(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-20
(45)【発行日】2025-01-06
(54)【発明の名称】コネクタアセンブリのための空気流構造
(51)【国際特許分類】
H01R 13/533 20060101AFI20241223BHJP
H05K 7/20 20060101ALI20241223BHJP
H01R 13/6581 20110101ALI20241223BHJP
【FI】
H01R13/533 A
H05K7/20 G
H01R13/6581
(21)【出願番号】P 2023524661
(86)(22)【出願日】2021-11-02
(86)【国際出願番号】 IB2021060111
(87)【国際公開番号】W WO2022091063
(87)【国際公開日】2022-05-05
【審査請求日】2023-04-21
(32)【優先日】2020-11-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】591043064
【氏名又は名称】モレックス エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100116207
【氏名又は名称】青木 俊明
(74)【代理人】
【識別番号】100096426
【氏名又は名称】川合 誠
(72)【発明者】
【氏名】サイード ムハンマド ハサン アリ
(72)【発明者】
【氏名】エッジ ムリーサ
(72)【発明者】
【氏名】デビッド エル ブランカー
【審査官】▲高▼橋 杏子
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2013/0344745(US,A1)
【文献】特開2004-253462(JP,A)
【文献】米国特許第10305217(US,B2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01R 13/40-13/72
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
コネクタアセンブリであって、
導電性の材料で形成されたケージであって、挿入されたモジュールを受け入れて支持するように構成されたポートを協働して画定する第1の側壁及び第2の側壁並びに上壁を含み、前記モジュールがポートに挿入され得る、又はポートから取り外され得る開口部を更に含むケージと、
該ケージ内に配置されたコネクタであって、前記ポートと位置合わせされたカードスロットを含むコネクタと、
前記第1の側壁の外面に沿って形成されたエアスクープ構造であって、動作時に、挿入されたモジュールからの熱エネルギーの除去を容易にするために、挿入されたモジュールの少なくとも1つの表面にわたって空気流を生じさせるように、空気流を前記ポート内に向け直すように配向されたエアスクープ構造と、
前記ケージの第1の側壁に沿って形成された隆起ポケット領域であって、前記エアスクープ構造が前記隆起ポケット領域の外面上に形成されている、隆起ポケット領域とを備える、コネクタアセンブリ。
【請求項2】
前記第2の側壁がエアスクープ構造を含む、請求項1に記載のコネクタアセンブリ。
【請求項3】
各エアスクープ構造が、熱エネルギー生成部分に近接するように、挿入されたモジュールの位置と位置合わせされるように配置されている、請求項2に記載のコネクタアセンブリ。
【請求項4】
前記第1の側壁上のエアスクープ構造の位置が、前記第2の側壁上のエアスクープ構造の位置に対して互い違いである、請求項3に記載のコネクタアセンブリ。
【請求項5】
前記エアスクープ構造が、前記第1の側壁の厚さを貫通して形成された開口部を含む突出ディンプルを備え、該突出ディンプルの開口部が、前記第1の側壁の外面にわたって流れる空気を捕捉するように配向されている、請求項1に記載のコネクタアセンブリ。
【請求項6】
前記エアスクープ構造が、前記ケージの第1の側壁上にパターンで配置された複数の突出ディンプルを備える、請求項5に記載のコネクタアセンブリ。
【請求項7】
前記エアスクープ構造が、
前記第1の側壁の厚さを貫通して形成された通気孔と、
該通気孔の上に配置され、外部空気流の一部を前記通気孔を通して前記ポート内に向け直すように配置された空気捕捉部材とを備える、請求項1に記載のコネクタアセンブリ。
【請求項8】
前記空気捕捉部材の前縁部が、前記通気孔の前縁部に重なり合うように配置されている、請求項7に記載のコネクタアセンブリ。
【請求項9】
前記空気捕捉部材の前縁部が、前記通気孔の前縁部と重なり合わない構成で配置されている、請求項7に記載のコネクタアセンブリ。
【請求項10】
前記エアスクープ構造が、
前記第1の側壁の一部に沿って所定の配置で配置された複数の空気孔と、
該複数の空気孔にわたってまたがるように配置され、外部空気流の一部を前記複数の空気孔を通して前記ポート内に向け直すように構成された空気ダイバータとを備える、請求項1に記載のコネクタアセンブリ。
【請求項11】
前記複数の空気孔が、前記ケージの第1の側壁に沿って直線状の鉛直配置で配置され、
前記空気ダイバータが、上部プレートと、一対の対向する側縁部プレートと、前記複数の空気孔の上に開放面を形成する後部プレートとの組み合わせを備え、前記上部プレートが、前記複数の空気孔の直線状の鉛直配置全体にまたがるのに十分な長さを含む、請求項10に記載のコネクタアセンブリ。
【請求項12】
前記空気ダイバータが、前記ケージの側壁の外面に取り付けられた別個の構成要素を備える、請求項10に記載のコネクタアセンブリ。
【請求項13】
前記空気ダイバータが、前記ケージの側壁の外面に溶接される、請求項12に記載のコネクタアセンブリ。
【請求項14】
前記隆起ポケット領域が、追加の外部空気流を捕捉するために、前記隆起ポケット領域の隆起前縁部に沿って形成された1つ以上の通気孔を更に備える、請求項1に記載のコネクタアセンブリ。
【請求項15】
前記コネクタが、前記第1の側壁及び第2の側壁の一方の内面に隣接して配置された外面を含み、前記ケージが、前記第1の側壁の外面に沿って形成されたケージオフセットを更に含み、該ケージオフセットが、前記第1の側壁と前記コネクタの外面との間に間隙を生成するように前記第1の側壁に対して外側に延びる、請求項1に記載のコネクタアセンブリ。
【請求項16】
コネクタアセンブリであって、
