IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ モリリン株式会社の特許一覧

<>
  • 特許-ズボン 図1
  • 特許-ズボン 図2
  • 特許-ズボン 図3
  • 特許-ズボン 図4
  • 特許-ズボン 図5
  • 特許-ズボン 図6
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-20
(45)【発行日】2025-01-06
(54)【発明の名称】ズボン
(51)【国際特許分類】
   A41D 1/06 20060101AFI20241223BHJP
【FI】
A41D1/06 E
A41D1/06 B
A41D1/06 D
【請求項の数】 1
(21)【出願番号】P 2023188799
(22)【出願日】2023-11-02
【審査請求日】2024-03-04
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】593069897
【氏名又は名称】モリリン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100101535
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 好道
(74)【代理人】
【識別番号】100161104
【弁理士】
【氏名又は名称】杉山 浩康
(72)【発明者】
【氏名】嶋本 智大
(72)【発明者】
【氏名】茂木 碧
(72)【発明者】
【氏名】戒能 礼奈
(72)【発明者】
【氏名】小島 楓
【審査官】横山 綾子
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2018/0110275(US,A1)
【文献】実開昭56-015714(JP,U)
【文献】特開2010-270404(JP,A)
【文献】登録実用新案第3224647(JP,U)
【文献】特開昭51-016141(JP,A)
【文献】特開2008-174854(JP,A)
【文献】特開2009-242988(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A41D 1/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ベルト部の周方向の少なくとも後部に、周方向に伸縮する第1伸縮部材を設け、
前記ベルト部の後部の上端部に伸縮抑制部材を設け、前記ベルト部の後部において、第1伸縮部材の上端部を、第1伸縮部材の下端部より周方向に伸びにくくし、
第1伸縮部材の両側部に、該第1伸縮部材と接続しない第2伸縮部材を設け、
該第2伸縮部材の前端を、下端より上端に向かう程前方に位置するように傾斜して形成したことを特徴とするズボン。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ズボンに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ズボンのベルト部をゴム等で締付け、ズボンがズレ落ちにくくないようにすることが行われている。ゴムの上端と下端の周方向の締付力は、同じに設定されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】

しかし、ズボンの着用者が屈んだ際に、前傾姿勢になるため、ベルト部の前側の上端は、下端より前に引っ張られ、後方は臀部が下方に移動するように引っ張られるため、ベルト部の後方上部と着用者との間に空間が生じてしまう。これにより、ズボンのウエスト部がズレ落ちたり、外観上の見栄えを損なう恐れがある。
【0004】
そこで、本発明は、ズボンの着用者が屈んだ際に、ベルト部の後方上部と着用者との間に空間が生じにくいズボンを提供すことを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
前記の課題を解決するために、本発明は
ベルト部の周方向の少なくとも後部に、周方向に伸縮する第1伸縮部材を設け、
前記ベルト部の後部の上端部に伸縮抑制部材を設け、前記ベルト部の後部において、第1伸縮部材の上端部を、第1伸縮部材の下端部より周方向に伸びにくくし、
第1伸縮部材の両側部に、該第1伸縮部材と接続しない第2伸縮部材を設け、
