(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-20
(45)【発行日】2025-01-06
(54)【発明の名称】キャニスタ
(51)【国際特許分類】
F02M 25/08 20060101AFI20241223BHJP
【FI】
F02M25/08 311A
(21)【出願番号】P 2021191863
(22)【出願日】2021-11-26
【審査請求日】2024-02-29
(73)【特許権者】
【識別番号】000116574
【氏名又は名称】愛三工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000394
【氏名又は名称】弁理士法人岡田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】浦塚 崇史
(72)【発明者】
【氏名】山本 典永
(72)【発明者】
【氏名】木津 俊邦
【審査官】村山 美保
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-123830(JP,A)
【文献】実開昭62-38469(JP,U)
【文献】特開2008-240638(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2005/0022796(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2008/0223343(US,A1)
【文献】中国特許出願公開第103573479(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F02M 25/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
吸着材を収容する収容室を形成するケースと、前記ケースに形成される大気ポートと、前記大気ポートを覆うキャップと、を備えるキャニスタであって、
前記ケースの外壁面には前記キャップを係止固定する爪部が設けられており、前記キャップにおける前記ケースの爪部に対応する位置には孔部が設けられており、前記孔部は、前記爪部に係合する係合領域を備えると共に、前記キャップ内部の水を排出する排水口を形成する排水口領域を備えて構成されており、前記キャップの前記ケースへの係止固定状態における天地方向で見て、前記排水口領域は前記係合領域の上部に位置している、キャニスタ。
【請求項2】
請求項1に記載のキャニスタであって、
前記キャップに形成される前記孔部は、前記ケースの側壁面に面した位置に形成されており、前記排水口領域からの排水は前記ケースの側壁面に直接流下する構成となっている、キャニスタ。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載のキャニスタであって、
前記キャニスタのケースの上方部は側壁面がわずか縮小形とされた凸部形状とされており、その凸部形状の上面部に大気ポートが設定されていると共に、当該凸部形状を形成する側壁面と前記キャップに形成される孔部の前記排水口領域とにより排水口が形成されている、キャニスタ。
【請求項4】
請求項3に記載のキャニスタであって、
前記爪部における水が流れる上面の傾斜形状は前記凸部形状の上面部の位置から形成されている、キャニスタ。
【請求項5】
請求項3又は請求項4に記載のキャニスタであって、
前記爪部の上面形状はR形状ないしC形状の下方向に傾斜する傾斜形状とされており、当該傾斜形状により形成される前記排水口領域の排水口の大きさは、前記排水口から排水される水が、前記排水口で生じる表面張力よりも、重力にしたがって滑りおちる力の方が大きくなるように設定されている、キャニスタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書に開示の技術は、キャニスタに関する。詳細には、自動車等車両の燃料タンク内の蒸発燃料を処理する蒸発燃料処理装置に装備されるキャニスタに関する。
【背景技術】
【0002】
自動車等車両には、燃料タンク内に発生する蒸発燃料を処理するための蒸発燃料処理装置としてキャニスタが搭載される。キャニスタが搭載される位置は、車両の冠水走行時に水をかぶる位置となっている。そのためキャニスタの大気ポートから水が入るのを防止するため、キャニスタのケースにおける大気ポートの設置個所にはキャップが覆いかぶせられている(下記特許文献1)。
