(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-23
(45)【発行日】2025-01-07
(54)【発明の名称】回転装置及び画像形成装置
(51)【国際特許分類】
B65H 5/00 20060101AFI20241224BHJP
G03G 21/00 20060101ALI20241224BHJP
G03G 15/16 20060101ALI20241224BHJP
B41J 29/17 20060101ALI20241224BHJP
【FI】
B65H5/00 B
G03G21/00 310
G03G15/16
B41J29/17
(21)【出願番号】P 2020167886
(22)【出願日】2020-10-02
【審査請求日】2023-09-19
(73)【特許権者】
【識別番号】000005496
【氏名又は名称】富士フイルムビジネスイノベーション株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】馬場 俊彰
(72)【発明者】
【氏名】宮本 陽子
(72)【発明者】
【氏名】湯浅 宏一郎
(72)【発明者】
【氏名】吉岡 智章
【審査官】大山 広人
(56)【参考文献】
【文献】特開2004-317980(JP,A)
【文献】特開平4-296892(JP,A)
【文献】実開昭63-39268(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65H 5/00
G03G 21/00
G03G 15/16
B41J 29/17
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
外周面に凹部が形成された回転体と、
前記回転体の外周面に接触し
て回転し、該外周面に付着した異物を除去するブラシと、
前記回転体が停止した状態において、前記ブラシを前記回転体の径方向外側へ移動させることで、前記ブラシを前記回転体の外周面から離間させる離間機構と、
回転している該ブラシに接触することで、前記ブラシに付着した異物を落下させる接触部材と、
を備え、
前記離間機構は、前記ブラシと前記接触部材との位置関係を変えずに、前記ブラシを前記回転体の外周面から離間させる
回転装置。
【請求項2】
前記凹部が前記ブラシに対向する位置で前記回転体の回転を停止させることで、前記回転体の回転が停止した状態において、前記ブラシを前記回転体の外周面から離間させる
請求項1に記載の回転装置。
【請求項3】
前記ブラシの前記接触部材に対する接触幅をSAとし、前記ブラシの前記回転体に対する接触幅SLとした場合において、SL>SAの関係を有する
請求項1又は2に記載の回転装置。
【請求項4】
前記回転体の外周面に接触し、前記回転体との間を通過する記録媒体にトナーを転写する転写部と、
前記ブラシが、前記異物としてのトナーを除去する請求項1~3のいずれか1項に記載の回転装置と、
を備える画像形成装置。
【請求項5】
回転体の外周面に接触し、前記回転体との間を通過する記録媒体にトナーを転写する転写部と、
回転装置と、
を備え、
前記回転装置は、
外周面に凹部が形成された前記回転体と、
前記回転体の外周面に接触し、該外周面に付着したトナーを除去するブラシと、
を備え、
前記回転体の回転が停止した状態において、前記ブラシを前記回転体の外周面から離間させ、且つ、前記記録媒体の大きさが予め定められた大きさ以上である場合に、前記回転体の回転状態において、前記ブラシを前記回転体の外周面から離間させる
画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、回転装置及び画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、像担持体上の像を転写する転写装置において、循環移動路に沿って転写材を無端移動する転写材搬送手段と、この搬送手段に取付けられており、回転軸に軸支されて台部材に対して回転動作し、上記転写材の先端辺を把持するグリッパ片と、上記台部材側に取付けたスイッチ部材とを有し、上記グリッパ片のスイッチ部材位置を一部切欠くことによりグリッパ内の転写材の存在を検知することを特徴とする転写装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
