(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-20
(45)【発行日】2025-01-06
(54)【発明の名称】塗布プロセスバイアスを補正するカラーマッチングプロセスのための方法及びシステム
(51)【国際特許分類】
G01J 3/46 20060101AFI20241223BHJP
B05D 5/06 20060101ALI20241223BHJP
B05D 3/00 20060101ALI20241223BHJP
B05C 11/10 20060101ALI20241223BHJP
【FI】
G01J3/46
B05D5/06 G
B05D3/00 D
B05C11/10
(21)【出願番号】P 2023535678
(86)(22)【出願日】2021-12-07
(86)【国際出願番号】 EP2021084675
(87)【国際公開番号】W WO2022122775
(87)【国際公開日】2022-06-16
【審査請求日】2023-08-23
(32)【優先日】2020-12-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】390008981
【氏名又は名称】ビーエーエスエフ コーティングス ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
【氏名又は名称原語表記】BASF Coatings GmbH
【住所又は居所原語表記】Glasuritstrasse 1, D-48165 Muenster,Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100100354
【氏名又は名称】江藤 聡明
(74)【代理人】
【識別番号】100167106
【氏名又は名称】倉脇 明子
(74)【代理人】
【識別番号】100194135
【氏名又は名称】山口 修
(74)【代理人】
【識別番号】100206069
【氏名又は名称】稲垣 謙司
(74)【代理人】
【識別番号】100185915
【氏名又は名称】長山 弘典
(72)【発明者】
【氏名】ビショフ,グイド
(72)【発明者】
【氏名】シュトイフメール,フロリアン
【審査官】井上 徹
(56)【参考文献】
【文献】特表2010-528284(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2016/0313294(US,A1)
【文献】米国特許第4887217(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01J 3/00- 4/04
G01J 7/00- 9/04
B05D 1/00- 7/26
B05C 1/00-21/00
B05B 12/00
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
カラーマッチングプロセスのためのコンピュータ実装方法であって、サンプル塗料コーティング(301)について塗布プロセスバイアス(115、354)が除去されたオフセット(310)が決定され、前記カラーマッチングプロセスは、少なくとも1つのコンピュータプロセッサ(210)上に実装され実行される色予測モデル(240)と、個々の色成分の特定の光学データを含むデータベース(220)とを使用し、前記個々の色成分の前記特定の光学データは、既知の基準色配合及び既知の測定基準色を有する既知の基準塗料コーティングに基づいて決定され、前記基準塗料コーティングは、それぞれ、基準塗装プロセスを使用して基材上に適用されるコンピュータ実装方法において、前記方法は:
A. 前記少なくとも1つのコンピュータプロセッサの少なくとも1つのインターフェース(211)を介して、マッチングすべき目標色(300)のための第1ソリューションとしてのサンプル塗料コーティング(301)の色配合(302)のデータを受信することと、
B. 前記データベース(220)から、前記サンプル塗料コーティング(301)の色配合(302)に使用された個々の色成分の特定の光学データを検索することと、
C. 前記少なくとも1つのインターフェース(211)を介して、サンプル塗装プロセスを用いて基材上に塗布されたサンプル塗料コーティング(301)の測定された色(303)を受信することと、
D. 前記少なくとも1つのコンピュータプロセッサ(210)と、前記少なくとも1つのコンピュータプロセッサ(210)上に実装され実行される数値的方法(230)とを用いて、所定の初期塗布適合パラメータのセットから開始して、所定のコスト関数を最小化することにより、前記サンプル塗装プロセスの塗布適合パラメータ(205)を計算し、前記計算された塗布適合パラメータ(205)を、入力パラメータとして、塗布適合モジュールに利用可能にすることと、
E. 前記色予測モデル(240)と、前記サンプル塗料コーティング(301)の色配合(302)のデータと、前記サンプル塗料コーティング(301)の色配合(302)に使用された個々の色成分の前記検索された特定の光学データをモデル入力パラメータとして使用して、前記サンプル塗装プロセスに対する前記サンプル塗料コーティング(301)の色(307)を予測し、前記色予測モデル(240)と連動する塗布適合モジュールによって、前記計算された塗布適合パラメータ(205)を含めることと、
F. 前記測定された色(303)と前記サンプル塗料コーティング(301)の予測された色(307)との差として前記サンプル塗料コーティングのオフセット(310)を算出することと、
を含
み、
前記所定のコスト関数は、前記サンプル塗装プロセスを用いて基材上に塗布された第2サンプル塗料コーティングの測定された色(203)と、第2サンプル塗料コーティングの予測された色との間の色距離として選択される、コンピュータ実装方法。
【請求項2】
前記色予測モデル(240)は、入力パラメータとして、前記第2サンプル塗料コーティングの色配合(202)と、前記第2サンプル塗料コーティングの色配合(202)に使用され前記データベース(220)から検索された個々の色成分の特定の光学データと、最小化の過程で得られたそれぞれの予備的な塗布適合パラメータとを用いることによって、所定の初期塗布適合パラメータのセットから開始して、前記第2サンプル塗料コーティングの色を予測するために使用され、前記塗布適合パラメータは、所定のコスト関数が所定の閾値を下回るまで、前記第2サンプル塗料コーティングの再帰的に予測された色と、前記第2サンプル塗料コーティングの測定された色(203)とを比較することによって計算される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記サンプル塗料コーティングと前記第2サンプル塗料コーティングは同じである、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記塗布適合モジュールは、特定の塗布適合パラメータの入力によって構成可能である、請求項1~3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
各塗布適合パラメータは、多数の異なる適合手段の1つの適合手段に割り当てられ、前記多数の異なる適合手段は:層厚の適合、効果フレークの配向分布の適合、ソリッド色成分の効果の適合、効果色成分の効果の適合、人間の噴霧器の個々の特性の適合のうち少なくとも1つを含む、請求項1~4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
