(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-20
(45)【発行日】2025-01-06
(54)【発明の名称】自動取引装置、貨幣管理方法、およびプログラム
(51)【国際特許分類】
G07D 11/50 20190101AFI20241223BHJP
G07F 19/00 20060101ALI20241223BHJP
【FI】
G07D11/50
G07F19/00
(21)【出願番号】P 2022049886
(22)【出願日】2022-03-25
【審査請求日】2024-03-06
(73)【特許権者】
【識別番号】000237639
【氏名又は名称】富士通フロンテック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110004185
【氏名又は名称】インフォート弁理士法人
(74)【代理人】
【識別番号】100121083
【氏名又は名称】青木 宏義
(74)【代理人】
【識別番号】100138391
【氏名又は名称】天田 昌行
(74)【代理人】
【識別番号】100074099
【氏名又は名称】大菅 義之
(72)【発明者】
【氏名】高橋 亮一
(72)【発明者】
【氏名】矢島 昌幸
(72)【発明者】
【氏名】八木澤 英樹
【審査官】小島 哲次
(56)【参考文献】
【文献】特開平11-066387(JP,A)
【文献】特開平05-035958(JP,A)
【文献】特開平05-266298(JP,A)
【文献】特開2001-307180(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G07D 9/00-13/00
G07D 1/00- 3/16
G07F 19/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
貨幣を金種別に収納し、入出金を行うスタッカボックスと、
貨幣を収納し、入金のみを行うリジェクトボックスと、
自動取引装置の利用者の体温を測定する体温測定部と、
前記自動取引装置の運用を制御する制御部と、を備える自動取引装置において、
前記制御部は、
前記体温測定部により測定した前記利用者の体温が閾値未満である場合には、入金された貨幣を前記スタッカボックスへ収納するリサイクル運用に設定し、
前記体温測定部により測定した前記利用者の体温が閾値以上である場合には、入金された貨幣を前記リジェクトボックスへ収納するノンリサイクル運用に設定する
ことを特徴とする自動取引装置。
【請求項2】
請求項1に記載の自動取引装置において、
前記自動取引装置の取引画面を殺菌する殺菌部を更に備え、
前記制御部は、
前記体温測定部により測定した前記利用者の体温が閾値以上である場合には、前記自動取引装置による取引の終了後に、前記殺菌部により前記取引画面を殺菌する
ことを特徴とする自動取引装置。
【請求項3】
貨幣を金種別に収納し、入出金を行うスタッカボックスと、貨幣を収納し、入金のみを行うリジェクトボックスと、自動取引装置の利用者の体温を測定する体温測定部と、前記自動取引装置の運用を制御する制御部と、を備える自動取引装置が実行する貨幣管理方法であって、
前記体温測定部により測定した前記利用者の体温が閾値未満である場合には、入金された貨幣を前記スタッカボックスへ収納するリサイクル運用に設定し、
前記体温測定部により測定した前記利用者の体温が閾値以上である場合には、入金された貨幣を前記リジェクトボックスへ収納するノンリサイクル運用に設定する
ことを特徴とする貨幣管理方法。
【請求項4】
貨幣を金種別に収納し、入出金を行うスタッカボックスと、貨幣を収納し、入金のみを行うリジェクトボックスと、自動取引装置の利用者の体温を測定する体温測定部と、前記自動取引装置の運用を制御する制御部と、を備える自動取引装置のコンピュータに、
前記体温測定部により測定した前記利用者の体温が閾値未満である場合には、入金された貨幣を前記スタッカボックスへ収納するリサイクル運用に設定し、
前記体温測定部により測定した前記利用者の体温が閾値以上である場合には、入金された貨幣を前記リジェクトボックスへ収納するノンリサイクル運用に設定する