該第2伸縮部材の前端を、下端より上端に向かう程前方に位置するように傾斜して形成したことを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0007】
本発明は、ベルト部の後部の周方向に、周方向に伸縮する第1伸縮部材を設け、ベルト部の後部の上端部に伸縮抑制部材を設け、第1伸縮部材の上端部を、第1伸縮部材の下端部より周方向に伸びにくくしたことにより、着用者とズボン後部との間に隙間ができることを抑え、ズボンの着用者の着用状態の見映えをよくすることが出来る。また、ズボンの着用者が屈んだ際に、ズボンの後方がずり落ちることがなく、腰部に密着することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の実施例に係るズボンの正面図。
図2図1の後面図。
図3図1のズボンを展開した状態の表側の図。
図4図3の裏側の図。
図5】第1伸縮部材と伸縮抑制部材の関係を示す概略図。
図6】第2伸縮部材部分の要部拡大図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明のズボンに係る実施の形態を図に示す実施例に基づいて説明する。
【0010】
図1は、本発明の実施例1のズボンの正面図、図2はその後面図である。
[実施例1]
ズボン1は、前身頃2と後身頃3で構成され、前身頃2と後身頃3は、伸縮できる生地で構成されている。前身頃2の外側と後身頃3の外側の連結部4が、ズボン1を着用した際に、最も外側に位置する脇線に位置するように形成されている。なお。前身頃2と後身頃3は、本実施例では、伸縮できる生地で構成したが、ベルトが位置するベルト部7を、伸縮できる生地で構成し、それ以外の部分を伸縮できない生地で構成してもよい。
【0011】
ズボン1の脚5の丈は、図示されている長さに限定されず、任意に設定することが出来る。また、ズボン1のデザイン、構成部品の数等は、図1図4に図示されているものに限定されず、任意に設定することが出来る。例えば、前身頃2の外側と後身頃3の外側を一体で構成し、股側のみで縫合するようにしてもよいし、前身頃2の外側と後身頃3の外側の間に側部材を設けてもよい。
【0012】
ズボン1の上端は、図1図4に示すように、ズボン1を形成した際に、上端部の位置がほぼ同じ位の高さとなるように、略直線状に形成されている。
【0013】
図4に示すように、ズボン1の後身頃3において、ベルト部7の少なくとも周方向の中央部、すなわち、ベルト部7の周方向の後部における中央部には、ベルトの周方向に伸縮できるゴム等で構成された第1伸縮部材8が設けられている。第1伸縮部材8は、図4に示すように、後身頃3のベルト部7の周方向全体に設けられておらず、後身頃3のベルト部7の両脇部には、設けられていない。
【0014】
第1伸縮部材8の表側には、伸縮できる素材で構成された表側ベルト生地10が設けられている。表側ベルト生地10と第1伸縮部材8は、その上端部8aと下端部8bにおいて、互いに縫い合わされている。なお、表側ベルト生地10と第1伸縮部材8を、その上端部8aのみで互いに縫い合わせ、下端部8bを互いに縫い合わせないようしてもよい。
【0015】
表側ベルト生地10と第1伸縮部材8の上端部の間には、図5に示すように、伸縮抑制部材11の上端が設けられ、表側ベルト生地10の上端と、第1伸縮部材8の上端に対し縫い合わされている。伸縮抑制部材11の下端部は、表側ベルト生地10と、第1伸縮部材8に対しては縫い合わされていない。
【0016】
伸縮抑制部材11は、ベルト部7の周方向に伸縮しない、又は、第1伸縮部材8より伸縮しにくい部材で構成され、本実施例では、杉綾テープを用いた。伸縮抑制部材11は、第1伸縮部材8の上端部8aの周方向全体に亘って設けられている。
【0017】
伸縮抑制部材11により、第1伸縮部材8の上端部8aは、第1伸縮部材8の下端部8bより周方向に伸びにくくなっている。
【0018】
図4に示すように、ズボン1の前身頃2におけるベルト部7の両端部には、伸縮できるゴム等で構成された第2伸縮部材12が設けられている。第2伸縮部材12と第1伸縮部材8の間には、生地13が設けられ、第2伸縮部材12と第1伸縮部材8は相互に接続されていない。
【0019】
なお、ベルト部分の部品構成、デザイン等は、図3に示すものに限定されず、任意に設定することが出来る。
【0020】