さらに以下のステップ:
- 前記基準塗装プロセスを用いて基材上に塗布される場合の前記目標色(300)にマッチングする目標塗料コーティングの目標色配合(350)を決定するための、前記少なくとも1つのコンピュータプロセッサ(210)上に実装及び実行される色配合計算アルゴリズムを提供するステップと、
- 前記色配合計算アルゴリズムの入力パラメータとして前記目標色(300)と計算された前記オフセット(310)とを用いて、前記目標塗料コーティングが前記基準塗装プロセスを用いて基材上に塗布された場合の前記目標塗料コーティングの目標色配合(350)を、個々の色成分の最適化された濃度とともに計算するステップと、
を含む、請求項1~5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
前記色配合計算アルゴリズムは、数値的方法(230)及び色予測モデル(240)によって実現され、前記数値的方法(230)は、所定の初期色配合から開始して、所定のコスト関数を最小化することによって、前記目標色(300)に関連して予備的な色配合の個々の色成分の濃度を最適化するように構成され、前記所定のコスト関数は、受信した前記目標色(300)と前記予備的な色配合の予測された色との色距離として特に選択され、前記色予測モデル(240)は、入力パラメータとして、前記サンプル塗料コーティングの計算されたオフセット(310)と、前記予備的な色配合に使用された個々の色成分の濃度と、前記予備的な色配合に使用されデータベース(220)から検索された前記個々の色成分の特定の光学データとを使用することによって、前記予備的な色配合の色を予測するように構成され、前記色成分の最適化された濃度が、所定のコスト関数が所定の閾値を下回るまで、前記予備的な色配合の再帰的に予測された色を前記目標色(300)と比較することによって計算される、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
少なくとも:
- 顔料及び/又は顔料クラスなどの個々の色成分と、前記それぞれの個々の色成分に関連する特定の光学データとを含むデータベース(220)であって、前記個々の色成分の特定の光学データは、既知の基準色配合及び既知の測定基準色を有する既知の基準塗料コーティングに基づいて決定され、前記基準塗料コーティングはそれぞれ基準塗装プロセスを使用して基材に塗布される、データベース(220)と、
- 少なくとも1つのコンピュータプロセッサ(210)であって、前記データベース(220)と通信可能に接続され、請求項1~7のいずれか1項に記載の方法を実行するようにプログラムされた、コンピュータプロセッサ(210)と、
を含む、システム。
【請求項9】
顔料及び/又は顔料クラスなどの個々の色成分、及びそれぞれ個々の色成分に関連付けられた特定の光学データを含むデータベース(220)と通信可能に接続された少なくとも1つのコンピュータプロセッサ(210)によってロードされ実行されたときに、請求項1~7のいずれか1項に記載の方法を実行するように構成されプログラムされたプログラムコードを有するコンピュータプログラムを有する非一過性のコンピュータ可読媒体であって、前記特定の光学データは、既知の基準色配合及び既知の測定基準色を有する既知の基準塗料コーティングに基づいて決定され、前記基準塗料コーティングは、基準塗装プロセスを用いて基材上に塗布される、非一過性のコンピュータ可読媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、塗布プロセスバイアスを補正するカラーマッチングプロセスのための方法及びシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
ほとんどのコンピュータ支援カラーマッチングプロセスは、光と散乱媒体又は吸収媒体(例えば、塗料層の着色剤)との相互作用を記述する物理モデルに基づいている。各塗料層は、含まれる着色剤によって特定の光反射特性を有する。これらの着色剤は、それぞれ特定の光学定数/特定の光学データによって表される特定の光学特性を有する。物理モデルは、含まれる着色剤に関する情報(それぞれ、それぞれの配合に関する情報に基づく)に基づいて、対応する特定の光学特性(それぞれ、対応する特定の光学定数)とともに、塗料層/塗料コーティングの光反射特性(色)を予測することができる。
【0003】
着色剤の光学定数は、例えば、よく知られている「クベルカ/ムンク(Kubelka/Munk)」モデルにおけるK/S値のように、それぞれの物理モデルの環境で着色剤の吸収及び散乱特性(又は効果フレーク配向)を表す。しかし、塗料層の反射特性は、単に配合にのみ依存するわけではない。それは、塗装プロセス、すなわち、一般に塗料が基材にどのように塗布されたかにも強く依存する。
【0004】
着色剤の光学特性は、共通の基準塗装プロセスによって基材上に塗布された既知の配合と既知の反射率データを有する既存のレットダウン/試験片のサンプルデータに基づいて決定される。物理モデルの色予測とカラーマッチングプロセスは、常にこの基準塗装プロセスと関連している。着色剤の特定光学定数は、最終塗料層、すなわち最終塗料コーティングのそれぞれの反射特性に対する基準塗装プロセスの影響を含む。
【0005】
異なる目標塗装プロセスに対する物理モデルの色予測は、著しいシステム的なエラーとより低い精度に晒される。
【0006】
所定の目標色に対する適切な配合は、数値最適化アルゴリズムを用いて、利用可能な着色剤の既存の光学定数と目標色の反射率データを入力とした物理モデルに基づいて、予測されることができる。
【0007】
得られる配合は、基準塗装プロセスと同等の塗装プロセスで塗布されることを条件に、目標色に可能な限りマッチングさせることができるはずである。
【0008】
色調整は、サンプル、例えば既存の着色ステップ又は配合データベースの検索における検索結果に基づいて計算されることができる。色調整アルゴリズムは、1つの基本的な仮定、すなわち、「それぞれのモデルバイアスは、サンプル配合に近いすべての配合について一定である」ということに基づいているため、既存のサンプルは、基準塗装プロセスで塗布されなければならなかった。色調整の調整された配合がサンプル配合に類似している限り、モデルバイアスは類似していると予想される。一般に、色調整アルゴリズムは、サンプルオフセット、つまりそれぞれサンプルの測定反射率データと予測反射率データの間のオフセットを、モデルバイアスとして解釈する。このモデルバイアスは、色調整アルゴリズム内で自動的に考慮/補正され、調整された配合の修正につながる(例:特許EP2149038B1)。しかし、モデルバイアスの他に、実際のサンプルは、塗布プロセスバイアスとも呼ばれる、それぞれの塗装プロセス内の(小さな)違いによって引き起こされるシステム的だが一定でないバイアスを含むことがある。この塗布プロセスのバイアスは、調整された配合に伝播する。サンプルの塗布プロセスバイアスの規模によっては、色調整結果は著しく不正確になり得る。
【0009】
基材に塗料を塗布するのに利用可能ないくつかの方法がある:すなわち、塗装プロセスのいくつかの例は:
- 自動又は手動での噴霧プロセス、
- 実験室(ラボ)又は自動車車体修理工場にあるスプレーガンの異なるタイプ又は種類や構成、
- OEM(相手先商標製造会社)の顧客サイトでの異なる噴霧ライン又は乾燥プロセス、
- 色開発ラボでのドローダウン方法、
である。
【0010】
