(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-20
(45)【発行日】2025-01-06
(54)【発明の名称】水性リキッドインキ及び該水性リキッドインキを印刷した印刷物並びに耐油紙
(51)【国際特許分類】
C09D 11/10 20140101AFI20241223BHJP
C08F 212/08 20060101ALI20241223BHJP
C08F 251/00 20060101ALI20241223BHJP
【FI】
C09D11/10
C08F212/08
C08F251/00
(21)【出願番号】P 2020209101
(22)【出願日】2020-12-17
【審査請求日】2023-11-09
(73)【特許権者】
【識別番号】310000244
【氏名又は名称】DICグラフィックス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100149445
【氏名又は名称】大野 孝幸
(74)【代理人】
【識別番号】100177471
【氏名又は名称】小川 眞治
(72)【発明者】
【氏名】工藤 隆晃
(72)【発明者】
【氏名】小代 康敬
(72)【発明者】
【氏名】石橋 歳徳
【審査官】齊藤 光子
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2019/190842(WO,A1)
【文献】特開2019-108530(JP,A)
【文献】特開2016-180061(JP,A)
【文献】特開2012-207130(JP,A)
【文献】特開2021-167377(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C09D 11/
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
スチレン-(メタ)アクリル系共重合体(A)の構成部分、及び多糖類(B)の構成部分を有するバインダーと、
滑剤(C)を含有
し、
前記バインダーは、変性した多糖類(B)を付加したスチレン-(メタ)アクリル系共重合体(A)であり、
前記共重合体(A)のガラス転移点が-40℃~40℃の範囲であることを特徴とする水性リキッドインキ。
【請求項2】
水性リキッドインキに含まれるバインダー全量において、前記変性した多糖類(B)を付加したスチレン-(メタ)アクリル系共重合体(A)を60質量%以上含有する、請求項1に記載の水性リキッドインキ。
【請求項3】
着色剤、水性媒体を含む請求項1又は2に記載の水性リキッドインキ。
【請求項4】
前記多糖類(B)が、カラゲーナン、ガラクトマンナン、キサンタンガムアルギン酸塩、ペクチン、キシラン、グルコマンナン、プルラン、カードラン、セルロース、セルロース誘導体、カルボキシメチルセルロース(CMC)、デンプン、デンプン誘導体、及びコーンスターチからなる群から選ばれる何れか一つ以上である請求項1~3のいずれか一項に記載の水性リキッドインキ。
【請求項5】
前記滑剤(C)が炭化水素系ワックスである請求項1~4のいずれか一項に記載の水性リキッドインキ。
【請求項6】
前記共重合体(A)
の酸価が1~250mgKOH/gの範囲にある請求項1~5のいずれか一項に記載の水性リキッドインキ。
【請求項7】
バインダーとして他の樹脂を含有する請求項1~6のいずれか一項に記載の水性リキッドインキ。
【請求項8】
更に、助剤を含有する請求項1~6のいずれか一項に記載の水性リキッドインキ。
【請求項9】
前記多糖類(B)を、インキ中の固形分全量に対して10~80質量%含有する、請求項1~8に記載の水性リキッドインキ。
【請求項10】
フレキソ印刷またはグラビア印刷に適用する請求項1~9のいずれかに記載の水性リキッドインキ。
【請求項11】
基材に請求項1~10のいずれかに記載の水性リキッドインキを印刷した印刷物。
【請求項12】
紙基材に請求項1~10のいずれかに記載の水性リキッドインキを印刷した耐油紙。
【請求項13】
プラスチック基材と請求項11に記載の印刷物又は請求項12に記載の耐油紙を、インキ塗膜を内側に配置する形で積層した積層体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水性グラビア印刷や水性フレキソ印刷に使用可能な水性リキッドインキ組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、地球温暖化や石油資源の枯渇問題を背景に、カーボンニュトラルな材料としてバイオマス原料が注目されている。これを受けてインキを取り巻く環境も時事刻々と変化しており、現在はバイオマスインキの開発が盛んに行われている。バイオマス原料を一定以上使用した製品には、有機資源協会によるバイオマス認定を得ることができるため、、バイオマス原料を固形分中に10%以上、すなわちバイオマス度が10以上となる製品が業界の要求となっている。
【0003】
紙製食品用容器を始めとする紙器用水性インキの分野においても、いくつかのバイオマスンキが開発されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載の紙器用水性インキにおいては、アルカリ可溶で水性化が容易なロジン由来の原料が用いられてる。しかし、ロジン由来の原料は強い色味や、高い酸価を有するため、インキに配合した際には以下の3つの課題が生じる。1つ目が白色や淡色における色味への悪影響である。ロジンは濃い黄褐色~茶色の色相を持っているため、バイオマス度10以上を達成しようとした際には、ロジン由来の色味が顕著に現れてしまう。これは、特に白色において白さが失われることが課題となる。
【0006】
2つ目は酸価による密着性の低下である。インキが浸透しやすい非コート紙では問題にならない場合が多い一方、コート紙やポリコート紙、ポリエチレンラミネート紙等の比較的インキが浸透しにくい紙においては、高いインキの酸価は密着性を顕著に低下させる。3つ目は耐油性の問題である。ロジンは骨格が親油性であり、サラダ油などの油との親和性が高くなる。その結果として、食品用容器において、油が付着した際にインキ塗膜が溶け出すことが課題となる。そのため、これらの課題すべてを解決し、同時にバイオマス原料を固形分中に10%以上使用した水性インキの開発が求められている。
【0007】
そこで、本発明が解決しようとする課題は、バイオマス原料を使用しつつ、白色の白さを損なうことなく、基材に対する密着性が高く、更に優れた耐油性を有する水性リキッドインキ組成物を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討を行い、バイオマス原料として非ロジン系の材料、すなわち、多糖類及びスチレンアクリル系樹脂をバインダーとして用いる水性インキを開発することにより、ロジン系材料を使用した従来技術のインキでは得られなかった特性を得ることに成功した。
すなわち、本発明は、スチレン-(メタ)アクリル系共重合体(A)の構成部分、及び多糖類(B)の構成部分を有するバインダーと、ワックス(C)を含有する水性リキッドインキに関する。
【0009】
また、本発明は、基材に、スチレン-(メタ)アクリル系共重合体(A)の構成部分、及び多糖類(B)の構成部分を有するバインダーと、ワックス(C)を含有する水性リキッドインキを印刷した塗工物に関する。
【0010】
また、本発明は、紙基材に、スチレン-(メタ)アクリル系共重合体(A)の構成部分、及び多糖類(B)の構成部分を有するバインダーと、ワックス(C)を含有する水性リキッドインキを印刷した耐油紙に関する。
【発明の効果】
【0011】
本発明の水性リキッドインキ組成物は、バイオマス原料を使用しつつ、白色の白さを損なうことなく、基材に対する密着性が高く、更に優れた耐油性を兼備する水性リキッドインキ組成物を得られる。本発明によると、バイオマス原料を10%以上使用しつつ、白色の白さを損なうことなく、更に密着性、耐油性、耐水性を兼備する水性リキッドインキ組成物を得られることから、環境に配慮し、食品用に用いても安全性の高いインキ組成物を得られる。本発明のインキ組成物は、食品用や衛生品用のパッケージ、容器、耐油紙用のインキとして有用である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明の水性リキッドインキは、スチレン-(メタ)アクリル系共重合体(A)の構成部分、及び多糖類(B)の構成部分を有するバインダーと、ワックス(C)を含有するするものである。
【0013】
<バインダー>
本発明のバインダーは、スチレン-(メタ)アクリル系共重合体(A)の構成部分、及び多糖類(B)の構成部分を有するものである。バインダーにおいてスチレン-(メタ)アクリル系共重合体(A)の構成部分、及び多糖類(B)の構成部分を有していればよく、例えば、スチレン-(メタ)アクリル系共重合体(A)及び多糖類(B)をそれぞれ含有するものでもいいし、変性した多糖類(B)を付加したスチレン-(メタ)アクリル系共重合体(A)のような結合した形態(スチレン-(メタ)アクリル系共重合体(A)と多糖類(B)の複合体)で含有するものでもいいし、スチレン-(メタ)アクリル系共重合体(A)、多糖類(B)及びスチレン-(メタ)アクリル系共重合体(A)と多糖類(B)の複合体を含有するものでもいいし、スチレン-(メタ)アクリル系共重合体(A)及びスチレン-(メタ)アクリル系共重合体(A)と多糖類(B)の複合体を含有するものでもいいし、多糖類(B)及びスチレン-(メタ)アクリル系共重合体(A)と多糖類(B)の複合体を含有するものでもいい。
