(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-20
(45)【発行日】2025-01-06
(54)【発明の名称】セグメント化された風力タービンブレードの製造
(51)【国際特許分類】
F03D 13/40 20160101AFI20241223BHJP
F03D 1/06 20060101ALI20241223BHJP
F03D 13/10 20160101ALI20241223BHJP
F03D 80/30 20160101ALI20241223BHJP
【FI】
F03D13/40
F03D1/06 A
F03D13/10
F03D80/30
(21)【出願番号】P 2021547905
(86)(22)【出願日】2019-10-25
(86)【国際出願番号】 EP2019079176
(87)【国際公開番号】W WO2020089074
(87)【国際公開日】2020-05-07
【審査請求日】2022-10-17
(32)【優先日】2018-10-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(73)【特許権者】
【識別番号】521178493
【氏名又は名称】ブレード ダイナミクス リミテッド
(73)【特許権者】
【識別番号】521176558
【氏名又は名称】エルエム・ウインド・パワー・アクスイェ・セルスカプ
(74)【代理人】
【識別番号】100105588
【氏名又は名称】小倉 博
(72)【発明者】
【氏名】ロバーツ,デイヴィッド
(72)【発明者】
【氏名】ジョンソン,ラース・バン
(72)【発明者】
【氏名】ムケルジー,マニシュ
(72)【発明者】
【氏名】トッド,ポール
(72)【発明者】
【氏名】ハンコック,マーク
【審査官】松浦 久夫
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2015/0132137(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2014/0341738(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2011/0158788(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2011/0091326(US,A1)
【文献】特開2012-087753(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2016/0348642(US,A1)
【文献】特開2017-129091(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0363063(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F03D 13/40
F03D 1/06
F03D 13/10
F03D 80/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
正圧側および負圧側と、前縁および後縁とを含み、翼弦が前記前縁と前記後縁との間に延びる翼弦長を有するプロファイル輪郭を有する風力タービンブレードを製造する方法であって、前記風力タービンブレードは、根元端部と先端端部との間に翼長方向に延び、前記方法は、前記風力タービンブレードの実質的に全長にわたって正圧側シェル半体および負圧側シェル半体を製造するステップと、前記正圧側シェル半体および前記負圧側シェル半体のうちの1つの中にスパー構造(62)を配置するステップであって、前記スパー構造(62)は、第1の部分(64)および導電性ジャケットを備える第2の部分(66)を備え、前記スパー構造(62)の前記第1の部分(64)は、前記スパー構造(62)の前記第2の部分(66)を少なくとも部分的に囲むための箱形の導電性シース部材を備え、前記第2の部分(66)の前記導電性ジャケットと前記導電性シース部材とは、風力タービンブレードの雷保護システムの一部であり、前記ステップと、閉じたシェルを得るために前記正圧側シェル半体および前記負圧側シェル半体を閉じて接合するステップと、前記閉じたシェルの前記翼長方向に実質的に垂直な切断面(69)に沿って前記閉じたシェルを切断し、第1のブレードセグメント(68)および第2のブレードセグメント(70)を得るステップであって、各ブレードセグメントは、前記正圧側シェル半体の一部および前記負圧側シェル半体の一部を備えるステップと、前記第2のブレードセグメント(70)から前記第1のブレードセグメント(68)を分離するステップと、前記風力タービンブレードを得るために前記第1のブレードセグメント(68)を前記第2のブレードセグメント(70)に接合するステップとを含む、方法。
【請求項2】
前記正圧側シェル半体および前記負圧側シェル半体を閉じて接合する前に、前記正圧側シェル半体および前記負圧側シェル半体のうちの1つの中にスパー構造(62)を配置するステップをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記方法は、
a1)前記風力タービンブレードの実質的に全長にわたって正圧側シェル半体および負圧側シェル半体を製造するステップと、
b1)前記正圧側シェル半体および前記負圧側シェル半体のうちの1つの中にスパー構造(62)を配置するステップと、
