(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-20
(45)【発行日】2025-01-06
(54)【発明の名称】卓上ロボット
(51)【国際特許分類】
B25J 11/00 20060101AFI20241223BHJP
F16H 19/02 20060101ALI20241223BHJP
【FI】
B25J11/00 C
F16H19/02 K
(21)【出願番号】P 2021014207
(22)【出願日】2021-02-01
【審査請求日】2024-01-23
(73)【特許権者】
【識別番号】000002244
【氏名又は名称】株式会社ジャノメ
(74)【代理人】
【識別番号】100156867
【氏名又は名称】上村 欣浩
(74)【代理人】
【識別番号】100143786
【氏名又は名称】根岸 宏子
(72)【発明者】
【氏名】釜井 善弘
【審査官】國武 史帆
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2018/216183(WO,A1)
【文献】実開平04-086148(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B25J 1/00 - 21/02
F16H 19/02
B23Q 11/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
モータと、
前記モータの回転運動を直線運動に変換する変換機構と、
直動レールに支持され前記変換機構によって移動するテーブルを有する直動テーブル機構と、
前記モータが内部に収納され前記変換機構と前記直動テーブル機構とが外面に取り付けられる電装筐体と、を備え、
前記電装筐体は、前記直動レールが前記電装筐体に取り付けられる取付部を、前記変換機構を中心として線対称となる位置に一対備える卓上ロボット。
【請求項2】
前記電装筐体は、前記直動テーブル機構が取り付けられていない側の前記取付部に取り付けられる遮蔽部材を有する請求項1に記載の卓上ロボット。
【請求項3】
前記テーブルは、前記直動レールが延在する向きに前記テーブルを貫く貫通孔を備え、
前記直動テーブル機構は、前記貫通孔に挿通され前記直動レールを覆うカバーを有し、
前記カバーは、前記
電装筐体に取り付けられる請求項1又は2に記載の卓上ロボット。
【請求項4】
前記変換機構は、前記モータによって回転する駆動プーリと、前記駆動プーリに対して前記直動レールが延在する向きに間隔をあけて設けられる従動プーリと、前記駆動プーリと前記従動プーリに巻き掛けられ、前記駆動プーリと前記従動プーリとの間に対向して位置する一対の直線部分を有するベルトと、一方の前記直線部分又は他方の前記直線部分の何れかに取り付けられるとともに前記テーブルに取りつけられる結合体とを備え、
一方の前記直線部分に前記結合体が取り付けられる場合の前記モータの回転方向に対し、他方の前記直線部分に前記結合体が取り付けられる場合の前記モータの回転方向を逆転させる制御部を有する請求項1~3の何れか一項に記載の卓上ロボット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、机等に設置することが可能な卓上ロボットに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば3方向の直動機構によってツールとワークを3次元的に駆動させ、ワーク同士の組み立てやワークに対するねじ締め、ワークへの溶剤等の塗布、ワークの切断、ワークへのはんだ付け等の各種作業を行うことが可能な卓上ロボット、又は卓上型ロボットと称される小型のロボットが知られている。多くの卓上ロボットは、その名称の通り机等に設置できる程小型化されていて、作業者と協働して作業を行う、いわゆる半自動機として利用することも可能である。
【0003】
特許文献1に示された卓上ロボットは、コントロール基板を含む各種の電装部品を収納する電装筐体(下部ボックス)を、その一部が引き出されるように構成していて、これにより設置の容易化、及び一層の小型化を実現させている。
【0004】
