(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-20
(45)【発行日】2025-01-06
(54)【発明の名称】化粧品組成物中のレゾルシノール化合物の安定化
(51)【国際特許分類】
A61K 8/34 20060101AFI20241223BHJP
A61Q 19/00 20060101ALI20241223BHJP
A61K 8/46 20060101ALI20241223BHJP
【FI】
A61K8/34
A61Q19/00
A61K8/46
(21)【出願番号】P 2022500934
(86)(22)【出願日】2020-06-23
(86)【国際出願番号】 EP2020067468
(87)【国際公開番号】W WO2021008823
(87)【国際公開日】2021-01-21
【審査請求日】2023-04-24
(32)【優先日】2019-07-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】521042714
【氏名又は名称】ユニリーバー・アイピー・ホールディングス・ベスローテン・ヴェンノーツハップ
(74)【代理人】
【識別番号】100114188
【氏名又は名称】小野 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100119253
【氏名又は名称】金山 賢教
(74)【代理人】
【識別番号】100124855
【氏名又は名称】坪倉 道明
(74)【代理人】
【識別番号】100129713
【氏名又は名称】重森 一輝
(74)【代理人】
【識別番号】100137213
【氏名又は名称】安藤 健司
(74)【代理人】
【識別番号】100143823
【氏名又は名称】市川 英彦
(74)【代理人】
【識別番号】100183519
【氏名又は名称】櫻田 芳恵
(74)【代理人】
【識別番号】100196483
【氏名又は名称】川嵜 洋祐
(74)【代理人】
【識別番号】100160749
【氏名又は名称】飯野 陽一
(74)【代理人】
【識別番号】100160255
【氏名又は名称】市川 祐輔
(74)【代理人】
【識別番号】100202267
【氏名又は名称】森山 正浩
(74)【代理人】
【識別番号】100182132
【氏名又は名称】河野 隆
(74)【代理人】
【識別番号】100172683
【氏名又は名称】綾 聡平
(74)【代理人】
【識別番号】100146318
【氏名又は名称】岩瀬 吉和
(74)【代理人】
【識別番号】100127812
【氏名又は名称】城山 康文
(72)【発明者】
【氏名】ロサ,ホセ・ギレルモ
(72)【発明者】
【氏名】モアデル,ティーノッシュ
【審査官】佐々木 典子
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2013/081147(WO,A1)
【文献】特開昭61-236709(JP,A)
【文献】特表2006-510642(JP,A)
【文献】特表2005-527534(JP,A)
【文献】特開2009-286735(JP,A)
【文献】特開2017-145212(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 8/00- 8/99
A61Q 1/00-90/00
Mintel GNPD
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
a.0.00001~10%のN-アセチルメチオニン、
b.0.00001~10%の1以上の下記式Iの4-置換レゾルシノール誘導体
【化1】
[式中、各R
1及びR
2は独立に、水素原子、-CO-R、-COO-R、及びCONHR[RはC
1-C
18炭化水素を表す。]からなる群から選択され、
R
3
はエチルである。]、
及び
c.美容上許容されるビヒクル
を含み、
前記4-置換レゾルシノール誘導体が、前記N-アセチルメチオニンによって前記組成物中で安定化されている、局所化粧品組成物。
【請求項2】
R
1及びR
2の両方がHである、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
式Iの前記4-置換レゾルシノール誘導体が、4-エチルレゾルシノール、4-イソプロピルレゾルシノール、4-ヘキシルレゾルシノール、4-シクロヘキシルレゾルシノール及びそれらの混合物、又はその美容上許容される塩からなる群から選択される、請求項1または2に記載の組成物。
【請求項4】
α-ヒドロキシ酸及びエステル、β-ヒドロキシ酸及びエステル、ポリヒドロキシ酸及びエステル、コウジ酸及びエステル、フェルラ酸及びエステル、バニリン酸及びエステル、二酸及びエステル、レチノール、レチナール、レチニルエステル、ヒドロキノン、t-ブチルヒドロキノン、1-メチルニコチンアミドクロリド及びこれらの混合物からなる群から選択される皮膚有益剤をさらに含む、請求項1~3のいずれか1項に記載の化粧品組成物。
【請求項5】
a.N-アセチルメチオニンによって安定化された4-置換レゾルシノール誘導体;
b.任意の皮膚有益剤;及び
c.美容上許容されるビヒクル;
を含む安定化化粧品組成物であって、
前記が、前記化粧品組成物の0.0001重量%~5重量%の量で存在するN-アセチルメチオニンであり;
前記N-アセチルメチオニン対前記4-置換レゾルシノール誘導体の重量比が、10,000:1~1:100,000であり;
前記4-置換レゾルシノール誘導体が、下記一般式I
【化1】
[式中、各R
1
及びR
2
は独立に、水素原子、-CO-R、-COO-R、及びCONHR[RはC
1
-C
18
炭化水素を表す。]からなる群から選択され、R
3
はエチルである。]を有する安定化化粧品組成物。
【請求項6】
美容上許容されるビヒクルを含む組成物中の4-エチルレゾルシノール又は4-ヘキシルレゾルシノールを安定化する方法であって、当該組成物に前記4-エチルレゾルシノール又は前記4-ヘキシルレゾルシノールを安定化するのに十分な量でアセチルメチオニンを加えることによる方法。
【請求項7】
局所化粧品組成物の製造における、請求項1~3のいずれか1項に記載のN-アセチルメチオニン及び4-置換レゾルシノール誘導体の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書では、アセチルメチオニンで安定化された4-置換レゾルシノール誘導体を含む局所化粧品組成物が提供される。
【背景技術】
【0002】
見る人に見た場合の美しさは、多くの生理学的及び遺伝的因子の影響を受ける。美しさとしての自然な外観の基本は、髪を含む皮膚にある。理想的な皮膚は、均一な色分布で透明な外観を持っていることに加えて、明らかな表面の傷がなく、滑らかで均一でなければならない。高齢者の皮膚や毛髪の問題は、太陽からの有害な紫外線、環境への曝露、ストレス、疲労、疾患又はそれらの組み合わせなど、各種の外因性又は内因性因子から生じ得るものである。
【0003】
レゾルシノール(1,3-ベンゼンジオール)誘導体は、皮膚と毛髪に美容上の効果を提供するのに使用されてきた。4-置換レゾルシノール誘導体及びそれらの調製物が、美白及び他の美容用途に使用されてきた。例えば、米国特許第4,959,393号、米国特許第6,132,740号、米国特許出願公開第2008/0131382号、及び日本公開特許出願第JP 2001-01 0925及びJP 2000-327557を参照する。クマリンを出発原料として合成することができるレゾルシノール型美白剤は、米国特許出願公開第2004/0042983号に開示されている。しかしながら、これらの化合物の一部は、美容上許容されるビヒクル中で不安定であることから、製剤するのが困難な場合がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】米国特許第4,959,393号
【文献】米国特許第6,132,740号
【文献】米国特許出願公開第2008/0131382号
【文献】特開2001-010925号公報
【文献】特開2000-327557号公報
【文献】米国特許出願公開第2004/0042983号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
