(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-20
(45)【発行日】2025-01-06
(54)【発明の名称】粘着パッチを製造するための工具セット、粘着パッチを製造する方法、及び、粘着積層体
(51)【国際特許分類】
B26F 1/00 20060101AFI20241223BHJP
B26F 1/40 20060101ALI20241223BHJP
A61M 37/00 20060101ALN20241223BHJP
【FI】
B26F1/00 E
B26F1/40 Z
A61M37/00
(21)【出願番号】P 2021570478
(86)(22)【出願日】2020-05-26
(86)【国際出願番号】 EP2020064527
(87)【国際公開番号】W WO2020239738
(87)【国際公開日】2020-12-03
【審査請求日】2023-03-27
(32)【優先日】2019-05-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】300005035
【氏名又は名称】エルテーエス ローマン テラピー-ジステーメ アーゲー
(73)【特許権者】
【識別番号】000185983
【氏名又は名称】小野薬品工業株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】510239369
【氏名又は名称】株式会社 ケイ・エム トランスダーム
(74)【代理人】
【識別番号】100114557
【氏名又は名称】河野 英仁
(74)【代理人】
【識別番号】100078868
【氏名又は名称】河野 登夫
(72)【発明者】
【氏名】ビー,マルクス
(72)【発明者】
【氏名】ガリンジャー,ヘレナ
(72)【発明者】
【氏名】ザイフェルト,アレクサンダー
(72)【発明者】
【氏名】ウェバー-ステリウェズ,アンドレアス
(72)【発明者】
【氏名】シュローゲル,ゲオルク
(72)【発明者】
【氏名】西浦 昭雄
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 明徳
(72)【発明者】
【氏名】後藤 正興
【審査官】程塚 悠
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2014/0142490(US,A1)
【文献】特開2000-037413(JP,A)
【文献】特開2015-009541(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B26F 1/00-3/16
A61M 37/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
積層ウェブを加工することにより、粘着パッ
チを製造するための工具セットであって、
切断面を切断平面に有する切断工具と、
押圧面を押圧平面に有するエンボス加工工具と
を備えており、
前記切断平面及び前記押圧平面は平行であり、
前記エンボス加工工具は、製造する粘着パッチの縁部領域を押圧す
るように構成されており、
前記切断工具は、前記縁部領域内、又は前記縁部領域の外側で切断することにより、製造する粘着パッチを切り出すように構成されており、
前記切断工具及び前記エンボス加工工具は互いに対して同軸に移動可能である、工具セット。
【請求項2】
前記切断工具及び前記エンボス加工工具は
、同軸に移動可能であり、前記切断面は前記押圧面に対して周方向に配置されている、請求項1に記載の工具セット。
【請求項3】
前記切断面は、リング形
状を有する、請求項1又は2に記載の工具セット。
【請求項4】
前記押圧面は、リング形
状を有する、請求項1~3のいずれか1つに記載の工具セット。
【請求項5】
前記切断面は
、前記積層ウェブが配置されるベース面に対して切断位置で引っ込んだ高さに偏移している、請求項1~4のいずれか1つに記載の工具セット。
【請求項6】
前記押圧面は
、前記積層ウェブが配置されるベース面に対して切断位置で引っ込んだ高さに偏移している、請求項1~5のいずれか1つに記載の工具セット。
【請求項7】
前記切断面は、少なくとも切断位置で前記押圧面に対して突出した高さに偏移しており、前記押圧面に対して偏移した前記切断面の高さは
、前記積層ウェブのバッキング層の高さに相当する、請求項1~6のいずれか1つに記載の工具セット。
【請求項8】
前記切断面の内側縁部及び前記押圧面の外側縁部は、
実質的に同一の寸法を有する、請求項1~7のいずれか1つに記載の工具セット。
【請求項9】
前記押圧面の内部寸法は、前記切断面の内部寸法の80%と98%との間である、請求項1~8のいずれか1つに記載の工具セット。
【請求項10】
前記押圧面の内部寸法は、前記切断面の外部寸法の80%と98%との間である、請求項1~9のいずれか1つに記載の工具セット。
【請求項11】
請求項1~10のいずれか1つに記載の工具セットを使用して、粘着パッ
チを製造する方法であって、
a) バッキング層と、支持層と、前記バッキング層及び前記支持層間に配置された粘着マトリクス層とを有する積層ウェブを投入材料として供給する工程、
b) 製造する粘着パッチの縁部領域を前記バッキング層上で押圧す
ることにより、前記縁部領域の下で粘着マトリクス材料を押し出す工程、並びに
c) 前記縁部領域の外側で前記バッキング層を切断することにより、製造する粘着パッチを切り出
す工程
を有する、方法。
【請求項12】
工程b)で、前記粘着マトリクス層の周りで前記縁部領域を曲げる、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記支持層
を切断することなく、前記バッキング層及び前記粘着マトリクス層を切断することにより、前記粘着パッチを切り出す、請求項11又は12に記載の方法。
【請求項14】
d) 前記支持層を除去す
る工程を更に有する、請求項11~13のいずれか1つに記載の方法。
【請求項15】
e) 前記粘着パッチを解放ライナに移して連結する工程を更に有する、請求項11~14のいずれか1つに記載の方法。
【請求項16】
f) 包装する工程を更に有する、請求項11~15のいずれか1つに記載の方法。
【請求項17】
請求項11~16のいずれか1つに記載の方法により製造された粘着積層
体であって、
バッキング層、及び
粘着マトリクス層
を有しており、
前記粘着マトリクス層は、前記バッキング層の片側に配置されており、
前記バッキング層は、前記粘着マトリクス層より大きいサイ
ズを有する、粘着積層体。
【請求項18】
請求項1~10のいずれか1つに記載の工具セットを用いて製造された粘着積層
体であって、
バッキング層、及び
粘着マトリクス層
を有しており、
前記粘着マトリクス層は、前記バッキング層の片側に配置されており、
前記バッキング層は、前記粘着マトリクス層より大きいサイ
ズを有する、粘着積層体。
【請求項19】
請求項11~16のいずれか1つに記載の方法により、請求項1~10のいずれか1つに記載の工具セットを用いて製造された粘着積層
体であって、
バッキング層、及び
粘着マトリクス層
を有しており、
前記粘着マトリクス層は、前記バッキング層の片側に配置されており、
前記バッキング層は、前記粘着マトリクス層より大きいサイ
ズを有する、粘着積層体。
【請求項20】
前記バッキング層は、前記粘着マトリクス層
と重なっている、請求項17~19のいずれか1つに記載の粘着積層体。
【請求項21】
前記バッキング層の重なり領域は、前記バッキング層の縁部領域であり、
前記縁部領
域は、前記バッキング層の残り部分よ
り少ない粘着マトリクス材料と接するか、又は前記粘着マトリクス材料と全く接しない、請求項17~19のいずれか1つに記載の粘着積層体。
