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特許7608748アブレーションカテーテル及びアブレーションカテーテルの製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-23
(45)【発行日】2025-01-07
(54)【発明の名称】アブレーションカテーテル及びアブレーションカテーテルの製造方法
(51)【国際特許分類】
   A61B 18/24 20060101AFI20241224BHJP
【FI】
A61B18/24
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2020138052
(22)【出願日】2020-08-18
(65)【公開番号】P2022034313
(43)【公開日】2022-03-03
【審査請求日】2023-06-20
(73)【特許権者】
【識別番号】000135036
【氏名又は名称】ニプロ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100117101
【弁理士】
【氏名又は名称】西木 信夫
(74)【代理人】
【識別番号】100120318
【弁理士】
【氏名又は名称】松田 朋浩
(72)【発明者】
【氏名】西村 祐紀
(72)【発明者】
【氏名】齋藤 慶和
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 俊太郎
【審査官】木村 立人
(56)【参考文献】
【文献】特表2001-503301(JP,A)
【文献】特開2007-7021(JP,A)
【文献】国際公開第94/03229(WO,A1)
【文献】米国特許第5456680(US,A)
【文献】米国特許第5667521(US,A)
【文献】国際公開第2018/181315(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 18/20―18/28
A61M 25/00―25/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
中空のシャフトと、
上記シャフトの遠位端側に設けられたバルーンと、
上記シャフトに挿通され、レーザ光を伝播して外部へ出射する光ファイバと、
上記バルーンより遠位端側に設けられた先端部材と、
上記シャフト及び上記バルーンに挿通されて、上記バルーンの遠位端より遠位端側へ突出するチューブと、を具備しており、
上記先端部材は、
上記先端部材の遠位端と近位端部とに開口するガイドワイヤルーメンと、
上記チューブより遠位端側に位置する先端チップと、
上記先端チップと上記チューブの遠位端部とを接続するカバーチューブと、を有しており、
上記ガイドワイヤルーメンは、少なくとも一部が上記先端チップにより区画されているアブレーションカテーテル。
【請求項2】
上記先端部材にのみガイドワイヤルーメンが形成されている請求項1に記載のアブレーションカテーテル。
【請求項3】
記チューブは、上記バルーン内において開口しており
記ガイドワイヤルーメンは、上記カバーチューブの近位端において開口する請求項1又は2に記載のアブレーションカテーテル。
【請求項4】
上記先端チップは、上記カバーチューブの遠位端よりも遠位端側へ突出しており、
上記先端チップの硬度は、上記カバーチューブの硬度より小さい請求項3に記載のアブレーションカテーテル。
【請求項5】
上記チューブの遠位端部は、上記先端部材と溶着されることにより液密に塞がれている請求項1に記載のアブレーションカテーテル。
【請求項6】
棒状のマンドレルが挿通された先端チップをカバーチューブで覆い、当該マンドレルの基端が当該カバーチューブの近位端から突出した状態とする組立工程と、
加熱により、バルーンに挿通されたチューブの遠位端部、上記先端チップ、及び上記カバーチューブを一体とする加熱工程と、
一体となった上記チューブ、上記先端チップ、及び上記カバーチューブから上記マンドレルを引き抜く引抜工程と、を含むアブレーションカテーテルの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、レーザー光を照射するアブレーションカテーテル及びアブレーションカテーテルの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
腎動脈の外膜近傍に存在する神経が焼灼されると、長期的に血圧が下がることが知られている。このような腎動脈において神経を焼灼する手法は、腎動脈交感神経アブレーションや腎デナベーションと称されている(以下、単に「アブレーション」とも称する。)。このようなアブレーションは、高血圧の治療として期待されている。アブレーションにおいて、アブレーションカテーテルが用いられる(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2015-217215号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
アブレーションは大動脈の近くよりもより腎臓に近い腎動脈の側枝に施されることが好適であると言われている。したがって、より的確な血管選択を可能とするため、アブレーションカテーテルは、ガイドワイヤによって腎動脈まで導かれる。
【0005】
