(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-20
(45)【発行日】2025-01-06
(54)【発明の名称】デンタル加工機のアラート通知装置、アラート通知システムおよびアラート通知用のコンピュータプログラム
(51)【国際特許分類】
A61C 3/00 20060101AFI20241223BHJP
B23Q 17/09 20060101ALI20241223BHJP
G05B 19/418 20060101ALI20241223BHJP
G06Q 50/04 20120101ALI20241223BHJP
【FI】
A61C3/00
B23Q17/09 A
G05B19/418 Z
G06Q50/04
(21)【出願番号】P 2020208182
(22)【出願日】2020-12-16
【審査請求日】2023-10-06
(73)【特許権者】
【識別番号】317009525
【氏名又は名称】DGSHAPE株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100121500
【氏名又は名称】後藤 高志
(74)【代理人】
【識別番号】100121186
【氏名又は名称】山根 広昭
(74)【代理人】
【識別番号】100189887
【氏名又は名称】古市 昭博
(72)【発明者】
【氏名】花島 正樹
(72)【発明者】
【氏名】大▲高▼ 全
【審査官】白土 博之
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-021008(JP,A)
【文献】特開2020-135261(JP,A)
【文献】特開2002-006942(JP,A)
【文献】特開2018-156486(JP,A)
【文献】特開2020-135012(JP,A)
【文献】特開2003-067049(JP,A)
【文献】特開2018-060260(JP,A)
【文献】特開2020-157383(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61C 1/00-13/38
A61C 19/00-19/10
B23Q 11/00-13/00
B23Q 17/00-23/00
G05B 19/18-19/416
G05B 19/42-19/46
G05B 23/00-23/02
H04M 3/00
H04M 3/16-3/20
H04M 3/38-3/58
H04M 7/00-7/16
H04M 11/00-11/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
デンタル加工機からエラー情報を受信する受信部と、
前記受信部によって受信された前記エラー情報の中から、予め設定された第1期間に発生した前記エラー情報を、第1抽出エラー情報として抽出する第1抽出部と、
前記デンタル加工機のメンテナンスを行うメンテナンス業者が使用する管理装置に、前記第1抽出エラー情報に関するアラートを通知する通知部と、
を備えた、デンタル加工機のアラート通知装置。
【請求項2】
前記受信部は、前記管理装置から、前記メンテナンス業者によって設定された前記第1期間の設定値を受信し、
前記受信部によって受信された前記設定値を前記第1期間に設定する期間設定部を備えた、請求項1に記載されたデンタル加工機のアラート通知装置。
【請求項3】
前記期間設定部は、前記エラー情報の種類ごとに前記第1期間を設定する、請求項2に記載されたデンタル加工機のアラート通知装置。
【請求項4】
前記通知部は、前回のアラートの通知から予め設定された通知時間が経過したタイミングで、アラートを通知する、請求項1から3までの何れか1つに記載されたデンタル加工機のアラート通知装置。
【請求項5】
前記受信部によって受信された前記エラー情報の中から、予め設定された第2期間に、予め設定された基準発生回数、発生した前記エラー情報の種類を、第2抽出エラー情報として抽出する第2抽出部を備え、
前記通知部は、前記管理装置に、前記第2抽出エラー情報に関するアラートを通知する、請求項1から4までの何れか1つに記載されたデンタル加工機のアラート通知装置。
【請求項6】
前記第2期間は、前記第1期間よりも長い期間であり、
前記第2抽出部は、前記第1抽出部によって抽出された前記第1抽出エラー情報の中から、前記第2期間に、前記基準発生回数、発生した前記第1抽出エラー情報の種類を、前記第2抽出エラー情報として抽出する、請求項5に記載されたデンタル加工機のアラート通知装置。
【請求項7】
前記通知部は、前記管理装置に予め設定されたメールアドレスに、メールでアラートを通知する、請求項1から6までの何れか1つに記載されたデンタル加工機のアラート通知装置。
【請求項8】
前記エラー情報の種類ごとに、アラートを通知する通知先の前記メールアドレスを設定するアドレス設定部を備えた、請求項7に記載されたデンタル加工機のアラート通知装置。
【請求項9】
デンタル加工機と、
請求項1から8までの何れか1つに記載されたデンタル加工機のアラート通知装置と、
前記デンタル加工機のメンテナンスを行うメンテナンス業者が使用する管理装置と、
を備え、
前記デンタル加工機は、前記エラー情報を前記アラート通知装置に送信するデンタル送信部を有する制御装置を備えた、アラート通知システム。
【請求項10】
前記デンタル加工機は、予め設定された基準使用時間が経過したときに交換される交換部品を備え、
前記デンタル送信部は、前記交換部品が使用された使用時間を前記アラート通知装置に送信し、
前記アラート通知装置の前記受信部は、前記使用時間を受信し、
前記アラート通知装置は、前記受信部によって受信された前記使用時間が前記基準使用時間よりも長いか否かを判定する時間判定部を備え、
前記アラート通知装置の前記通知部は、前記時間判定部によって前記使用時間が前記基準使用時間よりも長いと判定されたとき、前記交換部品の交換に関するアラートを通知する、請求項9に記載されたアラート通知システム。
【請求項11】
前記交換部品は、前記デンタル加工機が被加工物を切削するための加工ツール、または、前記加工ツールを回転させるスピンドルである、請求項10に記載されたアラート通知システム。
【請求項12】
前記デンタル加工機は、電流が流されることで、被加工物を加工する加工ツールを回転させるように構成されたスピンドルを備え、
前記デンタル送信部は、前記スピンドルに流されるスピンドル電流値を前記アラート通知装置に送信し、
前記アラート通知装置の前記受信部は、前記スピンドル電流値を受信し、
前記アラート通知装置は、前記受信部によって受信された前記スピンドル電流値が、予め設定された閾値よりも高いか否かを判定する電流値判定部を備え、
前記アラート通知装置の前記通知部は、前記電流値判定部によって前記スピンドル電流値が前記閾値よりも高いと判定されたとき、前記スピンドルに関するアラートを通知する、請求項9から11までの何れか1つに記載されたアラート通知システム。
【請求項13】
複数の前記デンタル加工機を備え、
前記アラート通知装置の前記通知部は、複数の前記デンタル加工機に対する前記第1抽出エラー情報に関するアラートを一括で通知する、請求項9から12までの何れか1つに記載されたアラート通知システム。
【請求項14】
前記アラート通知装置の前記通知部は、前記管理装置に予め設定されたメールアドレスに、メールでアラートを通知し、
前記アラート通知装置は、前記デンタル加工機ごとに、アラートを通知する通知先の前記メールアドレスを設定するアドレス設定部を備えた、請求項13に記載されたアラート通知システム。
【請求項15】
デンタル加工機からエラー情報を受信する受信部と、
前記受信部によって受信された前記エラー情報の中から、予め設定された第1期間に発生した前記エラー情報を、第1抽出エラー情報として抽出する第1抽出部と、
前記デンタル加工機のメンテナンスを行うメンテナンス業者が使用する管理装置に、前記第1抽出エラー情報に関するアラートを通知する通知部と、
を少なくともコンピュータに実行させるためのアラート通知用のコンピュータプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、デンタル加工機のアラート通知装置、アラート通知システム、および、アラート通知用のコンピュータプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば特許文献1には、セラミックまたは樹脂などの所定の材料によって形成された被加工物を所望の形状に切削加工(以下、加工ともいう。)することで、対象物を作製する切削装置が開示されている。特許文献1に開示された切削装置は、刃物部を有する棒状の加工ツールを用いて、中心軸を中心に加工ツールを回転させながら、加工ツールと被加工物との相対的な位置を変更することで、被加工物を加工する。その結果、所望の対象物を作製することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上記切削加工機の一例として、デンタル分野で使用されるデンタル加工機が挙げられる。デンタル加工機で被加工物を加工中、デンタル加工機にエラーが発生することがあり得る。エラーの種類によっては、デンタル加工機の利用者側では当該エラーを解消できないことがあり得る。その場合には、利用者は、例えばコールセンターなどのメンテナンス業者に連絡する。そのため、メンテナンス業者は、利用者からの連絡によってデンタル加工機にエラーが発生したことを知ることが多かった。エラーが発生している間は、デンタル加工機を使用することができないことがあり、作業効率の低下に繋がる。
【0005】
