(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-20
(45)【発行日】2025-01-06
(54)【発明の名称】検査システムおよび方法
(51)【国際特許分類】
G06Q 10/20 20230101AFI20241223BHJP
G05B 23/02 20060101ALI20241223BHJP
B60W 50/04 20060101ALI20241223BHJP
B60W 50/02 20120101ALI20241223BHJP
【FI】
G06Q10/20
G05B23/02 R
B60W50/04
B60W50/02
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022207540
(22)【出願日】2022-12-23
【審査請求日】2023-03-01
(32)【優先日】2022-01-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】519447732
【氏名又は名称】トランスポーテーション アイピー ホールディングス,エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100143823
【氏名又は名称】市川 英彦
(74)【代理人】
【識別番号】100232275
【氏名又は名称】和田 宣喜
(72)【発明者】
【氏名】ナジリ、モハド ファハド.
(72)【発明者】
【氏名】レコード バリー アレン.
(72)【発明者】
【氏名】ハイド、マシュー ジョセフ.
【審査官】中野 修平
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-153291(JP,A)
【文献】特開2018-109951(JP,A)
【文献】特開2018-142256(JP,A)
【文献】特表2015-525956(JP,A)
【文献】特開2012-233336(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
G05B 23/02
B60W 50/04
B60W 50/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つのプロセッサにより実行される方法であって、
動力式システムのコンポーネントのセンサデータを受信するステップと、
前記ステップにおいて受信されたセンサデータに部分的に基づいて予測されるセンサデータを生成するステップと、
前記センサデータと前記予測されるセンサデータとの差を決定するために、前記センサデータを前記予測されるセンサデータと比較するステップと、
前記センサデータと
前記予測されるセンサデータとの間の閾値範囲を外れる差に、少なくとも部分的に基づいて、前記コンポーネントが故障すると予測される
該コンポーネントの予測故障時刻を決定するステップであって、
該予測故障時刻は時間軸上に到来するステップ、と、
前記時間軸上で、現在時刻より後であって前記予測故障時刻より前の空白時間帯開始時刻を決定するステップであって、前記空白時間帯開始時刻と前記予測故障時刻とが、前記時間軸上において前記空白時間帯開始時刻と前記予測故障時刻との間にわたる空白時間帯範囲を定義するステップと、
前記空白時間帯範囲内に到来し、かつ前記時間軸上で前記予測故障時刻より前の予定時刻に、前記動力式システムの修理作業または保守作業の一方または両方を予定するステップと、
を含む、方法。
【請求項2】
前記空白時間帯範囲は、前記予測故障時刻によって決まる上限値と前記空白時間帯開始時刻によって決まる下限値とを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記予測故障時刻と、前記修理作業または前記保守作業の一方または両方の予定時刻とが、所定の長さの時間だけ離れている、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記予測故障時刻は、決定された誤差
の範囲内にある、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記センサデータに基づいて前記コンポーネントの
1つ以上の特性を決定するステップをさらに含み、
前記予測故障時刻は、前記時間軸上の前記空白時間帯開始時刻における前記コンポーネントの前記
1つ以上の特性に基づいている、請求項1記載の方法。
【請求項6】
前記センサデータは、前記動力式システム内を移動する1つ以上の流体に関連する熱センサデータを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記空白時間帯範囲における前記修理作業または前記保守作業の一方または両方の前記予測故障時刻または前記予定時刻のうちの
1つ以上を示すコマンドメッセージを前記動力式システムのオペレータに伝達するステップをさらに
含む、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記コマンドメッセージは、前記予測故障時刻と前記予定時刻との間の時間の長さに基づく警告メッセージの優先順位を含む、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記コマンドメッセージは、前記予測故障時刻と前記時間軸上の前記予定時刻との間の時間の長さが決定された時間範囲より小さいと決定することに対応して高い優先度を示し、前記コマンドメッセージは、前記予測故障時刻と前記時間軸上の前記予定時刻との間の時間の長さが決定された時間範囲より大きいと決定することに対応して低い優先度を示す、請求項7に記載の方法。
【請求項10】
前記動力式システムの
1つ以上の動作条件、前記動力式システムの環境条件、または前記動力式システムの
1つ以上の動作要件のうちの
1つ以上に基づいて、前記予定時刻に前記コンポーネントの前記修理作業または前記保守作業の一方または両方を予定するステップをさらに
含む、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記修理作業または前記保守作業の一方または両方の完了を示すコマンドメッセージを伝達するステッ
プを、さらに
含む、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
前記センサデータに、少なくとも部分的に、基づいて、前記動力式システムのコンポーネントの劣化度合または劣化速度の少なくとも一方を決定するステップと、
前記コンポーネントの前記劣化度合または前記劣化速度の少なくとも一方と、前記動力式システムの前記予測故障時刻とに基づいて、前記動力式システムの前記修理作業または前記保守作業の一方または両方を、前記予定時刻に予定するステップと
、
を、さらに
含む、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
前記予測故障時刻は、前記動力式システムの第1コンポーネントの第1の予測故障時刻であり、
当該方法は、前記動力式システムの第2コンポーネントの第2の予測故障時刻を決定するステップをさらに
含み、
前記第1および第2の予測故障時刻は、前記時間軸上において異なる時刻に到来する、請求項1に記載の方法。
【請求項14】
前記時間軸上において、前記第1の予測故障時刻が前記第2の予測故障時刻よりも先に到来することを決定するステップと、
前記第2
の予測故障時刻が前記時間軸上において修理時間帯内に到来することを決定するステップと、
前記第1の予測故障時刻および前記第2の予測故障時刻が前記修理時間帯内に到来したと決定することに対して、前記第1
コンポーネントの前記修理作業または前記保守作業の一方または両方と、前記第2
コンポーネントの前記修理作業または前記保守作業の一方または両方とを、前記時間軸上の前記第1の予測故障時刻よりも前の前記予定時刻に予定するステップと
、を
含む、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記時間軸上において、前記第1の予測故障時刻が前記第2の予測故障時刻よりも前に出現していることを決定するステップと、
前記第2の予測故障時刻が前記時間軸上において修理時間帯の外側に出現することを決定するステップと、
前記第1
コンポーネントの前記修理作業または前記保守作業の一方または両方を、前記第1の予測故障時刻より前の前記予定時刻に予定するステップであって、前記第2
コンポーネントの前記修理作業または前記保守作業の一方または両方は、前記第2の予測故障時刻が前記時間軸上にある前記修理時間の範囲外であると決定することに応答して、前記予定時刻に予定しない、ステップと
、を
含む、請求項13に記載の方法。
【請求項16】
動力式システムのコンポーネントのセンサデータを受信するように構成された
1つ以上のプロセッサを含むコントローラを
