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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-20
(45)【発行日】2025-01-06
(54)【発明の名称】防水性かつ通気性履物
(51)【国際特許分類】
   A43B 7/12 20060101AFI20241223BHJP
   A43B 7/06 20060101ALI20241223BHJP
【FI】
A43B7/12
A43B7/06
【請求項の数】 15
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023133789
(22)【出願日】2023-08-21
(65)【公開番号】P2024029765
(43)【公開日】2024-03-06
【審査請求日】2023-10-24
(31)【優先権主張番号】22425037
(32)【優先日】2022-08-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】391018178
【氏名又は名称】ダブリュ.エル.ゴア アンド アソシエーツ,ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
【氏名又は名称原語表記】W.L. GORE & ASSOCIATES, GESELLSCHAFT MIT BESCHRANKTER HAFTUNG
(73)【特許権者】
【識別番号】510326809
【氏名又は名称】ダブリュ.エル.ゴア アンド アソチアティ ソチエタ レスポンサビリタ リミテ
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100128495
【弁理士】
【氏名又は名称】出野 知
(74)【代理人】
【識別番号】100208225
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 修二郎
(74)【代理人】
【識別番号】100144417
【弁理士】
【氏名又は名称】堂垣 泰雄
(74)【代理人】
【識別番号】100147212
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 直樹
(72)【発明者】
【氏名】アンドレーア ジュッポーニ
(72)【発明者】
【氏名】シュターネ ナベルニク
(72)【発明者】
【氏名】ステファノ ランツァート
【審査官】渡邉 洋
(56)【参考文献】
【文献】特表2005-520611(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2001/0049889(US,A1)
【文献】特開2002-172003(JP,A)
【文献】特表2020-527078(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2020/0037698(US,A1)
【文献】米国特許第06088935(US,A)
【文献】米国特許出願公開第2020/0229534(US,A1)
【文献】特開2014-117610(JP,A)
【文献】国際公開第2011/098344(WO,A1)
【文献】国際公開第2013/033055(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A43B 1/00- 23/30
A43C 1/00- 19/00
A43D 1/00-999/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
アッパー、
インソール、
ソール、及び、
防水性ブリッジングテープ、
を含む、防水性かつ水蒸気透過性靴型処理履物物品であって、前記アッパーは外側材料及び防水性かつ水蒸気透過性膜を含み、前記防水性かつ水蒸気透過性膜は、前記防水性かつ水蒸気透過性靴型処理履物物品の内側に面する前記外側材料の表面にラミネート化されており、前記防水性ブリッジングテープの少なくとも上端部は、前記アッパーの前記防水性かつ水蒸気透過性膜に、前記防水性かつ水蒸気透過性靴型処理履物物品の内側に面する前記防水性かつ水蒸気透過性膜の表面上にて前記アッパーの下周縁部で取り付けられており、
前記防水性かつ水蒸気透過性履膜は、前記アッパーの全長に存在している、防水性かつ水蒸気透過性靴型処理履物物品。
【請求項2】
前記防水性ブリッジングテープは、接着剤層によって少なくとも片面が覆われた防水性キャリア層を含む、請求項1記載の防水性かつ水蒸気透過性靴型処理履物物品。
【請求項3】
前記防水性ブリッジングテープは、接着剤層によって両面が覆われた防水性キャリア層を含む、請求項1又は2記載の防水性かつ水蒸気透過性靴型処理履物物品。
【請求項4】
前記防水性ブリッジングテープの少なくとも下端部は前記インソールに取り付けられている、請求項1又は2記載の防水性かつ水蒸気透過性靴型処理履物物品。
【請求項5】
記防水性ブリッジングテープは接着剤で前記インソールに取り付けられている、請求項4記載の防水性かつ水蒸気透過性靴型処理履物物品。
【請求項6】
前記防水性ブリッジングテープの下端部は不織布材料に取り付けられている、請求項1又は2記載の防水性かつ水蒸気透過性靴型処理履物物品。
【請求項7】
前記防水性ブリッジングテープはシームによって前記不織布材料に取り付けられている、請求項6記載の防水性かつ水蒸気透過性靴型処理履物物品。
【請求項8】
前記防水性かつ水蒸気透過性靴型処理履物物品は保護層をさらに含み、その一部は前記防水性かつ水蒸気透過性靴型処理履物物品の外側に位置する、請求項1又は2記載の防水性かつ水蒸気透過性靴型処理履物物品。
【請求項9】
前記保護層はゴム層又はポリウレタン層である、請求項8記載の防水性かつ水蒸気透過性靴型処理履物物品。
【請求項10】
前記インソールは靴型ボードである、請求項1又は2記載の防水性かつ水蒸気透過性靴型処理履物物品。
【請求項11】
前記アッパーは、前記防水性かつ水蒸気透過性膜の内側に面する表面にラミネート化されたバッキング層をさらに含、請求項1又は2記載の防水性かつ水蒸気透過性靴型処理履物物品。
【請求項12】
前記防水性かつ水蒸気透過性靴型処理履物物品はライナーをさらに含む、請求項1又は2記載の防水性かつ水蒸気透過性靴型処理履物物品。
【請求項13】
前記ライナーはブーティを形成する、請求項12記載の防水性かつ水蒸気透過性靴型処理履物物品。
【請求項14】
防水性かつ水蒸気透過性靴型処理履物物品を製造する方法であって、
少なくとも1つの外層と、防水性かつ水蒸気透過性靴型処理履物物品の内側に面する表面上で前記外層にラミネート化された防水性かつ水蒸気透過性膜とを有するアッパー、インソール、ソール及び防水性ブリッジングテープを提供すること
