(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-20
(45)【発行日】2025-01-06
(54)【発明の名称】情報提供システム
(51)【国際特許分類】
G06Q 30/0251 20230101AFI20241223BHJP
【FI】
G06Q30/0251
(21)【出願番号】P 2024065409
(22)【出願日】2024-04-15
【審査請求日】2024-04-15
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】505391160
【氏名又は名称】株式会社トライアルカンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】110001461
【氏名又は名称】弁理士法人きさ特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】加藤 了
(72)【発明者】
【氏名】辻 隆太郎
【審査官】渡邉 加寿磨
(56)【参考文献】
【文献】特開2023-154121(JP,A)
【文献】特開2022-174992(JP,A)
【文献】特開2022-082282(JP,A)
【文献】特開2010-176510(JP,A)
【文献】特開2019-040242(JP,A)
【文献】特開2020-009195(JP,A)
【文献】特開2005-176206(JP,A)
【文献】特開2016-018438(JP,A)
【文献】特開2016-095741(JP,A)
【文献】特開2008-287570(JP,A)
【文献】特開2020-176960(JP,A)
【文献】国際公開第2013/147004(WO,A1)
【文献】特開2021-111164(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
商品の画像と、前記商品に関する文字情報と、を含む通常コンテンツを表示するサイネージ装置と、
利用者の識別情報を発信する端末装置と、
前記利用者の前記識別情報及び嗜好性情報、並びに前記商品の在庫を管理する管理サーバと、
前記利用者の画像情報を取得する情報取得装置と、を備え、
前記サイネージ装置は、前記端末装置から前記識別情報を受信した場合に、前記通常コンテンツを、前記利用者に応じたカスタムコンテンツに切り替えるものであり、
前記カスタムコンテンツは、前記通常コンテンツと同じ前記文字情報を含み、前記商品の前記画像が前記識別情報に基づき取得された前記利用者の嗜好性情報に基づき変更されたものであり、
前記嗜好性情報は、前記利用者の家族の嗜好性情報を含み、
前記カスタムコンテンツは、前記家族の前記嗜好性情報に基づき変更されたものであり、
前記カスタムコンテンツは、前記商品の位置情報を含み、
前記位置情報は、前記商品の在庫の有無に応じて異なるものであり、
前記商品の在庫がある場合の前記位置情報は、前記商品の店舗内の陳列位置に関する情報であり、
前記商品の在庫がない場合の前記位置情報は、ECサイトへ誘導する情報であ
り、
前記カスタムコンテンツは、さらに前記画像情報の分析結果によっても変更されるものであり、
前記サイネージ装置は、前記画像情報の分析結果を前記管理サーバに送信し、
前記管理サーバは、前記画像情報の分析結果を前記嗜好性情報として記憶するものであり、
前記商品は衣料品であり、
前記嗜好性情報は、前記衣料品に関する好きな丈の長さ、好きなシルエット、及び重視する内容を含み、
前記重視する内容は、前記衣料品の機能性又は価格を含む情報提供システム。
【請求項2】
前記嗜好性情報は、
前記利用者の年齢、性別、身長、及び体格の少なくとも何れか一つを
さらに含む請求項1に記載の情報提供システム。
【請求項3】
前記商品は、試着するための梱包されていないサンプル品と、パッケージに梱包されたパッケージ品とからなり、