具備する検査システムであって、
前記
1つ以上のプロセッサは、前記コントローラによって受信された前記センサデータに部分的に基づいて予測されるセンサデータと前記センサデータとの間の差を決定するために、前記センサデータを前記予測されるセンサデータと比較するように構成され、
前記
1つ以上のプロセッサは、前記コンポーネントが故障すると予測される
該コンポーネントの予測故障時刻を決定するように構成され、前記コンポーネントの予測故障時刻において、前記コンポーネントは、前記センサデータと前記予測されるセンサデータとの間の閾値範囲を外れる差に、少なくとも部分的に基づいて、前記コンポーネントが故障すると予測し、前記予測故障時刻は、時間軸上に出現し、
前記コントローラは、現在時刻より後であるが前記予測故障時刻より前である前記時間軸上の空白時間帯開始時刻を決定するように構成され、前記空白時間帯開始時刻および前記予測故障時刻は、前記時間軸上の前記空白時間帯開始時刻と前記予測故障時刻との間にわたる空白時間帯範囲を定義するように構成され、
前記コントローラは、前記空白時間帯範囲内に出現し、かつ前記時間軸上の前記予測故障時刻より前の予定時刻に、前記動力式システムの修理作業または保守作業の
1つ以上を予定するように構成され、
前記コントローラは、前記修理作業または前記保守作業の一方または両方の完了を示すコマンドメッセージ
を通信するために通信システムを制御するように構成されて
いる、検査システム。
【請求項17】
少なくとも1つのプロセッサにより実行される方法であって、
動力式システムのセンサデータを
該動力式システムの予測されるセンサデータと比較
して、該センサデータと該予測されるセンサデータとの差を決定するステップであって、
該予測されるセンサデータが
該センサデータに部分的に基づいている、ステップと、
動力式システムが故障すると予測される時間軸上の予測故障時刻を、前記動力式システムの
前記センサデータ
と該動力式システムの前記予測されるセンサデータとの間の閾値範囲を外れる差に少なくとも部分的に基づいて決定するステップであって、前記センサデータは、前記時間軸の空白時間帯開始時刻に取得され、前記予測故障時刻は、前記空白時間帯開始時刻
の後に出現し、前記予測故障時刻と前記空白時間帯開始時刻は、前記時間軸の空白時間帯範囲を定義するステップと、
前記空白時間帯範囲内の前記時間軸上の時刻で、かつ前記時間軸上の前記予測故障
時刻の前の予定された修理時刻に、前記動力式システムの修理作業または保守作業のうちの
1つ以上を予定するステップであって、前記予定された修理時刻は、前記動力式システムの
1つ以上の動作条件、前記動力式システムの環境条件、または前記動力式システムの
1つ以上の動作要件のうちの
1つ以上に基づく、ステップと、を
含む、方法。
【請求項18】
前記予測故障時刻は、前記動力式システムの第1のコンポーネントの第1の
予測故障時刻であり、
当該方法が、前記動力式システムの第2のコンポーネントの第2の予測故障時刻を決定するステップをさらに
含み、
前記第1および第2の予測故障時刻は、前記時間軸上の異なる時刻に出現する、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記時間軸上において、前記第1の予測故障時刻が前記第2の予測故障時刻よりも前に出現することを決定するステップと、
前記第1のコンポーネントおよび前記第2のコンポーネントの両方について、前記時間軸上の前記第1の予測故障時刻よりも前の修理予定時刻に、前記修理作業または前記保守作業の
1つ以上を予定するステップと
、
を、さらに
含む請求項18に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書に記載された主題は、検査システムおよび方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
検査システムは、他のシステムの状態を判断するために使用することができる。これらの状態は、他のシステムに接続されたセンサデータに基づいて判断することができる。本検査システムは、他のシステムのセンサデータを監視して、他のシステムが保守および/または修理を必要とする時期を判定することができる。例えば、検査システムは、瞬時にエンジンパラメータを監視することで、エンジンパラメータが閾値条件に違反していることをセンサデータが示しているかどうかを判断することができる。検査システムが、エンジンパラメータが閾値条件に違反していると判断した場合、検査システムは、エンジンシステムを修復するための修理または保守作業をトリガすることができる。例えば、検査システムは、パラメータがエンジンシステムの故障を示すことを特定した場合、エンジンシステムに保守または修理が必要であると判定することができる。
【0003】
そのため、既存のシステムや方法とは異なり、他のシステムが故障するかどうかを事前に通知し、故障する場合には故障が発生すると予想される将来の暫定的な時点を通知する検査システムや方法が必要となる場合がある。
【発明の概要】
【0004】
一実施形態または様相によれば、方法は、動力式システムのコンポーネントのセンサデータを受信するステップと、センサデータに少なくとも部分的に基づいて、コンポーネントが故障することが予測されるコンポーネントの予測故障時刻を決定するステップとを含むことができる。時間軸上に出現する予測故障時刻。また、現在時刻より後であって、故障が予測される時刻より前に、時間軸上に、空白時間帯開始時刻を決定することができる。空白時間帯開始時刻と予測故障時刻は、時間軸上において空白時間帯開始時刻と予測故障時刻の間にわたる空白時間帯範囲を定義することができる。動力式システムの修理作業または保守作業の一方または両方は、空白時間帯範囲内に到来する予定時刻で、かつ時間軸上の予測故障時刻より前の時刻に計画することができる。
【0005】
一実施形態または様相によれば、検査システムは、動力式システムのコンポーネントに対するセンサデータを受信し得る一つ以上のプロセッサを含むコントローラを備えることができる。プロセッサは、センサデータに少なくとも部分的に基づいて、コンポーネントが故障すると予測されるコンポーネントの予測故障時刻を決定することができる。予測故障時刻は時間軸上に出現する可能性がある。コントローラは、現在時刻より後であって、予測故障時刻より前の時間軸上における空白時間帯開始時刻を決定することができる。空白時間帯開始時刻と予測故障時刻とによって、空白時間帯開始時刻と予測故障時刻の間にわたる空白時間帯範囲を定義することができる。コントローラは、空白時間帯範囲内に到来し、かつ時間軸上予測故障時刻よりも前の予定時刻に、動力式システムの修理作業または保守作業のうちの一つ以上を計画することができる。
【0006】
一実施形態または様相によれば、方法は、動力式システムのセンサデータに少なくとも部分的に基づいて、動力式システムが故障すると予測される時間軸上故障時刻を決定するステップを備えることができる。センサデータは、時間軸の空白時間帯開始時刻に取得することができる。予測故障時刻は空白時間帯開始時刻より後に出現する場合がある。予測故障時刻と空白時間帯開始時刻とで、時間軸上の空白時間帯範囲を定義する。動力式システムの修理作業または保守作業の一つ以上は、空白時間帯範囲内の時間軸上の時刻を、予定された修理時刻としてもよい。予定された修理時刻は、動力式システムの一つ以上の動作条件、動力式システムの環境条件、または動力式システムの一つ以上の動作要件のうちの一つ以上に基づくことができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
本発明の主題は、添付の図面を参照して、非限定的な実施形態の以下の説明を読むことによって理解され得る。
【0008】
【
図1】
図1は、一実施形態による検査システムの一例を示す。
【
図2】
図2は、
図1に示す検査システムの制御系の一例の概略を示す図である。
【
図3】
図3は、一実施形態による動力式システムの修理作業または保守作業スケジュールを決定する方法の一例のフローチャートである。
【
図4】
図4は、一実施形態による動力式システムの修理作業または保守作業の予定を立てる時間軸の一例を示す図である。
【
図5】
図5は、動力式システムの予測故障時刻を決定するためのグラフである。
【
図6】
図6は、一実施形態による動力式システムの修理作業または保守作業の予定を立てるための時間軸の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本明細書に記載の主題の実施形態は、検査システムおよび動作方法に関する。検査システムは、動力式システムと、動力式システムの状態を監視または検査するように構成された制御システムとを備えることができる。一実施形態では、制御システムは、動力式システムに結合された、または動力式システムに近接して配置された一つ以上のセンサからセンサデータを受信することができる。センサデータは、動力式システム、動力式システムの一つ以上の種々のコンポーネント、動力式システムが使用状態にある環境、動力式システムの動作条件などに関連付けることができる。