【0003】
しかし、大気ポートに被せるキャップには、大気ポートと外気とを通気させる必要から通気口が設けられる。そのため車両の冠水走行時におけるキャップ内への水の浸入を完全に阻止することは困難であるので、キャップ内に浸入した水を排水するためにキャップの下部位置には排水口が設けられて、浸入した水を排水するようになっている。ところで、排水口が設定される位置は、従来一般的には、ケースの上面に形成される平らな位置となっている。
【0004】
なお、キャップをキャニスタのケースに取付けるためには、キャップに別に嵌合孔が設けられて取付けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、従来一般的には、上述したキャップをケースに取付けるための嵌合孔と、キャップ内に浸入した水を排水するための排水口は、キャップの別々の位置に設けられている。このため、キャップには、孔を2ヶ所形成する必要があるため、構造が複雑になると共に、製造性が悪いという難点があった。
【0007】
また、キャップに形成される従来の一般的な排水口の位置、すなわち、ケースの上面の平らな位置では、ケースの上面に水が溜まってしまうという問題があった。特に、キャニスタのケースは、通常、樹脂製とされている。このため、排水に凍結や積雪対応のために散布される塩化カルシウムを含む場合には、樹脂製のケースの劣化が促進される可能性もある。
【0008】
而して、本明細書に開示の技術が解決しようとする主たる課題は、上述した点に鑑みて創案されたものであって、キャップに形成される排水口と、キャップをケースに取付ける嵌合孔とを一つの孔部形状とすることにより、キャップを簡素な構成とすると共に、キャップの製造性の向上を図ることにある。
【0009】
また、従たる課題は、キャップに形成される排水口の位置を、ケースの側壁面に連なる位置とすることにより、排水をスムースに行わせることにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するために、本明細書に開示のキャニスタは、次の手段をとる。
【0011】
第1の手段は、吸着材を収容する収容室を形成するケースと、前記ケースに形成される大気ポートと、前記大気ポートを覆うキャップと、を備えるキャニスタであって、前記ケースの外壁面には前記キャップを係止固定する爪部が設けられており、前記キャップにおける前記ケースの爪部に対応する位置には孔部が設けられており、前記孔部は、前記爪部に係合する係合領域を備えると共に、前記キャップ内部の水を排出する排水口を形成する排水口領域を備えて構成されており、前記キャップの前記ケースへの係止固定状態における天地方向で見て、前記排水口領域は前記係合領域の上部に位置している、キャニスタである。
【0012】
上記第1の手段によれば、キャップに形成される孔部に、ケースの爪部に係合する係合領域と、キャップ内部の水を排出する排水口を形成する排水口領域が同時に形成される。このため、キャップを簡素な構成にできると共に、キャップの製造性の向上を図ることができる。すなわち、キャップに形成される排水口と、キャップをケースに取付ける嵌合孔とを一つの孔部形状とすることにより、キャップの簡素化を図ることができると共に、製造性の向上を図ることができる。
【0013】
第2の手段は、上述した第1の手段のキャニスタであって、前記キャップに形成される前記孔部は、前記ケースの側壁面に面した位置に形成されており、前記排水口領域からの排水は前記ケースの側壁面に直接流下する構成となっている、キャニスタである。
【0014】
上記第2の手段によれば、排水口が形成される孔部はケースの側壁面に面した位置となっている。これにより、排水口領域からの排水はケースの側壁面に直接流下し、ケースの外面に溜まることなくスムースに排水される。すなわち、従来のようにケースの平らな上面に排水が溜まることがなく、キャップの劣化の防止を図ることができる。
【0015】
第3の手段は、上述した第1の手段又は第2の手段のキャニスタであって、前記キャニスタのケースの上方部は側壁面がわずか縮小形とされた凸部形状とされており、その凸部形状の上面部に大気ポートが設定されていると共に、当該凸部形状を形成する側壁面と前記キャップに形成される孔部の前記排水口領域とにより排水口が形成されている、キャニスタである。
【0016】
上記第3の手段によれば、キャニスタのケースの上方部は側壁面がわずか縮小形とされた凸部形状とされている。これにより、凸部形状の側壁面の領域で爪部を形成してキャップとキャニスタの嵌合を図ることができると共に、当該領域の位置で排水口を形成することができる。
