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特許7608757追い刷り検査装置及び追い刷り検査プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-23
(45)【発行日】2025-01-07
(54)【発明の名称】追い刷り検査装置及び追い刷り検査プログラム
(51)【国際特許分類】
   G06T 7/00 20170101AFI20241224BHJP
   B41J 29/38 20060101ALI20241224BHJP
   B41J 29/393 20060101ALI20241224BHJP
【FI】
G06T7/00 610C
B41J29/38 206
B41J29/393 105
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2020151120
(22)【出願日】2020-09-09
(65)【公開番号】P2022045501
(43)【公開日】2022-03-22
【審査請求日】2023-08-30
(73)【特許権者】
【識別番号】000005496
【氏名又は名称】富士フイルムビジネスイノベーション株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001210
【氏名又は名称】弁理士法人YKI国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 幸大
【審査官】高野 美帆子
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-134847(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2019/0212955(US,A1)
【文献】特開2000-210624(JP,A)
【文献】特開2010-128759(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06T 7/00
B41J 29/38
B41J 29/393
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
プロセッサを備え、
前記プロセッサは、
先行印刷データに基づく先行画像が印刷された追い刷り前印刷媒体に対して後続印刷データに基づく後続画像を印刷する追い刷り処理によって形成された追い刷り後印刷媒体から検出された前記後続画像と、前記後続印刷データとの比較により、前記追い刷り処理の不良を検出
前記追い刷り後印刷媒体において前記先行画像と前記後続画像が重なる場合には、前記先行印刷データ、前記後続印刷データ、及び、前記追い刷り後印刷媒体に印刷された画像の比較により、前記追い刷り処理の不良を検出する、
ことを特徴とする追い刷り検査装置。
【請求項2】
前記追い刷り処理において、前記先行画像で用いられていない特定色で前記後続画像が印刷され、
前記後続画像は、特定色を検出するセンサによって前記追い刷り後印刷媒体から検出される、
ことを特徴とする請求項1に記載の追い刷り検査装置。
【請求項3】
前記後続画像は、前記後続印刷データに基づいて特定された、前記追い刷り後印刷媒体において前記後続画像が印刷される領域である特定領域から検出された画像である、
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の追い刷り検査装置。
【請求項4】
前記追い刷り前印刷媒体を光学的に読み取って取得された画像データを前記先行印刷データとして用いる、
ことを特徴とする請求項に記載の追い刷り検査装置。
【請求項5】
複数ページの前記追い刷り前印刷媒体に対して、複数ページ分の前記後続印刷データに基づく前記追い刷り処理によって複数ページの前記追い刷り後印刷媒体が形成され、
前記プロセッサは、
前記先行画像と前記後続画像が重ならないページにおいては、当該ページから検出された前記後続画像と、前記後続印刷データとの比較により前記追い刷り処理の不良を検出し、
前記先行画像と前記後続画像が重なるページにおいては、前記先行印刷データ、前記後続印刷データ、及び、前記追い刷り後印刷媒体に印刷された画像の比較により前記追い刷り処理の不良を検出する、
ことを特徴とする請求項又はに記載の追い刷り検査装置。
【請求項6】
コンピュータに、
先行印刷データに基づく先行画像が印刷された追い刷り前印刷媒体に対して後続印刷データに基づく後続画像を印刷する追い刷り処理によって形成された追い刷り後印刷媒体から検出された前記後続画像と、前記後続印刷データとの比較により、前記追い刷り処理の不良を検出させ、
前記追い刷り後印刷媒体において前記先行画像と前記後続画像が重なる場合には、前記先行印刷データ、前記後続印刷データ、及び、前記追い刷り後印刷媒体に印刷された画像の比較により、前記追い刷り処理の不良を検出させる、
ことを特徴とする追い刷り検査プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、追い刷り検査装置及び追い刷り検査プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、画像が印刷済みの印刷媒体に対して、さらに画像を印刷する処理が行われている。このような印刷処理は「追い刷り処理」と呼ばれている。なお、本明細書においては、画像が印刷され追い刷り処理前の印刷媒体を「追い刷り前印刷媒体」と、追い刷り前印刷媒体に印刷された画像を「先行画像」と、追い刷り処理された印刷媒体を「追い刷り後印刷媒体」と呼ぶ。また、追い刷り後印刷媒体に印刷された画像を「追い刷り後画像」と呼ぶ。追い刷り処理が適切に実行されていれば、追い刷り後画像は先行画像と後続画像を結合した画像となる。
【0003】
一方、従来、印刷データを印刷媒体に印刷する印刷処理を実行した後に、当該印刷データと、印刷処理後の印刷媒体を光学的に読み取った画像(すなわち印刷媒体に印刷された画像)とを比較することで、当該印刷処理の不良を検出することが行われている。例えば、印刷データと画像との一致度が所定の閾値以上であれば、印刷処理が「良」であり、印刷データと画像との一致度が閾値未満であれば、印刷処理が「不良」である、と判定することができる。印刷処理の不良とは、例えば、印刷データをラスタ形式に変換する処理における不具合(データ破損)、及び、印刷データを印刷媒体に印刷する処理の不具合(かすれ、汚れなど)を含むものである。
【0004】
ここで、図12に示すように、先行画像形成装置において、先行印刷データに基づいて先行画像を印刷し、後続画像形成装置において、追い刷り前印刷媒体に対して後続印刷データに基づく後続画像を印刷する追い刷り処理が実行され、追い刷り検査装置において、追い刷り処理の不良を検出する場合を考える。
【0005】
後続画像形成装置における追い刷り処理では、後続印刷データが後続画像(図12の例では打者の画像)を示す後続印刷データであるところ、追い刷り後印刷媒体には、後続画像のみならず先行画像(図12の例では「1」の数字)も印刷されていることになる。すなわち、追い刷り処理が正しく行われた場合であっても、後続印刷データと、追い刷り後画像とが異なることになる。
