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特許7608618通信制御方法、中継ノード、ドナーノード、通信システム、プログラム、及びチップセット
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-20
(45)【発行日】2025-01-06
(54)【発明の名称】通信制御方法、中継ノード、ドナーノード、通信システム、プログラム、及びチップセット
(51)【国際特許分類】
   H04W 8/24 20090101AFI20241223BHJP
   H04W 92/20 20090101ALI20241223BHJP
   H04W 40/22 20090101ALI20241223BHJP
   H04W 16/26 20090101ALI20241223BHJP
【FI】
H04W8/24
H04W92/20 110
H04W40/22
H04W16/26
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2023540343
(86)(22)【出願日】2022-08-01
(86)【国際出願番号】 JP2022029548
(87)【国際公開番号】W WO2023013604
(87)【国際公開日】2023-02-09
【審査請求日】2024-02-01
(31)【優先権主張番号】P 2021127856
(32)【優先日】2021-08-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000006633
【氏名又は名称】京セラ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001106
【氏名又は名称】弁理士法人キュリーズ
(72)【発明者】
【氏名】藤代 真人
【審査官】松野 吉宏
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2019/216717(WO,A1)
【文献】Samsung,Topology adaptation enhancements,3GPP TSG RAN WG2#114-e R2-2105782,フランス,3GPP,2021年05月10日
【文献】Intel Corporation,Dual-parent IAB-node topology adaptation enhancement,3GPP TSG RAN WG2#114-e R2-2104879,フランス,3GPP,2021年05月11日
【文献】Nokia, Nokia Shanghai Bell,Summary of 8.4.3: Topology Adaptation Enhancements,3GPP TSG RAN WG2#114-e R2-2106485,フランス,3GPP,2021年05月18日
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04B 7/24 - 7/26
H04W 4/00 - 99/00
3GPP TSG RAN WG1-4
SA WG1-4
CT WG1、4
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
セルラ通信システムで用いられる通信制御方法であって、
中継ノードが、BAP(Backhaul Adaptation Protocol)ヘッダ書き替え機能をサポートしていることを示す情報を、ドナーノードへ送信することを有する、
通信制御方法。
【請求項2】
前記中継ノードが、トポロジ間ルーティングに関する設定に従い、データパケットを転送すること、を更に有し、
前記中継ノードは、第1トポロジと第2トポロジとの境界に位置する中継ノードであって、
前記設定は、前記第1トポロジのルーティングIDを適用するのではなく、前記第2トポロジのルーティングIDを適用することを示す情報を含む、
請求項1記載の通信制御方法。
【請求項3】
前記転送することは、前記中継ノードが、前記データパケットに含まれるルーティングIDを前記第1トポロジ―に関するルーティングIDから前記第2トポロジに関するルーティングIDへ書き換えることを含む
請求項2記載の通信制御方法。
【請求項4】
セルラ通信システムで用いられる通信制御方法であって、
ドナーノードが、BAP(Backhaul Adaptation Protocol)ヘッダ書き替え機能をサポートしていることを示す情報を中継ノードから受信することと、
前記ドナーノードが、トポロジ間ルーティングに関する設定を前記中継ノードに行うことと、を含み、
前記中継ノードは、第1トポロジと第2トポロジとの境界に位置する中継ノードであって、
前記設定は、前記第1トポロジのルーティングIDを適用するのではなく、前記第2トポロジのルーティングIDを適用することを示す情報を含む
通信制御方法。
【請求項5】
セルラ通信システムの中継ノードであって、
BAP(Backhaul Adaptation Protocol)ヘッダ書き替え機能をサポートしていることを示す情報を、ドナーノードへ送信する送信部を有する、
中継ノード。
【請求項6】
セルラ通信システムにおけるドナーノードであって、
BAP(Backhaul Adaptation Protocol)ヘッダ書き替え機能をサポートしていることを示す情報を中継ノードから受信する受信部と、
トポロジ間ルーティングに関する設定を前記中継ノードに行う制御部と、を有し、
前記中継ノードは、第1トポロジと第2トポロジとの境界に位置する中継ノードであり、
前記設定は、前記第1トポロジのルーティングIDを適用するのではなく、前記第2トポロジのルーティングIDを適用することを示す情報を含む
ドナーノード。
【請求項7】
中継ノードと、
ドナーノードと、を有するセルラ通信システムであって、
前記中継ノードは、BAP(Backhaul Adaptation Protocol)ヘッダ書き替え機能をサポートしていることを示す情報を、前記ドナーノードへ送信する
セルラ通信システム。
【請求項8】
中継ノードと、
ドナーノードと、を有するセルラ通信システムであって、
前記ドナーノードは、BAP(Backhaul Adaptation Protocol)ヘッダ書き替え機能をサポートしていることを示す情報を中継ノードから受信し、
前記ドナーノードは、トポロジ間ルーティングに関する設定を前記中継ノードに行い、
前記中継ノードは、第1トポロジと第2トポロジとの境界に位置する中継ノードであって、
前記設定は、前記第1トポロジのルーティングIDを適用するのではなく、前記第2トポロジのルーティングIDを適用することを示す情報を含む
セルラ通信システム。
【請求項9】
セルラ通信システムにおける中継ノードのコンピュータに、
BAP(Backhaul Adaptation Protocol)ヘッダ書き替え機能をサポートしていることを示す情報を、ドナーノードへ送信する処理、を実行させる
プログラム。
【請求項10】
セルラ通信システムにおけるドナーノードのコンピュータに、
BAP(Backhaul Adaptation Protocol)ヘッダ書き替え機能をサポートしていることを示す情報を中継ノードから受信する処理と、
トポロジ間ルーティングに関する設定を前記中継ノードに行う処理と、を実行させ、
前記中継ノードは、第1トポロジと第2トポロジとの境界に位置する中継ノードであり、
前記設定は、前記第1トポロジのルーティングIDを適用するのではなく、前記第2トポロジのルーティングIDを適用することを示す情報を含む
プログラム。
【請求項11】
セルラ通信システムにおける中継ノードのチップセットであって、
BAP(Backhaul Adaptation Protocol)ヘッダ書き替え機能をサポートしていることを示す情報を、ドナーノードへ送信する処理を実行する
チップセット。
【請求項12】
セルラ通信システムにおけるドナーノードのチップセットであって、
BAP(Backhaul Adaptation Protocol)ヘッダ書き替え機能をサポートしていることを示す情報を中継ノードから受信する処理と、
トポロジ間ルーティングに関する設定を前記中継ノードに行う処理と、を実行し、
前記中継ノードは、第1トポロジと第2トポロジとの境界に位置する中継ノードであり、
前記設定は、前記第1トポロジのルーティングIDを適用するのではなく、前記第2トポロジのルーティングIDを適用することを示す情報を含む
チップセット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、セルラ通信システムに用いる通信制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
