(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-23
(45)【発行日】2025-01-07
(54)【発明の名称】遠心圧縮機
(51)【国際特許分類】
F04D 29/44 20060101AFI20241224BHJP
F04D 17/10 20060101ALI20241224BHJP
【FI】
F04D29/44 M
F04D29/44 P
F04D17/10
(21)【出願番号】P 2020141796
(22)【出願日】2020-08-25
【審査請求日】2023-07-19
(73)【特許権者】
【識別番号】000000099
【氏名又は名称】株式会社IHI
(74)【代理人】
【識別番号】110000936
【氏名又は名称】弁理士法人青海国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】下原 直人
【審査官】丹治 和幸
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2018/198879(WO,A1)
【文献】国際公開第2018/198808(WO,A1)
【文献】実開平04-125633(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F04D 1/00-13/16、
17/00-19/02、
21/00-25/16、
29/00-35/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
インペラが配される主流路と、
前記主流路より前記インペラの径方向外側に形成される副流路と、
前記主流路と前記副流路とを連通させる上流連通路と、
前記上流連通路よりも前記インペラに近接し、前記インペラと径方向に対向して配され、前記主流路と前記副流路とを連通させる下流連通路と、
前記インペラの径方向において前記主流路と前記副流路との間に位置し、前記インペラの回転軸方向において前記上流連通路と前記下流連通路との間に位置する区画壁と、
前記副流路に配され、前記副流路の外周面と前記区画壁とを接続する第1支持部と、
前記副流路のうち
前記第1支持部と前記回転軸方向において同じ位置、かつ、前記第1支持部に対し前記インペラの回転方向の異なる位置に配され、前記副流路の外周面と前記区画壁とを接続し
、前記第1支持部と形状および大きさのうち少なくとも一方が異なる第2支持部と、
を備える遠心圧縮機。
【請求項2】
前記第1支持部および前記第2支持部のいずれか一方または双方は、径方向内側ほど前記下流連通路から離隔する傾斜部を有する、請求項1に記載の遠心圧縮機。
【請求項3】
前記第1支持部および前記第2支持部のいずれか一方または双方は、前記回転軸方向において、前記下流連通路よりも前記上流連通路に近接する側に配される、請求項1または2に記載の遠心圧縮機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、遠心圧縮機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、遠心圧縮機は、コンプレッサハウジングを備える。特許文献1には、主流路と、副流路とが形成されたコンプレッサハウジングについて開示がある。主流路には、コンプレッサインペラが配される。副流路は、主流路よりも径方向外側に配される。主流路と副流路は、上流スリットおよび下流スリットを介して連通する。副流路には、主流路と副流路との間を区画する区画壁を保持するためのリブが配される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
コンプレッサインペラに流入する流体(例えば,空気)の流量によって、コンプレッサインペラにより圧縮された圧縮流体が、下流スリットを介して主流路と副流路を流出入する。ここで、副流路にリブが配される場合、圧縮流体とリブが干渉し、下流スリットと主流路の連通部で周方向に圧力が高い領域と低い領域が形成される。このような周方向に圧力の高低差がある流れ場は、コンプレッサインペラを励起する加振力を生む。コンプレッサインペラは共振し、損傷に至るような振動応力が生じる場合がある。
【0005】
