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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-20
(45)【発行日】2025-01-06
(54)【発明の名称】車両用灯具
(51)【国際特許分類】
   B60Q 1/076 20060101AFI20241223BHJP
   B60Q 1/068 20060101ALI20241223BHJP
【FI】
B60Q1/076
B60Q1/068 100
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2020184112
(22)【出願日】2020-11-04
(65)【公開番号】P2022074237
(43)【公開日】2022-05-18
【審査請求日】2023-10-02
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000002303
【氏名又は名称】スタンレー電気株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100100011
【弁理士】
【氏名又は名称】五十嵐 省三
(72)【発明者】
【氏名】石井 優輝
(72)【発明者】
【氏名】森 健太郎
(72)【発明者】
【氏名】渡辺 泰雄
【審査官】野木 新治
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-061809(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60Q 1/076
B60Q 1/068
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハウジングと、
前記ハウジングに収容され、車両の上下方向又は左右方向にエイミング可能にするエイミング機構及び該エイミング機構とは独立に前記車両の上下方向又は左右方向にレベリングするレベリング機構により支持された灯体ユニットと
を具備し、
前記エイミング機構は、エイミングボルト及び該エイミングボルトと螺合するためのエイミングナットを有し、
前記レベリング機構は、レべリングアクチュエータ及び該レべリングアクチュエータから突出し該レべリングアクチュエータによって移動可能なアクチュエータ出力軸を有し、
前記エイミング機構及び前記レべリング機構は、樹脂で一体成形された共用のエイミング/レべリング共用ブラケットによって組合され、
前記エイミングナットは、前記エイミング/レべリング共用ブラケットに形成され、
前記アクチュエータ出力軸を収容するための凹部が前記エイミング/レべリング共用ブラケットの前記エイミングナットの中心軸線上に配置され、
前記エイミング/レべリング共用ブラケットは前記エイミングナットから前記凹部に向って三角形状に広がっている車両用灯具。
【請求項2】
ハウジングと、
前記ハウジングに収容され、車両の上下方向又は左右方向にエイミング可能にするエイミング機構及び該エイミング機構とは独立に前記車両の上下方向又は左右方向にレベリングするレベリング機構により支持された灯体ユニットと
を具備し、
前記エイミング機構は、エイミングボルト及び該エイミングボルトと螺合するためのエイミングナットを有し、
前記レベリング機構は、レべリングアクチュエータ及び該レべリングアクチュエータから突出し該レべリングアクチュエータによって移動可能なアクチュエータ出力軸を有し、
前記エイミング機構及び前記レべリング機構は、樹脂で一体成形された共用のエイミング/レべリング共用ブラケットによって組合され、
前記エイミングナットは、前記エイミング/レべリング共用ブラケットに形成され、
前記アクチュエータ出力軸を収容するための凹部が前記エイミング/レべリング共用ブラケットの前記エイミングナットの中心軸線上に配置され、
前記エイミング/レべリング共用ブラケットは前記エイミングナットの中心軸線上に沿って一方側にかつ前記凹部側に向って弾性片を具備する車両用灯具。
【請求項3】
ハウジングと、