たとえ同じ塗料(同じ原料)が異なる方法で塗布されるとしても、塗料層(塗料コーティング)の結果として得られる色は、それぞれの塗装プロセスによって強く影響を受けることがある。色の変化の理由は:
- 塗料層内の効果フレークの異なる配向、
- 効果フレークのオーバースプレーロス、特に大型の効果フレークのオーバースプレーロス、
- 塗料層内の効果フレークの沈降、
- 非隠蔽塗料層の膜厚変化、
- 着色強度の変化(剪断効果又は凝集)
である。
【0011】
そのため、着色剤の光学定数、すなわち着色剤の特定の光学データをそれぞれ計算するためのトレーニングデータ(レットダウン)の作成には、1つの共通の基準塗装プロセスを使用することが重要である。
【0012】
手動式塗装、例えばスプレーガンを使用した手動式塗装の場合、得られる色は、噴霧装置のタイプ及び構成に加え、噴霧器の個々の噴霧特性(「フィンガープリント」)にも依存する。1つの塗装プロセスにおける噴霧器依存の変動は、一般的に、自動塗装プロセスよりも手動塗装プロセスの方が大きくなる。手動塗装プロセスの噴霧プロファイルは、噴霧装置(例えばスプレーガンのタイプ)、噴霧ブース内の状態(例えば気温や湿度)、噴霧装置の構成、噴霧器の個々の噴霧特性(「フィンガープリント」)、及び乾燥プロセスに依存する。これらの変動は、1つの個々の噴霧器/噴霧プロファイルに対してはほぼ一定なシステム的な部分(「フィンガープリント」)と、統計的な部分から構成される。
【0013】
カラーマッチングは、反復的なプロセスである。マッチング方法は、所定の目標色に対して、ゼロからのマッチング又は配合データベースでの検索から開始する。
【0014】
「ゼロからのマッチング」という用語は、既存のサンプルコーティングに関する情報なしに第1ソリューションとして処理するカラーマッチングプロセスを含む。この方法は、例えば、配合データベースが利用できない場合、又は配合データベースで適切な第1ソリューションが見つからない場合に適用される。実際には、「ゼロからのマッチング」方法は、目標色に存在すると予想される成分の事前選択ステップから開始することが多い。この事前選択ステップは必須ではない。「ゼロからのマッチング」方法/アルゴリズムは、第1ソリューションとして目標色に対する1つ以上の予備的なマッチング配合を計算する。この/これらの予備的なマッチング配合(複数可)は、次のステップで噴霧及び/又は調整されることができる。
【0015】
物理モデルの色予測精度を向上させるために(例えば「サンプルオフセット」の分析によるモデルエラーの近似に基づいて)使用される第1ソリューションとしてのサンプルコーティングが利用できる「色調整方法」と比較すると、「ゼロからのマッチング」方法の精度は、一般的に低くなる。
【0016】
第1ソリューションは、典型的には、目標色に十分に近くない。第1ソリューションの調整は、第1ソリューションの予測された色と測定された色との間のサンプルオフセットが考慮される場合に適用される。サンプルオフセットは、システム的部分(噴霧器の「フィンガープリント」)と統計的部分から構成されている。もし、サンプルオフセットのシステム的部分が一定でない場合、例えば、調整された配合が第1ソリューションとは異なる噴霧器によって噴霧される場合(例えば、調製が、個々の噴霧プロファイルを有する多くの異なる噴霧器の溶液を含む配合データベースの検索結果に基づいて計算される場合)、色調整結果は著しく不正確になり得る。調整された配合は、目標色とサンプルオフセットの関数である。一定でないサンプルオフセットは、調整後の配合に伝播される。
【0017】
「一定でないサンプルオフセット」という用語は、調整された配合(塗装後)のオフセットがサンプルのオフセットと比較して著しく異なるということを含む。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0018】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0019】
したがって、本発明の目的は、色調整方法における塗布プロセスバイアスを補正する可能性を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0020】
上述の目的は、それぞれの独立請求項の特徴を有する方法及びシステムによって解決される。さらなる実施形態は、以下の説明とそれぞれの従属請求項によって示されている。
【0021】
本開示は、カラーマッチングプロセスのためのコンピュータ実装方法に関し、ここで、塗布プロセスバイアスから解放されたオフセット(本明細書ではサンプルオフセットとも呼ばれる)が決定され、カラーマッチングプロセスは、少なくとも1つのコンピュータプロセッサ上に実装され実行される色予測モデル(単に物理モデルとも呼ばれる)を含む色調整アルゴリズムと、個々の色成分の特定の光学データを含むデータベースとを使用し、該個々の色成分の特定の光学データは、既知の基準色配合及び既知の測定基準色を有する既知の基準塗料コーティングに基づいて決定され、該基準塗料コーティングは、それぞれ、基準塗装プロセスを使用して基材上に適用され、本方法は:
A. 少なくとも1つのインターフェースを介して、マッチングすべき目標色のための第1ソリューションとしてのサンプル塗料コーティングの色配合のデータを受信することと、
B. データベースから、サンプル塗料コーティングの色配合に使用された個々の色成分の特定の光学データを検索することと、
C. 少なくとも1つのインターフェースを介して、サンプル塗装プロセスを用いて基材上に塗布されたサンプル塗料コーティングの測定された色を受信することと、
D. 少なくとも1つのコンピュータプロセッサと、少なくとも1つのコンピュータプロセッサ上に実装され実行される数値的方法とを用いて、所定の初期塗布適合パラメータのセットから開始して所定のコスト関数を最小化することにより、サンプル塗装プロセスの塗布適合パラメータを計算し、計算された塗布適合パラメータを入力パラメータとして塗布適合モジュールに利用可能にすることと、
E. 色予測モデルと、サンプル塗料コーティングの色配合のデータと、サンプル塗料コーティングの色配合に使用された個々の色成分の検索された特定の光学データをモデル入力パラメータとして使用して、所定のサンプル塗装プロセスに対するサンプル塗料コーティングの色を予測し、色予測モデルと連動する塗布適合モジュールによって、計算された塗布適合パラメータを含めることと、
F. 測定された色とサンプル塗料コーティングの予測された色との差としてオフセットを算出することと、
を含む。
【0022】
サンプル塗料コーティングの測定された色は、サンプル塗料コーティングを含む多数の塗料コーティングの測定された色のデータを含むデータベースから検索されることができ、塗料コーティングは、サンプル塗装プロセスを用いて事前に基材上に塗布されている。あるいは、サンプル塗料コーティングは、提案された方法を実施する際に、すなわち提案された方法のさらなるステップとして、すなわち提案された方法の実施中に、サンプル塗装プロセスを使用して基材上に塗布され得る。
【0023】
本発明の範囲では、サンプル塗装プロセスは、噴霧装置、噴霧条件、噴霧装置の構成、個々の噴霧器の個々の噴霧特性(「フィンガープリント」)、及び/又は乾燥プロセスを規定する特定の噴霧プロファイルを定義する。
【0024】
