(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-20
(45)【発行日】2025-01-06
(54)【発明の名称】包装用容器の蓋体及び包装用容器
(51)【国際特許分類】
B65D 43/02 20060101AFI20241223BHJP
B65D 77/20 20060101ALI20241223BHJP
【FI】
B65D43/02 200
B65D77/20 C
(21)【出願番号】P 2021001898
(22)【出願日】2021-01-08
【審査請求日】2023-11-27
(73)【特許権者】
【識別番号】391011825
【氏名又は名称】中央化学株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003498
【氏名又は名称】弁理士法人アイピールーム
(74)【代理人】
【識別番号】100167117
【氏名又は名称】打越 佑介
(72)【発明者】
【氏名】宮澤 香澄
【審査官】加藤 信秀
(56)【参考文献】
【文献】実開昭54-052416(JP,U)
【文献】特開2010-285199(JP,A)
【文献】実開平05-095856(JP,U)
【文献】特開2002-096863(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2010/0314279(US,A1)
【文献】特開2019-137430(JP,A)
【文献】特開2004-051133(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 43/02
B65D 77/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
容器本体上
の開口を覆う開閉自在な
ドーム状のカバー部と、
容器本体の周方向に嵌合する蓋体嵌合部と、
前記カバー部と前記蓋体嵌合部との間に連続して形成された蓋体フランジ部と、
前記カバー部から離れた位置かつ前記蓋体フランジ部に形成されたヒンジ部と、
前記カバー部を囲むように
前記ヒンジ部の両端をつなぐ切断部と、を備え
、
前記蓋体フランジ部は、
前記カバー部側の蓋体第1フランジ部と、
前記ヒンジ部及び前記切断部を境界にして前記蓋体第1フランジ部より外側の蓋体第2フランジ部と、を有し、
前記カバー部が全開した状態で、前記蓋体第2フランジ部に対する前記蓋体第1フランジ部の傾斜角が60°以上になる
ことを特徴とする包装用容器の蓋体。
【請求項2】
蓋体嵌合部と連続して外側に形成された蓋体外端部と、をさらに備え、
蓋体外端部の高さは、ヒンジ部及び切断部の高さと同等である
ことを特徴とする請求項1に記載の包装用容器の蓋体。
【請求項3】
閉じた状態におけるカバー部の頂上の水平接線が、全開した状態で60°~90°に傾く
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の包装用容器の蓋体。
【請求項4】
請求項1乃至
3のいずれか一項に記載の蓋体と、容器本体と、を備えた
ことを特徴とする包装用容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば食品を収容した容器本体の開口を閉じる蓋体、並びに蓋体と容器本体とを備えた包装用容器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、スーパーマーケットやコンビニエンスストアで販売される生鮮品や惣菜といった食品用の包装用容器には、食品を収容する容器本体と、容器本体の開口を閉じる蓋体と、容器本体と蓋体とを連結すると共に容器本体に対して蓋体を回動させるヒンジとを備えたものがあった。ヒンジは、容器本体及び蓋体と一体的に形成されたもののみならず、蓋体の一部として形成されたものもあった。
【0003】