セルラ通信システムの標準化プロジェクトである3GPP(Third Generation Partnership Project)において、IAB(Integrated Access and Backhaul)ノードと呼ばれる新たな中継ノードの導入が検討されている。1又は複数の中継ノードが、基地局とユーザ装置との間の通信に介在し、この通信に対する中継を行う。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0003】
【文献】3GPP TS 38.300 V16.6.0 (2021-06)
【発明の概要】
【0004】
第1の態様に係る通信制御方法は、セルラ通信システムで用いる通信制御方法である。前記通信制御方法は、中継ノードが、BAP(Backhaul Adaptation Protocol)ヘッダ書き替え機能をサポートしていることを示す情報を、ドナーノードへ送信するステップと、前記ドナーノードが、前記中継ノードに対して、トポロジ間ルーティングに関する設定を行うことと、前記中継ノードが、前記トポロジ間ルーティングに関する設定に従い、データパケットを転送することと、を有する。
【0005】
第2の態様に係る通信制御方法は、セルラ通信システムで用いる通信制御方法である。前記通信制御方法は、ドナーノードは、ルーティングIDと対応付けた代替ルーティングID(alternative Routing ID)を中継ノードに設定することを有する。また、前記通信制御方法は、中継ノードが、データパケットを代替パスへ転送するローカルリルーティングを実行することを決定することを有する。更に、前記通信制御方法は、中継ノードが、他の中継ノードからデータパケットを受信することを有する。更に、前記通信制御方法は、中継ノードが、代替ルーティングIDを使用することができない場合、データパケットに含まれる宛先アドレスと一致する宛先アドレスを含む他のルーティングIDを使用して、ローカルリルーティングを実行することを有する。
【0006】
第3の態様に係る通信制御方法は、セルラ通信システムで用いる通信制御方法である。前記通信制御方法は、ドナーノードは、複数の代替ルーティングIDを中継ノードに設定することを有する。また、前記通信制御方法は、中継ノードが、データパケットを代替パスへ転送するローカルリルーティングを実行することを決定することを有する。更に、前記通信制御方法は、中継ノードが、他の中継ノードからデータパケットを受信することを有する。更に、前記通信制御方法は、中継ノードは、複数の代替ルーティングIDのいずれかを使用して、ローカルリルーティングを実行することを有する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1図1は、一実施形態に係るセルラ通信システムの構成例を示す図である。
図2図2は、IABノードと親ノード(Parent nodes)と子ノード(Child nodes)との関係を示す図である。
図3図3は、一実施形態に係るgNB(基地局)の構成例を示す図である。
図4図4は、一実施形態に係るIABノード(中継ノード)の構成例を示す図である。
図5図5は、一実施形態に係るUE(ユーザ装置)の構成例を示す図である。
図6図6は、IAB-MTのRRC接続及びNAS接続に関するプロトコルスタックの例を示す図である。
図7図7は、F1-Uプロトコルに関するプロトコルスタックの例を示す図である。
図8図8は、F1-Cプロトコルに関するプロトコルスタックの例を示す図である。
図9図9は、第1実施形態に係るトポロジ間ルーティングの例を表す図である。
図10図10は、第1実施形態に係る動作例を表す図である。
図11図11は、第2実施形態に係る動作例を表す図である。
図12図12は、第3実施形態に係る動作例を表す図である。
図13図13は、第4実施形態に係るIABノード間の関係例を表す図である。
図14図14は、第4実施形態に係る動作例を表す図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本開示は、パケットの転送制御が適切に行われる通信制御方法を提供することを目的とする。
【0009】
図面を参照しながら、実施形態に係るセルラ通信システムについて説明する。図面の記載において、同一又は類似の部分には同一又は類似の符号を付している。
【0010】
(セルラ通信システムの構成)
一実施形態に係るセルラ通信システムの構成例について説明する。一実施形態に係るセルラ通信システム1は3GPPの5Gシステムである。具体的には、セルラ通信システム1における無線アクセス方式は、5Gの無線アクセス方式であるNR(New Radio)である。但し、セルラ通信システム1には、LTE(Long Term Evolution)が少なくとも部分的に適用されてもよい。また、セルラ通信システム1は、6Gなど、将来のセルラ通信システムも適用されてよい。
【0011】
図1は、一実施形態に係るセルラ通信システム1の構成例を示す図である。
【0012】
図1に示すように、セルラ通信システム1は、5Gコアネットワーク(5GC)10と、ユーザ装置(UE:User Equipment)100、基地局装置(以下、「基地局」と称する場合がある。)200-1,200-2、及びIABノード300-1,300-2を有する。基地局200は、gNBと呼ばれる場合がある。
【0013】
以下において、基地局200がNR基地局である一例について主として説明するが、基地局200がLTE基地局(すなわち、eNB)であってもよい。
【0014】
なお、以下において、基地局200-1,200-2をgNB200(又は基地局200)、IABノード300-1,300-2をIABノード300とそれぞれ称する場合がある。
【0015】
5GC10は、AMF(Access and Mobility Management Function)11及びUPF(User Plane Function)12を有する。AMF11は、UE100に対する各種モビリティ制御等を行う装置である。AMF11は、NAS(Non-Access Stratum)シグナリングを用いてUE100と通信することにより、UE100が在圏するエリアの情報を管理する。UPF12は、ユーザデータの転送制御等を行う装置である。
【0016】
各gNB200は、固定の無線通信ノードであって、1又は複数のセルを管理する。セルは、無線通信エリアの最小単位を示す用語として用いられる。セルは、UE100との無線通信を行う機能又はリソースを示す用語として用いられることがある。1つのセルは1つのキャリア周波数に属する。以下では、セルと基地局とを区別しないで用いる場合がある。
【0017】
各gNB200は、NGインターフェイスと呼ばれるインターフェイスを介して5GC10と相互に接続される。図1において、5GC10に接続された2つのgNB200-1及びgNB200-2を例示している。
【0018】
各gNB200は、集約ユニット(CU:Central Unit)と分散ユニット(DU:Distributed Unit)とに分割されていてもよい。CU及びDUは、F1インターフェイスと呼ばれるインターフェイスを介して相互に接続される。F1プロトコルは、CUとDUとの間の通信プロトコルであって、制御プレーンのプロトコルであるF1-CプロトコルとユーザプレーンのプロトコルであるF1-Uプロトコルとがある。
【0019】
セルラ通信システム1は、バックホールにNRを用いてNRアクセスの無線中継を可能とするIABをサポートする。ドナーgNB200-1(又はドナーノード。以下、「ドナーノード」と称する場合がある。)は、ネットワーク側のNRバックホールの終端ノードであり、IABをサポートする追加機能を備えたドナー基地局である。バックホールは、複数のホップ(すなわち、複数のIABノード300)を介するマルチホップが可能である。
【0020】
図1において、IABノード300-1がドナーノード200-1と無線で接続し、IABノード300-2がIABノード300-1と無線で接続し、F1プロトコルが2つのバックホールホップで伝送される一例を示している。
【0021】
UE100は、セルとの無線通信を行う移動可能な無線通信装置である。UE100は、gNB200又はIABノード300との無線通信を行う装置であればどのような装置であってもよい。例えば、UE100は、携帯電話端末やタブレット端末、ノートPC、センサ若しくはセンサに設けられる装置、車両若しくは車両に設けられる装置、飛行体若しくは飛行体に設けられる装置である。UE100は、アクセスリンクを介してIABノード300又はgNB200に無線で接続する。図1において、UE100がIABノード300-2と無線で接続される一例を示している。UE100は、IABノード300-2及びIABノード300-1を介してドナーノード200-1と間接的に通信する。