前記防水性ブリッジングテープの上端部を、前記アッパーの前記防水性かつ水蒸気透過性膜に、防水性かつ水蒸気透過性靴型処理履物物品の内側に面する前記防水性かつ水蒸気透過性膜の表面上にて前記アッパーの下周縁部で取り付けること、
を含み、
前記防水性かつ水蒸気透過性履膜は、前記アッパーの全長に存在している、方法。
【請求項15】
前記防水性ブリッジングテープの下端部を前記インソールに取り付ける工程をさらに含む、請求項14記載の防水性かつ水蒸気透過性靴型処理履物物品を製造する方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の分野
本発明は、防水性かつ水蒸気透過性膜にラミネート化された外側材料を含むアッパーを含む、防水性かつ水蒸気透過性履物物品に関する。防水性かつ水蒸気透過性履物物品は、防水性ブリッジングテープをさらに含む。さらに、防水性かつ水蒸気透過性履物物品の製造方法は開示される。
【背景技術】
【0002】
発明の背景
防水性かつ水蒸気透過性履物物品は様々な目的で使用されている。防水性かつ水蒸気透過性履物物品は、アウトドアスポーツ又はヘビーデューティワークなどの活動のための耐久性のある防水性の理由から、例えば防火、医療、警察、機械、防衛の分野などにおいて特に普及しており、ここで、履物物品は、通常、より厚く丈夫である。このような履物物品は、水、流体、泥、雪などの要素から保護すると同時に耐久性及び保護性も提供する。
【0003】
特に興味深いのは、防水性かつ水蒸気透過性アッパーと防水性ソールとの間の耐久性シールである。したがって、耐久性のある防水性及び水蒸気透過性を有する、防水性かつ水蒸気透過性履物物品が必要とされている。特に、製造中に防水性かつ水蒸気透過性アッパーと防水性ソールとの間の領域において履物物品をシールする必要がある。
【0004】
したがって、本出願の目的は、特にヘビーデューティ用途の分野において、信頼性のある防水性及び水蒸気透過性を提供する防水性かつ水蒸気透過性履物物品を提供することである。本出願のさらなる目的は、履物物品の水蒸気透過性を維持しつつ、汗を履物物品の外側に放散できるようにしながら、水の浸入を耐久的に防止することである。さらに、本出願の目的は、製造方法を最適化し、複雑な材料の使用を削減することである。
【発明の概要】
【0005】
発明の要旨
アッパー、インソール、ソール及び防水性ブリッジングテープを含む防水性かつ水蒸気透過性履物物品が提供される。アッパーは外側材料及び防水性かつ水蒸気透過性膜を含む。防水性かつ水蒸気透過性膜は、防水性かつ水蒸気透過性履物物品の内側に向いている外側材料の表面にラミネート化されている。アッパーの防水性かつ水蒸気透過性膜は外側材料と接触しうる。防水性ブリッジングテープの少なくとも上端部は、アッパーの防水性かつ水蒸気透過性膜に、アッパーの下周縁部にて防水性かつ水蒸気透過性履物物品の内側に面する防水性かつ水蒸気透過性膜の表面上で取り付けられる。防水性ブリッジングテープは、少なくとも1つの表面が接着層で覆われた防水性キャリア層を含むことができる。防水性ブリッジングテープは、両面が接着層で覆われた防水性キャリア層を含むことができる。
【0006】
防水性ブリッジングテープの下端部はインソールに取り付けられることができる。防水性ブリッジングテープは、接着剤によってインソールに取り付けられることができ、又は、シームによってインソールに取り付けられることができる。
【0007】
防水性かつ水蒸気透過性履物物品は、不織布材料をさらに含むことができる。不織布材料の第一の端部は、防水性ブリッジングテープの下端部に取り付けられることができる。防水性かつ水蒸気透過性履物物品がライナーをさらに含むならば、不織布材料の第一の端部は、防水性ブリッジングテープ及びライナーの両方の下端部に取り付けられることができる。好ましくは、不織布材料は単一のシームによって防水性ブリッジングテープ及びライナーの両方に取り付けられる。さらなる実施形態において、不織布材料の第一の端部をライナーの下端部に取り付けることができる。さらなる実施形態において、不織布材料の第一の端部をアッパーの下端部に取り付けることができる。不織布材料は、アッパー、ライナー及び/又は防水性ブリッジングテープにシームで取り付けられることができる。不織布材料がアッパーに取り付けられるときに、防水性ブリッジングテープは、不織布材料をアッパーに接続するシームを覆うように、防水性かつ水蒸気透過性履物物品の内側に取り付けられる。この実施形態において、防水性ブリッジングテープは、不織布材料の第二の端部を超えてさらに延在することができる。防水性ブリッジングテープの下端部はインソールに取り付けられることができる。防水性かつ水蒸気透過性履物物品の他の構成要素に不織布を取り付けるシームは、それぞれの実施形態に応じて、防水性ブリッジングテープ、ソールセメント、保護層又は射出ソールポリマーによって少なくとも覆われる。いずれの場合にも、シームは防水性が付与されている。
【0008】
不織布材料の第二の端部はインソールに取り付けられることができる。不織布材料は、シームでインソールに取り付けられることができる。不織布材料は、接着剤でインソールに取り付けられることができる。インソールへの不織布材料の取り付けは、履物物品の異なる領域で異なることができる。例えば、つま先領域における不織布材料の取り付けは接着剤を使用することによって行うことができ、一方、ヒール領域ではシームを使用することができ、あるいはその逆も可能である。
【0009】
履物物品は、保護層、好ましくはゴム層をさらに含むことができる。保護層はポリウレタンを含むことができる。保護層は履物物品の外側上に配置されうる。保護層は、アッパーの底周部の外側及び防水性ブリッジングテープに取り付けられることができる。保護層は、防水性ブリッジングテープに取り付けられることができる。不織布材料が存在するときに、保護層は、ソールセメント又は接着剤で不織布材料にさらに取り付けられることができる。
【0010】
防水性ブリッジングテープは、少なくとも1つの表面が接着剤で覆われたキャリア層を含むことができる。防水性ブリッジングテープの両面は接着剤で覆われていてよい。キャリア層は防水性である。キャリア層はポリマー材料を含むことができる。ポリマー材料はポリウレタンを含むことができる。キャリア層は、防水性かつ水蒸気透過性膜であることができる。ポリマー材料は防水性ポリマー層であることができる。キャリア層は、アッパー及びライナーに関して以下で論じられるように、防水性かつ水蒸気透過性膜であることができる。
【0011】
履物のインソールは靴型ボード又はストロベルボードであることができる。
【0012】
アッパーは少なくとも1つのバッキング層をさらに含むことができる。バッキング層は、防水性かつ水蒸気透過性膜の内側に面する表面上に位置する。バッキング層はテキスタイル層又は開放メッシュ材料であることができる。テキスタイル層又は開放メッシュ材料は、防水性かつ水蒸気透過性膜にラミネート化されうる。テキスタイル層は編物又は織物であることができる。
