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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-20
(45)【発行日】2025-01-06
(54)【発明の名称】建設機械
(51)【国際特許分類】
   E02F 9/00 20060101AFI20241223BHJP
   E02F 3/84 20060101ALN20241223BHJP
【FI】
E02F9/00 C
E02F3/84 Z
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2022528500
(86)(22)【出願日】2021-05-10
(86)【国際出願番号】 JP2021017624
(87)【国際公開番号】W WO2021246108
(87)【国際公開日】2021-12-09
【審査請求日】2024-02-09
(31)【優先権主張番号】P 2020095926
(32)【優先日】2020-06-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】720001060
【氏名又は名称】ヤンマーホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001933
【氏名又は名称】弁理士法人 佐野特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】若田 健眞
(72)【発明者】
【氏名】岡▲崎▼ 耕平
【審査官】湯本 照基
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-012255(JP,A)
【文献】特開2014-040726(JP,A)
【文献】特開2012-241326(JP,A)
【文献】特開2013-002169(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E02F 9/00
E02F 3/84
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
前後方向に直進可能な走行体と、
前記走行体の前方に配置される排土板を有する排土装置と、
前記走行体上に旋回可能に搭載される旋回体と、
前記旋回体の設置部に設置される作業装置と、
前記排土板に取り付けられ、前記排土板に関わる情報を検出する検出装置と、
前記旋回体に配置される制御装置と、
一端が前記検出装置に接続される第1ケーブルと、
一端が前記制御装置に接続される第2ケーブルと、
前記旋回体に配置され、前記第1ケーブルの他端を前記第2ケーブルの他端に接続する中継部と、
前記旋回体に配置され、前記中継部から延び出す前記第1ケーブルの動きを規制する第1規制部材と、
を備え
前記第1規制部材は、前記中継部よりも下方に配置される、建設機械。
【請求項2】
前記設置部が前方を向く前方配置とした前記旋回体の前後方向からの平面視において、
前記第1規制部材は、前記設置部と前記中継部との左右方向間に配置される、請求項1に記載の建設機械。
【請求項3】
前記前方配置される前記旋回体の上下方向からの平面視において、
前記第1ケーブルの他端に設けられるコネクタは、前後方向に対して傾斜して配置され、前記中継部から前記設置部に向かって延びる、請求項2に記載の建設機械。
【請求項4】
前記第1ケーブルは、前記第1規制部材に引っ掛けられる、請求項1からのいずれか1項に記載の建設機械。
【請求項5】
前記第1規制部材は、先端部が上方に向くL字状である、請求項に記載の建設機械。
【請求項6】
前記排土装置には、前記第1ケーブルの動きを規制する少なくとも1つの第2規制部材が配置される、請求項1からのいずれか1項に記載の建設機械。
【請求項7】
前記排土板は、左右方向の中心に対して左右の両側に、前記検出装置を着脱可能に取り付ける基台部を有し、
前記排土装置には、2つの前記基台部に対する前記検出装置の付け替えに応じて、異なる位置に配置される前記第2規制部材の使用を可能とする複数の第2規制部材用取付部が設けられる、請求項に記載の建設機械。
【請求項8】
前記中継部は、
前記設置部が前方を向く前方配置とした前記旋回体の前方において、前記旋回体の上面から上方に延びる支持部材と、
前記支持部材に取り付けられ、前記第2ケーブルの他端に設けられるコネクタを保持する保持部材と、
を有する、請求項1からのいずれか1項に記載の建設機械。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建設機械に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、整地作業に用いられる排土装置を備えた建設機械が知られる。例えば、建設機械の代表例である油圧ショベルの下部走行体の前方に、左右方向に延びるブレード(排土板)を有する排土装置が設けられる。油圧ショベルに搭載された排土装置により、施工すべき地面の3次元データに従ってブレードの動作を自動制御して整地作業を行う技術が知られる(例えば特許文献1参照)。
【0003】
特許文献1の油圧ショベルは、ブレードに取り付けられる位置・姿勢検出装置と、下部走行体上に旋回可能に搭載される上部旋回体に設けられるコントローラと、を備える。位置・姿勢検出装置は、ブレードの位置および姿勢を示す。コントローラは、位置・姿勢検出装置が示すブレードの位置および姿勢に基づいてブレードの動作を制御する。
【0004】