回転装置としては、外周面に凹部が形成された回転体と、回転体の外周面に接触し、該外周面に付着した異物を除去するブラシと、を備える装置が考えられる。該装置において、回転体の回転が停止した状態で、ブラシが回転体の外周面に接触している構成では、ブラシのへたりが発生する場合がある。
【0005】
本発明は、回転体の回転が停止した状態において、ブラシが回転体の外周面に接触している構成に比べ、ブラシのへたりを抑制することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
第1態様は、外周面に凹部が形成された回転体と、前記回転体の外周面に接触し、該外周面に付着した異物を除去するブラシと、を備え、前記回転体の回転が停止した状態において、前記ブラシを前記回転体の外周面から離間させる。
【0007】
第2態様では、前記凹部が前記ブラシに対向する位置で前記回転体の回転を停止させることで、前記回転体の回転が停止した状態において、前記ブラシを前記回転体の外周面から離間させる。
【0008】
第3態様は、前記回転体が停止した状態において、前記ブラシを前記回転体の径方向外側へ移動させることで、前記ブラシを前記回転体の外周面から離間させる離間機構を備える。
【0009】
第4態様は、前記ブラシは回転し、回転している該ブラシに接触することで、前記ブラシに付着した異物を落下させる接触部材を備える。
【0010】
第5態様では、前記離間機構は、前記ブラシと前記接触部材との位置関係を変えずに、前記ブラシを前記回転体の外周面から離間させる。
【0011】
第6態様では、前記ブラシの前記接触部材に対する接触幅をSAとし、前記ブラシの前記回転体に対する接触幅SLとした場合において、SL>SAの関係を有する。
【0012】
第7態様は、前記回転体の外周面に接触し、前記回転体との間を通過する記録媒体にトナーを転写する転写部と、前記ブラシが、前記異物としてのトナーを除去する第1~第6態様のいずれか1つに記載の回転装置と、を備える。
【0013】
第8態様では、前記回転装置は、前記記録媒体の大きさが予め定められた大きさ以上である場合に、前記回転体の回転状態において、前記ブラシを前記回転体の外周面から離間させる。
【発明の効果】
【0014】
第1態様の構成によれば、回転体の回転が停止した状態において、ブラシが回転体の外周面に接触している構成に比べ、ブラシのへたりが抑制される。
【0015】
第2態様の構成によれば、ブラシを回転体の径方向外側へ移動させることでブラシを回転体の外周面から離間させる構成に比べ、省スペース化が図れる。
【0016】
第3態様の構成によれば、ブラシを回転体の外周面から離間させる際に、回転体の回転位置の制御が不要となる。
【0017】
第4態様の構成によれば、ブラシが回転体のみに接触する構成に比べ、ブラシから回転体への異物の再付着が抑制される。
【0018】
第5態様の構成によれば、ブラシを回転体の外周面から離間させる際に、ブラシと接触部材との位置関係が変わる構成に比べ、接触部材がブラシに付着した異物を落下させる性能が変動しにくい。
【0019】
第6態様の構成によれば、SL≦SAの関係を有する構成に比べ、ブラシにおける接触部材との接触によるへたりの影響を小さくできる。
【0020】
第7態様の構成によれば、回転体の回転が停止した状態において、ブラシが回転体の外周面に接触している構成に比べ、ブラシのへたりが抑制される。
【0021】
第8態様の構成によれば、記録媒体の大きさに関わらず、回転体の回転状態においてブラシが回転体の外周面に常に接触している構成に比べ、ブラシのへたりが抑制される。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】第1実施形態に係る画像形成装置の構成を示す概略図である。
【
図2】第1実施形態に係る転写胴周辺の構成を示す斜視図である。
【
図3】第1実施形態に係るグリッパを示す斜視図である。
【
図4】第1実施形態に係る清掃装置及び転写胴の構成を示す概略図である。
【
図5】第1実施形態に係るブラシ及びフリッカを示す概略図である。
【
図6】第1実施形態に係る清掃装置において、転写胴の凹部がブラシに対向する状態を示す概略図である。
【
図7】第2実施形態に係る画像形成装置の構成を示す概略図である。
【
図8】変形例に係る清掃装置の構成を示す概略図である。
【
図9】変形例に係る清掃装置において、清掃装置本体が離間位置に位置する状態を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下に、本発明に係る実施形態の一例を図面に基づき説明する。