【0013】
履物物品はライナーをさらに含むことができる。ライナーはアッパーの内側にある。ライナーは、少なくとも1つのテキスタイル層を含むことができる。ライナーは、少なくともテキスタイル層及び防水性かつ水蒸気透過性膜を含むことができる。ライナーは、2つのテキスタイル層の間に挟まれた防水性かつ水蒸気透過性膜を含むラミネートであることができる。ライナーはブーティの形態であることができる。ブーティの底部には、ブーティの側面とは異なる材料を含めることができる。ライナーブーティの底部は、異なる材料で補強されることができる。ライナーがブーティの形態であるときに、防水性ブリッジングテープのキャリア層は、好ましくは、1つの表面のみが接着剤で覆われている。ライナーがブーティの形態でないときに、防水性ブリッジングテープのキャリア層は、好ましくは、対向面の両方が接着剤で覆われている。ライナーがブーティの形態ではなく、防水性かつ水蒸気透過性履物物品の外側に面するテキスタイル層が存在するときに、このテキスタイル層は、好ましくは、例えば、編物、織物又はメッシュなどの開放構造を有する。メッシュは、マルチフィラメント材料又はモノフィラメント材料から製造されうる。
【0014】
防水性かつ水蒸気透過性履物物品は、保護つま先キャップをさらに含むことができる。保護つま先キャップは、アッパーとライナーとの間に配置されうる。
【0015】
本発明の異なる実施形態は、履物物品のつま先領域、かかと領域及び残りの部分に適用されうる。
【0016】
防水性かつ水蒸気透過性履物物品は、ネットバンドをさらに含むことができる。ネットバンドはアッパー及びストロベルボードに取り付けられることができる。ネットバンドはアッパー及びストロベルボードにシームで取り付けられることができる。ブリッジングテープはネットバンド上に取り付けられることができる。ブリッジングテープは、ネットバンドの全長にわたってネットバンドに取り付けられることができる。ブリッジングテープは、履物物品の内側に面するネットバンドの表面上のネットバンド上に取り付けられることができる。ブリッジングテープは、アッパー及びネットバンドの間のシームをオーバーラップすることもできる。ブリッジングテープは、アッパーとネットバンドとの間のシーム及びアッパーの内側に面する表面の少なくとも一部をオーバーラップすることができる。ブリッジングテープは、履物物品の内側に面する表面上でアッパーの防水性かつ水蒸気透過性膜と接触することができる。ブリッジングテープ70の縁部と、アッパー40に縫い付けられていないネットバンド200の縁部とは、境界を共にすることができる。ブリッジングテープとネットバンドの境界を共にする縁部は、ストロベルボードに取り付けられることができる。ブリッジングテープとネットバンドの境界を共にする縁部は、シームによってストロベルトボードに取り付けられることができる。シームは、好ましくは、ストロベルシームである。ネットバンドは、ネットバンドの全長に沿ってブリッジングテープに取り付けられることができる。ネットバンドは、ブリッジングテープの接着層によってブリッジングテープに取り付けられることができる。ネットバンドは水平方向にのみ延在することができる。ネットバンドは水平方向及び垂直方向に延在していることができる。ソール材料は履物物品上に射出されうる。射出ソール材料は、履物物品の外側に面する表面上でアッパーとネットバンドとの間のシームを覆うことができる。ブリッジングテープの接着層は、ネットバンド、ネットバンドとアッパーとの間のシーム及びアッパーの防水性かつ水蒸気透過性膜に接触することができる。
【0017】
履物物品の製造方法がさらに提供され、これは、
少なくとも1つの外層と、履物物品の内側に面する表面上で前記外層にラミネート化された防水性かつ水蒸気透過性膜とを有するアッパー、インソール、ソール及び防水性ブリッジングテープを提供すること、
場合により、少なくとも1つの防水性かつ水蒸気透過性膜を場合により含むライナー材料を提供すること、
前記防水性ブリッジングテープの上端部を、前記アッパーの防水性かつ水蒸気透過性膜に、履物物品の内側に面する前記防水性かつ水蒸気透過性膜の表面上にて前記アッパーの下周縁部で取り付けること、
を含む。
【0018】
この方法は、防水性ブリッジングテープ及び/又はライナーの下端部をインソール又は不織布材料に取り付ける工程をさらに含むことができる。
【0019】
この方法は、不織布材料をインソールに取り付ける工程をさらに含むことができる。
【0020】
この方法は、ソールをセメント固定又は射出する工程をさらに含むことができる。
【0021】
防水性かつ水蒸気透過性履物物品を製造する方法が提供され、この方法は、
少なくとも1つの外層と、履物物品の内側に面する表面上で前記外層にラミネート化された防水性かつ水蒸気透過性膜とを有するアッパー、インソール、ソール及び防水性ブリッジングテープを提供すること、
場合により、少なくとも1つの防水性かつ水蒸気透過性膜を場合により含むライナー材料を提供すること、
ネットバンドの1つの縁部をシームでアッパーに取り付けること、
前記ネットバンドの全長にわたって、前記ネットバンドと前記アッパーとの間の前記シームにわたって、そして前記履物物品の内側に面する表面上の前記アッパーの少なくとも一部にわたって、ブリッジングテープを適用すること、
前記ネットバンドの反対側の縁部及び前記ブリッジングテープをシームでストロベルボードに取り付けること、を含む。
この方法は、ソールを射出する工程をさらに含むことができる。この方法は、履物物品の外側に面する表面上でアッパーとネットバンドとの間のシーム上にソール材料を射出することをさらに含むことができる。
この方法はさらに、境界を共にするようにストロベルボードに取り付けられるブリッジングテープ及びネットバンドの縁を含むことができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図面の簡単な説明
本発明の特徴は、非限定的な例として提供される以下の説明及び添付の図面から、当業者であればよりよく理解されるであろう。
【0023】
図1図1は防水性ブリッジングテープ及びバッキング層を含む防水性履物物品の断面図である。
【0024】
図2図2は防水性ブリッジングテープ及び保護層を含む防水性履物の断面図である。
【0025】
図3図3は防水性ブリッジングテープ、保護層及びライナーブーティを含む防水性履物の断面図である。
【0026】
図4図4は防水性ブリッジングテープ、保護層及びライナーを含む防水性履物物品の断面図である。
【0027】
図5図5は防水性ブリッジングテープ、保護層、不織布材料及びライナーを含む防水性履物物品の断面図である。
【0028】
図6図6は防水性ブリッジングテープ、保護つま先キャップ及びライナーを含む履物物品のつま先領域の断面図である。
【0029】