【請求項22】
前記
バッキング層の重なり領
域は、前記粘着マトリクス層の周囲を覆っている、請求項20又は21に記載の粘着積層体。
【請求項23】
前記
バッキング層の重なり領
域は、前記粘着マトリクス層の周りで曲げられている、請求項20~22のいずれか1つに記載の粘着積層体。
【請求項24】
前記
バッキング層の重なり領
域における前記粘着積層体の領域はエンボス加工部分を有しており、
前記エンボス加工部分は、前記粘着マトリクス層の周りで前記バッキング層の被覆体を形成している、請求項20~23のいずれか1つに記載の粘着積層体。
【請求項25】
前記
バッキング層の重なり領
域における前記粘着積層体の領域はエンボス加工部分を有しており、
前記エンボス加工部分は、前記粘着マトリクス層の周りで前記バッキング層の曲げ部分を形成している、請求項20~24のいずれか1つに記載の粘着積層体。
【請求項26】
前記
バッキング層の重なり領
域における前記粘着積層体の領域はエンボス加工部分を有しており、
前記エンボス加工部分は、前記重なり領域と接する粘着マトリクス材料の押し出し領域を形成している、請求項20~25のいずれか1つに記載の粘着積層体。
【請求項27】
粘着パッチ中間製
品であって、
請求項17~26のいずれか1つに記載の少なくとも1
つの粘着積層体と、
支持層と
を備えており、
前記少なくとも1
つの粘着積層体は前記支持層上に配置されており、
前記粘着積層体の粘着マトリクス層は、前記支持層と前記粘着積層体のバッキング層との間に配置されており、
前記バッキング層の重なり領
域は、前記支持層から分離され得るように前記支持層
と接している、粘着パッチ中間製品。
【請求項28】
粘着パッチ製
品であって、
請求項17~26のいずれか1つに記載
の粘着積層体と、
解放ライナと
を備えており、
前記粘着マトリクス層は、前記バッキング層と前記解放ライナとの間に配置されており、
前記バッキング層の重なり領
域は、前記解放ライナから分離され得るように前記解放ライナ
と接している、粘着パッチ製品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、粘着積層体、特に経皮粘着積層体に関する。更に本発明は、粘着パッチ中間製品、特に経皮パッチ中間製品、及び、このような粘着積層体を備えた粘着パッチ製品、特に経皮パッチに関する。加えて本発明は、粘着パッチ、特に経皮パッチを製造するための工具セットに関する。最後に本発明は、粘着パッチ、特に経皮パッチを製造する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
粘着積層体を適用する一般的領域は、粘着パッチ、特に経皮パッチの分野である。経皮パッチとは、皮膚上に及び/又は皮膚を通して血流に特定量の薬物を投与するために皮膚に置かれる薬用粘着パッチである。
【0003】
このような経皮パッチは、薬物が配置された粘着マトリクスと共に少なくともバッキング層を通常備えている。経皮パッチは粘着マトリクスで皮膚に粘着され、バッキング層は、経皮パッチを外部環境から保護する役割を果たす。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
粘着パッチ、特に経皮パッチにおいては複数の問題が生じる。
【0005】
このようなパッチを適用する際に生じる主な問題の1つは、露出している及び/又ははみ出している粘着マトリクス材料が環境に接するということである。特に、粘着マトリクス材料が物、特にユーザの衣類に接することがよくある。一方では、このため、物、特に衣類が汚れて、特にくっついて離れない。他方では、パッチが、露出した粘着マトリクス材料を介して物に付着する可能性がある。この際、例えば物が動いた場合に、パッチが皮膚からずれる又は離れることがある。
【0006】
別の問題は、粘着マトリクス自体が露出して、特に薬物成分が環境負荷にさらされるということである。このため、活性成分が影響を受ける可能性がある。更に、粘着マトリクスの少なくとも一部がパッチから離れる場合がある。このため、薬物の投与が不正確になる、及び/又は失敗する可能性がある。
【0007】
本発明の目的は、粘着マトリクスが環境にさらされることを防止する粘着積層体、特に経皮粘着積層体を提供することである。本発明の更なる目的は、粘着マトリクスが環境にさらされることを防止する粘着パッチ、特に経皮パッチを製造する方法を提供することである。加えて、粘着マトリクスが環境にさらされることを防止する粘着パッチを製造するための工具セットを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
これらの目的は、請求項9で定義された粘着積層体、請求項6で定義された方法、及び請求項1で定義された工具セットによって達成される。
【0009】
本発明に係る粘着積層体は、特に経皮粘着積層体である。粘着積層体はバッキング層及び粘着マトリクス層を有しており、粘着マトリクス層はバッキング層の片側に配置されている。特に、粘着マトリクス層はバッキング層の底側に配置されている。このため、バッキング層が最上層であり、粘着マトリクス層が粘着積層体の最下層であることが好ましい。粘着マトリクス層は粘着マトリクス材料を含んでいる。粘着マトリクス材料は、好ましくは粘着材料、及び/又は、薬物若しくは薬物組成物などの有効成分を含んでいる。バッキング層は、粘着マトリクス層より大きいサイズ、特により大きい寸法、より具体的にはより大きい周囲の長さを有する。言い換えれば、バッキング層は粘着マトリクス層で部分的にのみ覆われていることが好ましい。例えば、バッキング層の縁部領域は粘着マトリクス層で覆われていない。但し、粘着マトリクス層で覆われていないバッキング層の領域が粘着マトリクス材料を含んでいることが、依然として可能であるが、この領域は、粘着マトリクス層より少ない、特に著しく少ない粘着マトリクス材料を含んでいることが好ましい。粘着層は、本質的に矩形状又は楕円形状、特に円形状又は長円形状を有してもよく、バッキング層及び/又は粘着マトリクス層は、このような形状を有することが好ましい。縁部が鋭いエンボス加工形状を避けるべきであることが好ましい。
【0010】
粘着マトリクス層の幅は、例えば30mmと75mmとの間の範囲内であり、特に50mmである。粘着マトリクス層の高さ又は厚さは、例えば100 マイクロメートルと500 マイクロメートルとの間の範囲内である。粘着マトリクス層82の破断伸び率は、例えば50%より大きく、例えば50%と100 %との間の範囲内である。粘着マトリクス層の弾性率は、例えば1平方ミリメートル当たり30ニュートン未満である。
【0011】
バッキング層は、ポリエチレンテレフタレート(PET) を含んでいるか又はポリエチレンテレフタレートから構成されていることが可能である。バッキング層の高さ又は厚さは、例えば23マイクロメートルである。バッキング層の引裂強度は、例えば1センチメートル当たり50ニュートンである。引き裂き開始時の長さ関連の力である引裂強度は、好ましくは1センチメートル当たり100 ニュートンと1センチメートル当たり140 ニュートンとの間の範囲内である。破断伸び率は、例えば80%と120 %との間の範囲内である。
【0012】
好ましい実施形態では、バッキング層は粘着マトリクス層と重なり、特にバッキング層は粘着マトリクス層と完全に重なる。
【0013】
