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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-20
(45)【発行日】2025-01-06
(54)【発明の名称】熱可塑性エラストマー組成物
(51)【国際特許分類】
   C08L 101/12 20060101AFI20241223BHJP
   C08K 3/26 20060101ALI20241223BHJP
   C08K 3/22 20060101ALI20241223BHJP
   H01L 23/29 20060101ALI20241223BHJP
   H01L 23/31 20060101ALI20241223BHJP
   H01L 23/373 20060101ALI20241223BHJP
【FI】
C08L101/12
C08K3/26
C08K3/22
H01L23/30 R
H01L23/36 M
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2021020199
(22)【出願日】2021-02-10
(65)【公開番号】P2022122751
(43)【公開日】2022-08-23
【審査請求日】2023-12-13
(73)【特許権者】
【識別番号】000004385
【氏名又は名称】NOK株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001807
【氏名又は名称】弁理士法人磯野国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】橋本 和也
【審査官】中落 臣諭
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-159554(JP,A)
【文献】特開2012-049567(JP,A)
【文献】特開2012-102202(JP,A)
【文献】特開2008-163145(JP,A)
【文献】特開2015-205944(JP,A)
【文献】特開2006-291078(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08L1/00-101/14
C08K3/00-13/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱可塑性エラストマーに熱伝導性フィラーを50~62vol%配合してなる熱可塑性エラストマー組成物であって、
前記熱伝導性フィラーとして、平均粒子径が0.3~5μmと7~60μmの2種類の炭酸マグネシウムと、平均粒子径が0.3~5μmの酸化亜鉛を含有し、
平均粒子径が0.3~5μmの前記炭酸マグネシウムと平均粒子径が7~60μmの前記炭酸マグネシウムとの容積比が、20/80~70/30であり、
平均粒子径が0.3~5μmの前記炭酸マグネシウムと前記酸化亜鉛の合計と、平均粒子径が7~60μmの前記炭酸マグネシウムと、の容積比が、35/65~77/23であり、
JIS デュロメータ硬さタイプAが80以下であり、
熱伝導率が1.5W/m・K以上である
ことを特徴とする熱可塑性エラストマー組成物。
【請求項2】
前記熱伝導性フィラーとしてモース硬度が5未満の熱伝導性フィラーを含有する請求項1に記載の熱可塑性エラストマー組成物。
【請求項3】
体積固有抵抗率が1×1010Ω・cm以上である請求項1または請求項2に記載の熱可塑性エラストマー組成物。
【請求項4】
封止材料用または放熱材料用である請求項1~のいずれか1項に記載の熱可塑性エラストマー組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、熱伝導性に優れた熱可塑性エラストマー組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
熱伝導性材料は、パソコン・携帯電話などに搭載される半導体チップなどの封止材料、車載用カメラなどの電子機器の回路基板の放熱材料をはじめ、様々な用途に利用されている。さらに、これらの用途には熱伝導性と併せて絶縁性も要求されるため、材料に配合する充填材の選定が非常に重要となる。
【0003】
熱伝導性材料の熱伝導性は、通常、酸化アルミニウム、グラファイト、酸化ベリリウム、酸化亜鉛(亜鉛華)、酸化マグネシウム、窒化ホウ素、窒化アルミニウムなどの熱伝導性充填材(熱伝導性フィラー)を材料に添加することによって発現される。
【0004】
