(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-20
(45)【発行日】2025-01-06
(54)【発明の名称】マルチチップ用キャリア構造体
(51)【国際特許分類】
H01L 21/673 20060101AFI20241223BHJP
H10H 20/85 20250101ALI20241223BHJP
H10H 20/812 20250101ALI20241223BHJP
【FI】
H01L21/68 U
H01L33/48
H01L33/06
(21)【出願番号】P 2021568187
(86)(22)【出願日】2020-03-10
(86)【国際出願番号】 EP2020056296
(87)【国際公開番号】W WO2020229013
(87)【国際公開日】2020-11-19
【審査請求日】2023-03-10
(31)【優先権主張番号】102019112490.5
(32)【優先日】2019-05-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(31)【優先権主張番号】PCT/EP2020/052191
(32)【優先日】2020-01-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】599133716
【氏名又は名称】エイエムエス-オスラム インターナショナル ゲーエムベーハー
【氏名又は名称原語表記】ams-OSRAM International GmbH
【住所又は居所原語表記】Leibnizstrasse 4, D-93055 Regensburg, Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100134315
【氏名又は名称】永島 秀郎
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】アレクサンダー プフォイファー
(72)【発明者】
【氏名】コアビニアン ペアツルマイアー
(72)【発明者】
【氏名】カースティン ネーヴェリング
【審査官】内田 正和
(56)【参考文献】
【文献】特表2017-533453(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2010/0317132(US,A1)
【文献】特表2018-506850(JP,A)
【文献】特表2017-500757(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/673
H01L 33/48
H01L 33/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
フラットな光電子構造素
子を備えたキャリア構造体であって、
フラットなキャリア基板と、
少なくとも2つのピックアップ要素と
を有し、前記ピックアップ要素は、前記少なくとも2つのピックアップ要素の間で第1の
光電子構造素子を着脱可能に保持するように構成されており、そうすることで前記
第1の光電子構造素子は定義された最小の力でキャリア構造体平面に対して垂直方向に移動することができ、ここで、前記少なくとも2つのピックアップ要素のうちの少なくとも1つのピックアップ要素は、隣り合って配置された第2の
光電子構造素子を同時に保持および/または支持するように構成されて
おり、
ピックアップ要素と光電子構造素子との間に配置されており、前記光電子構造素子が移動した後にピックアップ要素上に残る層間剥離層を有する、キャリア構造体。
【請求項2】
前記ピックアップ要素が、前記光電子構造素子を3つのピックアップ要素によって保持するように前記キャリア基板上に配置されている、請求項1記載のキャリア構造体。
【請求項3】
前記3つのピックアップ要素のうちの少なくとも2つのピックアップ要素が、それぞれの場合において、隣り合って配置された更なる1つの
光電子構造素子を保持および/または支持するように構成されている、請求項
2記載のキャリア構造体。
【請求項4】
前記ピックアップ要素が、半導体ウェハのメサトレンチに配置されている、請求項1から
3までのいずれか1項記載のキャリア構造体。
【請求項5】
前記キャリア基板と前記ピックアップ要素とが一体的に構成されている、請求項1から
4までのいずれか1項記載のキャリア構造体。
【請求項6】
前記ピックアップ要素が、光電子構造素子を横方向にかつ前記
光電子構造素子の下側から保持するように構成されている、請求項1から
5までのいずれか1項記載のキャリア構造体。
【請求項7】
前記ピックアップ要素が、キャリア基板平面に対して斜め方向に延びる
前記光電子構造素子保持面を有しており、前記
光電子構造素子が前記ピックアップ要素から離れると前記光電子構造素子に対する保持力が低下するようになる、請求項1から
6までのいずれか1項記載のキャリア構造体。
【請求項8】
前記ピックアップ要素のうちの少なくとも1つが、光電子構造素子の横方向の面取り領域または側面をピックアップするように構成されている、請求項1から
7までのいずれか1項記載のキャリア構造体。
【請求項9】
ピックアップ要素と光電子構造素子との間の接触面積が、前記
光電子構造素子の総面積の1/20未満、特に1/50未満である、請求項1から
8までのいずれか1項記載のキャリア構造体。
【請求項10】
