(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-20
(45)【発行日】2025-01-06
(54)【発明の名称】電極シートとその作製方法、二次電池、電池モジュール及び電池パック
(51)【国際特許分類】
H01M 4/04 20060101AFI20241223BHJP
H01M 4/02 20060101ALI20241223BHJP
H01M 4/13 20100101ALI20241223BHJP
H01M 4/139 20100101ALI20241223BHJP
【FI】
H01M4/04 Z
H01M4/02 Z
H01M4/04 A
H01M4/13
H01M4/139
(21)【出願番号】P 2024501639
(86)(22)【出願日】2022-10-12
(86)【国際出願番号】 CN2022124963
(87)【国際公開番号】W WO2023130791
(87)【国際公開日】2023-07-13
【審査請求日】2024-01-11
(31)【優先権主張番号】202210001673.3
(32)【優先日】2022-01-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】524304976
【氏名又は名称】香港時代新能源科技有限公司
【氏名又は名称原語表記】CONTEMPORARY AMPEREX TECHNOLOGY (HONG KONG) LIMITED
【住所又は居所原語表記】LEVEL 19, CHINA BUILDING, 29 QUEEN’S ROAD CENTRAL, CENTRAL, CENTRAL AND WESTERN DISTRICT, HONG KONG, CHINA
(74)【代理人】
【識別番号】100106220
【氏名又は名称】大竹 正悟
(72)【発明者】
【氏名】陳 威
(72)【発明者】
【氏名】車 歓
(72)【発明者】
【氏名】羅 芳
(72)【発明者】
【氏名】李 世松
【審査官】川村 裕二
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-103089(JP,A)
【文献】特表2004-526278(JP,A)
【文献】中国実用新案第211789269(CN,U)
【文献】中国特許出願公開第105655540(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第112563455(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第112038644(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第113659103(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第108511679(CN,A)
【文献】特開平03-008260(JP,A)
【文献】特開2008-251469(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 4/00 - 4/84
H01G 11/00 -11/86
H01G 13/00 -13/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
絶縁帯状塗布層の作製:機能材料、絶縁材料及び第1のバインダーを混合した後第1の溶媒を添加して第1のスラリーを形成し
、集電体表面の
対向する両側にそれぞれ
前記第1のスラリーを塗覆し、乾燥した後2本の絶縁帯状塗布層を形成し、2本の前記絶縁帯状塗布層の間の前記第1のスラリーを塗覆しない集電体表面を本体エリアとして形成するステップであって、前記機能材料は疎水材料又は疎油材料から選択されるステップと、
活物質層の作製:電極活物質、導電剤及び第2のバインダーを混合した後第2の溶媒を添加して第2のスラリーを形成し、
前記第2のスラリーを前記本体エリアの表面に塗覆し、乾燥した後活物質層を形成するステップであって、前記第2のスラリーと前記絶縁帯状塗布層との接触角は90°を超えるものであるステップと、
を含むことを特徴とする電極シートの作製方法。
【請求項2】
前記絶縁帯状塗布層の総質量において、前記機能材料の質量パーセント含有量は40%~70%であり、前記絶縁材料の質量パーセント含有量は20%~30%であり、前記第1のバインダーの質量パーセント含有量は10%~30%であることを特徴とする請求項
1に記載の作製方法。
【請求項3】
前記機能材料は
前記疎水材料から選択され、前記第1の溶媒は油性溶媒から選択され、かつ前記第2の溶媒は水性溶媒から選択され、或いは、
前記機能材料は
前記疎油材料から選択され、前記第1の溶媒は水性溶媒から選択され、かつ前記第2の溶媒は油性溶媒から選択されることを特徴とする請求項
1に記載の作製方法。
【請求項4】
前記水性溶媒は脱イオン水、エチレングリコール及びエタノールから選択される少なくとも1種であり、前記油性溶媒はN-メチルピロリドン、N-ジメチルアミド、ジメチルスルホキシドから選択される少なくとも1種であることを特徴とする請求項
3に記載の作製方法。
【請求項5】
前記第1のバインダーと前記第2のバインダーとは、それぞれ独立してポリフッ化ビニリデン又はスチレンブタジエンゴムを含むことを特徴とする請求項
1に記載の作製方法。
【請求項6】
前記絶縁材料は、酸化アルミニウムとベーマイトのうちの少なくとも1種を含むことを特徴とする請求項
1に記載の作製方法。
【請求項7】
前記疎水材料は、ポリオレフィン、ポリカーボネート、ポリアミド及びポリアクリロニトリルのうちの少なくとも1種を含むことを特徴とする請求項
1に記載の
作製方法。
【請求項8】
前記疎油材料は、ポリテトラフルオロエチレン及びナノSiO
2のうちの少なくとも1種を含むことを特徴とする請求項
1に記載の
作製方法。
【請求項9】
前記絶縁帯状塗布層の厚さH
1が前記活物質層の厚さH
2よりも小さいことを特徴とする請求項1に記載の
作製方法。
【請求項10】
前記絶縁帯状塗布層の厚さH
1は、5μm~30μmであり、前記活物質層の厚さH
2は、30μm~150μmであることを特徴とする請求項
9に記載の
作製方法。
【請求項11】
前記絶縁帯状塗布層の厚さH
1と前記活物質層の厚さH
2との関係は、1
:5≦H
1:H
2≦2
:3を満たすことを特徴とする請求項
10に記載の
作製方法。
【請求項12】
前記絶縁帯状塗布層の幅は、1mm~20mmであることを特徴とする請求項1に記載の
作製方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本願は、2022年1月4日に出願された発明の名称が「電極シートとその作製方法、二次電池、電池モジュール及び電池パック」である中国特許出願第202210001673.3号の優先権を主張するものであり、当該出願は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0002】
本願は、リチウム電池技術分野に属し、特に電極シートとその作製方法、二次電池、電池モジュール及び電池パックに関する。
【背景技術】
【0003】
