IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ゼネラル・エレクトリック・カンパニイの特許一覧

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-20
(45)【発行日】2025-01-06
(54)【発明の名称】神経調節エネルギー適用技術
(51)【国際特許分類】
   A61N 7/00 20060101AFI20241223BHJP
【FI】
A61N7/00
【請求項の数】 21
(21)【出願番号】P 2021511595
(86)(22)【出願日】2019-08-29
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-12-16
(86)【国際出願番号】 US2019048901
(87)【国際公開番号】W WO2020051071
(87)【国際公開日】2020-03-12
【審査請求日】2022-08-19
(31)【優先権主張番号】16/121,223
(32)【優先日】2018-09-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】390041542
【氏名又は名称】ゼネラル・エレクトリック・カンパニイ
(74)【代理人】
【識別番号】100105588
【弁理士】
【氏名又は名称】小倉 博
(74)【代理人】
【識別番号】100129779
【弁理士】
【氏名又は名称】黒川 俊久
(74)【代理人】
【識別番号】100151286
【弁理士】
【氏名又は名称】澤木 亮一
(72)【発明者】
【氏名】プレオ,クリストファー マイケル
(72)【発明者】
【氏名】ザオ,ヤン
(72)【発明者】
【氏名】ワラス,カーク デニス
(72)【発明者】
【氏名】ファン,イング
(72)【発明者】
【氏名】アッシェ,ジェフリー マイケル
(72)【発明者】
【氏名】ショウディ,デヴィッド アンドリュー
【審査官】菊地 康彦
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-165894(JP,A)
【文献】特開2013-223728(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2014/0213903(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2015/0151142(US,A1)
【文献】国際公開第2018/067654(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2011/0009734(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2018/0028841(US,A1)
【文献】特表2011-502686(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61N 7/00- 7/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
神経調節システムであって、
1つまたは複数の神経経路の神経調節を誘発するのに有効な量の超音波エネルギーを、患者の身体の対象領域に適用するように構成された超音波トランスデューサを含む超音波プローブ、および
治療される所定の部位の位置である前記患者の身体の前記対象領域を特定すること、
前記超音波プローブを介して前記対象領域への前記超音波エネルギーの適用を制御すること、
前記超音波プローブの位置に関連する位置情報を受信すること、
前記対象領域に対する前記超音波プローブの位置を判定すること、および
前記位置の前記判定に基づいて、治療時間枠にわたって前記対象領域への線量と前記対象領域の外側の領域に適用される超音波エネルギーの線量とを追跡し、前記対象領域の外側の領域に適用される超音波エネルギーの線量と、前記対象領域に適用される超音波エネルギーの総線量を判定することに対して構成されたコントローラを含む、システム。
【請求項2】
前記超音波プローブが前記対象領域の位置にあると判定されるときに、超音波エネルギーが蓄積しているとみなし、
前記超音波プローブが前記対象領域の位置にないと判定されるときに、超音波エネルギーが蓄積していないとみなし、
前記対象領域への所定のターゲット線量が達成されると、前記コントローラは、前記超音波プローブからのエネルギーの適用をオフに切り替え、
前記超音波プローブが、前記位置情報を生成するように構成された1つまたは複数の位置センサを備える、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記1つまたは複数の位置センサが慣性測定ユニットを備える、請求項2に記載のシステム。
【請求項4】
前記1つまたは複数の位置センサは、前記患者および/または外部デバイスに対して固定された位置にある機械式の固定具を含む、請求項2に記載のシステム。
【請求項5】
前記超音波プローブが、前記位置情報を生成するように構成された超音波画像化トランスデューサを含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項6】
前記超音波プローブが、前記位置情報を生成するように構成されたカメラを含み、前記カメラが前記超音波プローブの治療面から離れる方向に向けられている、請求項1に記載のシステム。
【請求項7】
前記位置情報は、前記カメラによって取得された1つまたは複数の画像を含み、前記コントローラは、前記画像が前記治療される所定の部位の位置のインジケータの全部または一部をキャプチャするときに、前記超音波プローブの前記位置が前記治療される所定の部位の位置と整合していると判定するように構成され、前記インジケータは前記患者に関連付けられている、請求項6に記載のシステム。
【請求項8】
動作中に前記超音波プローブの全部または一部を操縦するように構成されるステアリングコントローラをさらに備え、前記コントローラが、前記位置情報に基づいて前記ステアリングコントローラを駆動するように構成される、請求項1に記載のシステム。
【請求項9】
前記コントローラは、前記治療される所定の部位の位置に対する前記超音波プローブの前記位置の表示を施すように構成される、請求項1に記載のシステム。
【請求項10】
前記コントローラは、前記位置情報に基づいて前記超音波プローブの前記位置が前記治療される所定の部位の位置と整合していると判定し、前記超音波プローブが前記治療される所定の部位の位置と整合しているときに前記超音波プローブを介した前記エネルギーの適用を可能にするように構成される、請求項1に記載のシステム。
【請求項11】
前記コントローラは、前記位置情報に基づいて前記超音波トランスデューサの前記位置が前記治療される所定の部位の位置と整合していると判定し、前記超音波プローブが前記治療される所定の部位の位置と整合していないときに前記超音波プローブを介した前記エネルギーの適用を停止またはスイッチオフするように構成される、請求項1に記載のシステム。
【請求項12】
前記コントローラは、前記超音波プローブの前記位置が前記治療される所定の部位の位置と整合することの表示を行うように構成される、請求項1に記載のシステム。
【請求項13】
前記コントローラは、前記超音波プローブの前記位置が前記治療される所定の部位の位置と整合していないことの表示を行うように構成される、請求項1に記載のシステム。
【請求項14】
前記表示は、前記超音波プローブの前記位置と前記治療される所定の部位の位置との整合に関連する方向に前記超音波プローブを移動させるための命令を含む、請求項13に記載のシステム。
【請求項15】
前記命令は、ディスプレイに表示されるテキスト命令、矢印、または画像の1つまたは複数を含む、請求項14に記載のシステム。
【請求項16】
前記コントローラは、時間枠にわたる前記治療される所定の部位の位置に対する前記超音波プローブの前記位置に基づいて、前記対象領域の外側の領域に適用されるエネルギーのオフターゲット部位の線量を計算するように構成される、請求項1に記載のシステム。
【請求項17】
神経調節システムであって、
患者の身体の対象領域にエネルギーを適用するように構成された超音波プローブであって、超音波治療トランスデューサ、および位置センサ、位置固定具、カメラ、超音波画像化トランスデューサ、またはそれらの組み合わせを含む少なくとも1つの位置フィードバックデバイス含み、前記位置フィードバックデバイスが前記超音波プローブの位置に関連する情報を生成するように構成された、超音波プローブ、および
治療される所定の部位の位置である前記患者の身体の前記対象領域を特定すること、
前記超音波プローブを介して前記対象領域への前記エネルギーの適用を制御すること、
前記超音波プローブの前記位置に関連する位置情報を受信すること、
前記位置情報に基づいて治療される所定の部位の位置に対する前記超音波プローブの前記位置を判定すること、および
前記位置の前記判定に基づいて、治療時間枠にわたって前記対象領域への線量と前記対象領域の外側の領域に適用される超音波エネルギーの線量とを追跡し、前記対象領域の外側の領域に適用される超音波エネルギーの線量と、前記対象領域に適用されるエネルギーの総線量を判定すること
に対して構成されたコントローラを含む、システム。
【請求項18】
コントローラに、
治療される所定の部位の位置である患者の身体の対象領域を特定すること、
超音波トランスデューサが配置された前記患者の身体の前記対象領域に超音波エネルギーを送達するように前記超音波トランスデューサを制御すること、
前記超音波トランスデューサの位置が治療される所定の部位の位置と整合していると判定すること、
前記位置が前記治療される所定の部位の位置と整合していると判定した後、前記超音波トランスデューサからのエネルギーの適用を開始して、1つまたは複数の神経経路の神経調節を誘発するのに有効な量のエネルギーの線量を対象領域に送達するように前記超音波トランスデューサを制御すること、
前記位置の前記判定に基づいて、治療時間枠にわたって前記対象領域への線量と前記対象領域の外側の領域に適用される超音波エネルギーの線量とを追跡し、前記対象領域の外側の領域に適用される超音波エネルギーの線量と、前記対象領域に適用される総線量を判定すること、および
前記総線量が所定の閾値以上の場合、前記超音波トランスデューサからのエネルギーの前記適用を中止するように前記超音波トランスデューサを制御すること、
を実行させる命令を含むソフトウェアコード。
【請求項19】
前記コントローラに、
前記超音波トランスデューサの更新された位置情報を受信すること、
前記超音波トランスデューサが前記患者に対して移動し、前記超音波トランスデューサの前記更新された位置が前記治療される所定の部位の位置と整合していないと判定すること、および
前記超音波トランスデューサからのエネルギーの前記適用を停止するように前記超音波トランスデューサを制御することを実行させる命令をさらに含む、請求項18に記載のソフトウェアコード。
【請求項20】
前記コントローラに、
前記超音波トランスデューサの位置が治療される所定の部位の位置と整合しているときに、前記超音波トランスデューサが所定の位置にあるまたはオンターゲットにあるという表示を施すことを実行させる命令を含む、請求項18に記載のソフトウェアコード。
【請求項21】
前記対象領域が肝臓である、請求項18に記載のソフトウェアコード。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書に開示される主題は、標的化されている生理学的転帰を引き起こすための神経調節エネルギーの適用を介して、対象における対象領域を特定、標的化、および/または投与する技術に関する。特に、開示された技術は、個人化された、または在宅の神経調節治療プロトコルの一部であり得る。
【背景技術】
【0002】
神経調節は、様々な臨床症状の治療に使用されてきた。例えば、脊髄に沿った様々な場所での電気刺激は、慢性的な腰痛の治療に使用されてきた。植込み型デバイスは、特定の神経線維を活性化するために組織に適用される電気エネルギーを定期的に生成することができ、その結果、痛みの感覚が低下する場合がある。脊髄刺激に関して、刺激電極は一般に硬膜外腔に配置されるが、パルス発生器は電極からいくらか離れて、例えば腹部または臀部領域に配置され得るが、導線を介して電極に接続される。他の実装形態では、脳深部刺激療法を使用して、脳の特定の領域を刺激して運動障害を治療することができ、刺激位置は、神経画像によって導かれることができる。そのような中枢神経系の刺激は、一般に、局所神経または脳細胞の機能を標的とし、電気パルスを送達し、標的神経またはその近くに配置される電極によって媒介される。しかし、電極を標的神経またはその近くに位置決めすることは困難である。例えば、そのような技術は、エネルギーを送達する電極の外科的配置を含み得る。さらに、神経調節を介した特定の組織ターゲティングは困難である。特定の標的神経またはその近くに配置された電極は、神経線維の活動電位を誘発することによって神経調節を媒介し、その結果、ひいては神経シナプスでの神経伝達物質の放出と次の神経とのシナプス伝達が起こる。植込まれた電極の現在の実装は一度に多くの神経または軸索を刺激するので、そのような伝播は、所望よりも比較的大きいまたはより拡散した生理学的効果をもたらす可能性がある。神経経路は複雑で相互に関連しているため、より選択的でターゲットを絞った変調効果が、より臨床的に有用である可能性がある。