【0014】
(スチレン-(メタ)アクリル系共重合体(A))
本発明で使用するスチレン-(メタ)アクリル系共重合体(A)は、スチレン系単量体と(メタ)アクリル系単量体を原料モノマーとして含む共重合体を指す。従って、スチレン系単量体、及び(メタ)アクリル系単量体の汎用の単量体を共重合させたものであってもよい。
【0015】
スチレン系単量体としては、例えば、スチレン、α-メチルスチレン、β-メチルスチレン、2,4-ジメチルスチレン、α-エチルスチレン、α-ブチルスチレン、α-ヘキシルスチレン等のアルキルスチレン、4-クロロスチレン、3-クロロスチレン、3-ブロモスチレン等のハロゲン化スチレン、更に3-ニトロスチレン、4-メトキシスチレン、ビニルトルエン等のスチレン系モノマーが挙げられる。中でも、スチレン、α-メチルスチレン、tert-ブチルスチレン等のスチレン系単量体を用いることが特に好ましい。
【0016】
また、(メタ)アクリル系単量体としては、例えば、メチルアクリレート、メチルメタクリレート、n-プロピルアクリレート、イソプロピルアクリレート、n-ブチルアクリレート、sec-ブチルアクリレート、tert-ブチルアクリレート、2-エチルブチルアクリレート、1,3-ジメチルブチルアクリレート、ヘキシルアクリレート、2-エチルヘキシルアクリレート、オクチルアクリレート、エチルメタアクリレート、n-ブチルメタアクリレート、2-メチルブチルメタアクリレート、ペンチルメタアクリレート、ヘプチルメタアクリレート、ノニルメタアクリレート、アクリル酸エチルカルビトール、3-エトキシプロピルアクリレート、3-エトキシブチルアクリレート、ジメチルアミノエチルアクリレート、2-ヒドロキシエチルアクリレート、2-ヒドロキシブチルアクリレート、エチル-α-(ヒドロキシメチル)アクリレート、ジメチルアミノエチルメタアクリレート、ヒドロキシエチルメタアクリレート、ヒドロキシプロピルメタアクリレート、フェニルアクリレート、ベンジルアクリレート、フェニルエチルアクリレート、フェニルエチルメタアクリレートのようなアクリル酸アリールエステル類及びアクリル酸アラルキルエステル類;ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、グリセリン、ビスフェノールAのような多価アルコールのモノアクリル酸エステル類あるいはモノメタアクリル酸エステル類等が挙げられる。これらのモノマーはその1種又は2種以上をモノマー成分として添加することができる。
【0017】
また、(メタ)アクリル系単量体と共重合しうる、マレイン酸、マレイン酸無水物、マレイン酸ジメチル、マレイン酸ジエチルのようなマレイン酸ジアルキルエステル、酢酸ビニル等も共重合させることができる。
【0018】
本発明で使用するスチレン-アクリル系共重合体は、水分散性あるいは水溶性の観点から、例えば、カルボキシル基、スルホン酸基または燐酸基等のアニオン性基を含有することが好ましい。中でもカルボキシル基を有することが、安定性その他の点から好ましい。
アニオン性基は、(メタ)アクリル酸等のアニオン性基を有する単量体とそれと共重合可能なその他のエチレン性不飽和単量体とを共重合することで導入可能である。
尚、本発明において(メタ)アクリルとは、アクリルとメタクリルとの総称を表し、(メタ)アクリル酸とは、アクリル酸とメタクリル酸との総称を意味するものとする。(メタ)アクリル酸の各種エステルの場合も前記と同様に解釈される。
本発明においては、アクリル酸とメタクリル酸をそれぞれ単独で使用してもよいし両方を併用して使用してもよい。
【0019】
本発明で用いる共重合体は、モノエチレン性不飽和単量体の重合単位のみの線状(リニア)共重合体であっても、各種の架橋性を有するエチレン性不飽和単量体を極少量共重合させ、一部架橋した部分を含有する共重合体であっても良い。
【0020】
この様な架橋性を有するエチレン性不飽和単量体としては、例えば、グリシジル(メタ)アクリレートやジビニルベンゼン;エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングルコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリ(オキシエチレンオキシプロピレン)グリコールジ(メタ)アクリレート、グリセリンのアルキレンオキシド付加物のトリ(メタ)アクリレート等の多価アルコールのポリ(メタ)アクリレートが挙げられる。
【0021】
本発明においては、用いる各単量体の反応率等は略同一と考えて、各単量体の仕込割合を、各単量体の重合単位の質量換算の含有割合と見なすものとする。本発明における共重合体は、塊状重合、溶液重合、懸濁重合、乳化重合等の従来より公知の種々の反応方法によって合成することが出来る。この際には、各々の重合方法に適した公知慣用の重合開始剤、連鎖移動剤(重合度調整剤)、界面活性剤及び消泡剤を併用することも出来る。例えば過酸化物、過硫酸塩、アゾ化合物、又はレドックス系、或いはこれらの混合物を使用すればよい。過酸化物としては例えば、過酸化水素、過酸化アンモニウム、過酸化ナトリウム、又は過酸化カリウム、t-ブチルペルオキシド、t-ブチルヒドロペルオキシド、クメンヒドロペルオキシド、及びベンゼンペルオキシドが挙げられる。また過硫酸塩としては例えば、過硫酸アンモニウム、過硫酸ナトリウム、又は過硫酸カリウムが挙げられる。
【0022】
またアゾ化合物としては例えば、2,2-アゾビスイソブチロニトリル、及び4,4’-(4-シアノバレリン酸)が挙げられる。またレドックス系は酸化剤と還元剤とから成り、酸化剤としては例えば先に挙げたうちの1の過酸化物、過硫酸塩、若しくはアゾ化合物、又は塩化ナトリウム若しくは塩化カリウム、又は臭化ナトリウム若しくは臭化カリウムが挙げられる。還元剤としては例えばアスコルビン酸、グルコース、又はアンモニウム、硫酸水素ナトリウム若しくは硫酸水素カリウム、亜硫酸水素ナトリウム若しくは亜硫酸水素カリウム、ナトリウムチオスルフェート若しくはカリウムチオスルフェート、又は硫化ナトリウム若しくは硫化カリウム、又は鉄(II)アンモニウムスルフェートが挙げられる。
【0023】
また、前記スチレン-アクリル系共重合体はランダム共重合体でもよいが、グラフト共重合体であっても良い。グラフト共重合体としてはポリスチレンあるいはスチレンと共重合可能な非イオン性モノマーとスチレンとの共重合体が幹又は枝となり、アクリル酸、メタクリル酸とスチレンを含む他のモノマーとの共重合体を枝又は幹とするグラフト共重合体をその一例として示すことができる。スチレン-アクリル系共重合体は、このグラフト共重合体とランダム共重合体の混合物であってもよい。
【0024】
本発明において、前記スチレン-アクリル系共重合体の重量平均分子量は5000~500000の範囲内であることが好ましく、中でも8000~300000の範囲内にあることがより好ましい。ここで重量平均分子量とはGPC(ゲル浸透クロマトグラフィー)法で測定される値であり、標準物質として使用するポリスチレンの分子量に換算した値である。
【0025】
本発明で使用するスチレン-アクリル系共重合体の酸価は1~250mgKOH/gであることが好ましく、1~200(mgKOH/g)であることがより好ましく、1~150(mgKOH/g)であることがより好ましく、1~100(mgKOH/g)であることがより好ましく、1~50(mgKOH/g)であることが更に好ましい。ここでいう酸価とは、日本工業規格「K 0070:1992. 化学製品の酸価,けん化価,エステル価,よう素価,水酸基価及び不けん化物の試験方法」に従って測定された数値であり、樹脂1gを完全に中和するのに必要な水酸化カリウムの量(mg)である。
【0026】
(塩基性化合物)
本発明においてはスチレン-アクリル系共重合体が有するアニオン性基は、中和されていることが好ましい。中和に使用する塩基性化合物としては公知のものを使用でき、例えばカリウム、ナトリウムなどのアルカリ金属の水酸化物;カリウム、ナトリウムなどのアルカリ金属の炭酸塩;カルシウム、バリウムなどのアルカリ土類金属などの炭酸塩;水酸化アンモニウム等の無機系塩基性化合物や、アンモニア、トリエタノールアミン、N,N-ジメタノールアミン、N-アミノエチルエタノールアミン、ジメチルエタノールアミン、N-N-ブチルジエタノールアミンなどのアミノアルコール類、モルホリン、N-メチルモルホリン、N-エチルモルホリンなどのモルホリン類、N-(2-ヒドロキシエチル)ピペラジン、ピペラジンヘキサハイドレートなどのピペラジン等の有機系塩基性化合物が挙げられる。中でも、アンモニアや、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、水酸化リチウムに代表されるアルカリ金属水酸化物が好ましい。
中和することで、スチレン-アクリル系共重合体は水分散性または水溶性となる。
【0027】
