(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-20
(45)【発行日】2025-01-06
(54)【発明の名称】断熱材を製造する方法
(51)【国際特許分類】
A24F 40/70 20200101AFI20241223BHJP
A24F 40/40 20200101ALI20241223BHJP
A24F 40/20 20200101ALI20241223BHJP
【FI】
A24F40/70
A24F40/40
A24F40/20
(21)【出願番号】P 2023516145
(86)(22)【出願日】2021-09-13
(86)【国際出願番号】 EP2021075114
(87)【国際公開番号】W WO2022053683
(87)【国際公開日】2022-03-17
【審査請求日】2023-05-01
(32)【優先日】2020-09-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(73)【特許権者】
【識別番号】519138265
【氏名又は名称】ニコベンチャーズ トレーディング リミテッド
【氏名又は名称原語表記】Nicoventures Trading Limited
【住所又は居所原語表記】Globe House, 1 Water Street,WC2R 3LA London,United Kingdom
(74)【代理人】
【識別番号】100107456
【氏名又は名称】池田 成人
(74)【代理人】
【識別番号】100162352
【氏名又は名称】酒巻 順一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100123995
【氏名又は名称】野田 雅一
(72)【発明者】
【氏名】ボハム, スコット ジョージ
(72)【発明者】
【氏名】ファロン, ゲイリー
【審査官】河内 誠
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2019/053268(WO,A1)
【文献】国際公開第2020/112976(WO,A1)
【文献】国際公開第2019/204306(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A24F 40/00~47/00
F16L 59/065
A61M 15/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
断熱材を製造する方法であって、
エアロゾル生成材料を受け入れるための加熱ゾーンを少なくとも部分的に画定するように構成される内壁を設けるステップであり、前記内壁が、変動磁場を侵入させることによって加熱可能である加熱材を含む、ステップと、
前記内壁を少なくとも部分的にその長さに沿って取り囲む外壁を設けるステップであり、断熱領域が前記内壁と前記外壁の間に形成され、前記内壁と前記外壁が別々の材料を含む、ステップと、
第1の接合材料の一部分を前記内壁に大気圧の下で付着させるステップと、
第2の接合材料の一部分を前記外壁に大気圧の下で付着させるステップと、
前記断熱領域を大気圧よりも低い圧力まで排気するステップと、
前記第1の接合材料と第2の接合材料を互いに接合することによって前記断熱領域を閉鎖するステップと
を含む、方法。
【請求項2】
前記断熱領域が大気圧よりも低い圧力まで排気されるとき、前記断熱領域の外側の領域もまた大気圧よりも低い圧力まで排気される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記第1の接合材料の前記一部分及び前記第2の接合材料の前記一部分が、前記内壁及び前記外壁の少なくとも一方に、ろう付け、溶接、又ははんだ付けによって付着される、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記第1の接合材料と前記第2の接合材料が、ろう付け、溶接、又ははんだ付けによって互いに接合される、請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記第1の接合材料及び前記第2の接合材料が、銀共晶ろう付け材料を含む、請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
断熱材を製造する方法であって、
喫煙材を含む物品の少なくとも一部分を受け入れるための加熱ゾーンを少なくとも部分的に画定するように構成される内壁を設けるステップであり、前記内壁が、変動磁場を侵入させることによって加熱可能である加熱材を含む、ステップと、
前記内壁を少なくとも部分的にその長さに沿って取り囲む外壁を設けるステップであり、断熱領域が前記内壁と前記外壁の間に形成される、ステップと、
前記断熱領域を大気圧よりも低い圧力まで排気するステップと、
接着剤を使用して前記内壁と前記外壁を接合することによって前記断熱領域を閉鎖するステップと
を含む、方法。
【請求項7】
前記内壁と前記外壁が別々の材料を含む、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記断熱領域が大気圧よりも低い圧力まで排気されるとき、前記断熱領域の外側の領域もまた大気圧よりも低い圧力まで排気される、請求項6又は7に記載の方法。
【請求項9】
断熱材を製造する方法であって、
喫煙材を含む物品の少なくとも一部分を受け入れるための加熱ゾーンを少なくとも部分的に画定するように構成される内壁を設けるステップであり、前記内壁が、変動磁場を侵入させることによって加熱可能である加熱材を含む、ステップと、
前記内壁を少なくとも部分的にその長さに沿って取り囲む外壁を設けるステップであり、断熱領域が前記内壁と前記外壁の間に形成される、ステップと、
1つ又は複数の接合部材を用意するステップと、
前記1つ又は複数の接合部材のそれぞれを前記内壁に接合するステップと、
前記断熱領域を大気圧よりも低い圧力まで排気するステップと、
前記1つ又は複数の接合部材のうちの少なくとも1つを前記外壁に接合することによって前記断熱領域を閉鎖するステップと
を含む、方法。
【請求項10】
前記内壁と前記外壁が別々の材料を含む、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記外壁と前記1つ又は複数の接合部材が