しかし、窒化アルミニウムや窒化ホウ素などの窒化物は、良好な熱伝導性を有する一方で、コストが高い。特に窒化アルミニウムは、加水分解する性質をもつ不安定な材料であり、扱いづらい充填材である。酸化アルミニウムは、安定で、熱伝導性についても比較的良好であるが、モース硬度が9と非常に高いため、製造設備(主金属:鉄、モース硬度5)に対する負荷が懸念される。酸化マグネシウムは、酸化物の中では熱伝導性に優れるが、吸湿する性質があり、安定した性能を発揮することが困難である。酸化マグネシウムに対して種々の方法で表面処理の方法が検討されているが、十分な方法は見出されていない。酸化ベリリウムは、熱伝導性に優れるが、コストが高く、第一種特定化学物質に分類されていることから取り扱いに注意を要する。シリカは、封止材料用の充填材として幅広く使用されているが、熱伝導性に乏しい。
【0005】
上記の充填材に代わるものとして、特許文献1には、炭酸マグネシウムフィラーが開示されている。特許文献1によると、BET比表面積が0.1~10m/gで平均粒子径が1~50μmの炭酸マグネシウムフィラーを合成樹脂または合成ゴム100重量部に対して、100~600重量部配合した合成樹脂組成物及び合成ゴム組成物が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2006-291078号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1には、炭酸マグネシウムが熱伝導性、難燃性、加工性等を付与し得ることが開示されている。しかし、組成物に絶縁性を付与する可能性については不明であり、熱伝導性や硬さにおいても改善する余地を残していた。
【0008】
本発明は、このような状況に鑑みてなされたものである。すなわち、本発明の課題は、硬さが低く、熱伝導性と絶縁性に優れ、製造設備に対しての負荷が少ない熱可塑性エラストマー組成物を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者は、上記課題を解決するため、熱可塑性エラストマーの充填材として炭酸マグネシウムと酸化亜鉛に着目した。そして、粒子径の異なる2種類の炭酸マグネシウムを配合し、さらに酸化亜鉛を併用することによって、物性バランスに優れた熱可塑性エラストマー組成物を得ることに成功し、本発明を完成するに至った。すなわち、本発明は以下のような構成を有している。
【0010】
熱可塑性エラストマーに熱伝導性フィラーを50~62vol%配合してなる熱可塑性エラストマー組成物であって、前記熱伝導性フィラーとして、平均粒子径が0.3~5μmと7~60μmの2種類の炭酸マグネシウムと、平均粒子径が0.3~5μmの酸化亜鉛を含有し、平均粒子径が0.3~5μmの前記炭酸マグネシウムと平均粒子径が7~60μmの前記炭酸マグネシウムとの容積比が、20/80~70/30であり、平均粒子径が0.3~5μmの前記炭酸マグネシウムと前記酸化亜鉛の合計と、平均粒子径が7~60μmの前記炭酸マグネシウムと、の容積比が、35/65~77/23であり、JIS デュロメータ硬さタイプAが80以下であり、熱伝導率が1.5W/m・K以上であることを特徴とする熱可塑性エラストマー組成物である。
【発明の効果】
【0011】
本発明の熱可塑性エラストマー組成物は、硬さが低く、熱伝導性と絶縁性に優れ、製造設備に対しての負荷が少ない。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施形態を詳細に説明する。ただし、本発明の範囲は、以下に説明する具体例としての実施形態に限定されるわけではない。
【0013】
本実施形態の熱可塑性エラストマー組成物は、熱可塑性エラストマーに熱伝導性フィラーとして、平均粒子径の異なる2種類の炭酸マグネシウムと酸化亜鉛とを含有している。以下、本実施形態の熱可塑性エラストマー組成物を構成する各成分について説明する。
【0014】
(熱可塑性エラストマー)
熱可塑性エラストマーとしては、特に限定されないが、封止材料用または放熱材料用として使用できるものが好ましい。熱可塑性エラストマーの種類としては、オレフィン系、スチレン系、アミド系、エステル系、塩化ビニル系、ウレタン系等が挙げられる。これらの中では、スチレン系熱可塑性エラストマーを好ましい。熱可塑性エラストマーは、市販のものを適宜選択して用いることができる。本実施形態の熱可塑性エラストマーは、多量の熱伝導性フィラーを添加して組成物とするため、比較的硬度が低く、機械的物性や加工性に優れ、熱伝導性フィラーとの親和性に優れたものが好ましい。
【0015】
(炭酸マグネシウム)
炭酸マグネシウムは、マグネシウムの炭酸塩であり、耐水性を有した安定な化合物である。炭酸マグネシウムには、無水和物、二水和物、三水和物、五水和物が存在する。また、炭酸マグネシウムは、無味無臭の白色の粉末であり、種々の粒子径の粉末を製造することができる。また、炭酸マグネシウムのモース硬度は3.5であるため、モース硬度が5の鉄などを使用する製造設備に対する負荷の懸念は少ない。
【0016】