「個々の色成分の特定の光学データ(specific optical data of individual color components)」、「個々の色成分の特定の光学データ(specific optical data of the individual color components)」又は「着色剤の特定の光学データ(specific optical data of the colorants)」という用語は、本明細書において同義的に使用され、それぞれの個々の色成分、すなわち着色剤の特定の光学特性及び特定の光学定数を含む。それぞれの塗料コーティングの色配合において使用される個々の色成分は、少なくとも:色顔料、すなわちいわゆる固体顔料、効果顔料、結合剤、溶剤及び添加剤、例えばマットペーストからなる群から選択される。
【0025】
「色」、「色データ」、「反射率」、「反射率データ」及び「反射特性」という用語は、本明細書において同義的に使用される。「色配合」、「塗料配合」及び「配合」という用語は、本明細書において同義的に使用される。「プロセッサ」及び「コンピュータプロセッサ」という用語は、本明細書において同義的に使用される。
【0026】
放射伝達モデルに基づく色配合計算の既知のアプローチは、文献に見出だすことができ、例えば、Georg A.Kleinの「Farbenphysik fuer industrielle Anwendungen」を参照することができる。
【0027】
色配合計算の基本的な考え方は、以前に較正されたコーティングに基づいて、すなわちそのような較正コーティングのそれぞれの測定に基づいて、特定の光学データ、すなわち、すべての関連する個々の色成分(例えばすべてのカラーペースト/着色剤)の光学特性及び/又は光学定数の特性評価である。これらの較正コーティングは、それぞれ、既知の配合と既知の反射率データを有する既存のレットダウン(これらはすべて共通の基準塗装プロセスによって塗布された)に対応する。物理モデルを使用した色予測(本明細書では色予測モデルとも呼ばれる)、及びカラーマッチングプロセスは、常にこの基準塗装プロセスと関連している。着色剤の特定の光学定数は、それぞれの最終塗料コーティング/層の予測される反射特性に対する基準塗装プロセスの影響を含む。
【0028】
本発明によれば、サンプル塗料コーティングの反射特性(基準塗装プロセスに関連する)を予測するための、すなわちサンプル塗料コーティングの色を予測するための物理モデルは、追加の塗布適合モジュールによって拡張される:追加の塗布適合モジュールは、物理モデルと相互作用して作動し、予測された反射率データを特定の目標塗装プロセスに適合させるように構成されている。追加モジュールは、計算された塗布適合パラメータの入力によって構成可能である。これらの塗布適合パラメータは、それぞれの基準塗装プロセスと比較したサンプル塗装プロセス間の差異、又はむしろ特定の伝達関数を記述する。塗布適合パラメータの例は:
- 塗料層の厚さの適合:より厚く/より薄く
(非隠蔽塗料層に適用可能;塗料層の隠蔽力を調整する)
- 効果フレーク配向の適合:より良いフレーク配向/より悪いフレーク配向
(効果色に適用可能;塗料層の明度/カラーフロップを調整する)
- ソリッド着色剤の効果:より高い効果/より低い効果
(剪断効果によって及び凝集物などによって生じ得るソリッド着色剤の着色力差を調整する)
- 効果着色剤の効果:より高い効果/より低い効果
(オーバースプレーロス又は沈降もしくは残留効果によって生じ得る効果着色剤の反射力の差を調整する)
である。
【0029】
サンプル塗装プロセスの塗布適合パラメータは、サンプル塗装プロセスで塗布された既存のサンプルコーティング(複数可)(例えば、カラーマッチングプロセスの1つ以上の既存の着色ステップ(複数可))の分析に基づいて暗黙的に決定されることができる。また、データベースからの(1つ以上の)既存のサンプルコーティング(複数可)(サンプル塗装プロセスに関連し、特に個々の人間の噴霧器に関連する)のリストも、塗布適合パラメータの決定のために使用されることができる。
【0030】
一般に、サンプル塗布適合パラメータは、配合データベースの検索結果のサンプルデータに基づいて決定される。あるいは、サンプル塗装適合パラメータは、塗装適合パラメータ(「噴霧プロファイル」)が個々の噴霧器に関連して保存されているデータベースからロードされることもできる。後者の選択肢は、それぞれのサンプルの個々の噴霧器に関する情報が利用可能/与えられている場合に可能である。
【0031】
検索結果のサンプルが第1噴霧器によって噴霧され、調整された配合が異なる第2噴霧器によって噴霧されるということが可能である。第1噴霧器と第2噴霧器の噴霧プロファイルは大きく異なっている。このことは、補正されるべき色調整アルゴリズムにおけるシステム的エラーにつながる。塗布適合モジュールは、検索結果のサンプルから、第1噴霧器の個々の噴霧プロファイルを「学習」し、色調整アルゴリズム内の基本情報として使用されるサンプルオフセットの計算内で、関連する塗布プロセスのバイアスを補正する。
【0032】
あるいは、第1噴霧器の塗装適合パラメータ(噴霧プロファイルを記述する)は、個々の噴霧器に対応する塗装適合パラメータを含むデータベースからロードされることもできる。
【0033】
既に上述したように、サンプル塗装プロセスに対する塗布適合パラメータは、少なくとも1つのコンピュータプロセッサ上に実装され実行される数値的方法を用いて、計算される。数値的計算方法は、所定のコスト関数を最小化するように構成される。数値的方法と色予測モデルは、色調整アルゴリズムの一部を形成する。
【0034】
提案された方法の一実施形態によれば、所定のコスト関数は、サンプル塗装プロセスを用いて基材上に塗布される第2サンプル塗料コーティングの測定された色と、第2サンプル塗料コーティングの予測された色との間の色距離として選択され、色予測モデルは、入力パラメータとして、第2サンプル塗料コーティングの色配合と、第2サンプル塗料コーティングの色配合で用いられデータベースから検索される個々の色成分の特定の光学データと、最小化の過程で得られるそれぞれの予備的な塗布適合パラメータとを用い、所定の初期塗布適合パラメータのセットから開始して、第2サンプル塗料コーティングの色予測を行うために使用され、塗布適合パラメータは、所定のコスト関数が所定の閾値を下回るまで、第2サンプル塗料コーティングの再帰的予測された色と第2サンプル塗料コーティングの測定された色とを比較することによって計算される。初期塗布適合パラメータは、中立パラメータである。つまり、初期塗布適合パラメータを使用は、基準塗装プロセスを使用した場合と等しい色予測を生じることを意味する。所定の閾値は、動的に決定されることもでき、例えば、これ以上改善することができない最小化の特定の状態を示すことができる。塗布適合パラメータが、複数の第2サンプル塗料コーティング(すべては、それぞれの色配合によって記述される)と測定された色によって計算され、前述のように取り扱われることが可能である。使用される大量のデータのおかげで、信頼性の高い塗布適合パラメータを得ることができる。
【0035】
さらなる実施形態によれば、サンプル塗料コーティングと第2塗料コーティングは同じである。あるいは、サンプル塗料コーティングと第2塗料コーティングはそれぞれ異なるが、同じサンプル塗布適合プロセスで塗布される。
【0036】
提案された方法のさらなる実施形態によれば、塗布適合モジュールは、特定の塗布適合パラメータの直接入力、例えば、人間の入力によって構成可能である。
【0037】
提案された方法の別の実施形態によれば、塗布適合モジュールは、塗布適合パラメータが噴霧プロファイルID、例えば個々の噴霧器との関係で格納されているデータベースから特定の塗布適合パラメータをロードすることによって構成可能である。
【0038】