【0010】
検査システムは、センサデータに少なくとも部分的に基づいて、動力式システムの一つ以上のコンポーネントの予測故障時刻を決定することができる。予測故障時刻は、時間軸上で、コンポーネントが故障する、修理作業が必要になる、または保守作業が必要になるなどと予測される時刻であってもよい。予測故障時刻を、時間軸上の空白時間帯開始時刻に決定してもよい。空白時間帯開始時刻と予測故障時刻とによって、空白時間帯開始時刻と予測故障時刻の間にわたる空白時間帯範囲を定義することができる。空白時間帯範囲は、約30日、約60日、約120日、約240日などの長さに及ぶことができる。例えば、制御システムは、動力式システムの故障が予測される約240日前に、その予測を決定することができる。
【0011】
検査システムは、空白時間帯範囲内の予定時刻に、動力式システムの修理作業および/または保守作業を計画することができる。例えば、修理作業および/または保守作業の予定時刻(例えば、予定修理時刻)は、予測故障時刻の前、空白時間帯開始時刻の後、時間軸上に出現させてもよい。例えば、制御システムは、決定された動力式システムの予測故障時刻に基づいて、予測故障時刻よりも先の時刻に、動力式システムの修理作業および/または保守作業を計画することができる。一つ以上の実施形態において、検査システムは、動力式システムの複数の異なるコンポーネントについて、複数の異なる予測故障時刻を決定してもよい。検査システムの制御システムは、最も早い予測故障時刻に基づいて、予定時刻に、複数の異なるコンポーネントのうちの一つ以上の修理作業および/または保守作業を予定することができる。
【0012】
一実施形態では、動力式システムは、車両システムの流体システム、熱システム、機械システム、電気システム、推進システムなど、車両システムのシステムであってよい。車両システムは、鉄道車両、自動車、トラック(トレーラー付きまたはトレーラーなし)、バス、船舶、航空機、採掘車、農業用車両、または他のオフハイウェイ車両であってもよい。必要に応じて、動力式システムは、据え置き型または他の非車両型システムの装置であってもよい。例えば、動力式システムは、産業用途で使用される機械式システムなど、高温の流体が冷たい流れを使用して冷却される、据え置き型の機械式システムであってもよい。本明細書に記載される車両システム(鉄道車両システムまたはレールもしくは軌道上を走行しない他の車両システム)は、単一の車両または複数の車両から形成され得る。そして、必要に応じて、動力式システムは二つ以上の複数車両の間を延在し得る。多車両システムに関して、車両は、互いに機械的に結合される(例えば、カプラによって)か、または機械的ではないが、論理的に結合され得る。例えば、車両が車列として一緒に走行するように、個々の車両が、互いに通信して、車両の移動を互いに調整するとき、車両は、機械的ではないが、論理的に結合され得る。車両群は、コンボイ、コンシス、スウォーム、フリート、プラトーン、トレインなどと呼ばれることがある。
【0013】
図1は、一実施形態による検査システム100の一例を示す。検査システムは、動力式システム104と、動力式システムと通信可能に結合され得る制御システム102とを備える。例えば、制御システムは、動力式システムの電源をオンおよび/またはオフにするための電源設定の変更、動力式システムの性能を変更し得る動力式システムのサブシステムの設定の変更など、動力式システムの一つ以上の動作を遠隔制御することができる。一実施形態では、動力式システムは、車両システムの動力式システム、非車両および/または静止機械システムの動力式システム、発電システム(移動式または据え置き式)の動力式システムなどであることができる。一例として、動力式システムは、排気ガス再循環(EGR)システム、燃焼制御システム、排出ガス発生制御システムなどであってもよい。別の例として、動力式システムは、熱管理システム、流体管理システムなどであってもよい。
【0014】
動力式システムは、一つ以上のコンポーネント110、112、および/または一つ以上のサブシステム114、116を備えることができる。一つ以上のサブシステムが、サブシステムコンポーネントを含んでもよい。コンポーネントおよび/またはサブシステムは、流体コンポーネントまたは流体システム、熱コンポーネントまたは熱システム、機械コンポーネントまたは機械システム、発電コンポーネントまたは発電システムなどであってもよい。例えば、コンポーネントおよびサブシステム、および/またはサブシステムのコンポーネントは、エンジン、モータ、オルタネータ、発電機、バルブ、導管、マニホールド、圧縮機、膨張機、ファン、ブロワー、ポンプ、熱交換器、クーラー、ラジエータ、電気部品などであってもよい。必要に応じて、コンポーネントまたはサブシステムは、静的コンポーネントおよび/または動的コンポーネントである、および/またはこれらを含むことができる。一つ以上の実施形態では、コンポーネントおよび/またはサブシステムのうちの1つまたは複数は、電気制御コンポーネント、手動制御コンポーネントなどである、および/またはそれらを含むことができる。
【0015】
一つ以上の実施形態において、動力式システムは、動力式システムの本体内に配置(例えば、動力式システムのハウジング内に、動力式システムのハウジングと結合して、ハウジングに近接しているがハウジングの外側に配置されている、など)されたコントローラ108を備えることができる。コントローラは、動力式システムの一つ以上の動作を実行するために、一つ以上のプロセッサ、マイクロコントローラ、または他の論理ベースのデバイスおよび/または関連するソフトウェアもしくは命令を含むことができる制御モジュールを表し得る。
【0016】
一つ以上の実施形態において、動力式システムは、メモリ120または他のデータ記憶装置を含んでもよい。メモリは、運転条件、運転設定、動力式システムの年数および/または構成要素および/またはサブシステムの年数、異なるコンポーネントおよびサブシステムの各々のタイプまたはモデル、動力式システムまたはコンポーネントおよび/またはサブシステムの一つ以上に対して行われた過去の保守および/または修理など、動力式システムに関連するデータを記憶または格納することができるが、これらに限定されるものではない。一つ以上の実施形態において、動力式システムは、通信システム118を含むことができる。通信システムは、送受信回路、一つ以上のアンテナ、モデムなどを表し、有線または無線通信の一方または両方のために設定することができる。通信システムは、動力式システムのコンポーネントおよび/またはサブシステムと通信してもよく、コントローラと、制御システムと、クラウドストレージデバイスまたはシステムと、動力システムから分離された他のコントローラなどと、通信してもよい。必要に応じて、動力式システムを、コントローラ、メモリ、および通信システムのすべてあるいは一つ以上を欠いたものとしてもよい。例えば、動力式システムは、車両の機械式システム(例えば、推進システム、ブレーキシステムなど)であってもよく、車両のコントローラ、メモリ、および/または通信システムと動作可能に結合されてもよく、この場合、コントローラ、メモリ、および通信システムは、車両システムの他のシステムによって使用されてもよい(例えば、機械式システムにのみ専用されているわけではない)。
【0017】
一つ以上の実施形態において、検査システムは、動力式システム内に配置されたり、動力式システムに近接したり、動力式システムに結合されたりするなどの、一つ以上のセンサ106を含むことができる。センサは、動力式システム、動力式システムの一つ以上のコンポーネントまたはサブシステム、動力式システムが配置される環境に関連する環境条件などに関連するセンサデータを検出し、取得することができる。一つ以上の実施形態において、センサの一つ以上は、一つ以上のコンポーネント、サブシステム、動力式システム内を移動するまたは配置される、流体の熱特性などを検出または感知する熱センサであってもよい。必要に応じて、センサの一つ以上を、コンポーネントおよび/またはサブシステムの静止画像および/または動画像データを取り込むことができるカメラのような光学センサとすることができる。必要に応じて、センサの一つ以上を、動力式システム内を移動しまたは配置される、流体の圧力を検出し得る圧力センサとすることができる。必要に応じて、センサの一つ以上を、動的コンポーネントおよび/またはサブシステム、操作システム内で動く流体(例えば、ガス、液体、ガスと液体の混合物)、動力式システム内で動く固体(例えば、破片、粒子など)の動き、速度などを検出し得る加速度計または他の速度検出センサとすることができる。必要に応じて、一つ以上のセンサを、近接センサ、IRセンサ、超音波センサ、電流センサ、電磁波センサなどとすることができる。