二次電池(リチウムイオン電池)は、比エネルギーが大きく、作動電圧が高く、自己放電率が低く、小型、軽量である等の特徴を有し、電気自動車や電子機器等の製品に広く用いられている。
【0004】
本発明者らは、従来の電極シートにおける活物質層の幅が、活物質スラリーの幅方向への拡散によって変動しやすく、電極シートの両面における活物質層の幅のバラツキによる位置ズレが発生し、電極シートの不良率が増加して二次電池の品質に影響を与えるという問題を見出した。
【発明の概要】
【0005】
本願は、上記課題に鑑みてなされたものであり、電極シートにおける活物質層の幅の均一性を向上させて電極シートの不良率を低減することを目的とする。
【0006】
上記目的を達成するために、本願は、電極シート、二次電池、電池モジュール、電池パック及び電気装置を提供する。
【0007】
本願の第1の態様は、本体エリアと隔離エリアを含む電極シートであって、前記隔離エリアが前記電極シートの幅方向における前記本体エリアの両側に設けられ、前記隔離エリアには絶縁帯状塗布層が設けられており、前記本体エリアには活物質層が設けられている電極シートを提供する。そのうち、前記活物質層の外縁は、前記本体エリアと前記隔離エリアとの間の境界に限定され、かつ、前記活物質層を形成するスラリーと前記絶縁帯状塗布層との間の接触角は、90°を超え、任意に125°を超える。このように、活物質層のスラリーと絶縁帯状塗布層との間の大きい接触角は、活物質と絶縁帯状塗布層との間の這い上がりと遷移を減少し、活物質スラリーが電極シートの幅方向に拡散する問題を改善して電極シートにおける活物質層の幅の均一性を効果的に向上させ、電極シート両面の活物質層の幅のバラツキによる位置ズレのリスクを減少して電極シートの不良率を減少する。
【0008】
任意の実施形態において、前記絶縁帯状塗布層は、機能材料を含む。そのうち、前記活物質層を形成するスラリーは水系スラリーであり、前記絶縁帯状塗布層は疎水材料を含み、或いは、前記活物質層を形成するスラリーは油系スラリーであり、前記絶縁帯状塗布層は疎油材料を含む。このように、水性活物質スラリー又は油性活物質スラリーの電極シート辺縁への拡散を抑制する役割を果たす。
【0009】
任意の実施形態において、前記疎水材料は、ポリオレフィン、ポリカーボネート、ポリアミド及びポリアクリロニトリルのうちの少なくとも1種を含む。上記疎水材料は良好な疎水性能を備える。
【0010】
任意の実施形態において、前記疎油材料は、ポリテトラフルオロエチレンとナノSiO2のうちの少なくとも1種を含む。上記疎油材料は、良好な疏油性能を備える。
【0011】
任意の実施形態において、前記絶縁帯状塗布層の厚さH1が前記活物質層の厚さH2よりも小さいことで、隔離エリアによる活物質層の拡散に対する抑制効果が良好になり、さらに優れた品質を備える電極シートが得られる。
【0012】
任意の実施形態において、前記絶縁帯状塗布層の厚さH1は5μm~30μmであり、前記活物質層の厚さH2は30μm~150μmであると、絶縁帯状塗布層による活物質層の拡散に対する抑制効果が良好になり、優れた品質を備える電極シートが得られる。
【0013】
任意の実施形態において、前記絶縁帯状塗布層の厚さH1と前記活物質層の厚さH2との関係が1/5≦H1:H2≦2/3を満たすことで、冷間圧延過程で絶縁帯状塗布層の厚さH1が過大となって電極シートが押しつぶされるリスクを低減することができ、電極シートの品質の更なる向上に寄与する。
【0014】
任意の実施形態において、前記絶縁帯状塗布層の幅は1mm~20mmであると、優れた品質を備える電極シートが得られる。
【0015】
本願の第2の態様は、絶縁帯状塗布層の作製:機能材料、絶縁材料及び第1のバインダーを混合し、第1の溶媒を添加して第1のスラリーを形成し、集電体長さ方向に沿って、集電体表面両側にそれぞれ第1のスラリーを塗布し、乾燥した後2本の絶縁帯状塗布層を形成し、2本の前記絶縁帯状塗布層の間の前記第1のスラリーを塗覆しない集電体表面を本体エリアとして形成し、前記機能材料が疎水材料又は疎油材料から選ばれるステップ;活物質層の作製:電極活物質、導電剤及び第2のバインダーを混合した後第2の溶媒を添加して第2のスラリーを形成するステップ;第2のスラリーを前記本体エリア表面に塗覆し、乾燥した後活物質層を形成するステップを含む電極シートの作製方法をさらに提供する。そのうち、前記第2のスラリーと前記絶縁帯状塗布層との接触角は、90°を超え、任意に125°を超える。
【0016】
このように、本願に係る調製方法は、調製プロセスが簡単で、機能材料の供給源が幅広いという利点を有するため、大量生産に好適し、生産コストの低減に有利である。
【0017】
任意の実施形態において、絶縁帯状塗布層の総質量において、前記機能材料の質量パーセント含有量は40%~70%であり、前記絶縁材料の質量パーセント含有量は20%~30%であり、前記第1のバインダーの質量パーセント含有量は10%~30%である。機能材料、絶縁材料、第1のバインダー及び第1の溶媒の含有量を上記範囲に相乗的に制御することにより、絶縁帯状塗布層による活物質層の拡散に対する抑制効果を良好にできる。
【0018】
任意の実施形態において、前記機能材料は疎水材料から選択され、前記第1の溶媒は油性溶媒から選択され、かつ前記第2の溶媒は水性溶媒から選択され、或いは、前記機能材料は疎油材料から選択され、前記第1の溶媒は水性溶媒から選択され、かつ前記第2の溶媒は油性溶媒から選択される。
【0019】
任意の実施形態において、前記水性溶媒は、脱イオン水、エチレングリコール及びエタノールから選択される少なくとも1種であり、前記油性溶媒は、N-メチルピロリドン、N-ジメチルアミド、ジメチルスルホキシドから選択される少なくとも1種である。
【0020】
任意の実施形態において、前記第1のバインダーと前記第2のバインダーとは、それぞれ独立してポリフッ化ビニリデン又はスチレンブタジエンゴムを含む。上記バインダーは、優れた界面粘着性能を備える。
【0021】
任意の実施形態において、前記絶縁材料は、酸化アルミニウムとベーマイトのうちの少なくとも1種を含む。上記絶縁材料は、優れた絶縁特性を備えるため、絶縁帯状塗布層の絶縁性能に優れ、電極シートの性能を向上させる。
【0022】
本願の第3の態様は、本願第1の態様の電極シートを含む二次電池を提供する。
【0023】
本願の第4の態様は、本願の第3の態様の二次電池を含む電池モジュールを提供する。
【0024】
本願の第5の態様は、本願の第4の態様の電池モジュールを含む電池パックを提供する。
【0025】
本願の第6の態様は、本願の第3の態様の二次電池、本願の第4の態様の電池モジュール又は本願の第5の態様の電池パックから選択される少なくとも1種を含む電気装置を提供する。
【0026】
本願の有益な効果:
本願は、本体エリアと本体エリア両側に位置する隔離エリアとを含む電極シートであって、隔離エリアには絶縁帯状塗布層が設けられているため、活物質層の外縁が本体エリアと隔離エリアとの間の境界に限定される電極シート及びその作製方法、二次電池、電池モジュール及び電池パックを提供する。かつ、活物質層を形成するスラリーと絶縁帯状塗布層との間の接触角は、90°を超え、活物質層のスラリーと絶縁帯状塗布層との間の大きい接触角は、活物質と絶縁帯状塗布層との間の這い上がりと遷移を低減し、活物質スラリーの電極シート幅方向への拡散問題を改善するため、電極シートにおける活物質層の幅の均一性を効果的に高め、電極シート両面の活物質層の幅のバラツキによる位置ズレのリスクを低減して電極シートの不良率を減少する。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【