本発明はかかる点に鑑みてなされたものであり、その目的は、デンタル加工機にエラーが発生したとき、デンタル加工機をメンテナンスするメンテナンス業者に、より早くエラーに関するアラートを通知することが可能なデンタル加工機のアラート通知装置、アラート通知システム、および、アラート通知用のコンピュータプログラムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係るデンタル加工機のアラート通知装置は、受信部と、第1抽出部と、通知部とを備えている。前記受信部は、デンタル加工機からエラー情報を受信する。前記第1抽出部は、前記受信部によって受信された前記エラー情報の中から、予め設定された第1期間に発生した前記エラー情報を、第1抽出エラー情報として抽出する。前記通知部は、前記デンタル加工機のメンテナンスを行うメンテナンス業者が使用する管理装置に、前記第1抽出エラー情報に関するアラートを通知する。
【0007】
前記デンタル加工機のアラート通知装置によれば、デンタル加工機にエラーが発生したとき、当該エラーに関するエラー情報を受信し、第1期間に発生したエラー情報を第1抽出エラー情報として抽出する。そして、第1抽出エラー情報に関するアラートをメンテナンス業者に通知する。そのため、メンテナンス業者は、アラートを通知されることで、デンタル加工機にどのような種類のエラーが発生したかを知ることができる。よって、デンタル加工機の利用者からの連絡を待つことなく、デンタル加工機にエラーが発生したことをより早く知ることができる。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、デンタル加工機にエラーが発生したとき、メンテナンス業者により早くエラーに関するアラートを通知することが可能なデンタル加工機のアラート通知装置、アラート通知システム、および、アラート通知用のコンピュータプログラムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】実施形態に係るアラート通知システムの概念図である。
【
図3】デンタル加工機の正面図であり、カバーを開けた状態を示す図である。
【
図4】ツールマガジン、回転支持部材およびクランプの斜視図である。
【
図5】実施形態に係るアラート通知システムのブロック図である。
【
図6】アラート通知装置から管理装置へ第1抽出エラー情報に関するアラートを通知する手順を示したフローチャートである。
【
図8】エラー情報に関するアラートの通知を行ったメールの一例を示す図である。
【
図9】メンテナンス業者が第1期間を設定する際のアラート通知装置の制御手順を示したフローチャートである。
【
図10】第1期間および第2期間で発生したエラーの種類の一例を示した図である。
【
図11】管理装置の管理表示画面に表示される管理画面の一例を示す図である。
【
図12】アラート通知装置から管理装置へ第2抽出エラー情報に関するアラートを通知する手順を示したフローチャートである。
【
図13】メンテナンス業者が第2期間および基準発生回数を設定する際のアラート通知装置の制御手順を示したフローチャートである。
【
図14】予測アラートを通知する手順を示したフローチャートである。
【
図15】交換部品に関する交換アラートを通知する手順を示したフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施の形態に係るデンタル加工機のアラート通知装置を備えたアラート通知システムについて説明する。なお、ここで説明される実施の形態は、当然ながら本発明を特に限定することを意図したものではない。
【0011】
図1は、本実施形態に係るアラート通知システム1の概念図である。アラート通知システム1は、デンタル加工機100にエラーが発生したときのエラー情報に基づいて、デンタル加工機100に関するアラートを、後述するメンテナンス業者に通知するためのシステムである。
【0012】
図1に示すように、本実施形態に係るアラート通知システム1は、デンタル加工機100と、操作端末110と、デンタル加工機のアラート通知装置(以下、アラート通知装置ともいう。)120と、管理装置150とを備えている。本実施形態に係るデンタル加工機100の数は特に限定されない。デンタル加工機100は、1つであってもよいし複数であってもよい。操作端末110は、利用者がデンタル加工機100を操作するときに使用される端末である。操作端末110には、1つまたは複数のデンタル加工機100が通信可能に接続されている。本実施形態では、1つのデンタル加工機100には、1つの操作端末110が通信可能に接続されているが、複数の操作端末110が接続されていてもよい。なお、本実施形態に係る操作端末110の数も特に限定されない。
【0013】
アラート通知装置120は、デンタル加工機100に関する情報を一括で管理するものであり、必要に応じてアラートを管理装置150に通知する。アラート通知装置120には、複数のデンタル加工機100が通信可能に接続されている。また、本実施形態では、アラート通知装置120には、複数の操作端末110も通信可能に接続されており、操作端末110を介して複数のデンタル加工機100が接続されている。アラート通知装置120は、1つであってもよいし、複数であってもよい。
【0014】
管理装置150は、デンタル加工機100のメンテナンスを行うメンテナンス業者が使用する装置であり、アラート通知装置120から、デンタル加工機100に関するアラートが通知される装置である。ここでは、管理装置150は、アラート通知装置120に通信可能に接続されている。なお、管理装置150の数も特に限定されない。管理装置150の数は、本実施形態のように1つであってもよいし、複数であってもよい。
【0015】
なお、本実施形態では、アラート通知システム1は、クライアントサーバ型のシステムによって実現されるものであってもよいし、クラウド・コンピューティングによって実現されるものであってもよい。以下、デンタル加工機100、操作端末110、アラート通知装置120および管理装置150について詳しく説明する。
【0016】
まず、デンタル加工機100について説明する。複数のデンタル加工機100は、機種が異なることがあり得る。しかしながら、複数のデンタル加工機100の基本的な構成は同じである。そのため、ここでは、デンタル加工機100の基本的な構成について説明する。
【0017】
図2は、デンタル加工機100の斜視図である。
図3は、デンタル加工機100の正面図であり、カバー12を開けた状態を示す図である。
図4は、後述するツールマガジン14、回転支持部材15およびクランプ16の斜視図である。
図5は、本実施形態に係るアラート通知システム1のブロック図である。以下の説明において、左方、右方とは、デンタル加工機100の正面にいる、すなわちカバー12と向かい合う位置にいる利用者から見た左方、右方をそれぞれ意味する。また、デンタル加工機100の本体11の内部の加工空間26(
図3参照)を形成する底面は、上記の利用者から見て手前から奥に向かうにしたがって下方に傾斜している。そこで、本実施形態では、上記底面に沿って上記利用者がデンタル加工機100から遠ざかる方を前方とし、上記底面に沿って上記利用者がデンタル加工機100に近づく方を後方とする。また、上記底面に直交する方向において、上をデンタル加工機100の上方、下をデンタル加工機100の下方とする。なお、図面中のF、Rr、L、R、U、Dは、それぞれ前、後、左、右、上、下を意味する。
【0018】
本実施形態では、デンタル加工機100は、互いに直交する軸をX軸、Y軸、Z軸としたとき、X軸とY軸とで構成される平面に配置されている。例えば、X軸は左右方向に延びた軸であり、Y軸は前後方向に延びた軸であり、Z軸は上下方向に延びた軸である。また、図面の符号θx、θy、θzは、それぞれX軸周り、Y軸周り、Z軸周りの回転方向を示している。ただし、上記方向は、説明の便宜上定めた方向に過ぎず、デンタル加工機100の設置態様を何ら限定するものではなく、本発明を何ら限定するものでもない。
【0019】
デンタル加工機100は、被加工物5(
図4参照)を切削加工することで、対象物を作製する。ここで、対象物の種類は特に限定されないが、例えば歯冠補綴物である。歯冠補綴物として、例えばインレー、クラウン、ブリッジなどが挙げられる。本実施形態では、デンタル加工機100は、デンタル分野で使用されるものであり、被加工物5から歯冠補綴物を作製する。
【0020】
被加工物5の形状は、例えば円盤形状である。被加工物5は、ジルコニア、ワックス、ポリメタクリル酸メチル樹脂(PMMA)、ハイブリッドレジン、PEEK(ポリエーテルエーテルケトン樹脂)、石膏などの材料の種類によって形成されている。被加工物5の材料の種類としてジルコニアを用いるときには、例えば、半焼結したジルコニアが用いられる。ただし、被加工物5の形状および材料は特に限定されない。
【0021】
図2に示すように、デンタル加工機100は、本体11と、カバー12と、加工機構13(
図3参照)と、ツールマガジン14(
図4参照)と、回転支持部材15と、クランプ16(
図4参照)とを備えている。本体11は、箱状に形成されており、内部に空間を有している。この空間が加工空間26(
図3参照)である。加工空間26は、被加工物5が切削加工される空間である。詳しい図示は省略するが、上述のように、加工空間26を形成する底面は、前方から後方に向かうにしたがって下方に傾斜している。本体11の前部は開口している。
図3に示すように、カバー12は、本体11の開口を開閉自在に、本体11に支持されている。カバー12には窓部12aが設けられている。利用者は窓部12aから本体11内の加工空間26を視認することができる。
【0022】
図3に示すように、加工機構13は、加工ツール8を使用して被加工物5を切削加工するものである。加工機構13は、加工ツール8を回転させながら被加工物5に接触させることで、被加工物5を加工する。加工機構13は、スピンドル31と、ツール把持部32とを有している。スピンドル31およびツール把持部32は、本体11の加工空間26に配置されている。スピンドル31は、ツール把持部32、および、ツール把持部32に把持された棒状の加工ツール8を、加工ツール8の中心軸を中心にして回転させるものである。スピンドル31は、本体11に対して取り換え可能に設けられている。スピンドル31は、上下方向に延びており、Z軸周りθzに回転可能に構成されている。