前記ハウジングに収容され、車両の上下方向又は左右方向にエイミング可能にするエイミング機構及び該エイミング機構とは独立に前記車両の上下方向又は左右方向にレベリングするレベリング機構により支持された灯体ユニットと
を具備し、
前記エイミング機構は、エイミングボルト及び該エイミングボルトと螺合するためのエイミングナットを有し、
前記レベリング機構は、レべリングアクチュエータ及び該レべリングアクチュエータから突出し該レべリングアクチュエータによって移動可能なアクチュエータ出力軸を有し、
前記エイミング機構及び前記レべリング機構は、樹脂で一体成形された共用のエイミング/レべリング共用ブラケットによって組合され、
前記エイミングナットは、前記エイミング/レべリング共用ブラケットに形成され、
前記アクチュエータ出力軸を収容するための凹部が前記エイミング/レべリング共用ブラケットの前記エイミングナットの中心軸線上に配置され、
前記凹部は、前記エイミング/レべリング共用ブラケットの前方端に配置され、
前記エイミングナットは、前記エイミング/レべリング共用ブラケットの後方端に配置されている車両用灯具。
【請求項4】
ハウジングと、
前記ハウジングに収容され、車両の上下方向又は左右方向にエイミング可能にするエイミング機構及び該エイミング機構とは独立に前記車両の上下方向又は左右方向にレベリングするレベリング機構により支持された灯体ユニットと
を具備し、
前記エイミング機構は、エイミングボルト及び該エイミングボルトと螺合するためのエイミングナットを有し、
前記レベリング機構は、レべリングアクチュエータ及び該レべリングアクチュエータから突出し該レべリングアクチュエータによって移動可能なアクチュエータ出力軸を有し、
前記エイミング機構及び前記レべリング機構は、樹脂で一体成形された共用のエイミング/レべリング共用ブラケットによって組合され、
前記エイミングナットは、前記エイミング/レべリング共用ブラケットに形成され、
前記アクチュエータ出力軸を収容するための凹部が前記エイミング/レべリング共用ブラケットの前記エイミングナットの中心軸線上に配置され、
前記エイミング/レべリング共用ブラケットは、前記凹部に並んで左右に設けられ、前記ハウジングに固定されるばね内蔵スリット構造を有する車両用灯具。
【請求項5】
前記レベリング機構は、上下レベリング機構であり、該上下レベリング機構は、前記灯体ユニットの上方に配置され、
前記エイミング/レべリング共用ブラケットは、前記レべリングアクチュエータと前記灯体ユニットとの間に配置された請求項1~の何れかに記載の車両用灯具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はエイミング機構とレべリング機構との組合せを有する車両用灯具に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、車両用灯具においては、路面に所望の配向を照射するために、灯体ユニットの光軸を上下左右の範囲で調整するための上下エイミング機構及び左右エイミング機構が設けられている。さらに、上下エイミング機構と共に、レべリング機構を備えたものが知られている。ここで、エイミング機構は車両の完成時又は車検時に灯体ユニットの光軸を初期的に調整するものであり、レべリング機構は車両の重量等に応じて又は操作手段に応じて灯体ユニットの光軸を内蔵モータを用いて適時調整するものである。
【0003】
図6は従来の上下エイミング機構とレべリング機構との組合せを有する車両用灯具を示す図である(参照:特許文献1)。図6の車両用灯具はたとえば右側ロービーム前照灯である。
【0004】
図6において、100はハウジング、200はレべリング機構、300は樹脂製の一体射出成形品である十字板状部材で構成されるエイミング/レべリング共用ブラケットである。レべリング機構200は灯体ブラケット(図示せず)に固定されるレべリングアクチュエータ201及びレべリングアクチュエータ201から突出して移動可能なアクチュエータ出力軸202よりなる。また、エイミング/レべリング共用ブラケット300において、その第1端にはハウジング100に回転可能に設けられたエイミングボルト301を螺合するための上下エイミング機構用のエイミングナット302を設け、第1端に直交する第2端にアクチュエータ出力軸202を収容する長方形凹部303及び段下り部304を設け、第1端の反対側の第3端には、エイミングナット302を左右方向に弾性的に押圧するための弾性片305を設け、第2端の反対側の第4端には、ストッパ306を設ける。