処理を実行させることを特徴とするプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動取引装置、貨幣管理方法、およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、金融機関などに広く普及して用いられているATM(Automatic Teller Machine)などの自動取引装置は、銀行やクレジットカード会社等、複数の金融機関の現金端末として使用されている。このような自動取引装置は、主に、リサイクル運用と、ノンリサイクル運用と、に基づいて自動取引装置の運用が行われている。リサイクル運用では、払出を行う金庫と、収納を行う金庫とを、共通したスタッカボックスにより一括制御が行われる。また、ノンリサイクル運用では、払出を行う金庫と、収納を行う金庫と、を別にしたスタッカボックスと、リジェクトボックスと、により分別制御が行われている。
【0003】
例えば、貨幣の入出金取引の運用に際して、収納される貨幣をリサイクル式とノンリサイクル式の運用形態に使い分け可能に構成して、現在の入出金取引状態の要請に応じた運用形態に設定する貨幣処理装置の技術が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、ATMの利用者は風邪や新型コロナウイルス等の感染症を患っている場合があり、そのような場合であっても、ATMは、利用者の感染症の疑いを把握することができない。そのため、感染症又は感染症の疑いがある利用者が入金した紙幣や硬貨などの貨幣が、リサイクル運用により入金された場合には、菌やウイルスが付着している貨幣がスタッカボックスに収納された可能性がある。この場合、後からATMを操作する利用者は、菌やウイルスが付着している可能性がある貨幣を払い出ししなければならない場合もあるため、ATMの利用が避けられてしまい、しいては稼働率の低下を招くこととなる。
【0006】
一方で、ノンリサイクル運用のみを行い、リサイクル運用を行わないとすると、ATM内の貨幣が減少し、貨幣の補充を頻繁に行わなければならず運用コストの増大を招くこととなる。
【0007】
本発明は、上述の問題点に鑑みてなされたものであり、感染者の利用による稼働率の低下を防ぐと共に、運用コストの削減を図ることが可能な自動取引装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、貨幣を金種別に収納し、入出金を行うスタッカボックスと、貨幣を収納し、入金のみを行うリジェクトボックスと、自動取引装置の利用者の体温を測定する体温測定部と、前記自動取引装置の運用を制御する制御部と、を備える自動取引装置において、前記制御部は、前記体温測定部により測定した前記利用者の体温が閾値未満である場合には、入金された貨幣を前記スタッカボックスへ収納するリサイクル運用に設定し、前記体温測定部により測定した前記利用者の体温が閾値以上である場合には、入金された貨幣を前記リジェクトボックスへ収納するノンリサイクル運用に設定することを特徴とする。
【0009】
また、本発明は、貨幣を金種別に収納し、入出金を行うスタッカボックスと、貨幣を収納し、入金のみを行うリジェクトボックスと、自動取引装置の利用者の体温を測定する体温測定部と、前記自動取引装置の運用を制御する制御部と、を備える自動取引装置が実行する貨幣管理方法であって、前記体温測定部により測定した前記利用者の体温が閾値未満である場合には、入金された貨幣を前記スタッカボックスへ収納するリサイクル運用に設定し、前記体温測定部により測定した前記利用者の体温が閾値以上である場合には、入金された貨幣を前記リジェクトボックスへ収納するノンリサイクル運用に設定することを特徴とする。
【0010】
また、本発明は、貨幣を金種別に収納し、入出金を行うスタッカボックスと、貨幣を収納し、入金のみを行うリジェクトボックスと、自動取引装置の利用者の体温を測定する体温測定部と、前記自動取引装置の運用を制御する制御部と、を備える自動取引装置のコンピュータに、前記体温測定部により測定した前記利用者の体温が閾値未満である場合には、入金された貨幣を前記スタッカボックスへ収納するリサイクル運用に設定し、前記体温測定部により測定した前記利用者の体温が閾値以上である場合には、入金された貨幣を前記リジェクトボックスへ収納するノンリサイクル運用に設定する処理を実行させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明の一態様によれば、感染者の利用による稼働率の低下を防ぐと共に、運用コストの削減を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本実施の形態における金融システムの構成の一例を示す図である。