特許文献1では、ガイドワイヤルーメンが形成されたガイドワイヤ用チューブがバルーンより近位端側に位置している。そのため、ガイドワイヤ用チューブより遠位端側のバルーンなどを、比較的小径な腎動脈へ導く操作が難しい。また、ガイドワイヤ用チューブがシャフトに並置されることにより、シャフトの外径が大きくなったり、シャフトの柔軟性が低下したりする恐れがある。
【0006】
他方、アブレーションカテーテルにおいて、シャフトやバルーンの内部空間に挿通されてカテーテルの遠位端で開口するガイドワイヤルーメンを採用すると、ガイドワイヤルーメンを区画するチューブとレーザ光の光路とが径方向に重なるように並置されるため、径方向に出射されたレーザ光が当該チューブに遮られ、精度良くアブレーションを行えない恐れがある。また、カテーテルの外径が大きくなったり、カテーテルの柔軟性が低下したりする恐れがある。
【0007】
本発明は、前述された事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、ガイドワイヤルーメンに挿通されたガイドワイヤによる操作性が良いアブレーションカテーテルを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
(1) 本発明に係るアブレーションカテーテルは、中空のシャフトと、上記シャフトの遠位端側に設けられたバルーンと、上記シャフトに挿通され、レーザ光を伝播して外部へ出射する光ファイバと、上記バルーンより遠位端側に設けられた先端部材と、を具備している。上記先端部材は、上記先端部材の遠位端と近位端部とに開口するガイドワイヤルーメンを有する。
【0009】
バルーンよりも遠位端側に設けられた先端部材に形成されたガイドワイヤルーメンにガイドワイヤが挿通されるので、先端部材がガイドワイヤに追従し、バルーンを腎動脈へ容易に導くことができる。また、バルーン内にガイドワイヤルーメンを区画する部材がないので、レーザ光が影響を受けることはなく、精度良くアブレーションを行うことができる。
【0010】
(2) 好ましくは、上記先端部材にのみガイドワイヤルーメンが形成されている。
【0011】
ガイドワイヤをアブレーションカテーテルの先端部材に形成されたガイドワイヤルーメンから抜くことのみによって、アブレーションカテーテルからガイドワイヤを離すことができる。また、シャフトの外径を小さくすることができるとともに、シャフトを柔軟にすることができる。
【0012】
(3) 好ましくは、上記シャフト及び上記バルーンに挿通されて、上記バルーンの遠位端より遠位端側へ突出するチューブを更に具備している。上記チューブは、上記バルーン内において開口している。上記先端部材は、上記チューブより遠位端側に位置する先端チップと、上記先端チップと上記チューブの遠位端部とを接続するカバーチューブと、を有している。上記ガイドワイヤルーメンは、少なくとも一部が上記先端チップにより区画されており、上記カバーチューブの近位端において開口する。
【0013】
先端部材の構成が簡易となり、先端部材が血管の湾曲などに追従しやすい。
【0014】
(4) 好ましくは、上記先端チップは、上記カバーチューブの遠位端よりも遠位端側へ突出している。上記先端チップの硬度は、上記カバーチューブの硬度より小さい。
【0015】
先端部材が血管の湾曲などに追従しやすい。また、先端部材が血管を傷つけにくい。
【0016】
(5) 本発明に係るアブレーションカテーテルの製造方法は、棒状のマンドレルが挿通された先端チップをカバーチューブで覆い、当該マンドレルの基端が当該カバーチューブの近位端から突出した状態とする組立工程と、加熱により、バルーンに挿通されたチューブの遠位端部、上記先端チップ、及び上記カバーチューブを一体とする加熱工程と、一体となった上記チューブ、上記先端チップ、及び上記カバーチューブから上記マンドレルを引き抜く引抜工程と、を含む。
【0017】
先端部材にガイドワイヤルーメンが形成されたアブレーションカテーテルを簡易に製造することができる。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、ガイドワイヤルーメンに挿通されたガイドワイヤによる操作性が良いアブレーションカテーテルが実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1図1は、本発明の実施形態に係るアブレーションカテーテル11を備えたカテーテルシステム10の構成を示す図である。
図2図2は、アブレーションカテーテル11の遠位端側におけるガイドワイヤ80脱抜前の断面図である。
図3図3は、アブレーションカテーテル11の遠位端側におけるバルーン21膨張後の断面図である。
図4図4は、コネクタ部26付近の断面図である。
図5図5(A)は、アブレーションカテーテル11を腎動脈91へ挿入する状態を示す概略図であり、図5(B)は、アブレーションカテーテル11を腎動脈91へ挿入した状態を示す概略図である。
図6図6は、アブレーションカテーテル11の製造方法を示すフローチャートである。
図7図7は、組立工程によって組み立てられた状態を示す模式断面図である。
図8図8は、第3溶着工程において流体用チューブ23と先端部材61とが組み合わせられた溶着前の状態を示す模式断面図である。
図9図9は、本発明の変形例1に係るアブレーションカテーテル11の遠位端側におけるガイドワイヤ80脱抜前の断面図である。
図10図10は、本発明の変形例2に係る組立工程によって組み立てられた状態を示す模式断面図である。