また、スチレン-アクリル系共重合体のガラス転移温度(以下Tgと称する場合がある)は、-40℃~40℃の範囲であることが好ましく、中でも-35℃~35℃の範囲が好ましく、-30℃~30℃の範囲がより好ましく、-25℃~20℃の範囲がより好ましい。
【0028】
本発明においてガラス転移温度は、示差走査熱量計による測定により得られるものである。
【0029】
前記酸価と前記ガラス転移温度においては好ましい範囲があり、例えばスチレン-アクリル系共重合体が水溶液である場合は、酸価が100~250mgKOH/gであり且つガラス転移温度が-40~40℃であることが好ましい。酸価が100mgKOH/g以上であれば溶解性が保持される傾向にあり、酸価が250mgKOH/g以下であれば、溶解性が保持される傾向にある。また、ガラス転移温度が-30℃以上であれば耐熱性が保持される傾向にあり、ガラス転移温度が40℃以下であれば、造膜性が保持される傾向にある。
【0030】
一方、スチレン-アクリル系共重合体が水分散体である場合は、酸価が1~200mgKOH/gであり且つガラス転移温度が-40~40℃が好ましい。酸価が1mgKOH/g以上であれば分散性は保持される傾向にあり、酸価が200mgKOH/g以下であれば、分散性が保持される傾向にある。また、ガラス転移温度が-30℃以上であれば耐熱性が保持される傾向にあり、ガラス転移温度が40℃以下であれば、造膜性が保持される傾向にある。
【0031】
水溶液と水分散体との混合物を用いる場合は、スチレン-アクリル樹脂のガラス転移温度は-40~40℃が好ましい。ガラス転移温度が-30℃以上であれば耐熱性は保持される傾向にあり、スチレン-アクリル系共重合体の含有量は不揮発分で3~50質量%の範囲であり、ガラス転移温度が40℃以下であれば、造膜性が保持される傾向にある。
【0032】
前記スチレン-アクリル系共重合体(A)は、本発明の水性リキッドインキ組成物の全量に対し、固形分換算で3~70質量%の範囲であることが好ましく、5~60質量%であることがより好ましい。
【0033】
前記スチレン-アクリル系共重合体の含有量が不揮発分で3質量%以上であれば、分散性は保持される傾向にあり、前記スチレン-アクリル系共重合体の含有量が不揮発分で70質量%以下であれば、耐熱性、耐摩擦性は保持される傾向にある。
【0034】
また、スチレン-アクリル系共重合体(A)は、インキ中の固形分重量比では、下限値が10質量%であることが好ましく、20質量%であることが好ましく、30質量%であることが好ましく、40質量%であることが好ましい。また、インキ中の固形分重量比の上限値は90質量%であることが好ましく、80質量%であることが好ましく、70質量%であることが好ましい。
【0035】
(多糖類(B))
本発明で使用する多糖類(B)は、例えば、カラゲーナン、ガラクトマンナン、キサンタンガムアルギン酸塩、ペクチン、キシラン、グルコマンナン、プルラン、カードラン、セルロース、セルロース誘導体、カルボキシメチルセルロース(CMC)、デンプン、デンプン誘導体、コーンスターチ等が挙げられる。これらを単独で用いても良いし、適宜これらより複数組み合わせて用いても良い。中でも、デンプン、デンプン誘導体、及びコーンスターチが好ましい。
【0036】
本発明において、多糖類の重量平均分子量は5000~5000000の範囲内であることが好ましい。ここで重量平均分子量とはGPC(ゲル浸透クロマトグラフィー)法で測定される値であり、標準物質として使用するポリスチレンの分子量に換算した値である。
【0037】
これらの多糖類は白色に近い色相であるため、インキの色味に影響を与えない。また、多糖類は酸価が低いため、基材としてインキが浸透しにくい種類の紙類を用いる場合でも密着性に悪影響を及ぼさない。加えて、構造中に多くの水酸基を有するため親水性が強く、耐油性に優れる特徴を持つ。
更に、多糖類(B)は、水酸基の一部に官能基を付加及び/又は導入することにより、耐水性や耐油性等の物性を調整可能である。例えば、疎水性の官能基を付加及び/又は導入することにより、耐水性を向上することができる。
【0038】
前記多糖類は、前記スチレン-アクリル系共重合体の製造時に、あらかじめスチレン単量体及びアクリル系単量体等の原料単量体と多糖類とを共存させた後に反応させた反応生成物としてもよいし(この場合、場合によっては多糖類がスチレン-アクリル系共重合体の共重合成分としてポリマー鎖中に取り込まれることが期待できる)、前記スチレン-アクリル系共重合体の重合反応が完了したエマルジョンに、更に多糖類を適宜混合してもよい。
【0039】
前記多糖類(B)の添加量は、本発明の水性リキッドインキ組成物の全量に対し、固形分換算で10~80質量%の範囲であることが好ましく、より好ましくは15~70質量%である。
【0040】
また、多糖類(B)は、インキ中の固形分重量比では、下限値が5質量%であることが好ましく、10質量%であることが好ましく、15質量%であることが好ましい。また、インキ中の固形分重量比の上限値は80質量%であることが好ましく、70質量%であることが好ましく、60質量%であることが好ましい。
【0041】
スチレン-(メタ)アクリル系共重合体(A)及び多糖類(B)の質量割合は、10:1~1:2の割合であることが好ましく、5:1~1:1の割合であることが好ましい。多糖類(B)の割合が多いほど、インキ中のバイオマス成分の割合を多くすることができ、且つ、耐油性、耐油摩擦性、等を向上することができる。一方、スチレン-(メタ)アクリル系共重合体(A)の割合が多いほど、顔料の分散性、造膜性、耐水性、耐水摩擦性等を向上することができる。
【0042】
本発明のバインダーは、多糖類(B)を付加したスチレン-(メタ)アクリル系共重合体(A)のような(A)及び(B)の複合体であってもよい。このような複合体を用いることにより、分散性、造膜性、耐水性、耐油性等の各種性能バランスに優れたインキ組成物を得られる。多糖類(B)を付加したスチレン-(メタ)アクリル系共重合体(A)は公知の方法により得られるが、例えば、上述のように、あらかじめスチレン単量体及びアクリル系単量体等の原料単量体と変性した多糖類とを共存させた後に反応させて、多糖類をスチレン-アクリル系共重合体の共重合成分としてポリマー鎖中に取り込ませることにより得られる。
【0043】
変性した多糖類は公知のものを用いることができるが、例えば、上述した多糖類(B)に、脂肪族飽和炭化水素基、脂肪族不飽和炭化水素基、芳香族炭化水素基などを、エステル結合及び/ 又はエーテル結合を介して結合させてなる変性澱粉が挙げられる。変性した多糖類は、エステル化変性されていることが好ましい。
【0044】
本発明のバインダー全量において、スチレン-(メタ)アクリル系共重合体(A)の構成部分、及び多糖類(B)の構成部分を有するバインダーを60質量%以上含有することが好ましく、70質量%以上含有することが好ましい。
【0045】
(その他の成分 バインダー樹脂)
本発明においては、前記スチレン-(メタ)アクリル系共重合体(A)が主バインダー樹脂として作用するが、必要に応じスチレン-(メタ)アクリル系共重合体(A)以外の水分散性あるいは水溶性樹脂を併用してもよい。例えば、バインダー樹脂としては特に限定なく一般の水性リキッド印刷インキに使用される、ウレタン樹脂、ポリビニルアルコール類、ポリビニルピロリドン類、ポリアクリル酸、アクリル酸-アクリロニトリル共重合体、アクリル酸カリウム-アクリロニトリル共重合体、酢酸ビニル-アクリル酸エステル共重合体、アクリル酸-アクリル酸アルキルエステル共重合体などのアクリル共重合体;スチレン-マレイン酸;スチレン-無水マレイン酸;ビニルナフタレン-アクリル酸共重合体;ビニルナフタレン-マレイン酸共重合体;酢酸ビニル-エチレン共重合体、酢酸ビニル-脂肪酸ビニルエチレン共重合体、酢酸ビニル-マレイン酸エステル共重合体、酢酸ビニル-クロトン酸共重合体、酢酸ビニル-アクリル酸共重合体などの酢酸ビニル系共重合体及びこれらの塩を使用することができる。これらは所望の物性に応じて適宜併用することもできる。
なかでも、前記バインダー樹脂としては、アクリル樹脂またはウレタン樹脂を使用することが、入手しやすく好ましい。
【0046】
前記アクリル樹脂としては、特に制限はなく、(メタ)アクリレートの単独重合または共重合、及び(メタ)アクリレートと共重合しうるビニルモノマーとを共重合させた共重合体があげられる。ただし、本明細書において、その他の成分として含有する「(メタ)アクリレートと共重合しうるビニルモノマーとを共重合させた共重合体」は、スチレン-(メタ)アクリル系共重合体(A)を含まない。また水分散性や水溶性を付与する目的から酸価を有する(メタ)アクリル系共重合体であることが好ましい。
【0047】
