(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-20
(45)【発行日】2025-01-06
(54)【発明の名称】スロットル装置の製造方法
(51)【国際特許分類】
F02D 9/10 20060101AFI20241223BHJP
F02D 9/02 20060101ALI20241223BHJP
【FI】
F02D9/10 H
F02D9/02 351M
(21)【出願番号】P 2021051215
(22)【出願日】2021-03-25
【審査請求日】2023-08-08
(73)【特許権者】
【識別番号】000116574
【氏名又は名称】愛三工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000394
【氏名又は名称】弁理士法人岡田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】国分 寿英
(72)【発明者】
【氏名】谷口 光史
(72)【発明者】
【氏名】木村 雄一
【審査官】家喜 健太
(56)【参考文献】
【文献】特開2002-256894(JP,A)
【文献】米国特許第06173939(US,B1)
【文献】米国特許出願公開第2018/0066763(US,A1)
【文献】特開2017-166408(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F02D 9/00
F02D 11/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
エンジンに燃焼空気を導く吸気通路を備えるスロットルボディと、前記吸気通路内で全閉位置と全開位置間で回動可能な構成で、回動中心に一体化されたスロットルシャフトを備えるスロットルバルブと、電動式アクチュエータの回転力を前記スロットルシャフトに伝達するスロットルギヤと、前記スロットルバルブが前記全閉位置から所定角度開いた位置の初期開度位置に向かって回動するようなバネ力を前記スロットルギヤに対して付勢するバネ部材と、前記スロットルボディ側のボディ側全閉当接面とスロットルギヤ側のギヤ側全閉当接面との当接により、前記スロットルバルブの前記全閉位置を超える閉方向回動を規制する全閉ストッパ機構と、前記バネ部材と一体的に設けられ、前記スロットルバルブの前記初期開度位置よりも大きい角度で前記スロットルギヤの初期開度規制部用当接部に係合する係合部を備える初期開度規制部と、前記初期開度規制部の当接面と前記スロットルボディ側の初期開度規制ストッパ当接面とを前記スロットルバルブの前記初期開度位置で当接させる初期開度ストッパ機構と、
を有し、
前記スロットルボディ側のボディ側全閉当接面と、前記スロットルギヤ側のギヤ側全閉当接面とが当接する前記全閉位置と、前記初期開度規制部の当接面と前記スロットルボディ側の初期開度規制ストッパ当接面とが当接する前記初期開度位置とが相対的に所定角度を形成した位置関係となるように、前記スロットルボディ側のボディ側全閉当接面、前記スロットルギヤ側のギヤ側全閉当接面、前記初期開度規制部の当接面、前記スロットルボディ側の初期開度規制ストッパ当接面、前記スロットルギヤの初期開度規制部用当接部、及び前記初期開度規制部の係合部の少なくとも一か所を加工するスロットル装置の製造方法であって、
前記バネ部材と一体的に設けられた前記初期開度規制部の当接面を前記スロットルボディの前記初期開度規制ストッパ当接面に当接させた状態で、前記全閉ストッパ機構の前記スロットルボディ側のボディ側全閉当接面、あるいはスロットルギヤ側のギヤ側全閉当接面が前記初期開度規制部の当接面と所定角度を形成した位置関係となるように、前記ボディ側全閉当接面、あるいは前記ギヤ側全閉当接面のいずれかを加工するスロットル装置の製造方法。
【請求項2】
請求項
1に記載のスロットル装置の製造方法であって、
前記全閉ストッパ機構の前記スロットルボディ側のボディ側全閉当接面、あるいは前記スロットルギヤ側の前記ギヤ側全閉当接面の加工は切削加工により行われるスロットル装置の製造方法。
【請求項3】
請求項
1又は請求項
2のいずれかに記載のスロットル装置の製造方法であって、
前記全閉ストッパ機構の前記スロットルボディ側の前記ボディ側全閉当接面、あるいは前記スロットルギヤ側の前記ギヤ側全閉当接面は、角錐台の上面に設けられているスロットル装置の製造方法。
【請求項4】
請求項
1から請求項
3のいずれかに記載のスロットル装置の製造方法であって、
前記スロットルギヤと前記バネ部材とを前記スロットルボディに基づいて製作した治具にセットし、
前記バネ部材と一体的に設けられた初期開度規制部の当接面を前記治具における前記スロットルボディの初期開度規制ストッパ当接面に相当する部位に当接させた状態で、前記全閉ストッパ機構を構成する前記スロットルギヤ側の前記ギヤ側全閉当接面と、前記初期開度規制部の当接面とが相対的に所定角度を形成した位置関係となるように、前記ギヤ側全閉当接面を加工するスロットル装置の製造方法。
【請求項5】
請求項
4に記載のスロットル装置の製造方法であって、