同一の材料を含む、請求項9又は10に記載の方法。
【請求項12】
前記1つ又は複数の接合部材が端部キャップである、請求項9~11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
前記1つ又は複数の接合部材が前記内壁及び前記外壁の少なくとも一方に、ろう付け、溶接、はんだ付け、接着剤、又は締まりばめを用いて接合される、請求項9~12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
ろう付けが銀共晶ろう付け材料を使用して実施される、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
使用される前記接着剤が、2液型エポキシ、1液型エポキシ、又はアクリル系接着剤のうちの1つである、請求項13又は14に記載の方法。
【請求項16】
前記接着剤が熱及び/又は紫外線によって硬化される、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記断熱領域が大気圧よりも低い圧力まで排気されるとき、前記断熱領域の外側の領域もまた大気圧よりも低い圧力まで排気される、請求項9~16のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エアロゾル供給デバイスに用いるための断熱を製造する方法、及びその方法によって作られる断熱材に関する。
【背景】
【0002】
シガレット、シガーなどの喫煙品は、使用中にタバコを燃焼させてタバコの煙を生じさせる。タバコを燃焼させるこれらの物品の代替品を、燃焼させずに化合物を放出する製品を作り出すことによって提供しようとする試みがなされてきた。このような製品の例としては、材料を燃焼させるのではなく加熱することによって化合物を放出する加熱デバイスがある。この材料は、例えばタバコ又は他の非タバコ製品でもよく、これらはニコチンを含んでも含まなくてもよい。
【概要】
【0003】
本開示の第1の態様によれば、断熱材を製造する方法が提供され、この方法は:エアロゾル生成材料を受け入れるための加熱ゾーンを少なくとも部分的に画定するように構成される内壁を設けるステップであって、前記内壁が、変動磁場を侵入させることによって加熱可能である加熱材を含む、ステップと;内壁を少なくとも部分的にその長さに沿って取り囲む外壁を設けるステップであって、断熱領域が内壁と外壁の間に形成され、前記内壁と外壁が別々の材料を含む、ステップと;第1の接合材料の一部分を内壁に大気圧の下で付着させるステップと;第2の接合材料の一部分を外壁に大気圧の下で付着させるステップと;断熱領域を大気圧よりも低い圧力まで排気するステップと;第1の接合材料と第2の接合材料を互いに接合することによって断熱領域を閉鎖するステップとを含む。
【0004】
本開示の第2の態様によれば、断熱材を製造する方法が提供され、この方法は:喫煙材を含む物品の少なくとも一部分を受け入れるための加熱ゾーンを少なくとも部分的に画定するように構成される内壁を設けるステップであって、前記内壁が、変動磁場を侵入させることによって加熱可能である加熱材を含む、ステップと;前記内壁を少なくとも部分的にその長さに沿って取り囲む外壁を設けるステップであって、断熱領域が内壁と外壁の間に形成される、ステップと;断熱領域を大気圧よりも低い圧力まで排気するステップと;接着剤を使用して内壁と外壁を接合することによって断熱領域を閉鎖するステップとを含む。
【0005】
本開示の第3の態様によれば、断熱材を製造する方法が提供され、この方法は:喫煙材を含む物品の少なくとも一部分を受け入れるための加熱ゾーンを少なくとも部分的に画定するように構成される内壁を設けるステップであって、前記内壁が、変動磁場を侵入させることによって加熱可能である加熱材を含む、ステップと;内壁を少なくとも部分的にその長さに沿って取り囲む外壁を設けるステップであって、断熱領域が内壁と外壁の間に形成される、ステップと;1つ又は複数の接合部材を用意するステップと;1つ又は複数の接合部材のそれぞれを内壁に接合するステップと;断熱領域を大気圧よりも低い圧力まで排気するステップと;1つ又は複数の接合部材のうちの少なくとも1つを外壁に接合することによって断熱領域を閉鎖するステップとを含む。
【0006】
本開示の第4の態様によれば、本開示の最初の3つの態様のいずれかによって製造された断熱材が提供される。
【0007】
本開示の第5の態様によれば、本開示の第4の態様による断熱材と;使用時に、内壁を加熱するために内壁に侵入する変動磁場を発生させる磁場発生器とを備える、非燃焼式エアロゾル供給デバイスが提供される。
【0008】
本開示の第6の態様によれば、本開示の第5の態様による装置と;使用時に、断熱材の内壁の加熱ゾーン内に少なくとも部分的に配置されるエアロゾル生成材料とを含む、非燃焼式エアロゾル供給システムが提供される。
【0009】
本発明のさらなる特徴及び利点は、単なる例として示された本発明の好ましい実施形態についての、添付の図面を参照することによってなされる以下の説明から明らかになろう。
【0010】
次に、本発明の実施形態について、単なる例として添付の図面を参照して説明する。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】例示的なエアロゾル供給デバイスの概略断面図である。
【
図2】
図1の装置に使用するための例示的な断熱材の概略断面図である。
【
図4】エアロゾル供給デバイスに使用するための断熱材のさらなる例の概略断面図であり、接合材料を使用して断熱材の外壁と断熱材の内壁を接続する方法を示す。
【
図5】エアロゾル供給デバイスに使用するための断熱材の別の例の概略断面図であり、接着剤を使用して断熱材の外壁と断熱材の内壁を接続する方法を示す。
【
図6】エアロゾル供給デバイスに使用するための断熱材の別の例の概略断面図であり、端部キャップの形の接合部材を使用して断熱材の外壁と断熱材の内壁を接続する方法を示す。
【
図7】断熱材の他の例を示す概略断面図であり、
図6の断熱材がエアロゾル供給デバイスの加熱コイル及び磁気シールドに対してどのように配置できるかを示す。
【詳細な説明】
【0012】
