IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ エム・ハー・ヴィアト ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツングの特許一覧

特許7608545ドリルヘッド、およびドリルヘッドを含むドリルシステム
<>
  • 特許-ドリルヘッド、およびドリルヘッドを含むドリルシステム 図1
  • 特許-ドリルヘッド、およびドリルヘッドを含むドリルシステム 図2
  • 特許-ドリルヘッド、およびドリルヘッドを含むドリルシステム 図3
  • 特許-ドリルヘッド、およびドリルヘッドを含むドリルシステム 図4
  • 特許-ドリルヘッド、およびドリルヘッドを含むドリルシステム 図5
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-20
(45)【発行日】2025-01-06
(54)【発明の名称】ドリルヘッド、およびドリルヘッドを含むドリルシステム
(51)【国際特許分類】
   E21B 10/32 20060101AFI20241223BHJP
【FI】
E21B10/32
【請求項の数】 9
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023143788
(22)【出願日】2023-09-05
(62)【分割の表示】P 2020546993の分割
【原出願日】2019-03-08
(65)【公開番号】P2023164942
(43)【公開日】2023-11-14
【審査請求日】2023-10-04
(31)【優先権主張番号】102018105340.1
(32)【優先日】2018-03-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】516304126
【氏名又は名称】エム・ハー・ヴィアト ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
【氏名又は名称原語表記】MHWirth GmbH
【住所又は居所原語表記】Koelner Strasse 71-73, D-41812 Erkelenz, Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100134315
【弁理士】
【氏名又は名称】永島 秀郎
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】ベアント ヴァルラーフェン
(72)【発明者】
【氏名】トアステン クライネン
(72)【発明者】
【氏名】ヴィリ テオ シュミッツ
【審査官】小林 謙仁
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2007/0102195(US,A1)
【文献】特開平11-022358(JP,A)
【文献】特開2006-283516(JP,A)
【文献】特公昭48-017003(JP,B1)
【文献】実開昭51-026701(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E21B 1/00-49/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ドリルヘッド(100)であって、該ドリルヘッド(100)は、作動中に回転軸線(S)を中心にして回転可能であり、かつその有効穿孔直径(D,D,D)に関して拡大可能であり、
少なくとも1つの切削工具(3)が装着された端面(4)を有するベースボディ(2)と、
旋回軸線(W)を中心にして旋回可能に前記ベースボディ(2)に連結されている少なくとも1つの拡開アーム(5)と、を備えており、該拡開アーム(5)は、引き戻された位置と、前記有効穿孔直径を第1の値(B)だけ拡大する第1の押し出された位置との間で旋回可能であり、
前記少なくとも1つの拡開アーム(5)は、少なくとも1つの切削工具(7)が装着された作用面(8)を有しており、
前記作用面(8)は、前記少なくとも1つの拡開アーム(5)の前記引き戻された位置において、前記ベースボディ(2)の前記端面(4)と共に、少なくともほぼ1つの平面(E)に位置しており、
前記作用面(8)は、前記少なくとも1つの拡開アーム(5)の前記第1の押し出された位置において、前記回転軸線(S)の方向において少なくともほぼ階段状のずれなしに前記ベースボディ(2)の前記端面(4)から延びている、ドリルヘッド(100)において、
