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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-20
(45)【発行日】2025-01-06
(54)【発明の名称】冷蔵庫
(51)【国際特許分類】
   F25D 17/06 20060101AFI20241223BHJP
   F25D 23/00 20060101ALI20241223BHJP
   F25D 21/02 20060101ALI20241223BHJP
【FI】
F25D17/06 315
F25D17/06 316
F25D23/00 301N
F25D21/02 D
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2021138239
(22)【出願日】2021-08-26
(65)【公開番号】P2023032233
(43)【公開日】2023-03-09
【審査請求日】2024-02-01
(73)【特許権者】
【識別番号】503376518
【氏名又は名称】東芝ライフスタイル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100141139
【弁理士】
【氏名又は名称】及川 周
(74)【代理人】
【識別番号】100205785
【弁理士】
【氏名又は名称】▲高▼橋 史生
(74)【代理人】
【識別番号】100203297
【弁理士】
【氏名又は名称】橋口 明子
(74)【代理人】
【識別番号】100175824
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100135301
【弁理士】
【氏名又は名称】梶井 良訓
(72)【発明者】
【氏名】森脇 実
【審査官】森山 拓哉
(56)【参考文献】
【文献】中国特許出願公開第112503828(CN,A)
【文献】特開2005-061709(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F25D 17/06
F25D 23/00
F25D 21/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
貯蔵室を含む筐体と、
前記筐体内に設けられた冷却器と、
前記冷却器によって冷却される冷気を送風する送風機と、
前記送風機の回転翼の回転速度の目標値が一定であるのに対して、前記送風機に対する帰還制御の制御信号が前記回転翼の回転速度の増加を指示していること、または、前記制御信号が前記回転翼の定速回転を指示しているのに対して、前記回転速度の測定値が減少していることの少なくとも何れかが検出される状態の継続状況に基づいて、前記回転翼への着霜の有無を判定する着霜判定部と、
前記回転翼への着霜ありと判定されることを含む所定の条件が満たされる場合に、前記回転翼の除霜処理を行う運転制御部と、
前記回転翼への着霜ありと判定された場合、前記回転翼への着霜を示す着霜情報を記録する着霜情報記録部と、
前記着霜情報に基づいて、所定時間内における前記回転翼への着霜が所定回数を超えていると判定した場合、前記回転翼への着霜が頻発していることを報知する着霜報知部と、
を備える冷蔵庫。
【請求項2】
貯蔵室を含む筐体と、
前記筐体内に設けられた冷却器と、
前記冷却器によって冷却される冷気を送風する送風機と、
前記送風機の回転翼の回転速度の目標値が一定であるのに対して、前記送風機に対する帰還制御の制御信号が前記回転翼の回転速度の増加を指示していること、または、前記制御信号が前記回転翼の定速回転を指示しているのに対して、前記回転速度の測定値が減少していることの少なくとも何れかが検出される状態の継続状況に基づいて、前記回転翼への着霜の有無を判定する着霜判定部と、
前記回転翼への着霜ありと判定されることを含む所定の条件が満たされる場合に、前記回転翼の除霜処理を行う運転制御部と、
前記貯蔵室を開閉可能に閉じる扉と、
前記扉の開閉を検出する扉開閉検出部と、
前記扉開閉検出部の検出結果に基づいて、前記扉の開閉状況を示す扉開閉情報を記録する扉開閉情報記録部と、
前記回転翼への着霜ありと判定され、かつ、前記扉開閉情報に基づいて、前記扉が開いた回数または前記扉が開いていた時間の少なくとも何れかが所定の条件以上に多いまたは長いと判定した場合、前記扉を開くことによる着霜の可能性を報知する着霜要因報知部と、
を備える冷蔵庫。
【請求項3】
貯蔵室を含む筐体と、
前記筐体内に設けられた冷却器と、
前記冷却器によって冷却される冷気を送風する送風機と、
前記送風機の回転翼の回転速度の目標値が一定であるのに対して、前記送風機に対する帰還制御の制御信号が前記回転翼の回転速度の増加を指示していること、または、前記制御信号が前記回転翼の定速回転を指示しているのに対して、前記回転速度の測定値が減少していることの少なくとも何れかが検出される状態の継続状況に基づいて、前記回転翼への着霜の有無を判定する着霜判定部と、
前記回転翼への着霜ありと判定されることを含む所定の条件が満たされる場合に、前記回転翼の除霜処理を行う運転制御部と、
前記貯蔵室を開閉可能に閉じる扉と、
前記扉の開閉を検出する扉開閉検出部と、
前記扉開閉検出部の検出結果に基づいて、前記扉の開閉状況を示す扉開閉情報を記録する扉開閉情報記録部と、
前記回転翼への着霜ありと判定され、かつ、前記扉開閉情報に基づいて、前記扉が開いた回数および前記扉が開いていた時間の何れも所定の条件以下であると判定した場合、冷蔵庫の故障による着霜の可能性を報知する故障可能性報知部と、
を備える冷蔵庫。
【請求項4】
貯蔵室を含む筐体と、
前記筐体内に設けられた冷却器と、
前記冷却器によって冷却される冷気を送風する送風機と、
前記送風機の回転翼の回転速度の目標値が一定であるのに対して、前記送風機に対する帰還制御の制御信号が前記回転翼の回転速度の増加を指示していること、または、前記制御信号が前記回転翼の定速回転を指示しているのに対して、前記回転速度の測定値が減少していることの少なくとも何れかが検出される状態の継続状況に基づいて、前記回転翼への着霜の有無を判定する着霜判定部と、
前記回転翼への着霜ありと判定されることを含む所定の条件が満たされる場合に、前記回転翼の除霜処理を行う運転制御部と、
前記回転速度の下限閾値を変更可能な閾値変更部と、
を備え、
前記運転制御部は、前記回転速度の測定値が前記回転速度の下限閾値以下であると判定した場合、前記回転速度の異常発生時の処理を行い、
前記閾値変更部は、前記回転翼への着霜ありと判定された場合、前記回転速度の下限閾値を、前記回転翼への着霜なしと判定された場合の前記回転速度の下限閾値よりも小さい値に変更する、
冷蔵庫。
【請求項5】
前記運転制御部は、
前記回転翼への着霜なしと判定された場合の、前記回転速度の異常発生時の処理として、前記送風機の停止または再起動を行い、
前記回転翼への着霜ありと判定された場合の、前記回転速度の異常発生時の処理として、前記回転翼の除霜処理を行う、
請求項に記載の冷蔵庫。
【請求項6】
貯蔵室を含む筐体と、
前記筐体内に設けられた冷却器と、
前記冷却器によって冷却される冷気を送風する送風機と、
前記送風機の回転翼の回転速度の目標値が一定であるのに対して、前記送風機に対する帰還制御の制御信号が前記回転翼の回転速度の増加を指示していること、または、前記制御信号が前記回転翼の定速回転を指示しているのに対して、前記回転速度の測定値が減少していることの少なくとも何れかが検出される状態の継続状況に基づいて、前記回転翼への着霜の有無を判定する着霜判定部と、
前記回転翼への着霜ありと判定されることを含む所定の条件が満たされる場合に、前記回転翼の除霜処理を行う運転制御部と、
を備え、
前記運転制御部は、前記回転翼への着霜ありと判定された場合、前記回転翼への着霜ありと判定される前と同じ冷却制御を継続し、その後、前記回転速度の測定値が前記回転速度の下限閾値以下に低下したと判定した場合、前記回転翼の除霜処理を行う、
冷蔵庫。
【請求項7】
貯蔵室を含む筐体と、
前記筐体内に設けられた冷却器と、
前記冷却器によって冷却される冷気を送風する送風機と、
前記送風機の回転翼の回転速度の目標値が一定であるのに対して、前記送風機に対する帰還制御の制御信号が前記回転翼の回転速度の増加を指示していること、または、前記制御信号が前記回転翼の定速回転を指示しているのに対して、前記回転速度の測定値が減少していることの少なくとも何れかが検出される状態の継続状況に基づいて、前記回転翼への着霜の有無を判定する着霜判定部と、
前記回転翼への着霜ありと判定されることを含む所定の条件が満たされる場合に、前記回転翼の除霜処理を行う運転制御部と、
を備え、
前記運転制御部は、前記回転翼への着霜ありと判定された場合、前記貯蔵室に対して前記回転翼の除霜処理に先立つ予冷を開始し、前記予冷の実行中に前記回転速度の測定値が前記回転速度の下限閾値以下に低下したと判定した場合、前記予冷を終了または短縮して前記回転翼の除霜処理を行う、
冷蔵庫。
【請求項8】
貯蔵室を含む筐体と、
前記筐体内に設けられた冷却器と、
前記冷却器によって冷却される冷気を送風する送風機と、
前記送風機の回転翼の回転速度の目標値が一定であるのに対して、前記送風機に対する帰還制御の制御信号が前記回転翼の回転速度の増加を指示していること、または、前記制御信号が前記回転翼の定速回転を指示しているのに対して、前記回転速度の測定値が減少していることの少なくとも何れかが検出される状態の継続状況に基づいて、前記回転翼への着霜の有無を判定する着霜判定部と、
前記回転翼への着霜ありと判定されることを含む所定の条件が満たされる場合に、前記回転翼の除霜処理を行う運転制御部と、
を備え、
前記運転制御部は、前記回転翼への着霜ありと判定された場合、前記回転翼への着霜ありと判定される前と同じ冷却制御を継続し、その後、前記回転速度の測定値がある予冷用閾値以下に低下したと判定した場合、前記貯蔵室に対して前記回転翼の除霜処理に先立つ予冷を開始し、その後、前記予冷の実行中に前記回転速度の測定値が前記回転速度の下限閾値以下に低下したと判定した場合、前記予冷を終了または短縮して前記回転翼の除霜処理を行う、
冷蔵庫。
【請求項9】
貯蔵室を含む筐体と、
前記筐体内に設けられた冷却器と、
前記冷却器によって冷却される冷気を送風する送風機と、
前記送風機の回転翼の回転速度の目標値が一定であるのに対して、前記送風機に対する帰還制御の制御信号が前記回転翼の回転速度の増加を指示していること、または、前記制御信号が前記回転翼の定速回転を指示しているのに対して、前記回転速度の測定値が減少していることの少なくとも何れかが検出される状態の継続状況に基づいて、前記回転翼への着霜の有無を判定する着霜判定部と、
前記回転翼への着霜ありと判定されることを含む所定の条件が満たされる場合に、前記回転翼の除霜処理を行う運転制御部と、
