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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-20
(45)【発行日】2025-01-06
(54)【発明の名称】電源装置および制御方法
(51)【国際特許分類】
   H02J 1/00 20060101AFI20241223BHJP
   B60R 16/033 20060101ALI20241223BHJP
   H02J 7/00 20060101ALI20241223BHJP
   H02J 7/34 20060101ALI20241223BHJP
【FI】
H02J1/00 304E
B60R16/033 C
H02J1/00 304H
H02J1/00 309W
H02J7/00 S
H02J7/00 302B
H02J7/00 302C
H02J7/34 G
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2021024364
(22)【出願日】2021-02-18
(65)【公開番号】P2022126340
(43)【公開日】2022-08-30
【審査請求日】2023-12-27
(73)【特許権者】
【識別番号】000237592
【氏名又は名称】株式会社デンソーテン
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】白島 大樹
(72)【発明者】
【氏名】松本 寛
(72)【発明者】
【氏名】松本 健
【審査官】小林 秀和
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-162286(JP,A)
【文献】特開2020-156228(JP,A)
【文献】特表2019-533416(JP,A)
【文献】特開2018-182864(JP,A)
【文献】米国特許第05654859(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02J 1/00
B60R 16/033
H02J 7/00
H02J 7/34
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1電源の電力を第1負荷に供給する第1系統と、
第2電源の電力を第2負荷に供給する第2系統と、
前記第1系統および前記第2系統間を接続切断可能な系統間スイッチと、
前記第1系統および前記第2系統のうち、一方の系統の電源失陥を検出すると前記系統間スイッチを遮断し、電源失陥が生じていない他方の系統によって電力を供給させるバックアップ制御を行う制御部と、
異常時にバックアップ制御を必要としない第1モードから異常時にバックアップ制御を必要とする第2モードに切り替わる前に、前記第2系統の断線を判定する判定部と
を備えることを特徴とする電源装置。
【請求項2】
前記第2電源および前記第2系統間を接続切断可能な電池用スイッチを備え、
前記判定部は、
前記系統間スイッチを遮断させ、前記電池用スイッチを導通させた状態で前記断線を判定する
ことを特徴とする請求項1に記載の電源装置。
【請求項3】
前記制御部は、
前記判定部によって前記断線が検出された場合には、前記第2モードへの切り替えを禁止し、前記断線が検出されない場合には、前記第2モードへの切り替えを許可する
ことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の電源装置。
【請求項4】
前記判定部は、
前記第2電源を充放電するときに一時的に電池用スイッチを導通させて前記断線を判定し、判定結果をメモリに記憶させ、
前記制御部は、
前記第2モードへの切り替え前に前記メモリに記憶されている前記判定結果を確認する
ことを特徴とする請求項1~3のいずれか一つに記載の電源装置。
【請求項5】
第1電源の電力を第1負荷に供給する第1系統と、
第2電源の電力を第2負荷に供給する第2系統と、
前記第1系統および前記第2系統間を接続切断可能な系統間スイッチと
を備える電源装置の制御方法であって、
前記電源装置の制御部が、
前記第1系統および前記第2系統のうち、一方の系統の電源失陥を検出すると前記系統間スイッチを遮断し、電源失陥が生じていない他方の系統によって電力を供給させるバックアップ制御を行うことと、
前記電源装置の判定部が、
異常時にバックアップ制御を必要としない第1モードから異常時にバックアップ制御を必要とする第2モードに切り替わる前に、前記第2系統の断線を判定することと
