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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-23
(45)【発行日】2025-01-07
(54)【発明の名称】カラーフィルタおよび表示装置
(51)【国際特許分類】
   G02B 5/20 20060101AFI20241224BHJP
   G02B 3/00 20060101ALI20241224BHJP
   G09F 9/30 20060101ALI20241224BHJP
   G09F 9/302 20060101ALI20241224BHJP
   H10K 50/858 20230101ALI20241224BHJP
   H10K 59/10 20230101ALI20241224BHJP
   H10K 59/38 20230101ALI20241224BHJP
【FI】
G02B5/20 101
G02B3/00 A
G09F9/30 349B
G09F9/30 349Z
G09F9/30 365
G09F9/302 C
H10K50/858
H10K59/10
H10K59/38
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2020111963
(22)【出願日】2020-06-29
(65)【公開番号】P2022011076
(43)【公開日】2022-01-17
【審査請求日】2023-05-24
(73)【特許権者】
【識別番号】000003193
【氏名又は名称】TOPPANホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【弁理士】
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100139686
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 史朗
(74)【代理人】
【識別番号】100169764
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 雄一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100147267
【弁理士】
【氏名又は名称】大槻 真紀子
(72)【発明者】
【氏名】山内 淳
【審査官】内村 駿介
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-060611(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第108665862(CN,A)
【文献】特開2020-013695(JP,A)
【文献】韓国公開特許第10-2016-0017397(KR,A)
【文献】特開2010-231010(JP,A)
【文献】特開平11-074072(JP,A)
【文献】国際公開第2020/080022(WO,A1)
【文献】特開2004-127662(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 5/20-5/28
G02B 3/00
H10K 50/00-102/20
G09F 9/30
G09F 9/302
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
カラー表示における単位画素を構成する複数の副画素に含まれ、第1透過波長域を有する第1副画素と、
前記第1副画素の厚さ方向において前記第1副画素に対向して配置された第1レンズと、
前記単位画素、または前記単位画素に隣接する他の単位画素を、構成する複数の副画素に含まれ、前記第1副画素と同じ厚さと、前記第1透過波長域と異なる第2透過波長域とを有し、前記第1副画素に隣接する第2副画素と、
前記第2副画素の厚さ方向において前記第2副画素に対向して配置され、前記第1副画素に対する前記第2副画素の隣接方向と同方向において前記第1レンズと隣り合って配置された第2レンズと、
前記第1副画素および前記第2副画素と、前記第1レンズおよび前記第2レンズと、の間に配置された平坦化層と、
を備え、
下記式(1)~(5)を満足する、
カラーフィルタ。
【数1】
ここで、t1は前記第1副画素および前記第2副画素の厚さ、t2は前記平坦化層の厚さ、wは前記隣接方向における前記第1副画素および前記第2副画素の幅、Lは前記隣接方向における前記第1レンズおよび前記第2レンズの幅、およびdは前記隣接方向における前記第1レンズおよび前記第2レンズの間の距離である。
【請求項2】
前記単位画素および前記他の単位画素は、それぞれ赤色、緑色、および青色の互いに異なる透過波長域を有し、同一の前記隣接方向に並んだ3つの副画素を含んでおり、
前記3つの副画素は、前記隣接方向と直交する方向における長さが互いに等しく、
前記3つの副画素のうち、互いに隣り合う少なくとも1組の副画素において、前記式(1)~(5)が満足される、
請求項1に記載のカラーフィルタ。
【請求項3】
前記単位画素および前記他の単位画素は、
赤色、緑色、および青色のいずれかの第1色の透過波長域を有する第1色副画素と、
前記赤色、前記緑色、および前記青色のうち前記第1色と異なる第2色の透過波長域を有する第2色副画素と、
前記赤色、前記緑色、および前記青色のうち前記第1色および前記第2色と異なる第3色の透過波長域を有し、一方向に細長い第3色副画素と、
を含んでおり、
前記第1色副画素および前記第2色副画素は、前記第3色副画素の長手方向において互いに隣り合っており、かつ前記第1色副画素および前記第2色副画素は、前記第3色副画素の前記長手方向に交差する短手方向において、それぞれ前記第3色副画素と、隣り合って、配置されており、
前記第1色副画素、前記第2色副画素、および前記第3色副画素のうち、互いに隣り合う少なくとも1組の副画素において、前記式(1)~(5)が満足される、
請求項1に記載のカラーフィルタ。
【請求項4】
請求項1~3のいずれか1項に記載のカラーフィルタと、
前記単位画素を構成する前記複数の副画素にそれぞれ対向する複数の発光素子と、
を備える、表示装置。
【請求項5】
前記発光素子は、有機EL素子である、
請求項4に記載の表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カラーフィルタおよび表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、有機エレクトロルミネッセンス(EL)表示装置等の表示装置においては、カラー表示を行う1つ画素領域に、それぞれ、白色光を発生する有機EL素子が複数配置され、各有機EL素子の上方に着色フィルタとレンズとがそれぞれ配置された構成が知られている。
