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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-20
(45)【発行日】2025-01-06
(54)【発明の名称】電池モジュール
(51)【国際特許分類】
   H01M 50/289 20210101AFI20241223BHJP
   H01M 50/209 20210101ALI20241223BHJP
   H01M 50/507 20210101ALI20241223BHJP
   H01M 50/262 20210101ALI20241223BHJP
   H01M 50/264 20210101ALI20241223BHJP
   H01M 50/291 20210101ALN20241223BHJP
【FI】
H01M50/289 101
H01M50/209
H01M50/507
H01M50/262 S
H01M50/264
H01M50/291
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2022500225
(86)(22)【出願日】2020-10-20
(86)【国際出願番号】 JP2020039439
(87)【国際公開番号】W WO2021161587
(87)【国際公開日】2021-08-19
【審査請求日】2023-08-02
(31)【優先権主張番号】P 2020023782
(32)【優先日】2020-02-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000001889
【氏名又は名称】三洋電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100123102
【弁理士】
【氏名又は名称】宗田 悟志
(72)【発明者】
【氏名】日置 舞斗
【審査官】井原 純
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-091948(JP,A)
【文献】特開2014-082080(JP,A)
【文献】特許第6104514(JP,B2)
【文献】特開2013-033634(JP,A)
【文献】特開2017-084491(JP,A)
【文献】特開2019-033024(JP,A)
【文献】特開2019-106247(JP,A)
【文献】特開2012-248482(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0295214(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 50/20-50/298
H01M 50/50-50/598
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
出力端子を有する電池が複数配列された電池積層体と、
各電池の前記出力端子どうしを電気的に接続するバスバーと、
前記電池積層体における前記出力端子が配置される面を覆うバスバープレートであって、各出力端子と重なる位置に開口部を有し、前記開口部に前記バスバーが配置されるバスバープレートと、を備え、
前記バスバープレートおよび前記電池積層体の一方を第1部材、他方を第2部材とするとき、前記第1部材は付勢部を有し、前記第2部材は付勢受部を有し、
前記付勢部が第2部材を押すことで、前記第1部材および前記第2部材が互いに反対方向に付勢され、前記付勢受部が前記第1部材に当接することで、前記第1部材および前記第2部材の変位が規制され
前記電池積層体は、前記電池の配列方向に延びて前記電池積層体を前記配列方向に拘束する拘束部材を有し、
前記バスバープレートが第1部材であり、前記電池積層体が前記第2部材であり、
前記付勢部は、前記拘束部材を押す、
電池モジュール。
【請求項2】
前記付勢受部は、平面部を有し、