本明細書では、「エアロゾル生成材料」という用語は、加熱したときに通常はエアロゾルの形で揮発成分を供給する材料を含む。エアロゾル生成材料は、何らかのタバコ含有材料を含み、例えば、タバコ、タバコ派生物、膨張タバコ、再生タバコ、又はタバコ代替品のうちの1つ又は複数を含み得る。エアロゾル生成材料は、他の非タバコ製品を含むこともあり、これは製品によって、ニコチンを含むことも含まないこともある。エアロゾル生成材料は、例えば、固体、液体、ゲル、ワックスなどの形とすることができる。エアロゾル生成材料は、例えば、複数の材料の組合せ又は混合物とすることもできる。エアロゾル生成材料は、「喫煙材」と呼ばれることもある。
【0013】
エアロゾル生成器を使用してエアロゾル生成材料からエアロゾルを生成する装置が知られている。エアロゾルを生成する特に一般的な1つの方法は、エアロゾル生成材料を加熱することによるものである。このような装置では、エアロゾル生成器はヒータであり、このヒータは、エアロゾル生成材料を加熱してエアロゾル生成材料の少なくとも1つの成分を揮発させ、典型的には、吸入することができるエアロゾルを、エアロゾル生成材料を焼いたり燃焼させたりすることなく形成する。このような装置は、場合によって「エアロゾル供給デバイス」、「非燃焼加熱式デバイス」、「タバコ加熱製品デバイス」又は「タバコ加熱デバイス」などと記述される。同様に、いわゆるeシガレットデバイスもあり、これは通常、ニコチンを含むことも含まないこともある液体の形のエアロゾル生成材料を気化させる。エアロゾル生成材料は、装置に挿入できるロッド、カートリッジ、カセットなどの形にすることも、これらの一部として形成することもできる。エアロゾル生成材料を揮発させるためのエアロゾル生成器は、装置の「恒久的」部分として設けられてもよく、又は交換可能品若しくは消耗品の構成要素中のエアロゾル生成材料と組み合わせることもできる。本開示では、ヒータであるエアロゾル生成器に注目するが、エアロゾル生成材料からエアロゾルを生成する代替方法もまた利用可能であることを理解されたい。
【0014】
エアロゾル供給デバイスは、エアロゾル生成材料を含む物品を受け入れ加熱することができる。この文脈における「物品」とは、使用時に、加熱されてエアロゾル生成材料を揮発させるエアロゾル生成材料を、また任意選択で他の構成要素を使用時に含んでいるか含有する構成要素のことである。使用者は、物品が加熱される前に、物品をエアロゾル供給デバイスに挿入し、エアロゾルを生成することができ、続いて、そのエアロゾルを使用者が吸入する。物品は、例えば、物品を受け入れるように寸法設定されたデバイスの加熱チャンバの中に入るように構成されている、予め定められた、又は特定のサイズとすることができる。代替として、エアロゾル生成材料は、デバイスの加熱チャンバ内に自由に、又は制約なしに単純に入れられてもよく、例えば、固められていない葉のタバコは、このようにして使用することができる。
【0015】
誘導加熱とは、導電性の物体が、その物体に変動磁場を侵入させることによって加熱されるプロセスである。このプロセスは、ファラデーの誘導の法則及びオームの法則によって説明される。誘導ヒータは、電磁石と、この電磁石に交流電流などの変動電流を通すためのデバイスとを備えることができる。電磁石と加熱されるべき物体とが、電磁石によって生成された変動磁場が物体に侵入するように適切に相対的に配置されると、1つ又は複数の渦電流が物体の内部に生成される。物体には、電流の流れに対する抵抗がある。したがって、このような渦電流が物体中に生成されると、それが物体の電気抵抗に抗して流れることで物体が加熱される。このプロセスは、ジュール加熱、オーミック加熱、又は抵抗加熱と呼ばれる。誘導加熱されることが可能である物体は、サセプタとして知られている。
【0016】
磁気ヒステリシス加熱とは、磁性材料で作られた物体が、その物体に変動磁場を侵入させることによって加熱されるプロセスのことである。磁性材料は、多くの原子スケールの磁石、すなわち磁気双極子を含むと考えることができる。このような材料に磁場を侵入させると、磁気双極子は磁場に合わせて整列する。したがって、例えば電磁石によって生成される交番磁場等の変動磁場が磁性材料に侵入すると、磁気双極子の向きが、変動印加磁場によって変化する。このような磁気双極子の再配向により、熱が磁性材料中に発生する。
【0017】
物体が導電性かつ磁性である場合、変動磁場を物体に侵入させると、ジュール過熱と磁気ヒステリシス加熱の両方が物体中に生じ得る。さらに、磁性材料を使用すると磁場を強化することができ、こうすることで、ジュール加熱及び磁気ヒステリシス加熱を増強することができる。
【0018】
上記のプロセスのそれぞれでは、熱が、外部熱源からの熱伝導によってではなく、物体自体の内部で発生するので、物体中の急速な温度上昇と、より均一な熱分布とが、特に適切な物体材料及び幾何形状と、適切な変動磁場の大きさ及び物体に対する配向とを選択することによって達成され得る。さらに、誘導加熱及び磁気ヒステリシス加熱は、変動磁場の供給源と物体の間に物理的接続部が設けられる必要がないので、設計の自由及び加熱プロファイルに対する制御性が大きくなることがあり、またコストが低くなることがある。
【0019】
図1は、本発明の一例によるエアロゾル供給デバイス100の概略断面図を示す。
図2及び
図3は、エアロゾル供給デバイス100に使用するための例示的な断熱材102の概略断面図を示す。断熱材102は
図1に、分かりやすくするために簡略化された形で示されている。エアロゾル供給デバイス100の断熱材102は、それが加熱チャンバ又はゾーン144を備えていることで、加熱されるべきエアロゾル生成材料(図示せず)を受け入れるように構成されている。エアロゾル生成材料は、エアロゾル供給デバイス100の加熱チャンバ144の開口部に挿入することができる。エアロゾル供給デバイス100は、使用時に変動磁場を生成するための磁場発生器106と、エアロゾル供給デバイス100の構成要素のそれぞれを収容するためのハウジング108とを含む。
【0020】
この例では、磁場発生器106は、電源114と、交流電流などの変動電流を二パートコイル116a、116bに通すためのデバイス118とを備える。
図1に示されたようないくつかの例では、磁場発生器106はさらに、コントローラ120と、使用者がコントローラ120を操作するための使用者インタフェース122とに接続される。
【0021】
電源114は、充電式バッテリー(リチウムイオンバッテリーなど)、非充電式バッテリー、コンデンサ、バッテリー・コンデンサハイブリッド、又は主電源との接続部とすることができる。