前記少なくとも1つのピックアップ要素の上に部分的に前記第1の光電子構造素子と第2の光電子構造素子とが載置されており、前記ピックアップ要素の表面の一部が、第1の光電子構造素子と第2の光電子構造素子との間で露出しているか、または前記第1の光電子構造素子と前記第2の光電子構造素子との間で隆起している、請求項1から
9までのいずれか1項記載のキャリア構造体。
【請求項11】
光電子構造素子であって、活性層を含む半導体層スタックを備え、前記活性層が請求項1から
10までのいずれか1項記載のキャリア構造体の上に配置されている、光電子構造素子。
【請求項12】
前記光電子構造素子が、メサトレンチによって形成された外縁領域を有しており、前記外縁領域の前記活性層は、量子井戸インターミキシングによって増大したバンドギャップを有している、請求項
11記載の光電子構造素子。
【請求項13】
前記キャリア構造体の上に配置された突起部を外縁領域が有している、請求項
11または
12記載の光電子構造素子。
【請求項14】
少なくとも2つの
、請求項12に記載の光電子構造素
子を転写する方法であって、前記少なくとも2つの光電子構造素子がキャリアの共通のピックアップ要素の上に配置されており、前記キャリアは、前記光電子構造素子がその上に配置された犠牲層を含む、方法であって、
前記光電子構造素子がその上に配置された前記犠牲層を除去することで、前記光電子構造素子を共通の前記ピックアップ要素で保持するステップと、
前記少なくとも2つの光電子構造素子のうちの少なくとも1つを前記共通のピックアップ要素から取り外すステップと
を含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本特許出願は、2019年5月13日付け独国特許出願公開第102019112490.5号明細書の優先権および2020年1月29日付け国際出願PCT/EP2020/052191号の優先権を主張するものであり、これらの開示内容は参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本発明は、光電子構造素子、さらに一般的には光学ディスプレイ用の半導体構造素子に関するものである。特に本発明は、光電子ディスプレイの製造のための量産転写プロセスで使用するためのLEDチップ用のキャリア構造体に関するものである。
【0003】
発明の背景
近年、とりわけ有機LED技術が重要視されてきた一方で、無機発光ダイオードが新たな用途の基盤として再び注目を集めている。これらには、従来のディスプレイ用途に加えて、ビデオウォール、室内照明、自動車の室内、ヘッドライトまたはガジェット照明、一般照明器具および工業分野における特殊用途用の照明用途が含まれる。
【0004】
基本的に、光を発生させる技術は、LEDとも呼ばれる古典的な光電子構造素子で知られている既知のプロセスに従っている。特に、高輝度および高コントラストのLEDを低消費電力で実現可能となれば、新たな応用分野が開ける。しかしながら、大きな違いの一つは、これらのLEDチップのサイズが非常に多様であり、それぞれの用途に合わせて調整されることである。サイズは1mm2から約100μm2の範囲にある。
【0005】
このようなLEDをウェハ上で製造する際には、LEDの製造プロセスの精度、効率および効果に関する様々な技術的課題に加えて、バックプレーンまたはCBなどにLEDを欠陥なく転写し、その後に電気的に接触させることが重要である。LEDのこのサイズであれば、欠陥のある発光ダイオードを後から修理または交換することが可能になるかもしれないが、十分に間違いのない転写と、LEDと固定具との正確な位置決めとによって、故障のリスクひいてはコストをさらに低減することができる。
【0006】
例えば転写印刷プロセスなどの方法が知られている。これらの方法は、複数のLEDを平板なスタンプでウェハから同時にピックアップし、後続のディスプレイの支持面に移動させ、そこでLEDを精密に組み立てて大面積の全配置構造を形成するというものである。このために、例えば、エラストマースタンプを利用することができ、このスタンプには、適切な表面テクスチャおよび材料特性により、個々のLEDが機械的または電気的に損傷を受けずに付着する。このスタンプには、例えば、シリコーン系のいわゆるPDMSエラストマーが利用されている。多くの場合、これらのエラストマースタンプは、いわゆるクッション構造を有しており、これにより、配置されるチップのターゲットとされる優れた接着を可能にすることができる。別の転写印刷プロセスは、先行技術で知られている。エラストマーベースの記載したプロセスの他に、磁気、静電、またはとりわけ転がり運動をベースとした機械的なプロセスが知られている。
【0007】
ウェハ上での製造後、完成したLEDは、これらを適切なプロセスによってピックアップしたり、別の場所に移動させたりすることができるようにしなければならない。そのために、通常、LEDは、例えば、エッチングプロセスによって基板から切り離される。その他に、LEDをキャリアから切り離すレーザー誘起プロセスもある。しかしながら、完全に切り離すと、傾いたり、ずれたり、またはねじれたりすることもあるため、過度の保持力または破損を伴わずに、キャリアへのいわゆる量産転写のためのピックアップを可能にすることが望ましいとされ得る。
【0008】