【0024】
<第1実施形態>
(画像形成装置10)
第1実施形態に係る画像形成装置10の構成を説明する。
図1は、本実施形態に係る画像形成装置10の構成を示す概略図である。なお、各図に示す矢印Hは鉛直方向であって装置上下方向を示し、矢印Wは、水平方向であって装置幅方向を示し、矢印Dは、水平方向であって装置奥行方向(装置前後方向)を示す。各図に示す各部分同士のH方向、W方向、及びD方向の寸法比は、実際の寸法比と異なる場合がある。
【0025】
図1に示される画像形成装置10は、記録媒体Pにインク画像(画像の一例)を形成するインクジェット方式の画像形成装置である。具体的には、画像形成装置10は、画像形成部14と、搬送機構12と、対向胴250と、を備えている。以下、画像形成装置10の各部(画像形成部14、搬送機構12及び対向胴250)について説明する。
【0026】
(画像形成部14)
画像形成部14は、搬送される記録媒体Pにインク画像を形成する機能を有している。具体的には、画像形成部14は、
図1に示されるように、予め定められた吐出位置へインクを吐出する吐出部14Y、14M、14C、14K(以下、14Y~14Kという)を有している。
【0027】
吐出部14Y~14Kは、この順で、記録媒体Pの搬送方向の下流側へ向かって配置されている。また、吐出部14Y~14Kは、記録媒体Pの幅方向に沿って長くされている。なお、記録媒体Pの幅方向とは、搬送方向に対して交差する方向(具体的には、直交する方向)であって、装置前後方向に沿った方向である。
【0028】
そして、画像形成部14では、吐出部14Y~14Kが、サーマル方式、圧電方式等の公知の方式にて、搬送機構12で搬送される記録媒体Pにインク滴を吐出して、記録媒体Pにインク画像を形成する。
【0029】
(搬送機構12)
図1に示される搬送機構12は、記録媒体Pを搬送する機構である。搬送機構12は、
図1及び
図2に示されるように、一対のチェーン22と、グリッパ24と、を有している。なお、
図1では、一対のチェーン22のうちの一方を示し、且つ、チェーン22及びグリッパ24を簡略化して示している。
【0030】
一対のチェーン22は、
図1に示されるように、環状に形成されている。この一対のチェーン22は、
図2に示されるように、装置奥行方向(図中のD方向)に間隔をおいて配置されている。この一対のチェーン22の各々は、対向胴250の軸方向両端側に設けられた一対のスプロケット25の各々と、一対のスプロケット37(
図1参照)の各々と、に巻き掛けられている。そして、対向胴250と一対のスプロケット25とが一体に回転方向B(矢印B方向)へ回転駆動されることで、チェーン22が周回方向C(矢印C方向)へ周回する。
【0031】
一対のチェーン22には、
図2に示されるように、グリッパ24が取り付けられた取付部材23が装置奥行方向に沿って掛け渡されている。取付部材23はチェーン22の周回方向Cに沿って予め定められた間隔で複数が一対のチェーン22に固定されている。
【0032】
グリッパ24は、
図2に示されるように、装置奥行方向に沿って予め定められた間隔で複数が取付部材23に取り付けられている。このグリッパ24は、記録媒体Pの先端部を保持する保持部として機能する。具体的には、グリッパ24は、
図3に示されるように、爪24Aと爪台24Bとを有している。グリッパ24では、爪24Aと爪台24Bとの間に記録媒体Pの先端部を挟むことで記録媒体Pを保持する構成とされている。なお、グリッパ24は、例えば、爪24Aが爪台24Bに対してバネ等により押し付けられる共に、カム等の作用により爪24Aが爪台24Bに対して開閉される。
【0033】
搬送機構12では、記録媒体Pが収容された収容部(図示省略)から送られた記録媒体Pの先端部を、
図3に示されるように、グリッパ24で保持する。記録媒体Pの先端部を保持したグリッパ24は、チェーン22が周回方向Cへ周回することで、記録媒体Pを搬送し、吐出部14Y~14Kの吐出位置を通過させる。そして、吐出部14Y~14Kが、吐出位置を通過する記録媒体Pに対して吐出位置でインク滴を吐出して、インク画像を形成する。
【0034】
(回転装置16)
回転装置16は、対向胴250と、駆動部17と、ブレーキ18と、清掃装置15と、を備えている。対向胴250は、回転体の一例である。ブレーキ18は、離間機構の一例であり、停止部の一例でもある。なお、ブレーキ18の構成については、後述する
