(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-20
(45)【発行日】2025-01-06
(54)【発明の名称】グリッド周波数の過渡事象に対する迅速な負荷サポートのための方法およびシステム
(51)【国際特許分類】
H02P 9/04 20060101AFI20241223BHJP
【FI】
H02P9/04 F
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2020153798
(22)【出願日】2020-09-14
【審査請求日】2023-09-07
(32)【優先日】2019-10-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】515322297
【氏名又は名称】ゼネラル エレクトリック テクノロジー ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
【氏名又は名称原語表記】General Electric Technology GmbH
【住所又は居所原語表記】Brown Boveri Strasse 8, 5400 Baden, Switzerland
(74)【代理人】
【識別番号】100105588
【氏名又は名称】小倉 博
(74)【代理人】
【識別番号】100129779
【氏名又は名称】黒川 俊久
(74)【代理人】
【識別番号】100151286
【氏名又は名称】澤木 亮一
(72)【発明者】
【氏名】ルイス・フェルナンド・グティエレス
(72)【発明者】
【氏名】ジョン・ティー・グエン
(72)【発明者】
【氏名】アドナン・ファリッド・ザファール
(72)【発明者】
【氏名】ユリマール・ロア
(72)【発明者】
【氏名】ホセ・カルロス・サンチェス
(72)【発明者】
【氏名】ファン・ウジエル・モントーヤ
(72)【発明者】
【氏名】スリードハー・デサバトラ
(72)【発明者】
【氏名】スティーブン・ロイ・バートレット
(72)【発明者】
【氏名】マキシム・ブーケ
【審査官】池田 貴俊
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2017/0346430(US,A1)
【文献】特開2014-043862(JP,A)
【文献】特表2017-521031(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02P 9/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
発電システムであって、
電気グリッドに電力を供給するように構成された発電機、
前記発電機に結合された第1のガスタービンであって、前記第1のガスタービンは、第1のコントローラおよび圧縮機を含み、前記第1のコントローラは、前記発電機によって生成される電気電力のモデル化値を生成するように構成され、前記電気電力のモデル化値は前記圧縮機の圧縮機吐出圧力に基づいており、前記電気電力のモデル化値は前記発電機の推定された電気電力の出力を表す、第1のガスタービン、および
前記発電機のエキサイタ
を含み、
前記エキサイタは、第2のコントローラであって、
前記電気グリッドの特徴の第1のセットを監視することであって、前記特徴には、前記電気グリッドの周波数が含まれる、監視すること、
前記監視することに基づいて、前記電気グリッドの周波数低下を検出すること、
前記周波数低下が閾値を超えていると決定すること、
前記周波数低下が前記閾値を超えているとという決定に基づいて、前記電気グリッドに過渡事象が存在していると決定すること、および
前記過渡事象の通知を前記第1のコントローラに送ること
を実行するように構成された第2のコントローラを含み、
前記第1のコントローラは、更に、
前記電気電力のモデル化値に基づいて、更新された燃料需要を決定すること、
前記通知に応じて、前記第1のガスタービンの燃料弁ガバナへのデフォルトの燃料需要を、前記更新された燃料需要に一時的に置き換えること、および
前記過渡事象が前記グリッドに存在しなくなった後、前記デフォルトの燃料需要に戻すこと
を実行するように構成される、発電システム。
【請求項2】
前記第1のコントローラは、更に、
前記通知を受け取った後、前記更新された燃料需要を決定するために使用される燃料需要の計算において、前記発電機の測定された電気電力読み取り値を、電気電力のモデル化値と置き換えるように構成されている、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記第1のコントローラは、更に、
前記更新された燃料需要を使用して、前記デフォルトの燃料需要に戻る前に、前記第1のガスタービンの加速度を制御する、請求項1に記載のシステム。
