(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-20
(45)【発行日】2025-01-06
(54)【発明の名称】情報処理装置、プログラム、および情報処理方法
(51)【国際特許分類】
G06Q 50/06 20240101AFI20241223BHJP
G06Q 20/06 20120101ALI20241223BHJP
【FI】
G06Q50/06
G06Q20/06
(21)【出願番号】P 2020129274
(22)【出願日】2020-07-30
【審査請求日】2023-05-16
(73)【特許権者】
【識別番号】514020389
【氏名又は名称】TIS株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】高木 一政
【審査官】田川 泰宏
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-119805(JP,A)
【文献】特開2020-035353(JP,A)
【文献】国際公開第2020/008623(WO,A1)
【文献】国際公開第2018/016148(WO,A1)
【文献】特開2019-144761(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザが生産および使用するエネルギーを管理する管理装置と連携する情報処理装置であって、
前記管理装置から、前記ユーザが第1期間に生産させた前記エネルギーの生産量と前記ユーザが前記第1期間に使用した前記エネルギーの使用量とを含むエネルギー情報を取得し、
所定の決済サービスを提供する決済事業者の決済事業者装置から、前記第1期間よりも将来の第2期間における、前記ユーザの前記決済事業
者への支払い予定額を含む支払い情報を取得する取得部と、
前記ユーザのユーザ端末から、前記エネルギーを前記ユーザが利用可能な電子決済手段に用いられる電子バリューに変換させる変換指示を受け付ける受付部と、
前記受付部が前記変換指示を受け付けた場合、前記エネルギー情報に基づいて、前記エネルギーを前記電子バリューに変換させる変換量を特定する特定部と、
前記管理装置に、前記変換量の前記エネルギーを所定の機器に送るよう指示する指示部と、
前記所定の機器に送られる前記エネルギーと引き換えに、前記電子決済手段における前記ユーザのユーザアカウントに、前記変換量の少なくとも一部に応じた額の前記電子バリューを入金するための処理を行う入金部と、
前記電子決済手段による取引を前記ユーザが行った場合に、前記取引における取引金額を前記ユーザアカウントの前記電子バリューの残高から減額するための処理を行い、
前記支払い予定額に基づいて、前記エネルギーと引き換えられた前記電子バリューの少なくとも一部を前記第2期間における支払いに充当させて前記支払いの決済をするための処理を行う決済処理部と、
を備え、
前記入金部は、前記変換量に応じた額から前記第2期間における支払いに充当させた額を差し引いた額で前記ユーザアカウントに前記電子バリューを入金するための処理を行う、
情報処理装置。
【請求項2】
前記エネルギー情報は、前記エネルギーを供給する第1事業者から前記ユーザに前記第1期間に供給された前記エネルギーの供給量を含み、
前記決済処理部は、前記供給量が存在する場合、前記エネルギーと引き換えられた前記電子バリューの少なくとも一部を充当させて前記供給された前記エネルギーに対する支払いの決済をするための処理を行い、
前記特定部は、前記供給量が存在する場合、前記生産量および前記供給量を合算した量から前記使用量を差し引いた量を前記変換量として特定し、
前記入金部は、前記変換量に応じた額から前記支払いに充当させた額を差し引いた額で前記ユーザアカウントに前記電子バリューを入金するための処理を行う、
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記取得部は、クレジットカードの決済サービスを前記ユーザに提供する前記決済事業者の決済事業者装置から、前記ユーザのクレジットカードの利用に対する支払いにおける前記支払い予定額と支払先口座とを含む支払い情報を取得する、
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記エネルギーは、自然エネルギーから変換されたエネルギーであって、
前記支払い予定額は、一定期間ごとに支払われる定額であって、
前記取得部は、外部装置から、前記第2期間における気象予報を示す気象情報を取得し、
前記情報処理装置は、
前記ユーザにおける前記エネルギーの生産能力を示す生産情報を記憶する第1記憶部を参照して、前記気象情報に基づいて、前記第2期間における前記ユーザが生産する前記エネルギーの生産予測量を予測する予測部と、
前記生産予測量に基づいて、前記支払い予定額を調整する調整部と、
前記決済処理部は、前記調整された前記支払い予定額に基づいて、前記エネルギーと引き換えられた前記電子バリューの少なくとも一部を前記支払いに充当させて前記支払いの決済をするための処理を行う、
請求項3に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記予測部は、前記第2期間と前年度の同じ期間である第3期間における前記ユーザの前記エネルギーの使用量の実績を示す実績情報を記憶する第2記憶部を参照して、前記第2期間における前記ユーザが使用する前記エネルギーの使用予測量を予測し、
前記調整部は、前記生産予測量に加えて前記使用予測量に基づいて、前記支払い予定額を調整する、
請求項4に記載の情報処理装置。
【請求項6】
ユーザが生産および使用するエネルギーを管理する管理装置と連携するコンピュータを、
前記管理装置から、前記ユーザが第1期間に生産させた前記エネルギーの生産量と前記ユーザが前記第1期間に使用した前記エネルギーの使用量とを含むエネルギー情報を取得し、
所定の決済サービスを提供する決済事業者の決済事業者装置から、前記第1期間よりも将来の第2期間における、前記ユーザの前記決済事業
者への支払い予定額を含む支払い情報を取得する取得機能と、
前記ユーザのユーザ端末から、前記エネルギーを前記ユーザが利用可能な電子決済手段に用いられる電子バリューに変換させる変換指示を受け付ける受付機能と、
前記受付機能が前記変換指示を受け付けた場合、前記エネルギー情報に基づいて、前記エネルギーを前記電子バリューに変換させる変換量を特定する特定機能と、
前記管理装置に、前記変換量の前記エネルギーを所定の機器に送るよう指示する指示機能と、
前記所定の機器に送られる前記エネルギーと引き換えに、前記電子決済手段における前記ユーザのユーザアカウントに、前記変換量の少なくとも一部に応じた額の前記電子バリューを入金するための処理を行う入金機能と、