挿入されたモジュールを受け入れて支持するように構成された内部のポートを協働して画定する第1の側壁と、該第1の側壁に対向する第2の側壁と、上壁とを含むケージであって、前記モジュールが前記内部のポートに挿入され得る、又は該内部のポートから取り外され得る開口部を更に含むケージと、
該ケージ内に配置されたコネクタであって、挿入されたモジュールと係合するために前記内部のポートと位置合わせされたカードスロットを含むコネクタと、
前記内部のポートに隣接する位置で少なくとも1つの側壁の外面に沿って形成され、挿入された前記モジュールの少なくとも1つの表面にわたって流れ、前記コネクタアセンブリからの熱エネルギーの除去を容易にするように、空気流を前記ケージの内部に向け直すように配向されたエアスクープ構造とを備え、
該エアスクープ構造が、前記側壁の一部に沿って所定の配置で配置された複数の空気孔と、該複数の空気孔にわたってまたがるように配置され、外部空気流の一部を前記複数の空気孔を通して前記内部のポート内に向け直すように構成された空気ダイバータとを備える、コネクタアセンブリ。
【請求項17】
コネクタアセンブリであって、
第1のポート及び第2のポートを協働して画定する複数の壁を含むケージであって、前記第1及び第2のポートが、挿入されたモジュールを受け入れて支持するように構成され、前記ケージが、前記第1のポート及び第2のポートがアクセスされ得る開口部を更に含むケージと、
該ケージ内に配置されたコネクタであって、前記ポートの各々と位置合わせされたカードスロットを含むコネクタと、
第1の側壁の外面に沿って形成されたエアスクープ構造であって、前記第1のポートに隣接する第1の位置に配置され、挿入されたモジュールが配置される前記第1のポートに空気流を向け直すように配向された第1のセットのエアスクープと、前記第2のポートに隣接する第2の位置に配置され、挿入されたモジュールが配置される前記第2のポートに空気流を向け直すように配向された第2のセットのエアスクープとを含む、エアスクープ構造と、
前記第1の側壁に沿って形成された隆起ポケット領域であって、前記エアスクープ構造が前記隆起ポケット領域の外面上に形成されている、隆起ポケット領域とを備える、コネクタアセンブリ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本出願は、2020年11月2日に出願された米国特許仮出願第63/108,451号の優先権を主張するものであり、その全体が参照として本明細書に組み込まれる。
【0002】
(発明の分野)
本開示は、モジュールを電磁干渉(EMI)から保護するためのコネクタアセンブリの分野に関し、より具体的には、これらのコネクタアセンブリのケージ構成要素を通る空気流を改善するための構造に関する。
【背景技術】
【0003】
図1及び
図2に示すようなコネクタアセンブリが知られている。コネクタアセンブリは、ポートを画定する壁を有するケージを含み、ポートと位置合わせされた1つ以上のカードスロットを有するケージ内に配置されたコネクタを含む。コネクタアセンブリは、図示のような積層設計であり得、(各ポートと位置合わせされた対応するカードスロットと共に)鉛直に積層された2つのポートを有し得、又は単一ポート設計であり得る。動作時に、モジュールはポートに挿入され、コネクタと嵌合する。ケージは、モジュールを支持するのに役立ち、EMI遮蔽も提供する。
【0004】
高速データ伝送中、特に電気光学モジュールなどのアクティブと考えられるモジュールの場合、モジュールは熱エネルギーを生成することが知られている。過剰な熱エネルギーは、モジュール内に設けられた電子部品の動作に有害であり得る。最高レベルのEMI保護は、接地面に結合された連続的な金属壁で形成されたケージによって提供されるが、ケージ壁における通気孔の欠如は、空気の移動を防止し、熱エネルギーの蓄積を悪化させるだけである。熱エネルギーの蓄積を最小限にしようとする公知の従来技術の試みは、ライディングヒートシンクをケージに取り付けること、及び/又はヒートシンクをモジュール自体の露出した外面に取り付けることを含む。排気孔は、ケージの前部及び後部に形成されてもよいが、この領域は、通常、モジュール内の熱エネルギー生成領域に近接していない。
【発明の概要】
【0005】
本開示は、コネクタアセンブリの標準ケージに組み込まれ、ケージの外部領域からケージの内部に空気流を向け直すために使用されてもよいエアスクープ構造を説明し、それにより、空気は、挿入されたモジュールの表面にわたって通過し、生成された熱エネルギーをモジュールから離れるように向ける。改善された空気流を有する開示されるケージは、ケージ及び関連付けられるエアスクープ構造として定義されてもよい。ケージは、挿入されたモジュールを受け入れて支持するように構成されるポートを協働して画定する、一対の対向する側壁と、上壁と、典型的には底壁とを含む。ケージ内に配置されたコネクタは、モジュールがコネクタカードスロットに挿入されて嵌合するように、ポートと位置合わせされたカードスロットを含む。エアスクープ構造が、ケージの少なくとも1つの側壁の外面に沿って形成され、空気が挿入されたモジュールの少なくとも1つの表面にわたって流れ、それによってモジュールからの熱エネルギーの除去を容易にするように、空気流をケージの内部容積内に向け直すように配向される。
【0006】
一実施形態では、エアスクープ構造は、ケージの側壁の画定された部分に沿って形成された複数セットのエアスクープを含んでもよい。エアスクープは、ケージ内に挿入された識別された熱エネルギー生成モジュールに比較的近接するように配置されてもよい。個々のエアスクープの数及びそれらの配置パターンは変更することができる。
【0007】
ケージの内部に向け直され、挿入された電子部品を通過する空気のための経路を生成するために、本開示による種々の構成のエアスクープ構造が使用されてもよい。例えば、エアスクープ構造は、空気移送チャネルを生成するための開口部を含む突出ディンプルの形態をとってもよい。他の構造は、ケージの側壁材料の厚さを通して形成される通気孔と、通気孔を覆って配置される空気捕捉要素との組み合わせを備えてもよい。実際に、代表的な実施形態は、EMI準拠空気孔(すなわち、接地構造の必要なEMI遮蔽特性を著しく劣化させない比較的小さい孔)を含むように形成された従来技術のケージ構成の外面に取り付けられた延長長さの空気ダイバータの使用を含む。
【0008】