上部旋回体に設けられる運転席の前側には左、右方向に延在する手摺りが設けられ、手摺りには中継コネクタが固定される。コントローラに一端が接続された旋回体側ケーブルの他端は、中継コネクタに接続される。位置・姿勢検出装置に一端が接続されたブレード側ケーブルの他端は、中継コネクタに着脱可能に接続される。整地作業を行う場合には、旋回体側ケーブルとブレード側ケーブルとが中継コネクタを介して接続され、位置・姿勢検出装置とコントローラとを接続することができる。一方、上部旋回体に設けられる作業装置を用いた掘削作業等を行う場合には、ブレード側ケーブルを中継コネクタから取り外すことにより、上部旋回体の旋回動作がケーブルにより制限されることを回避することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2020-12255号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
整地作業を行う場合においても、上部旋回体が回転される場合がある。例えば、運転席からのブレードの目視を容易とする目的で、上部旋回体が整地作業を行う場合に旋回されることがある。特許文献1の構成においては、中継コネクタから位置・姿勢検出装置へと延びるブレード側ケーブルは、上部旋回体の旋回に伴い自由に動くことができる。このために、上部旋回体の旋回により、ブレード側ケーブルの中継コネクタに接続される他端には負荷がかかり易い。当該負荷により、例えば、ブレード側ケーブルの他端に設けられるコネクタが損傷する可能性がある。
【0007】
本発明は、旋回体の旋回によってケーブルの接続箇所に負荷が加わることを抑制できる技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の例示的な建設機械は、前後方向に直進可能な走行体と、前記走行体の前方に配置される排土板を有する排土装置と、前記走行体上に旋回可能に搭載される旋回体と、前記旋回体の設置部に設置される作業装置と、前記排土板に取り付けられ、前記排土板に関わる情報を検出する検出装置と、前記旋回体に配置される制御装置と、一端が前記検出装置に接続される第1ケーブルと、一端が前記制御装置に接続される第2ケーブルと、前記旋回体に配置され、前記第1ケーブルの他端を前記第2ケーブルの他端に接続する中継部と、前記旋回体に配置され、前記中継部から延び出す前記第1ケーブルの動きを規制する第1規制部材と、を備える。
【発明の効果】
【0009】
本発明の例示的な建設機械によれば、旋回体の旋回によってケーブルの接続箇所に負荷が加わることを抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の実施形態に係る建設機械の概略斜視図
図2】本発明の実施形態に係る建設機械の概略側面図
図3】検出装置およびその周辺を拡大して示す概略斜視図
図4】中継部およびその近傍を拡大して示した概略斜視図
図5】中継部の構成を示す概略斜視図
図6】第1規制部材の構成を示す概略斜視図
図7】第1規制部材の変形例を示す概略断面図
図8】排土装置に配置される第2規制部材およびその周辺を示す概略斜視図
図9図8に示す構成に2つの第1ケーブルが取り付けられた状態を示す図
図10】第2規制部材が取り付けられるチルトシリンダカバーの構成を示す概略斜視図
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の例示的な実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。本明細書では、図1に示す走行体1が直進する方向を前後方向とし、走行体1の排土板41が配置される側を前側とする。また、走行体1に対して旋回体2が上として上下方向を定義する。前後方向と上下方向とに直交する方向を左右方向と定義する。後方から前方に向かって見た場合に右となる側を右側、左となる側を左側とする。また、旋回方向については、旋回体2が有する運転席22に座るオペレータを基準とした表現を用い、オペレータが時計回り方向に回転する方向を右旋回とし、反時計回り方向に回転する方向を左旋回とする。また、本明細書では、上下方向と平行な面を鉛直面と表現することがある。上下方向と直交する面を水平面として、水平面に平行な方向を水平方向と表現することもある。なお、これらの方向は単に説明のために用いられる名称であって、実際の位置関係及び方向を限定する意図はない。
【0012】
<1.建設機械の概要>
図1は、本発明の実施形態に係る建設機械100の概略斜視図である。図2は、本発明の実施形態に係る建設機械100の概略側面図である。図1および図2示すように、建設機械100は、バックホーである。以下、本実施形態の建設機械のことをバックホー100と表現する。ただし、本発明は、バックホー以外の建設機械にも適用可能である。本発明は、排土装置が設けられる走行体と、走行体上に旋回可能に搭載される旋回体とを備える建設機械に広く適用可能である。
【0013】
図1および図2に示すように、バックホー100は、走行体1と、旋回体2と、作業装置3と、排土装置4とを備える。
【0014】
走行体1は、バックホー100を自走可能とする。走行体1は、前後方向に直進可能である。詳細には、走行体1は、左右一対のクローラ1aと、それらを駆動させる走行モータ1bと、を有する。走行モータ1bは油圧モータである。走行体1は、走行モータ1bが左右のクローラ1aを同時に駆動することで前後方向に直進することができる。走行体1は、走行モータ1bが左右のクローラ1aを独立して駆動することで右旋回および左旋回を行うことができる。なお、本実施形態のバックホー100はクローラ式であるが、クローラ式に替えてホイール式とされてもよい。