本開示の目的は、コンプレッサインペラに生じる振動応力を低減可能な遠心圧縮機を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本開示の一態様に係る遠心圧縮機は、インペラが配される主流路と、主流路よりインペラの径方向外側に形成される副流路と、主流路と副流路とを連通させる上流連通路と、上流連通路よりもインペラに近接し、インペラと径方向に対向して配され、主流路と副流路とを連通させる下流連通路と、インペラの径方向において主流路と副流路との間に位置し、インペラの回転軸方向において上流連通路と下流連通路との間に位置する区画壁と、副流路に配され、副流路の外周面と区画壁とを接続する第1支持部と、副流路のうち第1支持部と回転軸方向において同じ位置、かつ、第1支持部に対しインペラの回転方向の異なる位置に配され、副流路の外周面と区画壁とを接続し、第1支持部と形状および大きさのうち少なくとも一方が異なる第2支持部と、を備える。
【0007】
第1支持部および第2支持部のいずれか一方または双方は、径方向内側ほど下流連通路から離隔する傾斜部を有してもよい。
【0008】
第1支持部および第2支持部のいずれか一方または双方は、回転軸方向において、下流連通路よりも上流連通路に近接する側に配されてもよい。
【発明の効果】
【0009】
本開示によれば、コンプレッサインペラに生じる振動応力を低減することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図4】
図4は、
図2に示す第1支持部のIV-IV矢視断面図である。
【
図5】
図5は、
図3に示す第2支持部のV-V矢視断面図である。
【
図6】
図6は、
図3に示す第3支持部のVI-VI矢視断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下に添付図面を参照しながら、本開示の実施形態について詳細に説明する。実施形態に示す寸法、材料、その他具体的な数値等は、理解を容易とするための例示にすぎず、特に断る場合を除き、本開示を限定するものではない。なお、本明細書および図面において、実質的に同一の機能、構成を有する要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。また本開示に直接関係のない要素は図示を省略する。
【0012】
図1は、過給機TCの概略断面図である。
図1に示す矢印L方向を過給機TCの左側として説明する。
図1に示す矢印R方向を過給機TCの右側として説明する。
図1に示すように、過給機TCは、過給機本体1を備える。
【0013】
過給機本体1は、ベアリングハウジング3と、タービンハウジング5と、コンプレッサハウジング(ハウジング)7とを備える。ベアリングハウジング3の左側には、締結ボルト9によってタービンハウジング5が連結される。ベアリングハウジング3の右側には、締結ボルト11によってコンプレッサハウジング7が連結される。
【0014】
本実施形態の過給機TCは、タービンTと、遠心圧縮機Cとを備える。タービンTは、ベアリングハウジング3およびタービンハウジング5を含む。遠心圧縮機Cは、ベアリングハウジング3およびコンプレッサハウジング7を含む。以下では、遠心圧縮機Cの一例として、過給機TCについて説明する。ただし、遠心圧縮機Cは、過給機TCに限られない。遠心圧縮機Cは、過給機TC以外の装置に組み込まれてもよいし、単体であってもよい。
【0015】
ベアリングハウジング3には、軸受孔3aが形成されている。軸受孔3aは、過給機TCの左右方向に貫通する。軸受孔3aには、軸受13が設けられる。
図1では、軸受13の一例としてフルフローティング軸受を示す。ただし、軸受13は、セミフローティング軸受や転がり軸受など、他のラジアル軸受であってもよい。軸受13によって、シャフト15が回転自在に軸支されている。シャフト15の左端部には、タービンインペラ17が設けられる。タービンインペラ17は、タービンハウジング5内に回転自在に収容される。シャフト15の右端部には、コンプレッサインペラ(インペラ)19が設けられる。コンプレッサインペラ19は、コンプレッサハウジング7内に回転自在に収容される。
【0016】
コンプレッサハウジング7には、ハウジング穴7aが形成される。ハウジング穴7aは、過給機TCの右側に開口する。ハウジング穴7aには、取付部材21が接続される。コンプレッサハウジング7および取付部材21の内部には、主流路23が形成される。主流路23は、過給機TCの右側に開口する。主流路23は、コンプレッサインペラ19の回転軸方向(以下、単に回転軸方向と称す)に延在する。主流路23は、不図示のエアクリーナに接続される。コンプレッサインペラ19は、主流路23に配される。
【0017】