【請求項4】
前記第2のコントローラは、更に、
前記監視することに基づいて、前記電気グリッドに関連する電圧、電流、電力、又は力率が閾値よりも増加した又は減少したかを決定するように構成される、請求項1に記載のシステム。
【請求項5】
前記第1のコントローラは、更に、
前記第1のタービンのタービン周波数の振動を回避するために、前記グリッド周波数の境界を決定する、請求項1に記載のシステム。
【請求項6】
発電システムであって、
電気グリッドに電力を供給するように構成された発電機、
前記発電機に結合された第1の航空転用ガスタービンであって、前記第1の航空転用ガスタービンは、第1のコントローラおよび圧縮機を含み、前記第1のコントローラは、前記発電機によって生成される電気電力のモデル化値を生成するように構成され、前記電気電力のモデル化値は前記圧縮機の圧縮機吐出圧力に基づいており、前記電気電力のモデル化値は前記発電機の推定された電気電力の出力を表す、第1の航空転用ガスタービン、および
前記発電機のエキサイタ
を含み、
前記エキサイタは、第2のコントローラであって、
前記電気グリッドに関連する電気的特徴の第1のセットを監視することであって、前記特徴には、前記電気グリッドの周波数が含まれる、監視すること、
前記監視することに基づいて、前記電気グリッドの周波数低下を検出すること、
前記周波数低下が閾値を超えていると決定すること、
前記周波数低下が前記閾値を超えているとという決定に基づいて、前記電気グリッドに過渡事象が存在していると決定すること、および
前記過渡事象の通知を前記第1のコントローラに送ること
を実行するように構成された第2のコントローラを含み、
前記第1のコントローラは、更に、
前記電気電力のモデル化値に基づいて、更新された燃料需要を決定すること、
前記通知に応じて、前記第1の航空転用ガスタービンの燃料弁ガバナへのデフォルトの燃料需要を、前記更新された燃料需要に一時的に置き換えること、および
前記過渡事象が前記グリッドに存在しなくなった後、前記デフォルトの燃料需要に戻すこと
を実行するように構成される、発電システム。
【請求項7】
前記第2のコントローラは、更に、
前記監視することに基づいて、前記電気グリッドに関連する電圧、電流、電力、又は力率が閾値よりも増加した又は減少したかを決定するように構成される、請求項6に記載のシステム。
【請求項8】
前記第1のコントローラは、更に、
前記更新された燃料需要を使用して、前記燃料弁ガバナに供給される前記デフォルトの燃料需要に戻る前に、前記第1の航空転用ガスタービンの加速度を制御する、請求項1に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願および結果として得られる特許は、一般に、ガスタービンシステムに関し、より具体的には、グリッド周波数の過渡事象に応じた迅速な負荷サポートの提供に関する。
【背景技術】
【0002】
発電所または発電システムは、他の一次エネルギー源から電気電力を生成することができる。例えば、ガスタービンなどの原動機は、発電機を駆動して電気電力を送電網に供給するガスタービンシャフトを備えた回転機械装置である。次に、送電網は、電気を様々な電力消費者に供給する。発電システムが効果的に動作することを確実にするために、タービンシャフト速度および結果として生じるグリッド周波数は、動作範囲内で互いに同期する必要がある。過渡事象によりグリッド周波数が急激に変化すると、電力が停止する可能性がある。
【0003】
グリッド周波数の突然の変化などの過渡事象の悪影響は、約500メガワット(MW)の負荷容量を提供するグリッドなどの小さなグリッドで増幅される。同じ大きさの負荷の変化がより大きな周波数変化をもたらすため、小さなグリッドは、大きなグリッドよりも安定性が低い場合が多い。したがって、小さなグリッドは、大きなグリッドよりも頻繁に周波数が変化する傾向にある。安定性が欠如していると、停電および/またはグリッドへの電力損失が発生する可能性がある。したがって、グリッド周波数の過渡事象に対して迅速な負荷サポートを提供するシステムおよび方法が、グリッドへの電力の安定性を高めるために望まれている。
【発明の概要】
【0004】
本出願および結果として得られる特許は、ガスタービンを使用して迅速な負荷サポートを提供するためのシステムを提供する。システムは、第1のコントローラを有するタービンと、タービンに結合された発電機であって、発電機は、電力を電気グリッドに提供するように構成される発電機と、直流(DC)電圧およびDC電流を発電機のロータに提供するように構成されたエキサイタとを含んでもよい。エキサイタは、電気グリッドに関連する第1のセットの電気特性を監視し、第1のセットの電気特性に基づいて過渡事象が電気グリッド上に存在することを決定し、過渡事象の通知を第1のコントローラに送信するように構成された第2のコントローラを含んでもよい。第1のコントローラは、通知に基づいてタービンの動作を調整するように構成されてもよい。