【0015】
旋回体2は、走行体1上に旋回可能に搭載される。旋回体2は、上下方向からの平面視において、左右一対のクローラ1aの間に配置される旋回台21を有する。旋回台21は、走行体1の本体フレーム1cに回転可能に支持される。旋回台21は、油圧モータとして構成される不図示の旋回モータにより駆動され、上下方向に延びる中心軸を中心として旋回する。旋回台21は、右旋回と左旋回とを可能に設けられる。
【0016】
旋回体2には、バックホー100を操縦するオペレータが座る運転席22、および、旋回体2の内部に配置されるエンジン(不図示)が配置される。運転席22に座るオペレータは、運転席22の近傍に設けられる各種の操作レバーやペダルを操作する。原動機としてのエンジンは、バックホーに搭載された油圧アクチュエータに圧油を供給する油圧ポンプ(不図示)を駆動する。油圧アクチュエータには、各種の油圧モータおよび油圧シリンダが含まれる。
【0017】
作業装置3は、ブーム31と、アーム32と、バケット33とを有する。作業装置3は、これらを同時に又は独立して動かすことで、土砂等の掘削作業を可能とする。ブーム31は、その一端部がブームブラケット34に支持され、伸縮可能に設けられるブームシリンダ35により鉛直面内で回転可能である。アーム32は、その一端部がブーム31の他端部に支持されており、伸縮可能に設けられるアームシリンダ36により鉛直面内で回転可能である。バケット33は、その一端部がアーム32の他端部に支持されており、伸縮可能に設けられるバケットシリンダ37により鉛直面内で回転可能である。
【0018】
なお、作業装置3は、旋回体2の設置部24に配置される。設置部24は、旋回体2の外側面の一部の範囲から水平方向に突出する。設置部24は、運転席22に座るオペレータから見て前方に位置する。図1および図2は、設置部24が前方を向く前方配置とされた旋回体2を示す。旋回体2が前方配置された場合、運転席22に座るオペレータは前方(正面)を向く。以下、特に断りがない限り、旋回体2は前方配置されているものとして方向の説明を行う。
【0019】
ブーム31、アーム32、および、バケット33は、詳細には、それぞれ左右方向に延びる中心軸を中心として回転可能に設けられる。また、ブームブラケット34は、上下方向に延びる中心軸を中心として回転可能に、設置部24に支持される。ブームブラケット34は、旋回体2に前後方向に伸縮可能に設けられるスイングシリンダ25に接続され、スイングシリンダ25の伸縮により左右方向に回転する。すなわち、スイングシリンダ25を動作させることにより、作業装置3を左右方向にスイングさせることができる。
【0020】
排土装置4は、走行体1の前方に配置される排土板41を有する。排土板41は、前後方向からの平面視において、左右方向に延びる矩形状である。排土板41は、上下方向の位置および姿勢を変更可能に設けられる。排土板41の位置および姿勢を変更して、走行体1を走行させることにより整地作業を行うことができる。
【0021】
排土装置4は、走行体1の本体フレーム1cの前端部に上下方向に揺動可能に支持される昇降アーム42を有する。昇降アーム42の上下動は、本体フレーム1cと昇降アーム42との間に伸縮可能に配置されるリフトシリンダ43により可能とされる。排土板41は、昇降アーム42の前端側に揺動可能に支持される。リフトシリンダ43により昇降アーム42を上下動させることにより、排土板41を上下動させることができる。
【0022】
排土板41は、昇降アーム42に対して、昇降アーム42が延びる方向と平行な方向(図1および図2では前後方向)に延びる中心軸を中心として回転可能に取り付けられる。当該中心軸は、前後方向からの平面視において、排土板41の上下および左右の中心近傍に位置する。また、当該回転は、排土板41の後面側に配置され、左右方向に伸縮可能なチルトシリンダ44により可能となる。チルトシリンダ44により、排土板41の左右方向の両端を上下方向に揺動させることができる。以下、排土板41の左右方向の端部の上下方向への揺動角度のことをチルト角度と表現する。
【0023】
また、排土板41は、昇降アーム42に対して、昇降アーム42が延びる方向と直交する方向(図1および図2では上下方向)に延びる軸ピン45を中心として回転可能に取り付けられる。軸ピン45は、排土板41の後方、左右方向の中央近傍に位置する。軸ピン45回りの回転は、昇降アーム42の左右の両端に配置される一対のアングルシリンダ46により可能となる。アングルシリンダ46により、排土板41の左右方向の両端を前後方向に揺動させることができる。
【0024】
<2.検出装置>
以上のように構成されるバックホー100は、排土板41に取り付けられ、排土板41に関わる情報を検出する検出装置5を備える。排土板41に関わる情報は、詳細には、排土板41の位置情報および姿勢情報である。検出装置5が検出する姿勢情報は、詳細には、チルト角度情報である。
【0025】
図3は、検出装置5およびその周辺を拡大して示す概略斜視図である。なお、図3は後方斜め上方から見た図である。図3に示すように、検出装置5は、プリズム51とチルトセンサ52とを含む。
【0026】
プリズム51は、排土装置4を用いた整地作業時に自動追尾式のトータルステーション(不図示)によって追尾されるターゲットである。トータルステーションは、プリズム51の位置情報を連続的に計測し、この計測結果をバックホー100の無線機6に送信する。本実施形態では、無線機6は、図1および図2に示すように、旋回体2の後方に配置される。
【0027】