前記電子決済手段による取引を前記ユーザが行った場合に、前記取引における取引金額を前記ユーザアカウントの前記電子バリューの残高から減額するための処理を行い、
前記支払い情報に基づいて、前記エネルギーと引き換えられた前記電子バリューの少なくとも一部を前記第2期間における支払いに充当させて前記支払いの決済をするための処理を行う決済処理機能と、を実現させ、
前記入金機能は、前記変換量に応じた額から前記第2期間における支払いに充当させた額を差し引いた額で前記ユーザアカウントに前記電子バリューを入金するための処理を行う、
プログラム。
【請求項7】
ユーザが生産および使用するエネルギーを管理する管理装置と連携するコンピュータが、
前記管理装置から、前記ユーザが第1期間に生産させた前記エネルギーの生産量と前記ユーザが前記第1期間に使用した前記エネルギーの使用量とを含むエネルギー情報を取得し、
所定の決済サービスを提供する決済事業者の決済事業者装置から、前記第1期間よりも将来の第2期間における、前記ユーザの前記決済事業
者への支払い予定額を含む支払い情報を取得し、
前記ユーザのユーザ端末から、前記エネルギーを前記ユーザが利用可能な電子決済手段に用いられる電子バリューに変換させる変換指示を受け付け、
前記変換指示を受け付けた場合、前記エネルギー情報に基づいて、前記エネルギーを前記電子バリューに変換させる変換量を特定し、
前記管理装置に、前記変換量の前記エネルギーを所定の機器に送るよう指示し、
前記所定の機器に送られる前記エネルギーと引き換えに、前記電子決済手段における前記ユーザのユーザアカウントに、前記変換量の少なくとも一部に応じた額の前記電子バリューを入金するための処理を行い、
前記電子決済手段による取引を前記ユーザが行った場合に、前記取引における取引金額を前記ユーザアカウントの前記電子バリューの残高から減額するための処理を行い、
前記支払い情報に基づいて、前記エネルギーと引き換えられた前記電子バリューの少なくとも一部を前記支払いに充当させて前記第2期間における支払いの決済をするための処理を行い、
前記変換量に応じた額から前記第2期間における支払いに充当させた額を差し引いた額で前記ユーザアカウントに前記電子バリューを入金するための処理を行う、
情報処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理装置、プログラム、および情報処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ユーザが自分で生産した電力等のエネルギーを他者に提供してその対価として仮想通貨等の電子バリューを得るための技術が知られている。下記特許文献1には、電池を備えた移動体と、この電池を充電するための電力を供給可能な充電装置と、この電池に充電された電力を受電可能な受電装置と、これらの間で充電装置の電力の供給量や受電装置の需要量等を送受信するための通信網を備える電力管理システムが開示されている。この電力管理システムでは、電池や充電装置や受電装置の所有者等のいずれか二者以上の間での電力の売買がブロックチェーンにより管理される仮想通貨により決済可能であることが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、生産したエネルギーの提供の対価として得られる電子バリューを効率的に利用したいというユーザの要望がある。しかしながら、特許文献1の電力管理システムでは上記二者以上の間で売買のトランザクションが実行されないと仮想通貨が使えないため、生産したエネルギーから得られる電子バリューを効率的に利用するにあたって改善の余地がある。
【0005】
そこで、本発明は、生産したエネルギーから得られる電子バリューを効率的に利用できる情報処理装置、プログラム、および情報処理方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様に係る情報処理装置は、ユーザが生産および使用するエネルギーを管理する管理装置と連携する情報処理装置であって、管理装置から、ユーザが第1期間に生産させたエネルギーの生産量とユーザが第1期間に使用したエネルギーの使用量とを含むエネルギー情報を取得する取得部と、ユーザのユーザ端末から、エネルギーをユーザが利用可能な電子決済手段に用いられる電子バリューに変換させる変換指示を受け付ける受付部と、受付部が変換指示を受け付けた場合、エネルギー情報に基づいて、エネルギーを電子バリューに変換させる変換量を特定する特定部と、管理装置に、変換量のエネルギーを所定の機器に送るよう指示する指示部と、所定の機器に送られるエネルギーと引き換えに、電子決済手段におけるユーザのユーザアカウントに、変換量の少なくとも一部に応じた額の電子バリューを入金するための処理を行う入金部と、電子決済手段による取引をユーザが行った場合に、取引における取引金額をユーザアカウントの電子バリューの残高から減額するための処理を行う決済処理部と、を備える。
【0007】
本発明の一態様に係るプログラムは、ユーザが生産および使用するエネルギーを管理する管理装置と連携するコンピュータを、管理装置から、ユーザが第1期間に生産させたエネルギーの生産量とユーザが第1期間に使用したエネルギーの使用量とを含むエネルギー情報を取得する取得機能と、ユーザのユーザ端末から、エネルギーをユーザが利用可能な電子決済手段に用いられる電子バリューに変換させる変換指示を受け付ける受付機能と、受付機能が変換指示を受け付けた場合、エネルギー情報に基づいて、エネルギーを電子バリューに変換させる変換量を特定する特定機能と、管理装置に、変換量のエネルギーを所定の機器に送るよう指示する指示機能と、所定の機器に送られるエネルギーと引き換えに、電子決済手段におけるユーザのユーザアカウントに、変換量の少なくとも一部に応じた額の電子バリューを入金するための処理を行う入金機能と、電子決済手段による取引をユーザが行った場合に、取引における取引金額をユーザアカウントの電子バリューの残高から減額するための処理を行う決済処理機能と、を実現させる。
【0008】