また卓上ロボットは、半自動機として利用されることが多いという性質上、大量生産よりも少量多品種の生産に多用されている。従って卓上ロボットを使用する際は、ツールやワーク、治具等の入れ替え作業や、卓上ロボット内における配置換え作業といった、いわゆる段取り替えと称される作業が比較的多く発生する。このような点に鑑み、例えば特許文献2に記載されているように、各直動機構の取り付け位置を調整可能とし、これによりワークやツールの種類に応じてレイアウトを変更することができる卓上ロボットも提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開平7-136952号公報
【文献】特開2002-66965号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところでこのような卓上ロボットは、作業者と協働させるために、高い安全性、例えば高い耐ノイズ性が求められている。特許文献1の卓上ロボットは、モータ、基板、ケーブル等の電装部品の全てが金属製の電装筐体(下部ボックス)の中に収納されるため、耐ノイズ性に優れた構造であるといえる。しかし、特許文献1の卓上ロボットは、特許文献2の卓上ロボットのようにレイアウトを自由に変更することができない。
【0007】
一方、特許文献2の卓上ロボットは、ユニット化された直動機構を組み合わせた構造であって、駆動モータを含めた各直動機構は、電装筐体に収容された制御部とケーブルで接続される。従って、ケーブルが電装筐体から露出している分、特許文献1の卓上ロボットに比して耐ノイズ性は劣ることになる。なお、各直動機構の取り付け位置が変わったとしてもそれらを全て覆うサイズの電装筐体を使用すれば耐ノイズ性は向上するが、この場合は小型化という要求と相反することになる。このように、小型化を前提とした場合において、卓上ロボットにおける各直動機構のレイアウトの自由度と耐ノイズ性はトレードオフの関係となっている。
【0008】
このような問題点に鑑み、本発明は、小型化を図りつつ、レイアウトの自由度と耐ノイズ性とのトレードオフの関係を解消可能な卓上ロボットを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の卓上ロボットは、モータと、前記モータの回転運動を直線運動に変換する変換機構と、直動レールに支持され前記変換機構によって移動するテーブルを有する直動テーブル機構と、前記モータが内部に収納され前記変換機構と前記直動テーブル機構とが外面に取り付けられる電装筐体と、を備え、前記電装筐体は、前記直動レールが前記電装筐体に取り付けられる取付部を、前記変換機構を中心として線対称となる位置に一対備えることを特徴とする。
【0010】
このような卓上ロボットにおいて、前記電装筐体は、前記直動テーブル機構が取り付けられていない側の前記取付部に取り付けられる遮蔽部材を有することが好ましい。
【0011】
またこのような卓上ロボットにおいて、前記テーブルは、前記直動レールが延在する向きに前記テーブルを貫く貫通孔を備え、前記直動テーブル機構は、前記貫通孔に挿通され前記直動レールを覆うカバーを有し、前記カバーは、前記電装筐体に取り付けられることが好ましい。
【0012】
そして前記変換機構は、前記モータによって回転する駆動プーリと、前記駆動プーリに対して前記直動レールが延在する向きに間隔をあけて設けられる従動プーリと、前記駆動プーリと前記従動プーリに巻き掛けられ、前記駆動プーリと前記従動プーリとの間に位置する一対の直線部分を有するベルトと、一方の前記直線部分又は他方の前記直線部分の何れかに取り付けられるとともに前記テーブルに取りつけられる結合体とを備え、一方の前記直線部分に前記結合体が取り付けられる場合の前記モータの回転方向に対し、他方の前記直線部分に前記結合体が取り付けられる場合の前記モータの回転方向を逆転させることが好ましい。
【発明の効果】
【0013】
本発明の卓上ロボットは、電装筐体に対して直動レールを、変換機構を中心として線対称となる位置の何れにも取り付けることができるため、テーブルのレイアウトを変更することができる。また、テーブルのレイアウト変更に伴ってテーブルを移動させるモータの位置が変わると、上述したように耐ノイズ性を確保するためには大型の電装筐体を用いる必要があるが、本発明の卓上ロボットは、レイアウトが変わってもモータの位置は変わらずに電装筐体に収納された状態にあるため、電装筐体の小型化を図りつつ耐ノイズ性を確保することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】本発明に係る卓上ロボットの第一実施形態に関し、テーブルを電装筐体の中央に取り付けた状態での斜視図である。