酸化不安定性は、4-置換レゾルシノール類における望ましくない特性である。したがって、4-置換レゾルシノールを酸化に対して安定化する薬剤が必要とされている。特に、4-置換レゾルシノール類の酸化を防止する薬剤が必要とされている。
【0006】
変色、酸化、一般的貯蔵安定性などの因子に対して安定化されたレゾルシノール誘導体を含む局所化粧品組成物を有することが望ましいと考えられる。本明細書に記載のN-アセチルメチオニン(AceMet)で安定化された4-アルキルレゾルシノールを含む組成物は、このニーズを満たす。
【課題を解決するための手段】
【0007】
a.約0.00001~約10%のN-アセチルメチオニン、
b.約0.00001~約10%の4-置換レゾルシノール誘導体、
及び
c.ビヒクル又は担体。
【0008】
4-置換レゾルシノール誘導体は、組成物にN-アセチルメチオニンを含めることにより、分解/変色/酸化に対して安定化される。組成物は、変色によってわかるように、化学分解に対してレゾルシノール化合物を安定化するのに十分な量で、美容上有効な量のレゾルシノール化合物及びN-アセチルメチオニンを含む。
【0009】
下記で定義される本明細書で提供されるレゾルシノール誘導体は、1以上の状態によって冒される皮膚の望ましくない色素沈着の徴候又は外観を予防、軽減、低減又は治療するなど、処置を必要とする対象者によって望まれる1以上の美容上の状態の治療又は予防に有用である。
【0010】
4-置換レゾルシノール誘導体は下記一般式Iを有する。
【化1】
【0011】
式中、各R
1及びR
2は独立に、水素原子、-CO-R、-COO-R、及びCONHR[RはC
1-C
18炭化水素を表す。]からなる群から選択され;
R
3はC
1-C
18炭化水素を表すか、下記一般式(II)を有し;
【化2】
式中、Xは、水素;OR
1[R
1は、水素、(C
1-C
6)アルキル又はアリール-(C
1-C
6)アルキルを表す。];OCOR
2[R
2は(C
1-C
6)アルキル、アリール-(C
1-C
6)アルキル又はフェニルを表す。];(C
1-C
6)アルキル;アリール-(C
1-C
6)アルキル;又はNHR
1[R
1は上記のように定義される。]を表し;
nは0~3であり;
破線は任意の二重結合を示し;
【0012】
好ましくは、4-直鎖アルキルレゾルシノール、4-分岐アルキルレゾルシノール、4-シクロアルキルレゾルシノール、及びそれらの混合物を含む。
【0013】
より特定の好ましいレゾルシノール誘導体には、4-エチルレゾルシノール、4-イソプロピルレゾルシノール、4-ヘキシルレゾルシノール及び4-シクロヘキシルレゾルシノール、ならびにそれらのO-アシル化版などがある。
【0014】
別の実施形態では、
a.N-アセチルメチオニンによって安定化された4-置換レゾルシノール誘導体;
b.任意の皮膚効果剤;及び
c.美容上許容されるビヒクル
を含む安定化された化粧品組成物であって、
前記が、前記化粧品組成物の約0.0001重量%~約5重量%の量で存在するN-アセチルメチオニンであり;
前記N-アセチルメチオニン対前記4-置換レゾルシノール誘導体の重量比が約10,000:1~約1:100,000である
化粧品組成物が提供される。
【0015】
本発明の組成物は審美的に心地よく、それに含まれるレゾルシノール誘導体は改善された貯蔵/色/酸化安定性を有する。
【0016】
前記4-ヘキシルレゾルシノールを安定化するのに十分な量で組成物にN-アセチルメチオニンを添加することにより、美容上許容されるビヒクルを含む組成物中の4-ヘキシルレゾルシノールを安定化する(酸化、変色、貯蔵などに対して)方法も提供される。
【0017】
また、処置を必要とする個人の皮膚への局所適用のための化粧品組成物の製造におけるN-アセチルメチオニン及び任意の4-置換レゾルシノール誘導体の使用も提供される。
【0018】
別の変形形態において、4-置換レゾルシノール誘導体及びN-アセチルメチオニンを含む有効量の本発明の組成物を、処置を必要とする個体の皮膚に局所適用することによって皮膚状態を制御する方法が本明細書で提供される。
【0019】
安定剤としてN-アセチルメチオニンも含む、1以上の4-置換レゾルシノール誘導体を含むスキンケア組成物などの組成物を適用するようにユーザーに指示する取扱い説明書を含む製品も本明細書で提供される。当該組成物は、薬学的に及び/又は皮膚科学的に許容される担体及びビヒクルを含むことができる。
【0020】
本発明の組成物は、審美的に心地よく、貯蔵/酸化安定性が改善されている。
【発明を実施するための形態】
【0021】
定義
本明細書で使用される場合、「個体」は、哺乳動物、特にヒトである。個体「での(in)」使用は、個体「表面での(on)」使用も含むことができることは理解される。すなわち、個体「での」使用は、使用の文脈に応じて、体内使用、外部使用又はその両方を含むことができる。
【0022】
本明細書で使用される場合、「そのような処置を必要とする皮膚への投与」は、(例えば、手又はティッシュ、チューブ、ローラー、スプレー、又は貼付剤など(これらに限定されるものではない)の塗布具を用いることで)そのような処置を必要とする皮膚領域又はそのような処置を必要とする皮膚領域に近接する皮膚領域に接触させることを意味する。
【0023】
本明細書で使用される場合、「組成物」は、皮膚への局所投与に適した組成物を意味する。
【0024】
本明細書で使用される場合、「化粧品組成物」という用語は、リーブオン及びウォッシュオフ製品などの、ヒト皮膚への局所適用のための組成物を説明することを意図したものである。
【0025】
本明細書で使用される「皮膚」という用語は、人間の顔、首、胸、背中、腕、腋窩、手、足、及び頭皮の皮膚を含む。
【0026】
実施例を除いて、又は他に明示的に示された場合を除き、材料の量又は反応の条件、材料の物理的特性、及び/又は使用を示す本記載のすべての数字は、「約」という単語によって修飾されているものとして理解されるべきである。別断の断りがない限り、すべての量は組成物の重量基準である。
【0027】
誤解を避けるために、「含む(comprising)」という言葉は、「含む(including)」を意味することを意図しているが、必ずしも「からなる(consisting of)」又は「構成されている(composed of)」とは限らない。言い換えれば、列記された段階又は選択肢は網羅的である必要はない。
【0028】
本明細書に記載のすべての組成物、及び本明細書に記載の組成物を使用するすべての方法について、組成物は、列記された成分又は段階を含むことができるか、列記された成分又は段階「から本質的になる」ことができる。組成物が列記された成分「から本質的になる」と記載される場合、その組成物は、列記された成分を含み、皮膚や処置される皮膚状態にほとんど影響を及ぼさない他の成分を含むことができるが、明示的に列記された成分以外の皮膚や処置される皮膚状態に実質的に影響を与える他成分は全く含まない、又はその組成物が皮膚若しくは処置される皮膚状態に実質的に影響を与える列記されたもの以外の追加成分を含む場合、その組成物は、皮膚又は治療される皮膚状態に実質的に影響を与えるのに十分な濃度又は量の追加成分を含まない。ある方法が、列記された段階「から本質的になる」と記載されている場合、その方法は、列記された段階を含み、皮膚又は処置される皮膚状態に実質的に影響を及ぼさない他の段階を含み得るが、その方法は、明示的に列記された段階以外の皮膚や処置される皮膚状態に実質的に影響を与える他の段階は全く含まない。
【0029】
本明細書で使用される場合、「美容上許容される」又は「皮膚科的に許容される」という用語は、そのように記載された組成物又は成分が、過度の毒性、不適合性、不安定性、刺激、又はアレルギー反応なく、皮膚、特にヒト皮膚と接触しての使用に好適であることを意味する。
【0030】
本明細書で使用される場合、「美容上許容される担体」、「美容上許容される賦形剤」、「皮膚科的に許容される担体」又は「皮膚科的に許容される賦形剤」という用語は、美容的に許容されるか皮膚科学的に許容されるすべての溶媒、分散媒、コーティング、抗菌剤及び抗真菌剤、等張剤及び吸収遅延剤を含む。従来の媒体又は薬剤が有効成分と適合しない場合を除いて、化粧品組成物におけるそれの使用が想定される。補足の有効成分も組成物に組み込むことができる。美容上許容される担体は、皮膚への局所適用に適しており、良好な美的特性を有し、本明細書に記載の活性剤及び任意の他成分と適合性であり、安全性又は毒性上の懸念を最小限しか引き起こさないか、全く引き起こさない。安全で有効な担体の量は、組成物の約50%~約99.99%又は約50%~約99%、好ましくは約80%~約99.9%又は約75%~約99%、より好ましくは約90%~約98%、最も好ましくは約90%~約95%又は約85%~約95%である。パーセンテージは、好ましくは重量パーセントである。