アクチュエータ出力軸202をエイミングナット302が回転する際の中心軸線Axから左右方向にオフセットさせることによりレべリング機構200の配置の自由度を高めている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2019-61810号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上述の図6に示す従来の車両用灯具のエイミング/レべリング共用ブラケット300においては、支点として動作するエイミングナット302と力点として動作するアクチュエータ出力軸202の長方形凹部303とは左右方向で離れている。つまり、支点と力点とは同一軸上になくある距離だけ離れている。この結果、アクチュエータ出力軸202の長方形凹部303に前方向及び後方向に力を与えた場合、エイミングナット302(支点)を中心軸線Axに対してアクチュエータ出力軸202の長方形凹部303(力点)に回転モーメントが発生し、エイミング/レべリング共用ブラケット300の長方形凹部303の変位量が大きくなってエイミング/レべリング共用ブラケット300が変形しやすくなると推測される。このとき、エイミング/レべリング共用ブラケット300が変形すると、アクチュエータ出力軸202の力を100%灯体ブラケット(図示せず)に伝えられなくなるという課題がある。尚、この変形を抑えるために弾性片305を設けているが、弾性片305にかかる力は大きくなるので、弾性片305は金属とし、弾性片305の左側部分はハウジング100との樹脂当て部(摺動部)とする(参照:特許文献1の図9)。この結果、エイミング/レべリング共用ブラケット300の変形は小さくすることができるが、金属である弾性片305はエイミング/レべリング共用ブラケット300と一体にできず別部品となり、製造コストが上昇する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述の課題を解決するために、本発明に係る車両用灯具は、ハウジングと、ハウジングに収容され、車両の上下方向又は左右方向にエイミング可能にするエイミング機構及び該エイミング機構とは独立に車両の上下方向又は左右方向にレベリングするレベリング機構により支持された灯体ユニットとを具備し、エイミング機構は、エイミングボルト及び該エイミングボルトと螺合するためのエイミングナットを有し、レベリング機構は、レべリングアクチュエータ及び該レべリングアクチュエータから突出し該レべリングアクチュエータによって移動可能なアクチュエータ出力軸を有し、エイミング機構及びレべリング機構は、樹脂で一体成形された共用のエイミング/レべリング共用ブラケットによって組合され、エイミングナットは、エイミング/レべリング共用ブラケットに形成され、アクチュエータ出力軸を収容するための凹部がエイミング/レべリング共用ブラケットのエイミングナットの中心軸線上に配置され、エイミング/レべリング共用ブラケットはエイミングナットから凹部へ向って三角形状に広がっているものである。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、エイミングナットの中心軸線に対するアクチュエータ出力軸の回転モーメントは減少するので、エイミング/レべリング共用ブラケットの変位量を減少させることができる。尚、この減少した変位量を抑えるための弾性片は樹脂で構成でき、従って、弾性片はエイミング/レべリング共用ブラケットと一体にすることができ、従って、製造コストは低減できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明に係る車両用灯具を示し、(A)は正面図、(B)は(A)のB-B線断面図である。
図2図1のレべリングアクチュエータとアクチュエータ出力軸との関係を示すレべリング機構の下面図である。
図3図1の車両用灯具の詳細を示し、(A)は上面図、(B)は正面図である。
図4図1のエイミング/レべリング共用ブラケットの詳細を示し、(A)は全体平面図、(B)は弾性片の拡大図である。