前記筐体外に設けられて外気温を測定する外気温測定部と、
前記筐体外に設けられて外気の湿度を測定する湿度測定部と、
前記貯蔵室を開閉可能に閉じる扉と、
前記扉の開閉時における外気温および外気の湿度を示す外気温・湿度情報を記録する外気温・湿度情報記録部と、
前記回転翼への着霜ありと判定され、かつ、前記外気温・湿度情報に基づいて、庫内に流入する推定水分量が所定条件の水分量以上であると判定した場合、前記扉を開くことによる着霜の可能性を報知する着霜要因報知部と、
を備える冷蔵庫。
【請求項10】
貯蔵室を含む筐体と、
前記筐体内に設けられた冷却器と、
前記冷却器によって冷却される冷気を送風する送風機と、
前記送風機の回転翼の回転速度の目標値が一定であるのに対して、前記送風機に対する帰還制御の制御信号が前記回転翼の回転速度の増加を指示していること、または、前記制御信号が前記回転翼の定速回転を指示しているのに対して、前記回転速度の測定値が減少していることの少なくとも何れかが検出される状態の継続状況に基づいて、前記回転翼への着霜の有無を判定する着霜判定部と、
前記回転翼への着霜ありと判定されることを含む所定の条件が満たされる場合に、前記回転翼の除霜処理を行う運転制御部と、
前記筐体外に設けられて外気温を測定する外気温測定部と、
前記筐体外に設けられて外気の湿度を測定する湿度測定部と、
前記貯蔵室を開閉可能に閉じる扉と、
前記扉の開閉時における外気温および外気の湿度を示す外気温・湿度情報を記録する外気温・湿度情報記録部と、
前記回転翼への着霜ありと判定され、かつ、前記外気温・湿度情報に基づいて、庫内に流入する推定水分量が所定条件の水分量以下であると判定した場合、冷蔵庫の故障による着霜の可能性を報知する故障可能性報知部と、
を備える冷蔵庫。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、冷蔵庫に関する。
【背景技術】
【0002】
冷蔵庫内で冷気を送風する送風機の回転翼に着霜する場合がある。回転翼に着霜した場合、例えば、送風機を一旦停止させてから再起動させても、着霜の状態が改善しない可能性があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2005-61709号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明が解決しようとする課題は、送風機の回転翼への着霜の有無を判定し、着霜ありと判定した場合、着霜の状態を改善するための処理を行うことができる冷蔵庫を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
実施形態の冷蔵庫は、筐体と、冷却器と、送風機と、着霜判定部と、運転制御部と、着霜情報記録部と、着霜報知部とを持つ。前記筐体は、貯蔵室を含む。前記冷却器は、前記筐体内に設けられている。前記送風機は、前記冷却器によって冷却される冷気を送風する。前記着霜判定部は、前記送風機の回転翼の回転速度の目標値が一定であるのに対して、前記送風機に対する帰還制御の制御信号が前記回転翼の回転速度の増加を指示していること、または、前記制御信号が前記回転翼の定速回転を指示しているのに対して、前記回転速度の測定値が減少していることの少なくとも何れかが検出される状態の継続状況に基づいて、前記回転翼への着霜の有無を判定する。前記運転制御部は、前記回転翼への着霜ありと判定されることを含む所定の条件が満たされる場合に、前記回転翼の除霜処理を行う。前記着霜情報記録部は、前記回転翼への着霜ありと判定された場合、前記回転翼への着霜を示す着霜情報を記録する。前記着霜報知部は、前記着霜情報に基づいて、所定時間内における前記回転翼への着霜が所定回数を超えていると判定した場合、前記回転翼への着霜が頻発していることを報知する。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1】実施形態の冷蔵庫を示す正面図。
図2図1中に示された冷蔵庫のF3-F3線に沿う断面図。
図3】実施形態の送風機の外形を示す図。
図4】実施形態の制御部の構成の一部を示すブロック図。
図5】実施形態の運転制御部による送風機の制御の例を示す図。
図6】実施形態の直流電動機の特性の例を示すグラフ。
図7】実施形態の回転翼への着霜による回転速度の低下の例を示す図。
図8】実施形態の閾値変更部による回転翼の回転速度の下限閾値の変更の例を示すグラフ。
図9】実施形態の制御部が送風機の運転を制御する処理手順の例を示すフローチャート。
図10】実施形態の制御部が送風機の運転を制御する処理手順の例を示すフローチャート。
図11】実施形態の制御部が制御指令値を更新する処理手順の例を示すフローチャート。
図12】実施形態の着霜判定部が、回転翼への着霜の有無を判定する処理手順の例を示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、実施形態の冷蔵庫を、図面を参照して説明する。以下の説明では、同一または類似の機能を有する構成に同一の符号を付す。そして、それら構成の重複する説明は省略する場合がある。「XXに基づく」とは、「少なくともXXに基づく」ことを意味し、XXに加えて別の要素に基づく場合も含み得る。「XXに基づく」とは、XXを直接に用いる場合に限定されず、XXに対して演算や加工が行われたものに基づく場合も含み得る。「XXまたはYY」とは、XXとYYのうちいずれか一方の場合に限定されず、XXとYYの両方の場合も含み得る。これは選択的要素が3つ以上の場合も同様である。「XX」および「YY」は、任意の要素(例えば任意の情報)である。
【0008】
図1は、冷蔵庫100を示す正面図である。冷蔵庫100は、例えば、筐体1、冷蔵室扉2a、野菜室扉4a、製氷室扉5a、小冷凍室扉6a、大冷凍室扉7a、冷蔵室扉開閉検出部2b、野菜室扉開閉検出部4b、製氷室扉開閉検出部5b、小冷凍室扉開閉検出部6b、大冷凍室扉開閉検出部7b、および入出力装置8を備える。
【0009】
筐体1は、上壁1a、下壁1b、左の側壁1c、右の側壁1d、および後壁1e(図2参照)を有し、前面が開放された箱状に形成されている。筐体1は、例えば、筐体1の内面を形成する内箱と、筐体1の外面を形成する外箱と、内箱と外箱との間に設けられた発泡断熱材とを含み、断熱性を有する。筐体1の内部には、筐体1の内部を後述する複数の貯蔵室に仕切る複数の仕切部1f、1gおよび1hが設けられている。
【0010】
筐体1は、複数の貯蔵室を含む。複数の貯蔵室は、例えば、冷蔵室2、チルド室3、野菜室4、製氷室5、小冷凍室6、および大冷凍室7を含む。本実施形態では、最上部に冷蔵室2が配置され、冷蔵室2の下方に野菜室4が配置され、野菜室4の下方に製氷室5および小冷凍室6が配置され、製氷室5および小冷凍室6の下方に大冷凍室7が配置されている。チルド室3は、冷蔵室2の内部に設けられ、冷蔵室2の他領域に対して棚や蓋などにより少なくとも部分的に区画されている。
【0011】
複数の貯蔵室の開口は、それぞれ扉によって開閉可能に閉じられる。冷蔵室2の開口は、開口の左右に設けられた冷蔵室扉2aによって開閉可能に閉じられる。野菜室4の開口は、野菜室扉4aによって開閉可能に閉じられる。製氷室5の開口は、製氷室扉5aによって開閉可能に閉じられる。小冷凍室6の開口は、小冷凍室扉6aによって開閉可能に閉じられる。大冷凍室7の開口は、大冷凍室扉7aによって開閉可能に閉じられる。
このように、冷蔵室扉2a、野菜室扉4a、製氷室扉5a、小冷凍室扉6a、および大冷凍室扉7aは、貯蔵室の扉の例に該当する。
【0012】
扉開閉検出部は、各扉に対応する位置に設けられ、各扉の開閉を検出する。扉開閉検出部が、扉の閉時に押されて閉(ON)になる押釦スイッチを含んで構成され、この押釦スイッチの開閉によって扉の開閉を検出するようにしてもよい。ただし、扉開閉検出部の構成はこれに限定されず、扉の開閉を検出可能ないろいろな構成とすることができる。
【0013】
冷蔵室扉開閉検出部2bは、冷蔵室扉2aの開閉を検出する。野菜室扉開閉検出部4bは、野菜室扉4aの開閉を検出する。製氷室扉開閉検出部5bは、製氷室扉5aの開閉を検出する。小冷凍室扉開閉検出部6bは、小冷凍室扉6aの開閉を検出する。大冷凍室扉開閉検出部7bは、大冷凍室扉7aの開閉を検出する。
このように、冷蔵室扉開閉検出部2b、野菜室扉開閉検出部4b、製氷室扉開閉検出部5b、小冷凍室扉開閉検出部6b、および大冷凍室扉開閉検出部7bは、扉開閉検出部の例に該当する。
【0014】
入出力装置8は、筐体1または扉に設けられている。入出力装置8は、ユーザ(冷蔵庫100の使用者)に対する報知を行い、また、ユーザ操作を受け付ける。入出力装置8の構成は特定の構成に限定されない。
例えば、入出力装置8が、表示装置(Display)および拡声器(Speaker)を含んで構成され、画像の表示および音声の出力、またはこれらの何れか一方によってユーザに対する報知を行うようにしてもよい。また、入出力装置8が、表示装置の表示画面に設けられ、指等によるユーザ操作を検出するタッチセンサ(Touch Sensor)を含んで構成されていてもよい。
【0015】
あるいは、入出力装置8が、LED(Light Emitting Diode)等による表示灯を備え、表示灯の点灯または消灯によってユーザに対する報知を行うようにしてもよい。また、入出力装置8が、押釦スイッチを含んで構成され、押釦スイッチの押下によるユーザ操作を受け付けるようにしてもよい。
【0016】
図2は、図1中に示された冷蔵庫100のF3-F3線に沿う断面図である。冷蔵庫100は、図1に示す各部に加えて、図2に示す送風機9、冷蔵室温度測定部10、冷凍室温度測定部11、外気温測定部12、湿度測定部13、冷気流通調整部14、冷却器15、圧縮機16、制御部17、除霜用加熱器(Defrost Heater)18、および無線通信部19を備える。
【0017】
圧縮機16は、冷媒を圧縮する。冷媒は、気体の状態で圧縮機16に流入して圧縮された後、筐体1の外部の空気との熱交換によって冷却され液化される。液化された冷媒は、冷却器15へ流入する。筐体1の外部の空気を外気とも称する。
冷却器15は、筐体1内に設けられる。冷却器15は、筐体1の内部の空気を冷却する。具体的には、冷却器15に流入した冷媒が気化する。冷媒が気化する際に冷却器15の周囲の空気(筐体1の内部の空気)から気化熱を奪うことで、冷却器15の周囲の空気を冷却する。
【0018】
送風機9は、冷却器15によって冷却された空気を送風する。冷却器15によって冷却された空気を冷気とも称する。
図3は、送風機9の外形を示す図である。送風機9は、例えば、直流電動機(DC Motor)91と回転翼(Propeller)92とを含んで構成される。回転翼92は、直流電動機91の回転軸を回転軸として回転可能に設けられている。直流電動機91は、電力の供給を受けて直流電動機91自らが回転することで、回転翼92を回転させる。