図11図11は、変形例2に係るアブレーションカテーテルの遠位端側におけるガイドワイヤ80脱抜前の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の好ましい実施形態を説明する。なお、本実施形態は本発明の一実施態様にすぎず、本発明の要旨を変更しない範囲で実施態様を変更できることは言うまでもない。
【0021】
[カテーテルシステム10]
カテーテルシステム10は、例えば腎動脈91(図5(A)及び図5(B)参照)の神経に対してアブレーションを行うために用いられる。図1に示されるように、カテーテルシステム10は、アブレーションカテーテル11と、回路12と、駆動装置13と、レーザ光発生装置14と、回転装置15と、を具備する。なお、カテーテルシステム10は、心臓組織のアブレーションに用いられてもよい。
【0022】
[アブレーションカテーテル11]
図1図2及び図3に示されるように、アブレーションカテーテル11は、先端側にバルーン21が設けられたシャフト22を有する。シャフト22は、軸線方向90に長尺な部材である。シャフト22は、軸線方向90に対して湾曲するように弾性的に撓む管体である。湾曲していない状態のシャフト22が延びる方向が、本明細書において軸線方向90と称される。なお、アブレーションカテーテル11は、不整脈に対するカテーテルアブレーション術(心筋焼灼術)に用いられてもよい。
【0023】
図2及び図3に示されるように、シャフト22の内部空間には、流体用チューブ23及び導光用チューブ51が位置する。シャフト22の外径及び内径は、軸線方向90に対して必ずしも一定である必要はない。シャフト22の素材は、合成樹脂やステンレスなどであり、また必ずしも1種類の素材のみから構成される必要はなく、複数の素材から構成されていてもよい。流体用チューブ23の内部空間が第1ルーメン24である。シャフト22の内部空間であって流体用チューブ23の外側の空間が第2ルーメン25である。
【0024】
なお、本実施形態において近位端側又は基端側とは、アブレーションカテーテル11が血管に挿入される向きに対して後ろ側(図1における右側)をいう。遠位端側とは、アブレーションカテーテル11が血管に挿入される向きに対して前側(図1における左側)をいう。
【0025】
シャフト22の遠位端側には、バルーン21が設けられている。バルーン21は、内部空間に流体(液体)が流入されることにより弾性的に膨張し、内部空間から流体が流出されることにより収縮するものである。図1においては、収縮した状態のバルーン21が示されている。バルーン21に流通される流体は特に限定されないが、例えば、腎動脈91のアブレーションにおいては、生理食塩水と造影剤の混合溶液が用いられる。
【0026】
流体用チューブ23は、バルーン21を貫通している。流体用チューブ23は、遠位端部77がバルーン21より遠位端側へ突出する。流体用チューブ23は、バルーン21の内部空間に位置する開口71,72を有する。開口71,72は、流体用チューブ23の周壁をそれぞれ貫通している。開口71,72を通じて、第1ルーメン24がバルーン21の内部空間と連通している。開口71、72は、軸線方向90の周方向に対して異なる位置にある。なお、流体用チューブ23の遠位端部77は、流体用チューブ23のうち、バルーン21から突出しており、軸線方向90における遠位端側の一部であって、外周面及び端面を含む。流体用チューブ23は、シャフト22及びバルーン21の内部空間に挿通されて、バルーン21より遠位端側へ突出するチューブの一例である。
【0027】
シャフト22の内部空間である第2ルーメン25は、バルーン21の近位端側と接続されてバルーン21の内部空間と連通している。
【0028】
導光用チューブ51は、軸線方向90に対して湾曲するように弾性的に撓み得る管体である。導光用チューブ51の遠位端はバルーン21の内部空間へ至っており、基端はコネクタ部26を通じて外部へ延出されている。導光用チューブ51は、コネクタ部26に対して軸線方向90に沿って移動可能であり、かつ軸線方向90周りに回転可能である。
【0029】
導光用チューブ51の内部空間には光ファイバ52が位置する。すなわち、光ファイバ52は、シャフト22に挿通されている。光ファイバ52の遠位端の端面57は、軸線と直交している。光ファイバ52は、レーザ光発生装置14において発生されて、光ファイバ52の基端に照射されたレーザ光を遠位端側へ伝播する。光ファイバ52は、レーザ光の波長において全反射する屈折率を有するものが適宜採用される。
【0030】
導光用チューブ51の遠位端には、ハウジング53が取り付けられている。ハウジング53は、バルーン21の内部空間に位置する。ハウジング53は、管形状であり、その内部空間に光ファイバ52が位置する。ハウジング53は、周壁を貫通する開口54を有する。ハウジング53において開口54より遠位端側に反射材55が位置する。ハウジング53の内部空間において、光ファイバ52の端面57と反射材55とは離れており、光ファイバ52の端面57と反射材55との間に開口54が位置する。
【0031】
反射材55は、ハウジング53の内部空間において、光ファイバ52の端面57と軸線方向90に対向して位置する。反射材55は、バルーン21の内部空間において、光ファイバ52から出射されるレーザ光を反射する。反射されたレーザ光は、軸線方向90と直交する方向に出射される。反射材55において端面57と対向する反射面56は、軸線方向90に対して45度の角度となるように傾斜している。反射面56は、ハウジング53の開口54を通じてハウジング53の外部へ露出されている。反射材55は、金属や光ファイバ、樹脂等からなる円柱体である。反射材55の反射面56には、金属層が積層されている。金属層は、例えば、ニッケル、金、アルミニウム、クロム等が単独又は混合されて反射材55の表面にメッキ又はスパッタリング等により形成されたものである。なお、反射材55によって反射されたレーザ光が出射される方向は、軸線方向90と交差する方向であればよい。
