特許 7608084 電動車両の蓄電システム

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)

(12)【公報種別】特許公報(B2)

(11)【特許番号】

(24)【登録日】2024-12-20

(45)【発行日】2025-01-06

(54)【発明の名称】電動車両の蓄電システム

(51)【国際特許分類】

   H01M 50/204 20210101AFI20241223BHJP

   H01M 50/249 20210101ALI20241223BHJP

   H01M 50/213 20210101ALI20241223BHJP

   H02J 7/00 20060101ALI20241223BHJP

   H01M 10/658 20140101ALI20241223BHJP

   H01M 10/625 20140101ALI20241223BHJP

   H01M 10/613 20140101ALI20241223BHJP

   H01M 10/6556 20140101ALI20241223BHJP

   B60L 50/64 20190101ALI20241223BHJP

   B60L 58/26 20190101ALI20241223BHJP

   H01M 10/6567 20140101ALN20241223BHJP

【ＦＩ】

H01M50/204 401F

H01M50/204 401H

H01M50/249

H01M50/213

H02J7/00 P

H02J7/00 301B

H01M10/658

H01M10/625

H01M10/613

H01M10/6556

B60L50/64

B60L58/26

H01M10/6567

【請求項の数】 9

【外国語出願】

(21)【出願番号】P 2020129108

(22)【出願日】2020-07-30

(65)【公開番号】P2021036518

(43)【公開日】2021-03-04

【審査請求日】2023-05-11

(31)【優先権主張番号】102019000013545

(32)【優先日】2019-07-31

(33)【優先権主張国・地域又は機関】IT

(73)【特許権者】

【識別番号】519463178

【氏名又は名称】フェラーリ エッセ．ピー．アー．

【氏名又は名称原語表記】ＦＥＲＲＡＲＩ Ｓ．ｐ．Ａ．

【住所又は居所原語表記】Ｖｉａ Ｅｍｉｌｉａ Ｅｓｔ， １１６３， ４１１００ ＭＯＤＥＮＡ， Ｉｔａｌｙ

(74)【代理人】

【識別番号】110000796

【氏名又は名称】弁理士法人三枝国際特許事務所

(72)【発明者】

【氏名】リガブーエ エレナ

(72)【発明者】

【氏名】ベントゥーリ エンリコ

(72)【発明者】

【氏名】ポッジョ ルカ

【審査官】井原 純

(56)【参考文献】

【文献】特表２０２１－５０１９７２（ＪＰ，Ａ）

【文献】特開２０１３－２４６９２０（ＪＰ，Ａ）

【文献】特開２０１９－０３２９２３（ＪＰ，Ａ）

【文献】国際公開第２０１７／１１００３７（ＷＯ，Ａ１）

【文献】特開２０２２－０３６３３６（ＪＰ，Ａ）

(58)【調査した分野】(Int.Cl.，ＤＢ名)