【発明の概要】
【0003】
特許請求された主題に範囲が見合った特定の実施形態を以下に要約する。これらの実施形態は、特許請求される主題の範囲を限定することを意図するものではなく、むしろ、これらの実施形態は、可能な実施形態の簡単な概要を提示することのみを意図する。実際、本開示は、以下に記載される実施形態と類似または異なる可能性がある様々な形態を包含し得る。
【0004】
一実施形態では、1つまたは複数の神経経路の神経調節を誘発するのに有効な量の超音波エネルギーを患者の身体の対象領域に適用するように構成された超音波トランスデューサを含む超音波プローブを含む神経調節システムが提供される。このシステムはまた、超音波プローブを介して対象領域への超音波エネルギーの適用を制御し、超音波プローブの位置に関連する位置情報を受信し、所定の治療位置に対する超音波プローブの位置を判定し、対象領域に適用される超音波エネルギーの総線量を判定するように構成されたコントローラを含む。
【0005】
別の実施形態で、神経調節システムが提供される。このシステムは、神経調節システムであって、患者の身体の対象領域にエネルギーを適用するように構成された超音波プローブであって、超音波治療トランスデューサ、および位置センサ、位置固定具、カメラ、超音波画像化トランスデューサ、またはそれらの組み合わせを含む少なくとも1つの位置フィードバックデバイス含み、位置フィードバックデバイスが超音波プローブの位置に関連する情報を生成するように構成された、超音波プローブ、および超音波プローブを介して対象領域へのエネルギーの適用を制御すること、超音波プローブの位置に関連する情報を受信すること、情報に基づいて所定の治療位置に対する超音波プローブの位置を判定すること、および対象領域に適用されるエネルギーの総線量を判定することに対して構成されたコントローラを含む。
【0006】
別の実施形態では、超音波トランスデューサを配置して、患者の身体の対象領域に超音波エネルギーを送達すること、超音波トランスデューサの位置が所定の治療位置と整合していると判定すること、超音波トランスデューサからのエネルギーの適用を開始して、位置が所定の治療位置と整合していると判定した後、1つまたは複数の神経経路の神経調節を誘発するのに有効な量のエネルギーの線量を対象領域に送達すること、対象領域に適用される総線量を判定すること、および総線量が所定の閾値以上の場合、超音波トランスデューサからのエネルギーの適用を中止することを含む方法が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0007】
本発明のこれらおよび他の特徴、態様、および利点は、以下の詳細な説明が、図面全体にわたって同様の文字が同様の部分を表す添付の図面を参照して読まれるときに、よりよく理解されるであろう。
【0008】
図1】本開示の実施形態による、パルス発生器を使用する神経調節システムの概略図である。
図2】本開示の実施形態による神経調節システムのブロック図である。
図3】神経調節の概略図である。
図4】本開示の実施形態による、動作中の超音波エネルギー適用デバイスの概略図である。
図5】本開示の実施形態による、所定の治療位置を確立するための技術の概略図である。
図6】本開示の実施形態による、所定の治療位置に関連する画像の実施形態である。
図7】本開示の実施形態による、神経調節技術の流れ図である。
図8】本開示の実施形態による、エネルギー適用デバイスのオフターゲット位置および関連する表示の概略図である。
図9】本開示の実施形態による、エネルギー適用デバイスのオンターゲット位置および関連する表示の概略図である。
図10】本開示の実施形態による、位置および/または画像の情報に基づく患者媒介ステアリング命令の実施形態を示す。
図11】本開示の実施形態による神経調節システムのブロック図である。
図12】本開示の実施形態による、1つまたは複数の位置フィードバックデバイスおよび関連する位置信号を含むエネルギー適用デバイスの概略図である。
図13】本開示の実施形態による、1つまたは複数の位置フィードバックデバイスを含むエネルギー適用デバイスの概略図である。
図14図13のエネルギー適用デバイスの底面図である。
図15】本開示の実施形態による、エネルギー適用デバイスの所定の治療位置を識別するための技術の概略図である。
図16】本開示の実施形態による、エネルギー適用デバイスが所定の治療位置に配置されていないと判定するための技術の概略図である。
図17】本開示の実施形態による、エネルギー適用デバイスが所定の治療位置に配置されていると判定するための技術の概略図である。
図18】本開示の実施形態による、ステアリングコントローラに結合されるステアリングデバイスに結合されたエネルギー適用デバイスの概略図である。
図19】本開示の実施形態による、ステアリングコントローラに結合されたステアリング可能なヘッドを含むエネルギー適用デバイスの概略図である。
図20】本開示の実施形態による、ステアリングコントローラに結合されたビームのステアリングに関する超音波エネルギー適用デバイスの概略図である。
図21】本開示の実施形態による、スイープエネルギー適用技術の概略図である。
図22】スイープエネルギー適用技術から取得された画像のパネルである。
図23】本開示の実施形態による、総線量を判定するためにスイープエネルギー適用技術と併せて使用することができる、エネルギー適用デバイスの位置データの例である。
図24】本開示の実施形態による、位置フィードバックを含むシステムのユーザインターフェースの例である。
図25】本開示の実施形態による、線量フィードバックを含むシステムのユーザインターフェースの例である。
図26】本開示の実施形態による、エネルギー適用デバイスを使用する治療パルスの視覚化および記録技術の例である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
1つまたは複数の特定の実施形態を以下に説明する。これらの実施形態の簡潔な説明を提供しようとするなかで、実際の実装のすべての特徴が本明細書に記載されているわけではない。いずれかのエンジニアリングまたは設計プロジェクトとして、このような実際の実装の開発では、システム関連およびビジネス関連の制約への準拠など、開発者の特定の目標を達成するために、実装固有の多数の決定を行う必要があり、実装ごとに異なる場合があるということを理解されたい。さらに、そのような開発努力は複雑で時間を要すものであるかもしれないが、それにもかかわらず、本開示の利益を有する当業者にとって、設計、製造、および製作の日常的な作業であるということを理解されたい。
【0010】
本明細書に記載されているいずれかの例または図は、それらが使用されるいずれか1つまたは複数の用語に対する制限、限界、または定義の明示とみなされるべきではない。代わりに、これらの例または図は、様々な特定の実施形態に関して説明されており、例示のみであるとみなされるべきである。当業者は、これらの例または図が利用される任意の用語が、共に、または本明細書の他の場所で与えられる場合も与えられない場合もある他の実施形態を包含すること、またすべてのそのような実施形態が、その用語の範囲に含まれることを意図していることを、理解されよう。そのような非限定的な例および図を指定する文言には、「例えば(for example)」、「例えば(for instance)」、「など(such as)」、「例えば(e.g.)」、「含む(including)」、「特定の実施形態において(in certain embodiments)」、「いくつかの実施形態において(in some embodiments)」、および「(一)実施形態において(in one(an)embodiment)」が含まれるが、これらに限定されない。
【0011】
本明細書で提供されるのは、治療プロトコルの過程にわたる特定の1つまたは複数の対象領域への再現性のある信頼できるエネルギーの適用を可能にする、治療プロトコルの一部としての標的対象領域の神経調節のための技術である。開示された技術は、特定の実施形態において、個人化された神経調節治療プロトコルと併せて使用され得る。特定の患者の場合、治療プロトコルは、患者の特定の臨床ニーズに応じた間隔で、標的化されている生理学的転帰に関連する線量で、患者の対象領域へエネルギーを適用すること、例えば非侵襲的超音波または機械式エネルギー適用が含まれる場合がある。エネルギーを適用する間隔の長さ(例えば、時間、日、または週の間隔)によっては、各治療時に患者に診療所で神経調節エネルギーを浴びてもらうことが不便で面倒な場合がある。したがって、患者が自宅での治療プロトコルに従って、自主的な送達を介して、または家族または介護者の助けを借りて、神経調節エネルギーを浴びることを可能にすることは有益であろう。ただし、患者は通常、医療機器の操作に関する技能をもっておらず、訓練も受けていないため、自分の神経調節治療を管理するように患者を訓練するのが難しい場合がある。さらに、各患者の治療プロトコルは、標的化されている生理学的転帰を生成するために、パーソナライズされ、解剖学的構造、患者の臨床状態、およびエネルギーに対する患者の反応性の多様性に応じて、患者ごとに異なり得る。例えば、特定の障害を治療するための治療プロトコルは、特定の対象領域(例えば、肝臓、膵臓、または他の組織の領域)を標的とし得る。対象領域を標的とする神経調節エネルギーに関連する有効なエネルギー適用部位は、患者の解剖学的構造の違いのために、ある患者にはある部位あっても、別の患者にはわずかに異なる部位にある可能性がある。
【0012】
本明細書に開示される神経調節技術は、エネルギー適用デバイスの所定の治療位置の検証を容易にし、それにより、所定の治療位置は、エネルギー適用デバイスが本明細書で提供されるように所定の治療位置に配置されたときに、適用されるエネルギーが標的化されている生理学的転帰を達成するために、患者の身体の標的化されている対象領域に影響を与える患者の身体の位置である。一旦確立されると、エネルギー適用デバイスが所定の治療位置に適切に配置されたときに、患者は対象領域に神経調節エネルギーを投与することができる。さらに、開示された技術は、所定の治療位置でのエネルギー適用デバイスの成功した位置決めおよび/または所定の治療位置の外部でのエネルギー適用デバイスの失敗した位置決めを示すフィードバックを患者に提供する。そのような技術はまた、患者が自身の治療を施すように導くために、マルチサイトまたはより複雑な神経調節プロトコルと組み合わせて使用され得る。さらに、開示された技術は、部位から不注意に外れたエネルギーの適用を防ぐため適切な位置決めをすべく質の確認をもたらす。
【0013】
その目的のために、開示された神経調節技術は、治療プロトコルの一部として神経調節エネルギーを投与するために使用されるように構成された神経調節システムと併せて使用され得る。図1は、エネルギーの適用に応答した神経伝達物質の放出および/またはシナプスの構成要素(例えば、シナプス前細胞、シナプス後細胞)の活性化などの神経調節効果を達成するための神経調節用のシステム10の概略図である。図示されたシステムは、エネルギー適用デバイス12(例えば、超音波トランスデューサ)に結合されたパルス発生器14を含む。エネルギー適用デバイス12は、例えば、リードまたはワイヤレス接続を介して、使用中、対象の内部組織または器官の対象領域に向けられ、その結果、順次標的化されている生理学的転帰をもたらすエネルギーパルスを受信するように構成される。
【0014】
特定の実施形態では、エネルギー適用デバイス12および/またはパルス発生器14は、無線で、例えば、パルス発生器14に命令を順次与えることができるコントローラ16と通信することができる。他の実施形態では、パルス発生器14は、体外装置であり得、例えば、対象の体外の位置から経皮的または非侵襲的にエネルギーを適用するように動作し得、特定の実施形態では、コントローラ16の内部に統合され得る。パルス発生器14が体外にある実施形態では、エネルギー適用デバイス12は、介護者によって操作され、エネルギーパルスが所望の内部組織に経皮的に送達されるように、対象の皮膚またはその上方のスポットに配置され得る。エネルギーパルスを所望の部位に適用するように配置されると、システム10は、1つまたは複数の神経経路の神経調節を開始して、標的化されている生理学的転帰または臨床効果を達成することができる。他の実施形態では、パルス発生器14および/またはエネルギー適用デバイス12は、生体適合性部位(例えば、腹部)に植込め、エネルギー適用デバイス12およびパルス発生器14を、例えば、1つまたは複数のリードを介して内部で結合させ得る。
【0015】