【
図2】
図1に示した卓上ロボットの分解斜視図である。
【
図3】
図1に示した卓上ロボットのテーブル中央での断面図である。
【
図4】
図1に示した卓上ロボットのブロック図である。
【
図5】
図1に示した卓上ロボットに関し、直動テーブル機構を電装筐体の右側に取り付けた状態での斜視図である。
【
図6】
図5に示した卓上ロボットの分解斜視図である。
【
図7】
図5に示した卓上ロボットのテーブル中央での断面図である。
【
図8】本発明に係る卓上ロボットの第二実施形態に関するテーブル中央での断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図面を参照しながら、本発明に係る卓上ロボットの一実施形態について説明する。以下の説明においては、便宜上、図面に示した右、左、前、後、上、下、及びX、Y、Zの向きで説明することとする。
【0016】
図1~
図4は、本発明に係る卓上ロボットの第一実施形態である卓上ロボット1Aを示している。卓上ロボット1Aは、各種の電装部品を収納する電装筐体2と、電装筐体2の右側面及び左側面に設けられた一対のコラム3と、一対のコラム3に掛け渡されたアーム4を備えている。
図2に示すように電装筐体2の上面には、Xモータ5(
図3参照)の回転運動を直線運動に変換する変換機構6と、前後方向(X方向)に移動可能なテーブル7を備える直動テーブル機構8が設けられている。
図1に示す状態において、テーブル7は、電装筐体2の左右方向(Y方向)中央に位置する。そしてアーム4には、左右方向に移動可能なYユニット9が設けられ、Yユニット9の下部には、上下方向(Z方向)に移動可能なZ基台10が設けられている。なお
図3において一点鎖線の円で囲んだ部分を拡大した部分拡大図を図面内右上に示している。
【0017】
テーブル7には、各種のワークを載置することが可能であり、Z基台10には、ねじ締めドライバやはんだごて等のツールを取り付けることが可能である。従って卓上ロボット1Aによれば、ワークとツールを3次元的に相対移動させることができるため、ワークに対してねじ締めやはんだ付け等の作業を行うことができる。
【0018】
本実施形態の電装筐体2は、上述した変換機構6と直動テーブル機構8が取り付けられる筐体本体部11Aを備えている。筐体本体部11Aの前方には、前面カバー部12が設けられていて、前面カバー部12には、卓上ロボット1Aの操作等に使用されるとともに動作状態等を表示する操作・表示部13が設けられる。なお筐体本体部11Aの後方には、不図示の後面カバー部が設けられる。そして、
図3に示すように筐体本体部11Aの下方には、ベース部14が設けられる。これら筐体本体部11A、前面カバー部12、後面カバー部、ベース部14の内側には、後述する各種の電装部品が収容される。なお、卓上ロボット1Aで使用される電装部品の一部は、アーム4やYユニット9の内部にも収容される。ここで筐体本体部11A、前面カバー部12、後面カバー部、及びベース部14は何れも金属製であって、電装筐体2の内部は、外部からの電気的ノイズにして高い耐性を持っていて、電装筐体2に収納された電装部品に対するノイズの影響を抑えている。なお、アーム4やYユニット9の外殻をなすカバーも金属製であり、アーム4やYユニット9の内部も外部からの電気的ノイズにして高い耐性を持っている。
【0019】
本実施形態の筐体本体部11Aは、
図3に示すように、その上面を下方に向けて凹ませた凹部11aを備えている。凹部11aの左右方向中央部分における後方には、Xモータ5が取り付けられる。図示したようにXモータ5は、電装部品(例えばコイル等)を内側に収納した大径になる部分が筐体本体部11Aの内側に取り付けられ、回転する小径のシャフトは筐体本体部11Aの外側に位置している。
【0020】
また凹部11aの左右方向中央部分には、
図2に示すように変換機構6が取り付けられる。本実施形態の変換機構6は、Xモータ5のシャフトに取り付けられる駆動プーリ15と、駆動プーリ15に対して間隔をあけてその前方に設けられる従動プーリ16と、駆動プーリ15と従動プーリ16に巻き掛けられる歯付きのベルト17と、ベルト17とテーブル7とを連結させる結合体18を備えている。ここでベルト17は、駆動プーリ15と従動プーリ16に巻き掛けた状態において、駆動プーリ15と従動プーリ16との間に対向して位置する一対の直線部分17aを備えていて、結合体18は、一対の直線部分17aの何れか一方(