前記スロットルギヤと前記バネ部材とを前記治具から取り外した後、前記スロットルギヤ側の前記ギヤ側全閉当接面を前記スロットルボディ側の前記ボディ側全閉当接面に当接させた状態で、前記スロットルシャフトに前記スロットルギヤを相対回転可能な状態でセットし、
前記スロットルバルブを前記全閉位置に保持した状態で、前記スロットルシャフトと前記スロットルギヤとを位置決めし、
前記位置決めした状態で、前記スロットルシャフトと前記スロットルギヤとを相対回転不能に固定するスロットル装置の製造方法。
【請求項6】
請求項
1から請求項
5のいずれかに記載のスロットル装置の製造方法であって、
前記バネ部材は、前記スロットルバルブが前記初期開度位置よりも大きな開度位置にあるときに閉方向のバネ力を発生させるリターンスプリング部と、前記スロットルバルブが前記初期開度位置よりも小さな開度位置にあるときに開方向のバネ力を発生させるオープナスプリング部とが直列に連結される構成であり、
前記バネ部材と一体的に設けられた初期開度規制部は、前記リターンスプリング部とオープナスプリング部との境界位置にあるスロットル装置の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エンジンに供給する燃焼空気の流量を調整するスロットル装置の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
上記スロットル装置に関連する技術が特許文献1に記載されている。特許文献1に記載のスロットル装置100は、
図14に示すように、エンジンに燃焼空気を導く吸気通路103hを備えるスロットルボディ103と、吸気通路103h内で全閉位置と全開位置間で回動可能な構成で、回動中心に一体化されたスロットルシャフト105を備えるスロットルバルブ(図示省略)とを備えている。また、スロットル装置100は、モータ106の回転力をスロットルシャフト105に伝達するギヤ機構106w,106x、及びスロットルギヤ107を備えている。さらに、スロットル装置100は、スロットルギヤ107に対してスロットルバルブがオープナ開度位置(全閉位置から所定角度開いた位置)に向けて回動するようなバネ力を付勢するバネ部材108を備えている。
【0003】
スロットルボディ103には、スロットルバルブ(スロットルギヤ107)の全閉位置を調整するための全閉開度規制スクリュー110と、オープナ開度位置を決めるためのオープナ開度規制スクリュー112とが設けられている。そして、全閉開度規制スクリュー110とオープナ開度規制スクリュー112とにより、スロットルバルブの全閉位置とオープナ開度とを調整できる。しかし、全閉開度規制スクリュー110とオープナ開度規制スクリュー112とを備える構成では、スロットルボディ103のスリム化が難しい。また、製品のコストアップになる。さらに、不特定の人が全閉開度規制スクリュー110、オープナ開度規制スクリュー112を調整できる構成は好ましくない。また、スクリュー110,112の脱落対策、及びスクリュー穴とスクリューとの隙間の気密性を確保する必要もある。
【0004】
この点を改善するため、特許文献2に記載のスロットル装置120では、
図15に示すように、スロットルシャフト123側の全閉開度規制レバー125rと、スロットルボディ121側のストッパ125sとからなる全閉ストッパ機構125が提案されている。ここで、全閉位置の調整を行なう際には、全閉開度規制レバー125rは、スロットルシャフト123の軸方向端部に相対回動可能な状態でセットされている。この状態で、スロットルバルブ122を、
図15に示すように、全閉位置に位置決めし、全閉開度規制レバー125rをスロットルボディ121側のストッパ125sに当接させる。そして、この状態で、全閉開度規制レバー125rをスロットルシャフト123に対して相対回転不能に溶接する。この方法により、上記した全閉開度規制スクリュー110を不要にできる。同様に、スロットルバルブのオープナ開度の位置決めをすることで、オープナ開度規制スクリュー112も不要にできる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2002-371866号公報
【文献】特開2018-040288号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、全閉開度規制レバー125rを備える全閉ストッパ機構125では、全閉開度規制レバー125rの回動のために比較的広いスペースを確保する必要がある。また、スロットルボディ121に対して、全閉開度規制レバー125r及びスロットルギヤ(二点鎖線参照 図番省略)を別々にスロットルシャフト123に溶接するため、作業に手間が掛かる。
【0007】