Ｈ０１Ｍ ５０／２０－５０／２９８

Ｈ０２Ｊ ７／００

Ｈ０１Ｍ １０／６０－１０／６６７

Ｂ６０Ｌ ５０／６４

Ｂ６０Ｌ ５８／２６

(57)【特許請求の範囲】

【請求項1】

電動車両の蓄電システム（１）であって、
互いに電気接続された複数の電気化学セル（５）が設けられた少なくとも１つのバッテリーパック（２）と、
内側に、前記バッテリーパック（２）を収容するチャンバー（４）を設けられたコンテナー（３）と、
前記コンテナー（３）上に搭載されるとともに、線状接続要素の起点となる第２のコネクタに係合するように設計されている少なくとも１つの第１のコネクタ（１１）と、
前記コンテナー（３）の外面（８）と直接接触し、可撓性繊維から作製され、前記コンテナー（３）を断熱するとともに、前記コンテナー（３）を火から保護するように設計されているカバーケーシング（７）であって、断熱及び火からの保護を行うのは、該カバーケーシング（７）が、前記コンテナー（３）を構成する材料よりも耐火性が高く、前記コンテナー（３）を構成する材料と比較して熱伝導率が小さいためであり、該カバーケーシング（７）は、第１の貫通孔（１２）を有し、該第１の貫通孔（１２）は、該カバーケーシング（７）を通じた前記コネクタ（１１）へのアクセスを可能にするために、前記コネクタ（１１）と位置合わせされるとともに、前記コネクタ（１１）の面積以上である面積を有する、カバーケーシングと、
を備え、該蓄電システム（１）は、
前記カバーケーシング（７）が、可動式に前記カバーケーシング（７）の台部に固定され、前記第１の貫通孔（１２）を覆うように該第１の貫通孔（１２）の面積内に配置され、内側に、第２の貫通孔（１４）を有するパッチ（１３）を備え、前記第２の貫通孔（１４）は、前記第１の貫通孔（１２）よりも小さい面積を有し、間隙を有することなく前記第２のコネクタの前記線状接続要素が貫通するように設計され、
前記パッチ（１３）が前記第１の貫通孔（１２）を遮蔽しないように前記カバーケーシング（７）の台部から離間する持ち上げ位置と、該パッチ（１３）が前記第１の貫通孔（１２）を部分的に遮蔽するように前記カバーケーシング（７）の台部に対して載置される保護位置との間で、該パッチ（１３）が前記カバーケーシング（７）に対して可動であり、
前記パッチ（１３）が、少なくとも１つの切り込み（１５）を有し、該切り込み（１５）は、前記第２の貫通孔（１４）を起点とし、前記パッチ（１３）の外側自由縁（１６）に至り、それにより、前記線状接続要素を前記貫通孔（１４）の内側に置くために、前記切り込み（１５）の２つのフラップ（１７）が互いに離間するとともに、前記パッチ（１３）が前記線状接続要素によって貫通されるように設計される開放構成と、前記切り込み（１５）の前記フラップ（１７）が、前記切り込み（１５）を閉鎖するとともに前記貫通孔（１４）の範囲を画定し、前記線状接続要素が間隙を有することなく前記貫通孔（１４）の縁部に密着することを確実にするように、互いに部分的に重なる閉鎖構成とを取る、ことを特徴とする、蓄電システム。

【請求項2】

請求項１に記載の蓄電システム（１）であって、前記カバーケーシング（７）は、前記コンテナー（３）の形状を複製するとともに、間隙を有することなく前記コンテナー（３）に密着するように形成される、蓄電システム。

【請求項3】

請求項１又は２に記載の蓄電システム（１）であって、前記カバーケーシング（７）は、前記パッチ（１３）を前記カバーケーシング（７）の台部に固定する第１の固定手段（１８）を備える、蓄電システム。

【請求項4】

請求項３に記載の蓄電システム（１）であって、前記第１の固定手段（１８）は、金属スナップボタンからなる、蓄電システム。

【請求項5】

請求項４に記載の蓄電システム（１）であって、前記パッチ（１３）の前記各フラップ（１７）は、前記パッチ（１３）を前記カバーケーシング（７）の台部に固定するように設計されたそれ自身の金属スナップボタンが設けられる、蓄電システム。

【請求項6】

請求項１～５のいずれか１項に記載の蓄電システム（１）であって、第１の電力コネクタ（１１）と、第２の電気信号コネクタと、冷却流体が前記コンテナー（３）内で循環することを可能にする水圧コネクタ（１９）とを備える、蓄電システム。

【請求項7】

請求項１～６のいずれか１項に記載の蓄電システム（１）であって、前記カバーケーシング（７）は、
前記カバーケーシング（７）の別の部分上に各々載置された複数の安定化翼部（２０）と、
前記各安定化翼部（２０）を前記カバーケーシング（７）の対応する部分に固定する複数の第２の固定手段（２１）と、
を備える、蓄電システム。

【請求項8】

請求項１～７のいずれか１項に記載の蓄電システム（１）であって、
前記カバーケーシングは耐火繊維から作製され、
前記耐火繊維は、
不織布繊維から作製された、２つの外側耐火層（９）と、
前記２つの外側耐火層（９）の間に挟挿され、繊維布から作製され、前記２つの外側耐火層（９）よりも高い断熱性を提供するように設計された、内側層（１０）と、
を含む、蓄電システム。