例えば、特許文献1には、容器本体の後部上面に複数の円形凹部を形成し、蓋体の後部下面に複数の円形凸部を形成し、円形凹部及び円形凸部を互いに嵌合させて蓋体を容器本体に結合させると共に、蓋体の端部に幅方向に延びるヒンジを形成し、端部を除く蓋部を容器本体に対して開閉自在にした蓋付き容器が開示されている。すなわち、ヒンジは、蓋体の一部として形成されており、開蓋時の蓋体は、容器本体後部の円形凹部に対して、蓋体後部の円形凸部を嵌合した状態である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1では、蓋体の開閉を繰り返すと、容器本体後部の円形凹部から蓋体後部の円形凸部が外れるおそれがある。すなわち、蓋体がヒンジに隣接する位置のみで容器本体と嵌合しており、開閉時に最も動作するヒンジからの応力で、容器本体後部の円形凹部に嵌った蓋体後部の円形凸部が位置ずれし、これらの嵌合状態が緩みやすいことから、複数回繰り返される開閉動作で蓋体が不安定になりやすい。
【0006】
容器本体に装着された蓋体は、開閉に関わらず、基本的に外れにくく安定している状態が望ましく、特に食品等を収容した容器本体を据え置きし、一部分にヒンジを形成した蓋体を開け閉めする包装用容器の場合、特許文献1のようにヒンジの近傍のみならず、広範囲に渡って容器本体と蓋体とが嵌合等し合って装着している状態がより望ましいことに、発明者等は創意工夫の末に辿り着いた。
【0007】
また、誰でも蓋体を開閉しやすくするために、蓋体の一部に形成したヒンジが屈曲しやすい構造が望ましく、このような構造であれば、ヒンジからの応力がヒンジ近傍の部位に伝わりにくい構造も併せて実現しやすい。すなわち、屈曲しやすく応力が伝わりにくいヒンジを形成すべきであり、このようなヒンジを形成しやすい形状に蓋体を設計すべきであり、このためには、蓋体と容器本体との関係性も考慮すべきである。
【0008】
そこで、本発明の目的は、据え置き型の容器本体向けであり、複数回の開閉動作に対して装着状態が安定しており、また、安定した装着状態を実現しやすく設計された包装用容器の蓋体、並びに上記蓋体及び上記容器本体を備えた包装用容器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
すなわち、本発明における包装用容器の蓋体は、容器本体上の開口を覆う開閉自在なドーム状のカバー部と、容器本体の周方向に嵌合する蓋体嵌合部と、上記カバー部と上記蓋体嵌合部との間に連続して形成された蓋体フランジ部と、上記カバー部から離れた位置かつ上記蓋体フランジ部に形成されたヒンジ部と、上記カバー部を囲むように上記ヒンジ部の両端をつなぐ切断部と、を備えたことを特徴とする。
【0010】
上記蓋体は、蓋体嵌合部と連続して外側に形成された蓋体外端部と、をさらに備え、蓋体外端部の高さは、ヒンジ部及び切断部の高さと同等であることが望ましい。
【0011】
閉じた状態におけるカバー部の頂上の水平接線が、全開した状態で60°以上に傾くことが望ましい。
【0012】
上記蓋体フランジ部は、上記カバー部側の蓋体第1フランジ部と、上記ヒンジ部及び上記切断部を境界にして上記蓋体第1フランジ部より外側の蓋体第2フランジ部と、を有し、上記カバー部が全開した状態で、上記蓋体第2フランジ部に対する上記蓋体第1フランジ部の傾斜角が60°以上になることが望ましい。
【0013】
本発明における包装用容器は、上記蓋体と、容器本体と、を備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、据え置き型の容器本体向けであり、複数回の開閉動作に対して装着状態が安定しており、また、安定した装着状態を実現しやすく設計された包装用容器の蓋体、並びに上記蓋体及び上記容器本体を備えた包装用容器を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本発明の一実施形態における包装用容器の蓋体の(a)斜視図と、上記蓋体と嵌合する(b)容器本体の斜視図である。
【
図3】上記容器本体に嵌合した上記蓋体の
図2に示すX-X部分における閉蓋状態の拡大端面図である。
【