ベアリングハウジング3とコンプレッサハウジング7の間には、ディフューザ流路25が形成される。ディフューザ流路25は、ベアリングハウジング3とコンプレッサハウジング7の回転軸方向における対向面によって形成される。ディフューザ流路25は、シャフト15の径方向内側から外側に向けて環状に形成されている。ディフューザ流路25は、シャフト15の径方向内側において主流路23に連通している。ディフューザ流路25は、コンプレッサインペラ19を流通した空気を昇圧する。
【0018】
コンプレッサハウジング7には、コンプレッサスクロール流路27が形成される。コンプレッサスクロール流路27は、環状に形成される。コンプレッサスクロール流路27は、例えばディフューザ流路25よりもシャフト15の径方向外側に位置する。コンプレッサスクロール流路27は、不図示のエンジンの吸気口およびディフューザ流路25と連通している。コンプレッサインペラ19が回転すると、主流路23からコンプレッサハウジング7内に流体(例えば、空気)が吸気される。吸気された流体は、コンプレッサインペラ19の翼間を流通する過程において、加圧加速される。加圧加速された流体は、ディフューザ流路25およびコンプレッサスクロール流路27で昇圧される。昇圧された流体(圧縮流体)は、エンジンの吸気口に導かれる。
【0019】
タービンハウジング5には、吐出口29が形成されている。吐出口29は、過給機TCの左側に開口する。吐出口29は、不図示の排気ガス浄化装置に接続される。また、タービンハウジング5には、連通路31と、タービンスクロール流路33とが形成される。連通路31は、タービンインペラ17よりも径方向外側に位置する。連通路31は、タービンインペラ17を介してタービンスクロール流路33と吐出口29とを連通させる。
【0020】
タービンスクロール流路33は、環状に形成される。タービンスクロール流路33は、例えば連通路31よりもタービンインペラ17の径方向外側に位置する。タービンスクロール流路33は、不図示のガス流入口と連通する。ガス流入口には、不図示のエンジンの排気マニホールドから排出される排気ガスが導かれる。ガス流入口からタービンスクロール流路33に導かれた排気ガスは、連通路31およびタービンインペラ17の翼間を介して吐出口29に導かれる。吐出口29に導かれた排気ガスは、その流通過程においてタービンインペラ17を回転させる。
【0021】
タービンインペラ17の回転力は、シャフト15を介してコンプレッサインペラ19に伝達される。上記のとおりに、空気は、コンプレッサインペラ19の回転力によって昇圧されて、エンジンの吸気口に導かれる。
【0022】
図2は、
図1の破線部分の抽出図である。
図2に示すように、コンプレッサハウジング7には、循環流路100が形成される。循環流路100は、副流路110と、上流連通路120と、下流連通路130とを含む。以下、
図2に示す矢印R方向を主流路23の吸気の上流側として説明する。
図2に示す矢印L方向を主流路23の吸気の下流側として説明する。
【0023】
副流路110は、主流路23よりコンプレッサインペラ19の径方向外側に形成される。副流路110は、コンプレッサインペラ19の径方向(以下、単に径方向ともいう)において、主流路23から離隔して形成される。副流路110は、コンプレッサインペラ19の周方向(以下、単に周方向、回転方向ともいう)に延在し、大凡円筒形状に形成される。
【0024】
上流連通路120および下流連通路130は、副流路110と主流路23との間に形成される。上流連通路120および下流連通路130は、主流路23と副流路110とを連通させる。上流連通路120は、コンプレッサインペラ19の前縁端であるリーディングエッジLEよりも主流路23の吸気の上流側(
図2中、右側)に位置する。上流連通路120は、大凡円環形状に形成される。
【0025】
下流連通路130は、上流連通路120よりもコンプレッサインペラ19に近接する側に位置する。下流連通路130は、コンプレッサインペラ19のリーディングエッジLEよりも吸気の下流側(
図2中、左側)に位置する。下流連通路130は、コンプレッサインペラ19と径方向に対向して配される。
【0026】
主流路23、副流路110、上流連通路120、および、下流連通路130の間には、区画壁140が形成される。区画壁140は、径方向において、主流路23と副流路110の間に設けられる。区画壁140は、主流路23と副流路110とを区画する。区画壁140は、回転軸方向において、上流連通路120と下流連通路130の間に設けられる。区画壁140は、上流連通路120と下流連通路130とを区画する。
【0027】