上述のケージに加えて、本開示の一実施形態は、コネクタを収容し、モジュールがケージに挿入されたときにモジュールの一部にわたる空気流路を提供するためのコネクタアセンブリに関する。この実施形態では、コネクタアセンブリは、ケージ及びエアスクープ構造を含んでもよく、ケージは、挿入されたモジュールを受け入れて支持するように構成されたポートを協働して画定する一対の対向する側壁及び上壁を含んでもよい。動作時に、モジュールがケージ内に配置されたコネクタと嵌合するように、モジュールをポート内に挿入することができる。開示されたエアスクープ構造は、ポートに隣接する位置で少なくとも1つの側壁の外面に沿って形成され、挿入されたモジュールの少なくとも1つの表面にわたって流れ、モジュールからの熱エネルギーの除去を容易にするように、空気流をケージの内部に向け直すように配向されてもよい。
【0009】
更に、本開示の別の実施形態は、2つの別個のポートを画定するように形成されたケージを備えるコネクタアセンブリの形態をとってもよく、各ポートは別個のモジュールを受け入れるためのものである。この実施形態では、関連付けられるエアスクープ構造は、少なくとも、第1のポートに隣接して配置された第1のセットのエアスクープと、第2のポートに隣接して配置された第2のセットのエアスクープとを含み、各ポートに挿入されたモジュールにわたる空気流を提供してもよい。
【0010】
マルチポートケージ及びコネクタアセンブリの代替実施形態は、ケージ壁とコネクタとの間に空気が流れることを可能にする追加の排気機構が取り付けられるケージオフセットを更に備えてもよい。
【0011】
本開示の別のコネクタアセンブリの実施形態は、コネクタがケージ内に配置された状態で、他の実施形態のいずれかと同様のケージの形態をとってもよい。このコネクタアセンブリの実施形態は、コネクタが配置される領域において各ケージ側壁に沿って形成されたオフセットを含むことによって改善された排気換気を示し、オフセットは、側壁とコネクタハウジングとの間に間隙を生成し、コネクタアセンブリを通る空気流を改善する。この実施形態の代替形態は、側壁オフセットを有する開示されたエアスクープ配置のいずれかを利用してもよい。
【0012】
上記の特徴及び利点並びにその他の事項は、以下の詳細な説明及び添付の図面から明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0013】
本開示は、例として示され、添付図面に限定されるものではなく、ここにおいて、同様の参照番号は同様の要素を指す。
【0014】
【
図1】典型的な従来技術のケージアセンブリを示す。
【
図2】別の典型的な従来技術のケージアセンブリを示す。
【
図3】挿入されたモジュールの熱エネルギー生成領域に近接するケージ側壁の領域内に形成されたエアスクープ構造を含むケージの斜視側面図である。
【
図4】
図3の一部の拡大図であり、空気捕捉要素によって覆われた通気孔を含むようなエアスクープ構造の代表的な構成を示す。
【
図5】ケージの側壁の拡大側面図であり、別の代表的なタイプのエアスクープ構造を示し、この場合、空気移送チャネルを形成するための開口部を含むように形成された複数の突出ディンプルを備える。
【
図6】代表的なケージの上面図の簡略図であり、
図4に示されるような空気捕捉要素の2つの異なる幾何学形状を図示し、ある場合には、通気孔と重なり合わない配置を示し、別の場合には、通気孔と重複する配置を示し、重なり合う配置は、特定の周波数において追加のEMI遮蔽を提供するように形成されてもよい。
【
図7】モジュールの積層配置を支持するための一対の積層ポートを含むように構成された代表的なケージの斜視側面図であり、上部ポート位置及び下部ポート位置の両方に近接した各ケージ側壁上のエアスクープ形状部を包むことを示す。
【
図8】
図7のケージの一部として使用されてもよい代表的なエアスクープ形状部の拡大図である。
【
図9】EMI準拠空気孔を含むが、エアスクープを含まないように形成されたケージの簡略斜視図である。
【
図10】
図9の従来技術の構成を修正することによって、開示されたエアスクープ構造を含むように形成された代表的なケージの簡略斜視図であり、この場合、EMI準拠空気孔の各グループにわたる空気ダイバータを提供することを含む。
【
図11】
図10の配置で使用される代表的な空気ダイバータの拡大図であり、特に、空気孔の配置全体にわたって延びる長さLの上部プレートの使用することを示す。
【
図12】10に示すような空気ダイバータを含むように形成された代表的なケージの斜視側面図であり、この代表的な実施形態は、モジュールを支持するための一対のポートと、2つのポートの間に形成された空気移送チャネルと、装置からの熱エネルギーの除去を更に容易にするために上部モジュールの上に配置されたヒートシンクとを含むことを示す。
【
図13】
図12の代表的な実施形態の簡略上面図であり、この場合、ケージの側壁上の空気ダイバータの互い違いの配置の例を示す。
【
図14】
図12の互い違いに配置された空気ダイバータを含むケージの連動配置の簡略上面図であり、ダイバータの位置を互い違いにすることによってダイバータの深さを増加させ、及び/又はケージ間の間隔を減少させる能力を示す。
【
図15】ケージ側壁の選択された部分に沿って形成された隆起ポケット領域を含む代表的なケージの斜視側面図であり、開示されたエアスクープ構造がポケット領域内に形成されている。
【
図16】本開示の原理による、空気流を提供するための突出ディンプル及び小さい通気孔の使用を示す、1つの代表的な隆起ポケット領域の拡大図である。
【
図17】隆起ポケット領域の代替実施形態の拡大図であり、この場合、いくつかの空気ダイバータの形態のエアスクープ構造、並びに
図16のものと同様のセットの小さい通気孔を含む。
【
図18】熱伝送の改善を示すケージ上面の温度プロットを含み、
図18(a)は、
図9の従来技術のケージに関連付けられる表面プロットであり、
図18(b)は、
図10に示すように形成されたケージに関連付けられる表面プロットである。
【
図19A】温度値を取ることができる場所の位置を示すモジュールの概略図である。
【
図19B】従来技術のケージ構成と
図3のケージ構成との間の熱性能の比較を提供する、
図19Aに示された点で取られた温度に関連付けられるデータの表である。
【
図20】
図14に示すように、互い違いに配置された空気ダイバータを含むように各ケージが形成された、連動配置で配置された3つのケージのセットについての空気流の表面プロットである。