図1図4図6に示すように、第2伸縮部材12の後端12aは、ズボン1を着用した際に最も外側に位置する脇線に沿うように、上下方向に形成されている。第2伸縮部材12の前端12bは、下端12dより上端12cに向かう程前方に位置するように傾いて形成されている。また、第2伸縮部材12の上端12cは、ズボン1の上端に位置するように形成されている。第2伸縮部材12は、図1図4図6に示すように、第2伸縮部材12の後端12aと上端12cの間が直角となる直角三角形状に形成されている。
【0021】
なお、第2伸縮部材12を、直角三角形状以外にも、第2伸縮部材12の後端12aが、下端12dより上端12cに向かう程後方に位置するように傾いて形成する三角形状に形成してもよい。第2伸縮部材12の下端が、ズボン1の脇線に位置することが好ましい。
【0022】
第2伸縮部材12の前端12bとポケット口14は、図6に示すように、離間するように形成されている。なお、第2伸縮部材12とポケット口14の周囲の部品構成、デザイン等は、図6に示すものに限定されず、任意に設定することが出来る。
【0023】
伸縮抑制部材11により、第1伸縮部材8の上端部8aを、第1伸縮部材8の下端部8bより周方向に伸びにくくしたことにより、ズボン1の着用者が、屈んだ際に、ベルト部7の下端は、伸びることで着用者が圧迫感を覚えることを抑えるとともに、上端は伸びにくいことで、着用者の腰に密着させることが出来、従来のものように、着用者とズボン1の後部との間に隙間ができることを抑え、ズボン1の着用者の着用状態の見映えをよくすることが出来る。また、ズボン1の着用者が屈んだ際に、ズボン1の後方がずり落ちやすくなることがなく、腰部に密着することができる。
【0024】
また、ズボン1の前身頃2におけるベルト部7の両端部に第2伸縮部材12を設けたことで、ズボン1の着用者が、屈んだ際に、前身頃2の上端が、前方で、かつ、下方に移動することが出来るため、着用者が腹部に圧迫感を覚えることなく、ベルト部7が着用者の動きに追従できる。このように、ズボン1を形成した際に、上端部の位置がほぼ同じ位の高さとなるように、略直線状に形成されているが、カーブベルトのように湾曲したものに近い効果を得ることが出来る。
【0025】
また、上記のように、ズボン1のベルト部7は、着用者の動きに合わせて伸縮し、腰部に圧迫感(ストレス)を与えることなく、常に着用者の腰部に密着し、見栄え良がよいとともに、ずり落ちることなくズボン1を着用することが出来る。
【0026】
なお、上記実施例では、ズボン1を形成した際に、上端部の位置がほぼ同じ位置となるように、略直線状に形成したが、ズボン1の上端部が湾曲した形状等、任意の形状となるように形成することが出来る。
【0027】
[実施例2]
本実施例2は、上記実施例1における第2伸縮部材12を設けない実施例である。
【0028】
第1伸縮部材8は、ベルト部7の周方向の少なくとも後部に設けられていればよく、例えば、第1伸縮部材8をベルト部7の周方向全体に亘って設けてもよい。
【0029】
第1伸縮部材8を、後身頃3から前身頃2の側部に至るように設けた場合、伸縮抑制部材11を、第1伸縮部材8の周方向全体に亘って設けず、後身頃3のみ、すなわち、ベルト部7の後部のみに設けるとともに、その中央部を中心として、周方向に所定の長さとなるように設ける。
【0030】
これにより、ベルト部7の後部において、第1伸縮部材8の上端部8aは、第1伸縮部材8の下端部8bより周方向に伸びにくくなっている。
【0031】
その他の構造は、上記実施例1と同様であるのでその説明を省略する。
【0032】
本実施例2においても、第1伸縮部材8による作用、効果は、上記実施例1と同様の作用、効果を奏する。
【符号の説明】
【0033】
1 ズボン
7 ベルト部
8 第1伸縮部材
11 伸縮抑制部材
12 第2伸縮部材
【要約】
【課題】、ズボンの着用者が屈んだ際に、ベルト部の後方上部と着用者との間に空間が生じにくいズボンを提案する。
【解決手段】ベルト部7の周方向の後部に、周方向に伸縮する第1伸縮部材8を設け、前記ベルト部7の後部の上端部に伸縮抑制部材10を設け、第1伸縮部材8の上端部8aを、第1伸縮部材8の下端部8bより周方向に伸びにくくした。第1伸縮部材8の両側部に、第1伸縮部材8と接続しない第2伸縮部材12を設け、第2伸縮部材12の前端12bを、下端より上端に向かう程前方に位置するように傾斜して形成してもよい。
【選択図】図4
図1
図2
図3
図4
図5
図6