(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-20
(45)【発行日】2025-01-06
(54)【発明の名称】無機濾過堆積物を有するハニカム体の製造方法
(51)【国際特許分類】
C04B 41/87 20060101AFI20241223BHJP
C04B 38/00 20060101ALI20241223BHJP
B01D 39/20 20060101ALI20241223BHJP
B01D 46/00 20220101ALI20241223BHJP
B05D 7/24 20060101ALI20241223BHJP
B05D 1/02 20060101ALI20241223BHJP
B05D 7/00 20060101ALI20241223BHJP
【FI】
C04B41/87 A
C04B38/00 303Z
B01D39/20 D
B01D46/00 302
B05D7/24 303B
B05D1/02 Z
B05D7/00 B
B05D7/24 301E
B05D7/00 K
B05D7/00 C
(21)【出願番号】P 2021511533
(86)(22)【出願日】2019-08-30
(86)【国際出願番号】 US2019049213
(87)【国際公開番号】W WO2020047506
(87)【国際公開日】2020-03-05
【審査請求日】2022-08-25
(32)【優先日】2018-08-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】PCT/CN2018/103807
(32)【優先日】2018-09-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】397068274
【氏名又は名称】コーニング インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100073184
【氏名又は名称】柳田 征史
(74)【代理人】
【識別番号】100123652
【氏名又は名称】坂野 博行
(74)【代理人】
【識別番号】100175042
【氏名又は名称】高橋 秀明
(72)【発明者】
【氏名】グゥ,ユンフォン
(72)【発明者】
【氏名】ルイス,マーク アラン
(72)【発明者】
【氏名】リウ,ツァイ
(72)【発明者】
【氏名】パワーズ,デール ロバート
(72)【発明者】
【氏名】セイント クレア,トッド パーリッシュ
(72)【発明者】
【氏名】ワン,ジエングオ
(72)【発明者】
【氏名】ウー,ホイチン
(72)【発明者】
【氏名】シン,シンフォン
(72)【発明者】
【氏名】ジョン,ダンホン
【審査官】大西 美和
(56)【参考文献】
【文献】欧州特許出願公開第01775022(EP,A1)
【文献】国際公開第2008/136232(WO,A1)
【文献】国際公開第2013/145323(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C04B 38/00-38/10
C04B 41/80-41/91
B01D 39/00-41/04
B01D 46/00-46/90
B05D 1/00-7/26
B01J 21/00-38/74
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
多孔質壁を含む閉塞したハニカム体に表面処理を施す方法であって、該方法が、
無機材料の粒子を噴霧して、水性ビヒクル、ケイ素を含む結合剤材料、及び前記粒子からなる液体-微粒子-結合剤液滴とする工程;
前記液滴から前記水性ビヒクルの実質的にすべてを蒸発させて、前記粒子及び前記結合剤材料からなる凝集体を形成する工程;
前記閉塞したハニカム体の前記多孔質壁に前記凝集体を堆積させる工程
を含み、
前記堆積した凝集体が、前記多孔質壁上、又は多孔質壁内、若しくは多孔質壁上及び多孔質壁内の両方に配置される、
方法。
【請求項2】
前記結合剤材料の有機成分が、前記堆積した凝集体から除去される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記凝集体を加熱することにより、前記堆積した凝集体中の前記結合剤材料の無機成分を前記ハニカム体の前記多孔質壁と物理的に結合させる、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
濾過物品であって、
細孔を有する多孔質壁を備えたハニカムフィルタ体、及び
前記ハニカムフィルタ体内に配置された、無機材料ナノ粒子及びケイ素を含む無機堆積物
を含み、
前記無機堆積物が、前記無機材料ナノ粒子が集合した凝集体のネットワークを含む、
濾過物品。
【請求項5】
前記凝集体のネットワークが凝集体の集合体を含む、請求項4に記載の濾過物品。
【請求項6】
前記無機
堆積物が、0.3~30g/Lの負荷で前記ハニカムフィルタ体に存在する、請求項4又は5に記載の濾過物品。
【発明の詳細な説明】
【関連出願の相互参照】
【0001】
本出願は、その全体がここに参照することによって本願に援用される、2018年8月31日出願の米国仮特許出願第62/726,192号及び2018年9月3日出願の国際出願第PCT/CN2018/103807号に対する米国法典第35編特許法119条に基づく優先権の利益を主張するものである。
【技術分野】
【0002】
本明細書は、無機堆積物を含み、該堆積物が無機濾過材料からなる、多孔質セラミックハニカム体などの多孔質体を製造する方法に関する。
【背景技術】
【0003】
ウォールフロー型フィルタは、燃焼機関の排気などの流体排気流から微粒子を除去するために用いられる。例として、ディーゼルエンジン排ガスから微粒子を除去するのに用いられるディーゼル微粒子フィルタ、及びガソリンエンジン排ガスから微粒子を除去するのに用いられるガソリン微粒子フィルタ(GPF)が挙げられる。濾過される排ガスは、入口セルに入り、セル壁を通過し、出口チャネルを介してフィルタから出る。ガスが横断してフィルタから出るときに、入口セルの壁の上又は内部に微粒子が捕捉される。
【発明の概要】
【0004】
本開示の態様は、多孔質体、並びにそれらの製造及び使用方法に関する。
【0005】
一態様では、閉塞したハニカムフィルタ体などのハニカムフィルタ体に無機堆積物を施すための方法が本明細書に開示され、該フィルタ体は多孔質壁を備えており、該方法は、供給混合物を噴霧して液体-微粒子-結合剤液滴とする工程であって、供給混合物が水性ビヒクル、結合剤材料、及び無機材料の粒子からなる、工程;例えばガス状キャリア流を用いて液体-微粒子-結合剤液滴をエアロゾル化する工程;液滴から実質的にすべての水性ビヒクルを除去、例えば蒸発させて、粒子と結合剤材料とからなるエアロゾル化した微粒子-結合剤凝集体を形成する工程;エアロゾル化した凝集体をハニカムフィルタ体の多孔質壁へと向け、それによって多孔質壁上、又は多孔質壁内、若しくは多孔質壁上及び多孔質壁内の両方に凝集体を堆積させる工程を含む。特定の実施形態では、該方法は、凝集体を含むハニカムフィルタ体を、結合剤が凝集体を多孔質壁に結合させるのに十分な時間及び温度、又は凝集体の少なくとも幾つかを互いに結合させるのに十分な時間及び温度、又はその両方に十分な時間及び温度で加熱する工程をさらに含む。幾つかの実施形態では、該方法は、凝集体を含むハニカムフィルタ体を、結合剤を分解させるのに十分な時間及び温度で加熱する工程をさらに含む。幾つかの実施形態では、結合剤材料はケイ素を含み、該方法は、凝集体を含むハニカムフィルタ体を、結合剤材料からシリカを形成するのに十分な時間及び温度で加熱する工程をさらに含む。1つ以上の実施形態では、結合剤材料はケイ素含有化合物である。1つ以上の実施形態では、ケイ素含有化合物は、シロキサン又はポリシロキサン、シリコーン、ケイ酸塩、若しくはそれらの組合せからなる。1つ以上の実施形態では、ケイ素含有化合物は、シリコーン化合物、ポリシロキサン、シリコーン樹脂、シロキサン、アルコキシシロキサン、又はそれらの組合せからなる。1つ以上の実施形態では、ケイ素含有化合物は、ケイ酸塩、アルカリケイ酸塩、ケイ酸ナトリウム、又はそれらの組合せからなる。
【0006】
別の態様では、ハニカム濾過体を製造する方法が本明細書に開示されており、該方法は、無機材料の粒子を水性ビヒクル及び結合剤材料と一緒に混合して、液体-微粒子-結合剤混合物、例えば懸濁液又はコロイドを形成する工程;液体-微粒子-結合剤混合物を噴霧ガスとともに噴霧して、例えば、液体-微粒子-結合剤混合物を噴霧ノズル内へと向け、強制噴霧ガスで噴霧することによって、水性ビヒクル、結合剤材料、及び粒子からなる液体-微粒子-結合剤液滴を形成する工程;ガス状キャリア流を用いて液滴をエアロゾル化し、ハニカムフィルタ体と密接に結合されたダクトを通るキャリアガス流とともに液滴をハニカム体の方へと運ぶ工程を含み、該キャリアガス流はガス状キャリア流を含む。1つ以上の実施形態では、ダクトは、ハニカムフィルタ体に近接する出口端を有しており、ダクトの内面がチャンバを画成する。1つ以上の実施形態では、キャリアガス流は、噴霧ガスをさらに含む。該方法は、エアロゾル化された液滴から実質的にすべての水性ビヒクルを蒸発させて、粒子と結合剤材料とからなるエアロゾル化された微粒子-結合剤凝集体を形成する工程、及びハニカムフィルタ体の多孔質壁に凝集体を堆積させる工程をさらに含む。1つ以上の実施形態では、堆積した凝集体は、多孔質壁上、又は多孔質壁内、若しくは多孔質壁上及び多孔質壁内の両方に配置される。1つ以上の実施形態では、キャリアガス流は、水性ビヒクルの気相をさらに含む。1つ以上の実施形態では、凝集体が噴霧ガスによってハニカムフィルタ体の多孔質壁に堆積されている間に、キャリアガス流は、ハニカムフィルタ体の壁を通過する。
【0007】
1つ以上の実施形態では、キャリアガス流は、ノズルを出る液滴の周りの共流における噴霧ノズルを取り囲む環状流で、ダクトのチャンバに送給される。1つ以上の実施形態では、実質的にすべての水性ビヒクルが液滴から蒸発して、粒子と結合剤材料とからなるエアロゾル化された微粒子-結合剤凝集体を形成し;微粒子-結合剤凝集体のエアロゾル化された集合体が作られ;かつ、集合体及び個別の、例えば集合していない凝集体が、ハニカムフィルタ体の多孔質壁に堆積される。1つ以上の実施形態では、堆積した集合体及び凝集体は、多孔質壁上、又は多孔質壁内、若しくは多孔質壁上及び多孔質壁内の両方に配置される。1つ以上の実施形態では、堆積中、ダクトはハニカムフィルタ体と密閉流体連通している。
【0008】
前述の概要及び以下の詳細な説明はいずれも、さまざまな実施形態を説明しており、特許請求される主題の性質及び特徴を理解するための概観又は枠組みを提供することを意図していることが理解されるべきである。
【0009】
前述の概要及び以下の詳細な説明はいずれも、さまざまな実施形態を説明しており、特許請求される主題の性質及び特徴を理解するための概観又は枠組みを提供することを意図していることが理解されるべきである。添付の図面は、さまざまな実施形態のさらなる理解を提供するために含まれ、本明細書に組み込まれて、その一部を構成する。図面は、本明細書に記載されるさまざまな実施形態を例証しており、その説明とともに、特許請求の範囲の主題の原理及び動作を説明する役割を担う。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本明細書に開示される実施形態による材料を形成するプロセスの例示的な実施形態を示すフローチャート
【
図2】本明細書に開示される実施形態による無機材料を堆積させるための装置の概略図
【
図3】本明細書に開示される実施形態による無機材料を堆積させるための装置の概略図
【
図4】本明細書に開示される実施形態による無機材料を堆積させるための装置の概略図
【
図5】本明細書に開示される実施形態による無機材料を堆積させるための装置の概略図
【
図6】本明細書に開示される実施形態による無機材料を堆積させるための装置の概略図
【
図8】本明細書に開示及び記載される実施形態によるウォールフロー型微粒子フィルタの概略図
【
図10】微粒子が負荷されたハニカム体の壁の概略図
【
図11】本明細書に開示される実施形態による材料を形成する水性ベースのプロセスの例示的な実施形態を示すフローチャート
【
図12】本明細書に開示される実施形態に従って調製されたさまざまな試料の硬化前後の濾過効率を示すグラフ
【
図13】本明細書に開示される実施形態に従って調製されたさまざまな試料の硬化前後の圧力降下を示すグラフ
【
図14A】エタノールベースの懸濁液(DK-2405-5%)から生成したアルミナ凝集体を示すSEM写真
【
図14B】水性ベースの懸濁液(Allied-880-20%)から生成したアルミナ凝集体を示すSEM写真
【
図14C】水性ベースの懸濁液(DK-880-20%)から生成したアルミナ凝集体を示すSEM写真
【
図14D】水性ベースの懸濁液(DK-880-50%)から生成したアルミナ凝集体を示すSEM写真
【
図14E】水性ベースの懸濁液(DK-9950-50%)から生成したアルミナ凝集体を示すSEM写真
【
図14F】水性ベースの懸濁液(DK-2404-20%)から生成したアルミナ凝集体を示すSEM写真
【
図15A】本明細書に開示される実施形態に従って調製されたさまざまな試料について、FE/dP性能に関する水性プロセス及びエタノールベースのプロセスを示すグラフ
【
図15B】本明細書に開示される実施形態に従って調製されたさまざまな試料について、堆積物負荷に対するFEに関する水性プロセス及びエタノールベースのプロセスを示すグラフ
【
図16A】エタノールベースの懸濁液から生成したアルミナ凝集体を示すSEM写真
【
図16B】水性ベースの懸濁液から生成し、多孔質セラミック壁上に堆積したアルミナ凝集体を示すSEM写真
【
図16C】エタノールベースのプロセス及び水性ベースのプロセスによって生成した凝集体についての凝集体の粒径を示すグラフ
【
図16D】エタノールベースのプロセス及び水性ベースのプロセスによって生成した凝集体の累積サイズ分布を示すグラフ
【
図17A】本明細書に開示される実施形態に従って調製された試料の耐水性に関して、濾過効率の耐久性に対する異なる熱処理温度の影響を示すグラフ
【
図17B】本明細書に開示される実施形態に従って調製された試料の耐水性に関して、圧力降下に対する異なる熱処理温度の影響を示すグラフ
【
図18A】本明細書に開示される実施形態に従って調製された試料の耐水性における、異なる熱処理温度での濾過効率に対する熱処理の影響を示すグラフ
【
図18B】本明細書に開示される実施形態に従って調製された試料について異なる熱処理温度での圧力降下に対する熱処理の影響を示すグラフ
【
図19】高流量試験、低温振動試験、ビヒクル試験、及び2段階耐水性試験を含むさまざまな耐久性試験後の濾過効率を示すグラフ
【
図20】本明細書に開示される実施形態に従って調製された閉塞したハニカム体の入口チャネルの入口領域の上面図のSEM写真
【
図21】本明細書に開示される実施形態に従って調製された閉塞したハニカム体の入口チャネルの入口領域の切欠き側面図のSEM写真
【
図22】本明細書に開示される実施形態に従って調製された閉塞したハニカム体の入口チャネルの中央領域の上面図のSEM写真
【
図23】本明細書に開示される実施形態に従って調製された閉塞したハニカム体の入口チャネルの中央領域の切欠き側面図のSEM写真
【
図24】本明細書に開示される実施形態に従って調製された閉塞したハニカム体の入口チャネルの出口領域の上面図のSEM写真
【
図25】本明細書に開示される実施形態に従って調製された閉塞したハニカム体の入口チャネルの出口領域の切欠き側面図のSEM写真
【
図26】本明細書に開示される実施形態に従って調製された閉塞したハニカム体の入口チャネルの出口領域の拡大した切欠き側面図のSEM写真
【
図28A】集合体1500を破線で取り囲んだ、
図27のSEM写真の一部
【
図28B】
図28Aにおいて輪郭を破線で囲んだ、集合体1500の領域を形成する、凝集体1502の概略図
【発明を実施するための形態】
【0011】
これより、その実施形態が添付の図面に示されている、ハニカム体マトリクスの多孔質セラミック壁上、又は多孔質セラミック壁内、又は多孔質セラミック壁上及び多孔質セラミック壁内の両方に無機堆積物(又は「濾過堆積物」)を含む多孔質ハニカム体を含む、ハニカム体を形成するための方法の実施形態について詳細に参照する。濾過堆積物は、ハニカム体に堆積された材料、並びに、元々堆積されていた1つ以上の材料から、例えば加熱によって、形成されうる化合物を含む。例えば、結合剤材料は、加熱することによって有機成分へと変換することができ、これは最終的には燃焼又は揮発するが、無機成分(シリカなど)は、ハニカムフィルタ体内に含まれたままである。可能な場合はいつでも、同一又は類似した部分についての言及には、図面全体を通して同じ参照番号が用いられる。
【0012】
定義
本明細書及び添付の特許請求の範囲で用いられる場合、単数形「a」、「an」、及び「the」は、内容が明確に別段の指示をしない限り、複数の指示対象を有する実施形態を包含する。本明細書及び添付の特許請求の範囲で用いられる場合、「又は」という用語は、内容が明確に別段の指示をしない限り、「及び/又は」を含むその意味で一般に用いられる。
【0013】
本明細書で用いられる場合、「有する」、「有している」、「含む」、「含んでいる」、「備える」、「備えている」などは、オープンエンドの意味で用いられており、一般に「含むがそれらに限定されない」ことを意味する。
【0014】
本明細書で言及される「ハニカム体」は、チャネルを画成するセルを形成する交差する壁のマトリクスのセラミックハニカム構造を含む。セラミックハニカム構造は、可塑化されたセラミック又はセラミック形成バッチ混合物、又はペーストから形成、押し出し、又は成形することができる。ハニカム体は、壁のマトリクスとともに押し出された、又はマトリクスの押出し後に施された、外周壁又は外皮を含みうる。例えば、ハニカム体は、コージエライト又は他の適切なセラミック材料からなる濾過本体を形成する、閉塞したセラミックハニカム構造でありうる。閉塞したハニカム体は、本体の端部の一方又は両方が閉塞した1つ以上のチャネルを有する。
【0015】
本明細書に開示されるハニカム体は、ガスの流れから微粒子物質を濾過するように構成された、1つ以上の濾過材料堆積物を担持する少なくとも1つの壁を備えたセラミックハニカム構造を含む。濾過材料堆積物は、離散した領域に存在してよく、あるいは、幾つかの部分又は幾つかの実施形態では、ハニカム体の壁上の所与の位置に濾過材料の1つ以上の層を形成してもよい。幾つかの実施形態による濾過材料堆積物は無機材料を含み、幾つかの実施形態では有機材料を含み、幾つかの実施形態では無機材料及び有機材料の両方を含む。例えば、ハニカム体は、1つ以上の実施形態では、コージエライト又は他の多孔質セラミック材料から形成することができ、コージエライトハニカム構造の壁面上又は壁面下に配置された無機材料堆積物をさらに含む。
【0016】
幾つかの実施形態では、濾過材料は、1つ以上の無機材料、例えば1つ以上のセラミック又は耐火材料などを含む。
【0017】
本明細書で用いられる場合、「未焼成」又は「未焼成セラミック」は同じ意味で用いられ、特に明記されていない限り、未焼結又は未焼成の材料を指す。
【0018】
方法
本開示の態様は、無機材料などの濾過材料、例えばセラミック又は耐火材料、又はさらには多孔質のセラミック又は耐火材料などの材料を含む、多孔質セラミックハニカム体などの多孔質体を形成する方法に関する。特定の実施形態では、濾過材料は、エアロゾル-堆積濾過材料である。幾つかの好ましい実施形態では、濾過材料は、複数の無機粒子凝集体を含み、該凝集体は、セラミック又は耐火性の材料などの無機物からなる。幾つかの実施形態では、凝集体は多孔質であり、これにより、ガスが凝集体を通って流れることを可能にしうる。
【0019】
エアロゾル堆積は、多孔質セラミック壁への濾過材料の堆積を可能にし、これは、単一の凝集体と同程度に小さいか、又は例えば複数の凝集体のように大きい離散した領域であってよく、幾つかの実施形態では、セラミックハニカム体の壁の少なくとも幾つかの表面上又は表面内、若しくは表面上及び表面内の両方に、濾過材料の多孔質層の形態で存在している。ある特定の実施形態では、1つ以上の実施形態によるエアロゾル堆積法の利点は、濾過性能が向上したセラミックハニカム体を経済的に、及び/又はより効率的に製造することができることである。
【0020】
ある特定の実施形態では、本明細書に開示されるエアロゾル堆積プロセスは、混合物の調製(例えば、無機材料、液体ビヒクル、及び結合剤)、混合物を噴霧ガスとともにノズルを用いて噴霧して、無機材料、水性ビヒクル、及びもしあれば結合剤からなる凝集体及び/又は集合体を形成する工程、キャリアガス又はガス状キャリア流の存在下で凝集体及び/又は集合体を乾燥させる工程、集合体及び/又は凝集体をハニカム体に堆積させる工程、並びに任意選択的に材料を硬化させる工程を含む。幾つかの実施形態では、装置の壁を加熱して、集合体及び/又は凝集体の乾燥を助けることができる。
【0021】
さまざまな実施形態では、液体ビヒクルが凝集体からより速く蒸発することができるように、装置の壁を加熱することに加えて、又は壁を加熱するのではなく、キャリアガスを加熱することができ、これにより、凝集体をより効率的に生成することができる。加熱されたガス状キャリア流は、噴霧された液滴と装置を通して形成された凝集体との両方をハニカム体内へと運ぶ。幾つかの実施形態では、噴霧ガスは、単独で、又はキャリアガスの加熱と組み合わせて、加熱される。幾つかの実施形態では、装置のチャンバ内へと実質的に同じ方向に向かう、エアロゾル化された液滴及び/又は凝集体とガス状キャリア流との共流が、装置の壁上の材料損失又は過剰噴霧の低減に役立ちうる。さらには、ガスの流れと粒子の追跡が装置全体にわたってより均一になるのを助けるために、凝集体がセラミックハニカム体に入る前に収束セクションを装置に追加することができる。不均一な粒子堆積の境界効果を低減又は排除するために、収束セクションの端部の内径はセラミックハニカム体の外径よりもわずかに大きくすることができる。
【0022】
噴霧ノズル又は噴霧器では、高圧及び/又は高速の噴霧ガスを使用して、液体ビヒクル、結合剤、及び固体粒子の混合物を含む懸濁液を、例えば平均液滴サイズが4~6マイクロメートルの小さい液滴へと細分化することができる。これらの液滴の加熱及び水性ビヒクルの迅速な蒸発は、多孔質の無機の特徴又は構造としてハニカム体の壁に堆積する前に、多孔質の無機凝集体を生成する。幾つかの実施形態では、場合によっては同じ動作条件下でも、複数のノズルを用いると、各ノズルを通る液体の流れが減少し、液滴サイズがより小さくなりうる。
【0023】
1つ以上の実施形態によれば、結合剤を用いてエアロゾルを形成することを含むプロセスが本明細書に開示されており、該結合剤は、高濾過効率材料を提供するためにハニカム体上に堆積されており、該材料は、微粒子フィルタを提供するために、ハニカム体上の離散領域に及び/又は幾つかの部分又は幾つかの実施形態では無機層に存在しうる。1つ以上の実施形態によれば、性能は、むき出しのフィルタと比較して濾過効率は90%を超え、圧力降下ペナルティは10%未満である。1つ以上の実施形態によれば、
図1に示されるように、プロセス400は、例えば、ハニカム体の多孔質壁上、又は多孔質壁内、若しくは多孔質壁上及び多孔質壁内の両方に材料を結合するために、混合物を調製する工程405、噴霧して液滴を形成する工程410、液滴とガス状キャリア流を混合する工程415;液体ビヒクルを蒸発させて凝集体を形成する工程420、例えば凝集体などの材料をウォールフロー型フィルタの壁に堆積させる工程425、及び任意選択的な後処理工程430を含む。結合剤を含む凝集体の形態でのエアロゾル堆積法は、高温硬化工程(例えば、1000℃を超える温度への加熱)がなくても、高い機械的完全性を提供することができ、幾つかの実施形態では、高温(例えば、1000℃を超える温度への加熱)硬化工程などの硬化工程後に、さらに高い機械的完全性を提供することができる。
図1のプロセスでは、エアロゾル堆積は、無機材料堆積物を形成し、これは、幾つかの特定の実施形態では、多孔質材料堆積物である。幾つかの実施形態では、材料堆積物は、濾過材料の離散領域の形態をしている。幾つかの実施形態では、材料堆積物の少なくとも幾つかの部分は、多孔質無機層の形態でありうる。