前記少なくとも1つの拡開アーム(5)は、前記回転軸線(S)に向けられた側面を有しており、この側面の領域において、操作レバー(13)の第1の端部(14)が、前記旋回軸線に対してほぼ平行に延びている軸線を中心にして旋回可能に、前記少なくとも1つの拡開アーム(5)に枢着されており、かつ前記操作レバー(13)の第2の端部(15)が、ガイド(16)に沿って移動可能に前記ベースボディ(2)に枢着されていることを特徴とする、ドリルヘッド(100)。
【請求項2】
前記少なくとも1つの拡開アーム(5)は、前記有効穿孔直径に対して第2の値(B)だけ拡大された、第2の押し出された位置に旋回可能である、請求項1記載のドリルヘッド。
【請求項3】
前記少なくとも1つの拡開アーム(5)の前記作用面(8)は、前記第1の押し出された位置および/または前記第2の押し出された位置において、前記ベースボディ(2)の前記端面(4)に対して20°~45°の角度(α)を、前記端面(4)から前記ベースボディ(2)に向かって傾けられて有している、請求項2記載のドリルヘッド。
【請求項4】
第1の端部(11)で前記ベースボディ(2)にかつ第2の端部(12)で前記操作レバー(13)に枢着されているリニアモータが設けられている、請求項1から3までのいずれか1項記載のドリルヘッド。
【請求項5】
前記リニアモータが空圧シリンダを有している、請求項4記載のドリルヘッド。
【請求項6】
前記リニアモータが液圧シリンダ(10)を有している、請求項4記載のドリルヘッド。
【請求項7】
前記切削工具(3,7)の少なくとも一部は、回転バイトとして形成されている、請求項1から6までのいずれか1項記載のドリルヘッド。
【請求項8】
前記有効穿孔直径は、5000から8000mmに拡大可能である、請求項1から7までのいずれか1項記載のドリルヘッド。
【請求項9】
回転装置と支持系統(1)とを含むドリルシステムであって、
当該ドリルシステムは、請求項1から8までのいずれか1項記載のドリルヘッド(100)をさらに含み、該ドリルヘッド(100)は、前記支持系統(1)に連結されていることを特徴とする、ドリルシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ドリルヘッドであって、該ドリルヘッドは、作動中に回転軸線を中心にして回転可能であり、かつその有効穿孔直径に関して拡大可能であり、少なくとも1つの切削工具が装着された端面を有するベースボディと、旋回軸線を中心にして旋回可能にベースボディに連結されている少なくとも1つの拡開アームとを備えており、該拡開アームは、引き戻された位置と、有効穿孔直径を第1の値だけ拡大する第1の押し出された位置との間において旋回可能であり、拡開アームは、少なくとも1つの切削工具が装着された作用面を有している、ドリルヘッドに関する。
【背景技術】
【0002】
これらの特徴を備えたドリルヘッドは、韓国公開特許第20060006754号公報に基づいて公知である。引き戻された位置では、拡開アームの少なくとも1つの切削工具は機能せず、押し出された位置では、作動中に、ベースボディによってボーリングされた孔の、孔底に追従する直径拡大が行われる。
【0003】
このようなドリルヘッドは、例えば風力発電設備のための洋上基礎穿孔時に使用される。
【0004】
風力発電設備、特にいわゆる「洋上風力発電地帯」の一部である風力発電設備の性能を高めるという要求において、風力発電設備が益々大型化するという傾向がある。これに伴って、風力発電設備の基礎は、益々大きくなる負荷を受け止めるように設計されていなくてはならない。
【0005】
この要求を満たすために、例えば、風力発電設備のための基礎として、複数の、例えば三角形に配置された3つの杭を設けることが公知であり、これらの杭は、海底にボーリングされ、かつ海面から突出している。これらの杭の上端部は、支持構造を介して互いに結合されており、この支持構造には、風力発電設備の塔の下端部が固定されている。「トリポッド」とも呼ばれるこれらの基礎は、特に、必要な複数の基礎穿孔に基づいて必要な建設費が高騰するという欠点を有している。
【0006】
ゆえに今日、洋上領域において多く使用されている風力発電設備の塔は、それぞれ、ただ1つの杭基礎(「モノパイル」とも呼ばれる)の上端部に固定されている。これらの杭基礎の必要な安定性を得るために、これらの杭基礎は、海中領域において少なくとも、杭基礎が海底に挿入されている長さにわたって、風力発電設備の塔が固定されているそれぞれの上端部の直径よりも大きな直径を有している。したがって、これらの杭基礎は、しばしば、異なる直径の両領域を互いに移行させている「フランジ頸部」を有している。