(メタ)アクリレートと共重合しうるビニルモノマーの例としては、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n-ブチル(メタ)アクリレート、sec-ブチル(メタ)アクリレート、t-ブチル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート等のアルキル(メタ)アクリレート;ベンジル(メタ)アクリレート等の芳香族(メタ)アクリレート;2-ヒドロドキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート等の水酸基含有モノマー;メトキシポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、メトキシポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート等のアルキルポリアルキレングリコールモノ(メタ)アクリレート;パーフルオロアルキルエチル(メタ)アクリレート等のフッ素系(メタ)アクリレート;、ビニルナフタレン、ビニルアントラセン、1,1-ジフェニルエチレン等の芳香族ビニル化合物;グリシジル(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、テトラメチレングリコールテトラ(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシ-1,3-ジアクリロキシプロパン、2,2-ビス[4-(アクリロキシメトキシ)フェニル]プロパン、2,2-ビス[4-(アクリロキシエトキシ)フェニル]プロパン、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレートトリシクロデカニル(メタ)アクリレート、トリス(アクリロキシエチル)イソシアヌレート、ウレタン(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリレート化合物;ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリレート等のアルキルアミノ基を有する(メタ)アクリレート;2-ビニルピリジン、4-ビニルピリジン、ナフチルビニルピリジン等のビニルピリジン化合物;1,3-ブタジエン、2-メチル-1,3-ブタジエン、2,3-ジメチル-1,3-ブタジエン、1,3-ペンタジエン、1,3-ヘキサジエン、1,3-シクロヘキサジエン等の共役ジエンなどが挙げられる。これらのモノマーは、1種で用いることも2種以上併用することもできる。
【0048】
また、カルボキシル基及びカルボキシル基が塩基性化合物によって中和されたカルボキシレート基からなる群より選ばれる1種以上の酸性基を導入することを目的として、(メタ)アクリル酸、クロトン酸、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸、β-(メタ)アクリロイルオキシエチルハイドロゲンサクシネート、β-(メタ)アクリロイルオキシエチルハイドロゲンフタレート等のカルボキシル基を有する(メタ)アクリルモノマーを共重合させることで、酸価を有する共重合体を得ることができる。酸性基を導入する場合は、酸価が所望の範囲となるようにモノマー量を適宜調整することが好ましい。
【0049】
前記共重合体は、例えば、重合開始剤の存在下、50℃~180℃の温度領域で各種モノマーを重合させることにより製造することができ、80℃~150℃の温度領域であればより好ましい。重合の方法は、例えば、塊状重合法、溶液重合法、懸濁重合法、乳化重合法等が挙げられる。また、重合様式は、例えば、ランダム共重合体、ブロック共重合体、グラフト共重合体等が挙げられる。また、本発明で使用する共重合体はコアシェル型であってもよい。
【0050】
(メタ)アクリル系共重合体の酸価は、酸価1mgKOH/g以上、250mgKOH/g以下が好ましく、酸価10mgKOH/g以上240mgKOH/g以下が好ましく、酸価20mgKOH/g以上230mgKOH/g以下が更に好ましい。酸価が250mgKOH/g以下であれば、耐水性、耐水摩擦性を向上することができる。
【0051】
前記(メタ)アクリル系共重合体の重量平均分子量は、5000~500000の範囲のものが好ましい。重量平均分子量5000以上であれば、樹脂皮膜の耐熱性が低下することなく、積層体の耐摩擦性、及び耐水摩擦性を保持できる傾向にある。500000以下であれば、基材への密着性、耐スクラッチ性が兼備できる傾向にある。
【0052】
前記(メタ)アクリル系共重合体のガラス転移温度(Tg)は、-40℃~100℃の範囲である事が好ましい。前記コポリマーのTgが-40℃以上であれば、皮膜強度が保たれ、積層体の耐水摩擦性が低下することなく、また100℃以下であれば、積層体の耐摩擦性、耐水摩擦性、耐スクラッチ性が良好に保たれる傾向にある。
【0053】
尚、前記ガラス転移温度(Tg)は、いわゆる計算ガラス転移温度を指し、下記の方法で算出された値を指す。
(式1) 1/Tg(K)=(W1/T1)+(W2/T2)+・・・(Wn/Tn)
(式2) Tg(℃)=Tg(K)-273
式1中のW1、W2、・・・Wnは、重合体の製造に使用したモノマーの合計質量に対する各モノマーの質量%を表し、T1、T2、・・・Tnは、各モノマーのホモポリマーのガラス転移温度(K)を表す。なお、T1、T2、・・Tnの値は、Polymer Handbook(Fourth Edition,J.Brandrup,E.H.Immergut,E.A.Grulke 編)に記載された値を用いる。
【0054】
また、各モノマーのホモポリマーのガラス転移温度が前記Polymer Hand Bookに記載されていないもののガラス転移温度は、示差走査熱量計「DSC Q-100」(TA Instrument社製)を用い、JIS K7121に準拠した方法で測定した。具体的には、真空吸引して完全に溶剤を除去した重合体を、20℃/分の昇温速度で-100℃~+200℃の範囲で熱量変化を測定し、各ベースラインの延長した直線から縦軸方向に等距離にある直線と、ガラス転移の階段状変化部分の曲線とが交わる点をガラス転移温度とした。
【0055】
前記スチレン-(メタ)アクリル系共重合体(A)以外のバインダー樹脂は、本発明の水性リキッドインキ組成物の全量に対し、固形分換算で0.5~40質量%の範囲であることが好ましく、1~30質量%であることがより好ましい。
【0056】
バインダー樹脂としては、スチレン-(メタ)アクリル系共重合体(A)の構成部分、及び多糖類(B)の構成部分を有するバインダーと、上述したような(メタ)アクリル系共重合体を組み合わせて用いることが好ましく、スチレン-(メタ)アクリル系共重合体(A)の構成部分、及び多糖類(B)の構成部分を有するバインダーと、ガラス転移温度が-40℃~100℃の範囲であり、且つ酸価が1~250mgKOH/gの範囲である(メタ)アクリル系共重合体とを組み合わせて用いることがより好ましい。
本発明の水性リキッドインキ中のバインダー全量において、スチレン-(メタ)アクリル系共重合体(A)の構成部分、及び多糖類(B)の構成部分を有するバインダーと、上述したような(メタ)アクリル系共重合体の総量の割合が70質量%以上であることが好ましく、80質量%以上であることが好ましく、90質量%以上であることがより好ましい。
【0057】
<滑剤(C)>
本発明の水性リキッド印刷インキは、滑剤(C)を含有する。滑剤(C)を含有することにより、耐摩擦性、耐水摩擦性、滑り性等を向上させることができる。滑剤(C)としては、例えば、ワックス、有機微粒子、無機微粒子、有機無機複合微粒子が挙げられる。無機系微粒子としては、例えば、ジルコニア、硫酸バリウム、炭酸カルシウム、酸化チタン等が挙げられる。有機系微粒子としては、例えば、ウレタン樹脂、アクリル樹脂、メラミン樹脂等を利用した樹脂ビーズ系が挙げられる。また、有機無機複合微粒子としては、アクリル-シリコン系、シリコーン系の微粒子が挙げられる。中でも、ワックスやシリコーン系微粒子を用いることが好ましい。
【0058】
ワックスとしては公知のワックスを用いることができるが、中でも炭素系ワックスが好ましい。炭素ワックスとしては流動パラフィン、天然パラフィン、合成パラフィン、マイクロクリスタリンワックス、ポリエチレンワックス、フルオロカーボンワックス、エチレン-プロピレン共重合体ワックス、4フッ化エチレン樹脂ワックス、フィッシャー・トロプシュワックス等が挙げられる。これらのワックスは、単独で使用してもよいし、2つ以上組み合わせて使用しても良い。
これら滑剤(C)の添加量の総量が水性リキッドインキ組成物全量の0.5~5質量%であることが好ましい。滑剤(C)の添加量の総量がインキ全量の0.5質量%以上であれば、耐摩耗性、耐水性摩耗性、耐スクラッチ性を保持する事ができる。滑剤(C)の添加量の総量がリキッドインキ組成物全量の5質量%以下であれば、基材との密着性、耐摩耗性、耐水性摩耗性、及び耐スクラッチ性を保持することができる。
【0059】
前記滑剤(C)の平均粒子径としては3~7μmの範囲が好ましく、且つ軟化点100~350℃である事が好ましい。平均粒子径が3μm以上であれば耐摩擦性が保持され、7μm以下であれば分散性が保持される傾向にある。また軟化点は100℃以上であれば耐熱性が保持される傾向にある。
【0060】
<着色剤>