【0024】
さまざまな実施形態では、このプロセスはさらに、閉塞したハニカム体の多孔質壁への凝集体の堆積が半連続的又は連続的に行われるように部品を切り替えることを含み、これにより装置のアイドリング時間が短縮される。1つ以上の実施形態では、部品の切り替えは、堆積が複数のセラミックハニカム体内及び/又は上で実質的に連続するようなタイミングで行われる。連続とは、動作装置が動作温度及び圧力、並びに原料の供給流れの下で維持されること、及びウォールフロー型フィルタなどの部品へのガス状キャリア流及び凝集体の流れが、負荷のかかった部品を負荷のかかっていない部品に切り替えるためだけに中断されることを意味する。半連続は、原料の供給流れのわずかな中断及び、動作温度及び圧力の調整も可能にする。1つ以上の実施形態では、半連続流とは、0.5%以上、1%以上、1.5%以上、2%以上、2.5%以上、及び/又は4.5%以下、4%以下、3.5%以下、3%以下を含む、動作時間の0.1%以上~5%以下の間、流れが中断されることを意味する。1つ以上の実施形態では、流れは、96%以上、97%以上、98%以上、99%以上、99.5%以上、及び/又は99.9%以下、99%以下、98%以下、97%以下を含む、動作時間の95%以上~100%以下の間、継続する。
【0025】
混合物の調製405。市販の無機粒子は、堆積用の無機材料の形成における混合物の原料として使用することができる。1つ以上の実施形態によれば、粒子は、Al2O3、SiO2、TiO2、CeO2、ZrO2、SiC、MgO、及びそれらの組合せから選択される。1つ以上の実施形態では、混合物は懸濁液である。粒子は、さらなる液体ビヒクルが任意選択的に添加される水性ビヒクル中に懸濁された原料として供給されうる。
【0026】
したがって、幾つかの実施形態では、混合物は水性ベースである;例えば、懸濁液の水性ビヒクルは水でありうる。1つ以上の実施形態では、水性ビヒクルは、実質的に水からなる。
【0027】
幾つかの実施形態では、懸濁液は、5~20質量%の粒子及び80~95質量%の液体、並びにそれらの間のすべての値及び部分範囲を含む。一実施形態では、懸濁液は、11質量パーセント±1質量%のアルミナと、89質量パーセント±1質量%の水とを含む。
【0028】
1つ以上の実施形態では、粒子は、約10nm~約4マイクロメートル、約20nm~約3マイクロメートル、又は約50nm~約2マイクロメートル、又は約50nm~約900nm、又は約50nm~約600nmの範囲の平均一次粒子サイズを有する。特定の実施形態では、平均一次粒子サイズは、約100nm~約200nmの範囲、例えば150nmである。平均一次粒子サイズは、幾つかの実施形態では現在10m2/gである、エアロゾル粒子のBET表面積から計算された値として決定することができる。
【0029】
1つ以上の実施形態では、一次粒子は、酸化物粒子などのセラミック粒子、例えば、Al2O3、SiO2、MgO、CeO2、ZrO2、CaO、TiO2、コージエライト、ムライト、SiC、チタン酸アルミニウム、及びそれらの混合物を含む。
【0030】
混合物は、必要に応じて懸濁液を希釈するために添加される溶媒を使用して形成される。噴霧によって生成された液滴が同様のサイズを有している場合、混合物中の固形分を減らすことにより、それに比例して集合体のサイズを縮小することができる。溶媒は上記の懸濁液と混和性があり、かつ、結合剤及び他の成分のための溶媒である必要がある。
【0031】
結合剤は、凝集体を強化し、粘着性又は接着性を提供するために任意選択的に添加されており、該結合剤は、堆積された材料に機械的完全性を提供するために無機結合剤を含みうる。結合剤は、高温(>500℃)で粒子間の結合強度を提供することができる。出発材料は有機であってもよい。約150℃を超える高温に曝露された後、有機出発材料は分解するか、あるいは空気中の水分及び酸素と反応し、最終的に堆積される材料組成物は、Al2O3、SiO2、MgO、CeO2、ZrO2、CaO、TiO2、コージエライト、ムライト、SiC、チタン酸アルミニウム、及びそれらの混合物を含むことができる。適切な結合剤の一例は、両方ともThe Dow Chemical Companyから入手可能なDowsil(商標)US-CF-2405及びDowsil(商標)US-CF-2403である。例示的な結合剤含有量は、粒子含有量の5質量%以上~25質量%以下の範囲である。一実施形態では、結合剤含有量は、15~20質量%±1%である。
【0032】
結合剤の硬化反応を加速するために、触媒を加えることができる。Dowsil(商標)US-CF-2405の硬化反応を加速するために用いられる例示的な触媒は、チタンブトキシドである。例示的な触媒含有量は、結合剤の1質量%である。
【0033】
保管中及び/又はノズルへの送給を待つ間の混合物又は懸濁液の攪拌は、所望の攪拌技術を使用することによって行うことができる。1つ以上の実施形態では、撹拌は、機械的撹拌器によって行われる。一実施形態では、機械的撹拌器の使用は、磁気攪拌システムで用いられる保持容器と接触しているプラスチックでコーティングされたミキシングロッドからの潜在的な汚染の低減及び/又は排除を促進する。
【0034】
噴霧によって液滴を形成する工程410。混合物は、ノズルを介した高圧ガスによって噴霧されて微細な液滴となる。ノズルの一例は、Spraying Systems Co.社の1/4J-SS+SU11-SSである。このセットアップは、ノズル本体と、流体キャップ2050及びエアキャップ67147とで構成される。噴霧ガスは、液体-微粒子-結合剤の流れを液滴へと細分化するのに寄与しうる。
【0035】
1つ以上の実施形態では、本明細書のノズルは、例えば、部品番号が上に与えられている内部混合ノズルなど、内部混合を利用するノズルである。1つ以上の実施形態では、本明細書のノズルは、外部混合を利用するノズルであり、例えば、Spraying Systems社の外部混合ノズルのセットアップ:64エアキャップ及び1650流体キャップからなる1/4J-SS+SU1Aなどである。別の有用なセットアップは、64エアキャップ及び1250流体キャップで構成される。外部混合ノズルは、より小さい粒径を可能にし、材料の利用及び濾過効率を改善する、より狭い粒径分布を可能にするために有利でありうる。外部混合ノズルは、内部混合ノズルと比較して目詰まりが少ない傾向がある。1つ以上の実施形態では、本明細書のノズルは収束ノズルである。本明細書で用いられる場合、収束ノズルとは、入口から出口へと断面積が減少し、それによって流体の流れを加速する流体流路を有するノズルを指す。収束ノズルは、内部で混合することも、外部で混合することもできる。
【0036】
1つ以上の実施形態では、液体-微粒子-結合剤液滴は、ノズルによってチャンバに向けられる。
【0037】
1つ以上の実施形態では、液体-微粒子-結合剤液滴は、複数のノズルによってチャンバに向けられる。1つ以上の実施形態では、複数の液体-微粒子-結合剤の流れを噴霧する工程は、複数の噴霧ノズルを用いて行われる。複数のノズルは、2以上のノズル、3以上、4以上、5以上、6以上、7以上、8以上、9以上、10以上などを含みうる。複数のノズルは、チャンバ内に等間隔に配置されうる。1つ以上の実施形態では、複数のノズルの各々は、装置の中心に向かって角度が付いている。ノズルの角度は鋭角であってよく、装置の側壁に対して90°未満から10°を超える範囲、並びに20°~45°を含めた、それらの間のすべての値及び部分範囲でありうる。
【0038】
噴霧ガスの圧力は、20psi(約138kPa)~150psi(約1034kPa)の範囲でありうる。液体の圧力は、1~100psi(約6.9~689kPa)の範囲でありうる。1つ以上の実施形態による平均液滴サイズは、1マイクロメートル~40マイクロメートルの範囲であってよく、例えば、1マイクロメートル以上~15マイクロメートル以下;2マイクロメートル以上~8マイクロメートル以下;4マイクロメートル以上~8マイクロメートル以下;及び、4マイクロメートル以上~6マイクロメートル以下の範囲;並びに、それらの間のすべての値及び部分範囲を含む。液滴サイズは、混合物の表面張力、混合物の粘度、混合物の密度、ガス流量、ガス圧、液体流量、液体圧力、及びノズル設計を調整することによって調整することができる。1つ以上の実施形態では、噴霧ガスは窒素を含む。1つ以上の実施形態では、噴霧ガスは実質的に不活性ガスからなりうる。1つ以上の実施形態では、噴霧ガスは、主に1つ以上の不活性ガスでありうる。1つ以上の実施形態では、噴霧ガスは、主に窒素ガスでありうる。1つ以上の実施形態では、噴霧ガスは、主に空気でありうる。1つ以上の実施形態では、噴霧ガスは、実質的に窒素又は空気からなりうる。1つ以上の実施形態では、噴霧ガスは乾燥していてよい。1つ以上の実施形態では、噴霧ガスは、チャンバに入るときに液体ビヒクルを実質的に含まない可能性がある。
【0039】
幾つかの実施形態では、懸濁液流量は、18g/分を含む、それらの間のすべての値及び部分範囲を含めた、10~25g/分の範囲である。
【0040】
幾つかの実施形態では、噴霧ガス流量、窒素流量は、5~6Nm3/時を含む、それらの間のすべての値及び部分範囲を含めた、2~10Nm3/時の範囲である。
【0041】
懸濁液の流れ及び対応する凝集体のサイズは、装置に応じて適切に、圧力制御システム又は流れ制御システムによって制御することができる。圧力制御システムでは、圧力コントローラはチューブ又は配管などの供給導管と連通しており、液体中の一次粒子の懸濁液が供給導管に導入され、これが次にノズルへと流れる。流量制御システムには、液体中の一次粒子の懸濁液をノズルへと送給するインジェクタポンプが設けられている。噴霧ガスは通常、ノズルへと個別に供給される。好ましい実施形態では、ポンプは、液体-微粒子-結合剤混合物を実質的に一定の流量で噴霧ノズルへと向ける。一定の流量は、一定の圧力を維持するのとは対照的に、粒径の変動を低減し、ひいては材料の利用を改善するのに役立ちうることから、有利でありうる。
【0042】
1つ以上の実施形態では、懸濁液は、無機材料、水性ビヒクル、及び幾つかの実施形態では結合剤を含み、これが液体-微粒子-結合剤の流れとしてノズルに供給される。すなわち、無機材料の粒子は、水性ビヒクル及び結合剤材料と混合されて、液体-微粒子-結合剤の流れを形成しうる。液体-微粒子-結合剤の流れは、ノズルによって噴霧ガスとともに噴霧されて、液体-微粒子-結合剤液滴となる。1つ以上の実施形態では、液体-微粒子-結合剤の流れは噴霧ガスと混合される。1つ以上の実施形態では、液体-微粒子-結合剤の流れは噴霧ノズルに向けられ、それによって粒子を噴霧し、液体-微粒子-結合剤液滴となる。液体-微粒子-結合剤液滴は、水性ビヒクル、結合剤材料、及び粒子からなる。
【0043】
1つ以上の実施形態では、液体-微粒子-結合剤の流れは、噴霧ノズルを介して噴霧ガスと混合される。1つ以上の実施形態では、液体-微粒子-結合剤の流れは、噴霧ノズルに入る。1つ以上の実施形態では、液体-微粒子-結合剤の流れと噴霧ガスとの混合は、噴霧ノズルの内側で行われる。1つ以上の実施形態では、液体-微粒子-結合剤の流れと噴霧ガスとの混合は、噴霧ノズルの外側で行われる。
【0044】
液滴及びガス状キャリア流の混合415。液滴は、ガス状キャリア流によってハニカム体の方へと運ばれる。1つ以上の実施形態では、ガス状キャリア流は、キャリアガス及び噴霧ガスを含む。1つ以上の実施形態では、キャリアガスの少なくとも一部は、噴霧ノズルと接触する。1つ以上の実施形態では、実質的にすべての水性ビヒクルが液滴から蒸発して、粒子と結合剤材料とからなる凝集体を形成する。
【0045】
1つ以上の実施形態では、ガス状キャリア流は、液滴と混合される前に加熱される。1つ以上の実施形態では、ガス状キャリア流は、80℃以上~300℃以下のすべて、50℃以上~150℃以下、並びにそれらの間のすべての値及び部分範囲を含む、50℃以上~500℃以下の範囲の温度である。理論にとらわれはしないが、より高い温度の利点は、液滴がより速く蒸発することであり、液体の大部分が蒸発する場合に、それらが衝突するときにそれらが付着する可能性が低いことであると考えられる。ある特定の実施形態では、より小さい凝集体は、より良好な濾過材料堆積物の形成に寄与する。さらには、液滴が衝突するが、少量の液体しか含まない場合(内部のみなど)、液滴は球状形態へと合体しない可能性があると考えられる。幾つかの実施形態では、非球状の凝集体は望ましい濾過性能を提供しうる。
【0046】
1つ以上の実施形態では、噴霧ガスは加熱されて、加熱された噴霧ガスを形成し、これが次にノズルを通って流れ、及び/又はノズルと接触する。1つ以上の実施形態では、加熱された噴霧ガスは、80℃以上~300℃以下のすべて、50℃以上~150℃以下、並びにそれらの間のすべての値及び部分範囲を含む、50℃以上~500℃以下の範囲の温度である。
【0047】
1つ以上の実施形態では、キャリアガス及び噴霧ガスは両方とも、独立して加熱され、ノズルと接触する。1つ以上の実施形態では、ガス状の蒸気は加熱されるが、噴霧ガスとノズルは低温(室温にほぼ等しい、例えば25~40℃)に維持される。1つ以上の実施形態では、噴霧ノズルは、噴霧中に冷却される。1つ以上の実施形態では、噴霧ノズルの温度は、水性ビヒクルの沸点未満で維持される。
【0048】
キャリアガスは、装置に供給されて、液体-微粒子-結合剤液滴の乾燥及び運搬を容易にし、結果として生じる凝集体は、装置を通ってハニカム体に入る。1つ以上の実施形態では、キャリアガスは主に、窒素などの不活性ガスである。1つ以上の実施形態では、キャリアガスは、実質的に不活性ガスからなる。1つ以上の実施形態では、キャリアガスは主に、1つ以上の不活性ガスである。1つ以上の実施形態では、キャリアガスは、主に窒素ガスである。1つ以上の実施形態では、キャリアガスは、主に空気である。1つ以上の実施形態では、キャリアガスは、実質的に窒素又は空気からなる。1つ以上の実施形態では、キャリアガスは乾燥している。1つ以上の実施形態では、キャリアガスは、チャンバに入るときに液体ビヒクルを含んでいない。1つ以上の実施形態では、キャリアガスは、水蒸気を5質量パーセント未満で含む。1つ以上の実施形態では、キャリアガスは、液滴と混合される前に加熱される。1つ以上の実施形態では、キャリアガスは、80℃以上~300℃以下のすべて、50℃以上~150℃以下、並びにそれらの間のすべての値及び部分範囲を含む、50℃以上~500℃以下の範囲の温度である。
【0049】
1つ以上の実施形態では、噴霧ガス及びキャリアガスは、独立して、95psi(約655kPa)以上、100psi(約689kPa)以上、105psi(約724kPa)以上、100psi(約689kPa)以上、115psi(約793kPa)以上、又は120psi(約827kPa)以上を含む、90psi(約621kPa)以上の圧力で装置に送給される。1つ以上の実施形態では、ブースターは、噴霧ガス及びキャリアガスを所望の圧力で供給する。
【0050】
装置は、ノズルの下流に拡散領域を含みうる。ガス状キャリア流と液体-微粒子-結合剤液滴との混合の少なくとも一部は、拡散領域で行われる。
【0051】
ガス状キャリア流をチャンバ内で液体-微粒子-結合剤液滴と混合するときに、ガス-液体-微粒子-結合剤混合物が形成される。ガス-液体-微粒子-結合剤混合物は、混合ゾーンで加熱される。1つ以上の実施形態では、粒子及び結合剤を含む液体の液滴は、混合中に存在する。1つ以上の実施形態では、ガス状キャリア流は、液体-微粒子-結合剤液滴と混合する前に加熱される。
【0052】
一実施形態では、キャリアガスは、ノズルを取り囲む環状の共流でチャンバに送給される。一実施形態では、キャリアガスは、ノズルの端部の液滴の周りの共流における、ノズルを取り囲む環状の流れでダクトのチャンバに送給される。
【0053】
凝集体を形成するための蒸発420。高い圧力降下ペナルティをもたらしうる不均一な材料を形成する可能性のある液体毛管力の衝撃を回避するために、液滴は、装置の蒸発セクションで乾燥されて、一次ナノ粒子と結合剤タイプの材料とから構成される二次粒子又は「微小粒子」と呼ばれうる乾燥固体凝集体を形成する。水性ビヒクル又は溶媒は蒸発し、ガス相又は気相でハニカム体を通過するため、材料の堆積中に液体溶媒の残留又は凝縮が最小限に抑えられる。凝集体がガス流によってハニカム体に運ばれるときには、無機材料中の残留液体は10質量%未満でなければならない。幾つかの実施形態では、乾燥の結果として、すべての液体が蒸発し、ガス相又は気相へと変換される。幾つかの実施形態における残留液体は、気相から凝縮した水など、混合物中の溶媒を含む。結合剤の一部又はすべてが硬化前に液体又は他の非固体状態でありうる場合でも、結合剤は液体残留物とは見なされない。1つ以上の実施形態では、チャンバを通る全容積流量は、5Nm3/時以上及び/又は200Nm3/時以下であり;20Nm3/時以上及び/又は100Nm3/時以下;並びに、それらの間のすべての値及び部分範囲を含む。より高い流量は、より低い流量よりも多くの材料を堆積させることができる。より大きい断面積のフィルタを製造する際に、より高い流量は有用でありうる。より大きい断面積のフィルタは、建物用の濾過システム又は屋外の濾過システムに応用できる可能性がある。
【0054】
1つ以上の実施形態では、実質的にすべての水性ビヒクルが液滴から蒸発して、粒子及び結合剤材料の凝集体を形成し、該凝集体はガス状キャリア流中に散在している。1つ以上の実施形態では、装置は、凝集体からの水性ビヒクルの実質的な部分及び/又はすべてを含む、水性ビヒクルの少なくとも一部の蒸発を可能にするのに十分な軸方向長さを有する蒸発セクションを有している。
【0055】
流れに関して、一実施形態では、液滴の経路とガス状キャリア流の経路とは、蒸発セクションに入る前に、実質的に垂直である。1つ以上の実施形態では、キャリアガスは、第1の経路を介して噴霧ノズルに接触し、液滴の経路とキャリアガスの第2の経路とは、ダクトの蒸発セクションに入る前に、互いに実質的に垂直である。
【0056】
別の実施形態では、液滴の経路とガス状キャリア流の経路とは、蒸発セクションに入るときに、実質的に平行である。1つ以上の実施形態では、液滴の経路とガス状キャリア流の経路とは、ダクトの蒸発セクションに入るときに、互いに実質的に平行である。1つ以上の実施形態では、液滴の経路とキャリアガスの経路とは、ダクトの蒸発セクションに入るときに、互いに実質的に平行である。
【0057】
一実施形態では、ガス状キャリア流は、重力に実質的に平行な方向にチャンバから出る。一実施形態では、ガス状キャリア流は、実質的に下向きにチャンバから出る。一実施形態では、ガス状キャリア流は、実質的に上向きにチャンバから出る。
【0058】
ハニカム体における堆積425。二次粒子、又は一次粒子の凝集体は、ガス流で運ばれ、二次粒子又は凝集体、及び/又はそれらの集合体は、ガスがハニカム本体を通過するときにハニカム体の入口壁面に堆積する。1つ以上の実施形態では、凝集体及び/又はそれらの集合体は、閉塞したハニカム体の多孔質壁に堆積される。堆積した凝集体は、多孔質壁上、又は多孔質壁内、若しくは多孔質壁上及び多孔質壁内の両方に配置されうる。1つ以上の実施形態では、閉塞したハニカム体は、ハニカム体の遠位端で閉塞している入口チャネルと、ハニカム体の近位端で閉塞している出口チャネルとを含む。1つ以上の実施形態では、凝集体及び/又はそれらの集合体は、入口チャネルを画成する壁上、又は壁内、若しくは壁上及び壁内の両方に堆積される。
【0059】
流れは、ファン、ブロワ、又は真空ポンプによって駆動されうる。追加の空気をシステムに引き込んで、所望の流量を実現することができる。望ましい流量は、5~200m3/時の範囲である。
【0060】
1つの例示的なハニカム体は、ガソリン微粒子フィルタ(GPF)としての使用に適しており、以下の非限定的な特性を有する:直径4.055インチ(10.3cm)、長さ5.47インチ(13.9cm)、1平方インチあたりのセル数(CPSI)200(約31.0セル/cm2)、壁厚8ミル(203マイクロメートル)、及び平均細孔径14μm。
【0061】
1つ以上の実施形態では、二次粒子又は凝集体の平均直径は、300nm~10マイクロメートル、300nm~8マイクロメートル、300nm~7マイクロメートル、300nm~6マイクロメートル、300nm~5マイクロメートル、300nm~4マイクロメートル、又は300nm~3マイクロメートルの範囲である。特定の実施形態では、二次粒子又は凝集体の平均直径は、約2マイクロメートルを含めた、1.5マイクロメートル~3マイクロメートルの範囲である。二次粒子又は凝集体の平均直径は、走査型電子顕微鏡によって測定することができる。
【0062】
1つ以上の実施形態では、二次粒子又は凝集体の平均直径は、300nm~10マイクロメートル、300nm~8マイクロメートル、300nm~7マイクロメートル、300nm~6マイクロメートル、300nm~5マイクロメートル、300nm~4マイクロメートル、又は300nm~3マイクロメートルの範囲であり、1.5マイクロメートル~3マイクロメートルを含み、かつ約2マイクロメートルを含み、また、二次粒子又は凝集体の平均直径の一次粒子の平均直径に対する比が存在し、これは、約2:1~約67:1;約2:1~約9:1;約2:1~約8:1;約2:1~約7:1;約2:1~約6:1;約2:1~約5:1;約3:1~約10:1;約3:1~約9:1;約3:1~約8:1;約3:1~約7:1;約3:1~約6:1;約3:1~約5:1;約4:1~約10:1;約4:1~約9:1;約4:1~約8:1;約4:1~約7:1;約4:1~約6:1;約4:1~約5:1;約5:1~約10:1;約5:1~約9:1;約5:1~約8:1;約5:1~約7:1;又は約5:1~約6:1の範囲であり、約10:1~約20:1を含む。
【0063】
1つ以上の実施形態では、多孔質壁上に凝集体を堆積させる工程は、ガス状キャリア流をハニカム体の多孔質壁に通すことをさらに含み、濾過された凝集体をハニカム体の壁上又は壁内に捕捉することによって、該ハニカム体の壁が凝集体の少なくとも幾つかを濾過して取り除く。1つ以上の実施形態では、多孔質壁上に凝集体を堆積させる工程は、閉塞したハニカム体の多孔質壁を用いてガス状キャリア流から凝集体を濾過することを含む。
【0064】
後処理430。後処理は、任意選択的に、凝集体をハニカム体に、及び/又は互いに接着させるために使用することができる。すなわち、1つ以上の実施形態では、凝集体の少なくとも幾つかは、多孔質壁に付着する。1つ以上の実施形態では、後処理は、1つ以上の実施形態に従って、存在する場合に、結合剤を加熱及び/又は硬化することを含む。1つ以上の実施形態では、結合剤材料は、凝集体をハニカム体の壁に付着又は接着させる。1つ以上の実施形態では、結合剤材料は、凝集体の粘着性を高める。
【0065】
結合剤組成に応じて、硬化条件は異なる。幾つかの実施形態によれば、例えば100℃以下の温度など、低温の硬化反応が用いられる。幾つかの実施形態では、硬化は、950℃以下の温度の車両排気ガス中で完了することができる。焼成処理は任意選択的であり、650℃以下の温度で行うことができる。例示的な硬化条件は、40℃~200℃の範囲の温度で10分~48時間である。
【0066】
1つ以上の実施形態では、凝集体及び/又はそれらの集合体は、ハニカム体上に堆積された後に加熱される。1つ以上の実施形態では、凝集体の加熱により、堆積した凝集体から結合剤材料の有機成分を除去させる。1つ以上の実施形態では、凝集体の加熱により、結合剤材料の無機成分が凝集体をハニカム体の壁に物理的に結合する。1つ以上の実施形態では、凝集体の加熱により、結合剤の無機成分がハニカム体の多孔質壁上に多孔質無機構造を形成する。1つ以上の実施形態では、堆積した凝集体の加熱により、堆積した凝集体から結合剤材料の有機成分を燃焼又は揮発させる。
【0067】
一態様では、多孔質壁を含む閉塞したハニカム体に表面処理を施す方法は、無機材料の粒子を水性ビヒクル及び結合剤材料と混合して、液体-微粒子-結合剤の流れを形成する工程;液体-微粒子-結合剤の流れを噴霧ガスと混合する工程、液体-微粒子-結合剤の流れを噴霧ノズル内へと向け、それによって粒子を噴霧して、水性ビヒクル、結合剤材料、及び粒子からなる液体-微粒子-結合剤液滴にする工程;ガス状キャリア流によって閉塞したハニカム体の方へと液滴を運ぶ工程であって、ガス状キャリア流がキャリアガス及び噴霧ガスを含む、工程;液滴から水性ビヒクルの実質的にすべてを蒸発させて、粒子と結合剤材料とからなる凝集体を形成する工程;閉塞したハニカム体の多孔質壁に凝集体を堆積させる工程;を含み、堆積した凝集体は、多孔質壁上、又は多孔質壁内、若しくは多孔質壁上及び多孔質壁内の両方に配置される。