以下では、直流電動機91の回転速度と回転翼92の回転速度とが同じであるものとし、直流電動機91の回転速度を制御することと、回転翼92の回転速度を制御することとを同一に扱う。
【0019】
ただし、直流電動機91の回転軸と回転翼92の回転軸とが異なっていてもよい。また、直流電動機91の回転速度と回転翼92の回転速度とが異なっていてもよい。例えば、直流電動機91の回転軸と回転翼92の回転軸との間に歯車(Gear)が設けられ、直流電動機91が生成する回転力が歯車を通じて回転翼92へ伝達されるようになっていてもよい。
【0020】
除霜用加熱器18は、送風機9および冷却器15、またはこれらのうち何れか一方を除霜する。具体的には、送風機9および冷却器15、またはこれらのうち何れか一方に着霜した場合に、除霜用加熱器18が制御部17の制御に従って加熱することで、除霜用加熱器18の周囲の空気を加熱し、この空気の熱によって送風機9および冷却器15、またはこれらのうち何れか一方を除霜する。
【0021】
冷気流通調整部14は、冷気の流路に設けられて冷気の流通を調整する。図2の例では、冷気流通調整部14は、製氷室5と野菜室4との間に設けられ、冷凍側から冷蔵側への冷気の流量を調整する。ここでいう冷凍側は、製氷室5と、小冷凍室6と、大冷凍室7とを含む、0度以下に冷却される空間である。冷蔵側は、冷蔵室2と、チルド室3と、野菜室4とを含む、0度よりも高い温度または0度に近い温度に冷却される空間である。
例えば、冷気流通調整部14が遮断弁を含んで構成され、遮断弁が開いている時間と閉じている時間との割合によって冷気の流量を調整するようにしてもよい。
冷気流通調整部14は、ダンパー(Damper)とも称される。
【0022】
冷蔵室温度測定部10は、冷蔵室2内の空気の温度を測定する。冷凍室温度測定部11は、大冷凍室7内の空気の温度を測定する。外気温測定部12は、外気の温度を測定する。冷蔵室温度測定部10と、冷凍室温度測定部11と、外気温測定部12とを総称して温度測定部とも表記する。
湿度測定部13は、外気の湿度を測定する。
【0023】
無線通信部19は、他の装置(冷蔵庫100以外の装置)と通信を行う。例えば、無線通信部19が、ユーザの所持するスマートフォン(Smartphone)と通信を行って、各種情報を送信し、また、ユーザ操作による指示を受信するようにしてもよい。
制御部17は、冷蔵庫100の各部の状態情報を取得し、冷蔵庫100の各部を制御する。ここでいう、ある部分の状態情報は、その部分の状態を示す情報である。制御部17は、例えばマイクロコンピュータ(Microcomputer)などのコンピュータ(Computer)を用いて構成される。あるいは、制御部17が、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、PLD(Programmable Logic Device)、またはFPGA(Field Programmable Gate Array)を用いて構成されるなど、制御部17専用に設計されたハードウェアを用いて構成されていてもよい。
記憶部20は、各種情報を記憶する。記憶部20は、例えば不揮発性の記憶素子(Memory Device)を用いて構成される。記憶部20が、制御部17の一部として構成されていてもよいし、制御部17の外部の構成となっていてもよい。
【0024】
図4は、制御部17の構成の一部を示すブロック図である。制御部17は、例えば、運転制御部171、着霜判定部172、着霜情報記録部173、扉開閉情報記録部174、報知制御部175、閾値変更部176、および外気温・湿度情報記録部177を備える。
また、制御部17は、入出力装置8が受け付けたユーザ操作の情報を取得し、入出力装置8を制御して報知を行わせる。また、制御部17は、冷蔵室扉開閉検出部2b、野菜室扉開閉検出部4b、製氷室扉開閉検出部5b、小冷凍室扉開閉検出部6b、および大冷凍室扉開閉検出部7bの各々から、扉の開閉状況の情報を取得する。また、制御部17は、冷蔵室温度測定部10、冷凍室温度測定部11、および外気温測定部12の各々から温度の測定値を取得する。また、制御部17は、湿度測定部13から湿度の測定値を取得する。また、制御部17は、無線通信部19が受信する情報を取得し、無線通信部19を制御して各種情報を送信させる。また、制御部17は、記憶部20に各種情報を書き込み、記憶部20が記憶する各種情報を読み出す。また、制御部17は、送風機9、冷気流通調整部14、圧縮機16、および除霜用加熱器18の各々を制御する。また、制御部17は、送風機9、および圧縮機16の各々の状態情報を取得する。
【0025】
運転制御部171は、冷蔵庫100の各部を制御する。
図5は、運転制御部171による送風機9の制御の例を示す図である。運転制御部171は、例えば、信号変換部271、減算器272、速度補正部273、および矩形波計数部274を備える。送風機9は、例えば、図3に示す直流電動機91および回転翼92に加えて、図5に示す電源回路93および送風機駆動集積回路94を備える。送風機駆動集積回路94は、例えば、速度設定部95および矩形波生成部96を備える。
【0026】
運転制御部171は、直流電動機91の回転速度を帰還制御(Feedback Control)にて制御する。図5の例では、運転制御部171は、送風機9に対する制御信号をPWM(Pulse Width Modulation)信号にて出力している。また、送風機9は、直流電動機91の回転速度の測定値をFG(Frequency Generator)信号にて出力している。
【0027】
PWM信号は、信号値として「高」と「低」との二値を矩形波(Pulse Wave)で示す信号である。PWM信号によれば、0から1までの範囲([0,1])の制御指令値を、信号値が「高」となっている時間の割合で示すことができる。例えば、PWM信号の値を「高」のまま維持することで、制御指令値1(すなわち、100%)を表すことができる。また、PWM信号の値を「低」のまま維持することで、制御指令値0(すなわち、0%)を表すことができる。PWM信号を用いる制御は、PWM制御と称される。
【0028】
PWM信号の値が「高」となっている時間の割合を、デューティー比またはデューティーサイクル(Duty Cycle)とも称する。例えば、PWM信号の値が「高」のまま維持されている場合、デューティー比は100%である。PWM信号の値が「低」のまま維持されている場合、デューティー比は0%である。
【0029】
図5の例では、PWM信号は、定常状態における直流電動機91の回転速度の指令値を表す信号として用いられる。運転制御部171は、PWM信号の値を「高」のまま維持することで、直流電動機91の定格最大回転速度を表し、PWM信号の値を「低」のまま維持することで、直流電動機91の停止(回転速度0)を表す。そして、運転制御部171は、PWM信号の値が「高」となっている時間の割合で、直流電動機91の回転速度の指令値を、定格最大回転速度に対する割合にて表す。
【0030】
FG信号は、回転速度を単位時間あたりの矩形波の個数で表す信号である。図5の例では、送風機9は、直流電動機91が1回転する毎に2つの矩形波を、FG信号として出力する。これにより、送風機9は、直流電動機91の回転速度を単位時間あたりの矩形波の個数で表すFG信号を出力する。例えば、1秒あたりのFG信号の矩形波の個数が40個であった場合、直流電動機91が1秒間に20回転することを示しており、回転速度は1200rpm(Revolutions Per Minute)である。
ただし、運転制御部171が出力する制御信号は、特定の形式のものに限定されない。送風機9が出力する直流電動機91の回転数の測定値を示す信号も、特定の形式のものに限定されない。
【0031】
信号変換部271は、直流電動機91に対する目標回転速度の入力を受けて、減算器272が演算可能な形式のデータに変換する。
信号変換部271に入力される目標回転速度を表すデータを「Fcom」と表記する。Fcomは、例えば1分あたりの回転数(rpm)で表される。
また、信号変換部271が出力する目標回転速度を表すデータを「Ncom」と表記する。Ncomは、例えば、FG信号に含まれる矩形波の単位時間あたりの個数の目標値で表される。
【0032】
矩形波計数部274は、送風機9からのFG信号の個数を単位時間毎に計数する。矩形波計数部274による計数結果を示すデータを「Nret」と表記する。Nretは、直流電動機91の単位時間あたりの回転数の測定値を示す。
減算器272は、Ncomの値からNretの値を減算する。減算器272による減算結果を「ΔN」と表記する。ΔNは、直流電動機91の回転速度の目標値から測定値を減算した差を表す。
【0033】
速度補正部273は、ΔNに基づいてPWM信号を生成する。例えば、速度補正部273は、PWM信号の値が「高」となる時間の割合を、ΔNの値に所定の係数を乗算した割合だけ変化させる。
ΔNが正の値をとる場合、直流電動機91の回転速度の測定値が目標値よりも小さいことを示している。この場合、速度補正部273は、PWM信号の値が「高」となる時間の割合を、ΔNの大きさに比例した割合だけ増加させる。ただし、PWM信号の値が「高」のまま維持されている(デューティー比100%)場合、制御指令値をそれ以上増加させることはできない。PWM信号の値が「高」のまま維持されている場合、ΔNが正の値をとるときでも、速度補正部273は、PWM信号の値を「高」のまま維持する。
【0034】
ΔNが負の値をとる場合、直流電動機91の回転速度の測定値が目標値よりも大きいことを示している。この場合、速度補正部273は、PWM信号の値が「高」となる時間の割合を、ΔNの大きさに比例した割合だけ減少させる。ただし、直流電動機91を定格最小回転速度よりも小さい回転速度で運転することは適切でない。このため、PWM信号が直流電動機91の定格最小回転速度を表す場合、ΔNが負の値をとるときでも、速度補正部273は、PWM信号の値が「高」となる時間の割合を、定格最小回転速度を表す割合のまま維持する。
【0035】
電源回路93は、運転制御部171からの電力の供給指示を受け、送風機駆動集積回路94向けの電圧の電力を送風機駆動集積回路94へ出力する。電源回路93の構成は、特定のものに限定されない。例えば、電源回路93がFET(Field Effect Transistor)を用いて構成されていてもよいが、これに限定されない。
電源回路93は、例えば、12ボルト(V)または14ボルトの電源電圧など、送風機駆動集積回路94の定格に応じた電力を供給する。
【0036】
送風機駆動集積回路94は、運転制御部171からの制御信号に基づいて直流電動機91を制御し、また、直流電動機91の回転速度を測定する。送風機駆動集積回路94が、1つの集積回路(Integrated Circuit;IC)に集約されて設けられていてもよい。図5の例で送風機駆動集積回路94は、電源回路93から電力の供給を受けている。