図7図7は防水性ブリッジングテープ及びネットバンドを含む防水性履物物品の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
詳細な説明
本発明の様々な実施形態を以下に詳細に説明するが、本発明は、多種多様な特定の状況で具体化できる多くの適用可能な発明概念を提供することを理解されたい。本明細書で説明する特定の実施形態は、本発明を製造及び使用するための特定の方法を単に例示するものであり、本発明の範囲を限定するものではない。
【0031】
本発明の理解を容易にするために、幾つかの用語を以下に定義する。本明細書で定義される用語は、本発明に関連する分野の当業者によって一般的に理解される意味を有する。「a」、「an」及び「the」などの用語は、単一の物のみを指すことを意図したものではなく、説明のために特定の例が使用されうる一般的なクラスを含む。本明細書における用語は、本発明の特定の実施形態を説明するために使用されるが、特許請求の範囲に概説される場合を除き、その使用法は本発明を限定するものではない。
【0032】
「履物」又は「履物物品」という用語は、靴、ブーツ、スニーカーなどの足の外側の覆いを指す。
【0033】
本発明は、防水性かつ水蒸気透過性履物物品及び前記履物の製造方法に関する。防水性かつ水蒸気透過性履物物品は、アッパー、インソール、ソール及び防水性ブリッジングテープを含む。防水性ブリッジングテープは、典型的にテキスタイルキャリア層を含む従来のシーリングキャリア又は防水性ガスケットではない。本願の防水性ブリッジングテープは防水性キャリア層を含み、この防水性キャリア層の少なくとも1つの表面は接着層によって覆われている。キャリア層の両方の対向表面は接着層によって覆われていてもよい。キャリア層はポリマー材料から作製されうる。接着層は、例えば圧力及び/又は熱によって再活性化可能である。キャリア層のポリマー材料は、ゴムなどの天然ポリマー、又は、ポリアミド、エチレン酢酸ビニル、ポリ塩化ビニル、ポリエチレン、フルオロポリマー(ポリテトラフルオロエチレンなど)、ポリエステル又は熱可塑性ポリウレタンなどの合成ポリマーであることができる。接着剤はポリウレタン(PU)接着剤であることができる。キャリア層は、本出願で説明するように、防水性かつ水蒸気透過性膜であることができる。キャリア層は、片面又は両面に不織布をラミネート化することによって強化されうる。
【0034】
アッパーは外側材料及び防水性かつ水蒸気透過性膜をラミネート化したものを含む。アッパーは、外側材料及び膜との間に少なくとも1つのテキスタイル層をさらに含むことができる。防水性かつ水蒸気透過性膜の履物物品の内側に面する側に、開放メッシュ材料をラミネート化してもよい。この点における開放メッシュとは、防水性ブリッジングテープの接着剤が開放メッシュ材料に完全に浸透できるあらゆる材料を意味する。外側材料及び防水性かつ水蒸気透過性膜が互いにラミネート化されてもよい。アッパーの防水性かつ水蒸気透過性膜は、2層、3層又は4層を有するラミネート(防水性かつ水蒸気透過性ラミネートを含む)を含むことができる。
【0035】
外側材料は、この目的に典型的に使用される任意の材料から作ることができる。例としては、皮革、合成皮革及びテキスタイル布帛などが挙げられる。典型的には、テキスタイル布帛は、ポリエステル、ポリプロピレン、ポリアミド(例えば、ナイロン)又は綿を含む。外側層は、2つ以上の層又は上記の材料を含むラミネートであることができる。
【0036】
テキスタイル布帛は、モノフィラメントなどのフィラメント、又は繊維、あるいはそれらの任意の混合物を含むことができる。繊維としては、天然繊維及び合成繊維ならびにそれらの任意の混合物が挙げられる。天然繊維としては、綿、麻、リネンなどのセルロース系、シルク、アンゴラ、羊毛、アルパカ、カシミア、モヘアなどの動物繊維、及びそれらの任意の組み合わせが挙げられる。
【0037】
合成繊維としては、アクリルポリマー、ポリエステル、ポリオレフィン、ポリウレタン、ポリアミドをベースとした繊維及びそれらの任意の組み合わせが挙げられる。テキスタイル布帛は、編布、織布、不織布のいずれであってもよい。布帛は伸長することができる。伸張性は、エラストマー製などの伸張性のあるヤーン又は繊維を使用しているためであることができる。伸張性は、ヤーン又は繊維の編み方又は織り方に起因することができる。
【0038】
本明細書で使用されるときに、「編物」という用語は、ループステッチと呼ばれるループの連続列になった少なくとも1本のヤーン、糸又はモノフィラメントを含む構成を有する任意の布帛又はテキスタイルを指す。各列が進むにつれて、新しいループが既存のループを介して引っ張られる。活性ループステッチは、別のループが通過できるまで針に保持される。
【0039】
製編の方法において、1つ又は複数のヤーン又はモノフィラメントのループが絡み合うことによって布帛が形成される。ヤーン又はモノフィラメントの各糸はコースと呼ばれる蛇行経路をたどるため、糸の蛇行経路に対して対称的にループを形成する。あるループを別のループに通すときに、ループステッチは形成される。ループステッチは水平方向(緯編)又は垂直方向(経編)に形成できる。各ステッチが次のステッチから吊り下げられている一連のループステッチをウェールと呼ぶ。
【0040】
緯編は、単一のヤーン又はモノフィラメントからループが水平方向に作られ、ループの噛み合いが横方向、つまりウェールがヤーン又はモノフィラメントのコースに対して垂直になる布帛を形成する方法である。緯編は、1本のヤーン又はモノフィラメントのみを使用して編成することも、複数のヤーン又はモノフィラメントを使用して編成することもできる。
【0041】
経編は、各経糸又はモノフィラメントから布帛の長さに沿って垂直にループを作成し、ループの絡み合いが長さ方向に起こる布帛形成方法である。経編において、ウェール及びコースは平行に走る。各ウェールには1本のヤーン又はモノフィラメントが必要であるため、多数のヤーン又はモノフィラメントの端は横方向に配置された個々の針に同時に供給される。
【0042】
好ましい編物材料は、ナイロン(例えば、PA6又はPA6.6)などのポリアミド又はポリエステルから作られた繊維を含む。
【0043】
「織物」とは、製織によって形成された布帛又はテキスタイルを指す。製織は、経糸と緯糸を織り交ぜて布帛を形成する方法である。経糸と緯糸はどちらも基本的に真っ直ぐで、縦方向(経糸)又は横方向(緯糸)に互いに平行に走る。
【0044】
不織布は、典型的に、繊維又はフィラメントが機械的、熱的又は化学的に絡み合ったシート又はウェブ構造として定義される。繊維はシート又はウェブの形で、典型的には、ランダムな構成で配置され、次いで、結合剤の存在の有無にかかわらず、結合のために少なくとも部分的に、ニードルパンチング又は水流交絡などの機械的結合、又は、シート又はウェブ上への結合剤の適用による化学的結合、又は、繊維又はフィラメントを溶融させることによる熱結合のいずれかで結合される。