図1~
図3に示す状態においては左側の直線部分17a)に取り付けられる。
【0021】
本実施形態の結合体18は、2枚の板状部材18a、18bから構成される。一方の板状部材18aは、略L字状をなしていて、テーブル7に取り付けられると共に直線部分17aの一面側と対向する。他方の板状部材18bは、直線部分17aの他面側に位置して一方の板状部材18aに向けて不図示のねじ等によって可動するように構成されている。すなわち、一方の板状部材18aに向けて他方の板状部材18bを動かすことで直線部分17aが挟持され、結合体18をベルト17に固定し、テーブル7とベルト17を連結することができる。
【0022】
このような変換機構6によれば、駆動プーリ15を回転させると、直線部分17aに取り付けた結合体18が前後方向に移動する。すなわち、駆動プーリ15はXモータ5によって回転するため、Xモータ5の回転運動を結合体18の直線運動に変換することができる。
【0023】
そして凹部11aの左部分には、
図2に示すように直動テーブル機構8が取り付けられる。本実施形態の直動テーブル機構8は、テーブル7と、前後方向に延在する直動レール8aと、直動レール8aに支持されて前後方向に移動するブロック8bを備えている。直動レール8aとブロック8bとの間にはボール8cが介在し、ブロック8bは直動レール8aに対しレールの長手方向にスライド可能である。凹部11aの左部分には、直動レール8aを固定するためのねじ穴11bが設けられていて、直動レール8aは不図示のねじによって凹部11aに固定される。
【0024】
凹部11aの右部分にも、ねじ穴11cが設けられる。ねじ穴11cは、ねじ穴11bに対して変換機構6を中心として線対称となる位置に設けられている。すなわち、駆動プーリ15と従動プーリ16の中心を通る直線に対して、ねじ穴11bまでの距離とねじ穴11cまでの距離は等しくなっている。また、ねじ穴11bとねじ穴11cの前後方向の位置も等しくなっている。
【0025】
このようなねじ穴11cに対し、本実施形態では不図示のねじによって遮蔽部材19が取り付けられる。遮蔽部材19は、
図3に示すように凹部11aの右側部分に嵌まり込んでテーブル7の端部下方に潜り込むように形作られているため、直動レール8aやベルト17の周辺に埃や塵等が侵入し難くなっている。
【0026】
ブロック8bには、テーブル7が取り付けられる。本実施形態のテーブル7は、右側中央部において、結合体18を取り付けるためのねじ穴7aを備えている。またテーブル7の左側中央部には、ねじ穴7aと同形状になるねじ穴7bが設けられている。更にテーブル7は、前後方向にテーブル7を貫く貫通孔7cを備えている。なお、テーブル7に図示されているねじ穴7a、7b以外の穴は、ワークや冶具の固定用のねじ穴や作業穴である。
【0027】
本実施形態の直動テーブル機構8は、図示したように前後方向に長く延在するカバー20を備えている。カバー20は、テーブル7の貫通孔7cに挿通され、筐体本体部11Aに設けられたねじ穴11dに対して不図示のねじで固定される。カバー20によって直動レール8aやベルト17が全体に亘って覆われるため、直動レール8aやベルト17の周辺に埃や塵等が侵入することを防止している。なおカバー20は、貫通孔7cに挿通されているため、テーブル7の前後への移動が妨げられることはない。
【0028】
また筐体本体部11Aは、変換機構6を中心として線対称となる位置にも、ねじ穴11dと同形状になるねじ穴11eを備えている。
【0029】
なお、筐体本体部11Aに設けられる上述したねじ穴11b、11cは、本明細書の「取付部」に相当する部位である。
【0030】
次に、卓上ロボット1Aの電気的な制御に関する構成について、
図4のブロック図を参照しながら説明する。卓上ロボット1Aは、上述したXモータ5の他、Yユニット9を駆動させるYモータ21とZ基台10を駆動させるZモータ22を備えていて、これらのモータは制御部23と電気的に接続されている。また制御部23は、上述した操作・表示部13の他、制御部23に各種の制御を行わせるためのプログラムやワークに応じた教示データ(ティーチングデータ)を記憶するプログラム・教示データ記憶部24や、ロボットレイアウト検出手段25と電気的に接続されている。なお、ロボットレイアウト検出手段25に関する詳細な説明は後述する。
【0031】