ここで、一観点では、いかにして破断エッジ部を回避し、リフトアップを向上させるかということが関係している。そのために、結晶性の誘電体支持構造体を用いて、LEDと周囲または下層の基板との間の機械的な接続を維持するという解決策が提案される。しかしながら、この機械的な接続は、一方ではLEDのチップを所定の位置で機械的に確実に保持するが、他方では可能な限り小さな曲げ力または引張力が加わったときに破損し、これによりチップが解放されて取り出されるように構成されている。
【0009】
特に、面状のチップもしくはLEDをピックアップするためのキャリア構造体が提案される。ここでのキャリア構造体とは、例えばエッジ長さが1mm~約100μmまたは800μm~150mmの範囲にある、多数のこのようなLEDをピックアップできる配置構造を意味する。ここでの目的は、特に、利用可能なスペースを最大限に活用しながら、例えばグリッドまたはマトリクスに対して機械的に安定した固定を行うことである。さらに、このキャリア構造体は、複数のチップを転写ツールを用いて転写するために提供するのに適しているものとされる。
【0010】
さらに、キャリア構造体は、キャリア基板に接続された少なくとも2つのピックアップ要素(Aufnahmeelemente)を有している。ここでのピックアップ要素とは、LEDを必要に応じて更なるピックアップ要素と相互作用させることで機械的に接触させて空間的に固定するか、もしくは定義された空間的な位置に保持するのに適した機構または機能要素と理解されるべきである。ピックアップ要素は、例えば10μm以下、例えば2μmまたは1μmの範囲の直径を有し得る。一実施例によれば、チップは2つのピックアップ要素に取り付けられている。
【0011】
いくつかの態様では、キャリア構造体は、フラットなキャリア基板を含んでいる。かかるキャリア基板は、例えば、半導体製造の分野で使用されるウェハ、シート(Folie)、フレームなどであり得る。これに関連して、例えば、ウェハは、半導体の製造プロセス用のベースプレートまたはベース材料としてのその機能に加えて、後続の量産転写を準備するための支援機能または支持機能を提供することができる。その他に、キャリア基板としては、例えばシートなどの柔軟な材料も適している。
【0012】
一実施例によれば、ピックアップ要素は、キャリア基板を起点としてカラム状、ピラー状、ポール状の形状をしている。一構成では、チップは、その角部またはエッジ部において、少なくとも2つのピックアップ要素の上に完全にではなく部分的に載置されている。ピックアップ要素はキャリア基板に接続されており、LEDが定義された最小の力でキャリア構造体平面に対して垂直方向に移動できるように、少なくとも2つのピックアップ要素の間でチップを着脱可能に保持するように構成されている。
【0013】
言い換えれば、一方ではピックアップ要素によってLEDを十分確実に保持し、他方では最小限の力でLEDを取り外して、例えば、転写ツールに供給する可能性を意図的に作り出す必要がある。このため、各載置要素の接触面積は、LEDのチップ面積の1/20未満、特に1/40未満、特に1/200~1/50の範囲内に収まるようにすることが提案されていてもよい。代替的な構成では、LEDのエッジ長さは、ピックアップ要素のエッジ長さの少なくとも10倍、特に20倍である。一実施例では、エッジ長さは、ピックアップ要素のエッジ長さの特に40倍~80倍の範囲にある。
【0014】
「着脱可能」とは、チップとピックアップ要素との間に、例えば融着または接着などの永久的な素材結合がなく、非破壊的で着脱可能な接続であると理解されるべきである。この取り付けは、ファンデルワールス力または電子ブリッジ(Elektronenbruecken)による付着接続など、物理的な接続に基づいていてもよい。同様のことが、LEDとピックアップ要素との間に異なる材料を使用し、LEDとピックアップ要素との間の接続を適切に選択することで実現できる。これにより、特に、材料構造の破壊と、それに対応する破片、粒子または細片とを伴う破損などのプロセスを回避することを意図している。ここでは、機械的な摩擦または層間剥離などを利用した代替的な付着メカニズムが使われる。特に、材料または材料の組み合わせの既知の限定または制限された付着特性が利用される。一実施例によれば、LEDは2つ以上のピックアップ要素の間に載置されている。
【0015】
例えば、コンタクト面には、LEDを空間に機械的に固定することができる付着力または他の粘着力が生じる。ここで、例えば付属の転写ツールによってLEDに定義された最小力が加えられると、結果的にLEDとピックアップ要素との間の接触面で剥離力が有効になる。この定義された最小力は、これらの接触面における材料または材料の組み合わせを適切に選択することによって影響を及ぼされ得る。
【0016】
コンタクト面またはオーバーラップ面は、例えば、0.05μm2~10μm2の範囲、特に1μm2~8μm2の範囲の寸法を有していてもよい。ここでは、一方で、キャリア構造体上にLEDを確実に保持することが望ましい。他方で、LEDの効果的かつ迅速な量産転写のためには、可能な限り小さな力でLEDをリフトアップして引き離せることが重要である。そのためには、各要素とチップの接触面積とチップの総面積との比が、チップ面積よりも1/20未満、特に1/40未満、特に1/80~1/50の範囲内に収まるようにすることが提案されていてもよい。代替的な構成では、LEDのエッジ長さは、ピックアップ要素のエッジ長さの少なくとも10倍、特に20倍である。ピックアップ要素の使用面積がより大きくなり得ても、LEDはその一部にしか載置されない。そのため、チップの接触面積は、チップ全体の面積の少なくとも20分の1、特に少なくとも40分の1である。