図1および図3に示すように、排土板41は、左右方向の中心に対して左右の両側に、プリズム51(検出装置5)を着脱可能に取り付ける基台部411を有する。詳細には、排土板41は、左右の両端部寄りに、プリズム51が取り付けられる支柱7を着脱可能に取り付ける基台部411を有する。支柱7は、2つの基台部411のうちの一方に配置される。本実施形態では、図1に示すように、支柱7は、運転席22がある側と同じ左側の基台部411に配置される。
【0028】
各基台部411は、排土板41の後面に配置され、後方に突出する。基台部411の上面は平面である。支柱7は、下方側の端部にフランジ部71を有する。フランジ部71が基台部411の上面にボルトとナットを用いて固定されることにより、支柱7は基台部411に固定される。また、プリズム51は、支柱7の上端部に着脱可能に取り付けられる。
【0029】
支柱7からプリズム51を取り外すことができるために、作業終了後にプリズム51をバックホー100から外してプリズム51の盗難を防止することができる。また、トータルステーションを用いた自動整地作業を行わない場合に、支柱7を排土板41から取り外すことができる。更に、支柱7を取り外してプリズム51の左右方向の位置を変更することができるために、一方の位置でトータルステーションがプリズム51を追尾できない場合でも、他方の位置にプリズム51を置き換えることによりプリズム51を追尾可能とすることができる。
【0030】
チルトセンサ52は、排土板41のチルト角度を検出する。チルトセンサ52により検出されたチルト角度は、有線により詳細は後述する制御装置8に送信される。図1および図3に示すように、チルトセンサ52は、排土板41の後方に配置される。本実施形態においては、チルトセンサ52は、排土板41の左右方向の真ん中より少し左方にずれた位置に配置される。
【0031】
詳細には、チルトセンサ52は、排土板41の後面に設けられるセンサ台部412の上面に配置される。センサ台部412は、例えば、L字状の部材を排土板41の後面に溶接して形成される。センサ台部412の上面は、排土板41の上下方向の真ん中より高い位置に位置し、チルトセンサ52より大きな面積を有する平面である。チルトセンサ52は、下方に向けて開口する箱形状のセンサカバー521で覆われる。センサカバー521の後方側の側面には、切欠き521aが設けられる。切欠き521aを介して、センサカバー521で覆われるチルトセンサ52に、後方からコネクタ91を接続することができる。また、センサカバー521の上部は、チルトシリンダ44を覆うチルトシリンダカバー441により覆われる。
【0032】
センサ台部412、センサカバー521、および、チルトシリンダカバー441によって、チルトセンサ52の下から這い上がる土砂、および、上方から落ちてくる土砂を防ぐことができる。このために、整地作業時においてチルトセンサ52を土砂から適切に保護することができる。なお、図1および図2においては、センサカバー521およびチルトシリンダカバー441は省略されている。
【0033】
なお、本実施形態では、排土板41の位置情報を検出する検出装置としてプリズム51が用いられる構成としたが、これは例示にすぎない。例えば、プリズム51に替えてGNSS(Global Navigation Satellite System)アンテナが支柱7に装着される構成としてよい。この場合には、GNSSアンテナにより検出された位置情報は、有線により制御装置8に送信される構成としてよい。
【0034】
<3.制御装置>
図1および図2に示すように、バックホー100は、旋回体に配置される制御装置(コントローラ)8を備える。制御装置8は、例えばCPU(Central Processing Unit)、RAM(Random Access Memory)、および、ROM(Read Only Memory)を有するコンピュータを用いて構成される。本実施形態では、制御装置8は、表示画面を有する。制御装置8は、運転席22に座るオペレータから見易い位置に配置される。制御装置8は、表示画面を有しなくてもよく、この場合には、制御装置8と別に表示装置を配置する構成としてよく、制御装置8を例えば旋回体2の内部に配置してもよい。
【0035】
制御装置8には、トータルステーションから無線機6を介してプリズム51の位置情報が入力される。制御装置8と無線機6とは有線接続される。なお、制御装置8に無線通信機能を内蔵して、制御装置8とトータルステーションとが無線通信を行う構成としてもよい。また、制御装置8には、チルトセンサ52から排土板41のチルト角度情報が有線にて入力される。
【0036】
制御装置8は、プリズム51の位置情報および排土板41のチルト角度情報に基づき、排土板41の位置および姿勢を求める。制御装置8は、求めた排土板41の位置および姿勢と、予め準備された3次元の設計データとの差異に基づき排土板41の各シリンダ43、44、46の動作を制御し、バックホー100に自動整地作業を行わせる。
【0037】
なお、一つの工事現場で複数のバックホー100が自動整地作業を同時に行うことがある。このような場合においても、排土板41の位置情報が誤って入力されない構成とする必要がある。このために、各バックホー100は、それぞれ、特定のトータルステーションとセットとなって稼働する。各バックホー100においては、制御装置8とプリズム51との間で認証用の信号の送受信が行われ、これに基づき、制御装置8は自装置と繋がるプリズム51と対をなす特定のトータルステーションのみから位置情報を受信する。すなわち、自動整地作業を行うバックホー100においては、制御装置8とプリズム51とが有線にて接続される。
【0038】