本発明の一態様に係る情報処理方法は、ユーザが生産および使用するエネルギーを管理する管理装置と連携するコンピュータが、管理装置から、ユーザが第1期間に生産させたエネルギーの生産量とユーザが第1期間に使用したエネルギーの使用量とを含むエネルギー情報を取得し、ユーザのユーザ端末から、エネルギーをユーザが利用可能な電子決済手段に用いられる電子バリューに変換させる変換指示を受け付け、変換指示を受け付けた場合、エネルギー情報に基づいて、エネルギーを電子バリューに変換させる変換量を特定し、管理装置に、変換量のエネルギーを所定の機器に送るよう指示し、所定の機器に送られるエネルギーと引き換えに、電子決済手段におけるユーザのユーザアカウントに、変換量の少なくとも一部に応じた額の電子バリューを入金するための処理を行い、電子決済手段による取引をユーザが行った場合に、取引における取引金額をユーザアカウントの電子バリューの残高から減額するための処理を行う。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、生産したエネルギーから得られる電子バリューを効率的に利用できる情報処理装置、プログラム、および情報処理方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本実施形態に係るエネルギー変換システムのシステム構成例を説明するための図である。
【
図2】本実施形態に係るエネルギー変換システムの概要を説明するための図である。
【
図3】本実施形態に係る決済装置の機能構成の一例を示す図である。
【
図4】本実施形態に係るエネルギー変換システムの画面の一例を示す図である。
【
図5】本実施形態に係るエネルギー変換システムの画面の一例を示す図である。
【
図6】本実施形態に係る決済装置の動作例を示す図である。
【
図7】本実施形態に係る決済装置のハードウェア構成の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
添付図面を参照して、本発明の好適な実施形態(以下、「本実施形態」という)について説明する。なお、各図において、同一の符号を付したものは、同一または同様の構成を有する。
【0012】
本実施形態において、「部」や「手段」、「装置」、「システム」とは、単に物理的手段を意味するものではなく、その「部」や「手段」、「装置」、「システム」が有する機能をソフトウェアによって実現する場合も含む。また、1つの「部」や「手段」、「装置」、「システム」が有する機能が2つ以上の物理的手段や装置により実現されても、2つ以上の「部」や「手段」、「装置」、「システム」の機能が1つの物理的手段や装置により実現されてもよい。
【0013】
本実施形態に係るエネルギー変換システム1は、ユーザが自然エネルギー(再生可能エネルギー)から生産するエネルギー(以下、「生産エネルギー」ともいう)を電子決済手段で利用可能な電子バリューに変換するためのシステムである。生産エネルギーは、言い換えれば、自然エネルギーから変換されたエネルギーである。
【0014】
本実施形態では、自然エネルギーを太陽光とする例を用いて説明するが、これに限る趣旨ではない。自然エネルギーは、他の例として、地熱やバイオマスなども考えらえれる。また本実施形態では、生産エネルギーを電力(電気エネルギー)とする例を用いて説明するが、これに限る趣旨ではない。生産エネルギーは、他の例として、熱なども考えられる。
【0015】
本実施形態では、電子決済手段を、決済装置100を所有する事業者(以下、「決済事業者」ともいう)が提供する例を用いて説明するが、これに限る趣旨ではない。以降、この電子決済手段を「エネルギーPay」ともいう。エネルギーPayはユーザが利用可能な決済手段である。エネルギーPayでは、ユーザが、自身のユーザアカウントに現金や他の電子バリューと引き換えに電子バリューを入金(チャージ)したり、商取引に利用するためにユーザアカウントから出金したりすることができる。
【0016】
「電子バリュー」とは、電子的に決済可能な金銭的な価値をもつものをいう。電子バリューは、例えば、電子マネー、仮想通貨、または企業通貨(共通ポイント)などである。本実施形態では、エネルギーPayで利用される電子バリュー(以下、単に「電子バリュー」ともいう」の単位を「ポイント」として、1ポイントは1円に換算される例を説明する。
【0017】
本実施形態では、説明を簡単にするために、ユーザからの決済事業者へのエネルギーPayの利用申請やユーザアカウントの登録、エネルギーPayの利用にあたってのユーザ認証(ユーザアカウントへのログイン)は予めなされているものとする。
【0018】
<1.システム構成>
図1を参照して、本実施形態に係るエネルギー変換システム1のシステム構成例を説明する。
図1に示すように、エネルギー変換システム1は、決済事業者の決済装置100と、管理装置200と、ユーザのユーザ端末300と、第1事業者の第1事業者装置400と、第2事業者の第2事業装置500と、を含む。
【0019】
第1事業者は、ユーザにエネルギーを供給する事業者である。本実施形態では、第1事業者を電力事業者とする例を用いて説明するが、これに限る趣旨ではない。また、第2事業者は、クレジットカードの決済サービスをユーザに提供する事業者である。本実施形態では、第2事業者をイシュアとする例を用いて説明するが、これに限る趣旨ではない。
【0020】
決済装置100と管理装置200とユーザ端末300と第1事業者装置400と第2事業者装置500は、ネットワークNを介して互いに通信可能に接続されている。
【0021】
ネットワークNは、無線ネットワークや有線ネットワークにより構成される。ネットワークの一例としては、携帯電話網や、PHS(Personal Handy-phone System)網、無線LAN(Local Area Network)、3G(3rd Generation)、LTE(Long Term Evolution)、4G(4th Generation)、5G(5th Generation)、WiMax(登録商標)、赤外線通信、Bluetooth(登録商標)、有線LAN、電話線、電灯線ネットワーク、IEEE1394等に準拠したネットワークがある。
【0022】
決済装置100は、ユーザが生産した電力を電子バリューに変換するために、エネルギー変換システム1内の種々の装置と連携する情報処理装置である。決済装置100は、例えば、この連携にあたって、管理装置200や第1事業者装置400から情報を取得し、また管理装置200に対して指示をする。また、決済装置100は、ユーザから電力事業者やイシュアに対する支払いで、電子バリューを用いた電子決済手段による支払いの決済をするための処理を行う。
【0023】
管理装置200は、生産エネルギーを管理する情報処理装置である。管理装置200は、例えば、生産エネルギーが電力の場合、ユーザの住宅や車両などに設置された電力設備から電力に関するデータを収集し、収集したデータに基づいて電力設備を制御する。ここでいう「電力設備」とは、電力を生産(発電)したり電力を家電などに使用したりするための設備である。電力設備は、例えば、太陽電池モジュール、接続箱、パワーコンディショナ、分電器、電力量計(売電用電力計も含む)、電力モニター(表示装置)等が含まれる。