【0007】
これらの杭基礎をボーリングするために、杭の内部に位置している海底を穿孔して取り出すことが定期的に必要である。そのためには、ドリルヘッドを、小径領域を通して上から杭基礎の内部に導入することが必要である。したがって、有効穿孔直径が拡大可能である、冒頭に述べた形式のドリルヘッドを使用する必要がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の根底を成す課題は、上記した使用のために改善されたドリルヘッドを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この課題は、請求項1に記載されたドリルヘッドによって解決される。
【0010】
本発明に係るドリルヘッドは、拡開アームの作用面が、引き戻された位置において、ベースボディの端面と共に、少なくともほぼ1つの平面に位置しているように形成されている。「少なくともほぼ」というのは、拡開アームの作用面とベースボディの端面との間に、回転軸線の方向における切削工具の延在長さよりも大きな階段状のずれ(Stufenversatz)が存在すべきではないということを意味している。
【0011】
この構成に基づいて、本発明に係るドリルヘッドでは、少なくとも1つの拡開アームの少なくとも1つの切削工具は、その引き戻された位置においても、孔底の地面を削り取る働きをすることができる。これによって、本発明に係るドリルヘッドによって得ることができる穿孔出力は、従来技術に属するドリルヘッド、つまり少なくとも1つの拡開アームの少なくとも1つの切削工具がその引き戻された位置では機能しないドリルヘッドに比べて、向上している。
【0012】
さらに、本発明に係るドリルヘッドは、作用面が拡開アームの第1の押し出された位置において、回転軸線の方向において少なくともほぼ階段状のずれなしにベースボディの端面に接続しているように形成されている。
【0013】
「少なくともほぼ階段状のずれなしに」とは、階段状のずれが、回転軸線の方向における切削工具の延在長さよりも大きくないことが望ましいということを意味している。階段状のずれなしにというのは、作用面と端面とが互いに平行に向けられていなくてはならないことを意味しない。むしろ、作用面は、端面に対して傾けられていてよい。
【0014】
この構成に基づいて、少なくとも1つの拡開アームの少なくとも1つの切削工具は、第1の押し出された位置において、ベースボディの少なくとも1つの切削工具が作業する平面に、少なくともほぼ階段状のずれなしに開口する平面内で作業する。これによって、第1の押し出された位置にある拡開アームによる孔のボーリング時に、拡大された直径の水平方向における階段状のずれを有しない孔底が得られる。しかしながら、孔底の、少なくとも1つの拡開アームによって提供された領域は、ベースボディによって提供された領域に対して傾けられていてよい。
【0015】
冒頭に述べた形式のドリルヘッドによってボーリングされる孔では、孔底の、ドリルヘッドのベースボディによって掘削される(vortreiben)領域は、拡開アームによって掘削される領域に先行する。しかしながら、この領域は、杭基礎のボーリングのためには不要であるので、冒頭に述べた形式のドリルヘッドにおける必要なコストは、回避可能な穿孔時間および搬出すべき切削物の回避可能な量によって増大しており、これは、本発明に係るドリルヘッドによって回避される。
【0016】
本発明に係るドリルヘッドの好適な発展形態では、少なくとも1つの拡開アームは、ドリルヘッドの有効穿孔直径を第2の値だけ拡大する、第2の押し出された位置に旋回可能である。ドリルヘッドのこの構成に基づいて、最初に杭基礎の内部を通して、杭基礎の下端部に至るまでの孔を、第1の値だけ拡大された有効穿孔直径によって掘削し、次いで孔を、第2の値だけ拡大された有効穿孔直径によってさらに掘削することが可能である。これによって、必要とされる最終深さに至るまでの杭基礎の進入を著しく容易にすることができる。第2の値だけ拡大された有効穿孔直径は、そのために好ましくは、この有効穿孔直径が少なくとも杭基礎の外径に相当するように選択されている。
【0017】