各塗布適合パラメータは、多数の異なる適合手段の1つの適合手段に割り当てられ、多数の異なる適合手段は:層厚の適合、効果フレーク配向分布の適合、ソリッド色成分の効果の適合、効果色成分の効果の適合のうち少なくとも1つを含む。
【0039】
本発明の第2の態様によれば、方法は、さらに以下のステップ:
- 基準塗装プロセスを用いて基材上に塗布される場合に目標色にマッチングする目標塗料コーティングの目標色配合を決定するための、少なくとも1つのコンピュータプロセッサ上に実装され実行される、色配合計算アルゴリズム(色調整アルゴリズムとも呼ばれる)を提供するステップと、
- 目標色及び(サンプル塗料コーティングからの)計算されたオフセットを色配合計算アルゴリズムの入力パラメータとして用いて、目標塗料コーティングが基準塗装プロセスを用いて基材上に塗布される場合の目標塗料コーティングの目標色配合として、個々の色成分の最適化された濃度を有する色配合を計算するステップと、
を含む。
【0040】
提案された方法の実施形態によれば、色配合計算アルゴリズムは、数値的方法及び色予測モデルによって実現される。数値的方法は、所定の初期色配合から開始して、所定のコスト関数を最小化することによって、目標色に関連して予備的な色配合の個々の色成分の濃度を最適化するように構成され、所定のコスト関数は、受信した目標色と予備的な色配合の予測された色との間の色距離として特に選択される。色予測モデルは、入力パラメータとして、それぞれのサンプル塗料コーティングの計算されたオフセット、予備的な色配合に使用される個々の色成分の濃度、予備的な色配合に使用されデータベースから検索される個々の色成分の特定の光学データを使用することによって、予備的な色配合の色を予測するように構成される。色成分の最適化された濃度は、所定のコスト関数が所定の閾値を下回るまで予備的な色配合の再帰的に予測された色を目標色と比較することによって、計算される。各数値的方法は、多数の逐次近似ステップを含む。各近似ステップでは、予備的な色配合が、それぞれの反射率データすなわち色を予測するために、想定/提供され、物理モデルに入力され、その後、コスト関数を使用して、目標色と比較される。所定の閾値は動的に決定されることもでき、例えば、さらには改善できない最小化の特定の状態を示すことができる。
【0041】
既に示したように、実際のサンプルでは、測定された反射率データ(測定された色)は、物理モデルの予測反射率データ(予測された色)と常に(わずかに)異なる(「サンプルオフセット」)。現実と理論との間にこのサンプルオフセットが生じる理由としては、例えば:
- モデルバイアス:100%正確なモデルはないため
- 塗布プロセスのバイアス:例えば、人間の噴霧器の特別な特徴(「フィンガープリント」)
- 器具の統計的エラー:例えば、温度によって引き起こされる
がある。
【0042】
これまでは、色調整アルゴリズムは、サンプルオフセット全体をモデルバイアスとして解釈し、それぞれのサンプルオフセットが補正されるように、調整された塗料配合を補正している。ここで、塗布プロセスバイアスはサンプルオフセットの一部であり、一定であることが期待される。もし塗布プロセスバイアスが一定でなければ、塗布プロセスバイアスは色調整アルゴリズムにおける不安定要素として作用する。例えば、サンプルの測定された色が塗布プロセスバイアスのせいで明るすぎる場合、色調整アルゴリズムは、基準塗装プロセスで塗布した場合には暗すぎる調整配合を計算する。サンプルオフセットの規模により、エラー伝播のために色調整の結果が著しく不正確になる可能性がある。
【0043】
本発明の提案された方法は、サンプルオフセット(本明細書では単にオフセットとも呼ばれる)におけるそのような塗布プロセスバイアスを排除する役割を果たす。サンプルオフセットの精度の改善は、調整された塗料配合の品質/精度を直接的に向上させる。測定された色と予測された色の間のサンプルオフセットは、測定された色に潜在的に含まれる塗布プロセスバイアスに関して分析される。基本的な考え方は、塗布適合モデルを用いて、サンプルオフセットを塗布プロセス部分と残余部分に分解することである。残余部分は、例えば、モデルバイアス及び統計的エラーを含む。塗布プロセス部分は、非定常かつシステム的であると定義されているため、サンプルオフセットから除去される:つまり、塗布プロセス部分は、個々の噴霧と基準塗装プロセスとの間のシステム的な塗布の違いを表す。サンプルオフセットの残余部分は、主にモデルバイアスからなり、それは色調整アルゴリズム(本明細書では色配合計算アルゴリズムとも呼ばれる)内で正しく取り扱われる。
【0044】
既に上で述べたように、検索結果サンプルは第1噴霧器で噴霧され、調整された配合は異なる第2噴霧器で噴霧されることが可能である。第1噴霧器と第2噴霧器の噴霧プロファイルは大きく異なっている。このため、補正されるべき色調整アルゴリズムのシステム的エラーにつながる。塗布適合モジュールは、検索結果サンプルから、第1噴霧器の個々の噴霧プロファイルを「学習」し、色調整アルゴリズム内の基本情報として使用されるサンプルオフセットの計算内で、関連する塗布プロセスのバイアスを補正する。
【0045】
あるいは、第1噴霧器の塗装適合パラメータ(噴霧プロファイルを記述する)は、個々の噴霧器に対応する塗装適合パラメータを含むデータベースから、ロードされることもできる。
【0046】
本発明はまた、システムにも関し、該システムは少なくとも:
- 顔料及び/又は顔料クラスなどの個々の色成分と、それぞれの個々の色成分に関連する特定の光学データとを含むデータベースであって、個々の色成分の特定の光学データは、既知の基準色配合及び既知の測定基準色を有する既知の基準塗料コーティングに基づいて決定され、基準塗料コーティングはそれぞれ基準塗装プロセスを使用して基材に塗布される、データベースと、
- 少なくとも1つのコンピュータプロセッサであって、データベースと通信可能に接続され、本明細書に記載の発明の提案された方法を実行するようにプログラムされた、コンピュータプロセッサと、
を含む。
【0047】
本システムは、USBなどの適切なインターフェースを介して、データの入力を受信するように構成された入力デバイスをさらに備えることができる。このような入力装置は、コンピュータのキーボード、マイク、ビデオカメラ、データキャリア、又はそれらの任意の組み合わせであってよい。システムは、上記の方法の1つの実施形態を実行することによって計算されたそれぞれの結果を出力し、特に表示するように構成された出力装置をさらに備えることができる。出力装置は、少なくとも音響装置、触覚装置、表示装置及びそれらの任意の組み合わせを含む群のうちの1つである。出力装置は、それぞれのインターフェースを介して、少なくとも1つのコンピュータプロセッサと通信可能に接続されている。
【0048】
さらに、本発明は、構成されプログラムされたプログラムコードを有するコンピュータプログラムを備えた非一過性のコンピュータ可読媒体に関し、コンピュータプログラムが顔料及び/又は顔料クラスなどの個々の色成分、及びそれぞれ個々の色成分に関連付けられた特定の光学データを含むデータベースと通信可能に接続されている少なくとも1つのコンピュータプロセッサによって、ロードされ実行されると、個々の色成分の特定の光学データは、既知の基準色配合及び既知の測定基準色を有する既知の基準塗料コーティングに基づいて決定され、基準塗料コーティングは、本明細書に記載の発明の提案された方法を実行するために、塗装プロセスを用いて基材上に塗布される。
【0049】