【請求項9】

請求項８に記載の蓄電システム（１）であって、
前記２つの外側耐火層（９）はガラス繊維を用いて強化された不織布繊維から作製され、
前記内側層（１０）は、ガラス繊維を用いて強化された繊維布から作製される、蓄電システム。

【発明の詳細な説明】

【技術分野】

【0001】

［関連出願の相互参照］
本特許出願は、２０１９年７月３１日に提出されたイタリア国特許出願第１０２０１９００００１３５４５号の優先権を主張し、このイタリア国特許出願の開示全体が、引用することにより本明細書の一部をなす。

【0002】

本発明は、電動車両の蓄電システムに関する。

【背景技術】

【0003】

詳細には、電動車両の蓄電システムが既知であり、この蓄電システムは、互いに直列及び／又は並列に電気接続された複数の電気化学セルを有する少なくとも１つのバッテリーパックと、バッテリーパックを収容するチャンバーを画定する内部コンテナーと、バッテリーパックを電動システムの駆動システムに接続するように内部コンテナーから突出する電気コネクタとを備える。

【0004】

既知の蓄電システムは、カバーコンテナーを更に備え、カバーコンテナーは、内部コンテナーの外側に配置されるとともに、内部コンテナー（それゆえ、バッテリーパック）が十分に耐火性であり、かつ、内部コンテナー（それゆえ、バッテリーパック）を断熱することを可能にするように設計されている。

【0005】

詳細には、既知の蓄電システムのカバーコンテナーは、金属材料、典型的には鋼又はアルミニウム合金から作製され、内部コンテナーから所与の距離をおいて配置され、それにより、内部コンテナーとカバーコンテナーとの間には、空気空間（air space：空気層）が画定され、空気空間は、内部コンテナー（それゆえ、バッテリーパック）が正しく断熱されることを確実にするように適合され、したがって、外部から由来する熱がバッテリーパックを過度に加熱し、それゆえ、損傷、又は最悪のケースシナリオでは１つ以上の電気化学セルの爆発を引き起こし得るというリスクが回避される。

【0006】

蓄電システムが、形式承認（すなわち、カバーコンテナーが耐火及び断熱の正しい値を出力することが可能であるようになっているかの承認）を得るために必要な、必須かつますます厳格になっている耐火試験を合格するために、カバーコンテナー及び空気空間は、蓄電システムが裸火でおよそ１２００℃の温度に晒される場合であっても、内部コンテナーの内側のバッテリーパックが１２０℃を超えないような厚さを有さなければならない。これらの性能は、有意な厚さを有するカバーコンテナー及び空気空間によってのみ確実にすることができる。

【0007】

しかしながら、カバーコンテナー及び空気空間の厚さの増加により、蓄電システムの全体寸法の増加及びその重量の増加がもたらされる。これは、重量及びサイズの削減がますます必要となっている自動車応用において、特に、この蓄電システムが、高性能を要求するとともに小さい内部空間を提供するスポーツカーに設置されなくてはならない場合、問題となり得る。

【0008】

特許文献１は、車両のバッテリーの断熱カバーケーシング（covering casing：保護筐体）を記載しており、この断熱カバーケーシングは、冬季の低気温からバッテリーを保護する。このカバーケーシングは、可撓性であり、平坦な形態を取るように折り畳むことができ、それゆえ、使用されていないとき容易に格納することができる。