前記商品の在庫がある場合、前記パッケージ品の前記位置情報が前記カスタムコンテンツに表示される請求項1又は2に記載の情報提供システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、店舗等で用いられるサイネージなどの情報を提供する情報提供システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、駅又は店舗など施設に表示装置を設置して広告又はニュースなどの情報を発信するサイネージシステムなどの情報提供システムが知られている。また、サイネージシステムを用いて利用者の購買意欲を向上させる方法も提案されている。例えば、特許文献1では、サイネージ装置から所定距離の範囲内にある携帯端末を検出し、当該携帯端末の範囲内の滞在時間が設定時間以上である場合に、サイネージに関連付けられた特典情報を出力することが提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
通常のサイネージ装置においては、表示するコンテンツの内容及び表示時間は、コンテンツの配信者によって決定される。そのため、表示されているサイネージが利用者の興味を引くものでない場合は、利用者はサイネージを見ずに通過してしまうため、特許文献1のように特典情報を設けた場合も滞在時間の要件が満たされず、購買意欲を向上させることができない。
【0005】
本発明は、上記のような課題を解決するためのものであり、利用者の購買意欲を向上させることができる情報提供システムを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る情報提供システムは、商品の画像と、商品に関する文字情報と、を含む通常コンテンツを表示するサイネージ装置と、利用者の識別情報を発信する端末装置と、利用者の識別情報及び嗜好性情報、並びに商品の在庫を管理する管理サーバと、利用者の画像情報を取得する情報取得装置と、を備え、サイネージ装置は、端末装置から識別情報を受信した場合に、通常コンテンツを、利用者に応じたカスタムコンテンツに切り替えるものであり、カスタムコンテンツは、通常コンテンツと同じ文字情報を含み、商品の画像が識別情報に基づき取得された利用者の嗜好性情報に基づき変更されたものであり、嗜好性情報は、利用者の家族の嗜好性情報を含み、カスタムコンテンツは、家族の嗜好性情報に基づき変更されたものであり、カスタムコンテンツは、商品の位置情報を含み、位置情報は、商品の在庫の有無に応じて異なるものであり、商品の在庫がある場合の位置情報は、商品の店舗内の陳列位置に関する情報であり、商品の在庫がない場合の位置情報は、ECサイトへ誘導する情報であり、カスタムコンテンツは、さらに画像情報の分析結果によっても変更されるものであり、サイネージ装置は、画像情報の分析結果を管理サーバに送信し、管理サーバは、画像情報の分析結果を嗜好性情報として記憶するものであり、商品は衣料品であり、嗜好性情報は、衣料品に関する好きな丈の長さ、好きなシルエット、及び重視する内容を含み、重視する内容は、衣料品の機能性又は価格を含む。
【発明の効果】
【0007】
本発明の情報提供システムによれば、利用者の嗜好性情報に基づき変更された商品の画像を含むカスタムコンテンツを表示することで、利用者の購買意欲を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】実施の形態1に係るサイネージシステムの概略構成図である。
【
図3】実施の形態1におけるパッケージ品の一例である。
【
図4】実施の形態1に係るサイネージシステムの制御ブロック図である。
【
図5】実施の形態1に係るサイネージシステムにおけるコンテンツの表示の流れを示す図である。
【
図6】実施の形態1に係るサイネージ装置に表示される通常コンテンツの一例である。
【
図7】実施の形態1に係るサイネージ装置に表示されるカスタムコンテンツの一例である。
【
図8】実施の形態1に係るサイネージ装置1に表示される変更後のカスタムコンテンツの一例である。
【
図9】実施の形態2に係るサイネージシステムの制御ブロック図である。
【
図10】実施の形態2に係るサイネージシステムにおけるコンテンツの表示の流れを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照して、本発明の実施の形態の情報提供システムについて説明する。以下では、情報提供システムの一例として、サイネージシステムについて説明する。なお、各図中、同一又は相当する部分には、同一符号を付して、その説明を適宜省略又は簡略化する。また、各図に記載の構成について、その形状、大きさ及び配置等は、本発明の範囲内で適宜変更することができる。
【0010】
実施の形態1.