図4】上記容器本体に嵌合した上記蓋体の
図2に示すY-Y部分における(a)閉蓋状態の拡大端面図、(b)開蓋状態の拡大端面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、
図1~
図4を参照しつつ、本発明の一実施形態における包装用容器の蓋体について説明する。これらの図において、複数個存在する同一の部位については、一つの部位のみに符番した部分もある。説明の便宜上、所定の部位やこの引き出し線をかくれ線(破線)や想像線(二点鎖線)で示し、断面部分をハッチングで示した部分もある。説明において、上方、下方、側方、垂直方向、水平方向等の方向を示す用語は、基本的に通常使用する向きで上記蓋体を備えた包装用容器を設置した状態を基準にし、これ以外を基準とする場合は適宜説明する。
【0017】
<蓋体1の基本的な構造>
図1(a)及び
図2に示すように、包装用容器の蓋体1(以下、単に「蓋体1」ともいう。)は、カバー部11と、蓋体嵌合部12と、ヒンジ部13と、切断部14と、を備え、さらに蓋体外端部15と、蓋体フランジ部16と、備えている。蓋体1及び/又はカバー部11の平面視形状は、略矩形状であるが、円形状でも楕円形状でもよい。
【0018】
<容器本体2>
図1(b)に示すように、容器本体2は、例えばバットと称され、スーパーマーケット等の小売店内の生鮮食品売り場や、ビュッフェスタイルの飲食店における据え置き型としての使用に向いており、蓋体1を装着して開口を閉蓋するものであり、食品を載置する底面部21と、底面部21の周端縁から上方向に設けられた本体側壁部22と、本体側壁部22の上端縁から外方向に設けられた本体フランジ部23と、本体フランジ部23の周端縁から下方向に設けられた本体嵌合部24と、を備えている。容器本体2の開口は、本体側壁部22の上端縁、換言すれば、本体フランジ部23の内側の周端縁で形成される。容器本体2の平面視形状は、蓋体1と同等だが、異なっていてもよい。容器本体2のサイズは、蓋体1に応じて適宜選択してもよい。
【0019】
なお、本体側壁部22は、内側に突出している図示しない本体側壁突出部を有し、本体側壁突出部の高さは、本体フランジ部23の高さと同じでも異なっていてもよく、カバー部11の下端が本体側壁突出部に接し、カバー部11が本体側壁突出部に支持されてもよい。
ここで、こうした本体側壁突出部は本体の四隅だけに形成されても良いし、辺の一部に形成されても良い。特に後述するように、蓋体嵌合部12が、本体嵌合部24に対して内嵌合するように形成される場合には必要である。
【0020】
以下、蓋体1の具体的な構造について、各図を参照しつつ説明する。
【0021】
<カバー部11>
図1及び
図2に示すように、カバー部11は、容器本体2の上に位置しており、容器本体2の開口に対して開閉自在である。カバー部11は、カバー天面部11aと、カバー側壁部11bと、を有する。カバー部11は、上方向に膨出している直方体型のドーム状であり、カバー側壁部11bは、カバー天面部11aの周端縁から斜め下方向に拡がって形成されている。カバー側壁部11bの下端に相当するカバー側壁下端部11buは、平面視形状でカバー部11の平面視形状と同等であり、一辺一辺は直線状である。カバー部11は、開閉時に指に引っ掛けられたり指で摘ままれたりするカバー摘み部11cを有しており、カバー摘み部11cは、カバー天面部11a及び/又はカバー側壁部11bに凹状に形成されている。カバー部11は、ヒンジ部13及び切断部14に全周を囲まれている。
【0022】
なお、カバー部11は、容器本体2に接し、又は荷重していてもよく、換言すれば、容器本体2に支持されていてもよい。カバー部11は、半球型のドーム状でもよく、また、下方向に膨出しているドーム状でもよく、この場合、カバー側壁部11bは、カバー天面部11aの周端縁から上方向に拡がって設けられた付番しない蓋体第1側壁部と、蓋体第1側壁部の上端縁から下方向に拡がって設けられた蓋体第2側壁部と、を有していてもよい。カバー側壁部11bは、蓋体嵌合部12として形成されてもよい。