【0031】
本明細書で使用される場合、「皮膚状態」、「皮膚科(dermatologic)状態」、及び「皮膚科的(dermatological)状態」という用語は、互換的に使用される。
【0032】
本明細書で使用される場合、「日焼け止め」という用語は、メトキシシンナメート、オキシベンゾン、アボベンゾンなどの有機又は無機の日焼け止め;酸化チタン及び酸化亜鉛などのサンブロック;及び皮膚保護剤;又はそれらの混合物などがあり得るが、これらに限定されるものではない。
【0033】
本明細書で使用される場合、「局所適用」という用語は、本明細書に記載の組成物を皮膚の表面に適用又は広げることを意味する。
【0034】
本明細書で使用される場合、「アルキル」は、指定された炭素原子数を有する飽和の直鎖又は分岐炭化水素鎖を包含することを意図している。1実施形態では、アルキル基は、1~12個の炭素原子を有することができる。「アルキレン」は、指定された炭素原子数を有する二価の飽和直鎖又は分岐炭化水素鎖を包含することを意図している。1実施形態では、アルキレン基は、1~12個の炭素原子を有することができる。
【0035】
本明細書で使用される場合、「シクロアルキル」は、指定された炭素原子数を有する飽和環状炭化水素鎖を包含することを意図している。1実施形態では、シクロアルキル基は、3~12個の炭素原子を有することができる。
【0036】
本明細書で使用される場合、「アルケニル」は、少なくとも1個の炭素-炭素二重結合を有する直鎖又は分岐炭化水素鎖を包含することを意図している。1実施形態では、アルケニル基は、2~12個の炭素原子を有することができる。
【0037】
本明細書で使用される場合、「アリール」は、例えば、置換された又は置換されていないフェニル又はナフチル基などの芳香族炭化水素を包含することを意図している。
【0038】
本明細書に記載の化合物が生じる可能性があり、中性(非塩)化合物として使用することができるが、その説明は、本明細書に記載の化合物のすべての塩、ならびに化合物のそのような塩を使用する方法を包含することを意図する。1実施形態では、化合物の塩は、薬学的に許容される塩及び/又は皮膚科的に許容される塩を含む。美容上許容される塩は、ヒト及び/又は動物の皮膚に適用することができ、適用時に、遊離化合物(中性化合物又は非塩化合物)の生理活性の少なくとも一部を保持する塩である。塩基性化合物の所望の塩は、化合物を酸で処理することにより当業者に知られている方法によって製造することができる。無機酸の例には、塩酸、臭化水素酸、硫酸、硝酸、及びリン酸などがあるが、これらに限定されるものではない。有機酸の例には、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、グリコール酸、ピルビン酸、シュウ酸、マレイン酸、マロン酸、コハク酸、フマル酸、酒石酸、クエン酸、安息香酸、桂皮酸、マンデル酸、スルホン酸類、及びサリチル酸などがあるが、これらに限定されるものではない。アスパラギン酸塩やグルタミン酸塩などのアミノ酸と塩基性化合物の塩も製造することができる。酸性化合物の無機塩の例には、ナトリウム塩、カリウム塩、マグネシウム塩、及びカルシウム塩などのアルカリ金属塩及びアルカリ土類塩;アンモニウム塩;及びアルミニウム塩などがあるが、これらに限定されるものではない。酸性化合物の有機塩の例には、プロカイン、ジベンジルアミン、N-エチルピペリジン、N,N-ジベンジルエチレンジアミン、トリエチルアミン又はトリアルキルアミン塩などがあるが、これらに限定されるものではない。リジン塩などのアミノ酸との酸性化合物の塩も製造することができる。
【0039】
組成物
4-置換レゾルシノール誘導体
レゾルシノール誘導体は公知の化合物であり、例えば、飽和カルボン酸及びレゾルシノールを塩化亜鉛の存在下で縮合させ、得られた縮合物を亜鉛アマルガム/塩酸で還元する方法(Lille. J. Bitter, LA. Peiner. V, Tr. Nauch-Issled. Inst. slantsev1969, No. 18, 127)によって、又はレゾルシノールと対応するアルキルアルコールをアルミナ触媒の存在下に200~400℃の高温で反応させる方法(英国特許第1,581,428号)によって容易に得ることができる。
【0040】
本発明の組成物は、有効量の下記式(I)のレゾルシノール誘導体を含む。
【化3】
【0041】
式中、
各R
1及びR
2は、独立に、水素原子、-CO-R(アシル基)、-COO-R、CONHRを表し;後者の3つは、それぞれ下記式Aで表され;
【化4】
式中、Rは飽和若しくは不飽和、直鎖、分岐若しくは環状C
1-C
18炭化水素を表す。好ましい実施形態では、R
1及び/又はR
2のそれぞれ又は両方が水素を表す。より好ましい実施形態では、R
1及びR
2の両方が水素を表す。
【0042】
R
3は、
(1)飽和若しくは不飽和、直鎖、分岐若しくは環状C
1-C
18炭化水素、好ましくはC
2-C
12炭化水素;
又は
(2)下記一般式(II)の基:
【化5】
を表し、
式中、
Xは水素;OR
1[R
1は水素、(C
1-C
6)アルキル又はアリール-(C
1-C
6)アルキルを表す。];OCOR
2[R
2は(C
1-C
6)アルキル、アリール-(C
1-C
6)アルキル又はフェニルを表す。];(C
1-C
6)アルキル;アリール-(C
1-C
6)アルキル;又はNHR
1[R
1は上記のように定義される。]を表し;
nは0~3であり;破線は任意の二重結合を示す。
【0043】
たとえば、nが0である場合、一般式IIの基は5員環であり;nが1の場合、その基は6員環であり;nが2の場合は7員環であり;nが3の場合は8員環である。
【0044】
4-置換レゾルシノール類:線形又は分岐
上記式(1)において、R3によって表され、好ましくは2~12個の炭素原子を有し、配列が線形である基は、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基及びドデシル基を含み得る。これらの直鎖アルキル基は、それの1以上の水素原子でメチル基又はエチル基によって置換されていても良い。置換アルキル基の具体例には、イソプロピル基、イソブチル基、イソアミル基、2-メチルヘキシル基などがある。好ましいアルキル基は、R3がエチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、又はオクチル基であるものである。最も好ましいアルキルレゾルシノールは、R3がエチル、イソプロピル、又はヘキシル基であるものである。
【0045】
4-シクロアルキルレゾルシノール類
R
3が上記の一般式(II)の構造を表す式(I)のレゾルシノール誘導体の場合、そのレゾルシノール誘導体は、本明細書では4-シクロアルキルレゾルシノール類と称され、下記一般式(III)によって表される。
【化6】
【0046】
一般式(III)(及び上記の式(II))において、
Xは水素;OR1[R1は水素、(C1-C6)アルキル又はアリール-(C1-C6)アルキルを表す。];OCOR2[R2は(C1-C6)アルキル、アリール-(C1-C6)アルキル又はフェニルを表す。];(C1-C6)アルキル;アリール-(C1-C6)アルキル;又はNHR1[R1は上記のように定義される。]を表し;
nは0~3であり;破線は、その位置での任意の二重結合を示す。
【0047】
4-シクロアルキルレゾルシノール類のより具体的な実施形態の例には、以下が含まれる:
(a)単結合が破線で二つの炭素原子をつないでいる式(III)の化合物;
(b)nが1である式(III)の化合物;
(c)Xが水素である式(III)の化合物;
(d)Xが水素、メチル又はエチルである式(III)の化合物;
(e)nがゼロである式(III)の化合物;
(f)nが2である式(III)の化合物;及び
(g)Xがベンジルオキシである式(III)の化合物
などがある。
【0048】
式(III)の好ましい化合物は、4-シクロヘキシルレゾルシノール、4-シクロヘプチルレゾルシノール、及び4-シクロオクチルレゾルシノールである。式(III)の最も好ましい化合物は、4-シクロヘキシルレゾルシノールである。