<4.検出装置と制御装置との接続の詳細>
図2に示すように、バックホー100は、第1ケーブル9と、第2ケーブル10と、中継部11と、を備える。第1ケーブル9は、一端が検出装置5に接続される。第2ケーブル10は、一端が制御装置8に接続される。中継部11は、旋回体2に配置され、第1ケーブル9の他端を第2ケーブル10の他端に接続する。
【0039】
図4は、中継部11およびその近傍を拡大して示した概略斜視図である。なお、図4は前方斜め上方から見た図である。本実施形態では、検出装置5は、プリズム51とチルトセンサ52との2つを含む。このために、図4に示すように、検出装置5に接続される第1ケーブル9は、プリズム用第1ケーブル9Aと、チルトセンサ用第1ケーブル9Bとを含む。また、第1ケーブル9が2種類のケーブル9A、9Bを含むことに対応して、第2ケーブル10は、プリズム用第2ケーブル10Aと、チルトセンサ用第2ケーブル10Bとを含む。
【0040】
各第1ケーブル9A、9Bの両端には、第1コネクタ91が設けられる。各第1ケーブル9A、9Bの一端(検出装置5側)と他端(中継部11側)とで、第1コネクタ91の種類は同じでもよいし、異なってもよい。本実施形態では、他端に設けられる第1コネクタ91(図4参照)は真っすぐに延びる形状であるが、一端に設けられる第1コネクタ91(図3参照)はL字状である。なお、図3においては、第1コネクタ91から延びるケーブル部分は省略されている。プリズム用第1ケーブル9Aの一端に設けられる第1コネクタ91は、支柱7の上端でプリズム51に接続される。チルトセンサ用第1ケーブル9Bの一端に設けられる第1コネクタ91は、センサカバー521の切欠き521aを介してチルトセンサ52に接続される。
【0041】
また、各第2ケーブル10A、10Bの両端には、第2コネクタ101が設けられる。各第2ケーブル10A、10Bの一端(制御装置8側)と他端(中継部11側)とで、第2コネクタ101の種類は同じでもよいし、異なってもよい。本実施形態では、一端に設けられる第2コネクタ101と、他端に設けられる第2コネクタ101とは異なる種類である。各第2ケーブル10A、10Bの中継部11から延び出した部分の一部は、旋回体2の内部に導かれて、旋回体2の内部で制御装置8から延びるケーブル81(図1参照)に接続される。なお、本実施形態では、第2ケーブル10A、10Bの一端が、ケーブル81を介して間接的に制御装置8に接続されるが、直接的に制御装置8に接続されてもよい。
【0042】
中継部11は、旋回体2の前方に配置される。また、中継部11は、旋回体2の左右方向の中央部から左右方向の一方にずれた位置に配置される。このように構成することにより、作業装置3のスイング操作の際に中継部11が邪魔になることを抑制することができる。本実施形態では、中継部11は、プリズム51が装着される支柱7と同じ側(左側)にずれた位置に配置される。中継部11は、運転席22の前方に配置される。中継部11は、運転席22の前方に配置される手摺り26に対して、前方に間隔をあけて配置される。このように中継部11が旋回体2の前方に配置されることにより、検出装置5から中継部11までの距離を短くすることができる。このために、第1ケーブル9の取り扱いや、着脱を容易とすることができる。
【0043】
なお、本実施形態では、図4に示すように、旋回体2の前方の左右方向の中央部近傍には、作業装置3に圧油を供給するホース群(不図示)を通す開口部27が設けられる。中継部11は、この開口部27を避けて旋回体2の前方左寄りに配置される。
【0044】
図5は、中継部11の構成を示す概略斜視図である。図5に示すように、中継部11は、支持部材111と保持部材112とを有する。なお、図5には、理解を容易とするために、中継部11に取り付けられた第2コネクタ101も示されている。
【0045】
支持部材111は、旋回体2の前方において、旋回体2の上面から上方に延びる。詳細には、支持部材111は、旋回体2の前方上面を構成する上側板状部材28上に配置される。上側板状部材28の上面は、水平方向に広がる。支持部材111は、上側板状部材28上に手摺り26とは離れて独立に設けられる。支持部材111は、下端に水平方向に広がるベース部111aを有し、当該ベース部111aが上側板状部材28に固定される。支持部材111は、上下方向と平行な方向に広がる平板部111bを有する。平板部111bは、上下方向および左右方向に平行な面に対して傾く。詳細には、平板部111bは、右端が前方、左端が後方となる向きに傾く。
【0046】
保持部材112は、支持部材111に取りけられ、第2ケーブル10の他端に設けられる第2コネクタ101を保持する。本実施形態では、第2ケーブル10は、プリズム用第2ケーブル10Aと、チルトセンサ用第2ケーブル10Bとを含む。このために、保持部材112は、プリズムケーブル用保持部材112Aと、チルトセンサケーブル用保持部材112Bとを含む。
【0047】
本構成のように、保持部材112を支持する支持部材111を、旋回体2の上面に取り付ける構成とすることにより、保持部材112の向きを自由に設定し易くすることができる。また、保持部材112を支持する支持部材111が手摺り26とは離れた位置に設けられることにより、オペレータが手摺り26を利用し易くすることができる。
【0048】
プリズムケーブル用保持部材112Aと、チルトセンサケーブル用保持部材112Bとは、支持部材111の平板部111bに上下方向に並んで取り付けられる。本実施形態では、プリズムケーブル用保持部材112Aがチルトセンサケーブル用保持部材112Bに対して上であるが、これらは上下逆に配置されてもよい。