【0018】
図2は、
図1に示す制御システムの一例の概略構成を示す図である。制御システムは、コントローラ202を含み得、コントローラ202は、本明細書に記載される一つ以上の動作を実行するための一つ以上のプロセッサ、マイクロコントローラ、または他の論理ベースのデバイスおよび/または関連するソフトウェアもしくは命令を表し、かつ/または含むことができる。
【0019】
制御システムは、入力装置204、例えば、タッチスクリーン、ジョイスティック、キーボード、スイッチ、ホイール、マイクなど、操作者からの入力を受け付ける装置からの指示信号を受信して、入力装置における操作者からの手動入力に基づいて手動で操作することが可能である。出力装置206は、センサから受信したセンサデータ(例えば、動力式システムに関連するセンサデータ、動力式システムが動作している環境に関連するセンサデータなど)、動力式システムに関連する情報(例えば、動作条件および/または設定、コンポーネントおよび/またはサブシステムのタイプおよび/または区分、動力式システムの使用年数および/または稼働量、コンポーネントおよび/またはサブシステムの健全性など)、または同様の情報を操作者に対して提供し得る。制御システムは、メモリ208または他のデータ記憶装置を含むことができる。一実施形態では、メモリは、センサデータおよび動力式システムに関連する他の情報、他の動力式システムに関連する情報などを記憶または格納してもよい。必要に応じて、制御システムを、動力式システムに関連するデータ、他の動力式システムに関連するデータなどを記憶および/または格納し得る他の記憶データベース(例えば、他のシステムの他のメモリデバイス、データ記憶クラウドシステムなど)と通信可能に接続することができる。
【0020】
制御システムは、有線通信および無線通信の一方または両方のために設定され得る通信システム210を含んでもよい。例えば、通信システムは、送受信回路、一つ以上のアンテナ、モデム、通信ケーブルなどを包括的に示している。通信システムは、動力式システムなどの通信システムと通信(例えば、データ信号の受信および/または提供)してもよい。一実施形態では、通信システムは、一つ以上の通信方式で動力式システムおよび/または他のシステムと双方向通信を行うことができる。好適な通信形態は、セルラネットワーク(例えば、グローバルシステムモバイルコミュニケーションズ(GSM))、イーサネット規格を使用するメッシュネットワーク、ワイヤレス通信プロトコル(例えば、Bluetooth)、無線通信タイプおよび短波通信タイプなどを含むことができるが、これらに限定されない。一つ以上の実施形態では、二つ以上の通信タイプが存在する場合、通信システムは、データストリームを部分的に、または、すべてをあるタイプから別のタイプに変換し得る。同様に、異なるデータプロトコルが使用され得る。そのような変換は、通信システムがデータ伝送のための転送ポイントとして機能することを可能にし得る。変換により、異なるタイプの機器の使用が可能になり得る(例えば、第1の車両システムおよび第2の車両システムは各々、通信システムを介して互いに通信するために互いに異なる通信タイプを使用し得る)。通信システムは、信号の委譲またはある通信路の障害に応答して、タイプ、プロトコル、および/または通信路を切り替え得る。これは、通信システムによる通信の冗長性を提供し得る。一実施形態では、通信システムは、情報を復号、逆コンパイル、または分解し、情報を解析し、メッセージのすべてまたは一部を(例えば、単独で、または新しいデータと組み合わせて、または暗号化と組み合わせて、またはその両方で)次々に送信し得る。通信システムは、本明細書に記載の他の通信デバイスまたは通信システムと同じまたは類似であってもよい。
【0021】
一つ以上の実施形態において、制御システムは、ポジティブビークルコントロール(PVC)システムのようなバックオフィスサーバまたはディスパッチセンターの機能を発揮することができる。PVCシステムは、車両が、指定された基準を満たす1つ以上の信号(例えば、車両システムのオフボードから受信)の受信または継続受信にのみ応答して、(例えば、指定された、罰則が課される速度制限を超えて)動くことが許される制御システムであり、信号は、指定された特性(例えば、指定波形および/または内容)を有し、および/または指定時間(または他の指定時間基準に従って)および/または指定条件下に受信される。これは、信号(移動の制限)を受けない限り、車両システムの移動を許可する「消極的」な車両制御システムとは対照的である。バックオフィスサーバは、格納、収容、維持、通信されるデータなどが、重要な(例えば、保護された)データおよび/または重要でない(例えば、非保護)データであるように、重要なシステムであってもよいし、重要でないシステムであってもよい。これとは別に、車外制御システムは、本明細書で説明する車両および/または非車両システムと通信する他のコンピュータ化されたシステムを表す。
【0022】
図3は、一実施形態による動力式システムの修理または保守スケジュールを決定する方法のフローチャート300の一例を示す。
図3のフローチャートに示されているステップの一つ以上を省略したり、別の順序で完了したりすることができる。必要に応じて、本方法は、動力式システムの修理および/または保守スケジュールを決定するために、追加的および/または代替的なステップを含むことができる。さらに、
図4は、一実施形態による動力式システムの修理作業または保守作業のスケジューリングの時間軸400の一例を示す図である。ここでは、
図3および
図4を併せて説明する。
【0023】
ステップ302において、動力式システムに結合された、または動力式システムに近接して配置された一つ以上のセンサによって取得されたセンサデータは、制御システム、動力式システムのコントローラなどで受信することができる。センサデータは、動力式システムの通信システムを介して制御システムと通信されてもよいし、必要に応じて、センサが直接制御システムとセンサデータを通信してもよい。センサデータは、予定された時間間隔(例えば、30秒ごと、60秒ごと、60分ごと、24時間ごと、7日ごと、など)で受信することができる。必要に応じて、センサデータは、検知されたデータが閾値を超えること、閾値範囲から外れること、検知されたデータが閾値割合(例えば、所定の時間帯の範囲内)だけ変化することなどに応答して受信することができる。必要に応じて、センサデータは、制御システムからの検知データに対する要求に応答する形で受信され得る。
【0024】
一つ以上の実施形態において、センサ(例えば、
図1に示す)は、動力式システムに関連するデータを検出するか、さもなければ検知することができる。センサデータは、動力式システムの一つ以上のコンポーネント、動力式システムの一つ以上のサブシステム、サブシステムの一つ以上のコンポーネント、または同様のものに関連させてもよい。
【0025】
ステップ304で、制御システムは、少なくとも部分的にセンサデータに基づいて、動力式システムが故障すると予想される、一つ以上のコンポーネントおよび/または一つ以上のサブシステムの予想故障時刻408(
図4に示す)を決定することができる。さらに、ステップ306で、空白時間帯開始時刻404(
図4に示す)を決定することができる。空白時間帯開始時刻は、時系列上、現在時刻より後であって故障予測時刻より前の時刻であってもよい。必要に応じて、空白時間帯開始時刻は、現在時刻とほぼ同じ時刻としてもよい。
【0026】
一つ以上の実施形態において、予測故障時刻は、動力式システムのコンポーネントおよび/またはサブシステムに関連する履歴データに基づいて、操作システムのコンポーネントのタイプ、モダリティ、分類などに基づいて、動力式システムの履歴使用データ(例えば、システムが操作された時間の長さ)、動力式システムが使用状態にあるおよび/または操作されている環境条件、などに基づいて決定することができる。
【0027】
一つ以上の実施形態において、予測故障時刻は、制御システムが一つ以上の数式に従って(例えば、動力システムの追加の特性または情報を用いて)センサデータを調べることおよび/または操作することによって決定されてもよい。一つ以上の実施形態では、動力式システムは、システム内に配置された、またはシステムに結合された排気ガス再循環(EGR)システムなどの熱式システムであってもよい。センサの一つ以上は、EGRシステム内を移動する流体の熱特性を検出するために使用され得る熱センサとすることができる。例えば、センサから制御システムに通信されるセンサデータは、EGRシステム内を移動する一つ以上の流体に関連する熱センサデータとすることができる。式1は、制御システムが受信した熱センサデータに基づいて、EGRシステムの効率を算出する方法の一例とすることができる。
【0028】
【数1】