【0023】
ツール把持部32は、加工ツール8を把持するものであり、スピンドル31に設けられている。詳しくは、ツール把持部32は、スピンドル31の底面に設けられている。ツール把持部32は、本体11に対して取り換え可能に設けられている。ツール把持部32は、複数の加工ツール8のうち1つを選択的に把持する。スピンドル31がZ軸周りθzに回転することで、ツール把持部32、および、ツール把持部32に把持された加工ツール8は、Z軸周りθz、言い換えると加工ツール8の中心軸周りに回転する。
【0024】
本実施形態では、ツール把持部32に把持される加工ツール8は、複数存在する。加工ツール8は、棒状であり、下部に刃物部8aを有している。この刃物部8aの形状が異なる複数の種類の加工ツール8が予め用意されている。加工中、ツール把持部32に把持された加工ツール8は、必要に応じて他の加工ツール8に交換される。
【0025】
本実施形態では、スピンドル31および加工ツール8は、消耗品であり、所定の時間または所定の回数使用された後、交換されるものである。ここでは、スピンドル31または加工ツール8のように、ある程度使用された後に交換される部品のことを交換部品38という。交換部品38は、予め設定された基準使用時間T5(
図15参照)が経過したときに交換を推奨されるものであり、デンタル加工機100に備えられている。
【0026】
なお、ここでは、交換部品38の一例としてスピンドル31または加工ツール8を挙げているが、交換部品38は、スピンドル31や加工ツール8に限定されるものではない。すなわち、交換部品38には、スピンドル31または加工ツール8以外のものであっても、基準使用時間T5が経過したときに交換が推奨されるものが含まれ得る。ここで、基準使用時間T5とは、概念的なものであり、交換部品38に含まれるスピンドル31や加工ツール8などの全ての部品に対して、具体的な基準使用時間T5は同じ時間ではないことがあり得る。すなわち、基準使用時間T5は、交換部品38に含まれる部品ごとに設定される時間であり、交換部品38に含まれる部品ごとに異なる時間が設定されてもよい。例えば交換部品38に含まれるスピンドル31の基準使用時間T5は、凡そ2,000時間であり、交換部品38に含まれる加工ツール8の基準使用時間T5は、凡そ10時間~20時間である。
【0027】
本実施形態では、
図5に示すように、デンタル加工機100は、移動機構33を備えている。移動機構33は、加工機構13(詳しくは、スピンドル31およびツール把持部32)を移動させる機構である。ここでは、移動機構33は、加工機構13を左右方向および上下方向に移動するように構成されている。なお、移動機構33の構成は特に限定されない。例えば移動機構33は、モータによって構成され、モータが駆動することで加工機構13が移動する。
【0028】
図4に示すように、ツールマガジン14は、複数の加工ツール8を収容することが可能なものである。本実施形態では、ツールマガジン14は、箱状に形成されている。ツールマガジン14の上面には、加工ツール8を収容する複数の収容孔35が形成されている。加工ツール8は、その上部が露出された状態で収容孔35に挿通されている。なお、収容孔35の数は特に限定されないが、ここでは10個である。そのため、本実施形態では、ツールマガジン14には、10本の加工ツール8を収容することが可能である。ツール把持部32に把持されている加工ツール8を交換する際には、ツール把持部32に把持されている加工ツール8を収容孔35に戻す。そして、次に使用する加工ツール8の上方の位置まで加工機構13を移動させる。その後、ツール把持部32の下方に位置する加工ツール8の上端をツール把持部32が把持する。
【0029】
本実施形態では、
図4に示すように、ツールマガジン14には、回転支持部材15を回転可能に支持する第1回転軸41が設けられている。第1回転軸41は左右方向に延びており、回転支持部材15に連結している。図示は省略するが、ツールマガジン14には、第1回転軸41を回転させる駆動機構が設けられている。第1回転軸41は、当該駆動機構によってX軸周りθxに回転可能に構成されている。第1回転軸41がX軸周りθxに回転することで、回転支持部材15はX軸周りθxに回転する。
【0030】
回転支持部材15は、クランプ16を回転可能に支持している。回転支持部材15は、平面視で、略C字形状に形成されている。回転支持部材15は、第1回転軸41を介して、ツールマガジン14と連結している。回転支持部材15は、第1部分51と、第2部分52と、第3部分53とを有している。第1部分51は、ツールマガジン14の左方に配置されており、前後方向に延びている。第2部分52は、第1部分51の後端から左方に延びている。第3部分53は、第1部分51の前端から左方に延びている。第3部分53は、第2部分52と対向している。本実施形態では、第2部分52と第3部分53との間に、クランプ16が配置されている。
【0031】
クランプ16は、被加工物5を加工する際に被加工物5を支持する部材である。本実施形態では、被加工物5には、アダプタ(図示せず)が取り付けられており、クランプ16は、上記アダプタを介して被加工物5を支持する。例えばクランプ16は、被加工物5の形状の一部に対応した形状をしている。ここでは、クランプ16は、平面視において略C字形状である。クランプ16は、回転支持部材15の第2部分52および第3部分53に回転可能に支持されている。クランプ16の後部には、第2回転軸42の一端が接続されており、第2回転軸42の他端には、第2部分52が接続されている。クランプ16の前部には、第3回転軸43の一端が接続されており、第3回転軸43の他端には、第3部分53が接続されている。本実施形態では、第3部分53には、クランプ16をY軸回りθyに回転させる駆動モータ16a(
図5参照)が設けられている。
【0032】
本実施形態に係るデンタル加工機100は、いわゆるディスクチェンジャー付きのデンタル加工機であってもよい。なお、この場合のディスクチェンジャーは、従来公知のものを採用することができる。ディスクチェンジャーとして、例えば特開2018-89763号公報に記載された被加工物搬送装置を採用することができる。
【0033】
図2に示すように、デンタル加工機100は、制御装置60を備えている。制御装置60は、被加工物5の加工に関する制御を行う装置である。制御装置60は、マイクロコンピュータからなっており、本体11の内部に設けられている。制御装置60は、例えば中央処理装置(CPU)と、CPUが実行するプログラムなどを格納したROMと、RAMなどを備えている。ここでは、マイクロコンピュータ内に保存されたプログラムを利用して、被加工物5の加工に関する制御を行う。
【0034】
図5に示すように、制御装置60は、スピンドル31に通信可能に接続されており、スピンドル31の回転を制御する。制御装置60は、クランプ16をY軸周りθyに回転させる駆動モータ16aに通信可能に接続されており、駆動モータ16aを制御する。制御装置60は、加工機構13を左右方向および上下方向に移動させる移動機構33に通信可能に接続されており、移動機構33を制御する。また、図示は省略するが、制御装置60は、第1回転軸41を回転させる上記駆動機構に通信可能に接続されており、上記駆動機構を制御する。
【0035】
本実施形態では、
図5に示すように、制御装置60は、デンタル記憶部61と、デンタル受信部62と、デンタル送信部63と、エラー検出部64と、電流値取得部65と、時間算出部66とを備えている。デンタル受信部62は、操作端末110やアラート通知装置120から各種の情報を受信する。デンタル送信部63は、操作端末110やアラート通知装置120に各種の情報(例えばエラー情報E1(
図7参照))を送信する。エラー検出部64は、被加工物5を加工しているときに発生したデンタル加工機100のエラーを検出する。電流値取得部65は、スピンドル31に流れる電流の値であるスピンドル電流値A1(
図14参照)を取得する。時間算出部66は、加工ツール8やスピンドル31などの交換部品38が実際に使用された使用時間T6(
図15参照)を算出する。
【0036】
次に、
図1に示す操作端末110について説明する。本実施形態では、複数の操作端末110は同じ構成を有している。そのため、以下では、1つの操作端末110の構成について説明する。操作端末110は、デンタル加工機100を操作する端末である。操作端末110は、例えばパーソナルコンピュータによって実現されるものである。操作端末110は、汎用のコンピュータで実現されるものであってもよいし、専用のコンピュータによって実現されるものであってもよい。
【0037】
図1に示すように、操作端末110には、デンタル加工機100が通信可能に接続されている。操作端末110は、通信可能に接続されたデンタル加工機100を操作することが可能である。操作端末110は、
図5に示すように、例えば端末表示画面111と、端末操作部112と、端末制御装置113とを備えている。
【0038】
端末表示画面111の種類は特に限定されないが、例えばデスクトップ型のパーソナルコンピュータ、または、ノート型のパーソナルコンピュータ(言い換えると、ラップトップコンピュータ)のディスプレイである。端末操作部112は、例えばパーソナルコンピュータのキーボードおよびマウスである。ただし、端末操作部112は、端末表示画面111に設けられたタッチパネルであってもよい。
【0039】
端末制御装置113は、例えばマイクロコンピュータである。マイクロコンピュータのハードウェアの構成は特に限定されないが、例えば、CPUと、ROMと、RAMと、記憶装置などを備えている。端末制御装置113は、端末表示画面111および端末操作部112に通信可能に接続されている。また、端末制御装置113は、デンタル加工機100の制御装置60にも通信可能に接続されている。