【0005】
本出願および結果として得られる特許は、グリッド周波数の過渡事象に対して改善された負荷サポートを提供するための方法をさらに提供する。方法は、第1のコントローラによって、電気グリッドに関連する第1のセットの電気特性を監視することと、第1のコントローラによって、第1のセットの電気特性に基づいて過渡事象が電気グリッド上に存在することを決定することと、過渡事象の通知を第2のコントローラに送信することとを含んでもよい。第2のコントローラは、(i)タービンの燃料弁ガバナへの燃料需要のダイナミクスを調整すること、および(ii)一次周波数アルゴリズムを調整することによって、通知に基づいてタービンの動作を調整するように構成されてもよい。
【0006】
本出願および結果として得られる特許は、迅速な負荷サポートを提供するためのシステムをさらに提供する。システムは、第1のコントローラを有する航空転用ガスタービンなどの原動機と、航空転用ガスタービンに結合された発電機であって、発電機は、電力を電気グリッドに提供するように構成される発電機と、直流(DC)電圧およびDC電流を発電機のロータに提供するように構成されたエキサイタとを含んでもよい。エキサイタは、電気グリッドに関連する第1のセットの電気特性を監視し、第1のセットの電気特性に基づいて過渡事象が電気グリッド上に存在することを決定し、過渡事象の通知を第1のコントローラに送信するように構成された第2のコントローラを含んでもよい。第1のコントローラは、(i)航空転用ガスタービンの燃料弁ガバナへの燃料需要のダイナミクスを調整すること、および(ii)一次周波数アルゴリズムを調整することによって、通知に基づいて航空転用ガスタービンの動作を調整するように構成されてもよい。
【0007】
本出願および結果として得られる特許のこれらの特徴および改良ならびに他の特徴および改良は、いくつかの図面および添付の特許請求の範囲と併せて、以下の詳細な説明を検討することにより当業者には明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図2】本明細書で説明され得るエキサイタおよびガスタービンに対する制御システムの概略図である。
【
図3】本明細書で説明され得るグリッド周波数の過渡事象に対する迅速な負荷サポートのための例示的なプロセスフローである。
【
図4】本明細書で説明され得るグリッド周波数の過渡事象に対する迅速な負荷サポートのための例示的なプロセスフローである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
ここで図面を参照すると、いくつかの図を通して類似の符号は、類似の要素を指している。
図1は、発電システム100の概略図である。発電システム100は、他の一次エネルギー源から電気電力を生成する原動機を含み得る。例示的な原動機は、航空転用ガスタービンなどのガスタービン150であり得、発電機を駆動して電気電力を送電網に供給するガスタービンシャフトを備えた回転機械装置であってもよく、送電網は、電力をユーザに供給する。他の実施形態は、蒸気タービンなどの異なるタイプのタービンを含んでもよい。故障のない動作のために、タービンシャフト速度および結果として生じるグリッド周波数は、動作範囲内に維持されなければならない。
【0010】
ガスタービン150は、電気グリッド140に電力供給する発電機130に結合することができる。ガスタービンエンジン150は、圧縮機を含むことができる。圧縮機は、流入する空気の流れを圧縮する。圧縮機は、圧縮された空気の流れを燃焼器に供給する。燃焼器は、圧縮された空気の流れを加圧された燃料の流れと混合し、混合物を点火して燃焼ガスの流れを生成する。燃焼ガスの流れは、次いでタービンに供給される。燃焼ガスの流れは、タービンを駆動して機械的仕事を発生する。タービンで発生された機械的仕事は、シャフトおよび発電機130などの外部負荷を介して圧縮機を駆動する。
【0011】
ガスタービンエンジン150は、天然ガス、様々なタイプの合成ガス、液体燃料、および/または他のタイプの燃料ならびにそれらのブレンドを使用することができる。ガスタービンエンジン150は、異なる構成を有してもよく、他のタイプの構成要素を使用してもよい。本明細書では、他のタイプのガスタービンエンジンもまた使用されてもよい。複数のガスタービンエンジン、他のタイプのタービン、および他のタイプの発電機器もまた、共に本明細書で使用されてもよい。
【0012】