例えば、特許文献1には、1つの画素領域に白色光を発生する3つの有機EL素子が配置されており、それぞれの上に、赤(R)、緑(G)、青(B)の各色の光を透過する着色フィルタと、各着色フィルタ上に配置されたレンズと、が設けられた有機EL表示装置が開示されている。
例えば、特許文献2には、1つの画素領域に白色光を発生する凹状に形成された有機層を含む発光素子が配置されており、それぞれの上に、R、G、Bの各色の光を透過する着色フィルタと、各着色フィルタ上に配置されたレンズと、が設けられた表示装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2014-2880号公報
【文献】特開2019-133816号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記のような従来技術には以下のような問題がある。
特許文献1、2におけるレンズは、発光素子からの光の正面輝度を向上するために設けられている。
特許文献1では、サイズ12μm×12μmの単位画素に設けられた、赤色、緑色、および青色の波長成分の表示光をそれぞれ形成する副画素から構成されたカラーフィルタの上にマイクロレンズを形成している。副画素の間には、混色対策のための大きなギャップが設けられている。このため、カラーフィルタの開口率が下がってしまうので、解像度をあまり向上することができない。
特許文献2では、凹状の有機層から出射した光を内部レンズで集光した後、着色フィルタに透過させ、最外部に配置されたオンチップマイクロレンズを通して外部に出射する。さらに、着色フィルタの間には、ブラックマトリクスが形成されているので、これらが相俟って発光素子からの光が、隣接する着色フィルタから出射しないようになっている。
この場合、正面輝度を向上し、混色を抑制することができるが、有機層を凹状に形成したり、ブラックマトリクスを形成したりする製造工程が増えてしまうので、製造コストが増大する。
【0005】
本発明は、上記のような問題に鑑みてなされたものであり、簡素な構成であっても、正面輝度と色再現性とが良好になるカラーフィルタおよび表示装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の課題を解決するために、本発明の第1の態様のカラーフィルタは、カラー表示における単位画素を構成する複数の副画素に含まれ、第1透過波長域を有する第1副画素と、前記第1副画素の厚さ方向において前記第1副画素に対向して配置された第1レンズと、前記単位画素、または前記単位画素に隣接する他の単位画素を、構成する複数の副画素に含まれ、前記第1副画素と同じ厚さと、前記第1透過波長域と異なる第2透過波長域とを有し、前記第1副画素に隣接する第2副画素と、前記第2副画素の厚さ方向において前記第2副画素に対向して配置され、前記第1副画素に対する前記第2副画素の隣接方向と同方向において前記第1レンズと隣り合って配置された第2レンズと、前記第1副画素および前記第2副画素と、前記第1レンズおよび前記第2レンズと、の間に配置された平坦化層と、を備え、下記式(1)~(5)を満足する。
【数1】
ここで、t1は前記第1副画素および前記第2副画素の厚さ、t2は前記平坦化層の厚さ、wは前記隣接方向における前記第1副画素および前記第2副画素の幅、Lは前記隣接方向における前記第1レンズおよび前記第2レンズの幅、およびdは前記隣接方向における前記第1レンズおよび前記第2レンズの間の距離である。
【0007】
上記カラーフィルタにおいては、前記単位画素および前記他の単位画素は、それぞれ赤色、緑色、および青色の互いに異なる透過波長域を有し、同一の前記隣接方向に並んだ3つの副画素を含んでおり、前記3つの副画素は、前記隣接方向と直交する方向における長さが互いに等しく、前記3つの副画素のうち、互いに隣り合う少なくとも1組の副画素において、前記式(1)~(5)が満足されてもよい。
【0008】
上記カラーフィルタにおいては、前記単位画素および前記他の単位画素は、赤色、緑色、および青色のいずれかの第1色の透過波長域を有する第1色副画素と、前記赤色、前記緑色、および前記青色のうち前記第1色と異なる第2色の透過波長域を有する第2色副画素と、前記赤色、前記緑色、および前記青色のうち前記第1色および前記第2色と異なる第3色の透過波長域を有し、一方向に細長い第3色副画素と、を含んでおり、前記第1色副画素および前記第2色副画素は、前記第3色副画素の長手方向において互いに隣り合っており、かつ前記第1色副画素および前記第2色副画素は、前記第3色副画素の前記長手方向に交差する短手方向において、それぞれ前記第3色副画素と、隣り合って、配置されており、前記第1色副画素、前記第2色副画素、および前記第3色副画素のうち、互いに隣り合う少なくとも1組の副画素において、前記式(1)~(5)が満足されてもよい。
【0009】
本発明の第2の態様の表示装置は、上記カラーフィルタと、前記単位画素を構成する前記複数の副画素にそれぞれ対向する複数の発光素子と、を備える。
【0010】
上記表示装置においては、前記発光素子は、有機EL素子であってもよい。
【発明の効果】
【0011】
本発明のカラーフィルタおよび表示装置によれば、簡素な構成であっても、正面輝度と色再現性とが良好になる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の第1の実施形態に係る表示装置の一例を示す模式的な平面図である。
図2図1におけるF2-F2線に沿う断面図である。
図3】本発明の第1の実施形態に係るカラーフィルタの作用を示す模式的な光線図である。
図4】第1比較例のカラーフィルタの作用を示す模式的な光線図である。
図5】第2比較例のカラーフィルタの作用を示す模式的な光線図である。
図6】第3比較例のカラーフィルタの作用を示す模式的な光線図である。
図7】本発明の第2の実施形態に係る表示装置の一例を示す模式的な平面図である。
図8図7におけるF8-F8線に沿う断面図である。
図9図7におけるF9-F9線に沿う断面図である。
図10図7におけるF10-F10線に沿う断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下では、本発明の実施形態について添付図面を参照して説明する。すべての図面において、実施形態が異なる場合であっても、同一または相当する部材には同一の符号を付し、共通する説明は省略する。
【0014】
[第1の実施形態]
本発明の第1の実施形態に係るカラーフィルタおよび表示装置について説明する。
図1は、本発明の第1の実施形態に係る表示装置の一例を示す模式的な平面図である。図2は、図1におけるF2-F2線に沿う断面図である。
【0015】
図1に示す有機EL表示装置100(表示装置)は、画像信号に基づいてカラー画像を表示する。有機EL表示装置100の用途は特に限定されない。例えば、有機EL表示装置100は、スマートグラス、ヘッドマウントディスプレイ、電子ビューファインダなどの電子機器用の表示装置として利用することができる。
