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特許7608577粉粒体の充填方法および粉粒体の充填装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-20
(45)【発行日】2025-01-06
(54)【発明の名称】粉粒体の充填方法および粉粒体の充填装置
(51)【国際特許分類】
   B65B 1/22 20060101AFI20241223BHJP
   C22B 34/12 20060101ALI20241223BHJP
【FI】
B65B1/22
C22B34/12
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2023202516
(22)【出願日】2023-11-30
【審査請求日】2024-07-26
(73)【特許権者】
【識別番号】397064944
【氏名又は名称】株式会社大阪チタニウムテクノロジーズ
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【弁理士】
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100184343
【弁理士】
【氏名又は名称】川崎 茂雄
(72)【発明者】
【氏名】島田 俊次
(72)【発明者】
【氏名】▲崎▼山 幸雄
【審査官】佐藤 秀之
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-49437(JP,A)
【文献】特開平9-267802(JP,A)
【文献】特開2016-3052(JP,A)
【文献】特開昭61-47301(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65B 1/22
B65B 1/30
C22B 34/12
F27D 3/15
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
連続する複数の容器を所定の搬送ルートに沿って移動させて、供給位置に到達した前記容器に対して粉粒体を供給する、粉粒体の充填方法において、
前記容器の移動軌跡の外部において固定された基端部と、前記移動軌跡の内部に位置しており前記基端部に対して片持ち状態で支持されている先端部と、前記基端部と前記先端部との間を弾性的に接続する接続部とを有する、打撃部を用いて、
前記先端部を、前記複数の容器のうち連続する先行容器と後続容器とを含む一対の容器のうち前記先行容器に当接させると共に前記先行容器の移動に伴って変位させることによって、前記接続部を弾性変形させて、
前記先行容器のさらなる移動の結果、前記先端部が前記先行容器から離間したときに前記弾性変形が解放されることによって前記先端部を前記後続容器に打撃させる、
ことを含む粉粒体の充填方法。
【請求項2】
前記粉粒体がスポンジチタン粒であって、
前記容器は、前記粉粒体で充填されたときの重量が118kg以上且つ容量が100L以上である、
請求項1に記載の粉粒体の充填方法。
【請求項3】
前記容器は、底壁部と前記底壁部の周縁部から上方に延びる周壁部とを有しており、
前記周壁部には、外側に突出しており、上下に離間した位置で周方向に延びる、2本の環状リブが形成されており、
前記先端部による打撃を、前記容器のうち前記2本の環状リブの両方に対して行う、
請求項1又は2に記載の粉粒体の充填方法。
【請求項4】
前記先端部を、前記移動する容器の外周面に沿って転動させる、
請求項1又は2に記載の粉粒体の充填方法。
【請求項5】
粉粒体の充填装置は、連続する複数の容器を所定の搬送ルートに沿って移動させて、供給位置に到達した前記容器に対して粉粒体を供給し、
前記容器の移動軌跡の外部において固定された基端部と、前記移動軌跡の内部に位置しており前記基端部に対して片持ち状態で支持されている先端部と、前記基端部と前記先端部との間を弾性的に接続する接続部とを有する、打撃部を備えており、
前記打撃部は、
前記先端部が前記複数の容器のうち連続する先行容器と後続容器とを含む一対の容器のうち前記先行容器に当接すると共に前記先行容器の移動に伴って変位することによって、前記接続部が弾性変形させられ、
