(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-20
(45)【発行日】2025-01-06
(54)【発明の名称】多孔質セラミックマトリックス複合材(CMC)プリフォームを浸透するためのシステムおよび方法
(51)【国際特許分類】
B28B 13/02 20060101AFI20241223BHJP
C04B 35/84 20060101ALI20241223BHJP
C04B 41/85 20060101ALI20241223BHJP
【FI】
B28B13/02
C04B35/84
C04B41/85 C
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2020085600
(22)【出願日】2020-05-15
【審査請求日】2023-05-01
(32)【優先日】2019-06-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】515322297
【氏名又は名称】ゼネラル エレクトリック テクノロジー ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
【氏名又は名称原語表記】General Electric Technology GmbH
【住所又は居所原語表記】Brown Boveri Strasse 8, 5400 Baden, Switzerland
(74)【代理人】
【識別番号】100105588
【氏名又は名称】小倉 博
(74)【代理人】
【識別番号】100129779
【氏名又は名称】黒川 俊久
(74)【代理人】
【識別番号】100151286
【氏名又は名称】澤木 亮一
(72)【発明者】
【氏名】ジェイソン・ロバート・パロリーニ
(72)【発明者】
【氏名】カナン・ウスル・ハードウィック
(72)【発明者】
【氏名】スリカンス・カンドゥルドゥ・コッティリンガム
(72)【発明者】
【氏名】ジェイムズ・ジョセフ・マレー
【審査官】浅野 昭
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2005/0184413(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2004/0127600(US,A1)
【文献】特表2012-533503(JP,A)
【文献】米国特許第06641893(US,B1)
【文献】国際公開第2018/132197(WO,A1)
【文献】特開2016-196395(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B28B 13/00-13/06
C04B 35/80-35/84
C04B 41/85
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
多孔質セラミックマトリックス複合材(CMC)プリフォーム(102)を浸透するための方法であって、
当該方法が、
前記多孔質CMCプリフォーム(102)を浸透システム(100)用のダイセット(104)の開口部(110)に位置決めする
ステップ(P1)であって、前記CMCプリフォーム(102)
が、複数のプライスタック(134、136)であって、
該複数のプライスタック(134、136)の各々
が所定の一方向材料配向を含む
、複数のプライスタック(134、136)
と、
前記複数のプライスタック(134、136)の各々の間に形成された複数のボイド(138、170)
とを含む
、ステップと、
前記複数のボイド(138、170)を浸透するため、溶融緻密化剤源(112)から、前記溶融緻密化剤源(112)の第1の側の第1の開口から前記ダイセット(104)の第1の入口位置(122)まで直接延在する第1の供給導管(120)を介して、第1の流れ方向(D1)で溶融緻密化剤(118)を前記多孔質CMCプリフォーム(102)上に流
すステップ(P2)と、
前記複数のボイド(138、170)を浸透するため、前記溶融緻密化剤源(112)から、前記溶融緻密化剤源(112)の第2の側の第2の開口から前記ダイセット(104)の第2の入口位置(128)まで直接延在する第2の供給導管(126)を介して、前記第1の流れ方向(D1)とは別個の第2の流れ方向(D2)で前記溶融緻密化剤(118)を前記多孔質CMCプリフォーム(102)上に流
すステップ(P3)と
、
前記複数のボイド(138、170)を浸透するため、前記溶融緻密化剤源(112)から、前記溶融緻密化剤源(112)の第3の側の第3の開口から前記ダイセット(104)の第3の入口位置(142)まで直接延在する第3の供給導管(140)を介して、前記第1の流れ方向(D1)とは別個の第3の流れ方向(D3)で前記溶融緻密化剤(118)を前記多孔質CMCプリフォーム(102)上に流すステップ(P4)と
を含み、
前記第2の流れ方向(D2)
が、前記CMCプリフォーム(102)の前記複数のプライスタック(134、136)の少なくとも1つのプライスタック(134)の前記所定の一方向材料配向に実質的に平行であ
り、かつ
前記第3の流れ方向(D3)が、前記CMCプリフォーム(102)の前記複数のプライスタック(134、136)の少なくとも1つの別個のプライスタック(134)の前記所定の一方向材料配向に実質的に平行である、
方法。
【請求項2】
前記第1の流れ方向(D1)
が、前記CMCプリフォーム(102)の前記複数のプライスタック(134、136)の前記少なくとも1つのプライスタック(134)の前記所定の一方向材料配向に実質的に垂直である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記多孔質CMCプリフォーム(102)を前記ダイセット(104)の前記開口部(110)に位置決めする
ステップ(P1)
が、
前記CMCプリフォーム(102)の前記複数のプライスタック(134、136)の前記少なくとも1つのプライスタック(134)の前記所定の一方向材料配向を、前記流れている溶融緻密化剤(118)の前記第2の流れ方向(D2)と整列させることを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記第1の流れ方向(D1)で前記溶融緻密化剤(118)を前記多孔質CMCプリフォーム(102)上に流す
ステップ(P2)
が、
大気圧以上の圧力において前記第1の流れ方向(D1)で前記溶融緻密化剤(118)を前記多孔質CMCプリフォーム(102)上に供給すること
をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記第2の流れ方向(D2)で前記溶融緻密化剤(118)を前記多孔質CMCプリフォーム(102)上に流す
ステップ(P3)
が、
大気圧よりも高い圧力において前記第2の流れ方向(D2)で前記溶融緻密化剤(118)を前記多孔質CMCプリフォーム(102)上に供給すること
をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記第1の供給導管(120)、前記第2の供給導管(126)及び前記第3の供給導管(140)が互いに別個独立しており、前記ダイセット(104)の前記第1の入口位置(122)、前記第2の入口位置(128)及び前記第3のの入口位置(142)が互いに別個独立している、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記第1の流れ方向(D1)
が、前記CMCプリフォーム(102)の前記複数のプライスタック(134、136)の前記少なくとも1つの別個のプライスタック(134)の前記所定の一方向材料配向に実質的に垂直である、請求項
1に記載の方法。
【請求項8】
前記第3の流れ方向(D3)
が、前記第2の流れ方向(D2)とは別個である、請求項
1に記載の方法。
【請求項9】
前記第3の流れ方向(D3)で前記溶融緻密化剤(118)を前記多孔質CMCプリフォーム(102)上に流す
ステップ(P4)
が、
大気圧よりも高い圧力において前記第3の流れ方向(D3)で前記溶融緻密化剤(118)を前記多孔質CMCプリフォーム(102)上に供給すること
をさらに含む、請求項
1に記載の方法。
【請求項10】
前記第1の流れ方向(D1)で前記多孔質CMCプリフォーム(102)上に流れる前記溶融緻密化剤(118)の速度を制御する
ステップ(P5)、
又は
前記第2の流れ方向(D2)で前記多孔質CMCプリフォーム(102)上に流れる前記溶融緻密化剤(118)の速度を制御する
ステップ(P5)
の少なくとも1つをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、一般に、セラミックマトリックス複合材(CMC)物品に関し、より詳細には、多孔質CMCプリフォームを浸透してCMC物品を形成するためのシステムおよび方法に関する。
【背景技術】
【0002】
セラミックマトリックス複合材(CMC)物品は、一般に、例えば、その耐熱性、高温強度、および化学的安定性よりタービンエンジンの構造的構成要素によく適していると考えられている。しかしながら、タービンエンジンのCMC物品は、過大応力、過度の温度、不適切な形成などによる損傷を受ける可能性がある。CMC物品の損傷しやすい性質に対処するための1つの技法は、緻密化である。しかしながら、緻密化を実施するための従来のシステムおよび方法は、例えば、障害物、亀裂、および/または材料が減少した領域を作製し、CMC物品内に弱点を引き起こす場合がある。従来の緻密化されたCMC物品に伴うこれらの欠点は、CMC物品が厚くなるほど悪化する傾向がある。
【0003】
部品を鋳造するための従来の技法(例えば、金属鋳造)には、射出成形、高圧ダイカスト、および低圧ダイカストが挙げられる。しかしながら、これらの従来の鋳造のための技法は、技法を実施するための動作パラメータが緻密化プロセスを実施するときにCMC物品を損傷させる可能性を高めることがあり、かつ/またはCMC物品に損傷を引き起こすことがあるため、緻密化プロセスをCMC物品に実施するためには利用されていない。
【発明の概要】
【0004】
本開示の第1の態様は、多孔質セラミックマトリックス複合材(CMC)プリフォームを浸透するための方法を提供する。方法は、多孔質CMCプリフォームを浸透システム用のダイセットの開口部に位置決めすることであって、CMCプリフォームは、複数のプライスタックであって、複数のプライスタックの各々は、所定の一方向材料配向を含む複数のプライスタック、および複数のプライスタックの各々の間に形成された複数のボイドを含むことと、第1の流れ方向で溶融緻密化剤を多孔質CMCプリフォーム上に流し、CMCプリフォームの複数のプライスタックの各々の間に形成された複数のボイドを浸透することと、第1の流れ方向とは別個の第2の流れ方向で溶融緻密化剤を多孔質CMCプリフォーム上に流し、CMCプリフォームの複数のプライスタックの各々の間に形成された複数のボイドを浸透することとを含み、第2の流れ方向は、CMCプリフォームの複数のプライスタックの少なくとも1つのプライスタックの所定の一方向材料配向に実質的に平行である。
【0005】
本開示の第2の態様は、多孔質セラミックマトリックス複合材(CMC)プリフォームを受け入れるための開口部を含むダイセットと、ダイセットの第1の場所でダイセットの開口部と連通する第1の溶融緻密化剤供給導管であって、第1の流れ方向で溶融緻密化剤をダイセットの開口部に流し、CMCプリフォームの複数のプライスタックの各々の間に形成された複数のボイドを浸透する第1の溶融緻密化剤供給導管と、ダイセットの第2の場所でダイセットの開口部と連通する第2の溶融緻密化剤供給導管であって、CMCプリフォームの複数のプライスタックの少なくとも1つのプライスタックの所定の一方向材料配向に実質的に平行な第2の流れ方向で溶融緻密化剤をダイセットの開口部に流し、CMCプリフォームの複数のプライスタックの各々の間に形成された複数のボイドを浸透する第2の溶融緻密化剤供給導管とを含むシステムを提供する。
【0006】
本開示の例示的な態様は、本明細書で説明される問題および/または検討されていない他の問題を解決するように設計される。
【0007】
本開示のこれらおよび他の特徴は、本開示の様々な実施形態を図示する添付の図面と併せて、本開示の様々な態様に関する以下の詳細な説明から、さらに容易に理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本開示の実施形態による、多孔質セラミックマトリックス複合材(CMC)プリフォームを浸透してCMC物品を形成するためのシステムの概略図である。
【
図2】本開示の実施形態による、
図1の線2-2に沿ったシステムおよびCMCプリフォームの正面断面図である。
【
図3】本開示の実施形態による、システムおよびCMCプリフォームを含む
図2の一部の拡大図である。
【
図4】本開示の追加の実施形態による、システムおよびCMCプリフォームの正面断面図である。
【
図5】本開示のさらなる実施形態による、多孔質セラミックマトリックス複合材(CMC)プリフォームを浸透してCMC物品を形成するためのシステムの別の概略図である。
【
図6】本開示の実施形態による、システムおよびCMCプリフォームを含む
図5の一部の拡大図である。
【
図7】本開示の追加の実施形態による、システムおよびCMCプリフォームを含む
図5の一部の拡大図である。
【
図8】本開示の別の実施形態による、システムおよびCMCプリフォームを含む
図5の一部の拡大図である。
【
図9】本開示のさらなる実施形態による、多孔質セラミックマトリックス複合材(CMC)プリフォームを浸透してCMC物品を形成するためのシステムの別の概略図である。
【
図10】本開示の実施形態による、多孔質セラミックマトリックス複合材(CMC)プリフォームを浸透してCMC物品を形成するためのプロセスの例の例示的な流れ図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本開示の図面は、原寸に比例していないことに留意されたい。図面は、本開示の典型的な態様だけを図示することを意図しており、したがって、本開示の範囲を限定するものと考えるべきではない。図面では、類似する符号は、図面間で類似する要素を表す。
【0010】