【0023】
<蓋体嵌合部12>
図2及び
図3に示すように、蓋体嵌合部12は、容器本体1の周方向に嵌合するように形成され、本体嵌合部24に対して外嵌合するように形成されている。蓋体嵌合部12は、カバー部11より低く位置し、蓋体フランジ部16を介してカバー部11と連続して一体的に形成されている。蓋体嵌合部12は、内側に突出する凸型に形成されており、周方向かつ所定間隔毎に形成されている。
ここで、蓋体嵌合部12は、四隅のみに形成されてもよいし、全周に亘って形成されてもよいし、例えば全周の長さに対し50%以上に形成されてもよいし、80%以上に形成されてもよい。
【0024】
なお、蓋体嵌合部12は、本体嵌合部24に対して内嵌合するように形成されていてもよく、また、周方向かつ全周に形成されていてもよい。蓋体嵌合部12は、カバー側壁部11bの一部として形成されてもよい。
ここで、後述するように蓋体第1フランジ部16aと蓋体第2フランジ部16bとの間に、ヒンジ部13及び切断部14が形成された場合には、設計上、内嵌合より外嵌合のほうが好ましい。
【0025】
<ヒンジ部13>
図1、
図2、及び
図4に示すように、ヒンジ部13は、カバー部11の開閉軸であり、カバー部11と蓋体嵌合部12との間に位置しており、カバー部11より外側かつ蓋体嵌合部12より内側に位置しており、カバー部11と蓋体嵌合部12とに隣接しており、カバー側壁下端部11buに最も隣接している。ヒンジ部13は、直線状であり、カバー側壁下端部11buの短手辺の一方と平行かつ略同じ長さである。ヒンジ部13は、蓋体フランジ部16に形成されており、蓋体フランジ部16に所定間隔で加工された所定幅かつ単数又は2つ以上の切断部分(スリット)で構成されている。ヒンジ部13は、カバー側壁下端部11buの短手辺から所定寸法離れており、カバー側壁下端部11buからヒンジ部13まで距離と、カバー側壁下端部11buから蓋体フランジ部16の外端縁までの距離との比率は、1:5~5:1である。
ここで、カバー側壁下端部11buとヒンジ部13との距離は、特に制限はないが、5~15mmであってもよく、6~10mmであってもよく、6.5~9mmであってもよい。
【0026】
なお、ヒンジ部13は、同程度の幅の切断部分と非切断部分とが連続しているミシン目であってもよく、カバー側壁下端部11buに形成されてもよく、蓋体フランジ部16を単に折り曲げて形成されてもよい。ヒンジ部13は、カバー側壁下端部11buの短手辺の長さより短くても長くてもよく、カバー側壁下端部11buの長手辺の一方と平行に形成されてもよい。ヒンジ部13は、蓋体フランジ部16に限らず、蓋体嵌合部12より内側に形成されていればよく、例えばカバー天面部11aに形成されてもよい。
こういったミシン目は切断部と非切断部とが交互に形成されていればよく、例えば非切断部は1~5mmあればよく、切断部は10~50mmあればよい。
【0027】
<切断部14>
図1~
図3に示すように、切断部14は、カバー部11を蓋体嵌合部12から開閉自在に分離するスリット(切れ目)であり、カバー部11を囲むようにヒンジ部13の両端に相当するヒンジ端部13a,13aを繋いでいる。切断部14は、カバー部11と蓋体嵌合部12との間に位置しており、カバー部11より外側かつ蓋体嵌合部12より内側に位置しており、カバー部11と蓋体嵌合部12とに隣接しており、カバー側壁下端部11buに最も隣接している。切断部14は、蓋体フランジ部16に形成されている。切断部14は、カバー側壁下端部11buの短手辺から所定寸法離れており、カバー側壁下端部11buから切断部14までの距離と、カバー側壁下端部11buから蓋体フランジ部16の外端縁までの距離との比率は、1:5~5:1であり、ヒンジ部13における上記比率と同等でも相違していてもよい。
【0028】