【
図21】同様のセットの連動ケージの空気流の表面プロットであり、この場合、
図15に示すように、空気ダイバータを有する追加のポケットを含むように形成されている。
【
図22】一対の空気流表面プロットを含み、
図22(a)の表面プロットは、従来技術のコネクタアセンブリに関連付けられ、コネクタハウジングがケージ側壁に対して本質的に配置される位置における空気流遮蔽(すなわち、「チョークポイント」)の位置を示し、
図22(b)の表面プロットは、本開示によって形成されたコネクタアセンブリに関連付けられ、側壁とハウジングとの間に間隙を生成するためにコネクタハウジングの領域においてケージ側壁内にオフセットを含み、排気経路に沿った空気流を改善する。
【
図23】側壁オフセットを含むように形成された代表的コネクタアセンブリの等角側面図であり、オフセットは、いくつかの通気孔を含むように形成されている。
【
図24】
図23のコネクタアセンブリの別の等角側面図であり、この場合、アセンブリの後部が図の前部に配置されている。
【
図25】
図23のコネクタアセンブリの断面図であり、特に、コネクタ自体の個々の構成要素と、側壁オフセットによって提供されるコネクタハウジングとケージとの間の間隔の増加とを示す。
【
図26】
図25の一部の拡大図であり、コネクタハウジングの近傍の各側壁に沿って生成された追加の間隙dを示す。
【
図27】一対の側壁オフセットを含むように形成されたケージの別の構成の等角側面図である。
【
図28】側壁オフセットを含むことに起因する(典型的にはミリメートル(mm)で測定される)オフセットdを示す、
図27のケージの背面から見た図である。
【
図29】間隙サイズdの関数として、積層ポート配置における下部ポートに関連付けられる熱的改善を示すプロットである。
【
図30】側壁オフセットを含む別のコネクタアセンブリの等角図であり、この場合、オフセットは中実プレートである(すなわち、「閉鎖」され、側部空気孔がない)。
【発明を実施するための形態】
【0015】
例示及び説明の両方における簡潔さ及び明瞭さは、当業者が、当該技術分野において既に知られているものを考慮して、本明細書で開示される実施形態での製造、使用、及び最良の実施を効果的に可能にすることが求められている。当業者であれば、本開示の趣旨及び範囲から逸脱することなく、本明細書に記載される特定の実施形態に種々の修正及び変更がなされ得ることを理解するであろう。したがって、本明細書及び図面は、限定的又は包括的ではなく説明的かつ代表的であると見なされるべきであり、本明細書に記載される特定の実施形態に対するこのような全ての修正は、本開示の範囲内に含まれることを意図している。更に、以下の詳細な説明は、代表的な実施形態を説明し、明示的に開示された組み合わせ(複数可)に限定されることを意図するものではないことを、理解されたい。したがって、特に明記されない限り、本明細書で開示される特徴は、簡潔にする目的で別様に説明又は示されなかった追加の組み合わせを形成するために、一緒に組み合わされてもよい。更に、本発明で使用する場合、用語「実施形態」又は「代表的な」とは、本開示の範囲内に含まれる実施例を意味する。
【0016】
図3は、GHz伝送速度をサポートするために必要とされるレベルのEMI遮蔽を依然として提供しながら、ケージを通る空気流を容易にするために本開示によって形成されるコネクタアセンブリの代表的なケージ10の構成要素を示す。ケージ10のみが図示されているが、対応するコネクタアセンブリは、
図2に示されるコネクタなどのコネクタを含む。ケージ10は、部分的に囲まれた内部容積を有する逆U字形ケージを形成するように接合された上壁12及び一対の側壁14、16を有するものとして示されている。後壁18が含まれてもよく、安定性のために側壁14、16を「包み込む」可能性がある。側壁14、16は、ケージ10を回路基板1上の接地回路に接続するように、関連付けられる(任意の所望のタイプの構造によって形成することができる)回路基板1上のビア又は他の開口部内に受け入れられる準拠ピンの形態のテール部20を含んでもよい。上壁12の開口部22は、ケージ10の内部容積内に配置されたモジュールの上に位置し得るヒートシンクの配置を可能にするために含まれ、使用されてもよい。
図3の実施形態では、ケージ10の部分的に囲まれた内部容積は、上部ポート30A及び下部ポート30Bを含むように構成され、別個のモジュールが各ポート内に挿入されてもよい。
【0017】
ケージ10を通る空気の流れを容易にするために、複数のエアスクープが側壁14、16に追加され、ケージ10の外部に沿って流れる空気を、挿入されたモジュールの近傍の内部領域に向け直すために使用される。そうでなければケージ表面上を流れる空気流は、収集開口部(「スクープ」)をケージ間に通常送られる空気流内に直接押し込むことによって方向転換され、その空気流の一部をケージ内に方向転換して、ケージ内にある選択された熱生成表面上を通過させる。熱エネルギー生成モジュールの表面に沿った空気流の方向転換経路は、モジュールを効果的に冷却し、熱エネルギーをそれらの近傍から離れるように向ける機能をする。熱エネルギー伝達経路は、ケージ10の上面に配置されたヒートシンク、後壁18に形成された排気孔、又は当技術分野で周知の任意の他の適切な配置を含んでもよい。
図3に示す特定の構成では、複数のエアスクープ40が、挿入されたモジュール(図示せず)に近接する可能性が高い側壁14、16の選択された領域に形成されているものとして示されている。エアスクープ40は、それらの(例えば、
図4に詳細に示される)開放面46がケージ10の局所環境内の周囲空気(又は他のガス)の流れを捕捉する方向に配置されるように配向される。したがって、この配向に基づいて、エアスクープ40は、側壁14、16の外面にわたって流れる空気を方向転換し、挿入されたモジュールからの熱エネルギー伝達を容易にするために空気流を内向きに向け直し、その後、ヒートシンク及び/又は排気孔(含まれる場合)を介して外向きに向けるために使用されてもよい。挿入されたモジュールの熱エネルギー生成部分の近傍にエアスクープ40を配置することは、モジュールからの効率的な熱エネルギー伝達のために好ましい可能性があることが分かっている。
【0018】