【0032】
光ファイバ52及び反射材55は、端面57及び反射面56の位置関係、すなわち離間距離及び反射面56の角度を保持した状態で、導光用チューブ51と一体として軸線(軸線方向90)周りに回転可能であり、かつ軸線方向90へスライド可能である。光ファイバ52及び反射材55の回転及びスライドは、コネクタ部26から延出された導光用チューブ51の基端側が直接又は間接に操作されることによって制御される。具体的には、導光用チューブ51の基端側に回転装置15からの駆動力が付与されることによって、導光用チューブ51が回転及びスライドされる。
【0033】
アブレーションカテーテル11は、バルーン21より遠位端側に設けられた先端部材61を有する。先端部材61には、ガイドワイヤルーメン62が形成されている。ガイドワイヤ80がガイドワイヤルーメン62に通されて、アブレーションカテーテル11がガイドワイヤ80に沿って患者の体内の所望の位置まで案内される。図5(B)に示されるように、所望の位置とは、例えば、腎動脈91の分岐92より腎臓側における腎動脈91内である。なお、アブレーションカテーテル11に設けられているガイドワイヤルーメンは、ガイドワイヤルーメン62のみである。
【0034】
図2、3に示されるように、先端部材61は、一部が流体用チューブ23の遠位端部77と繋がるカバーチューブ63と、カバーチューブ63の内部空間に位置する先端チップ64と、を有する。
【0035】
カバーチューブ63は、樹脂製である。カバーチューブ63は、近位端側の開口94と、遠位端側の開口95と、を有する。開口94、95は、カバーチューブ63の内部空間と外部空間とを連通する。開口94は、溶着の際にカバーチューブ63が曲げられて軸線方向90と交差する方向に向く。開口95は、軸線方向90の方向に向く。
【0036】
カバーチューブ63の近位端側の外周面は、遠位端部77の外周面又は内周面と溶着されている。遠位端部77は、先端部材61との溶着の際、外周面及び内周面を含む遠位端部77の開口周縁が先端部材61の外周面と溶着する。遠位端部77は、例えば内部空間が潰れて内周面同士が溶着することにより、液密に塞がれている。なお、遠位端部77は、先端部材61の外周面と遠位端部77の内周面が溶着することにより、液密に塞がれていてもよい。
【0037】
カバーチューブ63は、先端チップ64を囲っている。カバーチューブ63は、内周面が管状の先端チップ64の外周面と溶着されている。カバーチューブ63の遠位端は、軸線方向90における位置が先端チップ64の遠位端と同じである。カバーチューブ63の硬度は、例えば、流体用チューブ23の硬度より小さい。
【0038】
先端チップ64は、造影される素材を含有する樹脂製である。樹脂としては、例えば、ポリウレタンなどが挙げられ、造影される素材としては、例えば、硫酸バリウム、酸化ビスマス、次炭酸ビスマスなどが挙げられる。先端チップ64の硬度は、カバーチューブ63の硬度より小さい。
【0039】
先端チップ64は、管状に形成され、内部空間がガイドワイヤルーメン62を区画する。先端チップ64は、近位端側の開口67を有する。先端チップ64の内部空間は、開口67を介して外部空間と連通する。開口67は、カバーチューブ63の近位端側の開口の内側に位置する。開口67は、ガイドワイヤルーメン62の近位端側の開口である。開口67は、溶着時に先端チップ64及びカバーチューブ63が変形することによって軸線方向90と交差する方向に向く。
【0040】
先端チップ64は、遠位端に開口68を有する。開口68は、先端チップ64の内部空間と外部空間とを連通する。開口68は、軸線方向90の方向に向く。すなわち、開口68は、先端部材61の遠位端面に開口する。ガイドワイヤルーメン62は、開口67及び開口68により、先端部材61の遠位端69及び近位端部70において開口することとなる。先端部材61の遠位端69は、軸線方向90の方向に向く先端部材61の遠位端側の端面を指す。先端部材61の近位端部70は、先端部材61のうち、軸線方向90における中央より近位端側の一部であって、外周面及び端面を含む。
【0041】
なお、図2、3に示される遠位端部77、カバーチューブ63及び先端チップ64は、溶着後の形状の一例であり、遠位端部77、カバーチューブ63及び先端チップ64の境界が示されたものである。遠位端部77と、カバーチューブ63と、先端チップ64とは、溶着により一体とされて、これらの境界が無い又は曖昧となっていてもよい。また、遠位端部77、カバーチューブ63及び先端チップ64が一部混ざり合ってもよい。したがって、遠位端部77、カバーチューブ63及び先端チップ64は、図2、3に示される構成でなくてもよく、それぞれの境界が曖昧な一体のものとして形成されていてもよい。
【0042】
図1に示されるように、シャフト22の基端側にはコネクタ部26が設けられている。コネクタ部26は、アブレーションカテーテル11を操作するときに施術者が持つ部分である。コネクタ部26には、光ファイバ52が挿通されている。コネクタ部26には、光ファイバ52の挿通口とは別個に第1ポート27及び第2ポート28が設けられている。
【0043】