バッキング層の重なり領域がバッキング層の縁部領域であることが好ましい。縁部領域、特に縁部領域全体は、バッキング層の残り部分より、特に著しく少ない粘着マトリクス材料と接するか、又は粘着マトリクス材料と接しない。粘着マトリクス層の縁部領域の粘着マトリクス材料は縁部領域から押し出されるため、縁部領域に粘着マトリクス材料が残っていないか、又は粘着マトリクス材料のほんの少しの部分が残っているだけであることが好ましい。特に、縁部領域はバッキング層の外縁部である。重なり領域及び/又は縁部領域は、特に粘着マトリクスと約0.3 mm~1.3 mm、より具体的には0.5 mm重なっている。
【0014】
好ましい実施形態では、重なり領域は粘着マトリクス層の周囲を覆っている。言い換えれば、バッキング層の重なり領域は、周囲で粘着マトリクス層の外側を囲んでいることが好ましい。加えて又は或いは、重なり領域は、粘着マトリクス層の周り、特に粘着マトリクス層の周囲の周りで曲げられているか又は折り曲げられている。周囲は粘着マトリクス層の外周であることが好ましい。これに関連して、周囲は輪郭として理解され得る。
【0015】
特に、バッキング層の重なり領域、特に縁部領域における粘着積層体の領域、及び/又はバッキング層の重なり領域、特に縁部領域はエンボス加工部分又は押圧部分を有している。従って、重なり領域は、好ましくはエンボス加工されているか又は押圧されている。エンボス加工部分は、任意に押込部分として画定され得る。このエンボス加工部分は、好ましくは重なり領域で粘着積層体をエンボス加工する又は押圧する、特にプレス加工することにより形成されている。そのため、重なり領域では粘着マトリクス層の粘着マトリクス材料が圧縮されている及び/又は押し出されていることが好ましい。特に、エンボス加工部分は、粘着マトリクス層の周りでバッキング層の被覆体及び/又は曲げ部分を形成している。言い換えれば、粘着積層体の縁部領域が圧縮及び/又はエンボス加工されていることが好ましい。
【0016】
好ましい実施形態では、粘着積層体は、医療用途のための最終の粘着パッチ、特に経皮パッチの形状を有する。医療用途のための粘着パッチの形状は、粘着積層体で形成された積層ウェブを切断することにより得られることが好ましい。特に、重なり領域内又は重なり領域の外側で、好ましくは重なり領域の外周部で切断する。従って、この粘着積層体が経皮パッチの形状を有し、粘着積層体の縁部領域及び/又は周囲がエンボス加工されていることが好ましい。特に、このように画定された粘着積層体は、粘着積層体で形成された積層ウェブの切取部分及び/又は押抜部分である。言い換えれば、このように画定された粘着積層体は、より大きい(同一の)粘着積層体から切断された及び/又は押し抜かれた特定形状の粘着積層体である。最終の粘着パッチの形状の粘着積層体は、本明細書全体を通して最終の粘着パッチ又は粘着パッチと称される。
【0017】
本発明に係る粘着積層体の利点は、一方では、粘着積層体が、粘着マトリクス材料を含まないか又は著しく少ない粘着マトリクス材料しか含まない周囲及び/又は縁部領域を有しているということである。他方では、覆われた縁部領域を設けることにより、粘着マトリクス材料が環境から保護される。従って、環境への露出が最小限に抑えられる。例えば、粘着マトリクス材料が衣類等に付着する危険性がこのようにして防止される。
【0018】
開示された別の発明は、粘着パッチ中間製品、特に経皮パッチ中間製品である。中間製品は、最終の粘着パッチを製造するための基礎となる製品に特に相当する。粘着パッチ中間製品は、例えば、個々の粘着パッチを有するように分離され得る複数の粘着パッチを備えた中間製品、及び/又は包装前の状態の中間製品である。この粘着パッチ中間製品は、上記に定められているような粘着積層体の一又は複数の特徴を有する少なくとも1つ、特に複数の粘着積層体を備えている。一又は複数の粘着積層体は、最終の粘着パッチ、特に経皮パッチの形状及び/又は寸法を有することが好ましい。更に、粘着パッチ中間製品は支持層を備えている。特に支持層は連続している。例えば、支持層はウェブ、好ましくはロールウェブであってもよい。少なくとも1つ、特に複数の粘着積層体は支持層上に配置されている。最終の粘着パッチ、特に経皮パッチの形状及び/又は寸法の一又は複数の粘着積層体が1つの支持層上に配置されていることが好ましい。一又は複数の粘着積層体の粘着マトリクスは支持層と一又は複数の粘着積層体のバッキング層との間に配置されている。例えば中間製品は、基本材料として、バッキング層及びマトリクス層を有する粘着積層体と支持層とを有している積層ウェブを備えている。粘着積層体は、特に特定の形状、より具体的には最終の粘着パッチの形状を有するが、支持層は、積層ウェブ上にも見出され得る元の連続した形状であることが好ましい。
【0019】
支持層の高さ又は厚さは、特に75マイクロメートルと100 マイクロメートルとの間の範囲内である。支持層の幅は、例えば75ミリメートルである。支持層は、好ましくはポリエチレンテレフタレート(PET) を含んでいるか又はポリエチレンテレフタレートから構成されている。支持層は、例えば剥離性(dehesive properties)を有し、特には剥離性(dehesive)被覆体で覆われている。
【0020】
加えて、粘着パッチ中間製品は粘着積層体のトレリスを備えていることが好ましい。特に、前記トレリスは、特に積層ウェブの粘着積層体から最終の粘着パッチを切断する及び/又は押し抜くときに残っている切れ端である。
【0021】
重なり領域、特に縁部領域は支持層と緩く接していることが好ましい。緩く接するとは、重なり領域と着脱可能な、特に剥離可能な支持層との接触として定められている。粘着パッチの製造では、複数の粘着積層体が支持層上に配置され得る。次の工程では、これらの粘着積層体は支持層から分離されて、次に移されることが可能である。特に、粘着積層体は、解放ライナに個別に移される及び/又は包装されることが可能である。このように、支持層は、一種の中間キャリア又は中間コンベヤなどに相当する。従って、粘着積層体、特に重なり領域は支持層から容易に分離され得ることが必要である。従って、重なり領域と支持層との連結は、単に押圧連結及び/又は粘着マトリクス材料の薄層を介した連結により行われる。
【0022】
開示された別の発明は、粘着パッチ製品、好ましくは経皮パッチ製品である。粘着パッチ製品は、上記に定められているような粘着積層体の一又は複数の特徴を有する、特に1つの粘着積層体を備えている。粘着パッチ製品は、例えば個々に販売されるか又は一括販売される最終の粘着パッチ製品に相当することが好ましい。粘着パッチ製品の粘着積層体は最終の粘着パッチ製品の形状及び/又は寸法を有することが好ましい。更に、粘着パッチ製品は解放ライナを備えている。解放ライナは特に、適用前に粘着積層体から分離可能な、特に剥離可能な解放ライナである。前記解放ライナは、粘着パッチをユーザの皮膚に適用する前に分離される、特に剥がされるライナであることが好ましい。特に、解放ライナの形状及び/又は寸法は粘着積層体の形状及び/又は寸法と同一である。より具体的には、解放ライナのサイズは粘着積層体のサイズより大きい。解放ライナは裂けてもよく、及び/又は剥離をより簡単にし得るための非粘着性領域を有してもよい。粘着積層体の粘着マトリクスは解放ライナと粘着積層体のバッキング層との間に配置されている。
【0023】
重なり領域、特に縁部領域は解放ライナと緩く接していることが好ましい。この緩く接するとは、粘着パッチ中間製品の関連で上述した緩く接することの一又は複数の特徴を有する緩い接触として定められていることが好ましい。
【0024】
好ましい実施形態では、粘着パッチ製品は、特に最下パウチ層及び最上パウチ層を有する包装体を備えている。これらのパウチ層は、特に連結されて、より具体的には周方向に密閉されて、閉じたパウチ包装体を形成している。
【0025】