本発明は、上記問題点を解決するためになされたものであり、本発明が解決しようとする課題は、全閉ストッパ等のスクリュー調整機構をなくしてスクリューの脱落対策、及びスクリュー穴とスクリューとの隙間の気密性を確保等の対策を不要にすること。また、全閉開度規制レバー等を不要にして、製品の小型化を図るとともに、全閉開度及びオープナ開度の位置調整作業を簡素化することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記した課題は、各発明によって解決される。第1の発明は、エンジンに燃焼空気を導く吸気通路を備えるスロットルボディと、前記吸気通路内で全閉位置と全開位置間で回動可能な構成で、回動中心に一体化されたスロットルシャフトを備えるスロットルバルブと、電動式アクチュエータの回転力を前記スロットルシャフトに伝達するスロットルギヤと、前記スロットルバルブが前記全閉位置から所定角度開いた位置の初期開度位置に向かって回動するようなバネ力を前記スロットルギヤに対して付勢するバネ部材と、前記スロットルボディ側のボディ側全閉当接面とスロットルギヤ側のギヤ側全閉当接面との当接により、前記スロットルバルブの前記全閉位置を超える閉方向回動を規制する全閉ストッパ機構と、前記バネ部材と一体的に設けられ、前記スロットルバルブの前記初期開度位置よりも大きい角度で前記スロットルギヤの初期開度規制部用当接部に係合する係合部を備える初期開度規制部と、前記初期開度規制部の当接面と前記スロットルボディ側の初期開度規制ストッパ当接面とを前記スロットルバルブの前記初期開度位置で当接させる初期開度ストッパ機構とを有するスロットル装置の製造方法であって、前記スロットルボディ側のボディ側全閉当接面と、前記スロットルギヤ側のギヤ側全閉当接面とが当接する前記全閉位置と、前記初期開度規制部の当接面と前記スロットルボディ側の初期開度規制ストッパ当接面とが当接する前記初期開度位置とが相対的に所定角度を形成した位置関係となるように、前記スロットルボディ側のボディ側全閉当接面、前記スロットルギヤ側のギヤ側全閉当接面、前記初期開度規制部の当接面、前記スロットルボディ側の初期開度規制ストッパ当接面、前記スロットルギヤの初期開度規制部用当接部、及び前記初期開度規制部の係合部の少なくとも一か所を加工することで前記初期開度ストッパ機構と前記全閉ストッパ機構とを調整する。
【0009】
本発明によると、スロットルボディ側のボディ側全閉当接面と、スロットルギヤ側のギヤ側全閉当接面とが当接する前記全閉位置と、初期開度規制部の当接面とスロットルボディ側の初期開度規制ストッパ当接面とが当接する初期開度位置とが相対的に所定角度を形成した位置関係となるように、前記スロットルボディ側のボディ側全閉当接面、前記スロットルギヤ側のギヤ側全閉当接面、前記初期開度規制部の当接面、前記スロットルボディ側の初期開度規制ストッパ当接面、前記スロットルギヤの初期開度規制部用当接部、及び初期開度規制部の係合部の少なくとも一か所を加工する。このように、全閉ストッパ機構のボディ側全閉当接面、ギヤ側全閉当接面を加工し、あるいは、初期開度ストッパ機構の初期開度規制部の当接面、初期開度規制ストッパ当接面等を加工することで、スロットルバルブの全閉位置、及びオープナ開度位置を調整できるため、全閉ストッパ機構、初期開度ストッパ機構のスクリュー調整機構や全閉開度規制レバー等を不要にできる。さらに、全閉開度、及び初期開度の位置調整作業を簡素化できる。
【0010】
第2の発明は、エンジンに燃焼空気を導く吸気通路を備えるスロットルボディと、前記吸気通路内で全閉位置と全開位置間で回動可能な構成で、回動中心に一体化されたスロットルシャフトを備えるスロットルバルブと、電動式アクチュエータの回転力を前記スロットルシャフトに伝達するスロットルギヤと、前記スロットルバルブが前記全閉位置から所定角度開いた位置の初期開度位置に向かって回動するようなバネ力を前記スロットルギヤに対して付勢するバネ部材と、前記スロットルボディ側のボディ側全閉当接面とスロットルギヤ側のギヤ側全閉当接面との当接により、前記スロットルバルブの前記全閉位置を超える閉方向回動を規制する全閉ストッパ機構と、前記バネ部材と一体的に設けられ、前記スロットルバルブの前記初期開度位置よりも大きい角度で前記スロットルギヤの初期開度規制部用当接部に係合する係合部を備える初期開度規制部と、前記初期開度規制部の当接面と前記スロットルボディ側の初期開度規制ストッパ当接面とを前記スロットルバルブの前記初期開度位置で当接させる初期開度ストッパ機構とを有し、 前記スロットルボディ側のボディ側全閉当接面と、前記スロットルギヤ側のギヤ側全閉当接面とが当接する前記全閉位置と、前記初期開度規制部の当接面と前記スロットルボディ側の初期開度規制ストッパ当接面とが当接する前記初期開度位置とが相対的に所定角度を形成した位置関係となるように、前記スロットルボディ側のボディ側全閉当接面、前記スロットルギヤ側のギヤ側全閉当接面、前記初期開度規制部の当接面、前記スロットルボディ側の初期開度規制ストッパ当接面、前記スロットルギヤの初期開度規制部用当接部、及び前記初期開度規制部の係合部の少なくとも一か所を加工するスロットル装置の製造方法であって、バネ部材と一体的に設けられた初期開度規制部の当接面を前記スロットルボディの前記初期開度規制ストッパ当接面に当接させた状態で、前記全閉ストッパ機構の前記スロットルボディ側のボディ側全閉当接面、あるいはスロットルギヤ側のギヤ側全閉当接面が前記初期開度規制部の当接面と所定角度を形成した位置関係となるように、前記ボディ側全閉当接面、あるいは前記ギヤ側全閉当接面のいずれかを加工する。
【0011】