【0068】
別の態様では、ハニカム体を形成する方法は、蒸発セクションを備えているダクトと流体連通しているノズルに懸濁液を供給する工程であって、該懸濁液が、無機材料、結合剤材料、及び水性ビヒクルを含む、工程;ダクトにキャリアガスを供給する工程;ノズルをキャリアガスと接触させる工程;蒸発セクションにおいて、水性ビヒクルの少なくとも一部を蒸発させ、それによって無機材料の凝集体を形成する工程;ハニカム体の壁に凝集体を堆積させる工程;並びに、無機材料をハニカム体に結合して多孔質無機材料を形成する工程を含む。多孔質無機材料は、一次粒子及びこれらの一次粒子の凝集体を含みうる。
【0069】
さらなる態様は、多孔質壁を含む閉塞したハニカム体に無機材料を施す方法であり、該方法は、無機材料の粒子及び水性ビヒクルを含む懸濁液を、蒸発セクションを含むダクトと流体連通しているノズルに供給する工程;噴霧ガスを用いて懸濁液を噴霧して液滴を形成する工程;加熱されたキャリアガスを供給する工程;ダクトのチャンバ内で加熱されたキャリアガスを含むガス状キャリア流を液滴と混合して、ガス-液体-微粒子-結合剤混合物を形成する工程;液滴から水性ビヒクルの少なくとも一部を蒸発させて、粒子の凝集体を形成する工程であって、該凝集体がガス状キャリア流中に散在している、工程;凝集体及びガス状キャリア流を、ダクトと流体連通している閉塞したハニカム体内を通過させることによって、ガス状キャリア流が閉塞したハニカム体の多孔質壁を通過し、該閉塞したハニカム体の壁が凝集体を捕捉する、工程を含み、凝集体及び/又はそれらの集合体は、ハニカム体の壁上又は壁内に堆積される。
【0070】
装置
セラミックハニカム体上に結合剤とともに無機材料を堆積させるためのプロセスに用いることができる装置の例が、
図2~6に示されている。概して、本明細書に記載の方法に適した装置は、チャンバを画成するダクトを備えている。ダクトは、異なる空間及びチャンバを画成する幾つかのセクションを有しうる。1つ以上の実施形態では、液滴及びガス状キャリア流は、閉塞したハニカム体に近接した出口端を有するダクトを通って運ばれる。ダクトは、ハニカム体の近位端に係合するための収束セクションを含みうる。収束セクションは、流体の対流が強化されるという点で有利である。ダクトは、堆積工程中、閉塞したハニカム体と密閉流体連通しうる。1つ以上の実施形態では、ダクトは、断熱性又は実質的に断熱性である。幾つかの実施形態では、ノズル温度は、好ましい噴霧を達成するために調整される。
【0071】
幾つかの実施形態では、丸い断面のチャンバは、凝集体をガス状キャリア流に巻き込まれたまま保持することを容易にしうる。さまざまな実施形態では、丸い断面のダクトは、例えば、隅部が存在することの結果でありうる再循環領域又は「デッドゾーン」を低減及び/又は防止する。
【0072】
1つ以上の実施形態では、ダクトの壁の平均温度は、ガス状キャリア流の温度より低い。1つ以上の実施形態では、ダクトの壁の平均温度は、ガス状キャリア流の温度より高い。
【0073】
以下において、装置A~D(
図2~3及び5~6)は、液滴の経路とガス状キャリア流の経路とが蒸発セクションに入るときに実質的に平行である、共流を概略的に示している。装置「T」(
図4)は、第1の経路を介して噴霧ノズルに接触するキャリアガスを示しており、液滴の経路とキャリアガスの第2の経路とは、ダクトの蒸発セクションに入る前に、互いに実質的に垂直である。
【0074】
図2は、ハニカム体を形成するための装置500(装置「A」)を示しており、該装置500は、ダクト551、堆積ゾーン531、出口ゾーン536、出口導管540、及び流れドライバ545を備えている。
【0075】
ダクト551は、第1の端部550から第2の端部555にわたり、第1の端部550のプレナム空間503と該プレナム空間503の下流の蒸発チャンバ523とを含むダクトのチャンバを画成する。1つ以上の実施形態では、ダクト551は実質的に断熱性である。すなわち、ダクト551は外部熱源を有していなくてもよい。蒸発チャンバ523は、ダクト551の蒸発セクション553によって画成され、これは、この実施形態では、不均一な直径の第1のセクション527と、実質的に均一な直径の第2のセクション529とを含む。蒸発セクション553は、入口端521及び出口端525を含む。不均一な直径の第1のセクション527は、入口端521から均一な直径のセクション529に向かって増加する直径を有しており、これは、流れが占拠するための発散空間を作り出す。
【0076】
キャリアガスは導管501によってダクト551に供給され、該ダクト551は加熱されたキャリアガス505を生成するための熱源を有しうる。噴霧ガス515及び懸濁液510は、チューブ又は配管などの個別の供給導管によってノズル520に別々に供給され、該ノズル520は、蒸発セクション553の入口端521にあり、ダクト551(具体的には、この実施形態では蒸発チャンバ523)と流体連通している。懸濁液510は、噴霧ガス515とともにノズル520内に噴霧される。1つ以上の実施形態では、懸濁液510は、本明細書で定義されるように、無機材料、水性ビヒクル、及び結合剤を含み、これは、ノズルに供給される際には、液体-微粒子-結合剤の流れである。液体-微粒子-結合剤の流れは、ノズル520によって噴霧ガス515とともに噴霧されて、液体-微粒子-結合剤液滴となる。
【0077】
1つ以上の実施形態では、加熱されたキャリアガス505は、ノズル520を流れる。噴霧ガス515を加熱して、加熱された噴霧ガスを形成することができる。ノズルの温度は、必要に応じて調整することができる。
【0078】
ノズル520からの出口流及び加熱されたキャリアガス505の流れは、
図2に示されるように、どちらも「Z」方向にある。ノズルの下流に、少なくとも幾らかの混合が生じる拡散領域522が存在しうる。この実施形態では、拡散領域522は蒸発チャンバ523に位置しているが、他の実施形態では、拡散領域522はノズルの位置に応じてプレナム空間503に位置していてもよい。
【0079】
ノズルからの出口流は、加熱されたキャリアガス505と混合され、それによって、ガス-液体-微粒子-結合剤混合物を形成し、これがダクト551のチャンバを通って流れる。具体的には、ガス-液体-微粒子-結合剤混合物は、蒸発セクション553の蒸発チャンバ523を通って、蒸発セクション553の出口端525にある堆積ゾーン531内へと流れる。混合時に、ガス-液体-微粒子-結合剤混合物は、加熱されたキャリアガスによってチャンバ内で加熱される。
【0080】
この実施形態では、ノズルの出口流及び加熱されたキャリアガスは、実質的に同じ方向から蒸発セクション553の蒸発チャンバ523に入る。蒸発チャンバ523では、液滴から実質的にすべての水性ビヒクルが蒸発し、それによって粒子及び結合剤材料の凝集体を形成し、該凝集体は、キャリアガスと噴霧ガスとからなるガス状キャリア流内に散在している。
【0081】
ダクト551と流体連通している堆積ゾーン531は、例えばウォールフロー型微粒子フィルタなどの閉塞したセラミックハニカム体530を収容する。堆積ゾーン531は、セラミックハニカム体530の外径より大きい内径を有する。セラミック粉末を担持するガスの漏れを回避するために、セラミックハニカム体530は、堆積ゾーン531の内径に封止されており、適切な封止は、例えば、膨張可能な「内管」である。「PG」とラベル付けされた圧力計は、微粒子フィルタの上流と下流の圧力差を測定する。
【0082】
ガス-液体-微粒子-結合剤混合物は、セラミックハニカム体530に流入し、それによって、懸濁液の無機材料をセラミックハニカム体上に堆積させる。具体的には、凝集体及びガス状キャリア流は、該ガス状キャリア流がハニカム体の多孔質壁を通過するようにハニカム体に入り、ハニカム体の壁が凝集体を捕捉し、凝集体及び/又はそれらの集合体がハニカム体の壁上又は壁内に堆積される。無機材料は、セラミックハニカム体への後処理時に、セラミックハニカム体に結合する。一実施形態では、結合剤材料は、凝集体をハニカム体の壁に付着又は接着させる。
【0083】
セラミックハニカム体530の下流は、出口チャンバ535を画成する出口ゾーン536である。流れドライバ545は、セラミックハニカム体530の下流にあり、出口導管540を介して堆積ゾーン531及び出口ゾーン536と流体連通している。流れドライバの非限定的な例は、ファン、ブロワ、及び真空ポンプである。エアロゾル化された懸濁液は乾燥され、濾過材料の離散領域として存在する濾過材料の凝集体として、あるいは幾つかの部分又は幾つかの実施形態では層として、あるいはその両方として微粒子フィルタの1つ以上の壁に堆積され、ここで、凝集体は、無機材料の一次粒子からなる。
【0084】
装置500などのフロースルー型の実施形態は、下方向、例えば、重力の方向に実質的に平行であると見なされる。他の実施形態では、装置は、流れが実質的に上方向又は垂直方向に向けられるように構成される。
【0085】
図3では、ダクト651、堆積ゾーン631、出口ゾーン636、出口導管640、及び流れドライバ645を備えた、ハニカム体を形成するための装置600(装置「B」)が示されている。
【0086】
ダクト651は、第1の端部650から第2の端部655にわたり、第1の端部650のプレナム空間603とプレナム空間603の下流の蒸発チャンバ623とを含むダクトのチャンバを画成する。1つ以上の実施形態では、プレナム空間603を画成するダクト651の直径は、蒸発チャンバ623を画成するダクト651の蒸発セクション653の直径と等しくなりうる。1つ以上の実施形態では、ダクト651は実質的に断熱性である。すなわち、ダクト651は外部熱源を有していなくてもよい。蒸発チャンバ623は、この実施形態では、実質的に均一な直径629の単一のセクションを含む。蒸発セクション653は、入口端621及び出口端625を含む。
【0087】
キャリアガスは導管601によってダクト651に供給され、該ダクト551は加熱されたキャリアガス605を生成するための熱源を有しうる。噴霧ガス615及び懸濁液610は、チューブ又は配管などの個別の供給導管によってノズル620に別々に供給され、該ノズル520は、蒸発セクション653の入口端621にあり、ダクト651(具体的には、この実施形態では蒸発チャンバ623)と流体連通している。懸濁液610は、噴霧ガス615とともにノズル620内に噴霧される。1つ以上の実施形態では、懸濁液610は、本明細書で定義されるように、無機材料、水性ビヒクル、及び結合剤を含み、これは、ノズルに供給される際には、液体-微粒子-結合剤の流れである。液体-微粒子-結合剤の流れは、噴霧ガス615とともにノズル620によって噴霧されて、液体-微粒子-結合剤液滴となる。
【0088】
1つ以上の実施形態では、加熱されたキャリアガス605は、ノズル620を流れる。噴霧ガス615を加熱して、加熱された噴霧ガスを形成することができる。ノズルの温度は、必要に応じて調整することができる。
【0089】
ノズル620からの出口流及び加熱されたキャリアガス605の流れは、
図3に示されるように、どちらも「Z」方向にある。特定の実施形態では、ノズルの下流に、少なくとも幾らかの混合が生じる拡散領域622が存在する。この実施形態では、拡散領域622は蒸発チャンバ623に位置しているが、他の実施形態では、拡散領域はノズルの位置に応じてプレナム空間603に位置していてもよい。
【0090】
ノズルからの出口流は、加熱されたキャリアガス605と混合され、それによって、ガス-液体-微粒子-結合剤混合物を形成し、これがダクト651のチャンバを通って流れる。具体的には、ガス-液体-微粒子-結合剤混合物は、蒸発セクション653の蒸発チャンバ623を通って、蒸発セクション653の出口端625にある堆積ゾーン631内へと流れる。混合時に、ガス-液体-微粒子-結合剤混合物は、加熱されたキャリアガスによってチャンバ内で加熱される。
【0091】
この実施形態では、ノズルの出口流及びキャリアガスは、実質的に同じ方向から蒸発セクション653の蒸発チャンバ623に入る。蒸発チャンバ623では、液滴から実質的にすべての水性ビヒクルが蒸発し、それによって粒子及び結合剤材料の凝集体を形成し、該凝集体は、キャリアガスと噴霧ガスとからなるガス状キャリア流内に散在している。
【0092】
ダクト651と流体連通している堆積ゾーン631は、例えばウォールフロー型微粒子フィルタなどの閉塞したセラミックハニカム体630を収容する。堆積ゾーン631は、セラミックハニカム体630の外径より大きい内径を有する。セラミック粉末を担持するガスの漏れを回避するために、セラミックハニカム体630は、堆積ゾーン631の内径に封止されており、適切な封止は、例えば、膨張可能な「内管」である。「PG」とラベル付けされた圧力計は、微粒子フィルタの上流と下流の圧力差を測定する。ガス-液体-微粒子-結合剤混合物は、セラミックハニカム体630に流入し、それによって、懸濁液の無機材料をセラミックハニカム体上に堆積させる。具体的には、凝集体及びガス状キャリア流は、該ガス状キャリア流がハニカム体の多孔質壁を通過するようにハニカム体に入り、ハニカム体の壁が凝集体を捕捉し、該凝集体がハニカム体の壁上又は壁内に堆積される。無機材料は、セラミックハニカム体への後処理時に、セラミックハニカム体に結合する。一実施形態では、結合剤材料は、凝集体をハニカム体の壁に付着又は接着させる。
【0093】
セラミックハニカム体630の下流は、出口チャンバ635を画成する出口ゾーン636である。流れドライバ645は、セラミックハニカム体630の下流にあり、出口導管640を介して堆積ゾーン631及び出口ゾーン636と流体連通している。流れドライバの非限定的な例は、ファン、ブロワ、及び真空ポンプである。エアロゾル化された懸濁液は乾燥され、濾過材料の離散領域として存在する濾過材料の凝集体として、あるいは幾つかの部分又は幾つかの実施形態では層として、あるいはその両方として微粒子フィルタの1つ以上の壁に堆積され、ここで、凝集体は、無機材料の一次粒子からなる。
【0094】
装置600などのフロースルー型の実施形態は、下方向、例えば、重力の方向に実質的に平行であると見なされる。他の実施形態では、装置は、流れが実質的に上方向又は垂直方向に向けられるように構成される。
【0095】
図4では、ダクト951、堆積ゾーン931、出口ゾーン936、出口導管940、及び流れドライバ945を備えた、ハニカム体を形成するための装置900(装置「T」)が示されている。
【0096】
ダクト951は、第1の端部950から第2の端部955にわたり、直円筒形セクション928を備えており、すべてが、第1の端部950の第1のプレナム空間903、該第1のプレナム空間903の下流の蒸発チャンバ923、及び直円筒形セクション928によって画成される第2のプレナム空間929を含むダクトのチャンバを画成する。1つ以上の実施形態では、プレナム空間903を画成するダクト951の直径は、ダクト951の蒸発セクション953の第1の入口位置921の直径と等しくなりうる。1つ以上の実施形態では、ダクト951は実質的に断熱性である。すなわち、ダクト951は外部熱源を有していなくてもよい。蒸発チャンバ923は、ダクト951の蒸発セクション953によって画成される。蒸発セクション953は、第1のプレナム空間903からの第1の入口位置921、第2のプレナム空間929からの第2の入口位置924、及び出口端925を含む。幾つかの実施形態では、直円筒形セクション928によって画成される第2のプレナム空間929の少なくとも一部において、幾らかの蒸発が起こりうる。
【0097】
キャリアガスは、導管901によってダクト951への第1の経路で供給され、これは、第1のプレナム空間903に入る一次加熱キャリアガス905a、及び任意選択的に、第2の経路で第2のプレナム空間929に入る別の二次加熱キャリアガス905bを生成するための熱源906aを有しうる。噴霧ガス915及び懸濁液910は、チューブ又は配管などの個別の供給導管によって、ノズル920に別々に供給され、該ノズル920は、直円筒形セクション928の第2のプレナム空間929にあり、蒸発セクション953の蒸発チャンバ923と流体連通している。懸濁液910は、噴霧ガス915とともにノズル920内に噴霧される。1つ以上の実施形態では、懸濁液910は、本明細書で定義されるように、無機材料、水性ビヒクル、及び結合剤を含み、これは、ノズルに供給される際には、液体-微粒子-結合剤の流れである。液体-微粒子-結合剤の流れは、噴霧ガス915とともにノズル920によって噴霧されて、液体-微粒子-結合剤液滴となる。
【0098】
1つ以上の実施形態では、二次加熱キャリアガス905bはノズル920を流れ、ノズルの温度は、必要に応じて調整することができる。
【0099】
ノズル920からの出口流及び、存在する場合には、二次加熱キャリアガス905bの流れは、
図4に示されるように、どちらも「X」方向にある。一次加熱キャリアガス905aの流れは、
図4に示されるように「Z」方向である。ノズルの下流に、少なくとも幾らかの混合が生じる拡散領域922が存在しうる。この実施形態では、拡散領域922は、少なくとも部分的に第2のプレナム空間929内に配置されているが、他の実施形態では、拡散領域922は、ノズルの位置に応じて蒸発チャンバ923に位置していてもよい。
【0100】
ノズルからの出口流は、加熱されたキャリアガス905a及び905bと混合され、それによって、ガス-液体-微粒子-結合剤混合物を形成し、これがダクト951のチャンバを通って流れる。具体的には、ガス-液体-微粒子-結合剤混合物は、蒸発セクション953の蒸発チャンバ923を通って、蒸発セクション953の出口端925にある堆積ゾーン931内へと流れる。混合時に、ガス-液体-微粒子-結合剤混合物は、加熱されたキャリアガスによってチャンバ内で加熱される。
【0101】
この実施形態では、ノズルの出口流及び一次キャリアガス905aは、実質的に垂直方向から蒸発セクション953の蒸発チャンバ923に入る。蒸発チャンバ923では、液滴から実質的にすべての水性ビヒクルが蒸発し、それによって粒子及び結合剤材料の凝集体を形成し、該凝集体は、キャリアガスと噴霧ガスとからなるガス状キャリア流中に散在している。
【0102】
ダクト951と流体連通している堆積ゾーン931は、例えばウォールフロー型微粒子フィルタなどの閉塞したセラミックハニカム体930を収容する。堆積ゾーン931は、セラミックハニカム体930の外径より大きい内径を有する。セラミック粉末を担持するガスの漏れを回避するために、セラミックハニカム体930は、堆積ゾーン931の内径に封止されており、適切な封止は、例えば、膨張可能な「内管」である。「PG」とラベル付けされた圧力計は、微粒子フィルタの上流と下流の圧力差を測定する。ガス-液体-微粒子-結合剤混合物は、セラミックハニカム体930に流入し、それによって、懸濁液の無機材料をセラミックハニカム体上に堆積させる。具体的には、凝集体及びガス状キャリア流は、該ガス状キャリア流がハニカム体の多孔質壁を通過するようにハニカム体に入り、ハニカム体の壁が凝集体を捕捉し、該凝集体がハニカム体の壁上又は壁内に堆積される。無機材料は、セラミックハニカム体への後処理時に、セラミックハニカム体に結合する。一実施形態では、結合剤材料は、凝集体をハニカム体の壁に付着又は接着させる。
【0103】
セラミックハニカム体930の下流は、出口チャンバ935を画成する出口ゾーン936である。流れドライバ945は、セラミックハニカム体930の下流にあり、出口導管940を介して堆積ゾーン931及び出口ゾーン936と流体連通している。流れドライバの非限定的な例は、ファン、ブロワ、及び真空ポンプである。エアロゾル化された懸濁液は乾燥され、濾過材料の離散領域として存在する濾過材料の凝集体として、あるいは幾つかの部分又は幾つかの実施形態では層として、あるいはその両方として微粒子フィルタの1つ以上の壁に堆積され、ここで、凝集体は、無機材料の一次粒子からなる。
【0104】
装置900などの全体的なフロースルー型の実施形態は、下方向、例えば、重力の方向に実質的に平行であると見なされる。他の実施形態では、装置は、流れが実質的に上方向又は垂直方向に向けられるように構成される。
【0105】
図5は、ハニカム体を形成するための装置700(装置「C」)を示しており、該装置700は、ダクト751、堆積ゾーン731、出口ゾーン736、出口導管740、及び流れドライバ745を備えている。
【0106】
ダクト751は、第1の端部750から第2の端部755にわたり、第1の端部750のプレナム空間703とプレナム空間703の下流の蒸発チャンバ723とを含むダクトのチャンバを画成する。1つ以上の実施形態では、プレナム空間703を画成するダクト751の直径は、入口端721における蒸発セクション753の直径と等しくなりうる。1つ以上の実施形態では、ダクト751は実質的に断熱性である。すなわち、ダクト751は外部熱源を有していなくてもよい。蒸発チャンバ723は、ダクト751の蒸発セクション753によって画成され、これは、この実施形態では、不均一な直径の第1のセクション727と、実質的に均一な直径の第2のセクション729とを含む。蒸発セクション753は、入口端721及び出口端725を含む。不均一な直径の第1のセクション727は、出口端725から均一な直径のセクション729に向かって縮小する直径を有しており、これは、流れが堆積ゾーン731に入るときに流れのための収束空間を作り出す。
【0107】
キャリアガスは導管701によってダクト751に供給され、該ダクト551は加熱されたキャリアガス705を生成するための熱源を有しうる。噴霧ガス715及び懸濁液710は、チューブ又は配管などの個別の供給導管によってノズル720に別々に供給され、該ノズル520は、蒸発セクション753の入口端721にあり、ダクト751(具体的には、この実施形態では蒸発チャンバ723)と流体連通している。懸濁液710は、噴霧ガス715とともにノズル720内に噴霧される。1つ以上の実施形態では、懸濁液710は、本明細書で定義されるように、無機材料、水性ビヒクル、及び結合剤を含み、これは、ノズルに供給される際には、液体-微粒子-結合剤の流れである。液体-微粒子-結合剤の流れは、ノズル720によって噴霧ガス715とともに噴霧されて、液体-微粒子-結合剤液滴となる。
【0108】
1つ以上の実施形態では、加熱されたキャリアガス705は、ノズル720を流れる。噴霧ガス715を加熱して、加熱された噴霧ガスを形成することができる。ノズルの温度は、必要に応じて調整することができる。
【0109】
ノズル720からの出口流及び加熱されたキャリアガス705の流れは、
図5に示されるように、どちらも「Z」方向にある。ノズルの下流に、少なくとも幾らかの混合が生じる拡散領域722が存在しうる。この実施形態では、拡散領域722は蒸発チャンバ723に位置しているが、他の実施形態では、拡散領域はノズルの位置に応じてプレナム空間703に位置していてもよい。
【0110】
ノズルからの出口流は、加熱されたキャリアガス705と混合され、それによって、ガス-液体-微粒子-結合剤混合物を形成し、これがダクト751のチャンバを通って流れる。具体的には、ガス-液体-微粒子-結合剤混合物は、蒸発セクション753の蒸発チャンバ723を通って、蒸発セクション753の出口端725にある堆積ゾーン731内へと流れる。混合時に、ガス-液体-微粒子-結合剤混合物は、加熱されたキャリアガスによってチャンバ内で加熱される。
【0111】
この実施形態では、ノズルの出口流及び加熱されたキャリアガスは、実質的に同じ方向から蒸発セクション753の蒸発チャンバ723に入る。蒸発チャンバ723では、液滴から実質的にすべての水性ビヒクルが蒸発し、それによって粒子及び結合剤材料の凝集体を形成し、該凝集体は、キャリアガスと噴霧ガスとからなるガス状キャリア流内に散在している。
【0112】