図1は、実施の形態1に係るサイネージシステム100の概略構成図である。本実施の形態のサイネージシステム100は、衣料品を販売するアパレル店舗においてサイネージを提供するものである。
図1に示すように、サイネージシステム100は、サイネージ装置1と、端末装置2と、管理サーバ3と、からなる。
図1では、1つのサイネージ装置1を備える場合を例として示しているが、サイネージ装置1の数は2つ以上であってもよい。
【0011】
サイネージ装置1は、アパレル店舗の壁又は棚に設置され、商品である衣料品に関連するコンテンツを表示する。端末装置2は、店舗に買い物に訪れた利用者が所持するタブレット又はスマートフォン等の端末装置である。本実施の形態における端末装置2は、ショッピングカートに搭載され、自ら商品の登録及び決済を行う際に用いられるPOS端末として利用されるタブレットである。サイネージ装置1と端末装置2とは、無線LAN、赤外線又はBluetooth(登録商標)などにより無線通信可能となっている。
【0012】
管理サーバ3は、店舗で取り扱われている商品に関する商品情報、及び店舗を利用する利用者に関する利用者情報を管理するPOSサーバ機能と、サイネージシステム100で表示されるコンテンツを管理するコンテンツサーバ機能とを有している。サイネージ装置1及び端末装置2と、管理サーバ3とは、インターネットなどのネットワーク200を介して有線又は無線通信可能となっている。
【0013】
まず、本実施の形態のサイネージシステム100が設置される店舗について説明する。
図1に示すように、本実施の形態のサイネージシステム100が設置される店舗では、サンプル品50が陳列される棚5と、パッケージ品60が陳列される棚6とに分かれている。サンプル品50は、利用者が肌触り及び質感を確認したり、試着したりするための商品であり、商品の種類及びサイズごとに1着ずつ、梱包されていない状態でハンガーにかけられて棚5に陳列されている。また、パッケージ品60は、利用者が購入する商品であり、パッケージ61に梱包された状態で棚6に陳列されている。なお、サンプル品50及びパッケージ品60の陳列方法は、
図1の例に限定されるものではない。例えばサンプル品50は、棚5とは独立して置かれたシングルハンガーにかけられていてもよい。
【0014】
図2は、実施の形態1のサンプル品50の一例である。
図2に示すように、サンプル品50には、タグ51が取り付けられている。タグ51には、一般的なタグに記載されている商品名、価格及びサイズ等の商品情報に加え、パッケージ品60と紐づけるための識別情報52が記載されている。また、利用者が誤ってサンプル品50を購入しないように、タグ51には、商品の決済に使用されるバーコードは記載されていない。
【0015】
図3は、実施の形態1におけるパッケージ品60の一例である。
図3に示すように、パッケージ品60は、パッケージ61内に畳まれた状態で梱包されている。パッケージ61は、少なくとも一部が透明又は半透明となっている。パッケージ61内には、パッケージ品60に加え、スペックシート62が梱包されている。スペックシート62は、パッケージ品60のタグの代替品であり、一般的なタグに記載されている商品名、価格及びサイズ等の商品情報に加え、サンプル品50と紐づけるための識別情報63が記載されている。識別情報63は例えば棚番号であり、利用者は、サンプル品50を試着し、購入する場合はタグ51の識別情報52と同じ識別情報63を有するパッケージ品60を購入する。
【0016】
上記のように、試着のため又は肌触り等を確認するためのサンプル品50と、実際に購入されるパッケージ品60とを分けることで、以下のような様々な利点がある。まず、利用者は、サンプル品50での試着の後、常に新品であるパッケージ品60を購入することができる。これにより、店員が新品を用意する手間が削減される。また、食品と衣料品との両方を販売している店舗においては、利用者が食品と同じカートに梱包されていない衣料品を入れることに抵抗がある場合もあったが、パッケージ品60とすることで抵抗を軽減することができる。
【0017】
また、店員が品出しをする際、従来は納品された商品の簡易パッケージを開梱し、ハンガーにかけて棚に並べる手間が必要であったが、本実施の形態の場合、パッケージ品60は納品されたままの状態で棚に並べればよい。これにより、品出しの手間が大幅に削減されるとともに、陳列のためのハンガーも不要となるため、コストも削減できる。また、購入品はパッケージ61に梱包されているため、返品の際のダメージが少ない。さらに、商品を圧縮して陳列することが可能となるため、従来に比べ、棚に陳列できる商品の数が増えるとともに、一目で在庫の多少がわかる。
【0018】
続いて、本実施の形態のサイネージシステム100について説明する。