本発明の水性リキッド印刷インキに使用される着色剤としては、一般のインキ、塗料、及び記録剤などに使用されている無機顔料、有機顔料または染料を挙げることができる。有機顔料としては、溶性アゾ系、不溶性アゾ系、アゾ系、フタロシアニン系、ハロゲン化フタロシアニン系、アントラキノン系、アンサンスロン系、ジアンスラキノニル系、アンスラピリミジン系、ペリレン系、ペリノン系、キナクリドン系、チオインジゴ系、ジオキサジン系、イソインドリノン系、キノフタロン系、アゾメチンアゾ系、フラバンスロン系、ジケトピロロピロール系、イソインドリン系、インダンスロン系、カーボンブラック系などの顔料が挙げられる。また、例えば、カーミン6B、レーキレッドC、パーマネントレッド2B、ジスアゾイエロー、ピラゾロンオレンジ、カーミンFB、クロモフタルイエロー、クロモフタルレッド、フタロシアニンブルー、フタロシアニングリーン、ジオキサジンバイオレット、キナクリドンマゼンタ、キナクリドンレッド、インダンスロンブルー、ピリミジンイエロー、チオインジゴボルドー、チオインジゴマゼンタ、ペリレンレッド、ペリノンオレンジ、イソインドリノンイエロー、アニリンブラック、ジケトピロロピロールレッド、昼光蛍光顔料等が挙げられる。また未酸性処理顔料、酸性処理顔料のいずれも使用することができる。以下に有機顔料として好ましいものの具体的な例を挙げる。
【0061】
黒色顔料としては、例えばC.I.ピグメントブラック1、C.I.ピグメントブラック6、C.I.ピグメントブラック7、C.I.ピグメントブラック9、C.I.ピグメントブラック20等が挙げられる。
【0062】
藍色顔料としては、例えばC.I.ピグメントブルー15、C.I.ピグメントブルー15:1、C.I.ピグメントブルー15:2、C.I.ピグメントブルー15:3、C.I.ピグメントブルー15:4、C.I.ピグメントブルー15:5、C.I.ピグメントブルー15:6、C.I.ピグメントブルー16、C.I.ピグメントブルー17:1、C.I.ピグメントブルー22、C.I.ピグメントブルー24:1、C.I.ピグメントブルー25、C.I.ピグメントブルー26、C.I.ピグメントブルー60、C.I.ピグメントブルー61、C.I.ピグメントブルー62、C.I.ピグメントブルー63、C.I.ピグメントブルー64、C.I.ピグメントブルー75、C.I.ピグメントブルー79、C.I.ピグメントブルー80などが挙げられる。
【0063】
緑色顔料としては、例えばC.I.ピグメントグリーン1、C.I.ピグメントグリーン4、C.I.ピグメントグリーン7、C.I.ピグメントグリーン8、C.I.ピグメントグリーン10、C.I.ピグメントグリーン36などが挙げられる。
【0064】
赤色顔料としては、例えばC.I.ピグメントレッド1、C.I.ピグメントレッド2、C.I.ピグメントレッド3、C.I.ピグメントレッド4、C.I.ピグメントレッド5、C.I.ピグメントレッド6、C.I.ピグメントレッド7、C.I.ピグメントレッド8、C.I.ピグメントレッド9、C.I.ピグメントレッド10、C.I.ピグメントレッド11、C.I.ピグメントレッド12、C.I.ピグメントレッド15、C.I.ピグメントレッド16、C.I.ピグメントレッド17、C.I.ピグメントレッド18、C.I.ピグメントレッド19、C.I.ピグメントレッド20、C.I.ピグメントレッド21、C.I.ピグメントレッド22、C.I.ピグメントレッド23、C.I.ピグメントレッド31、C.I.ピグメントレッド32、C.I.ピグメントレッド38、C.I.ピグメントレッド41、C.I.ピグメントレッド43、C.I.ピグメントレッド46、C.I.ピグメントレッド48、C.I.ピグメントレッド48:1、C.I.ピグメントレッド48:2、C.I.ピグメントレッド48:3、C.I.ピグメントレッド48:4、C.I.ピグメントレッド48:5、C.I.ピグメントレッド48:6、C.I.ピグメントレッド49、C.I.ピグメントレッド49:1、C.I.ピグメントレッド49:2、C.I.ピグメントレッド49:3、C.I.ピグメントレッド52、C.I.ピグメントレッド52:1、C.I.ピグメントレッド52:2、C.I.ピグメントレッド53、C.I.ピグメントレッド53:1、C.I.ピグメントレッド53:2、C.I.ピグメントレッド53:3、C.I.ピグメントレッド54、C.I.ピグメントレッド57、C.I.ピグメントレッド57:1、C.I.ピグメントレッド58、C.I.ピグメントレッド58:1、C.I.ピグメントレッド58:2、C.I.ピグメントレッド58:3、C.I.ピグメントレッド58:4、C.I.ピグメントレッド60:1、C.I.ピグメントレッド63、C.I.ピグメントレッド63:1、C.I.ピグメントレッド63:2、C.I.ピグメントレッド63:3、C.I.ピグメントレッド64:1、C.I.ピグメントレッド68、C.I.ピグメントレッド68、C.I.ピグメントレッド81:1、C.I.ピグメントレッド83、C.I.ピグメントレッド88、C.I.ピグメントレッド89、C.I.ピグメントレッド95、C.I.ピグメントレッド112、C.I.ピグメントレッド114、C.I.ピグメントレッド119、C.I.ピグメントレッド122、C.I.ピグメントレッド123、C.I.ピグメントレッド136、C.I.ピグメントレッド144、C.I.ピグメントレッド146、C.I.ピグメントレッド147、C.I.ピグメントレッド149、C.I.ピグメントレッド150、C.I.ピグメントレッド164、C.I.ピグメントレッド166、C.I.ピグメントレッド168、C.I.ピグメントレッド169、C.I.ピグメントレッド170、C.I.ピグメントレッド171、C.I.ピグメントレッド172、C.I.ピグメントレッド175、C.I.ピグメントレッド176、C.I.ピグメントレッド177、C.I.ピグメントレッド178、C.I.ピグメントレッド179、C.I.ピグメントレッド180、C.I.ピグメントレッド181、C.I.ピグメントレッド182、C.I.ピグメントレッド183、C.I.ピグメントレッド184、C.I.ピグメントレッド185、C.I.ピグメントレッド187、C.I.ピグメントレッド188、C.I.ピグメントレッド190、C.I.ピグメントレッド192、C.I.ピグメントレッド193、C.I.ピグメントレッド194、C.I.ピグメントレッド200、C.I.ピグメントレッド202、C.I.ピグメントレッド206、C.I.ピグメントレッド207、C.I.ピグメントレッド208、C.I.ピグメントレッド209、C.I.ピグメントレッド210、C.I.ピグメントレッド211、C.I.ピグメントレッド213、C.I.ピグメントレッド214、C.I.ピグメントレッド216、C.I.ピグメントレッド215、C.I.ピグメントレッド216、C.I.ピグメントレッド220、C.I.ピグメントレッド221、C.I.ピグメントレッド223、C.I.ピグメントレッド224、C.I.ピグメントレッド226、C.I.ピグメントレッド237、C.I.ピグメントレッド238、C.I.ピグメントレッド239、C.I.ピグメントレッド240、C.I.ピグメントレッド242、C.I.ピグメントレッド245、C.I.ピグメントレッド247、C.I.ピグメントレッド248、C.I.ピグメントレッド251、C.I.ピグメントレッド253、C.I.ピグメントレッド254、C.I.ピグメントレッド255、C.I.ピグメントレッド256、C.I.ピグメントレッド257、C.I.ピグメントレッド258、C.I.ピグメントレッド260、C.I.ピグメントレッド262、C.I.ピグメントレッド263、C.I.ピグメントレッド264、C.I.ピグメントレッド266、C.I.ピグメントレッド268、C.I.ピグメントレッド269、C.I.ピグメントレッド270、C.I.ピグメントレッド271、C.I.ピグメントレッド272、C.I.ピグメントレッド279、などが挙げられる。
【0065】
紫色顔料としては、例えばC.I.ピグメントバイオレット1、C.I.ピグメントバイオレット2、C.I.ピグメントバイオレット3、C.I.ピグメントバイオレット3:1、C.I.ピグメントバイオレット3:3、C.I.ピグメントバイオレット5:1、C.I.ピグメントバイオレット13、C.I.ピグメントバイオレット19(γ型、β型)、C.I.ピグメントバイオレット23、C.I.ピグメントバイオレット25、C.I.ピグメントバイオレット27、C.I.ピグメントバイオレット29、C.I.ピグメントバイオレット31、C.I.ピグメントバイオレット32、C.I.ピグメントバイオレット36、C.I.ピグメントバイオレット37、C.I.ピグメントバイオレット38、C.I.ピグメントバイオレット42、C.I.ピグメントバイオレット50、などが挙げられる。
【0066】
黄色顔料としては、例えばC.I.ピグメントイエロー1、C.I.ピグメントイエロー3、C.I.ピグメントイエロー12、C.I.ピグメントイエロー13、C.I.ピグメントイエロー14、ピグメントイエロー17、C.I.ピグメントイエロー24、C.I.ピグメントイエロー42、C.I.ピグメントイエロー55、C.I.ピグメントイエロー62、C.I.ピグメントイエロー65、C.I.ピグメントイエロー74、C.I.ピグメントイエロー83、C.I.ピグメントイエロー86、C.I.ピグメントイエロー93、C.I.ピグメントイエロー94、C.I.ピグメントイエロー95、C.I.ピグメントイエロー109、C.I.ピグメントイエロー110、C.I.ピグメントイエロー117、C.I.ピグメントイエロー120、ピグメントイエロー125、C.I.ピグメントイエロー128、C.I.ピグメントイエロー129、C.I.ピグメントイエロー137、C.I.ピグメント、イエロー138、C.I.ピグメントイエロー139、C.I.ピグメントイエロー147、C.I.ピグメントイエロー148、C.I.ピグメントイエロー150、C.I.ピグメントイエロー151、C.I.ピグメントイエロー153、C.I.ピグメントイエロー154、C.I.ピグメントイエロー155、C.I.ピグメントイエロー166、C.I.ピグメントイエロー168、C.I.ピグメントイエロー174、C.I.ピグメントイエロー180、C.I.ピグメントイエロー185およびC.I.ピグメントイエロー213等が挙げられる。