図1には、本実施形態の有機EL表示装置100の平面視における単位画素Pの構成が示されている。ここで、平面視とは、有機EL表示装置100の表示画面から発光素子に向かって見ることを意味している。平面視は、後述するフィルタ部3の厚さ方向から見ることでもある。
【0016】
単位画素Pは、カラー表示を行う最小の領域である。例えば、有機EL表示装置100は、図1に示す単位画素Pが、図示の左から右に向かうx方向と、図示の下から上に向かうy方向と、に、それぞれ多数隣り合って配列されている。z方向は、x方向およびy方向に直交する方向のうち、図示の紙面の奥から前に向かう方向である。z方向は、平面視の方向と反対の方向である。
有機EL表示装置100の単位画素Pの全体で形成される表示画面の外形は、x方向およびy方向に辺を有する矩形である。単位画素Pのx方向の幅はWx、y方向の幅はWyである。WxとWyとは、互いに等しくてもよいし、互いに異なっていてもよい。
例えば、図1に示す例では、Wxは、Wyの1/5倍である。
以下、簡単のため、領域、部材などのx方向の幅をx幅、y方向の幅をy幅と称する場合がある。
単位画素Pは第1副画素域P1、第2副画素域P2、および第3副画素域P3を有する。第1副画素域P1、第2副画素域P2、および第3副画素域P3は、x方向においてこの順に配列されている。第1副画素域P1、第2副画素域P2、および第3副画素域P3は、単位画素Pをx方向において三等分している。
有機EL表示装置100において、各単位画素Pの構成はいずれも同一なので、以下では、単一の単位画素Pの例で説明する。
【0017】
第1副画素域P1は、平面視では、x幅がWx/3、y幅がWyの矩形である。第1副画素域P1は、例えば、赤色の表示を行う。
第2副画素域P2は、平面視では、x幅がWx/3、y幅がWyの矩形である。第2副画素域P2は、例えば、緑色の表示を行う。
第3副画素域P3は、平面視では、x幅がWx/3、y幅がWyの矩形である。第3副画素域P3は、例えば、青色の表示を行う。
【0018】
図2に示すように、有機EL表示装置100は、本体部9と、カラーフィルタ10と、を有する。
【0019】
本体部9は、基板6、発光素子5、および平坦化膜4を有する。
基板6の平面視形状は、有機EL表示装置100の表示画面よりも大きい。基板6は、例えば、シリコン基板で形成される。
【0020】
発光素子5は、白色光を発光する。例えば、発光素子5としては、有機EL素子が用いられてもよい。有機EL素子は、陽極と陰極との間に直流電圧を印加し、発光層に電子および正孔を注入して再結合させることにより励起子を生成し、この励起子が失活する際の光の放出を利用して発光する。
発光素子5は、第1副画素域P1、第2副画素域P2、および第3副画素域P3にそれぞれ設けられている。
図1に示すように、各発光素子5の平面視形状は、それぞれが配置された第1副画素域P1、第2副画素域P2、および第3副画素域P3の外形よりもわずかに小さい矩形状である。
図1に示す例では、各発光素子5のx幅はWx/3よりもわずかに狭く、y幅はWyよりもわずかに狭い。
発光素子5は、例えば、半導体製造プロセスを用いてシリコン基板上に製造される。
【0021】
各発光素子5における電極は、基板6に形成された配線を通して図示略の駆動回路に接続されている。駆動回路は、画像信号に基づいて、各発光素子5の点灯および消灯を制御する。
【0022】
図2に示すように、平坦化膜4は、少なくとも各単位画素Pにおける基板6および発光素子5を被覆しており、z方向の表面に平坦面4aを形成する。平坦面4aは、有機EL表示装置100における表示領域全体に延びる平面である。
平坦化膜4は、発光素子5を覆うことにより発光素子5を保護する。例えば、平坦化膜4は、水分、酸素などが発光素子5に触れないようにすることで、発光素子5の劣化を抑制する。
平坦化膜4の材料は、可視光に対する透過率が良好な透明樹脂材料からなる。平坦化膜4の材料には、水分および酸素の少なくとも一方に対するバリア性が高い材料を用いられることがより好ましい。
平坦化膜4における発光素子5上の膜厚は、例えば、0.1μmである。
【0023】
カラーフィルタ10は、z方向において、フィルタ部3と、平坦化層2と、レンズ1と、をこの順に有する。
【0024】
フィルタ部3は、上面3aおよび下面3bを有する厚さt1の層状部である。t1が満足する条件については後述する。
フィルタ部3は、下面3bが平坦面4aと密着した状態で、平坦化膜4を覆っている。
フィルタ部3は、平坦化膜4を経由して各発光素子5から入射する光の透過波長を規制する。
【0025】
フィルタ部3は、第1着色層31(副画素)、第2着色層32(副画素)、および第3着色層33(副画素)からなる。
第1着色層31は、第1副画素域P1に重ねられている。第1着色層31は、例えば、赤色の透過波長域を有する副画素を形成する。
第2着色層32は、第1着色層31のx方向に隣り合って配置されている。第2着色層32は、第2副画素域P2に重ねられている。第2着色層32は、例えば、緑色の透過波長域を有する副画素を形成する。
第3着色層33は、第2着色層32のx方向に隣り合って配置されている。第3着色層33は、第3副画素域P3に重ねられている。第3着色層33は、例えば、青色の透過波長域を有する副画素を形成する。
【0026】
本実施形態では、第1着色層31、第2着色層32、および第3着色層33の厚さ方向から見た各平面視形状は、y方向に細長い矩形であり、それぞれ第1副画素域P1、第2副画素域P2、および第3副画素域P3と同形である。このため、3つの副画素を形成する第1着色層31、第2着色層32、および第3着色層33は、単位画素Pをx方向において三等分する形状に形成されている。
第1着色層31、第2着色層32、および第3着色層33の各x幅はwx(=Wx/3)、各y幅はWyである。
【0027】
フィルタ部3は、透明樹脂に、それぞれの透過波長域に対応する色材を分散させた樹脂組成物を固化させて形成される。
【0028】
平坦化層2は、フィルタ部3の上面3aに積層された厚さt2の層状部である。t2が満足する条件については後述する。
平坦化層2の上面2aは、フィルタ部3の下面3bと平行な平面である。
平坦化層2の材料は、可視光に対する透過率が良好な透明樹脂材料である。
【0029】
レンズ1は、平坦化層2を挟んで、第1着色層31、第2着色層32、および第3着色層33のそれぞれの厚さ方向(z方向)に対向して配置され、第1着色層31、第2着色層32、および第3着色層33を透過する光をそれぞれ集光する。集光された光は、z方向に延びる各レンズ1の光軸を中心として、カラーフィルタ10の外部に出射する。
【0030】
図1に示すように、本実施形態では、レンズ1は、第1副画素域P1、第2副画素域P2、および第3副画素域P3のそれぞれの長手方向(y方向)に2つずつ並んで配置されている。ただし、第1副画素域P1、第2副画素域P2、および第3副画素域P3の長手方向におけるレンズ1の個数は、長手方向の長さに応じて適宜変更されてもよい。