図4は、実施の形態1に係るサイネージシステム100の制御ブロック図である。
図4に示すように、サイネージ装置1は、制御装置11と、記憶装置12と、通信装置13と、表示装置14と、操作装置15と、を備えている。制御装置11、記憶装置12、及び通信装置13は、例えばセットトップボックスとして構成され、表示装置14におけるコンテンツの表示を制御する。
【0019】
制御装置11は、記憶装置12に格納されるプログラムを実行するCPU等のプロセッサ、ASIC又はFPGAなどの専用の処理回路、又はその両方により構成される。制御装置11は、記憶装置12に記憶されたコンテンツの表示情報、及び管理サーバ3から受信した情報に従って、表示装置14におけるコンテンツの表示を制御する。また、制御装置11は、通信装置13及び操作装置15を介して入力された情報を管理サーバ3に送信する。
【0020】
記憶装置12は、RAM等の揮発性メモリ、ROM、HDD、フラッシュメモリ等の不揮発性メモリ、又はその両方からなり、管理サーバ3からダウンロードしたコンテンツと、コンテンツの表示情報とを対応付けて記憶する。また、記憶装置12は、さらに制御装置11で実行される各種プログラム及びプログラムの実行に必要な各種データなどを記憶する。
【0021】
通信装置13は、ネットワーク200を介して管理サーバ3と通信を行い、管理サーバ3からコンテンツ及びコンテンツの表示情報をダウンロードする。また、通信装置13は、端末装置2から送信される情報を受信し、管理サーバ3に転送する。
【0022】
表示装置14は、例えば液晶ディスプレイであり、制御装置11の制御に従い、コンテンツを表示する。操作装置15は、表示装置14と一体に形成されたタッチパネルであり、利用者からの入力を受け付ける。
【0023】
本実施の形態のサイネージ装置1で表示されるコンテンツは、予め設定されたスケジュールに従って表示される通常コンテンツと、サイネージ装置1の近くに端末装置2を所持した利用者がいる場合のカスタムコンテンツとを含む。これらのコンテンツは、動画又は静止画として予め作成され、管理サーバ3からサイネージ装置1に提供され、記憶装置12に記憶される。
【0024】
通常コンテンツは、例えば新商品の広告又は季節ごとのおすすめ商品に関する情報などであり、決められた時間ごとに繰り返し表示される。カスタムコンテンツは、サイネージ装置1の近くの端末装置2から送信される利用者の識別情報に基づき、通常コンテンツをカスタマイズしたものである。コンテンツの表示情報は、通常コンテンツの表示スケジュール、各コンテンツのレイアウト情報などを含む。表示情報は、各コンテンツと対応付けられた状態で管理サーバ3から提供される。
【0025】
端末装置2は、制御装置21と、記憶装置22と、通信装置23と、表示装置24と、操作装置25と、読取装置26と、を備えている。制御装置21は、記憶装置12に格納されるプログラムを実行するCPU等のプロセッサ、ASIC又はFPGAなどの専用の処理回路、又はその両方により構成される。制御装置21は、読取装置26によって読み取られた商品を購入される商品として登録して精算し、精算された商品の決済処理を行う。本実施の形態の端末装置2では、プリペイドカード、クレジットカード、電子マネー、又はバーコードによる決済が可能となっている。記憶装置22は、RAM等の揮発性メモリ、ROM、HDD、フラッシュメモリ等の不揮発性メモリ、又はその両方からなり、制御装置21で実行される各種プログラム及びプログラムの実行に必要な各種データなどを記憶する。
【0026】
通信装置23は、サイネージ装置1及び管理サーバ3と無線通信によってデータの送受信を行うネットワークインターフェースである。通信装置23は、利用者が端末装置2にログインした際に、ログイン時に入力された情報を利用者の識別情報として管理サーバ3に送信する。また、通信装置23は、利用者の識別情報を一定時間間隔でビーコンとして発信する。通信装置23は、端末装置2に商品が登録された際に、登録された商品の情報を登録情報として管理サーバ3に送信し、利用者による決済が行われた際に決済に関する情報を決済情報として管理サーバ3に送信する。
【0027】
表示装置24は、例えば液晶ディスプレイであり、登録される商品の情報、商品の精算及び決済に関する情報、並びに管理サーバ3からの通知等を表示する。操作装置25は、例えば表示装置24と一体に形成されたタッチパネルである。操作装置25は、利用者によって操作され、利用開始の際のログイン、バーコードのない商品の手動登録、支払いの指示、決済方法の選択、及び決済のための情報(暗証番号等)入力のために操作される。
【0028】