前記先行容器のさらなる移動の結果、前記先端部が前記先行容器から離間したときに前記弾性変形が解放されることによって前記先端部が前記後続容器を打撃する、粉粒体の充填装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は粉粒体の充填方法および粉粒体の充填装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、粉粒体として、破砕されたスポンジチタン粒を、分配機を介してドラム缶に充填することが開示されている。粉粒体は、ドラム缶に対して上方から注ぎ込まれて供給されるため、ドラム缶に充填された粉粒体の間には空隙が生じやすく、嵩密度が低くなりやすい。
【0003】
特許文献2には、回転式の粉末充填装置において、充填作業中に粉末の嵩密度を増加させるために、粉末が充填される容器を持ち上げた状態で振動を与えることが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特許第4203039号公報
【文献】特開2013-49437号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献2の装置は、容器を持ち上げるリフト機構を必要とすると共に、持ち上げられた容器に対して振動を与える振動器を必要とし、装置の構造が複雑化すると共に振動器を駆動するための別途の動力も要する。
【0006】
本発明は、粉粒体が充填される容器に対して単純な構造で別途動力を要することなく振動を与えることによって嵩密度を増大させることができる、粉粒体の充填方法及び粉粒体の充填装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様は、
連続する複数の容器を所定の搬送ルートに沿って移動させて、供給位置に到達した前記容器に対して粉粒体を供給する、粉粒体の充填方法において、
前記容器の移動軌跡の外部において固定された基端部と、前記移動軌跡の内部に位置しており前記基端部に対して片持ち状態で支持されている先端部と、前記基端部と前記先端部との間を弾性的に接続する接続部とを有する、打撃部を用いて、
前記先端部を、前記複数の容器のうち連続する先行容器と後続容器とを含む一対の容器のうち前記先行容器に当接させると共に前記先行容器の移動に伴って変位させることによって、前記接続部を弾性変形させて、
前記先行容器のさらなる移動の結果、前記先端部が前記先行容器から離間したときに前記弾性変形が解放されることによって前記先端部を前記後続容器に打撃させる、
ことを含む粉粒体の充填方法を提供する。
【0008】
本発明によれば、打撃部が容器を打撃することによって容器に振動を与えて、容器における粉粒体の嵩密度を向上させることができる。また、容器の動きを利用して、打撃部に弾性エネルギを蓄えさせると共に蓄えられた弾性エネルギによって打撃部を駆動できる。よって、打撃部を駆動する別途の動力を必要とせず、さらに容器の動きを検知する検知手段を要しないので、打撃部を簡単な構成により実現できると共に低コスト且つ省エネルギで実現できる。
【0009】
本発明の他の態様は、
連続する複数の容器を所定の搬送ルートに沿って移動させて、供給位置に到達した前記容器に対して粉粒体を供給する、粉粒体の充填装置において、
前記容器の移動軌跡の外部において固定された基端部と、前記移動軌跡の内部に位置しており前記基端部に対して片持ち状態で支持されている先端部と、前記基端部と前記先端部との間を弾性的に接続する接続部とを有する、打撃部を備えており、
前記打撃部は、
前記先端部が前記複数の容器のうち連続する先行容器と後続容器とを含む一対の容器のうち前記先行容器に当接すると共に前記先行容器の移動に伴って変位することによって、前記接続部が弾性変形させられ、
前記先行容器のさらなる移動の結果、前記先端部が前記先行容器から離間したときに前記弾性変形が解放されることによって前記先端部が前記後続容器を打撃する、粉粒体の充填装置を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の一実施形態に係る粉粒体の充填装置を概略的に示す平面図。
図2図1の打撃部の側面図。
図3】打撃部を拡大して示す側面図。
図4】打撃部を拡大して示す平面図。
図5A】粉粒体の充填装置の作動を説明する図。
図5B図5Aに続く粉粒体の充填装置の作動を説明する図。
図5C図5Bに続く粉粒体の充填装置の作動を説明する図。
図6A】容器に充填された粉粒体を概略的に示す図。
図6B図6Aに続いて振動が与えられた後の容器に充填された粉粒体を概略的に示す図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の一実施形態に係る粉粒体Wの充填方法及び粉粒体の充填装置を添付図面に従って説明する。なお、以下の説明は、本質的に例示に過ぎず、本発明、その適用物、あるいは、その用途を制限することを意図するものではない。