速度設定部95は、直流電動機91の回転速度をPWM信号が示す回転速度に設定する。例えば、速度設定部95は、直流電動機91に供給する電力の電圧値を、PWM信号の値が「高」となる時間の割合に応じた値に設定する。
【0037】
矩形波生成部96は、直流電動機91の回転速度を測定し、測定結果をFG信号にて出力する。例えば送風機9について上述したように、矩形波生成部96は、直流電動機91が1回転する毎に2つの矩形波を、FG信号として出力する。これにより、矩形波生成部96は、直流電動機91の回転速度を単位時間あたりの矩形波の個数で表すFG信号を出力する。
【0038】
図6は、直流電動機91の特性の例を示すグラフである。図6は、速度補正部273が出力するPWM信号におけるデューティー比と、定常状態における直流電動機91の回転速度との関係を示している。図6のグラフの横軸は、デューティー比を単位%で示す。縦軸は、直流電動機91の回転速度を単位rpmで示す。
【0039】
図6は、直流電動機91に定格最小回転速度が定められている場合の例を示しており、グラフの直線の部分(線L11)が、定格最小回転速度から定格最大回転速度までの範囲における、デューティー比と回転速度との関係を示している。デューティー比に応じて回転速度が単調増加している。
【0040】
デューティー比100%のときの回転速度が定格最大回転速度を示しており、2600rpmとなっている。また、グラフの直線の部分(線L11)と破線の部分(線L12)との切り替わりの箇所が定格最小回転速度を示している。デューティー比35%のときに定格最小回転速度1000rpmとなっている。
【0041】
図4に示す制御部17の構成で、着霜判定部172は、回転翼92への着霜の有無を判定する。ここで、回転翼92に着霜した場合、霜の重みによって回転翼92の回転速度が低下する。
送風機9の回転翼92の回転速度の目標値が一定である場合、回転翼92に着霜に対して回転翼92の回転速度を一定に保つために、運転制御部171が、送風機9に対する帰還制御の制御信号にて回転翼92の回転速度の増加を指示することが考えられる。例えば図5において、Ncomが一定の回転速度を指示しているのに対し、回転翼92への着霜によって直流電動機91の回転速度が低下することが考えられる。この場合、直流電動機91の回転速度の低下によってΔNの値が大きくなることで、速度補正部273は、PWM信号のデューティー比を増加させる。
【0042】
また、運転制御部171が、回転翼92の定速回転を指示する制御信号を出力している場合、回転翼92への着霜によって回転翼92の回転速度が低下することが考えられる。例えば図5において、速度補正部273がデューティー比100%のPWM信号を出力している場合、回転翼92への着霜によって直流電動機91の回転速度が低下することが考えられる。この回転速度の低下は、FG信号における単位時間あたりの矩形波の個数が減少することで表される。
【0043】
そこで、着霜判定部172は、送風機9の回転翼92の回転速度の目標値が一定であるのに対して、送風機9に対する帰還制御の制御信号が回転翼92の回転速度の増加を指示していること、または、制御信号が回転翼92の定速回転を指示しているのに対して、回転速度の測定値が減少していることの少なくとも何れかが検出される状態の継続状況に基づいて、回転翼92への着霜の有無を判定する。着霜ありと判定することを、着霜を検出するとも称する。
【0044】
図7は、回転翼92への着霜による回転速度の低下の例を示す図である。
図7の例で、0分から7分までの時間帯では、回転翼92に着霜しておらず、送風機9の状態は通常状態となっている。通常状態では、運転制御部171は、PWM信号におけるデューティー比を80.0%に設定しており、直流電動機91は、目標回転速度として設定される回転速度2200rpmで回転している。
【0045】
一方、時間8分以降は、回転翼92に着霜している。8分から31分までの時間帯では、運転制御部171が、PWM信号におけるデューティー比を増加させることで、目標回転速度である2200rpmを維持している。
また、着霜判定部172は、16分に回転翼92への着霜を検出している。図7は、着霜が検出された後も、運転制御部171が、着霜が検出される前と同じ目標回転速度を維持する場合の例を示している。
【0046】
32分にデューティー比が100%に達しており、運転制御部171は、それ以上デューティー比を増加させることができない。このため、32分以降の時間帯では、運転制御部171はデューティー比100%を維持している。これに対して、着霜によって回転翼92の回転速度が低下している。
【0047】
図7に例示されるように、回転翼92への着霜の場合の変化は、比較的緩やかに時間をかけて現れる。8分から31分の時間帯に例示される、一定の目標回転速度を維持するために運転制御部171がデューティー比を増加させる場合、デューティー比の増加は比較的緩やかである。32分以降の時間帯に例示される、デューティー比が一定であるのに対して回転翼92の回転速度が低下する場合、回転速度の低下は比較的緩やかである。
【0048】
このことから、着霜判定部172は、上記のような変化が一定の時間以上継続して観測することで、回転翼92への着霜を、送風機9の故障による回転速度の異常と区別して検出することができる。
例えば、着霜判定部172は、送風機9の回転翼92の回転速度の目標値が一定であるのに対して、送風機9に対する帰還制御の制御信号が回転翼92の回転速度の増加を指示していること、または、制御信号が回転翼92の定速回転を指示しているのに対して、回転速度の測定値が減少していることの少なくとも何れかが検出される状態が、所定の時間以上継続する場合に、回転翼92への着霜の有無を判定する。
【0049】
着霜情報記録部173は、着霜判定部172が回転翼92への着霜ありと判定した場合、回転翼92への着霜を示す着霜情報を記録する。ここでいう情報を記録することは、記憶部20にその情報を記憶させることであってもよい。
例えば、着霜情報記録部173は、回転翼92への着霜が検出されたことを示すメッセージと、着霜が検出された時刻と、図5のΔNなど着霜の程度を示す指標値とが紐付けられた着霜情報を生成し、記憶部20に記憶させる。回転翼92への着霜が検出されている間、例えば1分毎など一定時間毎に、着霜情報記録部173が、着霜情報を生成して記憶部20に記憶させるようにしてもよい。
あるいは、着霜情報記録部173が、回転翼92への着霜の検出開始時刻、および、着霜が検出されなくなるまでの時間を含む着霜情報を生成し、記憶部20に記憶させるようにしてもよい。
【0050】
扉開閉情報記録部174は、扉開閉検出部の検出結果に基づいて、扉の開閉状況を示す扉開閉情報を記録する。
例えば、扉開閉情報記録部174は、冷蔵室扉2a、野菜室扉4a、製氷室扉5a、小冷凍室扉6a、または、大冷凍室扉7aの何れかが開かれたことが検出される毎に、扉開閉情報を生成し、記憶部20に記憶させる。扉開閉情報記録部174が、開かれた扉の名称と、扉が開かれたことが検出されたことを示すメッセージと、扉が開かれた時刻と、扉が開かれてから閉じられるまでの時間とが紐付けられた着霜情報を生成し、記憶部20に記憶させるようにしてもよい。
扉が開かれることを、扉が開くとも表記する。
【0051】
外気温・湿度情報記録部177は、扉開閉時(特に、扉が開かれたとき)に外気温および湿度の情報を記録する。外気温および湿度の情報を、外気温・湿度情報とも称する。外気温・湿度情報記録部177が、外気温測定部12にて測定した外気温(℃)と、湿度測定部13にて測定した外気の湿度(%)とを、扉が開かれたことを示す情報と共に記憶部20に記憶させるようにしてもよい。
【0052】
外気温が高いことは、その空気が水分を保持する能力が高いことを示す。また、湿度が高いことは、その空気に含まれる水分の飽和度が高いことを意味する。したがって、外気温・湿度情報記録部177は、扉が開かれたときの外気温・湿度情報を記録することで、扉が開かれたときに冷蔵庫内に流入する空気の情報(特に、水分量に関する情報)を記録することができる。
【0053】
報知制御部175は、入出力装置8を制御して報知を行わせる。
例えば、報知制御部175は、着霜情報に基づいて、回転翼92への着霜が所定の条件以上に頻発しているか否かを判定する。具体的には、報知制御部175は、所定時間内における回転翼92への着霜が所定回数を超えているか否かを判定する。
回転翼92への着霜が所定の条件以上に頻発していると判定した場合、すなわち、所定時間内における回転翼92への着霜が所定回数を超えていると判定した場合、報知制御部175は、回転翼92への着霜が頻発していることを入出力装置8に報知させる。
【0054】
この場合の入出力装置8は、着霜報知部の例に該当する。入出力装置8が、回転翼92への着霜が頻発していることを示すメッセージの表示または音声出力、あるいはそれら両方によって報知を行うようにしてもよい。
報知を受けたユーザは、着霜が頻発していることを把握することができ、例えば、扉を開く回数を減らすなどの対策を講じることができる。
【0055】
報知制御部175が、回転翼92への着霜が頻発していることの報知を、入出力装置8に加えて、あるいは代えて、無線通信部19に行わせるようにしてもよい。この場合の無線通信部19は、着霜報知部の例に該当する。
例えば、無線通信部19が、回転翼92への着霜が頻発していることを示す情報を、冷蔵庫100の保守を行う事務所に設定されたサーバ装置、または、保守作業員が所持するスマートフォン、あるいはこれらの両方に送信するようにしてもよい。報知を受けた保守作業員は、着霜が頻発していることを把握することができ、例えば、点検作業を行うことをユーザに提案するなどの対策を講じることができる。
【0056】
また、報知制御部175は、回転翼92への着霜ありと判定され、かつ、扉開閉情報に基づいて、扉が開いた回数または扉が開いていた時間の少なくとも何れかが所定の条件以上に多いまたは長いと判定した場合、扉を開くことによる着霜の可能性を、入出力装置8に報知させる。
【0057】
例えば、着霜判定部172が、回転翼92への着霜ありと判定した場合、報知制御部175は、記憶部20から扉開閉情報を読み出して、扉が開いた回数を計数し、また、扉が開いていた時間を算出する。そして、報知制御部175は、扉が開いた回数が所定の条件以上に多いか否か、および、扉が開いていた時間が所定の条件以上に長いか否かを判定する。扉が開いた回数が所定の条件以上に多いこと、または、扉が開いていた時間が所定の条件以上に長いことの少なくとも何れかに該当すると判定した場合、報知制御部175は、ユーザが扉を開くことによって着霜が発生している可能性があることを入出力装置8に報知させる。
【0058】
この場合の、報知制御部175と入出力装置8との組み合わせは、着霜要因報知部の例に該当する。入出力装置8が、ユーザが扉を開くことによって着霜が発生している可能性があることを示すメッセージの表示または音声出力、あるいはそれら両方によって報知を行うようにしてもよい。