【0022】
図2は、IABノード300と親ノード(Parent nodes)と子ノード(Child nodes)との関係例を示す図である。
【0023】
図2に示すように、各IABノード300は、基地局機能部に相当するIAB-DUとユーザ装置機能部に相当するIAB-MT(Mobile Termination)とを有する。
【0024】
IAB-MTのNR Uu無線インターフェイス上の隣接ノード(すなわち、上位ノード)は、親ノードと呼ばれる。親ノードは、親IABノード又はドナーノード200のDUである。IAB-MTと親ノードとの間の無線リンクは、バックホールリンク(BHリンク)と呼ばれる。図2において、IABノード300の親ノードがIABノード300-P1及び300-P2である一例を示している。なお、親ノードへ向かう方向は、アップストリーム(upstream)と呼ばれる。UE100から見て、UE100の上位ノードは親ノードに該当し得る。
【0025】
IAB-DUのNRアクセスインターフェイス上の隣接ノード(すなわち、下位ノード)は、子ノードと呼ばれる。IAB-DUは、gNB200と同様に、セルを管理する。IAB-DUは、UE100及び下位のIABノードへのNR Uu無線インターフェイスを終端する。IAB-DUは、ドナーノード200-1のCUへのF1プロトコルをサポートする。図2において、IABノード300の子ノードがIABノード300-C1~300-C3である一例を示しているが、IABノード300の子ノードにUE100が含まれてもよい。なお、子ノードへ向かう方向は、ダウンストリーム(downstream)と呼ばれる。
【0026】
(基地局の構成)
次に、実施形態に係る基地局であるgNB200の構成について説明する。図3は、gNB200の構成例を示す図である。図3に示すように、gNB200は、無線通信部210と、ネットワーク通信部220と、制御部230とを有する。
【0027】
無線通信部210は、UE100との無線通信及びIABノード300との無線通信を行う。無線通信部210は、受信部211及び送信部212を有する。受信部211は、制御部230の制御下で各種の受信を行う。受信部211はアンテナを含み、アンテナが受信する無線信号をベースバンド信号(受信信号)に変換(ダウンコンバート)して制御部230に出力する。送信部212は、制御部230の制御下で各種の送信を行う。送信部212はアンテナを含み、制御部230が出力するベースバンド信号(送信信号)を無線信号に変換(アップコンバート)してアンテナから送信する。
【0028】
ネットワーク通信部220は、5GC10との有線通信(又は無線通信)及び隣接する他のgNB200との有線通信(又は無線通信)を行う。ネットワーク通信部220は、受信部221及び送信部222を有する。受信部221は、制御部230の制御下で各種の受信を行う。受信部221は、外部から信号を受信して受信信号を制御部230に出力する。送信部222は、制御部230の制御下で各種の送信を行う。送信部222は、制御部230が出力する送信信号を外部に送信する。
【0029】
制御部230は、gNB200における各種の制御を行う。制御部230は、少なくとも1つのメモリと、メモリと電気的に接続された少なくとも1つのプロセッサとを含む。メモリは、プロセッサにより実行されるプログラム、及びプロセッサによる処理に用いられる情報を記憶する。プロセッサは、ベースバンドプロセッサとCPUとを含んでもよい。ベースバンドプロセッサは、ベースバンド信号の変調・復調及び符号化・復号等を行う。CPUは、メモリに記憶されるプログラムを実行して各種の処理を行う。プロセッサは、後述する各レイヤの処理を行う。また、制御部230は、各実施形態において、gNB200における各処理又は各動作を行ってもよい。
【0030】
(中継ノードの構成)
次に、実施形態に係る中継ノード(又は中継ノード装置。以下、「中継ノード」と称する場合がある。)であるIABノード300の構成について説明する。図4は、IABノード300の構成例を示す図である。図4に示すように、IABノード300は、無線通信部310と、制御部320とを有する。IABノード300は、無線通信部310を複数有していてもよい。
【0031】
無線通信部310は、gNB200との無線通信(BHリンク)及びUE100との無線通信(アクセスリンク)を行う。BHリンク通信用の無線通信部310とアクセスリンク通信用の無線通信部310とが別々に設けられていてもよい。
【0032】
無線通信部310は、受信部311及び送信部312を有する。受信部311は、制御部320の制御下で各種の受信を行う。受信部311はアンテナを含み、アンテナが受信する無線信号をベースバンド信号(受信信号)に変換(ダウンコンバート)して制御部320に出力する。送信部312は、制御部320の制御下で各種の送信を行う。送信部312はアンテナを含み、制御部320が出力するベースバンド信号(送信信号)を無線信号に変換(アップコンバート)してアンテナから送信する。
【0033】
制御部320は、IABノード300における各種の制御を行う。制御部320は、少なくとも1つのメモリと、メモリと電気的に接続された少なくとも1つのプロセッサとを含む。メモリは、プロセッサにより実行されるプログラム、及びプロセッサによる処理に用いられる情報を記憶する。プロセッサは、ベースバンドプロセッサ及びCPUを含んでもよい。ベースバンドプロセッサは、ベースバンド信号の変調・復調及び符号化・復号等を行う。CPUは、メモリに記憶されるプログラムを実行して各種の処理を行う。プロセッサは、後述する各レイヤの処理を行う。また、制御部320は、各実施形態において、IABノード300における各処理又は各動作を行ってもよい。
【0034】
(ユーザ装置の構成)
次に、実施形態に係るユーザ装置であるUE100の構成について説明する。図5は、UE100の構成例を示す図である。図5に示すように、UE100は、無線通信部110と、制御部120とを有する。
【0035】
無線通信部110は、アクセスリンクにおける無線通信、すなわち、gNB200との無線通信及びIABノード300との無線通信を行う。また、無線通信部110は、サイドリンクにおける無線通信、すなわち、他のUE100との無線通信を行ってもよい。無線通信部110は、受信部111及び送信部112を有する。受信部111は、制御部120の制御下で各種の受信を行う。受信部111はアンテナを含み、アンテナが受信する無線信号をベースバンド信号(受信信号)に変換(ダウンコンバート)して制御部120に出力する。送信部112は、制御部120の制御下で各種の送信を行う。送信部112はアンテナを含み、制御部120が出力するベースバンド信号(送信信号)を無線信号に変換(アップコンバート)してアンテナから送信する。
【0036】
制御部120は、UE100における各種の制御を行う。制御部120は、少なくとも1つのメモリと、メモリと電気的に接続された少なくとも1つのプロセッサとを含む。メモリは、プロセッサにより実行されるプログラム、及びプロセッサによる処理に用いられる情報を記憶する。プロセッサは、ベースバンドプロセッサ及びCPUを含んでもよい。ベースバンドプロセッサは、ベースバンド信号の変調・復調及び符号化・復号等を行う。CPUは、メモリに記憶されるプログラムを実行して各種の処理を行う。プロセッサは、後述する各レイヤの処理を行う。また、制御部130は、以下に示す各実施形態において、UE100における各処理を行うようにしてもよい。
【0037】
(プロトコルスタックの構成)
次に、実施形態に係るプロトコルスタックの構成について説明する。図6は、IAB-MTのRRC接続及びNAS接続に関するプロトコルスタックの例を示す図である。
【0038】
図6に示すように、IABノード300-2のIAB-MTは、物理(PHY)レイヤと、MAC(Medium Access Control)レイヤと、RLC(Radio Link Control)レイヤと、PDCP(Packet Data Convergence Protocol)レイヤと、RRC(Radio Resource Control)レイヤと、NAS(Non-Access Stratum)レイヤとを有する。
【0039】
PHYレイヤは、符号化・復号、変調・復調、アンテナマッピング・デマッピング、及びリソースマッピング・デマッピングを行う。IABノード300-2のIAB-MTのPHYレイヤとIABノード300-1のIAB-DUのPHYレイヤとの間では、物理チャネルを介してデータ及び制御情報が伝送される。
【0040】