効率(η)は、EGRシステムが使用された後、または数日間稼働した後に計算することができる。例えば、時間軸上、現在時刻402より後であって、予測故障時刻より前に、空白時間帯開始時刻がある。空白時間帯開始時刻は、現在時刻から約24時間後の時刻であってもよく、現在時刻から約30日後の時刻であってもよく、現在時刻から約60日後の時刻であってもよく、現在時刻から約120日後の時刻であってもよい、などである。例えば、センサデータがEGRシステムの有効性を判断するために使用され得る前に、動力式システムの使用を開始し、一定時間の作動を可能にするために、空白時間帯開始時刻は現在時刻より後の所定の時刻であってよい。
【0029】
動力式システムが、時間軸上、空白時間帯開始時刻に達したことに応答して、動力式システムの予測故障時刻を、数式2に示される数学的モデルに基づいて計算することができる。
【0030】
【数2】
例えば、制御システムは、空白時間帯開始時刻にまたは空白時間帯開始時点に作動する動力式システムに応答して、動力式システムのセンサデータを受信してもよい。式2において、η値はEGR効率を表し、x値はEGRシステムの使用年数(例えば、空白時間帯の開始時刻におけるEGRシステムの使用年数)を表し、c値は定数を表すことができる。
【0031】
一例として、EGRシステムの60日間の使用期間経過時(例えば、空白時間帯開始時刻)におけるEGRシステムの有効性(例えば、式2のη値)の決定に応答して、一定のc値が算出されてもよい。例えば、数式3は、数式2の定数であるc値を決定するための一例を示すものである。
【0032】
【数3】
EGRシステムを使用し始めてから60日経過時(例えば、空白時間帯開始時刻)においてEGRシステムに対する式3の一定のc値を決定することに応答して、EGRシステムの有効性を、EGRシステムの将来の任意の使用期間(例えば、約120日使用時、約180日使用時、約240日使用時、約300日使用時など)について(例えば、数式2に基づいて)計算することができる。例えば、空白時間帯開始時刻における部品の特性は、制御システムによって受信されたセンサデータに基づいて決定されてもよいし、空白時間帯開始時刻における部品の特性は、動力式システムの予測故障時刻を決定するために使用されてもよい。
【0033】
図5は、計算されたEGR効率データ(例えば、予測または予想されるEGR効率)をEGRシステムの実際のEGR効率データと比較するグラフ500の一例を示す図である。グラフは、時間を示す横軸502と、EGR効率を示す縦軸504とを含む。グラフは、EGRシステムの実際のEGR効率データに対応するデータの第1の分布506を含む。例えば、データの第1の分布は、EGRシステムの以前の動作セッションの間のセンサデータに基づいて決定してもよい。
【0034】
さらに、グラフは、EGRシステムの計算された予測または予想される有効性データに対応するデータの第2の分布508を含む。例えば、予測または予想されるEGR効率データは、数式3の定数c値を決定することに応答して、複数の異なる時間について数式2に従って計算することができる。このグラフは、EGRシステムの予測された(例えば、計算された)効果に対応するデータの第2の分布が、EGRシステムの実際のEGR効率データに対応するデータの第1の分布に(例えば、パーセント閾値幅内で)類似していることを示すものである。
【0035】
一つ以上の実施形態において、EGRシステムの予測故障時刻は、EGR効率の決定された閾値幅512に基づいて決定することができる。また、算出された効果のうち、最初の時刻514におけるEGR効率に基づいて、変化量の閾値幅を決定することができる。一つ以上の実施形態において、最初の時刻は、
図4に示される時間軸上に示される空白時間帯開始時刻と呼ぶことができる。一実施形態では、空白時間帯開始時刻は、現在時刻から約60日後(例えば、システムの最後の保守および/または修理動作以降、システムの初回使用以降など、動力式システムが約60日間使用された後)などの、所定の長さの時間経過後であってよい。必要に応じて、空白時間帯開始時刻は、EGR効率が現在時刻から空白時間開始時刻までに第2の閾値幅だけ変化することに基づいてもよい。
【0036】
この閾値幅は、部品および/または電源システムが故障すると予測される故障時刻を決定するために使用することができる。例えば、EGRシステムの予測故障時刻は、第1の時刻(例えば、空白時間帯開始時刻)におけるEGR効率算出データが閾値幅の変化率分だけ変化することに基づくものであってもよい。図示の実施形態では、予測される故障時刻は、第2の時刻510で示され得る。例えば、第2の時刻は、算出された予測または予想されるEGR効果データが、決定された閾値幅の変化分だけ変化することに基づいて決定されてもよい。
【0037】
一つ以上の実施形態において、予測故障時刻は、将来(例えば、今後60日以内、今後120日以内、今後240日以内など)、動力式システムが故障する、修理動作を必要とする、などと予測される、予想される、または予期される時刻であってよい。例えば、予測故障時刻は、動力式システムの保守が必要となる将来の時刻を示すことができる。
【0038】
一つ以上の実施形態において、メンテナンス事象は、定期的な保守作業(例えば、動力システムを維持するための予想されるまたは予測される作業)であってもよい。これとは別に、メンテナンスまたは修理作業は、非定常的な保守作業(例えば、予測できないまたは予期しない保守作業)であってもよい。例えば、保守作業は、動力式システムの一つ以上のコンポーネントを清掃することであってもよい。修理作業は、動力式システムの、故障、破損、誤動作などのコンポーネントを修繕、調整、交換、または他の修理することであり得る。
【0039】
一つ以上の実施形態において、予測故障時刻は、動力式システムの一つ以上のコンポーネントまたはサブシステムの劣化度合または劣化速度の少なくとも一方に基づくことができる。例えば、制御システムが動力式システムの一つ以上のセンサから受信したセンサデータは、一つ以上のコンポーネントが将来の時刻に劣化のレベルに達しているか、または達することを示してもよく、予測故障時刻は、センサデータによって示された劣化度合の示度に基づき決定することができる。必要に応じて、制御システムは、動力式システムの一つ以上のコンポーネントの劣化速度が、予想される劣化速度よりも大きい、すなわち、それを超えていると判断してもよい。予測故障時刻は、一つ以上のコンポーネントの劣化速度に基づいて決定されてもよい。
【0040】
一つ以上の実施形態において、予測故障時刻を、動力式システムが保守作業を必要とすることが予測される前または後の時刻として、時間軸上に表示することができる。例えば、一つ以上のコンポーネントまたはサブシステムの取扱説明書および/または指示書、あるいは動力式システムの履歴データは、動力式システムのコンポーネントを保守するための基本となるスケジュールを提示することができる。時間軸上の予測故障時刻は、動力式システムを維持するための基本詳細情報と異なる場合がある。例えば、予測故障時刻は、動力式システムを維持するための基準詳細情報呈示の後の時間軸上の時刻であってもよく、したがって、保守および/または修理事象は、基本となるスケジュール呈示時刻から予測故障時刻まで遅延させることができる。代替的に、予測故障時刻は、動力式システムを維持するための基準詳細情報呈示時刻よりも前の時間軸上の時刻であってもよく、したがって、保守および/または修理事象は、基本となるスケジュール呈示時刻よりも先の予測故障時刻に予定されることができる。
【0041】
一つ以上の実施形態において、制御システムは、予測故障時刻の許容誤差416を決定することができる。例えば、予測故障時刻は、時間軸上の時刻のうち、決定された許容誤差の範囲内の空白時間帯にあると判断してもよい。動力式システムの異なるコンポーネントおよび/または異なるサブシステムで、許容誤差範囲が異なったり、変動したりする可能性がある。一実施形態では、許容誤差範囲は、動力式システムの動作条件に応じて異なる場合がある。例えば、動力式システムは、異なる環境で使用される動力式システムによって引き起こされる歪みまたは応力とは異なる、歪みまた応力が異なるコンポーネントに加わる環境で使用されることがある。環境が異なれば、周囲条件(例えば、温度、湿度、圧力など)が異なったり、地理的地域(例えば、地方と都市)が異なったりすれば、大気質条件などが異なる場合がある。必要に応じて、システムの異なるコンポーネントの許容誤差は、コンポーネントの重要性の差異に基づいて、異ならしめる場合がある。例えば、第1のコンポーネントの健全性および/または機能性は、動力式システムの第2のコンポーネントの健全性および/または機能性より高くしてもよい。必要に応じて、許容誤差は、予測故障時刻までに動力式システム(またはシステムのコンポーネント)が経験すると予想される故障の回数または程度に基づいてもよい。例えば、予測故障時刻は、一つ以上のコンポーネントの予測された故障による稼働不能の可能性を示しているか、予測故障時刻は、システム全体の故障の可能性を示しているかなどである。