本実施形態の卓上ロボット1Aは、上述した電気的な制御を実現するものとして、
図3に示すように電装筐体2の内側に、電源ユニット26、制御基板27、モータドライバ基板28等を備えている。またXモータ5における電装部品を収納した大径となる部分も、電装筐体2の内側に配されている。ここで電源ユニット26は、各種の電装部品に電力を供給する機能を有する。また制御基板27とモータドライバ基板28は、ブロック図における制御部23として機能する。なお、図示は省略するが、ブロック図に示したYモータ21はアーム4の内側に取り付けられていて、Zモータ22はYユニット9の内側に取り付けられている。またロボットレイアウト検出手段25は、本実施形態では直動レール8aの有無を検出する不図示のセンサ(例えば光電センサや近接センサ)であって、凹部11aの左部分近傍と右部分近傍に設けられている。
【0032】
このような卓上ロボット1Aによれば、操作・表示部13からの操作により、プログラム・教示データ記憶部24に記憶されたプログラムや教示データが制御部23に読み込まれ、更に制御部23からの指令に基づいて、Xモータ5、Yモータ21、及びZモータ22を駆動させることができる。従って、テーブル7にワークを載置し、Z基台10にねじ締めドライバやはんだごて等のツールを取り付けることによって、ワークとツールを3次元的に相対移動させてねじ締めやはんだ付け等を行うことができる。
【0033】
ところで、ワークの大きさや形状或いはツールの種類によっては、
図1に示すようにテーブル7が電装筐体2の左右方向中央に位置する状態では、意図した作業が行えないことがある。このような場合には、
図5、
図6に示すようにテーブル7を電装筐体2の右側に位置させることができる。
【0034】
上述したように本実施形態の筐体本体部11Aは、変換機構6を中心としてねじ穴11bとねじ穴11cが線対称となる位置に設けられ、またねじ穴11dとねじ穴11eが線対称となる位置に設けられている。すなわち、ねじ穴11bに固定されていた直動レール8aを取り外してねじ穴11cに固定することができ、ねじ穴11cに固定されていた遮蔽部材19を取り外してねじ穴11bに固定することができる。また、ねじ穴11dに固定されていたカバー20取り外してねじ穴11eに固定することができる。そして、テーブル7とベルト17とをつなぐ結合体18は、テーブル7に対して、
図2に示したねじ穴7aから取り外して
図5に示すようにねじ穴7bに取り付けることができ、またベルト17に対して、
図3に示すように左側の直線部分17aを挟持する状態から
図7に示すように右側の直線部分17aを挟持する状態に変更することができる。このように本実施形態の卓上ロボット1Aによれば、テーブル7のレイアウトを、電装筐体2の左右方向中央に位置する状態から電装筐体2の右側に位置する状態に変更することができる。またテーブル7のレイアウトを変更しても、変換機構6の位置は変わらないため、卓上ロボット1Aの小型化を図ることができる。なお、テーブル7のレイアウトを変更しても、変換機構6と直動テーブル機構8との距離は変わらないため、テーブル7の可搬重量や振動特性も変化することがない。なお
図7において一点鎖線の円で囲んだ部分を拡大した部分拡大図を図面内上に示している。
【0035】
なお、上記のようにテーブル7のレイアウトを変更した場合、Xモータ5の回転方向がレイアウト変更前と後で同一であれば、テーブル7が移動する方向は逆になる。このため本実施形態においては、上述したロボットレイアウト検出手段25によって、直動レール8aが変換機構6に対し、右側にレイアウトされているか左側にレイアウトされているかを検出し、その検出結果に基づいて制御部23は、Xモータ5の回転方向を切り替えている。従ってテーブル7のレイアウトを変更しても、ワークに対して意図した通りに作業を実行することができる。
【0036】
また卓上ロボット1Aによれば、テーブル7のレイアウトを変更しても、Xモータ5を含めた各種の電装部品は、電装筐体2、アーム4、及びYユニット9に収納された状態にあるため、電装部品に対する耐ノイズ性を確保することができる。
【0037】
次に、本発明に係る卓上ロボットの第二実施形態である卓上ロボット1Bについて、
図8を参照しながら説明する。卓上ロボット1Bは、上述した凹部11aが左右方向に間隔をあけて一対設けられた筐体本体部11Bを備えている。また各凹部11aには、上述したXモータ5、変換機構6、及び直動テーブル機構8が設けられている。