本発明に係るドリルヘッドの別の好適な実施形態では、少なくとも1つの拡開アームの作用面は、第1の押し出された位置および/または第2の押し出された位置において、ベースボディの端面に対して20°~45°の角度を、端面からベースボディに向かって傾けられて有している。この手段に基づいて、孔底の、少なくとも1つの拡開アームによって提供された領域は、ベースボディによって提供された領域に対して、ほぼ同じ角度だけ上昇する。驚いたことに、このようにして、解された切削物を特に効果的に孔底から搬出することができ、ひいては孔のボーリング中におけるドリルヘッドの摩擦を低減できることが判明している。これによって、この好適な実施形態は、孔のボーリングのための特に僅かなエネルギ需要と、ドリルヘッド、特に切削工具の特に僅かな摩耗とによって傑出している。
【0018】
本発明に係るドリルヘッドの別の好適な実施形態では、端面と作用面との間で拡開アームの第1の押し出された位置および/または第2の押し出された位置において生じる逃げ面を、少なくともほぼ閉鎖する、閉鎖要素が設けられている。これによって、この逃げ面を通して、切削物がドリルヘッドの領域に侵入し得ることが回避される。切削物は、引き戻された位置への少なくとも1つの拡開アームの戻り移動をブロックし、これは、孔からのドリルヘッドの引出しを困難にする、またはそれどころか不可能にするおそれがある。
【0019】
本発明に係るドリルヘッドの好適な実施形態では、少なくとも1つの拡開アームは、ドリルヘッドの回転軸線に向けられた側面を有している。この側面の領域において、操作レバーの第1の端部が、旋回軸線に対してほぼ平行に延びている軸線を中心にして移動可能に拡開アームに枢着されており、操作レバーの第2の端部が、軸線に対して横方向に延びているガイドに沿って移動可能にベースボディに枢着されている。この構成に基づいて、少なくとも1つの拡開アームは、特に安定的にベースボディに連結されており、これによって岩石における孔のボーリング時にも、第1の押し出された位置または第2の押し出された位置において少なくとも1つの拡開アームに作用する力を、損傷なしにベースボディに導入することができる。
【0020】
引き戻された位置と第1の押し出された位置および/または第2の押し出された位置との間で、少なくとも1つの拡開アームを移動させるために、好ましくは、第1の端部でベースボディにかつ第2の端部で操作レバーに枢着されているリニアモータが設けられている。「リニアモータ」という概念は、電気作動式のモータに制限して理解すべきではなく、広く解釈すべきである。特に、このリニアモータという概念には、液圧シリンダまたは空圧シリンダをも含めて理解すべきである。本発明に係るドリルヘッドの特に好適な実施形態では、第1の端部でベースボディにかつ第2の端部で操作レバーに枢着されている液圧シリンダが設けられている。
【0021】
本発明に係るドリルヘッドの特に好適な発展形態では、操作レバーは、該操作レバーが閉鎖要素を形成するように構成されている。これによって、追加的な閉鎖要素に関連した構造上のコストが回避される。
【0022】
本発明に係るドリルヘッドの、岩石の多い地面においても孔のボーリングのために特に適した実施形態では、好ましくは、切削工具の少なくとも一部が、回転バイトとして形成されている。
【0023】
本発明に係るドリルヘッドの、洋上領域における風力発電設備のための杭基礎を形成するための使用のために特に適した実施形態では、ドリルヘッドのベースボディと少なくとも1つの拡開アームとは、有効穿孔直径が、5000~8000mmの範囲において拡大可能であるように形成されている。本発明に係るドリルヘッドの1実施形態では、例えば有効穿孔直径は、少なくとも1つの拡開アームの引き戻された位置では5150mm、第1の値だけ拡大された第1の押し出された位置では6800mm、かつ第2の値だけ拡大された第2の押し出された位置では7400mmであってよい。
【0024】
本発明はまた、回転装置、支持系統(Tragstrang)、および支持系統に連結された本発明に係るドリルヘッドを含んでいる、ドリルシステムにも関する。
【0025】
図面には、単に概略的に、本発明に係るドリルヘッドの一実施例が示されている。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1】引き戻された位置にある拡開アームを備えた、小径の杭の領域における本発明に係るドリルヘッドの実施例を示す側面図である。
図2図1に示された、引き戻された位置にある拡開アームを備えたドリルヘッドのこの実施例を、下から見た図である。
図3】第1の押し出された位置にある拡開アームを備えた、杭の大径の領域における本発明に係るドリルヘッドの同じ実施例を、図1に相当する図で示す図である。
図4】第2の押し出された位置にある拡開アームを備えた、杭の下端部の下の位置における本発明に係るドリルヘッドの同じ実施例を、図3に相当する図で示す図である。