MACレイヤは、データの優先制御、ハイブリッドARQ(HARQ)による再送処理、及びランダムアクセスプロシージャ等を行う。IABノード300-2のIAB-MTのMACレイヤとIABノード300-1のIAB-DUのMACレイヤとの間では、トランスポートチャネルを介してデータ及び制御情報が伝送される。IAB-DUのMACレイヤはスケジューラを含む。スケジューラは、上下リンクのトランスポートフォーマット(トランスポートブロックサイズ、変調・符号化方式(MCS))及び割当リソースブロックを決定する。
【0041】
RLCレイヤは、MACレイヤ及びPHYレイヤの機能を利用してデータを受信側のRLCレイヤに伝送する。IABノード300-2のIAB-MTのRLCレイヤとIABノード300-1のIAB-DUのRLCレイヤとの間では、論理チャネルを介してデータ及び制御情報が伝送される。
【0042】
PDCPレイヤは、ヘッダ圧縮・伸張、及び暗号化・復号化を行う。IABノード300-2のIAB-MTのPDCPレイヤとドナーノード200のPDCPレイヤとの間では、無線ベアラを介してデータ及び制御情報が伝送される。
【0043】
RRCレイヤは、無線ベアラの確立、再確立及び解放に応じて、論理チャネル、トランスポートチャネル、及び物理チャネルを制御する。IABノード300-2のIAB-MTのRRCレイヤとドナーノード200のRRCレイヤとの間では、各種設定のためのRRCシグナリングが伝送される。ドナーノード200とのRRC接続がある場合、IAB-MTはRRCコネクティッド状態である。ドナーノード200とのRRC接続がない場合、IAB-MTはRRCアイドル状態である。
【0044】
RRCレイヤの上位に位置するNASレイヤは、セッション管理及びモビリティ管理等を行う。IABノード300-2のIAB-MTのNASレイヤとAMF11との間では、NASシグナリングが伝送される。
【0045】
図7は、F1-Uプロトコルに関するプロトコルスタックを示す図である。図8は、F1-Cプロトコルに関するプロトコルスタックを示す図である。ここでは、ドナーノード200がCU及びDUに分割されている一例を示す。
【0046】
図7に示すように、IABノード300-2のIAB-MT、IABノード300-1のIAB-DU、IABノード300-1のIAB-MT、及びドナーノード200のDUの各々は、RLCレイヤの上位レイヤとしてBAP(Backhaul Adaptation Protocol)レイヤを有する。BAPレイヤは、ルーティング処理及びベアラマッピング・デマッピング処理を行うレイヤである。バックホールでは、IPレイヤがBAPレイヤを介して伝送されることにより、複数のホップでのルーティングが可能になる。
【0047】
各バックホールリンクにおいて、BAPレイヤのPDU(Protocol Data Unit)は、バックホールRLCチャネル(BH NR RLCチャネル)によって伝送される。各BHリンクで複数のバックホールRLCチャネルを構成することにより、トラフィックの優先順位付け及びQoS制御が可能である。BAP PDUとバックホールRLCチャネルとの対応付けは、各IABノード300のBAPレイヤ及びドナーノード200のBAPレイヤによって実行される。
【0048】
図8に示すように、F1-Cプロトコルのプロトコルスタックは、図7に示すGTP-Uレイヤ及びUDPレイヤに代えて、F1APレイヤ及びSCTPレイヤを有する。
【0049】
なお、以下においては、IABのIAB-DUとIAB-MTで行われる処理又は動作について、単に「IAB」の処理又は動作として説明する場合がある。例えば、IABノード300-1のIAB-DUが、IABノード300-2のIAB-MTへBAPレイヤのメッセージを送信することを、IABノード300-1がIABノード300-2へ、当該メッセージを送信するものとして説明する。また、ドナーノード200のDU又はCUの処理又は動作についても、単に「ドナーノード」の処理又は動作として説明する場合がある。
【0050】
また、アップストリーム方向とアップリンク(UL)方向とを区別しないで用いる場合がある。更に、ダウンストリーム方向とダウンリンク(DL)方向とを区別しないで用いる場合がある。
【0051】
[第1実施形態]
次に、第1実施形態について説明する。
【0052】
最初に、第1実施形態におけるルーティング、ローカルリルーティング(local rerouting)、及びトポロジ間ルーティング(inter-topology routing)について説明する。
【0053】
(ルーティングについて)
IABノード300におけるルーティングについて説明する。
【0054】
BAPレイヤの機能の1つに、次ホップへのパケットのルーティング機能がある。複数のIABノード300によって形成されたネットワークにおいて、各IABノード300は、受信したパケットを次ホップへ転送することで、最終的には、宛先IABノード300(又ドナーノード200)へパケットを送信させることができる。ルーティングは、例えば、受信したパケットをどのIABノード300へ転送するかを制御することである。
【0055】
パケットのルーティングは、例えば、以下のようにして行われる。すなわち、ドナーノード200のIAB-CUは、各IABノード300のIAB-DUに対して、ルーティング設定を提供する。提供するルーティング設定は、ルーティングIDと次ホップのBAPアドレスとを含む。ルーティングIDは、宛先BAPアドレス(Destination)とパスID(Path ID)とから構成される。各IABノード300は、パケット(BAPパケット)を受信すると、当該パケットにヘッダに含まれる、ルーティングIDを抽出し、抽出したルーティングIDから宛先BAPアドレスを取得する。各IABノード300は、宛先BAPアドレスと、自IABノード300のBAPアドレスとが一致するか否かを判定する。各IABノード300は、宛先BAPアドレスが自BAPアドレスと一致するときは、データパケットが目的地に到達したと判定する。他方、各IABノード300は、宛先BAPアドレスが自BAPアドレスと一致しないときは、ルーティング設定に従って、次ホップのBAPアドレスのIABノード300へ、パケットを転送する。
【0056】
このように、各IABノード300は、ドナーノード200によって設定されたルーティング設定に従って、受信したBAPパケットを次ホップへ転送し、宛先BAPアドレスへ向けて送信するようにしている。
【0057】
(ローカルリルーティングについて)
次に、ローカルリルーティングについて説明する。
【0058】
複数のIABノード300から構成されたネットワークにおいて、IABノード300間のバックホールリンクでBH RLF(Backhaul Radio Link Failure)が発生する場合がある。BH RLFは回線障害の1つである。
【0059】
複数のIABノード300によってパケットを次々と転送させるマルチホップネットワークでは、データパケットを、代替パス(alternative path)を介して宛先IABノード300(又はドナーノード200)へ転送させることができる。回線障害が発生しても、同じ宛先IABノード300への代替パスがあれば、回線障害が発生したパスを回避して、データパケットを宛先IABノードへ送信することが可能である。代替パスを利用してデータパケットを転送することを、ローカルリルーティングと称する場合がある。ローカルリルーティングは、ドナーノード200によって設定されたルーティング設定を無視して、代替パスを選択することで行われる。もしくは、ローカルリルーティングは、ドナーノード200によって設定された代替パス候補の中から代替パスを選択することで行われてもよい。
【0060】
IABノード300は、例えば、以下のようにして、ローカルリルーティングを行う。すなわち、IABノード300は、データパケット(BAPパケット)を他のIABノードから受信する。IABノード300は、受信したBAPパケットのBAPヘッダからルーティングIDを抽出する。IABノード300は、当該ルーティングIDから宛先BAPアドレス(Destination)を抽出する。IABノード300は、宛先BAPアドレスと同じBAPアドレスを含む、他のルーティングIDを選択する。他のルーティングIDは、ドナーノード200によって、予めIABノード300に設定されている。IABノード300は、選択した他のルーティングIDを使用して、受信したBAPパケットを、宛先BAPへ向けて送信(転送)する。
【0061】