c1)閉じたシェルを得るために前記正圧側シェル半体および前記負圧側シェル半体を閉じて接合するステップと、
d1)前記閉じたシェルの前記翼長方向に実質的に垂直な切断面(69)に沿って前記閉じたシェルを切断し、第1のブレードセグメント(68)および第2のブレードセグメント(70)を得るステップであって、各ブレードセグメントは、前記正圧側シェル半体の一部および前記負圧側シェル半体の一部を備え、前記スパー構造(62)は、前記切断面(69)を横切って延びるステップと、
e1)前記スパー構造(62)の前記第1の部分(64)および前記第2の部分(66)を連結解除するステップと、
f1)前記第2のブレードセグメント(70)から前記第1のブレードセグメント(68)を分離するステップと、
g1)前記風力タービンブレードを得るために前記第1のブレードセグメント(68)を前記第2のブレードセグメント(70)に接合するステップと
を含む、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記スパー構造(62)の前記第1の部分(64)は、前記第1のブレードセグメント(68)に固定される、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記スパー構造(62)の前記第2の部分(66)は、前記第2のブレードセグメント(70)に固定され、前記スパー構造(62)の前記第2の部分(66)は、前記第2のブレードセグメント(70)を越えて前記第1のブレードセグメント(68)内に延びる、請求項3にまたは4記載の方法。
【請求項6】
正圧側および負圧側と、前縁および後縁とを含み、翼弦が前記前縁と前記後縁との間に延びる翼弦長を有するプロファイル輪郭を有する風力タービンブレードを製造する方法であって、前記風力タービンブレードは、根元端部と先端端部との間に翼長方向に延び、前記方法は、前記風力タービンブレードの実質的に全長にわたって正圧側シェル半体および負圧側シェル半体を製造するステップと、前記正圧側シェル半体および前記負圧側シェル半体のうちの1つの中にスパー構造(62)を配置するステップであって、前記スパー構造(62)は、第1の部分(64)および第2の部分(66)を備え、前記スパー構造(62)の前記第1の部分(64)は、前記スパー構造(62)の前記第2の部分(66)を少なくとも部分的に囲むための箱形のシース部材を備え、前記シース部材は、風力タービンブレードの雷保護システムの一部である導電性シース部材である、前記ステップと、閉じたシェルを得るために前記正圧側シェル半体および前記負圧側シェル半体を閉じて接合するステップと、前記閉じたシェルの前記翼長方向に実質的に垂直な切断面(69)に沿って前記閉じたシェルを切断し、第1のブレードセグメント(68)および第2のブレードセグメント(70)を得るステップであって、各ブレードセグメントは、前記正圧側シェル半体の一部および前記負圧側シェル半体の一部を備えるステップと、前記第2のブレードセグメント(70)から前記第1のブレードセグメント(68)を分離するステップと、前記風力タービンブレードを得るために前記第1のブレードセグメント(68)を前記第2のブレードセグメント(70)に接合するステップとを含み、
前記方法は、
a1)前記風力タービンブレードの実質的に全長にわたって正圧側シェル半体および負圧側シェル半体を製造するステップと、
b1)前記正圧側シェル半体および前記負圧側シェル半体のうちの1つの中にスパー構造(62)を配置するステップと、
c1)閉じたシェルを得るために前記正圧側シェル半体および前記負圧側シェル半体を閉じて接合するステップと、
d1)前記閉じたシェルの前記翼長方向に実質的に垂直な切断面(69)に沿って前記閉じたシェルを切断し、第1のブレードセグメント(68)および第2のブレードセグメント(70)を得るステップであって、各ブレードセグメントは、前記正圧側シェル半体の一部および前記負圧側シェル半体の一部を備え、前記スパー構造(62)は、前記切断面(69)を横切って延びるステップと、
e1)前記スパー構造(62)の前記第1の部分(64)および前記第2の部分(66)を連結解除するステップと、
f1)前記第2のブレードセグメント(70)から前記第1のブレードセグメント(68)を分離するステップと、
g1)前記風力タービンブレードを得るために前記第1のブレードセグメント(68)を前記第2のブレードセグメント(70)に接合するステップと
を含み、
前記第2の部分(66)は、少なくとも1つのスパービームおよび少なくとも1つのスパーフランジを備える、方法。
【請求項7】
前記導電性シース部材は、導電性ジャケットを備える、請求項3乃至6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
前記導電性シース部材は、メッシュまたはネット状構造を備える、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記スパー構造(62)の前記第1の部分(64)を、ステップd1)で得られた前記第1のブレードセグメント(68)内の前記正圧側シェル半体および前記負圧側シェル半体の一方または両方に固定するステップを含む、請求項3乃至8のいずれか1項に記載の方法。
【請求項10】
前記スパー構造(62)の前記第2の部分(66)を、ステップd1)で得られた前記第2のブレードセグメント(70)内の前記正圧側シェル半体および前記負圧側シェル半体の一方または両方に固定するステップを含む、請求項3乃至9のいずれか1項に記載の方法。