【0035】
対向胴250は、
図1に示されるように、吐出部14Y~14Kに対向する胴部材である。この対向胴250は、側面視にて円形状に形成されると共に、外周面に凹部254を有している。この凹部254には、グリッパ24及び取付部材23が収容される。これにより、該グリッパ24及び取付部材23が吐出部14Y~14Kの吐出位置を通過する際に、吐出部14Y~14Kとの接触が回避される。なお、凹部254の具体的な構成は、後述する。
【0036】
対向胴250の軸方向両端側には、
図2に示されるように、一対のスプロケット25が設けられている。この一対のスプロケット25は、対向胴250の同軸上に配置されており、対向胴250と一体に回転する構成とされている。対向胴250及び一対のスプロケット25は、駆動部17(例えばモータ、
図1参照)によって回転駆動される。なお、以下では、対向胴250の軸方向を、単に「軸方向」と表現する場合がある。
【0037】
さらに具体的には、対向胴250は、
図4に示されるように、ステンレス、アルミニウムなどの金属材料で形成された胴本体252と、胴本体252の外周に巻き付けられた弾性層256と、を有している。弾性層256としては、例えば、発泡ゴムからなるゴム層が用いられる。
【0038】
(清掃装置15)
図4に示される清掃装置15は、対向胴250の外周面を清掃する装置である。具体的には、清掃装置15は、対向胴250の外周面に付着した異物を除去する装置である。この清掃装置15は、
図4に示されるように、清掃装置本体40と、ダクトフレーム60と、清掃ユニット70と、を備えている。なお、異物とは、例えば、インク滴や、記録媒体Pが用紙である場合の紙粉が該当する。また、対向胴250の外周面とは、本実施形態では、弾性層256の表面である。
【0039】
(清掃装置本体40)
清掃装置本体40は、
図4に示されるように、箱状に形成された筐体42を有している。筐体42は、軸方向に沿って長くされた略直方体形状に形成されている。この筐体42は、対向胴250側(
図4における右側)に開口する開口部42Aを有している。
【0040】
(ダクトフレーム60及び清掃ユニット70)
ダクトフレーム60及び清掃ユニット70は、
図4に示されるように、清掃装置本体40の筐体42の内部に配置されている。
【0041】
清掃ユニット70は、箱状に形成された筐体80と、ブラシ72と、フリッカ74と、搬送オーガ76と、封止材78、79と、を有している。フリッカ74は、接触部材の一例である。
【0042】
筐体80は、軸方向に沿って長くされた略直方体形状に形成されている。この筐体80は、対向胴250側(
図4における右側)に開口する開口部82を有している。
【0043】
ブラシ72は、軸部72Aと、軸部72Aの外周に設けられたブラシ部72Bと、を有している。ブラシ部72Bは、軸部72Aの全周にわたって配置されており、軸部72Aから径方向外側へ放射状に延びる繊維により構成されている。該繊維としては、例えば、ポリエチレンテレフタラート(PET)等の樹脂繊維が用いられる。また、該繊維の繊維径は、例えば、2d(デニール)以上15d(デニール)以下とされ、繊維密度は、例えば、10000本/inch2以上120000本/inch2以下とされる。ブラシ部72Bの周方向の一部が対向胴250の外周面に接触する接触部分とされている。
【0044】
具体的には、ブラシ72は、筐体80の内部に収容されており、対向胴250に対するブラシ部72Bの接触部分が開口部82を通じて露出している。そして、ブラシ部72Bの接触部分が、対向胴250の外周面に接触する。
【0045】
ブラシ72の軸部72Aは、装置前後方向に延びており、軸方向の両端部が清掃装置本体40に回転可能に支持されている。ブラシ72は、軸部72Aが駆動部(図示省略)により駆動されて、対向胴250の回転方向に対する順方向へ回転する。すなわち、対向胴250が
図4における反時計回り方向へ回転するのに対して、ブラシ72は、
図4における時計回り方向へ回転する。対向胴250に対するブラシ72の周速比は、1を超える。すなわち、ブラシ72の周速は、対向胴250の周速よりも速くされている。本実施形態では、対向胴250に対するブラシ72の周速比は、例えば、1を超え2.5以下の範囲で設定されている。なお、ブラシ72の周速は、対向胴250に対して食い込んでいない部分での先端での周速である。