【0012】
図1は本発明の一実施形態に係る粉粒体Wの充填装置1の平面図を示している。図1に示されるように、充填装置1は、複数の容器2を所定の搬送ルートRに沿って移動させる容器搬送部10と、容器2に対して粉粒体Wを供給する粉粒体供給部20と、粉粒体供給部20によって供給される粉粒体Wを受けて容器2にガイドする漏斗30とを備えている。
【0013】
本実施形態では、粉粒体Wは、破砕されたスポンジチタンであり、スポンジチタン小片とスポンジチタン粉末とを含んでいる。所定の搬送ルートRは、上下方向に延びる中心軸線O1を中心とする円環状である。搬送ルートRには、粉粒体供給部20から粉粒体Wが供給される供給位置R1が設けられている。
【0014】
図2は、供給位置R1に位置する容器2の周辺を示す側面図である。図2に示されるように、容器2は、上端が開口した円筒状体であり、例えば金属製のドラム缶を採用できる。容器2は、底壁部2aと、底壁部2aの周縁部から上方に延びる周壁部2bとを有している。周壁部2bには、外側に突出しており、上下に離間した位置において周方向に延びる、2本の環状リブ3が形成されている。容器2は、容量が100L以上であってもよく、少なくとも100kgの粉粒体Wを収容可能なサイズである。容器2は搬送ルートRに沿って円環状に連続して配置されている。
【0015】
図1に戻って、容器搬送部10は、中心軸線O1周りに円環状に配置された複数の容器2が載置される複数の容器支持部11と、容器支持部11を中心軸線O1周りに回転させる回転駆動部12とを有している。容器搬送部10は、回転駆動部12によって容器支持部11を中心軸線O1周りに回転させることによって、容器支持部11に載置された容器2を、中心軸線O1を中心とした搬送ルートRに沿って移動させる。本実施形態では、回転駆動部12は複数の容器2を中心軸線O1周りに反時計周りに移動させる。
【0016】
粉粒体供給部20は、不図示のホッパから切り出された粉粒体を搬送する搬送手段であって、例えばベルトコンベアを採用することができる。粉粒体供給部20の先端部は、搬送ルートRの供給位置R1の直上に位置しており、搬送した粉粒体Wを供給位置R1に到達した容器2に対して漏斗30を介して上方から注ぎ込んで充填する。
【0017】
漏斗30は、複数の容器2のそれぞれに対して対となるように複数設けられている。本実施形態では複数の漏斗30は一体的に設けられているが、個別に設けられてもよい。なお、図1において、漏斗30は周方向に一部が二点鎖線により切り欠かれた状態で示されている。複数の漏斗30はそれぞれ、対応する容器2と共に中心軸線O1周りに回転する。漏斗30は、下方に向かって内径側に傾斜した傾斜部31と、傾斜部31の下端から下方に延びており対応する容器2の上方に位置する開口部32とを有している。
【0018】
すなわち、複数の容器2はそれぞれ、容器搬送部10によって中心軸線O1周りを移動させられて供給位置R1に順次到達する。供給位置R1では、粉粒体供給部20から供給された粉粒体Wは、漏斗30の傾斜部31で受け止められて、直下に位置する容器2に対して、開口部32から供給される。
【0019】
充填装置1では、容器搬送部10が複数の容器2を停止させることなく搬送ルートに沿って中心軸線O1周りに一定速度で搬送し、供給位置R1を通過する各容器2に対して粉粒体供給部20から粉粒体Wが供給される。容器搬送部10及び粉粒体供給部20は、各容器2が所定の周回数(例えば数百周)移動した後に所定量の粉粒体Wで充填されるように速度が設定されている。これによって、不図示のホッパの粉粒体Wが、切り出し直後から切り出しの最後にわたって、複数の容器2に満遍なく充填されることになる。すなわち、ホッパからの切り出しのタイミングに起因した、粉粒体Wの性状(例えば粒径分布)の容器2ごとのバラつきが抑制される。
【0020】
充填装置1は、容器2に対して打撃により振動を与える打撃部40をさらに備えている。本実施形態では、打撃部40は、中心軸線O1を中心として点対称に一対に設けられており、そのうちの一方の打撃部40は供給位置R1に位置する容器2を打撃する位置に配置されている。
【0021】
打撃部40は、容器2の移動軌跡Sの外部において固定されており(すなわち容器2の移動に伴って変位しない)基端部41と、移動軌跡Sの内部に位置しており基端部41に対して片持ち状態で支持された先端部42と、基端部41と先端部42との間を弾性的に接続する接続部45とを有している。