図4に示されるように、第1ポート27は、第1ルーメン24と連続している。第1ポート27を通じて、バルーン21に還流される流体が第1ルーメン24へ流入する。第2ポート28は、第2ルーメン25と連続している。第2ポート28を通じて、バルーン21に還流される流体が第2ルーメン25から流出する。なお、コネクタ部26の内部において、第1ポート27及び第2ポート28は、それぞれがOリング73、74によって液密に分離されている。また、導光用チューブ51の周囲は、Oリング75によって液密が確保されている。
【0044】
[回路12]
回路12は、アブレーションカテーテル11に流体を流通させるために用いられる。図1に示されるように、回路12は、バッファタンク31と、第1流路32と、圧力センサ33と、第2流路34と、第2流路34に設けられている逆止弁35と、を有する。
【0045】
バッファタンク31は、アブレーションカテーテル11及び回路12に流通させる流体を貯留する。バッファタンク31は、例えば、可撓性を有するバッグである。各図には現れていないが、バッファタンク31には、第1流路32及び第2流路34が接続されるポートを有する。
【0046】
第1流路32は、可撓性の合成樹脂チューブ36から構成される。第1流路32は、1本の合成樹脂チューブから構成されていてもよいし、複数本の合成樹脂チューブがジョイントなどによって継がれて構成されていてもよい。第1流路32は、バッファタンク31と第1ポート27とを流体が流通可能に接続する。
【0047】
第2流路34は、可撓性の合成樹脂チューブ37から構成される。第2流路34は、1本の合成樹脂チューブから構成されていてもよいし、複数本の合成樹脂チューブがジョイントなどによって継がれて構成されていてもよい。第2流路34は、バッファタンク31と第2ポート28とを流体が流通可能に接続する。なお、各流路と各ポートとの接続には公知のジョイントが用いられてよい。
【0048】
第1流路32における第1ポート27とポンプ41との間には、圧力センサ33が設けられている。圧力センサ33は、第1流路32における流体の圧力を検知して、検知した圧力に応じた検知信号を出力する。圧力センサ33としては、例えば、ダイアフラム式の圧力センサが用いられる。圧力センサ33の検知信号は、コントローラ44へ出力される。
【0049】
第2流路34には、逆止弁35が設けられている。逆止弁35は、ハウジング内に設けられた弁が流体の背圧によって移動することによって、一方向へ流体を流通させ、他方向への流体の流れを制止する。逆止弁35は、第2流路34において、流体が第2ポート28からバッファタンク31へ向かう方向を一方向として流体を流通させる。他方、逆止弁35は、第2流路34において、流体がバッファタンク31から第2ポート28へ向かう流れを制止する。
【0050】
[駆動装置13]
駆動装置13は、ポンプ41と、ディスプレイ42と、入力I/F43と、コントローラ44と、を有する。ポンプ41は、ローラーポンプであることが好ましい。ポンプ41には、第1流路32を構成する合成樹脂チューブ36がセットされる。ポンプ41は、双方向に駆動可能である。
【0051】
ディスプレイ42としては、例えば、液晶ディスプレイ(Liquid Crystal Displayの略)、有機ELディスプレイ(Organic Electro-Luminescence Displayの略)等が採用される。
【0052】
入力I/F43は、ユーザによる入力操作を受け付けるユーザインタフェースである。具体的には、入力I/F43は、ディスプレイ42に重畳された膜状のタッチセンサである。また、入力I/F43は駆動装置13が備えるボタンであってもよい。入力I/F43は、ユーザ操作を受け付けて、受け付けた操作に応じた各種信号をコントローラ44へ出力する。操作信号としては、例えば、バルーン21の膨張、バルーン21の収縮等である。
【0053】
コントローラ44は、不図示のメモリ、CPU等を有する。コントローラ44には、予めプログラムが設定されており、プログラムに従って、ポンプ41の動作、レーザ光発生装置14の動作、及び回転装置15の動作を制御する。
【0054】
[レーザ光発生装置14]
レーザ光発生装置14は、例えば、励起源の光がレーザ媒質に与えられ、光共振器の反射により発信されて出力するものである。レーザ光発生装置14から出力されるレーザ光は、連続波であることが好ましく、また、レーザ光の波長としては400~2000nmの範囲であることが好ましい。レーザ光発生装置14は、光ファイバ52の基端と接続されており、レーザ光発生装置14から出力されたレーザ光は光ファイバ52の基端面に照射される。
【0055】
[回転装置15]
回転装置15は、導光用チューブ51の基端側を軸線方向90に対して回転及びスライドさせる駆動力を付与するものであり、モータやスライダ等を組み合わせた機構が採用され得る。なお、回転装置15は必須ではなく、導光用チューブ51の基端側を施術者がハンドリングすることにより、導光用チューブ51が軸線方向90に対して回転及びスライドされてもよい。
【0056】
[アブレーションカテーテル11の使用方法]
以下、カテーテルシステム10におけるアブレーションカテーテル11の使用方法の一例を示す。図5(A)に示されるように、ガイドワイヤ80は、腎動脈91における分岐92より腎臓側の腎動脈91内の所定位置まで送られる。アブレーションカテーテル11は、体外においてガイドワイヤ80がガイドワイヤルーメン62に挿通される。そして、アブレーションカテーテルは、ガイドワイヤ80に沿って体内の腎動脈91内の所定位置まで送られる。