【0024】
ユーザ端末300は、決済装置100に対する指示などの入力やエネルギーに関する情報の画面への出力、決済装置100との通信が可能なスマートフォンやラップトップなどの端末装置である。ユーザ端末300は、例えば、所定のプログラムを実行することにより、上記のような電力に関する情報を送受信したり、支払いに関する画面を表示したり、ユーザの要求を受け付けたりする。本実施形態では、所定のプログラムを、エネルギー変換システム1専用のネイティブアプリケーション(以下、「エネルギーPayアプリ」ともいう)とする例を説明する。エネルギーPayアプリは、ユーザ端末300にインストールされて動作する。
【0025】
第1事業者装置400は、電力事業者が使用する情報処理装置である。第2事業者装置500は、イシュアが使用する情報処理装置である。
【0026】
<2.概要>
図2を参照して、本実施形態に係るエネルギー変換システム1の概要を説明する。本例では、ユーザからの変換指示に基づいて、生成した電力を電子バリューに変換させて様々な用途に利用する例を説明する。
【0027】
「変換指示」とは、ユーザが生産した電力をエネルギーPayに用いられる電子バリューに変換させる指示である。変換指示は、例えば、電力を電子バリューに変換させる旨のほかに、(ア)変換量の特定方法の指定、(イ)変換した電子バリューの利用用途の指定、などを含んでもよい。また、ここでいう「電子バリューの利用用途」とは、例えば、(a)ユーザアカウントへの電子バリューの入金、(b)クレジットカードの利用に対する支払い、(c)供給された電力に対する支払い、などである。
【0028】
(1)
図2に示すように、ユーザは電力設備と太陽の光エネルギーを利用して電力を生成する(太陽光発電を行う)。
【0029】
(2)決済装置100は、管理装置200から、第1期間にユーザが生産させた電力の生産量と第1期間にユーザが使用した電力の使用量を取得する。そして決済装置100は、ユーザの変換指示に応じて、取得した生産量と使用量に基づいて変換量を特定する。ここで「第1期間」とは、生産する電力を電子バリューに変換させる対象の期間である。ここで「変換量」とは、ユーザが生産する電力を電子バリューに変換させる量をいう。変換量は、例えば、生産量から使用量を差し引いた量(いわゆる余剰電力量など)であってもよい。変換量は、他の例として、生産量の全量であってもよい。
【0030】
(3)決済装置100は、ユーザの変換指示に基づいて、電力系統を通じて生成した電力を所定の機器に送るよう管理装置200に指示する。決済装置100は、所定の機器に送られる電力と引き換えに、エネルギーPayにおけるユーザのユーザアカウントに、変換量に応じた額の少なくとも一部の電子バリューを入金するための処理を行う。
【0031】
「所定の機器」とは、例えば、電力事業者または決済事業者が所有する機器であって、ユーザから送られた電力を受電するための機器(例えば、買電用電力量計や高圧受電盤など)であってもよい。
【0032】
(4)決済装置100は、ユーザの変換指示に基づいて、所定の機器に送られた電力と引き換えに電子バリューを発行し、以下の(4)-1~3に示す様々な用途に充当させる。
【0033】
(4)-1 決済装置100は、例えば、支払い金額の少なくとも一部に電子バリューを充当させて、電力事業者から供給された電力に対する支払いの決済をするための処理を行ってもよい。
【0034】
(4)-2 決済装置100は、例えば、支払い金額の少なくとも一部に電子バリューを充当させて、イシュアに対するクレジットカードの利用に対する支払い(以下、単に「クレジット利用の支払い」ともいう)の決済をするための処理を行ってもよい。
【0035】
(4)-3 決済装置100は、例えば、エネルギーPayのユーザアカウントに電子バリューを入金させてもよい。
【0036】
(5)エネルギーPayに電子バリューが入金されると、ユーザは、エネルギーPayを利用した取引が可能になる。(6)例えば、エネルギーPayの加盟店で、ユーザは、エネルギーPayに入金されている電子バリューを利用して商品を購入することができる。
【0037】
上記構成によれば、決済装置100は、ユーザの変換指示に基づいて、ユーザが生産した電力を電子バリューに変換し、変換した電子バリューを様々な用途に利用することができる。例えば、決済装置100は、電子バリューをエネルギーPayのユーザアカウントに入金させたり、ユーザの電気代の支払いやクレジット利用の支払いに充当させたりすることができる。したがって、上記構成によれば、決済装置100は、生産した電力から得られる電子バリューを効率的にユーザに利用させることができる。
【0038】
<3.機能構成>
図3を参照して、本実施形態に係わる決済装置100の機能構成を説明する。
図3に示すように、決済装置100は、制御部110と、通信部120と、記憶部130と、を備える。
【0039】
制御部110は、取得部111と、受付部112と、特定部113と、指示部114と、入金部115と、決済処理部116と、を備える。また制御部110は、例えば、予測部117、調整部118、または生成部119を備えてもよい。
【0040】
取得部111は、管理装置200から、エネルギー情報を取得する。
【0041】
「エネルギー情報」とは、ユーザが生産・使用するエネルギーに関する情報である。エネルギー情報は、例えば、ユーザが第1期間に生産させたエネルギーの生産量(以下、単に「生産量」ともいう)とユーザが第1期間に使用したエネルギーの使用量(以下、単に「使用量」ともいう)とを含む。
【0042】
エネルギー情報は、例えば、エネルギーを供給する第1事業者からユーザに第1期間に供給されたエネルギー(以下、単に「供給エネルギー」ともいう)の供給量(以下、単に「供給量」ともいう)を含んでもよい。
【0043】
エネルギー情報は、例えば、生産情報を含んでもよい。「生産情報」は、ユーザにおける生産エネルギーの生産能力を示す情報である。生産情報は、例えば、ユーザが保有する電力設備の発電能力に関する情報であってもよい。「電力設備の発電能力に関する情報」は、例えば、電力設備におけるシステム定格出力、ロス率、パネル・DC回路ロス率、総合設計数などを含んでもよい。
【0044】
取得部111がエネルギー情報を含む種々の情報を取得する態様に関しては、どのような態様でもよく、例えば、管理装置200から送信されるエネルギー情報のデータファイルを受信してもよい。また、エネルギー情報を取得する態様の他の例として、取得部111は、管理装置200にリモートアクセスしてエネルギー情報のデータファイルを取得してもよい。また他の例として、取得部111は、管理装置200が実装するAPIにエネルギー情報の参照を指示してその結果としてエネルギー情報を取得してもよい。