特定の実施形態では、システム10は、コントローラ16に結合され、標的化されている生理学的転帰の調節が達成されたかどうかを示す、特性を評価する評価デバイス20を含み得る。一実施形態では、標的化されている生理学的転帰は局所的であり得る。例えば、1つまたは複数の神経経路の調節は、組織構造の変化、特定の分子の濃度の局所的変化、組織の変位、流体移動の増加などの局所的組織または機能の変化をもたらし得る。標的化されている生理学的転帰は、治療プロトコルの目標であり得る。
【0016】
標的化されている生理学的転帰を達成するための1つまたは複数の神経経路の調節は、全身的または非局所的変化をもたらす可能性があり、標的化されている生理学的転帰は、循環している分子の濃度の変化またはエネルギーが直接適用された対象領域を含まない組織の特性の変化に関連し得る。一例では、変位は、所望の調節の代理測定であり得、期待される変位の値未満の変位測定は、期待の変位の値が誘導されるまで、調節パラメータの変更をもたらし得る。したがって、評価デバイス20は、いくつかの実施形態において濃度の変化を評価するように構成され得る。いくつかの実施形態では、評価デバイス20は、器官のサイズ、位置、および/または組織の特性の変化を評価するように構成された画像化デバイスであり得る。別の実施形態では、評価デバイス20は、循環グルコースモニターであり得る。システム10の描写された要素は別々に示されているが、要素のいくつかまたはすべてを互いに組み合わせることができることを理解されたい。別の実施形態では、評価デバイスは、組織の局所的な温度上昇を評価することができ、これは、超音波エネルギー適用に構成された場合、別個の温度センサまたはエネルギー適用デバイス12からの超音波画像データを使用して検出され得る。音速の違いの評価は、治療前/治療中/治療後の画像技術の違いによって検出できる。
【0017】
さらに、要素のいくつかまたはすべては、有線または無線で互いに通信することができる。
【0018】
評価に基づいて、コントローラ16の調節パラメータは、有効な量のエネルギーが適用されるように変更され得る。例えば、所望の調節が、定義された時間枠(例えば、エネルギー適用の処置が開始されてから5分後、30分後)内、または処置の開始時のベースラインに対しての濃度(循環濃度、あるいは1つまたは複数の分子の組織濃度)の変化に関連する場合、パルス周波数または他のパラメータなどの調節パラメータの変化が望まれる場合があり、それは、操作者によって、または自動フィードバックループを介して、コントローラ16に順次提供でき、調節パラメータが有効な量のエネルギー適用に至るまで、パルス発生器14のエネルギー適用パラメータまたは調節パラメータを定めるまたは調整する。
【0019】
本明細書で提供されるシステム10は、有効量のエネルギーを適用するための治療プロトコルの一部として、様々な調節パラメータに従ってエネルギーパルスを提供することができる。例えば、調節パラメータは、連続的から断続的までの範囲の様々な刺激時間のパターンを含み得る。断続的な刺激では、エネルギーは信号がオンの時間に特定の周波数で一定期間送達される。信号がオンの時間の後には、信号オフの時間と示される、エネルギーが送達されない期間が続く。調節パラメータはまた、刺激の適用の頻度および持続時間を含み得る。適用頻度は、連続的であっても、または様々な期間、例えば、1日または1週間以内に送達されてもよい。さらに、治療プロトコルは、エネルギーを適用する時間、または食事または他の活動に関連する時間を指定することができる。標的化されている生理学的転帰を引き起こすための治療期間は、数分から数時間までを含むがこれらに限定されない様々な期間続く可能性がある。特定の実施形態では、特定の刺激パターンによる治療期間は、1時間持続し得、例えば、72時間間隔で繰り返され得る。特定の実施形態では、エネルギーは、より短い持続時間、例えば30分の間、より高い頻度で、例えば3時間ごとに送達され得る。治療期間、周波数、および振幅などの調節パラメータに従って、エネルギーの適用を調整可能に制御して、所望の結果を達成することができる。
【0020】
図2は、システム10の特定の構成要素のブロック図である。本明細書で提供されるように、神経調節のためのシステム10は、対象の組織に適用するための複数のエネルギーパルスを生成するように適合されたパルス発生器14を含み得る。パルス発生器14は、別個であり得るか、またはコントローラ16などの外部デバイスに統合され得る。コントローラ16は、デバイスを制御するためのプロセッサ30を含む。ソフトウェアコードまたは命令は、デバイスの様々な構成要素を制御するためにプロセッサ30によって実行されるために、コントローラ16のメモリ32に格納される。コントローラ16および/またはパルス発生器14は、1つまたは複数のリード33を介して、または無線でエネルギー適用デバイス12に接続することができる。
【0021】
コントローラ16はまた、臨床医が調節プログラムに対する選択の入力または調節パラメータを与えることを可能にするように適合された入出力回路34およびディスプレイ36を備えたユーザインターフェースを含む。各調節プログラムは、パルス振幅、パルス幅、パルス周波数などを含む調節パラメータの1つまたは複数のセットを含み得る。パルス発生器14は、コントローラデバイス16からの制御信号に応答してその内部パラメータを変更して、リード33を介してエネルギー適用デバイス12が適用される対象に送信されるエネルギーパルスの刺激特性を変化させる。定電流、定電圧、複数の独立した電流または電圧源などを含むがこれらに限定されない、任意の適切なタイプのパルス生成回路を使用することができる。適用されるエネルギーは、電流の振幅とパルス幅の持続時間の関数である。コントローラ16は、調節パラメータを変更すること、および/または特定の時間にエネルギーの適用を開始すること、または特定の時間にエネルギーの適用をキャンセル/抑制することによって、エネルギーを調整可能に制御することを可能にする。一実施形態では、有効な量のエネルギーを適用するためのエネルギー適用デバイスの調整可能な制御は、対象内の1つまたは複数の分子(例えば、循環している分子)の濃度に関する情報に基づく。情報が評価デバイス20から得たものである場合、フィードバックループが調整可能な制御を駆動することができる。例えば、診断は、神経調節に応答して、評価デバイス20によって測定される、循環しているグルコースの濃度に基づいて行われ得る。濃度が所定の閾値または範囲を超える場合、コントローラ16は、対象領域(例えば、肝臓)へのエネルギー適用の治療プロトコルを、循環グルコースの減少に関連する調節パラメータで開始することができる。治療プロトコルは、診断プロトコルで使用されるものとは異なる調節パラメータを使用する場合がある(例えば、より高いエネルギーレベル、より頻繁な適用)。
【0022】
一実施形態では、メモリ32は、操作者によって選択可能な異なる動作モードを格納する。例えば、記憶された動作モードは、肝臓、膵臓、胃腸管、脾臓の対象領域などの特定の治療部位に関連する一組の調節パラメータを実行するための命令を含み得る。部位が異なることで、関連する調節パラメータも異なる場合がある。コントローラ16は、操作者に手動でモードを入力させるのではなく、選択に基づいて適切な命令を実行するように構成され得る。別の実施形態では、メモリ32は、様々なタイプの処置の動作モードを格納する。例えば、活性化は、組織の機能の抑制または阻止に関連するものとは、異なる刺激圧力または周波数範囲に関連し得る。
【0023】
特定の例では、エネルギー適用デバイスが超音波トランスデューサである場合、エネルギーの有効量は、対象領域に適用される所定の時間平均強度を含み得る。例えば、有効なエネルギー量には、時間平均電力(時間平均強度)、1mW/cm2~30,000mW/cm2(時間平均強度)、および0.1MPa~7MPa(ピーク圧力)の範囲のピーク陽圧が含まれる場合がある。一例では、熱損傷およびアブレーション/キャビテーションに関連するレベルを回避するために、対象領域において時間平均強度は35W/cm2未満である。別の特定の例では、エネルギー適用デバイスが機械式アクチュエータである場合、振動の振幅は0.1から10mmの範囲にある。選択される周波数は、エネルギー適用のモード、例えば、超音波または機械式アクチュエータに依存し得る。コントローラ16は、検証モードで動作して所定の治療位置を取得することができ、所定の治療位置は、エネルギー適用デバイス12が所定の治療位置に位置するときに治療プロトコルを実行するように構成された治療動作モードの一部として実装され得る。
【0024】
システムはまた、エネルギー適用デバイス12のフォーカシングを容易にする画像化デバイスを含み得る。一実施形態では、画像化デバイスは、エネルギー適用デバイス12と統合されるか、または同じデバイスであり得、その結果、様々な超音波パラメータ(周波数、アパーチャ、またはエネルギー)が、対象領域を選択する(例えば、空間的に選択する)ためや、ターゲティングとその後の神経調節を行うべく選択した対象領域にエネルギーを集中させるために、適用される。別の実施形態では、メモリ32は、器官または組織構造内の対象領域を空間的に選択するために使用される1つまたは複数のターゲティングまたはフォーカシングモードを格納する。空間的な選択は、対象領域に対応する器官のボリュームを識別するために器官のサブ領域を選択することを含み得る。空間的な選択は、本明細書で提供される画像データに依存し得る。空間的な選択に基づいて、エネルギー適用デバイス12は、対象領域に対応する選択されたボリュームにフォーカシングすることができる。例えば、エネルギー適用デバイス12は、最初に検証モードで動作して、対象領域のキャプチャに関連する所定の治療位置を識別するために使用される画像データをキャプチャすることによって、所定の治療位置を取得するように構成され得る。検証モードのエネルギーは、神経調節治療に適したレベルおよび/または調節パラメータで適用されない。しかし、対象領域が識別されると、コントローラ16は、次に、標的化されている生理学的転帰の達成に関連する調節パラメータに従って、治療モードで動作することができる。
【0025】
コントローラ16はまた、調節パラメータの選択への入力として、標的化されている生理学的転帰に関連する入力を受信するように構成され得る。例えば、画像化のモダリティが組織の特性を評価するために使用される場合、コントローラ16は、特性の計算されたインデックスまたはパラメータを受信するように構成され得る。インデックスまたはパラメータが事前定義された閾値を上回っているか下回っているかに基づいて、診断が行え、診断の表示が(例えば、ディスプレイを介して)なされ得る。一実施形態では、パラメータは、罹患している組織の組織変位の測度、または罹患している組織の深さの測度であり得る。他のパラメータは、対象の1つまたは複数の分子の濃度を評価することを含み得る(例えば、閾値またはベースライン/対照の1つまたは複数に対する濃度の変化を評価すること、変化率、濃度が所望の範囲内にあるかどうかを判定すること)。さらに、エネルギー適用デバイス12(例えば、超音波トランスデューサ)は、コントローラ16の制御下で動作して、a)標的組織内の対象領域を空間的に選択するために使用できる組織の画像データを取得し、b)対象領域にエネルギー変調を適用し、c)画像を取得して、標的化されている生理学的転帰が発生したと判定する(例えば、変位測定を介して)ことができる。そのような実施形態では、画像化デバイス、評価デバイス20、およびエネルギー適用デバイス12は、同じデバイスであり得る。
【0026】
図3は、エネルギー適用デバイス12が、標的組織43、例えば、肝臓、脾臓、膵臓にエネルギーを適用することができる超音波トランスデューサ42(例えば、トランスデューサアレイ)を含む特定の例である。エネルギー適用デバイス12は、超音波トランスデューサ42を制御するための制御回路を含み得る。プロセッサ30(図2)の制御回路は、エネルギー適用デバイス12に統合され得るか(例えば、統合されたコントローラ16を介して)、または別個の構成要素であり得る。超音波トランスデューサ42はまた、画像データを取得して、所望のまたは標的の対象領域44を空間的に選択し、加えられたエネルギーを標的組織または構造の対象領域に集中させるのを補助するように構成され得る。
【0027】
所望の標的組織43は、軸索終末および非神経細胞のシナプスを含む内部組織または器官であり得る。シナプスは、標的組織43の対象領域44に焦点を合わせた超音波トランスデューサ42の焦点領域または焦点ゾーン48内にある軸索終末にエネルギーを直接適用することによって刺激されて、分子のシナプス空隙への放出を引き起こし得る。例えば、神経伝達物質の放出および/またはイオンチャネル活性の変化は、次に下流効果を引き起こす。対象領域44は、特定のタイプの軸索終末、例えば特定のニューロンのタイプの軸索終末および/または特定のタイプの非ニューロン細胞とシナプスを形成するものを含むように選択され得る。したがって、対象領域44は、所望の軸索終末(および関連する非神経細胞)を有する標的組織43の一部に対応するように選択され得る。エネルギーの適用は、シナプス内の神経からの神経伝達物質などの1つまたは複数の分子の放出を優先的にトリガーするか、直接エネルギー伝達(すなわち、機械式伝達または非神経細胞内の電圧活性化タンパク質)を介して非神経細胞自体を直接活性化する、または、望ましい生理学的効果を引き出す神経細胞と非神経細胞の両方での活性化を引き起こすように選択できる。対象領域44は、器官への神経の侵入部位として選択され得る。一実施形態では、肝臓の刺激または調節は、肝門またはそれに隣接する対象領域44の調節を指し得る。所定の治療位置46の取得は、対象領域44の選択を含み得、それにより、動作中に対象領域44がエネルギー適用デバイス12の焦点ゾーン48内にある患者の身体上の位置が所定の治療位置46である。