報知を受けたユーザは、扉を開くことによって着霜が発生している可能性があることを把握することができ、例えば、扉を開く回数を減らすなどの対策を講じることができる。
【0059】
報知制御部175が、扉を開くことによる着霜の可能性の報知を、入出力装置8に加えて、あるいは代えて、無線通信部19に行わせるようにしてもよい。この場合の、報知制御部175と無線通信部19との組み合わせは、着霜要因報知部の例に該当する。
例えば、無線通信部19が、ユーザが扉を開くことによって着霜が発生している可能性があることを示す情報を、冷蔵庫100の保守を行う事務所に設定されたサーバ装置、または、保守作業員が所持するスマートフォン、あるいはこれらの両方に送信するようにしてもよい。報知を受けた保守作業員は、ユーザが扉を開くことによって着霜が発生している可能性があることを把握することができ、例えば、扉を開く回数を減らすような冷蔵庫100の使い方をユーザに提案するなどの対策を講じることができる。
【0060】
ここでの、扉が開いた回数が所定条件以上に多いことは、個々の扉が開いた回数の、全ての扉についての合計が所定の閾値以上であることであってもよいが、これに限定されない。扉が開いていた時間が所定の条件以上に長いことは、個々の扉が開いていた時間の、全ての扉についての合計が所定の閾値以上であることであってもよいが、これに限定されない。
【0061】
回転翼92への着霜ありと判定された場合に、報知制御部175が、扉開閉情報に加えて、あるいは代えて、扉開閉時の外気温・湿度情報に基づいて、扉を開くことによる着霜の可能性を判定するようにしてもよい。
例えば、報知制御部175が、外気温および外気の湿度を所定の水分量算出式に適用して、扉が開かれたときに庫内(貯蔵室内)に流入する空気に含まれる推定水分量を算出する。そして、報知制御部175は、推定水分量が所定の閾値以上か否かを判定するなど、推定水分量が所定条件の水分量以上か否かを判定する。
推定水分量が所定条件の水分量以上であると判定した場合、上記のように、報知制御部175は、入出力装置8または無線通信部19、あるいはこれら両方に、扉を開くことによる着霜の可能性の報知を行わせる。
【0062】
また、報知制御部175は、回転翼92への着霜ありと判定され、かつ、扉開閉情報に基づいて、扉が開いた回数および扉が開いていた時間の何れも所定の条件以下であると判定した場合、冷蔵庫100の故障による着霜の可能性を、入出力装置8に報知させる。
例えば、着霜判定部172が、回転翼92への着霜ありと判定した場合、報知制御部175は、記憶部20から扉開閉情報を読み出して、扉が開いた回数を計数し、また、扉が開いていた時間を算出する。そして、報知制御部175は、扉が開いた回数が所定の条件以下であるか否か、および、扉が開いていた時間が所定の条件以下であるか否かを判定する。扉が開いた回数および扉が開いていた時間の何れも所定の条件以下であると判定した場合、報知制御部175は、冷蔵庫100の故障によって着霜が発生している可能性があることを入出力装置8に報知させる。
【0063】
この場合の、報知制御部175と入出力装置8との組み合わせは、故障可能性報知部の例に該当する。入出力装置8が、冷蔵庫100の故障によって着霜が発生している可能性があることを示すメッセージの表示または音声出力、あるいはそれら両方によって報知を行うようにしてもよい。
報知を受けたユーザは、冷蔵庫100の故障によって着霜が発生している可能性があることを把握することができ、例えば、業者に修理を依頼するなどの対策を講じることができる。
【0064】
報知制御部175が、冷蔵庫100の故障による着霜の可能性の報知を、入出力装置8に加えて、あるいは代えて、無線通信部19に行わせるようにしてもよい。この場合の、報知制御部175と無線通信部19との組み合わせは、故障可能性報知部の例に該当する。
例えば、無線通信部19が、冷蔵庫100の故障によって着霜が発生している可能性があることを示す情報を、冷蔵庫100の保守を行う事務所に設定されたサーバ装置、または、保守作業員が所持するスマートフォン、あるいはこれらの両方に送信するようにしてもよい。報知を受けた保守作業員は、冷蔵庫100の故障によって着霜が発生している可能性があることを把握することができ、例えば、点検作業および修理を行うことをユーザに提案するなどの対策を講じることができる。
【0065】
ここでの、扉が開いた回数が所定条件以下であること、個々の扉が開いた回数の、全ての扉についての合計が所定の閾値以下であることであってもよいが、これに限定されない。扉が開いていた時間が所定の条件以下であることは、個々の扉が開いていた時間の、全ての扉についての合計が所定の閾値以下であることであってもよいが、これに限定されない。
【0066】
回転翼92への着霜ありと判定された場合に、報知制御部175が、扉開閉情報に加えて、あるいは代えて、扉開閉時の外気温・湿度情報に基づいて、冷蔵庫100の故障による着霜の可能性を判定するようにしてもよい。
例えば、報知制御部175が、上記のように、外気温および外気の湿度を所定の水分量算出式に適用して、扉が開かれたときに庫内(貯蔵室内)に流入する空気に含まれる推定水分量を算出する。そして、報知制御部175は、推定水分量が所定の閾値以下か否かを判定するなど、推定水分量が所定条件の水分量以下か否かを判定する。冷蔵庫100の故障による着霜の可能性の判定の場合の所定条件は、上述した、扉を開くことによる着霜の可能性の判定の場合の所定条件と同じであってもよいし、異なっていてもよい。
推定水分量が所定条件の水分量以下であると判定した場合、上記のように、報知制御部175は、入出力装置8または無線通信部19、あるいはこれら両方に、冷蔵庫100の故障による着霜の可能性の報知を行わせる。
【0067】
報知制御部175が、扉が開いた回数が所定条件以下であるか否かの判定として、上述した、扉が開いた回数が所定の条件以上に多いか否かの判定を行うようにしてもよい。この場合、報知制御部175が、扉が開いた回数が所定の条件以上に多くない、すなわち、扉が開いた回数が所定の条件未満であると判定することで、扉が開いた回数が所定条件以下であると判定するようにしてもよい。
【0068】
また、報知制御部175が、扉が開いていた時間が所定条件以下であるか否かの判定として、上述した、扉が開いていた時間が所定の条件以上に多いか否かの判定を行うようにしてもよい。この場合、報知制御部175が、扉が開いていた時間が所定の条件以上に長くない、すなわち、扉が開いていた時間が所定の条件未満であると判定することで、扉が開いていた時間が所定条件以下であると判定するようにしてもよい。
【0069】
送風機9の安定動作(帰還制御の正常性)を判定するために、単位時間当たりの目標回転速度Ncomを基準にして、回転翼92の回転速度の上限閾値および下限閾値が設けられている。運転制御部171は、閾値外の回転速度での送風機9の動作が一定時間以上継続しないか監視することで、送風機9の動作異常を検出することができる。
【0070】
閾値変更部176は、回転翼92の回転速度の下限閾値を変更可能に設定する。特に、閾値変更部176は、回転翼92への着霜ありと判定された場合、回転翼92の回転速度の下限閾値を、回転翼92への着霜なしと判定された場合の下限閾値よりも小さい値に変更する。この回転翼92の回転速度の下限閾値は、回転翼92の回転速度の異常発生の判定に用いられる。
【0071】
図8は、閾値変更部176による回転翼92の回転速度の下限閾値の変更の例を示すグラフである。図8のグラフの横軸は、時刻を示す。縦軸は、直流電動機91の回転速度を示す。図8では、直流電動機91の回転速度を、FG信号における単位時間あたりの矩形波の個数で示している。
【0072】
線L21は、直流電動機91の回転速度を示す。具体的には、線L21は、図5のNretを示す。線L22は、直流電動機91の回転速度の上限閾値を示す。線L23は、直流電動機91の回転速度の下限閾値を示す。
図8の例で着霜判定部172は、時刻T1に、回転翼92への着霜ありと判定している。時刻T1よりも前の時刻では、閾値変更部176は、線L22で示される上限閾値をNuに設定し、線L23で示される下限閾値をNl1に設定している。
【0073】
図8の例で、閾値変更部176は、上限閾値、下限閾値の何れも、通常運転時の回転速度の目標値としてのNcomからの余裕幅が同じ値Eになるように、上限閾値および下限閾値を設定している。すなわち、Nu-Ncom=E、Ncom-Nl1=Eとなっている。ただし、閾値変更部176が、上限閾値と下限閾値とでNcomからの余裕幅の大きさが異なるように、上限閾値および下限閾値を設定するようにしてもよい。
【0074】
着霜判定部172が回転翼92への着霜ありと判定すると、閾値変更部176は、線L23で示される下限閾値を、Nl1よりも小さいNl2に変更している。この場合の、Ncomからの余裕幅の大きさをPと表記している。すなわち、Ncom-Nl2=Pである。
時刻T1の後、時刻T2に、線L21で示される直流電動機91の回転速度が、回転翼92への着霜によってNcomから低下し始めている。図8の例では、直流電動機91の回転速度が一定の変化率で低下し、時刻T3に下限閾値Nl2に達している。
【0075】
Nl2の値は、Nl1より小さく、かつ、直流電動機91の定格最小回転速度以上となるいろいろな値とするこができる。例えば、Pの値が、Eの値の4倍になるようにしてもよい。あるいは、N12の値が直流電動機91の定格最小回転速度を示すようにしてもよい。
【0076】
運転制御部171が、回転翼92への着霜が検出されているか否かに応じて、直流電動機91の回転速度が下限閾値に達した場合の処理を変えるようにしてもよい。
着霜判定部172が回転翼92への着霜を検出しておらず、かつ、運転制御部171が、直流電動機91の回転速度が下限閾値以下となったことを検出した場合、運転制御部171が、直流電動機91の停止または再起動を行うようにしてもよい。直流電動機91の再起動によって異常が解消または軽減され、回転速度の目標値と測定値との誤差が小さくなる可能性がある。また、直流電動機91の再起動では異常が解消されない場合、直流電動機91を停止させて修理などの保守を待つことが考えられる。
【0077】
一方、回転翼92に着霜している場合、回転翼92を再起動のために一旦停止させても除霜されず、逆に、回転翼92が停止していることで霜の量が増加することが考えられる。
そこで、着霜判定部172が回転翼92への着霜を検出しており、かつ、運転制御部171が、直流電動機91の回転速度が下限閾値以下となったことを検出した場合、運転制御部171が、回転翼92の再起動は行わずに、回転翼92の除霜処理を行うようにしてもよい。
【0078】