図1】本願の1種の実施形態の電極シートの構造模式図である。
【
図2】本願の1種の実施形態の電極シートを厚さ方向で視た構造模式図である。
【
図3】本願の1種の実施形態の電極シートを厚さ方向で視た構造模式図である。
【
図4】本願の1種の実施形態の電極シートの構造模式図である。
【
図5】本願の1種の実施形態の電極シートを厚さ方向で視た構造模式図である。
【
図6】本願の一実施形態の二次電池の模式図である。
【
図7】
図6に示す本願の一実施形態の二次電池の分解図である。
【
図8】本願の一実施形態の電池モジュールの模式図である。
【
図9】本願の一実施形態の電池パックの模式図である。
【
図10】
図9に示す本願の一実施形態の電池パックの分解図である。
【
図11】本願の一実施形態の二次電池を電源として用いる電気装置の模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、図面を適当に参照しながら本願に係る電極シート、二次電池、電池モジュール、電池パック及び電気装置を詳しく開示する実施形態を詳細に説明する。但し、不要な詳細な説明は省略する場合がある。例えば、既によく知られている事項についての詳細な説明や、実質的に同一の構成に対して重複する説明を省略する場合がある。これは、以下の説明が不必要に冗長になるのを回避し、当業者の理解を容易にするためである。なお、図面及び以下の説明は、当業者が本開示を十分に理解するために提供するものであり、特許請求の範囲に記載の主題を限定することを意図していない。
【0029】
本明細書に開示される「範囲」は、下限および上限の形で限定され、所与の範囲は、ある下限およびある上限を選択することによって限定され、選択された下限および上限は、特定の範囲の境界を限定する。このように限定された範囲は、端値を含んでも含まなくてもよく、かつ、任意に組み合わせてもよく、すなわち、任意の下限を他の任意の上限と組み合わせて1つの範囲を形成することができる。たとえば、特定のパラメーターに対して60~120と80~110の範囲がリストされている場合、60~110および80~120の範囲も予想されると理解されたい。また、リストされる最小範囲値が1および2であり、かつ、リストされる最大範囲値が3、4および5である場合、1~3、1~4、1~5、2~3、2~4および2~5といった範囲は、すべて予想される。本明細書において、特別な説明がない限り、数値範囲「a~b」は、aとbの間の実数の任意の組み合わせの省略表現を表す。ここで、aとbはともに実数である。たとえば、数値範囲「0~5」は、「0~5」の間の実数のすべてが本明細書にリストされていることを意味し、「0~5」は単にこれらの数値の組み合わせの略記である。また、あるパラメーターが≧2の整数であると表記される場合、当該パラメーターが例えば2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12などの整数であることを開示していると相当する。
【0030】
特別な説明がない限り、本願のすべての実施形態および選択的な実施形態は、互いに組み合わせて新規な技術案を形成することができる。
【0031】
特別な説明がない限り、本願のすべての技術的な特徴および選択的な技術的な特徴は、互いに組み合わせて新規な技術案を形成することができる。
【0032】
特別な説明がない限り、本願のすべてのステップは、順番に行ってもよく、ランダムに行ってもよく、好ましくは順番に行う。例えば、前記方法がステップ(a)および(b)を含むことは、前記方法がステップ(a)および(b)を順番に行うか、もしくは、順番にステップ(b)および(a)を行うことを意味する。例えば、前文に言及した前記方法がさらにステップ(c)を含んでもよいということは、ステップ(c)を任意の順番で前記方法に加えてもよく、例えば、前記方法は、ステップ(a)、(b)および(c)を含むこと、ステップ(a)、(c)および(b)を含むこと、もしくは、ステップ(c)、(a)および(b)を含むことなどを意味する。
【0033】
特別な説明がない限り、本明細書に言及される「含む」及び「含有」は、開放型であることを意味し、閉鎖型であってもよい。例えば、「含む」及び「含有」は、列挙されていない他の構成要素も含まれ得るか、又は含有され得ることを意味し、列挙された構成要素のみが含まれるか、又は、含有されてもよい。
【0034】
特別な説明がない限り、本発明において、「または」という用語は、包括的である。例えば、「AまたはB」というフレーズは、「A、B、または、AとBの両方」を意味する。具体的には、Aが真(または存在する)でBが偽(または存在しない)、Aが偽(または存在しない)でBが真(または存在する)、またはAとBが真(または存在する)のいずれかの条件も、「AまたはB」という条件を満たす。
【0035】
本発明者は、二次電池研究の過程で、従来の二次電池の電極シートで、活物質スラリーが電極シートの幅方向に外側に拡散することを発見した。これは、集電体表面に活物質スラリーを塗覆するとき、電極シートのA面とB面の活物質層の幅が設計幅に対してばらつくためと考えられる。電極シートのA面とB面の幅がばらつくと、A、B面は、位置ズレが発生しやすくなり、電極シートの不良率を増加させる。
【0036】
これに基づいて、本発明者は、鋭意研究の結果、電極シートの本体エリア(活物質層が設けられた領域)の両側に絶縁帯状塗布層が設けられている隔離エリアを設けることで、本体エリアと隔離エリアとの境界に活物質層の外縁が限定される。かつ、活物質層を形成するスラリーと絶縁帯状塗布層との間は、大きい接触角を有し、活物質と絶縁帯状塗布層との間の這い上がりと遷移を減少し、活物質スラリーの電極シート幅方向への拡散問題を改善して電極シートにおける活物質層の幅の均一性を効果的に高め、電極シート両面の活物質層の幅のばらつきによる位置ズレのリスクを低減し、電極シートの不良率を低減する。
【0037】
電極シートの不良率を効果的に低減し、二次電池の品質を向上させるために、これに鑑みて、本願は、電極シートとその作製方法、二次電池、電池モジュール及び電池パックを提供する。
【0038】
本願の一実施形態では、本願は、
図1と
図2に示すように本体エリア11と隔離エリア12を含む電極シートであって、隔離エリア12は電極シートの幅方向における本体エリア11の両側に設けられ、隔離エリア12には絶縁帯状塗布層121が設けられており、本体エリア11には活物質層111が設けられている電極シートを提示する。そのうち、活物質層111の外縁は、本体エリア11と隔離エリア12との境界に限定され、かつ、活物質層111を形成するスラリーと絶縁帯状塗布層121との間の接触角は、90°を超え、任意に125°を超える。
【0039】
本願において、本体エリア11は、電極シートの本体部分を指し、本体エリア11には通常活物質層111が設けられている。例として、活物質層111は、本体エリア11における集電体表面に塗覆されてもよく、隔離エリア12は、電極シートの幅方向における、それぞれ本体エリア11両側に位置する部分を指し、隔離エリア12には絶縁帯状塗布層121が設けられている。本願に係る電極シートは、正極シート及び/又は負極シートを含んでもよい。