開示された別の発明は、好ましくは積層ウェブを加工することにより、粘着パッチ、特に経皮パッチを製造するための工具セットである。積層ウェブは、上記に定められているような粘着積層体の一又は複数の特徴を有する粘着積層体を備えていることが好ましい。工具セットは、切断面を切断平面に有する切断工具を備えている。切断面は、特には切断刃であり、より具体的には薄い切断刃である。更に、工具セットは、押圧面を押圧平面に有するエンボス加工工具を備えている。押圧面は、特に押圧表面であり、より具体的には平坦な押圧表面である。言い換えれば、押圧面は、特に中空シリンダの形状及び/又は断面、より具体的には円形の中空シリンダの形状及び/又は断面を有する。或いは、エンボス加工工具は押圧工具として更に定められてもよい。切断平面及び押圧平面は互いに平行である。エンボス加工工具は、製造する粘着パッチの周囲として更に定められ得る縁部領域を押圧する、特にプレス加工するように構成されている。そのため、エンボス加工工具は、製造する粘着パッチの輪郭又は周囲を、例えば積層ウェブ上に圧縮するように構成されている。例えば、エンボス加工工具は、エンボス加工押し型又はエンボス加工押し型頭部を有しており、特にエンボス加工押し型又はエンボス加工押し型頭部で構成されている。エンボス加工は、好ましくはストロークによって行われる。但し、エンボス加工工具は、例えばエンボス加工ロールなどを更に有してもよく、又はエンボス加工ロールなどから構成されてもよい。特に、押圧面の幅は約0.3 mm~1.25mmの範囲内であり、より具体的には0.5 mmである。加えて、切断工具は、特に縁部領域内又は縁部領域の外側で、好ましくは縁部領域の外周部で切断することにより、製造する粘着パッチを切り取るように構成されている。従って、例えば切断工具は、エンボス加工工具のエンボス加工周囲より大きい切断周囲を有する。これらの周囲は、特に内周部である。切断は、好ましくは積層ウェブ上で行われる。切断工具は、特に押抜工具であり、より具体的にはストローク方式で作動する。但し、更に加えて、切断工具は、例えば切断ロールなどを有するか又は切断ロールなどで構成されることが可能である。
【0026】
好ましい実施形態では、切断工具及びエンボス加工工具は、特にストローク方式で同軸に移動可能である。切断面は押圧面に対して周方向に配置されていることが好ましい。言い換えれば、切断面は押圧面を囲んでいることが好ましい。このような構成は、例えば、エンボス加工工具を切断工具内に配置することによって実現される。切断工具はエンボス加工工具の外周部に近接して配置されていることが好ましい。このため、圧縮された縁部領域の外周部で切断を行うことができる。
【0027】
好ましい実施形態では、切断面及び/又は押圧面はリング形状を有し、特に円形又は矩形のリング形状を有する。特に、リングは円形、長円形又は正方形の形状を有してもよい。従って、切断工具及び/又はエンボス加工工具は対称であり、より具体的には回転対称であることが好ましい。
【0028】
特に、切断工具及びエンボス加工工具は互いに対して同軸に移動可能である。このため、例えばエンボス加工工具及び切断工具の個々の移動中、切断及びエンボス加工を別々に行うことができる。例えば、エンボス加工を最初に行うことができ、エンボス加工後又は持続的なエンボス加工中に切断を行うことができる。或いは、切断工具及びエンボス加工工具は互いに固定されている。このような構成を考慮して、切断工具及びエンボス加工工具を共に移動させることにより、切断及びエンボス加工を行うことができる。
【0029】
好ましい実施形態では、切断面及び/又は押圧面は、ベース面に対して切断位置で、好ましくは最大ストローク偏移位置で引っ込んだ高さに偏移している。ベース面は、特に積層ウェブ及び/又は支持層及び積層ウェブが配置される面である。従って、加工する積層体がベース面に配置される場合、切断面及び/又は押圧面はベース面にまで達しないため、積層ウェブ全体の完全な切断及び/又は押圧が防止される。従って、例えば積層ウェブの特定の部分及び/又は層のみを切断及び/又は押圧することが可能である。特に、バッキング層及び好ましくは粘着マトリクスのみを切断することが好ましい。従って、より具体的には、好ましくは支持層に切り込む及び/又は支持層を傷つけることなく、支持層に至るまで切断することにより、切断を行う。
【0030】
特に切断面は、少なくとも切断位置で、好ましくは最大ストローク偏移位置で押圧面に対して突出した高さに偏移している。このような構成に基づくと、押圧面と比べて切断面は、例えば積層体により深く貫通し得ることが好ましい。押圧面に対して偏移した切断面の高さは、積層ウェブのバッキング層の高さに相当することが好ましい。従って、特に押圧面によって圧縮された領域内又はこの領域の周りでバッキング層のみを切断することが可能であり、積層ウェブの粘着マトリクス材料が残存していないか又は積層ウェブの粘着マトリクス材料の残り部分が残存しているだけであることが好ましい。切断工具及びエンボス加工工具が互いに固定されている場合、切断面がエンボス加工面に対して切断方向に突出していることが好ましい。言い換えれば、切断平面は押圧平面に対して正に偏移している。切断工具及びエンボス加工工具が同軸に移動可能である場合、切断面は、押圧面を越えて切断面及び押圧面の最大偏移位置及び/又は最大ストローク位置に突出するように設けられている。
【0031】
切断面の内側縁部及び押圧面の外側縁部は、本質的に同一の寸法、特に同一の直径を有することが好ましい。例えば、切断面及び押圧面が同軸に設けられている場合、特に、切断面が押圧面を囲んでいる場合、押圧面に近接して、ひいては圧縮領域に近接して切断を行う。
【0032】
より具体的には、押圧面の各寸法は、切断面の内部寸法の80%と約100 %との間の範囲内であり、寸法は好ましくは直径である。例えば、切断面の内部寸法は、本質的に切断面の外部寸法と同一であるため、切断面が好ましくは薄い刃である。特に、押圧面の外部寸法は、本質的に切断面の内部寸法と同一であるため、好ましくは切断面は押圧面を密に囲んでいる。或いは、押圧面の外部寸法は、切断面の内部寸法の約95%と99%との間の範囲内であり、より具体的には97%である。押圧面の内部寸法は、特に切断面の内部寸法の約80%と98%との間の範囲内であり、より具体的には92%である。切断面は、外部寸法に本質的に相当する内部寸法を有する切断刃であることが好ましい。特に、切断刃が円形状である場合、切断刃は好ましくは19.1mmの直径を有する。押圧面は中空シリンダの形状及び/又は断面を有することが好ましい。特に中空シリンダは、17.6mmの内径及び18.6mmの外径を有するため、押圧面は0.5 mmの幅を有する。
【0033】
開示された別の発明は、粘着パッチ製造装置、特に経皮パッチ製造装置である。製造装置は積層ウェブを加工するための製造装置であることが好ましい。製造装置は、上述した工具セットの一又は複数の特徴を有する工具セットを備えている。製造装置は、工具セットを作動させるための駆動装置を更に備えている。駆動装置は、少なくとも1つのばね、特に皿ばねを有するばね集合体を有していることが好ましい。プレス加工及び/又は押し抜きを行うために、駆動装置は工具セット、特にエンボス加工工具及び/又は切断工具をストローク方式に作動させることが好ましい。
【0034】
好ましい実施形態では、製造装置はキャリアプレートを更に備えている。特に、エンボス加工工具及び/又は切断工具は、キャリアプレートに連結されており、より具体的には一体に連結されている。例えば、切断工具はキャリアプレートと一体に形成されており、エンボス加工工具は切断工具に対して同軸に移動する。
【0035】