を含むことを特徴とする制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
開示の実施形態は、電源装置および制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、車両の走行中に電源失陥が発生しても、安全な場所まで退避走行させて停車させることができるように、第1電源と第2電源とを備え、一方の電源系統に地絡が発生した場合に、他方の電源系統によって車載機器(負荷)へ電力を供給する冗長電源システムがある。
【0003】
冗長電源システムは、第1電源から第1負荷へ電力を供給する第1系統と、第2電源から第1負荷と同一の機能を備える第2負荷へ電力を供給する第2系統と、第1系統および第2系統間を接続切断可能な系統間スイッチとを備える(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
冗長電源システムは、通常時には、系統間スイッチを接続して第1電源から第1負荷および第2負荷へ電力を供給する。そして、冗長電源システムは、第1系統に地絡などの電源失陥が発生すると、系統間スイッチを遮断して第2電源から第2負荷へ電力を供給してバックアップ制御を行う。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2017-61240号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、冗長電源システムは、異常時にバックアップ制御を必要としないモード、例えば手動運転モードから異常時にバックアップ制御を必要とするモード、例えば自動運転モードへ切り替わる場合に、第2系統において断線が発生していると、必要なときにバックアップ制御を行うことができない。
【0007】
実施形態の一態様は、上記に鑑みてなされたものであって、異常時にバックアップ制御を必要とするモードにおいて、確実にバックアップ制御を行うことができる電源装置および制御方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
実施形態の一態様に係る電源装置は、第1系統と、第2系統と、系統間スイッチと、制御部と、判定部とを備える。第1系統は、第1電源の電力を第1負荷に供給する。第2系統は、第2電源の電力を第2負荷に供給する。系統間スイッチは、前記第1系統および前記第2系統間を接続切断可能である。制御部は、前記第1系統および前記第2系統のうち、一方の系統の電源失陥を検出すると前記系統間スイッチを遮断し、電源失陥が生じていない他方の系統によって電力を供給させるバックアップ制御を行う。判定部は、異常時にバックアップ制御を必要としない第1モードから異常時にバックアップ制御を必要とする第2モードに切り替わる前に、前記第2系統の断線を判定する。
【発明の効果】
【0009】
実施形態の一態様に係る電源装置および制御方法は、バックアップ制御が必要なモードにおいて、確実にバックアップ制御を行うことができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1図1は、第1実施形態に係る電源装置の構成例を示す説明図である。
図2図2は、第1実施形態に係る電源装置の動作例を示す説明図である。
図3図3は、第1実施形態に係る電源装置の動作例を示す説明図である。
図4図4は、第1実施形態に係る電源装置の動作例を示す説明図である。
図5図5は、第1実施形態に係る電源装置が実行する処理の一例を示すフローチャートである。
図6図6は、第2実施形態に係る電源装置の動作例を示す説明図である。
図7図7は、第2実施形態に係る電源装置が実行する処理の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、添付図面を参照して、電源装置および制御方法の実施形態を詳細に説明する。なお、以下に示す実施形態によりこの発明が限定されるものではない。以下では、自動運転機能を備える車両に搭載されて負荷へ電力を供給する電源装置を例に挙げて説明するが、実施形態に係る電源装置は、自動運転機能を備えていない車両に搭載されてもよい。
【0012】
[1.第1実施形態]
[1.1.電源装置の構成]
図1に示すように、第1実施形態に係る電源装置1は、第1電源10と、第1負荷101と、第2負荷102と、自動運転制御装置100とに接続される。
【0013】