図5図4のエイミング/レべリング共用ブラケットの変位量シミュレーション結果を示す図である。
図6】従来の上下エイミング機構とレべリング機構との組合せを有する車両用灯具を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
図1は本発明に係る車両用灯具を示し、(A)は正面図、(B)は(A)のB-B線断面図である。図1の車両用灯具はたとえば左方前方に設けられたロービーム前照灯である。
【0011】
図1において、アウタレンズ1が設けられたハウジング2内に、インナレンズ3が設けられた灯体ユニット4が収容される。灯体ユニット4は灯体ブラケット5に支持されている。灯体ブラケット5は支点エイミング機構6、左右エイミング機構7及び上下エイミング機構8を介してハウジング2に固定される。さらに、上下エイミング機構8に組合わされたレベリング機構9が設けられている。
【0012】
支点エイミング機構6には灯体ブラケット5の下端がピボット固定される。左右エイミング機構7はエイミングボルト及びエイミングナット(図示せず)を有して灯体ブラケット5の右端に固定され、支点エイミング機構6のエイミング支点に対して灯体ブラケット5つまり灯体ユニット4の光軸を左右に位置調整する。上下エイミング機構8は灯体ブラケット5の上端に固定され、支点エイミング機構6のエイミング支点に対して灯体ブラケット5つまり灯体ユニット4の光軸を上下に位置調整する。レベリング機構9は、モータ内蔵のレベリングアクチュエータ91と、レベリングアクチュエータ91の下面91a(図2参照)から灯体ユニット4及び灯体ブラケット5に向かって下方に突出しレベリングアクチュエータ91の前後方向の可動領域91b(図2参照)で移動するように設けられたアクチュエータ出力軸92とからなる。エイミング/レベリング共用ブラケット10は樹脂製の一体射出成形品であり、上下エイミング機構8のエイミングナット82(図4参照)及びレベリング機構9のアクチュエータ出力軸92を収容する長方形凹部11(図4参照)を有する。エイミング/レベリング共用ブラケット10は灯体ブラケット5に接続され、灯体ユニット4の光軸を可変とする。
【0013】
始めに、図1の(B)を参照して上下エイミング動作を説明する。上下エイミング機構8のエイミングナット82を作用点として回転させると、レベリング機構9のアクチュエータ出力軸92を力点として支点エイミング機構6のエイミング支点に対して上下運動させて上下エイミングを行う。
【0014】
次に、図1のレベリングアクチュエータ91とアクチュエータ出力軸92との関係を示す図2をも参照して上下レベリング動作を説明する。尚、上下レベリング動作は車両の重量等を検出するセンサ(図示せず)の出力信号を受けて制御ユニット(図示せず)が上下レベリング信号を発生してレベリングアクチュエータ91の内蔵モータを駆動させることによって実行される。
【0015】
図1図2において、アクチュエータ出力軸92は車両前後方向に移動可能である。次に、車両に人や荷物が搭載されていない車両軽量状態では、図2の(A)に示すごとく、アクチュエータ出力軸92が後方端91b-1側に移動し、灯体ブラケット5に力が働き支点エイミング機構6を支点して灯体ユニット4が下がりその光軸を下方へ向かせることができる。他方、車両に人や荷物が搭載されている車両重量状態では、図2の(B)に示すごとく、アクチュエータ出力軸92が前方端91b-2側に移動し、灯体ブラケット5に力が働き支点エイミング機構6を支点して灯体ユニット4が上がりその光軸を上方へ向かわせることができる。
【0016】
エイミング/レベリング共用ブラケット10を小さくしたい場合は、図2のように、アクチュエータ出力軸92を下向きにし、レベリング機構9及びエイミング/レベリング共用ブラケット10を灯体ユニット4や灯体ブラケット5の上方に配置するのがよい。
【0017】