【0046】
ブラシ72では、回転により、ブラシ部72Bの周方向の各部が対向胴250の外周面に対して、接触及び離間を繰り返す。そして、対向胴250の外周面に接触することで弾性変形したブラシ部72Bが、弾性復帰することにより、対向胴250の外周面に付着した異物を弾くことで、該異物を該外周面から物理的に除去する。
【0047】
なお、ブラシ72は、上記の物理的な除去に加えて又は替えて、静電力により異物を、対向胴250の外周面から除去する構成であってもよい。
【0048】
フリッカ74は、ブラシ72の下方側に配置されており、ブラシ部72Bに接触している。フリッカ74は、断面円形の棒状に形成されている。フリッカ74は、回転しているブラシ72に接触することで、ブラシ72に付着した異物を落下させる。落下した異物は、筐体80の内部に収容され、筐体80の内部の底面上に堆積していく。
【0049】
本実施形態では、
図5に示されるように、ブラシ72のフリッカ74に対する食い込み量をKAとし、ブラシ72の対向胴250に対する食い込み量をKBとした場合において、KA>KBの関係を有している。食い込み量KAは、ブラシ72の径方向において、ブラシ72とフリッカ74とが重なる長さである。食い込み量KBは、ブラシ72の径方向において、ブラシ72と対向胴250とが重なる長さである。本実施形態では、食い込み量KAは、例えば、0.5mm以上3.0mm以下とされ、食い込み量KBは、例えば、0.3mm以上2.8mm以下とされている。
【0050】
また、ブラシ72のフリッカ74に対する軸方向視における接触幅をSAとし、ブラシ72の対向胴250の外周面に対する軸方向視における接触幅をSLとした場合において、SL>SAの関係を有する。したがって、対向胴250の外周面に接触するブラシ72の接触本数が、フリッカ74に接触するブラシ72の接触本数よりも多くなっている。接触本数は、ブラシ72が変形する本数ともいえる。接触幅SAは、例えば、3mm以上15mm以下とされ、接触幅SLは、例えば、5mm以上20mm以下とされている。なお、ブラシ部72Bの繊維の長さ(すなわち径方向長さ)は、例えば、4mm以上10mm以下とされており、ブラシ72の軸部72Aと対向胴250との間の距離は、1.2mm以上9.7mm以下とされている。
【0051】
搬送オーガ76は、
図4に示されるように、筐体80の内部の底面上に配置されている。搬送オーガ76は、軸部76Aと、軸部76Aの外周に螺旋状に設けられた羽根部76Bと、を有している。
【0052】
搬送オーガ76の軸部76Aは、装置前後方向に延びており、軸方向の両端部が清掃装置本体40に回転可能に支持されている。搬送オーガ76では、軸部76Aの回転により、羽根部76Bが旋回して、筐体80の内部の底面上に落下した異物をブラシ72の軸方向に沿って後方へ搬送し、筐体80の後方側から排出管(図示省略)を通じて異物を排出する。
【0053】
封止材78、79は、筐体80の内部に収容された異物が、筐体80の開口部82を通じて、筐体80の外側へ漏出することを抑制する機能を有している。この封止材78、79は、一例として、撓み変形が可能なフィルム材で構成されている。
【0054】
封止材78は、
図4に示されるように、筐体80における開口部82の上側に設けられた上縁83に取り付けられている。具体的には、封止材78は、上縁83から対向胴250側(
図4における右側)に斜め下方へ延びており、先端部が対向胴250の外周面に接触している。これにより、封止材78は、筐体80の上縁83と、対向胴250の外周面との隙間を通じて、異物が漏出することを抑制する。
【0055】
封止材79は、筐体80における開口部82の下側に設けられた下縁87に取り付けられている。具体的には、封止材79は、下縁87から上方側に延びており、先端部がフリッカ74に接触している。これにより、封止材79は、筐体80の下縁87と、フリッカ74との隙間を通じて、異物が漏出することを抑制する。
【0056】
ダクトフレーム60は、ダクト91、92を構成する構成部としてのフレームである。本実施形態では、ダクト91、92は、ダクトフレーム60と、清掃ユニット70の筐体80と、によって構成される。ダクト91は、ブラシ72の上方側であって、筐体80の上方側に配置されている。
【0057】
ダクト91は、対向胴250側へ開口する吸引口91Aを有している。
図6に示されるように、対向胴250における凹部254がブラシ72側(