第1負荷101および第2負荷102は、自動運転用の負荷を含む。例えば、第1負荷101は、自動運転中に動作するステアリングモータ、電動ブレーキ装置、車載カメラ、およびレーダ等を含む。また、第1負荷101は、ディスプレイ、エアコン、オーディオ、ビデオ、各種ライト等の一般負荷も含む。
【0014】
第2負荷102は、少なくとも、ステアリングモータ、電動ブレーキ装置、車載カメラ、およびレーダ等の自動運転中に動作する装置を含む。第1負荷101および第2負荷102は、電源装置1から供給される電力によって動作する。自動運転制御装置100は、第1負荷101および第2負荷102を動作させて、車両を自動運転制御する装置である。
【0015】
第1電源10は、DC/DCコンバータ(以下、「DC/DC11」と記載する)と、鉛バッテリ(以下、「PbB12」と記載する)とを含む。なお、第1電源10の電池は、PbB12以外の任意の2次電池であってもよい。
【0016】
DC/DC11は、車両の回生エネルギーを電力に変換して発電する発電機に接続され、発電機から入力される入力電圧を変圧して出力する。発電機は、車両がエンジンを備える場合、エンジンの回転力を電力に変換して発電するオルタネータであってもよい。DC/DC11は、PbB12の充電、第1負荷101への電力供給、第2負荷102への電力供給、および後述する第2電源20の充電を行う。
【0017】
電源装置1は、第2電源20と、系統間スイッチ4と、制御部31と、判定部32とを備える。さらに、電源装置1は、電流センサ51,52と、電圧センサ53とを備える。第2電源20は、第1電源10による電力供給ができなくなった場合のバックアップ用電源である。
【0018】
第2電源20は、リチウムイオンバッテリ(以下、「LiB21」と記載する)と、電池用スイッチ22とを備える。電池用スイッチ22は、LiB21と第2負荷102とを接続切断可能に接続する。なお、第2電源20の電池は、LiB21以外の任意の2次電池であってもよい。
【0019】
電源装置1は、第1電源10から第1負荷101へ電力を供給する第1系統110と、第2電源20から第2負荷102へ電力を供給する第2系統120とを備える。系統間スイッチ4は、第1系統110と第2系統120とを接続切断可能に接続する。
【0020】
系統間スイッチ4と第1系統110との間には、電流センサ51が接続される。電流センサ51は、系統間スイッチ4と第2系統120との間に接続されてもよい。電流センサ51は、系統間スイッチ4を流れる電流の電流値を検出し、検出結果を制御部31へ出力する。
【0021】
第2電源20と第2負荷102との間には、電流センサ52と電圧センサ53とが接続される。電流センサ52は、第2系統120を流れる電流の電流値を検出可能な位置であれば、第2電源20および第2負荷102間における任意の位置に設けられてよい。電流センサ52は、電流値の検出結果を判定部32へ出力する。
【0022】
電圧センサ53は、第2系統120と系統間スイッチ4との接続点Pと、第2負荷102との間に接続される。電圧センサ53は、第2系統120の電圧値を検出し、検出結果を制御部31へ出力する。
【0023】
制御部31および判定部32は、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)などを有するマイクロコンピュータや各種の回路を含む。なお、制御部31および判定部32は、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)やFPGA(Field Programmable Gate Array)等のハードウェアで構成されてもよい。
【0024】
制御部31は、CPUがROMに記憶されたプログラムを、RAMを作業領域として使用して実行することにより、電源装置1の動作を制御する。制御部31は、電流センサ51から入力される検出結果に基づいて、系統間スイッチ4および電池用スイッチ22をオンオフ制御し、第1電源10または第2電源20から第1負荷101と第2負荷102とに電力を供給する。
【0025】
制御部31は、第1系統110および第2系統120のうち、一方の系統に電源失陥が発生した場合に、他方の系統よって負荷へ電力を供給する。これにより、電源装置1は、自動運転制御装置100によって車両を安全な場所まで退避走行させて停車させることができる。
【0026】
判定部32は、CPUがROMに記憶されたプログラムを、RAMを作業領域として使用して実行することにより、電流センサ52および電圧センサ53から入力される検出結果の少なくともいずれか一方に基づいて第2系統120における断線の有無を判定する。