ダクト751と流体連通している堆積ゾーン731は、例えばウォールフロー型微粒子フィルタなどの閉塞したセラミックハニカム体730を収容する。堆積ゾーン731は、セラミックハニカム体730の外径より大きい内径を有する。セラミック粉末を担持するガスの漏れを回避するために、セラミックハニカム体730は、堆積ゾーン731の内径に封止されており、適切な封止は、例えば、膨張可能な「内管」である。「PG」とラベル付けされた圧力計は、微粒子フィルタの上流と下流の圧力差を測定する。ガス-液体-微粒子-結合剤混合物は、セラミックハニカム体730に流入し、それによって、懸濁液の無機材料をセラミックハニカム体上に堆積させる。具体的には、凝集体及びガス状キャリア流は、該ガス状キャリア流がハニカム体の多孔質壁を通過するようにハニカム体に入り、ハニカム体の壁が凝集体を捕捉し、凝集体及び/又はそれらの集合体がハニカム体の壁上又は壁内に堆積される。無機材料は、セラミックハニカム体への後処理時に、セラミックハニカム体に結合する。一実施形態では、結合剤材料は、凝集体をハニカム体の壁に付着又は接着させる。
【0113】
セラミックハニカム体730の下流は、出口チャンバ735を画成する出口ゾーン736である。流れドライバ745は、セラミックハニカム体730の下流にあり、出口導管740を介して堆積ゾーン731及び出口ゾーン736と流体連通している。流れドライバの非限定的な例は、ファン、ブロワ、及び真空ポンプである。噴霧された懸濁液の液滴は、エアロゾル化され、乾燥されて、濾過材料の離散領域として存在する濾過材料の凝集体として、あるいは幾つかの部分又は幾つかの実施形態では層として、あるいはその両方として微粒子フィルタの1つ以上の壁に堆積され、ここで、凝集体は、無機材料の一次粒子からなる。
【0114】
装置700などのフロースルー型の実施形態は、下方向、例えば、重力の方向に実質的に平行であると見なされる。他の実施形態では、装置は、流れが実質的に上方向又は垂直方向に向けられるように構成される。
【0115】
図6は、ハニカム体を形成するための装置800(装置「D」)を示しており、該装置800は、ダクト851、堆積ゾーン831、出口ゾーン836、出口導管840、及び流れドライバ845を備えている。
【0116】
ダクト851は、第1の端部850から第2の端部855にわたり、第1の端部850のプレナム空間803とプレナム空間803の下流の蒸発チャンバ823とを含むダクトのチャンバを画成する。1つ以上の実施形態では、ダクト851は実質的に断熱性である。すなわち、ダクト851は外部熱源を有していなくてもよい。蒸発チャンバ823は、ダクト851の蒸発セクション853によって画成され、これは、この実施形態では、不均一な直径の第1のセクション827と、実質的に均一な直径の第2のセクション829とを含む。蒸発セクション853は、入口端821及び出口端825を含む。不均一な直径の第1のセクション827は、出口端825から均一な直径のセクション829に向かって縮小する直径を有しており、これは、流れが堆積ゾーン831に入るときに流れのための収束空間を作り出す。幾つかの実施形態では、蒸発セクション853は、装置「B」に類似した実質的に均一な直径の単一のセクションを有するように構成される。あるいは、蒸発セクション853は、装置「A」に類似した、入口端821から均一な直径のセクションへと増加する不均一な直径のセクションを有する。
【0117】
キャリアガスは導管801によってダクト851に供給され、該ダクト551は加熱されたキャリアガス805を生成するための熱源を有しうる。噴霧ガス815及び懸濁液810は、チューブ又は配管などの個別の供給導管を介して、プレナム空間803と流体連通している複数のノズル820a、820b、及び820cに別々に供給される。各ノズルは噴霧ガスの流入を有しており、例えば、815aはノズル820aに、815bはノズル820bに供給する。各ノズルは懸濁液の流入を有しており、例えば、810aはノズル820aに、810bはノズル820bに供給する。任意選択的に、各ノズルは加熱されたキャリアガスの供給を有しており、例えば、802aはノズル820aに、802bはノズル820bに供給する。
図6の実施形態は3つのノズルを示しているが、他の実施形態では、任意の数の複数のノズルが用いられる。懸濁液810は、噴霧ガス815とともにノズル820内に噴霧される。1つ以上の実施形態では、懸濁液810は、本明細書で定義されるように、無機材料、水性ビヒクル、及び結合剤を含み、これは、ノズルに供給される際には、液体-微粒子-結合剤の流れである。液体-微粒子-結合剤の流れは、噴霧ガス815とともにノズル820によって噴霧されて、液体-微粒子-結合剤液滴となる。
【0118】
1つ以上の実施形態では、加熱されたキャリアガス805並びに任意選択的に802a及び802bは、ノズルを流れる。噴霧ガス815a及び815bを加熱して、加熱された噴霧ガスを形成することができる。ノズルの温度は、必要に応じて、個別に又は集合的に調整することができる。
【0119】
加熱されたキャリアガス805の流れは、
図6に示されるように「Z」方向である。ノズル820a、820b、及び820cからの出口流はダクト851の中心に向かって角度が付いている場合があるが、加熱されたキャリアガス805と混合すると、ノズルの出口流は、概して「Z」方向になる。ノズルの下流に、少なくとも幾らかの混合が生じる拡散領域822が存在しうる。この実施形態では、拡散領域822はプレナム空間803に位置しているが、他の実施形態では、拡散領域は、ノズルの位置に応じて蒸発チャンバ823に位置していてもよい。
【0120】
ノズルからの出口流は、加熱されたキャリアガス805と混合され、それによって、ガス-液体-微粒子-結合剤混合物を形成し、これがダクト851のチャンバを通って流れる。具体的には、ガス-液体-微粒子-結合剤混合物は、蒸発セクション853の蒸発チャンバ823を通って、蒸発セクション853の出口端825にある堆積ゾーン831内へと流れる。混合時に、ガス-液体-微粒子-結合剤混合物は、加熱されたキャリアガスによってチャンバ内で加熱される。
【0121】
この実施形態では、ノズルの出口流及び加熱されたガスは、実質的に同じ方向から蒸発セクション853の蒸発チャンバ823に入る。蒸発チャンバ823では、液滴から実質的にすべての水性ビヒクルが蒸発し、それによって粒子及び結合剤材料の凝集体を形成し、該凝集体は、キャリアガスと噴霧ガスとからなるガス状キャリア流内に散在している。
【0122】
ダクト851と流体連通している堆積ゾーン831は、閉塞したセラミックハニカム体830、例えばウォールフロー型微粒子フィルタ又は「ウォールフロー型フィルタ」などを収容する。堆積ゾーン831は、セラミックハニカム体830の外径より大きい内径を有する。セラミック粉末を担持するガスの漏れを回避するために、セラミックハニカム体830は、堆積ゾーン831の内径に封止されており、適切な封止は、例えば、膨張可能な「内管」である。「PG」とラベル付けされた圧力計は、微粒子フィルタの上流と下流の圧力差を測定する。ガス-液体-微粒子-結合剤混合物は、セラミックハニカム体830に流入し、それによって、懸濁液の無機材料をセラミックハニカム体上に堆積させる。具体的には、凝集体及びガス状キャリア流は、該ガス状キャリア流がハニカム体の多孔質壁を通過するようにハニカム体に入り、ハニカム体の壁が凝集体を捕捉し、凝集体及び/又はそれらの集合体がハニカム体の壁上又は壁内に堆積される。無機材料は、セラミックハニカム体への後処理時に、セラミックハニカム体に結合する。一実施形態では、結合剤材料は、凝集体をハニカム体の壁に付着又は接着させる。
【0123】
セラミックハニカム体830の下流は、出口チャンバ835を画成する出口ゾーン836である。流れドライバ845は、セラミックハニカム体830の下流にあり、出口導管840を介して堆積ゾーン831及び出口ゾーン836と流体連通している。流れドライバの非限定的な例は、ファン、ブロワ、及び真空ポンプである。噴霧された懸濁液の液滴は、エアロゾル化され、乾燥されて、濾過材料の離散領域として存在する濾過材料の凝集体として、あるいは幾つかの部分又は幾つかの実施形態では層として、あるいはその両方として微粒子フィルタの1つ以上の壁に堆積され、ここで、凝集体は、無機材料の一次粒子からなる。
【0124】
装置800などのフロースルー型の実施形態は、下方向、例えば、重力の方向に実質的に平行であると見なされる。他の実施形態では、装置は、流れが実質的に上方向又は垂直方向に向けられるように構成されうる。
【0125】
ハニカム体の概要
本明細書に記載されるセラミック物品は、複数の内部チャネルを画成する壁面を有する多孔質壁の多孔質セラミックハニカム構造からなるハニカム体を含む。
【0126】
幾つかの実施形態では、多孔質セラミック壁は、幾つかの部分又は幾つかの実施形態では、壁の1つ以上の壁の表面に配置された多孔質無機層を含みうる濾過材料などの材料を含む。幾つかの実施形態では、濾過材料は、1つ以上の無機材料、例えば1つ以上のセラミック又は耐火材料などを含む。幾つかの実施形態では、濾過材料は壁に配置されて、例えば、ハニカム体をフィルタとして長期間使用した後、ハニカム体の内側に灰及び/又は煤が実質的に蓄積する前など、少なくとも、ハニカム体のクリーン状態又は再生状態の後のフィルタとしてのハニカム体の初期使用において、壁を通して及び壁に局所的に、並びにハニカム体を通して全体的に、の両方において、濾過効率を高める。
【0127】
一態様では、濾過材料は、ハニカム構造の1つ以上の壁の表面上に配置された層として、幾つかの部分又は幾つかの実施形態に存在する。幾つかの実施形態における層は、ガスが壁を通って流れることを可能にするように、多孔質である。幾つかの実施形態では、層は、1つ以上の壁の表面の少なくとも一部、又は表面全体にわたって連続コーティングとして存在する。この態様の幾つかの実施形態では、濾過材料は、火炎堆積濾過材料である。
【0128】
別の態様では、濾過材料は、ハニカム構造の1つ以上の壁の表面に配置された濾過材料の複数の離散領域として存在する。濾過材料は、多孔質壁の幾つかの細孔の一部を部分的に遮断する一方で、ガスの流れが壁を通ることを可能にしうる。この態様の幾つかの実施形態では、濾過材料は、エアロゾル-堆積濾過材料である。幾つかの好ましい実施形態では、濾過材料は、複数の無機粒子凝集体を含み、該凝集体は、無機又はセラミック又は耐火材料からなる。幾つかの実施形態では、凝集体は多孔質であり、それによって、ガスが凝集体を通って流れることを可能にしうる。
【0129】
幾つかの実施形態では、ハニカム体は、第1の端部、第2の端部、及び複数の内部チャネルを画成する壁面を有する複数の壁を備えた多孔質セラミックハニカム体を含む。幾つかの部分又は幾つかの実施形態では多孔質無機層でありうる濾過材料などの堆積した材料が、ハニカム体の1つ以上の壁面に配置される。多孔質無機層でありうる濾過材料などの堆積した材料は、水銀圧入ポロシメトリー、SEM、又はX線トモグラフィで測定して、約20%~約95%、又は約25%~約95%、又は約30%~約95%、又は約40%~約95%、又は約45%~約95%、又は約50%~約95%、又は約55%~約95%、又は約60%~約95%、又は約65%~約95%、又は約70%~約95%、又は約75%~約95%、又は約80%~約95%、又は約85%~約95%、約30%~約95%、又は約40%~約95%、又は約45%~約95%、又は約50%~約95%、又は約55%~約95%、又は約60%~約95%、又は約65%~約95%、又は約70%~約95%、又は約75%~約95%、又は約80%~約95%、又は約85%~約95%、又は約20%~約90%、又は約25%~約90%、又は約30%~約90%、又は約40%~約90%、又は約45%~約90%、又は約50%~約90%、又は約55%~約90%、又は約60%~約90%、又は約65%~約90%、又は約70%~約90%、又は約75%~約90%、又は約80%~約90%、又は約85%~約90%、又は約20%~約85%、又は約25%~約85%、又は約30%~約85%、又は約40%~約85%、又は約45%~約85%、又は約50%~約85%、又は約55%~約85%、又は約60%~約85%、又は約65%~約85%、又は約70%~約85%、又は約75%~約85%、又は約80%~約85%、又は約20%~約80%、又は約25%~約80%、又は約30%~約80%、又は約40%~約80%、又は約45%~約80%、又は約50%~約80%、又は約55%~約80%、又は約60%~約80%、又は約65%~約80%、又は約70%~約80%、又は約75%~約80%の範囲の空隙率を有しており、該多孔質無機層でありうる濾過材料などの堆積した材料は、0.5μm以上かつ50μm以下、又は0.5μm以上かつ45μm以下、0.5μm以上かつ40μm以下、又は0.5μm以上かつ35μm以下、又は0.5μm以上かつ30μm以下、0.5μm以上かつ25μm以下、又は0.5μm以上かつ20μm以下、又は0.5μm以上かつ15μm以下、0.5μm以上かつ10μm以下の平均厚さを有している。ハニカム体のさまざまな実施形態及びこのようなハニカム体の形成方法が、添付の図面を特に参照して本明細書に記載される。
【0130】
幾つかの実施形態における材料は濾過材料を含み、幾つかの実施形態では、無機濾過材料を含む。1つ以上の実施形態によれば、本明細書で提供される無機濾過材料は、実質的に球形である二次粒子又は凝集体における一次粒子からなる、材料又は濾過材料及び結合剤の離散した、接続していないパッチを含む、入口端から出口端まで形成された離散領域及び/又は不連続層を含む。1つ以上の実施形態では、一次粒子は非球形である。1つ以上の実施形態では、「実質的に球形」とは、断面積が約0.8~約1、又は約0.9~約1の範囲の真円度を有する凝集体を指し、1は完全な円を表す。1つ以上の実施形態では、ハニカム体に堆積した一次粒子の75%は、0.8未満の真円度を有する。1つ以上の実施形態では、ハニカム体に堆積した二次粒子又は凝集体は、0.9超、0.95超、0.96超、0.97超、0.98超、又は0.99超の平均真円度を有する。
【0131】
真円度は、走査型電子顕微鏡(SEM)を使用して測定することができる。「断面の真円度(又は、単純に真円度)」という用語は、以下に示す式を使用して表される値である。真円度1を有する円は完全な円である:
真円度=(4π×断面積)/(断面の円周の長さ)2。
【0132】
1つ以上の実施形態のハニカム体は、ハニカム構造と、該ハニカム構造の1つ以上の壁に配置された濾過材料などの堆積した材料とを含みうる。幾つかの実施形態では、濾過材料などの堆積した材料は、ハニカム構造内に存在する壁の表面に施され、この壁は、複数の内部チャネルを画成する表面を有する。
【0133】
内部チャネルは、存在する場合には、例えば、円、楕円形、三角形、正方形、五角形、六角形、又はこれらのいずれかのモザイク式の組合せなど、さまざまな断面形状を有することができ、任意の適切な幾何学的構成で配置することができる。内部チャネルは、存在する場合には、離散又は交差することができ、ハニカム体を通って、その第1の端部から該第1の端部の反対側にある第2の端部まで延在しうる。
【0134】
次に、
図7を参照すると、本明細書に示され、説明される1つ以上の実施形態によるハニカム体100が示されている。ハニカム体100は、実施形態では、複数の内部チャネル110を画成する複数の壁115を含みうる。複数の内部チャネル110及び交差するチャネル壁115は、ハニカム体の入口端出口端でありうる第1の端部105と出口端でありうる第2の端部135との間に延在する。ハニカム体は、第1の端部105及び第2の端部135の一方又は両方が閉塞した1つ以上のチャネルを有しうる。ハニカム体の閉塞したチャネルのパターンは限定されない。幾つかの実施形態では、ハニカム体の一方の端部の閉塞しているチャネル及び閉塞していないチャネルのパターンは、ハニカム体の一方の端部の交互のチャネルが閉塞しているチェッカーボードパターンでありうる。幾つかの実施形態では、ハニカム体の一方の端部の閉塞したチャネルは、他方の端部に、対応する閉塞していないチャネルを有しており、ハニカム体の一方の端部の閉塞していないチャネルは、他方の端部に、対応する閉塞したチャネルを有している。
【0135】
1つ以上の実施形態では、ハニカム体は、コージエライト、チタン酸アルミニウム、頑火輝石、ムライト、フォルステライト、コランダム(SiC)、スピネル、サフィリン、及びペリクレースから形成することができる。概して、コージエライトは、式Mg2Al4Si5O18に従う組成を有する。幾つかの実施形態では、セラミック材料の細孔径、セラミック材料の空隙率、及びセラミック材料の細孔径分布は、例えば、セラミック原料の粒径を変化させることによって制御される。加えて、ハニカム体を形成するために用いられるセラミックバッチに、細孔形成剤を含めることができる。
【0136】
幾つかの実施形態では、ハニカム体の壁は、25μm以上~250μm以下、例えば45μm以上~230μm以下、65μm以上~210μm以下、65μm以上~190μm以下、又は85μm以上~170μm以下の平均厚さを有しうる。ハニカム体の壁は、バルク部分(本明細書ではバルクとも呼ばれる)及び表面部分(本明細書では表面とも呼ばれる)からなるベース部分を有するものと説明することができる。壁の表面部分は、ハニカム体のバルク部分に向かって、ハニカム体の壁の表面から壁内へと延びる。表面部分は、ハニカム本体の壁のベース部分に0(ゼロ)から約10μmの深さまで延在しうる。幾つかの実施形態では、表面部分は、壁のベース部分内へと約5μm、約7μm、又は約9μm(すなわち、深さ0(ゼロ))延在しうる。ハニカム体のバルク部分は、表面部分を差し引いた壁の厚さを構成する。したがって、ハニカム体のバルク部分は、次式によって決定することができる:
T全体-2t表面
ここで、t全体は壁の全厚であり、t表面は壁の表面の厚さである。
【0137】
1つ以上の実施形態では、ハニカム体のバルク(任意の濾過材料を施す前)は、7μm以上~25μm以下、例えば12μm以上~22μm以下、又は12μm以上~18μm以下のバルク平均細孔径を有する。例えば、幾つかの実施形態では、ハニカム体のバルクは、約10μm、約11μm、約12μm、約13μm、約14μm、約15μm、約16μm、約17μm、約18μm、約19μm、又は約20μmのバルク平均細孔径を有しうる。概して、所与の材料の細孔径は、統計的分布で存在する。したがって、「平均細孔径」又は「d50」(濾過材料を施す前)という用語は、すべての細孔の統計的分布に基づいて、それより上に細孔の50%の細孔径が存在し、それより下に細孔の残りの50%の細孔径が存在する、長さの測定値を指す。セラミック体の細孔は、次のうちの少なくとも1つによって製造することができる:(1)無機バッチ材料の粒径及びサイズ分布;(2)炉/熱処理の焼成時間及び温度スケジュール;(3)炉の雰囲気(例えば、低い又は高い酸素及び/又は水分含有量)、並びに;(4)例えば、ポリマー及びポリマー粒子、デンプン、木粉、中空無機粒子、及び/又はグラファイト/炭素粒子などの細孔形成剤。
【0138】
特定の実施形態では、ハニカム体のバルク(濾過材料を施す前)の平均細孔径(d50)は、10μm~約16μm、例えば13~14μmの範囲であり、d10は、すべての細孔の統計的分布に基づいて、それより上に、細孔の90%の細孔径が存在し、それより下に、細孔の残りの10%の細孔径が存在する、長さの測定値を指し、約7μmである。特定の実施形態では、d90は、すべての細孔の統計的分布に基づいて、それより上に、ハニカム体のバルク(濾過材料を施す前)の細孔の10%の細孔径が存在し、それより下に、細孔の残りの90%の細孔径が存在する、長さの測定値を指し、約30μmである。特定の実施形態では、二次粒子又は凝集体の平均直径(D50)は約2マイクロメートルである。特定の実施形態では、凝集体の平均サイズD50及びバルクハニカム体の平均壁細孔径d50が、凝集体の平均サイズD50のバルクハニカム体の平均壁細孔径d50に対する比が、5:1~16:1の範囲になるようなものである場合、優れた濾過効率結果及び低い圧力降下結果が達成されることが確認されている。より具体的な実施形態では、凝集体の平均サイズD50のハニカム体のバルク(濾過材料を施す前)の平均壁細孔径d50に対する比は、6:1~16:1、7:1~16:1、8:1~16:1、9:1~16:1、10:1~16:1、11:1~16:1、又は12:1~6:1の範囲であり、優れた濾過効率の結果及び低い圧力降下の結果をもたらす。
【0139】
幾つかの実施形態では、ハニカム体のバルクは、水銀圧入ポロシメトリーで測定して、コーティングを除いて、50%以上~75%以下のバルク空隙率を有しうる。空隙率を測定するための他の方法には、走査型電子顕微鏡(SEM)及びX線トモグラフィが含まれ、これら2つの方法は、特に、互いに独立した表面空隙率及びバルク空隙率を測定するのに役立つ。1つ以上の実施形態では、ハニカム体のバルク空隙率は、例えば、約50%~約75%の範囲、約50%~約70%の範囲、約50%~約65%の範囲、約50%~約60%の範囲、約50%~約58%の範囲、約50%~約56%の範囲、又は約50%~約54%の範囲でありうる。
【0140】
1つ以上の実施形態では、ハニカム体の表面部分は、7μm以上~20μm以下、例えば8μm以上~15μm以下、又は10μm以上~14μm以下の表面平均細孔径を有する。例えば、幾つかの実施形態では、ハニカム体の表面は、約8μm、約9μm、約10μm、約11μm、約12μm、約13μm、約14μm、又は約15μmの表面平均細孔径を有しうる。
【0141】
幾つかの実施形態では、ハニカム体の表面は、濾過材料堆積の適用前に、水銀圧入ポロシメトリー、SEM、又はX線トモグラフィで測定して、35%以上~75%以下の表面空隙率を有しうる。1つ以上の実施形態では、ハニカム体の表面空隙率は、65%未満、例えば、60%未満、55%未満、50%未満、48%未満、46%未満、44%未満、42%未満、40%未満、48%未満、又は36%未満でありうる。
【0142】
次に
図8及び9を参照すると、微粒子フィルタ200の形態をしたハニカム体が概略的に示されている。微粒子フィルタ200は、ガソリンエンジンから放出される排ガス流などの排ガス流250から微粒子物質濾過するためのウォールフロー型フィルタとして使用することができ、この場合、微粒子フィルタ200はガソリン微粒子フィルタである。微粒子フィルタ200は、概して、入口端202と出口端204との間に延在し、長さ全体Laを画成する、複数のチャネル201又はセルを有するハニカム体を含む(
図9に示される)。微粒子フィルタ200のチャネル201は、入口端202から出口端204まで延在する複数の交差するチャネル壁206によって形成され、かつそれらによって少なくとも部分的に画成される。微粒子フィルタ200はまた、複数のチャネル201を取り囲む外皮層205も含みうる。この外皮層205は、チャネル壁206の形成中に押し出されてもよく、あるいは、チャネルの外周部分に外皮用セメントを施すことなどによって、後で施された外皮層として後の処理において形成されてもよい。
【0143】
図8の微粒子フィルタ200の軸方向断面が
図9に示されている。幾つかの実施形態では、ある特定のチャネルが入口チャネル208として指定され、ある特定の他のチャネルが出口チャネル210として指定される。微粒子フィルタ200の幾つかの実施形態では、チャネルの少なくとも第1のセットは、塞栓212で閉塞されうる。概して、塞栓212は、チャネル201の端部(すなわち、入口端又は出口端)に近接して配置される。塞栓は、概して、
図8に示されるチェッカーボードパターンなど、事前定義されたパターンで配置され、チャネルは1つおきに端部が閉塞される。入口チャネル208は、出口端204又はその近くで閉塞されてよく、出口チャネル210は、
図9に示されるように、入口チャネルには対応していないチャネルの入口端202又はその近くで閉塞されうる。したがって、各セルは、微粒子フィルタの一方の端部又はその近くでのみ、閉塞されうる。
【0144】
図8は、概して、チェッカーボードの閉塞パターンを示しているが、別の閉塞パターンを多孔質セラミックハニカム物品に使用しても良いことが理解されるべきである。本明細書に開示される実施形態では、微粒子フィルタ200は、1平方インチあたり最大で約600チャネル(cpsi)までのチャネル密度で形成されうる。例えば、幾つかの実施形態では、微粒子フィルタ100は、約100cpsi(約15.5セル/cm