【0049】
プリズムケーブル用保持部材112Aと、チルトセンサケーブル用保持部材112Bとは、同一の構成である。各保持部材112A、112Bは、2個の分割体1121、1122と、2個のボルト1123とを有する。2個の分割体1121、1122は、同一の直方体形状であり、一の面に溝が設けられている。2個の分割体1121、1122は、互いに溝が対向する方向に配置される。第2コネクタ101は、2個の分割体1121、1122の溝に一部が入れられ、2個の分割体1121、1122に挟み込まれる。2個の分割体1121、1122は、第2コネクタ101を挟み込んだ状態で、2個のボルト1123により支持部材111の平板部111bに締結される。
【0050】
第2コネクタ101を挟持した2個の分割体1121、1122は、直方体形状であり、上下方向からの平面視において、前後方向に対して前端が左、後端が右となる方向に傾く。2個の分割体1121、1122に挟持された第2コネクタ101は、第2ケーブル10と接続される側と反対側の先端が保持部材112から右斜め前方に突出する。
【0051】
図4に示すように、各第1ケーブル9A、9Bの第1コネクタ91は、各保持部材112A、112Bから突出する第2コネクタ101の先端に取り付けられる。上下方向からの平面視において、第1ケーブル9の他端に設けられる第1コネクタ91は、前後方向に対して傾斜して配置され、中継部11から設置部24に向かって延びる。
【0052】
このような構成とすると、中継部11の右方に配置される開口部27を通るホース群を避けて第1ケーブル9を配置し易くすることができる。また、第1ケーブル9が中継部11から外方ではなく内方に延び出すために旋回体2の回転により、第1ケーブル9がクローラ1aに接触する可能性を低減することができる。また、第1ケーブル9が前後方向および左右方向に対して傾いて中継部11から延び出すために、作業装置3がスイング動作を行った場合にも、作業装置3と第1ケーブル9とが接触する可能性を低減することができる。
【0053】
なお、本実施形態では、第2コネクタ101が保持部材112に保持される構成としたが、これに限定されない。保持部材112がプラグを保持する構成として、第1コネクタ91のみならず、第2コネクタ101も中継部11に対して着脱可能としてよい。換言すると、第1ケーブル9の他端と第2ケーブル10の他端とは、本実施形態のように、中継部11において直接接続されてもよいが、中継部11において間接的に接続されてもよい。また、場合によっては、第2コネクタ101が保持部材112に保持される構成において、第1コネクタ91と第2コネクタ101との取り付け位置を逆の配置としてもよい。
【0054】
また、本実施形態では、中継部11を旋回体2の前方上面に構成したが、これは例示にすぎない。例えば、中継部11は、旋回体2の前面壁に設けられてもよい。本実施形態では、旋回体2は、走行体1の左右方向の幅内で旋回可能となるように設けられている。この点を踏まえて、中継部11は、旋回体2の旋回時に走行体1の左右方向の幅からはみ出さない構成とされることが好ましい。
【0055】
以上からわかるように、各第1ケーブル9A、9Bは、中継部11および検出装置5から簡単に取り外すことができる。このために、例えば一日の作業の終了時に取り外して盗難を防止することができる。また、自動整地作業を行わない場合に各第1ケーブル9A、9Bを取り外して、旋回体2の旋回範囲を広げることができる。
【0056】
なお、本実施形態では、中継部11には、第1コネクタ91が外された場合に第2コネクタ101の先端に取り付けられるコネクタカバー113(図4参照)が設けられる。コネクタカバー113は、例えばワイヤ等の線材により保持部材112に吊り下げられる。コネクタカバー113により、第2コネクタ101の内部に埃や水等の異物が侵入することを防止することができる。
【0057】
図4に示すように、バックホー100は、旋回体2に配置される第1規制部材12を備える。第1規制部材12は、中継部11から延び出す第1ケーブル9の動きを規制する。詳細には、第1規制部材12は、第1ケーブル9の旋回体2の旋回に伴う動きを規制する。第1規制部材12は、中継部11とは別に設けられ、中継部11から離れて配置される。第1規制部材12は、中継部11から延び出す第1ケーブル9を検出装置5に案内するガイド部材としての機能も有する。
【0058】
第1規制部材12は、中継部11と同様に旋回体2と共に動く。このために、第1規制部材12が設けられることにより、旋回体2が旋回した場合でも、第1規制部材12と中継部11との間で第1ケーブル9が動くことを抑制することができる。すなわち、旋回体2の旋回により第1ケーブル9の接続箇所(詳細には、中継部11側の第1コネクタ91)に負荷がかかることを抑制することができる。
【0059】
本実施形態では、好ましい形態として、旋回体2の前後方向からの平面視(正面視)において、第1規制部材12は、設置部24と中継部11との左右方向間に配置される。このように構成することにより、第1規制部材12を旋回体2の前方の左右方向の中心に近い位置に配置することができる。すなわち、本構成によれば、第1ケーブル9の捻じれの起点を旋回体2の前方の左右方向の中心に近づけて配置することができるために、旋回体2が左右のいずれに旋回する場合において第1ケーブル9の暴れを抑制することができる。
【0060】