【0045】
実施形態において、アッパーは4つの層を含むラミネートであることができる。このラミネートの最外層はマイクロファイバから作られていてよい。この最外層は不織布層にラミネート化されてもよい。マイクロファイバ層の反対側の表面上で、不織布層は防水性かつ水蒸気透過性膜にラミネート化されていることができる。第四の層として、テキスタイル層を、不織布層とは反対側の防水性かつ水蒸気透過性膜の表面にラミネート化されることができる。この層はアッパーにおいて履物の内側に向いている。この層は、編物などの開放メッシュ材料であることができる。開放メッシュ構造により、防水性ブリッジングテープの接着剤がテキスタイル層を通って防水性かつ水蒸気透過性膜に浸透することができる。好ましくは、マイクロファイバはポリアミド又はポリウレタンから作られる。好ましくは、不織布層はポリエステル又はポリアミド、例えばナイロンから作られる。
【0046】
実施形態において、外層は耐久性撥水(DWR)加工されうる。DWRは、布帛に疎水剤をコーティング、浸漬又はスプレーして、布帛に耐水性又は疎水性を与える処理である。布帛が水で飽和するのを防ぐことで、機能層の通気性の低下を防ぐ。
【0047】
履物の防水性は、米国特許第5,329,807号明細書に記載されている遠心分離試験を使用して測定できる。その全体を参照により本明細書に組み込む。遠心分離試験は30分間実行できる。30分経過しても漏れが見られないならば、履物物品は防水性であると考えられる。
【0048】
履物の水蒸気透過性は、国防総省陸軍戦闘ブーツの温帯天候仕様に準拠した全ブーツ湿気蒸気透過率試験の決定に従って評価できる。仕様は次のとおりである。
全ブーツ湿気蒸気透過率
ブーツの蒸気透過性試験は、内部環境と外部環境の間の水蒸気濃度の差によって、試験サンプルを通る水蒸気透過速度(MVTR)を示すように設計されるべきである。
装置
a.外部試験環境制御システムは、試験期間全体にわたって23(±1)℃、相対湿度50%±2%を維持できるべきである。
b.重量計は水が充填された試験サンプルの重量を(±0.01)グラムの精度で測定できるべきである。
c.保水バッグは試験サンプルに挿入でき、内部の輪郭に適合するように可撓性であるべきであり、折り目がエアギャップを作らないほど十分に薄くなければならず、試験される履物物品よりもはるかに高いMVTRを有しなければならず、また、液体の水ではなく、水蒸気のみが履物物品の内部と接触するように防水性でなければならない。
d.試験サンプルのための内部ヒータは、試験サンプル中の液体の水の温度を35(±1)℃に均一に温度を制御できるべきである。
e.試験サンプルのカラー周囲のシーリング方法は、液体の水と水蒸気の両方に不透過性であるべきである。
手順
a.サンプルを試験環境及び条件に少なくとも12時間配置する。
b.加熱デバイスを保水バッグ内に挿入し、次いで、完成したアセンブリを試験サンプルの開口部に入れ、ソールの内側から測って5cmの高さまで水を満たす。
c.履物の上部の周囲でプラスチックラップによりカラーの周りの開口部をシールし、梱包テープを使用してテーピングする。
d.試験サンプルにおいて水を35℃に加熱する。
e.試験サンプルの重量を計量し、Wiとして記録する。
f.計量後に試験サンプルの温度を少なくとも4時間保持する。
g.少なくとも4時間後に、試験サンプルの重量を再計量する。重量をWfとして記録し、試験時間をTdとして記録する。
h.下記式から試験サンプルのMVTRをグラム/時で計算する。
MVTR=(Wi-Wf)/Td
この試験はASTM D8041 (2016)に準拠している。
例えば、ヨーロッパの靴サイズ42のローアンクルシューズでは、上記の計算値が1.5グラム/時間以上であるならば、その履物は通気性があると考えることができる。靴のサイズが大きいか又は小さい場合に、前記限界値は、靴の表面積の増加又は減少に従って外挿することができる。
【0049】
防水性かつ水蒸気透過性膜は、DIN EN 343 (2010)で指定された要件が満たされるときに、つまりEN 20 811(1992)に準拠した静水圧に対する液体耐水性試験が8000Pa以上の液体耐水性Wpをもたらすときに、防水特性を有するものと考えられる。
【0050】
防水性かつ水蒸気透過性膜の水蒸気透過性は、「カップテスト」としても知られるEN ISO 15496で試験及び定義される。20cm×20cm又は直径100mmの円形の防水性かつ水蒸気透過性膜のサンプルを水を含む容器上に置き、水蒸気透過性かつ防水性膜で覆う。次に、酢酸カリウムを含み、同じ膜で覆われたカップをサンプルの上に置く。水蒸気は防水性かつ水蒸気透過性膜を通過してカップに入り、カップの重量増加が測定される。防水性かつ水蒸気透過性膜は、水蒸気透過性が0.01g/(Pamh)以上であるならば、水蒸気透過性又は通気性があると考えられる。必要なサイズのサンプルが得られないならば、基準で指定されている酢酸カリウムの半分の量、すなわち、100gの代わりに50gを入れ、15.6gの水と混合した小さなカップを使用して、より小さなサンプルを測定に使用することができる。水蒸気透過性及び通気性という用語は、本明細書では相互互換的に使用される。
【0051】
適切な合成ポリマー膜の非限定的な例としては、ポリウレタン、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、延伸ポリテトラフルオロエチレン(ePTFE)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、フッ素化エチレンプロピレン(FEP)、パーフルオロアルコキシアルカン(PFA)、変性ポリテトラフルオロエチレンポリマー、テトラフルオロエチレン(TFE)コポリマー、ポリプロピレン及びポリエチレンなどのポリアルキレン、ポリエーテルスルホン(PES)、ポリエステル、米国特許公開第2016/0032069号明細書で教示されているとおりのポリ(p-キシリレン)(ePPX)、Sbrigliaの米国特許第9,926,416号明細書、Bellの米国特許出願第2021/0317276号明細書、BellのPCT特許出願第2020/28331号明細書に教示されているとおりの多孔質超高分子量ポリエチレン(eUHMWPE)、Sbrigliaの米国特許第9,932,429号明細書に教示されているとおりの多孔質エチレンテトラフルオロエチレン(eETFE)、Sbrigliaらの米国特許第7,932,184号明細書で教示されるとおりの多孔質ポリ乳酸(ePLLA)、Sbrigliaの米国特許第9,441,088号明細書で教示されるとおりの多孔質フッ化ビニリデン-コ-テトラフルオロsエチレン又はトリフルオロエチレン[VDF-コ-(TFE又はTrFE)]ポリマー、それらのコポリマー及び組み合わせが挙げられる。
【0052】