読取装置26は、レーザ走査線を商品に照射して、商品に付されたバーコードを読み取る装置である。読取装置26に読み取られた商品の情報は、制御装置21に送信される。また、読取装置26は、プリペイドカード又はクレジットカードの情報を読み取るカードリーダ、電子マネー又はバーコードの情報を読み取るスキャナ、もしくはカメラを備えてもよい。
【0029】
管理サーバ3は、制御装置31と、記憶装置32と、通信装置33と、を備えている。制御装置31は、記憶装置12に格納されるプログラムを実行するCPU等のプロセッサ、ASIC又はFPGAなどの専用の処理回路、又はその両方により構成される。管理サーバ3は、サイネージ装置1で表示されるコンテンツ、利用者に関する利用者情報、及び店舗の商品に関する商品情報を管理する。具体的には、制御装置31は、端末装置2で登録された登録情報の記憶、精算及び決済、並びに利用者の嗜好性情報の抽出及び在庫情報の抽出を行う。
【0030】
記憶装置32は、利用者情報データベース321と、商品情報データベース322と、コンテンツ情報データベース323と、を有している。なお、
図4においては「データベース」を「DB」と略記している。
【0031】
利用者情報データベース321は、端末装置2を利用する利用者の識別情報、名前、住所、及び嗜好性情報などを含む利用者情報を記憶する。嗜好性情報は、衣料品に関する好みを示す情報であり、好きな色味(明るい色、又は暗い色)、好きな丈の長さ、好きなシルエット、重視する内容(機能性又は価格等)などの情報を含む。また、嗜好性情報は、利用者の年齢、性別、身長、及び体格などの情報を含んでいてもよい。これらの情報は、利用者により会員登録の際に入力され、利用者情報データベース321に記憶される。
【0032】
商品情報データベース322は、店舗の商品に関する商品情報、端末装置2から受信した登録情報、及び店舗の各商品の在庫の有無又は在庫数を示す在庫情報を記憶する。登録情報は、商品の部門(カテゴリ)、商品コード、商品名、商品点数、及び価格等の情報を含む。コンテンツ情報データベース323は、サイネージ装置1に表示する通常コンテンツ及びカスタムコンテンツと、コンテンツの表示情報と、を記憶する。
【0033】
通信装置33は、ネットワーク200を介してサイネージ装置1と通信を行い、サイネージ装置1にコンテンツ及びコンテンツの表示情報を提供する。また、通信装置33は、サイネージ装置1からの要求に応じて、嗜好性情報及び在庫情報をサイネージ装置1に送信する。さらに、通信装置33は、ネットワーク200を介して端末装置2と通信を行い、端末装置2の登録商品の決済に関する情報を送信する。
【0034】
図5は、実施の形態1に係るサイネージシステム100におけるコンテンツの表示の流れを示す図である。まず、サイネージ装置1は管理サーバ3からコンテンツの表示情報及びコンテンツをダウンロードする(S1)。ダウンロードしたコンテンツ及び表示情報は、サイネージ装置1の記憶装置12に記憶される。そして、サイネージ装置1は、表示情報の表示スケジュールに従って通常コンテンツを表示装置14に表示する(S2)。
【0035】
図6は、実施の形態1に係るサイネージ装置1に表示される通常コンテンツ140の一例である。
図6に示すように、通常コンテンツ140は、商品の通常画像141と、商品情報を文字で示す文字情報142とを含む。通常画像141は、商品である衣料品、及び衣料品を着用したモデルの画像を含む。商品情報は、商品のブランド名、商品名、商品の説明、及び価格を含む。商品の説明は、商品のポイント、素材、サイズ展開、色展開などの情報を含む。なお、商品情報は上記以外の情報を含んでもよい。
【0036】
図5に戻って、端末装置2の利用者により、買物を開始する際に端末装置2に利用者の識別情報が入力される(S3)。ここでは、識別情報として利用者の会員番号が操作装置25を用いて入力されてもよいし、会員カード又はプリペイドカードを読取装置26で読み取ることで、識別情報が入力されてもよい。そして、端末装置2から所定の時間間隔で識別情報が発信される(S4)。
【0037】
端末装置2がサイネージ装置1に近づくと、サイネージ装置1によって端末装置2から発信される識別情報が受信される(S5)。一例として、端末装置2がBlutooth(登録商標)を用いて識別情報を発信する場合、端末装置2とサイネージ装置1との距離が10m以内となった場合に、サイネージ装置1によって識別情報が受信される。
【0038】
サイネージ装置1は、端末装置2から受信した識別情報を管理サーバ3に転送する(S6)。なお、複数の端末装置2がサイネージ装置1の近くにある場合は、最も距離が近い(電波強度が強い)端末装置2の識別情報を管理サーバ3に転送する。管理サーバ3は、サイネージ装置1から識別情報を受信すると、利用者情報データベース321から識別情報に対応する利用者の嗜好性情報を抽出し(S7)、抽出した嗜好性情報をサイネージ装置1に送信する(S8)。