なお、設置部24と中継部11とは、上下方向の高さ位置が同じでもよいが、ずれていてもよい。本実施形態では、前後方向からの平面視において、設置部24と中継部11とは上下方向の高さ位置がずれており、左右方向に対向していない。また、第1規制部材12は、設置部24と中継部11との左右方向間に配置されなくてもよく、例えば、中継部11の前方や、中継部11より左方に配置されてもよい。このような構成でも、第1ケーブル9の他端(中継部11側の第1コネクタ91)に負荷がかかることを抑制できる。
【0061】
また、本実施形態では、好ましい形態として、第1規制部材12は、中継部11よりも下方に配置される。このように構成することにより、旋回体2よりも下方に配置される検出装置5に向けて、中継部11から第1ケーブル9を短い距離で配置し易くすることができる。また、中継部11から第1規制部材12に第1ケーブル9を導くに際して、第1ケーブル9の他端に無理な力がかかり難くすることができる。
【0062】
図6は、第1規制部材12の構成を示す概略斜視図である。第1規制部材12は、旋回体2の前面を構成する前側板状部材29に設けられる。図4に示すように、前側板状部材29は、ホース群を通す開口部27の前方側の壁面を構成する。図6に示すように、本実施形態では、プリズム用第1ケーブル9Aと、チルトセンサ用第1ケーブル9Bとが存在することに対応して、第1規制部材12は、プリズムケーブル用第1規制部材12Aと、チルトセンサケーブル用第1規制部材12Bとを含む。
【0063】
第1規制部材12は、先端部が上を向くL字状である。換言すると、第1規制部材12はフック状である。第1規制部材12をこのような形状とすることにより、第1規制部材12の構造を簡易な構造とし、旋回体2に第1規制部材12を容易に配置することができる。詳細には、プリズムケーブル用第1規制部材12Aと、チルトセンサケーブル用第1規制部材12Bとは、同じL字形状である。2つの第1規制部材12A、12Bは、左右方向に間隔をあけて前側板状部材29に溶接等により取り付けられる。
【0064】
第1ケーブル9は、第1規制部材12に引っ掛けられる。詳細には、図4に示すように、プリズム用第1ケーブル9Aは、プリズムケーブル用第1規制部材12Aに引っ掛けられる。チルトセンサ用第1ケーブル9Bは、チルトセンサケーブル用第1規制部材12Bに引っ掛けられる。このように構成すれば、各第1ケーブル9A、9Bを各第1規制部材12A、12Bに簡単に着脱することができる。
【0065】
なお、本実施形態では、L字状の第1規制部材12に簡単に第1ケーブル9を着脱できるように、第1ケーブル9の一部を螺旋状とし、螺旋状の部分を第1規制部材12に引っ掛ける構成としている。すなわち、第1ケーブル9は、第1規制部材12に引っ掛けられる螺旋部を有する。ただし、第1ケーブル9は、全体、或いは、概ね全体が螺旋状であってよい。このように構成することにより、第1ケーブル9を伸び縮みし易くすることができる。この結果、第1ケーブル9の長さをコンパクトにすることができ、また、第1ケーブル9が損傷する可能性を低減することができる。なお、第1ケーブル9は、線状であり、第1規制部材12に巻き回して取り付けられてもよい。
【0066】
また、本実施形態では、第1規制部材12が旋回体2の前面に設けられる構成としたが、これに限らず、第1規制部材は、例えば旋回体2の前方上面に配置される構成等であってもよい。この場合には、第1規制部材は、例えば、旋回体2の上面から上方に真っすぐ延びる形状としてよい。この場合にも、第1ケーブル9を第1規制部材に引っ掛けることができる。
【0067】
また、本実施形態では、第1規制部材12は、第1ケーブル9を引っ掛けて保持することにより、第1ケーブル9の動きを規制する構成としたが、これも例示にすぎない。第1規制部材は、第1ケーブル9の動きを制限できる構造であればよく、第1ケーブル9を引っ掛ける構造でなくてもよい。例えば、第1規制部材は、第1ケーブル9を通すリング状や筒状等であってもよい。
【0068】
また、例えば、第1規制部材は、図7に示すような第1ケーブル9を挟持する構成であってもよい。図7に示す変形例では、第1規制部材12Xは、前側板状部材29から前方に突出する一対の板バネ部材121を有する。一対の板バネ部材121は、弾性力により第1ケーブル9を挟んで保持する。なお、図7は、第1ケーブル9を挟持した第1規制部材12Xを水平方向に切った断面図である。
【0069】
本実施形態においては、排土装置4には、第1ケーブル9の動きを規制する少なくとも1つの第2規制部材13が配置される。第2規制部材13が設けられることによって、第1規制部材12と検出装置5との間において第1ケーブル9が旋回体2の旋回により暴れることを抑制することができる。
【0070】
図8は、排土装置4に配置される第2規制部材13およびその周辺を示す概略斜視図である。図8は、前方上方から見た斜視図である。また、図8は、2つの第1ケーブル9A、9Bが取り付けられていない状態を示す。図8に示すように、本実施形態では、排土装置4には、2つの第2規制部材13が配置される。なお、第2規制部材13は、第1ケーブル9が旋回体2の旋回により暴れることを抑制することができればよいために、当該目的を果たす範囲で、第2規制部材13の数は適宜変更されてよい。
【0071】
2つの第2規制部材13のうちの一方の第2規制部材13Aは、アングルシリンダ46のアングルシリンダカバー461に取り付けられる。より詳細には、第2規制部材13Aは、アングルシリンダカバー461に取りけられるベース板131Aと、ベース板131Aに取り付けられる規制部132Aとを有する。規制部132Aは、ベース板131Aに固着される棒状部132Aaと、棒状部132Aaに接続される環状部132Abとを有する。環状部132Abは、前後方向に貫通する。
【0072】