図3に示す代表的な実施形態では、第1のグループのエアスクープ40aは、ケージ10の上部ポート30A内に挿入されるモジュールに隣接するように、側壁14の上部領域に沿って配置されてもよい。第2のグループのエアスクープ40bは、下部ポート30B内に挿入される別のモジュールに隣接するように、側壁14の下部領域に沿って配置されてもよい。同様に、第3のグループのエアスクープ40cは、上部ポート30Aの領域において、対向する側壁16に沿って配置されてもよい。
図3の図では明らかではないが、第4のグループのエアスクープ40dは、下部ポート30Bの領域において側壁16に沿って配置されてもよい。
【0019】
図4は、ケージ10の上部ポート30A領域に隣接する側壁14の一部に形成されたエアスクープ40aの拡大図である。矢印は、エアスクープの存在による側壁14の外部からその内部に空気流を向け直すことを示すために含まれている。
図4に示す実施形態では、各エアスクープ40は、側壁14の厚さを貫通する開口部として形成された通気孔42を含む。空気捕捉部材44が通気孔42の上に配置されており、空気捕捉部材44の開放面46は、ケージ10に沿って流れる空気の一部が方向転換されてケージ10の囲まれた内部容積に向けられるように配向されている。各セットに含まれる個々のエアスクープの数は、側壁14の表面上のエアスクープの特定の分布パターンと同様に、設計上の選択の問題と考えられる。
【0020】
図4に示されるようなエアスクープ40の特定の構成は、本開示によって形成されるエアスクープ構造の一実施形態にすぎないと考えられる。例えば、
図5は、開示された空気流構造として使用され、ケージ側壁14、16上に含まれて、エアスクープ40と同様に空気流を向け直してもよい複数の突出ディンプル50を示す。各ディンプル50は、丸みを帯びた突出部の一部を貫通して形成された開口部52を含み、関連付けられるケージ内への空気チャネルを提供する。ディンプル50は、側壁14、16を形成するために使用される導電性シート材料に対して周知の機械加工作業を使用して形成されてもよく、開口部52の位置及びサイズは同様のプロセスで制御される。この場合も、任意の特定のケージに使用される突出ディンプル50のサイズ、数及びパターンは、用途固有の設計選択と考えられる。
【0021】
また、開示されたエアスクープ構造を、特定の周波数で更なる程度のEMIフィルタリングを提供するように構成することも可能である。この概念を説明するために
図6を参照する。特に、
図6は、ケージ10の上面図であり、簡略化された概略的な形態で示されており、エアスクープ40が縮尺通りに示されていない。この例では、第1のエアスクープ40-1が側壁14内に形成され、第2のエアスクープ40-2が側壁16内に形成される。エアスクープ40-1は、空気捕捉部材44-1と通気孔42-1との間に単純な重なり合わない幾何学形状を有するものとして示されている。重なり合わない幾何学形状は、空気捕捉部材44-1の前縁部44e1と通気孔42-1の前縁部42e1との間の間隙gによって画定される。この露出した空気孔の存在は、当技術分野で知られているように、EMI遮蔽の強度をいくぶん低下させる可能性がある。対照的に、側壁16上に形成されるようなエアスクープ40-2は、重なり合う幾何学形状を示すように構成される。ここで、空気捕捉部材44-2の前縁部44e-2は、通気孔ホール42-2の前縁部42e-2と量dだけ重なり合うように延びている。重なり合う距離dは、導電性境界シート金属表面16及び導電性スクープ表面44-2で形成される導波管カットオフフィルタを確立する。重なり合うスクープフィルタの減衰レベルは、重なり合う距離dに比例して増加される。重なり合うスクープフィルタの下側カットオフ周波数は、スクープ口の最大開口サイズによって設定される。このようにして、カットオフ周波数は、開口部又はスクープ開口部の最大高さ又は幅が、入射電磁界の半波長にほぼ等しいときに発生する。したがって、通気孔42-2は、空気捕捉部材44-2によって生成される表面積と組み合わせて重なりdによって画定されるEMIフィルタを画定し、生成するのに役立つ。
【0022】
図7は、別の代表的なケージ10Aの等角側面図であり、ケージ10Aは、挿入されたモジュールからの熱エネルギー伝達を改善するようにケージを通る空気流を促進するために、本開示によって形成されたエアスクープ構造を含む。
図3のケージ10と同様に、ケージ10Aは、上壁12、側壁14、16、及び(おそらく)後壁18を含む。更に、ケージ10Aは、他の壁に接続されて開放面24を有するエンクロージャを形成するベース壁19を含む。ベース壁19はまた、支持基板(回路基板など、図示せず)上の接地構造内に延びるテール部20を含んでもよい。ケージ10と同様に、ケージ10Aは、モジュールの積層を支持するように形成されてもよく、この場合、上部ポート30A及び下部ポート30Bを含むものとして示されている。この特定の実施形態では、ケージ10Aは、上部ポート30Aと下部ポート30Bとの間に配置された空気移送チャネル構造32を含むように形成されてもよい。チャネル構造32は、開放面24から後壁18に向かって上部ポート30Aと下部ポート30Bとの間の境界面に沿って空気流を補助するために、当技術分野で周知の種々のタイプの熱チャネルを備えてもよい。
【0023】
図7の配置は、ケージ10Aが回路基板に取り付けられ、ベベル又はカバープレート(図示せず)がケージ10Aに取り付けられるときに、開放面24を取り囲み、追加のEMI保護を提供するガスケット34も含んでもよい。ケージ10Aのこの側面図では、上部ポート30A内に配置され得るモジュールに隣接するように、側壁16内に形成され、側壁16の上部部分内に配置される可能性があるような1セットのエアスクープ40cの可能な位置が明らかである。追加のセットのエアスクープ40dが同様に側壁16の下側部分内に形成され、空気流を下部ポート30Bに向けるように配置される。
図7に示すスクープ40は、
図8に拡大して示されており、
図4に示すように形成されてもよく、通気孔42及び空気捕捉部材44を備え、空気捕捉部材44の開放面46は、側壁16の外面に沿って通過する空気を収集し、空気をポート30に向けて、挿入されたモジュールに沿って流れ、熱エネルギーをモジュールから離れるように向けるように配置されている。所望であれば、突出ディンプル50などのスクープ形状部、又は任意の他の適切なタイプの空気流方向転換要素を代替空気流構造として使用してもよい。
【0024】
更に本開示によれば、既存のケージを修正して、開示されたエアスクープ構造を組み込み、挿入されたモジュールからの熱エネルギー伝達を改善することも可能である。