【0039】
サイネージ装置1は、管理サーバ3から受信した嗜好性情報に基づき、記憶装置12に記憶されるカスタムコンテンツを選択し(S9)、表示装置14に表示される通常コンテンツをカスタムコンテンツに切り替える(S10)。
【0040】
図7は、実施の形態1に係るサイネージ装置1に表示されるカスタムコンテンツ140Aの一例である。
図7に示すように、カスタムコンテンツ140Aは、商品のカスタム画像141Aと、商品情報の文字情報142とを含む。文字情報142は、通常コンテンツと同じである。カスタム画像141Aは、通常コンテンツ140の通常画像141を嗜好性情報に基づいて変更したものである。例えば、嗜好性情報において、利用者が暗い色が好みである場合は、
図7に示すように、カスタム画像141Aにおける服の色が、展開している色のうち通常画像141における服の色よりも暗い色に変更される。また、嗜好性情報に含まれる利用者の年齢、性別、身長、体格に応じて、カスタム画像141Aにおけるモデルの年齢、性別、身長、及び体格が変更される。このように、カスタムコンテンツ140Aにおいて、表示する商品及び商品情報は通常コンテンツ140と同じとし、商品の画像のみカスタマイズすることで、店舗側が売りたい商品に対して、利用者の注意を惹くことができる。
【0041】
なお、嗜好性情報において、利用者の好みの丈の長さ、シルエット、重視する内容などが設定されている場合は、カスタムコンテンツ140Aに表示する商品を通常コンテンツ140で表示される商品から変更してもよい。この場合は、カスタムコンテンツ140Aにおけるカスタム画像141Aだけでなく、商品情報の文字情報142も、カスタマイズされた商品のものに変更される。ここでは、例えば、商品コードに丈の長さ及びシルエットに関する情報が紐づけされており、嗜好性情報に対応する商品コードの商品がカスタムコンテンツ140Aとして選択され、表示される。
【0042】
図5に戻って、サイネージ装置1の操作装置15が操作されたか否かが判断される(S11)。ここでは、タッチパネルで構成されるサイネージ装置1の操作装置15が利用者によってタッチされたか否かが判断される。操作装置15が操作されていない場合は(S11:NO)、カスタムコンテンツ140Aの表示が継続される。
【0043】
一方、操作装置15が操作された場合は(S11:YES)、サイネージ装置1は、管理サーバ3に、現在表示装置14に表示されている商品の在庫確認要求を送信する(S12)。管理サーバ3は、サイネージ装置1から在庫確認要求を受信すると、商品情報データベース322から、該当商品の在庫情報を抽出し(S13)、サイネージ装置1に送信する(S14)。
【0044】
サイネージ装置1は、管理サーバ3から受信した在庫情報に基づいて、カスタムコンテンツを変更する(S15)。
図8は、実施の形態1に係るサイネージ装置1に表示される変更後のカスタムコンテンツ140Bの一例である。
図8(a)は、商品の在庫があった場合の表示例であり、
図8(b)は、商品の在庫がなかった場合の表示例を示す。カスタムコンテンツ140Bは、在庫に応じた商品の位置情報143を含む。
【0045】
詳しくは、
図8(a)に示すように、商品の在庫がある場合、商品の位置情報143として、商品が陳列される棚番号が表示される。棚番号は、パッケージ品60のスペックシート62に記載される識別情報63である。
【0046】
一方、
図8(b)に示すように、商品の在庫がない場合、商品の位置情報143として、ECサイトへ誘導するための二次元コードが表示される。このように、カスタムコンテンツ140Bにおいて、在庫に応じた商品の位置情報143を表示することで、サイネージに興味を示した顧客に、商品を購入するための情報を提供することができる。これにより、利用者の購買機会を増やすことができる。
【0047】
以上のように、本実施の形態のサイネージシステム100では、サイネージ装置1の近くにいる利用者の嗜好性情報に基づいて、表示するコンテンツを切り替えることができる。これにより、利用者が実際に商品を利用(着用)した際のイメージを提供することができ、利用者の購買意欲を向上させることができる。また、店員が利用者に応じてコンテンツを切り替える手間を削減することが可能となる。
【0048】
なお、
図5におけるステップS11~S15の処理は必須ではなく、省略可能である。この場合は、サイネージ装置1は、操作装置15は表示装置14と一体に構成されたタッチパネルでなくてもよい。又は、サイネージ装置1は操作装置15を備えない構成であってもよい。
【0049】
実施の形態2.