前記平面部が前記第1部材に当接して、前記第1部材および前記第2部材の変位が規制される請求項1に記載の電池モジュール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電池モジュールに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば車両用等の、高い出力電圧が要求される電源として、複数個の電池が電気的に接続された電池モジュールが知られている。このような蓄電モジュールに関して、例えば特許文献1には、複数の電池が積層された電池積層体と、各電池の出力端子どうしを電気的に接続するバスバーと、電池積層体における出力端子が配置される面を覆う表面プレート(バスバープレート)と、を備えた蓄電モジュールが開示されている。この表面プレートは出力端子と対向する位置に開口部を有し、この開口部にバスバーが嵌め込まれることでバスバーが保持されていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2015-133169号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
一般に従来の電池モジュールでは、電池積層体およびバスバープレートの一方に位置決めピンを、他方に位置決め孔を設け、位置決め孔に位置決めピンを通すことで電池積層体とバスバープレートとを位置決めしていた。しかしながら、この構造では、各部の寸法や位置の公差に起因する電池積層体とバスバープレートとの位置ずれが生じやすく、両者の位置精度をより一層高めたいという要求に応えることが困難であった。
【0005】
本開示はこうした状況に鑑みてなされたものであり、その目的は、電池積層体とバスバープレートとの位置決め精度を高める技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示のある態様は、電池モジュールである。この電池モジュールは、出力端子を有する電池が複数配列された電池積層体と、各電池の出力端子どうしを電気的に接続するバスバーと、電池積層体における出力端子が配置される面を覆うバスバープレートであって、各出力端子と重なる位置に開口部を有し、開口部にバスバーが配置されるバスバープレートと、を備える。バスバープレートおよび電池積層体の一方を第1部材、他方を第2部材とするとき、第1部材は付勢部を有し、第2部材は付勢受部を有し、付勢部が第2部材を押すことで、第1部材および第2部材が互いに反対方向に付勢され、付勢受部が第1部材に当接することで、第1部材および第2部材の変位が規制される。
【0007】
なお、以上の構成要素の任意の組合せ、本開示の表現を方法、装置、システムなどの間で変換したものもまた、本開示の態様として有効である。
【発明の効果】
【0008】
本開示によれば、電池積層体とバスバープレートとの位置決め精度を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】実施の形態1に係る電池モジュールの斜視図である。
図2】電池モジュールの分解斜視図である。
図3図3(A)は、電池モジュールにおける付勢部を含む領域を拡大して示す平面図である。図3(B)は、電池モジュールにおける付勢受部を含む領域を拡大して示す平面図である。
図4図4(A)は、変形例1に係る付勢部の平面図である。図4(B)は、変形例2に係る付勢部の平面図である。
図5】実施の形態2に係る電池モジュールの平面図である。
図6図6(A)は、電池モジュールにおける付勢部を含む領域を拡大して示す平面図である。図6(B)は、電池モジュールにおける付勢部を含む領域を拡大して示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本開示を好適な実施の形態をもとに図面を参照しながら説明する。実施の形態は、本開示を限定するものではなく例示であって、実施の形態に記述されるすべての特徴やその組み合わせは、必ずしも本開示の本質的なものであるとは限らない。各図面に示される同一または同等の構成要素、部材、処理には、同一の符号を付するものとし、適宜重複した説明は省略する。また、各図に示す各部の縮尺や形状は、説明を容易にするために便宜的に設定されており、特に言及がない限り限定的に解釈されるものではない。また、本明細書または請求項中に「第1」、「第2」等の用語が用いられる場合には、特に言及がない限りこの用語はいかなる順序や重要度を表すものでもなく、ある構成と他の構成とを区別するためのものである。また、各図面において実施の形態を説明する上で重要ではない部材の一部は省略して表示する。
【0011】
(実施の形態1)
図1は、実施の形態1に係る電池モジュールの斜視図である。図2は、電池モジュールの分解斜視図である。電池モジュール1は、電池積層体2と、複数のバスバー4と、バスバープレート6と、を備える。
【0012】
電池積層体2は、電池8が複数配列された構造を有する。電池積層体2は、複数の電池8と、複数のセパレータ10と、一対の拘束部材12と、を有する。