【0040】
端末制御装置113には、デンタル加工機100を操作するための専用のアプリケーションがインストールされている。利用者は、端末操作部112を操作して上記アプリケーションを端末表示画面111に表示し、端末操作部112を介して上記アプリケーションを操作することで、デンタル加工機100を操作することができる。
【0041】
図5に示すように、端末制御装置113は、端末記憶部115と、端末受信部116と、端末送信部117とを備えている。端末受信部116は、例えばデンタル加工機100やアラート通知装置120から各種の情報などを受信する。端末送信部117は、例えばデンタル加工機100やアラート通知装置120に各種の情報などを送信する。
【0042】
次に、
図1に示すアラート通知装置120について説明する。アラート通知装置120は、デンタル加工機100に不具合が生じたとき、または、不具合が生じ得る状況になりそうなときに、管理装置150にアラートを通知する装置である。ここで、デンタル加工機100の不具合とは、例えばデンタル加工機100にエラーが発生したときや、デンタル加工機100に対するメンテナンスが必要になったときなどのことをいう。
【0043】
例えばアラート通知システム1がクライアントサーバ型のシステムによって実現される場合には、アラート通知装置120は、サーバとして機能する。一方、アラート通知システム1がクラウド・コンピューティングによって実現される場合には、アラート通知装置120は、クラウドとして機能する。
【0044】
本実施形態では、
図5に示すように、アラート通知装置120は、アラート表示画面121と、アラート操作部122と、アラート制御装置123とを備えている。アラート表示画面121は、例えばサーバを構成するデスクトップ型のディスプレイである。アラート操作部122は、例えばサーバを構成するパーソナルコンピュータのキーボードおよびマウスである。
【0045】
アラート制御装置123は、例えばマイクロコンピュータである。アラート制御装置123は、例えばCPUと、ROMと、RAMとを備えている。アラート制御装置123は、アラート表示画面121およびアラート操作部122と通信可能に接続されている。さらに、アラート制御装置123は、デンタル加工機100の制御装置60、および、操作端末110の端末制御装置113に通信可能に接続されている。なお、アラート制御装置123の詳しい構成については後述する。
【0046】
図1に示す管理装置150は、デンタル加工機100を管理するための装置である。本実施形態では、管理装置150は、例えばメンテナンス業者がデンタル加工機100を管理する際に使用する装置である。ここで、メンテナンス業者とは、デンタル加工機100に対するメンテナンスを請け負う業者のことである。メンテナンス業者は、デンタル加工機100の製造元であり得る。また、メンテナンス業者は、いわゆるコールセンターであってもよい。
【0047】
管理装置150は、例えばパーソナルコンピュータによって実現されるものである。管理装置150は、汎用のコンピュータで実現されるものであってもよいし、専用のコンピュータによって実現されるものであってもよい。また、管理装置150は、いわゆるスマートフォンやタブレット型のパーソナルコンピュータなどの携帯型端末であってもよい。
【0048】
図5に示すように、管理装置150は、管理表示画面151と、管理操作部152と、管理制御装置153とを備えている。管理表示画面151は、例えばデスクトップ型のパーソナルコンピュータ、ノート型のパーソナルコンピュータ(言い換えると、ラップトップコンピュータ)のディスプレイ、または、携帯型端末のディスプレイである。管理操作部152は、例えばパーソナルコンピュータのキーボードおよびマウスである。ただし、管理操作部152は、管理表示画面151に設けられたタッチパネルであってもよい。
【0049】
管理制御装置153は、例えばマイクロコンピュータである。管理制御装置153は、例えばCPUと、ROMと、RAMなどを備えている。管理制御装置153は、管理表示画面151および管理操作部152に通信可能に接続されている。また、管理制御装置153は、アラート通知装置120のアラート制御装置123に通信可能に接続されている。
【0050】
管理制御装置153は、管理記憶部155と、管理受信部156と、管理送信部157とを備えている。管理受信部156は、アラート通知装置120から各種の情報(例えばアラート通知装置120から通知されたアラート)を受信する。管理送信部157は、アラート通知装置120などに各種の情報を送信する。
【0051】
ところで、デンタル加工機100において、被加工物5を加工しているときに、エラーが発生することがあり得る。デンタル加工機100にエラーが発生したとき、利用者がエラーを解消することが可能な場合には、利用者が当該エラーを解消することで、デンタル加工機100を引き続き使用することができる。しかしながら、利用者が解消できないエラーのときには、利用者は、メンテナンス業者に連絡する。その後、メンテナンス業者は、デンタル加工機100の設置場所に伺い、デンタル加工機100のメンテナンスを行い、エラーを解消する。このように、従来では、デンタル加工機100のエラーが発生したとき、メンテナンス業者は、利用者からの連絡を受けたときにエラーが発生したことを知ることがあった。そのため、デンタル加工機100のエラーが発生したときから、エラーが発生したことをメンテナンス業者が知るまでのタイムラグが発生していた。そこで、本実施形態では、デンタル加工機100にエラーが発生したときに、エラーに関するアラートをメンテナンス業者に自動で通知するシステムを提供し、上記のタイムラグを小さくする。
【0052】
本実施形態では、デンタル加工機100にエラーが発生したときに、当該エラーに関するアラートをメンテナンス業者に通知するために、
図5に示すように、アラート通知装置120のアラート制御装置123は、記憶部131と、受信部133と、送信部135と、アドレス設定部137と、期間設定部139と、第1抽出部141と、第2抽出部142と、時間判定部145と、電流値判定部147と、通知部149とを備えている。なお、アラート制御装置123の各部は、ソフトウェアによって構成されていてもよいし、ハードウェアによって構成されていてもよい。また、アラート制御装置123の各部は、1つまたは複数のプロセッサによって実現されるものであってもよいし、回路によって組み込まれるものであってもよい。なお、アラート制御装置123の各部の具体的な制御や処理については後述する。
【0053】
次に、アラート通知装置120から管理装置150にアラートを通知する手順について説明する。ここでは、まずデンタル加工機100にエラーが発生したときのアラートの通知の一例の手順について、
図6のフローチャートに沿って説明する。本実施形態では、デンタル加工機100でエラーが発生したときに、当該エラーに関する後述のエラー情報E1をアラート通知装置120が受信する。その後、アラート通知装置120は、受信したエラー情報E1に基づいて、必要に応じてメンテナンス業者にアラートを通知する。ここでは、管理装置150にアラートを通知することで、メンテナンス業者にアラートが通知されることになる。
【0054】
本実施形態では、
図6のステップS101において、アラート通知装置120の受信部133は、デンタル加工機100からエラー情報E1を受信する。このステップS101の前において、デンタル加工機100側では、以下の制御が行われる。
【0055】
まずデンタル加工機100でエラーが発生する。エラーが発生したとき、デンタル加工機100のエラー検出部64(
図5参照)は、デンタル加工機100で発生したエラーを検出する。デンタル加工機100で発生するエラーの種類は特に限定されず、従来公知のエラーが含まれるものとする。エラーは、被加工物5を適切に加工できないときに発生するものである。エラーには、例えば加工ツール8が折れたことによるエラー、ツール把持部32が加工ツール8を把持できなかったことによるエラー、スピンドル31が適切な単位時間あたりの回転数で回転しないことによるエラー、加工機構13またはクランプ16が適切な位置に移動できないことによるエラー、上述のディスクチェンジャー付きのデンタル加工機においてディスクチェンジャーによる被加工物5の入れ替えによって生じるエラーなどが含まれる。エラー検出部64は、これらのエラーを、図示しないセンサなどを介して検出する。
【0056】
このようにエラー検出部64によってデンタル加工機100のエラーが検出された後、デンタル加工機100のデンタル送信部63(
図5参照)は、デンタル加工機100で発生したエラーに関するエラー情報E1をアラート通知装置120に送信する。なお、デンタル送信部63は、アラート通知装置120と共に操作端末110にエラー情報E1を送信してもよい。
【0057】
エラー情報E1に含まれる項目は特に限定されない。
図7は、エラー情報E1の一例を示す図である。本実施形態では、エラー情報E1は、例えばエラー日時201と、エラーID202と、機器ID203とを有している。エラー日時201は、デンタル加工機100でエラーが発生したときの日付および時刻のことである。詳しくは、エラー日時201は、デンタル加工機100のエラー検出部64がエラーを検出したときの日付および時刻のことである。ただし、エラー日時201は、アラート通知装置120がエラー情報E1を受信した日時であってもよい。
【0058】
エラーID202は、エラーの種類を一意的に特定するものである。エラーID202は、エラーの種類ごとに付された固有のIDである。メンテナンス業者は、エラーID202からどのようなエラーがデンタル加工機100で発生したかを知ることができる。詳しい図示は省略するが、例えばエラーID202のリストが、デンタル加工機100のデンタル記憶部61(