2)~約600cpsi(約93.0セル/cm
2)の範囲のチャネル密度を有しうる。幾つかの他の実施形態では、微粒子フィルタ100は、約100cpsi(約15.5セル/cm
2)~約400cpsi(約62.0セル/cm
2)、又はさらには約200cpsi(約31.0セル/cm
2)~約300cpsi(約46.5セル/cm
2)の範囲のチャネル密度を有しうる。
【0145】
本明細書に開示される実施形態では、微粒子フィルタ200のチャネル壁206は、約4ミル(101.6マイクロメートル)を超える厚さを有しうる。例えば、幾つかの実施形態では、チャネル壁206の厚さは、約4ミルから最大で約30ミル(762マイクロメートル)の範囲でありうる。幾つかの他の実施形態では、チャネル壁206の厚さは、約7ミル(177.8マイクロメートル)~約20ミル(508マイクロメートル)の範囲でありうる。
【0146】
本明細書に記載される微粒子フィルタ200の幾つかの実施形態では、微粒子フィルタ200のチャネル壁206は、微粒子フィルタ200にコーティングを施す前に、むき出しの開放空隙率(すなわち、コーティングがハニカム体に施される前の空隙率)%P≧35%を有しうる。幾つかの実施形態では、チャネル壁206のむき出しの開放空隙率は、40%≦%P≦75%になるようなものでありうる。他の実施形態では、チャネル壁206のむき出しの開放空隙率は、45%≦%P≦75%、50%≦%P≦75%、55%≦%P≦75%、60%≦%P≦75%、45%≦%P≦70%、50%≦%P≦70%、55%≦%P≦70%、又は60%≦%P≦70%になるようなものでありうる。
【0147】
さらには、幾つかの実施形態では、微粒子フィルタ200のチャネル壁206は、チャネル壁206内の細孔分布が、任意のコーティングを施す前に(すなわち、むき出しで)、≦30マイクロメートルの平均細孔径を有するように形成される。例えば、幾つかの実施形態では、平均細孔径は、8マイクロメートル以上かつ30マイクロメートル未満又は以下でありうる。他の実施形態では、平均細孔径は、10マイクロメートル以上かつ30マイクロメートル未満又は以下でありうる。他の実施形態では、平均細孔径は、10マイクロメートル以上かつ25マイクロメートル未満又は以下でありうる。幾つかの実施形態では、平均細孔径が約30マイクロメートルを超える微粒子フィルタは、濾過効率が低下するが、約8マイクロメートル未満の平均細孔径で製造された微粒子フィルタでは、触媒を含むウォッシュコートを用いて細孔に浸透させるのが困難でありうる。したがって、幾つかの実施形態では、約8マイクロメートル~約30マイクロメートルの範囲、例えば10マイクロメートル~約20マイクロメートルの範囲のチャネル壁の平均細孔径を維持することが望ましい。
【0148】
本明細書に記載される1つ以上の実施形態では、微粒子フィルタ200のハニカム体は、例えば、コージエライト、炭化ケイ素、酸化アルミニウム、チタン酸アルミニウム、又は高温微粒子濾過用途での使用に適した他の任意のセラミック材料など、金属又はセラミック材料から形成される。例えば、微粒子フィルタ200は、主にコージエライト結晶相を含むセラミック物品の製造に適した構成材料を含みうるセラミック前駆体材料のバッチを混合することによって、コージエライトから形成することができる。概して、コージエライト形成に適した構成材料には、タルク、シリカ形成源、及びアルミナ形成源を含む無機成分の組合せが含まれる。バッチ組成物は、例えばカオリン粘土などの粘土をさらに含みうる。コージエライト前駆体バッチ組成物はまた、有機細孔形成剤などの有機成分を含んでいてもよく、これらは、所望の細孔径分布を達成するためにバッチ混合物に添加される。例えば、バッチ組成物は、細孔形成剤及び/又は他の加工助剤としての使用に適したデンプンを含みうる。あるいは、構成材料は、焼成時に焼結されたコージエライトハニカム構造を形成するのに適した1つ以上のコージエライト粉末、並びに有機細孔形成剤材料を含みうる。
【0149】
バッチ組成物は、例えば、結合剤などの1つ以上の加工助剤、及び水又は適切な溶媒などの水性ビヒクルをさらに含みうる。加工助剤は、バッチ混合物を可塑化し、概して処理を改善し、乾燥時間を短縮し、焼成時の亀裂を低減し、及び/又はハニカム体に所望の特性を生成するのを助けるために、バッチ混合物に添加される。例えば、結合剤は、有機結合剤を含みうる。適切な有機結合剤には、水溶性セルロースエーテル結合剤、例えば、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、メチルセルロース誘導体、ヒドロキシエチルアクリレート、ポリビニルアルコール、及び/又はそれらの任意の組合せなどが含まれる。有機結合剤を可塑化バッチ組成物に組み込むことにより、可塑化バッチ組成物を容易に押し出すことが可能となる。幾つかの実施形態では、バッチ組成物は、例えば、可塑化されたバッチ混合物の押し出しを補助する潤滑剤など、1つ以上の任意選択的な成形助剤又は加工助剤を含みうる。例示的な潤滑剤には、トール油、ステアリン酸ナトリウム、又は他の適切な潤滑剤が含まれうる。
【0150】
セラミック前駆体材料のバッチが適切な加工助剤と混合された後、セラミック前駆体材料のバッチは、押し出され、乾燥されて、入口端と出口端との間に延びる複数のチャネル壁を備えた、入口端及び出口端を含む未焼成のハニカム体を形成する。その後、未焼成のハニカム体は、焼成ハニカム体の製造に適した焼成スケジュールに従って焼成される。次に、焼成されたハニカム体のチャネルの少なくとも第1のセットが、セラミック閉塞組成物を用いて事前定義された閉塞パターンで閉塞され、焼成されたハニカム体が再び焼成されて、塞栓をセラミック化し、塞栓をチャネルに固定する。
【0151】
さまざまな実施形態では、ハニカム体は、例えば、ガソリンエンジンからの排ガス流などのガスの流れから微粒子物質を濾過するように構成される。したがって、ハニカム体のバルク及び表面の両方の平均細孔径、空隙率、形状、及び他の設計の態様は、ハニカム体のこれらの濾過要件を考慮して選択される。一例として、
図10の実施形態に示されるように、
図8及び9に示されるような微粒子フィルタの形態でありうるハニカム体300の壁310は、その上に配置された濾過材料堆積物320を有しており、これは、幾つかの実施形態では、熱処理によって焼結又は他の方法で結合される。濾過材料堆積物320は、ハニカム体300の壁310上に堆積され、例えば煤及び/又は灰などの微粒子物質がガスの流れ330と共にハニカム体から出るのを防ぐのに役立ち、ハニカム体300の壁310のベース部分を詰まらせるのを防ぐのに役立つ、粒子325を含む。このように、実施形態によれば、濾過材料堆積物320は、一次濾過成分として機能することができ、一方、ハニカム体のベース部分は、例えばこのような濾過材料堆積物のないハニカム体と比較して、圧力降下を最小限に抑えるように構成することができる。濾過材料堆積物は、本明細書に開示されるエアロゾル堆積法によって送給される。
【0152】
上記のように、ハニカム体の壁上の幾つかの部分又は幾つかの実施形態では無機層でありうる材料は、ハニカム体の壁のベース部分の厚さと比較して非常に薄い。以下でさらに詳細に説明するように、ハニカム体上の無機層でありうる材料は、堆積した材料を、非常に薄い塗布で又は幾つかの部分では層でハニカム体の壁の表面に施すことを可能にする方法によって形成することができる。実施形態では、ハニカム体の壁のベース部分上の、堆積領域又は無機層でありうる、材料の平均厚さは、0.5μm以上かつ50μm以下、又は0.5μm以上かつ45μm以下、0.5μm以上かつ40μm以下、又は0.5μm以上かつ35μm以下、又は0.5μm以上かつ30μm以下、0.5μm以上かつ25μm以下、又は0.5μm以上かつ20μm以下、又は0.5μm以上かつ15μm以下、0.5μm以上かつ10μm以下である。
【0153】
上で論じたように、幾つかの部分又は幾つかの実施形態では無機層でありうる堆積した材料は、無機層でありうる無機材料が小さい平均細孔径を有することを可能にする方法によって、ハニカム体の壁に施すことができる。この小さい平均細孔径は、無機層でありうる材料が微粒子を高い割合で濾過することを可能にし、微粒子がハニカムに浸透してハニカムの細孔内に沈降するのを防ぐ。実施形態による、無機層でありうる材料の小さい平均細孔径は、ハニカム体の濾過効率を高める。1つ以上の実施形態では、ハニカム体の壁上の、無機層でありうる材料は、0.1μm以上~5μm以下、例えば、0.5μm以上~4μm以下、又は0.6μm以上~3μm以下の平均細孔径を有する。例えば、幾つかの実施形態では、ハニカム体の壁上の、無機層でありうる材料は、約0.5μm、約0.6μm、約0.7μm、約0.8μm、約0.9μm、約1μm、約2μm、約3μm、又は約4μmの平均細孔径を有しうる。
【0154】
堆積したハニカム体の壁上の無機層でありうる材料は、幾つかの実施形態では、ハニカム体の内部チャネルを画成する壁面の実質的に100%を覆うことができるが、他の実施形態では、ハニカム体の壁上の無機層でありうる材料は、ハニカム体の内部チャネルを画成する壁面の実質的に100%未満を覆う。例えば、1つ以上の実施形態では、堆積したハニカム体の壁上の無機層でありうる材料は、ハニカム体の内部チャネルを画成する壁面の少なくとも70%を覆う、ハニカム体の内部チャネルを画成する壁面の少なくとも75%を覆う、ハニカム体の内部チャネルを画成する壁面の少なくとも80%を覆う、ハニカム体の内部チャネルを画成する壁面の少なくとも85%を覆う、ハニカム体の内部チャネルを画成する壁面の少なくとも90%を覆う、又はハニカム体の内部チャネルを画成する壁面の少なくとも85%を覆う。
【0155】
図8及び9に関して上述したように、ハニカム体は、第1の端部と第2の端部とを有しうる。第1の端部と第2の端部とは、軸方向長さによって分離されている。幾つかの実施形態では、ハニカム体の壁上の濾過材料堆積物は、ハニカム体の軸方向の全長に延在しうる(すなわち、軸方向長さの100%に沿って延在する)。しかしながら、他の実施形態では、ハニカム体の壁上の無機層でありうる材料は、軸方向長さの少なくとも60%に沿って延在し、例えば、軸方向長さの少なくとも65%に沿って延在し、軸方向長さの少なくとも70%に沿って延在し、軸方向長さの少なくとも75%に沿って延在し、軸方向長さの少なくとも80%に沿って延在し、軸方向長さの少なくとも85%に沿って延在し、軸方向長さの少なくとも90%に沿って延在し、又は軸方向長さの少なくとも95%に沿って延在する。
【0156】
実施形態では、ハニカム体の壁上の材料(幾つかの部分又は幾つかの実施形態では無機層でありうる)は、ハニカム体の第1の端部からハニカム体の第2の端部まで延びる。幾つかの実施形態では、ハニカム体の壁上の無機層でありうる材料は、ハニカム体の第1の表面からハニカム体の第2の表面までの距離全体に延在する(すなわち、ハニカム体の第1の表面からハニカム体の第2の表面までの距離の100%に沿って延在する)。しかしながら、1つ以上の実施形態では、ハニカム体の壁上の無機層でありうる層又は材料は、ハニカム体の第1の表面とハニカム体の第2の表面との間の距離の60%に沿って延在し、例えば、ハニカム体の第1の表面とハニカム体の第2の表面との間の距離の65%に沿って延在し、ハニカム体の第1の表面とハニカム体の第2の表面との間の距離の70%に沿って延在し、ハニカム体の第1の表面とハニカム体の第2の表面との間の距離の75%に沿って延在し、ハニカム体の第1の表面とハニカム体の第2の表面との間の距離の80%に沿って延在し、ハニカム体の第1の表面とハニカム体の第2の表面との間の距離の85%に沿って延在し、ハニカム体の第1の表面とハニカム体の第2の表面との間の距離の90%に沿って延在し、又はハニカム体の第1の表面とハニカム体の第2の表面との間の距離の95%に沿って延在する。
【0157】
実施形態によるハニカム体上の濾過材料の薄い厚さ及び空隙率と組み合わせて低い圧力降下を有するハニカム体を選択することにより、他のハニカム体と比較した場合に、実施形態のハニカム体が低い初期圧力降下を有することを可能にする。実施形態では、層の負荷は、ハニカム体上で0.3~30g/Lの範囲にあり、例えば、ハニカム体上で1~30g/Lの範囲、又はハニカム体上で3~30g/Lの範囲にある。他の実施形態では、層の負荷は、ハニカム体上で1~20g/Lの範囲、例えば、ハニカム体上で1~10g/L、又は0.1~10g/L、又は0.1~5g/Lの範囲である。特定の実施形態では、層の負荷は、ハニカム体上で、1~9g/L、1~8g/L、1~7g/L、1~8g/L、1~5g/L、1~4g/L、1~3g/L、2~10g/L、2~9g/L、2~8g/L、2~7g/L、2~6g/L、2~5g/L、2~4g/L、3~10g/L、3~9g/L、3~8g/L、3~7g/L、3~6g/L、3~5g/L、4~10g/L、4~9g/L、4~8g/L、4~7g/L、又は4~6g/Lの範囲である。幾つかの実施形態では、全体に多孔質層を施すことによるハニカム全体にわたる圧力降下の増加は、コーティングされていないハニカムの20%未満である。他の実施形態では、その増加は、9%以下、又は8%以下でありうる。他の実施形態では、ハニカム体全体にわたる圧力降下の増加は、7%以下、例えば6%以下である。さらに他の実施形態では、ハニカム体全体にわたる圧力降下の増加は、5%以下、例えば4%以下、又は3%以下である。
【0158】
特定の理論に縛られはしないが、ハニカム体の壁上の濾過材料堆積物の小さい細孔径は、ハニカム体に灰又は煤の蓄積が生じる前でさえ、ハニカム体が良好な濾過効率を有することを可能にすると考えられる。ハニカム体の濾過効率は、本明細書では、Tandon et al., 65 Chemical Engineering Science 4751-60 (2010)に概説されているプロトコルを使用して測定される。本明細書で用いられる場合、ハニカム体の初期濾過効率とは、測定可能な煤又は灰の負荷を含まない、新しい又は再生されたハニカム体を指す。実施形態では、ハニカム体の初期濾過効率(すなわち、クリーン濾過効率)は、70%以上、例えば80%以上、又は85%以上である。さらに他の実施形態では、ハニカム体の初期濾過効率は、90%より大きく、例えば93%以上、又は95%以上、又は98%以上である。
【0159】
実施形態によるハニカム体の壁上の、幾つかの実施形態では無機濾過材料である材料は、薄く、空隙率を有しており、幾つかの実施形態では、良好な化学耐久性及び物理的安定性も有している。ハニカム体上の濾過材料堆積物の化学耐久性及び物理的安定性は、実施形態では、ハニカム体をバーンアウトサイクル及び老化試験を含む試験サイクルに供し、試験サイクルの前後の初期濾過効率を測定することによって決定することができる。例えば、ハニカム体の化学耐久性及び物理的安定性を測定するための1つの例示的な方法は、ハニカム体の初期濾過効率を測定する工程;シミュレートした動作条件下でハニカム体に煤を負荷する工程;蓄積した煤を約650℃で焼尽させる工程;1050℃及び10%の湿度で12時間の老化試験に供する工程;及び、ハニカム体の濾過効率を測定する工程を含む。煤の蓄積及びバーンアウトサイクルを複数回行うことができる。試験サイクル前から試験サイクル後までの濾過効率のわずかな変化(ΔFE)は、ハニカム体上の濾過材料堆積物の化学耐久性及び物理的安定性がより優れていることを示している。幾つかの実施形態では、ΔFEは、5%以下、例えば4%以下、又は3%以下である。他の実施形態では、ΔFEは、2%以下、又は1%以下である。
【0160】
幾つかの実施形態では、ハニカム体の壁上の濾過材料堆積物は、例えば、SiO2、Al2O3、MgO、ZrO2、CaO、TiO2、CeO2、Na2O、Pt、Pd、Ag、Cu、Fe、Ni、及びそれらの混合物からなる群より選択されるセラミック成分などのセラミック成分の1つ又は混合物から構成されうる。したがって、ハニカム体の壁上の濾過材料堆積物は、酸化物セラミックを含みうる。以下でより詳細に論じられるように、実施形態によるハニカム体上に濾過材料堆積物を形成する方法は、所与の用途のための濾過材料組成物のカスタマイズを可能にすることができる。これは、例えば、ハニカム体の物理的特性(例えば、熱膨張係数(CTE)及びヤング率など)に一致するようにセラミック成分を組み合わせることができ、これにより、ハニカム体の物理的安定性を改善することができることから、有益でありうる。幾つかの実施形態では、ハニカム体の壁上の濾過材料堆積物は、コージエライト、チタン酸アルミニウム、頑火輝石、ムライト、フォルステライト、コランダム(SiC)、スピネル、サフィリン、及びペリクレースを含みうる。
【0161】
幾つかの実施形態では、ハニカム体の壁上の濾過材料堆積物の組成は、ハニカム体の組成と同じである。しかしながら、他の実施形態では、濾過材料の組成は、ハニカム体のマトリクスの壁の組成とは異なっている。
【0162】
濾過材料堆積物の特性、並びにハニカム体全体の特性は、ホストハニカム体と比較して小さいメジアン細孔径を有する、まばらな又は薄い多孔質濾過材料を施す能力に起因するものである。
【0163】
幾つかの実施形態では、ハニカム体を形成する方法は、セラミック前駆体材料及び溶媒を含む混合物又は懸濁液を形成又は得る工程を含む。濾過材料前駆体のセラミック前駆体材料は、例えば、SiO2、Al2O3、TiO2、MgO、ZrO2、CaO、CeO2、Na2O、Pt、Pd、Ag、Cu、Fe、Niなどの供給源として機能するセラミック材料を含む。
【0164】
1つ以上の実施形態では、懸濁液は、噴霧ガスとともに噴霧されて、水性ビヒクル、結合剤材料、及び粒子からなる液体-微粒子-結合剤液滴を形成し、ハニカム体へと向けられ、次に、水性ビヒクルの除去又は蒸発の際に形成される凝集体がハニカム体に堆積される。幾つかの実施形態では、ハニカム体は、ハニカム体へのエアロゾルの堆積中、例えばハニカム体の第1の端部などの一方の端部が閉塞された1つ以上のチャネルを有しうる。閉塞したチャネルは、幾つかの実施形態では、エアロゾルの堆積後に除去することができる。しかしながら、他の実施形態では、チャネルは、エアロゾルの堆積後でも閉塞したままでありうる。ハニカム体の閉塞チャネルのパターンは限定されず、幾つかの実施形態では、ハニカム体のすべてのチャネルは、一方の端部で閉塞されうる。他の実施形態では、ハニカム体のチャネルの一部のみを一方の端部で閉塞させることができる。このような実施形態では、ハニカム体の一方の端部の閉塞している及び閉塞していないチャネルのパターンは限定されず、例えば、ハニカム体の一方の端部の交互のチャネルが閉塞しているチェッカーボードパターンであってもよい。エアロゾルの堆積中にハニカム体の一方の端部でチャネルのすべて又は一部を閉塞させることによって、エアロゾルをハニカム体のチャネル内に均一に分布させることができる。
【0165】
1つ以上の実施形態によれば、高温(例えば、400℃を超える)耐性を有する結合剤が凝集体及び濾過材料堆積物中に含まれており、排ガス排出処理システム内で遭遇する高温においてさえも凝集体及び堆積物の完全性を高める。特定の実施形態では、濾過材料は、アルコキシ-シロキサン樹脂であるDowsil(商標)US-CF-2405を約5~25質量%含みうる。濾過材料堆積物の微細構造は、以下に説明するさまざまな試験の後の堆積されたままの形態と類似していた。無機結合剤であるAremco Ceramabind(商標)644A及び830もまた、1つ以上の実施形態に使用することができる。両方の試料の濾過効率は、850Nm3/時での高流量試験である高流量ブロー試験後に60%を超えていた。試験では、有機及び無機結合剤を含む結合剤が一次粒子を結合させて二次粒子(凝集体とも呼ばれる)を形成し、エンジンの排ガス流で遭遇する高温にさらされた場合でさえも、フィルタ壁に結合することが実証された。1つ以上の実施形態によれば、ケイ酸塩(例えばNa2SiO3)、リン酸塩(例えばAlPO4、AlH2(PO4)3)、水硬セメント(例えば、アルミン酸カルシウム)、ゾル(例えば、mSiO2・nH2O、Al(OH)x・(H2O)6-x)、及び金属アルコキシドなどの他の無機及び有機結合剤を利用して、例えば適切な硬化プロセスによって機械的強度を高めることもできる。
【0166】
水性ベースの方法
1つ以上の実施形態によれば、閉塞したハニカム体の多孔質壁上に無機材料の水性エアロゾルを堆積させる方法が開示される。閉塞したハニカム体の多孔質壁は、ハニカム体に複数のチャネルを形成する。特定の実施形態では、無機材料及び結合剤の水性ベースの懸濁液はノズルを通過し、ガスの流れとの接触後、ハニカム体の開放チャネル内へと強いられる前にエアロゾル粒子の流れを提供する。次に、無機材料の層が多孔質壁に堆積され、幾つかの凝集体又は無機材料が細孔に入る。層の硬化のために、オフラインでの熱処理プロセスが適用されてよく、これは、幾つかの実施形態では膜を形成する。1つ以上の実施形態によれば、硬化の前後の両方において、本明細書で製造及び本明細書に記載されるハニカム体は、むき出しのハニカム体基材部品よりも著しく高い濾過効率及び/又はより良好なFE/dPトレードオフを示す。
【0167】
次に
図11を参照すると、1つ以上の実施形態によれば、プロセス1400は、水性ベースの懸濁液を調製する工程1405、噴霧して液滴を形成する工程1410、液滴とガス状キャリア流を混合する工程1415;液体ビヒクルを蒸発させて凝集体を形成する工程1420、例えば凝集体などの材料をウォールフロー型フィルタの壁に堆積させる工程1425、及びハニカム体の多孔質壁上、又は多孔質壁内、若しくは多孔質壁上及び多孔質壁内の両方に材料を結合する任意選択的な後処理工程1430、例えば、オフラインで硬化することを含む。結合剤を含む凝集体の形態でのエアロゾル堆積法は、高温硬化工程(例えば、1000℃を超える温度への加熱)がなくても、高い機械的完全性を提供することができ、幾つかの実施形態では、高温(例えば、1000℃を超える温度への加熱)硬化工程などの任意選択的なオフラインでの硬化工程の後に、さらに高い機械的完全性を提供することができる。1つ以上の実施形態では、「オフライン」とは、別個の装置などにおいて、エアロゾル堆積装置から別個に実行される硬化プロセスを指す。
【0168】
1つ以上の実施形態では、安定した水性無機材料懸濁液又はスラリーは、無機材料(例えば、アルミナ)の粉末を脱イオン水及び水性結合剤と混合することによって作られる。幾つかの実施形態では、このような懸濁液は、市販の水性ベースの有機物懸濁液を(例えば、水性ベースのアルミナ懸濁液を脱イオン水で)希釈し、次に水性ベースの結合剤を加えることによって作られる。幾つかの実施形態では、分散剤を添加することが望ましい場合がある。無機材料は、球形、棒状、平坦、又は不規則な粒子の形態であり、一次粒子サイズは30nm~500nmである。無機材料の濃度は、1つ以上の実施形態によれば、懸濁液の1質量%~20質量%の範囲で変化する。質量%での無機材料の例示的な範囲は、1~2%、1~3%、1~4%、1~5%、1~6%、1~8%、1~9%、1~10%、1~15%、1~20%、2~3%、2~4%、2~5%、2~6%、2~8%、2~9%、2~10%、2~15%、2~20%、3~4%、3~5%、3~6%、3~8%、3~9%、3~10%、3~15%、3~20%、4~5%、4~6%、4~8%、4~9%、4~10%、4~15%、4~20%、5~6%、5~8%、5~9%、5~10%、5~15%、5~20%、10~15%、10~16%、10~17%、10~18%、10~19%、10~20%、15~18%、15~19%、及び15~20%である。1つ以上の実施形態では、結合剤は、無機材料又は有機材料を含む。無機の非限定的な例には、シリカ、チタニア、ケイ酸塩、アルミン酸塩、リン酸塩、又は水硬セメントが含まれる。有機結合剤の非限定的な例には、シリコーン樹脂、ポリビニルアルコール(PVA)、又はポリエチレングリコール(PEG)が含まれる。結合剤の濃度は、アルミナの5質量%~100質量%の範囲でありうる。質量%での無機材料の重量による結合剤の例示的な範囲は、5~100%、10~100%、15~100%、20~100%、25~100%、30~100%、35~100%、40~100%、45~100%、50~100%、55~100%、60~100%、5~90%、10~90%、15~90%、20~90%、25~90%、30~90%、35~90%、40~90%、45~90%、50~90%、55~90%、60~90%、5~80%、10~80%、15~80%、20~80%、25~80%、30~80%、35~80%、40~80%、45~80%、50~80%、55~80%、60~80%、5~70%、10~70%、15~70%、20~70%、25~70%、30~70%、35~70%、40~70%、45~70%、50~70%、55~70%、60~70%、5~60%、10~60%、15~60%、20~60%、25~60%、30~60%、35~60%、40~60%、45~60%、50~60%、55~60%、5~50%、10~50%、15~50%、20~50%、25~50%、30~50%、35~50%、40~50%、45~50%、5~40%、10~40%、15~40%、20~40%、25~40%、30~40%、35~40%、5~30%、10~30%、15~30%、20~30%、25~30%、5~25%、10~25%、15~25%、20~25%、1~20%、2~20%、3~20%、4~20%、5~20%、6~20%、7~20%、8~20%、9~20%、10~20%、1~15%、2~15%、3~15%、4~15%、5~15%、6~15%、7~15%、8~15%、9~15%、10~15%、1~10%、2~10%、3~10%、4~10%、5~10%、6~10%、7~10%、及び8~10%である。1つ以上の実施形態では、混合は、機械的に又は音響的に行われる。幾つかの実施形態による調製されたままの懸濁液は、明確な沈降なしに、少なくとも1時間安定である。