【請求項11】
前記スパー構造(62)は、前記スパー構造(62)の前記第1の部分(64)および前記第2の部分(66)の各々における整列したそれぞれのロック開口を通して、前記スパー構造(62)の前記第1の部分(64)を前記第2の部分(66)に解放可能に連結するための少なくとも1つのロックピン(74)を備える、請求項3乃至10のいずれか1項に記載の方法。
【請求項12】
ステップe1)は、前記スパー構造(62)にアクセスするために前記正圧側シェル半体および前記負圧側シェル半体の少なくとも1つを通してアクセス開口部(80)を切断するステップを含む、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
ステップe1)は、前記アクセス開口部(80)を介して、前記スパー構造(62)の前記第1の部分(64)および前記第2の部分(66)の各々における前記整列したそれぞれのロック開口から前記ロックピン(74)を引き出すステップを含む、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記方法は、
前記ステップf1)とg1)の間または、前記ステップg1)の後に、前記スパー構造(62)の前記第1の部分(64)および前記第2の部分(66)を再連結するステッ
プをさらに含む、請求項3乃至13のいずれか1項に記載の方法。
【請求項15】
ステップd1)の前記切断面(69)は、前記スパー構造(62)の前記第1の部分(64)の端面と一致する、請求項3乃至14のいずれか1項に記載の方法。
【請求項16】
ステップf1)は、前記分離された第1のブレードセグメント(68)および第2のブレードセグメントを所定の場所に輸送するステップを含む、請求項3乃至15のいずれか1項に記載の方法。
【請求項17】
請求項1乃至16のいずれか1項に記載の方法によって得られる、風力タービンブレード。
【請求項18】
風力タービンブレード用のスパー構造(62)であって、前記スパー構造(62)は、第1の部分(64)および導電性ジャケットを備える第2の部分(66)を備え、前記第1の部分(64)および前記第2の部分(66)は、互いに解放可能に連結され、前記スパー構造(62)の前記第2の部分(66)は、スパー部材(67)を備え、前記スパー構造(62)の前記第1の部分(64)は、前記スパー構造(62)の前記第2の部分(66)を少なくとも部分的に取り囲むための箱形の導電性シース部材を備え、
前記導電性シース部材と前記導電性ジャケットとは、風力タービンブレードの雷保護システム用であり、
前記スパー構造(62)は、前記スパー構造(62)の前記第1の部分(64)および前記第2の部分(66)の各々における整列したそれぞれのロック開口を通して、前記スパー構造(62)の前記第1の部分(64)を前記第2の部分(66)に解放可能に連結するための少なくとも1つのロックピン(74)を備える、スパー構造(62)。
【請求項19】
請求項18に記載のスパー構造(62)と、
第1のシェル部分を備える第1のブレードセグメント(68)と、
第2のシェル部分を備える第2のブレードセグメント(70)と、
を含み、
前記第1の部分(64)は、前記第1のブレードセグメント(68)に固定され、
前記第2の部分(66)は、前記第2のブレードセグメント(70)に固定され、
前記少なくとも1つのロックピン(74)は、前記風力タービンブレードの回転方向に延び、
前記第1のシェル部分は、前記スパー構造(62)にアクセスするために前記風力タービンブレードの正圧側および負圧側の少なくとも一方に設けられたアクセス開口部(80)を含み、
前記アクセス開口部(80)は、前記回転方向で前記スパー構造(62)からオフセットされて配置される、風力タービンブレード。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、風力タービンブレードを製造する方法、および前記方法によって得られる風力タービンブレードに関する。
【背景技術】
【0002】
風力発電は、クリーンで環境に優しいエネルギー源を提供する。風力タービンは、通常、タワー、発電機、ギアボックス、ナセル、および1つまたは複数のロータブレードを備える。風力タービンブレードは、公知の翼形部原理を使用して風の運動エネルギーを取り出す。最新の風力タービンは、長さが90メートルを超えるロータブレードを有することができる。
【0003】
風力タービンブレードは、通常、織布または繊維および樹脂の層から2つのシェル部分またはシェル半体を形成することによって製造される。スパーキャップまたは主積層体が、シェル半体に載置または一体化され、剪断ウェブまたはスパービームと組み合わせて構造支持部材を形成することができる。スパーキャップまたは主積層体は、シェルの負圧側の半体および正圧側の半体の内側に接合されるか、または内側で一体化されてもよい。
【0004】
風力タービンのサイズが大きくなるにつれて、風力タービンブレードの製造および輸送はより困難になり、かつ費用がかかるようになる。これに対処するために、風力タービンブレードを2つ以上のセグメントに設けることが知られている。これは、より容易な製造プロセスをもたらし得、風力タービンの輸送および設置の費用を削減することができる。ブレードセグメントは、風力タービンブレードを形成するように組み立てることができる設置サイトに輸送することができる。
【0005】
しかし、スパービーム、剪断ウェブ、または他の内部構成要素などの耐荷重構造を含むシェルセグメントの製造および接合に関するいくつかの課題が、そのような設計に関連付けられ得る。