開示された別の発明は、粘着パッチ製造システム、特に経皮パッチ製造システムである。製造システムは、積層ウェブを加工するための製造システムであることが好ましい。好ましい実施形態では、製造システムは運搬装置を備えている。運搬装置は、製造する積層ウェブ及び/又は粘着パッチを製造システムを通して運搬する。或いは又は加えて、運搬装置は、加工する材料、例えば積層ウェブを製造システムに供給する。或いは又は加えて、運搬装置は、製造システムから材料を放出する、並びに/又は、最終パッチ及び/若しくは中間パッチを更なる加工段階に移す。特に運搬装置は、動力付ロール、搬送ベルト、不連続コンベヤなどの一又は複数を有している。
【0036】
開示された別の発明は、粘着パッチ、特に経皮パッチを製造する方法である。この方法を、上述したような工具セット及び/又は製造装置の特徴の一又は複数を有する工具セット及び/又は製造装置を使用して行うことが好ましい。この方法の1つの工程では、バッキング層と、支持層と、バッキング層及び支持層間に配置された粘着マトリクス層とを有する積層ウェブを投入材料として供給する。別の工程、特に、後続の工程では、製造する粘着パッチの縁部領域を積層ウェブのバッキング層上で押圧する、特にエンボス加工する。言い換えれば、この工程では、製造する粘着パッチの圧縮された輪郭領域又は周囲領域を形成する。押圧工程中、縁部領域の下に配置された粘着マトリクス層の粘着マトリクス材料を縁部領域から押し出す。特に、粘着マトリクス材料の大部分又は全ての粘着マトリクス材料を縁部領域から押し出して、粘着マトリクス材料を残さないか又は著しく少ない粘着マトリクス材料を残す。粘着マトリクス材料を押し出すことに加えて、又は粘着マトリクス材料を押し出す代わりに、押圧工程では、粘着マトリクス層の周りでバッキング層の縁部領域を曲げる及び/又は折り曲げる。このため、粘着マトリクス層の周囲をバッキング層で覆うことが可能である。加えて、この方法は、製造する粘着パッチを切り出す、特に打ち抜く別の工程、特に、後続の工程を有する。切断を、特にバッキング層で、縁部領域内又は縁部領域の外側で、好ましくは縁部領域の外周部で行う。このため、切断工程後、粘着マトリクス材料を全く若しくはほとんど含まない圧縮された縁部領域及び/又は粘着マトリクス層の被覆体を有する残りの粘着パッチを得ることが可能である。加えて、切断後、バッキング層で形成されたトレリスが残存していることが好ましい。
【0037】
押圧工程を切断工程の前に行うことが好ましい。加えて、押圧工程及び切断工程を、製品に必要なものを満たすべく同時的に又は移動工程のためのあらゆる種類の設定で行うことが可能である。押圧工程をまず行って、押圧中に切断を行うことが特に好ましい。この加工は、均一な押圧及び/又はクリーンで効率的な切断を行うときに最適な成果物を可能にする。
【0038】
切断工程後に粘着パッチ中間製品が残存していることが好ましい。前記粘着パッチ中間製品は、最終の粘着パッチの形状に切断されて、押圧された縁部領域を有する粘着積層体を特に備えている。更に、前記粘着パッチ中間製品は、支持層及び任意にトレリスを備えている。
【0039】
好ましい実施形態では、切断工程及び/又は押圧工程をストローク方式で、特にストローク装置によって行う。
【0040】
より具体的には、押圧及び切断を同一の領域で、例えば同一の位置又は場所で、好ましくは同軸に行う。例えば、切断のためのストローク装置及び押圧のためのストローク装置は同軸に移動し、好ましくは切断のためのストローク装置は、押圧のためのストローク装置の周囲で移動する。従って、押圧及び切断を、同一の位置で及び/又は同時的に行うことができる。
【0041】
好ましくは支持層を切断することなく、加工する積層ウェブの支持層に至るまで切断することにより、切断を行うことが好ましい。従って、特にバッキング層及び粘着マトリクス層を有する複数のパッチを1つの支持層上に製造することが可能である。例えば、支持層は搬送手段として使用され得るため、パッチを支持層から分離することが可能である。
【0042】
好ましい追加の、特に後続の工程では、支持層及び/又はトレリスを分離する及び/又は除去する。特に積層体の残り部分から支持層及び/又はトレリスを剥がすことにより、分離を行うことが好ましい。特に支持層を、切り出された形状を有する粘着積層体及びトレリスから分離する。押圧により支持層と接する粘着積層体のバッキング層の領域を、特にバッキング層及び/又は支持層から非破壊的に分離する。前記非破壊的な分離は、特に押圧中に形成される緩い連結部分により可能である。トレリスを、好ましくは支持層から同様に非破壊的に分離する。
【0043】
追加の任意の工程で、切断されて押圧された粘着パッチを解放ライナに、特に解放ライナ上に移す。解放ライナは特に、適用前に粘着パッチから分離可能な、特に剥離可能な解放ライナである。解放ライナへの粘着パッチの移送を、特に支持層の分離中に行うため、粘着パッチが、例えば支持層及び解放ライナが互いに隣り合う別個のロール上で動く領域で支持層から解放ライナに直接移ることが好ましい。
【0044】
好ましい実施形態では、追加の、好ましくは、後続の工程で、成形された粘着積層体及び解放ライナを有する粘着パッチを包装する。特に粘着パッチの両側をパウチ材料で覆うことにより、包装を行う。工程の最終成果物は、特に包装された主粘着パッチを与える。
【0045】
様々な発明に関して上述した特徴は互いに適用される及び/又は組み合わせられることが可能である。加えて、以下の図面の特徴及び対応する説明は、同様に様々な発明に適用される及び/又は個別に若しくは共に組み合わせられることが可能である。
【0046】
本発明を、好ましい実施形態により添付図面を参照して以下に更に詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【
図1】本発明に係る粘着積層体の実施形態を示す概略図である。
【
図2a】本発明に係る粘着パッチを製造する方法を示す概略図である。
【
図2b】本発明に係る粘着パッチを製造する方法を示す概略図である。
【
図2c】本発明に係る粘着パッチを製造する方法を示す概略図である。
【
図3】本発明に係る粘着パッチ中間製品の実施形態を示す概略図である。
【
図4】本発明に係る粘着パッチ製品の実施形態を示す概略図である。
【
図5】本発明に係る粘着パッチ製造システムの実施形態を示す概略図である。
【
図6】本発明に係る粘着パッチ製造装置の実施形態を示す図である。
【
図7】本発明に係る切断工具の実施形態を示す図である。
【
図8】本発明に係るエンボス加工工具の実施形態を示す図である。
【
図9】第1の位置での本発明に係る工具セットの実施形態を示す図である。
【
図10】第2の位置での本発明に係る工具セットの実施形態を示す図である。
【
図11】第3の位置での本発明に係る工具セットの実施形態を示す図である。
【
図13】本発明に係る工具セットの実施形態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0048】
図1は、粘着積層体、特に経皮粘着積層体100 を示す。
【0049】
粘着積層体100 はバッキング層83及び粘着マトリクス層82を有している。粘着マトリクス層82は粘着マトリクス材料89を含んでいる。バッキング層83は、粘着マトリクス層82より大きいサイズ、特により大きい周囲の長さを有し、粘着積層体100 及び/又はバッキング層83の重なり領域102 の縁部領域104 が粘着マトリクス層82と重なる。縁部領域104 は、粘着マトリクス層82、特に粘着マトリクス層82の周囲を覆う曲げ部分106 を有している。
【0050】
重なり領域102 は、圧縮されるか又はエンボス加工された領域88、同意語として押圧された圧力ゾーン88を有している(例えば
図2a~
図2c参照)。従って、圧力ゾーン88は粘着マトリクス材料を含まないか、又は著しく少ない粘着マトリクス材料を含む。
【0051】
図1の粘着積層体100 は最終的な粘着パッチ84の形状を有する。従って、粘着積層体は粘着パッチに相当する。