【0013】
各電池8は、例えば、リチウムイオン電池、ニッケル-水素電池、ニッケル-カドミウム電池等の充電可能な二次電池である。各電池8はいわゆる角形電池であり、扁平な直方体形状の外装缶14を有する。外装缶14の一面には図示しない略長方形状の開口が設けられ、この開口を介して外装缶14に電極体や電解液等が収容される。外装缶14の開口には、開口を塞ぐ略長方形状の封口板16が嵌め合わされる。
【0014】
封口板16には、一対の出力端子18が配置される。具体的には、長手方向の一端寄りに正極端子18aが配置され、他端寄りに負極端子18bが配置される。以下では、一対の出力端子18の極性を区別する必要がない場合、正極端子18aと負極端子18bとをまとめて出力端子18と称する。
【0015】
外装缶14、封口板16および出力端子18は導電体であり、例えばアルミニウム、鉄、ステンレス等の金属で構成される。外装缶14と封口板16とは、例えばレーザー溶接により接合される。各出力端子18は、封口板16に形成された貫通孔に挿通される。各出力端子18と各貫通孔との間には、絶縁性のシール部材が介在する。外装缶14は、シュリンクチューブ等の図示しない絶縁フィルムで被覆されてもよい。
【0016】
電池8は、封口板16に弁部19を有する。弁部19は、封口板16における一対の出力端子18の間に配置される。弁部19は、電池8の内圧が所定値以上に上昇した際に開弁して、電池8の内部のガスを放出できるように構成される。弁部19は、例えば、封口板16の一部に設けられる他部よりも厚さが薄い薄肉部と、この薄肉部の表面に形成される線状の溝とで構成される。この構成では、電池8の内圧が上昇すると、溝を起点に薄肉部が裂けることで弁部19が開弁する。
【0017】
本実施の形態の説明では、便宜上、封口板16を電池8の上面、封口板16と対向する外装缶14の底面を電池8の下面とする。また、電池8は、上面と下面をつなぐ4つの側面を有する。4つの側面のうち2つは、封口板16の対向する2つの長辺に接続される一対の長側面である。各長側面は、電池8が有する面のうち面積の最も大きい面、すなわち主表面である。2つの長側面を除いた残り2つの側面は、封口板16の短辺に接続される一対の短側面である。また、便宜上、電池積層体2において電池8の上面側の面を電池積層体2の上面とし、電池8の下面側の面を電池積層体2の下面とし、電池8の短側面側の面を電池積層体2の側面とする。これらの方向および位置は、便宜上規定したものである。したがって、例えば、本開示において上面と規定された部分は、下面と規定された部分よりも必ず上方に位置することを意味するものではない。
【0018】
複数の電池8は、隣り合う電池8の主表面どうしが対向するようにして所定の間隔で配列される。本実施の形態では、電池8は水平方向に配列されている。以下では適宜、電池8が配列される方向を配列方向Xとし、水平で且つ配列方向Xと直交する方向を水平方向Yとし、配列方向Xおよび水平方向Yに対し直交する方向を鉛直方向Zとする。
【0019】
各電池8は、出力端子18が同じ方向を向くように配置される。本実施の形態の各電池8は、出力端子18が鉛直方向上方を向くように配置される。また、各電池8は、隣接する電池8を直列に接続する場合、一方の電池8の正極端子18aと他方の電池8の負極端子18bとが隣り合うように配列される。また、隣接する電池8を並列に接続する場合、一方の電池8の正極端子18aと他方の電池8の正極端子18aとが隣り合うように配列される。
【0020】
隣接する2つの電池8の間には、セパレータ10が配置される。これにより、当該2つの電池8間が電気的に絶縁される。セパレータ10は、絶縁スペーサとも呼ばれ、例えば絶縁性を有する樹脂シートからなる。セパレータ10を構成する樹脂としては、ポリプロピレン(PP)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリカーボネート(PC)、ノリル(登録商標)樹脂(変性PPE)等の樹脂が例示される。なお、図2では、一部のセパレータ10のみを図示している。
【0021】
複数の電池8は、電池8の配列方向Xに延びる一対の拘束部材12によって配列方向Xに拘束される。拘束部材12は、バインドバーとも呼ばれ、電池8の配列方向Xに長い長尺状の部材である。本実施の形態では、水平方向Yに一対の拘束部材12が配列される。各拘束部材12は、例えば鉄やスレンレス鋼等の金属で構成される。
【0022】