【0042】
図3に戻ると、ステップ308において、制御システムは、動力式システムの保守作業および/または修理作業を自動的に計画することができる。保守作業および/または修理作業は、空白時間帯開始時刻と予測故障時刻との間にて時間軸上にわたる空白時間帯範囲410の間に計画されてもよい。例えば、空白時間帯範囲は、保守作業および/または修理作業が計画され得る時間軸上の下限418および上限420を示すことができる。一つ以上の実施形態において、保守作業および/または修理作業は、予定時刻406に計画され得ることができる。制御システムは、予定時刻を決定してもよく、動力式システムの一つ以上の動作条件、システムの環境条件、動力式システムの動作要件などに基づいて、予定時刻にコンポーネントの修理作業および/または保守作業を予定することができる。
【0043】
一つ以上の実施形態において、予定時刻は、時間軸上、空白時間帯範囲内に入る可能性のある時刻であってもよい。予定時刻は、予測故障時刻の許容誤差を超えた時刻であってもよい。必要に応じて、予定時刻は、予測故障時刻と同じくらいの時刻であってもよい。必要に応じて、予定時刻は、予測故障時刻から別の所定の長さの時間だけ離れた時刻であってもよい。例えば、修理作業および/または保守作業が予定時刻は、空白時間帯開始時刻から約60日、約120日、約180日、約240日などを経過した時刻であってもよい。必要に応じて、予定時刻は、予測故障時刻の約1日前、10日前、50日前などの時刻であってもよい。
【0044】
例えば、修理作業および/または保守作業が行なわれる予定時刻は、数ヶ月前から予定して、動力式システムにとって好ましい時刻に修理作業および/または保守作業が行なわれるようにすることができる。一つ以上の実施形態において、予定時刻は、動力式システムの使用予測に基づいて決定することができる。例えば、動力式システムは、空白時間帯開始時刻から少なくとも180日間使用されることが予測されるが、動力式システムの予測故障時刻が、空白時間帯開始時刻から220日後である場合がある。制御システムは、180日後に動力式システムが使用されなくなると予測される場合、予測故障時刻の前に、修理作業および/または保守作業が行われるようにスケジュールを組むことができる。例えば、制御システムは、動力式システムが必要以上に早く使用されなくなることを防ぐために、動力式システムがもはや使用されなくなると予測される後の時間に保守作業を実施する計画とすることができる。別の例として、修理作業および/または保守作業は、動力式システムをより高いまたはより低い流体温度(例えば、洗浄用の熱い流体または冷たい流体など)に晒すことを含む場合がある。制御システムは、環境(例えば、天気予報)が動力式システムを、より高いまたはより低い流体温度にさらすのに適していると思われる時期に、保守作業および/または修理作業を行うように、計画してもよい。
【0045】
別の例として、制御システムは、保守作業設備が動力式システムの保守作業および/または修理作業を行うために利用可能であると予測される時間に、保守作業および/または修理作業の計画を立てることができる。別の例として、制御システムは、動力式システムのコンポーネントを保守するための基準情報呈示時刻の後に、修理作業および/または保守作業を計画することができる。例えば、動力式システムのコンポーネントの取扱説明書や指示書には、一定の期間、一定の使用量、一定の時間間隔などでコンポーネントをメンテナンスするように記載されていることがある。あるいは、制御システムは、動力式システムが操作マニュアルによって示された基準情報呈示時刻を過ぎても動作し続ける可能性があると判断する場合があるが、その場合、制御システムは、動力式システムにとってより都合のよい時刻など、基準情報呈示時刻を過ぎた時刻に予定時刻を設定することができる。
【0046】
ステップ310において、制御システムは、動力式システムのオペレータにコマンドメッセージを伝達することができる。コマンドメッセージは、保守作業および/または修理作業の予定時刻をオペレータに示すことができる。必要に応じて、コマンドメッセージに予測故障時刻を含めることができる。必要に応じて、コマンドメッセージは、空白時間帯範囲(例えば、空白時間帯範囲の下限および/または上限)を含ませることができる。必要に応じて、コマンドメッセージは、時間軸上の予測故障時刻よりも前の時刻に保守作業および/または保守作業作業をスケジュールするようオペレータに指示するための指示を含むことができる。必要に応じて、コマンドメッセージは、オペレータが動力式システムを手動で制御して、保守作業および/または修理作業が行われる場所に向かって動力式システムを移動させるようにする指示を含むことができる。
【0047】
一実施形態では、制御システムは、第1の警告412を動力式システムのオペレータに伝達することができる。必要に応じて、制御システムは、現時点が、第1警告の後であって予測故障時刻の前である旨を示す、第2の警告414をオペレータに伝達してもよい。一実施形態では、第1の警告は、第2の警告の優先順位レベルよりも低い優先順位レベルを有していてもよい。例えば、一つ以上の警告の優先度は、予測故障時刻からアラートが伝達されるまでの時刻の長さ、予測故障時刻から予定時刻までの時刻の長さになどに基づいてもよい。制御システムは、動力式システムの予測故障時刻が近づくと、動力式システムに対する警告メッセージの語気を強めることができる。例えば、コマンドメッセージは、タイムラインの予測故障時刻と予定時刻との間の時間の長さが決定された時間範囲422未満であるとの決定に対して高い優先度を示し、警告は、予測故障時刻と予定時刻との間の時間の長さが決定された時間範囲より大きいとの決定に対して低い優先度を示すことができる。
図4にて図示された実施形態では、予定時刻は、決定された時間範囲よりも前の、時間軸上の時刻として現れる。オペレータへのコマンドメッセージは、予測故障時刻と予定時刻との間の時間の長さが決定された時間範囲より大きいとの決定に対して、低い優先順位を示すことができる。
【0048】
ステップ312において、動力式システムのコンポーネントおよび/またはサブシステムに対する、修理作業および/または保守作業を、完了することができる。一実施形態では、修理作業および/または保守作業は、保守施設、動力式システムの現在の場所(例えば、動力式システムは、修理作業および/または保守作業を完了させるために保守施設に移動する必要がない場合がある)などで完了させることができる。動力式システムを修理および/または保守するための1つまたは複数の作業は、手動、自動、またはそれらの組み合わせで完了することができる。
【0049】
ステップ314において、修理作業および/または保守作業が完了した旨の通知またはコマンドメッセージを、動力式システムのオペレータに伝達することができる。一実施形態では、通知は、保守作業および/または修理作業の結果を示すことができ、動力式システムの改訂された操作設定、動力式システムの操作者に対する指示などを含むことができる。必要に応じて、修理作業および/または保守作業の完了通知、および修理作業または保守作業中に完了した作業に関連する情報は、制御システムのメモリに格納されたり、制御システムの代わりとなるシステムなどに伝達されたりし得る。
【0050】
図6は、一実施形態による、システムの修理作業および/または保守作業を予定に入れるための時間軸600を示す。時間軸は、現在時刻602と、時間軸上で、現在時刻より後に到来する空白時間帯開始時刻604とを含む。さらに、時間軸上には、第1の予測故障時刻606と第2の予測故障時刻608とが表示されている。第1の予測故障時刻は、制御システムが、一つ以上のセンサから受信した第1のコンポーネントに関連するセンサデータに、少なくとも部分的に、基づいて、第1のコンポーネント(例えば、
図1に示すコンポーネント110)が故障することが予測されると判断した時間軸上の時刻を表し得る。第2の予測故障時刻は、制御システムが、一つ以上のセンサから受信した第2のコンポーネントに関連するセンサデータに、少なくとも部分的に、基づいて、第2のコンポーネント(例えば、
図1に示すコンポーネント112)が故障することが予測されると判断した時間軸上の時刻を表し得る。
【0051】
一つ以上の実施形態において、制御システムは、第1および第2の予測故障時刻に基づいて、予定時刻612に、第1または第2のコンポーネントの一方または両方に対する修理作業および/または保守作業を行うものとすることができる。一例として、制御システムは、第1の予測故障時刻が、時間軸上において、第2の予測故障時刻の前に到来した場合は、第1のコンポーネントの修理が第2のコンポーネントの修理の前または先立って必要とされるものであると判断することができる。制御システムは、少なくとも第1のコンポーネントの修理作業および/または保守作業を、時間軸上の第1の予測故障時刻の前に到来する予定時刻に行うものとしてもよい。