【0027】
判定部32は、異常時に電源のバックアップ制御を必要としない第1モードから、異常時に電源のバックアップ制御を必要とする第2モードに切り替わる前に、第2系統120の断線を判定し、判定結果を制御部31へ出力する。
【0028】
第1モードは、例えば、車両が手動運転によって走行する手動運転モードである。第2モードは、車両が自動運転制御装置100による自動運転によって走行する自動運転モードである。
【0029】
なお、異常時にバックアップ制御を必要としないモードは、手動運転モードに限定されるものではない。また、異常時にバックアップ制御を必要とするモードは、自動運転モードに限定されるものではない。
【0030】
このように、電源装置1では、判定部32が第1モードから、第2モードに切り替わる前に、第2系統120の断線を判定する。これにより、電源装置1は、電源のバックアップ制御が必要になったときに、確実に電源のバックアップ制御を行うことができる。
【0031】
[1.2.電源装置の通常時動作]
制御部31は、第1系統110および第2系統120に電源失陥が発生していない通常時には、図2に示すように、系統間スイッチ4を接続し、電池用スイッチ22を遮断して、第1電源10から第1負荷101および第2負荷102へ電力を供給する。
【0032】
かかる電源装置1では、通常時動作中に第1系統110または第2系統120において地絡が発生することがある。図3に示す例では、第1系統110において地絡200が発生している。かかる場合、制御部3は、地絡発生時動作を行う。
【0033】
[1.3.地絡発生時動作]
制御部31は、電流センサ51から入力される検出結果に基づいて、地絡200の発生を検知する。制御部31は、電流センサ51によって検出される電流値が地絡閾値を超える過電流であった場合に、第1系統110または第2系統120に地絡が発生したことを検知する。
【0034】
さらに、制御部31は、第1系統110または第2系統120に地絡が発生したことを検知すると、系統間スイッチ4を遮断し、一定時間、電池用スイッチ22をオンして地絡している系統を検出する。例えば、電池用スイッチ22をオンした後、電流センサ52が地絡閾値を超えていれば第2系統120が地絡していると判定する。
【0035】
また、電池用スイッチ22をオンした後、電流センサ52が地絡閾値を超えていなければ第1系統110が地絡していると判定する。なお、第1系統110にも電流センサを設け、電池用スイッチ22をオンした後、第1系統110の電流センサと第2系統の電流センサ52でそれぞれ検出された電流値を比較して、どちらの系統が地絡しているかを判定してもよい。
【0036】
なおまた、制御部31は、通常時に電池用スイッチ22を接続するようにしてもよい。その場合は、過電流が第2系統120から第1系統110へ流れる場合に、第1系統110の地絡200と判定する。また、制御部31は、過電流が第1系統110から第2系統120へ流れる場合に、第2系統120の地絡と判定する。
【0037】
地絡が発生した場合に、系統間スイッチ4の接続が維持されると、第1電源10および第2電源20に充電された電力が放電され、車両を退避走行させることができなくなる。そこで、図3に示すように、制御部31は、例えば、第1系統110において電源失陥である地絡200を検出した場合、系統間スイッチ4を遮断し、電池用スイッチ22を接続して第2電源20から第2負荷102に電力を供給するバックアップ制御を行う。
【0038】
これにより、自動運転制御装置100は、第2負荷102を使用して車両を退避走行させることができる。なお、第2系統120において地絡を検出した場合、制御部31は、系統間スイッチ4を遮断し、電池用スイッチ22を遮断して、第1電源10から第1負荷101に電力を供給して車両を退避走行させることができる。
【0039】
ただし、電源装置1は、第2電源20によるバックアップ制御を行うときに、第2系統120において断線201が発生していると、電池用スイッチ22を接続しても第2電源20から第2負荷102へ電力を供給できない。そこで、電源装置1は、第1モードから第2モードへ切り替わる前に、第2系統120の断線を判定しておく。次に、図4を参照し、判定部32による断線判定について説明する。
【0040】
[1.4.断線判定]
判定部32は、例えば、電源装置1が第1モードで通常時動作を行っているときに、第2モードへの切り替え要求があった場合に、第2系統120の断線判定を行う。