【先行技術文献】

【特許文献】

【0009】

【文献】英国特許出願第２２１３９８１号

【発明の概要】

【0010】

本発明の目的は、上記で説明された欠点を克服することが可能であるとともに、製造が容易かつ経済的である、電動車両の蓄電システムを提供することである。

【0011】

本発明によれば、添付の特許請求の範囲による電動車両の蓄電システムが提供される。

【0012】

添付の特許請求の範囲は、本発明の好ましい実施形態を説明し、本明細書の一体部分を形成する。

【0013】

ここで、本発明を、本発明の非限定的な実施形態を示す添付の図面を参照して説明する。

【図面の簡単な説明】

【0014】

【図1】本発明による、電気車両の駆動システムの蓄電システムの概略斜視図である。

【図2】カバーケーシングが取り外された状態の、図１の蓄電システムの概略斜視図である。

【図3】図１の蓄電システムの断面図である。

【図4】図１の蓄電システムのカバーケーシングの、拡大スケールでの概略断面図である。

【図5】パッチが保護位置に配置された、図１の詳細を拡大スケールで示す図である。

【図6】パッチが持ち上げ位置（lifted position）に配置された、図１の詳細を拡大スケールで示す図である。

【発明を実施するための形態】

【0015】

添付の図面において、数字１は、全体として、（本明細書では図示されていない）電動車両上に搭載されるように適合された蓄電システムを示している。

【0016】

詳細には、蓄電システム１は、電動車両の駆動システム（本明細書では図示されていない）に接続されるように適合されているとともに、電気機械（本明細書では図示されていない）によって生成された電力を蓄電するように設計されている。蓄電システム１は、電気機械及び蓄電システム１の種々のニーズに基づいて、蓄電システム１によって出力された直流電流を、電気機械用の交流電流に、及び逆に変換する電力変換器（インバーターとして一般に知られる）の介入を通じて電気機械に接続されている。

【0017】

添付の図面に示されている蓄電システム１は、バッテリーパック２及びコンテナー３（典型的には、電気絶縁性のプラスチック材料から作製される）を備え、コンテナー３は、内側に、バッテリーパック２を収容するチャンバー４を画定する。

【0018】

詳細には、バッテリーパック２は、複数の電気化学セル５を備え、これらの電気化学セルは、互いに直列及び／又は並列に電気接続されるとともに、蓄積された化学エネルギーを電気エネルギーに、及び逆に変換するように設計されている。電気化学セル５は、好ましくは、Ｌｉ－Ｉｏｎセル（リチウムイオン電池）である。

【0019】

好ましいが、これに限定されるものではない図３に示される実施形態によれば、各電気化学セル５は、実質的に、平行六面体の形状を有するとともに、一方の端部には正極、及び他方の端部には負極を有する。

【0020】

有利には、排他的にではないが、電気化学セル５は、所与の数の電気化学セル５を各々収容するバッテリーモジュール６に分割され、バッテリーモジュール６は、互いに直列又は並列に電気接続される。例えば、図３に示される非限定的な事例では、２０個のバッテリーモジュール６が提供され、これらのバッテリーモジュールは、バッテリーパック２を形成するように互いに重ねて配置される。

【0021】

各バッテリーモジュール６は、当然任意の数の電気化学セル５を含むことができ、バッテリーパック２は、当然任意の数のバッテリーモジュール６を含むことができる。さらに、電気化学セル５が任意の形状及び／又はサイズを有することができ、例えば、本明細書では示されていない実施形態に従って、電気化学セル５は、円柱形状を有するとともに、コンテナー３内に互いに隣接して配置することができることが理解される。

【0022】

添付の図面に示されている蓄積システム１は、カバーケーシング７を更に備え、カバーケーシング７は、コンテナー３を断熱するとともに、コンテナー３を火から保護するように設計されている。カバーケーシング７は、耐火繊維から作製され、同様に断熱性であるとともに、コンテナー３の外面８と直接接触（すなわち、間隙を有することなく接触）する。換言すれば、カバーケーシング７を構成する繊維は、コンテナー３を構成する（一般にプラスチック）材料よりも耐火性が高い。なぜならば、カバーケーシング７を構成する繊維は、コンテナー３を構成する（一般にプラスチック）材料よりも燃焼に対する耐性が高いためである。さらに、カバーケーシング７を構成する繊維は、コンテナー３を構成する（一般にプラスチック）材料よりも断熱性が高い。なぜならば、カバーケーシング７を構成する繊維は、コンテナー３を構成する（一般にプラスチック）材料よりも熱伝導率が小さいためである。特に、カバーケーシング７を構成する繊維は、可撓性であり、すなわち、異なる形状を取らせるために、９０度以上に曲げられるときでも弾性変形する（すなわち、塑性変形を受けることなく変形する）ことができる。