【0045】
取得部111は、第2事業者装置500から、支払い情報を取得してもよい。ここで「支払い情報」とは、クレジットカード利用に対する支払いに関する情報である。支払い情報は、例えば、ユーザのクレジットカードの利用に対する支払いにおける支払い予定額と支払先口座とを含む。
【0046】
支払い予定額は、例えば、ユーザに対するクレジットカードの利用に対するイシュアからの月ごとの請求予定額であってもよい。支払い予定額は、例えば、ユーザのクレジットカードの利用でリボルビング方式を採用する場合、一定期間ごと(例えば、月ごと)に支払われる定額、いわゆるリボ払い額であってもよい。
【0047】
支払い情報は、例えば、クレジットカード情報を含んでもよい。ここで「クレジットカード情報」とは、クレジットカードに関する情報であり、例えば、クレジットカード番号、名義、有効期限、またはセキュリティコードなどを含んでもよい。
【0048】
取得部111は、例えば、サードパーティ・システムの外部装置から、第2期間における気象予報を示す気象情報を取得してもよい。気象情報は、例えば、気象予報(一定期間における晴れ、曇り、雨等の予報)、第2期間または年間の日射量(実績値または予測値)などを含んでもよい。
【0049】
受付部112は、ユーザ端末300から、エネルギーをユーザが利用可能な電子決済手段に用いられる電子バリューに変換させる変換指示を受け付ける。受付部112は、例えば、ユーザ端末300に対するユーザの操作入力により変換指示を受け付けてもよい。
【0050】
受付部112は、例えば、ユーザ端末300から、取引における支払いの決済のための決済要求を受け付けてもよい。
【0051】
特定部113は、受付部112が変換指示を受け付けた場合、エネルギー情報に基づいて、エネルギーを電子バリューに変換させる変換量を特定する。
【0052】
特定部113は、例えば、余剰量を変換量とする場合には、生産量から使用量を差し引いた量を変換量として特定してもよい。特定部113は、例えば、供給量が存在する場合、生産量および供給量を合算した量から使用量を差し引いた量を変換量として特定してもよい。
【0053】
特定部113においてどのような量を変換量とするかは、後述する設定画面700における変換量の特定方法のユーザからの指定に応じてもよいし、ユーザ共通の設定(例えば、デフォルトを余剰量とする設定など)を適用してもよい。
【0054】
指示部114は、管理装置200に、特定部113が特定した変換量のエネルギーを所定の機器に送るよう指示する。指示部114が管理装置200に指示する態様はどのような態様でもよく、例えば、所定の機器に送るよう指示する旨を示すメッセージやデータファイルを管理装置200に送信してもよい。
【0055】
入金部115は、所定の機器に送られるエネルギーと引き換えに、電子決済手段におけるユーザのユーザアカウントに、変換量に応じた額の電子バリューを入金するための処理を行う。入金部115は、例えば、指示部114の上記指示への応答として所定の機器に送電した旨の応答を管理装置200から受信する。入金部115は、この送電した旨の応答を受信した場合、変換量に応じた額の電子バリューを発行し、発行した電子バリューをエネルギーPayのユーザアカウントに入金する。
【0056】
入金部115は、例えば、変換量に応じた額から供給エネルギーに対する支払いに充当させた額を差し引いた額でユーザアカウントに電子バリューを入金するための処理を行ってもよい。
【0057】
上記構成によれば、入金部115は、電気代など支払いが必要なエネルギーの供給に対する支払いを優先して電子バリューを充当させて、その残りをユーザアカウントに入金することができる。このため上記構成によれば、入金部115は、ユーザアカウントに入金されている電子バリューを使いすぎて電気代が支払えないなどの事態を回避させ、使い勝手のよい電子決済手段をユーザに提供することができる。
【0058】
入金部115は、例えば、変換量に応じた額から支払いに充当させた額を差し引いた額でユーザアカウントに電子バリューを入金するための処理を行ってもよい。
【0059】
上記構成によれば、入金部115は、クレジットカードの利用に対する支払いを優先して電子バリューを充当させて、その残りをユーザアカウントに入金することができる。このため上記構成によれば、入金部115は、ユーザアカウントに入金されている電子バリューを使いすぎてクレジットカードの利用に対する支払いができないなどの事態を回避させ、使い勝手のよい電子決済手段をユーザに提供することができる。
【0060】
入金部115は、例えば、例えば、前述した利用用途である、(a)ユーザアカウントへの電子バリューの入金、(b)クレジットカードの利用に対する支払い、(c)供給された電力に対する支払いのうち、設定された利用用途(a)に応じて、ユーザアカウントに電子バリューを入金するための処理を行ってもよい。
【0061】
決済処理部116は、電子決済手段による取引をユーザが行った場合に、当該取引における取引金額をユーザアカウントの電子バリューの残高から減額するための処理を行う。
【0062】
決済処理部116は、例えば、エネルギーPayを利用してユーザが加盟店で商品を購入する場合、加盟店のPOSシステムまたはユーザ端末300からエネルギーPayのユーザアカウントを利用してこの商取引を決済するための決済要求を受け付ける。決済処理部116は、この決済要求を受け付けた場合、支払元口座をユーザアカウントとして、ユーザアカウントの残高から取引金額を減額する引き落とし処理を行う。また決済処理部116は、この処理要求が指定する支払い先口座に取引金額を入金するための処理を行う。
【0063】
上記構成によれば、ユーザの変換指示に基づいて、ユーザが生産したエネルギーを電子バリューに変換し、変換した電子バリューを電子決済手段のユーザアカウントに入金することができる。さらに上記構成によれば、入金した電子バリューを電子決済手段により取引に利用することができる。このため上記構成によれば、生産したエネルギーから得られる電子バリューを効率的にユーザに利用させることができる。
【0064】
決済処理部116は、例えば、ユーザから受け付けた決済要求に基づいて、電子決済手段に登録された支払い方法を用いて支払いの決済をするための処理を行ってもよい。決済処理部116は、例えば、電子決済手段に銀行振込による支払いが登録されている場合、仕向け先の銀行の銀行サーバに対して、銀行振込の振込処理を指示する。また、決済処理部116は、例えば、電子決済手段がクレジットカード決済による支払いが登録されている場合、該当するクレジットカードシステムにクレジットカード決済処理を指示する。
【0065】