【0041】
つまり、判定部32は、切り替え要求があった時点で、第1モードから第2モードへ切り替わる前に、第2系統120の断線判定を行う。例えば、判定部32は、手動運転モードから自動運転モードへの切り替え要求が自動運転制御装置100から入力された場合に、第2系統120の断線判定を行う。
【0042】
このとき、判定部32は、図4に示すように、まず、制御部31によって系統間スイッチ4を遮断させ、電池用スイッチ22を導通させた状態で第2系統120の断線を判定する。これにより、判定部32は、第1電源10から第1負荷101への電力供給を継続したまま、第2系統120の断線を判定することができる。
【0043】
第2系統120が断線していなければ、第2電源20から第2負荷102へ電流が流れるので、判定部32は、電流センサ52から入力される電流値が正常値であれば、第2系統120に断線がないと判定する。ここでの正常値は、第2負荷102を正常動作させるのに十分な電流値である。判定部32は、電流センサ52から入力される電流値が正常値でない(例えば、0であった)場合に、第2系統120に断線があると判定する。
【0044】
また、判定部32は、電圧センサ53から入力される電圧値が正常値であれば、第2系統120に断線がないと判定する。ここでの正常値は、第2負荷102を正常動作させるのに十分な電圧値である。判定部32は、電圧センサ53から入力される電圧値が正常値でない(例えば、0であった)場合に、第2系統120に断線があると判定する。
【0045】
ここで、例えば、電圧センサ53が電池用スイッチ22と接続点Pとの間に設けられていた場合、電圧センサ53は、電圧センサ53と接続点Pとの間が断線していると、電池用スイッチ22が接続されたときに正常値の電圧値を検出してしまう。これでは、判定部32は、第2系統120に断線があるにもかかわらず、断線なしと誤判定する。
【0046】
このため、電源装置1は、接続点Pと第2負荷102との間に電圧センサ53を備える。これにより、判定部32は、電圧センサ53による電圧値の検出結果に基づいて、電池用スイッチ22と電圧センサ53との間の断線を正確に判定することができる。
【0047】
なお、判定部32は、電圧センサ53と第2負荷102との間における断線については、通常時動作中(系統間スイッチ4が接続された状態)において、電圧センサ53が正常値の電圧値を検出するか否かによって判定することができる。
【0048】
判定部32は、第2系統120における断線の判定結果を制御部31へ出力する。制御部31は、第2系統120における断線が検出された場合には、自動運転制御装置100に対して第2モードへの切り替えを禁止する。
【0049】
また、制御部31は、第2系統120における断線が検出されない場合には、自動運転制御装置100に対して第2モードへの切り替えを許可する。このように、電源装置1は、第2系統120に断線がなく、確実にバックアップ制御を行うことができる場合に限って、第2モードへの切り替えを許可するので、自動運転中の車両の安全性を向上させることができる。
【0050】
[1.5.電源装置が実行する処理]
次に、図5を参照し、第1実施形態に係る電源装置1が実行する処理の一例について説明する。電源装置1は、車両に電源が投入されている間、図5に示す処理を繰り返し実行する。
【0051】
図5に示すように、制御部31は、まず、第1モードから第2モードへの切り替え要求があるか否かを判定する(ステップS101)。制御部31は、切り替え要求がないと判定した場合(ステップS101,No)、処理を終了して、再度、ステップS101から処理を開始する。
【0052】
また、制御部31は、切り替え要求があると判定した場合(ステップS101,Yes)、系統間スイッチ4を遮断し(ステップS102)、電池用スイッチ22を導通する(ステップS103)。その後、判定部32は、第2系統120の電流値および電圧値が正常値か否かを判定する(ステップS104)。
【0053】
制御部31は、第2系統120の電流値および電圧値が正常値であると判定された場合(ステップS104,Yes)、第1モードから第2モードへの切り替えを許可する(ステップS105)。続いて、制御部31は、系統間スイッチ4を導通し(ステップS107)、電池用スイッチ22を遮断する(ステップS108)。その後、制御部31は、再度、ステップS101から処理を開始する。
【0054】