【0040】
本願において、電極シートは、片面塗布でも両面塗布でもよい。
図2を参照すると、一例において、電極シートが片面塗布である時、活物質層111と絶縁帯状塗布層121は、集電体14の一面に設けられてもよく、
図3を参照すると、他の一例において、電極シートが両面塗布である時、活物質層111と絶縁帯状塗布層121は、集電体14の両面に設けられてもよい。
【0041】
メカニズムは明らかではないが、本発明者は、本願に係る電極シートが本体エリアと本体エリアの両側に位置する隔離エリアとを含み、そのうち、隔離エリアに絶縁帯状塗布層を設けることで、活物質層の外縁が本体エリアと隔離エリアとの境界に限定されることを発見した。かつ活物質層を形成するスラリーと絶縁帯状塗布層との間の接触角が90°を超えることで、活物質スラリーの電極シート幅方向への拡散問題を改善して電極シートにおける活物質層の幅の均一性を向上し、電極シート両面の活物質層幅のばらつきによる位置ズレのリスクを低減し、電極シートの不良率を低減する。
【0042】
いくつかの実施形態では、絶縁帯状塗布層は、機能材料を含む。本願に係る機能材料は、疎水材料又は疎油材料を含んでもよい。
【0043】
いくつかの実施形態では、活物質層を形成するスラリーが水系スラリーである場合、絶縁帯状塗布層は疎水材料を含み、これにより、絶縁帯状塗布層と水性活物質スラリーとの間は、比較的に大きい接触角を有する。このように、水性活物質スラリーは、絶縁帯状塗布層と接触すると、水性活物質スラリーは、絶縁帯状塗布層に含浸しにくく、水性活物質スラリーの電極シート辺縁への拡散を抑制する役割を果たす。
【0044】
他のいくつかの実施形態では、活物質層を形成するスラリーが油系スラリーである場合、絶縁帯状塗布層は疎油材料を含み、これにより、絶縁帯状塗布層と油性活物質スラリーとの間は、比較的に大きい接触角を有する。このように、油性活物質スラリーが絶縁帯状塗布層と接触する時、油性活物質スラリーは、絶縁帯状塗布層に含浸しにくく、油性活物質スラリーの電極シート辺縁への拡散作用を抑制する役割を果たす。
【0045】
本願では、疎水材料は、本願目的を達成できるものであれば特定な制限がない。1種の実施形態において、疎水材料は、ポリオレフィン、ポリカーボネート、ポリアミド及びポリアクリロニトリルのうちの少なくとも1種を含む。本願では、ポリオレフィンは、本願目的を達成できるものであれば特定な制限がなく、例えば、ポリプロピレンを含んでもよい。
【0046】
本願では、疎油材料は、本願目的を達成できるものであれば特に限定されない。1種の実施形態では、疎油材料はポリテトラフルオロエチレンとナノSiO2のうちの少なくとも1種を含む。本願はナノSiO2の粒子径に特定な制限がなく、例えば、その粒子径範囲は10nm~1000nmである。
【0047】
いくつかの実施形態では、
図2と
図3を参照すると、絶縁帯状塗布層121の厚さH
1は、活物質層111の厚さH
2より小さく、これにより、絶縁帯状塗布層の厚さが過小になって活物質層拡散に対する隔離エリアの抑制効果に影響を与えることや絶縁帯状塗布層の厚さが過大になって電極シートのダイカット品質に影響を与えて電極シートの品質に影響を及ぼすことを避けることができる。このように、本願に係る絶縁帯状塗布層の厚さは、活物質層の厚さより小さく、これにより、隔離エリアは、活物質層の拡散に対する抑制効果が良好になり、優れた品質を有する電極シートが得られる。
【0048】
いくつかの実施形態では、絶縁帯状塗布層の厚さH1は5μm~30μmであり、活物質層の厚さH2は30μm~150μmである。絶縁帯状塗布層の厚さH1と活物質層の厚さH2を上記範囲内に制御することにより、絶縁帯状塗布層は、活物質層の拡散に対する抑制効果が良好になり、優れた品質を有する電極シートが得られる。本願は、活物質層の幅に特定な制限がなく、ニーズを応じて異なる活物質層幅を有する電極シートを作製することができ、もちろん、電極シートA、B面の活物質層幅の設計は、通常一致している。
【0049】
いくつかの実施形態では、絶縁帯状塗布層の厚さH1と活物質層の厚さH2との間は、1/5≦H1:H2≦2/3を満たし、冷間圧延過程で絶縁帯状塗布層の厚さH1が過大になって電極シートが押しつぶされるリスクを低減でき、電極シート品質の更なる向上に有利である。
【0050】
いくつかの実施形態では、絶縁帯状塗布層の幅は1mm~20mmであり、これにより、絶縁帯状塗布層の幅が過大になって極タブの溶接効果に影響を与え、電極シートの良品率増加に不利であることや、絶縁帯状塗布層の幅が過小になって活物質層の拡散に対する隔離エリアの抑制効果に影響を与えることを避けることができる。このように、本願は、絶縁帯状塗布層の幅を上記範囲内に制御することにより、優れた品質を有する電極シートが得られる。
【0051】
いくつかの実施形態では、
図4と
図5を参照すると、本願に係る電極シートは、空白エリア13をさらに含み、電極シート幅方向において、空白エリア13は隔離エリア12の本体エリア11から遠い側に位置する。本願に係る空白エリア13は、電極シート辺縁に位置する領域を指してもよく、空白エリアの表面は集電体であり、空白エリアは、電子を収束させる極タブのためのスペースを確保することができる。いくつかの実施形態では、空白エリアの幅は10mm~60mmである。
【0052】
本願の一実施形態は、下記のステップを含む電極シートの作製方法を提供する。
【0053】
絶縁帯状塗布層の作製:機能材料、絶縁材料及び第1のバインダーを混合した後第1の溶媒を添加して第1のスラリーを形成し、集電体長さ方向に沿って集電体表面両側にそれぞれ第1のスラリーを塗覆し、乾燥した後2枚の絶縁帯状塗布層を形成するステップ。2枚の絶縁帯状塗布層の間の第1のスラリーが塗覆されていない集電体表面は本体エリアを形成する。
【0054】
活物質層の作製:電極活物質、導電剤及び第2のバインダーを混合した後第2の溶媒を添加して第2のスラリーを形成し、第2のスラリーを本体エリア表面に塗覆し、乾燥した後活物質層を形成するステップであって、第2のスラリーと絶縁帯状塗布層との接触角が90°を超え、任意に125°を超えるステップ。
【0055】
作製過程において、誤って活物質スラリーを絶縁帯状塗布層表面に塗覆してしまったとしても、活物質層のスラリーと絶縁帯状塗布層との間は大きい接触角を有するため、絶縁帯状塗布層表面の活物質スラリーは、乾燥した後も剥離しやすく、電極シート良品率の増加に有利である。
【0056】
本願では、機能材料は疎水材料又は疎油材料から選択される。いくつかの実施形態では、機能材料が疎水材料から選択される場合、第1の溶媒は油性溶媒から選択され、かつ第2の溶媒は水性溶媒から選択される。理解できるのは、負極活物質層を作製する過程において、負極活物質スラリー(第2のスラリー)における第2の溶媒は、通常水性溶媒、例えば脱イオン水を選択し、これに対応して第1の溶媒は油性溶媒を選択する。これに基づいて、負極シートを作製する時、当該実施形態を採用してもよい。
【0057】
他のいくつかの実施形態では、機能材料は疎油材料から選択され、第1の溶媒は水性溶媒から選択され、かつ第2の溶媒は油性溶媒から選択される。理解できるのは、正極活物質層を調製する過程において、正極活物質スラリー(第2のスラリー)における第2の溶媒は、通常、油性溶媒、例えばN-メチルピロリドン(NMP)を選択し、これに対応して第1の溶媒は水性溶媒を選択する。これに基づいて、正極シートを作製する時に当該実施形態を採用してもよい。