【0006】
したがって、追い刷り検査装置は、単純に、後続印刷データと追い刷り後画像とを比較したのでは、適切に追い刷り処理の不良を検出することができない。
【0007】
このことに鑑み、特許文献1には、追い刷り前印刷媒体としての事前印刷紙を撮像して得られた事前印刷紙画像と、追い刷り後印刷媒体を撮像して得られた追い刷り後画像とに基づいて、事前印刷紙に印刷された事前印刷要素が軽減された検査対象画像を生成し、生成した検査対象画像と、後続印刷データとしての追加記録データとを比較することで、追い刷り処理の不良を検出する画像検査装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【文献】特開2011-70548号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
ところで、特許文献1に開示された方法を一例として、印刷データと印刷媒体に印刷された画像とを比較する比較処理によって、追い刷り処理の不良を検出する際に、先行印刷データ、後続印刷データ、及び、追い刷り後画像の3つのデータを用いた比較を行うことが考えられる。例えば、先行印刷データと後続印刷データを結合した結合データと、追い刷り後画像との比較を行うことが考えられる。また、追い刷り後画像から先行印刷データを差し引いて得られる画像データと、後続印刷データとの比較を行うことが考えられる。あるいは、追い刷り後画像から後続印刷データを差し引いて得られる画像データと、先行印刷データとの比較を行うことが考えられる。
【0010】
しかしながら、先行印刷データ、後続印刷データ、及び、追い刷り後画像の比較を行う場合、後続画像と後続印刷データとの比較を行う場合に比して、比較処理の対象のデータ量が大きくなるという問題が生じ得る。比較処理の対象のデータ量が大きくなると、例えば、比較処理の処理量が大きくなるなどの問題が生じ得る。
【0011】
本発明の目的は、印刷データと印刷媒体に印刷された画像とを比較する比較処理によって、先行印刷データに基づく先行画像が印刷済みの印刷媒体に対して後続印刷データに基づく後続画像を印刷する追い刷り処理の不良を検出する際に、先行印刷データ、後続印刷データ、及び追い刷り処理済みの印刷媒体に印刷された画像の比較を行う場合に比して、比較処理の対象のデータ量を低減することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
請求項1に係る発明は、プロセッサを備え、前記プロセッサは、先行印刷データに基づく先行画像が印刷された追い刷り前印刷媒体に対して後続印刷データに基づく後続画像を印刷する追い刷り処理によって形成された追い刷り後印刷媒体から検出された前記後続画像と、前記後続印刷データとの比較により、前記追い刷り処理の不良を検出前記追い刷り後印刷媒体において前記先行画像と前記後続画像が重なる場合には、前記先行印刷データ、前記後続印刷データ、及び、前記追い刷り後印刷媒体に印刷された画像の比較により、前記追い刷り処理の不良を検出する、ことを特徴とする追い刷り検査装置である。
請求項2に係る発明は、前記追い刷り処理において、前記先行画像で用いられていない特定色で前記後続画像が印刷され、前記後続画像は、特定色を検出するセンサによって前記追い刷り後印刷媒体から検出される、ことを特徴とする請求項1に記載の追い刷り検査装置である。
請求項3に係る発明は、前記後続画像は、前記後続印刷データに基づいて特定された、前記追い刷り後印刷媒体において前記後続画像が印刷される領域である特定領域から検出された画像である、ことを特徴とする請求項1又は2に記載の追い刷り検査装置である
求項に係る発明は、前記追い刷り前印刷媒体を光学的に読み取って取得された画像データを前記先行印刷データとして用いる、ことを特徴とする請求項に記載の追い刷り検査装置である。
請求項に係る発明は、複数ページの前記追い刷り前印刷媒体に対して、複数ページ分の前記後続印刷データに基づく前記追い刷り処理によって複数ページの前記追い刷り後印刷媒体が形成され、前記プロセッサは、前記先行画像と前記後続画像が重ならないページにおいては、当該ページから検出された前記後続画像と、前記後続印刷データとの比較により前記追い刷り処理の不良を検出し、前記先行画像と前記後続画像が重なるページにおいては、前記先行印刷データ、前記後続印刷データ、及び、前記追い刷り後印刷媒体に印刷された画像の比較により前記追い刷り処理の不良を検出する、ことを特徴とする請求項又はに記載の追い刷り検査装置である。
請求項に係る発明は、コンピュータに、先行印刷データに基づく先行画像が印刷された追い刷り前印刷媒体に対して後続印刷データに基づく後続画像を印刷する追い刷り処理によって形成された追い刷り後印刷媒体から検出された前記後続画像と、前記後続印刷データとの比較により、前記追い刷り処理の不良を検出させ、前記追い刷り後印刷媒体において前記先行画像と前記後続画像が重なる場合には、前記先行印刷データ、前記後続印刷データ、及び、前記追い刷り後印刷媒体に印刷された画像の比較により、前記追い刷り処理の不良を検出させる、ことを特徴とする追い刷り検査プログラムである。
【発明の効果】
【0013】
請求項1又はに係る発明によれば、印刷データと印刷媒体に印刷された画像とを比較する比較処理によって、先行印刷データに基づく先行画像が印刷済みの印刷媒体に対して後続印刷データに基づく後続画像を印刷する追い刷り処理の不良を検出する際に、先行印刷データ、後続印刷データ、及び追い刷り処理済みの印刷媒体に印刷された画像の比較を行う場合に比して、比較処理の対象のデータ量を低減することができる。
請求項2に係る発明によれば、特定色を検出するセンサによって追い刷り後印刷媒体から後続画像を検出することができる。
請求項3に係る発明によれば、追い刷り後印刷媒体の特定領域から後続画像を検出することができる
求項に係る発明によれば、追い刷り前印刷媒体読取部により先行画像を取得することができる。
請求項に係る発明によれば、先行画像と後続画像とが重ならないページにおいては、後続画像と後続印刷データとの比較により追い刷り処理を不良を検出し、先行画像と後続画像とが重なるページにおいては、先行画像、後続画像、及び、追い刷り後印刷媒体に印刷された画像の比較により、追い刷り処理の不良を検出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本実施形態に係る追い刷りシステムの構成概略図である。
図2】本実施形態に係る印刷制御装置の構成概略図である。
図3A】先行印刷データの内容の例を示す図である。
図3B】追い刷り前印刷媒体の例を示す図である。
図4A】後続印刷データの内容の例を示す図である。
図4B】追い刷り後印刷媒体の例を示す図である。
図5】後続画像が印刷された領域である特定領域を示す概念図である。
図6】本実施形態に係る追い刷り検査装置の構成概略図である。
図7】追い刷り後印刷媒体から検出された後続画像を示す図である。
図8】後続印刷データの内容の他の例を示す図である。