【0022】
コイル116a、116bは、2つの部分を持つ単一コイルの形を含む、任意の適切な形をとることができ、単一部分コイルも代替形態として可能である。
図1に示された例では、二パートコイル116a、116bは、銅などの導電性材料で作られた螺旋コイルである。いくつかの例では、コイル116a、116bは、フラットコイルであってもよい。すなわち、コイルは擬似二次元螺旋であってもよい。いくつかの例では、コイルはリッツ線を備えることがある。
【0023】
エアロゾル供給デバイス100は、装置の内部とエアロゾル供給デバイス100の外部とを流体接続する空気入口(図示せず)を含む。使用時にユーザは、エアロゾル生成材料の揮発成分(複数可)を吸入することができ得る。揮発成分(複数可)がエアロゾル生成材料から取り出されるとき、空気が空気入口を経由してエアロゾル供給デバイス100に引き込まれ得る。
【0024】
断熱材102は、より詳細に
図2及び
図3に示されており、内壁110及び外壁112を含む。内壁110は、変動磁場を侵入させることによって加熱可能な加熱材を備えるか、それで作られた加熱要素である。1つの例では、内壁110は、軟鋼で形成されてもよい。軟鋼は、安価で、加工しやすく、またサセプタである。別の例では、内壁110は、フェライト系ステンレス鋼で形成されてもよい。フェライト系ステンレス鋼は、加工しやすく、耐食性に優れ、またサセプタである。しかし、Kovar(登録商標)などのニッケルコバルト鉄合金もまた使用されてよい。加熱チャンバ又は加熱ゾーン144は、内壁110で囲まれている。その結果、内壁110は、加熱チャンバ/ゾーン144を少なくとも部分的に画定する。使用中、加熱されるべきエアロゾル生成材料は、内壁110内の加熱チャンバ/ゾーン144に受け入れられる。
図2及び
図3において、断熱材102は、円形の断面形状を持つ実質的に円筒形であるように示されている。他の例では、断熱材102は、異なる断面形状を有することができる。
【0025】
図2及び
図3を参照すると、示されている例示的な断熱材102は、内壁110と外壁112によって境界付けられてこれらの間に配置された断熱領域124を含む。描かれた例では、
図3に明確に示されているように、断熱領域124が内壁110を囲み、外壁112が断熱領域124を囲んでいる。断熱領域124は、断熱領域の外側の領域に存在すると予想されるような大気圧より低い圧力まで排気される。いくつかの例では、大気圧よりも低い圧力は10
-1Torr以下である。大気圧よりも圧力の低い断熱領域124を設けることにより、内壁110及び加熱チャンバ/ゾーン144を外壁112及びハウジング108から断熱して、内壁110及び加熱チャンバ/ゾーン144からエアロゾル供給デバイス100の残りの部分(加熱チャンバ/ゾーン144の外部)への熱伝達を制限する。この熱伝達制限は、電源114などのエアロゾル供給デバイス100の他の構成要素が温度の上昇の影響を受けやすいことがあるために、有利である。例えば、バッテリーは、高温にさらされた場合に損傷し、さらには危険でさえあり得ることはよく知られている。さらに、エアロゾル供給デバイス100のハウジング108への熱伝達は、使用時に、使用者に不快感、さらには傷害さえもたらすことがある。
【0026】
断熱領域124の圧力は、10-1~10-7 torr範囲内にあってもよい。いくつかの例では、断熱領域124の圧力は真空と考えられる。断熱材102の内壁110及び外壁112は、これらに対して断熱領域124と内壁110及び外壁112の外側の領域との間の圧力差により作用するいかなる力にも耐えるように十分に強く、以て、断熱材102が内側につぶれることを防止する。ガス吸収材料が、断熱領域124の比較的低い圧力を維持するために、又はその生成を助けるために、断熱領域124で使用されてもよい。
【0027】
大気圧よりも低い圧力の断熱領域124を設けることは、代替の断熱オプションを用いて可能であり得るよりもサイズがはるかに小さい領域で非常に効果的な断熱が行われることを可能にするので、特に有利である。こうすると、加熱チャンバ/ゾーン144の断熱を損なうことなく、エアロゾル供給デバイス100の全体のサイズを最小限に保つことが可能になる。さらに、内壁110が加熱要素と断熱材102の壁の両方として機能すると、別個の加熱要素及び別個の断熱構成要素を含む必要がないので、エアロゾル供給デバイス100の全体のサイズ及び重量を低減させることができる。内壁110は、誘導加熱によって都合よく加熱可能であるので、加熱要素と断熱材102の壁の両方として機能することができる。誘導加熱は、有益なことに、変動磁場の供給源と加熱要素の間に物理的接続部が設けられる必要がなく、このことにより、電源と加熱要素の間のワイヤ又は他のいかなる物理的接続部の必要も取り除かれる。
【0028】
図3は、
図2の線A-Aの断面を示す。
図2及び
図3は、原寸に比例して描かれていない。
図2において、外壁112は、内壁110の全長に沿って延びているように示されている。しかし、代替例では、外壁112は、内壁110の長さに沿って部分的にのみ延びてもよい。すなわち、外壁112は、断熱が内壁110の一部分のまわりだけで行われ得るように、内壁110の一部分に沿って延びてもよい。内壁110の長さに沿って一部にだけ延びる外壁112を設けることにより、エアロゾル供給デバイス100の全体サイズがさらに小さくなることが可能になり得る。外壁112と内壁110は、互いに同軸であるように図示されているが、これは必須ではない。
【0029】
図1に示されるように、コイル116a、116bは、断熱材102の少なくとも一部を囲んでいる。具体的には、コイル116a、116bは、断熱材102の外壁112の少なくとも一部を囲んでいる。
図1及び
図7に示されるように、磁気シールド140がコイル116a、116b又は116の少なくとも一部のまわりに設けられる。磁気シールド140は、磁場発生器106によって発生した磁場と、加熱要素以外の何か、すなわち内壁110との間の相互作用を低減又は回避するために使用される。磁気シールドは、磁場を封じ込めるのに適している、フェライト材料などの任意の材料(複数可)で形成することができる。
【0030】