【0017】
この場合、例えば、材料または材料の組み合わせ以外に、コンタクト面の寸法および配置を適切に選択することで、適切な妥協点を見出す必要がある。同様に、このコンタクト面の大きさおよび形状を構成することで、定義された最小力に影響を与えることができる。コンタクト面が大きいと、キャリア構造体からLEDを離すのに必要な最小力が大きくなる。摩擦または積層による保持原理以外に、磁気または電気などによる保持力も考えられる。
【0018】
別の例では、キャリア構造体が、LEDを保持するピックアップ要素を1つだけ有することも可能である。半導体構造は軽量であるため、単一のピックアップ要素とLEDとの間に適切な形状と十分な大きさ次元を持つ接触面があれば、LEDを切り離すための適切な高さの最小力と組み合わせて十分な保持力を得ることができると考えられ得る。
【0019】
一構成では、LEDを作製するための基板がキャリア構造体として用いられてもよい。かかる場合には、犠牲層(Sacrificial Layer)が設けられていてもよい。これに関連して、製造プロセス時にLEDは成長用基板に接続されている。完成したLEDを露出させるために、例えば、この介在する犠牲層をガスまたはプラズマベースのエッチングプロセスによって除去することで、LEDとウェハとの間に空間を生じさせる。犠牲層の厚さは、例えば、100nm(ナノメートル)~500nmである。これは、犠牲層を除去することで、ピックアップ要素がキャリア構造体上のLEDの保持機能を担うことを意図している。一構成では、ピックアップ要素はアンカーの形状を有していてもよい。
【0020】
通常、LEDは、キャリア基板から離れる方向に、キャリア基板平面(x-y方向に理解される)に対して少なくとも部分的に垂直な力のベクトルで引き離される。そのため、ピックアップ要素はキャリア基板上に残り、特に破損することはない。これにより、後続の処理で問題となり得るピックアップ要素の残渣がLED上に残らない。一態様では、力のベクトルは表面に対して実質的に垂直である。さらに、LEDをスタンプに保持する保持力は、リフトアップ直前から少なくともその直後まで、LEDをピックアップ要素に保持する保持力よりも大きい。
【0021】
一態様によれば、少なくとも1つのピックアップ要素は、隣り合う少なくとも1つの別の配置されたLEDを同時に保持および/または支持するように構成されている。例えばピックアップ要素は、隣り合って互いに配置された2つ、3つ、あるいは4つのLEDを支持するように構成されている。ここでいう隣り合うとは、LEDの側部が実質的に互いに平行であることを意味している。隣り合う2つのLEDの間に距離を設けることで、これらをリフトアップしたときに互いに影響し合わないようにすることができる。特に、力のベクトルが完全には垂直でない場合、このような距離は、リフトアップ時に隣り合う2つのLEDが衝突するのを防ぐのに有効である。したがって、隣り合う2つのLED間の距離は、リフトアップ時のLEDに平行な力のベクトルの成分にも依存することになり得る。いくつかの考察において、2つのLED間の距離は、エッジ長さの5%であるか、またはLEDのエッジ長さの1%~10%の範囲にある。
【0022】
この特徴についての考察は、以下のようにまとめることができる:LEDの支持構造体はスペースをとることが多く、ウェハ上での高い歩留まりを達成するためには、これを最小限に抑えることが理想的である。製造プロセスに起因して、LEDはまた、ウェハ上で並列に規則的な構造で配置されている。
【0023】
上述のように、プロセスに起因して空間が生じる。そこで、本発明者らは、隣り合う2つの配置されたLEDの間にピックアップ要素を位置決めし、この1つのピックアップ要素が隣り合う複数のLEDを支持またはピックアップするようにすることを提案している。ここでは、1つの部品あたり算術的に1つ未満の全体的な支持構造体を実現できるという利点を挙げることができる。これにより、ピックアップ要素の総数を減らすことができ、省スペース化、ひいてはコスト削減をもたらすことができる。さらに、ウェハ上に支持構造体のためのスペースを追加してLEDの数を犠牲にする必要がないため、全体のチップの歩留まりは実質的に一定である。
【0024】
例えば、ピックアップ要素は、互いに対向して配置されたコンタクト面を有していてもよく、それぞれがこの方向に隣り合うLEDと機械的に接触している。この場合、ピックアップ要素は、LEDを確実に保持するために最小限の数のピックアップ要素が使用されるように、キャリア基板の表面に分配して配置することができる。これは、例えば、転写ツールを効果的に使用して、LEDの効果的かつ迅速なピックアップを可能にするために有利であり得る。一態様によれば、ピックアップ要素は、ちょうど3つのピックアップ要素によって1つのLEDが保持されるように、キャリア基板上に配置されている。この場合、3つのピックアップ要素を選択することは、ここで良好な空間的安定性と保持力の有利な分配とを両立させることができるという点で、有利な妥協点となり得る。ここでは、特にキャリア基板上での横方向のずれや傾きを効果的に防止することができる。これに関連して、ピックアップ要素は、X方向とY方向の異なる横方向の領域、例えば、中心、中心から外れた位置、またはエッジ部もしくは角部でチップと係合することができる。LEDの全く同一の面に複数のピックアップ要素が配置されていてもよい。