ガスタービン150はまた、タービンコントローラ160に結合され得る。タービンコントローラ160は、ガスタービン150の1つまたは複数の態様の動作を制御することができる。発電機130は、エキサイタコントローラ110によって制御されるエキサイタ120に結合することができる。エキサイタ120は、電圧を自動的に調節し、直流(DC)出力を供給するように構成され得る。例えば、エキサイタ120は、DC電流およびDC電圧を発電機130のロータの界磁巻線に提供する電気回路を含むことができ、それによって発電機130内に磁界を誘起する。次に、磁界がロータを発電機内でスピンさせ、発電機130のシャフトを回転させることができる。発電機130内に磁界を生成することに加えて、エキサイタ120は、発電機130によって出力される電圧の周波数、振幅、および位相特性を制御するために使用されてもよい。このように、エキサイタ120は、発電機のシャフトがその定格速度で回転した後、発電機130によって出力される電圧を電気グリッド140の電圧と同期させるために使用することができる。
【0013】
エキサイタコントローラ110は、入力インターフェース112、出力インターフェース118、1つまたは複数のプロセッサ114、および/または1つまたは複数のメモリ装置116の1つまたは複数を任意選択で含むコンピューティングシステムであり得る。エキサイタコントローラ110は、以下に詳述するように、発電システム100の制御における過渡グリッド事象の認識を容易にする。代替の実施形態では、エキサイタコントローラ110の代わりに、またはそれに加えて、エキサイタコントローラ110とは別個のコントローラを使用することができる。
【0014】
発電システム100は、タービンコントローラ160を使用して、周波数偏差を引き起こす電気グリッド140上の過渡事象の後にシステムのバランスを取り戻すことができる。例として、電気グリッド140における周波数低下が検出されると、速度がグリッド周波数と共に移動するため、速度低下を検出することができる。原動機による燃料摂取量は、速度低下の感知に基づいて増加し、周波数低下を補償するために有効電力出力が増加する。
【0015】
タービン150は、発電機130が電圧を出力するように、発電機130内のシャフトを回転させることができる。次に、発電機130の電圧出力は、電気グリッド140の電圧と同期され得る。特定の実施形態では、エキサイタコントローラ110は、電気グリッド140の電気特性を監視してもよい。このように、エキサイタコントローラ110は、グリッド周波数の上昇または下降、発電機130の有効電力または無効電力の上昇または下降などの過渡事象について、電気グリッド140を監視することができる。過渡事象は、電圧、電流、電力、力率などの電気特性の変化を含むことができる。
【0016】
いくつかの実施形態では、エキサイタコントローラ110は、その発生までに過渡的なグリッドの初期段階における過渡グリッド事象を検出または認識するように構成され得る。過渡事象を検出すると、エキサイタコントローラ110は、原動機の動作を調整し、発電機の周波数の変化を補償するために、コマンドまたは通知をタービンコントローラ160に送信することができる。すなわち、エキサイタコントローラ110は、発電機130の電力出力および電気周波数などの電気パラメータを監視し、電気パラメータに基づいて過渡事象を検出することができる。
【0017】
本明細書で説明される発電システム100は、以下の1つまたはすべての組み合わせを介して、グリッド周波数の過渡事象に応じて迅速な負荷サポートを提供することができる:(i)グリッド事象の早期電気検出、(ii)測定された電力計の値の代わりに、MWモデル化値の使用(例えば、周波数過渡に応じた発電機の運動エネルギーの変化によってもたらされる電力の成分を電力計で読み取ることを回避する)、および/または(iii)燃料値制御ループに対する柔軟なダイナミクスの使用。結果として、タービンの応答加速度は、タービン周波数の振動なしに実施され得る。さらに、グリッド周波数の減少に応じて、例えば、航空転用ガスタービンを使用して即時の電気電力を提供することができる。
【0018】
図2は、本明細書で説明され得るエキサイタおよびガスタービンに対する制御システムの概略図である。他の実施形態は、
図2に示されている例に関して説明されたものよりも、追加の、少数の、および/または異なる構成要素または構成を有してもよい。
【0019】
図2に示されている制御システムは、小さなグリッド、または不安定であり得る電気グリッドにおける周波数事象に応じて高速電力を提供するために使用することができる。いくつかの実施形態は、ディーゼルまたはエタノールなどの燃料源を備えた航空転用ガスタービンを使用してもよい。
【0020】