図5参照)に記憶されている。エラー検出部64がエラーを検出したとき、エラーID202のリストを参照し、エラー検出部64に検出されたエラーに該当するエラーID202をアラート通知装置120に送信する。機器ID203は、デンタル加工機100毎に付された固有のIDである。この機器ID203からデンタル加工機100を一意的に特定することができる。
【0059】
以上のように、デンタル加工機100のデンタル送信部63からエラー情報E1が送信されると、
図6のステップS101では、アラート通知装置120の受信部133は、デンタル加工機100から送信されたエラー情報E1を受信する。なお、受信部133が受信したエラー情報E1は、記憶部131に記憶される。
【0060】
次に、ステップS103において、
図5の第1抽出部141は、受信部133が受信したエラー情報E1の中から、第1期間T1に発生したエラー情報E1を、第1抽出エラー情報E21として抽出し、ステップS105において、
図5の通知部149は、第1抽出エラー情報E21に関するアラートAL1を通知する。このように、本実施形態では、予め設定された第1期間T1に発生したエラー情報E1(第1抽出エラー情報E21)に関するアラートAL1を管理装置150に通知する。この第1期間T1は、
図8の例では監視期間に相当するものである。監視期間とは、メンテナンス業者がデンタル加工機100にエラーが発生したことを知りたい現在から過去に遡った期間のことである。第1期間T1は、アラート通知装置120の記憶部131(
図5参照)に記憶されているものである。なお、この第1期間T1は、予め設定されたものであってもよいし、メンテナンス業者によって設定されるものであってもよい。
【0061】
図9は、メンテナンス業者が第1期間T1を設定する際のアラート通知装置120の制御手順を示したフローチャートである。第1期間T1がメンテナンス業者によって設定される場合、例えば管理装置150の管理表示画面151(
図5参照)に期間設定画面(図示せず)が表示される。メンテナンス業者は、管理操作部152を操作し、第1期間T1に設定したい第1設定値V1(
図9のステップS201参照)を入力する。第1設定値V1の入力が完了すると、
図5に示す管理送信部157は、第1設定値V1をアラート通知装置120に送信する。次に、
図9のステップS201では、アラート通知装置120の受信部133は、管理装置150から第1設定値V1を受信する。その後、ステップS203では、アラート通知装置120の期間設定部139(
図5参照)は、第1設定値V1を第1期間T1に設定する。この第1設定値V1に設定された第1期間T1は、記憶部131に記憶される。
【0062】
なお、例えばエラー情報E1の種類によって、第1期間T1を異ならせたい場合があり得る。例えばエラーの発生の頻度が高いエラー情報E1については、第1期間T1を短くしたり、頻度が低いエラー情報E1については、第1期間T1を長くしたりすることがあり得る。期間設定部139は、監視期間である第1期間T1を、エラー情報E1の種類ごとに設定してもよい。なお、ここで、エラー情報E1の種類とは、エラーID202(
図7参照)の種類のことをいう。すなわち、エラーID202が異なるエラー情報E1は、エラー情報E1の種類が異なるものとする。
【0063】
エラー情報E1の種類ごとに、第1期間T1が設定される場合、管理表示画面151に表示される上記期間設定画面は、エラー情報E1の種類ごとに第1設定値V1が設定可能に構成されていてもよい。そして、エラー情報E1の種類ごとに設定された第1設定値V1が、アラート通知装置120に送信され、期間設定部139は、エラー情報E1の種類ごとに、第1設定値V1を第1期間T1に設定する。
【0064】
なお、第1期間T1の具体的な期間は、特に限定されるものではない。例えば第1期間T1は、月単位、週単位または日単位であってもよいし、時単位、分単位または秒単位であってもよい。また、第1期間T1に0を設定することも可能である。第1期間T1に0が設定された場合、エラー検出部64によってデンタル加工機100のエラーが検出される毎に、アラートAL1を通知する。すなわち、この場合、エラー検出部64によってデンタル加工機100のエラーが検出される毎に、エラー発生のリアルタイムでアラートAL1が通知される。
【0065】
本実施形態では、上述のように、
図6のステップS105では、第1期間T1に発生したエラー情報E1(第1抽出エラー情報E21)に関するアラートAL1を管理装置150に通知する。そのために、ステップS103では、アラート通知装置120の第1抽出部141は、受信部133によって受信されたエラー情報E1の中から、第1期間T1に発生したエラー情報E1を、第1抽出エラー情報E21として抽出する。
図10は、第1期間T1および第2期間T2で発生したエラーの種類A、B、Cの一例を示した図である。
図10では、横軸が時間を示しており、「×」がエラーの発生を示している。
図10の例では、第1期間T1に、種類Aおよび種類Bのエラーが発生し、種類Cのエラーが発生していない。この場合、第1抽出部141は、種類Aおよび種類Bに関するエラー情報E1を、第1抽出エラー情報E21として抽出し、種類Cに関するエラー情報E1を、第1抽出エラー情報E21として抽出しない。
【0066】
このように、
図6のステップS103において、第1抽出エラー情報E21を抽出した後、ステップS105では、アラート通知装置120の通知部149は、管理装置150に第1抽出エラー情報E21に関するアラートAL1を通知する。ここで、管理装置150にアラートAL1を通知する方法は特に限定されない。本実施形態では、通知部149は、管理装置150に予め設定されたメールアドレスに、
図8に示すようなメールM1でアラートAL1を通知する。本実施形態における「アラートを通知」とは、該当するエラーなどの情報(例えば第1抽出エラー情報E21)を表示することをいう。
【0067】
本実施形態では、アラートAL1の通知先のメールアドレスは、
図5に示すアドレス設定部137によって設定される。アラート通知装置120のアドレス設定部137は、通知先のメールアドレスとして、全ての第1抽出エラー情報E21の種類に対して同じメールアドレスを設定してもよいし、第1抽出エラー情報E21の種類ごとに異なるメールアドレスを設定してもよい。また、アドレス設定部137は、通知先のメールアドレスとして、複数のデンタル加工機100に対して同じメールアドレスを設定してもよいし、デンタル加工機100ごとに異なるメールアドレスを設定してもよい。メンテナンス業者が対象とするデンタル加工機100の利用者が複数存在する場合には、アドレス設定部137は、利用者ごとに異なるメールアドレスを設定してもよい。
【0068】
本実施形態では、通知部149がアラートAL1を通知する通知先のメールアドレスは、メンテナンス業者によって設定されるものであってもよい。メンテナンス業者がアラートAL1の通知先のメールアドレスを設定する場合、まず管理装置150の管理表示画面151(
図5参照)にメールアドレス設定画面(図示せず)が表示される。メンテナンス業者は、管理操作部152を操作し、上記メールアドレス設定画面に設定メールアドレスを入力する。設定メールアドレスの入力が完了すると、管理送信部157は、設定メールアドレスをアラート通知装置120に送信する。アラート通知装置120の受信部133は、設定メールアドレスを受信する。その後、アラート通知装置120のアドレス設定部137は、設定メールアドレスをアラートAL1の通知先のメールアドレスに設定する。
【0069】
本実施形態では、通知部149によるアラートAL1の通知のタイミングは特に限定されない。ここでは、通知部149は、前回のアラートAL1の通知から所定の通知時間T3(
図5参照)が経過したタイミングで、アラートAL1を通知する。
図5に示すように、この通知時間T3は、記憶部131に記憶されている。通知時間T3は、予め設定されたものであってもよいし、メンテナンス業者によって設定されるものであってもよい。通知時間T3は、例えば12時間や24時間である。例えば通知時間T3が12時間の場合、1日に2回、アラート通知のメールが配信されることになる。例えば通知時間T3が24時間の場合、1日に1回の任意の時刻に、アラート通知のメールが配信されることになる。
【0070】
図11は、管理装置150の管理表示画面151に表示される管理画面DP1の一例を示した図である。本実施形態では、
図11に示すように、管理表示画面151に管理画面DP1が表示される。管理画面DP1は、エラー履歴やメンテナンス履歴が表示される画面である。メンテナンス業者は、管理画面DP1を見ることで、デンタル加工機100のエラーの発生の日時や、メンテナンスが行われた日時などを知ることができる。本実施形態では、例えば
図6のステップS101において、アラート通知装置120がエラー情報E1を受信したとき、アラート通知装置120の送信部135は、管理装置150にエラー情報E1を送信する。その後、管理装置150の管理制御装置153は、
図11に示すように、管理画面DP1に、エラー履歴としてエラー情報E1を表示する。なお、
図11のエラー履歴には、メッセージ204が表示されてもよい。メッセージ204には、例えばエラーID202に対する具体的なエラーの内容が表示される。また、メッセージ204には、エラーID202に対するエラーを解消するための具体的な方法が表示されてもよい。
【0071】
上記では、第1期間T1である監視期間に、デンタル加工機100で発生したエラーのエラー情報E1(ここでは第1抽出エラー情報E21)に関するアラートAL1を通知する手順について説明したが、第1期間T1とは異なる第2期間T2に発生したエラーのエラー情報E1に関するアラートAL2(
図8参照)を通知してもよい。ここで、
図10に示すように、第2期間T2は、監視期間である第1期間T1と同様に、現在から過去に遡った期間である。第2期間T2は、第1期間T1よりも長い期間である。第2期間T2は、第1期間T1と一部で重複する。第2期間T2は、