防水性かつ水蒸気透過性膜は、延伸ポリテトラフルオロエチレン(ePTFE)、延伸ポリエチレン、延伸ポリプロピレン、延伸ポリオレフィン、ポリウレタン、ポリエステル及びコポリエーテルエステル、ポリエーテル、延伸ポリエーテル、ポリアミド(PA)、コポリエーテルアミド及びポリアクリレートのうちの少なくとも1つ、又はそれらの複合体もしくは多層ラミネートを含むことができる。防水性かつ水蒸気透過性膜は、フルオロポリマー、特に微孔質延伸ポリテトラフルオロエチレン(ePTFE)から作ることができる。
【0053】
微孔質ポリテトラフルオロエチレンの防水性かつ水蒸気透過性膜は、米国特許第3,953,566号明細書及び米国特許第4,187,390号明細書に教示されているとおりの延伸ポリテトラフルオロエチレンの膜であることができる。このような延伸ポリテトラフルオロエチレンの膜は、W.L.Gore and Associatesから商品名GORE-TEX(登録商標)布帛として市販されている。水蒸気透過性かつ防水性膜は、W.L.Gore and Associates,メリーランド州エルクトンに譲渡された米国特許第4,194,041号明細書及び米国特許第4,942,214号明細書の教示にしたがって実質的に製造された、ポリウレタン被覆された微孔質延伸ポリテトラフルオロエチレンからなる。膜の片面又は両面に編物テキスタイルなどのさらなる支持材料が存在してもよい。
【0054】
実施形態において、防水性かつ水蒸気透過性膜は、膜と支持層とのラミネート、又は2つの支持層の間に挟まれた膜を含む。支持層は、外層に関して上で論じたようなテキスタイル層であってもよい。防水性かつ水蒸気透過性履物物品の内側に面する防水性かつ水蒸気透過性膜の表面上の支持層は、開放メッシュ材料又はテキスタイル層のみであってもよい。内側に面する側のテキスタイル層及び開放メッシュ材料とは、ソールの射出ポリマー材料又は防水性ブリッジングテープの接着剤が開放メッシュ材料又はテキスタイル層に完全に浸透できる任意の材料を意味する。テキスタイル層は、好ましくは編物又は織物である。
【0055】
防水性かつ水蒸気透過膜はアッパー全長に存在していてよい。あるいは、防水性かつ水蒸気透過性膜は、着用者の足を取り囲むアッパーの領域、例えば、着用者の足の裏から着用者の足首を取り囲む領域までのみ存在し、それ以上は存在しなくてよい。外側材料及び防水性かつ水蒸気透過性膜は、それぞれの下端部で境界を共にする。これは、防水性かつ水蒸気透過性膜も外側材料も、下端部で他方を超えて延在することができないことを意味する。防水性かつ水蒸気透過膜は外側材料と接触することができる。
【0056】
インソールは、例えば、ボンド結合皮革、合成布帛、熱可塑性ポリマー、ファイバボード又はゴムなどの任意の適切な材料から作ることができる。インソールは靴型ボード又はストロベルボードであることができる。靴型ボードは、ストロベルボードよりも高い剛性及び硬度を有することができる。ストロベルボードは、典型的に、防水性ブリッジングテープ、不織布材料及び/又はライナーをストロベルボードに縫い付けることを可能にするテキスタイル材料である。
【0057】
ホットメルト接着剤又は感圧接着剤などの典型的な靴型処理接着剤、例えば、コポリエステル又はポリアミドホットメルト接着剤又はポリウレタンを使用できる。
【0058】
ソールは、接着剤又はセメント固定によって取り付けられる単一のブロックから作ることができる。高い耐摩耗性及びソール安定性を得るために、材料は、例えばゴム又は例えばポリウレタンなどのポリマーを含むことができる。
【0059】
あるいは、ソールをポリウレタン、熱可塑性ポリウレタン(TPU)又はエチレン酢酸ビニル(EVA)などのポリマー材料から作り、靴型上で組み立てられる履物構造の底部に射出することができる。
【0060】
製造方法の最後に、フットベッドが履物物品内に配置されうる。フットベッドは、着用者の足にクッション性を与え、より良いフィット感及びさらなる断熱性を提供する材料から作られることができる。
【0061】
実施形態において、フットベッドは二層の材料を含むことができる。ソールに面する下層は、例えばポリウレタン(PU)フォーム、エチレン酢酸ビニル(EVA)、ポリエチレン(PE)フォームから作製されうる。着用者の足に面する上層は、内層用に開示された材料のいずれかから作ることができる。実施形態において、上層は、履物物品の内層と同じ材料から作製されうる。
【0062】
フットベッドは取り外し可能で、インソール及び/又は内層に取り付けられていなくてよい。
【0063】
図1は、アッパー40、インソール80、ソール110及び防水性ブリッジングテープ70を含む防水性かつ水蒸気透過性履物物品10を示す。アッパーは、外側材料20、防水性かつ水蒸気透過性膜30及びバッキング層190を含む。防水性ブリッジングテープ70の上端部は、アッパー40のバッキング層190に取り付けられる。バッキング層190は、編物又は織物などの開放構造を有するメッシュ又はテキスタイル層を含む。防水性ブリッジングテープ70の接着層50の接着剤は、バッキング層190を浸透し、したがって、アッパー40の下端部でアッパー40の防水性かつ水蒸気透過性膜30との結合を形成する。防水性ブリッジングテープはキャリア層60をさらに含む。防水性ブリッジングテープ70の下端部は、靴型処理接着剤90によってインソール80の下側に取り付けられる。靴型処理接着剤90は、防水性ブリッジングテープ70のキャリア層60をインソール80に取り付ける。ソール110は、ソールセメント100を使用して靴型処理履物10上にセメント固定されるか、又は、靴型の上に射出される。図1は、セメント固定された実施形態を示す。好ましくは、ソール材料は、アッパー40の外側の下端部を部分的に覆う。
【0064】
接着層50が配置される防水性ブリッジングテープ70の側は、アッパー40の防水性かつ水蒸気透過性膜30及びソール110(ソールが射出成形される場合)又はソールセメント100(ソールがセメント固定される場合)に面している。防水性かつ水蒸気透過性膜30、防水性ブリッジングテープ70及びソール110はすべてが防水性であり、それらが防水性接着剤(防水性ブリッジングテープ70の接着層50、ソールセメント100及び/又は射出ソールポリマー110)によって互いに接着されるので、防水性シールは提供される。
【0065】
図2には、保護層120をさらに含む履物物品10が示されている。図2の左側は、靴型による実施形態を示し、一方、右側は、ストロベルによる履物物品10を示す。靴型による実施形態において、保護層120は、アッパー40の外側の下端部及び防水性ブリッジングテープ70に取り付けられる。保護層120は防水性があり、さらなる機械的強度を提供し、さらに履物物品10の防水性を向上させる。さらに、保護層120は、使用する必要のあるアッパー材料の量をさらに削減する。
【0066】