各レンズ1のy幅はLyである。y方向に隣接する各レンズ1の間の距離はdyである。dyは、光取り出し効率を向上する観点では、小さい方がより好ましい。例えば、dyは0であってもよい。
図1に示す例では、各レンズのy幅Lyは、(Wy/2-dy)ある。
【0031】
各レンズ1のx幅はLxである。x方向に隣接する各レンズ1の間の距離はdxである。Lx、dxが満足する条件は後述する。
例えば、各レンズ1の平面視形状は、x幅がLx、y幅がLyの矩形の四隅が円弧状に丸められた形状を有する。特にLx=Lyの場合、各レンズ1の平面視形状は円であってもよい。
【0032】
本実施形態では、平面視において、少なくともx方向と、各レンズ1の対角方向と、には、隙間が空いており、平坦化層2の上面2aが露出している。
【0033】
レンズ1の材料は、可視光に対する透過率が良好な透明樹脂材料である。レンズ1の材料は、平坦化層2と同一材料でもよいし、異なる材料でもよい。レンズ1の材料が平坦化層2の材料と異なる場合、互いの屈折率が異なっていてもよい。
図2に示す例において、各レンズ1は、z方向において、平面1bと、凸レンズ面1aと、を、この順に有する。ここで、平面1bは、平坦化層2との界面である。ただし、レンズ1および平坦化層2が同一材料で形成される場合にはレンズ1と平坦化層2との間に界面が形成されないので、平面1bは仮想面である。レンズ1および平坦化層2との屈折率が同一の場合には、平面1bが形成されたとしても、平面1bが屈折面および反射面として機能することはない。
以下では、特に断らない限り、レンズ1および平坦化層2が同一材料で形成されており、レンズ1および平坦化層2の屈折率が互いに等しい場合の例で説明する。
【0034】
各レンズ1は、凸レンズ面1aが正の屈折力を有する凸レンズである。
各凸レンズ面1aの形状は、レンズ1の集光性能および光取り出し効率を考慮した適宜形状が用いられる。例えば、各凸レンズ面1aは、z方向に凸の半球状であってもよい。ここで、半球状とは、半球面の場合と、球欠高さが半径よりも小さい球欠面の場合と、これらの半球面および球欠面に近い非球面の場合と、を含む。
このような形状を有することにより、各レンズ1は、発光素子5が出射する放射光を集光することができる。各レンズ1の光軸Oは、各レンズ1の中心を通りz方向に延びている。
図2に示すように、各光軸Oは、各発光素子5のx方向における幅(短手幅)の中心に位置している。
【0035】
本実施形態におけるカラーフィルタ10では、第1の透過波長域を有する特定の副画素を第1副画素、第1副画素と隣接しており第1透過波長域と異なる第2透過波長域を有する副画素を第2副画素と称し、第1副画素および第2副画素にそれぞれ対向するレンズ1を第1レンズおよび第2レンズと称するとき、それぞれの形状について、下記式(1)~(5)を満足する形状に形成される。
【0036】
【数2】
【0037】
ここで、t1は第1副画素および第2副画素の厚さ、t2は平坦化層2の厚さ、wは隣接方向における第1副画素および第2副画素の幅、Lは隣接方向における第1レンズおよび第2レンズの幅、およびdは隣接方向における第1レンズおよび前記第2レンズの間の距離である。
【0038】
式(1)に示すように、Tはフィルタ部3および平坦化層2の合計の厚さを表している。フィルタ部3および平坦化層2においては、発光素子5から出射する光は、フィルタ部3および第2レンズ2の屈折率差に応じて屈折するが、屈折率差が小さい場合には略直進する。
式(2)の条件は、フィルタ部3および平坦化層2の合計の厚さTを、第1副画素および第2副画素の各幅w未満としている。Tがw以上であると、第1レンズおよび第2レンズによる発光素子5からの放射光の集光範囲が狭くなるので、正面輝度が低下してしまう。
一方、放射角が大きい光を集光しやすくすると、第1副画素の端部から放射される光が、隣り合う第2副画素を透過した漏れ光が第2レンズから正面の方に出射される割合が増える。この場合、漏れ光は第2副画素を透過することにより、第1副画素の第1透過波長域と異なる色味を帯びている。第1透過波長域と異なる色味を帯びた漏れ光が混じって観察されると、漏れ光の光量によっては、色再現性が低下するおそれがある。
本実施形態では、漏れ光が正面の方に向かって出射しにくいようにするため、隣接方向において第1レンズと第2レンズと間に距離を持たせることで、レンズ間に隙間を形成している。
式(3)は、適正な隙間の大きさdを規定している。式(5)は、レンズ間の距離をdとしたときの第1レンズおよび第2レンズの幅Lを表している。
式(4)は、正面輝度を適正化しやすい、第1レンズおよび第2レンズの幅Lの範囲を規定している。
第1レンズおよび第2レンズの幅がwであると、レンズ間の距離が0になってしまい、隣接方向において隙間が形成できない。
第1レンズおよび第2レンズの幅が0.8×w未満であると、漏れ光が正面の方に向かいにくくなるものの、第1レンズおよび第2レンズの開口数が小さくなりすぎる。このため、適正な透過波長域を有する表示光の光取り出し効率と、正面輝度と、が低下してしまう。
【0039】
本実施形態では、単位画素P内でx方向において互いに隣接する第1着色層31および第2着色層32と、第2着色層32および第3着色層33と、は、それぞれ、第1副画素および第2副画素を構成する。
単位画素Pの第1着色層31は、x方向と反対方向に隣接する他の単位画素Pの第3着色層33と隣接しているので、第1着色層31と、これに隣り合う他の単位画素Pの第3着色層33と、は、第1副画素および第2副画素を構成する。
単位画素Pの第3着色層33は、x方向に隣接する他の単位画素Pの第1着色層31と隣接しているので、第3着色層33と第1着色層31とは、第1副画素および第2副画素を構成する。
本実施形態では、上述のいずれの第1副画素および第2副画素に対しても、式(1)~(5)において、w=wx、d=dx、L=Lxとした関係が満足されている。
【0040】
一方、本実施形態では、y方向およびy方向と反対方向においては、単位画素P内でも、単位画素Pと隣接する他の単位画素Pとの間でも、透過波長領域が互いに異なる副画素が隣接していない。このため、y方向およびy方向と反対方向においては、式(1)~(5)を満足すべき、第1副画素および第2副画素に該当する副画素は存在しない。例えば、y方向およびy方向と反対方向においては、dyは0に近いほど、より好ましい。
【0041】
有機EL表示装置100は、半導体製造プロセスを用いて基板6上に発光素子5を形成し、基板6および発光素子5に平坦化膜4を積層して本体部9を形成し、平坦面4a上に、フィルタ部3、平坦化層2、およびレンズ1を形成することによって製造できる。
例えば、フィルタ部3は、第1着色層31、第2着色層32、および第3着色層33を形成する色材を感光性樹脂に分散させた樹脂組成物をそれぞれ準備し、パターンマスクを介して露光、現像する、フォトリソグラフィー法によって、平坦面4a上に各樹脂組成物の硬化層を形成することで形成できる。