図9】追い刷り後印刷媒体の他の例を示す図である。
図10】本実施形態に係る印刷制御装置の処理の流れを示すフローチャートである。
図11】本実施形態に係る追い刷り検査装置の処理の流れを示すフローチャートである。
図12】従来の追い刷り処理の様子を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
図1は、本実施形態に係る追い刷りシステム10の構成概略図である。追い刷りシステム10は、追い刷り処理を実行すると共に、追い刷り処理の不良を検出するシステムである。追い刷りシステム10は、これに限られるものではないが、例えばプロダクションプリント処理を実行する印刷会社などに設置される。図1に示すように、追い刷りシステム10は、印刷制御装置12、先行画像形成装置14、後続画像形成装置16、及び追い刷り検査装置18を含んで構成される。印刷制御装置12と先行画像形成装置14、印刷制御装置12と後続画像形成装置16、及び印刷制御装置12と追い刷り検査装置18は、それぞれ通信可能に接続されている。
【0016】
印刷制御装置12は、先行画像形成装置14、後続画像形成装置16、及び追い刷り検査装置18を制御する装置である。換言すれば、印刷制御装置12は、追い刷り処理及び追い刷り処理の不良の検出処理を制御する装置である。また、印刷制御装置12は、追い刷りシステム10の利用者(すなわちユーザ)との間のインターフェースとしての役割も発揮する。印刷制御装置12の詳細については、図2などを参照しながら後述する。
【0017】
先行画像形成装置14及び後続画像形成装置16は、いずれもプリンタである。具体的には、先行画像形成装置14及び後続画像形成装置16は、それぞれ、印刷制御装置12から印刷要求(すなわち印刷ジョブ)を受け付ける受付部、紙などの印刷媒体を搬送する搬送部、印刷ジョブに含まれる非ラスタ形式の印刷データをラスタ形式(後述の印刷部が認識可能な形式)に変換する変換部、及び、印刷媒体に対して印刷データに応じた画像を印刷する印刷部などを含んで構成される。
【0018】
ここで、追い刷りシステム10における追い刷り処理の流れを説明する。まず、印刷制御装置12は、先行画像を示す先行印刷データを含む先行印刷ジョブを先行画像形成装置14に送信し、後続画像を示す後続印刷データを含む後続印刷ジョブを後続画像形成装置16に送信する。先行画像形成装置14は、先行印刷ジョブに基づいて、印刷媒体に対して先行画像を印刷する。先行画像が印刷された印刷媒体が追い刷り前印刷媒体20である。追い刷り前印刷媒体20は、ユーザにより、あるいは、先行画像形成装置14の搬送部により後続画像形成装置16へと搬送される。次いで、後続画像形成装置16は、後続印刷ジョブに基づいて、追い刷り前印刷媒体20に対して後続画像を印刷する。つまり、後続画像形成装置16は追い刷り処理を実行する。先行画像及び後続画像が印刷された印刷媒体が追い刷り後印刷媒体22である。追い刷り後印刷媒体22は、ユーザにより、あるいは、後続画像形成装置16の搬送部により追い刷り検査装置18へと搬送される。
【0019】
追い刷り検査装置18は、後続画像形成装置16が実施する追い刷り処理の不良を検出する。追い刷り検査装置18の構造や、追い刷り検査装置18による不良検出処理の詳細については後述する。なお、追い刷り検査装置18は、追い刷り処理の不良を検出するに先立って、先行画像形成装置14による印刷処理の不良を検出するようにしてもよい。具体的には、追い刷り検査装置18は、先行印刷データと、追い刷り前印刷媒体20を光学的に読み取ることで(例えばスキャナによるスキャン処理やカメラによる撮影処理などで)得られた先行画像とを比較することで、先行画像形成装置14による印刷処理の不良を検出するようにしてもよい。
【0020】
図2は、印刷制御装置12の構成概略図である。印刷制御装置12は、以下に説明する機能を発揮する限りにおいてどのような装置であってもよい。例えば、印刷制御装置12は、先行画像形成装置14、後続画像形成装置16、及び追い刷り検査装置18に付帯して設けられるコンピュータであってよい。あるいは、印刷制御装置12は、例えば、先行画像形成装置14、後続画像形成装置16、追い刷り検査装置18、及びユーザが使用するユーザ端末と通信可能なサーバコンピュータであってもよい。
【0021】
通信インターフェース30は、例えばネットワークアダプタ、あるいは、印刷制御装置12と他の装置(先行画像形成装置14、後続画像形成装置16、及び追い刷り検査装置18)とを接続する専用のアダプタなどを含んで構成される。通信インターフェース30は、他の装置と通信する機能を発揮する。例えば、通信インターフェース30は、追い刷りシステム10のユーザが使用するユーザ端末から印刷ジョブを受信する。また、通信インターフェース30は、先行画像形成装置14及び後続画像形成装置16に対して印刷データを送信する。また、通信インターフェース30は、追い刷り検査装置18に対して追い刷り処理の検査に係る検査指示情報(詳細後述)を送信する。また、通信インターフェース30は、追い刷り検査装置18から追い刷り処理の検査結果を受信する。
【0022】
入力インターフェース32は、例えばボタンやタッチパネルなどを含んで構成される。入力インターフェース32は、追い刷りシステム10のユーザからの指示を印刷制御装置12に入力するために用いられる。
【0023】
ディスプレイ34は、例えば液晶ディスプレイなどを含んで構成される。ディスプレイ34には、追い刷りシステム10に関する種々の情報が表示される。例えば、ディスプレイ34には、追い刷り検査装置18による追い刷り処理の検査結果などが表示される。
【0024】
メモリ36は、例えばHHD(Hard Disk Drive)、SSD(Solid State Drive)、ROM(Read Only Memory)、あるいはRAM(Random Access Memory)などを含んで構成されている。メモリ36は、後述のプロセッサ38とは別に設けられてもよいし、少なくとも一部がプロセッサ38の内部に設けられていてもよい。メモリ36には、印刷制御装置12の各部を動作させるための印刷制御プログラムが記憶される。また、メモリ36には、ユーザから入力された印刷ジョブが一時的に保持される。
【0025】
本実施形態に係る印刷ジョブは、印刷対象の画像を示す印刷データが含まれる。上述の通り、印刷制御装置12が送信する印刷ジョブに含まれる印刷データのデータ形式は、先行画像形成装置14及び後続画像形成装置16が認識できない非ラスタ形式である。印刷データは、先行画像形成装置14又は後続画像形成装置16にてラスタ形式に変換された上で、当該印刷データに対応する画像が印刷媒体に印刷される。印刷ジョブとしては、先行画像形成装置14向けの先行印刷ジョブと、後続画像形成装置16向けの後続印刷ジョブがある。先行印刷ジョブには先行画像を示す先行印刷データが含まれ、後続印刷ジョブには後続画像を示す後続印刷データが含まれる。先行印刷データの内容の例としては、これに限られるものではないが、例えば枠線や罫線などである。後続印刷データの内容の例としては、これに限られるものではないが、例えば枠線内や罫線に沿った文字あるいは数字などである。また、先行印刷データの内容を第1の色の画像とし、後続印刷データの内容を第1の色とは異なる第2の色の画像とする、すなわち、先行画像と後続画像を異なる色で印刷する場合もある。なお、本明細書では、先行印刷データと後続印刷データを特に区別しない場合、これらを包括して「印刷データ」と呼ぶ。