【0028】
エネルギーは、対象領域44および内部組織43の一部のみ、例えば、組織43の総体積の約50%、25%、10%、または5%未満に集中または実質的に集中することができる。すなわち、対象領域44は、内部組織43のサブ領域であり得る。一実施形態では、エネルギーは、標的組織43の2つ以上の対象領域44に適用され得、2つ以上の対象領域44の総体積は、組織43の総体積の約90%、50%、25%、10%、または5%未満であり得る。一実施形態では、エネルギーは、組織43の総体積の約1%~50%のみ、組織43の総体積の約1%~25%のみ、組織43の総体積の約1%~10%のみ、または組織43の総体積のわずか約1%~5%のみに適用される。特定の実施形態では、標的組織43の対象領域44の軸索終末のみが、適用されたエネルギーを直接受け、神経伝達物質を放出するが、対象領域44の外側の刺激されていない軸索終末は、実質的なエネルギーを受けず、したがって、同じようには活性化/刺激されない。いくつかの実施形態では、エネルギーを直接受ける組織の部分の軸索終末は、変化した神経伝達物質の放出を誘発するであろう。このようにすると、組織のサブ領域は、粒状の方式で神経調節の標的とされ得る、例えば、1つまたは複数のサブ領域が選択され得る。いくつかの実施形態では、エネルギー適用パラメータは、エネルギーを直接受ける組織内の神経または非神経成分のいずれかの優先的な活性化を誘発して、所望の組み合わされた生理学的効果を誘発するように選択され得る。特定の実施形態では、エネルギーは、約25mm未満の体積内に集束または集中され得る。特定の実施形態では、エネルギーは、約0.5mm~50mmの体積内に集束または集中され得る。対象領域44の内部にエネルギーを集束または集中させるための集束体積および集束深度は、エネルギー適用デバイス12のサイズ/構成によって影響を受ける可能性がある。エネルギー適用の集束体積は、エネルギー適用デバイス12の焦点領域または集束ゾーンによって定めることができる。
【0029】
本明細書で提供されるように、エネルギーは、1つまたは複数の対象領域44にのみ実質的に適用されて、標的化されている生理学的転帰を達成するために標的されてシナプスを優先的に活性化することができる。したがって、特定の実施形態では、組織43内の複数の異なるタイプの軸索終末のサブセットのみが、直接的なエネルギーの適用に曝される。
【0030】
エネルギー適用デバイス12は、体外非侵襲的デバイスまたは内部デバイス、例えば、低侵襲性デバイスとして構成され得る。前述のように、エネルギー適用デバイス12は、体外の非侵襲的超音波トランスデューサまたは機械式アクチュエータであり得る。例えば、図4は、超音波トランスデューサ42を含むハンドヘルド超音波プローブとして構成されたエネルギー適用デバイス12の実施形態を示している。しかし、解剖学的標的上に超音波トランスデューサプローブを構成、接着、または配置するための他の方法を含む、他の非侵襲的実装も企図されることを理解されたい。さらに、ハンドヘルド構成に加えて、エネルギー適用デバイス12は、コントローラ16からの命令に応答するステアリング機構を含み得る。ステアリング機構は、エネルギー適用デバイス12を標的組織43(または構造)に向けるまたは方向付けることができ、次いで、コントローラ16は、エネルギーの適用を対象領域44に集束させることができる。超音波トランスデューサ42は、標的組織43内の対象領域44の空間的な選択に使用される画像化トランスデューサ42Aを含み得る。超音波トランスデューサ42は、神経調節エネルギーを適用する治療トランスデューサ42Bを含み得る。一実施形態では、エネルギー適用デバイス12は、容量性微細加工超音波トランスデューサなどのMEMSトランスデューサを含み得る。
【0031】
図5は、所定の治療位置取得技術の概略図である。患者70は、最初の医師または熟練したデバイス操作者72(例えば、超音波技術者)との会合で治療プロトコルを開始することができる。操作者72は、患者70の1つまたは複数の較正位置に配置されたデバイス12から画像を取得する(例えば、エネルギー適用デバイス12が患者の皮膚に直接接触している状態で)。ディスプレイ36の画像を使用してポジショニングを誘導しながら、操作者72は、対象領域44を含む画像が取得されるまでデバイス12を動かすように患者70に指示する。例えば、図6に示されるように、そのような画像は、肝門の対象領域を含む肝臓画像であり得る。ファインポジショニングは、対象領域44をさらに分解することができる。対象領域44および/または所定の治療位置86の選択は、器官を識別するために取得された画像を使用する画像セグメンテーションアルゴリズムを介した自動選択を含み得る。対象領域44は、標的位置/画像内の標的器官、組織の特定の%に対応するように選択され得る。別の実施形態では、ドップラー情報(すなわち、肝臓の肝門などの、特定の場所における特定のレベルの血流)または機械の情報(すなわち、超音波反射率またはエラストグラフィデータ)を使用して、対象領域44を選択することができる。
【0032】
本明細書で提供される位置は、エネルギー適用デバイス12の角度、向き、および/またはポーズを含み得ることを理解されたい。一実施形態では、位置は、3次元における空間での絶対的な位置を含み得る。さらに、エネルギー適用デバイス12は、患者の正しい領域(例えば、患者の皮膚の特定の領域、所定の治療位置)に配置されたとき、およびエネルギー適用デバイス12が、1つまたは複数の自由度で、患者に対して正しいポーズ、角度、および/または向きにされたときに整合しているとみなすことができる。位置情報には、対象への接触または圧力の評価も含まれる場合がある。この向きは、患者、患者の衣服、または患者に関連する椅子/ベッド/サポート/領域のいずれかと接触する外部の機械式固定具を使用して判定することもできる。一例では、エネルギー適用デバイスのプローブヘッドまたは他の部分は、ウェアラブルまたは外部デバイス(すなわち、治療用の椅子)のいずれかを介して患者の所定の治療部位に配置される機械式固定具に適合する。ある点で、機械式固定具は、位置センサ/コントローラの位置のさらに別の例である。
【0033】
いくつかの実施形態では、超音波画像を使用して、超音波刺激を誘導して、超音波刺激の標的送達のための対象領域を空間的に選択し、それに応じて、対象領域へのエネルギーの適用をもたらす患者へのエネルギー適用デバイス12の所定の治療位置を特定することができる。本明細書で提供されるように、対象領域の選択は、組織または器官(または組織または器官の一部)の画像を取得すること、および画像(例えば、超音波画像)に基づいて、器官内の対象領域を識別することを含み得る。いくつかの実施形態では、組織または器官は、器官内の対象領域の選択を導くために使用される解剖学的特徴を有し得る。そのような特徴は、いくつかの実施形態では、非限定的な例として、器官への血管または神経の侵入部位、器官内部の組織型、器官の内部または縁、または器官下構造を含み得る。特定の実施形態では、解剖学的特徴は、肝臓の肝門、胃腸管の亜器官(胃、小腸、大腸)、膵管、または白脾髄を含み得る。画像内の解剖学的特徴を識別することにより、対象領域を選択して、解剖学的特徴と重複する、またはそれを含む、または解剖学的特徴に隣接することができる。他の実施形態では、解剖学的特徴は、対象領域から除外され得る。例えば、腸の組織は、胃の組織ではなく、対象領域として選択され得る。解剖学的特徴の識別は、画像に表示される(例えば、超音波画像に表示される)形態学的特徴を介して、または画像を取得するために使用される画像化モダリティの構造認識特徴によって行うことができる。本明細書に開示されるように、システム10は、エネルギー適用デバイス12が、画像を取得するために画像化モードで動作し、その後、画像が取得されるように構成され得、対象領域が画像に基づいて空間的に選択された後、エネルギー適用モードで動作するように構成される。
【0034】
他の実施形態では、対象領域は、1つまたは複数の生物学的マーカーの存在または不在によって識別され得る。そのようなマーカーは、器官または組織を染色し、染色を示す画像を取得して、生物学的マーカーを含む器官または組織の領域を識別することによって評価することができる。いくつかの実施形態では、生物学的マーカーの情報は、対象に特異的な組織または器官内の生物学的マーカーの位置データをリアルタイムで取得するためのインビボ標識技術によって取得することができる。他の実施形態では、そのときに、生物学的マーカーの情報は、対象の組織または器官内部の生物学的マーカーの位置を予測するために使用される1つまたは複数の代表的な画像の位置データを取得するためのインビトロの染色技術によって取得され得る。いくつかの実施形態では、対象領域は、特定の生物学的マーカーが豊富であるか、または特定の生物学的マーカーを欠く組織または器官の部分に対応するように選択される。例えば、1つまたは複数の生物学的マーカーは、ニューロン構造のためのマーカー(例えば、ミエリン鞘のマーカー)を含み得る。
【0035】
器官または組織の対象領域は、操作者の入力に基づいて空間的に選択することができる。例えば、操作者は、画像を直接操作することによって(すなわち、画像に対象領域を描画または書き込むことによって)、または対象領域に対応する画像座標情報を提供することによって、取得された画像の対象領域を指定することができる。別の実施形態では、対象領域は、空間的な選択を達成するために画像データに基づいて自動的に選択され得る。いくつかの実施形態では、空間的な選択は、対象領域に関連するデータをメモリに格納すること、およびデータにアクセスすることを含む。空間的に選択されると、システム10は、治療プロトコルに従って、本明細書で提供されるように、対象領域にエネルギーを適用するように構成される。
【0036】
または、医師または介護者とのトレーニングセッションの一環として、患者固有のデータセット全体に専門家による注釈が付けられる。データセットには、オンターゲットとオフターゲットの両方の画像が含まれており、患者固有の深層学習(DL)モデルは、オンターゲットの場所を認識するように訓練される。自宅にいて、デバイスを使用して治療を適用する場合、システムはDL画像分類モデルをリアルタイムで実行して、オンターゲットの場所を見つける。その時点で、治療ビームをアクティブにする(または、オンターゲットの線量に関連付ける)ことができる。
【0037】
エネルギー適用デバイス12が、その焦点ゾーン48が対象領域44を含むように位置決めされると、操作者72は、取得された画像を、所定の治療位置46に関連付けられた画像として格納する。所定の治療位置46は、その焦点ゾーン48が対象領域44を含むような、患者の体内または上のエネルギー適用デバイス46の位置を指す。所定の治療位置46は、エネルギー適用デバイス12が位置決めされる患者の皮膚(または衣類)の表面領域の範囲を含み得る。
【0038】
一実施形態では、所定の治療位置46は、マーク、一時的なタトゥー、植込み式または表面位置センサ、ステッカー、または他のインジケータで識別され得る。さらに、インジケータは、患者の皮膚または衣類と直接接触しているエネルギー適用デバイス12の部分の輪郭を含むように形作られ、その後の治療中にエネルギー適用デバイス12が正しく向けられることを可能にする。他の実施形態では、本明細書で提供されるように、エネルギー適用デバイス12の位置情報はまた、所定の治療位置46を表すものとして取得され得る。インジケータの配置は、デバイス12を携えた患者を家に送る前、特定のデータセット収集セッション中に生じる可能性があり、その場合臨床医は、所定の治療位置またはその近くの患者の皮膚に、インジケータ/タトゥーを配置する。次に、スキャンして所定の治療位置を見つけるとき、使用者はボタンをクリックして、標的プローブ位置の記憶を開始する。次に、オンプローブカメラとオンスキンマーカーの間の相対的な位置と向きが、患者固有またはデバイス固有の較正としてメモリに記憶される。一実施形態では、患者が在宅しているときの後続のスキャンにおいて、デバイスは、治療ビームを作動させる前に、オンプローブカメラとオンスキンマーカーとの間の同じ相対的な整合を見出す。
【0039】