実施の形態2について説明する。
図9は、実施の形態2に係るサイネージシステム100Aの制御ブロック図である。
図9に示すように、本実施の形態のサイネージシステム100Aは、サイネージ装置1と、端末装置2と、管理サーバ3と、に加え、情報取得装置4を備える点において実施の形態1と相違する。なお、情報取得装置4は、サイネージ装置1とは個別に構成されてもよいし、サイネージ装置1の一部として構成されてもよい。
【0050】
情報取得装置4は、サイネージ装置1の表示装置14に取付けられ、表示装置14の前に居る人の情報を取得する装置である。情報取得装置4は、例えば人の画像を撮影するカメラ、もしくは人の動き及び体の大まかなサイズなどのデータを取得するLiDAR(Light Detection And Ranging)、又はこれらの組み合わせである。情報取得装置4は、サイネージ装置1と有線又は無線通信可能に接続され、情報取得装置4によって取得された画像情報は、サイネージ装置1の制御装置11に出力される。
【0051】
図10は、実施の形態2に係るサイネージシステム100Aにおけるコンテンツの表示の流れを示す図である。
図10に示すコンテンツの表示は、
図5に示すコンテンツの表示と並行して実施される。
図10に示すように、まず、実施の形態1と同様に、サイネージ装置1は管理サーバ3からコンテンツの表示情報及びコンテンツをダウンロードする(S1)。ダウンロードしたコンテンツ及び表示情報は、サイネージ装置1の記憶装置12に記憶される。そして、サイネージ装置1は、表示情報の表示スケジュールに従って通常コンテンツを表示装置14に表示する(S2)。
【0052】
そして、情報取得装置4により、サイネージ装置1の前にいる人の画像情報が取得される(S20)。情報取得装置4によって取得された画像情報は、サイネージ装置1に送信される(S21)。サイネージ装置1は、情報取得装置4から受信した画像情報を分析する(S22)。ここでは、サイネージ装置1は、既知の画像認識技術を用いて画像情報を分析し、画像内における人の服の色もしくは形状、又は人の年齢、性別、もしくは体格などを検出する。
【0053】
そして、サイネージ装置1は、画像情報の分析結果に基づき、記憶装置12に記憶されるカスタムコンテンツを選択し(S23)、表示装置14に表示される通常コンテンツをカスタムコンテンツに切り替える(S24)。すなわち、本実施の形態においては、情報取得装置4によって取得された人の画像情報を分析し、分析結果を利用者の嗜好性情報として用いる。例えば、画像情報の分析結果において、利用者が暗い色の服を着ている場合は、
図7に示したようにカスタム画像141Aにおける服の色が通常画像141における服の色よりも暗い色に変更される。また、画像情報の分析結果における人の年齢、性別、身長、体格に応じて、カスタム画像141Aにおけるモデルの年齢、性別、身長、及び体格が変更される。以降は、
図5に示す実施の形態1のS11~S15の処理と同じ処理が実施される。
【0054】
以上のように、本実施の形態のサイネージシステム100Aでは、サイネージ装置1の近くにいる利用者の画像から嗜好性情報を取得し、表示するコンテンツを切り替えることができる。これにより、管理サーバ3に嗜好性情報が記憶されていない利用者に対しても、利用者が実際に商品を利用(着用)した際のイメージを提供することができ、利用者の購買意欲を向上させることができる。また、店員が利用者に応じてコンテンツを切り替える手間を削減することが可能となる。
【0055】
なお、本実施の形態のサイネージシステム100Aにおいては、端末装置2を省略し、情報取得装置4によって取得された情報に基づくコンテンツ表示のみを行ってもよい。また、上記実施の形態では、情報取得装置4によりサイネージ装置1Aの前に居る人の画像情報を取得することとしたが、情報取得装置4により取得される情報はこれに限定されるものではない。例えば、情報取得装置4は、店舗の壁等に取付けられ、店内における人の動きを示す人流情報を検出してもよい。この場合は、サイネージ装置1は、情報取得装置4から受信した人流情報を分析し、表示装置14に表示するコンテンツを切り替える。
【0056】