最初の問題として、現在の開示を明確に説明するために、本開示内の関連する機械構成要素を参照して説明するときに、特定の専門用語を選択することが必要になる。これを行う場合、可能な限り、一般的な工業専門用語が、その受け入れられた意味と同じ意味で使用および利用される。別途記載のない限り、このような専門用語は、本出願の文脈および添付の特許請求の範囲と一致する広義の解釈を与えられるべきである。当業者であれば、多くの場合、特定の構成要素がいくつかの異なるまたは重複する用語を使用して参照されることがあることを理解するであろう。単一の部品であるとして本明細書に記載され得るものは、複数の構成要素からなるものとして別の文脈を含み、かつ別の文脈で参照されてもよい。あるいは、複数の構成要素を含むものとして本明細書に記載され得るものは、単一の部品として他の場所で参照されてもよい。
【0011】
上記のように、本開示は、一般に、セラミックマトリックス複合材(CMC)物品に関し、より詳細には、多孔質CMCプリフォームを浸透してCMC物品を形成するためのシステムおよび方法に関する。
【0012】
これらおよび他の実施形態は、
図1~
図10を参照して以下に説明される。しかしながら、当業者であれば、これらの図に関して本明細書に与えられた詳細な説明は説明の目的のためのものに過ぎず、限定するものとして解釈すべきではないことを容易に理解するであろう。
【0013】
図1および
図2は、内部に含まれる多孔質セラミックマトリックス複合材(CMC)プリフォーム102(以下、「CMCプリフォーム102」)を浸透することが可能なシステム100の様々な図を示す。より具体的には、
図1は、システム100およびCMCプリフォーム102(想像線で示す)の概略図を示し、
図2は、
図1の線2-2に沿ったシステム100およびCMCプリフォーム102の正面断面図を示す。本明細書で説明するように、システム100は、溶融緻密化剤をCMCプリフォーム102上に流してプリフォーム102を浸透および/または緻密化し、様々なシステムおよび/またはデバイス(例えば、タービンシステムの高温ガス経路構成要素)で利用することができるCMC物品(図示せず)を作製するように構成され得る。
【0014】
システム100は、本明細書で説明するように、浸透のためにプリフォーム102を受け入れるように構成されたダイセット104を含むことができる。非限定的な例では、ダイセット104は、第1の部分106と、第1の部分106に位置決めおよび/または結合された第2の部分108とを含み得る。ダイセット104はまた、内部に形成された開口部110を含み得る。具体的には、開口部110は、第1の部分106に形成されてもよく、かつ/またはダイセット104の第1の部分106と第2の部分108との間に形成されてもよい。
図1および
図2に示すように、開口部110は、システム100を使用して実施される浸透プロセス中にCMCプリフォーム102の受け入れ、収容、および/または保持が可能である。ダイセット104は、CMCプリフォーム102を受け入れることができる任意の適切な材料から形成され、本明細書で説明するように、浸透プロセスをCMCプリフォーム102に実施するときに経験する圧力および/または材料曝露温度(例えば、溶融緻密化剤)に耐えることができる。加えて、ダイセット104の開口部110は実質的に多角形/四辺形として示されているが、開口部110は、CMCプリフォーム102を受け入れて浸透プロセスを実施するための任意の構成として形成され、かつ/または任意の構成を含んでもよいことが理解される。
【0015】
図1および
図2に示すように、システム100はまた、少なくとも1つの溶融緻密化剤源112を含み得る。システム100の溶融緻密化剤源112は、本明細書で説明するように、浸透プロセス中にCMCプリフォーム102に供給、流れる、および/または浸透することができる溶融緻密化剤118(
図2)を保持、含有、および/または格納することができる。溶融緻密化剤118は、CMCプリフォーム102を浸透し、かつ/またはCMCプリフォーム102の密度を増加させてCMC物品(図示せず)を形成することが可能な化合物または組成物の任意の適切な溶融源を含み得る。例えば、溶融緻密化剤118は、1つまたは複数のケイ素の溶融源を含んでもよい。単一の溶融緻密化剤源112が
図1および
図2に示されているが、システム100は、浸透プロセス中に溶融緻密化剤118をダイセット104の開口部110に提供するためのより多くの源を含んでもよいことが理解される(
図9)。
【0016】
溶融緻密化剤源112は、複数の供給導管を介してダイセット104と連通することができる。例えば、溶融緻密化剤源112は、第1の溶融緻密化剤供給導管120(以下、「第1の供給導管120」)と連通してもよい。第1の供給導管120はまた、ダイセット104の開口部110と連通してもよく、かつ/または溶融緻密化剤源112をダイセット104の開口部110に結合してもよい。本明細書で説明するように、第1の供給導管120は、CMCプリフォーム102を形成する複数のプライスタック(
図3)の各々の間に形成されたCMCプリフォーム102の複数のボイドを浸透する浸透プロセス中、第1の流れ方向D1(
図2)で溶融緻密化剤118(
図2)を開口部110に提供、供給、および/または流すことができる。第1の供給導管120は、ダイセット104の第1の場所122でダイセット104と連通することができる。
図1および
図2に示す非限定的な例では、第1の供給導管120の第1の場所122は、ダイセット104の第2の部分108にあってもよく、かつ/または第2の部分108を通っていてもよい。加えて、第1の供給導管120の第1の場所122はまた、ダイセット104の開口部110および/または開口部110内に位置決めされたCMCプリフォーム102の実質的に上方にあってもよい。したがって、本明細書で説明するように、システム100内のダイセット104の第1の場所122に位置決めされた第1の供給導管120は、溶融緻密化剤118をCMCプリフォーム102の上面または最上面上に提供、供給、および/または流し、上から下にCMCプリフォーム102内のボイドを浸透することができる。
【0017】
簡単に
図2を参照すると、第1の供給導管120はまた、ダイセット104の開口部110と直接連通する入口124を含み得る。第1の供給導管120が第1の場所122(例えば、CMCプリフォーム102の上方)に位置決めされる非限定的な例では、第1の供給導管120は、大気圧に等しい(またはそれよりも低い)圧力において第1の流れ方向(D1)で溶融緻密化剤118を開口部110および/またはCMCプリフォーム102に流すおよび/または供給することができる。すなわち、
図1および
図2に示すように、溶融緻密化剤源112および第1の供給導管120は、大気圧に等しい(またはそれよりも低い)圧力で溶融緻密化剤118を流し得る重力供給システムとして構成され得る。本明細書で説明する他の非限定的な例(
図4)では、第1の供給導管120は、大気圧以上の圧力において第1の流れ方向(D1)で溶融緻密化剤118を流すおよび/または供給することができる。
【0018】
加えて、
図1および
図2に示すように、溶融緻密化剤源112は、第2の溶融緻密化剤供給導管126(以下、「第2の供給導管126」)と連通してもよい。第1の供給導管120と同様に、第2の供給導管126は、ダイセット104の開口部110と連通してもよく、かつ/または溶融緻密化剤源112をダイセット104の開口部110に結合してもよい。本明細書で説明するように、第2の供給導管126は、CMCプリフォーム102を形成する複数のプライスタック(