【
図2】ATMのハードウェアの構成の一例を示すブロック図である。
【
図3】現金収納部のハードウェアの構成の一例を示すブロック図である。
【
図4】本実施の形態における貨幣管理方法における貨幣管理処理の一例を示すフローチャートである。
【
図5】本実施の形態における貨幣管理方法における貨幣管理処理の一例を示すフローチャートである。
【
図6】表示部に表示される体温表示画面の一例を示す図である。
【
図7】表示部に表示される操作有無選択画面の一例を示す図である。
【
図8】表示部に表示される取引選択画面の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面にしたがって本実施の形態にかかる自動取引装置を含む金融システムについて説明する。
図1は、本実施の形態における金融システム1の構成の一例を示す図である。
【0014】
金融システム1は、例えば、銀行、クレジットカード会社と提携している流通店舗、デパートまたはスーパーマーケットなどで管理される紙幣や硬貨などの現金の入出金を行う自動取引装置に使用される。なお、金融システム1は、ATM等の現金の管理を行う自動取引装置において使用することもできる。以下では、自動取引装置として、ATMの例を説明する。なお、本説明において、現金とは、紙幣、硬貨に限らず、小切手、手形などの有価証券やチケットなどの金銭的価値のある媒体なども含まれる。
【0015】
金融システム1は、ATM2およびn(n≧1)台の複数のホストサーバ3-1~3-nを有する。ATM2と各ホストサーバ3-1~3-nとはネットワークNを介して相互に接続されている。各ホストサーバ3-1~3-nは、ATM2で取引された現金の情報を管理する。各ホストサーバ3-1~3-nを特に区別して説明する必要がない場合には、以下「ホストサーバ3」という。なお、金融システム1は、
図1に示していない他の構成を備えていてもよい。
【0016】
なお、本実施の形態においては、ATM2と銀行のホストサーバ3との間で行われる預入取引およびATM2とクレジットカード会社のホストサーバ3との間で行われる返済取引、入金取引を含めて「預入取引」という。また、本実施の形態においては、ATM2と銀行のホストサーバ3との間で行われる支払取引およびATM2とクレジットカード会社のホストサーバ3との間で行われるキャッシング取引、出金取引を含めて「支払取引」という。
【0017】
ATM2で使用されるカードは、一例として、ATM2の利用者の銀行口座にかかる情報を磁気ストライプやIC(Integrated Circuit)チップなどに記憶する銀行カードである。銀行カードが記憶する記録データには、銀行コードなどの金融機関情報、店番、科目、口座番号などがある。金融機関情報については後述する。
【0018】
図2は、ATM2のハードウェアの構成の一例を示すブロック図である。
図2に示すように、ATM2は、制御部10、記憶部11、通信部12、表示部13、入力部14、殺菌部15、無線通信部16、読取部17、体温測定部18および現金収納部19を有する。また、ATM2は、
図2に示していない他の回路要素を備えていてもよい。
【0019】
制御部10は、CPU(Central Processing Unit)などであり、ATM2の全体の動作を制御する。具体的には、制御部10は、記憶部11に記憶されたプログラムを順次実行することで、
図1のネットワークNを介して接続されるホストサーバ3などの外部機器との通信処理や、預入取引、支払取引、口座の認証、残高照会、決済などの取引処理を行う。
【0020】
記憶部11は、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、HDD(Hard Disk Drive)などを有する。記憶部11は、制御部10が実行するプログラムなどの各種情報を記憶する。また、記憶部11は、制御部10がプログラムを実行する際の作業領域を提供する。
【0021】
