相似する断面形状を有してよい。なお、「相似」は、設計誤差等を含む実質的な相似の意味で足りる。いくつかの翼型形状の例について、
図17~
図33を参照して説明する。
【0043】
例えば、アームの前縁部及び後縁部は、尾翼7の対応する部分と相似する断面形状を有してよい。これについて、
図17~
図20を参照して説明する。
【0044】
図17及び
図18に示される飛行体1Aは、飛行体1(
図1)と比較して、アーム4に代えて、アーム4Aを備える点において相違する。飛行体1Aの機体を、機体20Aと称し図示する。
図17は、飛行体1Aの概略構成の例を示す図である。
図18は、飛行体1Aの概略構成の例を示す側面図である。
【0045】
図19は、
図18のXIX線に沿ってみた断面図である。
図19には、機体上方向からみたとき(Z軸正方向でみたとき)の尾翼7の断面形状が示される。尾翼7は、前縁部71及び後縁部72を含む。前縁部71及び後縁部72は、先端に向かうにつれて先細る断面形状を有する。この例では、前縁部71の断面形状の先細りの程度は、後縁部72の先細りの程度よりも緩やかである。
【0046】
図20は、
図18のXX線に沿ってみた断面図である。
図18には、機体上方向からみたときのアーム4Aの断面形状が示される。アーム4Aは、前縁部41A及び後縁部42Aを含む。アーム4Aの前縁部41Aは、尾翼7の前縁部71(
図19)の断面形状と相似する断面形状を有する。アーム4Aの後縁部42Aは、尾翼7の後縁部72(
図19)の断面形状と相似する断面形状を有する。すなわち、アーム4Aの前縁部41A及び後縁部42Aは、尾翼7の前縁部71及び後縁部72と同様に、先端に向かうにつれて先細る断面形状を有する。前縁部41Aの断面形状の先細りの程度は、後縁部42Aの先細りの程度よりも緩やかである。
【0047】
あるいは、アームの前縁部及び後縁部は、主翼3の対応する部分と相似する断面形状を有してよい。これについて、
図21~
図24を参照して説明する。
【0048】
図21及び
図22に示される飛行体1Bは、飛行体1(
図1)と比較して、アーム4に代えてアーム4Bを備える点において相違する。飛行体1Bの機体を、機体20Bと称し図示する。
図21は、飛行体1Bの概略構成の例を示す図である。
図22は、飛行体1Bの概略構成の例を示す平面図である。
【0049】
図23は、
図22のXXIII線に沿ってみた断面図である。
図23には、機体左方向からみたときの主翼3の断面形状が示される。主翼3は、前縁部31及び後縁部32を含む。前縁部31は、先端に向かうにつれて先細る断面形状を有する。後縁部32は、先端に向かうにつれて先細るとともに先端付近において機体上下方向の長さ(翼厚)がほぼ一定となる断面形状を有する。ただし、先端付近における翼厚はそのような態様に限られない。
【0050】
図24は、
図22のXXIV線に沿ってみた断面図である。
図24には、機体右方向からみたときのアーム4Bの断面形状が示される。アーム4Bは、前縁部41B及び後縁部42Bを含む。アーム4Bの前縁部41Bは、主翼3の前縁部31(
図23)の断面形状と相似する断面形状を有する。アーム4Bの後縁部42Bは、主翼3の後縁部32(
図23)の断面形状と相似する断面形状を有する。すなわち、アーム4Bの前縁部41Bは、主翼3の前縁部31と同様に、先端に向かうにつれて先細る断面形状を有する。アーム4Bの後縁部42Bは、主翼3の後縁部32と同様に、先端に向かうにつれて先細るとともに先端付近において機体上下方向の長さ(アーム4Bの高さ)がほぼ一定となる断面形状を有する。
【0051】
あるいは、アームの前縁部及び後縁部は、ウィングレット9の対応する部分と相似する断面形状を有してよい。これについて、
図25~
図28を参照して説明する。
【0052】
図25及び
図26に示される飛行体1Cは、飛行体1(
図1)と比較して、アーム4に代えてアーム4Cを備える点において相違する。飛行体1Cの機体を、機体20Cと称し図示する。
図25は、飛行体1Cの概略構成の例を示す図である。
図26は、飛行体1Cの概略構成の例を示す平面図である。
【0053】
図27は、
図26のXXVII線に沿ってみた断面図である。
図27には、機体上方向からみたときのウィングレット9の断面形状が示される。ウィングレット9は、前縁部91及び後縁部92を含む。前縁部91及び後縁部92は、先端に向かうにつれて先細る断面形状を有する。この例では、前縁部91の断面形状の先細りの程度は、後縁部92の先細りの程度よりも緩やかである。