副流路110には、複数の支持部150が設けられる。支持部150は、一端が副流路110の外周面(副流路110の外周側の壁部)に接続され、他端が副流路110の内周面(副流路110の内周側の区画壁140)に接続される。支持部150は、区画壁140を支持する。支持部150は、少なくとも下流連通路130よりも吸気の上流側に位置する。支持部150は、コンプレッサインペラ19のリーディングエッジLEよりも吸気の上流側に位置する。支持部150は、回転軸方向において、下流連通路130よりも、上流連通路120に近接する側に配される。換言すれば、支持部150は、下流連通路130と上流連通路120との中間位置よりも上流連通路120側に配される。
【0028】
支持部150は、第1支持部150aと、第2支持部150bと、第3支持部150cとを含む(
図3参照)。第1支持部150a、第2支持部150b、および、第3支持部150cは、回転軸方向において同じ位置に配される。ただし、これに限定されず、第1支持部150a、第2支持部150b、および、第3支持部150cは、回転軸方向において異なる位置に配されてもよい。
【0029】
図3は、
図1のIII-III矢視断面図である。
図3中、II-II矢視断面図が、
図2に示した断面図に相当する。
図3に示すように、第1支持部150a、第2支持部150b、および、第3支持部150cは、互いに周方向に離隔して異なる位置に配される。本実施形態では、第1支持部150a、第2支持部150b、および、第3支持部150cは、周方向に等間隔に配される。ただし、これに限定されず、第1支持部150a、第2支持部150b、および、第3支持部150cは、周方向に不等間隔に配されてもよい。
【0030】
図4は、
図2に示す第1支持部150aのIV-IV矢視断面図である。
図2および
図4に示すように、第1支持部150aは、円柱形状である。
図4に示すように、第1支持部150aは、中心軸と直交する断面が円形状である。ただし、これに限定されず、第1支持部150aは、中心軸と直交する断面が楕円形状である楕円柱形状であってもよい。第1支持部150aは、回転軸方向および周方向に対向する面が曲面形状を有する。
【0031】
第1支持部150aは、下流連通路130に近接する(すなわち、吸気の下流側の)端部150a1を有する(
図2参照)。端部150a1の内径端の位置P1は、回転軸方向において、端部150a1の外径端の位置P2と同じ位置である。ただし、これに限定されず、端部150a1の位置P1は、回転軸方向において位置P2と異なる位置であってもよい。例えば、端部150a1の位置P1は、位置P2に対し、下流連通路130から離隔する側(吸気の上流側)に位置してもよい。端部150a1の回転軸方向の位置は、位置P2から位置P1に向かって、徐々に下流連通路130から離隔してもよい。その場合、第1支持部150aは、円錐台形状を有する。
【0032】
図5は、
図3に示す第2支持部150bのV-V矢視断面図である。
図3および
図5に示すように、第2支持部150bは、球形状である。第2支持部150bは、回転軸方向および周方向に対向する面が球面形状を有する。
【0033】
第2支持部150bは、下流連通路130に近接する(すなわち、吸気の下流側の)端部150b1を有する。端部150b1は、内径端の位置P1と、外径端の位置P2と、位置P1と位置P2の中間位置P3とを含む。端部150b1の内径端の位置P1は、端部150b1の中間位置P3に対し、下流連通路130から離隔する側(吸気の上流側)に位置する。端部150b1の回転軸方向の位置は、中間位置P3から位置P1に向かって、徐々に下流連通路130から離隔する。つまり、端部150b1は、中間位置P3に対し、径方向内側ほど下流連通路130から離隔する傾斜部150b2を有する。
【0034】
図6は、
図3に示す第3支持部150cのVI-VI矢視断面図である。
図3および
図6に示すように、第3支持部150cは、コンプレッサインペラ19の回転中心軸を含む断面が台形の四角柱形状である。
図3では、第3支持部150cは、コンプレッサインペラ19の回転中心軸と直交する断面も台形形状である。ただし、これに限定されず、第3支持部150cは、コンプレッサインペラ19の回転中心軸と直交する断面が、矩形状であってもよい。
【0035】