インジケータは、可視、または特定の条件下(例えば、特定の周波数の光)でのみ可視にされる場合がある。エネルギー適用デバイス12は、インジケータが可視化される特定の周波数の照明を提供するように構成され得る。さらに、インジケータは、光学リーダー(例えば、エネルギー適用デバイス12に統合され得るカメラまたは光学スキャナ)によってスキャンされたときに、患者固有の情報(例えば、英数字コード、QRコード(登録商標))で符号化され得、これは患者に関連する識別情報および/または調節パラメータへのアクセスを容易にする。また、インジケータ自体には、患者固有の情報(独自の患者識別子)または用量制御パラメータ(処方箋)さえもが埋め込まれている場合がある。システムは、符号化された情報を読み取ると、プログラムされた治療が適切な患者に適用されていることを確認するための検証を開始することができる。1つの特定の例では、インジケータはタトゥーが独自の患者識別子を有するQRコード(登録商標)である。ただし、他のパターンが可能である。QRコード(登録商標)の情報は、一般的なQRコード(登録商標)リーダーでスキャンした場合に生データにアクセスできないように暗号化されている。このようにして、インジケータは追加の検証ステップを提供する。超音波画像化検証(患者の記憶された超音波画像を検証として取得した画像と比較する)、または生体認証検証(顔認識、指紋など)を含む他の患者検証技術も企図されている。検証は治療を開始する前兆であり得、検証なしでは、エネルギー適用デバイス12を介したエネルギー適用が許可されないようにする。一実施形態では、インジケータは、QRコード(登録商標)と同様のグリッド内の音響的に異なる材料から形成され得るが、QRコード(登録商標)の黒と白の部分は、代わりに、超音波画像化によって分解可能な非常に異なる音響特性を有する材料から、またはパターン内の超音波結合を減らすための意図的なエアギャップを備えた材料から作られる。したがって、インジケータは、超音波画像の近接場での超音波画像の間に、または画像の一部を覆う影として見える可能性がある。
【0040】
患者70または他の介護者が治療プロトコルの一部として後続の神経調節治療を開始すると、エネルギー適用デバイス12(所定の治療位置46を取得するために使用される同じエネルギー適用デバイス12、または同様の方法で動作するように構成された異なるエネルギー適用デバイス12のいずれか)が患者に配置され、その位置が所定の治療位置46と整合する(同じであるか、または実質的に重なる)かどうかが判定される。一実施形態では、判定は、エネルギー適用デバイス12を患者のインジケータ上に配置することを含む。インジケータ上に配置されると、エネルギー適用デバイス12は所定の位置にあるとみなされる。
【0041】
他の実施形態では、システム10は、エネルギー適用デバイスの位置に基づいてエネルギー適用を自動的に制御するように構成され得る。図7は、エネルギー適用デバイス12の所定の治療位置46への対応に基づいてエネルギー適用を制御するための方法80の流れ図である。患者は、例えば、皮膚インジケータを使用して、またはメモリによって、エネルギー適用デバイス(ブロック82)を所定の治療位置46の実質的な位置に配置することができる。次に、システム10は、エネルギー適用デバイス12の位置に関する情報を取得し、エネルギー適用デバイスが所定の治療位置と整合されているかどうかを判定することができる(ブロック84)。
【0042】
例えば、システム10は、エネルギー適用デバイス12の様々な位置で超音波画像を取得することができる(例えば、患者70は、所定の治療位置46の近くの身体の限られた領域でエネルギー適用デバイスを動かすことができる)。所定の治療位置46でエネルギー適用デバイス12から取得された超音波画像と整合する画像が取得されると、エネルギー適用デバイス12は、標的または所定の位置にあるとみなされる。画像の整合は、画像レジストレーション技術を使用して実行することができる。別の実施形態では、追加的または代替的に、エネルギー適用デバイス12上の1つまたは複数のセンサ(図10を参照)からの位置情報、患者70、またはその両方を使用して、エネルギー適用デバイス12の位置が所定の治療位置46と整合しているかどうかを判定できる。
【0043】
判定に基づいて、治療は、エネルギー適用デバイスが所定の治療位置46と整合しているときに開始でき(ブロック86)、エネルギー適用デバイスが所定の治療位置46と整合されていないときに禁止され得る。すなわち、システム10は、エネルギー適用デバイス12が所定の治療位置46と整合されていないときに、パルス発生器16がエネルギー適用デバイス12を駆動することを許可されないように構成され得る。例えば、エネルギーの適用は、所定の治療位置46との整合を示す整合信号の生成後または生成中にのみ発生することが許可され得る。エネルギー適用デバイス12の位置が所定の治療位置46と整合していない場合、不整合の表示がなされ得る(ブロック88)。方法80は、患者の所定の治療位置46に対するエネルギー適用デバイス12の動きのいずれかのシフトまたは更新に基づいて、エネルギー適用の制御を更新することを繰り返すことができる。
【0044】
図8は、オフターゲットエネルギー適用デバイス12の場合になされる表示の概略図であり、図9は、オンターゲットエネルギー適用デバイス12の場合になされる表示の概略図である。示されるように、オフターゲットエネルギー適用デバイス12は、完全ではなく部分的に所定の治療位置46に関連付けられた領域内にあるが、オンターゲットエネルギー適用デバイス12は、完全に所定の治療位置46に関連付けられた領域内にある。システム10は、所定の治療位置46からの特定のレベルの許容範囲または逸脱を可能にするように構成されてもよく、それでもオンターゲットであるとみなされる。一実施形態では、エネルギー適用デバイス12は、所定の治療位置46に関連する取得された画像との不整合の程度に基づいて、オフターゲットであるとみなされる。例えば、画像レジストレーションごとに90%未満である一致は、オフターゲットの位置を示している可能性があるが、90%以上の一致はオンターゲットにある可能性がある。別の実施形態では、エネルギー適用デバイス12は、患者の皮膚または身に着けている品目のマークまたはタトゥーなどのインジケータに対する位置、あるいは患者および/または患者の位置に関連する外部器具(椅子など)に配置された機械式固定具に対する位置に基づいて、オフターゲットまたはオンターゲットであるとみなされる。エネルギー適用デバイス12は、インジケータを感知し、インジケータに対するエネルギー適用デバイス12の位置に関連してシステム10にフィードバックを提供する1つまたは複数のセンサを含むことができる。エネルギー適用デバイス12は、インジケータから所定の距離よりも大きく配置された場合(例えば、1cm、3cm、5cmなどを超える)、またはインジケータ(例えば円形インジケータ)の境界内に配置されていない場合、オフターゲットであるとみなされ得る。エネルギー適用デバイス12は、インジケータから所定の距離よりも短く配置された場合(例えば、1cm、3cm、5cmなどを超える)、またはインジケータ(例えば円形インジケータ)の境界内またはほとんど境界内(例えば少なくとも75%、少なくとも90%)に配置されている場合、オンターゲットであるとみなされ得る。別の実施形態では、エネルギー適用デバイス12は、患者に対する相対的な位置、または患者の絶対的な位置と比較した空間内の絶対的な位置に基づいて、オフターゲットまたはオンターゲットであるとみなされる。
【0045】
オンターゲットまたはオフターゲットの位置決めに関連する介護者または使用者への表示は、テキストメッセージ、ライト(例えば、赤または緑のライト)、音またはアラームなどのうちの1つまたは複数であり得る。表示はまた、エネルギー適用デバイス12(例えば、超音波プローブ)に埋め込まれている振動アクチュエータの振動のパターンなどの触覚効果であり得る。
【0046】
一例では、実質的な領域の周りをスキャンしているときに、所定の治療位置が見つかると(自動画像処理または皮膚上のインジケータへの整合のいずれかによって)、振動アクチュエータがブーンという音を立てる。次に、使用者は、周りをスイープしているときにバズを見つけ、バズが感じられた場所にプローブを直感的に戻すことを学ぶ。別の例では、異なる振動パターンをオンターゲットとオフターゲットに使用できる。さらに、システム10はまた、投与する長さに関連する情報を提供して、全長の線量の間、または総線量が所定の閾値より高くなるまで、エネルギー適用デバイス12を所定の治療位置46に整合するように患者70に指示するように構成され得る。
【0047】
エネルギー適用デバイス12がオフターゲットであると判定された場合、システム10は、患者駆動のステアリングまたはオンターゲット位置への再位置決めを可能にする誘導を行うように構成され得る。図10に示される実施形態では、例えば、取得された画像92(脾臓の画像として示される)を介して、初期位置がオフターゲットであると判定される場合、システム10は、1つまたは複数のステアリング矢印94または他のインジケータを提示して、患者70に、例えば画像96(患者のデバイス12の再位置決め時に取得され、血管の侵入を示す脾臓のより深部の画像として示される)に関連する所定の治療位置46との整合に向けてエネルギー適用デバイスを操縦するように方向付けることができる。そのような画像は、脾臓の所定の治療位置46と整合したエネルギー適用デバイス12の位置決めを示し得る。
【0048】
患者70に表示されるユーザインターフェースは、関連する画像を伴う矢印を含み得る。デバイスの位置の単純なフィードバックにより、患者は、訓練を受けていない操作者が分解し難しい可能性のある画像を解釈することなく、所定の治療位置を見つけることができる。患者はまた、プローブ自体の身体的/手動の操作を必要とせずに、プローブの移動および/または超音波焦点位置を利用可能にする保持固定具およびアクチュエータを含む、自動化されたサポートハードウェアを使用して、位置を見つけることができる。本明細書で論じられるように、触覚、視覚、および/または音声フィードバックは、使用者がいくつかの最初のスイープ中に正しい位置を通過するときに活性化され得る。例えば、ビープ音またはその他のトーンがオンターゲット上の位置でトリガーされる場合がある。
【0049】
システム10は、位置の評価および/またはステアリング機能を備えて実装され得る。図11は、本開示の実施形態による神経調節システムのブロック図である。描かれた実施形態は、図2に関して論じられた特定の特徴を含む。さらに、システム10は、エネルギー適用デバイス12内または上に統合され、エネルギー適用デバイス12の位置を示す対応する位置信号を生成するように構成された、1つまたは複数の位置フィードバックデバイスを含み得る。信号は、コントローラ16に通信することができ、これは次いで、エネルギー適用デバイス12がオンターゲットにあるかオフターゲットにあるかの判定の一部として信号を処理することができる。位置フィードバックデバイスは、センサ100を含み得、これは、光学センサ、カメラ、初期基準からの相対運動情報を追跡する慣性測定ユニット(IMU)、ホール効果センサ、電磁位置センサなどを含む、任意のタイプの位置センサであり得る。追加的または代替的に、エネルギー適用デバイス12はまた、エネルギー適用デバイス12と患者の皮膚または衣類、または関連する機械式固定具との接触を評価するように構成された1つまたは複数の接触センサ102を含み得る。あるいは、システム10は、エネルギー適用デバイス12が使用者と十分に接触している場合、取得された解剖学的画像のリアルタイムの自動画像処理を通じて推論することができる。システム10は、接触または圧力が不足しているときにエネルギーの適用を防ぐように構成することができる。追加的または代替的に、システムはまた、エネルギー適用デバイス12を操縦するための命令を提供するように構成されたステアリングコントローラ104を含み得る。ステアリングコントローラ104は、コントローラ16の一部として示されているが、他の実施形態では、エネルギー適用デバイス12のステアリングシステムと統合することができる。
【0050】
図12は、本開示の実施形態による、1つまたは複数の光学位置センサ100などの位置フィードバックデバイスを含むエネルギー適用デバイス、およびカメラ追跡位置を示す関連する位置信号の概略図である。複数の光学位置センサ100をプローブ上で、また患者に配置して使用することができ、エネルギー適用デバイス12の正確な位置、ピッチ、およびねじれを知ることができる。別の実施形態では、位置センサ100は、小さな電流を誘導する外部電磁場発生器(FG)によって追跡されるセンサ100として実装され得る。センサ100は追跡され、FGからの距離および角度に依存する。別の実施形態では、位置センサ100は、エネルギー適用デバイス12に直接配置された加速度計およびジャイロに基づく市販のIMUまたは配向センサであり得る。そのようなセンサは、位置に対して、すなわち、所定の治療位置またはポーズ46に関連する皮膚インジケータに対する変化を感知することができる。
【0051】