例えば、複数の電池8は、複数のセパレータ10と交互に配列された状態で、図示しない一対のエンドプレートで配列方向Xに挟まれる。一対のエンドプレートは、積層方向Xにおける両端に位置する電池8とセパレータ10を介して隣り合う。一対の拘束部材12は、複数の電池8、複数のセパレータ10および一対のエンドプレートを水平方向Yに挟むように配置され、各拘束部材12の両端が一対のエンドプレートに固定される。例えば、拘束部材12は配列方向Xの両端に、エンドプレートの主表面と重なる折曲部を有し、この折曲部がエンドプレートにねじ止め等により固定される。
【0023】
複数の電池8は、一対の拘束部材12によって配列方向Xに拘束されて、配列方向Xに位置決めされる。また、各拘束部材12は、鉛直方向Zで対向する一対の腕部20を有する。一対の腕部20により、複数の電池8が鉛直方向Zに挟み込まれる。これにより、各電池8が鉛直方向Zに位置決めされる。
【0024】
バスバー4は、銅やアルミニウム等の金属で構成される略帯状の部材である。バスバー4の一方の端部は、隣接する2つの電池8のうち一方の電池8の正極端子18aに接続され、他方の端部は他方の電池8の負極端子18bに接続される。これにより、各電池8の出力端子18どうしが電気的に接続される。なお、バスバー4は、隣接する複数個の電池8における同極性の出力端子18どうしを並列接続して電池ブロックを形成し、さらに電池ブロックどうしを直列接続してもよい。
【0025】
バスバープレート6は、電池積層体2における出力端子18が配置される上面を覆う板状の部材である。バスバープレート6は、電池積層体2を収容するホルダーケースの一部としても機能し得る。バスバープレート6は、例えばポリプロピレン(PP)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリカーボネート(PC)、ノリル(登録商標)樹脂(変性PPE)等の樹脂で構成される。
【0026】
バスバープレート6は、複数の電池8の各出力端子18と鉛直方向Zで重なる位置に、各出力端子18を露出させる複数の開口部22を有する。各開口部22には、バスバー4が配置される。例えば、電池積層体2の上面にバスバープレート6が載置され、その後にバスバー4が各開口部22に嵌め込まれる。あるいは、バスバープレート6の各開口部22にバスバー4が嵌め込まれ、複数のバスバー4を保持した状態にあるバスバープレート6が電池積層体2の上面に載置される。複数のバスバー4は、バスバープレート6によって電池積層体2に対する位置が定められる。
【0027】
電池積層体2の上面にバスバープレート6が載置され、開口部22にバスバー4が配置された状態で、出力端子18とバスバー4とが互いに当接する。この状態で、出力端子18とバスバー4とがレーザー溶接等によって接合される。この結果、複数の電池8の出力端子18どうしが電気的に接続される。
【0028】
また、バスバープレート6は、電池積層体2に対して位置決めされた状態で、例えばエンドプレートに対してねじ止め等により固定される。また、バスバープレート6の上面には、図示しないカバープレートが載置される。カバープレートでバスバープレート6の上面を覆うことで、出力端子18やバスバー4等への結露水や塵埃等の接触を抑制することができる。
【0029】
バスバープレート6および電池積層体2の一方を第1部材、他方を第2部材とするとき、第1部材は付勢部26を有し、第2部材は付勢受部28を有する。本実施の形態では、バスバープレート6が第1部材であり、電池積層体2が第2部材である。なお、バスバープレート6が第2部材であり、電池積層体2が第1部材であってもよい。つまり、バスバープレート6に付勢受部28が設けられ、電池積層体2に付勢部26が設けられてもよい。
【0030】
図3(A)は、電池モジュール1における付勢部26を含む領域を拡大して示す平面図である。図3(B)は、電池モジュール1における付勢受部28を含む領域を拡大して示す平面図である。
【0031】
付勢部26は、弾性変形可能な形状を有し、電池積層体2にバスバープレート6が載置された状態で、第2部材としての電池積層体2をその弾性力によって押す。本実施の形態では、付勢部26はセパレータ10を押圧する。したがって、セパレータ10が、バスバープレート6の直接の付勢対象となる相手部材24である。付勢部26がセパレータ10を押すと、第1部材としてのバスバープレート6および第2部材としての電池積層体2が互いに反対方向に付勢される。
【0032】