【0023】

詳細には、カバーケーシング７は、コンテナー３の形状を複製するとともに、間隙を有することなくコンテナー３に密着するように形成される。

【0024】

好ましいが、これに限定されるものではない図４に示される実施形態によれば、カバーケーシング７を構成する耐火繊維は、不織布繊維（好ましくは、ガラス繊維を用いて強化されたもの）から作製された２つの外側耐火層９と、これらの２つの外側耐火層９の間に挟挿され、繊維布（好ましくは、ガラス繊維を用いて強化されたもの）から作製され、２つの外側耐火層９よりも高い断熱性を提供するように設計された内側層１０とを含む。

【0025】

図１及び図２に示される実施形態によれば、コンテナー３には、少なくとも１つの電力コネクタ１１が設けられ、この電力コネクタは、少なくとも１つの線状接続要素（すなわち、本明細書においては示されない電気ケーブル）を受け取るように設計され、線状接続要素は、更なるコネクタ（図示せず）で終端し、この更なるコネクタは、コネクタ１１に係合するとともに、蓄電システム１を車両、すなわち、車両の駆動システムに接続するように設計されている。

【0026】

図６によれば、カバーケーシング７は、電力コネクタ１１の面積内に、貫通孔１２を有し、貫通孔１２は、上記更なるコネクタが電力コネクタ１１に係合するとともにこの更なるコネクタの部分及び／又は線状接続要素の部分がカバーケーシング７から出ることを可能にするように、電力コネクタ１１の面積（延在部）以上の面積（延在部）を有する。

【0027】

貫通孔１２がカバーケーシング７を（熱の観点で）過度に弱め、したがってその耐火能力が損なわれるというリスクを回避するために、カバーケーシング７には、好ましくは、パッチ１３が設けられ、このパッチは、貫通孔１２の面積内に配置されるとともに、貫通孔１２を少なくとも部分的に閉鎖し、それと同時に、線状接続要素がカバーケーシング７から出ることを可能にするように設計されている。

【0028】

詳細には、パッチ１３は、可動式にカバーケーシング７の台部（rest）に固定され、それにより、パッチ１３は、パッチ１３が貫通孔１２を遮蔽しないようにカバーケーシング７の台部から離間する持ち上げ位置（図６に示す）と、パッチ１３が貫通孔１２を部分的に遮蔽するようにカバーケーシング７の台部に対して載置される保護位置（図５に示す）との間で移動することができる。

【0029】

特に、パッチ１３は、さらに、内側に、貫通孔１４を有し、貫通孔１４は、貫通孔１２よりも小さく（すなわち、貫通孔１２よりも小さい面積を有し、貫通孔１２の内側に全体が収まることができる）、少なくともパッチ１３が保護位置にあるとき、間隙を有することなく線状接続要素が通過するように設計されている。換言すれば、パッチ１３が保護位置にあるとき、パッチ１３は、線状接続要素が出てくる貫通孔１２の一部を閉鎖し、それにより、線状接続要素はパッチ１３を貫通し、したがって貫通孔１４に入り、特に、貫通孔１４全体を専有する（すなわち、貫通孔１４の壁部に密着する）。

【0030】

有利には、貫通孔１４が間隙を有することなく線状接続要素によって貫通されるようにサイズ決定されていることにより、線状接続要素と貫通孔１４との間に、熱及び／炎が入り込むことを可能にする空間が残されるというリスクの最小化が可能になり、したがってカバーケーシング７のより良好な耐火性能が確実になる。

【0031】

図５及び図６に示されている実施形態によれば、パッチ１３は、少なくとも１つの切り込み（through cut）１５を有し、切り込み１５は、貫通孔１４を起点とし、パッチ１３の外側自由縁１６に至る。特に、パッチ１３は、線状接続要素を貫通孔１４の内側に置くために、切り込み１５の２つのフラップ１７が互いに離間するとともに、パッチ１３が線状接続要素によって貫通されるように設計される開放構成と、切り込み１５のフラップ１７が、切り込み１５を閉鎖するとともに貫通孔１４の範囲を画定し、線状接続要素が間隙を有することなく貫通孔１４の縁部に密着することを確実にするように、互いに部分的に重なる閉鎖構成（図５に示す）とを取るように構成される。