いくつかの例では、外壁112は、変動磁場にさらされたときに誘導加熱によって著しく加熱されないように、非感受性で非導電性の材料から形成されている。いくつかの例では、外壁112は、非感受性の金属材料、又はプラスチック、ガラス若しくはセラミック材料のうちの1つ又は複数を含む。非感受性の材料からなる外壁112を設けることは、交流電流などの変動電流がコイル116a、116bに通されたときに、断熱材102の内壁110は加熱されるのに対して、外壁112は誘導加熱によって加熱されないことを意味する。したがって、外壁112を加熱するエネルギーが浪費されないとともに、外壁112の過剰な温度上昇が抑制及び/又は緩和されなくてもよくなるので、システムの効率及びシステム内の熱管理を改善することができる。外壁112が変動電流によって加熱されたとしても、内壁110は、望ましくない加熱が実際には最小限しかされない。この構成体は、ハウジング108の外側の温度を特にその表面において、使用者が取り扱うのに許容可能なレベルに維持する役割も果たす。非感受性金属は一般に安価で、加工しやすく、及び/又は機械加工可能であり、プラスチックは安価で、成形しやすく、丈夫であり、またガラスは安価で、成形しやすく、良好な強度を有するのに対して、セラミック材料は強く、丈夫で軽量である。適切なプラスチック材料は、少なくとも250℃、場合によっては少なくとも320℃まで熱的及び機械的に安定なポリマーであり得る。このようなポリマーの例には、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)がある。適切なガラス材料には、熱膨張係数が低いことによって特に熱衝撃耐性になる、ホウケイ酸ガラスがあり得る。適切なセラミック材料は、ジルコニアであり得る。ガラス強化プラスチックなどの、上に列記された材料のうちの2つ以上を含む複合材料は、組み合わされる材料の有益な特性を可能にし得る。
【0031】
断熱領域が大気圧よりも低い圧力に維持されるべき場合に必要である、閉鎖された断熱領域を持つ断熱材を製造するためには、断熱材の内壁と外壁が接続されなければならない。前述のように、内壁は変動磁場を侵入させることによって加熱可能であるが、外壁は変動磁場を侵入させることによって加熱可能ではないことは、有利である。したがって、内壁はサセプタである材料を含み、外壁はサセプタではない材料を含む。ろう付け、溶接、はんだ付けなどの方法を用いて、異種材料を大気圧よりも低い圧力の条件下で直接接合すると、製造が困難になり得る。例えば、多くの通常の溶接技法は、不活性ガスが存在する必要があるので、真空中で実施することができない。本開示の第1、第2及び第3の態様によって以下で説明される方法は、この問題を、外壁及び内壁を備える断熱材を低圧断熱領域が含まれるように製造するときに、異種材料を含む内壁と外壁を接続する改善された方法を提供することによって解決する。
【0032】
図4は、本開示の第1の態様による、断熱材202を製造するための方法のステップを概略的に示す。
図4の下部に図示された、方法の第1のステップは、内壁210及び外壁212を提供することを含む。内壁210は、それが、変動磁場を侵入させることによって加熱可能である加熱材を含むことで、エアロゾル生成材料(図示せず)を受け入れるための加熱チャンバ又は加熱ゾーンを少なくとも部分的に画定するように構成される。いくつかの例では、内壁210は軟鋼を含む。軟鋼は、安価で加工しやすく、またサセプタであるので、有利な材料である。他の例では、内壁110は、フェライト系ステンレス鋼を含む。フェライト系ステンレス鋼は、加工が容易であり、耐食性に優れ、またサセプタであるので、有利な材料である。外壁212は、内壁210を少なくとも部分的にその長さに沿って取り囲むように構成されるので、断熱領域224が内壁210と外壁212の間に形成される。内壁210を加熱するために印加される変動磁場によって外壁212が加熱されるのを避けるために、外壁212は、内壁210の材料とは異なる材料を含む。上で論じられたように、いくつかの例では、外壁は、非感受性金属材料、又はプラスチック、ガラス、若しくはセラミック材料のうちの1つ又は複数を含む。非感受性金属は一般に安価で、加工しやすく、及び/又は機械加工可能であり、プラスチックは安価で、成形しやすく、丈夫であり、またガラスは安価で、成形しやすく、良好な強度を有するのに対して、セラミックは強く、丈夫で軽量である。非感受性金属、プラスチック、ガラス及びセラミックスはすべて、変動磁場が侵入することによって著しく加熱可能ではない。適切なプラスチック材料は、少なくとも250℃、場合によっては少なくとも320℃まで熱的及び機械的に安定なポリマーであり得る。このようなポリマーの例には、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)がある。適切なガラス材料には、熱膨張係数が低いことによって特に熱衝撃耐性になる、ホウケイ酸ガラスがあり得る。適切なセラミック材料は、ジルコニアであり得る。ガラス強化プラスチックなどの、上に列記された材料のうちの2つ以上を含む複合材料は、組み合わされる材料の有益な特性を可能にし得る。
【0033】
本開示の第1の態様による方法の第2のステップは、
図4に矢印Aで示されている。通常の大気圧の下で、第1の接合材料250の一部分が外壁212に付着され、第2の接合材料252の一部分が内壁210に付着される。第1の接合材料250及び第2の接合材料252は、類似材料で作られている。しかし、第1の接合材料250及び第2の接合材料252のそれぞれは、内壁210及び外壁212が含む材料とは異種の材料である。いくつかの例では、第1の接合材料30と第2の接合材料252は、互いに同一である。いくつかの例では、第1の接合材料250及び第2の接合材料252は、ろう付け、溶接又ははんだ付けによって、外壁212及び内壁210にそれぞれ付着される。ろう付けは、良好な強度を持つ接合部を形成し、密接に嵌合する部分同士を接合するために使用することができ、溶接は、非常に高い強度を持つ接合部を形成し、はんだ付けは、ろう付け又は溶接のどちらにも必要とされ得るよりもはるかに低い加熱温度を使用しながらも適度な強度を持つ接合部を形成する。第1の接合材料250は、第2の接合材料252を内壁210に接合するのに用いられる方法とは異なる方法で外壁212に接合されてもよく、又は用いられる方法は同じであってもよい。
【0034】