決済処理部116は、例えば、前述した利用用途(a)ユーザアカウントへの電子バリューの入金、(b)クレジットカードの利用に対する支払い、(c)供給された電力に対する支払いのうち、設定された利用用途(b)および/または(c)に応じて、電子バリューを利用した支払いの決済をするための処理を行ってもよい。入金部115や決済処理部116は、設定された利用用途が複数ある場合、利用用途それぞれに設定された優先度に応じて電子バリューを利用した入金や支払いの決済をするための処理を行ってもよい。
【0066】
決済処理部116は、供給量が存在する場合、エネルギーと引き換えられた電子バリューの少なくとも一部を充当させて供給エネルギーに対する支払いの決済をするための処理を行ってもよい。
【0067】
決済処理部116は、例えば、電力の供給量が存在する、すなわち電力の供給量が「0」でない場合、第2期間における電力の供給量に対する支払い予定額(2,000円)の少なくとも一部(1,000円)に電子バリュー(1,000ポイント→1,000円に換算)を充当させる。決済処理部116は、電力事業者のアカウントを支払い先口座として、充当させる電子バリューを電力事業者のアカウントに入金する。また決済処理部116は、支払い金額から充当させた額を差し引いた残りの額について、電子決済手段に登録されている支払い方法を用いて、電力事業者の口座を支払い先口座として支払いの決済をするための処理を行う。
【0068】
決済処理部116は、例えば、支払い情報に基づいて、エネルギーと引き換えられた電子バリューの少なくとも一部を支払いに充当させて供給エネルギーに対する支払いの決済をするための処理を行ってもよい。
【0069】
決済処理部116は、例えば、翌月の支払い予定額(2,000円)の少なくとも一部(1,000円)に電子バリュー(1,000ポイント→1,000円に換算)を充当させる。決済処理部116は、イシュアのアカウントを支払い先口座として、充当させる電子バリューをイシュアのアカウントに入金する。また決済処理部116は、支払い予定額から充当させた額を差し引いた残りの額をクレジットカードに関連付けられているユーザの口座(銀行口座)から引き落とすよう、第2事業者装置500に指示する。
【0070】
決済処理部116は、例えば、調整部118により調整された支払い予定額に基づいて、エネルギーと引き換えられた電子バリューの少なくとも一部を支払いに充当させて支払いの決済をするための処理を行ってもよい。
【0071】
上記構成によれば、決済処理部116は、予測されたエネルギーの生産予測量に基づいて調整された額で支払いの決済させることができる。このため上記構成によれば、決済処理部116は、エネルギーの生産予測に基づいて自動的に支払い予定額の最適化を図った上で、支払いの決済をすることができる。
【0072】
予測部117は、ユーザにおけるエネルギーの生産能力を示す生産情報を記憶する第1記憶部131を参照して、気象情報に基づいて、第2期間におけるユーザが生産エネルギーの生産予想量を予測する。ここで「第2期間」とは、将来の期間であり予測対象の期間である。第2期間は、例えば、翌月や翌々月などであってもよい。
【0073】
予測部117は、例えば、第3期間におけるユーザのエネルギーの使用量の実績を記憶する第2記憶部132を参照して、第2期間におけるユーザが使用するエネルギーの使用予測量を予測してもよい。ここで「第3期間」とは、第2期間と前年度の同じ期間である。予測部117は、例えば、第3期間におけるエネルギーの使用量をそのまま第2期間におけるエネルギーの使用予測量として予測してもよい。また、予測部117は、例えば、第3期間におけるエネルギーの使用量に気象情報が示す気象予報や年間の日射量に応じた係数をかけてエネルギーの使用予測量として予測してもよい。
【0074】
調整部118は、例えば、予測部117により予測された生産予測量に基づいて、支払い予定額を調整する。調整部118は、例えば、翌月の生産予測量が今月を含むこれまでの月の統計値(例えば、平均値、中央値、最頻値など)より多い場合には、翌々月の支払い予定額を上げるように調整する。調整部118は、例えば、翌月の生産予測量が今月などそれまでの月より少ない場合には、翌々月の支払い予定額を下げるように調整する。調整部118は、例えば、翌月の生産予測量が今月より1.5倍多い場合には、翌々月のリボ払い額を1.5倍に上げるよう調整してもよい。
【0075】
調整部118は、例えば、予測部117により予測された生産予測量に加えて同じく予測部117により予測された使用予測量に基づいて、支払い予定額を調整してもよい。調整部118は、例えば、生産予測量から使用予測量を差し引いた差分がマイナスの場合、支払い予定額を下げるように調整してもよい。調整部118は、例えば、生産予測量から使用予測量を差し引いた差分がプラスの場合、支払い予定額を上げるように調整してもよい。
【0076】
上記構成によれば、調整部118は、生産予測だけではなく過去の使用実績に基づく使用予測もふまえて、支払い予定額を調整することができる。このため上記構成によれば、より精緻に支払い予定額の最適化を図ることができる。
【0077】
生成部119は、ユーザ端末300にトップ画面600や設定画面700を表示させるための表示情報を生成する。生成部119は、生成した表示情報を、通信部120を介してユーザ端末300に送信する。
【0078】
通信部120は、ネットワークNを介して、管理装置200やユーザ端末300などと種々の情報を送受信する。通信部120は、例えば、ネットワークNを介して、管理装置200からエネルギー情報を受信したり、ユーザ端末300から変換指示や決済要求を受信したりしてもよい。また通信部120は、例えば、この決済要求による決済の処理結果を示す情報をユーザ端末300に送信したりしてもよい。
【0079】
記憶部130は、例えば、エネルギー情報、支払い情報、および/または表示情報などを記憶してもよい。また記憶部130は、データベースマネジメントシステム(DBMS)を利用して各情報を記憶してもよいし、ファイルシステムを利用して上記情報を記憶してもよい。DBMSを利用する場合は、記憶部130では、上記情報ごとにテーブルを設けて、当該テーブル間を関連付けて上記情報が管理されてもよい。
【0080】
記憶部130は、第1記憶部131または第2記憶部132を備えてもよい。第1記憶部131は、生産情報を記憶する。第2記憶部132は、実績情報を記憶する。
【0081】
<4.画面>
図4~5を参照して、エネルギー変換システム1において表示される画面の一例を説明する。
図4は、ユーザ端末300に表示されるエネルギーPayアプリのトップ画面600を示す模式図である。また