【0049】
レゾルシノール誘導体の量は、化粧品組成物の総量の約0.00001~約10重量%、好ましくは約0.001~約重量7%、最も好ましくは約0.01~約5重量%の範囲である。
【0050】
N-アセチルアミノ酸類
本発明者らは、N-アセチルアミノ酸が4-置換レゾルシノール誘導体の酸化を阻害することを見出した。好ましくは、本発明によれば、N-アセチルアミノ酸を用いて、化粧品組成物に組み込まれた4-置換レゾルシノールを安定化させる。
【0051】
N-アセチルメチオニン(「AceMet」)が好ましく、本発明に関しては、以下の化学構造を有する。
【化7】
【0052】
アセチルメチオニン(アセチル-DL-メチオニンの場合はCAS番号1115-47-5)及びN-アセチル-L-メチオニン(「AceMet」の場合はCAS番号65-82-7)は、化粧品用途で含まれてきた。本発明に関しては、N-アセチル-L-メチオニン(「AceMet」)は、L-メチオニンより増強された溶解度プロファイル(水溶性、logP及びlogD)が強化されているために好ましい。
【0053】
AceMetは、必須アミノ酸L-メチオニン(L-Met)の栄養的及び代謝的に同等の形態であり、後者はS-アデノシルメチオニン(SAMe)-最適な細胞エネルギーバランスを維持するための必須栄養素-ならびにシステイン、カルニチン、タウリン、レシチン、ホスファチジルコリンを含む多くの重要な生体分子の生合成の中間体として使用される。AceMetはまた、解毒特性(例えば、パラセタモールの過剰摂取に対する解毒剤、ベンゼン誘導体の解毒)を有することが明らかになっており、製剤中で安定であると推定される(WO0040217、WO05055947)。N-アセチルアミノ酸(例:AceMet)は、皮膚障害(加齢、毛髪、爪などに関連する)を治療するための局所化粧品用途のための複数の活性剤の組み合わせの一部として使用されている(Tristrata IncへのWO00/40717)。
【0054】
N-アセチルメチオニンは、Sigma-Aldrichなどの複数の供給者から入手できる。
【0055】
本発明の組成物は、一般に、約0.00001~約50%のAceMet及び約0.00001~約50%の4-置換レゾルシノールを含む。本発明の組成物の特定の利点は、4-置換レゾルシノールがAceMetによって酸化に対して安定化できることである。
【0056】
4-置換レゾルシノール誘導体の酸化を阻害するのに有効なAceMetの量は、実験によって求めることができる。AceMet及び4-置換レゾルシノール誘導体は、1:10000~10000:1のAceMet:レゾルシノール、好ましくは1:1000~1:5000、より好ましくは1:1~1:1000の重量比で組成物中に存在する。
【0057】
好ましくは、化粧品組成物中のAceMetの量は、約0.00001%~約10%、より好ましくは約0.0001%~約5重量%、最も好ましくは約0.0001%~約2%の範囲である。
【0058】
任意成分
本明細書に記載の化合物のいずれも、他の成分と混合することができる。そのような成分の例には、炭化水素などの油性成分、液体パラフィンなどの脂肪及びオイル、スクアレン、Vaseline(登録商標)(Conopco Corp.、 Englewood Cliffs, New Jerseyの登録商標)などのワセリン、セチルアルコール、イソステアリルアルコール、セチル-2-エチルヘキサノエート、2-オクチルドデシルアルコール、グリセリン、グリセリントリイソステアレート、ナッツオイル、及びラノリン、ならびにワックス、シリコーン、界面活性剤、増粘剤、中和剤、消毒剤、殺菌剤、酸化防止剤、粉末成分、顔料、香水、紫外線光吸収剤、医薬、金属封鎖剤、及びpH調整剤などがある。
【0059】
皮膚有益剤
本発明の化粧品組成物は、例えば、ローション、石鹸、脱臭剤などのパーソナルケア及びパーソナルウォッシュ製品に使用することができる。本発明の組成物を形成するN-アセチルメチオニン化合物及び安定剤は、パーソナルケア組成物に組み込まれる場合、他の有用な機能を有する可能性がある。
【0060】
好ましいパーソナルケア組成物は、ヒトの皮膚への適用に適したものであり、任意に、しかし好ましくは、皮膚有益剤を含む。好適な皮膚有益剤には、老化防止剤、しわ減少剤、美白剤、抗アクネ剤、及び皮脂減少剤などがある。これらの例には、α-ヒドロキシ酸及びエステル、β-ヒドロキシ酸及びエステル、ポリヒドロキシ酸及びエステル、コウジ酸及びエステル、フェルラ酸及びフェルレート誘導体、バニリン酸及びエステル、二酸(セバシド酸(sebacid)及びアゾレイン酸(azoleic acid)など)及びエステル、レチノール、レチナール、レチニルエステル、ヒドロキノン、t-ブチルヒドロキノン、桑の実抽出物、甘草抽出物、1-メチルニコチンアミドクロリド及び上記の4-置換レゾルシノール誘導体以外のレゾルシノール誘導体などがある。
【0061】
本明細書に記載の活性化合物は、皮膚ピール剤(グリコール酸又はトリクロロ酢酸フェイスピール剤など)又は皮膚剥離剤(レチノイン酸又はレチノールなどのレチノイドなど)と組み合わせて使用して、皮膚の色調を明るくし、再色素沈着を防ぐこともできる。適切な投与法、投与される各投与量、及び活性化合物の投与間の具体的な間隔は、使用される特定の活性化合物、処置される患者若しくは対象者の状態、及び処置される障害若しくは状態の性質及び重度によって決まる。好ましくは、活性化合物は、処置される障害又は状態の所望の治療又は改善をもたらす量及び間隔で投与される。
【0062】
本明細書に記載の活性化合物はまた、日焼け止め(UVA又はUVB遮断薬、吸収剤、拡散剤)と組み合わせて使用して、日光又はUV誘発皮膚損傷を防止又は保護することができる。
【0063】
一部の変形態では、組成物はさらに、アスコルビン酸、その誘導体、及びアスコルビン酸に基づく製品(アスコルビン酸マグネシウムなど)又は抗酸化機序を有する他の製品(レスベラトロル、トコフェロール、トコトリエノール及び誘導体など)を含む。
【0064】
一部の変形形態では、組成物は、大豆から単離された化合物の混合物である大豆抽出物をさらに含む。大豆抽出物は、大豆の一部のみを含むことができるか(例えば、低脂質大豆粉末又は濾過豆乳などの大豆の抽出物)、大豆全体を含むことができる(例えば、大豆の粉砕粉末)。大豆抽出物は、流体(例えば、豆乳)又は固体(例えば、大豆粉末又は豆乳粉末)の形態であり得る。
【0065】
適切な投与計画、投与される各投与量、及び各活性局所皮膚有益剤の投与間の特定の間隔は、使用される活性剤の特定の組み合わせ、処置を必要とする対象者の状態、及び対象者の局所的な美容状態の性質及び重度によって決まる。
【0066】
本明細書で提供される化粧品組成物において、活性化合物の濃度は、組成物の総重量に対して、一般に0.01%~10%、又は約0.01%~約10%、例えば、0.1%~5%、又は約0.1%~約5%、又は0.1%~2%、又は約0.1%~約2%、又は0.1%~1%、又は約0.1%~約1%である。
【0067】
本明細書に記載の組成物は、皮膚に直接適用することができる。あるいは、それらは、当技術分野で知られている経皮貼付剤などの各種経皮送達システムによって送達することができる。例えば、局所投与の場合、有効成分は、液剤、ゲル、ローション、軟膏、クリーム、懸濁液、ペースト、塗布剤、粉剤、チンキ剤、エアロゾル、貼付剤などに、当業界で公知の方法によって美容上許容される形態で製剤することができる。当該組成物は、以下に記載されるように、液剤、ローション、スプレー、クリーム、軟膏(ointments)、軟膏(salves)、ゲルなど、動物又はヒトへの局所適用のために化粧品分野で一般的な各種形態のいずれかであることができる。例示的な薬剤は、処置される領域に留まるのに十分な粘性のある薬剤、容易に蒸発しない薬剤、及び/又は、任意に石鹸、クレンザー及び/又はシャンプーの助けを得て水で洗うことによって容易に除去される薬剤である。
【0068】
当該組成物は、液剤、懸濁液、ローション、クリーム、ゲル、トナー、スティック、スプレー、軟膏、クレンジング洗浄液及び固形バー、シャンプー及びヘアコンディショナー、ペースト、泡剤、粉剤、ムース、シェービングクリーム、ワイプ、ストリップ、貼付剤、電動貼付剤、創傷用包帯剤及び接着剤包帯、ヒドロゲル、フィルム形成製品、フェイシャル及びスキンマスク、ファンデーション、アイライナー及びアイシャドウなどのメイクアップ製品(これらに限定されるものではない)などの非常に多様な製品型で作製することができる。これらの製品型は、液剤、懸濁液、マイクロエマルジョン及びナノエマルジョンなどの乳濁液、ゲル、固体及びリポソーム(これらに限定されるものではない)などのいくつかの種類の美容上許容される担体を含むことができる。