【0052】
一実施形態において、制御システムは、第2のコンポーネントの第2の予想される故障が、修理の空白時間帯610の外側または内側で発生するか否かを判断することができる。修理の空白時間帯は、空白時間帯開始時刻と時間軸上の第2の時刻614との間において、時間軸上に延在してもよい。修理の空白時間帯に入る予測故障時刻を有すると決定された動力式システムの一つ以上のコンポーネントおよび/またはサブシステムは、最も早く到来する予測故障時刻の前にすべて修理および/または保守が終わっているとされ得る。あるいは、修理の空白時間帯から外れる予測故障時刻を有すると決定された、動力式システムのコンポーネントおよび/またはサブシステムは、修理および/または保守がなされないことがある。例えば、故障時刻が決定された修理時間帯に到来するコンポーネントは、必要以上に早く、しかし動力式システムが既に修理または保守されている間に、修理および/または保守することができる。あるいは、制御システムは、決定された修理時間帯の外に故障時刻が到来したコンポーネントの修理作業および/または保守作業を完了するには時期尚早であると判断することもできる。
【0053】
図示された実施形態において、制御システムは、第1の予測故障時刻が第2の予測故障時刻の前に到来し、第2の予測故障時刻が修理時間帯の外側に到来すると決定することができる。制御システムは、予定時刻に第1のコンポーネントの修理作業および/または保守作業を予定してもよいが、第2の予測故障時刻が修理時間帯の外に到来すると決定することに対して、第1のコンポーネントと同じ予定時刻に第2のコンポーネントの修理作業および/または保守作業を予定しないこともできる。例えば、制御システムは、第2のコンポーネントの修理作業および/または保守作業を行うには早すぎると決定した場合、第2の予測故障時刻に近い時間軸上の時刻(例えば、修理時間帯外の時刻)に修理作業および/または保守作業を予定することができる。あるいは、制御システムは、修理時間帯内に到来する第1および第2の予測故障時刻に基づいて、第1および第2のコンポーネントの修理作業および/または保守作業を計画させることができる。第1コンポーネントおよび第2コンポーネントの修理作業および/または保守作業は、同じ予定時刻に完了するようにし得る。
【0054】
一つ以上の実施形態において、制御システムは、利用可能な資産(例えば、保守作業施設の利用可能性、保守装置の利用可能性、交換部品の利用可能性、利用可能な人員など)に基づいて、第1コンポーネントおよび/または第2コンポーネントのための修理作業および/または保守作業を計画してもよい。必要に応じて、制御システムは、動力式システムの現在のコンポーネントに取って代わる可能性のある代替コンポーネントの入手可能性に基づいて、動力式システムの修理作業および/または保守作業を計画することができる。必要に応じて、制御システムは、動力式システムのオペレータから、動力式システムの一つ以上のコンポーネントを修理、保守、または交換することを要求する一つ以上の要求を受信することに基づいて、時間軸上の予定時刻より前に、または時間軸上の予定時刻より後の時刻などに、修理作業および/または保守作業の計画を立てることができる。
【0055】
一実施形態では、制御システムは、導出に基づく学習成果を可能にするために機械学習を使用し得るローカルデータ収集システムを展開し得る。コントローラは、データ駆動型予測を行い、データのセットに従って適応することによって、データのセット(様々なセンサによって提供されるデータを含む)から学習し、決定を下し得る。実施形態では、機械学習は、教師あり学習、教師なし学習、および強化学習などの機械学習システムによる複数の機械学習タスクを実行することを含み得る。教師あり学習は、例示的な入力および所望の出力のセットを機械学習システムに提示することを含み得る。教師なし学習は、パターン検出および/または特徴学習などの方法によってその入力を構造化する学習アルゴリズムを含み得る。強化学習は、機械学習システムが動的環境内で実行し、次いで、正確および不正確な決定に関するフィードバックを提供することを含み得る。例では、機械学習は、機械学習システムの出力に基づいて複数の他のタスクを含み得る。例では、タスクは、分類、回帰、クラスタリング、密度推定、次元削減、異常検出などのような機械学習問題であり得る。例では、機械学習は、複数の数学および統計的技法を含み得る。例では、多くのタイプの機械学習アルゴリズムは、決定木ベースの学習、アソシエーションルール学習、ディープラーニング、人工ニューラルネットワーク、遺伝子学習アルゴリズム、帰納論理プログラミング、サポートベクターマシン(SVM)、ベイジアンネットワーク、強化学習、表現学習、ルールベース機械学習、スパース辞書学習、類似性メトリック学習、学習分類子システム(LCS)、ロジスティック回帰、ランダムフォレスト、K平均法、勾配ブースト、K近傍法(KNN)、アプリオリアルゴリズムなどを含み得る。実施形態では、特定の機械学習アルゴリズムが使用され得る(例えば、自然選択に基づき得る制約つき最適化問題および制約なし最適化問題の両方を解決するために)。例では、アルゴリズムは、いくつかの構成要素が整数値であることに制限されている、混合整数計画法の問題に対処するために使用され得る。アルゴリズムならびに機械学習技術およびシステムは、計算インテリジェンスシステム、コンピュータビジョン、自然言語処理(NLP)、推奨システム、強化学習、グラフィカルモデルの構築などで使用され得る。一例では、機械学習は、車両性能および行動分析などに使用され得る。
【0056】
一実施形態では、コントローラシステムは、一つ以上のポリシーを適用し得るポリシーエンジンを含み得る。これらのポリシーは、機器または環境の所与の項目の特性に少なくとも部分的に基づき得る。コントロールポリシーに関して、ニューラルネットワークは、多数の環境パラメータおよびタスク関連パラメータの入力を受信することができる。これらのパラメータは、車両グループについて判定されたトリッププランの識別、様々なセンサからのデータ、ならびに場所および/または位置データを含み得る。ニューラルネットワークは、これらの入力に基づいて出力を生成するように訓練され得、出力は、車両グループがトリッププランを達成するために取るべきアクションまたはアクションのシーケンスを表す。一実施形態の動作中に、ニューラルネットワークのパラメータを通して入力を処理して、そのアクションを所望のアクションとして指定する値を出力ノードで生成することによって、判定を行うことができる。このアクションは、車両を動作させる信号に変換され得る。これは、バックプロパゲーション、フィードフォワードプロセス、クローズドループフィードバック、またはオープンループフィードバックを介して達成され得る。代替的に、バックプロパゲーションを使用するのではなく、コントローラの機械学習システムは、進化戦略技術を使用して、人工ニューラルネットワークの様々なパラメータを調整し得る。コントローラは、バックプロパゲーションを使用して常に解決可能であるわけではない場合がある関数、例えば、非凸である関数、を有するニューラルネットワークアーキテクチャを使用し得る。一実施形態では、ニューラルネットワークは、そのノード接続の重みを表すパラメータのセットを有する。このネットワークの多数のコピーが生成され、次いで、パラメータに様々な調整が行われ、シミュレーションが行われる。様々なモデルからの出力が取得されると、判定された成功メトリックを使用して、それらのパフォーマンスに基づいて評価され得る。最良のモデルが選択され、車両コントローラは、予測された最良の結果シナリオをミラーリングするために所望の入力データを達成する計画を実行する。更に、成功メトリックは、互いに重み付けされ得る最適化された結果の組み合わせであり得る。
【0057】
本明細書に記載される主題の一つ以上の実施形態または様相よれば、方法は、動力式システムのコンポーネントのセンサデータを受け取ることと、センサデータに、少なくとも部分的に、基づいて、コンポーネントが故障することが予測されるコンポーネントの予測故障時刻を決定することとを含むことができる。時間軸上に到来する予測故障時刻。空白時間帯開始時刻は、時間軸上で、現在時刻より後であって、予測故障時刻より前に決定されてもよい。空白時間帯開始時刻と予測故障時刻は、時間軸上において空白時間帯開始時刻と予測故障時刻の間にわたる空白時間帯範囲を定めてもよい。動力式システムの修理作業または保守作業の一方または両方は、空白時間帯範囲内に到来し且つ時間軸上の予測故障時刻より前の予定時刻に計画されることができる。
【0058】