【0052】
図2a~
図2cは、粘着パッチ108 、特に経皮パッチを製造する方法を概略的に示す。
【0053】
図2aは、粘着パッチを製造するための基本材料としての積層ウェブ80を示す。特に積層ウェブ80は連続しており、図面には断片のみが示されている。支持層81が粘着マトリクス層82に連結されている。特に積層ウェブ80は(参照番号によって特定されていない)ベース面に置かれている。積層ウェブ80は、(実質的に
図1に従った)粘着積層体100 及び支持層81を有している。
【0054】
図2bは、2つの矢印31で表されているエンボス加工工具31を使用した押圧工程を概略的に示す。積層ウェブ80は、縁部領域に圧力ゾーン88を形成するエンボス加工工具31によってエンボス加工される(
図1及び
図12並びに対応する説明を更に参照)。
【0055】
図2cは、2つの矢印51で表されている切断工具51を使用した、押圧工程後の切断工程を概略的に示す。積層ウェブ80は切断工具51によって切断されて、切断ノッチ110 が形成される。単に支持層81に至るまで切断を行って、支持層を傷つけないようにする(
図12及び対応する説明を更に参照)。
【0056】
切断工程後、積層ウェブ80の切取部分84、完全な支持層81、及び、切れ端85', 85'' を含むトレリス85を有する粘着パッチ中間製品108 が残存している。本明細書においてはトレリス85に連結されている支持層81は、トレリスの一部ではなく、中間製品108 の一部である。トレリス85は、バッキング層83及び粘着マトリクス層82の切れ端を単に有しているだけである。
【0057】
粘着パッチ中間製品108 の切取部分84は最終の粘着パッチの形状を有する。従って、切取部分84は特に粘着パッチ84に相当する。
【0058】
図3は、押圧されて切断された粘着積層体100 を有する粘着パッチ中間製品108 を概略的に示す。このように、粘着パッチ中間製品108 は、エンボス加工された縁部領域104 を有して残りの粘着積層体100 、つまりトレリス85から切取線110 によって分離された粘着パッチ84を備えている。トレリス85及び粘着パッチ84は、粘着積層体100 の支持層18(不図示)上に配置されている。
【0059】
図4は、粘着パッチ製品112 の形態の粘着積層体100 を概略的に示す。粘着パッチ製品112 は、
図1の粘着パッチ84に実質的に相当する1つの粘着パッチ84を備えている。粘着パッチ84は解放ライナ86に特に緩く、より具体的には剥離可能に連結されている。特に、連続した支持層81(例えば
図2c参照)とは対照的に、解放ライナ86のサイズは粘着パッチ84のサイズと同様である。粘着マトリクス層82は、解放ライナ86と粘着積層体のバッキング層81との間に配置されている。
【0060】
図4の粘着パッチ製品112 は主包装体114 を更に備えている。しかしながら、粘着パッチ84及び連結された解放ライナ86はそのままで粘着パッチ製品を更に構成しており、このような粘着パッチ製品は参照番号112'で示されている。
【0061】
主包装体114 は、2つの層、つまり最上層116 及び最下層118 を有している。2つの層116, 118は、接合部分120 によって接合、特に密閉されている。主包装体は粘着パッチ84及び連結された解放ライナ86を完全に覆っていることが好ましい。このため、主包装体は好ましくはパウチ114 を形成しており、例えばパウチは、破って開けるパウチである。
【0062】
図5は、粘着パッチ製造システム1 を示す。特に粘着パッチ製造システム1 は、粘着積層体を含む積層ウェブ80を加工するための製造システムである。個々の積層ウェブ80は、搬送装置6 によってロール2 から解かれて搬送方向5 に搬送される。搬送装置6 は非連続コンベヤ6 であり、搬送される材料を把持して、移送ステーション8 の方向に所定量、搬送する。例えばトングのように構成された把持装置7 が解放された後、把持装置は、次の搬送サイクルが開始する開始位置に戻る。
【0063】
例えばロール2 と搬送装置6 との間に、粘着パッチ製造装置10が配置されている。この粘着パッチ製造装置10は、好ましくは切断・エンボス加工装置である。この粘着パッチ製造装置10では、多層構造の積層ウェブ80が、例えば工具ユニット15によって局所的に圧縮され、特定の領域で切断される。
図5に示されている工具ユニット15は工具セット30を有しており、工具セット30はエンボス加工工具31及び切断工具51を有している。
図6~13参照。これらの工具31, 51は、閉じた加工輪郭を平面上に夫々有している。後続の剥離ステーション9 で、作業ストローク中に切断工具51によって囲まれた積層ウェブ80の領域は、積層ウェブ80の支持層81上に最終の粘着パッチ84の形状で粘着積層体100 として残っている一方、残りのトレリス、特に周囲の押し抜いた切れ端85が引き剥がされる。
【0064】
移送ステーション8 では、粘着パッチ84は支持層81から解放ライナ86に移されて、例えば更なる加工・包装ステーションに送られる。
【0065】
図6は製造装置10を示す。製造装置は、例えば台板11に固定されている、例えばプレス12を備えている。プレス12は剛性のプレスフレーム13を有しており、プレスフレーム内に、例えば台板11と平行なベース面にある逆圧プレート14が配置されている。プレスフレーム13には、工具ユニット15も取り付けられている。この工具ユニット15は、逆圧プレート14に垂直な方向に静止位置21(
図9参照)から作業位置22(
図11参照)に及びその逆にプレスフレーム13に対して移動可能である。逆圧プレート14の方向への工具ユニット15の移動方向は、以下では作業ストローク方向23と称される。反対方向、つまり作業位置22から静止位置21への方向は戻りストローク方向24である。
【0066】
プレス12では、例えば工具ユニット15の一又は複数の工具31, 51を有する工具セット30の押圧ストローク、押圧力及び位置を設定することが可能である。このために、プレス12は、例えば3つの、特に手動で設定可能な設定ねじ16を有している。
図6の例示的な実施形態では、工具セット30は再利用可能に構成されている。工具ストローク中、圧縮された縁部領域を有する最終の粘着パッチ84の形状の複数の粘着積層体100 が、この場合に積層ウェブ80に同時的に製造される。しかしながら、工具セット30は更に単回使用に構成され得る。
【0067】
図5,
図6及び
図9~12では、積層ウェブ80は逆圧プレート14上に置かれて、搬送方向5 にプレス12を通過して搬送される。この例示的な実施形態では、工具ユニット15が静止位置21にあるときに積層ウェブ80が搬送される。その後、工具セット30が積層ウェブ80の上に配置される。工具ユニット15全体が、駆動装置により、例えば圧力シリンダ17を用いてプレス12内で作動可能である。このように、この例示的な実施形態では、この圧力シリンダ17は切断工具51及びエンボス加工工具31の両方を作動させる。
【0068】
図7は、押抜工具ユニットの形態の切断工具ユニット50を示す。切断工具ユニットは、キャリアプレート53と、キャリアプレート53に挿入された環状ブレード51の形態の切断工具51とを有している。キャリアプレート53は、例示的な実施形態ではアルミニウム-マグネシウム合金、例えば材料番号3.3547のAlMg4,5Mn から製造されている。キャリアプレートは、矩形状の基部領域及び、例えば8ミリメートルの厚さを有する。キャリアプレート53は、皿穴が開けられた貫通孔54を角部の領域に有している。更に、凹部56が端側55に設けられている。キャリアプレート53の垂直中心縦断面に、円形の断面を有する工具開口部57が設けられている。
【0069】