第3の発明によると、全閉ストッパ機構のスロットルボディ側のボディ側全閉当接面、あるいはスロットルギヤ側のギヤ側全閉当接面の加工は切削加工により行われる。このため、簡易な方法で全閉位置調整が可能になる。
【0012】
第4の発明によると、全閉ストッパ機構の前記スロットルボディ側のボディ側全閉当接面、あるいはスロットルギヤ側のギヤ側全閉当接面は、角錐台の上面に設けられている。このため、前記当接面の切削加工を行なう際のバリの発生を抑制できる。
【0013】
第5の発明によると、スロットルギヤとバネ部材とをスロットルボディに基づいて製作した治具にセットし、前記バネ部材と一体的に設けられた初期開度規制部の当接面を前記治具における前記スロットルボディの初期開度規制ストッパ当接面に相当する部位に当接させた状態で、全閉ストッパ機構を構成する前記スロットルギヤ側のギヤ側全閉当接面と、前記初期開度規制部の当接面とが相対的に所定角度を形成した位置関係となるように、前記ギヤ側全閉当接面を加工する。このように、スロットルギヤとバネ部材とをスロットルボディとは別体の治具にセットした状態で、全閉ストッパ機構のスロットルギヤ側のギヤ側全閉当接面の加工を行なえるため、加工による異物がスロットルボディ内に入り込むことがなくなる。
【0014】
第6の発明によると、スロットルギヤとバネ部材とを治具から取り外した後、前記スロットルギヤ側のギヤ側全閉当接面をスロットルボディ側のボディ側全閉当接面に当接させた状態で、スロットルシャフトに前記スロットルギヤを相対回転可能な状態でセットし、前記スロットルバルブを前記全閉位置に保持した状態で、前記スロットルシャフトと前記スロットルギヤとを位置決めし、前記位置決めした状態で、前記スロットルシャフトと前記スロットルギヤとを相対回転不能に固定する。
【0015】
第7の発明によると、バネ部材は、スロットルバルブが初期開度位置よりも大きな開度位置にあるときに閉方向のバネ力を発生させるリターンスプリング部と、前記スロットルバルブが前記初期開度位置よりも小さな開度位置にあるときに開方向のバネ力を発生させるオープナスプリング部とが直列に連結される構成であり、前記バネ部材と一体的に設けられた初期開度規制部は、前記リターンスプリング部とオープナスプリング部との境界位置にある。
【発明の効果】
【0016】
本発明によると、全閉ストッパ等のスクリュー調整機構をなくせるため、スクリューの脱落対策、及びスクリュー穴とスクリューとの隙間の気密性を確保等の対策を不要にできる。また、全閉開度規制レバー等を不要にできるため、製品の小型化を図れるとともに、全閉開度及びオープナ開度の位置調整作業を簡素化できる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】本発明の実施形態1に係るスロットル装置を右上から見た斜視図である。
【
図2】前記スロットル装置の吸気通路の軸方向から見た縦断面図(
図1のII-II矢視断面図)である。
【
図3】前記スロットル装置の吸気通路の軸と直角方向から見た縦断面図(
図1のIII-III矢視断面図)である。
【
図4】前記スロットル装置を右側から見た側面図である。
【
図5】前記スロットル装置を構成するスロットルギヤ、及びスプリングを表す斜視図である。
【
図6】オープナ開度位置におけるスロットルギヤとスプリング、及びスロットルボディの兼用ストッパ部との関係を表す斜視図である。
【
図7】オープナ開度位置におけるスロットルギヤとスプリング、及びスロットルボディの兼用ストッパ部との関係を表す平面図である。
【
図8】全閉位置におけるスロットルギヤとスプリング、及びスロットルボディの兼用ストッパ部との関係を表す斜視図である。
【
図9】全閉位置におけるスロットルギヤとスプリング、及びスロットルボディの兼用ストッパ部との関係を表す平面図である。
【
図10】スプリングが装着されたスロットルギヤを治具にセットした状態で、スロットルギヤにおける全閉ストッパ部のギヤ側全閉当接面を切削加工する様子を表す斜視図である。
【
図12】
図11のXII矢視部を加工している状態を表す拡大図である。
【
図13】スプリングのオープナ開度規制部とスロットルギヤの全閉ストッパ部のギヤ側全閉当接面との関係を表す拡大側面図である。
【
図14】従来のスロットル装置の全体側面図である。
【
図15】従来のスロットル装置におけるスロットルバルブと全閉ストッパ機構との関係を表す側面図(吸気通路の軸と直角方向から見た側面図)である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
[実施形態1]
以下、
図1~
図13に基づいて、本発明の実施形態1に係るスロットル装置、及びその製造方法について説明する。スロットル装置は、車両のエンジン(図示省略)に供給される燃焼空気の流量を調節するための装置であり、前記エンジンの吸気通路に接続される吸気通路(後記する)を備えている。ここで、図中おける前後左右、及び上下は、説明の便宜上定めたものであり、吸気通路の中心方向(軸方向)を前後方向と一致させている。
【0019】
<スロットル装置の概要について>
スロットル装置は、