【0057】
図5(B)に示されるように、アブレーションカテーテル11が所定位置まで送られた後、ガイドワイヤ80は、アブレーションカテーテル11から脱抜される。ガイドワイヤ80がアブレーションカテーテル11から脱抜された後、バルーン21が膨張され、レーザ照射操作が実行される。なお、レーザ照射操作では、回転装置15が導光用チューブ51及びハウジング53内の反射材55を回転させることで、シャフト22の軸線周りの全周方向へレーザを照射することができる。レーザ照射後、バルーン21は収縮され、アブレーションカテーテル11は、回収される。
【0058】
[アブレーションカテーテル11の製造方法]
図6に示されるように、アブレーションカテーテル11の製造方法は、第1溶着工程(S1)と、組立工程(S2)と、第2溶着工程(S3)と、第3溶着工程(S4)と、引抜工程(S5)と、を有する。
【0059】
[第1溶着工程]
第1溶着工程では、バルーン21を流体用チューブ23及びシャフト22に加熱により溶着する。バルーン21の遠位端側の内周面は、シャフト22に挿通されシャフト22から突出する流体用チューブ23の外周面に溶着され、バルーン21の近位端側の内周面は、シャフト22の遠位端の外周面に溶着される。
【0060】
[組立工程]
図7に示されるように、組立工程では、先端チップ64と、カバーチューブ63と、マンドレル81と、が組み立てられる。
【0061】
マンドレル81は、溶着の際に先端チップ64の内部空間及び、近位端側の開口67と遠位端側の開口68とが繋がった状態を維持する。マンドレル81は、例えば、縦断面が円形状の金属製の棒材である。
【0062】
マンドレル81が先端チップ64の内部空間に挿通される。先端チップ64が、カバーチューブ63に挿入される。
【0063】
マンドレル81は、先端が先端チップ64の開口68から突出し、基端が先端チップ64の開口67から突出する。なお、マンドレル81が先端チップ64に挿通されるタイミングは、先端チップ64がカバーチューブ63に挿入された後であってもよい。
【0064】
先端チップ64の遠位端は、軸線方向90における位置がカバーチューブ63の遠位端と同じ位置である。
【0065】
[第2溶着工程]
第2溶着工程では、組み立てられた管状の先端チップ64と、カバーチューブ63と、を加熱により溶着して一体とする工程である。第2溶着工程では、カバーチューブ63が、外側からヒーター(不図示)により加熱される。加熱されたカバーチューブ63は、内周面が先端チップ64の外周面と溶着する。溶着後のカバーチューブ63は、近位端部70の一部を構成する。
【0066】
[第3溶着工程]
第3溶着工程では、バルーン21が溶着された流体用チューブ23と、第2溶着工程で溶着された先端部材61と、を加熱により溶着して一体とする工程である。流体用チューブ23の遠位端部77は、端面が軸線に対して直交しないように予め笹切りされている。図8に示されるように、遠位端部77は、バルーン21から突出する方向がマンドレル81の連続する方向に沿わされて、先端部材61に添えられる。このとき、遠位端部77の外周面は、一部が先端部材61の外周面の一部と当接する。また、遠位端部77の端面は、先端部材61の外周面側に向けられる。
【0067】
第3工程では、流体用チューブ23と先端部材61とが合わせられた状態において、遠位端部77が、外側からヒーター(不図示)により加熱される。加熱により熱が、遠位端部77、カバーチューブ63、先端チップ64の順に伝達する。遠位端部77は、加熱によって、外周面及び内周面を含む遠位端部77の開口周縁が先端部材61の外周面と溶着し、例えば遠位端部77の内部空間が潰れて遠位端部77の内周面同士が溶着することで、液密に塞がれる。なお、遠位端部77は、先端部材61の外周面と遠位端部77の内周面が溶着することで液密に塞がれてもよい。第2溶着工程及び第3溶着工程は、加熱工程の一例である。
【0068】
[引抜工程]
第3溶着工程の後、先端部材61は、自然冷却される。冷却後に、マンドレル81は、先端部材61から引き抜かれる。マンドレル81によって保持された空間がガイドワイヤルーメン62となる。
【0069】
[本実施形態の作用効果]
本実施形態では、バルーン21よりも遠位端側に設けられた先端部材61に形成されたガイドワイヤルーメン62にガイドワイヤ80が挿通されるので、先端部材61がガイドワイヤ80に追従し、バルーンを腎動脈へ容易に導くことができる。
【0070】
また、バルーン21内にガイドワイヤルーメン62を区画する部材がないので、レーザ光が影響を受けることはなく、精度良くアブレーションを行うことができる。
【0071】
また、先端部材61のみにガイドワイヤルーメン62が形成されているため、ガイドワイヤ80をアブレーションカテーテル11の先端部材61に形成されたガイドワイヤルーメン62から抜くことのみによって、アブレーションカテーテル11からガイドワイヤ80を離すことができる。また、バルーンより近位端側のシャフトの外径を小さくすることができるとともに、シャフトを柔軟にすることができる。
【0072】
また、シャフト22及びバルーン21の内部空間にガイドワイヤルーメンが設けられないため、光ファイバ52をシャフト22又はバルーン21の縦断面の径の中心に位置させることができる。これにより、出射されたレーザ光が血管まで到達するまでの距離を一定とすることができる。
【0073】