例えば、レンズ1は、フィルタ部3上に平坦化層2およびレンズ1を形成する樹脂層を形成した後、エッチバック方式により樹脂層の表面に各レンズ1の凸レンズ面1aと、平面部Fと、の形状を形成することによって形成できる。樹脂層のうち、エッチングされない層状部によって、平坦化層2が形成される。
【0042】
有機EL表示装置100の作用について、カラーフィルタ10の作用を中心に説明する。
図3は、本発明の第1の実施形態に係るカラーフィルタの作用を示す模式的な光線図である。
【0043】
有機EL表示装置100においては、第1着色層31に対向する発光素子5は赤色成分の画像信号(以下、R信号)に基づいて発光制御される。同様に、第2着色層32に対向する発光素子5は緑色成分の画像信号(以下、G信号)に、第3着色層33に対向する発光素子5は青色成分の画像信号(以下、B信号)に基づいて、それぞれ発光制御される。
単位画素Pにおいては、R信号で駆動された発光素子5からの光が第1着色層31を透過して外部に出射し、G信号で駆動された発光素子5からの光が第2着色層32を透過して外部に出射し、B信号で駆動された発光素子5からの光が第3着色層33を透過して外部に出射することによって、画像信号に忠実な色が表示される。
【0044】
図3に示すように、第1着色層31の下面3b上の点A、B、Cに入射する光線を考える。点A、B、Cは、それぞれ、第1着色層31に対向する発光素子5のx方向と反対側の端部、x方向の中央部、およびx方向の端部と、それぞれz方向において対向する点である。
例えば、点Bからz方向に向かう光線R1は、第1着色層31、平坦化層2、および第1着色層31に対向する凸レンズ面1a1をこの順に透過して、z方向に出射する。
例えば、点Bからは、z方向に進むにつれてx方向に向かう斜め方向の光線R2が入射する。光線R2のz方向に対する角度は、適正な光取り出し効率を得るためには、例えば、45°程度まで考えればよい。
この場合、本実施形態では、カラーフィルタ10が式(1)~(5)を満足しているので、光線R2は、第1着色層31、平坦化層2、および第2着色層32に対向する凸レンズ面1a2をこの順に透過して、z方向に出射する。なお、光線R2の出射方向は、凸レンズ面1a2の集光性能によっては、z方向に対して傾斜した方向に進む。しかし、光線R2は、凸レンズ面1a2において屈折されるので、z方向からずれる場合でも、z方向からあまり大きく逸れることはない。図3では、模式的に、光線R2はz方向に進むように描いている。凸レンズ面1aから出射する他の光線も同様である。
以下では、光線がz方向に進むという場合、特に断らない限り、厳密にz方向に進む場合と、略z方向に進む場合と、を含む。
【0045】
光線R1、R2のように、点Bから第1着色層31に入射し、第1着色層31を通った後、平坦化層2を経由して、第1着色層31に対向する凸レンズ面1a1と、x方向に隣り合う凸レンズ面1a2と、の両方から出射する光線は、いずれも赤色光である。
点Aから光線R2と平行に進む光線R3は、第1着色層31を通った後、第2着色層32を通ることなく、平坦化層2を経由して、凸レンズ面1a2からz方向に出射する。このため、光線R3は赤色光である。
このため、光線R1、R2は、R信号に応じた赤色光を形成する。
本実施形態によれば、光線R2、R3などのように、発光素子5から斜め方向に放射される光でも、x方向に隣接する凸レンズ面1a2を通して、z方向に出射する。このため、光線R2、R3が斜め方向に略直進する場合に比べて、赤色光の正面輝度を向上することができる。
【0046】
点Cから光線R2と平行に進む光線R4は、第1着色層31を通った後、第2着色層32を通り、平坦化層2を経由して、上面2aから出射する。
光線R4の色は、第1着色層31を通る長さよりも第2着色層32を通る長さの方が長いので、緑色に近い光である。光線R4は、R信号に基づいて発光する緑色に近い光であるため、表示光に混じって観察されると、単位画素Pにおける緑色成分の誤差になる。
本実施形態では、光線R4は、屈折力を有しない上面2aから出射する。光線R4は、スネルの法則に応じて上面2aで屈折するものの、凸レンズ面1aを透過する場合に比べると、略直進するに等しい。このため、光線R4は、z方向に対して略45°傾斜した方向に進む。
光線R4は、正面に対してx方向に略45°傾斜した方向に進むので、正面を中心として観察する場合には、単位画素Pの表示光に混じらないので、正面を中心とした観察方向における混色が抑制され、色再現性が良好になる。
【0047】
このような本実施形態の作用について、比較例と対比して説明する。
図4は、第1比較例のカラーフィルタの作用を示す模式的な光線図である。図5は、第2比較例のカラーフィルタの作用を示す模式的な光線図である。図6は、第3比較例のカラーフィルタの作用を示す模式的な光線図である。
【0048】
図4に示すように、第1比較例の有機EL表示装置200Aは、有機EL表示装置100の平坦化層2に代えて、平坦化層2Aを備える以外は、有機EL表示装置100と同様に構成される。
平坦化層2Aは、厚さt2Aが、t2よりも薄い以外は、平坦化層2と同様である。
このため、本比較例は、TA=t1+t2Aが、本実施形態のTよりも小さい例になっている。本比較例は、平坦化層2Aが薄いことによって式(3)の関係が満足されていない例である。
本比較例では、上面3aから測った各凸レンズ面1aおよび上面2aの高さが低下しているが、光線R1は本実施形態と同様に出射する。光線R2、R3は、実施形態と各凸レンズ面1aにおける出射位置は異なるが、出射方向は、本実施形態と同様である。
これに対して、本比較例における光線R4は、凸レンズ面1a2が低い結果、凸レンズ面1a2を透過して出射するので、光線R2と同様、z方向に出射する。
このため、正面から観察する場合に、緑味を帯びた光線R4が表示光に混じるので、混色が生じてしまう。このため、色再現性が低下する。
【0049】
図5に示すように、第2比較例の有機EL表示装置200Bは、有機EL表示装置100のレンズ1に代えて、レンズ1Bを備える以外は、有機EL表示装置100と同様に構成される。
レンズ1Bは、レンズ1の凸レンズ面1aに代えて、凸レンズ面1aBを備える。レンズ1Bは、x方向における幅が、wxに等しいLxBである以外は、レンズ1と同様である。
このため、本比較例は、wがTよりも大きい場合に、Lがwに等しいことによって、レンズ1B間の距離が0になっている例になっている。本比較例は、隣接方向におけるレンズ1Bの幅が大きすぎることによって、式(3)、(4)の関係が満足されていない例である。
本比較例では、少なくとも隣接方向における断面(y方向に直交する断面)では、凸レンズ面1aBのうち、互いに隣り合う凸レンズ面1a1B、1a2Bが互いに接している。このため、レンズ1B間に上面2aは露出していない。
本比較例では、光線R1、R2、R3がz方向に出射することに加え、光線R4が光線R2と同様、凸レンズ面1a2Bからz方向に出射する。
このため、正面から観察する場合に、緑味を帯びた光線R4が表示光に混じるので、混色が生じてしまう。このため、色再現性が低下する。