【0022】
図2に示されるように、基端部41は、上端部41a及び下端部41bにおいて充填装置1の周囲を取り囲む手摺り5に例えば締結手段により固定されている。図3は、打撃部40の要部を拡大して示す側面図であって、一部断面を示している。図4は打撃部40の同平面図である。図3及び図4を併せて参照して、基端部41は、上下方向に延びるパイプ部材である。
【0023】
先端部42は、軸線が上下方向に延びる円筒状のローラ43と、ローラ43をこの軸線周りに回転可能に支持するローラ支持部44とを有している。ローラ43は、側面視において、高さ方向における位置及び大きさが容器2の上下の環状リブ3に少なくとも跨るように構成されている。ローラ43は外周部が容器2よりも柔らかい材質から形成されており、例えばゴム製又は樹脂製である。接続部45が弾性変形していない状態で、水平方向のうち接続部45が伸びる方向に直交する方向から見たとき、ローラ43は容器2の軸心に略一致している。
【0024】
接続部45は、上下に並設されておりそれぞれ水平方向に延びる4本の接続メンバ50を有している。図3及び図4を参照して、各接続メンバ50のうち最も上方に位置する接続メンバ50を例にとって説明する。接続メンバ50は、ブラケット51を介して基端部41に固定されており水平方向に延びる第1円筒部材52と、先端部がローラ支持部44に例えば溶接により固定されており第1円筒部材52と同芯上に水平方向に延びる第2円筒部材53とを有している。第2円筒部材53は、全体が第1円筒部材52よりも先端部42側に位置している。
【0025】
第1円筒部材52には第1ボルト54が上方から締結されている。第2円筒部材53には第2ボルト55が上方から締結されている。第1ボルト54及び第2ボルト55はワイヤ56によって接続されている。具体的には、ワイヤ56の一端部56aは、第1ボルト54の頭部54aと第1円筒部材52との間において第1ボルト54の軸部54bに巻きかけられた状態で締結されて固定されている。ワイヤ56の他端部56bは、第2ボルト55の頭部55aと第2円筒部材53との間において第2ボルト55の軸部55bに巻きかけられた状態で締結されて固定されている。
【0026】
第1円筒部材52と第2円筒部材53との間には、両者を互いに軸方向に離間させる方向に付勢するように圧縮コイルスプリング57が軸方向に圧縮された状態で設けられている。圧縮コイルスプリング57のうち基端部41側の半分は、第1円筒部材52の内周部に挿入されている。圧縮コイルスプリング57のうち先端部42側の半分には、第2円筒部材53が挿入されている。圧縮コイルスプリング57は、基端部57aが第1ボルト54の軸部54bに当接しており、先端部57bが第2ボルト55の頭部55aに当接している。
【0027】
すなわち、圧縮コイルスプリング57は、ワイヤ56によって連結された第1円筒部材52及び第2円筒部材53との間に弾設されている。この結果、第2円筒部材53が第1円筒部材52に対して全体的に先端部42側に位置していることと相まって、先端部42は基端部41に対して、上下方向及び水平方向に弾性的に変形可能となっている。また、ワイヤ56によって、第2円筒部材53の第1円筒部材52に対する垂れ下がりが抑制されて、第2円筒部材53が第1円筒部材52の延長方向に沿って水平方向に延びる姿勢が維持されている。
【0028】
次に、打撃部40の作動を説明する。まず、打撃部40のローラ43が容器2の外周部(環状リブ3)に対して搬送ルートの下流側に位置する状態をスタートとする。説明の便宜上、以下の説明では、搬送ルートRに沿って前後に並ぶ一対の容器2のうち、供給位置R1を通過する容器2を先行容器2Lとし、これに後続する容器2を後続容器2Tとする。
【0029】
図1に示されるように、容器搬送部10による先行容器2Lの反時計周り方向への搬送に伴って、ローラ43が先行容器2Lの外周部に対して搬送方向の下流側から当接する。
【0030】
次いで、図5Aに示されるように、容器搬送部10による先行容器2Lの反時計周り方向へのさらなる搬送に伴って、ローラ43が先行容器2Lに押されることによって、第1円筒部材52の先端部を基点として反時計周り方向に変位する。このとき、圧縮コイルスプリング57が第1円筒部材52の先端部を基点として反時計周り方向に弾性変形する。
【0031】