図2では、自動電圧調整器(AVR)/エキサイタコントローラ200は、DC電圧および/またはDC電流を発電機のロータに提供するエキサイタの動作を制御するように構成され得る。AVR/エキサイタコントローラ200は、1つまたは複数の早期電気検出モジュール202を含むことができる。早期電気検出モジュール202は、潜在的な外乱として電気グリッドにおける周波数低下を検出するように構成され得る。例えば、早期電気検出モジュール202は、電気グリッドに関連する周波数、電圧、電流、電力、または力率など、電気グリッドの1つまたは複数の特徴または電気特性を監視するように構成されてもよい。電気グリッドの特徴または電気特性の変化に基づいて、早期電気検出モジュール202は、過渡事象が電気グリッド上に存在するかどうかを決定することができる。例えば、電気グリッドに関連する周波数、電圧、電流、電力、または力率の1つまたは複数が閾値を超えて増加または減少する場合、早期電気検出モジュール202は、過渡事象が発生しているか、あるいは発生しようとしていることを決定することができる。一例では、AVR/エキサイタコントローラ200は、発電機の端子で電気周波数の変化率を感知し、過渡事象が発生しているかどうかを決定するために、シャフトライン加速度の変化率(変化率は、AVR/エキサイタコントローラ200によって監視される電気特性の1つである)を決定することができる。過渡事象が検出されると、AVR/エキサイタコントローラ200は、過渡事象の通知220をタービンコントローラ210に送信することができる。AVR/エキサイタコントローラ200を発電機およびエキサイタに結合することができるので、AVR/エキサイタコントローラ200は、速度測定技術よりも速く、かつより確実にグリッド事象を検出し得る。
【0021】
AVR/エキサイタコントローラ200は、タービンコントローラ210と通信していてもよい。タービンコントローラ210は、航空転用ガスタービンなどのタービンの動作を制御するように構成することができる。タービンコントローラ210は、AVR/エキサイタコントローラ200からの過渡事象の通知220を受信し得る。タービンコントローラ210は、通知220に基づいてタービンの動作を調整することができる。例えば、タービンコントローラ210は、電気電力のモデル化値に基づいて、および/またはタービンの燃料弁ガバナへの燃料需要のダイナミクスに基づいてタービンの動作を調整してもよい。
【0022】
AVR/エキサイタコントローラ200から通知220を受信した後、タービンコントローラ210は、タービンの燃料弁ガバナへの燃料需要の従来のダイナミクス232をタービンの燃料弁ガバナへの燃料需要の改善されたダイナミクス230と置き換えることによって、タービンの第1の動作パラメータ240を修正することができる。ダイナミクスの置き換えは、第1の動作パラメータ240を調整し、検出された事象に応じて燃料を増加または減少させることができる。第1の動作パラメータ240は、通知220の結果として修正され得る。ダイナミクスの置き換えは、事象を考慮するための一時的なものであり得、事象が経過した後に通常の動作に戻されてもよい。燃料弁制御ループの柔軟なダイナミクスはまた、安定性を損なうことなく高速応答を確実にすることができる。
【0023】
いくつかの実施形態では、燃料ダイナミクスを修正することに加えて、または修正する代わりに、タービンコントローラ210は、通知220に応じて第2の動作パラメータ284を調整することができる。第2の動作パラメータ284は、発電機の電気電力の測定値である。発電機に結合された回転機械の回転慣性により、回転機械は、回転速度が増加するにつれて運動エネルギーを獲得する。回転速度の変化をもたらすグリッドの過渡が発生すると、運動エネルギーも変化する。運動エネルギーの変化率は、慣性応答として知られる電気電力出力(および/または入力)の成分を誘起し、これは、タービンの作動流体によって発生される発電機の電気電力出力の成分に重ね合わされる(例えば、観測された電力の増加であるが、燃焼器内の燃料の増加によるものではない)。例えば、一定の電力需要で動作する高慣性機械での負のグリッド周波数の過渡事象は、電力フィードバックを増加させる大きな正の慣性応答をもたらし、それによって燃料ガバナに大きな負の誤差を引き起こし、周波数低下の望ましい応答が燃料を増加させ、かつ電力を増加させてシステム周波数を復元することであるとき、燃料ガバナが燃料を誤って減らしてしまう。このため、電力需要250と電力フィードバック290との間の誤差の関数としてガバナ270への燃料の流れを調整しているタービンコントローラは、事象220が望ましくない燃料ガバナ応答をもたらすことが既知であり、検出された場合、測定された電気電力282または慣性応答を含まない可能性があるモデル化電力出力280のいずれかを選択することができるスイッチフィードバック機構284を使用して事象220を検出することによって、電気的過渡事象を通じて改善された応答を有する。このように、タービンコントローラ210は、電力計で測定されたMW値282をMWモデル化値280と置き換えることができる。値の置き換えは、第2の動作パラメータ284を調整し、検出された事象に応じて燃料を増加または減少させることができる。値の置き換えは、事象を考慮するための一時的なものであり得、事象が経過した後に通常の動作に戻されてもよい。