【0050】
図6に示すように、第3比較例の有機EL表示装置200Cは、有機EL表示装置100の平坦化層2、レンズ1に代えて、平坦化層2A、レンズ1Bを備える以外は、有機EL表示装置100と同様に構成される。本比較例は、第1比較例と第2比較例との組み合わせになっている。
このため、本比較例は、第1比較例および第2比較例と同様、式(3)、(4)の関係が満足されていない例である。
本比較例では、第2比較例と同様、光線R1、R2、R3がz方向に出射することに加え、光線R4が光線R2と同様、凸レンズ面1a2Bからz方向に出射する。
このため、正面から観察する場合に、緑味を帯びた光線R4が表示光に混じるので、混色が生じてしまう。このため、色再現性が低下する。
【0051】
以上、斜め方向の光線としてz方向に進むにつれてx方向に進む光線の例で説明したが、z方向に進むにつれてx方向と反対方向に進む光線に関する説明は、上述のx方向を、x方向と反対方向に読み換えればよい。
上述では、第1副画素および第2副画素が、第1着色層31および第2着色層32の場合の例で説明したが、他の組合せを第1副画素および第2副画素とした場合も同様である。
【0052】
以上説明したように、本実施形態の有機EL表示装置100によれば、x方向において互い隣接する第1副画素および第2副画素と、第1レンズおよび第2レンズと、に関して、式(1)~(5)を満足するカラーフィルタ10を備えるので、正面輝度と色再現性とが良好になる。
混色を抑制するために、隣り合う副画素同士または隣り合うレンズ同士の間に、遮光壁を設けることも考えられる。しかし、このような遮光壁を精度よく設けるには、製造コストが増大するおそれがある。さらに遮光壁に到達する光は、混色を起こさない光であっても、吸収されてしまうので、光取り出し効率および正面輝度が低下するおそれがある。
これに対して、本実施形態では、遮光壁を設けないので、カラーフィルタ10の構成が簡素になる。この結果、製造コストを抑制することができ、正面輝度も向上しやすい。
【0053】
[第2の実施形態]
本発明の第2の実施形態に係るカラーフィルタおよび表示装置について説明する。
図7は、本発明の第2の実施形態に係る表示装置の一例を示す模式的な平面図である。図8は、図7におけるF8-F8線に沿う断面図である。図9は、図7におけるF9-F9線に沿う断面図である。図10は、図7におけるF10-F10線に沿う断面図である。
【0054】
図7に示す本実施形態の有機EL表示装置101(表示装置)は、第1の実施形態の有機EL表示装置100の単位画素Pのそれぞれに代えて、平面視矩形状の単位画素P10を備える。有機EL表示装置101の用途は特に限定されない。例えば、有機EL表示装置101は、有機EL表示装置100と同様、スマートグラス、ヘッドマウントディスプレイ、電子ビューファインダなどの電子機器用の表示装置として利用することができる。
以下、第1の実施形態と異なる点を中心に説明する。
【0055】
単位画素P10のx幅は2×wx、y幅はWyである。特に2×wx=Wyの場合、単位画素P10の平面視形状は、正方形である。
単位画素P10は、第1副画素域P11、第2副画素域P12、および第3副画素域P13を有する。第2副画素域P12と第1副画素域P11とは、y方向にこの順に配列されている。第3副画素域P13は、第1副画素域P11および第2副画素域P12のそれぞれのx方向側に隣り合って配置されている。
【0056】
第1副画素域P11は、平面視では、x幅がwx、y幅がWy/2の矩形である。第1副画素域P11は、例えば、赤色の表示を行う。
第2副画素域P12は、平面視では、x幅がwx、y幅がWy/2の矩形である。第2副画素域P12は、例えば、緑色の表示を行う。
第3副画素域P13は、平面視では、x幅がwx、y幅がWyの細長い矩形である。第3副画素域P13は、例えば、青色の表示を行う。
【0057】
図8に示すように、有機EL表示装置101は、本体部19と、カラーフィルタ11と、を有する。
【0058】
本体部19は、第1の実施形態における本体部9の発光素子5に代えて、発光素子15を有する。
発光素子15は、平面視形状が異なる以外は、第1の実施形態における発光素子5と同様である。発光素子15は、第1副画素域P11および第2副画素域P12に設けられた発光素子15Aと、第3副画素域P13に設けられた発光素子15Bと、を有する。例えば、発光素子15としては、有機EL素子が用いられてもよい。
図7に示すように、各発光素子15Aの平面視形状は、それぞれが配置された第1副画素域P11および第2副画素域P12の外形よりもわずかに小さい矩形状である。
発光素子15Bの平面視形状は、それぞれが配置された第3副画素域P13の外形よりもわずかに小さい矩形状である。
【0059】
カラーフィルタ11は、第1の実施形態におけるカラーフィルタ10のフィルタ部3に代えて、フィルタ部13を有する。
【0060】
フィルタ部13は、フィルタ部3の第1着色層31、および第2着色層32に代えて、第1着色層41(副画素)および第2着色層42(副画素)を有する。
【0061】
第1着色層41は、第1副画素域P11に重ねられている。第1着色層41は、例えば、赤色の透過波長域を有する。
図9に示すように、第2着色層42は、y方向に沿って第1着色層41と隣り合って配置されている。第2着色層42は、第2副画素域P12に重ねられている。第2着色層42は、例えば、緑色の透過波長域を有する。
第1着色層41および第2着色層42の平面視形状は、x幅がwx、y幅がwy(=Wy/2)の矩形である。
【0062】
図8、9に示すように、本実施形態における第3着色層33は、第3副画素域P13に重ねられている以外は、第1の実施形態と同様である。第3着色層33の平面視形状は、x幅がwx、y幅が2×wyの、y方向に細長い矩形である。
【0063】
フィルタ部13は、副画素の平面視形状および配置が異なる以外は、フィルタ部3と同様にして形成される。
【0064】
本実施形態におけるレンズ1は、単位画素P10内に4つ配置されている以外は、第1の実施形態におけるレンズ1と同様である。
このため、本実施形態におけるレンズ1は、第1副画素域P11および第2副画素域P12にそれぞれ1つずつ、第3副画素域P13に2つ配置されている。
各レンズ1は、それぞれ平坦化層2を挟んで第1着色層41、第2着色層42、および第3着色層33と対向するように配置されている。特に、第3着色層33に対向する2つのレンズ1は、第3着色層33の長手方向であるy方向に並んで配置されている。
図8に示すように、x方向に隣り合うレンズ1同士の間は、第1の実施形態と同様の隙間dxが空けられている。
図9、10に示すように、y方向に隣り合うレンズ1同士の間は、同様の隙間dyが空けられている。
【0065】
本実施形態では、単位画素P10内でx方向において互いに隣接する第1着色層41および第3着色層33と、第2着色層42および第3着色層33と、は、それぞれ、第1副画素および第2副画素を構成する。