次いで、図5Bに示されるように、容器搬送部10による先行容器2Lの反時計周り方向へのさらなる搬送に伴って、ローラ43が先行容器2Lにさらに押されることによって、第1円筒部材52の先端部を基点として反時計周り方向にさらに変位する。図5Bに示される状態は、ローラ43が先行容器2Lのうち中心軸線O1から最も離れた位置に当接している状態が示されており、この状態ではローラ43が反時計周り方向に最も変位している。
【0032】
このとき、圧縮コイルスプリング57は、第1円筒部材52の先端部を基点として反時計周り方向に最も弾性変形した状態となる。本実施形態では、圧縮コイルスプリング57が最も弾性変形した状態において、第1円筒部材52の軸線と第2円筒部材53の軸線との間の角度差である屈曲角度Aは45°以上50°以下となるように打撃部40が構成されている。
【0033】
さらに、図5Cに示されるように、容器搬送部10による先行容器2Lの反時計周り方向へのさらなる搬送に伴って、ローラ43が先行容器2Lの外周部(環状リブ3)から離間することによって、圧縮コイルスプリング57の弾性変形が解放される。この結果、ローラ43は、圧縮コイルスプリング57の弾性復元力によって時計周り方向に回転する。このとき、後続容器2Tは反時計周り方向に搬送されている。すなわち、ローラ43による時計周り方向への回転と後続容器2Tの反時計周り方向への搬送とが同時に生じて、後続容器2Tに対して効果的に打撃部40による衝撃が入力される。
【0034】
上述したように、ローラ43の軸線は図2における側面視において容器2の軸線と一致しているので、ローラ43による打撃力が後続容器2Tの中心に向かって入力される。これによって、後続容器2Tをバランスよく打撃することができ、効率的に後続容器2Tに対して振動を与えることができる。なお、限定されないが、ローラ43が後続容器2Tを打撃するときには圧縮コイルスプリング57の屈曲角度Aがゼロになることが好ましい。
【0035】
好ましくは、打撃部40による打撃力は320N以上8000N以下、より好ましくは640N以上4000N以下となるように圧縮コイルスプリング57のバネ定数、屈曲角度Aが設定されている。本実施形態では打撃部40による打撃力は1600Nに設定されている。なお、打撃力が320N未満であると上記効果が十分に得られない可能性があり、打撃力が8000Nを超過すると後続容器2Tが変形し及び/又は後続容器2T内の粉粒体Wが衝撃で後続容器2Tの外部へ飛散するおそれがあるので好ましくない。
【0036】
ここで、容器2の外周部には上下一対の環状リブ3が設けられており、打撃部40(ローラ43)は上下一対の環状リブ3の両方を同時に打撃するように構成されている。この結果、上下一対の環状リブ3を介して、後続容器2Tに対して全体的に衝撃を伝播させやすい。図6Aに示されるように、打撃前の粉粒体Wの充填状況が、打撃後においては粉粒体Wの間に介在し得る空隙が減少することによって、粉粒体の嵩密度が増加する。
【0037】
しかも、ローラ43は、後続容器2Tの環状リブ3を打撃するものであるので、環状リブ3以外の部分には直接に打撃を与えない。さらにローラ43は回転可能に設けられているので、環状リブ3に当接した状態で容器2が搬送される場合であっても環状リブ3に対して引き摺られることがない。
【0038】
以降、図5A図5Cに示したように、容器2の移動に伴って、圧縮コイルスプリング57を弾性変形させることによって弾性エネルギが蓄えられると共に、弾性変形の解放させることによってローラ43を駆動させて、後続容器2Tを打撃することが、後続する容器2に対して順次に実行される。
【0039】
なお、本実施形態では、複数の容器2は、搬送ルートRに沿って搬送されている間に、1周あたり2回、打撃部40によって打撃されることが、容器2内における粉粒体Wの充填が所定量に達するまで複数周にわたって実行される。これによって、所定量の粉粒体Wを充填した後(例えば一度に所定量の粉粒体Wを充填する場合等)に容器2に対して衝撃を与える場合に比して、少量の粉粒体Wが充填されるたびに容器2に対して衝撃を与えられるので、充填しながら粉粒体Wの間に介在し得る空隙を減少させることができるので、より嵩密度を増大させやすい。
【0040】
上記実施形態に係る粉粒体Wの充填方法及び粉粒体Wの充填装置1によれば、次の効果を奏する。
【0041】
(1)上記実施形態に係る粉粒体Wの充填方法によれば、
連続する複数の容器2を所定の搬送ルートRに沿って移動させながら、複数の容器2のうち搬送ルートRに設けられた供給位置R1に到達した容器2に対して、粉粒体Wを供給し、