尚、変更例として、レベリング機構9及びエイミング/レベリング共用ブラケット10を灯体ユニット4及び灯体ブラケット5の下方に配置する構成がある。この場合、車両に人や荷物が搭載されていない車両軽量状態ではアクチュエータ出力軸92を可動領域の前方端側に位置させて灯体ユニット4の光軸を上げ、他方、車両に人や荷物が搭載されている車両重量状態ではアクチュエータ出力軸92を可動領域の後方端側に位置させて灯体ユニット4の光軸を下げる必要がある。この結果、エイミングナット82をアクチュエータ出力軸92の可動領域91b分だけ後方の位置にする必要があるため、変更例のエイミング/レベリング共用ブラケット10の前後方向長さは図1図2の場合より大きくする必要がある。
【0018】
尚、変更例においては、レベリング機構9及びエイミング/レべリング共用ブラケット10の位置の変更により支点エイミング機構6及び左右エイミング機構7が灯体ユニット4の上方に配置される。
【0019】
このように、図1図2のごとく、灯体ユニット4の上方にレベリング機構9を配置すれば、エイミング/レベリング共用ブラケット10の前後方向長さを短くできるため、小型のレベリング機構9を提供することができる。
【0020】
図3図1の車両用灯具の詳細を示し、(A)は上面図、(B)は正面図である。
【0021】
図3において、上下エイミング作用点として動作するエイミングナット82とレベリング力点として動作するアクチュエータ出力軸92とが左右上下でエイミングナット82の中心軸線Ax上に配置してある。この結果、アクチュエータ出力軸92を矢印に示すごとく前後に移動させたとき、上下エイミング作用点を含む中心軸線Axを回転軸とした回転モーメントは低減できる。尚、中心軸線Axは車両の前後方向に対して若干傾斜している。
【0022】
図4図1のエイミング/レベリング共用ブラケット10の詳細を示し、(A)は全体平面図、(B)は弾性片の拡大図である
【0023】
図4の(A)に示すように、上下エイミング作用点としてのエイミングナット82及び力点としてのアクチュエータ出力軸92を収容する長方形凹部11は車両のほぼ前後方向であるエイミングナット82の中心軸線Ax上に配置されている。これにより、アクチュエータ出力軸92の長方形凹部11の変位量を小さくすることができる。
【0024】
さらに、エイミングナット82は、エイミング/レベリング共用ブラケット10の後方端に設けられ、長方形凹部11はエイミング/レべリング共用ブラケット10の前方端に設けられている。これは、レベリングアクチュエータ91を配置するスペースと、上下レベリング信号がレベリングアクチュエータ91に伝えらえたときにアクチュエータ出力軸92が前後に移動する可動領域91b分の長さとを確保するためである。このスペースと可動領域91b分とが確保できればよいため、エイミングナット82と長方形凹部11の位置はエイミング/レベリング共用ブラケット10の端部でなくともよい。つまり、エイミングナット82は、エイミング/レベリング共用ブラケット10の後方端ではなく後方端近傍に設ければよく、長方形凹部11は当該ング/レベリング共用ブラケット10の前方端ではなく前方端近傍に設けられればよい。
【0025】
図4の(B)を参照すると、弾性片12aはエイミングナット82の近傍の長方形凹部11側に配置され、中心軸線Axに沿って一方側たとえば右側に形成されている。すなわち、エイミングボルト81でエイミング/レベリング共用ブラケット10を引込む際に、弾性片12a及び弾性片12aの反対側の当て部(摺動部)12bがハウジング2側に加え込まれることによってエイミングボルト81の回転力によるエイミング/レベリング共用ブラケット10の回転及び変形を抑制できる。また、弾性片12aを右側に設けて当て部(摺動部)12bの抵抗を低くするので、エイミングナット82を含むエイミング/レベリング共用ブラケット10の変形を抑制できる。さらに、アクチュエータ出力軸92の長方形凹部11の変位量が小さくなった分、弾性片12aにかかる力を低減できるので、弾性片12aは樹脂で製造でき、従って、弾性片12aをエイミング/レベリング共用ブラケット10に一体成型でき、製造コストを低減できる。
【0026】
さらに、エイミング/レベリング共用ブラケット10をエイミングナット82から長方形凹部11に向って末広がり状に形成する。これにより、エイミング/レベリング共用ブラケット10が補強されるので、エイミング/レべリング共用ブラケット10の変位量を小さくできる
【0027】