異なる構成要素間の各通信接続は、それぞれ、直接接続又は間接接続であってよい。各通信接続は、有線接続、又は、無線接続であってよい。各適切な通信技術が使用されてよい。データベース、及び少なくとも1つのコンピュータプロセッサは、それぞれ相互に通信するための1つ以上の通信インターフェースを含んでよい。このような通信は、ファイバ分散データインターフェース(FDDI)、デジタル加入者回線(DSL)、イーサネット(登録商標)、非同期転送モード(ATM)又はその他の有線伝送プロトコルなどの有線データ伝送プロトコルを用いて実行されてよい。あるいは、通信は、汎用パケット無線サービス(GPRS)、ユニバーサル移動体通信システム(UMTS)、符号分割多重アクセス(CDMA)、ロング・ターム・エボリューション(LTE)、無線ユニバーサルシリアルバス(USB)、及び/又はその他の任意の無線プロトコルなど、様々なプロトコルのいずれかを使用して、無線通信ネットワークを介して無線で行われてよい。それぞれの通信は、無線通信及び有線通信を組み合わせたものであってもよい。
【0050】
コンピュータプログラム命令(すなわちプログラムコード)及びデータを記憶するのに適したコンピュータ可読媒体には、あらゆる形態の不揮発性メモリ、メディア、及びメモリデバイスが含まれ、例として、消去可能プログラマブル読み取り専用メモリ(EPROM)、電気消去可能プログラマブル読み取り専用メモリ(EEPROM)及びフラッシュメモリ装置などの半導体メモリデバイス;磁気ディスク、例えば、内部ハードディスク又はリムーバブルディスク;光磁気ディスク;光ディスク;CD-ROM、DVD+R、DVD-R、DVD-RAM、及びDVD-ROMディスク、又はそれらの1つ以上の組み合わせを含む。このようなメモリデバイスは、キャッシュ、クラス、アプリケーション、バックアップデータ、ジョブ、ウェブページ、ウェブページテンプレート、データベーステーブル、動的情報を格納するリポジトリ、及び任意のパラメータ、変数、アルゴリズム、命令、規則、制約、及び/又はそれらの参照を含む他の適切な情報を含む、様々なオブジェクト又はデータを格納してよい。さらに、メモリは、ポリシー、ログ、セキュリティ又はアクセスデータ、レポートファイル、及びその他などの任意の他の適切なデータを含むことができる。コンピュータプロセッサ及びメモリ装置は、特殊用途の論理回路によって補完され、又は特殊用途の論理回路に組み込まれることができる。
【0051】
コンピュータプログラム命令は、プログラムソフトウェア、ソフトウェアアプリケーション、モジュール、ソフトウェアモジュール、スクリプト、又はコードとすることができ、コンパイル言語又はインタープリタ言語、あるいは宣言型言語又は手続き型言語を含む任意の形式のプログラミング言語で記述することができ、スタンドアロンコンピュータプログラムとして、又はモジュール、コンポーネント、サブルーチン、又はコンピューティング環境での使用に適した他のユニットとしてなど任意の形式で展開されることができる。一実施形態では、本開示のコンピュータ実行可能命令(すなわち、プログラムコード)は、HTML、TS(TypeScript)、及びCSS(Cascading Style Sheets)で書かれる。
【0052】
コンピュータプログラムは、それぞれのファイルシステムにおけるファイルに対応することができるが、そうである必要はない。コンピュータプログラムは、他のプログラム又はデータを保持するファイルの一部、例えば、マークアップ言語文書に保存された1つ以上のスクリプト内、当該コンピュータプログラム専用の単一ファイル内、又は複数の調整ファイル、例えば、1つ以上のモジュール、サブプログラム、又はコードの一部を保存するファイル内に保存されることができる。コンピュータプログラムは、1つのコンピュータ上で、又は1つのサイトに位置する、又は複数のサイトに分散し、通信ネットワークによって相互接続された複数のコンピュータ上で実行されるように展開されることができる。コンピュータプログラムの一部は、様々なオブジェクト、方法、又は他のプロセスを通じて様々な特徴及び機能を実装する個々のモジュールとして設計されることができる。あるいは、コンピュータプログラムは、代わりに、多数のサブモジュール、サードパーティサービス、コンポーネント、ライブラリなどを適宜含むことができる。逆に、様々なコンポーネントの特徴及び機能を、適宜、単一のコンポーネントに組み合わせることができる。
【0053】
本開示の方法の実行に適したシステムは、汎用又は特殊用途のマイクロプロセッサ、その両方、又は任意の他の種類のCPUに基づくことができる。一般に、CPUは、読み取り専用メモリ(ROM)又はランダムアクセスメモリ(RAM)又はその両方から、命令及びデータを受け取ることになる。システムの必須要素は、命令(すなわちプログラムコード)を実行又は実行するためのCPUと、命令(すなわちプログラムコード)及びデータを保存するための1つ以上のメモリデバイス(データベースなど)である。一般に、システムは、少なくとも1つのメモリデバイスを含み、又は少なくとも1つのメモリデバイスに動作的に結合され、データを格納するための1つ以上のメモリデバイスからデータを受信するか、又は少なくとも1つのメモリデバイスにデータを転送するか、又はその両方をするように構成される。少なくとも1つのメモリデバイスは、例えば、磁気、光磁気ディスク、又は光ディスクを含み得る。しかし、システム自体は、このようなメモリデバイスを有する必要はない。さらに、ほんの数例を挙げると、システムは、他の装置、例えば、携帯電話、携帯情報端末(PDA)、又はポータブル記憶装置、例えば、ユニバーサルシリアルバス(USB)フラッシュドライブ、に組み込むことができる。
【0054】
以下の説明は、1つ以上の特定の実施態様の文脈で提示され、提供される。開示された実施態様に対する様々な修正は、当業者には容易に明らかであり、本明細書で定義された一般原理は、本開示の範囲から逸脱することなく他の実装及び用途に適用され得る。
【0055】
本開示に記載される主題及び機能動作の実装は、デジタル電子回路において、有形に具現化されたコンピュータソフトウェアにおいて、本開示に開示される構造及びそれらの構造的等価物を含む、コンピュータハードウェアにおいて、又はそれらの1つ以上の組み合わせにおいて実装されることができる。本開示に記載の主題の実施は、1つ以上のコンピュータプログラムとして、すなわち、データ処理装置による実行、又はデータ処理装置による操作の制御のために、有形で非一過性のコンピュータ可読媒体上にエンコードされたコンピュータプログラム命令の1つ以上のモジュールとして、実装され得る。代替的に又は追加的に、コンピュータプログラム命令は、人工的に生成された伝播信号、例えば、機械生成の電気、光、又は少なくとも1つのコンピュータプロセッサによって実行される適切な受信装置に送信するための情報を符号化するために生成される電磁信号上に符号化することができる。コンピュータ記憶媒体は、機械可読記憶装置、機械可読記憶基材、ランダムアクセス又はシリアルアクセスメモリ装置、又はそれらの1つ以上の組み合わせであり得る。
【0056】
この明細書の主題の1つ以上の実施態様の詳細は、添付の図面及び説明に記載される。主題の他の特徴、態様、及び利点は、説明、図面、及び特許請求の範囲から明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0057】
【
図1】本発明による、カラーマッチングプロセスのサンプルオフセットを提供するための方法の一実施形態を示す概略ブロック図を示す。
【
図2】本発明による塗布プロセスバイアスを補正するための方法の別の実施形態を示す概略ブロック図を示す。
【