切断部14は、ヒンジ部13と対向する短手辺側に非切断部14a,14aを有している。すなわち、切断部14は、非切断部14a,14aを残して切断されたものであり、非切断部14a,14aの切断後にヒンジ端部13a,13aを繋ぐ。この構成によれば、非切断部14a,14aがカバー部11を暫定的に固定しているため、蓋体1の積み重ね時や輸送時に生じやすい蓋体1やカバー部11の破損を回避する効果を期待できる。こうした非切断部の長さは、例えば0.1~1.5mmであってもよく、0.2~1.2mmであってもよく、0.3~1mmであってもよい。
【0029】
なお、切断部14は、同程度の幅かつ所定間隔で形成された非切断部が連続しているミシン目であってもよい。切断部14は、カバー側壁下端部11buに形成されてもよい。非切断部14aは、単数でも3つ以上かつ所定間隔毎に形成されてもよく、ヒンジ部13と直交する長手辺側に形成されてもよい。切断部14は、蓋体フランジ部16に限らず、蓋体嵌合部12より内側に形成されていればよく、例えばカバー天面部11aに形成されてもよい。
【0030】
このように、蓋体1が、容器本体2上に位置する開閉自在なカバー部11と、容器本体2の周方向に嵌合する蓋体嵌合部12と、カバー部11と蓋体嵌合部12との間に位置するヒンジ部13と、カバー部11を囲むようにヒンジ部13の両端をつなぐ切断部14と、を備えていることで、蓋体嵌合部12が容器本体2に嵌合した状態で、カバー部11が切断部14の範囲においてヒンジ部13を軸に開閉自在になることから、蓋体1を容器本体2から取り外さなくてもカバー部11を介して容器本体2の収容物を容易に取り出せる効果を期待できる。すなわち、蓋体嵌合部12が容器本体2の周方向全周で嵌合しており、かつヒンジ部13がカバー部11及び蓋体嵌合部12と一体的に形成されていることから、カバー部11を頻繁に開閉したり片手で乱雑に開閉したりしても、蓋体嵌合部12が容器本体12から外れにくく、かつカバー部11がヒンジ部13を介して蓋体嵌合部12と繋がっているため、安定した開閉動作の実現が期待できる。
【0031】
<蓋体外端部15>
図2~
図4に示すように、蓋体外端部15は、蓋体嵌合部12と連続して外側かつ全周に形成され、蓋体嵌合部12の外端縁から上方向に拡がって形成されており、平面状かつ所定幅の蓋体外端上端部15aを有する。蓋体外端部15の高さに相当する蓋体外端上端部15aの位置は、ヒンジ部13及び切断部14の高さと同等であり、換言すれば、蓋体外端上端部15a・ヒンジ部13・切断部14は、同一の水平面上に位置する。
【0032】
この構成によれば、蓋体外端部15の高さがヒンジ部13及び切断部14の高さと揃うため、切断部14を形成するための切断加工がしやすくなり、全体として生産効率の向上を期待できる。すなわち、切断部14の切断加工時に蓋体外端上端部15aを固定できるため、ヒンジ部13や切断部14の位置や向きを決定しやすく、切断ミスや位置ずれを回避する効果を期待できる。
【0033】
蓋体外端部15の内側及び/又は外側には、図示及び付番しない補強リブが単数又は複数形成されていてもよい。補強リブは、蓋体外端部15の下方から蓋体外端上端部15aに向かう所定幅の縦型で、蓋体外端上端部15aと平行な横方向かつ所定間隔毎に2つ以上形成されてもよく、また、蓋体外端上端部15aと平行な所定幅の横型で、蓋体外端部15の下方から蓋体外端上端部15aに向かって1つ又は2つ以上形成されてもよい。
【0034】
図4に示すように、カバー部11が閉じた状態で、カバー部11の頂上に相当するカバー頂上部11dの水平接線11dhが、カバー部11が全開した状態で60~90°に傾き、換言すると、カバー部11が全開した状態で水平接線11dhと水平線とのなす傾斜角D1が60~90°になる。すなわち、ヒンジ部13は、傾斜角D1が60~90°になるように、カバー部11と蓋体嵌合部12との間に形成され、また、カバー部11から離れた位置に形成される。カバー部11が全開した状態は、カバー側壁部11bやカバー天面部11aの角部分が蓋体外端上端部15aに接した状態に相当する。カバー側壁下端部11buからヒンジ部13まで距離とヒンジ部13から蓋体外端上端部15aの外端縁までの距離の比率は1:5~5:1である。
【0035】