図6における左側)を向く回転位置において、吸引口91Aは、凹部254と対向する。さらにいえば、吸引口91Aは、ブラシ72の上方側で開口している。また、ダクト91は、前後方向へ延びている。
【0058】
ダクト92は、
図4に示されるように、ブラシ72の下方側であって、筐体80の下方側に配置されている。ダクト92は、対向胴250側へ開口する吸引口92Aを有している。
図6に示されるように、対向胴250における凹部254がブラシ72側(
図6における左側)を向く回転位置において、吸引口92Aは、凹部254と対向する。さらにいえば、吸引口92Aは、ブラシ72の下方側で開口している。また、ダクト92は、前後方向へ延びている。
【0059】
そして、ダクト91とダクト92とは、後方側で連結されており、該連結部分には、管(図示省略)が接続されている。該管には送風機(図示省略)が設けられている。該送風機が駆動することで、異物を含む空気が、吸引口91Aからダクト91内に取り込まれ、吸引口92Aからダクト92内に取り込まれる。ダクト91、92内に取り込まれた空気は、ダクト91、92内を後方側へ流通し、ダクト91、92を流通した空気が合流し、前述の管を通じて排出される。
【0060】
(清掃装置15の各部と対向胴250の凹部254との関係)
対向胴250の凹部254は、
図6に示されるように、対向胴250の外周面における周方向の一部に1つ設けられている。この凹部254は、対向胴250の軸方向に沿って長くされると共に、対向胴250の径方向に沿った深さを有している。
【0061】
凹部254の軸方向視における開口幅254L(
図6参照)は、ブラシ72と対向胴250の外周面との軸方向視における接触幅SL(
図5参照)よりも広い。また、凹部254の深さ254D(
図6参照)は、ブラシ72の対向胴250に対する食い込み量KB(
図5参照)よりも深い。このため、ブラシ72は、凹部254と対向した状態において、対向胴250と非接触となり、対向胴250の外周面から離間した状態となる。さらに、凹部254の開口幅254Lは、ブラシ72の外径よりも広く、筐体80の開口部82の軸方向視における開口幅80Lよりも広く、ダクトフレーム60の上壁の先端と下壁の先端との間の軸方向視における幅60Lよりも広くされている。なお、開口幅254L、接触幅SL、開口幅80L及び幅60Lは、対向胴250の周方向に沿った幅である。
【0062】
(ブレーキ18)
図1に示されるブレーキ18は、一例として、対向胴250の回転軸を保持することで、対向胴250の回転を停止させる構成とされている。具体的には、ブレーキ18は、対向胴250が回転するモード(以下、「回転モード」という)から、対向胴250の回転が停止するモード(以下、「停止モード」という)に移行する場合に、凹部254がブラシ72に対向する位置(
図6に示される位置)で対向胴250の回転を停止させる。
【0063】
回転モードは、例えば、記録媒体Pにインク画像を形成する画像形成処理を実行する状態が該当する。停止モードは、例えば、該画像形成処理を実行しない待機状態、及び、画像形成装置10の電源がオフとされた場合の画像形成装置10の稼働を停止する状態が、該当する。
【0064】
本実施形態では、ブレーキ18は、凹部254がブラシ72に対向する位置で対向胴250の回転を停止させることで、対向胴250の回転が停止した状態において、ブラシ72を対向胴250の外周面から離間させる。なお、凹部254がブラシ72に対向する位置に位置することは、例えば、光センサ等の検知部により検知する。
【0065】
(本実施形態の作用)
本実施形態によれば、前述のように、回転モードから停止モードに移行する場合に、凹部254がブラシ72に対向する位置で、ブレーキ18が、対向胴250の回転を停止させる。これにより、ブレーキ18は、対向胴250の回転が停止した状態において、ブラシ72を対向胴250の外周面から離間させる。
【0066】
このため、ブラシ72の対向胴250の外周面への接触による変形が回避されるので、対向胴250の回転が停止した状態において、ブラシ72が対向胴250の外周面に接触している構成に比べ、ブラシ72のへたりが抑制される。
【0067】
また、本実施形態では、ブレーキ18は、凹部254がブラシ72に対向する位置で対向胴250の回転を停止させることで、ブラシ72を対向胴250の外周面から離間させる。このため、ブラシ72を対向胴250の径方向外側へ移動させることでブラシ72を対向胴250の外周面から離間させる構成に比べ、省スペース化が図れる。