また、制御部31は、第2系統120の電流値および電圧値が正常値でないと判定された場合(ステップS104,No)、第1モードから第2モードへの切り替えを禁止する(ステップS106)。続いて、制御部31は、系統間スイッチ4を導通し(ステップS107)、電池用スイッチ22を遮断する(ステップS108)。その後、制御部31は、再度、ステップS101から処理を開始する。
【0055】
なお、ここでは、判定部32が第2系統120の電流値および電圧値に基づいて、第2系統120の断線判定を行う場合について説明したが、判定部32は、第2系統120の電流値または電圧値のいずれか一方に基づいて、第2系統120の断線判定を行うこともできる。
【0056】
この場合、判定部32は、電流値が正常値である場合に、処理をステップS105へ移し、電流値が正常値でない場合に、処理をステップS106へ移す。また、判定部32は、電圧値が正常値である場合に、処理をステップS105へ移し、電圧値が正常値でない場合に、処理をステップS106へ移す。
【0057】
[2.第2実施形態]
[2.1.電源装置の構成]
次に、図6を参照し、第2実施形態に係る電源装置1aについて説明する。ここでは、図6に示す構成要素のうち、図1に示す構成要素と同一の構成要素については、図1に示す符号と同一の符号を付することにより、重複する説明を省略する。
【0058】
図6に示すように、電源装置1aは、メモリ33を備える点と、制御部31aおよび判定部32aの動作が第1実施形態に係る電源装置1とは異なる。判定部32aは、予め定められる第2電源20の充放電タイミングになった場合に、第2系統120の断線判定を行う。
【0059】
予め定められる第2電源20の充放電タイミングは、例えば、車両のイグニッションスイッチがオンにされたときである。また、予め定められる第2電源20の充放電タイミングは、車両が起動されている期間において、定期的に第2電源20の充電状態(SOC:State Of Charge)を推定するときである。
【0060】
判定部32aは、予め定められる第2電源20の充放電タイミングになると、第1実施形態と同様の方法によって、第2系統120における断線の有無を判定する。具体的には、判定部32aは、第2電源20を充放電するときに、制御部31aによって系統間スイッチ4を遮断させ、一時的に電池用スイッチ22を導通させて、第2系統120の断線判定を行う。
【0061】
第2電源20を充放電するときは電池用スイッチ22を導通させる必要があるため、そのタイミングで第2系統120における断線の有無を判定することで、断線判定用にわざわざ電池用スイッチ22を導通させる必要がない。これにより、電池用スイッチ22の操作回数を減少させることができ、電池用スイッチ22の耐久性が向上する。
【0062】
このとき、判定部32aは、第2系統120の電流値および電圧値の両方、または、一方が正常値であった場合、第2系統120に断線はないと判定する。また、判定部32aは、第2系統120の電流値および電圧値の両方、または、一方が正常値でない(例えば、0であった)場合に、第2系統120に断線があると判定する。そして、判定部32aは、断線の判定結果をメモリ33に記憶させる。
【0063】
制御部31aは、第1モードから第2モードへの切り替え前に、メモリ33に記憶されている断線の判定結果を確認する。制御部31aは、電源装置1が第1モードで通常時動作を行っているときに、第2モードへの切り替え要求があった場合に、メモリ33に記憶されている断線の判定結果を確認する。
【0064】
例えば、制御部31aは、手動運転モードから自動運転モードへの切り替え要求が自動運転制御装置100から入力された場合に、メモリ33に記憶されている断線の判定結果を確認する。
【0065】
つまり、制御部31aは、切り替え要求があった時点で、第1モードから第2モードへの切り替え前に、メモリ33に記憶されている断線の判定結果を確認する。
【0066】
そして、制御部31aは、確認の結果、第2系統120に断線がない場合、第2モードへの切り替えを許可する。また、制御部31aは、確認の結果、第2系統120に断線がある場合、第2モードへの切り替えを禁止する。これにより、第1モードから第2モードへの切り替えの要求があった場合に、メモリ33に記憶されている断線の判定結果を確認するだけで直ちに切り替えを行うことができる。
【0067】
このように、電源装置1aの判定部32aは、予め定められる第2電源20の充放電タイミングになる度に、第2系統120の断線判定を繰り返して、判定結果をメモリ33に記憶させるので、判定結果の信頼性を向上させることができる。