例えば、サイネージ装置1は、人流情報に基づき、人と商品との距離の測定、人による商品への接触の有無の判定、又は人の商品付近の滞在時間の計測などを行う。そして、サイネージ装置1は、人流情報の分析結果に基づき、記憶装置12に記憶されるカスタムコンテンツを選択し、表示装置14に表示される通常コンテンツをカスタムコンテンツに切り替える。この場合のカスタムコンテンツは、分析結果に基づく商品に関するコンテンツである。例えば、人との距離が近い商品に関するコンテンツ、人により接触された商品に関するコンテンツ、又は人の滞在時間が基準時間よりも長い商品に関するコンテンツなどがカスタムコンテンツとして表示される。
【0057】
以上が実施の形態の説明であるが、上記の実施の形態は変形及び組み合わせることが可能である。例えば、上記実施の形態では、情報提供システムの一例としてサイネージシステム100及び100Aについて説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、サイネージ以外の情報を表示するシステムに適用可能である。また、サイネージ装置1は、上記実施の形態に限定されるものではなく、サイネージ以外の情報を表示する装置であってもよい。また、サイネージ装置1は、端末装置2と一体で構成されるものであってもよい。この場合は、端末装置2が、サイネージ装置1の機能を有するものとし、端末装置2に上記実施の形態の通常コンテンツ及びカスタムコンテンツが表示される。
【0058】
また、上記実施の形態では、カスタムコンテンツ140Aの表示中に利用者による操作があった場合に、商品の位置情報143を表示することとしたが、これに限定されるものではない。例えば、カスタムコンテンツ140Aの表示から予め設定された時間が経過した場合に、商品の位置情報143を表示してもよい。
【0059】
また、上記実施の形態では、カスタムコンテンツ140Aに表示されるカスタム画像141Aをモデルによる商品の着装イメージとしたが、利用者による試着イメージをカスタム画像141Aとして表示してもよい。この場合は、情報取得装置4で取得された利用者の顔画像、又は体格に基づいて、生成AIにて試着イメージを作成してもよい。
【0060】
さらに、嗜好性情報として、利用者本人だけでなく家族の嗜好性情報を登録し、利用者本人の嗜好性情報に基づくカスタムコンテンツ140Aに加え、家族の嗜好性情報に基づいてカスタマイズされたカスタムコンテンツ140Aを表示してもよい。
【0061】
また、サイネージ装置1は、利用者の識別情報と、情報取得装置4によって取得した利用者に関する情報の分析結果と、を管理サーバ3に送信してもよい。管理サーバ3は、サイネージ装置1から受信した分析結果を、利用者の嗜好性情報として利用者情報データベース321に記憶する。利用者情報データベース321に記憶された嗜好性情報は、上記実施の形態に記載されるようにサイネージ装置1に表示されるコンテンツのカスタム化に用いられる他、利用者がECサイトで買い物をする際のおすすめ表示などに用いられてもよい。
【符号の説明】
【0062】
1、1A サイネージ装置、2 端末装置、3 管理サーバ、4 情報取得装置、5、6 棚、11、21、31 制御装置、12、22、32 記憶装置、13、23、33 通信装置、14、24 表示装置、15、25 操作装置、26 読取装置、50 サンプル品、51 タグ、52、63 識別情報、60 パッケージ品、61 パッケージ、62 スペックシート、100、100A サイネージシステム、140 通常コンテンツ、140A、140B カスタムコンテンツ、141 通常画像、141A カスタム画像、142 文字情報、143 位置情報、200 ネットワーク、321 利用者情報データベース、322 商品情報データベース、323 コンテンツ情報データベース。
【要約】
【課題】利用者の購買意欲を向上させることができる情報提供システムを提供することを目的とする。
【解決手段】情報提供システムは、商品の画像と、商品に関する文字情報と、を含む通常コンテンツを表示するサイネージ装置と、利用者の識別情報を発信する端末装置と、を備え、サイネージ装置は、端末装置から識別情報を受信した場合に、通常コンテンツを、利用者に応じたカスタムコンテンツに切り替えるものであり、カスタムコンテンツは、通常コンテンツと同じ文字情報を含み、商品の画像が識別情報に基づき取得された利用者の嗜好性情報に基づき変更されたものである。
【選択図】
図5