【0026】
プロセッサ38は、広義的な処理装置を指し、汎用的な処理装置(例えばCPU(Central Processing Unit)など)、及び、専用の処理装置(例えばGPU(Graphics Processing Unit)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、FPGA(Field Programmable Gate Array)、あるいは、プログラマブル論理デバイスなど)の少なくとも1つを含んで構成される。プロセッサ38としては、1つの処理装置によるものではなく、物理的に離れた位置に存在する複数の処理装置の協働により構成されるものであってもよい。図2に示す通り、プロセッサ38は、メモリ36に記憶された印刷制御プログラムにより、印刷指示部40、検査指示部42、重なり判定部44、及びデータ結合部46としての機能を発揮する。
【0027】
印刷指示部40は、先行画像形成装置14及び後続画像形成装置16に対して、印刷データを含む印刷ジョブを送信する。具体的には、印刷指示部40は、先行画像形成装置14に対して先行画像を示す先行印刷データを含む先行ジョブを送信し、後続画像形成装置16に対して後続画像を示す後続印刷データを含む後続ジョブを送信する。
【0028】
図3Aは、先行印刷データの内容の例を示す図である。図3Aの例では、先行印刷ジョブが印刷媒体の6ページ分の印刷を行う指示であり、先行印刷データは、6ページ分の先行画像を表すものとなる。図3Aの例では、先行印刷データの内容は、1~6ページ目にそれぞれ印刷される「1」~「6」の文字を含むものとなっている。先行印刷データの内容としては、複数ページ分の先行画像を表すものでなくてもよく、単一ページ分の先行画像を表すものであってもよい。
【0029】
図3Bは、図3Aに示された先行印刷データを含む先行印刷ジョブに基づいて、先行画像形成装置14により先行画像が印刷された追い刷り前印刷媒体20を示す図である。本例では、先行印刷データが6ページ分の先行画像を表すものであるから、追い刷り前印刷媒体20も6ページから構成され、1~6ページ目には、それぞれ先行画像としての「1」~「6」の文字が印刷されている。もちろん、先行印刷データの内容が単一ページ分の先行画像を表すものである場合には、追い刷り前印刷媒体20も単一ページとなる。
【0030】
本例では、先行画像は黒で印刷されるものとする。具体的には、先行印刷ジョブの印刷設定において白黒印刷が指定されていてもよいし、先行印刷データが示す先行画像自体の色が黒であってもよい。
【0031】
図3A図3Bを比較して分かるように、先行印刷ジョブに基づいて先行画像形成装置14が正しく印刷処理を実行すれば、先行印刷データの内容(先行印刷データが表す画像)と、追い刷り前印刷媒体20に印刷された先行画像とが一致する。
【0032】
図4Aは、後続印刷データの内容の例を示す図である。上述の通り本例では、先行印刷ジョブが6ページ分の印刷を行う指示であることに応じて、後続印刷ジョブも6ページ分の印刷を行う指示となっている。したがって、後続印刷データは、6ページ分の後続画像を表すものとなる。先行印刷ジョブが単一ページの印刷を行う指示である場合、後続印刷ジョブも単一ページの印刷を指示するものであってよい。
【0033】
図4Aの例では、後続印刷データの内容は、1ページ目、3ページ目、及び5ページ目の右上隅に印刷される打者の画像を含むものとなっている。2ページ目、4ページ目、及び6ページ目には、画像が含まれていない。すなわち、図4Aの例では、後続印刷データは、1ページ目、3ページ目、及び5ページ目のみに打者の画像を印刷することを表すものであり、2ページ目、4ページ目、及び6ページ目には何も印刷しないことを表すものである。
【0034】
図4Bは、図4Aに示された後続印刷データを含む後続印刷ジョブに基づいて、後続画像形成装置16による追い刷り処理によって、図3Bに示された追い刷り前印刷媒体20に対して後続画像が印刷された追い刷り後印刷媒体22を示す図である。図4Bに示す通り、追い刷り後印刷媒体22においては、1ページ目、3ページ目、及び5ページ目には、追い刷り後画像として、先行画像である「1」、「3」、又は「5」の文字、並びに、後続画像である打者の画像が印刷され、2ページ目、4ページ目、及び6ページ目には、追い刷り後画像として、先行画像である「2」、「4」、又は「6」の文字のみが印刷されている。
【0035】
本実施形態では、追い刷り処理において、後続画像は、先行画像で用いられていない色(本明細書では「特定色」と呼ぶ)で印刷されるものとする。具体的には、後続印刷ジョブの印刷設定においてカラー印刷が指定されており、且つ、後続印刷データが示す後続画像自体の色が特定色となっている。本例では、上述の通り、先行画像は黒で印刷されているから、後続画像は黒以外の色で印刷される。例えば、後続画像は赤で印刷されるものとする。また、特定色は複数の色であってもよい。例えば、先行画像は黒で印刷されている場合、後続画像は黒以外の複数の特定色(例えば赤、青、黄色など)で印刷されてもよい。
【0036】
なお、先行画像が複数の色を用いて印刷されている場合、後続画像は、先行画像で用いられる複数の色以外の特定色で印刷される。例えば、先行画像が黒と赤の2色刷りである場合、後続画像は特定色としての青で印刷される。また、本例のように、追い刷り後印刷媒体22が複数のページから構成される場合、各ページの後続画像は、特定色である限りにおいて、互いに同じ色で印刷されなくてもよい。例えば、先行画像が黒で印刷されている場合、1ページ目の後続画像を赤で印刷し、3ページ目の後続画像を青で印刷し、5ページ目の後続画像を黄色で印刷するようにしてもよい。この場合も、各ページの後続画像の色は複数の特定色であってもよい。
【0037】
図4A図4Bを比較して分かるように、先行画像及び後続画像が印刷された追い刷り後印刷媒体22(図4Bにおける1ページ目、3ページ目、及び5ページ目)においては、後続印刷ジョブに基づいて後続画像形成装置16が正しく印刷処理を実行しても、後続印刷データの内容(後続印刷データが表す画像)と、追い刷り後印刷媒体22に印刷された追い刷り後画像とが一致しない。
【0038】
図2に戻り、検査指示部42は、追い刷り処理の検査に必要な情報である検査情報、及び、追い刷り処理の検査指示を追い刷り検査装置18に送信することで、追い刷り検査装置18に追い刷り処理を実行させる。
【0039】
本実施形態では、検査指示部42は、検査情報として、後続画像を印刷した特定色を示す特定色情報を追い刷り検査装置18に送信する。検査指示部42は、後続印刷データを解析することで当該特定色を特定することができる。あるいは、ユーザが入力インターフェース32から特定色を入力した場合、検査指示部42は、当該ユーザ入力に基づいて当該特定色を特定することができる。