【0069】
美容上許容されるビヒクル
美容上許容されるビヒクルは、組成物が皮膚に適用される時にそれらの分布を容易にするように、組成物中の皮膚利益成分の希釈剤、分散剤又は担体として作用し得る。
【0070】
ビヒクルは、水性、無水性又は乳濁液であることができる。好ましくは、当該組成物は、水性又は乳濁液、特に油中水型又は水中油型乳濁液、優先的には水中油型乳濁液である。水が存在する場合、それは、5~99重量%、好ましくは20~70重量%、最適には40~70重量%の範囲であることができる量となる。
【0071】
水に加えて、比較的揮発性の溶媒もまた、本発明の組成物内の担体として機能し得る。最も好ましいのは一価のC1-C3アルカノールである。これらには、エチルアルコール、メチルアルコール及びイソプロピルアルコールなどがある。一価アルカノールの量は、1~70重量%、好ましくは10~50重量%、最適には15~40重量%の範囲であることができる。
【0072】
皮膚軟化剤も、美容上許容される担体として役立つ可能性がある。これらは、シリコーンオイル及び合成エステルの形態であることができる。皮膚軟化剤の量は、0.1~50重量%、好ましくは1~20重量%の範囲であり得る。
【0073】
シリコーンオイルは、揮発性と不揮発性の種類に分けることができる。本明細書で使用される「揮発性」という用語は、周囲温度で測定可能な蒸気圧を有する材料を指す。揮発性シリコーンオイルは、好ましくは、3~9、好ましくは4~5個のケイ素原子を含む環状又は直鎖ポリジメチルシロキサンから選択される。直鎖揮発性シリコーン材料は、一般に、25℃で約5センチストーク未満の粘度を有するが、環状材料は、代表的には、約10センチストーク未満の粘度を有する。皮膚軟化剤として有用な不揮発性シリコーンオイルには、ポリアルキルシロキサン、ポリアルキルアリールシロキサン、及びポリエーテルシロキサンコポリマーなどがある。本明細書で有用な本質的に不揮発性のポリアルキルシロキサンには、例えば、25℃で約500~約2500万センチストークの粘度を有するポリジメチルシロキサンなどがある。本組成物において有用な好ましい不揮発性皮膚軟化剤の中には、25℃で約10~約400センチストークの粘度を有するポリジメチルシロキサンがある。
【0074】
エステル皮膚軟化剤には次のものがある。
(1)炭素数10~20の脂肪酸のアルキルエステル又はアルキルエステル。それの例には、イソアラキジルネオペンタノエート、イソノニルイソナノノエート、オレイルミリステート、オレイルステアレート、及びオレイルオレエートなどがある。
(2)エトキシル化脂肪アルコールの脂肪酸エステルなどのエーテルエステル。
(3)多価アルコールエステル。エチレングリコールモノ及びジ脂肪酸エステル、ジエチレングリコールモノ及びジ脂肪酸エステル、ポリエチレングリコール(200~6000)モノ及びジ脂肪酸エステル、プロピレングリコールモノ及びジ脂肪酸エステル、ポリプロピレングリコール2000モノオレエート、ポリプロピレングリコール2000モノステアレート、エトキシル化プロピレングリコールモノステアレート、グリセリルモノ及びジ脂肪酸エステル、ポリグリセロールポリ脂肪酸エステル、エトキシル化グリセリルモノステアレート、1,3-ブチレングリコールモノステアレート、1,3-ブチレングリコールジステアレート、ポリオキシエチレンポリオール脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、及びポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルが、十分な多価アルコールエステルである。
(4)蜜ロウ、鯨ロウ、ミリスチン酸ミリスチル、ステアリン酸ステアリル及びベヘン酸アラキジルなどのロウエステル。
(5)コレステロール脂肪酸エステルがその例であるステロールエステル。
【0075】
10~30個の炭素原子を有する脂肪酸もまた、本発明の組成物のための美容上許容される担体として含まれ得る。このカテゴリーの例は、ペラルゴン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、イソステアリン酸、ヒドロキシステアリン酸、オレイン酸、リノール酸、リシノール酸、アラキジン酸、ベヘン酸、及びエルカ酸である。
【0076】
多価アルコールタイプの保湿剤もまた、本発明の組成物において美容上許容される担体として用いることができる。保湿剤は、皮膚軟化剤の有効性を高め、皮膚の乾燥を減らし、皮膚の感触を改善するのに役立つ。代表的な多価アルコールには、グリセロール、ポリアルキレングリコール、より好ましくはアルキレンポリオール及びそれらの誘導体、例えばプロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリエチレングリコール及びそれらの誘導体、ソルビトール、ヒドロキシプロピルソルビトール、ヘキシレングリコール、1,3-ブチレングリコール、1,2,6-ヘキサントリオール、エトキシル化グリセロール、プロポキシル化グリセロール及びそれらの混合物などがある。保湿剤の量は、組成物の0.5~30重量%、好ましくは1~15重量%の範囲であり得る。
【0077】
増粘剤はまた、本発明による組成物の美容上許容される担体の一部として利用され得る。代表的な増粘剤には、架橋アクリレート(例えば、Carbopol 982)、疎水性修飾アクリレート(例えば、Carbopol 1382)、セルロース誘導体、及び天然ガムなどがある。有用なセルロース誘導体の中には、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、エチルセルロース及びヒドロキシメチルセルロースがある。本発明に適した天然ガムには、グアー、キサンタン、菌核、カラギーナン、ペクチン、及びこれらのガムの組み合わせなどがある。増粘剤の量は、0.0001~5重量%、通常は0.001~1重量%、最適には0.01~0.5重量%の範囲であり得る。
【0078】
集合的に、水、溶媒、シリコーン、エステル、脂肪酸、保湿剤及び/又は増粘剤は、1~99.9重量%、好ましくは80~99重量%の量で美容上許容される担体を構成するであろう。
【0079】
使用される乳化剤の平均親水性-親油性バランス(HLB)に大きく依存して、油中水型乳濁液又は水中油型乳濁液のいずれかを提供するための乳化剤とともに、油又は油性物質が存在し得る。
【0080】
界面活性剤も、本発明の化粧品組成物中に存在し得る。リーブオン製品の場合、界面活性剤の総濃度は、組成物の0.1~40重量%、好ましくは1~20%、最適には1~5重量%の範囲である。クレンザーや石鹸などのウォッシュオフ製品の場合、界面活性剤の総濃度は約1~約90%の範囲になる。界面活性剤は、アニオン性、ノニオン性、カチオン性及び両性の活性剤からなる群から選択することができる。特に好ましいノニオン性界面活性剤は、疎水性物質1モルあたり2~100モルのエチレンオキシド又はプロピレンオキシドと縮合したC10-C20脂肪アルコール又は酸性疎水性物質;2~20モルのアルキレンオキシドと縮合したC2-C10アルキルフェノール;エチレングリコールのモノ及びジ脂肪酸エステル;脂肪酸モノグリセリド;ソルビタン、モノ及びジ-C8-C20脂肪酸;ブロック共重合体(エチレンオキシド/プロピレンオキシド);及びポリオキシエチレンソルビタンならびにそれらの組み合わせを有するものである。アルキルポリグリコシド及びサッカリド脂肪アミド(例えば、メチルグルコナミド)も好適な非イオン性界面活性剤である。
【0081】
好ましいアニオン性界面活性剤には、石鹸、アルキルエーテルサルフェート及びスルホネート、アルキルサルフェート及びスルホネート、アルキルベンゼンスルホネート、アルキル及びジアルキルスルホスクシネート、C8-C20アシルイセチオネート、アシルグルタメート、C8-C20アルキルエーテルホスフェート及びそれらの組み合わせなどがある。
【0082】