図8の例では遡及期間に相当するものである。ここでは、監視期間(第1期間T1)に発生したエラーの種類の中で、遡及期間である第2期間T2に、予め設定された基準発生回数C2(
図12参照)のエラーが発生したエラー情報E1の種類に関するアラートAL2(
図8参照)を通知する。
【0072】
以下、上記のアラートAL2を通知する手順について、
図12のフローチャートに沿って説明する。
図12のステップS301では、
図6のステップS101と同様に、アラート通知装置120の受信部133は、デンタル加工機100からエラー情報E1を受信する。次に、ステップS303では、
図6のステップS103と同様に、アラート通知装置120の第1抽出部141は、受信部133によって受信されたエラー情報E1のうち、第1期間T1に発生したエラー情報E1の種類を、第1抽出エラー情報E21として抽出する。その後、ステップS305では、アラート通知装置120の第2抽出部142(
図5参照)は、第2期間T2に、基準発生回数C2だけ発生した第1抽出エラー情報E21を、第2抽出エラー情報E22として抽出する。
【0073】
本実施形態では、第2期間T2および基準発生回数C2は、アラート通知装置120の記憶部131に記憶されている。なお、第2期間T2および基準発生回数C2は、予め設定されたものであってもよいし、メンテナンス業者によって設定されるものであってもよい。
【0074】
図13は、メンテナンス業者が第2期間T2および基準発生回数C2を設定する際のアラート通知装置120の制御手順を示したフローチャートである。第2期間T2および基準発生回数C2がメンテナンス業者によって設定される場合、例えば管理表示画面151(
図5参照)に期間回数設定画面(図示せず)が表示される。このとき、メンテナンス業者は、管理操作部152を操作し、第2期間T2に対する第2設定値V2、および、基準発生回数C2に対する設定発生回数V3を入力する。その後、
図5の管理送信部157は、第2設定値V2および設定発生回数V3をアラート通知装置120に送信する。次に、
図13のステップS401では、アラート通知装置120の受信部133は、第2設定値V2および設定発生回数V3を受信する。そして、ステップS403では、アラート通知装置120の期間設定部139は、第2設定値V2を第2期間T2に設定する。ステップS405では、期間設定部139は、設定発生回数V3を基準発生回数C2に設定する。第2設定値V2に設定された第2期間T2、および、設定発生回数V3に設定された基準発生回数C2は、記憶部131に記憶される。
【0075】
なお、期間設定部139は、第2期間T2および基準発生回数C2を、それぞれ第1期間T1と同様に、エラー情報E1の種類ごとに設定してもよいし、全てのエラー情報E1の種類に対して同じ第2期間T2および基準発生回数C2を設定してもよい。また、期間設定部139は、第2期間T2および基準発生回数C2を、複数のデンタル加工機100に対して同じ値を設定してもよいし、デンタル加工機100ごとに異なる値を設定してもよい。
【0076】
本実施形態では、上述のように、監視期間(第1期間T1)に発生したエラーの種類の中で、遡及期間(第2期間T2)に、基準発生回数C2のエラーが発生したエラー情報E1の種類に関するアラートAL2を通知する。そのために、
図12のステップS305では、アラート通知装置120の第2抽出部142は、受信部133によって受信されたエラー情報E1の中から、第2期間T2に、基準発生回数C2分のエラーが発生したエラー情報E1の種類を、第2抽出エラー情報E22として抽出する。ここでは、例えば第2期間T2に基準発生回数C2分のエラー情報E1の種類のエラーが発生した場合でも、第1期間T1に該当するエラーが発生していない場合には、第2抽出エラー情報E22として抽出されない。
【0077】
例えば基準発生回数C2が5回の場合、
図10の例では、種類Aのエラーは、第2期間T2に、3回発生しており、基準発生回数C2よりも少ない。よって、種類Aに関するエラー情報E1は、第2抽出エラー情報E22として抽出されない。種類Bのエラーは、第2期間T2に、基準発生回数C2以上、発生している。さらに、種類Bのエラーは、第1期間T1にも発生している。そのため、種類Bに関するエラー情報E1は、第2抽出エラー情報E22として抽出される。種類Cのエラーは、第2期間T2に、基準発生回数C2以上、発生しているが、第1期間T1には発生していない。そのため、種類Cに関するエラー情報E1は、第2抽出エラー情報E22として抽出されない。このように、
図10の例の場合、第2抽出部142は、種類Bに関するエラー情報E1を第2抽出エラー情報E22として抽出する。
【0078】
このように、
図12のステップS305において、第2抽出部142によって第2抽出エラー情報E22が抽出された後、ステップS307では、アラート通知装置120の通知部149は、管理装置150に第2抽出エラー情報E22に関するアラートAL2を通知する。ここでは、
図8に示すように、第1抽出エラー情報E21に関するアラートAL1と同様に、通知部149は、管理装置150に予め設定されたメールアドレスに、第2抽出エラー情報E22に関するアラートAL2を通知する。ここでは、第2抽出エラー情報E22に関するアラートAL2は、第1抽出エラー情報E21に関するアラートAL1と同じメールM1で通知されるものであってもよいし、第1抽出エラー情報E21に関するアラートAL1とは異なるメールで通知されるものであってもよい。また、第2抽出エラー情報E22に関するアラートAL2は、第1抽出エラー情報E21に関するアラートAL1と通知先のメールアドレスが異なっていてもよいし、当該メールアドレスが同じであってもよい。本実施形態では、第2抽出エラー情報E22に関するアラートAL2が通知されるタイミングは、第1抽出エラー情報E21に関するアラートAL1と同じく、所定の通知時間T3(
図5参照)が経過したタイミングである。
【0079】
以上、デンタル加工機100にエラーが発生したときのエラー情報E1に関するアラートAL1、AL2の通知について説明した。上記のアラートAL1、AL2の通知は、エラーが発生したときのアラート通知であるが、本実施形態では、デンタル加工機100にエラーが発生する前において、エラーの発生を予測したアラートを通知、すなわち予測アラートの通知を行うことができる。例えばデンタル加工機100による被加工物5を加工している間、所定の部品に対するセンシング値を検出する。そして、アラート通知装置120は、センシング値を取得し、取得したセンシング値が所定の閾値よりも大きいとき、管理装置150にセンシングに関するアラートを通知する。
【0080】
以下、センシング値として、デンタル加工機100の加工機構13のスピンドル31(
図3参照)に対するセンシング値を例にして、
図14のフローチャートに沿って、予測アラートAL3の通知の手順を説明する。上述のように、デンタル加工機100において、スピンドル31によって回転された加工ツール8が被加工物5に接触することで、被加工物5が加工される。このとき、スピンドル31に流れる電流の値の大きさに応じて、スピンドル31は回転する。しかしながら、加工中に不具合が生じ、必要な電流が流れているにも関わらずスピンドル31が適切に回転しないと、スピンドル31に流れる電流値が大きくなり、エラーが発生することになる。そこで、本実施形態では、スピンドル31に流れる電流値をセンシングし、スピンドル31の電流値に基づいて、予測アラートAL3を通知する。
【0081】
ここでは、まずデンタル加工機100の電流値取得部65(
図5参照)は、スピンドル31に流れる電流の値であるスピンドル電流値A1を取得する。そして、デンタル加工機100のデンタル送信部63は、スピンドル31に流れるスピンドル電流値A1をアラート通知装置120に送信する。次に、
図14のステップS501では、アラート通知装置120の受信部133は、スピンドル電流値A1を受信する。
【0082】
その後、ステップS503では、アラート通知装置120の電流値判定部147(
図5参照)は、受信部133によって受信されたスピンドル電流値A1が閾値Th1よりも高いか否かを判定する。ここで、閾値Th1は、スピンドル電流値A1によって流れる電流が過電流であるため、不具合が生じていることを示す値である。閾値Th1は、
図5に示す記憶部131に予め設定されているものである。この閾値Th1は、デンタル加工機100ごとに設定されるものであってもよく、メンテナンス業者によって設定されるものであってもよい。
【0083】
ここで、ステップS503において、電流値判定部147によってスピンドル電流値A1が閾値Th1以下であると判定された場合、スピンドル31に関する予測アラートAL3の通知は行わない。一方、電流値判定部147によってスピンドル電流値A1が閾値Th1よりも大きいと判定された場合、
図14のステップS505に進む。ステップS505では、通知部149は、スピンドル31に関する予測アラートAL3を管理装置150に通知する。なお、スピンドル31に関する予測アラートAL3の通知の方法は、特に限定されない。予測アラートAL3の通知は、管理装置150に設定されたメールアドレスにメールを送付することで行われてもよいし、管理表示画面151に表示される管理画面DP1(
図11参照)に所定のメッセージが表示されることで行われてもよい。
【0084】
本実施形態に係るアラート通知装置120は、デンタル加工機100のメンテナンスに関するアラートの通知を管理装置150に行うように構成されていてもよい。例えばデンタル加工機100は、上述のように交換部品38(
図3参照)を備えている。交換部品38は、予め設定された基準使用時間T5(
図15参照)が経過したときに交換が推奨されるものである。交換部品38は、例えば加工ツール8やスピンドル31のことである。加工ツール8やスピンドル31は、消耗品であり、所定の時間または所定の回数使用された後、新しいものに交換されるものである。ここでは、複数の加工ツール8のそれぞれに対して基準使用時間T5が設定されており、スピンドル31に対しても基準使用時間T5が設定されている。