図13は、位置情報を提供する1つまたは複数の位置フィードバックデバイス(画像化トランスデューサ、位置センサ、カメラなど)を含むエネルギー適用デバイス12の実施形態である。エネルギー適用デバイス12は、患者または使用者が治療のためにデバイス12を操作または患者に配置することを可能にするハウジング110内に少なくとも部分的に設けることができる。エネルギー適用デバイス12の図示の実施形態は、治療トランスデューサ42B、例えば、ピエゾ素子(または他の超音波アクチュエータ)、およびハウジング110内で互いに近接している画像化トランスデューサ42Aを含む。ハウジング110は、カメラ112および関連する構成要素、例えば、レンズ、光源を含み得、これらは、患者に適用したときの患者の皮膚または衣服の画像を取得するために、エネルギー適用デバイス12の治療面120から画像を取得するように配向される、例えば、治療面120から離れるように向けられる。エネルギー適用デバイス12は、エネルギー適用デバイス12に関連する位置および/または傾斜または角度のデータを提供するように構成された慣性測定ユニット114などの1つまたは複数のセンサを含むことができる。いくつかの実施形態では、エネルギー適用デバイス12は、識別タグ、例えば、RFIDタグ、符号化されたメモリを含み得、これは、識別または他の較正情報をコントローラ16に提供する。一実施形態では、較正情報は、取得された画像に基づく治療エネルギー間の差異を説明するために、画像トランスデューサ42Aと治療トランスデューサ42Bとの間の間隔に関連する情報を含み得る。すなわち、コントローラ16は、エネルギー適用デバイス12が間隔を占めることに関する位置決めの判定を調整するように構成され得る。エネルギー適用デバイス12はまた、エネルギー適用デバイスとの間の信号の送信を可能にするための制御回路を含み得る。図14は、図13のエネルギー適用デバイス12の底面図であり、デバイス12の治療面120、例えば、超音波治療面を示している。エネルギー適用デバイス12の治療面120は、患者の皮膚に直接適用することができる。
【0052】
エネルギー適用デバイス12の他の実装が企図されることを理解されたい。例えば、トランスデューサ42は、治療を画像化して適用するように設計され、ハンドル内に埋め込まれた1つまたは複数のセンサ100を備えた画像化/治療トランスデューサ42であり得る。さらに、カメラ112は、様々な位置、例えば、ハンドル上のより高い位置、治療面120の上ではないがよりデバイス12の上部の近くに、取り付けられ、皮膚および一時的なタトゥーまたは他のインジケータの画像化を容易にし得る。エネルギー適用デバイス12は、画像処理、ターゲティング、および/または較正の少なくとも一部がデバイス12で実行され得るように、プロセッサを含み得る。さらに、エネルギー適用デバイスは、別のデバイス、例えば、コントローラ16、モバイルデバイスとの有線または無線の通信を可能にする通信回路を含み得る。
【0053】
図15は、専門家または医師72と併せて、エネルギー適用デバイス12の所定の治療位置46を識別するための技術の概略図である。描写された技術は、治療プロトコルの開始または確立時に、または治療プロトコルの検証の一部として実行され得る。ステップ122で、画像は、画像化モードでエネルギー適用デバイス12を使用して取得され、患者70の内部組織または構造内の対象領域44(図3を参照)を見つける。所定の治療位置46は、患者の身体にあるエネルギー適用デバイス12の外部または体外的な位置と、エネルギー適用デバイス12が所定の治療位置46に配置されたときのエネルギー適用デバイス12の焦点ゾーンに対応する対象領域44との間の関係に基づく。言い換えれば、所定の治療位置46は、適用されたエネルギーが患者の皮膚を通過して対象領域44に到達する、患者の身体の(例えば、患者の皮膚と直接接触している)エネルギー適用デバイス12の位置に対応する。
【0054】
所定の治療位置46は、ステップ124で示されるように、患者の皮膚129上または患者の衣服に、あるいは患者上またはその近くに機械式固定具を他に配置することによってマークされ得る。図示の実施形態では、所定の治療位置46は、一時的なタトゥー128でマークされている。ただし、永続的なタトゥー、ステッカー、ペンのマーキング(可視または蛍光)などの他のマーカーを使用することもできる。次に、所定の治療位置46は、本明細書で提供されるように、将来の治療のためにエネルギー適用デバイス12を配置するためのガイドとして機能する。所定の治療位置46の確立はまた、位置フィードバックデバイスからのデータなど、正しい整合に関連するデータを格納することを含み得る。一実施形態では、慣性測定ユニットセンサ114からの位置決めデータを使用して、整合に関連する位置ガイド130および位置データ132を生成する。データからの偏差(例えば、5%を超える偏差、任意の方向での10%を超える偏差)は、不整合または整合の欠如に関連している可能性がある。別の実施形態では、位置データは、患者の超音波画像またはカメラ画像を含み得る。
【0055】
図16は、エネルギー適用デバイス12が所定の治療位置46と整合されていない例の概略図である。例えば、患者70は、在宅治療のためにエネルギー適用デバイス12を適用することができる。この例では、エネルギー適用デバイスは、タトゥー128でマークされた所定の治療位置46に配置されていない。代わりに、エネルギー適用デバイス12は、不整合の位置133に配置されている。データは、エネルギー適用デバイス12が整合されていないと判定するために、不整合の位置でエネルギー適用デバイス12から収集される。例えば、そのようなデータは、定義された点に関する位置情報134、136を生成するための慣性測定ユニットセンサ114からのデータを含み得る。特定の実施形態では、患者70は、エネルギー適用デバイス12が再位置決めされて不整合が修正されているかどうかを評価するときに、位置情報134、136をリアルタイムで追跡することができる。データはまた、超音波画像データ138などの画像データを含み得る。そのようなデータは、患者70に提供され得るか、またはシステム10によって、当業者または自動分析ソフトウェアによるレビューのために、または本明細書で提供される用量計算のために記憶され得る。
【0056】
図17は、エネルギー適用デバイス12が所定の治療位置46に整合されていると判定するための技術の概略図である。図示の実施形態では、エネルギー適用デバイス12は、1つの軸の所定の治療位置に配置することができるが、皮膚に対して誤るよう傾けることが可能である。位置情報142に基づいて、患者70は、位置情報144で示されるように、エネルギー適用デバイス12を特定の方向に傾けて整合を完全にするための指示を提供され得る。
【0057】
図18は、本開示の実施形態による、順次ステアリングコントローラ104に結合されるステアリングデバイス148に結合されたエネルギー適用デバイス12の概略図である。ステアリングデバイス148は、ステアリングコントローラ104の制御下で動作して、所定の治療位置46と整合するまでエネルギー適用デバイス12を位置決め/再位置決めする機械式アームであり得る。別の例では、デバイスは、患者が実質的な標的領域にストラップで固定するベルトまたは衣服に取り付けられている。ベルトにおけるモーションステージは、デバイス12をターゲット位置に対して整合する。他のタイプのモーションステージを使用して、超音波用の椅子またはベンチにおいて、同様のモーション制御メカニズムを、設けることができる。
【0058】
特定の実施形態では、システム10は、使用者の所定の治療位置46の近くでのエネルギー適用デバイスの全般的な移動を完了するか、または最適化するように構成され得る。図19は、本開示の実施形態による、ステアリングコントローラ104に結合されたステアリング可能なヘッドを含むエネルギー適用デバイス12の概略図である。すなわち、デバイス12全体を操縦することに加えてまたは代替的に、ステアリングコントローラ104は、ヘッド、例えば、超音波プローブヘッドを操作して、ファインポジショニングを実行するように構成され得る。図20は、本開示の実施形態による、ステアリングコントローラ104に結合されたビームのステアリングに関する超音波エネルギー適用デバイス12の概略図である。すなわち、デバイス12の全部または一部を再配置するのではなく、またはそれに加えて、エネルギー適用デバイス12はまた、ビームステアリングを使用してビームを対象領域44のいっそう近くに向け直すように構成され得る。
【0059】
エネルギー適用デバイス12が所定の治療位置46と整合される実施形態に加えて、図21は、本開示の実施形態による拡散エネルギー適用技術の概略図である。システム10が、スイープされた領域(例えば、画像156)に関する情報(ステップ152)を取得している間、患者70は、エネルギー適用デバイス12を実質的な領域の周りでスキャンまたはスイープまたは移動する(ステップ150)。実質的な領域とは、本明細書で論じられるように、介護者または専門家によって以前に特定された所定の治療位置またはその周辺であり得る。システム10は、例えば、スイープ中の画像セグメンテーション(領域164)を使用して、対象領域44の標的投与に関連する、スイープ中の体積および/または時間を判定することができる。総線量が所定のレベルに達すると、システム10は、患者がスイープを停止すべきであることを示すために、完全な線量の表示を提示することができる。特定の実施形態では、総線量を達成すると、エネルギー適用デバイス12のシャットオフがトリガーされる。そのような方法は、対象領域を取り巻く組織が限られた副作用で刺激され得る場合に適切である可能性がある。さらに、システム10は、患者70が十分に速く「適用されたエネルギーを蓄積」していないかどうか(すなわち、新しい位置でスイープする指示)を患者70に知らせるためのフィードバックメカニズムを提供するように構成され得る。さらに、特定の実施形態では、オフターゲット部位の投与が閾値を超えるレベルまで蓄積する場合、システム10は、エネルギー適用デバイス12への遮断をトリガーすることができる。本開示の好適な実施形態において、コントローラは、時間枠にわたる治療される所定の部位の位置に対する超音波プローブの位置に基づいて、対象領域の外側の領域に適用されるエネルギーのオフターゲット部位の線量を計算するように構成される。開示されたスイープは、より広いスイープをもたらすために、集束されていないまたはソフトに集束された超音波で実施され得る。
【0060】
別の実施形態では、スキャンのプロセスは、リアルタイムでの整合に基づいて治療ビームのオン/オフをトリガーすることを含む。スキャン中、エネルギー適用デバイス12は、画像化の電力レベルで連続的に画像化して所定の標的との画像の整合を見出す、および/またはカメラおよびトランスデューサ(例えば、超音波画像)のデータを連続的に処理して皮膚インジケータとの整合を見出すように構成される。別の実装形態では、治療ビームは、整合が正しい場合はスイープ中に断続的に活性化され、整合が正しくない場合は無効にされ、一方で標的までの線量を断続的にカウントアップする。別の実施形態では、システムは、治療ビームを作動させる前に、使用者がエネルギー適用デバイス12を一定期間(すなわち1秒)ターゲット位置に静止させたままにするように構成され、この場合使用者は、治療の適用中に静止したままであるとされる。使用者の動きは、超音波画像化、慣性測定ユニット、またはカメラデータのリアルタイム処理によって検出され、治療ビームは即座に非活性化される。線量の蓄積が目標に達するまで、治療ビームの活性化/非活性化のサイクルが続く。
【0061】
図22は、対象領域を示すスイープ技術に関連する画像のパネルの例を示している。対象領域44、および対象領域44の外側の領域に適用される線量の判定は、図23に示されるように、エネルギー適用デバイス12に関連するセンサ100からの位置フィードバックに少なくとも部分的に基づいて判定され得る。図示の例では、フィードバックは、エネルギー適用デバイス12またはその中に配置された1つまたは複数の慣性測定ユニットからの信号に基づくことができる。フィードバックはまた、位置情報を生成するために患者の皮膚からデータを取得するエネルギー適用デバイス12の光学センサ、例えば、カメラ112に基づくことができる。一実施形態では、データは、エネルギー適用デバイスに対するタトゥー126または他のセンサ識別可能なマーカーの位置を示す。時間枠にわたるエネルギー適用デバイスの位置に基づいて、対象領域44に適用される線量の判定を行うことができる。線量は、エネルギー適用デバイス12が、カメラ112および/またはセンサ100を介して判定される場合に患者の所定の位置にあると判定されるときに、蓄積しているとみなされ得る。カメラ112および/またはセンサ100を介して判定される場合にエネルギー適用デバイス12が患者の所定の位置にないと判定されるときに、線量は蓄積されていないとみなされ得る。エネルギー適用デバイス12が部分的に定位置にあるとき、線量は一部線量であるとみなされ得る。治療時間枠にわたって対象領域44への総線量を追跡することにより、システムは、総線量または達成されるターゲット線量の指標を提示することができる。さらに、対象領域44への総線量は、エネルギー適用デバイス12の動作を制御するためのコントローラ16によるフィードバックとして使用され得る。対象領域へのターゲット線量が達成されると、コントローラ16は、エネルギー適用デバイス12からのエネルギーの適用をオフに切り替えることができる。