外壁212と第1の接合材料250、及び内壁210と第2の接合材料252の異種材料それぞれが通常の大気圧の下で接合されることは有利である。上で論じられたように、異種材料を接合するのは、通常の大気圧の下の方が、通常の大気圧より低い圧力の下よりも容易である。
【0035】
本開示の第1の態様による方法の第3のステップは、
図4に矢印Bで示されている。断熱領域224は、大気圧よりも低い圧力まで排気される。次いで、断熱領域224は、第1の接合材料250と第2の接合材料252を互いに接合することによって閉鎖される。上で論じられたように、第1の接合材料250と第2の接合材料252は、類似材料を含み、いくつかの例では同一の材料を含む。いくつかの例では、第1及び/又は第2の接合材料は、銀共晶ろう付け材料である。銀共晶合金は、広範囲のろう付け用途に適している。銀共晶合金は、ここで説明されている方法の第2のステップで必要とされているような、異種材料同士を接合するのにも効果的であることがあり、この方法の第3のステップで必要とされているような真空状態で使用することもできる。
【0036】
断熱領域224を大気圧よりも低い圧力で形成し維持するには、この断熱領域が大気圧よりも低い圧力の下で閉鎖されなければならない。本開示の第1の態様による方法には、上で論じられたように、類似材料だけが大気圧よりも低い圧力の下で互いに接合されるという利点がある。前述のように、この接合は、異種材料を大気圧よりも低い圧力の下で接合するよりも簡単な製造ステップである。したがって、本開示の第1の態様による方法では、断熱材202を製造することの複雑さが低減される。
【0037】
いくつかの例では、断熱領域224が大気圧よりも低い圧力まで排気されるとき、断熱領域224の外側の領域もまた大気圧よりも低い圧力まで排気される。このように排気することは、例えば、本開示の第2の態様による方法の第2のステップを真空チャンバ内で実施することによって達成することができる。
【0038】
いくつかの例では、大気圧よりも低い圧力は10-1Torr以下である。前に論じられたように、断熱領域の圧力を下げると、断熱領域の断熱特性が向上する。断熱領域224内の10-1Torr以下の圧力が、閉鎖された断熱領域224に良好な断熱特性をもたらす。
【0039】
図4に示され、上で論じられた方法は、低圧条件の下で、断熱材202の両端において第1の接合材料250を第2の接合材料252に接合するステップを含む。しかし、この方法によって2つ以上の第1の接合材料250と第2の接合材料252を接合することは、単一の断熱材202を製造する場合には必須ではないことを理解されたい。本開示の第1の態様によれば、第1の接合材料250と第2の接合材料252を接合する方法は、断熱領域224を閉じるために低圧条件の下で実施され、このようなステップは、断熱材202の一方の端部だけで実施することもでき、他方の端部は最初に通常の大気条件の下で接合されている。したがって、本開示の第1の態様による方法では、上で概説された特別な条件(低圧条件の下で第1の接合材料250と第2の接合材料252を接合すること)が、断熱領域224を閉じるために実施される最終的な接合に用いられることしか必要としないが、他の接合を実施するためにこの方法を用いることは、当然ながら排除されない。
【0040】
図5は、本開示の第2の態様による、断熱材202を製造する方法を示す。
図5の左側に示された方法の第1のステップは、上で本開示の第1の態様に関して説明されたのと同様に、内壁210及び外壁212を提供することを含む。
【0041】
本開示の第2の態様による方法の第2のステップは、
図5の右側に示されている。断熱領域224は、大気圧よりも低い圧力まで排気される。次いで、断熱領域224は、接着剤254を使用して外壁212を内壁210に接合することによって閉鎖される。接着剤には、広い範囲の材料同士を、これらが互いに類似しているか異種であるかにかかわらず接合できるという利点がある。一般に、接着剤によって形成される接合部は、優れた強度、靭性、並びに化学的及び熱的劣化に対する耐性を示す。接着剤254を使用することによって、本開示の第2の態様による方法では、ろう付け、溶接又ははんだ付けを用いる場合に生じる可能性がある、低圧条件の下で異種材料を接合する困難を避ける。適切な接着剤の例には、2液型エポキシ、1液型エポキシ又はアクリル系接着剤があり得る。
【0042】
いくつかの例では、断熱領域224が大気圧よりも低い圧力まで排気されるとき、断熱領域224の外側の領域もまた大気圧よりも低い圧力まで排気される。このように排気することは、例えば、本開示の第2の態様による方法の第2のステップを真空チャンバ内で実施することによって達成することができる。こうすることには、断熱領域224と断熱領域224の外側の領域との間の圧力差が小さい条件の下で接着剤254を付着させることができるという利点がある。これにより接着剤254が、断熱領域224の外側の領域が大気圧に維持された場合よりも容易に、内壁210と外壁212を接合するのに使用されることが可能になり得る。例えば、圧力差がないことが、接着剤をより正確に付着させることを可能にし得る。さらに、接着剤は通常、液状で付着され、固化して接合部を形成するのに少なくともある短い時間を必要とするが、断熱領域224と断熱領域224の外側の領域との間の圧力差を取り除くことにより、接着剤が、そうしなければ存在するはずの圧力差によって妨げられずに、固化し強固になることが可能になり得る。
【0043】
一部の接着剤では、接着接合部が効果的及び/又はより強固になるには、付着された後に硬化するための時間を必要とする。このような接着剤が使用される例では、硬化が、接着剤が存在する領域を大気圧よりも低い圧力まで排気することによって促進されることがある。これは特に、真空硬化型接着剤の場合である。このような接着剤は、熱及び/又は紫外線を加えることによって硬化させることができる。断熱領域224内の圧力及び断熱領域224の外側の圧力が大気圧より低い圧力に維持されることを確保することによって、このような真空硬化を達成することができる。
【0044】
本開示の第1の態様(上でより詳細に論じられ、
図4に示される)と同様に、本開示の第2の態様による方法が、