さらに、炭酸マグネシウムは、熱伝導率が15W/m・Kであって、熱伝導性に優れており、体積固有抵抗も1014Ω・cm以上である。そこで、本発明者は、熱可塑性エラストマーに熱伝導性と絶縁性を付与するための充填材として、炭酸マグネシウムについて検討を進めた。
【0017】
熱可塑性エラストマーに炭酸マグネシウムの微粒子を添加することによって熱可塑性エラストマー組成物の熱伝導率が増大する。しかし、炭酸マグネシウムの配合量を増大させると、熱可塑性エラストマー組成物の硬さが高くなり、封止材料や放熱材料等の用途に適用することが困難となる。そこで、異なる粒子径を有した炭酸マグネシウムの微粒子を併用することを検討した。
【0018】
熱可塑性エラストマーに、平均粒子径が異なる少なくとも2種類の炭酸マグネシウムを添加することを検討したところ、加水分解や吸湿しないという安定した性能を有し、熱伝導性と絶縁性を併せ持った、硬さが低い熱可塑性エラストマー組成物とすることが可能であることを見出した。
【0019】
異なる粒子径を有した炭酸マグネシウムの微粒子を併用すると、大きな粒子径の微粒子の間の隙間空間に、小さな粒子径の微粒子が密に充填される。その結果、大きな粒子径の炭酸マグネシウムのみ、あるいは小さな粒子径の炭酸マグネシウムのみを添加したときに比べて、硬度が増大することを抑制して、熱伝導性と絶縁性をともに満足させることが可能となった。
【0020】
(酸化亜鉛)
酸化亜鉛は、亜鉛華や亜鉛白とも呼ばれる白色の粉末である。酸化亜鉛は、粒子径が小さく、耐水性に優れ、毒性が少ない。また、酸化亜鉛は、熱伝導率が54W/m・Kであって、炭酸マグネシウムよりもはるかに優れた熱伝導率を有している。また、酸化亜鉛のモース硬度は4であるため、モース硬度が5の鉄などを使用する製造設備に対する負荷の懸念は少ない。但し、酸化亜鉛は、体積固有抵抗率が比較的小さいため、大量に配合すると、絶縁性が低下する懸念がある。
【0021】
そこで、本発明者は、熱可塑性エラストマーの熱伝導性をさらに向上させるために、粒子径の異なる2種類の炭酸マグネシウムに加えて、小さな粒子径の微粒子として酸化亜鉛を配合することを検討した。
【0022】
その結果、熱可塑性エラストマーに熱伝導性フィラーとして、大粒子径と小粒子径の2種類の炭酸マグネシウムに加えて、小粒子径の酸化亜鉛を併用することによって、熱伝導性と絶縁性の両方の性能をバランスよく満足する熱可塑性エラストマー組成物を得ることに成功した。
【0023】
小粒子径の炭酸マグネシウムは、平均粒子径が0.3~5μmであり、0.5~4μmが好ましく、0.7~3μmがより好ましい。一方、大粒子径の炭酸マグネシウムは、平均粒子径が7~60μmであり、10~50μmが好ましく、15~40μmがより好ましい。また、酸化亜鉛は、平均粒子径が0.3~5μmであり、0.5~4μmが好ましく、0.7~3μmがより好ましい。
炭酸マグネシウムおよび酸化亜鉛の平均粒子径は、JIS Z 8825:2013に準拠して測定することができる。
【0024】
ここで、平均粒子径0.3~5μmの炭酸マグネシウムを「小粒子径の炭酸マグネシウム」と記載し、平均粒子径7~60μmの炭酸マグネシウムを「大粒子径の炭酸マグネシウム」と記載し、平均粒子径0.3~5μmの酸化亜鉛を「小粒子径の酸化亜鉛」と記載することがある。
【0025】
熱可塑性エラストマー組成物の硬さ、熱伝導性、絶縁性の各性能のバランスから、小粒子径の炭酸マグネシウムと酸化亜鉛の合計と大粒子径の炭酸マグネシウムとの容積比は、35/65~77/23であることが好ましく、50/50~60/40であることがより好ましい。
【0026】
また、熱可塑性エラストマー組成物の硬さ、熱伝導性、絶縁性の各性能のバランスから、小粒子径の炭酸マグネシウムと大粒子径の炭酸マグネシウムとの容積比は、20/80~70/30であることが好ましく、30/70~50/50であることがより好ましい。
【0027】
また、熱可塑性エラストマー組成物の硬さ、熱伝導性、絶縁性の各性能のバランスから、熱可塑性エラストマー組成物は、炭酸マグネシウムと酸化亜鉛を含む熱伝導性フィラーを50vol%以上含有することが好ましい。また、熱伝導性フィラーの合計の含有量は、熱可塑性エラストマー組成物100vol%に対して50~62vol%がより好ましく、53~58vol%がさらに好ましい
【0028】
(熱可塑性エラストマー組成物)
本実施形態の熱可塑性エラストマー組成物には、発明の効果を阻害しない範囲内で、熱可塑性エラストマー以外の熱可塑性樹脂を含有させてもよい。また、本実施形態の熱可塑性エラストマー組成物には、公知の各種添加剤を適宜添加してもよい。公知の添加剤としては、補強剤、無機充填剤、可塑剤、軟化剤、老化防止剤、加工助剤、架橋剤、架橋助剤、架橋促進剤、分散助剤、発泡剤、発泡助剤、着色剤、難燃剤、粘着性付与剤、離型剤等が挙げられる。
【0029】
熱可塑性エラストマー組成物は、JIS K 6253に準拠したJIS デュロメータ硬さタイプAが80以下である。熱可塑性エラストマー組成物のJIS デュロメータ硬さタイプAが80以下であると、熱可塑性エラストマー組成物を電子機器等の封止材料や放熱材料として広範囲の用途に使用することが可能となる。