具体的には、付勢部26がセパレータ10を第1方向Aに押すことで、セパレータ10を含む電池積層体2は、第1方向Aに付勢される。一方、付勢部26を含むバスバープレート6は、セパレータ10からの反力により第1方向Aとは反対側の第2方向Bに付勢される。本実施の形態では、第1方向Aおよび第2方向Bは水平方向Yに対して平行な方向である。
【0033】
バスバープレート6および電池積層体2が互いに反対方向に付勢されている状態で、付勢受部28は、バスバープレート6に当接する。これにより、バスバープレート6および電池積層体2の変位が規制される。付勢部26の弾性変形量と、水平方向Yにおける付勢部26および付勢受部28の位置関係とは、付勢部26の付勢力(押圧力)が第2部材にかかっている状態で付勢受部28に第1部材が当接するように定められる。
【0034】
本実施の形態のバスバープレート6は、水平方向Yにおける中央部に3つの開口部30を有する。各開口部30は矩形状であり、配列方向Xに延びる一対の縁部と、水平方向Yに延びる一対の縁部と、を有する。2つの開口部30は、配列方向Xにおける両端に配置される。付勢部26は、この2つの開口部30内に配置される。付勢部26は、一例として板ばね状である。具体的には、付勢部26は、開口部30の水平方向Yに延びる縁部から配列方向Xの中央部に向かって電池積層体2の上面に沿って延出する腕部32と、腕部32の先端から第1方向Aに屈曲して延びる先端部34と、を有する。開口部30の縁部に接する基端部を支点として腕部32が撓むことで、先端部34が第1方向Aおよび第2方向Bに変位することができる。
【0035】
セパレータ10は、付勢部26に押される突起部36を有する。突起部36は、付勢部26が配置される開口部30から、鉛直方向Zでバスバープレート6側に突出する。突起部36は、配列方向Xおよび鉛直方向Zに広がる平板状であり、先端部34と対向する押圧面38を有する。腕部32の弾性変形によって先端部34が押圧面38を第1方向Aに押圧すると、セパレータ10ひいては電池積層体2が第1方向Aに付勢される。また、押圧面38からの第2方向Bの反力によって、付勢部26ひいてはバスバープレート6が第2方向Bに付勢される。
【0036】
残り1つの開口部30は、配列方向Xにおける中央部に配置される。付勢受部28は、この開口部30から鉛直方向Zに突出する。付勢受部28は、突起部36と同様の形状を有し、第1方向Aを向く平面部40を有する。平面部40がバスバープレート6に当接して、バスバープレート6の第2方向Bへの変位と、電池積層体2の第1方向Aへの変位とがそれぞれ規制される。バスバープレート6は、第2方向Bを向いて平面部40と平行に延びる直線部42を有し、直線部42が平面部40に当接する。本実施の形態の直線部42は、開口部30における配列方向Xに延びる縁部である。
【0037】
なお、突起部36が付勢受部28としての機能を備えてもよい。つまり、付勢部26が弾性変形していない状態にあるときの先端部34と、先端部34と対向する開口部30の縁部との間の距離が突起部36の水平方向Yの寸法よりも短くなるように、付勢部26および突起部36の形状や配置が設定される。これにより、先端部34が押圧面38を押圧すると、突起部36の押圧面38とは反対側の表面44が開口部30の縁部に当接して、付勢部26と開口部30の縁部とで突起部36が挟まれる。この結果、付勢部26により電池積層体2が第1方向Aに付勢され、その反力でバスバープレート6が第2方向Bに付勢される。また、突起部36が開口部30の縁部に当接して、バスバープレート6および電池積層体2の変位が規制される。
【0038】
また、付勢部26は水平方向Y(第1方向Aおよび第2方向B)に弾性変形可能な形状であればよい。例えば、付勢部26の形状には以下の変形例を挙げることができる。図4(A)は、変形例1に係る付勢部26の平面図である。図4(A)に示すように、変形例1に係る付勢部26は、開口部30の配列方向Xに延びる縁部から第1方向Aに突出する湾曲形状を有する板ばねである。付勢部26の頂部が突起部36を第1方向Aに押圧することで、電池積層体2が第1方向Aに付勢される。一方、突起部36からの第2方向Bの反力によって、バスバープレート6が第2方向Bに付勢される。
【0039】
図4(B)は、変形例2に係る付勢部26の平面図である。変形例2は、バスバープレート6が第2部材であり、電池積層体2が第1部材である場合の付勢部26の変形例である。本変形例では、付勢部26は、突起部36に設けられている。
【0040】