通信部12は、制御部10の制御のもと、金融システム1のネットワークNを介した通信を行う。ATM2は、通信部12による通信を行うことで、金融システム1のホストサーバ3-1~3-nとの間でデータの送受信を行う。
【0022】
表示部13は、ATM2の利用者に取引画面や、メッセージなどを表示するLCD(Liquid Crystal Display)などの装置である。入力部14は、ATM2の利用者の操作入力を受け付ける装置である。本実施の形態においては、表示部13と入力部14とは、一体に形成されたタッチパネルにより構成されている。なお、表示部13と入力部14は、別体の装置であってもよい。殺菌部15は、表示部13により表示される取引画面を殺菌する装置である。殺菌部15は、紫外線発生装置、LED発生装置、オゾン発生装置など取引画面を殺菌できる機能を有する装置である。
【0023】
無線通信部16は、制御部10の制御のもと、NFC(Near Field Communication)などの近接無線通信を行う通信インターフェースである。無線通信部16は、例えば、ATM2筐体の入力部14近傍などに設けられており、ATM2の利用者がスマートフォンなどの携帯端末(図示しない)を近づけることにより、携帯端末との間で近接無線通信を行う。
【0024】
読取部17は、銀行カードやクレジットカードの磁気ストライプやICチップの読み取りを行う。体温測定部18は、赤外線センサなどの温度センサであり、ATM2の利用者の体温を測定する。また、体温測定部18は、通信部12を通じて、ATM2の外に配置された温度センサから受信した温度に基づいてATM2の利用者の体温を測定してもよい。
【0025】
現金収納部19は、現金の入出力を行う装置である。現金収納部19は、スタッカボックス20、リジェクトボックス21を有する。
【0026】
スタッカボックス20は、ATM2内の貨幣を入金及び出金(以下、「入出金」とも呼ぶ)可能に収納する。スタッカボックス20は、貨幣を金種ごとに分けて管理する。後述するように、スタッカボックス20は、金種ごとに複数個配置される。スタッカボックス20は、紙幣の金種と、貨幣の金種と、をそれぞれ別々に分けて管理する。
【0027】
リジェクトボックス21は、ATM2内の紙幣を入金のみ可能に収納する。リジェクトボックス21は、複数個配置されてもよい。リジェクトボックス21は、紙幣と貨幣と、をそれぞれ別に分けて管理してもよい。
【0028】
図3は、現金収納部19のハードウェアの構成の一例を示すブロック図である。
図3に示すように、現金収納部19は、スタッカボックス20、リジェクトボックス21、カセットボックス22、鑑別部23、入出金部24を有する。また、現金収納部19は、
図3に示してない他の構成を備えていてもよい。
【0029】
スタッカボックス20は、スタッカボックス20a、スタッカボックス20b、スタッカボックス20cを有する。スタッカボックス20aは、予備の紙幣を格納する。スタッカボックス20bは、一万円券の金種の紙幣を格納する。スタッカボックス20cは、千円券の金種の紙幣を格納する。
【0030】
スタッカボックス20は、体温測定部18により測定されたATM2の利用者の体温が閾値未満である場合には、入金された貨幣を還流して使用するリサイクル運用の際に使用される。閾値として例えば「37.5度」を採用することができる。閾値は、任意の値に設定することができる。リサイクル運用とは、現金収納部19内に収納した貨幣を再び出金の際に払い出す貨幣として用いる運用方法である。リサイクル運用の場合には、スタッカボックス20内に収納した貨幣を再び出金される貨幣として還流される。
【0031】
リジェクトボックス21は、鑑別部23で破損券や不明券と判定された紙幣あるいは多重送り(重送とも呼ばれる)と判断された紙幣を収納するものである。リジェクトボックス21は、リジェクトボックス21a、リジェクトボックス21bを有する。リジェクトボックス21aは、A金融機関との間で取引を行っている際に発生したA金融機関が管理する破損券や不明券の現金を収納する。リジェクトボックス21bは、B金融機関との間で取引を行っている際に発生したB金融機関が管理する破損券や不明券の現金を収納する。入出金部24は、現金の受け付けおよび払い出しを行う。
【0032】