図2の右側に示されるストロベルによる実施形態において、防水性ブリッジングテープ70の上端部は防水性かつ水蒸気透過性膜に取り付けられ、防水性ブリッジングテープ70の下端部はシーム160でインソール80に取り付けられる。靴型による実施形態と同様に、保護層はアッパー40の下端部にグルー接着され、次いで、保護層120が接着剤180で取り付けられたインソール80の周りで引っ張られる。その後、ソール110はセメント固定されるか又は射出される。
【0067】
図3を参照すると、ブーティの形態のライナー140をさらに含む、図1に示されるような履物物品10が説明される。ライナー140は、アッパー内に掛けられるブーティを形成する。ライナーの材料は、1つの材料から作られてもよく、例えば、ブーティに縫い付けられたテキスタイルから作られ、又は、幾つかの異なる材料から作られることができる。図3のライナー140は、防水性かつ水蒸気透過性膜などの、防水性かつ水蒸気透過性材料30の1つの層を含む。図3は二層のライナー140を示しているが、ライナー140は、テキスタイル層130の間に挟まれた防水性かつ水蒸気透過性膜30を備えた3層ラミネートから作製されてもよい。好ましくは、テキスタイル層は両方とも編物である。
【0068】
あるいは、ライナー140はブーティとして形成されなくてもよい。この実施形態は図4に示されている。図4の防水性かつ水蒸気透過性履物物品10は、保護層120、アッパー40、防水性ブリッジングテープ70、インソール80及びソール110を含む。防水性ブリッジングテープ70は、両面に接着層50を担持するキャリア層60を含む。防水性ブリッジングテープ70の上端部は、アッパー40の防水性かつ水蒸気透過性膜の下端部とライナー140との間に挟まれている。アッパー40の防水性かつ水蒸気透過性膜を伴う防水性ブリッジングテープ70の防水性キャリア層60と、ライナー140との間の強力な結合は、射出成形された又はセメント固定された防水性ソール110とともに履物物品10をシールする。図4は、ソールセメント100を使用してソール110を取り付けるセメント固定の実施形態を示す。射出成形の実施形態において、100及び110で示される両方の領域は射出ソールポリマー材料によって形成される。ライナー140は二層ライナーとして示されているが、さらなる実施形態において、ライナー140は防水性かつ水蒸気透過性膜を含まず、少なくとも1つのテキスタイル層のみを含んでよく、又は、ライナーは、2つのテキスタイル層の間に挟まれた防水性かつ水蒸気透過性膜を備えた三層ラミネートであってもよい。さらに、防水性ブリッジングテープ70をインソール80に靴型処理する代わりに、防水性ブリッジングテープをシームでインソール80に取り付けてもよい。
【0069】
本明細書に記載の実施形態において、履物物品10は、アッパー40、インソール80、不織布材料150、ソール110及び防水性ブリッジングテープ70を含む。履物物品10は、少なくとも1つの保護層120をさらに含むことができる。さらに、履物物品10はライナー140を含むことができる。アッパー40は、少なくとも、外側材料20と、防水性かつ水蒸気透過性膜30とを含む。場合により、アッパー40は、防水性かつ水蒸気透過性膜30の内側に面する側に、メッシュ又は不織布層、例えば、編物又は織物をさらに含む。
【0070】
図5は、アッパー40の下端部でアッパー40の防水性かつ水蒸気透過性膜30に取り付けられた防水性ブリッジングテープ70の上端部を示す。図5の左側には、履物物品10がライナー140を含む実施形態が示されている。ライナーは、上述のように、少なくとも1つのテキスタイル層、テキスタイル層と防水性かつ水蒸気透過性膜とのラミネート、又は、2つのテキスタイル層の間に挟まれた防水性かつ水蒸気透過性膜を含むことができる。
【0071】
ライナー140の下端部は、シーム160で不織布材料150に取り付けられる。キャリア層60と、対向する表面上の2つの接着層50とを含む防水性ブリッジングテープ70は、ライナー140の防水性かつ水蒸気透過性膜30及びアッパー40に取り付けられ、防水性ブリッジングテープ70がライナー140と不織布材料150との間のシームを覆うような長さを有する。次に、不織布材料150の下端部は、接着剤90でインソール80に靴型処理される。
【0072】
図5の右側では、ライナー140と防水ブリッジングテープ70の両方の下端部が、好ましくは同じシームで不織布材料150に縫い付けられている。次いで、不織布材料150をインソール80に靴型処理する。図示されていないさらなる実施形態において、不織材料150をシームでアッパー40の下端部に取り付けることができる。次に、キャリア層60と1層の接着層50とを含む防水性ブリッジングテープ70をアッパー40の内側でシーム160の上にグルー接着し、次いで接着剤90で不織布材料150と一緒にインソール80に靴型処理する。
【0073】
あるいは、不織布材料150及び/又は防水性ブリッジングテープ70をインソール80に靴型処理する代わりに、不織布材料150及び/又は防水性ブリッジングテープ70をシームでインソール80に取り付けることができる。
不織布材料は、好ましくは少なくとも150g/m、少なくとも200g/m、又は少なくとも250g/mの布帛重量を有する。ステープル不織布、メルトブローン不織布又はスパンレイド不織布などの任意の不織布材料を使用することができる。不織布材料は、履物に一般的に使用される任意の繊維又はフィラメントを含むことができる。熱結合、水流交絡、ニードルパンチング、メルトブロー又は化学結合などのプロセスにより、不織布材料に十分な機械的耐性が提供される。不織布は、合成ポリマー又は天然ポリマーから作製されうる。適切な合成ポリマーは、ポリエステル(PE)、ポリアクリロニトリル(PAN)、ポリアミド(PA)及びポリエチレン(PE)から選択されうる。
【0074】
さらに、図5には、アッパー40の下端部にグルー接着された保護層120が示されている。保護層120の下周縁部は、不織布材料150の外側に面する表面上に靴型処理されている。ソール110はセメント固定又はソールポリマー材料の直接射出のいずれかによって取り付けられることができる。このようにして、ソールセメント100又はソールの射出ポリマー材料、保護層120及び防水性ブリッジングテープ70の間にシールが形成される。
【0075】
図6の防水性かつ水蒸気透過性履物物品10は、さらなる実施形態において、アッパー40、インソール80、ソール110、防水性ブリッジングテープ70、ライナー140及び保護つま先キャップ170を含む、防水性かつ水蒸気透過性履物物品10のつま先領域を示す。保護つま先キャップ170は、着用者に十分な保護を提供するためにインソール80とオーバーラップしなければならない。保護つま先キャップ170は、好ましくは金属から作られる。保護つま先キャップ170は、アッパー40の防水性かつ水蒸気透過性膜30に取り付けられることができる。好ましくは、保護つま先キャップは、アッパー40とライナー140との間に配置される。防水性ブリッジングテープ70は、2つの膜30とソール110との間にシールを提供するために必要とされる。防水性ブリッジングテープ70は、アッパー40の防水性かつ水蒸気透過性膜30の下周縁部に取り付けられ、アッパー40を超えて延在している。好ましくは、防水性ブリッジングテープ70は、対向する表面に2つの接着層50を含む。アッパー40、ライニング140及び防水性ブリッジングテープ70は、靴型処理接着剤90でインソール80に靴型処理される。