【0054】
図28は、
図24のXXVIII線に沿ってみた断面図である。
図28には、機体上方向からみたときのアーム4Cの断面形状が示される。アーム4Cは、前縁部41C及び後縁部42Cを含む。アーム4Cの前縁部41Cは、ウィングレット9の前縁部91(
図27)の断面形状と相似する断面形状を有する。アーム4Cの後縁部42Cは、ウィングレット9の後縁部92(
図27)の断面形状と相似する断面形状を有する。すなわち、アーム4Cの前縁部41C及び後縁部42Cは、ウィングレット9の前縁部91及び後縁部92と同様に、先端に向かうにつれて先細る断面形状を有する。前縁部41Cの断面形状の先細りの程度は、後縁部42Cの先細りの程度よりも緩やかである。
【0055】
あるいは、アームの前縁部及び後縁部は、ランディングギア10の対応する部分と相似する断面形状と相似してもよい。これについて、
図29及び
図30を参照して説明する。
【0056】
図29は、先に
図25を参照して説明した飛行体1Cの概略構成を示す側面図である。
図30は、
図29のXXX線に沿ってみた断面図である。
図30には、機体上方からみたときのランディングギア10の断面図が示される。ランディングギア10は、前縁部101及び後縁部102を含む。前縁部101及び後縁部102は、先端に向かうにつれて先細る断面形状を有する。この例では、前縁部101の断面形状の先細りの程度は、後縁部102の先細りの程度よりも緩やかである。
【0057】
すなわち、先に
図28を参照して説明したアーム4Cの前縁部41Cは、ランディングギア10の前縁部101の断面形状と相似する断面形状を有する。アーム4Cの後縁部42Cは、ランディングギア10の後縁部102の断面形状と相似する断面形状を有する。
【0058】
また、
図17~
図30を参照して説明した例に限らず、アーム4は、主翼3、尾翼7、ウィングレット9及びランディングギア10の断面形状をさまざまに組み合わせた断面形状を有してよい。そのような断面形状を有するアーム4の例を、
図31~
図33を参照して説明する。
【0059】
図31及び
図32に示される飛行体1Dは、飛行体1(
図1)と比較して、アーム4に代えてアーム4Dを備える点において相違する。飛行体1Dの機体を、機体20Dと称し図示する。
図31は、飛行体1Dの概略構成の例を示す図である。
図32は、飛行体1Dの概略構成の例を示す側面図である。
【0060】
図33は、
図32のXXXIII線に沿ってみた断面図である。
図33には、機体上方向からみたアーム4Dの断面形状が示される。アーム4Dは、前縁部41D、後縁部42D及び中央部43Dを含む。この例では、前縁部41Dは、ランディングギア10の断面形状(
図30)と相似する断面形状を有する。後縁部42Dは、ウィングレット9の断面形状(
図27)と相似する断面形状を有する。中央部43Dは、尾翼7の断面形状(
図20)と相似する断面形状を有する。
【0061】
この他にも、主翼3、尾翼7、ウィングレット9及びランディングギア10の断面形状をさまざまに組み合わせた断面形状を、アーム4が有していてよい。
【0062】
2.2 他の変形例
上記実施形態では、アーム4が主翼3から延在する例について説明した。ただし、アーム4は、主翼3以外の部分から延在してよく、その場合、尾翼7及び接続部8も、主翼3以外の部分から延在してよい。例えば、アーム4が本体2から延在する場合には、尾翼7も、本体2から延在してよい。アーム4が本体2の上側に設けられ尾翼7が本体2の下側に設けられる場合、接続部8は、本体2とアーム4との間に設けられ、本体2とアーム4とを接続してよい。なお、機体上下方向におけるアーム4及び尾翼7の位置は逆であってもよい。この場合、主翼3又は本体2の上側にアーム4が設けられ、下側に尾翼7が設けられる。
【0063】
上記実施形態では、アーム4の前縁部41及び後縁部42の両方が、先端に向かうにつれて先細る流線形状、より具体的には翼型形状を有する例について説明した。ただし、前縁部41及び後縁部42の一方だけがそのような流線形状、翼型形状を有していてよい。
【0064】
上記実施形態では、アーム4の各部の断面形状と相似する断面形状として、機体上下方向からみた尾翼7の断面形状、機体左右方向からみた主翼3の断面形状、機体上下方向からみたウィングレット9の断面形状、及び機体上下方向からみたランディングギア10の断面形状について説明した。ただし、断面形状は、アーム4の延在方向と交差する任意の方向からみた断面形状であってよい。アーム4の各部は、アーム4の延在方向と交差する任意の方向からみたときに、主翼3、尾翼7、ウィングレット9及び/又はランディングギア10の断面形状と相似する断面形状を有してよい。