【0169】
幾つかの実施形態では、テープ試験を使用して、異なる結合剤の有効性を大まかに評価し、懸濁液に添加される結合剤の量を決定することができる。試料懸濁液のウェットコーティングの層は、本明細書に記載される実施形態に従って調製され、次いで、調製されたままの無機材料懸濁液を使用して、1つの顕微鏡スライド上に塗布される。乾燥後、コーティングされたスライドをオーブンに入れ、10分から最長で2時間の範囲の時間、硬化温度まで加熱する。硬化温度及びプロファイルは、用いられる結合剤に応じて異なる。硬化後、Highland(商標)透明テープなどの通常のテープの一片を、硬化したコーティングに押し付け、次いでコーティングから持ち上げる。幾つかの実施形態によれば、無機材料の粒子がテープ上で観察される場合、硬化した懸濁液の凝集力は許容できない。より多くの結合剤又は異なる結合剤を使用することができ、試験を繰り返すことができる。
【0170】
上で論じた
図4は、1つ以上の実施形態による、無機材料を含む水性ベースの懸濁液をエアロゾル堆積に使用することができる、堆積システムの概略図を示している。
図4では、懸濁液は、懸濁液容器902に含まれ、液圧は、幾つかの実施形態ではシリンダの形態であるガス供給904によって適用及び制御された。1つ以上の実施形態では、圧力は、デジタル自動圧力調整器又はピエゾアクチュエータバルブによって制御される。1つ以上の実施形態による噴霧ガスは、窒素又は空気を含む。第1の熱源906aは、第1のプレナム空間903に入るキャリアガス905aを加熱する。第2の熱源906bは、ノズル920の下流に位置づけられて、ノズル920内で噴霧される懸濁液910を加熱する。第3の熱源906cは、蒸発チャンバ923に位置づけられ、ノズルの出口流及び一次キャリアガス905aは、蒸発セクション953の蒸発チャンバ923に入る。
【0171】
1つ以上の実施形態では、水性ベースのエアロゾル堆積プロセス及それによって作られた製品が提供され、これは、他の方法によって調製されるものよりも著しく高い濾過効率及び最小の背圧ペナルティを示す、多孔質壁及びその上に堆積した無機材料を含む閉塞したハニカム体を提供する。幾つかの実施形態におけるこのようなハニカム体は、振動試験、ビヒクル試験、及び耐水性試験を含む、以下にさらに説明されるある特定の試験において、より高い耐久性を示す。
【0172】
特定の実施形態では、噴霧ノズルを通して、(例えば、水溶性ケイ酸塩結合剤)を含む結合剤を含む懸濁液中の無機材料(例えば、アルミナナノ粒子)の水性ベースの懸濁液を流して、乾燥ガス流との接触後に凝集体を形成するエアロゾル粒子の流れを提供することを含むプロセスが提供される。特定の実施形態では、凝集体は、閉塞したハニカム体の開放チャネル内、及び、チャネルを形成する多孔質壁の表面上及び/又表面内に押し込まれる。幾つかの実施形態では、凝集体は最初に表面の細孔に接触する。1つ以上の実施形態では、オフラインでの熱処理プロセスが、結合剤の硬化及び堆積物の強化に利用される。堆積及び熱処理の後、フィルタ部品は、むき出しの閉塞したハニカム体と比較して、改善された濾過効率又はFE/dPトレードオフ性能を示す。本明細書で作製された方法に従って作製された閉塞したハニカム体は、熱処理を伴う耐水性試験を含むさまざまな耐久性試験に合格する。1つ以上の実施形態によれば、水溶性結合剤又は水性適合性結合剤が用いられる。1つ以上の実施形態による水性プロセスは、高密度に充填された凝集体の微細構造を有する堆積物を形成する。
【0173】
1つ以上の実施形態によれば、水性ベースのプロセスは、エタノールベースのプロセスよりも複雑ではなく、かつ安価なプロセスを提供する。幾つかの実施形態では、水性ベースのプロセスによる、より低い堆積物負荷は、エタノールベースのプロセスと比較して同様のFE/dP性能をもたらし、その結果、より低い材料コスト、より短い堆積時間、及びより高い生産率をもたらす。幾つかの実施形態では、エタノールベースのプロセスと比較して、同じ負荷でより高いFEを達成することができる。幾つかの実施形態では、堆積した無機材料の形態は、エタノールベースのプロセス及び水性ベースのプロセスについて、類似するように調整することができる。
【0174】
無機材料を含む閉塞したハニカム体
本開示の実施形態は、多孔質壁と、該多孔質壁上、又は多孔質壁内、若しくは多孔質壁上及び多孔質壁内の両方に堆積した無機材料とを含む閉塞したハニカム体に関し、これは、排ガス流から微粒子を濾過するように構成された濾過物品をもたらす。特定の実施形態では、濾過物品は、ガソリンエンジン排ガスから微粒子を除去するのに用いられるガソリン微粒子フィルタ(GPF)を含む。濾過される排ガスは、入口セルに入り、セル壁を通過し、出口チャネルを介してフィルタから出る。ガスが横断してフィルタから出るときに、微粒子が入口セルの壁の上又は内部に捕捉される。1つ以上の実施形態によれば、多孔質壁上、又は多孔質壁内、若しくは多孔質壁上及び多孔質壁内の両方に無機材料が堆積した濾過物品の多孔質壁は、改善された濾過効率及び水に曝露されたときの耐久性を含めた優れた耐久性を提供する。
【0175】
1つ以上の実施形態では、無機材料は、無機材料の微粒子又は一次粒子(例えば、アルミナ)、粒子及び結合剤材料からなる微粒子-結合剤凝集体(「凝集体」と呼ばれる)、並びに微粒子-結合剤凝集体の集合体を含む。1つ以上の実施形態では、「微粒子」又は「一次粒子」とは、無機材料の最小の離散した塊を指す。1つ以上の実施形態では、「凝集体」とは、一次粒子又は微粒子と結合剤との塊を指し、一次粒子又は微粒子は、結合剤によって一緒に保持される。1つ以上の実施形態では、「微粒子-結合剤凝集体の集合体」又は「一次粒子-結合剤凝集体の集合体」(「集合体」と呼ばれる)とは、微粒子-結合剤凝集体又は一次粒子-結合剤凝集体のクラスタ化された塊を指し、これらは結合剤によって一緒に保持される。1つ以上の実施形態では、集合体及び個別の、例えば集合していない凝集体の幾つかは、ハニカムフィルタ体の多孔質壁に堆積される。1つ以上の実施形態では、一次粒子又は微粒子の少なくとも一部は、凝集体又は集合体の一部ではない離散した塊として、多孔質壁内、多孔質壁上、又は多孔質壁内及び多孔質壁上の両方に存在する。1つ以上の実施形態では、微粒子-結合剤凝集体又は一次粒子-結合剤凝集体の少なくとも一部は、集合体の一部ではない離散した塊として、多孔質壁内、多孔質壁上、又は多孔質壁内及び多孔質壁上に存在する。
【0176】
1つ以上の実施形態では、閉塞したハニカム体の形態をした濾過物品の多孔質壁内、又は多孔質壁上、若しくは多孔質壁内及び多孔質壁上の無機材料は、凝集体及び/又は集合体の「クラスタ」又は「鎖」として存在する。幾つかの実施形態では、クラスタ又は鎖は、指状、フィブリル状、又は、例えば海綿スポンジに似た形態などのスポンジ状のうちの1つ以上である、無機材料形態を提供する。
【0177】
本明細書で論じられるように、実施形態によれば、無機材料は、ナノ粒子(例えば、無機粒子、セラミック粒子、耐火性粒子、アルミナ粒子など)、結合剤(例えば、ケイ素含有結合剤及び/又は水性結合剤)、及び液体ビヒクル(例えば、アルコール又は水)からなる懸濁液から形成される。懸濁液はノズルに送給され、これがガス流の援助を受けて懸濁液の液滴を噴霧する。液体ビヒクルは、液滴から蒸発して、ナノ粒子の球状凝集体を形成する。結合剤は、凝集促進剤、集合促進剤、鎖促進剤、及びクラスタ促進剤のうちの1つ以上として機能する。幾つかの球状凝集体は、多孔質セラミック壁に運ばれ、多孔質セラミック壁の表面上(壁に存在する表面の細孔の上、中、又は全体)、若しくは多孔質セラミック壁内の細孔内(多孔質セラミック壁の表面の下)のいずれかにとどまるか、あるいは多孔質セラミック壁内又は上に配置された他の以前に堆積した凝集体と接触して、その中又はその上に球状凝集体の集合体を形成する。他の球状凝集体は、ハニカムフィルタ体に向かって運ばれている間にさらに他の球状凝集体と接触して、球状凝集体の集合体を形成し、次に、集合体は多孔質セラミック壁に向かって運ばれ、次いで、集合体は、多孔質セラミック壁の表面(壁に存在する表面の細孔の上、中、又は全体)、若しくは多孔質セラミック壁内の細孔(多孔質セラミック壁の表面の下)にとどまるか、あるいは、多孔質セラミック壁内又は上のいずれかに堆積した、他の以前に堆積した凝集体又は集合体と接触して、その中又はその上に球状凝集体の集合体を形成する。
【0178】
したがって、1つ以上の実施形態によれば、無機堆積物は、ナノ粒子の個々の凝集体(例えば、ナノ粒子の球状凝集体)、凝集体の集合体、及び/又は球状凝集体の集合体の多孔質クラスタ又は鎖からなり、ここで、幾つかのクラスタ又は鎖は、多孔質セラミック壁の表面内又は表面下の細孔内に配置され、及び/又は幾つかのクラスタは、多孔質セラミック壁の表面に配置される。幾つかの実施形態では、多孔質クラスタの幾つかは、凝集体の露出した集合体(例えば、球状凝集体)を含む多孔質クラスタ又はクラスタアイランドである。幾つかの実施形態では、多孔質クラスタ又はクラスタアイランドは、2つ以上の凝集体の1つ以上の鎖を含み、各鎖は、多孔質セラミック壁から実質的に外側方向に延びる。幾つかの実施形態では、複数の外向きに延びる鎖は、指、房、スポンジ(例えば、海綿スポンジ)、及び扇からなる群の成員に似ている形態を集合的に提供する。幾つかの実施形態では、少なくとも1つの鎖は、多孔質セラミック壁の表面より上に突出する鎖の自由端を含む。幾つかの実施形態では、ハニカム体上の無機材料は、無機材料粒子の集合した球状凝集体のネットワークを含む無機堆積物として存在する。
【0179】
実施形態では、無機材料の負荷は、ハニカム体上で0.3~30g/Lの範囲、例えば、ハニカム体上で1~30g/Lの範囲、又はハニカム体上で3~30g/Lの範囲で、ハニカム体に存在する。他の実施形態では、無機材料の負荷は、ハニカム体上で1~20g/Lの範囲、例えばハニカム体上で1~10g/Lの範囲である。特定の実施形態では、無機材料の負荷は、ハニカム体上で1~9g/L、1~8g/L、1~7g/L、1~8g/L、1~5g/L、1~4g/L、1~3g/L、2~10g/L、2~9g/L、2~8g/L、2~7g/L、2~6g/L、2~5g/L、2~4g/L、3~10g/L、3~9g/L、3~8g/L、3~7g/L、3~6g/L、3~5g/L、4~10g/L、4~9g/L、4~8g/L、4~7g/L、又は4~6g/Lの範囲である。無機材料の負荷は、グラム単位の添加する材料の重量をリットル単位の幾何学的部品(geometric part)の容積で割ったものである。幾何的部分の容積は、ハニカムフィルタ体(又は閉塞したハニカム体)の外形寸法に基づいている。
【0180】
1つ以上の実施形態では、無機材料の粒子は、5m2/g~15m2/g、5m2/g~14m2/g、5m2/g~13m2/g、5m2/g~12m2/g、5m2/g~12m2/g、又は5m2/g~10m2/gの範囲の表面積を有する。
【0181】
1つ以上の実施形態では、ハニカム体上の無機材料堆積物は、セリア、ランタナ、及びイットリアなどの希土類酸化物を含まない。1つ以上の実施形態では、無機材料は、触媒、例えば、白金族金属(例えば、白金、パラジウム、及びロジウム)などの酸化触媒、若しくは銅、ニッケル、又は鉄で促進されたモレキュラーシーブ(例えば、ゼオライト)などの選択的触媒還元触媒を含まない。
【0182】
1つ以上の実施形態では、多孔質壁上、又は多孔質壁内、若しくは多孔質壁上及び多孔質壁内に無機材料を含むハニカム体の熱処理の前に、ハニカム体は、水溶性結合剤、例えば水溶性ケイ素含有結合剤、水溶性ケイ酸塩結合剤(例えば、ケイ酸ナトリウムなどの金属ケイ酸塩結合剤)、水溶性アルミン酸塩結合剤(例えば、アルミン酸ナトリウムなどの金属アルミン酸塩結合剤)をさらに含む。1つ以上の実施形態では、結合剤は、ハニカム体上の有機材料の重量に基づいて、5質量%~40質量%、5質量%~35質量%、5質量%~30質量%、5質量%~25質量%、5質量%~20質量%、5質量%~15質量%、又は5質量%~10質量%の範囲で存在する。1つ以上の実施形態では、結合剤又は結合剤材料は、前駆体結合剤又は前駆体結合剤材料によって供給される。1つ以上の実施形態では、前駆体結合剤又は前駆体結合剤材料は、ケイ素含有である。1つ以上の実施形態では、ケイ素含有前駆体結合剤は、シリコーン樹脂、又はシロキサン、又はアルカリシロキサン、又はアルコキシシロキサン、又はケイ酸塩、例えば、アルカリケイ酸塩又はケイ酸ナトリウムである。1つ以上の実施形態では、ケイ素含有前駆体結合剤は、無機成分及び有機成分からなる。1つ以上の実施形態では、ケイ素含有前駆体結合剤は、熱を加えると、シリカへと移行する。1つ以上の実施形態では、ケイ素含有前駆体結合剤は、無機成分及び有機成分からなり、熱を加えると、有機成分が追い出され、無機成分がシリカへと移行する。
【実施例】
【0183】
実施形態は、以下の非限定的な例によってさらに理解されるであろう。
【0184】
ウォールフロー型フィルタ。実施例に用いたウォールフロー型フィルタ基材の直径及び長さは、4.055インチ(約10.3cm)及び5.47インチ(約13.9cm)であった。CPSIは200(約31.0セル/cm2)であり、壁厚は8ミル(203マイクロメートル)であった。細孔径は14マイクロメートルであった。
【0185】
原料。実施例で特に指定されていない限り、次の原料を使用した。堆積されている無機材料はアルミナであり、噴霧ガスは窒素であり、結合剤が存在していた。キャリアガスは、空気又は窒素のいずれかであった。
【0186】
原料の利用率。原料の利用率は、ハニカムの重量増加を測定し、それをプロセスに投入されたセラミックの計算量と比較することによって決定した。例えば、重量増加がプロセスに投入されたセラミックの量と等しかった場合、利用率は100%と計算した;あるいは、重量増加がプロセスに投入されたセラミックの半分しかない場合、利用率は50%と計算した。
【0187】
1つ以上の実施形態によれば、濾過物品を作製するためにハニカムフィルタ体内に配置された無機堆積物を含むハニカムフィルタ体は、以下の試験に従って特徴付けられる。
【0188】
煙濾過効率(FE)
煙濾過試験を使用して、ハニカムフィルタ体内に配置された堆積した無機材料の煙濾過効率性能を評価した。
【0189】
濾過効率(パーセント%単位)は次のように計算される:
【0190】
【0191】
ここで、Cは、それぞれ、部品の出口側及び入口側における煙の濃度である。
【0192】
2つの粒子カウンタユニット(Lighthouse 2016、米国製)は、希釈チャンバの床下位置にある物品に対して、上流及び下流の位置で同時に用いる。煙発生器内でタバコに火をつけ、希釈チャンバ内に所望の量の煤粒子を供給し、煙がトンネルの入口側に移動する前に、濃度をある特定のレベル(500,000粒子/cm3)に維持する。流れは、トンネルを通って最終的にはウォールフロー型フィルタ部品に煤粒子を運ぶ、ブロワによって駆動される。GPFの上流の濃度が安定状態に達したとき、2つの粒子カウンタをリセットして60秒間のカウントを開始し、0.3μm以上の総粒子カウントの差に基づいて、濾過効率(FE)を計算した。物品の上流及び下流に位置した圧力計によって測定された圧力降下(dP)も、51Nm3/時の固定流量で記録する。
【0193】
試験前キャニング。試験前のキャニングの際は、物品をセラミック繊維マット材料で包み、次いで金属缶に入れる。物品、マット、及び缶アセンブリをオーブンで650℃に加熱し、650℃で所定の期間、保持する。マットは膨張して、缶内の所定の位置に物品を保持するのに役立つ。このプロセスは、マットが膨張することからマットポップと呼ばれ、缶の内側で「ポップ」して物品を所定の位置に合わせる。試験前のキャニングの期間は、実行される後続の試験に基づいて選択される。
【0194】
試験後の洗浄。試験を実行した後、物品の試験後の洗浄を達成するために、次の手順を完了する。物品、マット、及び缶アセンブリを、650℃のオーブンに入れ、650℃で所定の時間(通常は約6時間)保持し、物品に充填された煤を物品から焼尽させる。
【0195】
クリーン濾過効率
本明細書で用いられる場合、ハニカム体又は濾過物品の「クリーン濾過効率」とは、測定可能な煤負荷を含まない、新しい又は再生されたハニカム体を指す。実施形態では、ハニカム体又は濾過物品のクリーン濾過効率は、70%以上であり、例えば80%以上、又は85%以上である。さらに他の実施形態では、ハニカム体又は濾過物品の初期濾過効率は、90%より大きく、例えば、93%以上、又は95%以上、又は98%以上である。
【0196】
本明細書で用いられる場合、「クリーン濾過効率試験」とは、物品を次のように試験することを指す。
【0197】
試験前の6時間のキャニング後、ブロワによって物品の上流に急激な速度で空気流を供給し、室温(約25℃)で差圧センサ/ゲージを使用してフィルタ全体にわたるクリーンな圧力降下を測定する。空気流の流量を、10段階にわたる増加で、25.5m3/時から356.8m3/時へと上昇させ、新しい段階の増加ごとに流量を1分間維持した。各段階の増加は、約8~68m3/時の範囲であった。次に、濃度8mg/m3及び流量22.5m3/時の煤粒子を含む空気流をフィルタの上流に45分間導入する。煤は、市販のプロパンバーナから約110nmの粒径で生成される。30℃でのクリーン濾過効率は、物品に導入される微粒子の数と、流動条件への曝露の前後に物品から出る微粒子の数との差を測定することによって決定される。クリーン濾過効率を測定した後、試験後の洗浄を6時間行う。
【0198】
水曝露試験
本明細書に開示された濾過物品の耐久性を理解するために幾つかの評価プロトコルを利用した。エアロゾル堆積無機材料を有するハニカムフィルタ体に対するさまざまな強度の水曝露の影響の分析は、濾過物品の耐久性の指標である。
【0199】
水浸漬試験
本明細書で用いられる場合、「水浸漬試験」とは、物品を次のように試験することを指す。
【0200】
車両の排気パイプラインが床下の状態で流入する水源を検出した状態をシミュレートするために、水浸漬試験を実施した。
【0201】
最初に、物品をクリーン濾過効率試験によって、ベースラインFE/dP測定用に測定する。
【0202】
次に、物品の重量を75℃で測定して初期重量を決定する。次に、物品をペトリ皿に横向きに、外皮層側を置き、車両の排気システムのフィルタの床下位置をシミュレートし、大量の脱イオン水に2時間浸漬する。部品に目標量まで水を染み込ませた後、完全に乾くまで75℃で乾燥させる(重量は堆積されたままの状態に戻る)。水の目標量は事前に測定することができる。例えば、名目上300グラムの水を使用することができる。1つ以上の実施形態では、吸収された水に面する物品の直径に沿った距離のパーセンテージとして説明することができる、吸水レベル(例えば、フィルタ直径の1/2から3/4)が存在する。次に、初期重量に達するまで、物品を100℃で5~6時間、加熱炉内で乾燥させる。次に、クリーン濾過効率を測定する。クリーン濾過効率を評価するために、濃度8mg/m3及び流量22.5m3/時の煤粒子を含む空気流をフィルタの上流に45分間導入する。煤は、市販のプロパンバーナから約110nmの粒径で生成される。30℃でのクリーン濾過効率は、物品に導入される微粒子の数と、物品から出る微粒子の数との間の差を測定することによって決定される。濾過効率を測定した後、試験後の洗浄を6時間行う。0g/Lの煤での濾過効率を、物品を水浸漬試験に曝露する前後で比較する。
【0203】
浸水試験
濾過物品の耐久性を評価する別の方法は浸水試験であり、この試験では、排気パイプラインを水に沈めるという最悪のシナリオを模倣するために、部品を完全に水に浸す。
【0204】
本明細書で用いられる場合、「浸水試験」とは、物品を次のように試験することを指す。
【0205】
最初に、物品をクリーン濾過効率試験によってベースラインFE/dP測定用に測定する。
【0206】
次に、物品の重量を75℃で測定して初期重量を決定する。入口端を下に向けた物品を、所定の期間にわたってゆっくりと水の容器に浸漬する。水の量は、物品を完全に浸漬させるために、物品のサイズに依存する。試料を1分間水中にとどめ、その後ゆっくりと水から取り出し、2時間放置する。物品を計量する。次に、初期重量に達するまで、フィルタを100℃で5~6時間、加熱炉内で乾燥させる。水に曝露された後の濾過効率の変化を評価するために、別のクリーン濾過効率測定を行う。
【0207】
水ネブライザ試験
本明細書で用いられる場合、「水ネブライザ試験」とは、物品を次のように試験することを指す。ブラダーを含む缶内に物品を置く。ブラダーを空気で膨らませて、フィルタを所定の位置に保持する。次に、室温(約25℃)で差圧センサ/ゲージを使用して、フィルタ全体にわたるクリーンな圧力降下を測定する。アセンブリの上流の排ガスの流量を、10段階にわたる増加で、25.5Nm3/時から356.8Nm3/時へと上昇させ、新しい段階の増加ごとに流量を1分間維持した。各段階の増加は、約8~68Nm3/時の範囲である。次に、濾過効率を30℃で測定し、排気流量21Nm3/時、メジアン粒径120nmの煤粒子を8.5mg/m3の濃度で、プロパンバーナを使用してフィルタの上流に45分間導入する。粒子の質量及び粒子数は、それぞれ、AVLマイクロスートセンサー及びTSI Engine Exhaust Particle Sizer(EEPS)を使用して、フィルタの上流及び下流で測定する。濾過効率を測定した後、物品を缶から取り出し、650℃のオーブンに入れ、650℃で9時間保持して、物品に充填された煤をハニカムから焼尽させた。
【0208】
物品は室温で計量する。物品は、部品が15g/Lの水に曝露されるまで、米国特許第7,520,918号明細書に記載されているように、ネブライザ又は噴霧器を使用して、水の微細なミスト又は噴霧に曝露される。次に、物品を、250℃を使用するオーブン内で3時間乾燥させる。次いで、物品及び缶アセンブリを、30℃及び8.5mg/m3で、21Nm3/時での濾過効率について試験し、0g/Lの煤での濾過効率を650℃の熱処理及びネブライザ水曝露の前に測定したものと比較する。次に、650℃のオーブン内で12時間、物品に対して洗浄手順を実施する。次に、フィルタを缶から取り出し、部品が15g/Lの水に曝露されるまで、米国特許第7,520,918号明細書に記載されているように、ネブライザ又は噴霧器を使用して、水の微細なミスト又は噴霧に曝露する。次に、物品を、650℃を使用するオーブン内で9時間乾燥させる。次に、物品及び缶アセンブリを30℃及び8.5mg/m3で、21Nm3/時での濾過効率について試験する。第2のネブライザ水曝露後に測定した0g/Lの煤での濾過効率を、最初の650℃での熱処理及びネブライザ水曝露の前の0g/Lの煤でのベースライン濾過効率と比較する。
【0209】
高流量試験