【0006】
したがって、本発明の目的は、安定性が改善され、製造、取り扱い、および組み立てが容易な風力タービンブレードを提供することである。
【0007】
本発明の別の目的は、内部補強構造を有するセグメント化された風力タービンブレードを製造するための効率的な方法を提供することである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【文献】米国特許出願公開第2018/223796号明細書
【発明の概要】
【0009】
本発明は、正圧側および負圧側と、前縁および後縁とを含み、翼弦が前縁と後縁との間に延びる翼弦長を有するプロファイル輪郭を有する風力タービンブレードを製造する方法に関し、風力タービンブレードは、根元端部と先端端部との間に翼長方向に延び、方法は、風力タービンブレードの実質的に全長にわたって正圧側シェル半体および負圧側シェル半体を製造するステップと、閉じたシェルを得るためにシェル半体を閉じて接合するステップと、閉じたシェルの翼長方向に実質的に垂直な切断面に沿って閉じたシェルを切断し、第1および第2のブレードセグメントを得るステップであって、各ブレードセグメントは、正圧側シェル半体の一部および負圧側シェル半体の一部を備えるステップと、第2のブレードセグメントから第1のブレードセグメントを分離するステップと、風力タービンブレードを得るために第1のブレードセグメントを第2のブレードセグメントに接合およびシールするステップとを含む。
【0010】
この方法は、風力タービンブレードをセグメント化および再組み立てする改善された効率的な手法を提供する。好ましくは、方法は、シェル半体を閉じて接合する前に、シェル半体のうちの1つの中にスパー構造を配置するステップをさらに含む。
【0011】
また、上述の目的の1つまたは複数は、正圧側および負圧側と、前縁および後縁とを含み、翼弦が前縁と後縁との間に延びる翼弦長を有するプロファイル輪郭を有する風力タービンブレードを製造する方法によって得ることができることが見出されており、風力タービンブレードは、根元端部と先端端部との間に翼長方向に延び、方法は、
a1)風力タービンブレードの実質的に全長にわたって正圧側シェル半体および負圧側シェル半体を製造するステップと、
b1)シェル半体のうちの1つの中にスパー構造を配置するステップであって、スパー構造は、第1の部分および第2の部分を備え、第1および第2の部分は、互いに解放可能に連結されるステップと、
c1)閉じたシェルを得るためにシェル半体を閉じて接合するステップと、
d1)閉じたシェルの翼長方向に実質的に垂直な切断面に沿って閉じたシェルを切断し、第1および第2のブレードセグメントを得るステップであって、各ブレードセグメントは、正圧側シェル半体の一部および負圧側シェル半体の一部を備え、スパー構造は、切断面を横切って延びるステップと、
e1)スパー構造の第1および第2の部分を連結解除するステップと、
f1)第2のブレードセグメントから第1のブレードセグメントを分離するステップと、
g1)風力タービンブレードを得るために第1のブレードセグメントを第2のブレードセグメントに接合およびシールするステップと
を含む。
【0012】
互いに解放可能に連結された第1の部分および第2の部分を備えるスパー構造を使用して風力タービンブレードを製造することによって、前記部分の連結解除、および好ましくは再連結を含む、そのような風力タービンブレードをセグメント化および再組み立てするための効率的かつ洗練された方法が提供される。
【0013】
好ましくは、正圧側シェル半体および負圧側シェル半体は、風力タービンブレードの全長にわたって、すなわち、それらの最終全長にわたって製造される。正圧側シェル半体および負圧側シェル半体は、典型的には、前縁付近および後縁付近で互いに凝着または結合される。各シェル半体は、好ましくはガラス繊維、炭素繊維、アラミド繊維、金属繊維、例えば鋼繊維、もしくはプラント繊維、またはそれらの混合物などの補強繊維を含む、1つまたは複数の主積層体もしくはスパーキャップなどの長手方向/翼長方向に延びる荷重担持構造を備えることができる。シェル半体は、典型的には、繊維材料の繊維レイアップにエポキシ、ポリエステル、またはビニルエステルなどの樹脂を注入することによって製造される。
【0014】
通常、正圧側シェル半体および負圧側シェル半体は、金型構造を使用して製造される。いくつかの実施形態では、シェル半体は、ステップa1、b1、およびc1の間、金型構造内に残る。シェル半体の各々は、それぞれの正圧側および負圧側シェル部材に沿って設けられたスパーキャップまたは主積層体を備えることができる。スパーキャップまたは主積層体は、シェル半体の内面に取り付けられてもよい。
【0015】
スパー構造は、好ましくは長手方向に延びる荷重担持構造であり、好ましくはシェル半体を接続して安定させるためのビームまたはスパーボックスを備える。スパー構造は、ブレードに荷重のかなりの部分を担持するように適合され得る。
【0016】
いくつかの実施形態では、スパー構造は、ステップb1)において正圧側シェル半体内に配置される。他の実施形態では、スパー構造は、ステップb1)において負圧側シェル半体内に配置される。スパー構造は、第1の部分および第2の部分を備え、第1および第2の部分は、互いに解放可能に固定またはロックされるなど、互いに解放可能に連結される。いくつかの実施形態では、第1および第2の部分は、1つまたは複数の機械的装置によって互いに解放可能に連結される。いくつかの実施形態では、第1および第2の部分は、機械的ロック機構によって互いに解放可能に連結される。スパー構造の第2の部分は、有利には、スパービームまたはスパーボックスを備えることができる。スパー構造の第1の部分は、好ましくは、中空部材またはシースなどの第2の部分を受容するための構成を備えることができる。