また、先端部材61は、流体用チューブ23より遠位端側に位置する先端チップ64と、先端チップ64と流体用チューブ23の遠位端とを接続するカバーチューブ63と、からなるため、先端部材61の構成が簡易となり、先端部材61が血管の湾曲などに追従しやすい。
【0074】
また、カバーチューブ63の硬度は、流体用チューブ23の硬度より小さく、先端チップ64の硬度より大きい。また、流体用チューブ23の遠位端部77の内周面の一部がカバーチューブ63の外周面の一部と溶着される。また、カバーチューブ63は、先端チップ64を囲っている。このように、流体用チューブ23と先端チップ64との硬度差を減らすことにより、先端チップ64が折れることが抑制されるほか、先端部材61の引張強度が向上する。
【0075】
また、本実施形態のアブレーションカテーテル11の製造方法によれば、先端部材61にガイドワイヤルーメン62が形成されたアブレーションカテーテル11を簡易に製造することができる。
【0076】
また、第3溶着工程において、遠位端部77が先端部材61の外側にあり、加熱による熱が遠位端部77、カバーチューブ63、先端チップ64の順に伝達するため、作業者は、遠位端部77と先端部材61との溶着を目視により確認することができ、遠位端部77と先端部材61との溶着が完了しないうちに溶着の作業を終了することが抑制される。
【0077】
また、第2溶着工程後ではなく、組立工程前にバルーン21を流体用チューブ23及びシャフト22に溶着することで、バルーン21がカバーチューブ63の外周面に溶着することが防がれ、バルーン21の遠位端側からの液漏れが防がれる。
【0078】
また、流体用チューブ23は遠位端部77が笹切りされているため、第3溶着工程において、遠位端部77は、バルーン21から突出する方向がマンドレル81の連続する方向に沿わされた状態で、遠位端部77を先端部材61に添えて溶着することができる。これにより、筒状の先端部材61が延びる方向に対する遠位端部77がバルーン21から突出する方向の角度の調整が不要となり、溶着の作業性が良い。
【0079】
また、シャフト22の直径を変更することなく、マンドレル81の直径を変更することで、ガイドワイヤルーメンの直径を容易に変更することができる。
【0080】
[変形例1]
上記実施形態では、カバーチューブ63の遠位端の軸線方向90における位置が先端チップ64の遠位端と同じであった。これに代えて、カバーチューブ63の遠位端が、軸線方向90において、先端チップ64の遠位端より近位端側に位置していてもよい。
【0081】
図9に示されるように、先端部材161は、一部が流体用チューブ23の遠位端部77を塞ぐカバーチューブ163と、カバーチューブ163の内部空間に基端が位置する先端チップ64と、を有する。カバーチューブ163は、樹脂製である。カバーチューブ163の硬度は、例えば、先端チップ64の硬度より大きい。
【0082】
カバーチューブ163は、近位端側の開口194と、遠位端側の開口195と、を有する。開口194、195は、カバーチューブ163の内部空間と外部空間とを連通する。開口194は、溶着の際にカバーチューブ163が曲げられて軸線方向90と交差する方向に向く。開口195は、軸線方向90の方向に向く。
【0083】
カバーチューブ163は、外周面が流体用チューブ23の遠位端部77の内周面と溶着されている。カバーチューブ163は、先端チップ64の基端を囲っている。カバーチューブ163は、内周面が管状の先端チップ64の近位端部の外周面と溶着されている。カバーチューブ163の遠位端は、軸線方向90における位置が先端チップ64の遠位端より近位端側に位置し、先端チップ64の遠位端69がカバーチューブ163の遠位端から突出している。先端チップ64は、硬度がカバーチューブ163の硬度より小さい。先端チップ64の開口67は、カバーチューブ163の開口194の内側に位置する。先端チップ64の開口68は、軸線方向90における位置がカバーチューブ163の開口195より遠位端側に位置する。
【0084】
[変形例1の作用効果]
先端チップ64は、カバーチューブ163の遠位端よりも遠位端側へ突出しており、先端チップ64の硬度は、カバーチューブ163の硬度より小さいため、先端部材61が血管の湾曲などに追従しやすい。また、先端部材61が血管を傷つけにくい。また、先端チップ64は、カバーチューブ163より外径が小さいため、アブレーションカテーテルの先端を小径化できる。
【0085】
[変形例2]
上記実施形態では、流体用チューブ23の遠位端部77は、第3溶着工程において先端部材61と溶着されたが、第2溶着工程において先端部材61と溶着されてもよい。変形例2では、流体用チューブ23の遠位端部77は、第2溶着工程においてカバーチューブ263及び先端チップ64と溶着され、第3溶着工程が省かれる例について説明される。なお、カバーチューブ63の代わりに、例えばカバーチューブ63より内径の大きいカバーチューブ263が用いられる。変形例の第2溶着工程は、加熱工程の一例である。
【0086】
変形例2のアブレーションカテーテルの製造方法では、第1溶着工程と、組み立て工程と、第2溶着工程と、引抜工程と、を有する。
【0087】
[組立工程]
図10に示されるように、組立工程では、バルーン21が溶着された流体用チューブ23と、先端チップ64と、カバーチューブ263と、マンドレル81と、が組み立てられる。カバーチューブ263の近位端は、予めフレア加工が施されている。フレア加工は、公知の方法によって行われる。カバーチューブ263は近位端がフレア加工されているため、流体用チューブ23及び先端チップ64をカバーチューブ263に挿入する作業性が良い。