ドナーノード200が、代替パスを設定した場合のローカルリルーティングは、例えば、以下のようにして行われる。すなわち、ドナーノード200が、ローカルリルーティングで使用される代替パスのルーティングIDを、IABノード300に設定する。IABノード300は、ローカルリルーティング対象のBAPパケットからルーティングIDを抽出し、抽出したルーティングIDに対応する代替パスのルーティングIDを選択する。IABノード300は、選択した代替パスのルーティングIDを利用して、パケットを転送する。
【0062】
以下において、ドナーノード200が、ローカルリルーティング用に設定した代替パスのルーティングIDを、代替ルーティングID(alternative Routing ID)と呼ぶ。代替ルーティングIDも、ルーティングIDと同様に、宛先BAPアドレスとパスIDとにより構成される。
【0063】
代替ルーティングIDが設定されたIABノード300は、BAPパケットのルーティングIDに含まれる宛先BAPアドレスを確認することなく、当該ルーティングIDと対応する代替ルーティングIDを用いて、ローカルリルーティングを実行できる。そのため、IABノード300では、遅延を抑制し、処理軽減を図ることが可能となる。
【0064】
(トポロジ間ルーティング)
次に、トポロジ間ルーティングについて説明する。
【0065】
図9は、第1実施形態に係るトポロジ間ルーティングの例を表す図である。
【0066】
1つ又は複数のホップを介して、ドナーノード200に接続されている全てのIABノード300は、ドナーノード200をルートとする有向非巡回グラフ(DAG:Directed Acyclic Graph)トポロジ(以下、「トポロジ」と称する場合がある。)を形成する。1つのトポロジには、1つのドナーノード200が含まれる。図9では、ドナーノード200-1をルートとするトポロジTP1と、ドナーノード200-2をルートとするトポロジTP2が形成される例を表している。
【0067】
例えば、トポロジTP1内のIABノード300においてRLFが発生したと仮定する。この場合、RLFが発生したパスを避けて、他のトポロジTP2内の宛先ノードへパケットを転送した方が、迅速にサービスが復旧する場合がある。また、トポロジTP1とトポロジTP2の負荷バランシングのために、例えば、トポロジTP1で発生したパケットをトポロジTP2経由で転送することで、トポロジTP1の通信負荷を下げる場合がある。
【0068】
そこで、トポロジ間ルーティングによって、パケットの転送制御が行われる場合がある。トポロジ間ルーティングは、あるトポロジTP1から他のトポロジTP2へパケットを転送する制御を行うことである。
【0069】
上述したように、BAPパケット(BAP PDU)のBAPヘッダには、ルーティングIDが含まれる。ルーティングIDは、基本的には、ドナーノード200によって設定される。そのため、ルーティングIDは、当該ドナーノード200のトポロジ内で用いられる。
【0070】
トポロジ間ルーティングが行われる場合、トポロジ(又はドナーノード200)が変更される。そのため、ルーティングIDが変更される。つまり、トポロジ間ルーティングによって、宛先BAPアドレス(Destination)とパスIDとが変更される。
【0071】
IABノード300では、BAPパケットのBAPヘッダに含まれるルーティングIDを、変更後のルーティングIDに書き替ええることで、ルーティングIDの変更を行うことが可能となる。BAPヘッダに含まれるルーティングIDを、変更後のルーティングIDに書き替えることを、BAPヘッダ書き替え(BAP Header rewriting)と称する場合がある。IABノード300は、BAPヘッダ書き替え機能を有しているため、ルーティングIDの書き替えを行うことが可能となる。
【0072】
また、BAPヘッダ書き替えは、他のトポロジとの境界に位置するIABノード300で行われてもよい。トポロジの境界に位置するIABノード300を、境界(boundary)IABノードと称する場合がある。図9は、IABノード300-Bが境界IABノードとして、BAPヘッダ書き替え機能を有する例を表している。そして、図9では、IABノード300-BがBAPヘッダ書き替え機能によりルーティングIDを書き替えたBAPパケットを、他のトポロジTP2内の宛先ノードへ向けて送信(転送)する例を表している。
【0073】
なお、BAPヘッダ書き替えは、ローカルリルーティングにおいても行われる場合がある。すなわち、ローカルリルーティングでは、対象となるBAPパケットに含まれるルーティングIDとは異なるルーティングIDが用いられる。そのため、IABノード300は、ローカルリルーティングを行う場合、BAPヘッダ書き替えを行って、変更後のルーティングIDを含むBAPパケットを転送することが可能である。
【0074】
(第1実施形態に係る通信制御方法)
トポロジ間ルーティングが行われる場合、ドナーノード200-1は、トポロジTP1内のIABノード300-Bに対して、トポロジ間ルーティングに関する設定を行う必要がある。
【0075】
しかし、設定対象のIABノード300-Bが、BAPヘッダ書き替え機能を有していない場合、ドナーノード200-1は、当該IABノード300-Bに対して、トポロジ間ルーティングに関する設定を効率的に行うことができない場合がある。
【0076】
そこで、第1実施形態では、IABノード300-Bは、ドナーノード200-1に対して、BAPヘッダ書き替え機能を有しているか否かを示す情報を送信する。
【0077】
具体的には、第1に、中継ノード(例えば、IABノード300-B)が、BAPヘッダ書き替え機能をサポートしていることを示す情報を、ドナーノード(例えば、ドナーノード200-1)へ送信する。第2に、ドナーノードが、中継ノードに対して、所定の設定を行う。第3に、中継ノードが、当該所定の設定に従い、データパケットを転送する。ここで、当該所定の設定は、トポロジ間でデータパケットを転送するトポロジ間ルーティングに関する設定と、データパケットを代替パスへ転送するローカルリルーティングに関する設定の少なくともいずれか1つである。
【0078】
このように、ドナーノード200-1は、IABノード300-BからBAPヘッダ書き替え機能をサポートしていることを示す情報を受信できる。そのため、ドナーノード200-1は、当該IABノード300-Bに対して、トポロジ間ルーティングに関する設定とローカルリルーティングに関する設定の少なくとも1つの設定を効率的に行うことが可能となる。従って、パケットの転送制御を効率的に行うことが可能となる。
【0079】
(第1実施形態に係る動作例)
図10は、第1実施形態に係る動作例を表す図である。
【0080】
図10に示すように、ステップS10において、IABノード300-Bは、処理を開始する。
【0081】
ステップS11において、IABノード300-Bは、BAPヘッダ書き替え機能をサポートしていることを示す情報をドナーノード200-1へ送信する。IABノード300-Bは、BAPヘッダ書き替え機能をサポートしているか否かを示す情報をドナーノード200-1へ送信してもよい。
【0082】
なお、IABノード300-BのIAB-MTは、ドナーノード200-1のCUへ、UE能力情報(UE Capability Information)メッセージ、又はUEアシスト情報(UE Assistance Information)メッセージなどのRRCメッセージに、当該情報を含め送信してもよい。或いは、IABノード300-BのIAB-DUは、当該情報を含むF1APメッセージを、ドナーノード200-1のCUへ送信してもよい。
【0083】
ステップS12において、ドナーノード200-1は、当該情報を受信すると、当該IABノード300-Bに対して、所定の設定を行う。ここで、所定の設定は、(A1)トポロジ間ルーティングに関する設定と、(A2)ローカルリルーティングに関する設定の少なくともいずれか1つである。
【0084】
(A1)トポロジ間ルーティングに関する設定は、例えば、以下となる。
【0085】
すなわち、第1に、ドナーノード200-1は、IABノード300-Bに対して、ドナーノード200-1をマスターノード、他のトポロジTP2のドナーノード200-2をセカンダリノードとする二重接続方式(DC:Dual Connectivity)を設定する。これにより、IABノード300-Bは、ドナーノード200-2と直接接続可能となるため、トポロジTP1の境界に位置する境界IABノードとなり得る。また、IABノード300-Bは、代替パスを確保することも可能となる。
【0086】
第2に、ドナーノード200-1は、IABノード300-1に対して、トポロジ間ルーティングテーブルの設定を行う。トポロジ間ルーティングテーブルには、自トポロジTP1におけるルーティングIDと、当該ルーティングIDと対応する他トポロジTP2におけるルーティングIDとを含んでもよい。或いは、トポロジ間ルーティングテーブルは、自トポロジTP1におけるルーティングIDを含まないで、他トポロジTP2におけるルーティングIDを含んでもよい。IABノード300-Bでは、当該ルーティングテーブルを利用して、他トポロジTP2へのルーティングIDを取得して、BAPヘッダ書き替え機能を実行することができる。