【0058】
いくつかの実施形態では、絶縁帯状塗布層の総質量において、機能材料の質量パーセント含有量は40%~70%であり、絶縁材料の質量パーセント含有量は20%~30%であり、第1のバインダーの質量パーセント含有量は10%~30%である。機能材料、絶縁材料、第1のバインダー及び第1の溶媒の含有量を上記範囲内に相乗的に制御することにより、活物質層の拡散に対する絶縁帯状塗布層の抑制効果を、良好にすることができる。
【0059】
本願では、水性溶媒と油性溶媒は、本願目的を達成できるものであれば特に限定されない。いくつかの実施形態では、水性溶媒は、脱イオン水、エチレングリコール及びエタノールから選択される少なくとも1種であり、疎油材料に対して良好な分散性を有し、油性溶媒は、N-メチルピロリドン、N-ジメチルアミド、ジメチルスルホキシドから選択される少なくとも1種であり、疎水材料に対して良好な分散性を有する。
【0060】
本願では、第1のバインダーと第2のバインダーは、本願目的を達成できるものであれば特に限定されない。いくつかの実施形態では、前記第1のバインダーと前記第2のバインダーは、それぞれ独立してポリフッ化ビニリデン又はスチレンブタジエンゴムを含む。上記バインダーは、良好な界面粘着性能を備える。
【0061】
いくつかの実施形態では、本願に係る絶縁材料は、酸化アルミニウムとベーマイトのうちの少なくとも1種を含み、上記絶縁材料は、絶縁性に優れるため、絶縁帯状塗布層の絶縁性に優れ、電極シートの性能を向上させる。本願では、絶縁材料の粒子径は、本発明の目的を達成できるものであれば特に限定されない。
【0062】
いくつかの実施形態では、それぞれの絶縁帯状塗布層の本体エリアから離れた外縁とそれに近い側の集電体の長辺辺縁との間の集電体の面は、空白エリアを形成する。例えば、集電体長辺辺縁と一定の距離を有する箇所に第1のスラリーを塗布して空白エリアを形成してもよい。
【0063】
また、以下、図面を適当に参照しながら本願に係る二次電池、電池モジュール、電池パック及び電気装置を説明する。
【0064】
本願の一実施形態は、二次電池を提供する。
【0065】
通常、二次電池は、正極シート、負極シート、電解質およびセパレーターを含む。電池の充放電過程において、活性イオンは、正極シートと負極シートの間で繰り返して挿入・脱離する。電解質は、正極シートと負極シートの間でイオンを伝導する役割を果たす。セパレーターは、正極シートと負極シートの間に配置され、主に正極と負極の短絡を防ぐ役割を果たすと共に、イオンの通過を可能にする。
【0066】
[正極シート]
正極シートは、正極集電体と正極集電体の少なくとも1つの面に設けられる正極活物質層を含む。
【0067】
例として、正極集電体は、それ自体の厚さ方向に対向する2つの面を有し、正極活物質層は、正極集電体の2つの対向する面のいずれか一方または両方に設けられている。
【0068】
いくつかの実施形態では、前記正極集電体は、金属箔シートまたは複合集電体を使用できる。例えば、金属箔シートとしてアルミ箔を用いてもよい。複合集電体は、高分子材料ベース層および高分子材料ベース層の少なくとも1つの面に形成されている金属層を含んでもよい。複合集電体は、金属材料(アルミニウム、アルミニウム合金、ニッケル、ニッケル合金、チタン、チタン合金、銀および銀合金等)を高分子材料ベース材(例えば、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリスチレン(PS)、ポリエチレン(PE)などの基材)上に形成することにより、形成してもよい。
【0069】
いくつかの実施形態では、正極活物質は、本分野で公知にされている電池用正極活物質を採用してもよい。例として、正極活物質は、オリビン構造のリチウム含有リン酸塩、リチウム遷移金属酸化物およびそれらのそれぞれの変性化合物のうちの少なくとも1種を含んでもよい。ただし、本願は、これらの材料に限られず、電池用正極活物質として用いられる他の伝統的な材料を用いてもよい。これらの正極活物質は、単独で1種を使用してもよいし、または、2種以上の組み合わせで使用してもよい。その特徴として、リチウム遷移金属酸化物の例として、リチウムコバルト酸化物(例えば、LiCoO2)、リチウムニッケル酸化物(例えば、LiNiO2)、リチウムマンガン酸化物(例えば、LiMnO2、LiMn2O4)、リチウムニッケルコバルト酸化物、リチウムマンガンコバルト酸化物、リチウムニッケルマンガン酸化物、リチウムニッケルコバルトマンガン酸化物(例えば、LiNi1/3Co1/3Mn1/3O2(NCM333とも略称される)、LiNi0.5Co0.2Mn0.3O2(NCM523とも略称される)、LiNi0.5Co0.25Mn0.25O2(NCM211とも略称される)、LiNi0.6Co0.2Mn0.2O2(NCM622とも略称される)、LiNi0.8Co0.1Mn0.1O2(NCM811とも略称される))、リチウムニッケルコバルトアルミニウム酸化物(例えば、LiNi0.8
Co0.15Al0.05O2)およびそれらの変性化合物などのうちの少なくとも1種を含むが、これらに限定されない。オリビン構造のリチウム含有リン酸塩の例として、リン酸鉄リチウム(例えば、LiFePO4(LFPとも略称される))、リン酸鉄リチウムと炭素との複合材料、リン酸マンガンリチウム(例えば、LiMnPO4)、リン酸マンガンリチウムと炭素との複合材料、リン酸マンガン鉄リチウム、リン酸マンガン鉄リチウムと炭素との複合材料のうちの少なくとも1種を含むが、これらに限定されない。
【0070】
いくつかの実施形態では、正極活物質層は、さらに任意にバインダーを含む。例として、前記バインダーは、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、フッ化ビニリデン-テトラフルオロエチレン-プロピレン三元共重合体、フッ化ビニリデン-ヘキサフルオロプロピレン-テトラフルオロエチレン三元共重合体、テトラフルオロエチレン-ヘキサフルオロプロピレン共重合体、および、フッ素含有アクリレート樹脂のうちの少なくとも1種を含んでもよい。
【0071】
いくつかの実施形態では、正極活物質層は、さらに任意に導電剤を含む。例として、前記導電剤は、超伝導カーボン、アセチレンブラック、カーボンブラック、ケッチェンブラック、カーボンドット、カーボンナノチューブ、グラフェン、および、カーボンナノファイバーのうちの少なくとも1種を含んでもよい。
【0072】
いくつかの実施形態では、正極シートは、下記の方式で作製することができる。すなわち、前述した正極シートを作製するための成分、例えば、正極活性材、導電剤、バインダーおよび任意に他の成分を、溶媒(例えば、N-メチルピロリドン)に分散させて正極スラリーを形成し、正極スラリーを正極集電体上に塗覆し、乾燥、冷間圧延などのプロセスを経て正極シートを得ることができる。
【0073】
[負極シート]
負極シートは、負極集電体及び負極集電体の少なくとも1つの面に設けられた負極活物質を含む負極活物質層を含む。
【0074】
例として、負極集電体は、それ自体の厚さ方向に対向する2つの面を有し、負極活物質層は、負極集電体の2つの対向する表面のいずれか一方または両方に設けられている。