容器2の移動軌跡Sの外部において固定された基端部41と、移動軌跡Sの内部に位置しており基端部41に対して片持ち状態で支持されている先端部42と、基端部41と先端部42との間を弾性的に接続する接続部45とを有する、打撃部40を用いて、
先端部42を、複数の容器2のうち連続する先行容器2Lと後続容器2Tとを含む一対の容器2のうち先行容器2Lに当接させると共に先行容器2Lの移動に伴って移動させることによって、接続部45を弾性変形させて、
先行容器2Lのさらなる移動の結果、先端部42が先行容器2Lから離間したときに上記弾性変形が解放されることによって先端部42を後続容器2Tに打撃させる。
【0042】
その結果、打撃部40によって容器2に振動を与えて、容器2における粉粒体Wの嵩密度を向上させることができる。また、容器2の動きを利用して、打撃部40に弾性エネルギを蓄えさせると共に蓄えられた弾性エネルギによって打撃部40を駆動できる。よって、打撃部40を駆動する別途の駆動源を必要とせず、さらに容器2の動きを検知する検知手段を要しないので、打撃部40を簡単な構成により実現できると共に低コスト且つ省エネルギで実現できる。
【0043】
さらに、打撃部40を駆動する駆動源及び検知手段を動作させるために付随し得る電気系統をも必要としないので、該電気系統の何等かの不具合に起因し得る得る火花、静電気等の発生をも防止できる。これによって、粉粒体Wとして発火しやすい材料、例えばスポンジチタンの粉粒が含まれる場合であっても、電気系統に起因する粉粒体Wの発火リスクを低減できる。
【0044】
(2)粉粒体Wがスポンジチタン粒であって、
容器2は、粉粒体Wで充填されたときの重量が118kg以上且つ容量が100L以上であってもよい。
その結果、大型且つ重量物となる容器2であって人力で容器に振動を与えるのが困難な場合において、上記発明の効果が特に好適に発揮される。
【0045】
(3)容器2は、底壁部2aと底壁部2aの周縁部から上方に延びる周壁部2bとを有しており、
周壁部2bには、外側に突出しており、上下に離間した位置で周方向に延びる、2本の環状リブ3が形成されており、
先端部42による打撃を、容器2のうち2本の環状リブ3の両方に対して行ってもよい。
【0046】
その結果、容器2の周壁部2bのうち上下に離間した2本の環状リブ3を介して容器2を打撃することによって、容器2に対して、高さ方向及び周方向に亘る広範囲に(全体的に)振動を与えることができる。しかも、容器2のうち剛性の高い環状リブ3が打撃されるので、打撃による容器2の変形が防止される。さらに、容器2の周壁部2bのうち2本の環状リブ3以外の場所(例えば2本の環状リブ3の間)に社名、製品名の商品識別情報、及びロット番号等の工程管理情報等の情報を印字した場合、打撃によって印字された情報が消えることが防止される。
【0047】
(4)先端部42をローラ43により構成し、ローラ43が容器2の外周面に押し付けられているとき、移動する容器2の外周面に沿って転動させてもよい。
【0048】
その結果、先端部42は容器2の外周面に沿って転動するので、容器2の外周面に引き摺られにくい。よって、先端部42が容器2の外周面に引き摺られることによって、容器2に先端部42の痕跡が残ることが防止されるので、容器2の汚れが防止される。
【0049】
なお、本発明に係る粉粒体の充填方法及び粉粒体の充填装置は、上記実施形態の構成に限定されず、種々の変更が可能である。
【0050】
上記実施形態では、打撃部40を先端部42が容器2の移動軌跡Sに位置するように構成したが、これに代えて、打撃部40を先端部42が容器の移動軌跡Sに位置する作動位置と、先端部42が容器2の移動軌跡Sの外部に位置する退避位置に打撃部40との、いずれか一方に選択的に固定できるように構成してもよい。打撃部40を作動位置に固定した場合には、打撃部40によって容器2に振動を与えることができ、打撃部40を退避位置に移動させた場合には、打撃部40による容器2への打撃を停止させることができる。
【0051】
上記実施形態では、打撃部40の接続部を4本の接続メンバ50で構成したがこれに限らない。すなわち、接続メンバ50を、1本で構成してもよく、2本で構成してもよく、3本で構成してもよく、5本以上で構成してもよい。
【0052】
上記実施形態では、打撃部40を、中心軸線O1に対して点対称に2か所設けたがこれに限らない。すなわち、打撃部40を、1か所のみに設けてもよく、3か所以上に設けてもよい。打撃部40を複数設ける場合、等間隔で並べてもよく不等間隔で並べてもよい。
【0053】