さらにまた、エイミングナット82の横には、エイミングナット82のマニアル回転の際にエイミング/レベリング共用ブラケット10全体の回転を防止するための左右に延びた回転防止部13a、13bを設ける。
【0028】
さらにまた、エイミング/レベリング共用ブラケット10の前方側には長方形凹部11と並んで左右にばね内蔵スリット構造14a、14bを設ける。ばね内蔵スリット構造14a、14bは、灯体ユニット4の上下方向の振動による力を灯体ブラケット5が受けないように、エイミング/レベリング共用ブラケット10の凹部の深さとハウジング2との上下方向のバタつき量とを設定する(図1の(A)参照)。これにより、灯体ユニット4に上下方向への負荷がかからないようにする。
【0029】
図5図4のエイミング/レベリング共用ブラケット10の変位量シュミレーション結果を示す図である。
【0030】
図5に示すごとく、支点として動作するエイミングナット82と力点として動作するアクチュエータ出力軸92の長方形凹部11とは中心軸線Axに関して左右方向でオフセット量がほぼ0である。つまり、支点と力点とは同一軸上にある。この結果、変位量シミュレーションを行うと、アクチュエータ出力軸92の長方形凹部11に前方向力F1=10N及び後方向力F2=10Nを与えた場合、エイミングナット82(支点)を中心軸線Axに対してアクチュエータ出力軸92の長方形凹部11(力点)に回転モーメントがほとんど発生せず、エイミング/レべリング共用ブラケット10の長方形凹部11の変位置が0.03mm程度と小さくなってアクチュエータ出力軸92はほとんど変形しない。このとき、摺動部12b及び弾性片12aにかかる力P1及びP2は1.97N、1.90Nと非常に小さくなる。従って、弾性片12aは樹脂とし、エイミング/レべリング共用ブラケット10と一体化でき、製造コストを低減できる。
【0031】
尚、上述の実施の形態においては、長方形凹部11の形状は長方形でなくともよく、長方形の角をR面取りしてもよいし、楕円形でもよいし、円形でもよい。ただし、円形の場合は、アクチュエータ出力軸92と凹部の端面が接触しないように隙間を設けた方がよい。
【0032】
また、上述の実施の形態において、長方形凹部11は、エイミングナット82の中心軸線Ax上に配置しているが、長方形凹部11の中心と一致させる必要はなく、長方形凹部11の範囲内に中心軸線Axが通る位置であればよい。さらに言えば、エイミング/レべリング共用ブラケット10の変位量は少し増えるが、長方形凹部11がエイミングナットの中心軸線Ax上近傍に配置されていれば、従来より変位量は低減することができる。
【0033】
さらに、上述の実施の形態においては、上下エイミング機構とレべリング機構とを組合せているが、左右エイミング機構とレべリング機構とを組合せることもできる。この場合、左右レべリング機構の左右レべリング動作は車両の所定の操作手段からの信号たとえばステーアリング信号を受けてレベリングアクチュエータの内蔵モータを駆動することによって実行される。たとえば、AFS(Adaptive Front-Light System)制御に用いることができる。
【0034】
さらにまた、本発明は上述の実施の形態の自明の範囲のいかなる変更も適用し得る。
【符号の説明】
【0035】
1:アウタレンズ
2:ハウジング
3:インナレンズ
4:灯体ユニット
5:灯体ブラケット
6:支点エイミング機構
7:左右エイミング機構
8:上下エイミング機構
81:エイミングボルト
82:エイミングナット
9:レべリング機構
91:レべリングアクチュエータ
91a:下面
91b:アクチュエータ出力軸の可動領域
91b-1:後方端
91b-2:前方端
92:アクチュエータ出力軸
10:エイミング/レべリング共用ブラケット
11:長方形凹部
12a:弾性片
12b:当て部(摺動部)
13a、13b:回転防止部
14a、14b:ばね内蔵スリット構造
100:ハウジング
200:レべリング機構
201:レべリングアクチュエータ
202:アクチュエータ出力軸
300:エイミング/レべリング共用ブラケット
301:エイミングボルト
302:エイミングナット
303:長方形凹部
304:段下り部
305a:弾性片
305b:当て部(摺動部)
306:ストッパ
Ax:中心軸線
図1
図2
図3
図4
図5
図6