図3)の各々の間に形成されたCMCプリフォーム102の複数のボイドを浸透する浸透プロセス中、第2の流れ方向D2(
図2)で溶融緻密化剤118(
図2)を開口部110に提供、供給、および/または流すことができる。非限定的な例では、第2の供給導管126は、第1の供給導管120の第1の場所122とは別個のダイセット104の第2の場所128でダイセット104と連通してもよい。
図1および
図2に示すように、第2の供給導管126の第2の場所128は、ダイセット104の第1の部分106の側壁130にあってもよく、かつ/または側壁130を通っていてもよい。加えて、第2の供給導管126の第2の場所128はまた、ダイセット104の開口部110および/または開口部110内に位置決めされたCMCプリフォーム102に実質的に隣接して、その隣に、かつ/またはそこから水平に位置決めされてもよい。したがって、本明細書で説明するように、システム100内のダイセット104の第2の場所128に位置決めされた第2の供給導管126は、CMCプリフォーム102の側面を通して溶融緻密化剤118を提供、供給、および/または流し、側面からCMCプリフォーム102内のボイドを浸透することができる。
【0019】
図2に示すように、また第1の供給導管120と同様に、第2の供給導管126はまた、ダイセット104の開口部110と直接連通する入口132を含み得る。第2の供給導管126が第2の場所128(例えば、CMCプリフォーム102に隣接して)に位置決めされ、溶融緻密化剤源112が第2の場所128の上方に位置決めされるかそこから上昇する非限定的な例では、第2の供給導管126は、大気圧に等しい(またはそれよりも低い)圧力において第2の流れ方向(D2)で溶融緻密化剤118を開口部110および/またはCMCプリフォーム102に流すおよび/または供給することができる(例えば、重力供給システム)。本明細書で説明する他の非限定的な例(
図4)では、第2の供給導管126は、大気圧以上の圧力において第2の流れ方向(D2)で溶融緻密化剤118を流すおよび/または供給することができる。
【0020】
図3を参照し、
図1および
図2を引き続き参照すると、
図2のCMCプリフォーム102およびシステム100の一部の拡大図が示されている。非限定的な例では、CMCプリフォーム102は、材料の複数のプライスタック134、136を含み得る。CMCプリフォーム102の各プライスタック134、136は、「テープ」と呼ばれることもある単一の材料シートに形成される複数の処理された繊維を含むことができる。各プライスタック134、136の繊維は、所定の一方向材料配向を含み得る。例えば、
図3に示すように、プライスタック134は、正面断面図(
図2)で見たとき、ページを横切っておよび/または左から右に延びる第1の所定の一方向材料配向を有する繊維を含むことができる。プライスタック134とは別個に、プライスタック136は、正面断面図(
図2)で見たとき、ページを通っておよび/または内外に延びる別個の所定の一方向材料配向を有する繊維を含むことができる。CMCプリフォーム102は、本明細書で説明する浸透プロセス後にCMC物品(図示せず)を形成するために互いに積み重ねおよび/または位置決めされた複数のプライスタック134、136を含み得る。加えて、プライスタック134、136が積み重ねられ、互いに位置決めされ、かつ/または配向されてCMCプリフォーム102を形成するパターンおよび/または順序は、CMCプリフォーム102から形成されるビルド構造および/またはCMC物品に依存する場合がある。例えば、
図3に示すように、CMCプリフォーム102は、プライスタック134、136の特性(例えば、剛性、延性、可撓性など)およびCMCプリフォーム102から形成されるCMC物品に必要な特性により、プライスタック136よりも多くのプライスタック134を含んでもよい。
【0021】
加えて、
図3に示すように、CMCプリフォーム102はまた、複数のボイド138を含み得る。CMCプリフォーム102のボイド138は、CMCプリフォーム102を形成するためのプライスタック134、136の形成および/または積み重ねの結果として、各プライスタック134、136の間に形成され得る。CMCプリフォーム102からCMC物品を形成するために、CMCプリフォーム102に形成されたボイド138は、実質的に閉鎖および/または充填されなければならない。本明細書で説明するように、システム100は、プライスタック134、136を通っておよび/または間に流れるように溶融緻密化剤118をダイセット104の開口部110に流すまたは供給して浸透プロセス中にボイド138を実質的に充填し、緻密化プロセスをCMCプリフォーム102に実施することができる。
【0022】
簡単に
図2に戻り、本明細書で説明するように、第1の供給導管120は、溶融緻密化剤118をCMCプリフォーム102上に流すために、第1の場所122(例えば、CMCプリフォーム102の上方の第2の部分108)のダイセット104の開口部110と連通する。非限定的な例では、第1の場所122がダイセット104のCMCプリフォーム102および/または開口部110の上方および/または上にあるので、第1の供給導管120が溶融緻密化剤118を流す、供給、および/または提供することができる第1の流れ方向(D1)は、ページ上で実質的に上下する。加えて、
図3を参照すると、CMCプリフォーム102上に提供、供給、および/または流される溶融緻密化剤118の第1の流れ方向(D1)は、CMCプリフォーム102に実質的に垂直であってもよく、より具体的には、CMCプリフォーム102の少なくとも1つのプライスタック134、136の所定の一方向材料配向に垂直であってもよい。第1の供給導管120によって供給または流される溶融緻密化剤118の第1の流れ方向(D1)は、少なくとも部分的に、ダイセット104の第1の場所122に位置決めされる第1の供給導管120ならびに/またはCMCプリフォーム102を形成する複数のプライスタック134、136の配向および/もしくはパターンの結果として、CMCプリフォーム102の少なくとも1つのプライスタック134、136の所定の一方向材料配向に実質的に垂直であり得る。
【0023】
図3に示され、本明細書で説明するように、第2の供給導管126は、第2の場所128(例えば、側壁130-