【0087】
(A2)ローカルリルーティングに関する設定は、例えば、以下となる。
【0088】
すなわち、第1に、ドナーノード200-1は、IABノード300-Bに対して、DC設定を行ってもよい。DC設定は、ドナーノード200-1と、トポロジTP1内のIABノードとのDC設定でもよい。又は、DC設定は、自トポロジTP1内のIABノードと、他トポロジTP2のIABノード(又はドナーノード200-2)とのDC設定でもよい。いずれの場合であっても、ドナーノード200-1は、DC設定により、ローカルリルーティング用の代替パスを設定することが可能となる。
【0089】
第2に、ドナーノード200-1は、IABノード300-Bに対して、代替ルーティングIDを設定する。この際、ドナーノード200-1は、ルーティングID毎に、当該ルーティングIDと紐づいた代替ルーティングIDを設定する。これにより、IABノード300-Bは、ローカルリルーティング対象のBAPパケットに対して、当該BAPパケットから抽出したルーティングIDに対応する代替ルーティングIDを使用して、ローカルリルーティングを実行することが可能となる。
【0090】
ステップS13において、IABノード300-Bは、所定の設定に従って、トポロジ間ルーティングとローカルリルーティングの少なくとも1つを実行する。IABノード300-Bは、トポロジ間ルーティングテーブルに基づいて、トポロジ間ルーティングの対象となるBAPパケットのBAPヘッダに含まれるルーティングIDを書き替える。そして、IABノード300-Bは、書き替え後のBAPパケットをドナーノード200-2へ送信する。また、IABノード300-Bは、ローカルリルーティング対象となるBAPパケットのBAPヘッダに含まれるルーティングIDを、代替ルーティングIDに書き替える。そして、IABノード300-Bは、書き替え後のBAPパケットを、代替パスを利用して送信する。
【0091】
そして、ステップS14において、IABノード300-Bは、一連の処理を終了する。
【0092】
[第2実施形態]
次に、第2実施形態について説明する。
【0093】
上述したように、ローカルリルーティングの動作において、IABノード300が、BAPヘッダからルーティングIDを抽出し、ルーティングIDに含まれる宛先BAPアドレス(Destination)と同一の他のルーティングIDを選択する動作が行われる場合がある。
【0094】
また、上述したように、ローカルリルーティングの動作において、IABノード300がドナーノード200によって設定された代替ルーティングIDを用いて動作が行われる場合がある。
【0095】
現在、3GPPでは、後者の場合について検討が行われている。ローカルリルーティングの動作に関して、前者の動作を「Rel-16の動作」、後者の動作を「Rel-17の動作」とそれぞれ称する場合がある。
【0096】
第2実施形態では、IABノード300-Bは、Rel-17の動作によりローカルリルーティングを行うが、代替ルーティングIDが使用不可能な場合、Rel-16の動作にフォールバックする実施形態である。
【0097】
具体的には、第1に、ドナーノード(例えば、ドナーノード200)は、ルーティングIDと対応付けた代替ルーティングIDを中継ノード(例えば、IABノード300)に設定する。第2に、中継ノードが、データパケットを代替パスへ転送するローカルリルーティングを実行することを決定する。第3に、中継ノードが、他の中継ノードからデータパケットを受信する。第4に、中継ノードが、代替ルーティングIDを使用することができない場合、データパケットに含まれる宛先アドレスと一致する宛先アドレスを含む他のルーティングIDを使用して、ローカルリルーティングを実行する。
【0098】
これにより、IABノード300は、代替ルーティングIDを使用することができない場合でも、Rel-16の動作を行うことで、ローカルリルーティングを実行することが可能となる。よって、パケットの転送制御を効率的に行うことが可能となる。
【0099】
(第2実施形態に係る動作例)
図11は、第2実施形態に係る動作例を表す図である。
【0100】
図11に示すように、ステップS20において、ドナーノード200は処理を開始する。
【0101】
ステップS21において、ドナーノード200は、代替ルーティングIDをIABノード300に設定する。ドナーノード200は、ローカルリルーティング対象となるルーティングIDと紐付けて(又は対応させるように)代替ルーティングIDを設定する。ドナーノード200は、ローカルリルーティング対象となるルーティングID毎に、代替ルーティングIDを設定することになる。
【0102】
なお、ドナーノード200のCUは、IABノード300のIAB-DUに対して、当該設定に関する情報を含むF1APメッセージを送信することで、当該設定を行ってもよい。また、ドナーノード200のCUは、IABノード300のIAB-MTに対して、当該設定に関する情報を含むRRCメッセージを送信することで、当該設定を行ってもよい。
【0103】
ステップS22において、IABノード300は、所定の条件を検知すると、ローカルリルーティングを実行することを決定する。所定の条件は、IABノード300において、upstreamにおける所定の条件と、downstreamにおける所定の条件がある。
【0104】
upstreamでの所定の条件は、BH RLFの検知、Type4 BH RLF Indicationの受信、Type2 BH RLF Indicationの受信、及びUL flow control feedbackの受信のいずれか1つである。
【0105】
BH RLFは、IABノード300のIAB-MTがバックホールリンクで検出する回線障害の1つである。Type4 BH RLF Indicationは、BH RLFのリカバリに失敗したことを示す失敗通知である。Type2 BH RLF Indicationは、BH RLFからの回復を試行中であることを示す障害発生通知である。UL flow control feedbackは、Rel-17において導入予定のフロー制御フィードバックであって、IABノード300が子ノードへ送信するフロー制御フィードバックである。
【0106】
一方、downstreamでの所定の条件は、DL flow control feedbackの受信と、何らの通信異常のいずれか1つである。
【0107】
DL flow control feedbackは、IABノード300のバッファ負荷がある閾値を超える等の場合にIABノード300のIAB-MTがIABノード300の親ノードへ送信するフロー制御フィードバックである。
【0108】
IABノード300は、所定の条件のうちいずれかを検知すると、ローカルリルーティングを実行することを決定する。
【0109】
ステップS23において、IABノード300は、ドナーノード200によって設定された代替ルーティングIDが使用可能か否かを判定する。例えば、IABノード300は、ステップS22における所定の条件のいずれについても検知していないルート(又はパス、或いはリンク)が存在する場合に、当該ルートに対応する代替ルーティングIDは使用可能と判定してもよい。
【0110】
また、IABノード300は、ドナーノード200から設定された代替ルートが存在する場合に、当該ルートに対応する代替ルーティングIDは使用可能と判断してもよい。
【0111】
更に、IABノード300は、ドナーノード200から設定された代替ルート(の一部又は全て)がステップS22における所定の条件のいずれかひとつ以上を検知している場合に、当該ルートに対応する代替ルーティングIDは使用不可能と判定してもよい。
【0112】
更に、IABノード300は、ドナーノード200から代替ルートが設定されていない場合に、当該ルートに対応する代替ルーティングIDは使用不可能と判定してもよい。
【0113】
IABノード300は、ステップS23において、代替ルーティングIDは使用可能と判定すると(ステップS23においてYES)、処理はステップS24へ移行する。一方、IABノード300は、ステップS23において、代替ルーティングIDは使用不可能と判定すると(ステップS23においてNO)、処理はステップS26へ移行する。
【0114】