第3支持部150cは、下流連通路130に近接する(すなわち、吸気の下流側の)端部150c1を有する。端部150c1の内径端の位置P1は、端部150c1の外径端の位置P2に対し、下流連通路130から離隔する側(吸気の上流側)に位置する。端部150c1の回転軸方向の位置は、位置P2から位置P1に向かって、徐々に下流連通路130から離隔する。つまり、端部150c1は、径方向内側ほど下流連通路130から離隔する傾斜部150c2を有する。なお、第1支持部150aは、円錐台形状を有する場合、
図6に示すような、径方向内側ほど下流連通路130から離隔する傾斜部150c2を有してもよい。
【0036】
本実施形態では、支持部150は、副流路110内に周方向に6つ設けられる。ただし、支持部150の数は、これに限定されず、5つ以下でもよいし、7つ以上でもよい。本実施形態では、副流路110のうち最も鉛直上側の位置には、第1支持部150aが配される。複数の支持部150は、鉛直上側の第1支持部150aから時計回りに、第2支持部150b、第3支持部150c、第1支持部150a、第3支持部150c、第2支持部150bの順で配される。ただし、複数の支持部150の配置順は、これに限定されない。例えば、鉛直上側の第1支持部150aから時計回りに、第2支持部150b、第3支持部150c、第1支持部150a、第2支持部150b、第3支持部150cの順で配されてもよい。また、周方向に隣接する2つの支持部150は、同じ形状を有していてもよい。
【0037】
次に、
図2および
図3を参照して本実施形態の循環流路100の作用について説明する。コンプレッサインペラ19に流入する流体(空気)の流量が小さくなると、コンプレッサインペラ19により圧縮された圧縮流体が、下流連通路130を介して副流路110に流入し、上流連通路120から主流路23に還流する。こうして、コンプレッサインペラ19に流入する見かけ上の流量が増加するため、遠心圧縮機Cの小流量側の作動領域が拡大する。
【0038】
ここで、副流路110に区画壁140を支持するためのリブが配される場合、圧縮流体とリブが干渉し、下流連通路130と主流路23の連通部で周方向に圧力が高い領域と低い領域が形成される。このような周方向に圧力の高低差がある流れ場は、コンプレッサインペラ19を励起する加振力を生む。コンプレッサインペラ19は共振し、損傷に至るような振動応力が生じる場合がある。
【0039】
そこで、本実施形態では、副流路110に複数種類の支持部150(第1支持部150a、第2支持部150b、第3支持部150c)が設けられる。
図3に示すように、周方向に隣接する2つの支持部150は、互いに形状が異なる。
【0040】
例えば、第2支持部150bは、第1支持部150aと周方向に隣接している。ここで、第2支持部150bは、球形状であり、第1支持部150aは、円柱形状である。このように、周方向に隣接する第2支持部150bと第1支持部150aは、互いに形状が異なる。
【0041】
また、第2支持部150bは、第3支持部150cと周方向に隣接している。ここで、第2支持部150bは、球形状であり、第3支持部150cは、四角柱形状である。このように、周方向に隣接する第2支持部150bと第3支持部150cは、互いに形状が異なる。
【0042】
ただし、これに限定されず、周方向に隣接する2つの支持部150は、互いに同じ形状であってもよい。その場合、周方向に配される複数の支持部150のうち少なくとも1つの支持部150は、他の支持部150と異なる形状を有する。
【0043】
このように、本実施形態では、複数の支持部150のうち少なくとも1つが異なる形状を有する。上述したように、コンプレッサインペラ19により圧縮された圧縮流体が、下流連通路130を介して副流路110に流入した場合、複数の支持部150(第1支持部150a、第2支持部150b、第3支持部150c)と干渉する。このとき、下流連通路130と主流路23の連通部には、周方向に圧力が高い領域と低い領域が形成される。ここで、例えば、第1支持部150aと第2支持部150bは、互いに異なる形状を有する。そのため、第1支持部150aに起因して形成される圧力の高低差と、第2支持部150bに起因して形成される圧力の高低差とを互いに異ならせることができる。周方向の各支持部に起因して形成される圧力の高低差の周期的対称性を崩すことで、コンプレッサインペラ19を励起する加振力を低減することができる。その結果、コンプレッサインペラ19に生じる振動応力を低減することができる。
【0044】
また、周方向に隣接する2つの支持部150の形状が互いに異なる場合は、周方向に隣接する2つの支持部150の形状が互いに同じである場合よりも、コンプレッサインペラ19に生じる振動応力をより低減することができる。
【0045】