図1)でダイセット104に形成され、溶融緻密化剤118を開口部110に供給もしくは流し、かつ/または第2の流れ方向(D2)で溶融緻密化剤118をCMCプリフォーム102上に流すことができる。非限定的な例では、第2の流れ方向(D2)は、CMCプリフォーム102の少なくとも1つのプライスタック134、136の所定の一方向材料配向と実質的に平行であってもよい。より具体的には、第2の供給導管126によって流され、供給、および/または提供される溶融緻密化剤118の第2の流れ方向(D2)は、CMCプリフォーム102のプライスタック134の所定の一方向材料配向に実質的に平行であり得る。CMCプリフォーム102のプライスタック134の所定の一方向材料配向と実質的に平行な第2の流れ方向(D2)で溶融緻密化剤118を流すように第2の供給導管126(および/または入口132)を配向させることによって、溶融緻密化剤118は、より効率的にかつ/またはより効果的にCMCプリフォーム102のボイド138を通って流れる、充填、および/または浸透することができる。CMCプリフォーム102のプライスタック134の所定の一方向材料配向と実質的に平行に溶融緻密化剤を流すことにより、本明細書で説明するように、システム100を使用して浸透プロセスを実施した後、CMCプリフォーム102から形成されるCMC物品の密度を改善し、かつ/またはCMCプリフォーム102の浸透が少ない領域のサイズおよび/もしくは数を減少/排除することができる。システム100を使用してCMCプリフォーム102の密度を増加させ、かつ/または浸透が少ない領域のサイズおよび/もしくは数を減少/排除すると、CMCプリフォーム102から形成されるCMC物品における潜在的な欠陥の量を減少/排除することができ、かつ/またはCMC物品の動作寿命および/もしくは動作効率を高めることができる。
【0024】
第2の供給導管126が第2の流れ方向(D2)で溶融緻密化剤118を供給または流すためにダイセット104に形成されるものとして本明細書で説明され示されているが、CMCプリフォーム102は、開口部110に位置決めまたは配向されてプライスタック134、136および第2の供給導管126を整列させることができることが理解される。すなわち、第2の供給導管126がダイセット104の第2の場所128に形成されることを知ることに加えて、各プライスタック134、136の所定の一方向材料配向もまた知ることができる。したがって、CMCプリフォーム102は、ダイセット104の開口部110に位置決めおよび/または配向され、CMCプリフォーム102の少なくとも1つのプライスタック134、136の所定の一方向材料配向を第2の供給導管126によって供給される溶融緻密化剤118の第2の流れ方向(D2)と実質的に整列させることができる。本明細書で説明するように、プライスタック134、136の所定の一方向材料配向を第2の流れ方向(D2)と整列させることは、CMCプリフォーム102から形成されるCMC物品の密度を改善し、かつ/またはCMCプリフォーム102の浸透が少ない領域のサイズおよび/もしくは数を減少/排除することができる。
【0025】
図4は、システム100の別の非限定的な例を示す。具体的には、
図4は、システム100の別の非限定的な例の正面断面図を示す。同様の符号および/または名称を付した構成要素は、実質的に同様の様式で機能し得ることが理解される。これらの構成要素の冗長な説明は、明確化のために省略されている。
【0026】
図4に示すように、システム100はまた、第3の溶融緻密化剤供給導管140(「第3の供給導管140」)を含むことができる。第3の供給導管140は、内部に含まれる溶融緻密化剤118を受け入れるための溶融緻密化剤源112と連通し得る。加えて、第1の供給導管120および第2の供給導管126と同様に、第3の供給導管140は、入口144を介してダイセット104の開口部110と連通してもよく、かつ/または溶融緻密化剤源112をダイセット104の開口部110に結合してもよい。非限定的な例では、第3の供給導管140は、第1の場所122および第2の場所128とは別個のダイセット104の第3の場所142でダイセット104と連通してもよい。
図3に示すように、第3の供給導管140の第3の場所142は、側壁130の反対側の、ダイセット104の第1の部分106の側壁146にあってもよく、かつ/または側壁146を通っていてもよい。加えて、第3の供給導管140の第3の場所142はまた、ダイセット104の開口部110および/または開口部110内に位置決めされたCMCプリフォーム102に実質的に隣接して、その隣に、かつ/またはそこから水平にあってもよい。
【0027】
図1~
図3に関して本明細書で同様に説明するように、第3の供給導管140は、第3の流れ方向(D3)で溶融緻密化剤118を開口部110に提供、供給、および/または流し、各プライスタック134、136の間に形成されたCMCプリフォーム102の複数のボイド138を浸透することができる。
図4に示す非限定的な例では、第3の供給導管140によって画定された第3の流れ方向(D3)は、第1の供給導管120によって画定された第1の流れ方向(D1)とは別個であり得るが、第2の供給導管126によって画定された第2の流れ方向(D2)と実質的に同様または同一であり得る。本明細書で説明する別の非限定的な例(
図5および
図6)では、第3の供給導管140によって画定される第3の流れ方向(D3)は、第1の流れ方向(D1)および第2の流れ方向(D2)とは別個であってもよい。
図1~
図3の第2の供給導管126に関して本明細書で同様に説明するように、第3の流れ方向(D3)は、CMCプリフォーム102のプライスタック134、136の所定の一方向材料配向に実質的に平行であり得る。すなわち、
図4に示すCMCプリフォーム102が
図3に示すのと同様のプライスタック134、136の構成を含む場合、溶融緻密化剤118は、CMCプリフォーム102のプライスタック134の所定の一方向材料配向と実質的に平行な第3の流れ方向(D3)に流れるおよび/または供給されてもよい。その結果、第3の供給導管140は、本明細書で説明するように、CMCプリフォーム102のボイド138を通って流れる、充填、および/または浸透するように溶融緻密化剤118を供給してCMCプリフォーム102から形成されるCMC物品の密度を改善し、かつ/またはCMCプリフォーム102の浸透が少ない領域のサイズおよび/もしくは数を減少/排除することができる。
【0028】
加えて、
図4に示すように、システム100は、溶融緻密化剤源112と連通するプランジャ148を含み得る。すなわち、プランジャ148は、溶融緻密化剤源112と接続および/または相互作用し、力を溶融緻密化剤源112に含まれる溶融緻密化剤118に加えることができる。力を加えることによって、プランジャ148は、本明細書で説明するように、溶融緻密化剤118を第1の供給導管120、第2の供給導管126、および第3の供給導管140を通してダイセット104の開口部110へと押しおよび/または駆動し、CMCプリフォーム102を通して流すことができる。プランジャ148によって加えられる力は、実質的に制御および/または変化し、それぞれの供給導管120、126、140を通って流れる溶融緻密化剤118の圧力および/または速度を制御および/または調整することができる。したがって、
図1~
図3に示す非限定的な例で説明する重力供給システムとは別個に、
図4のシステム100は、大気圧以上の圧力において第1の流れ方向(D1)、第2の流れ方向(D2)、および/または第3の流れ方向(D3)で溶融緻密化剤118をCMCプリフォーム102上に供給することができる。
【0029】
図5および
図6は、システム100の追加の非限定的な例を示す。具体的には、
図5は、システム100の追加の非限定的な例の正面図を示し、
図6は、システム100の第3の供給導管140、およびCMCプリフォーム102を含む