【0017】
第4の手段は、上述した第3の手段のキャニスタであって、前記爪部における水が流れる上面の傾斜形状は前記凸部形状の上面部の位置から形成されている、キャニスタである。
【0018】
上記第4の手段によれば、爪部の傾斜形状は凸部形状の上面部の位置から形成される。これにより、水の排水は凸部形状の上面部から直接爪部の上面に流れるため、スムースに排水が行われる。
【0019】
第5の手段は、上述した第3の手段又は第4の手段に記載のキャニスタであって、前記爪部の上面の形状はR形状ないしC形状の下方向に傾斜する傾斜形状とされており、当該傾斜形状により形成される前記排水口領域の排水口の大きさは、前記排水口から排水される水が、前記排水口で生じる表面張力よりも、重力にしたがって滑りおちる力の方が大きくなるように設定されている、キャニスタである。
【0020】
上記第5の手段によれば、爪部の傾斜形状に形成される排水口の大きさは、排水口から排水される水が、排水口で生じる表面張力よりも、重力にしたがって滑りおちる力の方が大きくなるように設定される。これにより、排水口で水が滞留することが抑制され、排水効率を向上させることができる。
【発明の効果】
【0021】
本明細書に開示のキャニスタによれば、キャップに形成される排水口と、キャップをケースに取付ける嵌合孔とを一つの孔部形状とすることにより、キャップを簡素な構成にできると共に、キャップの製造性の向上を図ることができる。
【0022】
また、キャップに形成される排水口の位置を、ケースの側壁面に連なる位置とすることにより、排水を良好に行わせることができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図1】本実施形態のキャニスタの上部部分の外観を示す斜視図である。
【
図2】
図1のキャニスタから防護のためのプロテクタと、大気ポートを覆うキャップを取り除いた状態を示す斜視図である。
【
図3】キャップ単品の斜視図を示し、排水口領域と係合領域が形成される孔部を示す斜視図である。
【
図4】キャップ単品の斜視図を示し、通気口が形成された側面側から視た斜視図である。
【
図5】
図3の孔部個所を拡大して示す斜視図である。
【
図6】キャニスタの上部の凸部形状の側壁面に形成された爪部を拡大して示す斜視図である。
【
図7】凸部形状の側壁面に形成される爪部の変形例を示す模式略図である
【
図8】キャニスタのダッシュボードへの配置状態における水のかかり方を示し、水が下方から被る状態を示す図である。
【
図9】
図8と同様にキャニスタのダッシュボードへの配置状態における水のかかり方を示し、水が上方から被る状態を示す図である。
【
図10】凸部形状の側面に形成される爪部の断面形状を示し、断面形状がR形状の場合の模式断面略図である。
【
図11】凸部形状の側面に形成される爪部の断面形状を示し、断面形状がC形状の場合の模式断面略図である。
【
図12】水が排水口において排水される場合の表面張力と重力の関係を説明するための略図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本明細書に開示の技術であるキャニスタ10の実施形態を、図面に基づいて説明する。なお、本明細書の説明における左右、上下等の方向表示は、当該図示状態における方向を示すものであり、特に指定しない限り、本キャニスタ10を車両等に搭載した状態の方向を示すものではない。
【0025】
(キャニスタ10の全体構成)
図1は本実施形態のキャニスタ10の全体構成を示し、キャニスタ10の上部部分の外観を示す斜視図である。
図1に示されるキャニスタ10には、キャニスタ10のケース12と、キャップ14と、パージポート16と、プロテクタ18とが示される。プロテクタ18はキャニスタ10の上方部に配置されており、キャニスタ10のケース12の上部位置に取付けられて配置されている。プロテクタ18はキャニスタ10を外力から保護する役割を成す。特に、キャップ14とパージポート16の円筒形状の取付部位20を保護する配設とされている。このプロテクタ18は、ケース12の上部位置に設定された複数のスナップアクション式の取付手段44によりケース12に取付けられる。
【0026】
(キャニスタ10のケース12)
図2は