除霜処理では、運転制御部171が、除霜用加熱器18を制御して除霜用加熱器18自らを加熱させる。これにより、除霜用加熱器18の周囲の空気が加熱される。加熱された空気が送風機9に到達して、回転翼92に付着している霜を溶かす。なお、除霜処理では、除霜用加熱器18が加熱した空気が貯蔵室に流入することによる貯蔵室の温度上昇をなるべく軽減するため、運転制御部171は、送風機9を停止させておく。
【0079】
除霜処理時に貯蔵室内の温度が上昇することに備えて、運転制御部171が、除霜処理の実施前に貯蔵室の予冷(Pre-cooling)を行うようにしてもよい。予冷では、運転制御部171が、送風機9を制御して回転翼92の回転速度を増加させる。これにより、冷却器15による冷気の貯蔵室への流入量が増加し、貯蔵室が冷却される。
【0080】
例えば、着霜判定部172が、回転翼92への着霜ありと判定した場合、運転制御部171は、貯蔵室に対して回転翼92の除霜処理に先立つ予冷を開始する。所定の時間が経過すると、運転制御部171は、予冷を終了して除霜処理を行う。
ここで、予冷の実行中でも回転翼92に付着する霜の量が増加して回転翼92の回転速度が低下する可能性がある。回転翼92の回転速度が低下して予冷に必要な回転速度を得られない場合、予冷を終了または短縮して回転翼92の除霜処理を行うことが考えられる。そこで、運転制御部171は、予冷の実行中に回転翼92の回転速度の測定値が回転速度の下限閾値以下に低下したと判定した場合、予冷を終了または短縮して回転翼92の除霜処理を行う。
【0081】
あるいは、運転制御部171が、予冷を行わずに除霜処理を行うようにしてもよい。その場合、運転制御部171が、回転翼92への着霜ありと判定された後も回転翼92への着霜ありと判定される前と同じ冷却制御を継続した後、除霜処理を行うようにしてもよい。
ここでいう同じ冷却制御を継続することは、回転翼92の回転速度の目標値が同じであることであってもよい。
運転制御部171が、除霜処理の開始前に、回転翼92への着霜ありと判定される前と同じ冷却制御を継続することで、貯蔵室の扉が開いて貯蔵室内の温度が一時的に上昇した場合に、扉が開く前の温度に戻すなど、貯蔵室内の温度の安定化を図ることができる。
【0082】
例えば、運転制御部171は、回転翼92への着霜ありと判定された場合、回転翼92への着霜ありと判定される前と同じ冷却制御を継続する。その後、運転制御部171は、回転速度の測定値が回転速度の下限閾値以下に低下したと判定した場合、回転翼92の除霜処理を行う。
【0083】
あるいは、運転制御部171が、回転翼92への着霜ありと判定された場合に、回転翼92への着霜ありと判定される前と同じ冷却制御の継続と、貯蔵室の予冷とを併用するようにしてもよい。
例えば、運転制御部171は、回転翼92への着霜ありと判定された場合、回転翼92への着霜ありと判定される前と同じ冷却制御を継続する。その後、運転制御部171は、回転速度の測定値がある予冷用閾値以下に低下したと判定した場合、貯蔵室に対して回転翼92の除霜処理に先立つ予冷を開始する。所定の時間が経過すると、運転制御部171は、予冷を終了して除霜処理を行う。あるいは、運転制御部171は、予冷の実行中に回転翼92の回転速度の測定値が回転速度の下限閾値以下に低下したと判定した場合、予冷を終了または短縮して回転翼92の除霜処理を行う。
【0084】
図9および図10は、制御部17が送風機9の運転を制御する処理手順の例を示すフローチャートである。制御部17は、例えば1秒毎など周期的に、図9および図10に示される処理を繰り返し実行する。
図9および図10に示される処理で、運転制御部171は、Ncomの値を取得する(ステップS101)。上述したように、Ncomは、直流電動機91の回転速度の目標値を示す。
【0085】
次に、運転制御部171は、Ncomの値が0か否かを判定する(ステップS102)。Ncomの値が0であることは、直流電動機91の停止を指示することを示す。
Ncomの値が0であると判定した場合(ステップS102:YES)、運転制御部171は、FLG_retryの値を0に設定する(ステップS141)。FLG_retryの値が1であることは、送風機9の再起動を行うことを示す。FLG_retryの値が0であることは、送風機9の再起動を行わないことを示す。
【0086】
次に、運転制御部171は、CNT_stopの値を0に設定する(ステップS142)。CNT_stopは、送風機9を再起動する際の待ち時間を計数する変数である。
次に、運転制御部171は、CNT_retryの値を0に設定する(ステップS161)。CNT_retryは、送風機9を再起動するか否かを決定するために、回転速度の異常状態の継続時間を計数する変数である。
【0087】
次に、運転制御部171は、DUTY_nextの値を0に設定する(ステップS162)。図9および図10に示される処理では、送風機9に対するPWM信号におけるデューティー比を示す変数として、DUTY_nowと、DUTY_nextとを用いる。DUTY_nowは、現在のデューティー比の設定値を示す。DUTY_nextは、次回のデューティー比の設定値を示す。デューティー比を0に設定することは、直流電動機91の停止を指示することに相当する。
【0088】
次に、運転制御部171は、DUTY_nowの値をDUTY_nextの値に設定する(ステップS163)。すなわち、運転制御部171は、DUTY_nextの値をDUTY_nowに代入する。
次に、運転制御部171は、DUTY_nowに示されるデューティー比のPWM信号を送風機9へ出力する(ステップS164)。これにより、運転制御部171は、直流電動機91の回転速度を制御する。
【0089】
次に、運転制御部171は、CNT_loopの値を1増加させる(ステップS165)。CNT_loopは、図9および図10に示される処理の実行回数を計数する変数である。CNT_loopは、図9および図10に示される処理を所定回繰り返す毎に、回転翼92に着霜しているか否かの判定を行うために用いられる。
【0090】
次に、運転制御部171は、CNT_loopの値が60か否かを判定する(ステップS166)。CNT_loopの値が60ではないと運転制御部171が判定した場合(ステップS166:NO)、制御部17は、図9および図10に示される処理を終了する。
【0091】
一方、CNT_loopの値が60であると運転制御部171が判定した場合(ステップS166:YES)、着霜判定部172は、回転翼92に着霜しているか否かを判定する(ステップS171)。
また、運転制御部171は、CNT_loopの値を0に設定する(ステップS172)。
ステップS172の後、制御部17は、図9および図10に示される処理を終了する。
【0092】
一方、ステップS102でNcomの値が0でないと判定した場合(ステップS102:NO)、運転制御部171は、FLG_defrost_propellerの値が1か0かを判定する(ステップS111)。FLG_defrost_propellerの値が1であることは、回転翼92の除霜処理を行うことを示す。FLG_defrost_propellerの値が0であることは、回転翼92の除霜処理を行わないことを示す。
【0093】
FLG_defrost_propellerの値が1であると運転制御部171が判定した場合(ステップS111:YES)、処理がステップS141へ進む。
一方、FLG_defrost_propellerの値が0であると運転制御部171が判定した場合(ステップS111:NO)、運転制御部171は、FLG_retryの値が1か0かを判定する(ステップS121)。
【0094】
FLG_retryの値が1であると判定した場合(ステップS121:YES)、運転制御部171は、CNT_stopの値がTM_stopの値よりも小さいか否かを判定する(ステップS131)。TM_stopは、CNT_stopの値の上限閾値を示す。運転制御部171は、送風機9の再起動の際、デューティー比を0にして送風機の停止を指示した後、TM_stop秒経過すると、Ncomに応じたデューティー比にして送風機9を動作させる。
【0095】
CNT_stopの値がTM_stopの値よりも小さいと判定した場合(ステップS131:YES)、運転制御部171は、CNT_stopの値を1増加させる(ステップS151)。
ステップS151の後、処理がステップS161へ進む。
一方、ステップS131で、CNT_stopの値がTM_stopの値以上であると運転制御部171が判定した場合(ステップS131:NO)、処理がステップS141へ進む。
【0096】
一方、ステップS121で、FLG_retryの値が0であると判定した場合(ステップS121:NO)、運転制御部171は、Nretの値を取得する(ステップS201)。上述したように、Nretの値は、直流電動機91の回転速度の測定値を示す。
次に、運転制御部171の減算器272は、diffの値を、Ncomの値からNretの値を減算した差に設定する。diffは、図5のΔNに相当する。
【0097】
次に、運転制御部171は、diffの値が-Eよりも大きいか否かを判定する(ステップS203)。ここでのEは、図8に示されるEと同一である。diffの値が-Eよりも大きいことは、Nretが、図8に示される閾値Nuよりも小さいことと同等である。
【0098】
diffの値が-Eよりも大きいと判定した場合(ステップS203:YES)、運転制御部171は、FLG_Propellerの値が0か1かを判定する(ステップS211)。FLG_Propellerの値が1であることは、回転翼92に着霜しているとの判定結果を示す。FLG_Propellerの値が0であることは、回転翼92に着霜していないとの判定結果を示す。
【0099】
FLG_Propellerの値が0であると判定した場合(ステップS211:YES)、運転制御部171は、diffの値がEよりも小さいか否かを判定する(ステップS221)。diffの値がEよりも小さいことは、Nretの値が、図8に示される閾値Nl1よりも大きいことと同等である。
【0100】
diffの値がEよりも小さいと判定した場合、(ステップS221:YES)、運転制御部171は、CNT_retryの値を0に設定する(ステップS251)。
次に、運転制御部171は、制御指令値を更新する処理を行う(ステップS271)。
ステップS271の後、処理がステップS163に遷移する。
【0101】
一方、ステップS203で、diffの値が-E以下であると判定した場合(ステップS203:NO)、運転制御部171は、CNT_retryの値を1増加させる(ステップS231)。
そして、運転制御部171は、CNT_retryの値がTM_retryの値よりも小さいか否かを判定する(ステップS232)。TM_retryは、送風機9の再起動を行うか否かの判定条件の一部を構成する。運転制御部171は、diffの値が±E内に収まらない状態がTM_retry秒継続した場合に、送風機9を再起動させる。