2つの第2規制部材13のうちの他方の第2規制部材13Bは、チルトシリンダカバー441に取り付けられる。より詳細には、第2規制部材13Bは、チルトシリンダカバー441に取りけられるベース板131Bと、ベース板131Bに取り付けられる規制部132Bとを有する。規制部132Bは、ベース板131Bに固着される棒状部132Baと、棒状部132Baに接続される環状部132Bbとを有する。環状部132Bbは、前後方向に貫通する。
【0073】
図9は、図8に示す構成に2つの第1ケーブル9A、9Bが取り付けられた状態を示す図である。図9に示すように、プリズム用第1ケーブル9Aは、2つの第2規制部材13A、13Bの環状部132Ab、132Bbに通される。すなわち、プリズム用第1ケーブル9Aは、中継部11から、プリズムケーブル用第1規制部材12Aに加えて、2つの第2規制部材13A、13Bに案内されてプリズム51に接続される。一方、チルトセンサ用第1ケーブル9Bは、1つの第2規制部材13Aの環状部132Abに通される。すなわち、チルトセンサ用第1ケーブル9Bは、中継部11から、チルトセンサケーブル用第1規制部材12Bに加えて、1つの第2規制部材13Aに案内されてチルトセンサ52に接続される。
【0074】
このような構成によれば、旋回体2が左右のいずれに旋回する場合でも、プリズム用第1ケーブル9Aおよびチルトセンサ用第1ケーブル9Bが旋回により暴れることを抑制することができる。なお、本実施形態では、第2規制部材13Aは、2つの第1ケーブル9A、9Bに共用される構成としているが、共用されない構成としてもよい。この場合には、第2規制部材13の数を増やしてよい。
【0075】
ところで、上述のように、本実施形態では、プリズム51の位置を付け替えることができるように、排土板41には、プリズム51が取り付けられる支柱7を配置可能な2つの基台部411が設けられる。本実施形態のバックホー100は、この点を考慮した工夫が施されている。すなわち、排土装置4には、2つの基台部411に対する検出装置5の付け替えに応じて異なる位置に配置される第2規制部材13の使用を可能とする複数の第2規制部材用取付部14が設けられる。これによれば、検出装置5の配置が変更された場合においても、旋回体2の旋回により第1ケーブル9が暴れることを抑制することができる。
【0076】
図10は、第2規制部材13Bが取り付けられるチルトシリンダカバー441の構成を示す概略斜視図である。図10は、前方上方から見た斜視図である。また、図10においては、理解を容易とするために、チルトシリンダカバー441を他の部材に取り付けるために必要となるボルトも示されている。
【0077】
図10に示すように、チルトシリンダカバー441には、2つの基台部411に対するプリズム51の付け替えに応じて異なる位置に配置される第2規制部材13Bの使用を可能とする2つの第2規制部材用取付部14A、14Bが設けられる。一方の第2規制部材用取付部14Aは、チルトシリンダカバー441の左端に設けられ、他方の第2規制部材用取付部14Bは、チルトシリンダカバー441の左右方向の中央部に設けられる。
【0078】
詳細には、各第2規制部材用取付部14A、14Bは、ベース板131Bを取り付けるために必要となるボルト用の孔で構成される。なお、第2規制部材13Bのチルトシリンダカバー441への取り付け手法が本実施形態の手法と異なる場合には、第2規制部材用取付部14はボルト用の孔でなくてもよい。
【0079】
プリズム51が取り付けられる支柱7の位置が、図9における左側から右側に移動されると、第2規制部材13Bが取り付けられる位置が変更される。具体的には、第2規制部材13Bは、ベース板131Bが第2規制部材用取付部14Aにボルトを用いて取り付けられた状態から、ベース板131Bが第2規制部材用取付部14Bにボルトを用いて取り付けられた状態に変更される。本実施形態では、ベース板131Bが第2規制部材用取付部14Bに取り付けられた状態となると、環状部132Bbは左右方向に貫通する配置となる。このような環状部132Bbの向きの変更は、第1ケーブル9の検出装置5への導き易さ等を考慮して適宜行われてよい。
【0080】
なお、本実施形態では、支柱7の場所の付け替えに応じて、第2規制部材13Bの場所の付け替えが行われる構成としたが、2つの第2規制部材用取付部14A、14Bの両方に予め2つの第2規制部材が取り付けられている構成としてもよい。また、本実施形態では、第2規制部材用取付部14A、14Bがチルトシリンダカバー441に設けられる構成を示したが、これは例示にすぎず、チルトシリンダカバー441以外に設けられてもよい。また、本実施形態では、第2規制部材13Bの位置が変更される場合を例示したが、例えば第2規制部材13Aの位置も変更されてもよい。
【0081】
<5.留意事項>
本明細書中に開示される種々の技術的特徴は、その技術的創作の主旨を逸脱しない範囲で種々の変更を加えることが可能である。また、本明細書中に示される複数の実施形態および変形例は可能な範囲で組み合わせて実施されてよい。
【符号の説明】
【0082】
1・・・走行体
2・・・旋回体
3・・・作業装置
4・・・排土装置
5・・・検出装置
8・・・制御装置
9・・・第1ケーブル
10・・・第2ケーブル
11・・・中継部
12・・・第1規制部材
13・・・第2規制部材
14・・・第2規制部材用取付部
24・・・設置部
41・・・排土板
91・・・第1コネクタ(コネクタ)
100・・・バックホー(建設機械)
111・・・支持部材
112・・・保持部材
411・・・基台部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10