この工具開口部57には、環状ブレード51が、例えば圧入により嵌合されている。前記環状ブレードは圧延帯鋼から製造されており、例えば66 HRCの硬度を有する。必要に応じて、切断工具51は、ステンレス綱で形成された後壁によって補強されている。突合せ継手58が、環状ブレード51の中心軸芯59と平行に延びている。環状ブレード51は、キャリアプレート53と垂直に一定の高さを周方向に有する。例示的な実施形態では、環状ブレードの厚さは0.5 ミリメートルである。例えば、環状ブレード51は、キャリアプレート53から下方に、つまり作業ストローク方向23に縁側61で高さの3分の1突出している。
【0070】
切断工具51は切断面52を有している。切断面52は特に、例えば内側側面62及び外側側面63(
図12参照)と隣接する周方向の切断刃である。切断刃52は、作業ストローク方向23に垂直な切断平面にある。この平面は、以下では切断平面と称される。刃角度は例えば40度である。この場合、
図7及び
図12では、内側側面62は、作業ストローク方向23と反対の方向である戻りストローク方向24と30度の角度を形成する。従って、内側側面62は円錐台状に形成されている。仮想の円錐状先端部は切断工具51の中心軸芯59上にあり、切断刃52に対して戻りストローク方向24に偏移している。この内側側面62は、以下では第2の作業面62と称される。切断刃52は、環状ブレード51の厚さに対して中心に延びている。以下では第3の作業面63と称される外側側面63は、同様に円錐台状に形成されている。関連する円錐の仮想の円錐状先端部は、切断刃52に対して作業ストローク方向23に偏移している。環状ブレード51の内面64は、例えば公称寸法程度のISO 286 に準拠した公差域K7の範囲内にある。
【0071】
図8はエンボス加工工具31を示す。エンボス加工工具31は、作業ストローク方向23と平行な中心軸芯39に対して回転対称に形成されている。エンボス加工工具31は、押し型のように形成されている。エンボス加工工具31は、エンボス加工板33、及びエンボス加工板に取り付けられた中央のガイドロッド34を有している。例示的な実施形態では、エンボス加工工具31は、オーステナイト鋼、例えば材料番号1.5301のX5CrNi18-10 から製造されている。エンボス加工板33の外径と環状ブレード51の内径との間に隙間ばめが形成されている。隙間は、例えばエンボス加工工具31及び環状ブレード51で構成される対の公称直径の0.4 %と1.2 %との間の範囲内である。対の隙間は、対の公称直径の2%未満である。対の公称直径は、環状ブレード51の公称内径である。
【0072】
エンボス加工板33は、ガイドロッド34から離れる方向を向いた周方向の周縁リップ35を有している。この周縁リップ35は、エンボス加工工具31の側面36と面一である。作業ストローク方向23に、端面37が周縁リップ35と隣接している。この端面37は、エンボス加工工具31の中心軸芯39に垂直に設けられている。この端面は、以下では押圧面、又は同意語として第1の作業面37と称され、作業面平面にある。例示的な実施形態では、周縁リップ35の厚さはエンボス加工板33の直径の2.6 %である。第1の作業面37の平面に垂直な方向のエンボス加工板33の高さは、例えば周縁リップ35の厚さの7倍である。
【0073】
周縁リップ35は受け空間38を囲んでいる。受け空間は、例えば主に平坦な表面41を有している。表面41は第1の作業面37と平行であり、第1の作業面37から戻りストローク方向24に周縁リップ35の厚さの3倍、離隔している。表面41は、銘刻、例えば工具の名称を有し得る。側面36、第1の作業面37、及び受け空間38の境界面には、例えばシリコーンハイブリッドポリマーなどの非付着被覆体が設けられ得る。
【0074】
エンボス加工板33と特に一体に形成されたガイドロッド34は円筒形状を有する。ガイドロッドの直径は、例えばエンボス加工板33の直径の21%である。例示的な実施形態では、ガイドロッド34の長さはエンボス加工板33の直径の55%である。ガイドロッド34は、エンボス加工板33から離れた端部に周方向の環状溝42を有している。エンボス加工工具31の取り付け状態では、ガイドロッド34は、例えばスライドブッシュ44内に案内される。
【0075】
図9~11は、工具セット30の使用方法を示す。これらの図面は断面図を示しており、断面図の断面は搬送方向5 に対して垂直である。この場合、
図9では、工具セット30は第1の静止位置21にある。この静止位置21では、切断工具51及びエンボス加工工具31の両方が積層ウェブ80から間隔を空けて配置される。エンボス加工工具31及び環状ブレード51は、これらの図面では互いに同軸に配置されている。切断工具51の切断刃52の輪郭はエンボス加工工具31の第1の作業面37と適合する。2つの回転対称の工具31, 51の中心軸芯39, 59は共通の直線上にある。作業面平面における第1の作業面37の各内部寸法は、切断刃平面における切断刃52の、第1の作業面と平行な寸法の80%と98%との間の範囲内である。工具31, 51が円形リングの形態で構成されている場合、これらの寸法は直径とすることができる。例えば、前記寸法の互いに対する比が大きくなると、所望の圧縮レベルに達するために第1の作業面37に加えられる力が減少する。第1の作業面37の内部寸法と、第1の切断刃52の、第1の作業面と平行な寸法との比は更に83%と98%との間の範囲内とすることが可能である。例示的な実施形態では、第1の作業面37の内径と切断平面における切断刃52の直径との比は95%である。この比は80%と98%との間の範囲内である。
【0076】
作業ストローク方向23に垂直な面における第1の作業面37の幅は、例えば、第3の作業面63の外径と第2の作業面62の内径との差の少なくとも半分に相当する。第1の作業面37の幅は、例えば少なくとも0.3 ミリメートルであり、多くとも1.25ミリメートルであり、好ましくは0.5 ミリメートルである。例示的な実施形態では、第1の作業面37の幅は切断工具51の厚さに対応している。
【0077】
エンボス加工工具31は、環状溝42に挿入された支持リング43でスライドブッシュ44に支持されている。このスライドブッシュ44は、支持板46のくぼみ45に置かれている。支持板46はキャリアプレート53に支持されており、キャリアプレートと、例えば螺合されている。くぼみ45の、作業ストローク方向23を向いた支持側47とエンボス加工板33との間に、特に4つの皿ばね49を有する皿ばね集合体48の形態の駆動装置が、例えば配置されている。これらの皿ばね49はガイドロッド34に嵌合されてガイドロッド上を案内される。
図9では、皿ばね集合体48に負荷がかけられていない。従って、エンボス加工工具31は支持板46につり下がっている。静止位置21では、エンボス加工工具31は、作業ストローク方向23に環状ブレード51の切断刃52を越えて突出している。
【0078】
積層ウェブ80は、例えば3層から形成された複合材料80である。最も下の層は、厚さが75マイクロメートルと100 マイクロメートルとの間の範囲内の支持層81である。搬送方向5 を横断する幅方向4 の幅は例えば75ミリメートルである。例示的な実施形態では、支持層81はポリエチレンテレフタレート(PET) から構成されている。支持層は、例えば剥離性(dehesive properties)を有する。
【0079】
支持層81に粘着マトリクス層82が粘着している。この粘着マトリクス層82は作用物質を更に含むことができる。粘着マトリクス層82の幅方向4 の幅は、例えば支持層81の幅の3分の2である。支持層81は、支持層の垂直中心縦断面に対して対称に配置された粘着マトリクス層82を越えて両側に突出している。粘着マトリクス層82の厚さは、例えば100 マイクロメートルと500 マイクロメートルとの間の範囲内である。粘着マトリクス層82の破断伸び率は、例えば50%より大きく、例えば50%と100 %との間の範囲内である。弾性率は、例えば1平方ミリメートル当たり30ニュートン未満である。