図1に示すように、スロットルボディ10を備えている。スロットルボディ10は、吸気通路11hを備える略円筒形のスロットルパイプ部11と、スロットルパイプ部11の右横に形成されたギヤハウジング部12と、スロットルパイプ部11の下側に設けられたモータハウジング部13とを備えている。なお、
図1では、ギヤハウジング部12のカバー部材は省略されている。スロットルボディ10のスロットルパイプ部11には、
図2、
図3に示すように、吸気通路11hを横断するように、スロットルバルブ20が設けられている。
【0020】
スロットルバルブ20は、
図2に示すように、円板形のバタフライ式バルブであり、吸気通路11h内で全閉位置と全開位置間で回動可能に構成されている。即ち、スロットルバルブ20の回動中心には、左右方向に延びるスロットルシャフト21が相対回転不能な状態で固定されている。スロットルシャフト21の左端部は、スロットルパイプ部11の左軸受部11rにより回転自在に支持されており、スロットルシャフト21の右部がスロットルパイプ部11の右軸受部11jにより回転自在に支持されている。スロットルシャフト21の右端部は、スロットルボディ10のギヤハウジング部12内に突出しており、そのスロットルシャフト21の右端部にスロットルギヤ30が相対回転不能な状態で取付けられている。
【0021】
スロットルボディ10のモータハウジング部13には、
図1、
図2に示すように、モータ14が右向きに収納されており、そのモータ14の出力軸(図番省略)がギヤハウジング部12内に突出している。モータ14の出力軸には、
図2、
図4に示すように、駆動ギヤ14wが取付けられており、その駆動ギヤ14wがギヤハウジング部12内に設けられたカウンタギヤ16の大径ギヤ部16rと噛合している。そして、カウンタギヤ16の小径ギヤ部16sが、
図2に示すように、スロットルギヤ30の外周面に形成されたギヤ部31と噛合している。これにより、モータ14が駆動することで、そのモータ14の回転力が駆動ギヤ14w、カウンタギヤ16、及びスロットルギヤ30を介してスロットルシャフト21に加わり、スロットルバルブ20が吸気通路11h内で回動するようになる。
【0022】
また、スロットルギヤ30の円筒部32(
図2、及び
図5参照)の周囲には、コイル形のスプリング40が装着されている。スプリング40は、モータ14の停止時(あるいは故障時)にスロットルギヤ30を介してスロットルバルブ20をオープナ開度位置(
図3における実線参照)に保持できるように付勢されている。ここで、オープナ開度位置は、スロットルバルブ20が全閉位置(
図3の二点鎖線参照)から所定角度(例えば、8°)だけ開方向に回動した位置である。
【0023】
<スプリング40の構成について>
スプリング40は、
図5に示すように、直列に接続されたリターンスプリング部43とオープナスプリング部45とから構成されている。リターンスプリング部43は、右回りに巻かれたコイルスプリングであり、スロットルバルブ20(スロットルギヤ30)がオープナ開度位置から開方向に回動したときに、スロットルギヤ30に対して閉方向にバネ力を付与する。オープナスプリング部45は、左回りに巻かれたコイルスプリングであり、スロットルバルブ20(スロットルギヤ30)がオープナ開度位置から閉方向に回動したときに、スロットルギヤ30に対して開方向にバネ力を付与する。
【0024】
そして、
図5に示すように、リターンスプリング部43の境界端部とオープナスプリング部45の境界端部とが重ねられた状態で略L字形に折り曲げられ、スプリング40の半径方向外側に突出するオープナ開度規制部47を構成している。また、リターンスプリング部43の先端(境界端部の反対側)には、スロットルボディ10のバネ係止部116(
図4参照)に係止されるボディ側端部43fが設けられている。さらに、オープナスプリング部45の先端(境界端部の反対側)には、スロットルギヤ30のバネ係止部31z(
図5等参照)に係止されるギヤ側端部45bが設けられている。
【0025】
<スロットルギヤ30の構成について>
スロットルギヤ30は、上記したようにモータ14の回転力をスロットルシャフト21に伝達する樹脂製のギヤである。スロットルギヤ30は、
図5に示すように、スプリング40に囲われる径サイズの円筒部32と、その円筒部32の右端(上端)に設けられたフランジ部33と、その円筒部32の左端(下端)に設けられた内フランジ部34とを備えている。そして、スロットルギヤ30のフランジ部33の外周面に平面円弧形のギヤ部31が設けられている。また、スロットルギヤ30の内フランジ部34には、貫通孔35kを備える連結プレート35が前記貫通孔35kを円筒部32と同軸になるように位置決めされた状態でインサート成形により固定されている。
【0026】
スロットルギヤ30の連結プレート35の貫通孔35kには、スロットルシャフト21の右端小径部が挿通されてカシメ加工により潰され、スロットルシャフト21とスロットルギヤ30とが相対回転不能に保持される。ここで、スロットルギヤ30のギヤ部31のギヤ部中心(円弧中心)はスロットルシャフト21の軸心と一致するようになる。
【0027】
スロットルギヤ30のギヤ部31における閉方向回動端には、