【0068】
また、本実施形態では、フリッカ74は、回転しているブラシ72に接触することで、ブラシ72に付着した異物を落下させる。このため、ブラシ72が対向胴250のみに接触する構成に比べ、ブラシ72から対向胴250への異物の再付着が抑制される。
【0069】
また、本実施形態では、
図5に示されるように、ブラシ72のフリッカ74に対する食い込み量をKAとし、ブラシ72の対向胴250に対する食い込み量をKBとした場合において、KA>KBの関係を有している。このため、KA≦KBの関係を有する構成に比べ、対向胴250からブラシ72へ移動した異物がブラシ72から落下しやすく、ブラシ72から対向胴250への異物の再付着が抑制される。
【0070】
また、本実施形態では、ブラシ72のフリッカ74に対する軸方向視における接触幅をSAとし、ブラシ72の対向胴250の外周面に対する軸方向視における接触幅をSLとした場合において、SL>SAの関係を有する。ここで、ブラシ72は、対向胴250の外周面から離間可能となっているため、対向胴250との接触によるへたりを抑制可能であるが、ブラシ72は、フリッカ74と常時接触するため、フリッカ74との接触によってへたるおそれがある。これに対して、本実施形態では、前述のように、SL>SAの関係を有するため、SL≦SAの関係を有する構成に比べ、ブラシ72のフリッカ74との接触によるへたりの影響を小さくなる。
【0071】
<第2実施形態>
(画像形成装置200)
第1実施形態では、画像形成装置10は、記録媒体Pにインクを用いて画像を形成するインクジェット方式の画像形成装置であったが、画像形成装置としては、これに限られない。画像形成装置の一例としては、例えば、電子写真式の画像形成装置であってもよく、画像を形成する装置であればよい。第2実施形態では、電子写真式の画像形成装置200について説明する。
図7は、本実施形態に係る画像形成装置200の構成を示す概略図である。なお、第1実施形態と同一機能を有する部分については、同一符号を付して、適宜、説明を省略する。
【0072】
(画像形成部214)
画像形成装置200は、画像形成部14に替えて画像形成部214を有している。画像形成部214は、電子写真方式により記録媒体Pにトナー像(画像の一例)を形成する機能を有している。具体的には、画像形成部214は、
図7に示されるように、トナー像を形成するトナー像形成部222と、トナー像形成部222で形成されたトナー像を記録媒体Pに転写する転写装置217と、を有している。
【0073】
(トナー像形成部222)
図7に示されるトナー像形成部222は、色ごとにトナー像を形成するように複数備えられている。本実施形態では、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の計4色のトナー像形成部222が設けられている。
図7に示す(Y)、(M)、(C)、(K)は、上記各色に対応する構成部分を示している。
【0074】
なお、各色のトナー像形成部222は、用いるトナーを除き同様に構成されているので、各色のトナー像形成部222を代表して、
図7ではトナー像形成部222(K)の各部に符号を付している。
【0075】
各色のトナー像形成部222は、具体的には、一方向(例えば
図7における反時計回り方向)に回転する感光体224を有している。また、各色のトナー像形成部222は、帯電器223と、露光装置240と、現像装置238と、を有している。
【0076】
各色のトナー像形成部222では、帯電器223が、感光体224を帯電させる。さらに、露光装置240が、帯電器223によって帯電された感光体224を露光して、感光体224に静電潜像を形成する。また、現像装置238が、露光装置240によって感光体224に形成された静電潜像を現像してトナー像を形成する。
【0077】
(転写装置217)
図7に示される転写装置217は、トナー像形成部222で形成されたトナー像を記録媒体Pに転写する装置である。具体的には、転写装置217は、各色の感光体224のトナー像を、中間転写体としての転写ベルト213に重ねて一次転写し、該重ねられたトナー像を記録媒体Pに二次転写する。転写装置217は、
図7に示されるように、転写ベルト213と、一次転写ロール226と、対向胴250に替えて転写胴251と、を備えている。なお、転写胴251は、回転体の一例であり、転写ベルト213は、転写部の一例である。