上記実施形態では、接続部45に弾性部材として圧縮コイルスプリング57を採用したが、板バネ等の水平方向に変位可能な適宜の弾性部材を採用できる。
【0054】
上記実施形態では、複数の容器2を円環状の搬送ルートRに沿って搬送する場合を例にとって説明したがこれに限らない。例えば、搬送ルートRを多角形状に構成してもよい。さらには、搬送ルートRが環状ではない線状に構成された場合にも本発明を適用してもよく、この場合には打撃部40の数だけ容器2に振動が与えられることになる。
【0055】
本発明に係る粉粒体の充填方法及び粉粒体の充填装置は、以下の態様を提供する。
【0056】
[態様1]
連続する複数の容器を所定の搬送ルートに沿って移動させて、供給位置に到達した前記容器に対して粉粒体を供給する、粉粒体の充填方法において、
前記容器の移動軌跡の外部において固定された基端部と、前記移動軌跡の内部に位置しており前記基端部に対して片持ち状態で支持されている先端部と、前記基端部と前記先端部との間を弾性的に接続する接続部とを有する、打撃部を用いて、
前記先端部を、前記複数の容器のうち連続する先行容器と後続容器とを含む一対の容器のうち前記先行容器に当接させると共に前記先行容器の移動に伴って変位させることによって、前記接続部を弾性変形させて、
前記先行容器のさらなる移動の結果、前記先端部が前記先行容器から離間したときに前記弾性変形が解放されることによって前記先端部を前記後続容器に打撃させる、
ことを含む粉粒体の充填方法。
【0057】
[態様2]
前記粉粒体がスポンジチタン粒であって、
前記容器は、前記粉粒体で充填されたときの重量が118kg以上且つ容量が100L以上である、
態様1に記載の粉粒体の充填方法。
【0058】
[態様3]
前記容器は、底壁部と前記底壁部の周縁部から上方に延びる周壁部とを有しており、
前記周壁部には、外側に突出しており、上下に離間した位置で周方向に延びる、2本の環状リブが形成されており、
前記先端部による打撃を、前記容器のうち前記2本の環状リブの両方に対して行う、
態様1又は2に記載の粉粒体の充填方法。
【0059】
[態様4]
前記先端部を、前記移動する容器の外周面に沿って転動させる、
態様1~3のいずれか1つに記載の粉粒体の充填方法。
【0060】
[態様5]
粉粒体の充填装置は、連続する複数の容器を所定の搬送ルートに沿って移動させて、供給位置に到達した前記容器に対して粉粒体を供給し、
前記容器の移動軌跡の外部において固定された基端部と、前記移動軌跡の内部に位置しており前記基端部に対して片持ち状態で支持されている先端部と、前記基端部と前記先端部との間を弾性的に接続する接続部とを有する、打撃部を備えており、
前記打撃部は、
前記先端部が前記複数の容器のうち連続する先行容器と後続容器とを含む一対の容器のうち前記先行容器に当接すると共に前記先行容器の移動に伴って変位することによって、前記接続部が弾性変形させられ、
前記先行容器のさらなる移動の結果、前記先端部が前記先行容器から離間したときに前記弾性変形が解放されることによって前記先端部が前記後続容器を打撃する、粉粒体の充填装置。
【符号の説明】
【0061】
1 充填装置
2 容器
3 環状リブ
10 容器搬送部
20 粉粒体供給部
30 漏斗
40 打撃部
41 基端部
42 先端部
43 ローラ
45 接続部
50 接続メンバ
52 第1円筒部材
53 第2円筒部材
54 第1ボルト
55 第2ボルト
56 ワイヤ
57 圧縮コイルスプリング
O1 中心軸線
R 搬送ルート
R1 供給位置
W 粉粒体
S 移動軌跡
【要約】
【課題】粉粒体が充填される容器に対して単純な構造で別途動力を要することなく振動を与えることによって嵩密度を増大させる。
【解決手段】
連続する複数の容器2を所定の搬送ルートRに沿って移動させて、供給位置R1に到達した容器2に対して粉粒体Wを供給する粉粒体Wの充填方法において、容器2の移動軌跡Sの外部において固定された基端部41と、移動軌跡Sの内部に位置しており片持ち状態で支持されている先端部42と、基端部41と先端部42との間を弾性的に接続する接続部45とを有する打撃部40を用いて、先端部42を、先行容器2Lに当接させると共に先行容器2Lの移動に伴って変位させることによって、接続部45を弾性変形させて、先行容器2Lのさらなる移動の結果、先端部42が先行容器2Lから離間したときに上記弾性変形が解放されることによって先端部42を後続容器2Tに打撃させる。
【選択図】図5C
図1
図2
図3
図4
図5A
図5B
図5C
図6A
図6B