本明細書で用いられる場合、「高流量試験」とは、物品を次のように試験することを指す。
【0210】
最初に、物品をクリーン濾過効率試験によってベースラインFE/dP測定用に測定する。
【0211】
その後、高流量を物品に導入する。アセンブリの上流の排ガスの流量を、約25℃での10段階にわたる増加で、85m3/時から850.8m3/時へと上昇させ、新しい段階の増加ごとに流量を1分間維持した。各段階の増加は、約85~170m3/時の範囲であった。次に、濃度8mg/m3及び流量22.5m3/時の煤粒子を含む空気流をフィルタの上流に45分間導入する。煤は、市販のプロパンバーナから約110nmの粒径で生成される。30℃でのクリーン濾過効率は、物品に導入される微粒子の数と、流動条件への曝露の前後に物品から出る微粒子の数との間の差を測定することによって決定される。濾過効率を測定した後、試験後の洗浄を6時間行う。0g/Lの煤での濾過効率を、物品を高流量試験に曝露する前後で比較する。
【0212】
煤負荷圧力降下試験
試験前の6時間のキャニング後、物品に煤を充填し、アセンブリの上流の排ガスの流量を、約25℃での10段階にわたる増加で、25.5m3/時から356.8m3/時へと上昇させ、新しい段階の増加ごとに流量を1分間維持した。各段階の増加は、約8~68m3/時の範囲であった。煤負荷は、0g/Lから3g/Lへと増加した。フィルタに煤を充填した後、室温(約25℃)で差圧センサ/ゲージを使用して、フィルタ全体にわたる煤負荷圧力降下を測定する。煤負荷圧力降下を測定した後、試験後の洗浄を6時間行う。
【0213】
低温振動試験
物品を、2方向に振動し、縦軸及び横軸に沿って706m/s2、200Hzで2時間、振動するシェーカーテーブル上に置く。
【0214】
車両試験
キャニングした物品を、加速とそれに続く「燃料カット」又は速度の低下をシミュレートする、高速道路を走行する車両に取り付ける。物品は、1000m3/時で30秒以上を目標として、高温及び高流量の短パルスを5回経験する。
【0215】
実施例1
Ceramabind(商標)880結合剤を使用し、Allied0.3μmアルミナ懸濁液を懸濁液の無機材料として、水性ベースの懸濁液を調製した。Aremcoから購入したCeramabind(商標)880は、高温の水分散性シリコーン樹脂である。これを232℃で1時間、又は249℃で45分間、硬化させる。これは、pH=6.5であり、50質量%の固形分を有する。Allied High Tech社から購入したAllied0.3μmアルミナ懸濁液は、0.3μm又は300nmのメジアン粒径を有する。これは、18.2質量%のアルミナ及び81.8質量%の蒸留水を含んでいる。これは、pH=9であり、水と完全に混和性である。この実施例では、受け取ったままのAllied0.3μmアルミナ懸濁液を脱イオン(DI)水で希釈した後、さまざまな量のCeramabind(商標)880を添加して、4つの希釈アルミナ懸濁液を調製した。4つの試料はすべて、アルミナ濃度は3%で同じであったが、それぞれ、アルミナの10%、30%、50%、及び100質量%の異なる濃度の結合剤を有していた。表1に示すように、各試料のpH値を測定した。10%の結合剤を含む懸濁液の安定性は許容範囲内であり、試料は1~2時間明確な分離を示さなかった。より多くの結合剤を含む他の懸濁液試料は良好な安定性を有し、試料は4時間以上にわたって明確な分離を示さなかった。テープ試験は、最大で50%までの結合剤を添加した試料は試験に合格せず、100%の結合剤を含む試料は試験に合格したことを示した。しかしながら、テープ試験は、懸濁液がハニカムフィルタ体の製造において機能するかどうかについての決定的な試験とは見なされない。
【0216】
【0217】
実施例2
BINDZIL9950コロイダルシリカとSky Springアルミナ粉末との懸濁液を含む水性ベースの懸濁液を調製した。結合剤であるBINDZIL9950コロイダルシリカをAkzoNoble社から購入した。これは、水中に50%のシリカを含み、10~20nmの範囲のサイズのコロイド粒子を有している。これは、pH=9及び80m2/gの比表面積を有している。SkySpring Nanomaterials,Inc.社から購入したSkySpringα-アルミナ粉末は、150nmの平均アルミナ粒径及び10m2/gの比表面積を有している。この例では、SkySpringアルミナ粉末をDI水と混合し、続いて、さまざまな量のBINDZIL9950コロイダルシリカを添加することによって、5つの希釈アルミナ懸濁液を調製した。表2に示されるように、4つの試料はすべて、10%の同じアルミナ濃度を有していたが、それぞれ、アルミナの重量で、20質量%、30質量%、50質量%、及び100質量%の異なる濃度の結合剤を有していた。懸濁液の安定性は良好であり、試料は4時間超にわたり、明確な分離を維持しなかった。テープ試験は、最大で50%までの結合剤を添加した試料は試験に合格せず、100%の結合剤を含む試料はかろうじて試験に合格したことを示した。
【0218】
【0219】
実施例3
実施例1及び2で用いたのと同じタイプのウォールフロー型フィルタ基材上で、エタノールをベースとしたエアロゾル堆積実験を実施した。
【0220】
150nmのAl2O3のエタノール懸濁液(固形分30質量%、Beijing Dk Nano technology Co.LTD社製、http://www.nanoinglobal.com/en/ProductShow.asp?ID=189)を、エタノール(AR、Sinopharm Group Co.LTD社製)で11質量%に希釈した。Dowsil 2405を結合剤として添加した。
【0221】
二相流体ノズル(1/4J-SS+SU11-SS、Spraying Systems Co.社製)を使用して溶液を噴霧した。噴霧ガスは91.5psi(約631kPa)の窒素であり、液体噴霧速度は18ml/分であった。
【0222】
図4に示されるように、液滴を堆積チャンバ内で乾燥させた。ガス流及び液滴を、チャンバの周りに置かれたヒータで加熱した。設定温度は、
図4に示されるように、熱源906a、906b及び906cについて、350℃、350℃、及び120℃であった。
【0223】
2518RPMのファン(Twin city fan(Shanghai)Co.Ltd.社のTBR R11Q CL.HP)によって、流れを駆動させた。総流量は21.5Nm3/時であった。必要とする総流量を補うために、追加の空気をシステムに吸引させた。最終的なAl2O3の負荷は4.4g/部品であった。堆積後、部品を200℃で1時間硬化させた。
【0224】
次に、中央値が300nmのタバコ煙微粒子を使用して、濾過効率を測定した。上流の濃度は30秒間で500,000粒子であった。これは、Lighthouse Handheld3016粒子カウンタへの0.1cfm(約2.83L/分)の流量で約353粒子/cm3に相当する。粒子数を、上流で30秒間、及び下流で30秒間収集した。全体の試験は約1~2分間で完了した。気流速度は51m3/時であった。濾過効率は、下流での粒子数濃度の減少に基づいて計算した。圧力降下は、差圧計で、同じ流量で測定した。濾過効率は80%であり、圧力降下は195Paであった。
【0225】
実施例4
ウォールフロー型フィルタでの水性エアロゾル堆積実験。
【0226】
2種類のAl2O3水性ベースの懸濁液を使用した。一方の懸濁液はAllied0.3μmアルミナ懸濁液であり、他方は0.15μmアルミナ懸濁液(固形分30質量%、Beijing DK Nano technology Co.LTD社製、http://www.nanoinglobal.com/en/ProductShow.asp?ID=189)であった。懸濁液をDI水で希釈し、結合剤と混合して、表3に示される溶液組成物を形成した。
【0227】
二相流体ノズル(1/4J-SS+SU11-SS、Spraying Systems Co.社製)を使用して溶液を噴霧した。噴霧ガスは窒素であり、液圧は、表3に記載されているように、約10ml/分の液体流量を達成するように調整した。
図1に示されるように、液滴を堆積チャンバ内で乾燥させた。ガス流及び液滴を、チャンバの周りに置かれたヒータで加熱した。
図4に示される熱源906a、906b及び906cの設定温度は、350℃、350℃、及び300℃であった。2518RPMのファン(Twin city fan(Shanghai)Co.Ltd.社のTBR R11Q CL.HP)によって、流れを駆動させた。総流量は21.5Nm
3/時であった。必要とする総流量を補うために、追加の空気をシステムに吸引させた。
【0228】
堆積後、部品を表3に記載される温度で1時間硬化させた。メジアン粒径が300nmのタバコの煙微粒子を使用して、濾過効率を測定した。手順は上に記載されており、FEとdPの比較は
図12及び13に示されている。試料はすべて、コーティングされていないハニカム体と比較して、より高い濾過効率を有していた。硬化の前後でほとんど差はなかった。
【0229】
【0230】
図14A~Dは、エタノールベースの懸濁液及び水性ベースの懸濁液から形成されたアルミナ凝集体の形態のSEM画像を示している。水性ベースのプロセスは、エタノールベースのプロセス(例えば、DK-2405-5%)に似た10マイクロメートル未満の凝集体を生成した。DK結合剤を使用して作られた水性ベースの試料、とりわけDK懸濁液によって作られた試料では、バッチの配合(アルミナ濃度の低下など)及び噴霧条件(液体流量の低下など)を調整することを通じて、凝集体サイズを制御した。
【0231】
実施例5
Sigma-Aldrich社から購入したケイ酸ナトリウム溶液は試薬グレードであり、約10.6%のNa2O及び約26.5%のSiO2を含んでいる。その密度は25℃で1.39g/mLであり、pH値は12.9である。Beijing DK Nano technology Co.LTD社から購入したアルミナ懸濁液(「DK懸濁液」)は、21.7%の固形分濃度及びpH約9を有しており、アルミナナノ粒子のサイズは約150nmである。5グラムのDK懸濁液をさまざまな量のケイ酸ナトリウム溶液と混合した後、3000rpmの速度で10秒間ボルテックス混合することにより、7つの試料を調製した。得られた懸濁液をスライドガラスに塗布し、薄層コーティングを形成し、続いて熱乾燥工程を行った。テープ試験は、5.1%の結合剤の有無にかかわらず、試料は試験に合格せず、7.7%以上の結合剤を含む試料は試験に合格したことを示した。
【0232】
【0233】
実施例6
一連の水性ベースのエアロゾル堆積実験をウォールフロー型フィルタに対して実施した。ウォールフロー型フィルタは、直径4.055インチ(10.3cm)、長さ5.47インチ(13.9cm)、1平方インチあたりのセル数(CPSI)200(約31.0セル/cm2)、壁厚8ミル(203マイクロメートル)、及び平均細孔径14μmを有していた。表5に示される各試料について、同じ0.15μmアルミナ懸濁液(固形分21.7質量%、Beijing DK Nano technology Co.LTD社製、http://www.nanoinglobal.com/en/ProductShow.asp?ID=189)を使用した。懸濁液をDI水で希釈し、結合剤と混合して、表5に示される溶液組成物を形成した。
【0234】
二相流体ノズ(2050/70、1/4J-SS+SU11-SS、Spraying Systems Co.社製)を使用して懸濁液を噴霧した。噴霧ガスは窒素であった。表5に記載されているように、シリンジポンプによって10ml/分の流量でノズルに懸濁液を送給した。
【0235】
図3に示されるように、液滴が形成され、堆積チャンバ内でアルミナ凝集体へと乾燥させた。電気抵抗加熱テープの形態の熱源606は、出口端625の前の蒸発セクション653に位置づけた。乾燥ガスを熱伝達装置で220℃に加熱し、チャンバ表面加熱テープを130℃に設定しつつ、チャンバ混合温度を120℃で維持して水を蒸発させた。2518RPMのファン(Twin city fan(Shanghai)Co.Ltd.社のTBR R11Q CL.HP)によって、ガス流を駆動させた。総流量は40Nm
3/時である。必要とする総流量を補うために、追加の空気をシステムに吸引させた。堆積後、部品を250℃~1100℃の範囲の異なる温度で1時間熱処理した。
【0236】
【0237】
メジアン粒径が300nmのタバコの煙微粒子を使用して、濾過効率を試験した。手順は上に記載されており、dPに対するFE及び負荷に対するFEが
図15A及び
図15Bに示されている。試料はすべて、コーティングされていないフロー型フィルタと比較して、より高い濾過効率を有していた。硬化前後の試料には違いがあった。圧力降下ペナルティは、同様の濾過効率レベルでエタノールベースのプロセスと同等であった。
【0238】
2段階水噴霧試験を使用して2段階耐水性試験を実施し、ミスト浸漬又は完全浸水の前後とその後の完全乾燥での完全浸水FE/dP性能を測定した。水噴霧試験は、堆積したチャネルがミストの流れに面するように行われたため、堆積した凝集体は水滴(ミスト)に直接接触して吸引し、細孔の毛管力によって細孔内に水滴を保持する。2段階水噴霧試験は、15~20gの吸水を伴う第1段階と、第1段階の試験に合格した場合の60~70gの吸水を伴う第2段階とを含んでいた。完全浸水試験は、フィルタを水槽に数分間、完全に浸漬させることによって実施し、基材の吸水量は少なくとも300gであった。
【0239】
図15A及び15Bは、水性ベースのプロセス及びエタノールベースのプロセスからの堆積物を含む部品の性能を、FE/dP性能並びに堆積物負荷の依存性としてのFEの観点から示している。懸濁液及び処理条件が表5に示されている。
図15Aは、2つのプロセスの同様のFE-dPの傾向を示している。
図15Bは、同じ堆積物負荷で、水性プロセスがより高いFE値を与えたことを示している。一例として、3g/Lの堆積物の負荷では、水性ベースのプロセスは90%FEを生成し、エタノールベースのプロセスは84%FEを生成した。
【0240】
図16A及び16Bは、水性ベースのプロセス堆積物及びエタノールベースのプロセスについてのウォールフロー型フィルタの表面に形成されたアルミナ凝集体の形態及びサイズを示している。水性ベースのプロセスは、ハニカム壁の細孔に部分的に浸透する、充填された球状凝集体の堆積物微細構造を形成することが分かる。
【0241】
これらの特定の実施例及びこれらの特定のプロセス条件について、観察された別の違いは、水性プロセスがエタノールベースのプロセスよりも大きい凝集体をもたらしたことである。
図16Bに示されるように、凝集体サイズは、エタノールベースのプロセス及び水性プロセスについて、それぞれ、1.72μm及び1.78μmであった。しかしながら、流体の流れ(ガス及び懸濁液)並びにノズルの設計変更についてのさらなる実験では、2つのプロセス間で同様の凝集体サイズを実現できることが示された。
【0242】
表6は、それぞれ、10質量%、20質量%、及び30質量%の異なる量のケイ酸ナトリウム結合剤を用いて作製したフィルタのFE/dP性能を示している。
【0243】
【0244】
図16Cは、水性ベース及びエタノールベースの実施例の凝集体サイズ分布を示すグラフである。凝集体サイズは、走査型電子顕微鏡を使用して測定した。
図16Dは、2つのプロセスの実施形態間の凝集体の累積サイズ分布を示すグラフである。エタノールベースのプロセスのデータは点線で示されており、水性ベースのプロセスのデータは実線で示されている。表7は、両方のプロセスの粒径の詳細を示している。d10、d50及びd90の値は、試料の堆積質量の10%、50%、及び90%が、提供された値よりも小さい直径を有する粒子で構成される直径を指す。
【0245】
【0246】
図17A及び17Bは、耐水性に対する熱処理温度の影響を示している。試料は、表8に示されるように、1つの試料L-0411-02を除き、20質量%のケイ酸ナトリウム結合剤を含む同じ5質量%のアルミナ懸濁液を用いて作製された。600℃以上、好ましくは650℃以上の温度での熱処理は、FE性能の耐水性を大幅に改善することが分かり、耐水性試験(Neb-1、Neb-2、浸水)の1つに曝露された後のFE降下が6%未満であることが好ましい。より高温の熱処理は、水試験に曝露された後のFEの低下が少ないという結果をもたらした。例えば、2段階噴霧試験及び完全浸水試験の完了後、1100℃処理フィルタではFEの低下はなく、650℃処理試料では正味の全体の低下は5.9%であった。425℃処理フィルタは、水への曝露後、正味のFEで36%を失った。幾つかの実施形態では、1~15質量%のアルミナナノ粒子及び5~25質量%の結合剤からなる凝集体を含む多孔質セラミックハニカム体は、600~1200℃、例えば650~1100℃の最高温度で1~24時間、アルミナナノ粒子を含むハニカム体の温度を上昇させることによって熱処理される。
【0247】
【0248】
図18A及び18Bに示されるように、堆積後の熱処理により、FE、dP、又はFEとdPの両方が低下する可能性があることがわかった。
図18Aに示されるように、表8の実施例のより低い処理温度では、熱処理による濾過効率の低下が少なくなる(FEの低下が少なくなる);例えば、1100℃処理はフィルタのFE値が6.3%低下し、650℃処理後、同様にアルミナを負荷したフィルタのFEが約2%低下した(
図18Aの2つの例は、2.2%~2.5%のFEの正味の低下を示している)。
図18Bに示されるように、表8の実施例のより低い処理温度では、より低い熱処理温度(600℃未満、又は400~600℃の範囲。
図18Bは、425℃の熱処理温度での2つの例を示している)についてのフィルタ全体にわたる圧力降下の増加を示したのに対し、より高い熱処理温度では、堆積されたままの状態と比較して、圧力降下の減少をもたらした(
図18Bの例は、600度を超える熱処理温度での10Pa以上の圧力降下の減少を示しており、
図18Bの例は、650、910、及び1100℃に対応する)。したがって、600~700℃、好ましくは625~675℃の最高熱処理温度では、圧力降下、熱処理後の圧力降下の有利な減少とともに、FEのわずかな低下を示した。
【0249】
図19は、熱処理及び各耐久性(例えば耐水性)試験の後に測定した煙のFEデータを示している。耐水性試験は3つの段階を含む。1)15~20gの水の負荷を伴う第1のネブライザ試験;2)60~70gの水の負荷を伴う第2の水ネブライザ試験;3)>300gの水の負荷を伴う水浸漬試験。試験中の総FEの正味の損失は、250℃処理フィルタで1.66%、650℃処理フィルタで8.74%であった。250℃で処理された試料は、車両試験及び水試験の前に、ホットキャニング中に650℃に10時間曝露されたため、堆積物の強度及び耐水性が向上したことに留意すべきである。
【0250】
実施例7-無機堆積物の形態
この実施例は、濾過物品の形態、例えば、閉塞したハニカム体の多孔質壁上又は壁内、若しくは壁上及び壁内に堆積した無機材料を有する閉塞したハニカム体を実証する。このような形態は、無機材料のエアロゾル堆積プロセスによって達成される。
【0251】
200CPSI(約31.0セル/cm
2)、壁厚8ミル(203マイクロメートル)、並びに平均細孔径13.5μm及び平均空隙率55%を有する、直径4.252インチ及び長さ4.724インチのウォールフロー型フィルタ基材で、エタノールベースのエアロゾル堆積実験を実施した。無機材料を6.95g/Lの負荷で堆積させた。
図5に示されるチャンバと同様の共流型のチャンバを、11%固形アルミナ(DK-2405)、15%Dow2405結合剤、噴霧ノズル、外部混合ノズル(SU1A、2050/7)とともに使用した。液体の流量は24g/分であった(3つのノズルから8g/分)。噴霧ガス流量は全体で30Nm
3/時であった(それぞれ3つノズルから10Nm
3/時)。キャリアガス流量は70Nm
3/時であった。熱伝達装置706aを使用して、ノズル720より上の入口温度を上昇させた。熱伝達装置706aの設定値は、約150℃の測定温度を提供するために230℃であった。第1のヒータ706bは270℃(実際には150℃)に設定し、第2のヒータ706cは300℃(実際には155℃)に設定し、第3のヒータ706dは300℃(実際には120℃)に設定した。
【0252】
ウォールフロー型フィルタ上で得られたエアロゾル堆積アルミナを含むウォールフロー型フィルタのSEM写真を以下のように取得した。
【0253】
図20は、入口チャネルの入口領域の上面図のSEM写真であり;
図21は、入口チャネルの入口領域の切欠き側面図のSEM写真であり;
図22は、入口チャネルの中央領域の上面図のSEM写真であり;
図23は、入口チャネルの中央領域の切欠き側面図のSEM写真であり;
図24は、入口チャネルの出口領域の上面図のSEM写真であり;
図25は、入口チャネルの出口領域の切欠き側面図のSEM写真であり;
図26は、入口チャネルの出口領域の拡大した切欠き側面図のSEM写真であり;
図27は、色を反転させた
図26のSEM写真であり;
図28Aは、集合体1500を破線で取り囲んでいる、
図27のSEM写真の一部であり;
図28Bは、
図28Aで輪郭が破線で囲まれている集合体1500の領域を形成する、凝集体1502の概略図である。
【0254】
図26、27、及び28A~Bに最もよく示されるように、多孔質壁上の無機材料は、無機材料の微粒子又は一次粒子(この特定の例では、アルミナ)、粒子と結合剤材料とからなる微粒子-結合剤凝集体、及び微粒子-結合剤凝集体の集合体を含む。閉塞したハニカム体の形態をした濾過物品の多孔質壁内、又は多孔質壁上、若しくは多孔質壁内及び多孔質壁上の無機材料は、凝集体及び/又は集合体の「クラスタ」又は「鎖」として存在する。幾つかの実施形態では、クラスタ又は鎖は、指状、フィブリル状、又は、例えば海綿スポンジに似た形態などのスポンジ状のうちの1つ以上である、無機材料形態を提供する。
【0255】
特許請求の範囲に記載の主題の精神及び範囲から逸脱することなく、本明細書に記載される実施形態にさまざまな修正及び変更を加えることができることは、当業者にとって明らかであろう。したがって、本明細書は、このような修正及び変更が添付の特許請求の範囲及びそれらの等価物の範囲内に入る限り、本明細書、に記載されるさまざまな実施形態の修正及び変更に及ぶことが意図されている。
【0256】
以下、本発明の好ましい実施形態を項分け記載する。
【0257】
実施形態1
多孔質壁を含む閉塞したハニカム体に表面処理を施す方法であって、該方法が、
無機材料の粒子を噴霧して、水性ビヒクル、結合剤材料、及び前記粒子からなる液体-微粒子-結合剤液滴とする工程;
前記液滴から前記水性ビヒクルの実質的にすべてを蒸発させて、前記粒子及び前記結合剤材料からなる凝集体を形成する工程;
前記閉塞したハニカム体の前記多孔質壁に前記凝集体を堆積させる工程
を含み、
前記堆積した凝集体が、前記多孔質壁上、又は多孔質壁内、若しくは多孔質壁上及び多孔質壁内の両方に配置される、
方法。
【0258】
実施形態2
前記噴霧する工程が、前記粒子、前記水性ビヒクル、及び前記結合剤材料の懸濁液を供給することをさらに含む、実施形態1に記載の方法。
【0259】
実施形態3
前記凝集体の少なくとも幾つかが前記多孔質壁に付着する、実施形態1又は2に記載の方法。
【0260】
実施形態4
前記結合剤材料が、前記凝集体の粘着性を高める、実施形態1から3のいずれかに記載の方法。
【0261】
実施形態5
前記粒子が前記水性ビヒクル及び前記結合剤材料と混合されて、液体-微粒子-結合剤の流れを形成し、前記液体-微粒子-結合剤の流れが噴霧ノズルに向けられる、実施形態1から4のいずれかに記載の方法。
【0262】
実施形態6
前記液体-微粒子-結合剤液滴をエアロゾル化する工程をさらに含む、実施形態1から5のいずれかに記載の方法。
【0263】
実施形態7
前記液体-微粒子-結合剤の流れが、前記噴霧ノズルを介して噴霧ガスと混合される、実施形態1から6のいずれかに記載の方法。
【0264】
実施形態8
前記液体-微粒子-結合剤の流れが前記噴霧ノズルに入る、実施形態1から7のいずれかに記載の方法。
【0265】
実施形態9
前記液体-微粒子-結合剤の流れを前記噴霧ガスと混合する工程が、前記噴霧ノズルの内側で行われる、実施形態6から8のいずれかに記載の方法。
【0266】
実施形態10