【0032】

パッチ１３をカバーケーシング７の台部に固定するために、パッチ１３が（図５による）保護位置になり閉鎖構成を取ると、固定手段１８が提供される。特に、好ましい実施形態によれば、固定手段は、少なくとも１つの金属スナップボタン（metal press stud）１８を含み（からなり）、金属スナップボタン１８は、フラップ１７のうちの少なくとも一方（又は双方のフラップ１７）をカバーケーシング７の台部に固定するように設計される。詳細には、金属スナップボタン１８を、２つのフラップ１７が互いに重なる面積内に配置することができ、又は、別の代替形態（図５及び図６に示す）によれば、２つの金属スナップボタン１８を、各フラップ１７の片面に１つずつ設けることができる。

【0033】

添付の図面に示される実施形態では、蓄電システム１は、電力コネクタ１１に加えて、電力コネクタ１１とは別個であり独立した信号コネクタを備える。この実施形態によれば、各電気コネクタ（電力コネクタ１１又は信号コネクタのいずれか）の面積内に、カバーケーシング７は、関連する貫通孔１２と、貫通孔１２を覆う関連するパッチ１３とを有する。

【0034】

蓄電システム１は、水圧コネクタ（hydraulic connector）１９を更に備え、水圧コネクタ１９は、蓄電システム１を冷却するために冷却流体をコンテナー３内で循環させるように設計されている。水圧コネクタ１９の面積内で、カバーケーシング７は、関連する貫通孔１２を有し、関連する貫通孔１２は、パッチ１３によって覆われていない（なぜならば、水圧パイプ、すなわち、線状接続要素は、それ自身のコネクタとしての形状サイズを有し、これは、水圧コネクタ１９に係合するため）。これについては、例えば、図１、図５及び図６を参照されたい。

【0035】

カバーケーシング７は、少なくとも複数の安定化翼部（stabilization wings）２０を更に備え、安定化翼部２０は各々、カバーケーシング７の部分上で載置されているとともに、金属スナップボタン２１によってカバーケーシング７に（すなわち、カバーケーシング７の上記部分に）固定されている。

【0036】

特に、安定化翼部２０は、コンテナー３の角の面積、又は突出領域、例えば、コンテナー３を取り囲む水圧パイプの上の面積内に配置される。

【0037】

金属スナップボタン２１は、同じ機能を有する他の任意の固定要素に当然置き換えることができる。

【0038】

上記で説明された蓄電システム１は、多数の利点を有する。

【0039】

まず、上記で説明された蓄電システム１は、既知のカバーコンテナーと比較して小さい寸法を有し、これはなぜならば、蓄電システム１は、間隙を有することなく、それゆえ、更なる空間又は層の介在なくコンテナー３に密着されたカバーケーシング７を備えるためである。

【0040】

さらに、カバーケーシング７は、繊維から作製されるので、カバーケーシング７は、顕著な厚さを有する金属層を有する既知のカバーコンテナーの重量よりも大幅に小さい重量を有する。

【0041】

換言すれば、本明細書において提案される解決法は、同じ効果を所与とすると、蓄電システム１の重量及び寸法を削減する。

【0042】

さらに、上記で説明された蓄電システム１は、単に、好ましくは金属スナップボタン２１（図１を参照）によって、カバーケーシング７の端部を互いに重ねて、これらを互いに固定することによってコンテナー３の上に容易に搭載し、及び／又はコンテナー３から取り外すことができる。

【0043】

最後に、上記で説明された蓄電システム１は、単純であり、製造が経済的である。

【符号の説明】

【0044】

１ 蓄電システム
２ バッテリーパック
３ コンテナー
４ チャンバー
５ 電気化学セル
６ バッテリーモジュール
７ カバーケーシング
８ 外面
９ 外側耐火層
１０ 内側層
１１ コネクタ
１２ 貫通孔
１３ パッチ
１４ 貫通孔
１５ 切り込み
１６ 外側自由縁
１７ フラップ
１８ 固定手段／金属スナップボタン
１９ 水圧コネクタ
２０ 安定化翼部
２１ 固定手段／金属スナップボタン

【図1】

【図2】

【図3】

【図4】

【図5】

【図6】