【0062】
別の実施形態では、位置データを使用して、エネルギー適用デバイス12の位置に関連するフィードバックを患者70に提供することができる。図24は、例えば、色、矢印、画像、または他のインジケータ(音声インジケータ、光インジケータ)を介して、エネルギー適用デバイス12の提案された位置決めを含むユーザインターフェースを提示する、コントローラ16のディスプレイ36を示す。特定の実施形態では、エネルギー適用デバイス12は、触覚フィードバックによって上/下/左/右に移動するように、熟練していないまたは比較的訓練されていない操作者を誘導するハプティックスを含むか、またはハプティックスと組み合わせて実装され得る。ハプティックスまたは音声フィードバックは、エネルギー適用デバイス12の位置決めを表示するために、トーン/トーンまたはハプティックスの不在/ハプティックスの不在を利用する、はい/いいえ式ガイダンスを提供するべく使用することもできる。そのような実施形態では、ガイダンスのためのディスプレイの使用は任意であり得る。コントローラ16はまた、エネルギー適用デバイス12が正しく配置されたときにのみ治療をトリガーするように構成され得る(ブロック170)。
【0063】
図25は、コントローラ16が、ディスプレイ36を介して総線量に関連するインジケータを提供する実施形態を示す。例えば、線量が蓄積するにつれて形状が塗りつぶされる場合がある。さらに、ディスプレイ36は、エネルギー適用デバイス12が対象領域44に線量を供給するように正しく配置されていることを示すユーザインターフェースを提供することができる。ユーザインターフェースは、代替的または追加的に、取得された画像、セグメンテーションデータ、センサデータなどの情報を提供し得ることを理解されたい。
【0064】
組織へ治療パルスを適用することは、分解可能な画像の変化をもたらせ、治療中に見ることができる。例えば、標的組織は、適用されたエネルギーに応答して移動、脈動、または拡張し得る。図26は、治療トランスデューサ42Bを介して治療用エネルギーを同時に(またはほぼ同時に)供給し、治療中に画像トランスデューサ42Aを介して画像(例えば、画像180)を取得するために使用されるエネルギー適用デバイス12の例である。一実施形態では、画像化トランスデューサ42Aと治療応答および/または治療トランスデューサ42Bの周波数を一致させて、治療効果を示す画像の取得を可能にする。さらに、画像化プローブのダイナミックレンジは、超音波の効果を組織に標的化するように調整される。エネルギーパルスは、画像において跳ね返り、継続的に移動する組織ではない組織の分解を可能にするよう比較的速いタイミングにすることができる。より低次の非治療パルスでの較正は、治療エネルギーが適用される前に実行され得る。
【0065】
標的化されている生理学的転帰のメカニズム
本技術は、測定可能な標的化されている生理学的転帰(例えば、循環している分子の濃度または特徴的な生理学的プロファイルを形成する一連の濃度変化)をもたらす変化を引き起こす、エネルギー源によるエネルギーの直接的な適用を介した、組織の軸索終末におけるシナプスの標的化された調節に関する。標的化されたシナプスには、シナプス前の軸索終末とシナプス後の非神経細胞との間に形成される軸索細胞外シナプスが含まれる場合がある。さらに、特定の開示された実施形態は、軸索細胞外シナプスの文脈で論じられているが、軸索終末は、軸索分泌、軸索シナプス、軸索細胞または軸索細胞外シナプスを形成し得、さらにまたは代替的に、これらのシナプスのタイプは、本明細書で提供されるように、選択的に調節されると考えられることを理解されたい。さらに、特定の軸索終末は、調節の結果として神経伝達物質の放出および/または軸索/終末の活性化も経る可能性がある間質液または体液で終結する可能性がある。開示されたシナプスは、エネルギーの適用の結果として、シナプスにおける活性、例えば、シナプス前軸索終末からの神経伝達物質の放出を変化させるように調節され得る。したがって、変化した活性は、局所的効果および/または非局所的(例えば、全身性)効果をもたらし、所望のまたは標的化されている生理学的転帰に関連する生理学的変化の全体的なプロファイルを引き起こせる。本技術は、特定の軸索終末を含む組織の体積に標的化された方法でエネルギーを集中させて、標的化された軸索終末を優先的に直接活性化して、所望の標的化されている生理学的転帰を達成することを可能にする。このようにして、対象領域内の標的化された軸索終末は活性化されるが、特定の実施形態では、同じ器官または組織構造内であるが対象領域の外側にある軸索終末は活性化されない。器官および組織構造は、異なるタイプのシナプス後非神経細胞とシナプスを形成する異なるタイプの軸索終末を含み得るので、活性化されると、標的化されている生理学的転帰をもたらす特定のタイプの軸索終末を含む対象領域が選択され得る。したがって、調節は、シナプス前ニューロンタイプ、シナプス後細胞タイプ、またはその両方に基づいて、特定のタイプの軸索終末を標的とし得る。本明細書で提供される場合、エネルギーは、1つまたは複数の神経経路の神経調節、例えば、標的化されている生理学的転帰を誘発するのに有効な量で、患者の身体の対象領域に適用される。有効量は、評価デバイスを介するなど、本明細書に概して開示されるように評価することができる。有効量はまた、本明細書で提供されるような1つまたは複数の調節パラメータに従って適用され得る。
【0066】
例えば、一実施形態では、1つまたは複数の神経経路は、常在の(すなわち、組織常在または非循環の)肝臓、膵臓、または胃腸組織の細胞と軸索細胞外シナプスを形成する軸索終末を含み得る。すなわち、軸索細胞外シナプスは、軸索終末と非神経細胞または間質液または体液との間の接合部で形成される。したがって、エネルギーの適用は、対象領域における機能の調節につながる。しかし、軸索終末型の集団、ならびに軸索細胞外シナプスのシナプス前ニューロン型およびシナプス後細胞(例えば、免疫細胞、リンパ細胞、粘膜細胞、筋肉細胞など)の特徴に基づいて、異なる標的生理学的効果が達成され得ることを理解されたい。したがって、対象の組織内の対象領域にエネルギーを適用すると、対象領域内の1つまたは複数の神経経路の軸索終末およびそれらの関連する軸索細胞外シナプスが活性化され得て、一方、対象領域外の非標的軸索終末(および関連するシナプス)が影響を受けない可能性がある。しかし、調節は全身効果をもたらす可能性があるため、対象領域外の標的化されていない軸索終末は、対象領域内の軸索終末の活性化の結果として、特定の全身性の変化を経る可能性がある。本明細書で提供されるように、優先的活性化または直接的な活性化は、エネルギーの直接適用を経て(例えば、エネルギーが細胞または構造に直接適用される)、対象領域内にある細胞または構造(例えば、シナプス)を指し得る。例えば、軸索終末、軸索細胞外シナプス、および/またはシナプス後の非神経細胞、または対象領域内の間質液または体液は、本明細書で提供されるように、適用されたエネルギーを直接経ることがある。優先的または直接的な活性化は、たとえそのような領域がエネルギーの適用の結果として生理学的変化を受けたとしても、直接的なエネルギーの適用を経ない対象領域の外側の領域とは対照的に考慮され得る。さらに、いくつかの実施形態では、優先的な活性化は、対象領域の外側の領域が比較的少ない用量を受ける一方で、比較的高い線量の神経調節エネルギーを特定の対象領域に適用することを含み得る。
【0067】
ヒトの神経系は、脳と脊髄の中心部と、体の様々な神経の末梢部に見られる神経細胞またはニューロンの複雑なネットワークである。ニューロンには、細胞の本体、樹状突起、軸索がある。神経は、体の特定の部分に機能するニューロンの一団である。神経は、数百のニューロンから数十万のニューロンが含まれる場合がある。神経には、求心性ニューロンと遠心性ニューロンの両方が含まれていることがよくある。求心性ニューロンは中枢神経系に信号を運び、遠心性ニューロンは末梢に信号を運ぶ。1つの場所にある神経細胞体の一団は神経節として知られている。神経で生成された電気信号(例えば、内在的または外部から適用される可能性のある刺激を介して)は、ニューロンおよび神経を介して伝導される。ニューロンは、受信側の細胞に隣接するシナプス(接続)で神経伝達物質を放出し、電気信号の継続と調節を可能にする。末梢では、シナプス伝達は神経節でよく起こる。
【0068】
ニューロンの電気信号は活動電位として知られている。活動電位は、細胞膜の両端の電位が特定の閾値を超えると開始される。次に、この活動電位はニューロンの長さ方向に伝播する。神経の活動電位は複雑であり、神経内の個々のニューロンの活動電位の合計を表す。ニューロンの軸索終末と受信側の細胞の間の接合部は、シナプスと呼ばれる。活動電位は、ニューロンの軸索を下ってその軸索終末、神経線維のシナプス前終末またはシナプス終末を形成する軸索神経の分枝の遠位終末に移動する。活動電位の電気インパルスは、神経伝達物質を含む小胞が、シナプス前軸索終末のシナプス前膜へ移動し、最終的には神経伝達物質のシナプス間隙(例えば、シナプス前細胞とシナプス後細胞の間に形成された空間)または細胞外空間へ放出することを引き起こす。活動電位の電気信号を神経伝達物質の放出の化学信号に変換するために、シナプス終末に到達するシナプスが、化学シナプスである。化学シナプスは電気シナプスとは対照的であり得、これはシナプス前軸索終末に流入するイオン電流が2つの細胞膜の障壁を越えて、シナプス後細胞に入ることができる。
【0069】
活動電位の生理学的効果は、細胞膜を横切るイオンの動きによって媒介される。ニューロンは、Na、K、Clなどのイオンがニューロンの膜を通過するのを促進するイオンポンプを介して、静止膜電位を積極的に維持する。ニューロンの種類が異なれば、静止電位も異なり得る(例えば-75mV~-55mV)。活動電位は、イオンの流入、すなわち、膜を横切る電圧の一時的な上昇、例えば、30~60mVの範囲の膜電位の上昇に関連する膜電位の大きな偏差を生成するための電荷の移動によって生成される。個々のニューロンの活動電位は、シナプス前(例えば、上流)ニューロンからの神経伝達物質の放出に応答して開始される可能性があり、これにより順次、シナプス後細胞での受容体結合と、イオンの流入につながる一連のイベントが発生し、膜脱分極が、神経を介して伝播する活動電位をもたらす。
【0070】
シナプスは2つのニューロン間の接合部に位置でき、これにより活動電位が神経線維に伝播することが可能になる。しかし、軸索終末はまた、ニューロンと非ニューロン細胞との間の接合部でシナプスを形成するか、または間質液または体液で終結する可能性がある。シナプスタイプの例は、神経免疫接合部での免疫細胞とのシナプス、器官内の常在感覚細胞とのシナプス、または腺細胞とのシナプスである。神経伝達物質のシナプス間隙への放出およびシナプス後細胞のシナプス後膜の受容体への結合は、シナプス前ニューロンの性質および放出される特定の神経伝達物質、ならびにシナプス後細胞の性質、例えばシナプス後細胞の利用可能な受容体の種類に依存する下流効果をもたらす。さらに、活動電位は興奮性または抑制性である可能性がある。興奮性シナプス後活動電位は、シナプス後ニューロンが興奮するまたは後続の活動電位を放出する傾向を高くするシナプス後電位であり、対して、抑制性シナプス後の活動電位は、シナプス後ニューロンが興奮するまたは後続の活動電位を放出する傾向を低くするシナプス後電位である。さらに、いくつかのニューロンが連携して、下流の活動電位を誘発する、または下流の活動電位を阻害する神経伝達物質を協調して放出する場合がある。
【0071】
神経調節は、外部エネルギー源からのエネルギーを神経系の特定の領域に適用して、神経または神経機能を活性化または増加させ、および/または神経または神経機能を遮断または低下させる技術である。特定の神経調節技術では、1つまたは複数の従来の電極が標的神経またはその近くに適用され、エネルギーの適用が神経を介して(例えば、活動電位として)伝送され、エネルギー適用部位の下流の領域で生理学的応答を引き起こす。ただし、神経系は複雑であるため、特定のエネルギー適用部位の生理学的反応の範囲と最終的なエンドポイントを予測することは困難である。一例では、軸索終末の刺激は、神経伝達物質/神経ペプチドを放出するか、分泌細胞または他の細胞などの隣接する非神経細胞の近くで神経伝達物質の放出の変化を誘発し、シナプス後細胞を含む隣接または近くの非神経細胞の細胞活性を調節する。
【0072】
本技術の利点には、患者の状態を評価するために使用できる標的化されている生理学的転帰を達成するための、組織の対象領域での局所的な調節が含まれる。さらに、局所的な調節は、これらの効果を達成するために、組織の比較的小さな領域(例えば、総組織体積の25%未満)の直接的な活性化を含み得る。このようにすると、総適用エネルギーは、所望の標的化されている生理学的転帰を達成するのに比較的小さい。特定の実施形態では、適用されるエネルギーは、非侵襲性の体外エネルギー源(例えば、超音波エネルギー源、機械式振動器)から出るものであり得る。例えば、集束エネルギープローブは、対象の皮膚を通してエネルギーを適用できるもので、内部組織の対象領域に焦点を合わせる。そのような実施形態は、侵襲的な処置なしで、または他のタイプの処置または療法に関連し得る副作用なしで、所望の標的化されている生理学的転帰を達成する。