【0025】
一態様によれば、キャリア構造体からLEDを移動させるために、LEDまたはピックアップ要素上には層間剥離層が設けられている。本明細書では、層間剥離層という用語は、2つの表面が接触したとき、より一般的には2つの層が接続したときに起こる剥離プロセスを表すことを意図している。これは、同種の材料だけでなく、材料接続または異なる材料の表面にも該当し得る。
【0026】
いわゆる層間剥離層を意図的に作ることは、破損プロセスまたは材料破壊プロセスまたは構造変化プロセスを防ぎ、代わりに層または表面を互いに非破壊的に剥離することを目的としている。ここでは、特定の材料の組み合わせを使用することができ、例えば、SiO2とAl2O3との組み合わせだけでなく、銀、金または類似の材料などの非酸化性金属をSiO2などの誘電体と組み合わせて使用することもできる。このように、一態様では、ピックアップ要素の表面が層間剥離層で取り囲まれていることから、LEDとピックアップ要素との間には層間剥離層が形成されている。層間剥離層の厚さは僅か数nmで、例えば5nm~50nmの範囲である。一態様では、層間剥離層はエッチングストップ層として形成されていてもよいし、同様に任意にキャリア構造体の更なる部分を覆うように広がっていてもよい。
【0027】
一態様によれば、ピックアップ要素は、半導体ウェハのメサトレンチに配置されている。前述のように、歩留まり向上のためには、ウェハ上のスペースを最適に利用することが原則的に望ましい。LED用の支持構造体は、多くの場合、追加のスペースを必要とする。製造プロセスでは、さまざまなプロセスステップにより3次元構造が作られるが、この場合、例えば、LEDは最後に凸部またはメサとして形成される。これらの個々のLEDの間に、いわゆるメサトレンチが形成される。
【0028】
メサトレンチという用語は、LEDの側面にある比較的急斜面のような形状を表すもので、トレンチ、すなわち、エピタキシのない領域は、その間の深い構造を指している。例えば、メサトレンチは、30°~75°の範囲、特に45°のフランク急峻度を有していてもよい。それからこれは、ウェハ上に追加のスペースをとらずに、このいずれにしても利用可能な領域に正確にピックアップ要素を配置すること意図している。このようにして、ウェハ上の利用可能なスペースをより有効に活用することができる。
【0029】
一態様によれば、キャリア構造体とピックアップ要素とは一体的に形成されている。つまり、例えば、ピックアップ要素がキャリア基板の一部であることを意味している。ここで、キャリア基板は、それ自体がウェハであってよいが、PCBボード、シート、フレームなどの構造であってもよい。後者の場合、ピックアップ要素自体がキャリア基板とは異なる材料および/または構造からなることを意味している。これは、製造プロセスにおいて、例えば、最初から存在していたウェハ構造をさまざまなプロセスステップを経て局所的に限定して特定的に維持し、例えばエッチングプロセスによってそれらを除去しないことによって実現することができる。そのとき、これらの構造体は、完成したLEDのピックアップ要素および支持構造体として機能する。
【0030】
一態様では、ピックアップ要素は、LEDを横方向にかつLEDの下側から保持するように構成されている。一態様では、一方では、下層のキャリア基板上にLEDを保持するために、Z方向、つまりキャリア基板の方向に機械的停止を提供する部分的なコンタクト面または接触面を作ることが有用であり得る。同時に、側面の保持を追加して設けることで、横方向、すなわちX方向とY方向の空間固定を行うことができる。このようにして、一方では、キャリア基板の方向と横方向とで、安定した空間固定が可能となり、他方では、キャリア基板から離れるZ方向では、転写プロセスもしくは転写ツールにより、LEDの容易なリフトアップが可能となる。
【0031】
一態様では、ピックアップ要素は、キャリア基板平面に対して斜め方向に延びるLED保持面を有しており、LEDがピックアップ要素から離れるとLEDに対する保持力が低下するようになる。言い換えれば、LEDがキャリア基板から離れる方向に移動すればするほど、保持面はLEDから遠ざかる。これは、例えば、LEDを転写ツールによってキャリア構造体からリフトアップされると、保持力が漸進的に低下すると理解することもできる。これは、LEDを引き離すのに必要な力を有利には軽減し、特にプロセスステップの実行時間を短縮し、転写プロセスの品質を向上させることを主目的としている。
【0032】
本開示は、以下の詳細な説明によってさらに説明される。詳細な説明と具体的な実施例とは、提案された原理を説明するための様々な態様と実施形態とが開示している。当業者は、詳細な説明の指示により、本開示の範囲内で変更および修正を行えることを理解している。
【0033】
したがって、本明細書に開示されている開示内容が、記載されているデバイスの特定のコンポーネントまたは記載されている方法のステップに限定されるものでないことは、かかるデバイスおよびかかる方法が異なる可能性があるために自明である。本明細書で使用されている用語が、特定の構成形態を説明するためのものであり、限定することを意図したものでないことも自明である。本明細書および添付の特許請求の範囲で使用されているように、定冠詞および不定冠詞は、文脈上明確に別の指示がない限り、1つ以上の要素が存在することを意味するよう意図されていることに留意すべきである。例えば、「eine Einheit(ユニット)」または「die Einheit」という表現には、複数のデバイスなどが含まれ得る。さらに、「umfassend(含む)」、「umfassend」、「enthaltend」などの言葉は、他の要素またはステップを除外するものではない。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【