【0065】
3. 効果
以上説明した飛行体は、例えば次のように特定される。
図1等に例示されるように、飛行体1は、主翼3と、アーム4と、尾翼7とを備える。主翼3は、機体左右方向に延在する。アーム4は、機体前後方向に延在する。尾翼7は、機体上下方向に延在する。機体左右方向において、アーム4の少なくとも一部と、尾翼7の少なくとも一部とは、同じ位置に配置されている。
【0066】
上記飛行体1では、機体左右方向において、アーム4の少なくとも一部と、尾翼7の少なくとも一部とは、同じ位置に配置されている。このような尾翼7を備えることによって、
図4及び
図5等を参照して説明したように、主翼3の揚力低下を抑制することができる。
【0067】
機体左右方向におけるアーム4の中心と尾翼7の中心とのずれ量は、アーム4の最小幅の50%以下であってよい。これにより、
図9等を参照して説明したように、尾翼7による上述の効果がより顕在化する。
【0068】
図1等に例示されるように、アーム4は、主翼3から延在し、尾翼7は、主翼3のアーム4とは反対側に延在してよい。主翼3の上側及び下側の一方側にアーム4が設けられ、他方側に尾翼7が設けられてよい。例えばこのように設けられたアーム4及び尾翼7を備えることによって、主翼3の揚力低下を抑制することができる。
【0069】
図1等に例示されるように、飛行体1は、主翼3とアーム4との間に設けられ、主翼3とアーム4とを接続する接続部8をさらに備えてよい。
図10等を参照して説明したように、接続部8は、主翼3とアーム4との間に3mm以上のギャップGAPを与えてよい。ギャップGAPは、6mm以上であってもよい。これにより、
図11及び
図12等を参照して説明したように、主翼3の揚力低下を抑制することができる。
【0070】
図10等を参照して説明したように、アーム4は、主翼3に対して2°以上の角度で前方傾斜していてよい。傾斜角度は、4°以上であってもよいし、6°以上であってもよい。これにより、
図13等を参照して説明したように、主翼3の揚力低下を抑制することができる。
【0071】
図1等に例示されるように、飛行体1は、アーム4に設けられたロータ5をさらに備えてよい。これにより、主翼3及びロータ5を備える飛行体1(例えばVTOL)において、主翼3の揚力低下を抑制することができる。
【0072】
図15及び
図16等に例示されるように、前縁部41及び後縁部42は、先端に向かうにつれて先細る流線形状を有してよい。これにより、アーム4による気流の乱れを低減し、主翼3の揚力低下を抑制することができる。アーム4自体の抗力も削減される。アーム4の前縁部41及び後縁部42のうち、前縁部41のみが上述の流線形状を有していてもよい。
【0073】
図20等に例示されるように、アーム4Aの前縁部41A及び前縁部41Bは、翼型形状を有してよい。
図23及び
図24等に例示されるように、アーム4Bの前縁部41B及び後縁部42Bは、アーム4Bの延在方向と交差する方向からみたときに、主翼3の前縁部31及び後縁部32の断面形状と相似する断面形状を有してよい。
図19及び
図20等に例示されるように、アーム4Aの前縁部41A及び後縁部42Aは、アーム4Aの延在方向と交差する方向からみたときに、尾翼7の前縁部71及び後縁部72の断面形状と相似する断面形状を有してよい。
図28及び
図30等に例示されるように、アーム4Cの前縁部41C及び後縁部42Cは、アーム4Cの延在方向と交差する方向からみたときに、ランディングギア10の前縁部101及び後縁部102の断面形状と相似する断面形状を有してよい。
図27及び
図28等に例示されるように、アーム4Cの前縁部41C及び後縁部42Cは、アーム4Cの延在方向と交差する方向からみたときに、ウィングレット9の前縁部91及び後縁部92の断面形状と相似する断面形状を有してよい。また、
図33等を参照して説明したように、アーム4Dの前縁部41D、後縁部42D及び中央部43Dの各々は、アーム4Dの延在方向と交差する方向からみたときに、主翼3の断面形状、尾翼7の断面形状、ウィングレット9の断面形状及びランディングギア10の断面形状のいずれかの断面形状と相似する断面形状を有してよい。例えばこのような翼型形状を有するアーム4を備えることによって、主翼3の揚力低下を抑制することができる。