必要に応じて、空白時間帯範囲は、予測故障時刻によって決まる上限と、空白時間帯開始時刻によって決まる下限を含むことができる。必要に応じて、予測故障時刻と、修理作業または保守作業の一方または両方の予定時刻とは、所定の長さの時間だけ離すことができる。必要に応じて、予測故障時刻に、決定された誤差を持たせるようにしてもよい。必要に応じて、コンポーネントの一つ以上の特性は、センサデータに基づいて決定されてもよい。予測故障時刻は、時間軸上の空白時間帯開始時刻におけるコンポーネントの一つ以上の特性に基づいてもよい。必要に応じて、センサデータは、動力式システム内を移動する一つ以上の流体に関連する熱センサデータを含むことができる。必要に応じて、空白時間帯範囲の修理作業または保守作業の一方または両方の予測故障時刻または予定された時刻の一つ以上を示すコマンドメッセージが、動力式システムのオペレータに伝達され得る。必要に応じて、コマンドメッセージは、予測故障時刻と予定された時刻との間の時間の長さに基づく優先順位を含んでもよい。必要に応じて、コマンドメッセージは、予測故障時刻と予定時刻との間の時間の長さが決定された時間範囲よりも小さいと決定されることに応じて高い優先度を含み、警告は、予測故障時刻と予定時刻との間の時間の長さが決定された時間範囲よりも大きいと決定されることに応じて低い優先度を示すことができる。必要に応じて、修理作業または保守作業の一方または両方は、動力式システムの一以上の動作条件、動力式システムの環境条件、または動力式システムの一つ以上の動作要件のうちの一つまたは複数に基づいて、予定時刻に行われてもよい。必要に応じて、動力式システムの修理作業または保守作業の一方または両方が完了し、修理作業または保守作業の一方または両方が完了したことを示すコマンドメッセージが伝達されるようにしてもよい。必要に応じて、センサデータに、少なくとも部分的に、基づいて、動力式システムのコンポーネントの劣化度合または劣化速度の少なくとも一方が決定されてもよい。コンポーネントの劣化度合または劣化速度の少なくとも一方と、前記動力式システムの予測故障時刻とに基づいて、前記動力式システムの修理作業または前記保守作業の一方または両方が、前記予定時刻に行われるようにしてもよい。必要に応じて、予測故障時刻は、動力式システムの第1のコンポーネントの第1の予測故障時刻であってもよい。動力式システムの第2のコンポーネントの第2の予測故障時刻を決定してもよい。第1の予測故障時刻と第2の予測故障時刻は、時間軸上、異なる時刻に到来してもよい。必要に応じて、第1の予測故障時刻が時間軸上において第2の予測故障時刻の前に到来すること、および第2の予測故障時刻が時間軸上において修理時間帯中に到来することが決定され得る。第1のコンポーネントに対する修理作業または保守作業の一つ以上、および第2のコンポーネントに対する修理作業または保守作業の一つ以上は、第1の予測故障時刻および第2の予測故障時刻が修理時間帯内に到来すると決定することに対応して、時間軸上、第1の予測故障時刻よりも前にある予定時刻に予定してもよい。必要に応じて、第1の予測故障時刻が時間軸上において第2の予測故障時刻の前に到来し、第2の予測故障時刻が時間軸上において修理時間帯の外に到来するように決定することができる。第1のコンポーネントに対する修理作業または保守作業のうちの一つ以上は、第1の予測故障時刻よりも前の予定時刻に行われるように予定してもよい。第2のコンポーネントの保守作業のうちの一つ以上の修理作業は、第2の予測故障時刻が時間軸上の修理時間帯の外側に到来すると決定されたことに対応して、予定された時刻に段取りできない場合がある。
【0059】
本明細書に記載された主題の一つ以上の実施形態または様相によれば、検査システムは、動力式システムのコンポーネントに対するセンサデータを受信し得る一つ以上のプロセッサを含むコントローラを含むことができる。プロセッサは、センサデータに、少なくとも部分的に、基づいて、コンポーネントが故障すると予測されるコンポーネントの予測故障時刻を決定することができる。予測故障時刻は時間軸上に到来する可能性がある。コントローラは、現在時刻より後であって、予測故障時刻より前に、時間軸上に、空白時間帯開始時刻を決定することができる。空白時間帯開始時刻と予測故障時刻は、空白時間帯開始時刻と予測故障時刻の間にわたる空白時間帯範囲を定義することができる。コントローラは、空白時間帯範囲内に到来し、かつ時間軸上予測故障時刻よりも前の予定時刻に、動力式システムの修理作業または保守作業のうちの一つ以上を、計画に入れることができる。
【0060】
本明細書に記載される主題の一つ以上の実施形態または様相によれば、方法は、動力式システムのセンサデータに、少なくとも部分的に、基づいて、動力式システムが故障すると予測される時間軸上の故障時刻を決定することを、含むことができる。センサデータは、時間軸の空白時間帯開始時刻に取得することができる。予測故障時刻を、空白時間帯開始時刻より後に到来させることができる。予測故障時刻と空白時間帯開始時刻で、時間軸上の空白時間帯範囲を定義する。動力式システムの修理作業または保守作業の一つ以上については、空白時間帯範囲内の時間軸上の時刻を、修理作業予定時刻とすることができる。予定された修理時刻は、動力式システムの一つ以上の動作条件、動力式システムの環境条件、または動力式システムの一つ以上の動作要件のうちの一つ以上に基づくことができる。
【0061】
必要に応じて、予測故障時刻は、動力式システムの第1のコンポーネントの第1の予測故障時刻であってもよく、動力式システムの第2のコンポーネントの第2の予測故障時刻が決定されてもよい。第1の予測故障時刻と第2の予測故障時刻は、時間軸上では異なる時刻に到来してもよい。必要に応じて、第1の予測故障時刻が時間軸上の第2の予測故障時刻の前に到来すると決定され、第1および第2のコンポーネントの両方に対する保守作業のうちの一つ以上の修理作業が、時間軸上の第1の予測故障時刻の前に到来する予定された修理時刻に予定を入れてもよい。必要に応じて、第1のコンポーネントおよび第2のコンポーネントの両方の修理作業または保守作業のうちの一つ以上は、時間軸上、第2の故障時刻の前に到来する第1の故障時刻に基づいて、第2の故障時刻よりも前に予定された修理時刻に完了してもよい。
【0062】
本明細書で使用するとき、単数形で記述され、かつ単語「a」または「an」が前に付けられた要素またはステップは、排除することが明確に記載されていない限り、複数の該要素またはステップを排除するものではないと理解すべきである。さらに、本発明の「一実施形態」への言及は、そこに記載した特徴事項を組み込んだ追加の実施形態の存在を排除するものではない。さらに、逆の意味で明確に記述されていない限り、特定の特性を有する1つの要素または複数の要素を「備える(comprising)」、「含む(including)」、または「有する(having)」実施形態は、その特性を有しない追加的なそのような要素を含み得る。添付の特許請求の範囲において、用語「含む(including)」および「in which」は、それぞれの用語「備える(comprising)」および 「wherein」の平易な英語での同義語として使用されている。さらに、以下の請求項において、「第1」、「第2」、「第3」などの用語は、単にラベルとして使用されており、その対象に数値的な要件を課すものでは無い。さらに、以下の請求項の限定事項は、手段プラス機能の形式で書かれておらず、そのような請求項の限定事項が、「means for」という語句の後にさらなる構造を欠いた機能の記述を明示的に使用しない限り、そして使用するまで、米国特許法112条(f)に基づいて解釈されることを意図するものではない。
【0063】
上記の説明は例示であり、限定的なものでは無い。例えば、上述した実施形態(および/またはその様相)は、互いに組み合わせて使用することができる。さらに、特定の状況または材料を本発明の範囲を逸脱することなく本発明の主題の教示に適合させるために多くの変更を行うことができる。本明細書に記載された寸法および材料の種類は、本発明の主題のパラメータを定義するものであるが、それらは例示的な実施形態である。他の実施形態は、上記の説明を検討することにより、当業者には明らかであろう。したがって、本発明の主題の範囲は、添付の特許請求の範囲を参照して、そのような特許請求の範囲が権利を与えられる均等物の全範囲とともに決定されるべきである。
【0064】
この書面による説明は、例を使用して、最良の形態を含む本発明の主題のいくつかの実施形態を開示するために、また、当業者が、任意の装置またはシステムを製作および使用すること、ならびに任意の組み込まれた方法を行うことを含む本発明の主題の実施形態を実践することを可能にする。本発明の特許可能な範囲は、特許請求の範囲によって定義され、また、当業者に見出される他の例を含み得る。そのような他の例は、それらが特許請求の範囲の文字通りの言葉と異ならない構造要素を有する場合、またはそれらが特許請求の範囲の文字通りの言葉とは実質的に異ならない差を伴う均等な構造要素を含む場合、特許請求の範囲の範囲内に入ることが意図されている。