変形例2に係る付勢部26は約L字状であり、配列方向Xに延びる腕部32と、水平方向Yに延びる先端部34と、を有する。腕部32の一端は突起部36に接続され、腕部32の他端は先端部34の一端に接続される。先端部34の他端は、開口部30の配列方向Xに延びる縁部に当接する。腕部32が弾性変形することで、先端部34が水平方向Yに変位する。先端部34が開口部30の縁部を第1方向Aに押圧することで、バスバープレート6が第1方向Aに付勢される。一方、バスバープレート6からの第2方向Bの反力によって、電池積層体2が第2方向Bに付勢される。
【0041】
その他の変形例として、付勢部26は、開口部30の角部から突起部36に向かって、直線状に延びる形状であってもよい。また、付勢部26は、鉛直方向Zから見て円形あるいは蛇腹状であってもよいし、コイルスプリング等であってもよい。この場合、付勢部26は、突起部36と開口部30の配列方向Xに延びる縁部とに挟まれる。なお、湾曲形状、直線状、円形、蛇腹状、コイルスプリング状の付勢部26は、バスバープレート6と電池積層体2とのいずれに設けられてもよい。
【0042】
以上説明したように、本実施の形態に係る電池モジュール1は、出力端子18を有する電池8が複数配列された電池積層体2と、各電池8の出力端子18どうしを電気的に接続するバスバー4と、電池積層体2における出力端子18が配置される面を覆うバスバープレート6であって、各出力端子18と重なる位置に開口部22を有し、開口部22にバスバー4が配置されるバスバープレート6と、を備える。また、バスバープレート6および電池積層体2の一方を第1部材、他方を第2部材とするとき、第1部材は付勢部26を有し、第2部材は付勢受部28を有する。付勢部26が第2部材を押すことで、第1部材および第2部材が互いに反対方向に付勢され、付勢受部28が第1部材に当接することで、第1部材および第2部材の変位が規制される。
【0043】
このように、付勢部26の付勢力によって電池積層体2に対するバスバープレート6の位置を規制することで、各部の寸法や位置の公差に起因する電池積層体2とバスバープレート6との位置ずれを抑制することができ、両者の位置精度をより一層高めることができる。この結果、バスバー4と出力端子18とのより正確な溶接を実現でき、電池モジュール1の品質向上を図ることができる。
【0044】
また、本実施の形態の電池積層体2は、隣接する2つの電池8間に配置されて当該2つの電池8間を電気的に絶縁するセパレータ10を有し、付勢部26はセパレータ10を押す。これにより、電池積層体2に対してバスバープレート6を位置決めするための別部材を設けることなく、電池積層体2とバスバープレート6との位置精度を高めることができる。
【0045】
また、本実施の形態の第2部材は、付勢部26に押される突起部36を有する。このように、付勢部26からの付勢力を受ける専用の突起部36を設けることで、付勢部26の付勢力をより確実に第2部材にかけることができる。また、付勢力の大きさをより簡単に調整することができる。
【0046】
また、本実施の形態の付勢受部28は平面部40を有し、平面部40が第1部材に当接して第1部材および第2部材の変位が規制される。これにより、バスバープレート6の位置精度をより高めることができる。
【0047】
また、本実施の形態では、配列方向Xにおいて2つの付勢部26が付勢受部28を挟むように配置されている。これにより、より安定的にバスバープレート6を位置決めすることができる。なお、配列方向Xにおいて2つの付勢受部28が付勢部26を挟むように配置されても、同様にバスバープレート6を安定的に位置決めすることができる。
【0048】
(実施の形態2)
実施の形態2は、付勢部26の押圧対象が異なる点を除き、実施の形態1と共通の構成を有する。以下、本実施の形態について実施の形態1と異なる構成を中心に説明し、共通する構成については簡単に説明するか、あるいは説明を省略する。図5は、実施の形態2に係る電池モジュール1の平面図である。図6(A)は、電池モジュール1における付勢部26を含む領域を拡大して示す平面図である。図6(B)は、電池モジュール1における付勢部26を含む領域を拡大して示す斜視図である。
【0049】
バスバープレート6および電池積層体2の一方を第1部材、他方を第2部材とするとき、第1部材は付勢部26を有し、第2部材は付勢受部28を有する。本実施の形態では、バスバープレート6が第1部材であり、電池積層体2が第2部材である。なお、バスバープレート6が第2部材であり、電池積層体2が第1部材であってもよい。
【0050】