図3】本発明によるカラーマッチングプロセスのさらなる実施形態を示す概略ブロック図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0058】
図面の詳細な説明
同一のユニット又はコンポーネントには、すべての図にわたって同一の参照符号が与えられている。
【0059】
図1は、本発明による方法の一実施形態による、塗布プロセスバイアスが除去されていなければならないオフセットを示す概略ブロック図を示す。実際のサンプルでは、測定されたサンプル色100は、物理モデルを使用して予測された予測サンプル色と常に(わずかに)異なる。測定されたサンプル色100は、真の色101とオフセット110の組み合わせとして表されることができる。オフセット110は、サンプルオフセット110とも呼ばれ、測定されたサンプル色100と予測されたサンプル色との間の差に相当する。現実(測定)と理論(物理モデル)との間のこのサンプルオフセット110の理由は、例えば:
- モデルバイアス114:100%正確なモデルはない
- 塗布プロセスのバイアス115:すなわち、サンプルの色が測定される時点においてサンプルがどのように基材に塗布されたか、例えば、人間の噴霧器の特別な特徴(「フィンガープリント」)
- 器具113の統計的エラー112、すなわち、スプレーガンなどの塗布器具:例えば、温度によって引き起こされるもの
である。
【0060】
これまでは、色調整アルゴリズム、すなわち塗料色配合計算アルゴリズムは、サンプルオフセット110全体をモデルバイアスとして解釈し、それぞれのサンプルオフセット110が補正されるような方法で調整された塗料色配合を修正している。これは塗布プロセスバイアス115がサンプルオフセット110の一部であることを意味する。塗布プロセスバイアス115が一定でない場合、例えば、異なる人間の噴霧器の場合、それは不安定要素として作用する。例えば、サンプルの測定された色が塗布プロセスバイアス115のせいで明るすぎる場合、色調整アルゴリズムは、それぞれの基準塗装プロセスで塗布した場合に暗すぎる調整配合を計算する。サンプルオフセット110の規模により、エラー伝播のために色調整の結果が著しく不正確になる可能性がある。
【0061】
本発明の提案された方法は、サンプルオフセット110(本明細書では単にオフセット110とも呼ばれる)におけるそのような塗布プロセスバイアス115を除去する役割を果たす。サンプルオフセット110の精度の改善は、調整された塗料配合の品質/精度を直接的に向上させる。測定された色100と予測された色との間のサンプルオフセット110は、測定された色100に潜在的に含まれる塗布プロセスバイアス115に関して分析される。前述したように、オフセット110は、システム的バイアス111と、統計的エラー112とも呼ばれる統計的バイアス112とを含む。統計的バイアス112は、スプレーガンなどの器具113によって引き起こされる。システム的バイアス111は、モデルバイアス114(一定であることが期待される)と、塗布プロセスバイアス115(一定でない可能性がある)とを含む。提案された方法の基本的な考え方は、塗布適合モデルを用いてサンプルオフセット110を塗布プロセスバイアス115と、モデルバイアス114及び統計的バイアス112を含む残余部分に分解することである。塗布プロセスバイアス115は、一定でないと定義されるため、サンプルオフセット110から除去されるべきである。サンプルオフセットの残余部分は、主にモデルバイアス114からなり、それは色調整アルゴリズム内で正しく取り扱われる。
【0062】
図2は、本発明によるシステム200の一実施形態を示している。本システムは、コンピュータプロセッサ210とデータベース220を備える。データベース220は、顔料及び/又は顔料クラスなどの個々の色成分、着色剤
1、着色剤
2、着色剤
3、...、着色剤
n、及びそれぞれの個々の色成分に関連付けられた特定の光学データ、定数
1、定数
2、定数
3、...、定数
nを含み、個々の色成分の特定の光学データは、既知の基準色配合及び既知の測定基準色を有する既知の基準塗料コーティングに基づいて決定され、基準塗料コーティングは、それぞれ共通の基準塗装プロセスを使用して基材上に塗布される。コンピュータプロセッサ210は、データベース220と通信可能に接続され、本明細書に記載されるように本方法の実施形態を実行するようにプログラムされる。
【0063】
サンプル塗装プロセスに割り当てられる塗布プロセスバイアス115からサンプルオフセット110を解放するために、サンプル塗装プロセスを使用して基材上に塗布されるそれぞれのサンプルコーティングの測定された色と、物理モデル240を使用して決定されるそれぞれのサンプルコーティングの予測された色と、の差を決定することが提案される。したがって、実際の物理モデル240は基準塗装プロセスを使用するという仮定に基づいているため、物理モデルを用いて予測を行う場合、サンプル塗装プロセスを考慮することと、すべて共通の基準塗装プロセスによって基材上に塗布された、既知の配合と既知の反射率データを有する既存のレットダウン/試験片のデータに基づいて決定される着色剤の特定の光学特性を含むデータベース220を使用することとが重要である。サンプル塗装プロセスの考慮は、物理モデル240のさらなる入力パラメータとして、サンプル塗布適合パラメータを決定することによって達成される。これらのサンプル塗布適合パラメータは、それぞれ既存のサンプル塗料コーティングの、既存の着色ステップのデータに基づいて計算される。
【0064】
これらのサンプル塗料コーティングは、サンプル塗装プロセスを用いて基材上に塗布される。サンプル塗料コーティングのそれぞれのサンプル色203が測定される。それぞれのサンプル塗料コーティングのそれぞれの色配合202のデータが提供され、該それぞれの色配合202は、含まれるすべての着色剤、着色剤1、着色剤2、着色剤3、・・・着色剤nとそれぞれの濃度、c1、c2、c3、・・・、cnを規定する。
【0065】
サンプル塗料コーティングの色配合202のデータは、コンピュータプロセッサ210の少なくとも1つのインターフェース211を介して受信される。さらに、サンプル塗料コーティングの測定された色203は、コンピュータプロセッサ210の少なくとも1つのインターフェース211を介して受信される。
【0066】
数値的方法230及び物理モデル240は提供され、コンピュータプロセッサ210上に実装される。数値的方法230は、所定の初期塗布適合パラメータのセットから開始して、所定のコスト関数を最小化することによって塗布適合パラメータを最適化するように構成される。初期塗布適合パラメータは、中立パラメータである。つまり、初期塗布適合パラメータの使用は、基準塗装プロセスを使用した場合と等しい色予測を生じることを意味する。所定のコスト関数は、既存のサンプル塗料コーティングのそれぞれ1つの測定された色203とそれぞれのサンプル塗料コーティングの予測された色との間の色距離として選択される。物理モデル240は、入力パラメータとして、それぞれのサンプル塗料コーティングの色配合202、それぞれのサンプル塗料コーティングの色配合202に使用される個々の色成分の特定の光学データ、及び最適化の過程で生じるそれぞれの予備的な塗布適合パラメータを用いることによって、それぞれのサンプル塗料コーティングの色を予測するように構成される。特定の光学データは、データベース220から検索される。着色剤の特定の光学特性は、すべてが共通の基準塗装プロセスによって基材上に塗布された、既知の配合と既知の反射率データを有する既存のレットダウン/試験片のデータに基づいて決定される。したがって、物理モデル240の色予測は、この基準塗装プロセスと関連している。着色剤の光学定数/データは、最終塗料層の反射特性に対する基準塗装プロセスの影響を含んでいる。