【0024】
いくつかの実施形態では、タービンコントローラ210は、MWモデル化値280を生成または決定することができる。例えば、タービンコントローラ210は、ガスタービンの高圧圧縮機吐出圧力に基づいてMWモデル化値280を決定してもよい。MWモデル化値280を使用することによって、タービンコントローラ210は、グリッド事象の瞬間に電力計での慣性応答を読み取ることを回避することができる。場合によっては、MWモデル化値280は、可変の幾何学的形状位置および燃料需要に基づいてタービンコントローラ210によって内部的に計算され得る。
【0025】
第1の動作パラメータ240は、タービンコントローラ210でMW需要モジュール250に供給され得、これは、弁260の動作を制御するために使用され得る。同様に、第2の動作パラメータ284は、タービンコントローラ210でMWフィードバックモジュール290に供給され得、これはまた、弁260の動作を制御するために使用され得る。弁260を使用して、タービンの動作のために燃料を燃料ガバナ270に供給することができる。
【0026】
したがって、タービンコントローラ210は、電気電力のモデル化値を生成するように構成され得、モデル化値は、タービンでの圧縮機の圧縮機吐出圧力に基づいて生成されたメガワットのモデル化値である。モデル化値は、タービンの電力計での実際の発電機の電気電力読み取り値を一時的に置き換えることができる。加えて、タービンコントローラ210は、燃料需要のダイナミクスをタービンの燃料弁ガバナに調整するように構成することができ、燃料需要のダイナミクスは、柔軟なダイナミクスであり、燃料需要のダイナミクスは、第1のダイナミクスを第2のダイナミクスと一時的に置き換えることによって調整することができる。第2のダイナミクスは、タービンの制御された加速度を引き起こし得る。いくつかの実施形態では、タービンコントローラ210は、グリッド周波数境界を決定し、タービン周波数応答の振動を回避するために弁応答時間を増加させるようにさらに構成されてもよい。いくつかの実施形態は、タービンの燃料アクチュエータが、50Hzの公称周波数に対して直下周波数(nadir frequency)、約4秒(49Hz)で初期位置と最終位置との間の移動の95%に達するように構成され得る。
【0027】
したがって、説明されている制御システムは、過酷なグリッド条件での周波数事象に対するタービン応答の信頼性を確実にし、従来の速度制御を使用しない。タービンコントローラ210は、安定性に影響を与えることなく、燃料弁制御の柔軟なダイナミクスを通じて、通知220に応じてタービンの制御された加速度を作動させることができる。本開示の実施形態は、電気電力のモデル化値に基づいてタービンの1つまたは複数の動作を調整することができ、1つまたは複数の動作は、一次周波数アルゴリズム、および弁ガバナへの燃料需要のダイナミクスを含む。結果として、主要なグリッド周波数低下を検出すると、即時の電気電力を提供することができる。
【0028】
図3は、本明細書で説明され得るグリッド周波数の過渡事象に対する迅速な負荷サポートのための例示的なプロセスフロー300である。
図3で説明されている動作の1つまたは複数は、異なる順序で、および/または分散コンピューティング環境全体の同じコンピュータシステムまたは異なるコンピュータシステムによって実行され得る。一例では、
図3の動作は、
図2のAVR/エキサイタコントローラ200によって実行されてもよい。
【0029】
ブロック310において、第1のコントローラ(AVR/エキサイタコントローラ200など)は、電気グリッドに関連する第1のセットの電気特性を監視することができる。例えば、第1のコントローラは、周波数、電圧、電流、電力、力率、および/または電気グリッドに関連する他の電気特性を監視してもよい。
【0030】
決定ブロック320において、グリッド周波数に突然の変化があったかどうかに関して、第1のコントローラによって決定を行うことができる。例えば、第1のコントローラ210は、グリッド周波数などの電気グリッドの1つまたは複数の特性が、閾値量を超えて突然増加または減少したかどうかを決定してもよい。決定ブロック320において、グリッド周波数に突然の変化がなかったと決定された場合、プロセスフロー300は、ブロック310に戻ることができ、第1のコントローラを使用して監視を継続することができる。決定ブロック320において、グリッド周波数に突然の変化があったと決定された場合、プロセスフロー300は、ブロック330に進むことができる。
【0031】