図5の一部の拡大側面断面図を示す。同様の符号および/または名称を付した構成要素は、実質的に同様の様式で機能し得ることが理解される。これらの構成要素の冗長な説明は、明確化のために省略されている。
【0030】
図5に示すように、第3の供給導管140は、
図4に関して本明細書で説明する場所とは別個のダイセット104上の場所に位置決めされ得る。例えば、第3の供給導管140は、ダイセット104の第1の部分106の側壁150におよび/またはそれを通して位置する第1の場所122および第2の場所128とは別個の、ダイセット104の第3の場所142でダイセット104と連通することができる。側壁150は、対向する側壁130、146の間に形成および/または位置決めされ得る。本明細書で説明するように、第3の供給導管140は、側壁150を通しておよび/またはダイセット104の第3の場所142に形成されて第3の流れ方向(D3)で溶融緻密化剤118を開口部110に流すおよび/または供給し、各プライスタック134、136の間に形成されたCMCプリフォーム102の複数のボイド138を浸透することができる。
【0031】
図5に示すシステム100の非限定的な例はまた、別個の溶融緻密化剤源152を含み得る。この例では、第1の供給導管120は、溶融緻密化剤源112と連通してもよく、第2の供給導管126および第3の供給導管140は、別個の溶融緻密化剤源152と連通してもよい。1つの非限定的な例では、別個の溶融緻密化剤源152は、溶融緻密化剤源112と同様の溶融緻密化剤118を含むことができる。あるいは、別個の溶融緻密化剤源152は、溶融緻密化剤源112に含まれる溶融緻密化剤118とは別個の溶融緻密化剤を含み得る。この非限定的な例では、別個の溶融緻密化剤源152に含まれる別個の溶融緻密化剤は、本明細書で説明するように、CMCプリフォーム102の浸透および/または緻密化剤を改善するために溶融緻密化剤118とは別個の材料、組成、および/または物理特性を含むことができる。
【0032】
図6を参照し、
図5を引き続き参照すると、システム100の一部の拡大側面断面図が示されている。
図6に示すCMCプリフォーム102は、
図3に関して本明細書で示され説明されるCMCプリフォーム102と同一であり得る。したがって、
図6のCMCプリフォーム102は、プライスタック134、136が積み重ねられ、互いに位置決めされ、および/または配向される同様のパターンおよび/または順序を含み得る。しかしながら、
図6は
図3のような正面図ではなく側面図を図示するので、CMCプリフォームの各プライスタック134、136の所定の一方向材料配向は、
図3に示すものとは反対であり得る。すなわち、
図6に示すように、プライスタック134は、側面断面図で見たとき、ページを通っておよび/または内外に延びる所定の一方向材料配向を有する繊維を含むことができ、プライスタック136は、側面断面図で見たとき、ページを横切っておよび/または左から右に延びる所定の一方向材料配向を有する繊維を含む。
【0033】
図6に示され、本明細書で説明するように、第3の供給導管140は、第3の場所142(例えば、側壁146-
図4、側壁150-
図5)でダイセット104に形成され、溶融緻密化剤118を開口部110に供給もしくは流し、かつ/または第3の流れ方向(D3)で溶融緻密化剤118をCMCプリフォーム102上に流すことができる。非限定的な例では、第3の場所142におよび/または側壁146、150を通して形成された第3の供給導管140によって画定された第3の流れ方向(D3)は、第1の供給導管120によって画定された第1の流れ方向(D1)と第2の供給導管126によって画定された第2の流れ方向(D2)の両方とは別個であり得る。また
図6に示すように、第3の流れ方向(D3)は、CMCプリフォーム102の少なくとも1つのプライスタック134、136の所定の一方向材料配向と実質的に平行であってもよい。より具体的には、第3の供給導管140によって流され、供給、および/または提供される溶融緻密化剤118の第3の流れ方向(D3)は、CMCプリフォーム102のプライスタック136の所定の一方向材料配向に実質的に平行であり得る。
【0034】
CMCプリフォーム102のプライスタック136の所定の一方向材料配向と実質的に平行な第3の流れ方向(D3)で溶融緻密化剤118を流すように第3の供給導管140(および/または入口144)を配向させることによって、溶融緻密化剤118は、より効率的にかつ/またはより効果的にCMCプリフォーム102のボイド138を通って流れる、充填、および/または浸透することができる。CMCプリフォーム102のプライスタック136の所定の一方向材料配向と実質的に平行に溶融緻密化剤を流すことにより、本明細書で説明するように、システム100を使用して浸透プロセスを実施した後、CMCプリフォーム102から形成されるCMC物品の密度を改善し、かつ/またはCMCプリフォーム102の浸透が少ない領域のサイズおよび/もしくは数を減少/排除することができる。
【0035】
加えて、この非限定的な例では、
図3に関して本明細書で同様に説明するように、第2の供給導管126によって流され、供給、および/または提供される溶融緻密化剤118の第2の流れ方向(D2)(図示せず)は、CMCプリフォーム102のプライスタック134の所定の一方向材料配向に実質的に平行であり得る。その結果、システム100の第2の供給導管126および第3の供給導管140は各々、プライスタック134またはプライスタック136のいずれかに平行である特定の流れ方向(D2、D3)で溶融緻密化剤118を流すことができる。システム100は、
図6に示すように、CMCプリフォーム102のプライスタック134、136の間に形成されたボイド138が充填される効率および/または有効性をさらに改善し、本明細書で説明するように、CMCプリフォーム102の浸透および/または緻密化を最終的に改善することができる。
【0036】
システム100の少なくとも1つの供給導管120、126、140はまた、入口124、132、144上におよび/または隣接して形成された特徴154を含み得る。供給導管120、126、140の特徴154は、溶融緻密化剤118がシステム100用のダイセット104の開口部110に供給および/または流される圧力および/または速度を制御および/または調整(例えば、増加、減少)するのを支援し得る。
図6に示す非限定的な例では、第3の供給導管140の特徴154は、入口144に隣接しておよび/または入口144内に形成された第3の供給導管140の拡大部分156を含んでもよい。拡大部分156は、第3の供給導管140の残りの部分の直径または幾何学的形状よりも大きい場合がある変化する直径または幾何学的形状を含み得る。第3の供給導管140に拡大部分156を含めることにより、開口部110に入って第3の流れ方向(D3)でCMCプリフォーム102上に流れる前に溶融緻密化剤118の速度を制御し、より具体的には、低減することができる。加えて、第3の供給導管140の拡大部分156は、開口部110に入る前に溶融緻密化剤118の圧力を制御し、より具体的には、低減することができる。溶融緻密化剤118の圧力および/または速度を制御すると、本明細書で説明するように、CMCプリフォーム102の浸透および/または緻密化を制御および/または改善することができる。
【0037】