【0075】
いくつかの実施形態では、前記負極集電体は、金属箔シートまたは複合集電体を使用できる。例えば、金属箔シートとして銅箔を用いてもよい。複合集電体は、高分子材料ベース層および高分子材料基材の少なくとも1つの面に形成されている金属層を含んでもよい。複合集電体は、金属材料(銅、銅合金、ニッケル、ニッケル合金、チタン、チタン合金、銀および銀合金等)を高分子材料基材(例えば、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリスチレン(PS)、ポリエチレン(PE)などの基材)上に形成することにより、形成してもよい。
【0076】
いくつかの実施形態では、負極活物質は、本分野で公知にされている電池に用いられる負極活物質を採用してもよい。例として、負極活物質は、人工黒鉛、天然黒鉛、ソフトカーボン、ハードカーボン、シリコン系材料、スズ系材料およびチタン酸リチウムのうちの少なくとも1種を含んでもよい。前記シリコン系材料として、単体シリコン、シリコン酸化物、シリコン-炭素複合体、シリコン-窒素複合体およびシリコン合金から選ばれた少なくとも1種であってもよい。前記スズ系材料は、スズ単体、スズ酸化物およびスズ合金から選択される少なくとも1種であってもよい。ただし、本願は、これらの材料に限られておらず、電池の負極活物質として用いられる他の伝統的な材料を用いてもよい。前記負極活物質は、単独で1種を使用してもよいし、または、2種以上の組み合わせで使用してもよい。
【0077】
いくつかの実施形態では、負極活物質層は、任意にバインダーを含む。前記バインダーは、スチレンブタジエンゴム(SBR)、ポリアクリル酸(PAA)、ポリアクリル酸ナトリウム(PAAS)、ポリアクリルアミド(PAM)、ポリビニルアルコール(PVA)、アルギン酸ナトリウム(SA)、ポリメタクリル酸(PMAA)、およびカルボン酸メチルキトサン(CMCS)から選択される1種以上であってもよい。
【0078】
いくつかの実施形態において、負極活物質層は、任意に導電剤を含む。導電剤は、超伝導カーボン、アセチレンブラック、カーボンブラック、ケッチェンブラック、カーボンドット、カーボンナノチューブ、グラフェン、および、カーボンナノファイバーから選択される1種以上であってもよい。
【0079】
いくつかの実施形態では、負極活物質層は、任意に例えば、増粘剤(例えば、カルボキシメチルセルロースナトリウム(CMC-Na))などの他の助剤をさらに含む。
【0080】
いくつかの実施形態では、下記の方式で負極シートを作製することができる。すなわち、前述した負極シートを作製するための成分、例えば、負極活物質、導電剤、バインダーおよび任意に他の成分を、溶媒(例えば、脱イオン水)に分散させて負極スラリーを形成し、負極スラリーを負極集電体上に塗覆し、乾燥、冷間圧延などのプロセスを経て負極シートを得ることができる。
【0081】
[電解質]
電解質は、正極シートと負極シートの間でイオンを伝導する役割を果たす。本願において、電解質の種類は、具体的な制限がなく、必要に応じて選択することができる。例えば、電解質は、液体、ゲル状、または、全固体であってもよい。
【0082】
いくつかの実施形態では、電解質として電解液を採用する。前記電解液は、電解質塩および溶媒を含む。
【0083】
いくつかの実施形態では、電解質塩は、ヘキサフルオロリン酸リチウム、テトラフルオロホウ酸リチウム、過塩素酸リチウム、ヘキサフルオロヒ酸リチウム、リチウムビス(フルオロスルホニル)イミド、リチウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、トリフルオロメタンスルホン酸リチウム、ジフルオロリン酸リチウム、リチウムジフルオロ(オキサレート)ボレート、リチウムビス(オキサレート)ボラート、リチウムジフルオロビス(オキサレート)ホスフェート、および、リチウムテトラフルオロ(オキサレート)ホスフェートから選択される少なくとも1種であってもよい。
【0084】
いくつかの実施形態では、溶媒は、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、エチルメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、ジメチルカーボネート、ジプロピルカーボネート、メチルプロピルカーボネート、エチルプロピルカーボネート、ブチレンカーボネート、フルオロエチレンカーボネート、メチルホルメート、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチル、プロピオン酸プロピル、酪酸メチル、酪酸エチル、1,4-ブチロラクトン、スルホラン、ジメチルスルホン、メチルエチルスルホン、ジエチルスルホンから選択される少なくとも1種であってもよい。
【0085】
いくつかの実施形態では、前記電解液は、任意に添加剤をさらに含む。例えば、添加剤は、負極皮膜形成添加剤、正極皮膜形成添加剤を含んでもよく、例えば電池の過充電性能を改善する添加剤、電池の高温・低温性能を改善する添加剤など、電池のある性能を改善できる添加剤を含んでもよい。
【0086】
[セパレーター]
いくつかの実施形態では、二次電池は、さらにセパレーターを含む。本願は、セパレーターの種類に特に制限がなく、公知の化学的および機械的安定性に優れた多孔質構造のセパレーターを任意に選択して用いることができる。
【0087】
いくつかの実施形態では、セパレーターの材質は、ガラス繊維、不織布、ポリエチレン、ポリプロピレンおよびポリフッ化ビニリデンから選択される少なくとも1種であってもよい。セパレーターは、単層フィルムであってもよく、複数層複合フィルムであってもよく、特に限定されない。セパレーターが複数層複合フィルムである場合、各層の材料は同じであっても異なっていてもよく、特に限定されない。
【0088】
いくつかの実施形態では、正極シート、負極シートとセパレーターは、捲回プロセスまたは積層プロセスによって電極アセンブリを作製することができる。
【0089】
いくつかの実施形態では、二次電池は、外装を含んでもよい。当該外装は、上記電極アセンブリ及び電解質を封止するために用いられる。
【0090】
いくつかの実施形態では、二次電池の外装は、硬質プラスチックケース、アルミニウムケース、スチールケースなどの硬質のケースであってもよい。二次電池5の外装は、パウチ型ソフトバッグなどのソフトバッグであってもよい。ソフトバッグの材質は、プラスチックであってもよく、プラスチックとして、ポリプロピレン、ポリブチレンテレフタレートおよびポリブチレンサクシネート等が挙げられる。
【0091】
本願は、二次電池の形状に特別な制限がなく、円筒形、方形または他の任意の形であってもよい。例えば、
図6は、1つの例としての方形構造である二次電池5である。
【0092】
いくつかの実施形態では、
図7を参照すると、外装は、ケース51と蓋板53とを含んでよい。ケース51は、底板と、底板に接続されている側板とを含み、底板と側板は、囲まれて収容キャビティを形成してもよい。ケース51は、収容キャビティに連通している開口を有し、蓋板53は、前記収容キャビティを閉じられるように前記開口を覆設することができる。正極シート、負極シートおよびセパレーターは、捲回プロセスまたは積層プロセスによって電極アセンブリ52に形成することができる。電極アセンブリ52は、前述の収容キャビティ内に封止されている。電解液は、電極アセンブリ52に含浸されている。二次電池5に含まれる電極アセンブリ52の数は、1つまたは複数であってもよく、当業者は、ニーズに応じて選択することができる。