【0040】
後続画像が複数の色で印刷されている場合、特定色情報が示す色は複数の特定色となる。また、追い刷り後印刷媒体22が複数のページから構成される場合であって、各ページの後続画像が互いに異なる特定色である場合、検査指示部42は、追い刷り後印刷媒体22のページ番号と、当該ページの後続画像の印刷に用いられた特定色とが関連付けられた情報を特定色情報として追い刷り検査装置18に送信する。
【0041】
また、検査指示部42は、検査情報として、上述の特定色情報に代えてあるいは加えて、追い刷り後印刷媒体22において後続画像が印刷される領域である特定領域を示す特定領域情報を追い刷り検査装置18に送信するようにしてもよい。検査指示部42は、後続印刷データを解析することで当該特定領域を特定することができる。
【0042】
図5は、特定領域50を示す概念図である。後続印刷データは、後続画像の形状や色のみならず、追い刷り後印刷媒体22における後続画像の印刷位置を示す情報を有している。例えば、後続印刷データが図4Aに示す内容であったとすると、上述の通り、当該後続印刷データは、追い刷り後印刷媒体22の1ページ目、3ページ目、及び5ページ目の右上隅の領域に後続画像が印刷されることを示すものとなっている。したがって、検査指示部42は、後続印刷データに基づいて、追い刷り後印刷媒体22の1ページ目、3ページ目、及び5ページ目の右上隅の領域を特定領域50として特定することができる。
【0043】
追い刷り後印刷媒体22の1ページ内において、複数の後続画像が離間して印刷される場合には、特定領域情報が示す特定領域は1ページ内の複数の領域となってもよい。また、追い刷り後印刷媒体22が複数のページから構成される場合であって、各ページの後続画像が互いに異なる領域に印刷される場合、検査指示部42は、追い刷り後印刷媒体22のページ番号と、当該ページにおいて後続画像が印刷された特定領域50とが関連付けられた情報を特定領域情報として追い刷り検査装置18に送信する。
【0044】
なお、検査指示部42が、特定色情報に代えて特定領域情報を検査情報として追い刷り検査装置18に送信する場合、後続画像は特定色で印刷されていなくてもよい。
【0045】
重なり判定部44及びデータ結合部46については後述する。
【0046】
図6は、追い刷り検査装置18の構成概略図である。本実施形態では、追い刷り検査装置18は、後続画像形成装置16に連結されて設けられているが、追い刷り検査装置18と後続画像形成装置16とは離間して設けられ互いに通信可能に接続されていてもよい。なお、追い刷り検査装置18は、以下に説明する機能を発揮する限りにおいてどのような装置であってもよい。
【0047】
通信インターフェース60は、例えばネットワークアダプタ、あるいは、追い刷り検査装置18と他の装置(特に後続画像形成装置16及び追い刷り検査装置18)とを接続する専用のアダプタなどを含んで構成される。通信インターフェース60は、他の装置と通信する機能を発揮する。例えば、通信インターフェース60は、印刷制御装置12から先行印刷データ及び後続印刷データを受信する。また、通信インターフェース60は、印刷制御装置12から上述の検査情報及び検査指示を受信する。さらに、通信インターフェース60は、印刷制御装置12に対して、追い刷り処理の検査結果を受信する。
【0048】
スキャナ62は、例えば光源及びCCDイメージセンサなどを含んで構成される。スキャナ62は、追い刷り後画像が印刷された追い刷り後印刷媒体22を光学的に読み取って、追い刷り後画像を表す読取画像データ(以下、「追い刷り後画像データ」と記載する)を取得する。なお、追い刷り後印刷媒体22から追い刷り後画像データを取得するために、スキャナ62に代えて、追い刷り後印刷媒体22を撮影するカメラが追い刷り検査装置18に設けられていてもよい。
【0049】
カラーセンサ64は、所定の色を検出可能なセンサである。カラーセンサ64としては、光電センサを用いることができる。光電センサは、検出する色を設定可能なものであってよい。あるいは、1つの色を検出可能な光電センサを複数設けた上で、設定された色を検出する光電センサのみを稼働させることで、設定された色を検出可能とするようにしてもよい。このような光電センサは、追い刷り後印刷媒体22を直接センシングすることが可能であってよい。その場合は、スキャナ62による追い刷り後画像データの取得は不要となる。また、カラーセンサ64としては、追い刷り後画像データの各画素の色を検出する色検出機能を有する色識別センサであってもよい。このような色識別センサによれば、各画素の色が識別できるので、検出対象の色を設定すれば、設定した色の画素のみを検出することが可能となる。
【0050】
メモリ66は、例えばROMあるいはRAMなどを含んで構成されている。メモリ66は、後述のプロセッサ72とは別に設けられてもよいし、少なくとも一部がプロセッサ72の内部に設けられていてもよい。メモリ66には、追い刷り検査装置18の各部を動作させるための追い刷り検査プログラムが記憶される。また、メモリ66には、スキャナ62が取得した追い刷り後画像データが一時的に保持される。
【0051】
OKトレイ68及びNGトレイ70は、後述のプロセッサ72により追い刷り処理の検査が終了した追い刷り後印刷媒体22が排出されるトレイである。追い刷り処理の検査の結果、「良」と判定された追い刷り後印刷媒体22はOKトレイ68に排出され、追い刷り処理の検査の結果、「不良」と判定された追い刷り後印刷媒体22はNGトレイ70に排出される。
【0052】
プロセッサ72は、広義的な処理装置を指し、汎用的な処理装置(例えばCPUなど)、及び、専用の処理装置(例えばGPU、ASIC、FPGA、あるいは、プログラマブル論理デバイスなど)の少なくとも1つを含んで構成される。プロセッサ72としては、1つの処理装置によるものではなく、物理的に離れた位置に存在する複数の処理装置の協働により構成されるものであってもよい。図6に示す通り、プロセッサ72は、メモリ66に記憶された追い刷り検査プログラムにより、画像検出部74及び不良検出部76としての機能を発揮する。
【0053】
画像検出部74は、印刷制御装置12から受信した検査情報に基づいて、追い刷り後印刷媒体22から後続画像を検出する処理を行う。
【0054】
まず、検査情報として上述の特定色情報を印刷制御装置12から受信した場合について説明する。上述の通り、印刷制御装置12から受信した特定色情報が示す特定色は、後続画像の色である。したがって、画像検出部74は、カラーセンサ64が検出する色を特定色情報が示す色に設定した上で、カラーセンサ64によって、スキャナ62が取得した追い刷り後画像データから、あるいは、直接追い刷り後印刷媒体22から、当該特定色を検出する。これにより、後続画像を検出することができる。例えば、追い刷り後印刷媒体22が図4Bに示すものである場合、先行画像である「1」~「6」の文字は特定色以外の色(例えば黒)で印刷されており、後続画像である打者の画像は特定色(例えば赤)で印刷されている。カラーセンサ64が検出する色を特定色に設定することで、図7に示すように、後続画像のみが検出される。
【0055】