図1からプロテクタ18とキャップ14を取外した状態のキャニスタ10のケース12の全体を示す外観図である。キャニスタ10のケース12内には吸着材22の収容室が形成されている。キャニスタ10の収容室には吸着材22が収容されて、燃料タンク(不図示)からの蒸発燃料を吸着脱離する。ケース12の上方部には大気ポート24とパージポート16が設定されている。なお、大気ポート24の周辺には複数個の棒部材46が設置されている。
【0027】
図2で見て、上部の右方位置にはパージポート16を設定するための円筒形の取付部位20が形成されている。
図2で見て、上部の左方位置には大気ポート24を設定するための凸部形状26が形成されている。凸部形状26はケース12の左方上部位置における側壁面形状12Aがわずか縮小形とされた形状として上方に突設形成されている。したがって、凸部形状26の側壁面26Aとキャニスタ10のケース12の側壁面12Aとは段差形状28となっており、ケース12の上面12Bを形成する。なお、パージポート16を設定するための円筒形の取付部位20と大気ポート24を設定するための凸部形状26との間は、後述するキャップ14の配設を可能とする隙間が設定されており、ケース12の上面12Bとなっている。
【0028】
(キャップ14)
図3は大気ポート24を覆うキャップ14の外観図である。
図3に示されるように、キャップ14の平断面形状は、前述したケース12の上部に形成される凸部形状26に嵌合する形状として形成されている。
図3で見て、キャップ14は左右方向の楕円形状として形成されている。したがって、前述の凸部形状26も対応した形状の楕円形状として形成されている。そして、キャップ14の楕円形状の長手方向の両端部には、後述で詳述する孔部30が設けられている。なお、
図3で見て、右側上部の段差形状32の外形形状は、キャニスタ10が配設される隣接位置の機器(不図示)との関係で、オーバラップ配置を避けるための形状となっているものである。
【0029】
図4も大気ポート24を覆うキャップ14を示すが、
図3の反対側から視た外観図である。
図4に示すように、キャップ14のパージポート16側の側面には吸気口34が形成されている。吸気口34はキャップ14内と外気とを連通する役割を成し、大気ポート24と外気とを連通する役割を成す。なお、本実施形態では、吸気口34は1カ所にのみ形成されている。なお、吸気口34の位置は、後述する
図8及び
図9に示す走行時におけるキャニスタ10への水のかかり方から、跳ね上げられた水が浸入しにくい位置とされている。すなわち、進行方向の後方位置とされている。
【0030】
(孔部30)
図5は本実施形態が特徴とするキャップ14に形成される孔部30の拡大図を示す。
図5に良く示されるように、この孔部30には、当該孔部30に対応したケース12の凸部形状26の側壁面26Aに爪部36が形成されている。そして、孔部30は、この爪部36が位置する係合領域Kと、キャップ14内に浸入した水が排水される排水口38となる排水口領域Hとからなっている。排水口38はキャップ14内の水を排出する。係合領域Kと排水口領域Hは一つの孔形状として形成されており、この構成が本実施形態が特徴とする構成である。そして、
図5で見て、排水口領域Hは係合領域Kの上部に位置している。すなわち、後述するキャップ14がケース12へ係止固定された状態における天地方向で見て、排水口領域Hは係合領域Kの上部に位置している。
【0031】
なお、孔部30の形状は、本実施形態では、上方部形状が上方に丸み形状とされただるま形状として形成されている。孔部30の下部のキャップ14には、後述する爪部36が係合する係止帯片部材40が、キャップ14と一体的に形成されている。
【0032】
(爪部36)
図6は、キャップ14の外面、すなわち、凸部形状26の側壁面26Aに設けられた爪部36を示す。本実施形態では爪部36は、
図6で見て、凸部形状26の側壁面26Aの下方部位置に設定されている。爪部36は
図1及び
図5に示されるようにキャップ14の孔部30の下縁に形成された係止帯片部材40とスナップアクションで係合されて係止される構成となっている。そのため、爪部36には爪突起36Aが凸部形状26の側壁面26Aから外方向に突出形成されている。そして、爪突起36Aの下面36Bが前述した係止帯片部材40と係合してキャップ14の抜け方向に係止される構成となっている。これによりキャップ14はケース12に対して係止固定状態となる。
【0033】
爪部36の上面36Cは傾斜形状に形成されており、キャップ内の水を排水口領域Hにおける排水口38から排水するようになっている。爪部36の上面36Cの傾斜形状は