別の非限定的な例では、特徴154は、調整可能バルブ158を含んでもよい。
図7に示すように、第2の供給導管126は、入口132に隣接して形成された調整可能バルブ158を含むことができる。調整可能バルブ158は、入口132に隣接して位置決めされた第2の供給導管126の一部の直径または幾何学的形状を変化させることができる。拡大部分156(
図6)と同様に、第2の供給導管126に形成された調整可能バルブ158は、開口部110に入って第2の流れ方向(D2)でCMCプリフォーム102上に流れる前に溶融緻密化剤118の速度および/または圧力を制御または調整(例えば、増加、減少、維持)することができる。すなわち、開口部132に隣接して位置決めされた第2の供給導管126の一部の直径または幾何学的形状を調整することによって、調整可能バルブ158は、溶融緻密化剤118の圧力および/または速度を制御し得る。次に、これは、本明細書で説明するように、CMCプリフォーム102の浸透および/または緻密化剤を改善することができる。
【0038】
第2の供給導管126(
図7)または第3の供給導管140(
図6)にのみ含まれるものとして本明細書で示され説明されているが、システム100の任意の供給導管120、126、140は、溶融緻密化剤118の速度および/または圧力を制御するための特徴154を含んでもよいことが理解される。例えば、システム100の第1の供給導管120はまた、入口124内におよび/または隣接して形成された特徴154(拡大部分156、調整可能バルブ158)を含み、第1の流れ方向(D1)でダイセット104の開口部110に供給または流される溶融緻密化剤118の速度および/または圧力を制御することができる。加えて、システムの供給導管120、126、140の任意の組み合わせは、溶融緻密化剤118の速度および/または圧力を制御するための特徴154を含んでもよいことが理解される。例えば、第1の供給導管120と第2の供給導管126の両方は、内部に形成された特徴154を含み得る。
【0039】
図8は、システム100の第2の供給導管126の別の非限定的な例を示す。非限定的な例では、第2の供給導管126は、第2の供給導管126を2つの別個のセクション160、162に分割するスプリッタまたはパーティションを含んでもよい。第2の供給導管126は、溶融緻密化剤118を2つの別個の流れ方向に提供してCMCプリフォーム102を浸透するための2つの別個のセクション160、162を含むことができる。すなわち、
図8に示すように、CMCプリフォーム102の非限定的な例は、互いに別個のパターンで配向および/または積み重ねることができるプライスタック134、136、164、166を含み得る。例えば、
図8に示すCMCプリフォーム102の一部は、
図3に関して本明細書で説明されるのと同様の様式で積み重ね、パターン化、および/または配向されたプライスタック134、136を含み得る。加えて、
図8に示すCMCプリフォーム102の一部は、プライスタック134、136の下に位置決めされ得、CMCプリフォーム102の所望の構造および/または構成に基づいて、プライスタック134、136に実質的に垂直に配向、位置決め、および/または積み重ねられ得るプライスタック164、166を含んでもよい。プライスタック164は、
図6の断面図で見たとき、ページ上におよび/または上から下に延びる第1の所定の一方向材料配向を有する繊維を含むことができる。プライスタック166は、断面図で見たとき、ページを通っておよび/または内外に延びる別個の所定の一方向材料配向を有する繊維を含むことができる。
【0040】
第2の供給導管126の各別個のセクション160、162は、CMCプリフォーム102のプライスタック134、136、164、166の一部に平行である流れ方向で溶融緻密化剤118を提供することができる。例えば、
図3に関して本明細書で同様に説明するように、入口132を含む第1のセクション160は、プライスタック134の所定の一方向材料配向に実質的に平行であり得る第2の方向(D2)で溶融緻密化剤118を開口部110に流しおよび/または供給し、プライスタック134とプライスタック136との間に形成されたボイド138を充填および/または浸透することができる。加えて、第2の供給導管126の第2のセクション162は、第4の流れ方向(D4)で溶融緻密化剤118を流すおよび/または供給する入口168を含み得る。第4の流れ方向(D4)は、プライスタック164の所定の一方向材料配向に正確に平行ではなく、ダイセット104の構成および/またはダイセット104の第2の供給導管126の第2の場所128の結果としてわずかに角度(α)が付けられてもよい。しかしながら、第4の流れの方向(D4)は、平行に実質的に近く(例えば、α=15°以下)てもよく、それにより第2の供給導管126の第2のセクション162から第4の流れ方向(D4)に流れる溶融緻密化剤118は、プライスタック164、166の間に形成されたボイド170を通ってより効果的にかつ/またはより効率的に流れるおよび/または浸透することができる。
【0041】
図9は、システム100の別の非限定的な例を示す。具体的には、
図9のシステム100は、第1の供給導管120とのみ連通する溶融緻密化剤源112と、第2の供給導管126とのみ連通する別個の溶融緻密化剤源152とを含む。加えて、
図1に示す非限定的な例とは別個に、第1の供給導管120の第1の場所122は、ダイセット104の第1の部分106内におよび/または上に形成され得る。具体的には、第1の供給導管120の第1の場所122は、側壁130に隣接する、ダイセット104の第1の部分106の底部172にあってもよく、かつ/または底部172を通っていてもよい。
【0042】
図10は、多孔質セラミックマトリックス複合材(CMC)プリフォームを浸透する例示的なプロセスを示す。より具体的には、
図10は、溶融緻密化剤材料でCMCプリフォームを浸透および緻密化する非限定的な例のプロセスを示す流れ図を示す。場合によっては、プロセスを使用して、
図1~
図9に関して本明細書で説明するように、浸透および緻密化されたCMCプリフォームからCMC物品を形成することができる。
【0043】
プロセスP1では、多孔質CMCプリフォームは、浸透プロセスを実施するために使用される浸透システムのダイセットの開口部内に位置決めすることができる。CMCプリフォームは、複数のプライスタックと、プライスタックの各々の間に形成された複数のボイドとを含み得る。複数のプライスタックの各々は、所定の一方向材料配向を含むことができる。CMCプリフォームを開口部に位置決めすることはまた、CMCプリフォームの複数のプライスタックの少なくとも1つの所定の一方向材料配向を、流れている溶融緻密化剤の第2の流れ方向と整列させることを含み得る。
【0044】
プロセスP2では、溶融緻密化剤は、第1の流れ方向でCMCプリフォーム上に流れることができる。具体的には、溶融緻密化剤は、第1の流れ方向でCMCプリフォーム上に流れ、CMCプリフォームの複数のプライスタックの各々の間に形成された複数のボイドを浸透することができる。第1の流れ方向は、CMCプリフォームを形成する複数のプライスタックの少なくとも1つの所定の一方向材料配向に実質的に垂直であってもよい。第1の流れ方向で溶融緻密化剤を流すことはまた、大気圧以上の圧力において第1の流れ方向で溶融緻密化剤をCMCプリフォーム上に供給することを含み得る。