【0067】
コンピュータプロセッサ210を使用し、コンピュータプロセッサ210上に実装され実行される数値的方法230及び物理モデル240を使用することにより、塗布適合パラメータ205は、所定のコスト関数が所定の閾値を下回るまで、それぞれのサンプル塗料コーティングの再帰的に予測された色を、それぞれのサンプル塗料コーティングの測定された色203と比較することにより計算される。所定の閾値は動的に決定されることもでき、例えばこれ以上改善できない最小化の特定の状態を示すことができる。
【0068】
計算された最適化塗布適合パラメータ205は、利用可能にされ、さらなるインターフェース212を介して、ディスプレイなどの出力装置に任意に出力される。これらの計算された最適化された塗布適合パラメータ205は、サンプル塗装プロセスに対して特徴的である。塗布適合パラメータ205は、
図3に示されるように、測定されたサンプル色と色調整方法における第1ソリューションの予測されたサンプル色との差としてサンプルオフセットを決定するときに、物理モデル240の入力パラメータとして使用される。塗布適合パラメータ205を使用することにより、測定されたサンプル色と予測されたサンプル色の両方は、同じサンプル塗装プロセスに関連する。したがって、測定されたサンプル色と予測されたサンプル色との間の差は、サンプル塗装プロセスの影響を取り除かれることができる。
【0069】
所定の目標色300のための色調整プロセスは、サンプル301、例えば既存の着色ステップ、又は、配合データベースにおける検索結果を第1ソリューションとして開始する。これまでは、モデルバイアスがサンプル配合に近いすべての配合ついて一定であるという仮定に色調整アルゴリズムが基づいているため、既存のサンプルは基準塗装プロセスで塗布されている必要があった。しかし、既に説明したように、実際のサンプル又はサンプルコーティングは、一般的に基準塗布プロセスで塗布されず、サンプルオフセットのシステム的バイアスに寄与する原因となるサンプル塗装プロセスで塗布される。このサンプルオフセットへのサンプル塗装プロセスの寄与を考慮しない場合、色調整プロセスの結果は著しく不正確なものとなる。
【0070】
第1ソリューション301は、典型的には、目標色300に十分に近くない。第1ソリューション301の調整は、予測反射率データ306と第1ソリューション301についての測定反射率データ303との間のオフセット310が考慮されるところに適用される。
【0071】
したがって、調整された配合は、目標色300と、予測された反射率データ306と第1ソリューション301の測定された反射率データ303との間のオフセット310の関数である。第1ソリューション301の測定された反射率データ303が、塗装プロセスの変動によって引き起こされるバイアスを含む場合、このエラーは、反復カラーマッチングプロセスの次の配合に伝播することになる。
【0072】
そこで、最初の反復ステップ、すなわち第1ソリューション301を検討する際に、既に塗装プロセスの多様性を考慮することにより、このような塗装プロセスのバイアス115を回避することが提案される。
【0073】
塗装プロセスに依存しないオフセット310は、第1ソリューション301に基づいて計算される。第1ソリューション301のサンプル配合302は既知である。第1ソリューション301は、サンプル塗装プロセスを用いて基材上に塗料コーティングとして塗布され、その色が測定される。第1ソリューション301の測定された色303が提供される。測定された色303は、真の色304、システム的バイアス305、及び統計的エラー306を含む。さらに、物理モデル240は、既知の配合302に基づいて、第1ソリューション301の色を予測するために使用される。物理モデル240はデータベース220を使用し、したがって、基準塗装プロセスに関連しているため、サンプル塗装プロセスは、物理モデル240と
図2で説明したように決定されるサンプル塗布適合パラメータ205を組み合わせることによって、考慮される。第1ソリューション301の予測された色306は、今や、基礎となる配合302がサンプル塗装プロセスを用いて基材上に塗料コーティングとして塗布されるという仮定で、予測される。したがって、測定された色303と予測された色307の両方は、同じサンプル塗装プロセスを参照する。したがって、測定された色303と予測された色307との間の差としてのオフセット310は、基礎となるサンプル塗装プロセスから独立である。このオフセット310は、今や、反復色調整プロセスに使用されることができる。
【0074】
第1ソリューション301は典型的には目標色300に十分近くないため、物理モデル240が、反復によって最適化された配合350を得るために、数値最適化アルゴリズム230と組み合わされて使用される。最適化された配合350は、含まれるすべての着色剤、着色剤1、着色剤2、着色剤3、・・・着色剤nとそれぞれの濃度、c1、c2、c3、・・・、cnを規定している。物理モデル240は、色予測のための基礎としてまたデータベース220を使用する。目標色300と計算されたオフセット310は、モデルバイアスと統計的エラーを考慮するために、組み合わされて使用される。サンプルと目標色300の配合については、両方が類似していると仮定される。
【0075】
目標色300及びオフセット310は、インターフェース211を介して、物理モデル240及び数値最適化アルゴリズム230が実装され実行されているコンピュータプロセッサ210によって受信される。基準塗装プロセスを用いて基材上に塗布されたときの、色が目標色300に一致する塗料コーティングのための配合350を決定するために、目標色300、オフセット310及びデータベース220からの利用可能な着色剤の特定の光学定数が用いられ、最適化配合350が反復的に決定される。この配合350と、基準塗装プロセスを用いて塗布されたときの予測された色351は、インターフェース212を介して出力デバイスに出力されることができる。予測された色351は、基準塗装プロセスを用いて基材上に塗布されるときの最適化された配合物350の真の色352と、サンプルの統計的エラー353とから構成されている。サンプル塗布バイアス115が除去されたオフセット310が含まれることにより、サンプル塗装プロセスバイアス354はもはや存在しない。
【符号の説明】
【0076】
100 測定サンプル色
101 真の色
110 オフセット
111 システム的バイアス
112 統計的エラー、統計的バイアス
113 器具
114 モデルバイアス
115 塗布プロセスバイアス
200 システム
202 色配合
203 測定された色
205 サンプル塗布適合パラメータ
210 コンピュータプロセッサ
211 (入力)インターフェース
212 (出力)インターフェース
220 データベース
230 数値最適化アルゴリズム
240 物理モデル
300 目標色
301 サンプル、サンプルコーティング
302 サンプル配合
303 測定サンプル色
304 真の色
305 システム的バイアス
306 統計的エラー
307 予測サンプル色(サンプル塗装プロセス用)
310 サンプル塗布適合パラメータ
350 最適化された配合
351 基準塗装プロセスにおける予測された色
352 真の色
353 サンプルの統計的エラー
354 サンプルの塗布プロセスバイアス