特定色情報が複数の色を示す場合、すなわち、後続画像が複数の色で印刷されている場合、画像検出部74は、カラーセンサ64が検出する色を当該複数の色に設定することで、追い刷り後印刷媒体22から後続画像を検出することができる。また、特定色情報が、追い刷り後印刷媒体22のページ番号と、特定色とが関連付けられた情報である場合、すなわち、追い刷り後印刷媒体22が複数のページから構成される場合であって、各ページの後続画像が互いに異なる特定色である場合、画像検出部74は、当該特定色情報に基づいて、追い刷り後印刷媒体22(又は追い刷り後画像データ)のページ毎に、カラーセンサ64が検出する特定色を変更することで、追い刷り後印刷媒体22の各ページから後続画像を検出することができる。
【0056】
検査情報として上述の特定領域情報を印刷制御装置12から受信した場合、画像検出部74は、スキャナ62が取得した追い刷り後画像データから、当該特定領域情報が示す特定領域50(図5参照)を切り出して抽出する。これより、後続画像を検出することができる。また、特定領域情報が、追い刷り後印刷媒体22のページ番号と、特定領域50とが関連付けられた情報である場合、すなわち、追い刷り後印刷媒体22が複数のページから構成される場合であって、各ページの後続画像が互いに異なる領域に印刷される場合、画像検出部74は、当該特定領域情報に基づいて、追い刷り後画像データのページ毎に、それぞれ異なる特定領域50を切り出すことで、追い刷り後印刷媒体22の各ページから後続画像を検出することができる。
【0057】
また、検査情報として、特定色情報及び特定領域情報を印刷制御装置12から受信した場合、画像検出部74は、追い刷り後印刷媒体22又は追い刷り後画像データのうちの特定領域50から、カラーセンサ64に特定色を検出させることで後続画像を検出する。これにより、追い刷り後印刷媒体22又は追い刷り後画像データの全体をカラーセンサ64でセンシングする場合に比して、後続画像の検出処理の処理量を低減することができる。また、特定領域50に後続画像以外の画像(すなわち先行画像)の少なくとも一部分が含まれている場合が考えられるところ、特定領域50からカラーセンサ64によって特定色を検出することで、当該先行画像の少なくとも一部分を除外することができるから、追い刷り後画像データの特定領域50を単に切り出して後続画像として検出する場合に比して、高精度に後続画像を検出することができる。
【0058】
画像検出部74による上述の処理により、追い刷り後印刷媒体22から図7に示すような後続画像が検出される。図4A図7を比較して分かる通り、後続画像形成装置16において追い刷り処理が適切に行われている限りにおいて、後続印刷データと、追い刷り後印刷媒体22から検出された後続画像とが一致する。
【0059】
不良検出部76は、画像検出部74が検出した後続画像と、後続印刷データとを比較することで、後続画像形成装置16における追い刷り処理の不良を検出する。後続印刷データは、印刷制御装置12又は後続画像形成装置16から取得することができる。不良検出部76は、印刷制御装置12又は後続画像形成装置16から取得した後続印刷データをラスタ形式に変換して、ラスタ形式の後続印刷データと、画像検出部74が検出した後続画像とを比較する。あるいは、不良検出部76は、ラスタ形式に変換済みの後続印刷データを後続画像形成装置16から取得するようにしてもよい。
【0060】
後続画像と後続印刷データとの比較の具体的な方法としては、既知の方法を採用することができる。例えば、後続画像と後続印刷データとの間でパターンマッチングを行い、その差異を検出するようにしてもよい。あるいは、後続画像と後続印刷データのそれぞれから特徴(例えばエッジなど)を検出し、検出された特徴同士を比較するようにしてもよい。あるいは、後続画像の画素の画素値(輝度値、色値など)と、後続印刷データの対応する画素の画素値との比較するようにしてもよい。
【0061】
上述の通り、後続画像形成装置16において追い刷り処理が適切に行われているならば、後続印刷データと、追い刷り後印刷媒体22から検出された後続画像とが一致するはずである。したがって、不良検出部76は、検出された後続画像と後続印刷データとの間の類似度が所定の閾値以上である場合には、当該追い刷り後印刷媒体22に係る追い刷り処理が「良」であると判定することができる。一方、不良検出部76は、検出された後続画像と後続印刷データとの間の類似度が所定の閾値未満である場合には、当該追い刷り後印刷媒体22に係る追い刷り処理が「不良」であると判定することができる。
【0062】
追い刷り後印刷媒体22が複数のページから構成される場合には、不良検出部76は、画像検出部74が検出した後続画像と、後続印刷データとをページ毎に比較する。具体的には、当該追い刷り後印刷媒体22のあるページから検出された後続画像と、当該ページに対応する後続印刷データとを比較する。これにより、不良検出部76は、ページ毎に追い刷り処理の不良を検出することができる。
【0063】
不良検出部76によって「良」であると判定された追い刷り後印刷媒体22(あるいは追い刷り後印刷媒体22のページ)は、OKトレイ68に排出される。不良検出部76によって「不良」であると判定された追い刷り後印刷媒体22(あるいは追い刷り後印刷媒体22のページ)は、NGトレイ70に排出される。
【0064】
また、不良検出部76は、追い刷り処理の検査結果を示す情報を印刷制御装置12に送信する。印刷制御装置12のプロセッサ38は、当該検査結果をディスプレイ34に表示させるなどしてユーザに通知する。
【0065】
上述した本実施形態によれば、追い刷り処理の不良を検出するための比較処理の対象となるデータは、追い刷り後印刷媒体22から検出された後続画像及び後続印刷データのみで足りる。したがって、従来のように、先行印刷データ、後続印刷データ、及び追い刷り後画像の3つのデータを比較する場合に比して、比較処理の対象のデータ量を低減することができる。比較処理の対象データが低減されることで、比較処理の処理量及び処理時間が低減され、すなわち、追い刷り処理の処理量及び処理時間が低減される。
【0066】
以下、印刷制御装置12の重なり判定部44及びデータ結合部46(図2参照)について説明する。
【0067】
重なり判定部44は、先行印刷データ及び後続印刷データに基づいて、当該先行印刷データ及び当該後続印刷データを用いて追い刷り処理が行われた場合、追い刷り後印刷媒体22において先行画像と後続画像が重なるか否かを判定する。換言すれば、重なり判定部44は、追い刷り処理において、先行画像の上に重畳して後続画像が印刷されるか否かを判定する。先行印刷データは追い刷り前印刷媒体20における先行画像の形状や印刷位置を示す情報を有しており、後続印刷データは追い刷り後印刷媒体22における後続画像の形状や印刷位置を示す情報を有している。したがって、重なり判定部44は、先行印刷データ及び後続印刷データに基づいて、追い刷り後印刷媒体22において先行画像と後続画像が重なるか否かを判定することができる。
【0068】