リジェクトボックス21は、体温測定部18により測定されたATM2の利用者の体温が閾値以上である場合には、入金された貨幣を還流して使用しないノンリサイクル運用の際に使用される。ノンリサイクル運用とは、現金収納部19内に収納した貨幣を再び出金の際に払い出さない貨幣として用いる運用方法である。ノンリサイクル運用の場合には、リジェクトボックス21内に収納した貨幣を再び出金される貨幣として還流されない。
【0033】
カセットボックス22は、スタッカボックス20に補充する貨幣を収納する。また、カセットボックス22は、スタッカボックス20の収納容量が溢れる前に、予め退避する目的で使用される。鑑別部23は、入出金部24から入金された貨幣の金種を鑑別する。また、鑑別部23は、破損券の判別を行ってもよい。
【0034】
以下、現金収納部19内で現金移動を行う概略について説明する。例えば、ATM2の利用者の体温が閾値未満である場合であり、リサイクル運用により稼働している場合について説明する。
【0035】
入金時は、入出金部24から挿入された紙幣は、鑑別部23を通過する際に金種が判別される。鑑別部23による鑑別の結果、正常の紙幣は、スタッカボックス20へ収納され、不良の紙幣は、リジェクトボックス21へ収納される。
【0036】
出金時は、スタッカボックス20から繰り出された紙幣は、鑑別部23にて金種が判断される。鑑別部23による鑑別の結果、正常の紙幣は、入出金部24へ搬送され利用者へ受け取りを促し、不良の紙幣は、リジェクトボックス21へ収納される。
【0037】
次に、ATM2の利用者の体温が閾値以上である場合であり、ノンリサイクル運用により稼働している場合について説明する。
【0038】
入金時は、入出金部24から挿入された紙幣は、鑑別部23を通過する際に金種が判別される。鑑別部23による鑑別の結果、正常の紙幣も、不良の紙幣も、ともにリジェクトボックス21へ収納される。
【0039】
出金時は、スタッカボックス20から繰り出された紙幣は、鑑別部23にて金種が判断される。鑑別部23による鑑別の結果、正常の紙幣は、入出金部24へ搬送され利用者へ受け取りを促し、不良の紙幣は、リジェクトボックス21へ収納される。
【0040】
上述の実施形態では、ノンリサイクル運用により稼働している場合に、入金時に入出金部24から挿入された紙幣は、鑑別部23による鑑別の結果、正常の紙幣も、不良の紙幣も、ともにリジェクトボックス21へ収納されているがこの限りではない。例えば、ノンリサイクル運用により稼働している場合に、入金時に入出金部24から挿入された紙幣は、鑑別部23による鑑別の結果、正常の紙幣も、不良の紙幣も、ともにカセットボックス22へ収納してもよい。
【0041】
以上のように、制御部10は、体温測定部18により測定した利用者の体温が閾値未満である場合には、入金された貨幣をスタッカボックス20へ収納するリサイクル運用に設定する。これにより、ATM2内の貨幣を還流することができ、ATM内の貨幣が減少を防ぐことができる。その結果、貨幣の頻繁な補充を抑制することができ、運用コストの抑制を図ることができる。
【0042】
また、制御部10は、体温測定部18により測定した利用者の体温が閾値以上である場合には、入金された貨幣をリジェクトボックス21へ収納するノンリサイクル運用に設定する。これにより、体温が閾値以上あるATMの利用者は風邪や新型コロナウイルス等の感染症を患っている場合がある。このような場合には、感染症又は感染症の疑いがある利用者が入金した紙幣や硬貨などの貨幣が、リサイクル運用をやめてノンリサイクル運用に切り替えることにより、菌やウイルスが付着している可能性がある貨幣の払い出しを未然に防ぐことができる。その結果、ATM2の利用者は、安心して取引を行うことができる。その結果、風邪や新型コロナウイルスが等の感染症が蔓延している環境下においても、ATM2の稼働率を防ぐことができる。
【0043】
更に、制御部10は、体温測定部18により測定したATM2の利用者の体温が閾値以上である場合には、ATM2による取引の終了後に、殺菌部15により取引画面を殺菌する制御を行う。これにより、風邪や新型コロナウイルスが等の感染症が蔓延している環境下においても、利用者は安心して取引画面を操作することができ、その結果、ATM2の稼働率を防ぐことができる。
【0044】
図4、
図5は、本実施の形態における貨幣管理方法における貨幣管理処理の一例を示すフローチャートである。本実施の形態における貨幣管理処理は、