【0093】
いくつかの実施形態では、二次電池は、電池モジュールに組み立てもよく、電池モジュールに含まれる二次電池の数は、1つ又は複数であってもよく、具体的な数は、電池モジュールの応用および容量に応じて調整することができる。
【0094】
図8は、1つの例としての電池モジュール4である。
図8を参照すると、電池モジュール4において、複数の二次電池5は、電池モジュール4の長手方向に沿って順に並べて設けられてもよい。もちろん、他の任意の方式で配置されてもよい。さらに、当該複数の二次電池5は、留め具によって固定されてもよい。
【0095】
任意に、電池モジュール4は、収容空間を有するハウジングを含んでもよく、複数の二次電池5は、当該収容空間に収容されている。
【0096】
いくつかの実施形態では、前記電池モジュールは、電池パックに組み立てもよく、電池パックに含まれる電池モジュールの数は、1つ又は複数であってもよく、当業者は、電池パックの応用および容量に応じて調整ことができる。
【0097】
図9と
図10は、1つの例としての電池パック1である。
図9と
図10を参照すると、電池パック1には電池筐体および電池筐体内に設けられた複数の電池モジュール4を含んでもよい。電池筐体は、上筐体2と下筐体3を含み、上筐体2は、下筐体3に覆設可能であり、かつ、電池モジュール4を収容するための密閉空間を形成する。複数の電池モジュール4は、電池筐体内に任意の方式で配置してもよい。
【0098】
また、本願は、本願に提供する二次電池、電池モジュール又は電池パックのうちの少なくとも1種を含む電気装置をさらに提供する。前記二次電池、電池モジュールまたは電池パックは、前記電気装置の電源として用いられてよく、前記電気装置のエネルギー貯蔵ユニットとして用いられてもよい。前記電気装置は、モバイル機器(例えば、携帯電話、ノートパソコンなど)、電動車両(例えば、純粋な電気自動車、ハイブリッド電気自動車、プラグインハイブリッド電気自動車、電動自転車、電動スクーター、電動ゴルフカート、電動トラックなど)、電車、船舶および衛星、エネルギー貯蔵システムなどであってもよいが、これらに限定されない。
【0099】
前記電気装置として、その使用のニーズに応じて二次電池、電池モジュールまたは電池パックを選択できる。
【0100】
図11は、1つの例としての電気装置である。当該電気装置は、純粋な電気自動車、ハイブリッド電気自動車、または、プラグインハイブリッド電気自動車などである。当該電気装置の二次電池に対する高出力および高エネルギー密度のニーズを満たすために、電池パックまたは電池モジュールを使用することができる。
【0101】
もう1つの例としての装置は、携帯電話、タブレット、ノートパソコン等であってもよい。当該装置は、通常、薄型化が要求され、電源として二次電池を使用できる。
【0102】
実施例
以下、本願の実施例について説明する。下記に説明する実施例は例示的なものであり、本願を説明するためにのみ使用され、本願の限定として解釈されるべきではない。実施例に具体的な技術または条件が示されていない場合、本分野の文献に記載されている技術または条件に従ってまたは製品の取り扱い説明書に従って行う。用いられる試薬または機器は、メーカーが明示されていない場合、いずれも市販から入手できる従来の製品である。
【0103】
実施例1-1
<絶縁帯状塗布層の作製>
機能材料であるナノSiO2(平均粒子径500nm)、絶縁材料である酸化アルミニウム(Al2O3)、第1のバインダーであるスチレンブタジエンゴム(SBR)を質量比60:30:10で混合し、そして第1の溶媒である脱イオン水を添加し、真空攪拌機の作用で系が均一になるように攪拌して固形分30wt%の第1のスラリーを得た。12μmのアルミ箔を集電体として選択し、押出塗布方式で集電体長さ方向に沿って集電体表面の両側にそれぞれ第1のスラリーを塗覆し、90℃条件下で乾燥して2本の絶縁帯状塗布層を形成し、それぞれの絶縁帯状塗布層の本体エリアから離れた外縁とそれに近い側の集電体の長辺辺縁との間の集電体表面は、空白エリアを形成した。これに対応して、2本の絶縁帯状塗布層の間に第1のスラリーが塗覆されていない集電体表面に本体エリアを形成した。そのうち、絶縁帯状塗布層の厚さは24μmであり、幅は10mmであり、空白エリアの幅は10mmであった。
【0104】
<活物質層の作製>
正極活物質であるLiNi0.8Co0.1Mn0.1O2、導電剤である導電カーボンブラック及び第2のバインダーであるPVDFを質量比96:2:2で混合し、そして第2の溶媒であるN-メチルピロリドン(NMP)を添加し、真空攪拌機の作用で系が均一になるように攪拌して固形分60wt%の第2のスラリーを得た。押出塗布方式で本体エリア表面に第2のスラリーを塗覆し、120℃条件下で乾燥し、冷間圧延して正極活物質層厚さ35μmの正極シートを得た。そして、当該正極シートのもう1つの面に前記ステップを繰り返して両面が絶縁帯状塗布層と活物質層を有する正極シートを得、極タブ成形、スリット等の工程を経て正極シートを得た。
【0105】
実施例1-2~実施例1-6
表1に示すように第1のスラリーにおける機能材料、絶縁材料、第1の溶媒の種類及び各成分の間の質量比を調整した以外、他は、実施例1-1と同じとした。
【0106】
実施例1-7~実施例1-8
第1の溶媒の添加量を調整して表1に示すように第1のスラリーの固形分を調整した以外、他は、実施例1-1と同じとした。
【0107】
実施例2-1
<絶縁帯状塗布層の作製>
機能材料であるポリオレフィン(ポリプロピレン)、絶縁材料である酸化アルミニウム(Al2O3)、第1のバインダーであるPVDFを、質量比60:30:10で混合し、そして第1の溶媒であるNMPを添加し、真空攪拌機の作用で系が均一になるように攪拌して固形分30wt%の第1のスラリーを得た。8μmのアルミ箔を集電体として選択し、押出塗布方式で集電体長さ方向に沿って集電体表面の両側にそれぞれ第1のスラリーを塗覆し、90℃条件下で乾燥して2本の絶縁帯状塗布層を形成し、それぞれの絶縁帯状塗布層の本体エリアから離れた外縁とそれに近い側の集電体の長辺辺縁との間の集電体表面は、空白エリアを形成した。これに対応して、2本の絶縁帯状塗布層の間に第1のスラリーが塗覆されていない集電体表面に本体エリアを形成した。そのうち、絶縁帯状塗布層の厚さは24μmであり、幅は5mmであり、空白エリア幅は10mmであった。
【0108】
<活物質層の調製>
負極活物質である人造石墨、導電剤である導電カーボンブラック、第2のバインダーであるSBRを質量比96:2:2で混合し、そして第2の溶媒である脱イオン水を添加し、真空攪拌機の作用で系が均一になるように攪拌して固形分60wt%の第2のスラリーを得た。押出塗布方式で本体エリア表面に第2のスラリーを塗覆し、120℃条件下で乾燥し、冷間圧延して負極活物質層厚さ35μmの負極シートを得た。そして、当該負極シートのもう1つの面に前記ステップを繰り返して両面が絶縁帯状塗布層と活物質層を有する負極シートを得、極タブ成形、スリット等の工程を経て負極シートを得た。
【0109】
実施例2-2~実施例2-9