【0080】
粘着マトリクス層82はバッキング層83によって覆われている。バッキング層83は、支持層81の材料と同一の材料から形成され得る。バッキング層83の厚さは、例えば23マイクロメートルである。バッキング層の引裂強度は、例えば1センチメートル当たり50ニュートンである。引き裂き開始時の長さ関連の力である引裂強度は、1センチメートル当たり100 ニュートンと1センチメートル当たり140 ニュートンとの間の範囲内である。破断伸び率は80%と120 %との間の範囲内である。これらの値は、例えば支持層81の値に対応する。バッキング層83は、少なくとも粘着マトリクス層82から離れる方向を向いた側に剥離性(dehesive properties)を有し得る。
【0081】
積層ウェブ80にエンボス加工された縁部87を形成するために、工具セット30を有する工具ユニット15が作業ストローク方向23に移動する。エンボス加工工具31は、環状ブレード51の切断刃52を越えて作業ストローク方向23に突出し続ける。この作業ストローク中、第1の作業面37は、積層ウェブ80のバッキング層83と接する。
図10参照。この第2の瞬間的な、例えば一時的な中間位置では、皿ばね集合体48は変形しない。環状ブレード51は、引き続き積層ウェブ80から間隔を空けて配置されている。
【0082】
作業ストローク方向23への工具ユニット15の更なる移動中、第1の作業面37はバッキング層81上に残っている。第1の作業面37から伝えられるバッキング層83への押圧力が増加するように、皿ばね集合体48に負荷をかける。バッキング層83は、作業ストローク方向23に局所的に変形し、加工中に粘着マトリクス層82内で粘着マトリクス材料89を動かす。重なり領域102 は、例えば円形リングの形態の圧力ゾーン88を有しており、粘着マトリクス材料89は、周縁リップ35と隣接する内側領域91及び外側領域92の両方に移動する。粘着マトリクス材料は、加圧された縁部から押し出される。
【0083】
工具ユニット15が作業ストローク方向23に更に移動すると、バッキング層83への力は周縁リップ35の領域で増加する。更なる粘着マトリクス材料89が、内側領域91及び外側領域92に移動する。環状ブレード51はエンボス加工工具31に沿って移動する。環状ブレードはバッキング層83と接してバッキング層を切断する。第2の作業面62は、幾何学的構成のため、粘着マトリクス材料89を積層ウェブ80の圧力ゾーン88に移動させる。必要に応じて、粘着マトリクス層82は、この領域で固められ得る。
【0084】
第3の作業面63は、同様に積層ウェブ80に貫通する。この第3の作業面63の幾何学的構成のため、粘着マトリクス材料89は外側領域92にわずかだけ移動する。
【0085】
図11は、最大ストローク偏移位置に相当する第3の作業位置にある工具ユニット15を示す。
図12は、切断刃52の領域におけるこの
図11の詳細を示す。エンボス加工工具31は積層ウェブ80を押圧して圧縮する。積層ウェブ80は、周縁リップ35に内部で隣接する領域内で僅かに膨らんだ。皿ばね集合体48は変形した。キャリアプレート53は、エンボス加工工具31に対して作業ストローク方向23に移動した。ガイドロッド34は支持板46から突出している。支持リング43は、スライドブッシュ44から間隔を空けて配置されている。
【0086】
環状ブレード51は、バッキング層83及び粘着マトリクス層82を切断する。この作業位置22では、切断刃52は、少なくとも支持層81の厚さ分、逆圧プレート14、つまりベース面から間隔を空けて配置される。切断刃52は、この場合、第1の作業面37に対して作業ストローク方向23に偏移している。この偏移量は、バッキング層83の厚さ以上である。作業位置22での切断刃52の位置は、逆圧プレート14に対して経路及び/又は圧力に関して制御され得る。積層ウェブ80は、環状ブレード51から離れた位置で膨らみ得る。
【0087】
工具セット30は、作業位置22から戻りストローク方向24に上昇する。キャリアプレート53の上昇中、環状ブレード51は、積層ウェブ80及び依然として支持されているエンボス加工工具31に対して移動する。皿ばね集合体48は圧力から解放される。
【0088】
キャリアプレート53の更なる上昇中、環状ブレード51は積層ウェブ80のエンベロープ輪郭から完全に離れる。エンボス加工工具31も積層ウェブ80から上昇する。支持層81上には、エンボス加工された縁部87及び押し抜かれた切れ端85と夫々隣接する円盤状の粘着積層体100 、特に粘着パッチ84が残存している。
【0089】
工具セット30は、環状ブレード51及びエンボス加工工具31が作業ストローク方向23及び戻りストローク方向24に個別に移動可能であるように更に構成され得る。2つの工具31, 51の同軸配置を考慮すると、2つの工具31, 51は同時的に又は互いに対して時間的にシフトして作動し得る。プレス12は、このために、例えば2つの個別に制御可能な圧力シリンダを有している。2つの圧力シリンダは、例えばスプリングリセットを有する電磁作動式5/2 方バルブを介して空気圧で制御される。戻りストロークのために、例えば、まず第一にエンボス加工工具31を制御する圧力シリンダを切り替えることが可能である。エンボス加工工具31は積層ウェブ80上で負荷を解放する。その後、上流側で連結された多方バルブを使用して、環状ブレード51が戻りストローク方向24に移動するように他方の圧力シリンダを切り替える。
【0090】
個別に制御可能な圧力シリンダを有するプレス12では、例えば個々の工具31, 51の移動及び積層ウェブ80に対する個々の工具31, 51の圧力の両方を個別に制御することが可能である。作業位置22に達すると、このような制御の場合でも、まず第一に作業面37による積層ウェブ80の加圧を、切断刃52を有する切断工具51が戻りストローク方向24に移動する前に低下させることが可能である。
【0091】
工具セット30をプログレッシブ工具として配置する場合、エンボス加工工具31は環状ブレード51の上流側で連結されている。そのため、例えば積層ウェブ80をエンボス加工ステーションから切断ステーションに搬送方向5 に搬送する。この場合、エンボス加工工具31の外径は、切断刃52の直径より大きくすることが可能である。
【0092】
図13は、組み合わされた工具71を有する工具セット30を示す。この環状の工具71は、切断刃52、及び切断刃と同軸に形成された3つの作業面37, 62, 63を有している。第1の作業面37は、切断刃52によって形成されるシリンダ内に配置されている。この第1の作業面37は平坦な面の形状であり、切断刃52によって画定された平面と平行である。第1の作業面は、この切断平面に対して戻りストローク方向24に偏移している。例えば、第1の作業面37から切断刃52の平面までの距離は、粘着マトリクス層82及びバッキング層83の厚さの合計より短い。作業面平面における第1の作業面37の内径は、この図では、作業面平面と平行な切断平面における切断刃52の直径の95%である。
【0093】
第2の作業面62及び第3の作業面63は、例えば先の例示的な実施形態と関連して記載されているように構成されている。これらの作業面62, 63の交差部分が切断刃52を形成している。
【0094】
この工具セット30の使用は、第1の例示的な実施形態に関連して記載されているように行われる。
【0095】
前述の例示的な実施形態の組み合わせが更に考えられる。
【図 】