図9は、この場合、上壁52(ヒートシンクを配置するための開口部53を有する)と、一対の側壁54、56と、ベース壁58とを含むように形成される、スクープの設置前のケージ構成50の簡略図であり、組み合わせは、1つ以上のモジュールを収容するために使用されてもよい部分的に囲まれた内部容積を画定する。この配置における熱管理は、各側壁54及び56に沿って形成されたEMI準拠空気孔60のセットによって提供される。
図9には、直線配置に配置された3セットの空気孔60a、60b、60cが示されている。(ケージ構成50を形成するために使用される導電性の材料内に切り欠きをスタンピングすることによって形成されてもよい)空気孔60を含むことは、いくらかの周囲熱エネルギーが「逃げる」ことを可能にし得るが、更なる熱エネルギー伝達を促進し得る動的な流れは生成されない。
【0025】
図10は、動的な空気流能力を提供するために
図9に示された構造を修正するケージ70を示す。図示されているように、ケージ70は、通過する空気が捕捉され得、ケージ構成70の外部から部分的に囲まれた内部容積領域に、上述したのと同様の方法で向けられるように、EMI準拠空気孔60の上に配置された1セットの空気ダイバータ72を含むように形成されている。一実施形態では、空気ダイバータ72は、スポット溶接、接着剤の使用、又は空気ダイバータをケージに取り付けてケージの熱特性を改善するための他の手法などの所望の技法によってケージの側部に取り付けられてもよい。代表的な実施形態では、個々の空気ダイバータ72iは、空気孔60の直線状のセットにわたってまたがるようにサイズ決めされてもよく、空気流がケージ70の外部から空気孔60のセット全体を通って効率的に向け直すことを可能にする。
図11に示すように、代表的な空気ダイバータ72は、上部プレート71、側部プレート73及び75、並びに後部プレート77を含むように形成されてもよい。上述したように、上部プレート71は、直線構成(
図9参照)で示されるように、空気孔60のセット全体にまたがるのに十分な長さLを有していてもよい。空気ダイバータ72が開放面74を含む限り、ケージ側壁に沿って通過する任意の空気流は、空気ダイバータ72によって捕捉され、空気孔60を通して向けられ、動的な熱エネルギー伝達を提供してもよい。
【0026】
図10に示す特定の実施形態は、
図9に示す設計に基づいており、空気ダイバータ72が側壁52、54に取り付けられ、別個のエアスクープ72iが空気孔60の関連付けられる直線状のセットの上に配置されるように配置されている。
図9及び
図10の両方を見ると、第1の空気ダイバータ72aが側壁56に取り付けられ、第1のセットの空気孔60aの上にまたがるように配置されている。同様に、第2の空気ダイバータ72bは、第2のセットの空気孔60bを覆うように側壁56に取り付けられ、第3の空気ダイバータ72cは、空気孔60cを覆うように取り付けられる。この図には示されていないが、追加のセットの空気ダイバータ72d、72e、及び72fを、対向する側壁52に取り付け、同様のセットの空気孔60の上に配置することができる。したがって、ケージは、熱性能を改善するように適合された片側又は両側を有することができる。
【0027】
図12は、上述のような空気ダイバータ72を含むケージ70Aの特定の実施形態を示す。この実施形態では、ケージ70Aは、空気移送チャネル32によって分離された上部ポート30A及び下部ポート30Bを含むように形成される。また、ここでは、ケージ70Aの上壁52の開口部53内に配置され、構造のための効率的熱エネルギー伝達経路を提供してもよい、典型的なヒートシンク構造80も示される。
図13は、
図12の配置の上面図であり、ケージを通る空気流を強化し、1つのケージからのダイバータが第2の隣接するケージ内のダイバータと干渉状態になることなく、同様のケージが互いに隣接して取り付けられることを可能にするように、空気孔60/ダイバータ72の位置が一方の側壁に沿って他方に対して「互い違い」(すなわち、オフセット)であってもよい本開示の代表的な実施形態を示す。特に、空気ダイバータ72d(側壁54に沿って形成される)は、側壁56に沿った空気ダイバータ72aの場所に対してオフセットされるように配置されるように示される。下にある空気孔60d及び60aも同様にオフセットされていることが理解されるべきである。同様に、空気ダイバータ72eは空気ダイバータ72bに対してオフセットされている。理解され得るように、2つの隣接するケージ間の特定の距離に対して、互い違いの空気ダイバータ72の使用は、浅い要素よりも多くの空気流を捕捉する、より深いダイバータの使用を可能にする。
図14は、並列配置で配置された3つのそのようなケージ70A-1、70A-2、及び70A-3のセットの上面図である。ケージのそのような並列配置は、当技術分野で周知であり、増加した数のコネクタが有用であるボックス(スイッチ及びサーバなど)において一般に使用される。各ケージの対向する側壁54、56上の空気ダイバータ72の位置を互い違いにすることによって、1つのケージ上の空気ダイバータはまた、隣接するケージの側壁上の空気ダイバータからオフセットされ、その結果、ケージ自体は、それらのそれぞれのエアスクープ構造が物理的に接触することなく、互いに比較的近くに配置されてもよい。更に、上述したように、互い違いの配置は、比較的深いダイバータ72を利用することを可能にする。
図14を参照すると、隣接するケージが間隔xだけ離れていると仮定すると、ダイバータ72は、(それらの位置が互い違いである限り)x/2よりわずかに大きい高さを有するように形成されてもよい。
【0028】
挿入されたモジュールに沿った空気流を改善するように構成されたケージの別の実施形態が
図15に示されている。図示のように、ケージ90は、側壁94、96の構造内に組み込まれた1セットの隆起ポケット92を含むように形成される。第1の対のポケット92a、92bは、側壁94に沿って形成されているように示されており、第2の対のポケット92c、92dは、対向する側壁96に沿って形成されている。ここで、各ポケット92は、好ましくは挿入されたモジュールに隣接する側壁の一部に沿って、ケージ90によって囲まれた内部容積をわずかに増加させるように機能する、それぞれの側壁の隆起した細長い部分を備える。複数のエアスクープ構造98が、各隆起ポケット92の外面領域に沿って形成され、上述したのと同じ方法でケージ90の外部から内部へ空気流を向け直す。隆起ポケット92を含むことにより、側壁外面の残りの部分の上に高さhを有するものとして