【0045】
プロセスP3では、溶融緻密化剤は、第2の流れ方向でCMCプリフォーム上に流れることができる。具体的には、溶融緻密化剤は、第2の流れ方向でCMCプリフォーム上に流れ、CMCプリフォームの複数のプライスタックの各々の間に形成された複数のボイドを浸透することができる。第2の流れ方向は、第1の流れ方向とは別個であり得る。加えて、第2の流れ方向は、CMCプリフォームを形成する複数のプライスタックの少なくとも1つの所定の一方向材料配向に実質的に平行であってもよい。第2の流れ方向で溶融緻密化剤を流すことはまた、大気圧以上の圧力において第2の流れ方向で溶融緻密化剤をCMCプリフォーム上に供給することを含み得る。
【0046】
プロセスP4(任意選択であるとして想像線で示す)では、溶融緻密化剤は、第3の流れ方向でCMCプリフォーム上に流れることができる。具体的には、溶融緻密化剤は、第3の流れ方向でCMCプリフォーム上に流れ、CMCプリフォームの複数のプライスタックの各々の間に形成された複数のボイドを浸透することができる。第3の流れ方向は、第1の流れ方向とは別個であり得る。非限定的な例では、第3の流れ方向は、第2の流れ方向と同一であっても別個であってもよい。加えて、第3の流れ方向は、CMCプリフォームを形成する複数のプライスタックの少なくとも1つの別個のプライスタックの所定の一方向材料配向に実質的に平行であってもよい。プロセスP4で識別された別個のプライスタックは、プロセスP3のプライスタックとは異なっていても別個であってもよい。第3の流れ方向で溶融緻密化剤を流すことはまた、大気圧以上の圧力において第3の流れ方向で溶融緻密化剤をCMCプリフォーム上に供給することを含み得る。
【0047】
プロセスP5では、溶融緻密化剤の速度および/または圧力を制御することができる。より具体的には、CMCプリフォーム上に第1の方向(プロセスP2)、第2の方向(プロセスP3)、および第3の方向(プロセスP4)で流れる溶融緻密化剤の速度および/または圧力を制御および/または調整(例えば、増加、減少、維持)し、CMCプリフォームの浸透および/または緻密化を支援することができる。溶融緻密化剤の速度および/または圧力は、溶融緻密化剤を流すおよび/または供給する浸透システムの供給導管内におよび/または隣接して位置決めされた特徴を使用して制御することができる。特徴は、限定はしないが、供給導管の拡大部分(例えば、入口)、または供給導管と連通する調整可能バルブを含んでもよい。
【0048】
本開示の技術的効果は、多孔質セラミックマトリックス複合材(CMC)プリフォームのプライスタックの所定の一方向材料配向に平行に溶融緻密化剤を流し、CMCプリフォームの浸透および/または緻密化を改善するための方法およびシステムを提供することである。
【0049】
上記の図面は、本開示のいくつかの実施形態による関連する処理のいくつかを示す。これに関連して、図面の流れ図内の各図またはブロックは、記載した方法の実施形態に関連するプロセスを表している。いくつかの代替の実施態様では、図面またはブロックで説明した動作は、図で示した順序から外れて生じてもよいし、または例えば、関連する動作に応じて、実際には実質的に同時に、または逆の順序で実行されてもよいことにも留意されたい。また、当業者であれば、プロセスを説明する付加的なブロックを追加することができることを認識するであろう。
【0050】
本明細書で使用される専門用語は、単に特定の実施形態を説明するためのものに過ぎず、本開示を限定することを意図するものではない。本明細書で使用する場合、単数形「1つの(a)」、「1つの(an)」、および「この(the)」は、特に明示しない限り、複数形も含むことが意図される。「備える(comprise)」および/または「備えている(comprising)」という用語は、本明細書で使用する場合、記載した特徴、整数、ステップ、動作、要素、および/または構成要素が存在することを明示するが、1つまたは複数の他の特徴、整数、ステップ、動作、要素、構成要素、および/またはそれらの組が存在することまたは追加することを除外しないことがさらに理解されよう。「任意選択の」または「任意選択で」は、後で述べられる事象または状況が、起こる場合も起こらない場合もあることを意味し、この記述は、その事象が起こる事例と、起こらない事例とを含むことを意味する。
【0051】
本明細書および特許請求の範囲を通してここで使用される、近似を表す文言は、関連する基本的機能に変化をもたらすことなく、差し支えない程度に変動し得る任意の量的表現を修飾するために適用することができる。したがって、「およそ」、「約」および「実質的に」などの用語によって修飾された値は、明記された厳密な値に限定されるものではない。少なくともいくつかの例では、近似を表す文言は、値を測定するための機器の精度に対応することができる。ここで、ならびに本明細書および特許請求の範囲を通して、範囲の限定は組み合わせおよび/または置き換えが可能であり、文脈および文言が特に指示しない限り、このような範囲は識別され、それに包含されるすべての部分範囲を含む。範囲の特定の値に適用される「約」は、両方の値に適用され、値を測定する機器の精度に特に依存しない限り、記載された値の+/-10%を示すことができる。
【0052】
以下の特許請求の範囲におけるミーンズプラスファンクションまたはステッププラスファンクションの要素すべての、対応する構造、材料、動作、および均等物は、具体的に請求された他の請求要素と組み合わせてその機能を遂行するための、一切の構造、材料、または動作を包含することを意図している。本開示の記述は、例示および説明の目的で提示されており、網羅的であることも、または本開示を開示した形態に限定することも意図していない。当業者には、本開示の範囲および趣旨から逸脱することなく多くの修正および変形が明らかであろう。本開示の原理および実際の用途を最良に説明し、想定される特定の使用に適するように様々な修正を伴う様々な実施形態の本開示を他の当業者が理解することができるようにするために、本実施形態を選択し、かつ説明した。
【符号の説明】
【0053】
100 システム
102 多孔質セラミックマトリックス複合材(CMC)プリフォーム
104 ダイセット
106 第1の部分
108 第2の部分
110 開口部
112 溶融緻密化剤源
118 溶融緻密化剤
120 第1の溶融緻密化剤供給導管
122 第1の場所
124 入口
126 第2の溶融緻密化剤供給導管
128 第2の場所
130 側壁
132 入口、開口部
134 プライスタック
136 プライスタック
138 ボイド
140 第3の溶融緻密化剤供給導管
142 第3の場所
144 入口
146 側壁
148 プランジャ
150 側壁
152 別個の溶融緻密化剤源
154 特徴
156 拡大部分
158 調整可能バルブ
160 第1のセクション
162 第2のセクション
164 プライスタック
166 プライスタック
168 入口
170 ボイド
172 底部
D1 第1の流れ方向
D2 第2の流れ方向
D3 第3の流れ方向
D4 第4の流れ方向
P1 プロセス
P2 プロセス
P3 プロセス
P4 プロセス
P5 プロセス