図5に示すように、全閉ストッパ部37が設けられており、その全閉ストッパ部37の左横(下側)にバネ係止部31zが形成されている。また、スロットルギヤ30の全閉ストッパ部37からさらに閉方向側の位置には、平板状のバネ受けブロック38が左方向(下方)に突出して、バネ係止部31zと対向するように形成されている。そして、バネ受けブロック38において前記バネ係止部31zの斜め左方向(下方)の位置に溝状のオープナ開度規制部用当接部38kが形成されている。
【0028】
<スロットルギヤ30とスプリング40の組付けについて>
スプリング40をスロットルギヤ30に装着する場合には、
図6、
図7に示すように、スプリング40のオープナスプリング部45をスロットルギヤ30の円筒部32の周囲に配置する。この状態で、オープナスプリング部45のギヤ側端部45bをスロットルギヤ30のバネ係止部31zに係止する。また、スプリング40のオープナ開度規制部47の係合部47kをスロットルギヤ30のバネ受けブロック38のオープナ開度規制部用当接部38kに係止する。この状態で、スプリング40のオープナ開度規制部47とギヤ側端部45bとがスロットルギヤ30のバネ受けブロック38とバネ係止部31z間に挟まれて、スプリング40がスロットルギヤ30に装着される。なお、この状態で、スプリング40のオープナスプリング部45には、オープナ開度位置までの戻り性確保のための取付け荷重が掛かっている。
【0029】
次に、スプリング40が装着されたスロットルギヤ30をスロットルボディ10のギヤハウジング部12に組み付ける。ここで、スロットルボディ10のギヤハウジング部12の側壁部には、
図4に示すように、スロットルギヤ30よりも径方向外側で、スロットルシャフト21の軸心に対して斜め前上方位置に兼用ストッパ部115が設けられている。兼用ストッパ部115は、全閉ストッパ機構(後記する)とオープナ開度ストッパ機構(後記する)とのスロットルボディ10側のストッパ部を構成する部材であり、
図7等に示すように、スロットルシャフト21と平行な状態で左右方向に延びる角棒状に形成されている。
【0030】
そして、兼用ストッパ部115には、
図7、
図9に示すように、スプリング40のオープナ開度規制部47の当接面47fとスロットルギヤ30の全閉ストッパ部37のギヤ側全閉当接面37mとがそれぞれ当接可能な当接面115fが形成されている。即ち、スロットルボディ10の兼用ストッパ部115の当接面115fが本発明の初期開度規制ストッパ当接面とボディ側全閉当接面として機能する。また、スロットルボディ10のギヤハウジング部12の側壁部には、
図4に示すように、兼用ストッパ部115に対してスロットルシャフト21を挟んで反対側の位置に、バネ係止部116が設けられている。そして、スロットルボディ10のバネ係止部116には、スプリング40のリターンスプリング部43におけるボディ側端部43fが係止されている。
【0031】
即ち、スプリング40とスロットルギヤ30とは、
図4に示すように、スプリング40のボディ側端部43fをスロットルボディ10のバネ係止部116に係止させ、オープナ開度規制部47を兼用ストッパ部115の当接面115fに当接させた状態でスロットルボディ10にセットされている。
【0032】
<オープナ開度ストッパ機構について>
スロットルバルブ20がオープナ開度位置にあるときには(
図3の実線参照)、スプリング40のオープナ開度規制部47の当接面47fは、
図6、
図7に示すように、スロットルボディ10の兼用ストッパ部115の当接面115fに当接している。この状態では、スプリング40のリターンスプリング部43とオープナスプリング部45には、オープナ開度位置までの戻り性確保のための取付け荷重がかかっている。即ち、スプリング40のオープナ開度規制部47の当接面47fと兼用ストッパ部115の当接面115fとがオープナ開度ストッパ機構を構成している。
【0033】
<全閉ストッパ機構について>
モータ14の駆動により、スロットルギヤ30、及びスロットルバルブ20等がオープナ開度位置から閉方向に回動すると、
図8、
図9に示すように、スプリング40(オープナスプリング部45)のギヤ側端部45bがスロットルギヤ30の閉回動に伴い閉方向に移動する。このとき、スプリング40のオープナ開度規制部47がスロットルボディ10の兼用ストッパ部115に当接しているため、オープナスプリング部45のギヤ側端部45bがオープナ開度規制部47に接近して、オープナスプリング部45が縮径方向に変形する。これにより、スプリング40のオープナスプリング部45がスロットルギヤ30に対して開方向に付与するバネ力が大きくなる。そして、スロットルバルブ20が、
図3の二点鎖線に示すように、全閉位置に到達すると、
図9に示すように、スロットルギヤ30の全閉ストッパ部37のギヤ側全閉当接面37mがスロットルボディ10の兼用ストッパ部115の当接面115fに当接するようになる。このため、スロットルギヤ30の全閉ストッパ部37のギヤ側全閉当接面37mと兼用ストッパ部115の当接面115fとが全閉ストッパ機構を構成している。
【0034】
<スロットルバルブ20の開動作におけるスプリング40の動作ついて>