図16に示される外向きに突出するポケット縁部92eが生成され、「スクープされた」空気の体積が増加し、したがって挿入されたモジュールからの熱エネルギー伝達の効率が増加する。
【0029】
図16及び
図17は、ポケット92の外面上に含まれてもよいエアスクープ構造98の種々の代表的な構成を示す(任意の適切なタイプのエアスクープ構造設計が使用される可能性があることを理解されたい)。例えば、
図16は、
図5に示すような突出ディンプル50と同様の形状の1セットのエアスクープ構造98aを示す。
図16のこの特定の実施形態では、ポケット92aの前縁部92eに沿って形成された比較的小さな通気孔98bの追加のセットが示されている。これらの通気孔は、関連付けられるケージの外部から内部に向け直される空気の体積を更に増加させるために使用されてもよい。
図17を参照すると、隆起ポケット92bは、小さな通気孔98bと、
図10に関連して上述したダイバータ72と同様の一対の延長空気ダイバータ98cとを備えるエアスクープ構造を含むものとして示されている。必要に応じて、ポケット92はまた、空気がポケット92から流出することを可能にする後部通気孔を含むことができる。
【0030】
性能データに関して、
図18(a)、
図18(b)は、ケージの上面にわたる温度分布を示す一対のヒートマップを含む。
図18(a)のヒートマップは、従来技術のコネクタアセンブリに関連付けられており、その表面にわたる選択された位置における温度は135℃以上である。比較すると、
図18(b)のヒートマップは、
図7の空気流構造(例えば、側壁空気孔のセットの上に追加されたダイバータ)を含むように構成されたケージに関連付けられている。これらのヒートマップの比較から、空気流の改善がこれらの同じ表面積で温度を低下させることが明らかである。これらのヒートマップに関するデータは、
図19の表Iに含まれている。
【0031】
図14に示されるように、連動ケージのセットと関連付けられる空気ダイバータの互い違いの構成は、下部ポート30Bの熱性能を0.6℃改善することを示すことが分かった。
図20は、
図14のこの実施形態にわたる空気流の図であり、特に、空気ダイバータの互い違いの配置を含むことによって生成される空気速度(m/s)の差を示す。
【0032】
図15に関連して上述したように、ディンプルを組み込むことにより、ケージの熱性能が更に改善することが分かっている。
図21は、(
図20の実施形態と形態が同様である)
図15の実施形態を通る空気流の図であり、差はディンプル形状の組み込みである。スクープと共にディンプルを追加することによって、上部ポート30Aの熱性能は更に0.3℃増加し、下部ポート30Bの熱性能は0.7℃増加する。
【0033】
上述したような種々のスクープ構成は、
図19B~
図21に示す結果によって明らかなように、熱性能の改善をもたらすが、積層配置の下部ポートにポート冷却を提供することは、依然として重要な課題である。特に、ケージの側壁とコネクタハウジングとの間の間隔の欠如は、この点を越える空気流を遮蔽することが分かっている。
【0034】
本開示の別の実施形態によれば、コネクタハウジングの領域におけるケージの側壁は、コネクタハウジングと側壁との間の内部間隔を拡大するように、この位置でケージの幅をわずかに(例えば、数mmだけ)延長する1つ以上のオフセットを含むように修正される。
【0035】
図22は、オフセットの使用に関連付けられる改善を示す一対の空気流速度マップを含む。
図22(a)は、ポート入口からコネクタアセンブリに沿って、コネクタを通過し、次いで、後壁に沿って出る、空気流を図示する。一対の「チョークポイント」Cが、コネクタハウジングがケージ側壁に本質的に隣接する領域に生成されるものとして示されている。したがって、これらのチョークポイントの存在は、空気流を妨げる。
図22(b)は、コネクタハウジングの近傍でケージの側壁に沿って一対のオフセット100を含むことによって見出される空気流の改善を示す。以下に詳細に説明されるように、オフセット100(通気孔を含むように形成されてもよい)は、コネクタハウジングの領域においてケージの幅をわずかに延びる(各オフセットは、各側に「d」の間隙を追加する)。
【0036】
図23及び
図24は、一対のオフセット100を含むように形成された代表的なコネクタアセンブリの等角側面図であり、
図23は、アセンブリのコネクタ部分220を図の背面にした側面図を示し、
図24は、コネクタ部分220を図の正面にした側面図を示す。コネクタアセンブリは、上述の方法で形成されたケージ200を含み、一対の対向する側壁210、212を備えるものとして画定される。一対のポート214A、214Bは各々、関連付けられるモジュールを受け入れる。後壁216(それを通して、関連付けられるコネクタが、コネクタアセンブリ内の定位置に配置される)は、いくらかの空気流を可能にするいくつかの通気孔を含むものとして示されるが、オフセット100を含まない場合、(この図では明らかではない)コネクタハウジングと側壁210、212との間のピンチ点は、問題のままである。
【0037】
したがって、更に本開示によれば、側壁210、212とコネクタハウジングとの間の間隔を増加させるように機能する側壁オフセット100を有する上述のケージ構成を補うことが提案される。いくつかの実施形態では、オフセット100は、排気がコネクタアセンブリを通って移動するための追加の経路を提供するために、通気孔110及び開口部112を含むように形成されてもよい。
【0038】
図25は、ケージ200内のコネクタ部分220の配置、並びにオフセット100-1、100-2とコネクタ部分220との間の関係をより良く示す、
図23の等角側面図の断面図である。特に、オフセット100-1、100-2は、それぞれケージ側壁210、212に沿って配置されるように示されており、コネクタハウジング222が配置される領域においてケージ200を広げるように機能する。特に、オフセット100-1は、コネクタハウジング222の側部224とケージ側壁210との間の間隙の間隔を増加させるように配置される。同様に、オフセット100-2は、コネクタハウジング222の側部226とケージ側壁212との間の間隙の間隔を増加させるように配置される。