追い刷り後印刷媒体22が複数のページから構成される場合には、重なり判定部44は、ページ毎に先行画像と後続画像が重なるか否かを判定する。例えば、先行印刷データ、追い刷り前印刷媒体20が、それぞれ図3A図3Bに示すものであり、後続印刷データが図8に示すものである場合、追い刷り後印刷媒体22は図9に示すものとなる。この場合、重なり判定部44は、当該追い刷り後印刷媒体22の1、2、5、6ページにおいては、先行画像と後続画像が重ならないが、当該追い刷り後印刷媒体22の3、6ページにおいては、先行画像と後続画像が重なると判定する。
【0069】
データ結合部46は、追い刷り後印刷媒体22において先行画像と後続画像が重なると重なり判定部44が判定した場合、先行印刷データと後続印刷データとを結合して結合データを生成する。先行印刷データと後続印刷データとを結合するとは、結合データが、当該先行印刷データが示す先行画像と、当該後続印刷データが示す後続画像とを位置を合わせて重ねられた追い刷り後画像を示すものとなるようにすることを意味する。追い刷り後印刷媒体22が複数のページから構成される場合には、データ結合部46は、先行画像と後続画像が重なるページのみ結合データを生成し、先行画像と後続画像が重ならないページについては、結合データを生成しなくてもよい。例えば、追い刷り後印刷媒体22が図9に示すものである場合、データ結合部46は、追い刷り後印刷媒体22の1、2、5、6ページについては結合データを生成せず、先行印刷データの3ページ目と後続印刷データの3ページ目を結合して3ページ目の結合データを生成し、先行印刷データの4ページ目と後続印刷データの4ページ目を結合して4ページ目の結合データを生成する。
【0070】
データ結合部46は、生成した結合データを検査情報として追い刷り検査装置18に送信する。また、追い刷り後印刷媒体22が複数のページから構成される場合には、データ結合部46は、追い刷り後印刷媒体22のページ番号と、当該ページの結合データとを関連付けて追い刷り検査装置18に送信する。この場合、先行画像と後続画像が重ならないページ(図9の1、2、5、6ページ)についての検査情報は上述の特定色情報及び特定領域情報の少なくとも一方となり、先行画像と後続画像が重なるページ(図9の3、4ページ)についての検査情報は結合データとなる。
【0071】
追い刷り検査装置18の不良検出部76は、追い刷り後印刷媒体22において先行画像と後続画像が重ならない場合には、上述のように、画像検出部74が検出した後続画像と後続印刷データとを比較することで追い刷り処理の不良を検出するが、追い刷り後印刷媒体22において先行画像と後続画像が重なる場合には、先行印刷データ、後続印刷データ、及び追い刷り後画像の比較により、追い刷り処理の不良を検出する。本実施形態では、不良検出部76は、印刷制御装置12から受信した結合データと、スキャナ62が追い刷り後印刷媒体22を光学的に読み取って取得した追い刷り後画像データとを比較することで、追い刷り処理の不良を検出する。
【0072】
結合データと追い刷り後画像データとの比較も、後続画像と後続印刷データとの比較の方法と同様の方法を採用することができる。
【0073】
不良検出部76は、結合データと追い刷り後画像データとの間の類似度が所定の閾値以上である場合には、当該追い刷り後印刷媒体22に係る追い刷り処理が「良」であると判定することができる。一方、不良検出部76は、結合データと追い刷り後画像データとの間の類似度が所定の閾値未満である場合には、当該追い刷り後印刷媒体22に係る追い刷り処理が「不良」であると判定することができる。
【0074】
また、印刷制御装置12から受信した検査情報に関して、追い刷り後印刷媒体22の複数のページの一部の検査情報が特定色情報又は特定領域情報であって、他のページの検査情報が結合データである場合、すなわち、追い刷り後印刷媒体22が複数のページから構成される場合であって、複数のページの一部のページのみ先行画像と後続画像が重なる場合を考える。この場合、不良検出部76は、先行画像と後続画像が重ならないページにおいては、検査情報としての特定色情報又は特定領域情報に基づいて画像検出部74が検出した後続画像と後続印刷データとを比較により追い刷り処理の不良を検出する。一方、不良検出部76は、先行画像と後続画像が重なるページにおいては、検査情報としての結合データと、スキャナ62によって取得された追い刷り後画像データとの比較により、追い刷り処理の不良を検出する。
【0075】
例えば、追い刷り後印刷媒体22が図9に示されたものである場合、不良検出部76は、1、2、5、6ページ目においては、先行画像と後続画像が重ならないため、画像検出部74が検出した後続画像と後続印刷データとの比較を行い、3、4ページ目においては、先行画像と後続画像が重なるため、結合データと追い刷り後画像データとの比較を行うことで、追い刷り処理の不良を検出する。
【0076】
なお、本実施形態においては、先行印刷データ、後続印刷データ、及び追い刷り後画像の比較の方法として、印刷制御装置12のデータ結合部46によって生成された先行印刷データと後続印刷データとの結合データと、追い刷り後画像データとを比較していたが、この方法に限られるものではない。例えば、不良検出部76は、印刷制御装置12から先行印刷データ及び後続印刷データを取得し、追い刷り後画像データから先行印刷データを差し引いて得られる差分画像データと、後続印刷データとを比較する、あるいは、追い刷り後画像データから後続印刷データを差し引いて得られる差分画像データと、先行印刷データとを比較するようにしてもよい。
【0077】
上述の通り、追い刷り検査装置18の画像検出部74は、追い刷り後画像データ又は追い刷り後印刷媒体22から特定色を検出することで後続画像を検出する。しかしながら、追い刷り後印刷媒体22において先行画像と後続画像が重なっている場合、重なった部分の色は、必ずしも、追い刷り処理で後続画像を印刷する色として指定された特定色となるとは限らない。したがって、追い刷り後印刷媒体22において先行画像と後続画像が重なっている場合、画像検出部74は、追い刷り後印刷媒体22から特定色を検出することでは好適に後続画像を検出できない場合がある。
【0078】
また、画像検出部74が、追い刷り後画像データから特定領域50(図5参照)を切り出すことで後続画像を検出する場合においても、追い刷り後印刷媒体22において先行画像と後続画像が重なっている場合、特定領域50には、後続画像のみならず先行画像の少なくとも一部が含まれてしまうことになる。したがって、追い刷り後印刷媒体22において先行画像と後続画像が重なっている場合、画像検出部74は、追い刷り後画像データから特定領域50を切り出すことでも好適に後続画像を検出できない場合がある。
【0079】
したがって、本実施形態では、追い刷り後印刷媒体22において先行画像と後続画像が重なっている場合には、先行印刷データ、後続印刷データ、及び追い刷り後画像の比較により、追い刷り処理の不良を検出することとしている。
【0080】
以下、図10に示すフローチャートに従って、本実施形態に係る印刷制御装置12の処理の流れについて説明する。なお、当該フローチャートに係る先行印刷データ及び後続印刷データは、複数ページ分の先行画像及び後続画像を示すものであるとする。
【0081】