【0017】
c1)の接合ステップは、接着剤、結合材料、機械的締結具、およびそれらの任意の組み合わせを含む、任意の適切な接合機構またはプロセスを使用して実行することができる。c1)で得られた閉じたシェルは、好ましくは、本発明の方法によって得られる最終的な風力タービンブレードの全長のプリフォームである。
【0018】
ステップd1)において、閉じたシェルは、閉じたシェルの翼長方向または長手方向軸に実質的に垂直な切断面に沿って切断される。言い換えれば、閉じたシェルの翼長方向または長手方向軸は、前記切断面に実質的に垂直である。シェル本体のみが切断面に沿って切断されることが好ましい。また、ステップd1においてスパー構造を切断しないことが好ましい。
【0019】
いくつかの実施形態では、第1のブレードセグメントは、ブレードの長手方向範囲全体の30~80%、例えば40~70%を構成する。いくつかの実施形態では、第2のブレードセグメントは、ブレードの長手方向範囲全体の10~50%、例えば20~40%を構成する。有利には、スパー構造は、好ましくは切断されずに切断面を横切って延びる。第1および第2のブレードセグメントは、翼弦方向の接合部で接合可能な相補的な接合部セクションを有するそれぞれの端部を含むことができる。
【0020】
スパー構造の第1および第2の部分を連結解除するステップe1)は、好ましくは、機械的ロック機構をロック解除することによって行われる。いくつかの実施形態では、連結解除は、シェル半体の一方または両方に形成された開口部、好ましくは第1のブレードセグメントの開口部を通して行われる。このような開口部は、ステップd1)の切断動作の後、または切断動作の前に形成されてもよい。
【0021】
ステップf1)において第2のブレードセグメントから第1のブレードセグメントを分離した後、個々のブレードセグメントは、例えばそれぞれのトラックによって個々に輸送され得る。第1のブレードセグメントおよび第2のブレードセグメントは、風力タービン用の設置サイトに輸送することができる。
【0022】
風力タービンブレードを得るために第1のブレードセグメントを第2のブレードセグメントに接合およびシールするステップg1)は、有利には、風力タービンの設置サイトで行うことができる。このステップは、接着剤、結合材料、機械的締結具、およびそれらの任意の組み合わせを含む、任意の適切な接合および/またはシール機構またはプロセスを使用して実行することができる。
【0023】
好ましい実施形態では、スパー構造の第1の部分は、第1のブレードセグメントに固定される。いくつかの実施形態では、スパー構造の第1の部分は、第1のブレードセグメントに、好ましくは部分的な負圧側シェル半体と部分的な正圧側シェル半体の両方に接着または凝着される。好ましい実施形態では、スパー構造の第1の部分は、第1のブレードセグメントを越えて延びていない。
【0024】
いくつかの実施形態によれば、スパー構造の第2の部分は、第2のブレードセグメントに、好ましくは両方の部分的なシェル半体に接着または凝着などで固定される。スパー構造の第2の部分は、好ましくは、第2のブレードセグメントを越えて第1のブレードセグメント内に延びる。したがって、スパー構造の第2の部分は、好ましくは、スパー構造の第2の部分内から突出する。
【0025】
好ましい実施形態では、第1のブレードセグメントは、ブレードの根元端部を備える。別の好ましい実施形態では、第2のブレードセグメントは、ブレードの先端端部を備える。ブレードはまた、3つ以上のセグメントに切断されてもよい。
【0026】
いくつかの実施形態では、スパー構造の第2の部分は、スパービームまたはスパーボックスなどのスパー部材を備え、スパーボックスは、好ましくは、少なくとも1つのスパービームおよび少なくとも1つのスパーフランジを備える。いくつかの実施形態では、スパー構造の第1の部分は、スパー構造の第2の部分を少なくとも部分的に受容するまたは取り囲むための受容部材、好ましくはシース部材を備える。いくつかの実施形態では、スパー構造の第2の部分は、受容構造に少なくとも部分的に受容されるまたは取り囲まれるスパー部材を備える。受容構造は、ジャケット、例えばメッシュまたはネット状構造を備えるジャケットとすることができる。いくつかの実施形態では、ジャケットは、スパー構造の第1の部分のシース部材と同じ材料で作製される。ジャケットは、導電性ジャケットであることが好ましい。
【0027】
いくつかの実施形態によれば、シース部材は、実質的に箱形である。他の実施形態では、シース部材は、中空である。他の実施形態では、シース部材は、メッシュまたはネット構造を備える。好ましい実施形態では、シース部材は、導電性シース部材である。
【0028】
好ましい実施形態では、導電性シース部材は、風力タービンブレードの雷保護システムの一部である。好ましい実施形態では、第1の部分の導電性シース部材および第2の部分の導電性ジャケットは両方とも、風力タービンブレードの雷保護システムの一部である。
【0029】