図5は、同じくエネルギーPayアプリの設定画面700を示す模式図である。
【0082】
トップ画面600は、エネルギーPayアプリにユーザ認証を経てユーザがログインした際に最初に表示される画面である。
図4に示すように、トップ画面600は、ユーザアカウントに入金されている電子バリューの残高表示601と、コード決済のためのQRコード(登録商標)およびバーコードを含むコード表示602と、クレジットカードのリボ払い額(支払い予定額)表示603と、ユーザアカウントに入金するための入金ボタン604と、設定画面700に遷移するための設定変更ボタン605と、を含む。
【0083】
設定画面700は、電力から電子バリューへの変換・電子バリュー利用に関する設定をするための画面である。
図5に示すように、設定画面700は、電力の状況・予測表示701と、変換量表示702と、変換設定フォーム703(ドロップダウンリスト)と、利用設定フォーム群704(ドロップダウンリスト)と、実行ボタン705(「設定反映」と表記)と、を表示する。
【0084】
変換設定フォーム703は、変換量の特定方法を設定するためのフォームである。変換設定フォーム703のリストには、例えば、「余剰量を変換」「全量を変換(不図示)」「生産量の〇〇%を変換(不図示)」などの特定方法が含まれる。
【0085】
利用設定フォーム群704は、生産エネルギーと引き換えられた電子バリューの利用用途を設定するためのフォームである。利用設定フォーム群704の優先(度)1~3それぞれに対応する利用用途をリストから選択することができる。リストには、例えば、「電気代支払い」「クレジットの支払い」「チャージ」などの利用用途が含まれる。
【0086】
変換設定フォーム703や利用設定フォーム群704でユーザが指定して実行ボタン705を押下されると、ユーザ端末300がこの指定の結果を含む変換指示を決済装置100に送信する。受付部112は、この送信された変換指示を受け付ける。受付部112が受け付けた変更指示に基づいて、特定部113や決済処理部116ぞれぞれの処理の設定がなされる。
【0087】
<5.動作>
図6を参照して、エネルギー情報の取得から生産エネルギーと引き換えられた電子バリューの利用までの決済装置100における処理の流れの例を示すフロー図である。前提として、電子バリューの複数の利用用途が優先度1~Nで設定されているものとする。優先度の「N」のデフォルトは、「1(自然数)」とする。なお、以下に示す処理の順番は一例であって、適宜、変更されてもよい。
【0088】
図6に示すように、取得部111は、管理装置200から、エネルギー情報を取得する(S10)。受付部112は、ユーザ端末300から、エネルギーをユーザが利用可能な電子決済手段に用いられる電子バリューに変換させる変換指示を受け付ける(S11)。
【0089】
エネルギーの余剰量が存在する場合、またはエネルギーの全量を変換する場合(S12のYes)、特定部113は、エネルギー情報に基づいて、エネルギーを電子バリューに変換させる変換量を特定する(S13)。指示部114は、管理装置200に、特定された変換量のエネルギーを所定の機器に送るよう指示する(S14)。
【0090】
優先度N番目に設定された電子バリューの利用用途が供給エネルギーに対する支払いの場合(S15の「供給エネルギーに対する支払い」)、決済処理部116は、供給量が存在する場合、エネルギーと引き換えられた電子バリューの少なくとも一部を充当させて供給されたエネルギーに対する支払いの決済をするための処理を行う(S16)。
【0091】
優先度N番目に設定された電子バリューの利用用途がエネルギーPayのユーザアカウントに対する電子マネーの入金の場合(S15の「チャージ」)、所定の機器に送られるエネルギーと引き換えに、ユーザのユーザアカウントに、変換量の少なくとも一部に応じた額または残額の電子バリューを入金するための処理を行う(S17)。
【0092】
優先度N番目に設定された電子バリューの利用用途がクレジットカードの利用に対する支払いの場合(S15の「クレジット利用に対する支払い」)、決済処理部1116は、支払い情報に基づいて、エネルギーと引き換えられた電子バリューの少なくとも一部を支払いに充当させて当該支払いの決済をするための処理を行う(S18)。
【0093】
エネルギーと引き換えられた電子バリューの残額がある場合、かつ優先度N-1番目の利用用途が設定されている場合(S19のYes)、制御部110がNをインクリメントして、フローはステップS15の前に戻る。
【0094】
エネルギーと引き換えられた電子バリューの残額がない場合、または優先度N-1番目の利用用途が設定されていない場合(S19のNo)、処理を終了させる。
【0095】
<5.ハードウェア構成>
図7を参照して、上述してきた決済装置100をコンピュータ800により実現する場合のハードウェア構成の一例を説明する。なお、それぞれの装置の機能は、複数台の装置に分けて実現することもできる。
【0096】
図7に示すように、コンピュータ800は、プロセッサ801と、メモリ803と、記憶装置805と、入力I/F部807と、データI/F部809と、通信I/F部811、および表示装置813を含む。
【0097】
プロセッサ801は、メモリ803に記憶されているプログラムを実行することによりコンピュータ800における様々な処理を制御する。例えば、決済装置100の制御部110が備える各機能部などは、メモリ803に一時記憶されたプログラムをプロセッサ801が実行することにより実現可能である。
【0098】
メモリ803は、例えばRAM(Random Access Memory)等の記憶媒体である。メモリ803は、プロセッサ801によって実行されるプログラムのプログラムコードや、プログラムの実行時に必要となるデータを一時的に記憶する。
【0099】
記憶装置805は、例えばハードディスクドライブ(HDD)やフラッシュメモリ等の不揮発性の記憶媒体である。記憶装置805は、オペレーティングシステムや、上記各構成を実現するための各種プログラムを記憶する。この他、記憶装置805は、エネルギー情報、支払い情報などを登録するテーブルと、このテーブルを管理するDBを記憶することも可能である。このようなプログラムやデータは、必要に応じてメモリ803にロードされることにより、プロセッサ801から参照される。
【0100】
入力I/F部807は、ユーザからの入力を受け付けるためのデバイスである。入力I/F部807の具体例としては、キーボードやマウス、タッチパネル、各種センサ、ウェアラブル・デバイス等が挙げられる。入力I/F部807は、例えばUSB(Universal Serial Bus)等のインタフェースを介してコンピュータ800に接続されても良い。