【0085】
次に、交換部品38のスピンドル31に関する交換アラートAL4を通知する手順について、
図15のフローチャートに沿って説明する。本実施形態では、デンタル加工機100の時間算出部66(
図5参照)は、交換部品38のスピンドル31が使用された時間である使用時間T6を算出する。その後、
図5のデンタル送信部63は、アラート通知装置120に使用時間T6を送信する。次に、
図15のステップS601では、アラート通知装置120の受信部133は、交換部品38のスピンドル31の使用時間T6を受信する。
【0086】
次に、ステップS603では、アラート通知装置120の時間判定部145(
図5参照)は、受信部133によって受信された使用時間T6が基準使用時間T5よりも長いか否かを判定する。ここで、基準使用時間T5は、上述のように、交換部品38ごとに設定される時間であり、本実施形態では、加工ツール8に対して設定されており、かつ、スピンドル31に対して設定されている。基準使用時間T5は、交換部品38の交換を促すための基準となる時間である。基準使用時間T5は、記憶部131に予め記憶されている。
【0087】
ここで、ステップS603において、時間判定部145によって交換部品38のスピンドル31における使用時間T6が基準使用時間T5以下であると判定された場合、交換部品38の交換を促す交換アラートAL4の通知は行われない。一方、時間判定部145によって交換部品38のスピンドル31における使用時間T6が基準使用時間T5よりも長いと判定された場合、次に
図15のステップS605に進む。ステップS605では、通知部149は、交換部品38のスピンドル31における交換に関する交換アラートAL4を管理装置150に通知する。なお、交換部品38の交換に関する交換アラートAL4の通知の方法は、特に限定されない。交換アラートAL4の通知は、管理装置150に設定されたメールアドレスにメールを送付することで行われてもよい。また、
図11に示すように、管理画面DP1には、スピンドル31の使用時間T6が表示されている。そこで、この使用時間T6を太字に変更したり、赤文字に変更したりすることで、交換アラートAL4を通知してもよい。
【0088】
なお、本実施形態では、
図11の管理画面DP1には、自動補正が行われた日時である自動補正完了時間T8、および、ツール把持部32に関するメンテナンスが行われた日時である把持部メンテナンス時間T9が表示されている。ここで、自動補正とは、スピンドル31の原点位置を補正するメンテナンスのことをいう。スピンドル31は、上述のように、移動機構33(
図5参照)によって移動するものであり、長時間使用されることで、位置ずれが発生することがあり得る。スピンドル31には、予め定められた原点位置が設定されており、この原点位置を調整することでスピンドル31の位置ずれが発生しにくくなる。例えば自動補正が行われると、デンタル加工機100からアラート通知装置120を介して管理装置150へ自動補正完了信号が送信される。このとき、管理制御装置153は、自動補正完了信号を受信した日時を、自動補正完了時間T8として、
図11の管理画面DP1に表示する。ただし、自動補正完了時間T8は、自動補正が実際に完了(すなわち、物理的に自動補正の動作が完了)したときの日時であってもよい。例えば操作端末110の端末受信部116は、デンタル加工機100で自動補正が完了したことの通知を受信する。端末受信部116が当該通知を受信した日時を自動補正完了時間T8として、端末記憶部115に記憶させる。端末記憶部115に記憶された自動補正完了時間T8は、アラート通知装置120を介して管理装置150へ送信されて、
図11の管理画面DP1に表示される。
【0089】
ツール把持部32に関するメンテナンスとは、ツール把持部32が加工ツール8を適切に把持することができるか否かを確認するメンテナンスのことである。例えばツール把持部32に関するメンテナンスが行われると、デンタル加工機100からアラート通知装置120を介して管理装置150へ把持部完了信号が送信される。このとき、管理制御装置153は、把持部完了信号を受信した日時を、把持部メンテナンス時間T9として、
図11の管理画面DP1に表示する。なお、自動補正完了時間T8および把持部メンテナンス時間T9について、予め設定された経過時間(図示せず)が経過すると、太字に変更したり、赤文字に変更したりすることで、メンテナンスを促すアラートを通知してもよい。
【0090】
また、本実施形態では、デンタル加工機100において、任意のメンテナンスが完了すると、メンテナンス情報E3(
図11参照)がアラート通知装置120を介して、管理装置150に送信される。メンテナンス情報E3を受信した管理制御装置153は、
図11の管理画面DP1に、メンテナンス履歴としてメンテナンス情報E3を表示する。なお、メンテナンス情報E3が有する項目は特に限定されない。メンテナンス情報E3は、例えばメンテナンス日時211と、機器ID212と、メンテナンス内容213と、メッセージ214とを有する。メンテナンス日時211は、任意のメンテナンスが行われた日時であり、例えば管理装置150がメンテナンス情報E3を受信した日時である。機器ID212は、デンタル加工機100毎に付された固有のIDであり、任意のメンテナンスが行われたデンタル加工機100の機器IDである。メンテナンス内容213は、デンタル加工機100に対して行われたメンテナンスの内容である。メッセージ214として、例えばメンテナンス内容213の詳細などが表示される。
【0091】
以上、本実施形態では、
図1に示すように、アラート通知システム1は、デンタル加工機100と、デンタル加工機100のアラート通知装置120と、デンタル加工機100のメンテナンスを行うメンテナンス業者が使用する管理装置150とを備えている。
図5に示すように、デンタル加工機100のアラート通知装置120は、受信部133と、第1抽出部141と、通知部149と、を備えている。
図6のステップS101では、受信部133は、デンタル加工機100からエラー情報E1を受信する。ステップS103では、第1抽出部141は、受信部133によって受信されたエラー情報E1の中から、予め設定された第1期間T1に発生したエラー情報E1を、第1抽出エラー情報E21として抽出する。ステップS105では、通知部149は、デンタル加工機100のメンテナンスを行うメンテナンス業者が使用する管理装置150に、第1抽出エラー情報E21に関するアラートAL1を通知する。
【0092】
このことによって、
図6に示すように、デンタル加工機100にエラーが発生したとき、発生したエラーに関するエラー情報E1を受信し、第1期間T1に発生したエラー情報E1を第1抽出エラー情報E21として抽出する。そして、第1抽出エラー情報E21に関するアラートAL1をメンテナンス業者に通知する。そのため、メンテナンス業者は、アラートAL1を通知されることで、デンタル加工機100にどのような種類のエラーが発生したかを知ることができる。よって、デンタル加工機100の利用者からの連絡を待つことなく、デンタル加工機100にエラーが発生したことをより早く知ることができる。また、本実施形態では、
図8に示すように、第1期間T1は、監視期間であり、第1抽出エラー情報E21は、デンタル加工機100に直近で発生したエラーに関する情報であり、メンテナンス業者が現在のデンタル加工機100の正常な状態か否かを知る上で必要となるエラー情報である。そのため、第1抽出エラー情報E21に関するアラートAL1が通知されることで、現在のデンタル加工機100の状態をより早く知ることができる。
【0093】
本実施形態では、
図5に示すように、デンタル加工機100は、エラー情報E1をアラート通知装置120に送信するデンタル送信部63を有する制御装置60を備えている。このように、デンタル加工機100にエラーが発生したときに、当該エラーに対するエラー情報E1がデンタル送信部63からアラート通知装置120に送信される。よって、アラート通知装置120は、デンタル加工機100で発生したエラー情報E1をリアルタイムにより確実に取得することができる。
【0094】
本実施形態では、
図9のステップS201では、受信部133は、管理装置150から、メンテナンス業者によって設定された第1期間T1の第1設定値V1を受信する。アラート通知装置120は、ステップS203のように、受信部133によって受信された第1設定値V1を第1期間T1に設定する期間設定部139(
図5参照)を備えている。第1期間T1は、デンタル加工機100のエラーを監視したい監視期間(
図8参照)であり、メンテナンス業者や、監視対象となるデンタル加工機100の使用期間、および、機種によって第1期間T1の第1設定値V1は異なり、一意的に決定することは難しい。そこで、本実施形態では、メンテナンス業者が設定した第1設定値V1を第1期間T1に設定することで、デンタル加工機100の使用期間および機種に応じた第1期間T1に設定することができる。よって、第1期間T1の第1設定値V1をメンテナンス業者に委ねることができ、第1設定値V1に自由度を持たせることができる。
【0095】
本実施形態では、
図5に示す期間設定部139は、エラー情報E1の種類ごとに第1期間T1を設定する。ここで、エラー情報E1の種類とは、デンタル加工機100で発生したエラーの種類のことである。エラーの種類によって、重要度が異なる。例えば利用者でエラーを解消できるエラーに対する第1期間T1と、利用者でエラーを解消できずに、メンテナンス業者の訪問が必要となるエラーに対する第1期間T1とでは、メンテナンス業者が必要と考える期間が異なることがあり得る。そこで、本実施形態では、エラー情報E1の種類ごとに第1期間T1を設定することで、メンテナンス業者が必要と考える第1期間T1を、エラー情報E1の種類ごとに設定することができる。
【0096】