いくつかの実施形態によれば、ステップb1)は、スパー構造の第1の部分を、ステップd1)で得られた第1のブレードセグメント内のシェル半体の一方または両方に固定するステップを含む。したがって、ステップb1)は、スパー構造の第1の部分を、根元端部ブレードセグメントなどの後に得られる第1のブレードセグメントの部分的な負圧側シェル半体および部分的な正圧側シェル半体に固定するステップを含むことができる。
【0030】
好ましい実施形態では、ステップb1)は、スパー構造の第2の部分を、ステップd1)で得られた第2のブレードセグメント内のシェル半体の一方または両方に固定するステップを含む。したがって、ステップb1)は、スパー構造の第2の部分を、先端端部ブレードセグメントなどの後に得られる第2のブレードセグメントの部分的な負圧側シェル半体および部分的な正圧側シェル半体に固定するステップを含むことができる。
【0031】
好ましい実施形態では、スパー構造は、スパー構造の第1および第2の部分の各々における整列したそれぞれのロック開口を通して、スパー構造の第1の部分を第2の部分に解放可能に連結するための少なくとも1つのロックピンを備える。他の実施形態では、スパー構造は、スパー構造の第1および第2の部分の各々において、2つ以上、例えば3つ以上、または4つ以上のロックピンと、2つ以上、例えば3つ以上、または4つ以上のそれぞれのロック開口とを備える。好ましくは、ロック開口は、シース部材およびスパー部材にそれぞれ形成されたそれぞれの貫通孔である。
【0032】
いくつかの実施形態によれば、ステップe1)は、スパー構造にアクセスするためにシェル半体の少なくとも1つを通してアクセス開口部を切断するステップを含む。好ましくは、アクセス開口部は、ブレードの内側へのアクセス、特にスパー構造へのアクセス、特にその1つまたは複数のロックピンへのアクセスを可能にするためにシェル材料を通して切断される。アクセス開口部は、ブレードの内側にアクセスするためにシェル材料を通して切断された実質的に長方形のアクセスパネルなどのアクセスパネルであってもよい。アクセス開口部は、好ましくは、閉鎖可能な開口部である。典型的には、アクセス開口部は、風力タービンブレードを完成させる前にカバーによって閉じられ、かつ/またはシールされる。
【0033】
好ましい実施形態では、ステップe1)は、好ましくはアクセス開口部を介して、スパー構造の第1および第2の部分の各々における整列したそれぞれの開口からロックピンを引き出すステップを含む。
【0034】
好ましい実施形態では、方法は、スパー構造の第1および第2の部分を再連結するステップf2)またはh1)をさらに含む。したがって、ブレードセグメントが再接合されると、第1および第2の部分は、有利には、第1の部分を第2の部分に固定およびロックするように再連結することができる。
【0035】
いくつかの実施形態によれば、前記ステップf2)およびh1)は、好ましくはアクセス開口部を介して、ロックピンをスパー構造の第1および第2の部分の各々における整列したそれぞれの開口に再挿入するステップを含む。
【0036】
好ましい実施形態では、ステップd1)は、スパー構造を切断するステップを含まない。
【0037】
いくつかの実施形態によれば、ステップd1)の切断面は、根元端部から見て0.5L~0.8Lの翼長方向領域内に位置し、Lは、その根元端部とその先端端部との間の風力タービンブレードの総長さまたは長手方向範囲である。
【0038】
好ましい実施形態では、ステップd1)の切断面は、スパー構造の第1の部分の端面と一致する。
【0039】
ステップd1)の切断面は、スパー構造の第2の部分を横切って延びることが好ましい。
【0040】
いくつかの実施形態によれば、ステップg1)は、第1および第2のブレードセグメント間に位置決めされたシール部材を使用して実行され、シール部材は、第1および第2のブレードセグメント間の相対移動を可能にするように構成される。
【0041】
好ましい実施形態では、正圧側シェル半体および負圧側シェル半体は、それぞれの金型半体で、好ましくは真空アシスト樹脂トランスファー成形によって製造される。
【0042】
いくつかの実施形態によれば、正圧側シェル半体および負圧側シェル半体は各々、50~90m、好ましくは60~80mの長手方向範囲Lを有する。
【0043】
好ましい実施形態では、正圧側シェル半体および負圧側シェル半体は各々、ステップd1)で得られた第1のブレードセグメント内に配置された炭素繊維の1つまたは複数の層を備える。
【0044】
いくつかの実施形態によれば、方法は、シェル半体の少なくとも1つ、好ましくはステップd1)で得られた第1のブレードセグメント内に1つまたは複数の剪断ウェブを配置するステップb2)をさらに含む。各剪断ウェブは、ウェブ本体と、ウェブ本体の第1の端部にある第1のウェブ脚フランジと、ウェブ本体の第2の端部にある第2のウェブ脚フランジとを備えることができる。いくつかの実施形態では、剪断ウェブは、実質的にI字形である。あるいは、剪断ウェブは、実質的にC字形であってもよい。
【0045】
好ましい実施形態では、ステップf1)は、分離された第1および第2のブレードセグメントを所定の場所に輸送するステップを含む。典型的には、所定の場所は、風力タービンを設置するサイトである。有利には、第1のブレードセグメントは、第2のブレードセグメントとは独立して輸送することができる。
【0046】
いくつかの実施形態によれば、ステップg1)は、前記所定の場所で第1のブレードセグメントを第2のブレードセグメントに接合およびシールするステップを含む。
【0047】