付勢部26は、弾性変形可能な形状を有し、電池積層体2にバスバープレート6が載置された状態で、第2部材としての電池積層体2をその弾性力によって押す。本実施の形態では、付勢部26は一対の拘束部材12のうちの一方を押圧する。したがって、拘束部材12が、バスバープレート6の直接の付勢対象となる相手部材24である。付勢部26が拘束部材12を押すように設計することで、バスバープレート6を位置決めするための別部材を設けることなく、電池積層体2とバスバープレート6との位置精度を高めることができる。付勢部26が拘束部材12を押すと、第1部材としてのバスバープレート6および第2部材としての電池積層体2が互いに反対方向に付勢される。
【0051】
具体的には、付勢部26が拘束部材12を第1方向Aに押すことで、拘束部材12を含む電池積層体2は、第1方向Aに付勢される。一方、付勢部26を含むバスバープレート6は、拘束部材12からの反力により第1方向Aとは反対側の第2方向Bに付勢される。本実施の形態では、第1方向Aおよび第2方向Bは水平方向Yに対して平行な方向である。バスバープレート6および電池積層体2が互いに反対方向に付勢されている状態で、付勢受部28は、バスバープレート6に当接する。これにより、バスバープレート6および電池積層体2の変位が規制される。
【0052】
本実施の形態のバスバープレート6は、水平方向Yの一端側において、配列方向Xにおける両端に付勢部26を有する。付勢部26は、バスバープレート6の本体部6aの角部から電池積層体2の上面に沿って配列方向Xに延出する腕部32と、腕部32の先端から第1方向Aに屈曲して拘束部材12に向かって延びる先端部34と、を有する板ばねである。本体部6aは、配列方向Xおよび水平方向Yに広がって電池積層体2の上面を覆う平板状の部分である。本体部6aに接する基端部を支点として腕部32が撓むことで、先端部34が第1方向Aおよび第2方向Bに変位することができる。
【0053】
拘束部材12は、付勢部26と対向する位置に切り欠き50を有し、切り欠き50に先端部34が嵌入する。腕部32の弾性変形によって先端部34が拘束部材12を第1方向Aに押圧すると、電池積層体2が第1方向Aに付勢される。また、拘束部材12からの第2方向Bの反力によって、バスバープレート6が第2方向Bに付勢される。
【0054】
付勢受部28は、セパレータ10に設けられる。付勢受部28は、バスバープレート6における配列方向Xおよび水平方向Yの中央部に設けられた開口部30から鉛直方向Zに突出する。付勢受部28がバスバープレート6に当接することで、バスバープレート6の第2方向Bへの変位と、電池積層体2の第1方向Aへの変位とがそれぞれ規制される。付勢受部28とバスバープレート6とが当接する態様は、実施の形態1と同様である。なお、付勢部26によって押される拘束部材12とは反対側の拘束部材12が付勢受部28として機能してもよい。
【0055】
以上、本開示の実施の形態について詳細に説明した。前述した実施の形態は、本開示を実施するにあたっての具体例を示したものにすぎない。実施の形態の内容は、本開示の技術的範囲を限定するものではなく、請求の範囲に規定された発明の思想を逸脱しない範囲において、構成要素の変更、追加、削除等の多くの設計変更が可能である。設計変更が加えられた新たな実施の形態は、組み合わされる実施の形態および変形それぞれの効果をあわせもつ。前述の実施の形態では、このような設計変更が可能な内容に関して、「本実施の形態の」、「本実施の形態では」等の表記を付して強調しているが、そのような表記のない内容でも設計変更が許容される。実施の形態に含まれる構成要素の任意の組み合わせも、本開示の態様として有効である。
【0056】
付勢部26および付勢受部28は、配列方向Xに配列されてもよい。また、第1方向Aおよび第2方向Bは、配列方向Xに平行な方向であってもよい。実施の形態1で説明した付勢部26の形状の変形例は、電池積層体2とバスバープレート6とを位置決めする作用を発揮し得る限りにおいて、実施の形態2の付勢部26にも適用することができる。電池モジュール1が備える電池8の数は特に限定されない。拘束部材12の形状や、拘束部材12による電池積層体2の拘束方法を含む、電池モジュール1の各部の構造は特に限定されない。
【符号の説明】
【0057】
1 電池モジュール、 2 電池積層体、 4 バスバー、 6 バスバープレート、 8 電池、 10 セパレータ、 12 拘束部材、 18 出力端子、 22 開口部、 26 付勢部、 28 付勢受部、 36 突起部、 40 平面部。
図1
図2
図3
図4
図5
図6