【0068】
そして、制御部31aは、第2モードへ切り替わる前に、メモリ33に記憶された判定結果を確認して、第2モードへの切り替え許可または禁止を決定する。
【0069】
これにより、制御部31aは、第2系統120に断線がなく、確実にバックアップ制御を行うことができる場合に限って、第2モードへの切り替えを許可するので、自動運転中の車両の安全性を向上させることができる。しかも、電池用スイッチ22の耐久性を向上しつつ、第1モードから第2モードへの切り替え時間を短縮できる。
【0070】
[2.2.電源装置が実行する処理]
次に、図7を参照し、第2実施形態に係る電源装置1aが実行する処理の一例について説明する。電源装置1aは、車両に電源が投入されている間、図7に示す処理を繰り返し実行する。
【0071】
図7に示すように、制御部31aは、まず、第2電源20の充放電タイミングか否かを判定する(ステップS201)。制御部31aは、第2電源20の充放電タイミングでないと判定した場合(ステップS201,No)、処理をステップS211へ移す。
【0072】
また、制御部31aは、第2電源20の充放電タイミングであると判定した場合(ステップS201,Yes)、系統間スイッチを導通し(ステップS202)、第2電源20の充放電を実施する(ステップS203)。
【0073】
その後、制御部31aは、充放電が終了したか否かを判定する(ステップS204)。制御部31aは、充放電が終了していないと判定した場合(ステップS204,No)、充放電が終了するまで、ステップS204の判定処理を繰り返す。そして、制御部31aは、充放電が終了したと判定した場合(ステップS204,Yes)、系統間スイッチ4を遮断する(ステップS205)。
【0074】
その後、判定部32aは、第2系統120の電流値および電圧値が正常値か否かを判定する(ステップS206)。判定部32aは、第2系統120の電流値および電圧値が正常値であると判定した場合(ステップS206,Yes)、第2系統120に断線がないことをメモリ33に記憶させ(ステップS207)、処理をステップS209へ移す。
【0075】
判定部32aは、第2系統120の電流値および電圧値が正常値でないと判定した場合(ステップS206,No)、第2系統120に断線があることをメモリ33に記憶させ(ステップS208)、処理をステップS209へ移す。
【0076】
ステップS209において、制御部31aは、系統間スイッチ4を導通する。その後、制御部31aは、電池用スイッチ22を遮断し(ステップS210)、第1モードから第2モードへの切り替え要求があるか否かを判定する(ステップS211)。制御部31aは、切り替え要求がないと判定した場合(ステップS211,No)、処理を終了し、再度、ステップS201から処理を開始する。
【0077】
また、制御部31aは、切り替え要求があると判定した場合(ステップS211,Yes)、メモリ33に記憶されている判定結果を確認する(ステップS212)。そして、制御部31aは、確認の結果、第2系統120に断線がないか否かを判定する(ステップS213)。
【0078】
制御部31aは、断線がないと判定した場合(ステップS213,Yes)、第1モードから第2モードへの切り替えを許可する(ステップS214)。その後、制御部31aは、再度、ステップS201から処理を開始する。
【0079】
また、制御部31aは、断線があると判定した場合(ステップS213,No)、第1モードから第2モードへの切り替えを禁止する(ステップS215)。その後、制御部31aは、再度、ステップS201から処理を開始する。
【0080】
さらなる効果や変形例は、当業者によって容易に導き出すことができる。このため、本発明のより広範な態様は、以上のように表しかつ記述した特定の詳細および代表的な実施形態に限定されるものではない。したがって、添付の特許請求の範囲およびその均等物によって定義される総括的な発明の概念の精神または範囲から逸脱することなく、様々な変更が可能である。
【符号の説明】
【0081】
1,1a 電源装置
10 第1電源
11 DC/DC
12 PbB
20 第2電源
21 LiB
22 電池用スイッチ
31,31a 制御部
32,32a 判定部
4 系統間スイッチ
51,52 電流センサ
53 電圧センサ
100 自動運転制御装置
101 第1負荷
102 第2負荷
110 第1系統
120 第2系統
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7