この構成によれば、容器本体の収容物を容易に取り出せる程度にカバー部11が全開した状態を維持しやすくなる効果を期待できる。すなわち、カバー部11は、蓋体外端上端部15aをストッパーにして開き過ぎず、傾斜角が60°未満と比べて蓋体2が傾き過ぎず、90°超と比べて自重や弾性や振動等の外力により閉じにくくなるため、カバー部11が収容物の取り出しの障害になりにくいばかりでなく、購買者は所望のタイミングでカバー部11を確実かつ容易に閉じれる効果を期待できる。
【0036】
<蓋体フランジ部16>
図1及び
図2に示すように、蓋体フランジ部16は、平面状であり、カバー部11と蓋体嵌合部12との間に連続して形成され、カバー部11の周方向かつ全周に形成され、カバー側壁下端部11buから外方向に形成され、カバー部11より低い位置にあり、閉蓋状態で本体フランジ部23に面する。蓋体フランジ部16の幅は、ヒンジ部13が形成された短手側のほうが、切断部14が形成された長手辺側より広いが、蓋体2の開閉に支障がない限り、狭くてもよく、双方同等でよい。
【0037】
蓋体フランジ部16は、カバー部11側の蓋体第1フランジ部16aと、ヒンジ部13及び切断部14を境界にして蓋体第1フランジ部16aより外側の蓋体第2フランジ部16bと、を有する。換言すると、蓋体第1フランジ部16aと蓋体第2フランジ部16bとの間に、ヒンジ部13及び切断部14が形成されており、また、蓋体第1フランジ部16aと蓋体第2フランジ部16bとは、ヒンジ部13及び非切断部14aを介して部分的に連結している。蓋体第1フランジ部16aの幅と蓋体第2フランジ部16bの幅との比率は、1:1が最もよく、1:4~4:1でもよく、ヒンジ部13や切断部14における上記比率に応じて変化してもよい。
【0038】
この構成によれば、ヒンジ部13及び切断部14の形成位置を決定しやすく、蓋体フランジ部16に対する上方向からの切断加工のみで容易に形成できる効果を期待できる。また、蓋体第1フランジ部16aからカバー部11側のみヒンジ部13を軸にして開閉自在にでき、閉蓋時に蓋体第1フランジ部16aを介して本体フランジ部23にカバー部11を支持できるため、全開時も閉蓋時もカバー部11の位置を安定させやすく、不意な開蓋や位置ずれによる隙間を予防する効果も期待できる。
【0039】
なお、蓋体フランジ部16は、カバー天面部11aと同じ高さ位置にあっても、高い位置にあってもよく、この場合、カバー側壁部11bの上端縁から外方向に設けられてもよい。蓋体フランジ部16に対して、ヒンジ部13及び/又は切断部14は、本体フランジ部23の幅方向(短手方向)略中央より外側に位置してもよい。換言すれば、蓋体第1フランジ部16aの幅が蓋体第2フランジ部16bの幅より広くてもよい。この構成によれば、本体フランジ部23への接地面積が蓋体第1フランジ部16aのほうが蓋体第2フランジ部16bより広いため、カバー部11が容器本体2の内部に落下しにくくなる効果を期待できる。
【0040】
蓋体フランジ部16には、図示及び付番しないドット状のエンボス、貫通孔、又は波状の凹凸部が形成されていてもよく、これらは少なくとも切断部14の切断後に表れる蓋体第1フランジ部16aの端面付近に形成されていることが好ましく、換言すれば、切断部14の切断後に少なくとも蓋体第1フランジ部16aの端面が波状に表れることが好ましく、この構成によれば、切断部14の切断面に相当する蓋体第1フランジ部16aの端面での切り傷予防を期待できる。ここで、上記端面を形成する上端と下端との高低差は、0.01~3mmであり、好ましくは0.05~2.5mm、より好ましくは0.1~1.5mmである。
【0041】
図4(b)に示すように、蓋体2が全開した状態で、蓋体第2フランジ部16bに対する蓋体第1フランジ部16aの傾斜角D2が、60°以上であってもよく、傾斜角D1と同等でも相違していてもよい。
【0042】
<容器本体2の形成方法・素材・寸法等の仕様>