図1~3を用いて説明したATM2が貨幣管理処理プログラムにしたがって実行する。
【0045】
貨幣管理処理プログラムは、
図4、
図5に示した貨幣管理処理のフローのようにして実行される。なお、
図4、
図5に示す貨幣管理処理は、例えば、ATM2に対する取引処理が終了したタイミングで実行される。取引処理とは、例えば、ATM2に対する支払処理、預払処理、振込処理、振替処理、両替処理などが含まれる。
【0046】
図4、
図5に示す貨幣管理処理は、所定回数の取引処理が終了したタイミングで実行してもよいし、取引処理が終了してから所定時間が経過したタイミングで実行してもよいし、ATM2の営業時間が終了したタイミングで実行してもよい。
図4、
図5に示す貨幣管理処理は、連続して実行される。
【0047】
はじめに、制御部10は、ATM2の現金運用をリサイクル運用に設定する(ステップS101)。制御部10は、ATM2の前を通過した利用者を検知したか否かを判定する(ステップS102)。ステップS102の検知は、体温測定部18による赤外線センサにより判定することができる。例えば、赤外線センサにより赤外線を検知した場合には、ATM2の前に利用者が居ると判定することができる。ATM2の前を通過した利用者を検知していない場合(ステップS102:NO)には、処理は待機となる。
【0048】
ATM2の前を通過した利用者を検知した場合(ステップS102:YES)には、制御部10は、体温測定部18により利用者の体温を測定する(ステップS103)。そして、制御部10は、ステップS103で測定した体温を記憶部11へ記憶する(ステップS104)。
【0049】
制御部10は、ステップS103で測定した利用者の体温を表す体温表示画面を表示部13に表示する(ステップS105)。
【0050】
図6は、表示部13に表示される体温表示画面200の一例を示す図である。体温表示画面200には、ATM2の利用者の体温が表示されている。
図6の例では、体温として「37.5度」が表示されている。体温が閾値以上の場合には、制御部10は、体温表示画面200に静養または医療機関での診断を促すメッセージを併せて表示してもよい。
【0051】
制御部10は、ステップS103で測定した利用者の体温が37.5度以上であるか否かを判定する(ステップS106)。本実施形態においては、閾値として37.5度が設定されているが、閾値は任意の温度を設定することができる。例えば、インフルエンザ予防のために用いられる場合には閾値を38.0度に設定してもよい。
【0052】
ステップS103で測定した利用者の体温が37.5度未満である場合(ステップS106:NO)には、処理はステップS110へ進む。ステップS103で測定した利用者の体温が37.5度以上である場合(ステップS106:YES)には、制御部10は、操作有無選択画面300を表示部13に表示する。
【0053】
図7は、表示部13に表示される操作有無選択画面300の一例を示す図である。操作有無選択画面300には、ATM2の取引をこのまま続行するかを確認するメッセージ、確認ボタン、及び取消ボタンが表示される。操作有無選択画面300には、ATM2の利用者の体温を表示してもよい。また、制御部10は、操作有無選択画面300に静養または医療機関での診断を促すメッセージを併せて表示してもよい。
【0054】
制御部10は、入力部14の操作に基づきATM2の取消ボタンの操作が選択された場合(ステップS108:NO)には、取引処理を終了する。この場合、貨幣管理処理は終了となる。
【0055】
制御部10は、入力部14の操作に基づきATM2の確認ボタンの操作が選択された場合(ステップS108:YES)には、ATM2の現金運用をノンリサイクル運用に設定する(ステップS109)。
【0056】
制御部10は、取引選択画面400を表示部13に表示する(ステップS110)。
【0057】
図8は、表示部13に表示される取引選択画面400の一例を示す図である。取引選択画面400には、取引の種別を選択可能な取引ボタンが複数表示される。取引選択画面400には、ATM2の利用者の体温を表示してもよい。また、制御部10は、取引選択画面400に静養または医療機関での診断を促すメッセージを併せて表示してもよい。
【0058】