前記液体-微粒子-結合剤の流れを前記噴霧ガスと混合する工程が、前記噴霧ノズルの外側で行われる、実施形態6から8のいずれかに記載の方法。
【0267】
実施形態11
前記噴霧ノズルが前記エアロゾル化中に冷却される、実施形態1から10のいずれかに記載の方法。
【0268】
実施形態12
前記噴霧ノズルの温度が、前記水性ビヒクルの沸点未満で維持される、実施形態1から11のいずれかに記載の方法。
【0269】
実施形態13
前記液滴が、エアロゾル化され、ガス状キャリア流によって前記閉塞したハニカム体の方へと運ばれる、実施形態1から12のいずれかに記載の方法。
【0270】
実施形態14
前記ガス状キャリア流が、前記噴霧ガス及びキャリアガスからなる、実施形態1から13のいずれかに記載の方法。
【0271】
実施形態15
前記ガス状キャリア流が、前記液滴と混合される前に加熱される、実施形態1から14のいずれかに記載の方法。
【0272】
実施形態16
前記ガス状キャリア流が、50℃以上から500℃以下の範囲の温度に加熱される、実施形態1から15のいずれかに記載の方法。
【0273】
実施形態17
前記ガス状キャリア流が、80℃以上から300℃以下の範囲の温度に加熱される、実施形態1から16のいずれかに記載の方法。
【0274】
実施形態18
前記ガス状キャリア流が、80℃以上から150℃以下の範囲の温度に加熱される、実施形態1から17のいずれかに記載の方法。
【0275】
実施形態19
前記液滴及び前記ガス状キャリア流が、前記閉塞したハニカム体に近接した出口端を有するダクトを通って運ばれる、実施形態13から18のいずれかに記載の方法。
【0276】
実施形態20
前記ダクトが、前記堆積工程中、前記閉塞したハニカム体と密閉流体連通している、実施形態1から19のいずれかに記載の方法。
【0277】
実施形態21
前記ダクトを通る全容積流量が、5Nm3/時以上及び/又は200Nm3/時以下である、実施形態19又は20に記載の方法。
【0278】
実施形態22
前記全容積流量が、20Nm3/時以上及び/又は100Nm3/時以下である、実施形態1から21のいずれかに記載の方法。
【0279】
実施形態23
前記ダクトが実質的に断熱性である、実施形態19から22のいずれかに記載の方法。
【0280】
実施形態24
前記ダクトの壁の平均温度が前記ガス状キャリア流の温度より低い、実施形態19から23のいずれかに記載の方法。
【0281】
実施形態25
前記ダクトの壁の平均温度が前記ガス状キャリア流の温度より高い、実施形態19から24のいずれかに記載の方法。
【0282】
実施形態26
複数の噴霧ノズルを用いて複数の液体-微粒子-結合剤の流れを噴霧する工程をさらに含む、実施形態1から25のいずれかに記載の方法。
【0283】
実施形態27
前記複数の噴霧ノズルが、前記ダクトのチャンバ内に等間隔に配置される、実施形態19から26のいずれかに記載の方法。
【0284】
実施形態28
前記複数の噴霧ノズルの各々が、前記ダクトの中心に向かって角度が付いている、実施形態26に記載の方法。
【0285】
実施形態29
前記噴霧ガスが、前記液体-微粒子-結合剤の流れを前記液滴へと細分化するのに寄与する、実施形態26から28のいずれかに記載の方法。
【0286】
実施形態30
前記多孔質壁に前記凝集体を堆積させる工程が、前記ガス状キャリア流を前記ハニカム体の前記多孔質壁に通すことをさらに含み、前記ハニカム体の前記壁上又は壁内に前記濾過された凝集体を捕捉することによって、前記ハニカム体の前記壁が前記凝集体の少なくとも幾つかを濾過して取り除く、実施形態13から29のいずれかに記載の方法。
【0287】
実施形態31
前記多孔質壁に前記凝集体を堆積させる工程が、前記閉塞したハニカム体の前記多孔質壁を用いて前記ガス状キャリア流から前記凝集体を濾過することを含む、実施形態13から30のいずれかに記載の方法。
【0288】
実施形態32
前記結合剤材料の有機成分が、前記堆積した凝集体から除去される、実施形態1から31のいずれかに記載の方法。
【0289】
実施形態33
前記堆積した凝集体を加熱する工程をさらに含む、実施形態1から32のいずれかに記載の方法。
【0290】
実施形態34
前記堆積した凝集体を加熱することにより、前記堆積した凝集体から前記結合剤材料の有機成分を燃焼又は揮発させる、実施形態1から33のいずれかに記載の方法。
【0291】
実施形態35
前記前記凝集体を加熱することにより、前記堆積した凝集体中の前記結合剤材料の無機成分を前記ハニカム体の前記多孔質壁と物理的に結合させる、実施形態1から34のいずれかに記載の方法。
【0292】
実施形態36
前記凝集体を加熱することにより、前記堆積した凝集体中の前記結合剤材料の無機成分が前記ハニカム体の前記多孔質壁上に多孔質無機構造を形成する、実施形態34又は35に記載の方法。
【0293】
実施形態37
前記キャリアガスが窒素である、実施形態14に記載の方法。
【0294】
実施形態38
前記キャリアガスが実質的に不活性ガスからなる、実施形態14に記載の方法。
【0295】
実施形態39
前記キャリアガスが主に1つ以上の不活性ガスである、実施形態14に記載の方法。
【0296】
実施形態40
前記キャリアガスが主に窒素ガスである、実施形態14に記載の方法。
【0297】
実施形態41
前記キャリアガスが主に空気である、実施形態14に記載の方法。
【0298】
実施形態42
前記キャリアガスが、実質的に窒素又は空気からなる、実施形態14に記載の方法。
【0299】
実施形態43
前記キャリアガスが乾燥している、実施形態14に記載の方法。
【0300】
実施形態44
前記キャリアガスが、水蒸気を5質量パーセント未満で含む、実施形態14に記載の方法。
【0301】
実施形態45
前記キャリアガスが、前記ダクトのチャンバに入るときに液体ビヒクルを実質的に含まない、実施形態19から44のいずれかに記載の方法。
【0302】
実施形態46
前記ダクトが、前記凝集体から前記水性ビヒクルの実質的な部分又はすべての蒸発を可能にするように構成された軸方向長さを有する蒸発セクションを含む、実施形態19から45のいずれかに記載の方法。
【0303】
実施形態47
前記液滴の経路及び前記ガス状キャリア流の経路が、前記ダクトの蒸発セクションに入る前に互いに実質的に垂直である、実施形態19から46のいずれかに記載の方法。
【0304】
実施形態48
前記液滴の経路及び前記ガス流の経路が、前記ダクトの蒸発セクションに入るときに互いに実質的に平行である、実施形態19から46のいずれかに記載の方法。
【0305】
実施形態49
前記キャリアガスが、前記ノズルの端部の前記液滴の周りの共流における前記ノズルを取り囲む環状の流れで前記ダクトのチャンバに送給される、実施形態19から48のいずれかに記載の方法。
【0306】
実施形態50
前記液滴の経路及び前記キャリアガスの経路が、前記ダクトの蒸発セクションに入る前に互いに実質的に垂直である、実施形態19から46のいずれかに記載の方法。
【0307】
実施形態51
前記液滴の経路及び前記キャリアガスの経路が、前記ダクトの蒸発セクションに入る前に互いに実質的に平行である、実施形態19から46のいずれかに記載の方法。
【0308】
実施形態52
前記ダクトが、前記ノズルの下流に拡散領域を含む、実施形態19に記載の方法。
【0309】
実施形態53
前記ダクトが、前記ハニカム体の近位端に係合するための収束セクションを含む、実施形態19に記載の方法。
【0310】
実施形態54
前記閉塞したハニカム体が、前記ハニカム体の遠位端で閉塞している入口チャネルと、前記ハニカム体の近位端で閉塞している出口チャネルとを備えている、実施形態1から53のいずれかに記載の方法。
【0311】
実施形態55
前記凝集体が、前記入口チャネルを画成する前記壁上に堆積される、実施形態1から54のいずれかに記載の方法。
【0312】
実施形態56
前記水性ビヒクルが、前記ガス状キャリア流の前記温度において、水の蒸気圧より高い蒸気圧を有する、実施形態1から55のいずれかに記載の方法。
【0313】
実施形態57
前記水性ビヒクルが、前記ガス状キャリア流の前記温度において、水の沸点より低い沸点を有する材料から実質的になる、実施形態1から56のいずれかに記載の方法。
【0314】
実施形態58
前記凝集体が、d50が1.5マイクロメートル超かつ5マイクロメートル未満であり、d90が2マイクロメートル超かつ5マイクロメートル未満であり、d10が1マイクロメートル超かつ2マイクロメートル未満である粒径を含む、実施形態1から57のいずれかに記載の方法。
【0315】
実施形態59
前記凝集体が、充填球状凝集体の堆積物微細構造を形成する、実施形態1から58のいずれかに記載の方法。
【0316】
実施形態60
前記凝集体が高密度に充填されている、実施形態1から59のいずれかに記載の方法。
【0317】
実施形態61
前記水性ビヒクルが実質的に水からなる、実施形態1から60のいずれかに記載の方法。
【0318】
実施形態62
前記ガス状キャリア流が、重力に実質的に平行な方向に前記チャンバから出る、実施形態13から61のいずれかに記載の方法。
【0319】
実施形態63
前記ガス状キャリア流が、実質的に下向きに前記チャンバから出る、実施形態13から61のいずれかに記載の方法。
【0320】
実施形態64
前記ガス状キャリア流が、実質的に上向きに前記チャンバから出る、実施形態13から61のいずれかに記載の方法。
【0321】
実施形態65
前記液体-微粒子-結合剤液滴が、複数のノズルによって前記チャンバ内へと向けられる、実施形態1から64のいずれかに記載の方法。
【0322】
実施形態66
前記液体-微粒子-液滴の平均サイズが1μm以上かつ15μm以下である、実施形態1から65のいずれかに記載の方法。
【0323】
実施形態67
前記液体-微粒子-液滴の平均サイズが2μm以上かつ8μm以下である、実施形態1から66のいずれかに記載の方法。
【0324】
実施形態68
前記液体-微粒子-液滴の平均サイズが4μm以上かつ8μm以下である、実施形態1から67のいずれかに記載の方法。
【0325】
実施形態69
前記液体-微粒子-液滴の平均サイズが4μm以上かつ6μm以下である、実施形態1から68のいずれかに記載の方法。
【0326】
実施形態70
多孔質壁を含む閉塞したハニカム体に表面処理を施す方法であって、該方法が、
無機材料の粒子を水性ビヒクル及び結合剤材料と混合して、液体-微粒子-結合剤の流れを形成する工程;
前記液体-微粒子-結合剤の流れを噴霧ガスと混合する工程;
前記液体-微粒子-結合剤の流れを噴霧ノズル内へと向け、それによって前記粒子を前記水性ビヒクル、前記結合剤材料、及び前記粒子からなる液体-微粒子-結合剤液滴へとエアロゾル化する工程;
前記閉塞したハニカム体に近接した出口端を有するダクトを通るガス状キャリア流によって前記液滴を前記閉塞したハニカム体の方へと運ぶ工程であって、前記ガス状キャリア流がキャリアガス及び前記噴霧ガスを含む、工程;
前記液滴から前記水性ビヒクルの実質的にすべてを蒸発させて、前記粒子及び前記結合剤材料からなる凝集体を形成する工程;及び
前記閉塞したハニカム体の前記多孔質壁に前記凝集体を堆積させる工程
を含み、
前記堆積した凝集体が、前記多孔質壁上、又は多孔質壁内、若しくは多孔質壁上及び多孔質壁内の両方に配置される、
方法。
【0327】
実施形態71
前記ダクトが、前記堆積工程中、前記閉塞したハニカム体と密閉流体連通している、実施形態70に記載の方法。
【0328】
実施形態72
前記キャリアガスが、前記ノズルの端部の前記液滴の周りの共流における前記ノズルを取り囲む環状で前記ダクトのチャンバに送給される、実施形態70又は71に記載の方法。
【0329】
実施形態73
前記ダクトが、前記ハニカム体の近位端に係合するための収束セクションを含む、実施形態70から72のいずれかに記載の方法。
【0330】
実施形態74
前記ダクトが丸い断面形状を含む、実施形態70から73のいずれかに記載の方法。
【0331】
実施形態75
前記液体-微粒子-結合剤の流れを前記噴霧ガスと混合する工程が、前記噴霧ノズルの外側で行われる、実施形態70から74のいずれかに記載の方法。
【0332】
実施形態76
前記噴霧ノズルが収束ノズルである、実施形態70から75のいずれかに記載の方法。
【0333】
実施形態77
前記粒子を液体-微粒子-結合剤液滴へとエアロゾル化する工程が、複数の噴霧ノズルを用いて複数の液体-微粒子-結合剤の流れをエアロゾル化することを含む、実施形態70から76のいずれかに記載の方法。
【0334】
実施形態78
前記複数の噴霧ノズルが、前記ダクトのチャンバ内に等間隔に配置される、実施形態1から77のいずれかに記載の方法。
【0335】
実施形態79
前記複数の噴霧ノズルの各々が、前記ダクトの中心に向かって角度が付いている、実施形態1から78のいずれかに記載の方法。
【0336】
実施形態80
前記閉塞したハニカム体の前記多孔質壁に前記凝集体を堆積させる工程が、複数の閉塞したハニカム体に対して半連続的に行われる、実施形態70から79のいずれかに記載の方法。
【0337】
実施形態81
凝集体を有する第1の閉塞したハニカム体と前記ダクトとの間の密閉流体連通を解く工程、及び前記ダクトと密閉流体連通している第2の閉塞したハニカム体を係合する工程をさらに含む、実施形態1から80のいずれかに記載の方法。
【0338】
実施形態82
前記第2の閉塞したハニカム体が、前記第1の閉塞したハニカム体の密閉を解いた後、30秒以下で係合される、実施形態81に記載の方法。
【0339】
実施形態83
前記第2の閉塞したハニカム体が、前記第1の閉塞したハニカム体の密閉を解いた後、15秒以下で係合される、実施形態1から82のいずれかに記載の方法。
【0340】
実施形態84
前記第2の閉塞したハニカム体が、前記第1の閉塞したハニカム体の密閉を解いた後、5秒未満で係合される、実施形態1から83のいずれかに記載の方法。
【0341】
実施形態85
前記第2の閉塞したハニカム体が、前記第1の閉塞したハニカム体の密閉を解いた後、2秒未満で係合される、実施形態1から84のいずれかに記載の方法。
【0342】
実施形態86
前記液体-微粒子-結合剤の流れを前記噴霧ノズルへと向ける工程が、実質的に一定の流量で行われる、実施形態70から85のいずれかに記載の方法。
【0343】
実施形態87
前記無機材料の前記粒子を前記水性ビヒクル及び前記結合剤材料と混合する工程が、機械的撹拌によって行われる、実施形態70から86のいずれかに記載の方法。
【0344】
実施形態88
前記噴霧ガス及び前記キャリアガスが、90psi(約621kPa)以上の圧力で独立して供給される、実施形態70から87のいずれかに記載の方法。
【0345】
実施形態89
前記噴霧ガス及び前記キャリアガスがそれぞれ、125psi(約862kPa)以下の圧力で独立して供給される、実施形態70から88のいずれかに記載の方法。
【0346】
実施形態90
前記噴霧ノズルの温度が、前記水性ビヒクルの沸点未満で維持される、実施形態70から89のいずれかに記載の方法。
【0347】
実施形態91
前記ガス状キャリア流が、前記液滴と混合される前に加熱される、実施形態70から90のいずれかに記載の方法。
【0348】
実施形態92
多孔質壁を含む閉塞したハニカム体に表面処理を施す方法であって、該方法が、
噴霧ガスを液体-微粒子-結合剤の流れと混合する工程であって、前記液体-微粒子-結合剤の流れが、無機材料の粒子、水性ビヒクル、及び結合剤材料を含む、工程;
前記液体-微粒子-結合剤の流れを噴霧ノズル内へと向け、それによって前記粒子を前記水性ビヒクル、前記結合剤材料、及び前記粒子からなる液体-微粒子-結合剤液滴へとエアロゾル化する工程;
前記閉塞したハニカム体に近接した出口端を有するダクトを通るガス状キャリア流によって前記液滴を前記閉塞したハニカム体の方へと運ぶ工程であって、前記ガス状キャリア流がキャリアガス及び前記噴霧ガスを含む、工程;
前記ノズルの端部の前記液滴の周りの共流における前記ノズルを取り囲む環状の流れで、前記キャリアガスを前記ダクトのチャンバに送給する工程;
前記液滴から前記水性ビヒクルの実質的にすべてを蒸発させて、前記粒子及び前記結合剤材料からなる凝集体を形成する工程;及び
前記閉塞したハニカム体の前記多孔質壁に前記凝集体を堆積させる工程
を含み、
前記堆積した凝集体が、前記多孔質壁上、又は多孔質壁内、若しくは多孔質壁上及び多孔質壁内の両方に配置され;
前記堆積工程中、前記ダクトが、前記閉塞したハニカム体を収容する堆積ゾーンと密閉流体連通している、
方法。
【0349】
実施形態93
前記閉塞したハニカム体の前記多孔質壁に前記凝集体を堆積させる工程が、複数の閉塞したハニカム体に対して半連続的に行われる、実施形態1から92のいずれかに記載の方法。
【0350】
実施形態94
前記ダクトと前記堆積ゾーンとの間の密閉流体連通を解く工程、堆積した凝集体を有する第1の閉塞したハニカム体を前記ダクトから離れた位置へと移動させる工程、及び前記ダクトと密閉流体連通している第2の閉塞したハニカム体を係合する工程をさらに含む、実施形態1から93のいずれかに記載の方法。
【0351】
実施形態95
次の特徴:
前記ダクトが、前記ハニカム体の近位端に係合するための収束セクションを含む;
前記ダクトが丸い断面形状を含む;
前記噴霧ノズルが収束ノズルである;
前記噴霧ノズルが外部混合ノズルである;
複数の液体-微粒子-結合剤の流れをエアロゾル化する複数の噴霧ノズル;
前記無機材料の前記粒子を前記水性ビヒクル及び前記結合剤材料と混合して、前記液体-微粒子-結合剤の流れを形成する機械的撹拌器;
前記液体-微粒子-結合剤の流れを実質的に一定の流量で前記噴霧ノズルに向けるポンプ;
前記噴霧ガス及び前記キャリアガスを、90psi(約621kPa)以上の圧力で独立して供給するブースター;
前記閉塞したハニカム体の外径と前記堆積ゾーンの内径との間の膨張可能な封止;及び
堆積した凝集体を有する前記第1の閉塞したハニカム体と前記ダクトとの間の流体連通の密閉が解かれたときに、前記ダクトの開放端を覆うバルブ
のうちの1つ又はそれらの組合せをさらに含む、実施形態92から94のいずれかに記載の方法。
【0352】
実施形態96
多孔質壁を含む閉塞したハニカム体に表面処理を施すための装置であって、該装置が、
第1の端部から第2の端部にわたって丸い断面形状を有するダクト;
前記ダクトの前記第2の端部で前記ダクトと流体連通する前記閉塞したハニカム体を収容するための堆積ゾーン;及び
前記ダクトのチャンバと流体連通する噴霧ノズル
を含む、装置。
【0353】
実施形態97
次の特徴:
前記ダクトが、前記堆積ゾーンと係合するための収束セクションを含む;
前記噴霧ノズルが収束ノズルである;
前記噴霧ノズルが外部混合ノズルである;
複数の噴霧ノズル;
前記噴霧ノズルと流体連通している前記ダクトの前記第1の端部又はその近くでの液体-微粒子-結合剤の流れの供給であって、前記無機材料の粒子を水性ビヒクル及び結合剤材料と混合する機械的撹拌器、及び/又は前記液体-微粒子-結合剤の流れを実質的に一定の流量で前記噴霧ノズルに向けるポンプを含む、液体-微粒子-結合剤の流れの供給;
前記ノズルに90psi(約621kPa)以上の圧力で噴霧ガスを供給するブースター;
前記閉塞したハニカム体の外径と前記堆積ゾーンの内径との間の膨張可能な封止;及び
堆積した凝集体を有する閉塞したハニカム体と前記ダクトとの間の流体連通の密閉が解かれたときに前記ダクトの開放端を覆うバルブ
のうちの1つ又はそれらの組合せをさらに含む、実施形態96に記載の装置。
【0354】
実施形態98
濾過物品であって、
細孔を有する多孔質壁を備えたハニカムフィルタ体;及び
前記ハニカムフィルタ体内に配置された、無機材料ナノ粒子及び結合剤を含む無機堆積物
を含み、
前記無機堆積物が、前記無機材料ナノ粒子と前記結合剤との集合した凝集体のネットワークを含み、前記結合剤が水溶性結合剤を含む、
濾過物品。
【0355】
実施形態99
前記凝集体が無機材料のナノ粒子からなり、前記凝集体のネットワークが凝集体の集合体を含む、実施形態98に記載の濾過物品。
【0356】
実施形態100
前記凝集体のネットワークが前記集合体のクラスタ又は鎖を含む、実施形態99に記載の濾過物品。
【0357】
実施形態101
前記クラスタ又は鎖の少なくとも一部が前記多孔質壁の前記表面内又は前記表面下の前記細孔内に配置され、前記クラスタ又は鎖の少なくとも一部が前記多孔質壁の前記表面上に配置される、実施形態100に記載の濾過物品。
【0358】
実施形態102
前記クラスタの一部が、凝集体の露出した集合体を含む多孔質クラスタである、実施形態100又は101に記載の濾過物品。
【0359】
実施形態103
前記多孔質クラスタが2つ以上の凝集体の1つ以上の鎖を含み、各鎖が前記多孔質壁から外側方向に延びる、実施形態102に記載の濾過物品。
【0360】
実施形態104
前記多孔質クラスタが、指、房、及びスポンジからなる群の成員に似ている形態を集合的に提供する、複数の前記外向きに延びる鎖を含む、実施形態102に記載の濾過物品。
【0361】
実施形態105
前記無機材料が、セラミック粒子、金属酸化物粒子、及び耐火金属酸化物粒子のうちの1つ以上を含む、実施形態98から104のいずれかに記載の濾過物品。
【0362】
実施形態106
前記無機材料がアルミナを含む、実施形態98から105のいずれかに記載の濾過物品。
【0363】
実施形態107
前記無機材料が、0.1~20g/Lから0.1~5g/Lの負荷で前記ハニカムフィルタ体上に存在する、実施形態98から106のいずれかに記載の濾過物品。
【0364】
実施形態108
前記無機材料が、0.1~5g/Lから0.1~2g/Lの負荷で前記ハニカムフィルタ体上に存在する、実施形態98から107のいずれかに記載の濾過物品。
【0365】
実施形態109
水溶性結合剤がケイ素含有結合剤を含む、実施形態98から108のいずれかに記載の濾過物品。
【0366】
実施形態110
前記結合剤が、ケイ酸塩又はアルミン酸塩を含む、実施形態98から109のいずれかに記載の濾過物品。
【0367】
実施形態111
前記結合剤がケイ酸ナトリウムを含む、実施形態98から110のいずれかに記載の濾過物品。
【0368】
実施形態112
前記結合剤が、前記ハニカムフィルタ体上に、前記無機材料の5質量%~約30質量%の範囲の量で存在する、実施形態98から111のいずれかに記載の濾過物品。
【0369】
実施形態113
前記無機堆積物が、希土類酸化物、白金族金属、及びモレキュラーシーブを含まない、実施形態98から112のいずれかに記載の濾過物品。
【符号の説明】
【0370】
100 ハニカム体
105 第1の端部
110 内部チャネル
115 壁
135 第2の端部
200 微粒子フィルタ
201 チャネル
202 入口端
204 出口端
205 外皮層
206 チャネル壁
208 入口チャネル
210 出口チャネル
250 排ガス流
300 ハニカム体
310 壁
320 濾過材料堆積物
325 粒子
330 ガスの流れ
500,600,700,800,900 装置
501,601,701,801,901 導管
503,603,703,803,903 プレナム空間
505,605,705,805 キャリアガス
510,610,710,810 懸濁液
515,615,715,815a,815b,915 噴霧ガス
520,620,720,820a,820b,820c,920 ノズル
521,621,721,821 入口端
522,622,722,822,922 拡散領域
523,623,723,823,923 蒸発チャンバ
525,625,725,825,925 出口端
527,727,827 第1のセクション
529,729,829 第2のセクション
531,631,731,831,931 堆積ゾーン
536,636,736,836,936 出口ゾーン
540,640,740,840,940 出口導管
545,645,745,845,945 流れドライバ
550,650,750,850,950 第1の端部
551,651,751,851,951 ダクト
553,653,753,953 蒸発セクション
555,655,755,855,955 第2の端部
905a 一次加熱キャリアガス
905b 二次加熱キャリアガス
921 第1の入口位置
924 第2の入口位置
928 直円筒形セクション
929 第2のプレナム空間