図1A】ウェハ上に複数のLEDを転写するための量産転写印刷の概略フローを示す図である。
【
図1B】ウェハ上に複数のLEDを転写するための量産転写印刷の概略フローを示す図である。
【
図1C】ウェハ上に複数のLEDを転写するための量産転写印刷の概略フローを示す図である。
【
図1D】ウェハ上に複数のLEDを転写するための量産転写印刷の概略フローを示す図である。
【
図2】提案された原理による3つのピックアップ要素を備えたキャリア構造体を平面図で示したものである。
【
図3A】提案された転写に適したフラットなLEDをピックアップするためのキャリア構造体の垂直断面図である。
【
図3B】提案された転写に適したフラットなLEDをピックアップするためのキャリア構造体の垂直断面図である。
【
図3C】提案された転写に適したフラットなLEDをピックアップするためのキャリア構造体の垂直断面図である。
【
図3D】提案された転写に適したフラットなLEDをピックアップするためのキャリア構造体の垂直断面図である。
【
図3E】提案された転写に適したフラットなLEDをピックアップするためのキャリア構造体の垂直断面図である。
【
図4】フラットなLEDと、異なる配置構造の複数のピックアップ要素とを備えた、コンセプト案のいくつかの態様に従ったキャリア構造体のレイアウトを示す図である。
【
図5】提案された転写プロセスに準備し適したキャリア構造体の更なるレイアウトを示す図である。
【0035】
以下では、改善された量産転写印刷プロセスの形で、転写を改善するための措置に関するいくつかのコンセプトを示している。このプロセスを使ったのは、ウェハのLEDをディスプレイの支持面に転写するからである。支持面では、個々のLEDが固定され、取り付けられるだけでなく、電気的に接続される。一方では、個々のLEDの寸法は僅か数[μm]nの範囲であり、他方では、これらの多数のLEDを同時に局所的に移す必要がある。この場合、このような数千個の構造体を多数のウェハから共通の支持面に頻繁に転写する必要がある。
【0036】
これに関して
図1に示す例では、まず、さまざまな半導体製造プロセスによってエピタキシャル層が作製されたウェハ12が提供され、ウェハ12から個々のLED16が形成される。いくつかの態様では、LEDは、動作時に異なる色や波長を発することができる。ここでそれを示すのが、色合いの違いである。LEDは、例えば取り付けや転写を容易にできるように、少なくともその下面および/または上面がフラットに形成されている。製造プロセスの一環として、LED16をウェハ12から機械的に分離することができる。これは、いわゆる犠牲層を除去することによって行われ、場合によっては1つ以上のリリース層が加えられる。
【0037】
図1Bは、エラストマースタンプ18が上方からウェハ12に向かって垂直に移動し、エラストマースタンプ18の適切な表面テクスチャによってLED16の表面に付着する様子を示している。例えば、最大引張力は、LED16の表面の大きさに比例してもよい。この付着力は、例えば、シリコーン材料、特にいわゆるPDMSエラストマーによって生み出すことができる。LED16がウェハ12から分離されるため、複数のLEDは、これらがエラストマースタンプ18に付着したまま、一緒にウェハ12からリフトアップすることができる。このエラストマースタンプ18は、今度は転写動作においてウェハ12から離れ、例えば、その隣に位置するディスプレイの支持面14に向かって移動される。これは、例えば、転写ツールを用いて行うことができ、そのため、エラストマースタンプ18は、かかるツールの一部と見なすことができる。
【0038】
図1Cでは、エラストマースタンプ18は、最初に支持面14の上方に位置しており、下降動作で支持面14の表面上に下降させられる。これにより、LED16の下面が支持面14と機械的に接触する。
図1Dに示す後続のステップでは、LED16がエラストマースタンプ18から切り離される。その後、エラストマースタンプ18は、例えば、新たな転写サイクルを開始するために上向きに移動される。LED16は、例えば、接着プロセスによって支持面14に持続的に取り付けることができる。
【0039】
図1A~
図1Dに示したステップからは、LED16の数が多いため、可能な限り短時間で確実かつ正確な配置が望まれていることがわかる。特に、LED16がスタンプ18によってピックアップされるとき、一方では発生する力を低く抑え、他方ではウェハ12上でのLED16の確実な位置決めと保持とを実現することが望ましい場合がある。特に、付着力の変動や、ウェハおよび/またはスタンプへの過剰な付着力を回避することで、この場合、大きな改善が得られる。
【0040】
図1および
図2を再び参照すると、これらは、破断エッジ部を回避し、リフトアップを改善するために提案されたいくつかの原理に従ったキャリア構造体10の更なる構成を示している。原則的には、
図1Aに表す基本構造に対応している。特に、
図1Aおよび
図1Bに示すウェハは、以下に示すウェハ構造を含んでおり、