本発明の化粧品組成物は、泡立て界面活性剤を含んでいても良い。「泡立て界面活性剤」とは、水と組み合わされて機械的に攪拌されると、泡(foam)又は泡(lather)を生成する界面活性剤を意味する。好ましくは、泡立て界面活性剤は温和であるべきであり、それは、それが十分なクレンジング効果又は洗剤効果を提供しなければならないが、皮膚を過度に乾燥させてはならず、そしてなおも上記の泡立ち基準を満たさなければならないことを意味する。本発明の化粧品組成物は、約0.01%~約50%の濃度で泡立て界面活性剤を含み得る。
【0083】
当該組成物は、溶液として製剤することができる。溶液は、代表的には、水系又は有機溶媒、例えば、約50%~約99.99%又は約90%~約99%の美容上許容される水系又は有機溶媒を含む。好適な有機溶媒の例には、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール(200-600)、ポリプロピレングリコール(425-2025)、グリセロール、1,2,4-ブタントリオール、ソルビトールエステル、1,2,6-ヘキサントリオール、エタノール、及びそれらの混合物などがある。そのような溶媒の一例は、エタノール/ポリエチレングリコール(80/20)の混合物である。
【0084】
そのような溶液からローションを作ることができる。ローションは、代表的には、約1%~約20%(例えば、約5%~約10%)の皮膚軟化剤及び約50%~約90%(例えば、約60%~約80%)の水を含む。
【0085】
溶液から製剤され得る別の種類の製品はクリームである。クリームは、代表的には、約5%~約50%(例えば、約10%~約20%)の皮膚軟化剤及び約45%~約85%(例えば、約50%~約75%)の水を含む。溶液から製剤され得るさらに別の種類の製品は軟膏である。軟膏は、動物油、植物油若しくは合成油、又は半固体炭化水素の簡単なベースを含むことができる。軟膏は、約2%~約10%の皮膚軟化剤と約0.1%~約2%の増粘剤を含み得る。増粘剤の例には、ICIハンドブック(International Cosmetic Ingredient Dictionary and Handbook)pp.1693-1697に記載されているものなどがあるが、これらに限定されるものではない。
【0086】
本明細書に記載の組成物はまた、乳濁液として製剤することができる。担体が乳濁液である場合、担体の約1%~約10%(例えば、約2%~約5%)が乳化剤を含む。乳化剤は、ノニオン性、アニオン性又カチオン性であり得る。乳化剤の例には、ICI Handbook, pp.1673-1686に記載されているものなどがあるが、これらに限定されるものではない。
【0087】
ローションやクリームは乳液として製剤できる。代表的には、そのようなローションは、0.5%~約5%の乳化剤を含み、一方、そのようなクリームは、代表的には、約1%~約20%(例えば、約5%~約10%)の皮膚軟化剤;約20%~約80%(例えば、30%~約70%)の水;約1%~約10%(例えば、約2%~約5%)の乳化剤を含む。
【0088】
水中油型及び油中水型のローション及びクリームなどの単一乳濁液スキンケア製剤は当技術分野で公知であり、本明細書に記載の組成物及び方法において有用である。水中油中水型又は油中水中油型などの多相乳濁液組成物はまた、本明細書に記載の組成物及び方法において有用である。一般に、そのような単相又は多相乳濁液は、必須成分として水、皮膚軟化剤、及び乳化剤を含む。
【0089】
本明細書に記載の組成物は、ゲル(例えば、好適なゲル化剤を使用する水性、アルコール、アルコール/水、又はオイルゲル)として製剤することもできる。水性及び/又はアルコール性ゲルに適したゲル化剤には、天然ガム、アクリル酸及びアクリルレートポリマー及びコポリマー、ならびにセルロース誘導体(例えば、ヒドロキシメチルセルロース及びヒドロキシプロピルセルロース)などがあるが、これらに限定されるものではない。油(例えば鉱油)に適したゲル化剤には、水素化ブチレン/エチレン/スチレンコポリマー及び水素化エチレン/プロピレン/スチレンコポリマーなどがあるが、これらに限定されるものではない。そのようなゲルは、代表的には、約0.1重量%~5重量%のそのようなゲル化剤を含む。
【0090】
ジメチルスルホキシド、ジメチルアセトアミド、ジメチルホルムアミド、界面活性剤、アゾン(ラウロカプラム)、アルコール、アセトン、プロピレングリコール及びポリエチレングリコールなど(これらに限定されるものではない)の有効成分の経皮吸収を増強するために、1以上の追加の薬剤を局所製剤に加えることができる。物理的方法を使用して、イオントフォレシス又はソノフォレシスなどの経皮浸透を強化することもできる。
【0091】
本明細書で提供される局所適用組成物は、本明細書に記載の皮膚に所望の効果を有する美容上有効な薬剤、及び担体としての使用に必要な成分を含み、例えば、乳濁液、クリーム、軟膏、水溶液、ローション若しくはエアロゾルである。
【0092】
本明細書に記載の組成物で利用される担体には、非常に多様な形態であることができる。これらには、水中油型、油中水型、水中油中水型、及びシリコーン中水中油型乳濁液、クリーム、軟膏、水溶液、ローション又はエアロゾルなど(これらに限定されるものではない)の乳濁液担体などがある。所与の成分は、組成物中の成分の水溶性/分散性に応じて、主に水若しくは油/シリコーン相のいずれかに分布する。
【0093】
本明細書で提供される皮膚用製剤は、代表的には、本明細書に記載の任意の化合物若しくは組成物の誘導体、及び任意に極性溶媒を含むことができる。本明細書に記載の製剤での使用に適した溶媒には、誘導体を溶解することができるあらゆる極性溶媒が含まれる。好適な極性溶媒には、水;アルコール(エタノール、プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、ヘキサノール、ベンジルアルコールなど)。多価アルコール(プロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、ブチレングリコール、ヘキシレングリコール、マルチトール、ソルビトール、グリセリンなど);グリセリンに溶解したパンテノール、フレーバーオイル及びそれらの混合物などがあり得る。これらの溶媒の混合物も使用できる。例示的な極性溶媒は、多価アルコール及び水であり得る。これらの溶媒の混合物も使用できる。例示的な極性溶媒は、多価アルコール及び水であることができる。溶媒の例には、グリセリン、グリセリン中のパンテノール、プロピレングリコール及びブチレングリコールなどのグリコール、ポリエチレングリコール、水及びそれらの混合物などがあり得る。使用されるさらなる極性溶媒は、アルコール、グリセリン、パンテノール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、ヘキシレングリコール及びそれらの混合物であることができる。
【0094】
皮膚軟化剤も、本明細書に記載の化粧品/皮膚科組成物に加えることができる。皮膚軟化剤は、脂肪、オイル、脂肪アルコール、脂肪酸、及びエステルを含むことができ、これらは、塗布及び接着を助け、光沢を生じ、閉鎖保湿(occlusive moisturization)を提供する。使用に適した皮膚軟化剤は、イソステアリン酸誘導体、パルミチン酸イソプロピル、ラノリン油、ダイマー酸ジイソプロピル、マレイン化大豆油、パルミチン酸オクチル、イソステアリン酸イソプロピル、乳酸セチル、リシノール酸セチル、酢酸トコフェリル、アセチル化ラノリンアルコール、酢酸セチル、フェニルトリメチコン、オレイン酸グリセリル、リノール酸トコフェリル、小麦胚芽グリセリド、プロピオン酸アラキジル、乳酸ミリスチル、オレイン酸デシル、プロピレングリコールリシノールエート、リノール酸イソプロピル、テトラステアリン酸ペンタエリスリチル、ネオペンチルグリコールジカプリレート/ジカプレート、水素化ココグリセリド、イソノナン酸イソノニル、イソノナン酸イソトリデシル、ミリスチン酸ミリスチル、クエン酸トリイソセチル、セチルアルコール、オクチルドデカノール、オレイルアルコール、パンテノール、ラノリンアルコール、リノール酸、リノレン酸、脂肪酸のスクロースエステル、ヒドロキシステアリン酸オクチル及びそれらの混合物であることができる。好適な皮膚軟化剤には、極性皮膚軟化剤乳化剤(直鎖又は分枝ポリグリセロールエステルなど)及び非極性皮膚軟化剤などがあり得る。皮膚軟化剤成分は、代表的には、約1%~約90%、好ましくは約10%~約80%、より好ましくは約20%~約70%、最も好ましくは約40%~約60%の化粧品組成物を含み得る。