単位画素P10の第1着色層41は、x方向と反対方向に隣接する他の単位画素P10の第3着色層33と隣接しているので、第1着色層41と、これに隣り合う他の単位画素P10の第3着色層33と、は第1副画素および第2副画素を構成する。同様に、第2着色層42と、これに隣り合う他の単位画素P10の第3着色層33と、は、第1副画素および第2副画素を構成する。
同様に、単位画素P10の第3着色層33と、単位画素P10にx方向に隣接する他の単位画素P10における第1着色層41または第2着色層42と、は、第1副画素および第2副画素を構成する。
本実施形態では、上述のx方向において隣り合う第1副画素および第2副画素では、上述の式(1)~(5)において、w=wx、d=dx、L=Lxとした関係が満足されている。
【0066】
本実施形態では、単位画素P10内でy方向において互いに隣接する第1着色層41および第2着色層42は、第1副画素および第2副画素を構成する。
単位画素P10の第1着色層41は、y方向に隣接する他の単位画素P10の第2着色層42と隣接しているので、第1着色層41と、これに隣り合う他の単位画素P10の第2着色層42と、は第1副画素および第2副画素を構成する。同様に、第2着色層42と、これに隣り合う他の単位画素P10の第1着色層41と、は、第1副画素および第2副画素を構成する。
本実施形態では、上述のy方向において隣り合う第1副画素および第2副画素では、上述の式(1)~(5)において、w=wy、d=dy、L=Lyとした関係が満足されている。
【0067】
本実施形態の有機EL表示装置101は、カラーフィルタ11における副画素の形状および配置が異なる以外は、有機EL表示装置100と同様に構成されている。
有機EL表示装置101は、x方向およびy方向において、それぞれ互いに隣接する第1副画素および第2副画素と、第1レンズおよび第2レンズと、に関して、式(1)~(5)を満足するカラーフィルタ11を備えるので、第1の実施形態と同様、正面輝度と色再現性とが良好になる。
【0068】
なお、上記各実施形態では、発光素子が有機EL素子の場合で説明した。しかし、発光素子の種類は、有機EL素子には限定されない。例えば、発光素子の例としては、無機LED素子などが挙げられる。
【0069】
上記各実施形態では、第1副画素域、第2副画素域、および第3副画素域に、それぞれ、赤色、緑色、および青色の副画素が配置された例で説明した。しかし、単位画素においてカラー表示できれば、副画素の色と、配置位置は、これには限定されない。
【実施例
【0070】
第1の実施形態のカラーフィルタおよび表示装置の実施例1、2について比較例1、2とともに説明する。下記[表1]に実施例1、2、および比較例1、2の構成と、評価結果と、を示す。
【0071】
【表1】
【0072】
[実施例1]
実施例1は、第1の実施形態に対応する実施例である。
実施例1の有機EL表示装置100における単位画素Pの大きさは、Wx=Wy=7.2(μm)であり、第1副画素域P1、第2副画素域P2、および第3副画素域P3のx幅×y幅は、それぞれ、2.4μm×7.2μmであった。
第1着色層31、第2着色層32、および第3着色層33(以下、各副画素と称する場合がある)のx幅×y幅は、それぞれ、2.4μm×7.2μmであった。
[表1]に示すように、拡幅がその隣接方向における幅wは、2.4μmであった。各副画素の厚さt1は1.0μmであった。平坦化層2の厚さt2は1.2μmであった。
各レンズ1は、各副画素に対向して3つずつ設けられた。各レンズ1のx幅×y幅は、2.0μm×2.0μmであった。
各レンズ1は、x方向においては、各副画素の中心に光軸が一致するように配置され、x方向に0.4μmの隙間を空けて配列された。各レンズ1は、y方向においては、0.4μmの隙間を空けて配列された。
このため、[表1]に示すように、隣接方向であるx方向における各レンズ1の幅Lは2.0μm、各レンズ1間の距離dは0.4μmであった。
本実施例のカラーフィルタ10は、x方向において、式(1)~(5)をすべて満足していた。
【0073】
実施例1の有機EL表示装置100を製造するため、シリコン基板にスパッタ法やエッチング法等の公知の方法を用いてTFT層を形成した。さらに、TFT層上に蒸着法等の公知の方法を用いて白色有機EL素子を形成後、CVD法により窒化シリコンを被覆して有機EL素子基板を形成した。
ここで、シリコン基板および白色有機EL素子は、それぞれ、基板6および発光素子5に相当する。
【0074】
フィルタ部3を製造するため、下記[表2]に示す組成を有する赤色、緑色、および青色の感光性着色組成物RR-1、GR-1、BR-1を準備した。
【0075】
【表2】
【0076】
[表1]における「樹脂」は、バインダー、「モノマー」は硬化剤である。開始剤は、硬化剤をラジカル重合反応させるための添加剤である。連鎖移動剤は、ラジカル重合を促進させるための添加剤である。
【0077】
感光性着色組成物RR-1に用いた赤色の着色材料R-1は以下のようにして調製した。
下記組成の混合物MRを均一に攪拌混合した後、直径1mmのガラスビースを用いたサンドミルで、混合物MRを5時間分散した。この後、混合物MRを5μmのフィルタで濾過して赤色の着色材料R-1を得た。
混合物MRにおいて、C.I. Pigment Red 254としては、イルガーフォーレッド B-CF(商品名;BASF社製)を用いた。C.I. Pigment Yellow 139としては、Paliotol(登録商標) Yellow L 2146HD(商品名;BASF社製)を用いた。
【0078】
(混合物MRの組成)
赤色顔料:C.I. Pigment Red 254 78重量部
黄色顔料:C.I. Pigment Yellow 139 22重量部
アクリルワニス(固形分20%) 215重量部
【0079】
感光性着色組成物GR-1に用いた緑色の着色材料G-1は、混合物MGに代えて、下記組成の混合物MGを用いた以外は、着色材料R-1と同様にして作成した。
混合物MGにおいて、C.I. Pigment Green 58としては、FASTOGEN(登録商標) GREEN A110(商品名;DIC(株)製)を用いた。C.I. Pigment Yellow 185としては、Paliotol(登録商標) Yellow L 1155(商品名;BASF社製)を用いた。
【0080】
(混合物MGの組成)
緑色顔料:C.I. Pigment Green 58 65重量部
黄色顔料:C.I. Pigment Yellow 185 35重量部
アクリルワニス(固形分20%) 215重量部
【0081】
感光性着色組成物BR-1に用いたは青色の着色材料B-1は、混合物MGに代えて、下記組成の混合物MBを用いた以外は、着色材料R-1と同様にして作成した。
混合物MBにおいて、C.I. Pigment Blue 15:6としては、LIONOL(登録商標) BLUE ES(商品名;トーヨーカラー(株)製)を用いた。C.I. Pigment Violet 23としては、LIONOGEN(登録商標) VIOLET RLUE ES(商品名;トーヨーカラー(株)製)を用いた。