図2は、ウェハ12を上側から見た簡略化した平面図に関するものである。この例では、3つのLED16がそれぞれフラットな長方形の形をして、並置されているのがわかる。これに関しては、例えば六角形などの他の形態のチップも可能である。ウェハ12上には、かかる並置したLED16が、例えば16インチまたは18インチの面積に多数設けられていてもよい。
【0041】
転写プロセスの前に、これらのLED16は、ウェハ12上に機械的に着脱可能に配置されている。つまり、LED16はスタンピングツール18で除去できることを意味している。ここに示す例では、LED16は、その下側でウェハ12から部分的に切り離され(図示せず)、それからピックアップ要素20によって保持されることになる。平面図を通してここでは丸く見えるピックアップ要素は、例えば、下層のキャリア基板22から、例えば、丸形、角形もしくは楕円形の横断面を持たせながら、カラム状またはポール状に製造されていてもよい。図に示すとおり、ここでは中央に示されているLED16は、合計3つのピックアップ要素20によって所定の位置に保持されている。特に3つの支持点により、共平面性、つまり、力の分散の観点から、他のLED16と同じ平面上に安定した平坦な配置を実現することができる。ピックアップ要素20のうち2つは、それぞれ2つのLED16をその角部またはエッジ部でピックアップしている。
【0042】
以下の
図3A~
図3Dでは、それぞれキャリア構造体10のさまざまな可能な構成についての垂直断面図(
図2の線24を参照)が示されている。ウェハ12、一般的にはキャリア材料またはボンディング材料は、機械的安定化のためと、電気的接続や電子制御素子などの更なるコンポーネントをピックアップするためのベースとしての役割を果たす。この上には垂直方向に第1のリリース層26が配置されている。リリース層26は、制御された層間剥離、つまり、定義された引張力によって意図的かつ制御された層の相互の剥離を可能にする役割を果たす。さらに、かかる層は、エッチングプロセス中に相接する層を変化させないようにするためのエッチングストップ層としても機能することができる。例えば、これまで先行技術で用いられてきた破断プロセスを、LEDに妨げとなる残留物が残らない剥離プロセスに置き換えることができる。
【0043】
さらに、犠牲層(Opferschicht)とも呼ばれるサクリファイス層28が設けられている。その理由は、かかる層の材料として例えばシリコンが使用されており、この材料が、その後、プロセスステップにおいて、例えばLED16を下層のウェハ12から分離するために、化学的プロセスによって除去できるからである。LED16はさらに、コンタクトパッド30を有しており、このコンタクトパッドは、ここでは、例えばpn接合のような半導体活性領域を有していてもよい。例示的に、
図3Aおよび
図3Bは、エピタキシャル層32を有するLED16の横断面図を示している。このエピタキシャル層32には、さらに、犠牲層28とエピタキシャル層32との間に形成される第2のリリース層34を加えることができる。この第2のリリース層34は、構成に応じて異なる場所に配置されていてもよい。
【0044】
図3Aおよび
図3Bのそれぞれには、ピックアップ要素20が、ポール状、カラム状またはポスト状の凸部として、犠牲層28を介して2つのLED16の間でウェハ12から一体的に垂直方向に突出し、エピタキシャル層32の手前で終端する構成が示されている。ここでは、エピタキシャル層32が上方に向かってテーパー状になっており、V字型のメサトレンチ38を形成している(これらの図に加えて、代替案としての
図3Cおよび
図3Dも参照)。
図3Aでは、第2のリリース層34は、コンタクトパッド30の側面または部分的に下面まで達しているが、
図3Bにおいて、第2のリリース層34は、コンタクトパッド30の手前で水平方向に終端し、残りの隙間は犠牲層28が埋める。この場合、例えば気体または液体のエッチング物質が、メサトレンチ38、つまり2つのLED16の間の空間を介して犠牲層28に到達することができる。
【0045】
図3Bでは、ピックアップ要素の露出した表面上の層間剥離層(Delaminierungsschicht)もエッチングプロセスによって除去されている。エッチングプロセスを制御することで、層間剥離層の除去量を選択的に調整することができる。例えば、使用されるエッチングプロセスに関して、層間剥離層は、犠牲層28の場合よりも大幅に低いエッチング速度を有することができる。これにより、エッチングプロセスで層間剥離層またはキャリア基板を過度に攻撃することなく、犠牲層を完全に除去することができる。ここでは示されていないが、代替的な構成では、エッチングプロセスは、層間剥離層を通過してピックアップ要素にエッチングするためにも使用される。言い換えれば、2つのLEDの間にある漏斗状の切欠き部は、ピックアップ要素に連なっている。その結果、ピックアップ要素のためのV字型またはU字型の凹部ができ、LEDが載る2本のカラムが残る。ピックアップ要素のかかるエッチングの深さも、同様にプロセスによって調整することができる。しかしながら、一般的には、ピックアップ要素全体がエッチングされることはない。むしろ、ピックアップ要素は、その高さの半分以下しかエッチングされないので、ピックアップ要素の安定性は十分に確保されている。特に、LEDを取り外す際に、残ったカラムが折れてしまうのではなく、層間剥離層の付着力に打ち勝ってLEDがリフトアップされるようになっている。