モータ14の駆動により、スロットルギヤ30、及びスロットルバルブ20等がオープナ開度位置から開方向に回動すると、スプリング40のオープナ開度規制部47の係合部47kがバネ受けブロック38に押され、オープナ開度規制部47が兼用ストッパ部115の当接面115fから離れ、開方向に移動する。ここで、スプリング40のリターンスプリング部43のボディ側端部43fはスロットルボディ10のバネ係止部116に係止されている。このため、スプリング40のオープナ開度規制部47がスロットルギヤ30のバネ受けブロック38に押されて開方向に移動すると、そのオープナ開度規制部47がリターンスプリング部43のボディ側端部43fに接近して、リターンスプリング部43が縮径方向に変形する。これにより、スプリング40のリターンスプリング部43がスロットルギヤ30に対して閉方向に付与するバネ力が大きくなる。
【0035】
<オープナ開度ストッパ機構と全閉ストッパ機構との調整について>
オープナ開度ストッパ機構と全閉ストッパ機構との調整は、スロットルボディ10と同じ状態でスロットルギヤ30、及びスプリング40を支持できるように製造された支持治具50を使用して行われる。前記支持治具50には、
図10に示すように、スロットルギヤ30をスロットルシャフト21と同様に支持できるように構成された軸体Dと、スロットルボディ10の兼用ストッパ部115に対応する位置に形成されたストッパ基準治具52を備えている。さらに、支持治具50にセットされたスロットルギヤ30の全閉ストッパ部37のギヤ側全閉当接面37mを切削可能な切削機械54(例えば、エンドミル)を備えている。
【0036】
オープナ開度ストッパ機構と全閉ストッパ機構との調整では、先ず、スロットルギヤ30にスプリング40を装着した状態で、スロットルギヤ30の貫通孔35kに軸体Dを通し、
図10、
図13に示すように、スプリング40のオープナ開度規制部47の当接面47fをストッパ基準治具52の下面(当接面)に当接させる。この状態で、
図13に示すように、スロットルギヤ30の全閉ストッパ部37のギヤ側全閉当接面37mがスプリング40のオープナ開度規制部47の当接面47fからオープナ角度θ(例えば、8°)と等しい角度位置となるように、その全閉ストッパ部37のギヤ側全閉当接面37mをエンドミル54により切削する。ここで、全閉ストッパ部37のギヤ側全閉当接面37mを、
図11、
図12に示すように、角錐台の上面に形成することで、ギヤ側全閉当接面37mを切削する際のバリの発生を抑えることができる。
【0037】
切削加工が完了すると、スロットルギヤ30とスプリング40とを、上記したように、スロットルボディ10にセットする。この段階では、スロットルギヤ30とスロットルシャフト21とは相対回動可能に保持されている。この状態で、
図8、
図9に示すように、スロットルギヤ30の全閉ストッパ部37のギヤ側全閉当接面37mをスロットルボディ10の兼用ストッパ部115の当接面115fに当接させる。次に、スロットルバルブ20を全閉位置に保持した状態で、スロットルギヤ30とスロットルバルブ20(スロットルシャフト21)とを相対的に位置決めする。そして、スロットルギヤ30とスロットルバルブ20(スロットルシャフト21)とを位置決めした状態で、上記したカシメ加工によりスロットルシャフト21とスロットルギヤ30とが相対回転不能に保持される。この状態で、全閉ストッパ機構とオープナ開度ストッパ機構との調整が完了する。
【0038】
<実施形態1に係るスロットル装置の用語と本発明に係る用語との対応>
本実施形態に係るモータ14、駆動ギヤ14w、及びカウンタギヤ16が本発明の電動式アクチュエータに相当する。また、本実施形態に係るオープナ開度位置が本発明の初期開度位置に相当し、本実施形態に係るオープナ開度ストッパ機構が本発明の初期開度ストッパ機構に相当する。また、本実施形態に係るスプリング40が本発明のバネ部材に相当し、スプリング40のオープナ開度規制部47が本発明の初期開度規制部に相当し、オープナ開度規制部47の当接面47fが初期開度規制部の当接面に相当する。さらに、スロットルギヤ30のオープナ開度規制部用当接部38kが本発明の初期開度規制部用当接部に相当する。また、兼用ストッパ部の当接面115fが本発明の全閉ストッパ機構のボディ側全閉当接面と初期開度ストッパ機構の初期開度規制ストッパ当接面とに相当する。また、本実施形態に係る支持治具50が本発明の治具に相当する。
【0039】
<本実施形態に係るスロットル装置の製造方法の長所について>
本実施形態に係るスロットル装置の製造方法によると、スプリング40(バネ部材)のオープナ開度規制部47をスロットルボディ10の兼用ストッパ部115(ストッパ部)に当接させる。そして、スロットルギヤ30の全閉ストッパ部37のギヤ側全閉当接面37mとスプリング40のオープナ開度規制部47の当接面47fとが所定角度を形成した位置関係となるように、前記ギヤ側全閉当接面37mを加工する。このように、全閉ストッパ機構のスロットルギヤ30側のギヤ側全閉当接面37mを加工することで、スロットルバルブ20のオープナ開度を調整できるため、全閉ストッパ等のスクリュー調整機構や全閉開度規制レバー等を不要にできる。さらに、全閉ストッパ等の位置調整作業を簡素化できる。