図26は、
図25の一部の拡大図であり、コネクタハウジング222の側部224、226とオフセット100-100-2との相対位置をより良く示している。オフセット100は、一対の元のケージ側壁に生成された開口部を覆うように、(接着剤又はスポット溶接又は他の所望の取付け手法によって)ケージに取り付けされてもよいことを理解されたい。或いは、ケージ側壁は、ケージアセンブリの長さに沿った適切な位置にこれらのオフセットを含むように最初から製造されてもよい。
【0039】
図27は、オフセット100Aを含むように形成されたケージ200A(図の前方に向かって後壁216を示す)の等角側面図である。上述した配置と同様に、オフセット100Aは、ケージ200Aの組み立て後にケージ200Aに追加されてもよく、又は製造時に側壁210、212に直接形成されてもよい。ここでも、排気が流れるための追加の経路を提供するために、通気孔110、112をオフセット100A内に含んでもよい。
図28は、ケージ200Aの端面図であり、特に、この図において、オフセットの追加によって提供されるオフセット「d」の量を示す。実際に、コネクタアセンブリの下部ポート領域の熱性能は、オフセット寸法の増加と共に増加することが分かっている。
図29は、熱性能を典型的に監視する3つの重要な位置(すなわち、「ノーズ」、「ホットスポット」、及び「ヒートシンクベース」)における、「d」の関数としての熱性能改善のプロットを含む。理解され得るように、「d」を増加させることは、性能の増加を可能にするが、当然ながら、十分な密度の接続が存在することを確実にするために、隣接するケージを互いに接近して配置されるという要望によって制限される。結果として、1.5mmを超えるdを有することが所望であることは稀であり、多くの実施形態では、dは0.5~1.5mmの範囲内であり得る。結果として、オフセットは、ケージと内部コネクタとの間に、0.5mmの間隙を提供するか、又は1.0mmの間隙若しくは1.5mmの間隙若しくは更に大きい間隙を提供するオフセットを提供するように構成されることができる。
【0040】
図30は、ケージ200B及びコネクタ部分220を備えるコネクタアセンブリの等角側面図を含む(関連付けられるモジュール300がこの図に挿入されて示されている)。この実施形態では、コネクタ部分220の内部構造とケージ200Bの側壁210、212との間の間隙の間隔を増加させるために、一対のオフセット100Bが含まれる。
図27の実施形態とは対照的に、オフセット100Bは、側部に通気孔を有さない中実プレートとして形成され、図示されるように、任意選択の開口部112のみを含んでもよい。オフセット100Bの提供は、コネクタ部分220とケージ側壁210、212との間の間隔の所望の増加を提供し、中実プレートの使用は、構造のEMI遮蔽能力を改善させると考えられる。したがって、特定の用途に応じて、(例えば、非常に高い周波数動作において)中実オフセットを使用することが好ましい可能性がある。通気孔の使用(並びにそれらの寸法、配置など)と中実プレートの使用との間のトレードオフは、設計上の選択であると考えられる。
【0041】
本開示のケージアセンブリは、ケージ構成の側壁上に形成されたスクープ形状部を通る空気流によって、囲まれたモジュールのための熱エネルギー放散を提供することが分かる。更に、オフセットを使用してコネクタとケージとの間のチョークポイントを低下することによって、熱放散を改善することができる。当然ながら、両方の特徴を必要に応じて組み合わせることができる。
【0042】
例えば、コネクタアセンブリは、スクープ及びオフセットを有するケージを含むことができる。このような実施形態では、スクープはケージの片側又は両側にあってもよく、必要に応じて互い違いに配置されてもよい。オフセットは、通気されるか、又は中実の場所であってもよく、ケージの片側又は両側にあってもよい。コネクタアセンブリの設計に応じて、スクープは、上部ポートと比較して下部ポートの性能を正規化するのに役立てるために下部ポートにのみ設けられてもよく、又は上部ポート及び下部ポートに設けられてもよい。当然ながら、性能をバランスさせる別の方法は、上部ポートよりも下部ポートにより多くのスクープ形状部を使用することである。
【0043】
本開示の好ましい実施形態が示され、説明されるが、当業者は、前述の説明及び添付の特許請求の範囲の趣旨及び範囲から逸脱することなく、種々の修正を考案する可能性があることが想定される。
【0044】
本明細書で提供される開示は、その好ましい実施形態及び例示的な実施形態の観点から特徴を説明する。当業者には、添付の特許請求の範囲及び趣旨内での多くの他の実施形態、修正、及び変形が、本開示を検討することにより想起されるであろう。
【0045】
前述の説明は、本開示の電気コネクタアセンブリの実施例を提供するものであることが、理解されるであろう。しかしながら、本開示のその他の実装形態は、前述の実施例とは詳細が異なり得ることが企図される。本開示又はその実施例に対する全ての言及は、その時点で説明されている特定の実施例について言及することを意図しており、より一般的に、本開示の範囲に関して何らかの限定を示唆する意図はない。本明細書における値の範囲の記述は、本明細書に別段の記載がない限り、単に、範囲内にある各別個の値を個々に言及する簡略化法として機能することが意図され、各別個の値は、それが本明細書に個々に記述されたかのように明細書に組み込まれる。
【0046】
したがって、本開示は、適用法によって許容されるように、本明細書に添付された特許請求の範囲に記述された主題の全ての修正物及び等価物を含む。更に、その全ての可能な変形例における上述の要素の任意の組み合わせは、本明細書に別段の記載がない限り、又は文脈に明らかな矛盾がない限り、本開示によって包含される。更に、本明細書で説明される利点は、特許請求の範囲によって包含される全ての実施形態に適用可能ではない場合がある。
【0047】
本発明の特定の実施形態に関して、利益、利点、及び解決策を上述したが、このような利益、利点、及び解決策、並びに任意の要素(複数可)であって、このような利益、利点、若しくは解決策を引き起こすか、又はこのような利益、利点、若しくは解決策を引き起こしてより顕著にする可能性がある要素は、重要で、必要であり、又は本開示に添付された、若しくは本開示に起因する、いずれか又は全ての請求項の重要な特徴若しくは要素として解釈されるべきではないことを、理解されたい。