図10及び
図11に模式断面略図で示すようにR形状あるいはC形状とされている。
図10がR形状の場合を示し、
図11がC形状の場合を示している。
【0034】
(爪部36の設定位置の変形例)
図7は、爪部36を凸部形状26の側壁面26Aに設定する位置の変形例を示す。前述の爪部36の設定位置は側壁面26Aの下方部位置であったが、
図7の変形例は、爪部36の形成位置を側壁面26Aの上方位置とするものである。その結果、爪部36の上面36Cの傾斜形状は、
図7の変形例においては凸部形状26の上面部26Bの位置から連続した形状として形成されている。これにより、キャップ14内に浸入した水は排水口38から直接爪部36の上面36Cの傾斜形状に流れるため、スムースに排水が行われる。
【0035】
(キャニスタ42の配置形態)
次に、
図8及び
図9はキャニスタ10のダッシュボード42への配置形態を示しており、これにより、キャニスタ10の車両への搭載状態における水のかかり方を示す。キャニスタ10のダッシュボード42に対する配置は、キャニスタ10はダッシュボード42の前方位置の配置とされている。したがって、走行時におけるキャニスタ10への水のかかり方は、矢印W1で示すように、
図8で見て、左下方から上方に向けてかかり、上方に跳ね上げられた水は、
図9に矢印W2で示すように上方からキャニスタ10にかかる。
【0036】
上述のようなキャニスタ10への水のかかり方のため、プロテクタ18はキャニスタ10の前方位置に配置されている。キャップ14に形成される吸気口34はパージポート16の円筒形状の取付部位20に面して形成されている。
【0037】
図12はキャップ内に浸入した水が孔部の排水領口領域における排水口から排水される場合の表面張力と重力との関係を示す略図である。当該図は
図7の爪部36形状の場合の図である。本実施形態においては、排水口38から排水される場合の表面張力θと重力Gとの関係は、傾斜形状により形成される排水口領域Hの排水口38の大きさは、排水口38から排水される水が、排水口38で生じる表面張力θよりも、重力Gにしたがって滑りおちる力の方が大きくなるように設定されている。これにより、キャップ14内に浸入した水は排水口38から確実に排水される。
【0038】
(本実施形態の作用効果)
上述した本実施形態によれば、排水口領域Hと係合領域Kを形成する孔部30は、一つの孔形状として形成される。したがって、従来のように別々に形成される場合に対して、キャップ14の構成を簡素な構成にできると共に、キャップ14の製造性の向上を図ることができる。
【0039】
また、本実施形態によれば、排水口38が形成される排水口領域Hの孔部30はケース12の側壁面12Aに形成される。これにより、キャップ14内に浸入した水は排水口38を通じてケース12の側壁面12Aに直接流下し、スムースに排水される。すなわち、従来のようにケース12の平らな上面12Bに溜まって、排水に凍結や積雪対応のため散布される塩化カルシウムを含む場合に生じる、樹脂製のケース12の劣化を防ぐことができる。
【0040】
また、本実施形態においては、排水口38を形成する爪部36の傾斜形状をケース12の凸部形状26の上面部26Bの位置から形成する場合には、凸部形状26の上面部26Bの水は直接爪部36の上面36Cに流れるため、排水がよりスムースに行われる。
【0041】
(他の実施形態)
本明細書に開示の技術は、上記した実施形態に限定されるものではなく、種々の変更が可能である。
【0042】
例えば、爪部36の上面36Cの傾斜形状は、R形状やC形状に限らず、その他の傾斜形状であっても良い。すなわち爪部36の上面36Cの傾斜形状により形成される排水口38の大きさを、当該排水口38から排水される水が、排水口38で生じる表面張力よりも、重力にしたがって滑りおちる力が大きくなるように設定される大きさであればよい。
【0043】
また、キャニスタ10の材質は樹脂製に限らず、鋼板製や、その他、軽量の材質で形成することもできる。
【0044】
また、排水口38を形成する孔部30の形状は、上述した図示の実施形態に示す形状の、上方部がだるま形状とされる形状の他、各種の形状が考えられる。
【符号の説明】
【0045】
10 キャニスタ
12 ケース
12A ケースの側壁面
14 キャップ
22 吸着材
24 大気ポート
26 凸部形状
26B 凸部形状の上面部
30 孔部
36 爪部
36C 爪部の上面
38 排水口
K 係合領域
H 排水口領域
G 重力
θ 表面張力