【0040】
また、スロットルギヤ30の全閉ストッパ部37のギヤ側全閉当接面37mの加工は切削加工により行われる。このため、簡易な方法でオープナ開度調整が可能になる。さらに、全閉ストッパ部37のギヤ側全閉当接面37mは角錐台の上面に設けられているため、前記ギヤ側全閉当接面37mの切削加工を行なう際のバリの発生を抑制できる。また、スロットルギヤ30とスプリング40とをスロットルボディ10とは別体の支持治具50にセットした状態で、全閉ストッパ機構のスロットルギヤ30側のギヤ側全閉当接面37mの加工を行なえるため、加工による異物がスロットルボディ10内に入り込むことがなくなる。
【0041】
<変更例>
ここで、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲における変更が可能である。例えば、本実施形態におけるスロットル装置では、スロットルギヤ30の全閉ストッパ部37のギヤ側全閉当接面37mをエンドミル等の切削機械54により加工する例を示した。しかし、全閉ストッパ部37のギヤ側全閉当接面37mを切削機械54により加工する代わりに、例えば、熱変形により加工する方法でも可能である。また、本実施形態では、スプリング40のオープナ開度規制部47の当接面47fをスロットルボディ10の兼用ストッパ部115に当接させた状態で、全閉ストッパ機構のスロットルギヤ30側のギヤ側全閉当接面37mを加工する例を示した。しかし、スプリング40のオープナ開度規制部47をスロットルボディ10の兼用ストッパ部115に当接させた状態で、全閉ストッパ機構のスロットルボディ10の兼用ストッパ部115の当接面115f(スロットルギヤ30側のギヤ側全閉当接面37mが当接する部位)を加工することも可能である。また、本実施形態では、スロットルギヤ30とスロットルシャフト21とをカシメ加工により相対回転不能に連結する例を示したが、溶接等により相対回転不能に連結することも可能である。
【0042】
また、本実施形態では、オープナ開度ストッパ機構におけるスプリング40のオープナ開度規制部47の当接面47fと兼用ストッパ部115の当接面115f(支持治具50のストッパ基準治具52)とを当接させた状態で、全閉ストッパ機構を構成するスロットルギヤ30のギヤ側全閉当接面37mを加工する例を示した。しかし、全閉ストッパ機構を構成するスロットルギヤ30のギヤ側全閉当接面37mと兼用ストッパ部115の当接面115fとを当接させた状態で、オープナ開度ストッパ機構におけるスプリング40のオープナ開度規制部47の当接面47f、あるいは兼用ストッパ部115の当接面115fを加工することも可能である。また、スプリング40のオープナ開度規制部47の当接面47fを加工する代わりに、スロットルギヤ30のオープナ開度規制部用当接部38k、あるいはオープナ開度規制部47の係合部47kを加工することも可能である。
【0043】
さらに、本実施形態では、スプリング40を直列に接続されたリターンスプリング部43とオープナスプリング部45とから構成し、両者43,45の境界位置にオープナ開度規制部47を設ける例を示した。しかし、リターンスプリング部43とオープナスプリング部45とを個別に製作し、リターンスプリング部43とオープナスプリング部45とを連結する連結部材にオープナ開度規制部47を設けることも可能である。また、本実施形態では、スロットルギヤ30の全閉ストッパ部37のギヤ側全閉当接面37mを切削加工する際に、スロットルギヤ30とスプリング40とを支持治具50にセットする例を示した。しかし、スロットルギヤ30とスプリング40とをスロットルボディ10の直接セットした状態で、スロットルギヤ30の全閉ストッパ部37のギヤ側全閉当接面37mを切削加工することも可能である。また、本実施形態では、スロットルボディ10側のボディ側全閉当接面115fと初期開度規制ストッパ面115fとを兼用する兼用ストッパ部115を備える例を示した。しかし、スロットルボディ10側のボディ側全閉当接面115fと初期開度規制ストッパ面115fとを別々に離れた位置に設けることも可能である。
【符号の説明】
【0044】
10・・・・スロットルボディ
115・・・兼用ストッパ部(全閉ストッパ機構、初期開度ストッパ機構)
115f・・当接面(全閉ストッパ機構(ボディ側全閉当接面)、初期開度ストッパ機構 (初期開度規制ストッパ当接面))
14・・・・モータ(電動式アクチュエータ)
14w・・・駆動ギヤ(電動式アクチュエータ)
16・・・・カウンタギヤ(電動式アクチュエータ)
20・・・・スロットルバルブ
21・・・・スロットルシャフト
30・・・・スロットルギヤ
37・・・・全閉ストッパ部(全閉ストッパ機構)
37m・・・ギヤ側前閉当接面(全閉ストッパ機構)
38k・・・オープナ開度規制部用当接部(初期開度規制部用当接部)
40・・・・スプリング(バネ部材)
43・・・・リターンスプリング部
45・・・・オープナスプリング部
47・・・・オープナ開度規制部(初期開度規制部、初期開度ストッパ機構)
47f・・・当接面(初期開度規制部の当接面)
47k・・・係合部(初期開度規制部の係合部)
50・・・・支持治具(治具)