図5に示されるように内壁210と外壁212を断熱材202の両端部で接合するために用いられることは必須でない。例えば、内壁210と外壁212は、最初に、通常の大気条件の下で断熱材202の一方の端部で接合されてもよく、その後、断熱領域224が排気され、断熱領域254を閉じるために接着剤254を使用して内壁210と外壁212が第2の端部で接合される。したがって、第1の態様と同様に、本開示の第2の態様による方法では、断熱領域224を閉じるための最終的な接合が、上で概説された特別な条件(断熱領域224を排気し、その後、接着剤254を使用して外壁212を内壁210に接合することによって断熱領域224を閉じる)に応じて実施されることしか必要としないが、他の接合を実施するためにこのような方法を用いることは、当然ながら排除されない。
【0045】
図6は、本開示の第3の態様による、断熱材302を製造する方法を示す。
図6の下部に示された方法の第1のステップは、上で本開示の第1及び第2の態様に関して説明されたのと同様に内壁310及び外壁312を提供することを含む。1つ又は複数の接合部材も提供され、
図6に図示された例では、第1の接合部材326及び第2の接合部材328が提供される。
【0046】
本開示の第3の態様による方法の第2のステップは、
図6の矢印Aで示されている。通常の大気圧の下で、第1の接合部材326及び第2の接合部材328が内壁310に接合される。内壁310の材料は第1の接合部材326及び第2の接合部材328の材料とは異なっていることが予想され、そうでなければ、第1の接合部材326及び第2の接合部材328は、内壁310と同様に磁場の印加による加熱の影響を受けやすいはずである。いくつかの例では、接合部材のそれぞれを内壁310に接合する方法は、ろう付け、溶接、はんだ付け、接着剤又は締まりばめである。
【0047】
本開示の第3の態様による方法の第3のステップは、
図6の矢印Bで示されている。断熱領域324は、大気圧より低い圧力まで排気される。その後、断熱領域324は、第1の接合部材326及び第2の接合部材328のそれぞれを外壁312に接合することによって閉鎖される。いくつかの例では、接合部材のそれぞれを内壁310に接合する方法は、ろう付け、溶接、はんだ付け、接着剤又は締まりばめである。
【0048】
1つ又は複数の接合部材を本開示の第3の態様による方法によって必要とされるように提供するのは、内壁310と外壁312が互いに直接接合されなければならないという要件が回避されるので、有利である。上で論じられたように、異種材料を低圧条件の下で接合すると、製造が困難になり得る。内壁310及び外壁312に対する材料要件は、かなり制限的なことがあり、例えば、内壁310は、誘導加熱によって加熱されるようにサセプタでなければならず、また、内壁310と外壁312の両方が、断熱領域324で比較的低い圧力を維持することによって生じる機械的応力を支えることができなければならない。1つ又は複数の接合部材に対する材料要件は、あまり制限的でなくてもよく、したがって、より容易に外壁312及び/又は内壁310に接合することができる材料を選ぶことが可能になる。いくつかの例では、外壁312と第1及び第2の接合部材326、328とは、類似又は同一の材料を含む。したがって、本発明の第3の態様による方法では、内壁310と第1及び第2の接合部材326、328との異種材料が大気条件の下で接合されることが可能になり、次いで、第1及び第2の接合部材326、328と外壁312との類似材料が、より低圧の条件下で接合されて断熱領域324が閉鎖される。
【0049】
2つ以上の接合部材が使用される例では、断熱領域を閉鎖するには、最終接合部材を外壁に接合することだけが低圧条件の下で行われなければならないことを理解されたい。例えば、2つの接合部材326、328が使用される場合には、第1及び第2の接合部材326、328を内壁310に接合し、接合部材の1つを外壁312に接合することが、すべて通常の大気条件の下で可能になる。その後、断熱領域の圧力を下げ、残りの接合部材を外壁312に接合して断熱領域324を閉鎖することができる。類似材料を低圧条件の下で接合することさえ、製造上の困難を呈することがあるので、1回だけの接合を低圧条件の下でこのように実施することは有利になる。
【0050】
外壁312と内壁310の間に配置された1つ又は複数の接合部材を使用すると、これらの構成要素間の接合部の少なくとも1つを締まりばめにすることが可能になり得る。締まりばめは、製造が簡単という利点を有するとともに、接合プロセスにおける熱、及び/又はろう付け材料若しくは接着剤などの追加の材料の必要性も回避される。締まりばめの使用は、1つ又は複数の接合部材が端部キャップであり、それぞれが外壁312及び内壁310の端部に配置されるように構成されている例において、特に有利である。端部キャップを使用すると、断熱領域324内の比較的低い圧力により生じる外圧が接合部材を適所に固定する助けになり、したがって、締まりばめによって得られる接続部は、この圧力によってさらに固定されることになる。1つ又は複数の端部キャップを使用する場合には、外圧は、1つ又は複数の端部キャップと外壁312及び内壁310との間の他の任意の形の接合部を固定する助けにもなることにも留意されたい。
【0051】
図7は、本開示の第3の態様の方法によって製造された、単一の誘導コイル116で取り囲まれている断熱材302の一例を示し、このコイルは、エアロゾル供給デバイスの磁気シールド140で取り囲まれている。
【0052】
本開示の第4の態様では、本開示の以前の態様で説明された方法のいずれかにより製造された断熱材について説明する。改善された製造方法を提供することによって、改善された方法により製造される断熱材が代替の断熱製品よりも堅牢になることを理解されたい。
【0053】
本開示の第5の態様では、本開示の第4の態様による断熱材と、使用時に、内壁を加熱するために内壁に侵入する変動磁場を発生させる磁場発生器とを備える、エアロゾル供給デバイスについて説明する。本開示によるエアロゾル供給デバイスの一例は、
図1に関連して、より詳細に上で議論されている。
【0054】
本開示の第6の態様では、本開示の第5の態様による装置と、使用時に、断熱材の内壁の加熱ゾーン内に少なくとも部分的に配置されるエアロゾル生成材料とを含む、エアロゾル供給システムについて説明する。
【0055】