【0082】
(混合物MBの組成)
青色顔料:C.I. Pigment Blue 15:6 63重量部
紫色顔料:C.I. Pigment Violet 23 37重量部
アクリルワニス(固形分20%) 215重量部
【0083】
レンズ1および平坦化層2は、感光性着色組成物RR-1、GR-1、BR-1から着色用の色材を除いた透明材料を用いて形成可能である。例えば、色材の代わりに屈折率調整材としてシリカ、酸化チタン、酸化ジルコニウム分散体などの無機成分を含有させることで、屈折率の調整が可能である。屈折率調整材の種類、含有率を調整することにより、例えば、1.5~1.65の範囲の屈折率を得ることが可能である。
本実施例では、レンズ1および平坦化層2の材料として、感光性着色組成物RR-1、GR-1、BR-1から着色用の色材を除いた透明材料に、屈折率が1.6になるように酸化チタンを含有させて用いた。
【0084】
本実施例の有機EL表示装置100は、以下のように製造した。
上述の有機EL素子基板上に平坦化膜4を形成する透明樹脂組成物を、硬化仕上がりの膜厚が0.1μmになるようにスピンナーで塗布した。その後、加熱オーブンを用いて100℃、10分間加熱して、透明樹脂組成物を硬化させて、平坦化膜4を形成した。これにより、本体部9が形成された。
本体部9上に、緑色の感光性樹脂組成物GR-1を、硬化仕上がりの膜厚が1.2μmになるようにスピンナーで塗布した。この後、パターンマスクを介して紫外線露光、アルカリ現像、水洗および乾燥工程を行って、各第2副画素域P2に、緑色の副画素である第2着色層32を仮形成した。各第2着色層32におけるx幅×y幅は、2.4μm×7.2μmであった。この後、加熱オーブンを用いて80℃、10分間加熱して、仮形成した第2着色層32を硬化させた。
【0085】
この後、赤色の感光性樹脂組成物RR-1を用いて第1副画素域P1に形成する以外は、第2着色層32の形成方法と同様にして、第1着色層31を形成した。
この後、青色の感光性樹脂組成物BR-1を用いて第3着色層33に形成する以外は、第2着色層32の形成方法と同様にして、第3着色層33を形成した。
以上で、実施例1の本体部9上にフィルタ部3が形成された。
【0086】
フィルタ部3を形成した後、レンズ1および平坦化層2を形成する材料を、硬化仕上がりの膜厚が2.4μmとなるようにスピンナーで、フィルタ部3上に塗布した。この後、塗膜全体に紫外線露光し、その後、加熱オーブンを用いて80℃、10分間加熱して、塗膜を硬化させ、透明樹脂層を形成した。
この後、エッチバック方式により、透明樹脂層の表面に、高さが1.2μm、x幅およびy幅が2.0μmとなる、凸形状のレンズ1を形成した。レンズ1は、第1着色層31、第2着色層32、および第3着色層33の上方に、それぞれ3つずつ形成した。
【0087】
この後、レンズ1の表面に、封止剤であるストラクトボンド(登録商標)XMF-T107(商品名;三井化学(株)製)を用いてカバーガラスと貼り合せた。これにより、実施例1の有機EL表示装置100が製造された。
【0088】
[実施例2]
実施例2は、副画素の厚さt1を1.2μm、平坦化層の厚さt2を1.0μmにした以外は、実施例1と同様であった。
本実施例のカラーフィルタ10は、x方向において、式(1)~(5)をすべて満足していた。
【0089】
[比較例1]
比較例1は、副画素の厚さt1を1.2μmとし、レンズのx幅×y幅を2.4μm×2.4μmとした以外は、実施例1と同様に構成された。このため、本比較例では、T=t1+t2=2.4(μm)、w=2.4(μm)、L=2.4(μm)、d=0(μm)だった。
本比較例は、式(2)、(4)を満足していなかった。
【0090】
[比較例2]
比較例2は、副画素の厚さt1を1.2μmとし、平坦化層の厚さt2を1.4μmとした以外は、実施例1と同様に構成された。このため、本比較例では、T=t1+t2=2.6(μm)、w=2.4(μm)、L=2.4(μm)、d=0(μm)だった。
本比較例は、式(2)を満足していなかった。
【0091】
[評価]
実施例1、2、および比較例1、2の色再現性評価を行った。
本評価においては、実施例1、2、および比較例1、2の有機EL表示装置において、赤色、緑色、および青色をそれぞれ単色点灯し、正面(z方向)から表示色を観察した。
さらに、実施例1、2、および比較例1、2の有機EL表示装置においてすべての副画素を赤色、緑色、および青色のいずれかで形成した3種の単色有機EL表示装置(以下、単色機)を製造し、各色の表示を正面から観察した。単色機は、発光素子から出射した光が、すべて同一色の副画素しか透過しないので、混色が生じない。
そして、実施例1、2、および比較例1、2の有機EL表示装置の単色表示の色と、単色機における同色の表示とを、各色で比較した。
単色表示の色が、同色の単色機の表示色と同じに見えた場合には、色再現性が良好([表1]ではAと記載)と判定した。
単色表示の色が、同色の単色機の表示色から変化して見えた場合には、色再現性が不良([表1]ではBと記載)と判定した。
【0092】
[評価結果]
[表1]に示すように、実施例1、2では、色再現性は良好であった。実施例1、2では、カラーフィルタ10が式(1)~(5)をすべて満足していたので、隣接する副画素を透過する光の多くが上面2aから外部に出射し、正面の方に向かう光量が少なかったからであると考えられる。
これに対して、比較例1、2では、色再現性は不良であった。比較例1、2では、式(1)~(5)の一部が満足されていなかったので、隣接する副画素を透過する光が隣接する副画素に対向するレンズの集光作用で正面の方に向かう光量が増えたためであると考えられる。
【0093】
以上、本発明の好ましい各実施形態を各実施例とともに説明したが、本発明は各実施形態および各実施例に限定されることはない。本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、構成の付加、省略、置換、およびその他の変更が可能である。
また、本発明は前述した説明によって限定されることはなく、添付の特許請求の範囲によってのみ限定される。
【符号の説明】
【0094】
1、1B レンズ
1a、1a1、1a1B、1a2、1a2B 凸レンズ面
2、2A 平坦化層
2a 上面
3、13 フィルタ部
4 平坦化膜
5、15、15A、15B 発光素子
6 基板
9、19 本体部
10、11 カラーフィルタ
31、41 第1着色層(副画素)
32、42 第2着色層(副画素)
33 第3着色層(副画素)
100、101 有機EL表示装置(表示装置)
P、P10 単位画素
P1、P11 第1副画素域
P2、P12 第2副画素域
P3、P13 第3副画素域
図1
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図10