表2に示すように第1のスラリーにおける機能材料、絶縁材料、第1の溶媒の種類及び各成分の間の質量比を調整した以外、他は実施例2-1と同じとした。
【0110】
実施例2-10~実施例2-11
第1の溶媒の添加量を調整して表2に示すように第1のスラリーの固形分を調整した以外、他は実施例2-1と同じとした。
【0111】
実施例3-1~実施例3-7
表3に示すように絶縁帯状塗布層の厚さと幅、活物質層の厚さと幅を調整した以外、他は実施例1-1と同じとした。
【0112】
実施例4-1~実施例4-7
表4に示すように絶縁帯状塗布層の厚さと幅、活物質層の厚さと幅を調整した以外、他は実施例2-1と同じとした。
【0113】
比較例1-1
第1のスラリーに機能材料を含まず、表1に示すように各成分の間の質量比を調整した以外、他は実施例1-1と同じとした。
【0114】
比較例2-1
第1のスラリーに機能材料を含まず、表2に示すように各成分の間の質量比を調整した以外、他は実施例2-1と同じとした。
【0115】
上記実施例1-1~実施例1-8、比較例1-1の相関パラメーターを下記の表1に示した。
【0116】
表1
表において、「/」は、相関パラメーターが存在しないことを示す。
【0117】
上記実施例2-1~実施例2-11、比較例2-1の相関パラメーターを下記の表2に示した。
【0118】
表2
表において、「/」は、相関パラメーターが存在しないことを示す。
【0119】
上記実施例3-1~実施例3-7の相関パラメーターを下記の表3に示した。
【0120】
【0121】
上記実施例4-1~実施例4-7の相関パラメーターを下記の表4に示した。
【0122】
【0123】
活物質スラリーと絶縁帯状塗布層との間の接触角の測定:
接触角測定器を用いて活物質スラリーと絶縁帯状塗布層との間の接触角を測定した。
【0124】
絶縁帯状塗布層の厚さH1、活物質層の厚さH2の測定:
マイクロメータを用いて絶縁帯状塗布層の厚さH1と活物質層の厚さH2を測定した。
【0125】
電極シート不良率の測定:
活物質と絶縁帯状塗布層との間には、大きな色差があるため、電荷結合素子(CCD)というデバイスは、活物質層と絶縁帯状塗布層の境界を区別するためにグレー値を表示する。各実施例と比較例に作製された電極シートをそれぞれ100枚取り、下記の方法でCCDデバイスにより各電極シートにおける絶縁帯状塗布層と活物質層との間に明確な界面を有するかどうかを判定した。
【0126】
活物質層と絶縁帯状塗布層とが融合しないと鮮明な階調変化が現れて、はっきりした界面を有し、良品として判定した。活物質層と絶縁帯状塗布層とが融合すると不鮮明な階調変化が現れて、はっきりした界面を有さず、不良品として判定した。
【0127】
そして、100枚の電極シートの良品数と不良品数を統計した。ここで、電極シートの不良率=不良品数/100×100%。
【0128】
各実施例と比較例に作製された電極シートについて、本願に提供された電極シート不良率測定方法に従って各実施例と比較例の電極シートの不良率を測定し、結果は、以下の通りであった。
【0129】
表5:実施例1-1~実施例1-8、比較例1-1の性能測定結果
【0130】
上記結果から分かるように、実施例1-1~実施例1-8の電極シートは、不良率が低く、本願に係る絶縁帯状塗布層を有する電極シートが電極シートの不良率を低減して優れた品質を有し、電極シートの廃棄を低減し、生産コストを低減することが明らかとなった。
【0131】
これに対して、比較例1-1の電極シートは、第1のスラリーが本願に係る機能材料を含まないため、活物質スラリーが電極シート幅方向で外側へ拡散する問題が生じやすく、その不良率が高く、かつ高い不良率は生産コストの低減に不利である。
【0132】
表6:実施例2-1~実施例2-11、比較例2-1の性能測定結果
【0133】
上記結果から分かるように、実施例2-1~実施例2-11の電極シートは、不良率が低く、本願に係る絶縁帯状塗布層を有する電極シートが電極シートの不良率を低減して優れた品質を有し、電極シートの廃棄を低減し、生産コストを低減することが明らかとなった。
【0134】
これに対して、比較例2-1の電極シートは、第1のスラリーが本願に係る機能材料を含まないため、活物質スラリーが電極シート幅方向で外側へ拡散する問題が生じやすく、その不良率が高く、かつ高い不良率は生産コストの低減に不利である。
【0135】
【0136】
絶縁帯状塗布層厚さH1、活物質層厚さH2は、通常電極シートの不良率に影響を与える。実施例1-1と実施例3-1~実施例3-5から分かるように、絶縁帯状塗布層厚さH1、活物質層厚さH2を制御することにより、電極シートの不良率をさらに低減することもできる。
【0137】
実施例3-1~実施例3-3から分かるように、絶縁帯状塗布層厚さH1と活物質層厚さH2との間の比率を制御することにより、電極シートの不良率をさらに低減することができる。
【0138】
絶縁帯状塗布層の幅も電極シートの不良率に一定の影響を与え、実施例3-1~実施例3-7から分かるように、絶縁帯状塗布層の幅を制御することにより、電極シートの不良率をさらに低減することもできる。
【0139】
【0140】
絶縁帯状塗布層厚さH1、活物質層厚さH2は、通常、電極シートの不良率に影響を与える。実施例2-1と実施例4-1~実施例4-7から分かるように、絶縁帯状塗布層厚さH1、活物質層厚さH2を制御することにより、電極シートの不良率をさらに低減することもできる。
【0141】
実施例4-1~実施例4-3から分かるように、絶縁帯状塗布層厚さH1と活物質層厚さH2との間の比率を制御することにより、電極シートの不良率をさらに低減することができる。
【0142】
絶縁帯状塗布層の幅も電極シートの不良率に一定の影響を与え、実施例4-1~実施例4-7から分かるように、絶縁帯状塗布層の幅を制御することにより、電極シートの不良率をさらに低減することもできる。
【0143】
図12は、実施例1-1に作製された電極シートの写真(本体エリアは比較的に広いため、本体エリアは完全に図示されていない。)である。図面から分かるように、当該電極シートの本体エリアと隔離エリアとの間には明確な界面が形成されており、本体エリアの活物質が電極シート幅方向で拡散する現象を発生しなかったことを示している。
【0144】
図13は、比較例1-1に作成された電極シートの写真(本体エリアは比較的に広いため、本体エリアは完全に図示されていない。)であった。図面から分かるように、当該電極シートの本体エリアと隔離エリアとの間には不明確な界面が形成されており、本体エリアの活物質が電極シート幅方向で拡散する現象を発生したことを示している。
【0145】
なお、本願は上記実施形態に限定されるものではない。上記実施形態は単なる例示に過ぎず、本願の技術案の範囲内において、技術的思想と実質的に同一の構成を有し、同様の作用効果を奏する実施形態は、いずれも本願の技術的範囲に含まれる。また、本願の要旨を逸脱しない範囲で、当業者が思いつく各種変形を実施形態に施したものや、実施形態における一部の構成要素を組み合わせて構築される別の形態も、本願の範囲内に含まれる。
【符号の説明】
【0146】
1 電池パック、2 上筐体、3 下筐体、4 電池モジュール、5 二次電池、51 ケース、52 電極アセンブリ、53 蓋板、11 本体エリア、12 隔離エリア、13 空白エリア、14 集電体、111 活物質層、121 絶縁帯状塗布層