【0076】
ライナー140の下端部は、防水性ブリッジングテープ70の上端部がライナー140とアッパー40との間に挟まれるように防水性ブリッジングテープ70に取り付けられる。防水性ブリッジングテープ70は、アッパー40及びライナー140の下端部を超えて延在している。アッパー40の下端部は、好ましくは、ライナー140の下端部を超えて延在している。次いで、ソール110は射出され又はセメント固定される(図示せず)。以前の実施形態で論じたように、アッパー40又はライナー140は、上記で論じた様々なラミネートから作製されうる。図7は、各側に1つずつ、2つの実施形態を示す。両方の実施形態において、ネットバンド200は、シーム160でアッパー40の下端部に取り付けられる。次に、防水性ブリッジングテープ70は、例えば熱圧着によって、ネットバンド70の内側に面する表面、ネットバンド70とアッパー40との間のシーム160、そしてアッパー40の内面の被覆部分にわたって取り付けられる。ブリッジングテープ70の縁部及びアッパー40に縫い付けられていないネットバンド200の縁部とは、境界を共にする。これは、ブリッジングテープ70もネットバンド200も、この端部で他方を超えて延在していないことを意味する。この縁部は、ストロベルシーム160を用いてストロベルボード80に取り付けられる。次いで、防水性ソール材料110が履物物品の底部の上に射出される。次いで、液体ソール材料は、ネットバンド200を通ってシーム160に向かって流れ、防水性かつ水蒸気透過性膜30とともに履物物品10を防水性にする。
【0077】
図7に示す左側と右側の2つの実施形態の違いは、ネットバンド200が水平方向のみに延在するか、又は垂直方向にも延在するかである。右側の実施形態において、ネットバンド200はブリッジングテープ70と一緒に靴型処理するために使用される。ネットバンド200は、ブリッジングテープの接着層50によって全長に沿ってブリッジングテープ70に取り付けられている。これにより、靴型処理のためにネットバンド200にさらなる強度を与えることができる。したがって、ネットバンド200は、水平方向及び垂直方向に延在している。図7の左側の実施形態において、ネットバンド200は、水平方向にのみ延在して、アッパー40とストロベルボード80との間のギャップを橋渡ししている。
【0078】
両方の実施形態において、射出されたソール材料は、履物物品10の外側でアッパー70とネットバンド200との間のシーム160にオーバーラップする。
【0079】
本発明を好ましい実施形態に従って説明してきたが、添付の特許請求の範囲から逸脱することなく均等及び変形が可能である。
(態様)
(態様1)
アッパー、
インソール、
ソール、及び、
防水性ブリッジングテープ、
を含む、防水性かつ水蒸気透過性履物物品であって、前記アッパーは外側材料及び防水性かつ水蒸気透過性膜を含み、前記防水性かつ水蒸気透過性膜は、前記履物物品の内側に面する前記外側材料の表面にラミネート化されており、前記防水性ブリッジングテープの少なくとも上端部は、前記アッパーの前記防水性かつ水蒸気透過性膜に、前記履物物品の内側に面する前記防水性かつ水蒸気透過性膜の表面上にて前記アッパーの下周縁部で取り付けられている、防水性かつ水蒸気透過性履物物品。
(態様2)
前記防水性ブリッジングテープは、接着剤層によって少なくとも片面が覆われた防水性キャリア層を含む、態様1記載の防水性かつ水蒸気透過性履物物品。
(態様3)
前記防水性ブリッジングテープは、接着剤層によって両面が覆われたキャリア層を含む、態様1又は2記載の防水性かつ水蒸気透過性履物物品。
(態様4)
前記防水性ブリッジングテープの少なくとも下端部は前記インソールに取り付けられている、態様1~3のいずれか1項記載の防水性かつ水蒸気透過性履物物品。
(態様5)
前記防水性ブリッジングテープはシームで前記インソールに取り付けられているか、又は、前記防水性ブリッジングテープは接着剤で前記インソールに取り付けられている、態様4記載の防水性かつ水蒸気透過性履物物品。
(態様6)
前記防水性ブリッジングテープの下端部は不織布材料に取り付けられている、態様1~3のいずれか1項記載の防水性かつ水蒸気透過性履物物品。
(態様7)
前記防水性ブリッジングテープはシームによって前記不織布に取り付けられている、態様6記載の防水性かつ水蒸気透過性履物物品。
(態様8)
前記履物物品は保護層をさらに含み、その一部は前記履物物品の外側に位置する、態様1~7のいずれか1項記載の防水性かつ水蒸気透過性履物物品。
(態様9)
前記保護層はゴム層又はポリウレタン層である、態様8記載の防水性かつ水蒸気透過性履物物品。
(態様10)
前記インソールは靴型ボード又はストロベルボードである、態様1~9いずれか1項記載の防水性かつ水蒸気透過性履物物品。
(態様11)
前記アッパーは、前記防水性かつ水蒸気透過性膜の内側に面する表面にラミネート化されたバッキング層をさらに含み、場合により、前記バッキング層はテキスタイル層又は開放メッシュ材料である、態様1~10のいずれか1項記載の防水性かつ水蒸気透過性履物物品。
(態様12)
前記履物物品はライナーをさらに含み、場合により、前記ライナーは防水性かつ水蒸気透過性膜を含む、態様1~11のいずれか1項記載の防水性かつ水蒸気透過性履物物品。
(態様13)
前記ライナーはブーティを形成する、態様12記載の防水性かつ水蒸気透過性履物物品。
(態様14)
防水性かつ水蒸気透過性履物物品を製造する方法であって、
少なくとも1つの外層と、履物物品の内側に面する表面上で前記外層にラミネート化された防水性かつ水蒸気透過性膜とを有するアッパー、インソール、ソール及び防水性ブリッジングテープを提供すること、
場合により、少なくとも1つの防水性かつ水蒸気透過性膜を含むライナー材料を提供すること、
前記防水性ブリッジングテープの上端部を、前記アッパーの前記防水性かつ水蒸気透過性膜に、履物物品の内側に面する前記防水性かつ水蒸気透過性膜の表面上にて前記アッパーの下周縁部で取り付けること、
を含む、方法。
(態様15)
前記防水性ブリッジングテープの下端部を前記インソールに取り付ける工程をさらに含む、態様14記載の防水性かつ水蒸気透過性履物物品を製造する方法。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7