【0095】
本明細書で使用される「極性皮膚軟化剤」とは、少なくとも一つの極性部分を有し、極性皮膚軟化剤中の細胞保護誘導体化合物の溶解度(30℃で)が約1.5%強、好ましくは2%強、より好ましくは約3%強である皮膚軟化剤乳化剤を意味する。好適な極性皮膚軟化剤には、ポリオールエステル、及び直鎖若しくは分岐ポリグリセロールエステル及びポリグリセロールエーテルなどのポリオールエーテルなどがあり得るが、これらに限定されるものではない。そのような皮膚軟化剤の非限定的な例には、PG3ジイソステアレート、ポリグリセリル-2-セスキイソステアレート、ポリグリセリル-5-ジステアレート、ポリグリセリル-10-ジステアレート、ポリグリセリル-10-ジイソステアレート、アセチル化モノグリセリド、グリセロールエステル、グリセロールトリカプリレート/カプレート、リシノール酸グリセリル、イソステアリン酸グリセリル、ミリスチン酸グリセリル、リノール酸グリセリル、PEG600などのポリアルキレングリコール、モノグリセリド、2-モノラウリン、ソルビタンエステル及びそれらの混合物などがあり得る。
【0096】
本明細書で使用される「非極性皮膚軟化剤」とは、永久電気モーメントを全く持たない又は最小限に有する任意の皮膚軟化剤乳化剤を意味する。好適な非極性皮膚軟化剤には、エステル及び直鎖若しくは分岐鎖炭化水素などがあり得るが、これらに限定されるものではない。そのような皮膚軟化剤の非限定的な例には、イソノニルイソノナノエート、イソプロピルイソステアレート、オクチルヒドロキシステアレート、ダイマー酸ジイソプロピル、ラノリン油、パルミチン酸オクチル、パルミチン酸イソプロピル、パラフィン、イソパラフィン、アセチル化ラノリン、スクロース脂肪酸エステル、ミリスチン酸イソプロピル、ステアリン酸イソプロピル、鉱油、シリコーンオイル、ジメチコン、アラントイン、イソヘキサデカン、イソドデカン、ペトロラタム、及びそれらの混合物などがある。極性又は非極性皮膚軟化剤における化合物の溶解度は、当技術分野で公知の方法に従って求めることができる。
【0097】
好適なオイルには、エステル、トリグリセリド、炭化水素及びシリコーンなどがある。これらは、単一の材料又は1以上の材料の混合物であることができる。それらは通常、0.1%~約100%、好ましくは約5%~約90%、そして最も好ましくは約70%~約90%の皮膚軟化剤成分を含み得る。
【0098】
本明細書で使用するのに好適なオイルは、アルコール及び多価アルコールのアセチルグリセリド、オクタノエート及びデカノエート、例えば、グリコール及びグリセロールのもの、アルコール及び多価アルコールのリシノール酸エステル、例えばリシノール酸セチル、PG-3ジイソステアレート、ポリグリセロールエーテル、ポリグリエロールエステル、カプリリックトリグリセリド、カプリックトリグリセリド、イソステアリン酸トリグリセリド、アジピックトリグリセリド、フェニルトリメチコン、ラノリンオイル、ポリブテン、パルミチン酸イソプロピル、イソステアリン酸イソプロピル、リシノール酸セチル、オクチルドデカノール、オレイルアルコール、硬化植物油、ヒマシ油、変性ラノリン、パルミチン酸オクチル、ラノリンオイル、マレイン化大豆油、リシノール酸セチル、トリオクタン酸グリセリル、ダイマー酸ジイソプロピル、合成ラノリン誘導体及び分岐アルコール、脂肪酸のスクロースエステル、ヒドロキシステアリン酸オクチル及びそれらの混合物であり得る。
【0099】
好ましくは、使用されるオイルは、使用されるオイルのタイプの大部分(少なくとも約75%、好ましくは少なくとも約80%、最も好ましくは少なくとも約99%)が、約1~約0.1以下、好ましくは約0.8~約0.1以下の差がない溶解度パラメーターを有するように選択することができる。
【0100】
有益な化粧品特性又は適用特性を与えるために、界面活性剤を本明細書に記載の組成物に添加することもできる。使用に適した界面活性剤は、乳濁液及び/又は会合構造を形成することができるものであり得る。界面活性剤乳化剤は、製剤の0%~約20%、好ましくは0%~約15%、最も好ましくは約1%~約10%であり得る。
【0101】
本明細書に記載の組成物に使用できる表面活性剤の例には、アルキル硫酸ナトリウム、例えば、ラウリル硫酸ナトリウム及び硫酸ミリスチルナトリウム、N-アシルサルコシン酸ナトリウム、例えば、N-ラウロイルサルコシン酸ナトリウム及びN-ミリストイルサルコシン酸ナトリウム、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、水素化ヤシ脂肪酸モノグリセリド硫酸ナトリウム、ラウリルスルホ酢酸ナトリウム及びグルタミン酸N-アシル、例えば、グルタミン酸N-パルミトイル、N-メチルアシルタウリンナトリウム塩、N-メチルアシルアラニンナトリウム塩、α-オレフィンスルホン酸ナトリウム及びジオクチルスルホコハク酸ナトリウム;N-アルキルアミノグリセロール、例えば、N-ラウリル-ジアミノ-エチルグリセロール及びN-ミリスチルジアミノエチルグリセロール、N-アルキル-N-カルボキシメチルアンモニウムベタイン及びナトリウム2-アルキル-1-ヒドロキシエチルイミダゾリンベタイン;ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルアリールエーテル、ポリオキシエチレンラノリンアルコール、ポリオキシエチレングリセリルモノ脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビトール脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、高級脂肪酸グリセロールエステル、ソルビタン脂肪酸エステル、プルロニック(登録商標)型表面活性剤、及びポリオキシエチレンソルビタンモノオレエート及びポリオキシエチレンソルビタンモノラウレートなどのポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルなどがある。当業者に知られている乳化剤型の界面活性剤を、本明細書に記載の組成物に使用することができる。
【0102】
極性溶媒と混合したときに周囲温度で会合構造、好ましくは層状又は六方液晶を形成する界面活性剤も本明細書で有用であり得る。会合構造を形成する能力を実証するために界面活性剤と極性溶媒のサンプルの組み合わせを調製する際、会合構造が周囲温度で形成できるように、界面活性剤は極性溶媒に十分可溶である必要がある。
【0103】
周囲温度で会合構造を形成し、化粧品での使用に適している任意の界面活性剤が、本明細書での使用に好適であり得る。化粧品での使用に適した界面活性剤は、皮膚科的又は毒物学的問題をまったく又は最小限に抑える。アニオン性界面活性剤、ノニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、両性界面活性剤及びそれらの混合物が使用に好適であり得る。
【0104】
界面活性剤は、会合構造の約4%~約97%、好ましくは約5%~約95%、より好ましくは約20%~約90%、最も好ましくは約30%~約70%のレベルで使用することができる。
【0105】
本明細書に記載の化粧品組成物は、化粧品組成物に使用される特定の液体ベース材料を固化するのに有効な、本明細書で単独で又は集合的に「固化剤」と呼ばれる1以上の材料を含むことができる(本明細書で使用される場合、「固化する」という用語は、周囲条件で固体又は半固体を形成するための、すなわち、安定した物理的構造を有し、通常の使用条件下で皮膚上に堆積することができる最終組成物を形成するための液体ベース材料の物理的及び/又は化学的変化を指す。)。当業者によって理解されるように、化粧品組成物に使用するための特定の固化剤の選択は、所望される組成物の特定のタイプ、すなわちゲル若しくはロウベース、所望のレオロジー、使用される液体ベース材料、及び組成物で使用される他の材料によって決まる。固化剤は、好ましくは約0.1%~約90%、より好ましくは約1%~約50%、さらにより好ましくは約5%~約40%、最も好ましくは約3%~約20%の濃度で存在することができる。
【0106】