【0102】
CNT_retryの値がTM_retryの値よりも小さいと判定した場合(ステップS232:YES)、運転制御部171は、FLG_retryの値を1に設定する(ステップS241)。
また、運転制御部171は、CNT_stopの値を0に設定する(ステップS242)。
ステップS242の後、処理がステップS162へ遷移する。
【0103】
一方、ステップS221で、diffの値がEの値以上であると運転制御部171が判定した場合(ステップS221:NO)、処理がステップS231へ遷移する。
ステップS232で、CNT_retryの値がTM_retryの値以上であると判定した場合(ステップS232:NO)、処理がステップS237へ遷移する。
【0104】
ステップS211で、FLG_propellerの値が1であると判定した場合(ステップS211:NO)、運転制御部171は、diffの値がPよりも小さいか否かを判定する(ステップS261)。ここでのPは、図8に示されるPと同一である。diffの値がPよりも小さいことは、Nretが、図8に示される閾値Nl2よりも大きいことと同等である。
【0105】
diffの値がPの値よりも小さいと運転制御部171が判定した場合(ステップS261:YES)、処理がステップS271へ遷移する。
一方、diffの値がPの値以上であると判定した場合(ステップS261:NO)、運転制御部171は、FLG_defrost_propellerの値を1に設定する(ステップS281)。すなわち、運転制御部171は、回転翼92の除霜処理を行うことに決定する。
また、運転制御部171は、DUTY_nextの値を0に設定する(ステップS282)。除霜処理の間、送風機9を停止させるためである。
ステップS282の後、処理がステップS163へ遷移する。
【0106】
図11は、制御部17が制御指令値を更新する処理手順の例を示すフローチャートである。制御部17は、図10のステップS271で、図11に示される処理を行う。
図11に示される処理で、運転制御部171は、diffの値が-F0の値よりも大きく、かつ、F0の値よりも小さいか否かを判定する(ステップS301)。F0は、diffの値の大きさ(絶対値)を評価するための第1の閾値を示す。運転制御部171は、diffの値の大きさが大きい場合にデューティー比を大きく変化させてNretがNcomに近付くように制御するために、diffの値の大きさを評価する。
【0107】
diffの値が-F0の値よりも大きく、かつ、F0の値よりも小さいと判定した場合(ステップS301:YES)、運転制御部171は、DUTY_deltaの値をdiffの値にK0の値を乗算した値に設定する(ステップS321)。DUTY_deltaの値は、デューティー比を変化させる変化量を示す。K0は、diffの値の大きさの評価結果に応じてdiffの値に乗算される、正の実数の係数である。
【0108】
次に、運転制御部171は、DUTY_nextの値を、DUTY_nowの値にDUTY_deltaの値を加算した値に設定する(ステップS331)。これにより、運転制御部171は、Ncomの値とNretの値との差分diffの値が0に近付くように、PWM信号における矩形幅(デューティー比)を更新する。
次に、運転制御部171は、DUTY_nextの値がDUTY_MAXの値よりも大きいか否かを判定する(ステップS341)。DUTY_MAXは、デューティー比がとり得る最大値を示す。例えば図6の場合、DUTY_MAXの値は100%に設定される。
【0109】
DUTY_nextの値がDUTY_MAXの値よりも大きいと判定した場合(ステップS341:YES)、運転制御部171は、DUTY_nextの値をDUTY_MAXの値に設定する(ステップS361)。すなわち、運転制御部171は、DUTY_MAXの値をDUTY_nextに代入する。
ステップS361の後、制御部17は、図11に示される処理を終了する。
【0110】
一方、ステップS341で、DUTY_nextの値がDUTY_MAXの値以下である判定した場合(ステップS341:NO)、運転制御部171は、DUTY_nextの値がDUTY_MINの値よりも小さいか否かを判定する(ステップS351)。DUTY_MINは、デューティー比がとり得る最小値を示す。例えば図6の場合、DUTY_MINの値は、直流電動機91の回転速度が定格最小回転速度となる35%に設定される。
【0111】
DUTY_nextの値がDUTY_MINの値よりも小さいと判定した場合(ステップS351:YES)、運転制御部171は、DUTY_nextの値をDUTY_MINの値に設定する(ステップS371)。すなわち、運転制御部171は、DUTY_MINの値をDUTY_nextに代入する。
ステップS371の後、制御部17は、図11に示される処理を終了する。
一方、DUTY_nextの値がDUTY_MINの値以上であると運転制御部171が判定した場合(ステップS351:YES)、制御部17は、図11に示される処理を終了する。
【0112】
図12は、着霜判定部172が、回転翼92への着霜の有無を判定する処理手順の例を示すフローチャートである。着霜判定部172は、図9のステップS171で、図12に示される処理を行う。
図12に示される処理で、着霜判定部172は、Ncomの値が1以上か否かを判定する(ステップS401)。Ncomの値が1以上であることは、直流電動機91を動作させるよう指示することを示す。
【0113】
Ncomの値が1以上であると判定した場合(ステップS401:YES)、着霜判定部172は、Ncomの値がNcom_oldの値に等しいか否かを判定する(ステップS402)。Ncom_oldは、前回のNcomの値を示す。
Ncomの値がNcom_oldの値に等しいと判定した場合(ステップS402:YES)、着霜判定部172は、DUTY_oldの値がDUTY_nowの値未満か否かを判定する(ステップS403)。DUTY_oldは、前回のデューティー比を示す。
【0114】
DUTY_oldの値がDUTY_nowの値未満であると判定した場合(ステップS403:YES)、着霜判定部172は、Nret_old-Nretの値が-1以上、かつ1以下か否かを判定する(ステップS404)。Nret_oldは、前回のNretの値を示す。
【0115】
Nret_old-Nretの値が-1以上、かつ1以下か否であると判定した場合(ステップS404:YES)、着霜判定部172は、CNT_propellerの値を1増加させる(ステップS421)。CNT_propellerは、ステップS401からS413で判定される条件が連続して成立する回数を計数する変数である。
【0116】
次に、着霜判定部172は、CNT_propellerの値がTM_propellerの値以上か否かを判定する(ステップS422)。TM_propellerは、回転翼92への着霜ありと判定するために、ステップS401からS413で判定される条件が連続して成立する必要がある回数を示す。
【0117】
CNT_propellerの値がTM_propellerの値以上であると判定した場合(ステップS422:YES)、着霜判定部172は、FLG_Propellerの値を1に設定する(ステップS431)。FLG_Propellerの値が1であることは、回転翼92への着霜ありとの判定結果を示す。
【0118】
次に、着霜判定部172は、DUTY_nowの値をDUTY_oldの値に設定する(ステップS451)。すなわち、着霜判定部172は、DUTY_oldにDUTY_nowの値を代入する。
また、着霜判定部172は、Nret_nowの値をNret_oldの値に設定する(ステップS452)。すなわち、着霜判定部172は、Nret_oldにNret_nowの値を代入する。
そして、着霜判定部172は、Ncomの値をNcom_oldの値に設定する(ステップS453)。すなわち、着霜判定部172は、Ncom_oldにNcomの値を代入する。
ステップS453の後、着霜判定部172は、図12に示される処理を終了する。
【0119】
一方、ステップS401で、Ncomの値が1よりも小さいと判定した場合(ステップS401:NO)、着霜判定部172は、CNT_propellerの値を0に設定する(ステップS441)。
ステップS441の後、処理がステップS451へ進む。
ステップS402で、Ncomの値がNcom_oldの値と異なると着霜判定部172が判定した場合(ステップS402:NO)も、処理がステップS441へ進む。
【0120】
一方、ステップS403で、DUTY_oldの値がDUTY_nowの値以上であると判定した場合(ステップS403:NO)、着霜判定部172は、DUTY_oldの値がDUTY_MAXの値に等しいか否かを判定する(ステップS411)。
DUTY_oldの値がDUTY_MAXの値に等しいと判定した場合(ステップS411:YES)、着霜判定部172は、DUTY_nowの値がDUTY_MAXの値に等しいか否かを判定する(ステップS412)。
【0121】
DUTY_nowの値がDUTY_MAXの値に等しいと判定した場合(ステップS412:YES)、着霜判定部172は、Nret_oldの値がNretの値よりも大きいか否かを判定する(ステップS413)。
Nret_oldの値がNretの値よりも大きいと着霜判定部172が判定した場合(ステップS413:YES)、処理がステップS421へ進む。
【0122】
一方、ステップS411で、DUTY_oldの値がDUTY_MAXの値と異なると着霜判定部172が判定した場合(ステップS411:NO)、処理がステップS441へ進む。
ステップS412で、DUTY_nowの値がDUTY_MAXの値と異なると着霜判定部172が判定した場合(ステップS412:NO)も、処理がステップS441へ進む。
【0123】
ステップS413で、Nret_oldの値がNretの値以下であると着霜判定部172が判定した場合(ステップS413:NO)も、処理がステップS441へ進む。
一方、ステップS404で、Nret_old-Nretの値が-1から1までの範囲外であると着霜判定部172が判定した場合(ステップS404:NO)、処理がステップS411へ進む。
【0124】
以上のように、筐体1は貯蔵室を含む。冷却器15は、筐体1内に設けられている。送風機9は、冷却器15によって冷却される冷気を送風する。着霜判定部172は、送風機9の回転翼92の回転速度の目標値が一定であるのに対して、送風機9に対する帰還制御の制御信号が回転翼92の回転速度の増加を指示していること、または、制御信号が回転翼92の定速回転を指示しているのに対して、回転翼92の回転速度の測定値が減少していることの少なくとも何れかが検出される状態の継続状況に基づいて、回転翼92への着霜の有無を判定する。運転制御部171は、回転翼92への着霜ありと判定されることを含む所定の条件が満たされる場合に、回転翼92の除霜処理を行う。