上記の実施形態は、本発明の例示的なものとして理解されたい。本発明のさらなる実施形態が想起される。いずれか1つの実施形態に関して説明されたいずれかの機能は単独で、又は説明された他の特徴と一緒に使用されてもよく、また、諸実施形態のうちのいずれか他のものの、又は実施形態のうちのいずれか他のものの任意の組合せの、1つ又は複数の機能と一緒に使用されてもよいと理解されたい。さらに、上述されていない等価物及び修正形態もまた、添付の特許請求の範囲に定義されている本発明の範囲から逸脱することなく使用されてもよい。
本明細書には以下の実施形態が開示される。
(実施形態1)
断熱材を製造する方法であって、
エアロゾル生成材料を受け入れるための加熱ゾーンを少なくとも部分的に画定するように構成される内壁を設けるステップであり、前記内壁が、変動磁場を侵入させることによって加熱可能である加熱材を含む、ステップと、
前記内壁を少なくとも部分的にその長さに沿って取り囲む外壁を設けるステップであり、断熱領域が前記内壁と前記外壁の間に形成され、前記内壁と前記外壁が別々の材料を含む、ステップと、
第1の接合材料の一部分を前記内壁に大気圧の下で付着させるステップと、
第2の接合材料の一部分を前記外壁に大気圧の下で付着させるステップと、
前記断熱領域を大気圧よりも低い圧力まで排気するステップと、
前記第1の接合材料と第2の接合材料を互いに接合することによって前記断熱領域を閉鎖するステップと
を含む、方法。
(実施形態2)
前記断熱領域が大気圧よりも低い圧力まで排気されるとき、前記断熱領域の外側の領域もまた大気圧よりも低い圧力まで排気される、実施形態1に記載の方法。
(実施形態3)
前記第1の接合材料の前記一部分及び前記第2の接合材料の前記一部分が、前記内壁及び前記外壁の少なくとも一方に、ろう付け、溶接、又ははんだ付けによって付着される、実施形態1又は2に記載の方法。
(実施形態4)
前記第1の接合材料と前記第2の接合材料が、ろう付け、溶接、又ははんだ付けによって互いに接合される、実施形態1~3のいずれか一項に記載の方法。
(実施形態5)
前記第1の接合材料及び前記第2の接合材料が、銀共晶ろう付け材料を含む、実施形態1~4のいずれか一項に記載の方法。
(実施形態6)
断熱材を製造する方法であって、
喫煙材を含む物品の少なくとも一部分を受け入れるための加熱ゾーンを少なくとも部分的に画定するように構成される内壁を設けるステップであり、前記内壁が、変動磁場を侵入させることによって加熱可能である加熱材を含む、ステップと、
前記内壁を少なくとも部分的にその長さに沿って取り囲む外壁を設けるステップであり、断熱領域が前記内壁と前記外壁の間に形成される、ステップと、
前記断熱領域を大気圧よりも低い圧力まで排気するステップと、
接着剤を使用して前記内壁と前記外壁を接合することによって前記断熱領域を閉鎖するステップと
を含む、方法。
(実施形態7)
前記内壁と前記外壁が別々の材料を含む、実施形態6に記載の方法。
(実施形態8)
前記断熱領域が大気圧よりも低い圧力まで排気されるとき、前記断熱領域の外側の領域もまた大気圧よりも低い圧力まで排気される、実施形態6又は7に記載の方法。
(実施形態9)
前記接着剤が、前記断熱領域の外側の領域が大気圧よりも低い圧力にある間に硬化される、実施形態8に記載の方法。
(実施形態10)
前記接着剤が、2液型エポキシ、1液型エポキシ、又はアクリル系接着剤のうちの1つである、実施形態6~9のいずれか一項に記載の方法。
(実施形態11)
前記接着剤が熱及び/又は紫外線によって硬化される、実施形態10に記載の方法。
(実施形態12)
断熱材を製造する方法であって、
喫煙材を含む物品の少なくとも一部分を受け入れるための加熱ゾーンを少なくとも部分的に画定するように構成される内壁を設けるステップであり、前記内壁が、変動磁場を侵入させることによって加熱可能である加熱材を含む、ステップと、
前記内壁を少なくとも部分的にその長さに沿って取り囲む外壁を設けるステップであり、断熱領域が前記内壁と前記外壁の間に形成される、ステップと、
1つ又は複数の接合部材を用意するステップと、
前記1つ又は複数の接合部材のそれぞれを前記内壁に接合するステップと、
前記断熱領域を大気圧よりも低い圧力まで排気するステップと、
前記1つ又は複数の接合部材のうちの少なくとも1つを前記外壁に接合することによって前記断熱領域を閉鎖するステップと
を含む、方法。
(実施形態13)
前記内壁と前記外壁が別々の材料を含む、実施形態12に記載の方法。
(実施形態14)
前記外壁と前記1つ又は複数の接合部材が類似材料を含む、実施形態12又は13に記載の方法。
(実施形態15)
前記1つ又は複数の接合部材が端部キャップである、実施形態12~14のいずれか一項に記載の方法。
(実施形態16)
前記1つ又は複数の接合部材が前記内壁及び前記外壁の少なくとも一方に、ろう付け、溶接、はんだ付け、接着剤、又は締まりばめを用いて接合される、実施形態12~15のいずれか一項に記載の方法。
(実施形態17)
ろう付けが銀共晶ろう付け材料を使用して実施される、実施形態16に記載の方法。
(実施形態18)
使用される前記接着剤が、2液型エポキシ、1液型エポキシ、又はアクリル系接着剤のうちの1つである、実施形態16又は17に記載の方法。
(実施形態19)
前記接着剤が熱及び/又は紫外線によって硬化される、実施形態18に記載の方法。
(実施形態20)
前記断熱領域が大気圧よりも低い圧力まで排気されるとき、前記断熱領域の外側の領域もまた大気圧よりも低い圧力まで排気される、実施形態12~19のいずれか一項に記載の方法。
(実施形態21)
大気圧より低い前記圧力が10
-1
Torr以下である、実施形態1~20のいずれか一項に記載の方法。
(実施形態22)
前記内壁が軟鋼又はフェライト系ステンレス鋼を含む、実施形態1~21のいずれか一項に記載の方法。
(実施形態23)
前記外壁が、非感受性金属、プラスチック、ガラス、又はセラミックのうちの1つ又は複数を含む、実施形態1~22のいずれか一項に記載の方法。
(実施形態24)
前記非感受性金属がステンレス鋼である、実施形態23に記載の方法。
(実施形態25)
実施形態1~24のいずれか一項に従って製造された断熱材。
(実施形態26)
実施形態25に記載の断熱材と、
使用時に、前記内壁を加熱するために前記内壁に侵入する変動磁場を発生させる磁場発生器と
を備える、非燃焼式エアロゾル供給デバイス。
(実施形態27)
実施形態26に記載の装置と、
使用時に、前記断熱材の前記内壁の前記加熱ゾーン内に少なくとも部分的に配置されるエアロゾル生成材料と
を含む、非燃焼式エアロゾル供給システム。