ステップS10において、印刷制御装置12にプロセッサ38は、先行印刷データ及び後続印刷データが示す複数のページの最初のページを選択する。
【0082】
ステップS12において、重なり判定部44は、先行印刷データ及び後続印刷データに基づいて、選択したページにおいて先行画像と後続画像が重なるか否かを判定する。
【0083】
先行画像と後続画像が重ならない場合はステップS14に進み、ステップS14において、検査指示部42は、後続印刷データに基づいて、後続画像が印刷される色である特定色を示す特定色情報を検査情報として取得する。これに代えてあるいは加えて、検査指示部42は、後続印刷データに基づいて、後続画像が印刷される領域である特定領域を示す特定領域情報を検査情報として取得してもよい。検査指示部42は、取得した検査情報(特定色情報及び特定領域情報の少なくとも一方)と当該ページ番号とを関連付けて保持しておく。
【0084】
先行画像と後続画像が重なる場合はステップS16に進み、ステップS16において、データ結合部46は、当該ページの先行印刷データと、当該ページの後続印刷データとを結合して、当該ページの結合データを検査情報として取得する。検査指示部42は、取得した検査情報(結合データ)と当該ページ番号とを関連付けて保持しておく。
【0085】
ステップS18において、プロセッサ38は、全てのページについての検査情報の取得処理が終了したか否かを判定する。
【0086】
全てのページについての処理が終わっていない場合、ステップS20に進み、ステップS20において、プロセッサ38は次のページを選択する。そして、次のページについて、ステップS12~S16の処理を実行する。
【0087】
全てのページについての処理が終わっている場合、ステップS22に進み、ステップS22において、検査指示部42は、各ページに関連付けられた検査情報及び追い刷り処理の検査指示を追い刷り検査装置18に送信する。
【0088】
以下、図11に示すフローチャートに従って、本実施形態に係る追い刷り検査装置18の処理の流れについて説明する。
【0089】
ステップS30において、追い刷り検査装置18のプロセッサ72は、検査の対象となる追い刷り後印刷媒体22の最初のページを選択する。
【0090】
ステップS32において、不良検出部76は、印刷制御装置12から受信した当該ページの検査情報の種類を判定する。
【0091】
当該ページの検査情報が特定色情報又は特定領域情報である場合、ステップS34に進み、ステップS34において、画像検出部74は、当該検査情報に基づいて、スキャナ62が取得した追い刷り後画像データから、あるいは、直接追い刷り後印刷媒体22から、後続画像を検出する。
【0092】
次いで、ステップS36において、不良検出部76は、ステップS34で検出した後続画像と、印刷制御装置12から受信した後続印刷データとを比較する。
【0093】
当該ページの検査情報が結合データである場合、ステップS38に進み、ステップS38において、画像検出部74は、当該結合データと、スキャナ62が取得した追い刷り後画像データとを比較する。
【0094】
ステップS40において、不良検出部76は、当該ページについての追い刷り処理の検査結果を判定する。具体的には、後続画像と後続印刷データとの間の類似度、又は、結合データと追い刷り後画像データとの間の類似度が所定の閾値以上である場合には不良検出部76は追い刷り処理の検査結果を「良」する。一方、後続画像と後続印刷データとの間の類似度、又は、結合データと追い刷り後画像データとの間の類似度が所定の閾値未満である場合には不良検出部76は追い刷り処理の検査結果を「不良」する。
【0095】
検査結果が「良」である場合、ステップS42に進み、ステップS42において、プロセッサ72は、追い刷り後印刷媒体22の当該ページをOKトレイ68に排出する。
【0096】
検査結果が「不良」である場合、ステップS44に進み、ステップS44において、プロセッサ72は、追い刷り後印刷媒体22の当該ページをNGトレイ70に排出する。
【0097】
ステップS46において、プロセッサ72は、全てのページについての追い刷り処理の検査処理が終了したか否かを判定する。
【0098】
全てのページについての検査処理が終わっていない場合、ステップS48に進み、ステップS48において、プロセッサ72は次のページを選択する。そして、次のページについて、ステップS32~S44の処理を実行する。
【0099】
全てのページについての検査処理が終わっている場合、ステップS50に進み、ステップS50において、不良検出部76は、各ページについての追い刷り処理の結果を印刷制御装置12に送信する。
【0100】
以上、本発明に係る実施形態を説明したが、本発明は上記実施形態に限られるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない限りにおいて種々の変更が可能である。
【0101】
例えば、本実施形態では、印刷制御装置12が追い刷り処理の検査の制御を行っていたが、追い刷り処理の検査に係る処理は追い刷り検査装置18内で行うようにしてもよい。すなわち、印刷制御装置12が有していた、検査指示部42、重なり判定部44、データ結合部46の機能が追い刷り検査装置18が有していてもよい。その場合、追い刷り検査装置18は、適宜、印刷制御装置12又は先行画像形成装置14から先行印刷データを受信し、印刷制御装置12又は後続画像形成装置16から後続印刷データを受信した上で処理を実行する。
【0102】
上記各機能を追い刷り検査装置18が有することとした場合、追い刷り検査装置18は、印刷制御装置12及び先行画像形成装置14から先行印刷データを取得できない場合が考えられる。その場合、追い刷り検査装置18のプロセッサ72は、追い刷り前印刷媒体20を光学的に読み取って得られた画像データを先行印刷データとして用いるようにしてもよい。追い刷り前印刷媒体20は、追い刷り検査装置18のスキャナ62によって読み取ってもよいし、先行画像形成装置14と後続画像形成装置16との間に設けられた別の光学読取装置によって読み取られ、追い刷り検査装置18は、当該光学読取装置から当該画像データを取得するようにしてもよい。
【0103】
また、本実施形態では、スキャナ62、カラーセンサ64、及び画像検出部74が追い刷り検査装置18に設けられていたが、これらは他の装置に設けられていてもよい。例えば、これれは後続画像形成装置16に設けられていてもよい。
【符号の説明】
【0104】
10 追い刷りシステム、12 印刷制御装置、14 先行画像形成装置、16 後続画像形成装置、18 追い刷り検査装置、20 追い刷り前印刷媒体、22 追い刷り後印刷媒体、30,60 通信インターフェース、32 入力インターフェース、34 ディスプレイ、36,66 メモリ、38,72 プロセッサ、40 印刷指示部、42 検査指示部、44 重なり判定部、46 データ結合部、50 特定領域、62 スキャナ、64 カラーセンサ、68 OKトレイ、70 NGトレイ、74 画像検出部、76 不良検出部。
図1
図2
図3A
図3B
図4A
図4B
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12