【0046】
図3Cおよび
図3Dは、特にピックアップ要素20の構成に関しての更なる構成変形例を示している。この場合、ピックアップ要素20は、ウェハ12の平面から出発して犠牲層28を介してキャリア構造体10の反対側まで一体的に延びている。ここで、ピックアップ要素20は、その上端部がテーパー状になっているか、もしくは傾斜したLED保持面36で構成されており、こうして、LED16をリフトアップし易くなると同時に、ウェハ12に確定的に固定することができるようになる。
図3Dでは、一実施例によれば、ピックアップ要素20は、垂直方向にエピタキシャル層32の端部の手前で終端している。コンタクトパッド30は、LED内部の各層、特に発光層を接続する。
図3Bおよび
図3Dに示すように、コンタクトパッド30は、それぞれの場合において、垂直方向に見て最も低い位置にある要素であり、そのため、必要に応じて、追加のブリッジングはんだまたは導電性接着剤を用いずに、ディスプレイまたはモジュールの支持面上の電気的コンタクト素子(図示せず)と直接機械的ひいては電気的にコンタクトすることができる。コンタクトパッド30は、例えば20~100μmの範囲のエッジ長さを有することができる。
【0047】
最後に、
図3Eは、ピックアップ要素が大幅に広げられ、層間剥離層がピックアップ要素の表面を完全に覆っている構成を示している。
図3Cおよび
図3Dに示すように、犠牲層28は、エピタキシ32を有する個々のLEDの間の漏斗状の領域を通って延びている。各LEDは、その横方向の寸法が、コンタクトパッド32に面している側よりも光出射側で大きくなるエピタキシを含んでいる。言い換えれば、LEDはコンタクトパッド32を有する側を起点として広がっている。
【0048】
その結果、図の断面構造ではV字を「反転」したような傾斜になっている。更なる層34が、エピタキシャル層32の各面のうちの表面、特に漏斗を形成する傾斜した側部およびコンタクトパッドを含む表面に施与されている。これはエッチングストップとして機能し、層間剥離層26と一緒に、定義された付着力を発生させる。今度はリフトアップのために、LED以下のV字型領域の犠牲層28は、プラズマエッチング、ガスエッチングまたは他のプロセスによって除去され、チップはピックアップ要素の層間剥離層上にその層34だけを残している。
【0049】
図4および
図5のそれぞれには、例示的に24個のLED16をウェハ(図示せず)上でマトリクス状に配置したキャリア構造体10の例を示している。
図4では、合計17個のピックアップ要素20が示されている。これらは、それぞれ2つの隣り合うLED16の間のメサトレンチ38に配置されているものもあれば、それぞれのLED16の角部に配置されているものものある。この配置により、LED16の総数よりも、必要とされるピックアップ要素20の総数が少なくて済むことになる。さらに、ここで示す例の1つのピックアップ要素20は、最大4つの相接するLED16を支持またはピックアップすることができる。
【0050】
図5では、ピックアップ要素20の基底面は、
図4のような円形ではなく、長方形または正方形の基底面を有している。つまり、ピックアップ要素がLED16に当接するコンタクト面積36は変化することを意味している。これにより、LED16がx方向またはy方向に多少位置がずれても、安定したLED16のピックアップを保証することができる。言い換えれば、横方向のずれが小さくなっても、LED16上のすべてのコンタクト面積36を合わせた総コンタクト面積は変わらないか、少なくともほぼ同じである。さらに、ピックアップ要素20は、支持構造体12の外縁部に配置されていてもよく、LED16の外側の側面に係合することもできる。例示的に、同じLEDでも、ちょうど3つの支持点があると、特に安定した空間安定性が得られることがわかる。この場合も、1つのピックアップ要素20が、2つ以上の相接するLED16を支持することができるため、複数回の使用による必要スペースひいてはコストの削減が可能となる。図示の例では、支持面積がチップ面積に比べて大幅に拡大されている。実際の実装では、支持面積を大幅に小さくして付着力を弱め、層間剥離層がキャリアにとどまって剥がれないようにする。
【0053】
ここで示した例では、さまざまな半導体技術を用いてLEDを製造している。転写されるウェハには、電気的コンタクトが可能となるようにコンタクト面があってもよい。同様に、駆動制御部、電流源および他の要素も、このウェハに既に存在していてもよい。このようにして転写されたLEDは、引き続き、いくつかの構成ではさらに処理される。例えば、LEDには、変換層または光整形素子が施与される。原則的には、これらの構成では、個々のLEDが転写されていた。しかしながら、方法はかかるものに限定されない。同様に、上述のモジュールは、これらのキャリア構造体で形成されていてもよく、このようなモジュールの転写を容易にすることが可能である。この場合、カラムもしくはキャリア要素は、モジュールのサイズが決まってから形成される。
【符号の説明】
【0054】
10 キャリア構造体
12 ウェハ
14 ディスプレイの支持面
5,16 マイクロチップ
18 スタンプ/スタンピングツール
20 ピックアップ要素
22 キャリア基板
24 断面(垂直方向)
10,26 層間剥離層
28 犠牲層
30 エミッタチップ
32 エピタキシャル層
34 第2のリリース層
15,36 マイクロチップ保持面
38 メサトレンチ