別の態様では、本発明は、本発明による方法によって得られる風力タービンブレードに関する。本風力タービンブレードは、そのスパー構造ならびにその連結および連結解除特性のために、容易かつ効率的に組み立てることができる。
【0048】
別の態様では、本発明は、風力タービンブレード用のスパー構造に関し、スパー構造は、第1の部分および第2の部分を備え、第1および第2の部分は、互いに解放可能に連結され、スパー構造の第2の部分は、スパービームまたはスパーボックスなどのスパー部材を備え、スパーボックスは、少なくとも1つのスパービームおよび少なくとも1つのスパーフランジを備え、スパー構造の第1の部分は、スパー構造の第2の部分を少なくとも部分的に取り囲むためのシース部材を備える。スパー構造は、有利には、本明細書に記載の風力タービンブレードを製造する方法において使用することができる。
【0049】
好ましい実施形態では、シース部材は、風力タービンブレードの雷保護システム用の導電性シース部材である。
【0050】
別の好ましい実施形態によれば、スパー構造は、スパー構造の第1および第2の部分の各々における整列したそれぞれのロック開口を通して、スパー構造の第1の部分を第2の部分に解放可能に連結するための少なくとも1つのロックピンを備える。
【0051】
本明細書で使用する場合、「翼長方向」という用語は、その根元端部からその先端端部までブレードに沿った測定値または要素の向きを表すために使用される。いくつかの実施形態では、翼長方向は、風力タービンブレードの長手方向軸および長手方向範囲に沿った方向である。
【0052】
本発明は、図面に示された実施形態を参照して以下で詳細に説明される。
【図面の簡単な説明】
【0053】
【
図3】風力タービンブレードの断面の概略図である。
【
図4】本発明による風力タービンブレードの概略切開図である。
【
図5】
図4の円で囲まれたセクションの拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0054】
図1は、タワー4、ナセル6、および実質的に水平なロータシャフトを有するロータを備えた、いわゆる「デンマークの概念」による従来の最新のアップウィンド方式の風力タービンを示している。ロータは、ハブ8と、各々がハブに最も近いブレード根元16およびハブ8から最も遠いブレード先端14を有する、ハブ8から半径方向に延びる3つのブレード10とを含む。ロータは、Rで示される半径を有する。
【0055】
図2は、風力タービンブレード10の概略図を示す。風力タービンブレード10は、従来の風力タービンブレードの形状を有し、ハブに最も近い根元領域30と、ハブから最も遠いプロファイル領域または翼形部領域34と、根元領域30と翼形部領域34との間の移行領域32とを備える。ブレード10は、ブレードがハブに装着されたときにブレード10の回転方向に面する前縁18と、前縁18の反対方向に面する後縁20とを備える。
【0056】
翼形部領域34(プロファイル領域とも呼ばれる)は、揚力の生成に関して理想的またはほぼ理想的なブレード形状を有するが、構造上の考慮事項による根元領域30は、実質的に円形または楕円形の断面を有し、これにより、例えばブレード10をハブに装着することがより容易かつ安全になる。根元領域30の直径(または翼弦)は、根元エリア30全体に沿って一定であってもよい。移行領域32は、根元領域30の円形または楕円形の形状から翼形部領域34の翼形部プロファイルに徐々に変化する移行プロファイルを有する。移行領域32の翼弦長は、典型的には、ハブからの距離rが増加するにつれて増加する。翼形部領域34は、ブレード10の前縁18と後縁20との間に延びる翼弦を有する翼形部プロファイルを有する。翼弦の幅は、ハブからの距離rが増加するにつれて減少する。
【0057】
ブレード10の肩部40は、ブレード10がその最大翼弦長を有する位置として定義される。肩部40は、典型的には、移行領域32と翼形部領域34との間の境界に設けられる。
図2はまた、ブレードの長手方向範囲L、長さ、または長手方向軸を示している。
【0058】
ブレードは捻じられかつ/または湾曲されてもよく(すなわち、予め曲げられている)、したがって対応して捻じられかつ/または湾曲されたコースを翼弦平面に提供するため、ブレードの異なるセクションの翼弦は通常、共通の平面内には存在しないことに留意されたい。これは、ほとんどの場合、ハブからの半径に依存するブレードの局所的な速度を補償するためである。
【0059】
ブレードは、典型的には、ブレードの前縁18および後縁20で結合線に沿って互いに接着された正圧側シェル部分36および負圧側シェル部分38から作製される。
【0060】
図3は、
図2に示す線I-Iに沿ったブレードの断面の概略図を示す。前述のように、ブレード10は、正圧側シェル部分36と、負圧側シェル部分38とを備える。正圧側シェル部分36は、正圧側シェル部分36の耐荷重部分を構成する、主積層体とも呼ばれるスパーキャップ41を備える。スパーキャップ41は、剛性をブレードに提供するために、ブレードの長手方向に沿って整列した一方向繊維を主に含む複数の繊維層42を備える。負圧側シェル部分38はまた、複数の繊維層46を備えるスパーキャップ45を備える。正圧側シェル部分36はまた、典型的にはバルサ材または発泡ポリマーで作製され、いくつかの繊維補強スキン層の間に挟まれたサンドイッチコア材料43を備えることができる。サンドイッチコア材料43は、剛性をシェルに提供するために使用され、それによりシェルはブレードの回転中にその空気力学的プロファイルを実質的に維持することが可能になる。同様に、負圧側シェル部分38はまた、サンドイッチコア材料47を備えることができる。