【0088】
マンドレル81が先端チップ64の内部空間に挿通される。先端チップ64が、カバーチューブ263に挿入される。また、流体用チューブ23の遠位端部77が、カバーチューブ263に挿入される。
【0089】
マンドレル81は、先端が先端チップ64の開口68から突出し、基端が先端チップ64の開口67から突出する。なお、マンドレル81が先端チップ64に挿通されるタイミングは、先端チップ64及び流体用チューブ23の遠位端部77がカバーチューブ263に挿入された後であってもよい。
【0090】
先端チップ64の遠位端は、軸線方向90における位置がカバーチューブ263の遠位端と同じ位置である。なお、流体用チューブ23の遠位端部77の一部は、カバーチューブ263の内部空間において、先端チップ64の一部と軸線方向90における位置が重なることが好ましい。
【0091】
[第2溶着工程]
第2溶着工程では、組み立てられた流体用チューブ23と、管状の先端チップ64と、カバーチューブ263と、を加熱により溶着して一体とする工程である。第2溶着工程では、カバーチューブ263が、外側からヒーター(不図示)により加熱される。加熱されたカバーチューブ263は、内周面が先端チップ64の外周面の一部、流体用チューブ23の遠位端部77の外周面の一部と溶着する。先端チップ64の外周面の一部は、加熱により、流体用チューブ23の遠位端部77の外周面の一部及び遠位端部77の内周面の一部と溶着する。
【0092】
流体用チューブ23の遠位端部77は、加熱によって溶着することで液密に塞がれる。遠位端部77は、カバーチューブ263との溶着の際、カバーチューブ263の内部空間が潰され、液密に塞がれる。
【0093】
[引抜工程]
第2溶着工程の後、先端部材61は、自然冷却される。冷却後に、マンドレル81は、先端部材61から引き抜かれる。マンドレル81によって保持された空間がガイドワイヤルーメン62となる。
【0094】
なお、図11に示されるように、変形例2のアブレーションカテーテルの製造方法によれば、遠位端部77は、カバーチューブ263の近位端側の開口294の内側に位置する。カバーチューブ263は、近位端側において流体用チューブ23の遠位端部77を囲う。
【0095】
[その他の変形例]
本実施形態では、シャフト22内に流体用チューブ23が挿通されているが、流体用チューブ23は必須ではない。つまり、バルーン21内に流体を流入させる流入ルーメンと、バルーン21内から流体を流出させる流出ルーメンとが区別されていなくてもよい。この場合、バルーン21の遠位端からシャフト22の先端が突出され、シャフト22の先端と先端チップ64とがカバーチューブ63により接続される。
【0096】
また、本実施形態では、先端チップ64の内部空間がガイドワイヤルーメン62を区画したが、当該内部空間が区画せずともよい。このとき、先端チップ64の外周面とカバーチューブ63の内周面とがガイドワイヤルーメン62を区画してもよい。
【0097】
また、カバーチューブ63は、複数のチューブが軸線方向に加熱溶着によって繋げられて形成されてもよい。このとき、例えば、カバーチューブ63は、近位端側のチューブと遠位端側のチューブの2本から形成される。カバーチューブ63は、対向する近位端側のチューブの端面と遠位端側のチューブの端面とが当接した状態で溶着され、これらチューブ同士の内部空間が連続させられて形成される。近位端側のチューブと遠位端側のチューブは、第2溶着工程以前において溶着される。遠位端側のチューブの硬度は、近位端側のチューブより小さいことが好ましい。これにより、先端部材61が血管の湾曲などに追従しやすい。また、先端部材61が血管を傷つけにくい。
【0098】
また、カバーチューブ63の遠位端は、軸線方向90における位置が先端チップ64より遠位端側であってもよい。
【0099】
また、先端チップ64の近位端がカバーチューブ63の近位端より突出してもよい。
【0100】
また、本実施形態では、先端部材61にのみガイドワイヤルーメン62が形成されたが、バルーン21より近位端側にガイドワイヤルーメンが形成されてもよい。このとき、例えば、シャフト22の外側にシャフト22に沿って延びるガイドワイヤ用チューブが用いられ、当該ガイドワイヤ用チューブの内部空間がガイドワイヤルーメンとされてもよい。
【0101】
また、本実施形態では、ハウジング53及び反射材55が用いられたが、これらは用いられずともよい。このとき、例えば、導光用チューブ51及び光ファイバ52の遠位端が曲げられ、光ファイバ52の遠位端の端面57が軸線と交差する方向と直交する向きとされてもよい。
【0102】
また、第1溶着工程は、第2溶着工程又は第3溶着工程の後に実施されてもよい。
【0103】
また、組立工程において、流体用チューブ23の遠位端部77は、予め笹切りされずともよく、端面が軸線と直交する輪切りであってもよい。
【符号の説明】
【0104】
11・・・アブレーションカテーテル
21・・・バルーン
22・・・シャフト
23・・・流体用チューブ
52・・・光ファイバ
55・・・反射材
61,161・・・先端部材
62・・・ガイドワイヤルーメン
63,263・・・カバーチューブ
64・・・先端チップ
67・・・開口
68・・・開口
81・・・マンドレル
69・・・遠位端
70・・・近位端部
90・・・軸線方向
294・・・開口
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11