【0074】
なお、本開示に記載された効果は、あくまで例示であって、開示された内容に限定されない。他の効果があってもよい。
【0075】
以上、本開示の実施形態について説明したが、本開示の技術的範囲は、上述の実施形態そのままに限定されるものではなく、本開示の要旨を逸脱しない範囲において種々の変更が可能である。また、異なる実施形態及び変形例にわたる構成要素を適宜組み合わせてもよい。
【0076】
また、本明細書に記載された各実施形態における効果はあくまで例示であって限定されるものでは無く、他の効果があってもよい。
【0077】
なお、本技術は以下のような構成も取ることができる。
(1)
機体左右方向に延在する主翼と、
機体前後方向に延在するアームと、
機体上下方向に延在する尾翼と、
を備え、
前記機体左右方向において、前記アームの少なくとも一部と、前記尾翼の少なくとも一部とは、同じ位置に配置されている、
飛行体。
(2)
前記機体左右方向における前記アームの中心と前記尾翼の中心とのずれ量は、前記アームの最小幅の50%以下である、
(1)に記載の飛行体。
(3)
前記アームは、前記主翼から延在し、
前記尾翼は、前記主翼の前記アームとは反対側に延在する、
(1)又は(2)に記載の飛行体。
(4)
前記主翼の上側及び下側の一方側に前記アームが設けられ、他方側に前記尾翼が設けられる、
(3)に記載の飛行体。
(5)
前記主翼と前記アームとの間に設けられ、前記主翼と前記アームとを接続する接続部をさらに備える、
(4)に記載の飛行体。
(6)
前記接続部は、前記主翼と前記アームとの間に3mm以上のギャップを与える、
(5)に記載の飛行体。
(7)
前記接続部は、前記主翼と前記アームとの間に6mm以上のギャップを与える、
(5)又は(6)に記載の飛行体。
(8)
前記アームは、前記主翼に対して2°以上の角度で前方傾斜している、
(1)~(7)のいずれかに記載の飛行体。
(9)
前記アームは、前記主翼に対して4°以上の角度で前方傾斜している、
(1)~(8)のいずれかに記載の飛行体。
(10)
前記アームは、前記主翼に対して6°以上の角度で前方傾斜している、
(1)~(9)のいずれかに記載の飛行体。
(11)
前記アームに設けられたロータをさらに備える、
(1)~(8)のいずれかに記載の飛行体。
(12)
前記アームの端部は、先端に向かうにつれて先細る流線形状を有する、
(1)~(11)のいずれかに記載の飛行体。
(13)
前記アームの端部は、前記アームにおける機体前方端部を含む、
(12)に記載の飛行体。
(14)
前記アームの端部は、翼型形状を有する、
(12)又は(13)に記載の飛行体。
(15)
前記アームの端部は、前記アームの延在方向と交差する方向からみたときに、前記主翼の対応する端部の断面形状と相似する断面形状を有する、
(14)に記載の飛行体。
(16)
前記アームの端部は、前記アームの延在方向と交差する方向からみたときに、前記尾翼の対応する端部の断面形状と相似する断面形状を有する、
(14)に記載の飛行体。
(17)
ランディングギアをさらに備え、
前記アームの端部は、前記アームの延在方向と交差する方向からみたときに、前記ランディングギアの対応する端部の断面形状と相似する断面形状を有する、
(14)に記載の飛行体。
(18)
前記主翼の両端から前記機体上下方向に延在するウィングレットをさらに備え、
前記アームの端部は、前記アームの延在方向と交差する方向からみたときに、前記ウィングレットの対応する端部の断面形状と相似する断面形状を有する、
(14)に記載の飛行体。
(19)
前記主翼の両端から前記機体上下方向に延在するウィングレット、及び、ランディングギアをさらに備え、
前記アームの端部及び中央部の各々は、前記アームの延在方向と交差する方向からみたときに、前記主翼の断面形状、前記尾翼の断面形状、前記ウィングレットの断面形状及び前記ランディングギアの断面形状のいずれかの断面形状と相似する断面形状を有する、
(14)に記載の飛行体。
【符号の説明】
【0078】
1 飛行体
2 本体
3 主翼
4 アーム
5 ロータ
5a モータ
5b プロペラ
6 ロータ
6a モータ
6b プロペラ
7 尾翼
8 接続部
9 ウィングレット
10 ランディングギア
20 機体
31 前縁部
32 後縁部
41 前縁部
42 後縁部
43 中央部
71 前縁部
72 後縁部
91 前縁部
92 後縁部
101 前縁部
102 後縁部