【0067】
橙色顔料としては、例えばC.I.ピグメントオレンジ5、C.I.ピグメントオレンジ13、C.I.ピグメントオレンジ16、C.I.ピグメントオレンジ34、C.I.ピグメントオレンジ36、C.I.ピグメントオレンジ37、C.I.ピグメントオオレンジ38、C.I.ピグメントオレンジ43、C.I.ピグメントオレンジ51、C.I.ピグメントレンジ55、C.I.ピグメントオレンジ59、C.I.ピグメントオレンジ61、C.I.ピグメントオレンジ64、C.I.ピグメントオレンジ71、又はC.I.ピグメントオレンジ74などが挙げられる。
【0068】
茶色顔料としては、例えばC.I.ピグメントブラウン23、C.I.ピグメントブラウン25、又はC.I.ピグメントブラウン26などが挙げられる。
【0069】
中でも、好ましい顔料として、黒色顔料としてC.I.ピグメントブラック7、藍色顔料としてC.I.ピグメントブルー15、C.I.ピグメントブルー15:1、C.I.ピグメントブルー15:2、C.I.ピグメントブルー15:3、C.I.ピグメントブルー15:4、C.I.ピグメントブルー15:6、緑色顔料としてC.I.ピグメントグリーン7、赤色顔料としてC.I.ピグメントレッド57:1、C.I.ピグメントレッド48:1、C.I.ピグメントレッド48:2、C.I.ピグメントレッド48:3、C.I.ピグメントレッド146、C.I.ピグメントレッド242、C.I.ピグメントレッド185、C.I.ピグメントレッド122、C.I.ピグメントレッド178、C.I.ピグメントレッド149、C.I.ピグメントレッド144、C.I.ピグメントレッド166、紫色顔料としてC.I.ピグメントバイオレット23、C.I.ピグメントバイオレット37、黄色顔料としてC.I.ピグメントイエロー83、C.I.ピグメントイエロー14、C.I.ピグメントイエロー180、C.I.ピグメントイエロー139、橙色顔料としてC.I.ピグメントオレンジ38、C.I.ピグメントオレンジ13、C.I.ピグメントオレンジ34、C.I.ピグメントオレンジ64、等が挙げられ、これらの群から選ばれる少なくとも一種または二種以上を使用することが好ましい。
【0070】
前記無機顔料としては、カーボンブラック、酸化チタン、酸化亜鉛、硫化亜鉛、硫酸バリウム、炭酸カルシウム、酸化クロム、シリカ、ベンガラ、アルミニウム、マイカ(雲母)などが挙げられる。また、ガラスフレークまたは塊状フレークを母材とした上に金属、もしくは金属酸化物をコートした光輝性顔料(メタシャイン;日本板硝子株式会社)を使用できる。白インキには酸化チタン、墨インキにはカーボンブラック、金、銀インキにはアルミニウム、パールインキにはマイカ(雲母)を使用することがコストや着色力の点から好ましい。アルミニウムは粉末またはペースト状であるが、取扱い性および安全性の面からペースト状で使用するのが好ましく、リーフィングまたはノンリーフィングを使用するかは輝度感および濃度の点から適宜選択される。
【0071】
前記顔料の総計はインキの濃度・着色力を確保するのに充分な量、すなわちインキの総重量に対して1~60質量%の割合で含まれることが好ましい。また、着色剤は単独で、または2種以上を併用して用いることができる。
本発明の水性リキッドインキは、更に、溶剤、その他目的に応じた助剤を使用することができる。
【0072】
<その他の成分 助剤>
本発明の水性リキッドインキ組成物は、上述したバインダー、滑剤の他に、界面活性剤、シリカ、アルミナ、分散剤、消泡剤、レベリング剤、粘着性付与剤、防腐剤、抗菌剤、防錆剤等を配合することができる。
【0073】
(界面活性剤)
界面活性剤としては特に限定なく本技術分野において汎用の界面活性剤を使用することができるが、中でも、アセチレン系界面活性剤やアルコールアルコキシレート系界面活性剤が好ましい。
【0074】
本発明で使用するアセチレン系界面活性剤として具体的には、2,5-ジメチル-3-ヘキシン-2,5-ジオール、3,6-ジメチル-4-オクチン-3,6-ジオール、2,4,7,9-テトラメチル-5-デシン-4,7-ジオール、3,5-ジメチル-1-ヘキシン-3-オール、3-メチル-1-ブチン-3-オール、3-メチル-1-ペンチン-3-オール、3-ヘキシン-2,5-ジオール、2-ブチン-1,4-ジオール等が挙げられる。又、市販品としては、サーフィノール61、82、104(いずれも、EVONIK社製)等 のアルキレンオキサイド非変性アセチレングリコール系界面活性剤や、サーフィノール420、440、465、485、SE、MD-20、TG、2502、ダイノール604、607(いずれも、EVONIK社製)オルフィンE1004、E1010、PD-004、EXP4300、PD-501、PD-502、SPC(いずれも、日信化学工業(株)製)、アセチレノールEH、E40、E60、E81、E100、E200(いずれも、川研ファインケミカル(株)製)等のアルキレンオキサイド変性アセチレングリコール系界面活性剤等が挙げられる。中でもアルキレンオキサイド変性アセチレングリコール系界面活性剤が好ましい。
【0075】
また、本発明で使用するアルコールアルコキシレート系界面活性剤として具体的には、DYNWET800(ビックケミー・ジャパン社製)が挙げられる。これらアセチレン系界面活性剤、アルコールアルコキシレート系界面活性剤は各々単独で使用してもよいし、2つ以上組み合わせて使用してもよい。
【0076】
これらアセチレン系界面活性剤及び/又はアルコールアルコキシレート系界面活性剤の添加量の総量がインキ全量の0.1~2質量%である事が好ましい。これらのアセチレン系界面活性剤は、単独で使用してもよいし、2つ以上組み合わせて使用しても良く、アセチレン系界面活性剤及び/又はアルコールアルコキシレート系界面活性剤の添加量の総量がインキ全量の0.1質量%以上であれば、基材との塗れ性が向上し基材との密着性を保持する事ができる。アセチレン系界面活性剤及び/又はアルコールアルコキシレート系界面活性剤の添加量の総量がインキ全量の2質量%以下であれば、耐摩耗性、耐水性摩耗性、及び耐スクラッチ性が低下する事もない。
【0077】
更に必要に応じ、その他アクリルポリマー系界面活性剤(例えばポリフローWS-314共栄社化学(株)社製)や、変性シリコーン系界面活性剤(例えばポリフローKL-401共栄社化学(株)社製)を使用してもよい。
使用する界面活性剤の総量は前記理由からインキ全量の0.1~2質量%であることが好ましい。
【0078】
消泡剤としては、各種コーターを使用してコーティングする際に組成物が泡立つことを防止する目的で添加する。具体的には、ポリマー系消泡剤、シリコン系消泡剤、フッ素系消泡剤が好ましく使用される。これら消泡剤としては乳化分散型及び可溶化型などいずれも使用できる。中でもシリコン系消泡剤が好ましい。前記消泡剤の添加量としては、水性リキッドインキ組成物全量に対し、固形分換算で0.005重量%~2重量%が好ましい。
【0079】
<溶剤>
(水性溶媒)
本発明の水性リキッドインキ組成物は水性であることから、溶媒は水が主である。一方水と混和する有機溶剤を本発明の効果を損なわない範囲で使用することができる。
水と混和する有機溶剤としては、例えばメチルアルコール、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、n-プロピルアルコール等のアルコール類やプロピレングリコール、グリセリン等の多価アルコール類、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノn-プロピルエーテル、エチルカルビトール等のエーテル類、ポリエチレングリコールやポリプロピレングリコール等とポリアルキレングリコール等が挙げられる。
【0080】
中でも、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、ポリエチレングリコールやポリプロピレングリコール等が乾燥性を調整し易い点から好ましい。アルコール系溶剤の添加量としては水性リキッドインキ組成物全量に対し、1質量%~4質量%が好ましい。
(水性リキッドインキ組成物の製造方法)
本発明の水性リキッドインキ組成物は、グラビア、フレキソ印刷インキの製造に一般的に使用されているビーズミル、アイガーミル、サンドミル、ガンマミル、アトライター等を用いて製造される。具体的には、例えば、前記スチレン-(メタ)アクリル系共重合体(A)と多糖類(B)、またはスチレン-アクリル系共重合体反応時にスチレン単量体及びアクリル系単量体と多糖類とを共存させた後に反応させた反応生成物(すなわち、変性した多糖類(B)を付加したスチレン-(メタ)アクリル系共重合体(A))、及びその他の成分を、攪拌機により分散混合し、撹拌を続けながら滑剤(C)を添加する。次に必要に応じて消泡剤、界面活性剤およびその他助剤を添加し、ミキサー等で撹拌して溶解、混合することで得ることができる。