【0030】
熱可塑性エラストマー組成物の熱伝導率は、1.5W/m・K以上であり、2.0W/m・K以上が好ましい。熱伝導率が1.5W/m・K以上であると、熱可塑性エラストマー組成物を電子機器等の封止材料や放熱材料として広範囲の用途に使用することが可能となる。熱伝導率は、ASTM D7984に準拠して測定することができる。
【0031】
熱可塑性エラストマー組成物は、体積固有抵抗率が1×1010Ω・cm以上であることが好ましい。体積固有抵抗率が1×1010Ω・cm以上であると、熱可塑性エラストマー組成物を電子機器等の封止材料や放熱材料として広範囲の用途に使用することが可能となる。体積固有抵抗率は、JIS K6271-1:2015に準拠して測定することができる。
【0032】
熱可塑性エラストマー組成物は、比重が2~3であることが好ましい。熱可塑性エラストマー組成物を電子機器等の封止材料や放熱材料として広範囲の用途に使用する場合、比重は3以下で軽い方が好ましい。
【0033】
本実施形態の熱可塑性エラストマー組成物は、硬さが低く、加水分解や吸湿しない安定性を有し、優れた絶縁性と熱伝導率を併せ持っている。また、本実施形態の熱可塑性エラストマー組成物は、熱伝導性フィラーとしてモース硬度が5未満の熱伝導性フィラーを含有しているため、設備負荷が小さいものである。
【0034】
(製造方法)
本実施形態の熱可塑性エラストマー組成物を製造するには、原料を公知の方法で混錬して製造することができる。公知の製造装置としては、例えば、2軸押出機、ラボプラストミル、バンバリーミキサー、ニーダー、プラネタリーミキサー、インターミックス、2本ロール、3本ロールなどが挙げられる。所定の原料を混練し、所定の金型を用いて、射出成形等によって、所定の形状に成形する。場合によっては、架橋剤を用いて架橋してもよい。その場合は、未架橋の熱可塑性エラストマー組成物を調製した後、架橋プレス、圧縮成形機、射出成形機等を用いて、加熱することによって、架橋を行う。必要に応じて、二次架橋を行うこともできる。上記の架橋によって、熱可塑性エラストマー組成物の架橋成形品を得ることができる。
【0035】
本実施形態の熱可塑性エラストマー組成物は、硬さが低く、熱伝導性、絶縁性に優れているため、電子機器、自動車、一般産業用機械等に搭載される半導体チップなどの封止材料、電子機器、自動車、一般産業用機械等の回路基板の放熱材料として好適に用いることができる。
【実施例
【0036】
以下、実施例により本発明を説明するが、これらの実施例は本発明を限定するものではない。
【0037】
(実施例1~7、比較例1~8)
実施例に用いた材料は下記のとおりである。
(i)熱可塑性エラストマー:スチレン系熱可塑性エラストマー、アロン化成(株)製、AR-710N、低硬度グレード(JIS デュロメータ硬さ、タイプA硬度7)
(ii)炭酸マグネシウム:神島化学工業社製、マグサーモMS-PS(平均粒子径21μm)、マグサーモMS-S(平均粒子径1.2μm)
(iii)酸化亜鉛:正同化学工業(株)製、酸化亜鉛1種、JIS K1410 ふるい残分0.1%以下
【0038】
(特性測定用テストピースの作製)
ラボプラストミルおよび射出成形機を用いて混練し、表1、表2に記載の組成の熱可塑性エラストマー組成物の2mm厚の熱可塑性エラストマー組成物シートを成形した。
【0039】
<評価項目>
(常態物性)
熱可塑性エラストマー組成物シートについて、以下の常態物性を評価した。
硬さ:JIS K 6253に準拠して、デュロメータ硬さ、タイプAを用いて測定した。
比重:JIS K 6268に準拠して測定した。
【0040】
(熱伝導率)
熱可塑性エラストマー組成物シートについて、ASTM D7984に準拠して、熱伝導率(W/m・K)を測定した。
【0041】
(体積固有抵抗率)
熱可塑性エラストマー組成物シートについて、JIS K6271-1:2015に準拠して、体積固有抵抗率(Ω・cm)を測定した。
【0042】
評価結果を表1、表2に示した。尚、表1、表2の体積固有抵抗率において、例えば、実施例1の3.8 E+11Ω・cmとは、3.8×1011Ω・cmを意味している。以下同様である。
【0043】
【表1】
【0044】
【表2】
【0045】
表1、表2の結果から分かるように、実施例1~7の熱可塑性エラストマー組成物は、デュロメータ硬さ80以下、熱伝導率1.5W/m・K以上、体積固有抵抗率が1×1010Ω・cm以上であり、各性能をバランスよく兼ね備えたものであった。一方、比較例1、6、7の熱可塑性エラストマー組成物は、熱伝導率が1.5W/m・K未満であり、熱伝導性に劣るものであった。また、比較例2~5、8の熱可塑性エラストマー組成物は、デュロメータ硬さが80を超えており、硬さが高いものであった。