容器本体2は、例えば真空成型、熱板圧空成型、真空圧空成型、両面真空成型等のシート成型で、合成樹脂シートを熱成型することにより形成されてもよい。合成樹脂シートは、例えば、ポリエチレンテレフタレート等のポリエステル系樹脂製やポリエチレンやポリプロピレン等のオレフィン系樹脂製、ポリスチレン系樹脂製で、単層や多層のシートで形成されていてもよく、有色又は無色透明でも、不透明であってもよい。さらに、合成樹脂シートの表面及び/又は裏面を合成樹脂フィルムで覆ってもよく、表面を覆った場合は印刷を施してもよい。合成樹脂シートは、発泡樹脂製でも非発泡樹脂製でもよい。合成樹脂シートの厚みは特に制限はないが、非発泡樹脂製の場合は0.2~0.45mmであればよく、好ましくは0.23~0.4mm、さらに好ましくは0.23~0.3mmである。発泡倍率が1.5~3倍の低発泡樹脂製の場合は0.5~3mmであればよく、好ましくは1~2mmである。また、発泡倍率が5~15倍の高発泡樹脂製の場合は1.5~5mmであればよく、好ましくは2~4mmであり、より好ましくは2.5~3.5mmである。なお、発泡倍率とは、発泡前のもの(発泡性組成物)と発泡後のもの(発泡シート)の比容積(単位:cc/g)を測定し、発泡後の比容積/発泡前の比容積によって算出されたものをいう。
ここで、容器本体の大きさについて特に制限はないが、例えば幅200~500mm、奥行き350~600mmであってもよい。
【0043】
<蓋体1の形成方法・素材・寸法等の仕様>
蓋体1は、例えば真空成型、熱板圧空成型、真空圧空成型、両面真空成型等のシート成型で、合成樹脂シートを熱成型することにより形成されてもよい。合成樹脂シートは、例えば、ポリエチレンテレフタレート等のポリエステル系樹脂製やポリエチレンやポリプロピレン等のオレフィン系樹脂製、二軸延伸ポリスチレン(OPS;Oriented Polystyrene)といったポリスチレン系樹脂製で、単層や多層のシートで形成されていてもよく、無色透明が好ましいが、有色又は不透明であってもよい。さらに、合成樹脂シートの表面及び/又は裏面を合成樹脂フィルムで覆ってもよく、表面を覆った場合は印刷を施してもよい。合成樹脂シートは、発泡樹脂製でも非発泡樹脂製でもよいが、本発明においては非発泡樹脂製のほうが所望の効果を得られやすい。合成樹脂シートの厚みは特に制限はないが、0.2~0.45mmであればよく、好ましくは0.23~0.4mm、さらに好ましくは0.23~0.3mmである。
ここで、本発明においては、蓋体1は、透明性やヒンジ部としてのミシン目の設計の幅を鑑みるとポリエチレンテレフタレート製であることが好ましい。
また、蓋体1の大きさについて特に制限はないが、例えば幅200~500mm、奥行き350~600mmであってもよい。
【0044】
<包装用容器の使用方法の一例>
図1に示すように、容器本体2内に食品を収容した後、蓋体嵌合部12を本体嵌合部24に外嵌合して蓋体1を容器本体2に装着する。次に、切断部14に沿って点在する非切断部14aを切断して、蓋体嵌合部12からカバー部11を解放する。そして、カバー摘み部11cを摘み、ヒンジ部13を軸にして、カバー側壁部11bが蓋体外端部15に接するまでカバー部11を開く。その後、容器本体2内から食品を取り出した後、カバー摘み部11cを摘まんでカバー部11を閉じるが、カバー摘み部11cを指に引っ掛けたり、カバー天面部11aを押したりし、そのままカバー部11の自重や弾性で閉じてもよい。
【0045】
なお、本実施形態に示した蓋体及び容器本体は、上述した内容に限定されず、同等の効果を得られる限り、あらゆる部位の位置・形状・寸法や、部位同士の関係を含む。
【符号の説明】
【0046】
1 蓋体
11 カバー部、11a カバー天面部、11b カバー側壁部、11bu カバー側壁下端部、11c カバー摘み部、11d カバー頂上部、11dh 水平接線
12 蓋体嵌合部
13 ヒンジ部、13a ヒンジ端部
14 切断部、14a 非切断部
15 蓋体外端部、15a 蓋体外端上端部
16 蓋体フランジ部、16a 蓋体第1フランジ部、16b 蓋体第2フランジ部
2 容器本体
21 底面部
22 本体側壁部
23 本体フランジ部
24 本体嵌合部