例えばデンタル加工機100によっては、エラーが発生する頻度が多いことがあり得る。その場合、エラーが発生する度にアラートAL1が通知されると、メンテナンス業者によって煩わしいことになる上、膨大なアラートAL1の通知量となり、本来必要となるエラー情報E1が膨大なアラートAL1の通知量に埋もれることがあり得る。そこで、本実施形態では、通知部149は、前回のアラートAL1の通知から予め設定された通知時間T3(
図5参照)が経過したタイミングで、アラートAL1を通知する。このことで、アラートAL1の通知の頻度を減らすことができるため、必要となるエラー情報E1が膨大なアラートAL1の通知量に埋もれ難くすることができる。
【0097】
本実施形態では、アラート通知装置120は、
図12のステップS305のように、受信部133によって受信されたエラー情報E1の中から、予め設定された第2期間T2に、予め設定された基準発生回数C2、発生したエラー情報E1の種類を、第2抽出エラー情報E22として抽出する第2抽出部142(
図5参照)を備えている。通知部149は、ステップS307では、管理装置150に、第2抽出エラー情報E22に関するアラートAL2を通知する。このことによって、2つの異なる期間である第1期間T1および第2期間T2を、アラートAL1、AL2を通知する対象の期間に設定することができる。よって、エラー情報E1に関するアラートAL1、AL2を2段階で通知することができる。
【0098】
本実施形態では、
図10に示すように、第2期間T2は、第1期間T1よりも長い期間である。
図12のステップS305のように、第2抽出部142は、第1抽出部141によって抽出された第1抽出エラー情報E21の中から、第2期間T2に、基準発生回数C2、発生した前記第1抽出エラー情報E21の種類を、第2抽出エラー情報E22として抽出する。ここで、
図8に示すように、第2期間T2とは、遡及期間である。監視期間である第1期間T1で発生した第1抽出エラー情報E21の種類であって、第2期間T2で基準発生回数C2のエラーが発生した第1抽出エラー情報E21の種類は、継続的に発生しているエラー情報E1の種類といえる。メンテナンス業者は、第2抽出エラー情報E22に関するアラートAL2が通知されることで、継続的に発生しているエラーの種類を知ることができる。
【0099】
本実施形態では、通知部149は、管理装置150に予め設定されたメールアドレスに、
図8に示すように、メールM1でアラートAL1を通知する。このことで、複数の管理装置150に対して、メールアドレスを設定するという簡単な方法で、複数の管理装置150に対してアラートAL1を通知することができる。よって、メンテナンス業者は、より早くアラートAL1の通知を知ることができる。
【0100】
本実施形態では、アラート通知装置120は、エラー情報E1の種類ごとに、アラートAL1を通知する通知先のメールアドレスを設定するアドレス設定部137(
図5参照)を備えている。エラー情報E1の種類によっては、重要度が低いことや、重要度が高いことがあり得る。このようにエラー情報E1の種類によって、アラートAL1の通知先のメールアドレスを設定することで、例えばより重要度が高いエラー情報E1に関するアラートAL1の通知先と、重要度が低いエラー情報E1に関するアラートAL1の通知先を分けることができる。
【0101】
本実施形態では、
図1に示すように、アラート通知システム1は、複数のデンタル加工機100を備えている。アラート通知装置120の通知部149は、複数のデンタル加工機100に対する第1抽出エラー情報E21に関するアラートAL1を一括で通知する。このことで、メンテナンス業者は、1つのアラートAL1の通知で、複数のデンタル加工機100で発生したエラーに対する第1抽出エラー情報E21を知ることができる。よって、複数のデンタル加工機100に対するエラー情報E1の管理が容易である。
【0102】
本実施形態では、アドレス設定部137は、デンタル加工機100ごとに、アラートAL1を通知する通知先のメールアドレスを設定する。このことによって、複数のデンタル加工機100のエラー情報E1を管理する場合であっても、複数のデンタル加工機100のエラー情報E1のアラートAL1の通知先を、メールアドレスで分けることができる。よって、デンタル加工機100ごとにエラー情報E1を管理することが容易にできる。
【0103】
本実施形態では、デンタル加工機100は、予め設定された基準使用時間T5(
図15参照)が経過したときに交換される交換部品38(
図3参照)を備えている。交換部品38は、デンタル加工機100が被加工物5を切削するための加工ツール8、または、加工ツール8を回転させるスピンドル31である。
図5のデンタル送信部63は、交換部品38が使用された使用時間T6をアラート通知装置120に送信する。
図15のステップS601では、アラート通知装置120の受信部133は、使用時間T6を受信する。アラート通知装置120は、ステップS603のように、受信部133によって受信された使用時間T6が基準使用時間T5よりも長いか否かを判定する時間判定部145(
図5参照)を備えている。アラート通知装置120の通知部149は、時間判定部145によって使用時間T6が基準使用時間T5よりも長いと判定されたとき、ステップS605では、交換部品38の交換に関する交換アラートAL4を通知する。このことによって、例えば利用者による交換部品38の交換忘れが発生した場合であっても、メンテナンス業者に交換部品38の交換に関する交換アラートAL4が通知される。そのため、交換部品38の交換忘れを抑制することができる。また、交換部品38の使用時間T6が基準使用時間T5を超えて、交換部品38が使用されていると、デンタル加工機100に不具合が生じる可能性が高くなり、エラーが発生する頻度が高くなることがあり得る。本実施形態では、交換部品38の交換忘れを抑制することで、交換部品38の交換忘れによって生じるエラーの発生を抑制することができる。
【0104】
本実施形態では、デンタル加工機100のスピンドル31は、電流が流されることで、被加工物5を加工する加工ツール8を回転させるように構成されている。デンタル送信部63は、スピンドル31に流されるスピンドル電流値A1をアラート通知装置120に送信する。
図14のステップS501では、アラート通知装置120の受信部133は、スピンドル電流値A1を受信する。アラート通知装置120は、ステップS503のように、受信部133によって受信されたスピンドル電流値A1が、予め設定された閾値Th1よりも高いか否かを判定する電流値判定部147(
図5参照)を備えている。アラート通知装置120の通知部149は、電流値判定部147によってスピンドル電流値A1が閾値Th1よりも高いと判定されたとき、ステップS505では、スピンドル31に関する予測アラートAL3を通知する。デンタル加工機100において、スピンドル31に流れる電流の値の大きさに応じて、スピンドル31は回転する。しかしながら、加工中に不具合が生じ、必要な電流が流れているにも関わらずスピンドル31が適切に回転しないと、スピンドル31に流れる電流値が大きくなり、エラーが発生することになる。そこで、本実施形態では、スピンドル31に流れるスピンドル電流値A1が閾値Th1よりも高いときに、過電流となったと判定されて、スピンドル31に関する予測アラートAL3が通知される。よって、スピンドル31に関するエラーが発生する前に、メンテナンス業者に予測アラートAL3を通知することができる。
【0105】
本実施形態では、メンテナンス業者は、様々なアラートAL1~AL4が通知される。そのため、事前にデンタル加工機100の不具合を知ることができるため、デンタル加工機100のメンテナンスを行うための訪問計画を立て易くなり、適切な時期にメンテナンスを行い易い。また、事前にデンタル加工機100の不具合を知ることができるため、不具合が発生したときに交換部品38を手配することが可能となる。そのため、デンタル加工機100の交換部品38の在庫を過剰に抱えなくすることができる。
【0106】
なお、本実施形態では、デンタル加工機100の記憶部131、受信部133、送信部135、アドレス設定部137、期間設定部139、第1抽出部141、第2抽出部142、時間判定部145、電流値判定部147および通知部149を実現するためのアラート通知用のコンピュータプログラムが含まれる。当該アラート通知用のコンピュータプログラムは、記憶部131と、受信部133と、送信部135と、アドレス設定部137と、期間設定部139と、第1抽出部141と、第2抽出部142と、時間判定部145と、電流値判定部147と、通知部149とをコンピュータに実行させるためのコンピュータプログラムである。
【0107】
本実施形態では、デンタル加工機100で発生したエラーに関するエラー情報E1は、デンタル加工機100からアラート通知装置120へ直接送信されていた。しかしながら、エラー情報E1は、デンタル加工機100を操作する操作端末110からアラート通知装置120に送信されてもよい。この場合、例えばデンタル加工機100のデンタル送信部63から操作端末110へエラー情報E1が送信され、操作端末110の端末受信部116がエラー情報E1を受信する。このとき、エラー情報E1は、端末記憶部115に記憶される。その後、操作端末110の端末送信部117は、アラート通知装置120へエラー情報E1を送信する。そして、アラート通知装置120の受信部133は、エラー情報E1を受信する。
【符号の説明】
【0108】
1 アラート通知システム
8 加工ツール
31 スピンドル
38 交換部品
60 制御装置
63 デンタル送信部
100 デンタル加工機
120 アラート通知装置(デンタル加工機のアラート通知装置)
133 受信部
135 送信部
137 アドレス設定部
139 期間設定部
141 第1抽出部
142 第2抽出部
145 時間判定部
147 電流値判定部
149 通知部
150 管理装置
E1 エラー情報
E21 第1抽出エラー情報
E22 第2抽出エラー情報