制御部10は、取引選択画面400に表示されている取引ボタンのうち何れかの取引ボタンの入力を受け付けたか否かを判定する(ステップS111)。取引選択画面400に表示されている取引ボタンのうち何れの取引ボタンの入力も受け付けていない場合(ステップS111:NO)には、処理は待機となる。
【0059】
取引選択画面400に表示されている取引ボタンのうち何れかの取引ボタンの入力を受け付けた場合(ステップS11:YES)には、ホストサーバ3との間で取引電文の送受信を行い、ホストサーバ3との間で取引を行う(ステップS112)。
【0060】
制御部10は、ATM2の現金運用はノンリサイクル運用であるか否かを判定する(ステップS113)。リサイクル運用である場合(ステップS113:NO)には、制御部10は、入出金部24から入金された貨幣をスタッカボックス20へ収納する(ステップS114)。
【0061】
すなわち、体温測定部18により測定した利用者の体温が閾値未満である場合には、入金された貨幣をスタッカボックス20へ収納するリサイクル運用に設定する。これにより、ATM2内の貨幣を還流することができ、ATM内の貨幣が減少を防ぐことができる。その結果、貨幣の頻繁な補充を抑制することができ、運用コストの抑制を図ることができる。その後、制御部10は、クレジットカードなどの媒体を排出し(ステップS115)、処理を終了する。この処理が終了すると貨幣管理処理は終了となる。
【0062】
ノンリサイクル運用である場合(ステップS113:YES)には、制御部10は、入出金部24から入金された貨幣をリジェクトボックス21へ収納する(ステップS116)。
【0063】
すなわち、体温測定部18により測定した利用者の体温が閾値以上である場合には、入金された貨幣をリジェクトボックス21へ収納するノンリサイクル運用に設定する。これにより、体温が閾値以上あるATMの利用者は風邪や新型コロナウイルス等の感染症を患っている場合がある。このような場合には、感染症又は感染症の疑いがある利用者が入金した紙幣や硬貨などの貨幣が、リサイクル運用をやめてノンリサイクル運用に切り替えることにより、菌やウイルスが付着している可能性がある貨幣の払い出しを未然に防ぐことができる。その結果、ATM2の利用者は、安心して取引を行うことができる。その結果、風邪や新型コロナウイルスが等の感染症が蔓延している環境下においても、ATM2の稼働率を防ぐことができる。
【0064】
その後、制御部10は、クレジットカードなどの媒体を排出する(ステップS117)。媒体の排出後、制御部10は、殺菌部15を制御して表示部13の操作画面に対し紫外線を照射して殺菌を行う。すなわち、体温測定部18により測定したATM2の利用者の体温が閾値以上である場合には、ATM2による取引の終了後に、殺菌部15により取引画面を殺菌する制御を行う。これにより、風邪や新型コロナウイルスが等の感染症が蔓延している環境下においても、利用者は安心して取引画面を操作することができ、その結果、ATM2の稼働率を防ぐことができる。この処理が終了すると貨幣管理処理は終了となる。
【0065】
なお、本発明は上述した実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階でのその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化することができる。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成することができる。例えば、実施形態に示される全構成要素を適宜組み合わせても良い。更に、異なる実施形態にわたる構成要素を適宜組み合わせてもよい。このような、発明の趣旨を逸脱しない範囲内において種々の変形や応用が可能である。
【符号の説明】
【0066】
1 :金融システム
3 :ホストサーバ
3-1 :ホストサーバ
10 :制御部
11 :記憶部
12 :通信部
13 :表示部
14 :入力部
15 :殺菌部
16 :無線通信部
17 :読取部
18 :体温測定部
19 :現金収納部
20 :スタッカボックス
20a :スタッカボックス
20b :スタッカボックス
20c :スタッカボックス
21 :リジェクトボックス
21a :リジェクトボックス
21b :リジェクトボックス
22 :カセットボックス
23 :鑑別部
24 :入出金部
200 :体温表示画面
300 :操作有無選択画面
400 :取引選択画面
N :ネットワーク