ステップS24において、IABノード300は、代替ルーティングIDを使用して、ローカルリルーティングを実行する。例えば、IABノード300は、ローカルリルーティング対象のルーティングIDを含むBAPパケット(BAP PDU)を他のIABノードから受信すると、当該ルーティングIDと紐づけられた代替ルーティングIDを使用して、当該BAPパケットを転送する。代替ルーティングIDに含まれる宛先BAPアドレスは、当該ルーティングIDに含まれる宛先BAPアドレスと同一であって、パスIDが異なるものとなっている。そのため、IABノード300は、代替ルーティングIDに含まれるパスIDと対応するパスへ、当該BAPパケットを送信すればよい。なお、IABノード300は、第1実施形態で説明したBAPヘッダ書き替えを実行してもよい。具体的には、宛先BAPアドレスは同一であるため、パスIDを代替ルーティングIDのパスIDに書き替える。
【0115】
そして、ステップS25において、IABノード300は、一連の処理を終了する。
【0116】
一方、ステップS26において、IABノード300は、Rel-16の動作にフォールバックする。すなわち、IABノード300は、ドナーノード200によって設定された代替ルーティングIDは使用不可能であるため、ローカルリルーティング対象のBAPパケット(BAP PDU)からルーティングIDを抽出し、当該ルーティングIDに含まれる宛先BAPアドレスと一致する他のルーティングIDを選択する。そして、IABノード300は、選択した他のルーティングIDを使用して、当該BAPパケットを送信する。
【0117】
なお、ステップS26は、ステップS24とは異なり、IABノード300は、BAPヘッダ書き替えを実行しなくてもよい。つまり、送信するBAPパケットのヘッダのルーティングIDは、送信するルーティングIDとは異なる。具体的には、宛先BAPアドレスは同一であるが、パスIDが異なるものとなっている。
【0118】
そして、ステップS25において、IABノード300は、一連の処理を終了する。
【0119】
[第3実施形態]
次に、第3実施形態について説明する。
【0120】
第2実施形態においては、IABノード300は、代替ルーティングIDが使用可能か否かを判定し、代替ルーティングIDが使用不可能な場合は、Rel-16の動作を行う例について説明した。
【0121】
例えば、ドナーノード200が、IABノード300に対して、予め複数の代替ルーティングIDを設定することができれば、IABノード300では、代替ルーティングIDを使用してローカルリルーティングを行う(すなわち、Rel-17の動作を行う)確率を高めることができる。
【0122】
そこで、第3実施形態では、ドナーノード200が、IABノード300に対して、複数の代替ルーティングIDを設定する。
【0123】
具体的には、第1に、ドナーノード(例えば、ドナーノード200)が、複数の代替ルーティングIDを中継ノード(例えば、IABノード300)に設定する。第2に、中継ノードが、データパケットを代替パスへ転送するローカルリルーティングを実行することを決定する。第3に、中継ノードが、他の中継ノードからデータパケットを受信する。第4に、中継ノードは、複数の代替ルーティングIDのいずれかを使用して、ローカルリルーティングを実行する。
【0124】
これにより、例えば、複数の代替ルーティングIDが設定されるため、Rel-17の動作を行う確率を高めることができ、パケットの転送制御を効率的に行うことが可能となる。
【0125】
(第3実施形態に係る動作例)
図12は、第3実施形態に係る動作例を表す図である。
【0126】
図12に示すように、ステップS30において、ドナーノード200は、処理を開始する。
【0127】
ステップS31において、ドナーノード200は、複数の代替ルーティングIDをIABノード300に設定する。複数の代替ルーティングIDは、リスト形式で設定されてもよい。リスト形式となっている複数の代替ルーティングIDのエントリ順が使用優先度となっていてもよい。使用優先度が高い代替ルーティングIDから順番にリストに加える(又はコンパイル)ようにしてもよい。ドナーノード200のCUは、第2実施形態(図11のステップS21)と同様に、RRCメッセージ、又はF1APメッセージなどを利用して設定してもよい。
【0128】
ステップS32において、当該設定を受けたIABノード300は、所定の条件を検知することより、ローカルリルーティングを実行することを決定する。所定の条件は、第2実施形態(図11のステップS22)と同様である。
【0129】
ステップS33において、IABノード300は、複数の代替ルーティングIDから使用可能な代替ルーティングIDを選択する。例えば、IABノード300は、複数の代替ルーティングIDの各々について、使用可能な否かを判定して、使用可能な代替ルーティングIDを選択する。IABノード300は、複数の代替ルーティングIDがリスト形式で示されている場合、最初のエントリとして示された代替ルーティングIDから順番に使用可能か否かを判定し、最初に使用可能と判定した代替ルーティングIDを、使用可能な代替ルーティングIDとして選択してもよい。使用可能か否かは、第2実施形態(図11のステップS23)と同様であってもよい。
【0130】
なお、IABノード300は、複数の代替ルーティングIDの全てが使用不可能と判定すると、第2実施形態(図11のステップS26)と同様に、Rel-16の動作にフォールバックしてもよい。
【0131】
ステップS34において、IABノード300は、他のIABノードから、ローカルリルーティング対象のBAPパケット(BAP PDU)を受信すると、選択した代替ルーティングIDを使用して、ローカルリルーティングを実行する。代替ルーティングIDを用いたローカルリルーティング自体は、第2実施形態(図11のステップS24)と同様であってもよい。
【0132】
そして、ステップS35において、IABノード300は、一連の処理を終了する。
【0133】
[第4実施形態]
次に、第4実施形態について説明する。
【0134】
図13は、第4実施形態に係るIABノード間の関係例を表す図である。
【0135】
図13に示すように、IABノード300-1には、DCが設定される。例えば、マスターノードがIABノード300-P1となる。また、セカンダリノードがIABノード300-P2となる。この場合、IABノード(マスターノード)300-P1が、マスターセルグループ(MCG)を管理する。また、IABノード(セカンダリノード)300-P2が、セカンダリセルグループ(SCG)を管理する。IABノード300-P1とIABノード300-P2は、IABノード300-1の親ノードである。
【0136】
そして、IABノード300-1とIABノード300-P1との間のBHリンク#1と、IABノード300-1とIABノード300-P2との間のBHリンク#2のいずれかでBH RLFが発生したと仮定する。BHリンク#1で発生したBH RLFを「MCG BH RLF」と称する場合がある。また、BHリンク#2で発生したBH RLFを「SCG BH RLF」と称する場合がある。
【0137】
このような状況で、第4実施形態では、以下の2つのシナリオを想定している。すなわち、第1シナリオは、IABノード300-1がMCG BH RLFとSCG BH RLFのいずれかを検知した場合のIABノード300-1に対する代替ルーティングIDの設定である。第2シナリオは、親ノードであるIABノード300-1においてMCG BH RLFとSCG BH RLFのいずれかを検知した場合のIABノード300-2に対する代替ルーティングIDの設定である。
【0138】
第4実施形態では、ドナーノード200がセルグループ毎の代替ルーティングIDを設定する実施形態である。具体的には、ドナーノード(例えば、ドナーノード200)が、セルグループ毎の代替ルーティングIDを中継ノード(例えば、IABノード300-1又はIABノード300-2)に設定する。
【0139】
これにより、例えば、ドナーノード200は、当該代替ルーティングIDを、IABノード300-1とIABノード300-2とで異なるものとして設定することができる。従って、ドナーノード200は、第1シナリオと第2シナリオを考慮した当該代替ルーティングIDを設定できる。
【0140】
また、例えば、ドナーノード200は、MCG BH RLFに対するローカルリルーティングと、SCG BH RLFに対するローカルリルーティングとで、異なる代替ルーティングIDを設定できる。従って、IABノード300-1は、MCG BH RLFとSCG BH RLFの各々に応じたローカルリルーティングを実行でき、受信したパケットを適切に転送することが可能となる。
【0141】
(第4実施形態の動作例)
図14は、第4実施形態に係る動作例を表す図である。
【0142】