【0038】
このような卓上ロボット1Bによれば、
図8(a)に示すように2つのテーブル7が左右方向に近づいたレイアウトにすることが可能である。また
図8(b)に示すように、2つのテーブル7が左右方向に離れたレイアウトにすることも可能である。更に図示は省略するが、右側のテーブル7は
図8(a)に示す位置に配置して左側のテーブル7は
図8(b)に示す位置に配置することも可能であり、また右側のテーブル7は
図8(b)に示す位置に配置して左側のテーブル7は
図8(a)に示す位置に配置することも可能である。このように卓上ロボット1Bによれば、合計4通りのレイアウト変更を行うことができる。そして図示を省略しているものの、電装筐体2の内部には、電源ユニット、制御基板、モータドライバ基板等が収納されている。したがって、卓上ロボット1Bにおいても、変換機構6と直動テーブル機構8との距離は変わらず、また各種の電装部品は、電装筐体2等に収納された状態にあるため、電装部品に対する耐ノイズ性を確保することができる。
【0039】
以上、本発明を具現化した実施形態について例示したが、本発明は係る特定の実施形態に限定されるものではなく、上記の説明で特に限定しない限り、特許請求の範囲に記載された本発明の趣旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。また、上記の実施形態における効果は、本発明から生じる効果を例示したに過ぎず、本発明による効果が上記の効果に限定されることを意味するものではない。
【0040】
例えば上述した変換機構6は、駆動プーリ15、従動プーリ16、及びベルト17によって構成されるものであったが、モータの回転運動を直線運動に変換する種々の機構(一例として、ボールねじを利用した機構やスライダクランク機構)に置き換えてもよい。
【0041】
またテーブル7のレイアウトを変更するにあたり、上述した実施形態では、結合体18をテーブル7に取り付ける構成としてテーブル7の右側中央部と左側中央部に2つのねじ穴(ねじ穴7a、7b)を設けたが、ねじ穴は何れか一つとし、テーブル7を水平面に対して180度回転させてブロック8bに取り付けてもよい。
【0042】
また上述した実施形態では、直動レール8aがねじ穴11b、11cの何れに固定されているかを検出するロボットレイアウト検出手段25として、直動レール8aの有無を検出するセンサを、凹部11aの左部分近傍と右部分近傍の両方に設けていたが、直動レール8aはねじ穴11b、11cの何れかに取り付けられることを前提として、凹部11aの左部分近傍と右部分近傍の何れか一方のみに設ける構成としてもよい。すなわち、例えば凹部11aの左部分近傍のみにこのセンサを設ける場合は、センサで直動レール8aを検出すると、直動レール8aはねじ穴11bに固定されていると制御部23に判断させ、センサで直動レール8aを検出しなければ、直動レール8aはねじ穴11cに固定されていると判断させてもよい。またロボットレイアウト検出手段25は、操作・表示部13を利用して作業者がテーブル7のレイアウトを入力するものでもよい。
【0043】
なお、テーブル7のレイアウトを変更するにあたって2種類の結合体18を用意しておき、例えば
図3に示すようにテーブル7が電装筐体2の左右方向中央に位置する状態では、図示した形状になる結合体18によって左側の直線部分17aを挟持し、
図7に示すようにテーブル7が電装筐体2の右側に位置する状態では、左側の直線部分17aを挟持する形状にした別の結合体18を使うようにしてもよい。この場合は、テーブル7のレイアウトを変更しても、Xモータ5の回転方向は同一のままとなる。なお、このように構成する場合は、ロボットレイアウト検出手段25は不要になる。
【0044】
また電装筐体2は、直動レール8aやカバー20を取り付けるための取付部としてねじ穴11b、11c、11d、11eを備えているが、ねじを用いるものに限られず、例えば部材を挟持するクランプ等を利用した取付部を使用してもよい。
【符号の説明】
【0045】
1A、1B:卓上ロボット
2:電装筐体
5:Xモータ(モータ)
6:変換機構
7:テーブル
7c:貫通孔
8:直動テーブル機構
8a:直動レール
11b、11c:ねじ穴(取付部)
15:駆動プーリ
16:従動プーリ
17:ベルト
17a:直線部分
18:結合体
19:遮蔽部材
20:カバー
23:制御部