【0061】
正圧側シェル部分36のスパーキャップ41および負圧側シェル部分38のスパーキャップ45は、第1の剪断ウェブ50および第2の剪断ウェブ55を介して接続される。剪断ウェブ50、55は、図示の実施形態では、実質的にI字形のウェブとして成形される。第1の剪断ウェブ50は、剪断ウェブ本体と、2つのウェブ脚フランジとを備える。剪断ウェブ本体は、いくつかの繊維層で作製されたいくつかのスキン層52によって覆われた、バルサ材または発泡ポリマーなどのサンドイッチコア材料51を備える。
【0062】
ブレードシェル36、38は、前縁および後縁にさらなる繊維補強材を備えることができる。典型的には、シェル部分36、38は、接着フランジを介して互いに結合される。
【0063】
図4は、本発明による風力タービンブレードの概略切開分解図であり、
図5は、
図4の円で囲まれたセクションの拡大図である。本発明の方法によれば、正圧側シェル半体および負圧側シェル半体は、風力タービンブレード10の全長Lにわたって製造される。スパー構造62が、シェル内に配置される。スパー構造62は、
図8に示すように、第1の部分64および第2の部分66を備え、第1および第2の部分は、互いに解放可能に連結される。方法は、有利には、スパー構造62の第1の部分64を第1のブレードセグメント68内のシェル半体の一方または両方に固定するステップと、スパー構造の第2の部分66を第2のブレードセグメント70内のシェル半体の一方または両方に固定するステップとを含む。
【0064】
次いで、シェル半体は、閉じたシェルを得るために互いに接着されるなどして閉じられて接合され、その後、第1のブレードセグメント68および第2のブレードセグメント70を得るために、ブレードの翼長方向または長手方向範囲に実質的に垂直な切断面69に沿って切断される。切断面69は、スパー構造の第1の部分64の端面65と一致する。
【0065】
図4および
図5に見られるように、スパー構造62は、切断面69を横切って延びる。
図5に最もよく見られるように、スパー構造の第2の部分66を少なくとも部分的に取り囲むための箱形のシース部材の形態をとるスパー構造62の第1の部分64は、図示の実施形態では、第1のブレードセグメント68に固定される。図示の実施形態ではスパーボックスを備えるスパー構造62の第2の部分66は、第2のブレードセグメント70に固定され、第2の部分66は、ブレードセグメントが組み立てられると、第2のブレードセグメント70を越えて第1のブレードセグメント68内に延びる。
【0066】
図5はまた、スパー構造にアクセスし、スパー構造62の第1および第2の部分を連結および連結解除するための、図示のシェルの上半分を通して切断されたアクセス開口部80を示している。連結解除のために、
図6~
図8に示されるように、アクセス開口部80を介してスパー構造の第1および第2の部分の各々における整列したそれぞれの開口76、78からロックピンが引き出される。風力タービンブレードを得るために第1のブレードセグメント68を第2のブレードセグメント70に接合およびシールする前または後に、方法は、有利には、アクセス開口部80を介して、
図8に示されるように、ロックピン74をスパー構造の第1および第2の部分の各々における整列したそれぞれの開口76、78に再挿入することによって、スパー構造の第1および第2の部分を再連結するステップを含む。
図4および
図5に見られるように、切断ステップd1)は、スパー構造を切断するステップを含まず、シェル半体のみが切断される。加えて、2つの剪断ウェブ82a、82bが第1のブレードセグメント内に配置される。
【0067】
図6~
図8は、導電性の箱形のシース部材の形態の第1の部分64を有するスパー構造62の一実施形態を示している。好ましくは、導電性シース部材は、風力タービンブレードの雷保護システムの一部である。スパー構造の第2の部分66は、ボックススパー67を備え、その一部は、例えば導電性メッシュ72を備えるジャケット72に収容される。スパー構造62は、スパー構造の第1および第2の部分の各々における整列したそれぞれのロック開口76、78を通して、スパー構造の第1の部分64を第2の部分66に解放可能に連結するためのロックピン74を備える。
【0068】
本発明は、本明細書に記載された実施形態に限定されず、本発明の範囲から逸脱することなく修正または適合されてもよい。
【符号の説明】
【0069】
4 タワー
6 ナセル
8 ハブ
10 ブレード
14 ブレード先端
16 ブレード根元
18 前縁
20 後縁
30 根元領域
32 移行領域
34 翼形部領域
36 正圧側シェル部分
38 負圧側シェル部分
40 肩部
41 スパーキャップ
42 繊維層
43 サンドイッチコア材料
45 スパーキャップ
46 繊維層
47 サンドイッチコア材料
50 第1の剪断ウェブ
51 コア部材
52 スキン層
55 第2の剪断ウェブ
56 第2の剪断ウェブのサンドイッチコア材料
57 第2の剪断ウェブのスキン層
60 フィラーロープ
62 スパー構造
64 第1の部分
65 第1の部分の端面
66 第2の部分
67 スパー部材
68 第1のブレードセグメント
69 切断面
70 第2のブレードセグメント
72 ジャケット/メッシュ
74 ロックピン
76 開口
78 開口
80 アクセス開口部
82 剪断ウェブ
L 長さ
r ハブからの距離
R ロータ半径