図14に示すように、ステップS40において、ドナーノード200は、処理を開始する。
【0143】
ステップS41において、ドナーノード200は、IABノード300に対して、セルグループ(CG)毎に代替ルーティングIDを設定する。例えば、ドナーノード200は、MCG BH RLFに対しては第1代替ルーティングIDを設定し、SCG BH RLFに対しては第2代替ルーティングIDを設定する。
【0144】
CG毎の代替ルーティングIDの設定には、ドナーノード200が、(B1)IABノード300-1に対して設定するのか、(B2)IABノード300-2に対して設定するのか、のいずれかを示す情報を含んでもよい。ドナーノード200は、(B1)の場合と(B2)の場合とで、更に、以下の情報を設定してもよい。
【0145】
(B1)IABノード300-1に設定する場合
ドナーノード200が、IABノード300-1に対して設定する場合は、IABノード300-1自身がBH RLFを検出した場合である。これは、第1シナリオに対応する。ドナーノード200は、MCG BH RLFに対しては第1代替ルーティングIDを設定し、SCG BH RLFに対しては第2代替ルーティングIDを設定してもよい。
【0146】
(B2)IABノード300-2に設定する場合
一方、ドナーノード200が、IABノード300-2に対して設定する場合は、IABノード300-2がIABノード300-1からType2 BH RLF Indicationを受信した場合である(例えば図13)。これは、第2シナリオに対応する。ドナーノード200は、親ノード300-1におけるMCG BH RLFに対しては、第3代替ルーティングIDを設定し、親ノード300-1におけるSCG BH RLFに対しては第4代替ルーティングIDを設定してもよい。この場合、第3代替ルーティングIDは、親ノード300-1においてMCG BH RLFが発生した場合に、親ノード300-1の子ノードであるIABノード300-2に適用する代替ルーティングIDとなっている。また、第4代替ルーティングIDは、親ノード300-1においてSCG BH RLFが発生した場合に、親ノード300-1の子ノードであるIABノード300-2に適用する代替ルーティングIDとなっている。
【0147】
IABノード300は、上記(B1)と(B2)を考慮して、第1シナリオ用(自BH RL検出用)として、第1代替ルーティングIDと第2代替ルーティングIDとを設定するとともに、第2シナリオ用(親ノード300-1がBH RLFを検出)として、第3代替ルーティングIDと第4代替ルーティングIDとを設定してもよい。
【0148】
ステップS42において、IABノード300-1又はIABノード300-2は、ローカルリルーティングを実行することを決定する。IABノード300-1は、MCG BH RLFとSCG BH RLFのいずれか1つを検出した場合に、ローカルリルーティングを実行することを決定する。また、IABノード300-2は、親ノード300-1からType2 BH RLF Indicationを受信した場合に、ローカルリルーティングを実行することを決定する。なお、Type2 BH RLF Indicationには、親ノードであるIABノード300-1において、MCG側でBH RLF(MCG BH RLF)が発生したのか、又は、SCG側でBH RLF(SCG BH RLF)が発生したのか、を示す情報が含まれてもよい。或いは、Type2 BH RLF Indicationとともに当該情報が送信されてもよい。
【0149】
ステップS43において、IABノード300-1又はIABノード300-2は、ローカルリルーティング対象のBAPパケット(BAP PDU)を受信すると、当該BAPパケットに対して、CG毎の代替ルーティングIDを用いてローカルリルーティングを実行する。
【0150】
例えば、IABノード300-1は、MCG BH RLFを検出した場合、第1代替ルーティングIDを使用して、ローカルリルーティングを実行する。
【0151】
また、例えば、IABノード300-1は、SCG BH RLFを検出した場合、第2代替ルーティングIDを使用して、ローカルリルーティングを実行する。
【0152】
更に、例えば、IABノード300-2は、親ノードであるIABノード300-1から、Type2 IndicationとともにIABノード300-1においてMCG BH RLFが発生したことを示す情報を受信した場合、第3代替ルーティングIDを使用してローカルリルーティングを実行する。
【0153】
更に、例えば、IABノード300-2は、親ノードであるIABノード300-1から、Type2 IndicationとともにIABノード300-1においてSCG BH RLFが発生したことを示す情報を受信した場合、第4代替ルーティングIDを使用してローカルリルーティングを実行する。
【0154】
代替ルーティングIDを用いたローカルリルーティング自体の動作は、第2実施形態(図11のステップS24)と同様であってよい。
【0155】
そして、ステップS44において、IABノード300-1又はIABノード300-2は、一連の処理を終了する。
【0156】
[その他の実施形態]
UE100又はgNB200が行う各処理をコンピュータに実行させるプログラムが提供されてもよい。プログラムは、コンピュータ読取り可能媒体に記録されていてもよい。コンピュータ読取り可能媒体を用いれば、コンピュータにプログラムをインストールすることが可能である。ここで、プログラムが記録されたコンピュータ読取り可能媒体は、非一過性の記録媒体であってもよい。非一過性の記録媒体は、特に限定されるものではないが、例えば、CD-ROMやDVD-ROM等の記録媒体であってもよい。
【0157】
また、UE100又はgNB200が行う各処理を実行する回路を集積化し、UE100又はgNB200の少なくとも一部を半導体集積回路(チップセット、SoC)として構成してもよい。
【0158】
本開示で使用されている「に基づいて(based on)」、「に応じて(depending on)」という記載は、別段に明記されていない限り、「のみに基づいて」、「のみに応じて」を意味しない。「に基づいて」という記載は、「のみに基づいて」及び「に少なくとも部分的に基づいて」の両方を意味する。同様に、「に応じて」という記載は、「のみに応じて」及び「に少なくとも部分的に応じて」の両方を意味する。また、「取得する(obtain/acquire)」は、記憶されている情報の中から情報を取得することを意味してもよく、他のノードから受信した情報の中から情報を取得することを意味してもよく、又は、情報を生成することにより当該情報を取得することを意味してもよい。「含む(include)」、「備える(comprise)」、及びそれらの変形の用語は、列挙する項目のみを含むことを意味せず、列挙する項目のみを含んでもよいし、列挙する項目に加えてさらなる項目を含んでもよいことを意味する。また、本開示において使用されている用語「又は(or)」は、排他的論理和ではないことが意図される。さらに、本開示で使用されている「第1」、「第2」などの呼称を使用した要素へのいかなる参照も、それらの要素の量又は順序を全般的に限定するものではない。これらの呼称は、2つ以上の要素間を区別する便利な方法として本明細書で使用され得る。したがって、第1及び第2の要素への参照は、2つの要素のみがそこで採用され得ること、又は何らかの形で第1の要素が第2の要素に先行しなければならないことを意味しない。本開示において、例えば、英語でのa,an,及びtheのように、翻訳により冠詞が追加された場合、これらの冠詞は、文脈から明らかにそうではないことが示されていなければ、複数のものを含むものとする。
【0159】
以上、図面を参照して一実施形態について詳しく説明したが、具体的な構成は上述のものに限られることはなく、要旨を逸脱しない範囲内において様々な設計変更等をすることが可能である。また、矛盾しない範囲で、各実施形態の全部又は一部を組み合わせることも可能である。
【0160】
本願は、日本国特許出願第2021-127856号(2021年8月3日出願)の優先権を主張し、その内容の全てが本願明細書に組み込まれている。
【符号の説明】
【0161】
1 :移動通信システム
10 :5GC
100 :UE
110 :無線通信部
120 :制御部
200(200-1~200-3) :gNB(ドナーノード)
210 :無線通信部
220 :ネットワーク通信部
230 :制御部
300(300-1,300-2,300-P1,300-P2):IABノード
310 :無線通信部
320 :制御部
図1
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