【0101】
データI/F部809は、コンピュータ800の外部からデータを入力するためのデバイスである。データI/F部809の具体例としては、各種記憶媒体に記憶されているデータを読み取るためのドライブ装置等がある。データI/F部809は、コンピュータ800の外部に設けられることも考えられる。その場合、データI/F部809は、例えばUSB等のインタフェースを介してコンピュータ800へと接続される。
【0102】
通信I/F部811は、コンピュータ800の外部の装置と有線または無線により、インターネットNを介したデータ通信を行うためのデバイスである。通信I/F部811は、コンピュータ800の外部に設けられることも考えられる。その場合、通信I/F部811は、例えばUSB等のインタフェースを介してコンピュータ800に接続される。
【0103】
表示装置813は、各種情報を表示するためのデバイスである。表示装置813の具体例としては、例えば液晶ディスプレイや有機EL(Electro-Luminescence)ディスプレイ、ウェアラブル・デバイスのディスプレイ等が挙げられる。表示装置813は、コンピュータ800の外部に設けられても良い。その場合、表示装置813は、例えばディスプレイケーブル等を介してコンピュータ800に接続される。また、入力I/F部807としてタッチパネルが採用される場合には、表示装置813は、入力I/F部807と一体化して構成することが可能である。
【0104】
なお、本実施形態は、本発明を説明するための例示であり、本発明をその実施の形態のみに限定する趣旨ではない。また、本発明は、その要旨を逸脱しない限り、さまざまな変形が可能である。さらに、当業者であれば、以下に述べる各要素を均等なものに置換した実施の形態を採用することが可能であり、かかる実施の形態も本発明の範囲に含まれる。
【0105】
また、上記実施の形態で記載された決済装置100が備える構成要素は、記憶装置805に格納されたプログラムがプロセッサ801によって実行されることで、定められた処理が他のハードウェアと協働して実現されるものとする。また、言い換えれば、これらの構成要素は、ソフトウェア又はファームウェアとしても、それと対応するハードウェアとしても想定され、その双方の概念において、「機能」、「手段」、「部」、「処理回路」、「ユニット」、又は「モジュール」等とも記載され、またそれぞれに読み替えることができる。
【0106】
[変形例]
なお、本発明を上記実施の形態に基づいて説明してきたが、以下のような場合も本発明に含まれる。
【0107】
(1)上記実施形態では示していないが、決済処理部116は、変換量に応じた額と支払い予定額とを比較して、当該比較の結果に基づいて、生産エネルギーと引き換えられた電子バリューの用途や利用方法を判定してもよい。
【0108】
決済処理部116は、例えば、変換量に応じた額がクレジットカード利用に対する支払い予定額以上の場合、クレジットカードの利用に対する支払いの全てに生産エネルギーと引き換えられた電子バリューを充当させて支払いの決済をするための処理を行ってもよい。この際の電子バリューの残額は、ユーザアカウントに入金させてもよいし、次回のクレジットカード利用に対する支払いに当ててもよい。
【0109】
(2)上記実施形態では示していないが、決済処理部116は、生産予測量や使用予測量に基づいて、電子バリューの用途や利用方法を判定してもよい。
【0110】
決済処理部116は、例えば、供給量が存在し、かつ第2期間における使用予測量が生産予測量以上の場合、供給エネルギーの支払いを優先させて電子バリューを充当させてもよい。他方、決済処理部116は、例えば、供給量が存在し、かつ第2期間における使用予測量が生産予測量より少ない場合、ユーザアカウントへの電子バリューの入金を優先させてもよい。
【0111】
(3)上記実施形態に係る決済装置100における各構成の少なくとも一部は、管理装置200やユーザ端末300または外部装置が備えていてもよい。例えば、エネルギー変換システム1において、決済装置100の予測部117を管理装置200が備えて、決済装置100は、管理装置200から、管理装置200が予測した使用予測量や生産予測量を取得してもよい。
【0112】
(4)上記実施形態では、生産情報を記憶する第1記憶部や実績情報を記憶する第2記憶部を決済装置100の記憶部とする例を説明したが、これに限る趣旨ではない。例えば、第1記憶部は管理装置200の記憶部であってもよいし、ユーザ端末300の記憶部であってもよい。
【0113】
(5)上記実施形態では、使用予測量および/または生産予測量に基づいて支払い予定額を調整部118が調整する例を説明したが、これに限定されない。調整部118は、例えば、翌月の使用予測量および/または生産予測量に基づいて、翌々月以降の支払いにおけるクレジットカードの利用に対する支払いの方法(一括払い、リボルビング払い、または分割払い)を調整してもよい。また、調整部118は、例えば、翌月の使用予測量および/または生産予測量に基づいて、翌々月以降の分割払いの回数を調整してもよい。
【0114】
(6)上記実施形態では示していないが、決済処理部116は、ユーザが電力を生産した場所または電子バリューと引き換えに電力を提供した電力事業者の管轄する場所に応じて、この電力と引き換えられた電子バリューの利用を制限してもよい。例えば、ユーザが電力を生産した場所が東京周辺エリアであった場合、決済処理部116は、生産した電力と引き換えられた電子バリューでの支払いの決済を東京周辺エリアにある加盟店のみ可能としてもよい。また他の例として、ユーザが生産した電力を提供する電力事業者の管轄エリアが関西エリアであった場合、決済処理部116は、生産した電力と引き換えられた電子バリューでの支払いの決済を関西エリアにある加盟店のみ可能としてもよい。
【0115】
電力から電子バリューへの換算において、この換算レートが電力事業者の管轄エリアごとに異なる場合がある。上記構成によれば、このような場合において、決済処理部116は、電子バリューの利用の制限することによって電力の提供先のエリアと提供する電力と引き換えに得た電子バリューの利用先のエリアを合わせることができる。このため上記構成によれば、電力から電子バリューに変換した際の換算レートと齟齬がでない形で電子バリューをユーザに利用させることができる。
【符号の説明】
【0116】
1…エネルギー変換システム100…決済装置、110…制御部、111…取得部、112…受付部、113…特定部、114…指示部、115…入金部、116…決済処理部、117…予測部、118…調整部、119…生成部、120…通信部、130…記憶部、200…管理装置、300…ユーザ端末、400…第1事業者装置、500…第2事業者装置。