【0125】
冷蔵庫100によれば、着霜判定部172は、回転翼92への着霜を、送風機9の故障による回転翼92の回転速度の異常と区別して検出することができる。着霜判定部172が回転翼92への着霜を検出した場合、運転制御部171は回転翼92に対する除霜処理を行うことができる。
【0126】
ここで、冷蔵庫の送風機の回転翼の回転速度の異常が生じた場合の対応方法の一つとして、送風機を再起動させることが考えられる。しかしながら、回転翼に着霜している場合、送風機を再起動させても通常は着霜の状況は改善しない。さらには、送風機を再起動させるために回転翼の回転を一旦停止させることで、回転翼に付着する霜の量が増加する可能性がある。
これに対し、冷蔵庫100では、回転翼92への着霜を、送風機9の故障による回転翼92の回転速度の異常と区別して検出することで、回転翼92に対する除霜処理を行うことができる。除霜処理によって、回転翼92の回転速度の異常が解消されると期待される。
【0127】
また、着霜情報記録部173は、回転翼92への着霜ありと判定された場合、回転翼92への着霜を示す着霜情報を記録する。着霜報知部は、着霜情報に基づいて、回転翼92への着霜が所定の条件以上に頻発していると判定した場合、回転翼92への着霜が頻発していることを報知する。
【0128】
ユーザが報知を受けた場合、そのユーザは、着霜が頻発していることを把握することができ、例えば、扉を開く回数を減らすなどの対策を講じることができる。あるいは、保守作業員が報知を受けた場合、その保守作業員は、着霜が頻発していることを把握することができ、例えば、点検作業を行うことをユーザに提案するなどの対策を講じることができる。
【0129】
また、貯蔵室の扉は、貯蔵室を開閉可能に閉じる。扉開閉検出部は、扉の開閉を検出する。扉開閉情報記録部174は、扉開閉検出部の検出結果に基づいて、扉の開閉状況を示す扉開閉情報を記録する。着霜要因報知部は、回転翼への着霜ありと判定され、かつ、扉開閉情報に基づいて、扉が開いた回数または扉が開いていた時間の少なくとも何れかが所定の条件以上に多いまたは長いと判定した場合、扉を開くことによる着霜の可能性を報知する。
扉開閉情報に加えて、あるいは代えて、扉開閉時の外気温・湿度情報に基づき、扉を開くことによる着霜の可能性を報知することも可能である。
【0130】
ユーザが報知を受けた場合、そのユーザは、扉を開くことによって着霜が発生している可能性があることを把握することができ、例えば、扉を開く回数を減らすなどの対策を講じることができる。あるいは、保守作業員が報知を受けた場合、その保守作業員は、ユーザが扉を開くことによって着霜が発生している可能性があることを把握することができ、例えば、扉を開く回数を減らすような冷蔵庫100の使い方をユーザに提案するなどの対策を講じることができる。
【0131】
また、貯蔵室の扉は、貯蔵室を開閉可能に閉じる。扉開閉検出部は、扉の開閉を検出する。扉開閉情報記録部174は、扉開閉検出部の検出結果に基づいて、扉の開閉状況を示す扉開閉情報を記録する。故障可能性報知部は、回転翼92への着霜ありと判定され、かつ、扉開閉情報に基づいて、扉が開いた回数および扉が開いていた時間の何れも所定の条件以下であると判定した場合、冷蔵庫の故障による着霜の可能性を報知する。
扉開閉情報に加えて、あるいは代えて、扉開閉時の外気温・湿度情報に基づき、冷蔵庫100の故障による着霜の可能性を報知することも可能である。
【0132】
ユーザが報知を受けた場合、そのユーザは、冷蔵庫100の故障によって着霜が発生している可能性があることを把握することができ、例えば、業者に修理を依頼するなどの対策を講じることができる。
保守作業員が報知を受けた場合、その保守作業員は、冷蔵庫100の故障によって着霜が発生している可能性があることを把握することができ、例えば、点検作業および修理を行うことをユーザに提案するなどの対策を講じることができる。
【0133】
また、閾値変更部176は、回転翼92の回転速度の下限閾値を変更可能に設定する。運転制御部171は、回転速度の測定値が回転速度の下限閾値以下であると判定した場合、回転速度の異常発生時の処理を行う。閾値変更部176は、回転翼92への着霜ありと判定された場合、回転速度の下限閾値を、回転翼92への着霜なしと判定された場合の回転速度の下限閾値よりも小さい値に変更する。
これにより、運転制御部171は、除霜処理を開始する前に、前記回転翼への着霜ありと判定される前と同じ冷却制御を比較的長時間継続することができ、貯蔵室内の温度の安定化を図ることができる。
【0134】
また、運転制御部171は、回転翼92への着霜なしと判定された場合の、回転翼92の回転速度の異常発生時の処理として、送風機9の停止または再起動を行い、回転翼92への着霜ありと判定された場合の、回転翼92の回転速度の異常発生時の処理として、回転翼92の除霜処理を行う。
これにより、冷蔵庫100では、回転翼92に着霜した場合に、回転翼92を再起動のために一旦停止させて霜の量が増加することを回避することができ、比較的短時間で回転翼92の除霜処理を行えると期待される。
【0135】
また、運転制御部171は、回転翼92への着霜ありと判定された場合、回転翼92への着霜ありと判定される前と同じ冷却制御を継続し、その後、回転翼92の回転速度の測定値が回転速度の下限閾値以下に低下したと判定した場合、回転翼92の除霜処理を行う。
運転制御部171が、回転翼92への着霜ありと判定される前と同じ冷却制御を継続することで、貯蔵室内の温度の安定化を図ることができる。
また、運転制御部171によれば、貯蔵室内の冷却を維持するために必要な回転翼92の回転速度を確保できなくなった場合は、除霜処理に移行することができる。
【0136】
また、運転制御部171は、回転翼92への着霜ありと判定された場合、貯蔵室に対して回転翼92の除霜処理に先立つ予冷を開始し、予冷の実行中に回転速度の測定値が回転速度の下限閾値以下に低下したと判定した場合、予冷を終了または短縮して回転翼の除霜処理を行う。
運転制御部171が貯蔵室の予冷を行うことで、除霜処理時の貯蔵室内の温度上昇の影響を軽減することができる。また、運転制御部171によれば、予冷を継続するために必要な回転翼92の回転速度を確保できなくなった場合は、除霜処理に移行することができる。
【0137】
また、運転制御部171は、回転翼92への着霜ありと判定された場合、回転翼92への着霜ありと判定される前と同じ制御を継続し、その後、回転速度の測定値がある予冷用閾値以下に低下したと判定した場合、貯蔵室に対して回転翼92の除霜処理に先立つ予冷を開始し、その後、予冷の実行中に回転翼92の回転速度の測定値が回転速度の下限閾値以下に低下したと判定した場合、予冷を終了または短縮して回転翼の除霜処理を行う。
運転制御部171が、回転翼92への着霜ありと判定される前と同じ制御を継続することで、貯蔵室内の温度の安定化を図ることができる。また、運転制御部171が貯蔵室の予冷を行うことで、除霜処理時の貯蔵室内の温度上昇の影響を軽減することができる。また、運転制御部171によれば、予冷を継続するために必要な回転翼92の回転速度を確保できなくなった場合は、除霜処理に移行することができる。
【0138】
また、外気温測定部12は、筐体1の外に設けられて外気温を測定する。湿度測定部13は、筐体1の外に設けられて外気の湿度を測定する。貯蔵室の扉は、貯蔵室を開閉可能に閉じる。外気温・湿度情報記録部177は、扉の開閉時における外気温および外気の湿度を示す外気温・湿度情報を記録する。着霜要因報知部(例えば、報知制御部175および入出力装置8)は、回転翼92への着霜ありと判定され、かつ、外気温・湿度情報に基づいて、庫内に流入する推定水分量が所定条件の水分量以上であると判定した場合、扉を開くことによる着霜の可能性を報知する。
【0139】
ユーザが報知を受けた場合、そのユーザは、扉を開くことによって着霜が発生している可能性があることを把握することができ、例えば、扉を開く回数を減らすなどの対策を講じることができる。あるいは、保守作業員が報知を受けた場合、その保守作業員は、ユーザが扉を開くことによって着霜が発生している可能性があることを把握することができ、例えば、扉を開く回数を減らすような冷蔵庫100の使い方をユーザに提案するなどの対策を講じることができる。
【0140】
また、外気温測定部12は、筐体1の外に設けられて外気温を測定する。湿度測定部13は、筐体1の外に設けられて外気の湿度を測定する。貯蔵室の扉は、貯蔵室を開閉可能に閉じる。外気温・湿度情報記録部177は、扉の開閉時における外気温および外気の湿度を示す外気温・湿度情報を記録する。着霜要因報知部(例えば、報知制御部175および入出力装置8)は、回転翼92への着霜ありと判定され、かつ、外気温・湿度情報に基づいて、庫内に流入する推定水分量が所定条件の水分量以下であると判定した場合、冷蔵庫100の故障による着霜の可能性を報知する。
【0141】
ユーザが報知を受けた場合、そのユーザは、冷蔵庫100の故障によって着霜が発生している可能性があることを把握することができ、例えば、業者に修理を依頼するなどの対策を講じることができる。
保守作業員が報知を受けた場合、その保守作業員は、冷蔵庫100の故障によって着霜が発生している可能性があることを把握することができ、例えば、点検作業および修理を行うことをユーザに提案するなどの対策を講じることができる。
【0142】
上記各実施形態では、制御部17およびその各部はソフトウェア機能部であるものとしたが、LSI等のハードウェア機能部であってもよい。
【0143】
以上説明した少なくともひとつの実施形態によれば、着霜判定部は、送風機の回転翼の回転速度の目標値が一定であるのに対して、送風機に対する帰還制御の制御信号が回転翼の回転速度の増加を指示していること、または、制御信号が回転翼の定速回転を指示しているのに対して、回転速度の測定値が減少していることの少なくとも何れかが検出される状態の継続状況に基づいて、回転翼への着霜の有無を判定する。このような構成によれば、回転翼への着霜による回転速度の異常を、送風機の故障による回転速度の異常を区別して検出することができ、除霜処理を行うことができる。
【0144】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0145】
100…冷蔵庫、8…入出力装置、2b…冷蔵室扉開閉検出部、4b…野菜室扉開閉検出部、5b…製氷室扉開閉検出部、6b…小冷凍室扉開閉検出部、7b…大冷凍室扉開閉検出部、19…無線通信部、20…記憶部、17…制御部、171…運転制御部、172…着霜判定部、173…着霜情報記録部、174…扉開閉情報記録部、175…報知制御部、176…閾値変更部、9…送風機、91…直流電動機、92…回転翼、18…除霜用加熱器
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