【0073】
特定の実施形態では、エネルギー源(例えば、外部または体外エネルギー源)からのエネルギーが、軸索終末および/または周囲/支持組織に適用され、誘導された標的化されている生理学的転帰、例えば、軸索終末などのエネルギー適用の焦点の部位における神経伝達物質の放出が、エネルギーの適用に反応して誘発され、活動電位に反応して誘発されない、神経調節用技術が提供される。すなわち、軸索終末へのエネルギーの直接的な適用は、活動電位の代わりに作用して、非神経細胞との神経接合部(すなわち、シナプス)への神経伝達物質の放出を促進する。軸索終末へ直接エネルギーを適用することは、シナプス内の軸索終末(例えば、軸索細胞外シナプス)から隣接する非神経細胞の近くへの神経伝達物質の放出の変化、および/または体の他の離れた(しかし特定の)領域の活性を調節する感覚経路の活性化をさらに誘導する。一実施形態では、エネルギー源は、超音波エネルギー源または機械式振動器などの体外エネルギー源である。このようにすると、非侵襲的で標的化された神経調節が、活動電位が下流の部位の標的に伝播して下流の標的を活性化するよう順次トリガーする、上流の部位での刺激を介するのではなく、エネルギー焦点の部位で、直接達成され得る。
【0074】
特定の実施形態では、標的組織は、電極を用いた電気刺激技術を使用して接近することが困難な内部組織または器官である。企図される組織標的には、胃腸(GI)組織(胃、腸)、筋肉組織(心筋、平滑筋および骨格筋)、上皮組織(表皮、器官/GIの裏打ち)、結合組織、腺組織(外分泌腺/内分泌腺)などが含まれる。一例では、神経筋接合部でのエネルギーの集中的な適用は、上流の活動電位なしで神経筋接合部での神経伝達物質の放出を促進する。一実施形態では、調節のために企図される標的は、インスリンの放出の制御を司る膵臓の部分、またはグルコース/代謝産物の感知および/またはそれらの循環濃度の調節を司る肝臓の部分を含み得る。
【0075】
標的化されている生理学的転帰の評価
本明細書で論じられる神経調節技術を使用して、対象の分子の濃度の変化(例えば、増加、減少)および/または対象の分子の特性の変化の標的化されている生理学的転帰を引き起こすことができる。すなわち、転帰は、対象の1つまたは複数の分子(例えば、対象の第1の分子、対象の第2の分子など)の選択的調節を含み得、1つまたは複数の組織(例えば、第1の組織、第2の組織など)の1つまたは複数の対象領域(例えば、第1の対象領域、第2の対象領域など)へのエネルギーの適用の結果としての分子の濃度(循環、組織)または特性(共有結合修飾)を、調節または影響することを指すことができる。対象の分子の調節には、発現、分泌、タンパク質の転座、およびエネルギー適用自体に由来する、または分子がイオンチャネルに直接影響を与える結果としてのイオンチャネル効果に基づく直接的な活性変化などの分子の特性の変化が含まれ得る。対象の分子の調節はまた、神経調節の結果として予想される濃度の変化または変動が起こらないように、分子の所望の濃度を維持することを指す場合がある。対象の分子の調節は、酵素を介した共有結合の修飾(リン酸化、アセチル化、リボシル化などの変化)などの分子特性の変化を引き起こすことを指す場合がある。すなわち、対象の分子の選択的調節は、分子濃度および/または分子特性を言及し得ることを理解されたい。対象の分子は、炭水化物(単糖、多糖類)、脂質、核酸(DNA、RNA)、またはタンパク質のうちの1つまたは複数などの生体分子であり得る。特定の実施形態において、対象の分子は、ホルモン(アミンホルモン、ペプチドホルモン、またはステロイドホルモン)、サイトカイン、または神経伝達物質などのシグナル伝達分子であり得る。
【0076】
開示された技術は、神経調節治療プロトコルによって引き起こされる標的化されている生理学的転帰の結果としての患者の状態の評価に使用され得る。開示された技術は、組織の状態または機能の直接的な評価を、標的化されている生理学的転帰として使用することができる。評価は、神経調節の前(すなわち、ベースライン評価)、中、および/または後に行われ得る。評価技術は、機能的磁気共鳴画像法、拡散テンソル磁気共鳴画像法、ポジトロン断層撮影法、音響モニタリング、熱モニタリング、または化学センシング(例えば、免疫化学センシング)のうちの少なくとも1つを含み得る。評価技術はまた、タンパク質および/または分子濃度評価を含み得る。評価手法から得る画像は、自動または手動の評価のためにシステムによって受信され得る。画像データに基づいて、調節パラメータも変更することができる。例えば、器官のサイズまたは変位の変化は、局所的な神経伝達物質の濃度のマーカーとして利用され、表現型調節神経伝達物質への局所細胞の曝露の代理マーカーとして、またグルコース代謝経路に対する予測される効果のマーカーとして、効果的に使用され得る。局所的な濃度は、エネルギー適用の焦点フィールド内の濃度を指し得る。
【0077】
追加的または代替的に、システムは、組織内または血液中を循環している1つまたは複数の分子の存在または濃度を評価することができる。組織内の濃度は、局所濃度または常在濃度と呼ばれる場合がある。組織は、細針吸引によって取得することができ、対象の分子(例えば、代謝分子、代謝経路のマーカー、ペプチド伝達物質、カテコールアミン)の存在またはレベルの評価は、当業者に知られている任意の適切な技術によって行うことができる。
【0078】
他の実施形態では、標的化されている生理学的転帰には、組織の変位、組織のサイズの変化、1つまたは複数の分子の濃度の変化(局所、非局所、または循環濃度のいずれか)、遺伝子またはマーカーの発現の変化、求心性活動、細胞移動などが含まれ得るが、これらに限定されない。例えば、組織変位(例えば、肝臓の変位)は、組織へのエネルギーの適用の結果として起こり得る。組織の変位を評価することにより(例えば、画像化を介して)、他の効果を推定することができる。例えば、特定の変位は、分子濃度の特定の変化に特徴的である可能性がある。一例では、5%の肝臓変位は、経験的データに基づく循環グルコース濃度の所望の減少を示すか、またはそれに関連し得る。別の例では、組織の変位は、参照画像データ(組織にエネルギーを適用する前の組織の画像)を治療後の画像データ(組織にエネルギーを適用した後に撮影された組織の画像)と比較して変位のパラメータを判定することによって評価することができる。パラメータは、組織の最大または平均変位値であり得る。変位のパラメータが閾値の変位よりも大きい場合、エネルギーの適用は、所望の標的化されている生理学的転帰を引き起こした可能性が高いと評価され得る。
【0079】
特定の実施形態では、開示された神経調節技術は、治療プロトコルの効果を評価するステップを含み得る。例えば、組織の機能または状態の様子の1つまたは複数の直接的または間接的な評価を使用することができる。一実施形態では、評価は、調節の結果として分子濃度の変化を評価するために、エネルギーパルスを適用する前後に実行され得る。さらに、評価された特性または状態は、値または指標、例えば、流量、濃度、細胞の集団、またはそれらの任意の組み合わせであり得る。これらは、次に、適切な技術によって分析され得る。例えば、閾値を超える相対的変化を使用して、患者を診断することができる。診断は、組織構造サイズ(例えば、リンパ節のサイズ)の増加の有無または1つまたは複数の放出された分子の濃度の変化(例えば、神経調節の前のベースライン濃度と比較して)などの測定された臨床的摂動を介して評価され得る。一実施形態では、結果は、閾値を超える、例えば、ベースラインと比較して濃度の約50%、100%、200%、400%、1000%の上昇を超える濃度の上昇を含み得る。評価は、経時的な分子の濃度の低下、例えば、対象の分子の少なくとも10%、20%、30%、50%、または75%の低下を追跡することを含み得る。上昇または低下または他の誘発された測定可能な効果は、治療の開始から特定の時間枠内、例えば、約5分以内、約30分以内に測定され得る。
【0080】
臨床状態の治療
本明細書で提供されるように、神経調節治療プロトコルは、臨床状態の治療の一部として使用され得る。本明細書に記載の特定の実施形態は、グルコース代謝および関連する障害の治療のための神経調節技術を提供する。グルコース調節は複雑であり、様々な局所および全身の代謝経路が関与している。標的化されている対象領域へのエネルギーの適用は、グルコース調節に影響を与えるこれらの代謝経路に特徴的な変化を引き起こす。いくつかの実施形態において、1つまたは複数の対象領域での調節は、糖尿病(すなわち、1型または2型糖尿病)、高血糖症、敗血症、外傷、感染症、生理学的ストレス、糖尿病と関連のある認知症、肥満、またはその他の摂食障害または代謝障害を含むがこれらに限定されない障害を治療するために使用され得る。一例では、生理学的ストレスは、様々な急性の病状(感染、重度の傷害/外傷、心臓発作、バイパス)ならびに高血糖を呈する外科的な例を含むように医学的に定義され得る。
【0081】
一例では、本技術を使用して、代謝障害を有する対象を診断することができる。本技術はまた、グルコース調節の障害を有する対象を診断および/または治療するために使用され得る。したがって、本技術を使用して、対象の分子の濃度を変化させるための標的化されている生理学的転帰を促進するか、または対象の1つまたは複数の分子(例えば、グルコース、インスリン、グルカゴン、またはこれらの組み合わせ)の所望の循環濃度または濃度範囲を促進することができる。一実施形態では、本技術を使用して、循環(すなわち、血中)グルコースレベルに関連する臨床状態を評価することができる。一実施形態では、治療プロトコルを使用して、正常から外れた血糖値を有する患者を治療することができる。別の実施形態では、治療プロトコルを使用して、所望の正常なグルコースレベルを維持することができる。血糖値は次のように分類できる。
絶食:
50mg/dL(2.8mmol/L)未満:インスリンショック
50~70mg/dL(2.8~3.9mmol/L):低血糖/低血糖
70~110mg/dL(3.9~6.1mmol/L):正常
110~125mg/dL(6.1~6.9mmol/L):上昇/障害(前糖尿病)
125(7mmol/L):糖尿病
非絶食(食事の後に、食後約2時間):
70~140mg/dL:正常
140~199mg/dL(8~11mmol/L):高または「境界線」/前糖尿病
200mg/dL以上:(11mmol/L):糖尿病
【0082】
別の例では、本明細書で提供されるように、リンパ組織の神経調節は、免疫活性または機能の変化をもたらし得る。特定の実施形態において、リンパ節の神経調節は、対側リンパ節に対してリンパ節の局所的な拡大をもたらす。拡大または肥大は、リンパ管周囲の筋肉細胞の緊張の変化、リンパ節周辺のリンパ管の長期的な動員および再編成、および/または主要なバリア組織(リンパ節内の高内皮細静脈(HEV)など)での分子の変化に関連している可能性があり、重要な輸送タンパク質(アクアポリン(水/液体輸送)、またはCCL21/CXCL13分泌(細胞ケモカイン)など)の変化を含む。結果は、細胞の密度、細胞数、および拡大を含む全体的なリンパ節組織環境の変化をもたらす可能性がある。さらに、リンパ節の活性化は、リンパ系を全身的に活性化するために局所的活性化を拡大または増幅する活性化の連鎖をもたらし得る。つまり、局所刺激はリンパ系の下流および上流の活性化をもたらす可能性がある。したがって、局所的な変化を使用して、全身性免疫応答を活性化することができる。追加の変化には、リンパ液の流れの変化、リンパ組織への/からの免疫細胞の輸送、免疫細胞の表現型または局所免疫応答の変化、および/またはリンパ組織への/からの抗原の輸送が含まれ得る。局所刺激は、リンパ液または免疫細胞の動員の組織または場所固有の増加を有効にする可能性がある。したがって、神経調節は、免疫経路の活性および/または機能を変化させることによって免疫の状態を治療するために使用され得る。
【0083】
特定の実施形態が超音波エネルギーの適用の文脈で開示されているが、他のエネルギーのタイプ、例えば、皮膚の上に適用される磁気共鳴または高周波が企図されることを理解されたい。また、電極のグリッドが体内で電流の場を標的領域に局所的に操縦する高出力EITも企図されている。
【0084】
この書面による説明は、例を使用して、最良の様式を含む本発明を開示し、また、任意のデバイスまたはシステムの作成および使用、ならびに任意の組み込まれた方法の実行を含め、当業者が本発明を実施できるようにする。本発明の特許性のある範囲は、特許請求の範囲によって定義され、当業者が思い浮かぶ他の例を含み得る。そのような他の例は、クレームの字義の文言と異ならない構造要素を有する場合、またはクレームの字義の文言と実質的に異なる同等の構造要素を含む場合、クレームの範囲内にあることを意図している。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
図24
図25
図26