図5】本発明に係るドリルヘッドの同じ実施例を、下から見た図であって、このとき水平に延びている拡開アームが第1の押し出された位置に、かつ鉛直に延びている拡開アームが第2の押し出された位置にある状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
本発明に係るドリルヘッドの、図中に全体が符号100で示された実施例(以下では単に「ドリルヘッド100」と呼ぶ)は、作動中に、図1において略示された支持系統1に連結されており、この支持系統1は、図示されていない回転装置を用いて、回転軸線Sを中心にして回転させることができる。これによってドリルヘッド100は、作動中に、回転軸線Sを中心にして回転可能である。
【0028】
ドリルヘッドはベースボディ2を有しており、このベースボディ2は、複数の切削工具3が装着された端面4を有している。
【0029】
さらに、ドリルヘッド100は、拡開アーム5を有しており、これらの拡開アーム5は、その中心平面に関して、回転方向において互いに90°ずらされて配置されている。それぞれの拡開アーム5は、ピン6を用いてベースボディ2に連結されており、ピン6は旋回軸線Wを画定しており、この旋回軸線Wを中心にして、それぞれの拡開アームは旋回可能である。旋回軸線Wは、回転軸線Sに対して垂直方向に向いている。
【0030】
それぞれの拡開アーム5は、複数の切削工具7が装着された作用面8を有している。
【0031】
それぞれの拡開アーム5は、図1および図2に示した引き戻された位置、つまりそれぞれの作用面8と端面4とが少なくともほぼ1つの平面Eに位置し、かつドリルヘッドが有効穿孔直径D図1参照)を有している、引き戻された位置と、有効穿孔直径Dが第1の値Bだけ拡大されている、第1の押し出された位置(図3参照)と、有効穿孔直径Dが第2の値Bだけ拡大されている、第2の押し出された位置(図4参照)との間で、旋回軸線Wを中心にして旋回させることができる。
【0032】
図3および図4において認識できるように、拡開アーム5の作用面8は、単に第1の押し出された位置(図3)と第2の押し出された位置(図4)とにおいてだけ、回転軸線Sの方向に関して少なくともほぼ階段状のずれなしにベースボディ2の端面4から延びている。
【0033】
拡開アーム5が、第1の押し出された位置と第2の押し出された位置とにある場合に、作用面8はそれぞれ、ベースボディ2の端面4に対して20°~45°、好ましくは約37°の角度αを有している。このようにして、拡開アーム5の切削工具7を用いて削り取られた切削物は、重力の作用下で孔中心の方向に達することができ、かつこのようにして比較的簡単に、例えば吸込みによって、ベースボディ2の端面4に位置している吸込み開口9を介して搬出させることができる。
【0034】
拡開アーム5を引き戻された位置と第1の押し出された位置および第2の押し出された位置との間で旋回させることができるようにするために、それぞれの拡開アーム5のために液圧シリンダ10が設けられている。それぞれの液圧シリンダは、第1の端部11でベースボディ2に、かつ第2の端部12で操作レバー13に枢着されている。
【0035】
それぞれの操作レバー13は、第1の端部14で、拡開アーム5の、回転軸線Sに向いている側面の領域に着されている。操作レバー13の第2の端部15は、ガイド16内で回転軸線Sに対して平行に移動可能にベースボディ2に支持されている。
【0036】
図1図3、および図4の比較によって認識できるように、液圧シリンダの長さ変化は、この配置形態によって、旋回軸線Wを中心にした拡開アーム5の旋回運動を生じさせる。
【0037】
操作レバー13は、これらの操作レバー13が、ベースボディ2の端面4と拡開アーム5の作用面8との間で第1の押し出された位置および第2の押し出された位置において生じる逃げ面を、少なくともほぼ閉鎖するように形成されている。これによって、操作レバー13は同時に、ベースボディ2内への切削物の侵入と、場合によってはこれによって生じる拡開アーム5のブロックと、を阻止する閉鎖要素17を形成する働きをする。
【符号の説明】
【0038】
100 ドリルヘッド
1 支持系統
2 ベースボディ
3 切削工具
4 端面
5 拡開アーム
6 ピン
7 切削工具
8 作用面
9 吸込み開口
10 液圧シリンダ
11 第1の端部
12 第2の端部
13 操作レバー
14 第1の端部
15 第2の端部
16 ガイド
17 閉鎖要素
,B
,D,D 直径
E 平面
S 回転軸線
W 旋回軸線
α 角度
図1
図2
図3
図4
図5