【0081】
本発明の水性リキッドインキ組成物は、水性フレキソインキとして使用する場合、その粘度が離合社製ザーンカップ#4を使用し25℃にて7~25秒であればよく、より好ましくは10~20秒である。また、得られた水性フレキソ印刷インキの25℃における表面張力は、25~50mN/mが好ましく、33~43mN/mであればより好ましい。インキの表面張力が低いほどフィルム等の基材へのインキの濡れ性は向上するが、表面張力が25mN/mを下回るとインキの濡れ広がりにより、中間調の網点部分で隣り合う網点どうしが繋がり易い傾向にあり、ドットブリッジと呼ばれる印刷面の汚れの原因と成りやすい。一方、表面張力が50mN/mを上回るとフィルム等の基材へのインキの濡れ性が低下し、ハジキの原因と成り易い。
【0082】
一方で水性グラビアインキとして使用する場合、その粘度が離合社製ザーンカップ#3を使用し25℃にて7~25秒であればよく、より好ましくは10~20秒である。また、得られた水性グラビアインキの25℃における表面張力は、水性フレキソインキと同様に25~50mN/mが好ましく、33~43mN/mであればより好ましい。インキの表面張力が低いほどフィルム等の基材へのインキの濡れ性は向上するが、表面張力が25mN/mを下回るとインキの濡れ広がりにより、中間調の網点部分で隣り合う網点どうしが繋がり易い傾向にあり、ドットブリッジと呼ばれる印刷面の汚れの原因と成りやすい。一方、表面張力が50mN/mを上回るとフィルム等の基材へのインキの濡れ性が低下し、ハジキの原因と成り易い。
【0083】
(印刷物)
本発明の水性リキッドインキは、各種の基材と密着性に優れ、紙、合成紙、熱可塑性樹脂フィルム、プラスチック製品、鋼板等への印刷に使用できる。
【0084】
本発明の水性リキッドインキを紙基材へ印刷する場合、塗工方法としては特に限定はないが、例えばロールコーター、グラビアコーター、フレキソコーター、エアドクターコーター、ブレードコーター、エアナイフコーター、スクイズコーター、含浸コーター、トランスファロールコーター、キスコーター、カーテンコーター、キャストコーター、スプレイコーター、ダイコーター、オフセット印刷機、スクリーン印刷機等を使用することができる。
【0085】
本発明の水性リキッドインキで使用する紙基材としては特に限定は無く、インキの浸透性の低いコート紙等の紙基材に対しても、優れた密着性を示す。紙基材は、例えばカタログ、ポスター、チラシ、CDジャケット、ダイレクトメール、パンフレット、化粧品や飲料、医薬品、おもちゃ、機器等のパッケージ等の印刷に用いられる上質紙、コート紙、アート紙、模造紙、薄紙、厚紙等の紙、各種合成紙等を使用することができる。
紙基材は、木材パルプ等の製紙用天然繊維を用いて公知の抄紙機にて製造されるが、その抄紙条件は特に規定されるものではない。製紙用天然繊維としては、針葉樹パルプ、広葉樹パルプ等の木材パルプ、マニラ麻パルプ、サイザル麻パルプ、亜麻パルプ等の非木材パルプ、およびそれらのパルプに化学変性を施したパルプ等が挙げられる。パルプの種類としては、硫酸塩蒸解法、酸性・中性・アルカリ性亜硫酸塩蒸解法、ソーダ塩蒸解法等による化学パルプ、グランドパルプ、ケミグランドパルプ、サーモメカニカルパルプ等を使用することができる。
【0086】
前記水性リキッドインキ組成物の紙基材への印刷物は、例えば、ファストフードやテイクアウト用食品を直接収容可能な袋、容器、箱、ラッピング紙等の包装体、食品、薬品、化粧品などのパッケージに使用される化粧箱、紙器、ラベル、カタログ、ショッピングバッグ、書籍の表紙、ポスターなどの高光沢、耐油性、耐アルコール性、耐擦傷性等が要求されるパッケージ用の紙として有用であり、耐油紙や紙容器として使用できる。中でも、本発明はバイオマス材料を用いることから、環境や人体への安全性が高いため、食品用や衛生用のパッケージ材料に好適に使用できる。更に、耐油性・耐水性が高いことから、本発明の水性リキッドインキを塗工した紙を耐油紙及び/又は耐水紙として使用可能である。この場合、着色剤を含有させずに、水性ニスとして用いてもよい。
【0087】
一方、基材フィルムとしては、ナイロン6、ナイロン66、ナイロン46等のポリアミド樹脂、PET、ポリエチレンナフタレート、ポリトリメチレンテレフタレート、ポリトリメチレンナフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリブチレンナフタレート等のポリエステル系樹脂、ポリ乳酸等のポリヒドロキシカルボン酸、ポリ(エチレンサクシネート)、ポリ(ブチレンサクシネート)等の脂肪族ポリエステル系樹脂に代表される生分解性樹脂、ポリプロピレン、ポリエチレン等のポリオレフィン樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアリレート樹脂またはそれらの混合物等の熱可塑性樹脂よりなるフィルムやこれらの積層体が挙げられるが、中でも、ポリエステル、ポリアミド、ポリエチレン、ポリプロピレンからなるフィルムが好適に使用できる。これらの基材フィルムは、未延伸フィルムでも延伸フィルムでも良く、その製法も限定されるものではない。また、基材フィルムの厚さも特に限定されるものではないが、通常は1~500μmの範囲であればよい。また、基材フィルムの印刷面には、コロナ放電処理がされていることが好ましい。また、シリカ、アルミナ等が蒸着されていてもよい。
【0088】
また、紙基材とプラスチックフィルムを積層した積層体であってもよい。その場合、本発明のリキッドインキを印刷した印刷層(インキ塗膜)を設ける位置は特に限定されないが、紙基材上にインキ塗膜を設けて、該インキ塗膜が積層体の内側に配置する形、すなわち、該インキ塗膜を設けた面とプラスチックフィルムとを重ね合わせて積層した積層体とすることが好ましい。
【実施例】
【0089】
以下実施例により、本発明をより詳しく説明する。尚、実施例中の「部」は「質量部」を、「%」は「質量%」をそれぞれ表す。
各々の測定値の測定方法は次のように行った。
【0090】
(ガラス転移温度)
ガラス転移温度(Tg)の測定は、示差走査熱量計(株式会社TAインスツルメント製「DSC Q100」)を用い、窒素雰囲気下、冷却装置を用い温度範囲-80~450℃、昇温温度10℃/分の条件で走査を行う事で行った。
【0091】
(重量平均分子量(Mw))
重量平均分子量は、ゲルパーミッションクロマトグラフ(GPC)を用い、下記の条件により測定した値を使用した。
測定装置 ; 東ソー株式会社製 HLC-8220
カラム ; 東ソー株式会社製ガードカラムHXL-H
+東ソー株式会社製 TSKgel G5000HXL
+東ソー株式会社製 TSKgel G4000HXL
+東ソー株式会社製 TSKgel G3000HXL
+東ソー株式会社製 TSKgel G2000HXL
検出器 ; RI(示差屈折計)
データ処理:東ソー株式会社製 SC-8010
測定条件: カラム温度 40℃
溶媒 テトラヒドロフラン
流速 1.0ml/分
標準 ;ポリスチレン
試料 ;樹脂固形分換算で0.4質量%のテトラヒドロフラン溶液をマイクロフィルターでろ過したもの(100μl)
【0092】
(酸価)
酸価は、JIS試験方法K 0070-1992に準拠して測定した。テトラヒドロフラン(THF)溶媒にポリマー0.5gを溶解させ、フェノールフタレインを指示薬として、0.1M水酸化カリウムアルコール溶液で滴定することにより求めた。
(合成ワックスの平均粒子径)
合成ワックスの平均粒子径は、日立製作所製操作型電子顕微鏡S-3400Nを用いて測定した度数分布の状況から算出した。また合成ワックスの軟化点は、環球法(「JIS K7234-86」に準拠、昇温速度が5℃/分)にて測定を行った。
【0093】
(合成例1:スチレンアクリル系共重合体と多糖類の複合体(AB-1)の分散体)
還流冷却器、攪拌機、温度計、滴下ロート及び窒素導入管を備えた反応容器に、イソプロピルアルコール500部を仕込んで撹拌を開始し、80℃まで昇温した。ここに窒素気流下で、スチレン/αメチルスチレン/アクリル酸ブチル/アクリル酸/メタクリル酸メチル/アクリル酸2エチルヘキシル=40/15/10/10/20/5の割合のモノマーを91部、王子エース(王子コーンスターチ株式会社製、カルボキシル基置換度0.03の酸化澱粉、水分含量12.5質量%) 109質量部、及びt-ブチルパーオキシ-2-エチルヘキサノエート4部を0.5時間かけて連続滴下し、スチレン系単量体と(メタ)アクリル系単量体とを共重合させた混合物1を得た。
【0094】
前記混合物1の100部にアンモニア5部を加え、攪拌しながら、ポリプロピレングリコールPPG#1300の1部とイオン交換水144部の混合液を毎分5mlの速度で滴下し混合物2を得た。得られた混合物2を、ロータリーエバポレーターを用いてメチルエチルケトンとイソプロピルアルコールを留去し、スチレンアクリル系共重合体と多糖類の複合体(AB-1)の分散体を得た。なお、複合体(AB-1)の重量平均分子量は20万、酸価20、ガラス転移温度-18℃である。また、分散体(AB-1)の固形分は40%、バイオマス度は50である。
【0095】
(合成例2:スチレンアクリル系共重合体(A-1)の分散体)