ブロック330において、第1のコントローラは、第1のセットの電気特性に基づいて過渡事象が電気グリッド上に存在することを決定することができる。例えば、特定の時間の長さにわたって閾値量を超えて変化するグリッド周波数に基づいて、第1のコントローラは、過渡事象が電気グリッド上に存在することを決定してもよい。
【0032】
ブロック340において、第1のコントローラは、過渡事象の通知を第2のコントローラに送信することができる。例えば、第1のコントローラは、過渡事象の通知をタービンコントローラに送信してもよい。
【0033】
ブロック350において、第1のコントローラは、タービンの制御された加速度を作動させることができる。いくつかの実施形態では、第1のコントローラは、第2のコントローラにタービンの制御された加速度を作動させることによって、タービンの制御された加速度の作動を引き起こし得る。制御された加速度は、グリッド周波数の急激な変化による電力損失のリスクを減らすことができる。
【0034】
図4は、本明細書で説明され得るグリッド周波数の過渡事象に対する迅速な負荷サポートのための例示的なプロセスフロー400である。
図4で説明されている動作の1つまたは複数は、異なる順序で、および/または分散コンピューティング環境全体の同じコンピュータシステムまたは異なるコンピュータシステムによって実行され得る。一例では、
図4の動作は、
図2のタービンコントローラ210によって実行されてもよい。
【0035】
ブロック410において、タービンのタービンコントローラは、過渡事象の通知を受信することができる。例えば、AVR/エキサイタコントローラは、発電機および/または電気グリッドでの過渡事象を検出してもよく、タービンコントローラは、AVR/エキサイタコントローラからの過渡事象の通知を受信してもよい。
【0036】
ブロック420において、タービンコントローラは、タービンでの圧縮機の圧縮機吐出圧力に基づいて測定された電力計の値を置き換えるために、MWモデル化値を決定することができる。例えば、タービンコントローラは、少なくとも一時的に、測定された電力計の値をMWモデル化値と置き換えることができる。MWモデル化値は、タービンでの圧縮機の圧縮機吐出圧力に基づいて決定され得、過渡事象を反映し得る。
【0037】
ブロック430において、タービンコントローラは、燃料需要に対する改善されたダイナミクス燃料値を決定することができる。改善されたダイナミクス燃料値は、従来のダイナミクスの代わりに少なくとも一時的に使用することができる。
【0038】
ブロック440において、タービンコントローラは、改善されたダイナミクス値を使用して燃料需要を調整することができる。例えば、タービンコントローラは、タービンの燃料弁ガバナへの燃料需要のダイナミクスを調整してもよい。
【0039】
任意選択のブロック450において、タービンコントローラは、タービンの動作のために一次周波数アルゴリズムを調整することができる。
【0040】
結果として、タービンコントローラは、ガスタービンが複数の種類の燃料で作動し、グリッド事象時に高速応答を提供することを可能にし得、タービンの制御された加速度が必要なときに燃料供給弁にわたって改善された制御を提供することができる。
【0041】
上記は、本出願および結果として得られる特許の特定の実施形態のみに関するものであることは明らかである。当業者であれば、以下の特許請求の範囲およびその均等物によって定義される本発明の一般的な趣旨および範囲から逸脱することなく、本明細書において数多くの変更および修正を行うことができる。
【符号の説明】
【0042】
100 発電システム
110 エキサイタコントローラ
112 入力インターフェース
114 プロセッサ
116 メモリ装置
118 出力インターフェース
120 エキサイタ
130 発電機
140 電気グリッド
150 ガスタービンエンジン、ガスタービン
160 タービンコントローラ
200 自動電圧調整器(AVR)、エキサイタコントローラ
202 早期電気検出モジュール
210 タービンコントローラ、第1のコントローラ
220 過渡事象の通知、事象
230 改善されたダイナミクス
232 従来のダイナミクス
240 第1の動作パラメータ
250 電力需要、MW(メガワット)需要モジュール
260 弁
270 燃料ガバナ
280 モデル化電力出力、MWモデル化値
282 測定された電気電力、電力計で測定されたMW値
284 第2の動作パラメータ、スイッチフィードバック機構
290 電力フィードバック、MWフィードバックモジュール
300 プロセスフロー
310 ブロック
320 決定ブロック
330 ブロック
340 ブロック
350 ブロック
400 プロセスフロー
410 ブロック
420 ブロック
430 ブロック
440 ブロック
450 ブロック