また、第1支持部150aおよび第2支持部150bは、外周面に曲面(球面)を有する。これにより、圧縮流体が第1支持部150aおよび第2支持部150bと干渉した際に生じる圧力(励振力)を低減することができる。その結果、コンプレッサインペラ19に生じる振動応力が低減される。
【0046】
また、第2支持部150bおよび第3支持部150cは、吸気の下流側に端部150b1、150c1を有する。端部150b1、150c1は、径方向内側ほど下流連通路130から離隔した傾斜部150b2、150c2を有する。圧縮流体は、下流連通路130から離隔するほど、支持部150と衝突した際のエネルギーが低減する。これにより、傾斜部150b2、150c2が形成されない場合に比べ、圧縮流体が第2支持部150bおよび第3支持部150cと干渉した際に生じる圧力(励振力)を低減することができる。その結果、コンプレッサインペラ19に生じる振動応力を低減することができる。
【0047】
また、支持部150は、回転軸方向において、コンプレッサインペラ19のリーディングエッジLEよりも吸気の上流側に配される。また、支持部150は、回転軸方向において、下流連通路130よりも上流連通路120に近接する側に配される。支持部150が下流連通路130から離隔するほど、圧縮流体が支持部150と干渉した際に生じる圧力(励振力)を低減することができる。その結果、コンプレッサインペラ19に生じる振動応力を低減することができる。
【0048】
本実施形態では、複数の支持部150のうち少なくとも1つが異なる形状を有する例について説明した。ただし、これに限定されず、複数の支持部150のうち少なくとも1つの支持部150が、他の支持部150と異なる大きさを有してもよい。例えば、複数の支持部150は、互いに大きさの異なる円柱形状の第1支持部150aを含んでもよい。つまり、複数の支持部150のうち少なくとも1つの支持部150は、回転軸方向、周方向、あるいは、逆流した圧縮流体の流入方向の投影面積(大きさ)が、他の支持部150と異なっていてもよい。複数の支持部150のうち少なくとも1つが異なる大きさを有することでも、上記実施形態と同様の作用および効果を得ることができる。換言すれば、複数の支持部150のうち少なくとも1つの支持部150は、形状および大きさ(投影面積)のうち少なくとも一方が、他の支持部150と異なっていればよい。
【0049】
以上、添付図面を参照しながら本開示の実施形態について説明したが、本開示はかかる実施形態に限定されないことは言うまでもない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された範疇において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本開示の技術的範囲に属するものと了解される。
【0050】
上記実施形態では、支持部150が、3種類の支持部(第1支持部150a、第2支持部150b、第3支持部150c)を備える例について説明した。しかし、これに限定されず、支持部150は、少なくとも2種類の支持部を備えればよい。例えば、支持部150は、第1支持部150aおよび第2支持部150bを含み、第3支持部150cを含まなくてもよい。
【0051】
上記実施形態では、第3支持部150cがコンプレッサインペラ19の回転中心軸を含む断面が台形の四角柱形状である例について説明した。しかし、これに限定されず、第3支持部150cは、例えば、直方体形状であってもよい。
【0052】
上記実施形態では、複数の支持部150が回転軸方向において下流連通路130よりも上流連通路120に近接する側に配される例について説明した。しかし、これに限定されず、複数の支持部150のうち1つは、回転軸方向において上流連通路120よりも下流連通路130に近接する側に配されてもよい。つまり、複数の支持部150のうちいずれか一方または双方は、回転軸方向において下流連通路130よりも上流連通路120に近接する側に配されてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0053】
本開示は、遠心圧縮機Cに利用することができる。
【符号の説明】
【0054】
C 遠心圧縮機
19 コンプレッサインペラ(インペラ)
23 主流路
100 循環流路
110 副流路
120 上流連通路
130 下流連通路
140 区画壁
150 支持部
150a 第1支持部
150b 第2支持部
150b1 端部
150b2 傾斜部
150c 第3支持部
150c1 端部
150c2 傾斜部