還流冷却器、攪拌機、温度計、滴下ロート及び窒素導入管を備えた反応容器に、イソプロピルアルコール500部を仕込んで撹拌を開始し、80℃まで昇温した。ここに窒素気流下で、スチレン/αメチルスチレン/アクリル酸ブチル/アクリル酸/メタクリル酸メチル/アクリル酸2エチルヘキシル=40/15/10/10/20/5の割合のモノマーを96部、及びt-ブチルパーオキシ-2-エチルヘキサノエート4部を0.5時間かけて連続滴下し、スチレン系単量体と(メタ)アクリル系単量体とを共重合させた混合物3を得た。
【0096】
前記混合物3の100部にアンモニア5部を加え、攪拌しながら、ポリプロピレングリコールPPG#1300の1部とイオン交換水32部の混合液を毎分5mlの速度で滴下し混合物4を得た。得られた混合物4を、ロータリーエバポレーターを用いてメチルエチルケトンとイソプロピルアルコールを留去し、スチレンアクリル系共重合体(A-1)の分散体を得た。なお、共重合体(A-1)の重量平均分子量は20万、酸価30、ガラス転移温度2℃である。また、共重合体(A-1)の固形分は40%、バイオマス度は0である。
【0097】
〔実施例1〕
表1に示す顔料(フタロシアニンブルー)、アルカリ可溶型水性アクリル樹脂、水の混合物をビーズミルで練肉して、練肉ベースインキを作製した後、最終的に表1に記載の組成になるように調整して実施例1の水性リキッドインキを作製した。得られた水性リキッドインキの粘度をザーンカップ#4(離合社製)で16秒(25℃)になるよう、水で調整して、フレキソ印刷インキとした。
【0098】
〔実施例2~21、比較例1~4〕
実施例1と同様に、以下の表に示す組成に従って実施例2~21、比較例1~4の水性リキッドインキを作製し、水性リキッドインキの粘度をザーンカップ#4(離合社製)で16秒(25℃)になるよう、水で調整して、フレキソ印刷インキとした。
【0099】
なお、表中の記載の詳細は、以下のとおりである。
・フタロシアニンブルー:FASTGEN BLUE LA5380(フタロシアニン系青色顔料:DIC(株)製)
・酸化チタン:JR-600A(テイカ(株)社製)
・アルカリ可溶型水性アクリル樹脂:JONCRYL678(BASF株式会社製)、酸価215、ガラス転移温度85℃、固形分25%
・デンプン誘導体(B):王子エース(王子コーンスターチ株式会社製)、カルボキシル基置換度0 . 0 3の酸化澱粉、水分含量12.5質量%
・スチレンアクリル系共重合体エマルジョン(A-2):JONCYL8052(BASF株式会社製)、酸価65、ガラス転移温度21℃、固形分47%
・ウレタン樹脂;ハイドラン WLS-201K(DIC株式会社製) 、固形分40%
・アルカリ可溶型水性ロジン樹脂(アンモニア中和):ハリマック AS-5(ハリマ化成株式会社製)、酸価190、軟化点160℃、固形分40%
・ポリエチレンワックス(C):ケミパールW-400、三井化学株式会社製(平均粒子径3μm、三井化学株式会社製)、固形分40%
【0100】
上記粘度調整済みのフレキソ印刷インキである実施例1~19、比較例1~4をFlexoproof100テスト印刷機(Testing Machines,Inc.社製、アニロックス200線/inch)を用いて、非コート紙(薄用紙、坪量21g/m2)に、縦280mm×横100mmのベタ絵柄を印刷後、ドライヤーで乾燥し印刷物を得た。
【0101】
また、密着性の試験については、前述の非コート紙に加え、コート紙(耐油剤コート紙、坪量200g/m2コート面に印刷)、ポリエチレンラミネート紙(MDPE/紙/LDPE、坪量300g/m2、LDPE面に印刷)を用いて、上記と同様に印刷物を得た。他の試験については、非コート紙で行った。
【0102】
得られた印刷物について、以下の評価を行った。
(評価項目1:密着性)
印刷物を1日放置後、印刷面にセロハンテープ(ニチバン製12mm幅)を貼り付け、セロハンテープの一端を印刷面に対して直角方向に素早く引き剥がした時の印刷皮膜の残存率を、面積比率を基準に外観を目視判定した。
◎:印刷皮膜が全く剥がれない。又は原紙が破断した。
○:印刷皮膜の80%以上~90%未満が原紙に残った。
△:印刷皮膜の50%以上~80%未満が原紙に残った。
×:印刷皮膜の50%未満しか原紙に残らなかった。
【0103】
(評価項目2:耐熱性)
非コート紙にバーコーター#2でインキを塗布し、24時間放置して印刷物を作製した。
次いで、この印刷面に各印刷面に、80~200℃の熱傾斜を有する熱板を備えたヒートシール試験機を用いて、印刷面とアルミ箔、印刷面と印刷面を2.0kg/cm2の圧力で、1秒間押圧した。印刷面のインキがアルミ箔に転移する最低温度から、耐熱性を評価した。評価4以上が実用範囲である。
(評価基準)
5:180℃以上のもの。
4:160℃以上、180℃未満のもの。
3:140℃以上、160℃未満のもの。
2:120℃以上、140℃未満のもの。
1:120℃以下のもの。
【0104】
(評価項目3:耐水性)
水で濡らした綿棒でインキ塗膜表面を擦る行為を往復1回とし、50回往復時点でのインキ塗膜の傷つき具合を判定した。
◎:50回往復時点で塗膜上に傷がつかない。
○:50回往復時点で塗膜上に極わずかに傷がつく。
△:50回往復時点で塗膜上にわずかに傷がつく。
×:50回往復時点で下地が見える。
【0105】
(評価項目4:耐油性)
油で濡らした綿棒でインキ塗膜表面を擦る行為を往復1回とし、20回往復時点でのインキ塗膜の傷つき具合を判定した。
◎:20回往復時点で塗膜上に傷がつかない。
○:20回往復時点で塗膜上に極わずかに傷がつく。
△:20回往復時点で塗膜上にわずかに傷がつく。
×:20回往復時点で下地が見える。
【0106】
(評価項目5:耐摩擦性)
印刷物を2.5×25cmに断裁してテストピースとし、学振型摩擦試験機(大栄科学精器製作所製)を使用して、当て紙として上質紙を印刷物の印刷塗工面に当てて、200g荷重にて100回ずつ摩擦し、摩擦後のインキ塗膜を以下の評価基準に従って目視評価した。
◎:インキ塗膜が全く損傷しなかった。
〇:インキ塗膜に全体の25%以下の損傷が認められた。
△:インキ塗膜に全体の25%より多く50%以下の損傷が認められた。
×:インキ塗膜に全体の50%より多い損傷が認められた。
【0107】
(評価項目6:耐水摩擦性)
印刷物を2.5×25cmに断裁してテストピースとし、学振型摩擦試験機(大栄科学精器製作所製)を使用して、当て紙として水で濡らしたカナキンを印刷物の印刷塗工に当てて、200g荷重にて10回ずつ摩擦し、摩擦後のインキ塗膜をの損傷度合を以下の評価基準に従って目視評価した。
◎:インキ塗膜が全く損傷しなかった。
〇:インキ塗膜に全体の25%以下の損傷が認められた。
△:インキ塗膜に全体の25%より多く50%以下の損傷が認められた。
×:インキ塗膜に全体の50%より多い損傷が認められた。
【0108】
(評価項目7:耐油摩擦性)
印刷物を2.5×25cmに断裁してテストピースとし、学振型摩擦試験機(大栄科学精器製作所製)を使用して、当て紙として油で濡らしたカナキンを印刷物の印刷塗工に当てて、200g荷重にて10回ずつ摩擦し、摩擦後のインキ塗膜をの損傷度合を以下の評価基準に従って目視評価した。
◎:インキ塗膜が全く損傷しなかった。
〇:インキ塗膜に全体の25%以下の損傷が認められた。
△:インキ塗膜に全体の25%より多く50%以下の損傷が認められた。
×:インキ塗膜に全体の50%より多い損傷が認められた。
【0109】
(評価項目8:耐熱摩擦性)
印刷物を2.5×25cmに断裁してテストピースとし、学振型摩擦試験機(大栄科学精器製作所製)を使用して、当て紙として上質紙を印刷物の印刷塗工面に当てて、80℃にて、200g荷重にて50回ずつ摩擦し、摩擦後のインキ塗膜を以下の評価基準に従って目視評価した。
◎:インキ塗膜が全く損傷しなかった。
〇:インキ塗膜に全体の25%以下の損傷が認められた。
△:インキ塗膜に全体の25%より多く50%以下の損傷が認められた。
×:インキ塗膜に全体の50%より多い損傷が認められた。
【0110】
(評価項目9:白色度測定)
非コート紙に バーコーター#12でインキを塗布し、24時間放置して印刷物を作製した。次いで、印刷物のインキ塗膜部分の色相(Lab値)を、以下の条件にて測定した。
測色機:X-Rite社製eXact
Lab測定:D50/2°
L*:色の明度を表す。100に近いほど白い
a*:赤―緑の位置を表す。0に近いほど白い
b*:黄―青のいちを表す。0に近いほど白い
ステータス:E
基準色(インキ未塗工のコート紙):(L0:93:45,a0:0.44,b0:0.39)
サンプル色(インキ塗膜 実施例):(L1:95:25,a1:-0.28,b1:2.46)
サンプル色(インキ塗膜 比較例):(L1:95:06,a1:-0.31,b1:4.35)
組成及び評価結果を以下の表に示す。
【0111】
【0112】
【0113】
【0114】
【0115】
表より実施例は、高いバイオマス度を達成しつつ、基材に対する密着性が高く、更に、耐油性、耐水性、耐熱性、耐摩擦性のいずれにおいても優れたリキッドインキ組成物を得られることがわかった。また、白色度測定におけるb*の値より、実施例のリキッドインキは比較例のリキッドインキに比べて黄色みが抑えられていることがわかった。