本明細書で提供されるロウ化粧スティック型は、好ましくは、約5%~約50%(重量基準)のロウ状凝固剤を含み得る。本明細書で使用される「ロウ状固化剤」という用語は、ロウ様の特性を有する固化材料を意味する。そのようなロウ状材料はまた、皮膚軟化剤として役立つ可能性がある。本明細書で有用なロウ状材料の中には、高融点ロウ、すなわち約65℃~約125℃の融点を有するロウ、例えば蜜ロウ、鯨ロウ、カルナウバ、ベイベリー、カンデリラ、モンタン、オゾケライト、セレシン、パラフィン、合成ロウ、例えばフィッシャー-トロプシュロウ、微結晶ロウ、及びそれらの混合物がある。本明細書で有用なものの中には、セレシン、オゾケライト、白蜜ロウ、合成ロウ、及びそれらの混合物がある。本明細書に記載のワックススティック型での使用には、約37℃~約75℃の融点を有する低融点ロウが好ましい場合がある。液体ベース材料として揮発性シリコーンオイルを含むロウスティック型は、好ましくは約10%~約35%、より好ましくは約10%~約20%(重量基準)の低融点ロウを含む。そのような材料には、約8~約30個の炭素原子の脂肪鎖を有する脂肪酸、脂肪アルコール、脂肪酸エステル及び脂肪酸アミド、ならびにそれらの混合物などがある。ロウ様材料には、セチルアルコール、パルミチン酸、ステアリルアルコール、ベヘン酸アミド、獣脂脂肪酸のスクロースエステル、ポリエチレングリコールのモノ及びジ脂肪酸エステル、ならびにそれらの混合物などがある。ステアリルアルコール、セチルアルコール、及びそれらの混合物が主に使用される。追加の脂肪酸、脂肪アルコール、及び他のロウ様材料も、当技術分野で公知である。
【0107】
さらに、これらの組成物は、他の化粧品、担体、アジュバントなどを含み得る。いくつかの特定の追加剤には、日焼け止め;レチノイド;抗酸化剤;ヒドロキシ酸;脂肪酸、天然アミノ酸若しくはヒドロキシアルキル酸の許容される無毒性金属塩;植物抽出物、サリチル酸、過酸化ベンゾイル、抗生物質、抗アンドロゲン、抗炎症剤、抗酸化剤、アスコルビン酸、ビタミンB、トコフェロール又はトコトリエノール、コルチコステロイド、保湿剤、界面活性剤、角質溶解剤、錯化剤、着色剤、香料、及びそれらの混合物などがあり得る。
【0108】
合成法
本明細書に記載のレゾルシノール化合物は、一般的によく知られている合成方法の適切な組み合わせによって合成することができる。本明細書における化合物の合成に有用な技術は、本明細書に記載の内容を考慮すると容易に明らかであるとともに、関連技術の当業者が利用できるものでもある。
4-アルキルレゾルシノールは、Sigma-Aldrich, St. Louis, Missouri, USAから市販されている。
【0109】
実施例
実施例1
4-アルキルレゾルシノールの分解及び安定化の徴候の評価
色の測定
4-ヘキシルレゾルシノール(200mg)又は4-エチルレゾルシノール(200mg)をDI水:ブチレングリコール(4:1;20mL)に溶解して、無色透明の均質溶液を生成することによって、色評価用のサンプルを調製した。各溶液の一部(5mL)を、ニコチンアミド(B3)(50mg)、AceMet(アセチルメチオニン)(50mg)、又はB3(50mg)+AceMet(50mg)のいずれかを含む20mLシンチレーションバイアルに加え、室温(約20~22℃)でモニタリングした。2週間後、各溶液の色を肉眼で評価し、Labscan XE機器(Hunter Associates Labs Inc., Reston, VA)を使用して実験的にL*a*b*測定値を求め、Universal Software(バージョン4.10)で処理した。L*パラメータは、暗さ及び明るさを測定するのものであり、黒(L*=0)から白(L*=100)の範囲である。a*パラメータは、緑(a*<0)からニュートラルグレー(a=0)から赤(a*>0)の範囲の色の内容と強度を測定するものである。b*パラメータも、青(b*<0)からニュートラルグレー(b*=0)から黄色(b*>0)の範囲の色の内容及び強度を測定する。
【0110】
4-アルキルレゾルシノールの定量
色の測定に使用された各サンプル中に存在する4-アルキルレゾルシノールの量を、室温(約20~22℃)で2週間後に高速液体クロマトグラフィー(HPLC)によって定量した。各色測定溶液からの小分けサンプル(100μL)をDI水:アセトニトリル(1:1、900μL)で希釈して、試験サンプル(1mL)を得た。各試験サンプルからの小分け量(10μL)をWaters 2695 Separations Moduleに注入し、クロマトグラフィーを行い、30℃で動作するRestek Pinnacle DB C18(5μm、4.6×150mm)カラムで分離し、281nmに設定されたWaters 2996 Photodiode Array Detectorを使用して4-アルキルレゾルシノールをモニタリングした。移動相は水(A)及びアセトニトリル(B)からなるものであり、流量1mL/分で20分以内での95:5(A:B)から5:95(A:B)までの勾配、続いて3分間の5:95(A:B)の定組成溶離を用いて最適な分離を行った。Empower 2ソフトウェア(Waters Corporation, Milford, MA)を使用して、クロマトグラフィーデータを処理した。1倍、5倍、及び1/5濃度の4-アルキルレゾルシノールの標準対照サンプルを新たに調製し、直ちに分析した。試験サンプル範囲内で標準曲線を作成し、直線性を確認した。
【0111】
いずれのサンプルも二連で分析し、平均値を報告した。2週間後に各試験サンプルに存在する4-アルキルレゾルシノールの量を、4-アルキルレゾルシノールの281nmでの曲線下のクロマトグラフィーピーク面積を測定することによって求め、調製したばかりの対照サンプルについての281nmでの曲線下の相当するクロマトグラフィーピーク面積に対するパーセント比として表した。
【0112】
下記の表1は、ニコチンアミド「B3」の存在下及び非存在下での4-アルキルレゾルシノール(ヘキシルレゾルシノール「HR」及びエチルレゾルシノール「ER」)の色と安定性に対するAceMetの効果を示している。調製したばかりのHRの溶液は無色であり、HPLC分析ではHRの分解は全く観察されない。2週間後、a*及びb*成分の増加(及びL*の減少)及びHRレベルの40%低下によって示されるように、HR溶液の色は赤色様ピンク色に変化する。B3をHR溶液に追加すると、HRの分解が大幅に加速されて55%分解され、a*、b*のさらに大幅な増加、及びL*の低下によってわかるように、より強い色が生じる。対照的にそして予想外に、HR溶液へのAceMetの添加は、対照レベルに非常に近い相当するL*a*b*値及びHR含有量によって示されるように、B3の存在下又は非存在下での色形成及びHR分解をかなり防止する。同様に、AceMetは、B3の存在下又は非存在下でER溶液における発色をかなり防止し、HRと比較して程度は低いものの、ER分解に対する保護を提供した。これらの結果は、そのような色の形成と分解をさらに加速し得る他の化粧品成分(B3など)の存在下又は非存在下での4-アルキルレゾルシノールの色及び化学的安定化に対するAceMetの重要な効果を明瞭に示している。
【0113】
室温(約20~22℃)で2週間後のB3の存在下及び非存在下での4-アルキルレゾルシノール(HR及びER)の色及び安定性に対するAceMetの効果を以下の表に示す。
【0114】
【0115】
実施例2.ER及びAceMet
本発明の範囲に含まれる局所化粧品組成物を調製した。
【0116】
以下の表に示す基本製剤を、相Aの成分を攪拌しながら70~85℃に加熱することによって作った。相Bの成分を、別の容器中、攪拌しながら加熱して70~85℃とした。次に、両方の相を70~85℃に維持しながら、相Aを相Bに加えた。得られた混合物を70~85℃で少なくとも15分間撹拌し、次に冷却した。相Cの成分を50℃で加え、続いて相Dの成分を40℃で加えた。
【0117】
【0118】
実施例3
以下の表に示すように、本発明の範囲に含まれる別の化粧品組成物を調製した。
【0119】
【0120】
当該組成物は以下のように調製した。
1.混和しながら相Aを加熱して80℃とする。
2.混和しながら、別の容器で相Bを加熱して75℃とする。
3.BをAに加え、70~80℃に維持しながら15分間混和し、その後、加熱を止め、さらに15分間混和を続ける。
4.50℃で相Cを加え、10分間混和する。
5.40℃で相Dを加え、10分間混和する。
【0121】
実施例4~11
本発明の範囲に含まれる一連の別の組成物を、実施例2の方法によって調製し、下記の表に列記している。
【0122】
【0123】
実施例12
下記の表中の製剤を、上記の実施例1に記載の方法に従って調製した。
【0124】