【0078】
一次転写ロール226は、各色の感光体224のトナー像を、感光体224と一次転写ロール226との間の一次転写位置T1にて転写ベルト213に転写させるロールである。本実施形態では、一次転写ロール226と感光体224との間に一次転写電界が印加されることで、感光体224に形成されたトナー像が、一次転写位置T1にて転写ベルト213に転写される。
【0079】
転写ベルト213は、各色の感光体224からトナー画像が外周面に転写される。この転写ベルト213は、
図7に示されるように、無端状を成すと共に、正面視にて(装置奥行方向に見て)逆三角形状の姿勢となるように、複数のロール232及び対向ロール234に巻き掛けられている。転写ベルト213は、複数のロール232の少なくとも1個が回転駆動されることで、矢印A方向へ周回する。
【0080】
転写胴251は、転写ベルト213に転写されたトナー画像を、対向ロール234と転写胴251との間の二次転写位置T2にて記録媒体Pに転写する転写体である。本実施形態では、対向ロール234と転写胴251との間に二次転写電界が印加されることで、転写ベルト213に転写されたトナー画像が、二次転写位置T2にて記録媒体Pに転写される。なお、転写ベルト213と転写胴251の外周面とは、二次転写位置T2にて、接触しており、転写ベルト213と転写胴251とが、二次転写位置T2にて記録媒体Pを挟み込んだ状態で搬送しながら、トナー像が転写される。なお、転写胴251は、第1実施形態における対向胴250と同様に構成されている。
【0081】
(定着装置30)
本実施形態では、定着装置30は、転写胴251によって記録媒体Pに転写されたトナー像を該記録媒体Pに定着する装置として機能する。具体的には、定着装置30は、
図1に示されるように、加圧ロール31と、加熱ロール32と、を有している。
【0082】
定着装置30では、加熱ロール32が、加圧ロール31に対する上方側に配置されている。この加熱ロール32は、ロール内部にハロゲンランプ等の加熱源32Aを有している。
【0083】
加圧ロール31は、外周面に凹部34を有している。この凹部34は、加圧ロール31の外周面における周方向の一部に1つ設けられている。さらに、凹部34は、加圧ロール31の軸方向に沿って長くされると共に、加圧ロール31の径方向に沿った深さを有している。凹部34は、後述のグリッパ24及び取付部材23が収容される。これにより、該グリッパ24及び取付部材23が、
図1に示される定着位置NPを通過する際に、加熱ロール32との接触が回避される。
【0084】
第1実施形態における一対のスプロケット37は、加圧ロール31の軸方向両端側に設けられている。この一対のスプロケット37は、加圧ロール31の同軸上に配置されており、加圧ロール31と一体に回転する構成とされている。
【0085】
そして、定着装置30では、加熱ロール32と加圧ロール31とで記録媒体Pを定着位置NPで挟み込んだ状態で搬送しつつ、記録媒体Pを加熱及び加圧することで、記録媒体Pに転写されたトナー像を該記録媒体Pに定着する。
【0086】
画像形成装置200では、搬送機構12は、グリッパ24が記録媒体Pの先端部を保持した状態でチェーン22が周回方向Cへ周回することで、二次転写位置T2と、加圧ロール31と加熱ロール32との間の定着位置NPとに記録媒体Pを通過させる。そして、各色の一次転写位置T1で転写ベルト213に重ねて一次転写されたトナー像が、二次転写位置T2にて記録媒体Pに二次転写される。記録媒体Pに二次転写されたトナー像が定着位置NPにて記録媒体Pに定着される。
【0087】
本実施形態における清掃装置15は、第1実施形態における清掃装置15と同様に構成されており、本実施形態は、第1実施形態と同様の作用を奏する。
【0088】
(離間機構の変形例)
上記第1実施形態では、凹部254がブラシ72に対向する位置で、ブレーキ18が対向胴250の回転を停止させることで、ブラシ72を対向胴250の外周面から離間させていたが、これに限られない。離間機構としては、
図8に示される移動機構50を用いてもよい。なお、本変形例は、第2実施形態に対しても適用可能である。この場合では、以下の説明の対向胴250は、転写胴251と読み換えるものとする。
【0089】
本変形例では、清掃装置本体40は、
図8に示されるように、筐体42に加えて、取付部44を有している。本変形例では、清掃装置本体40は、ダクトフレーム60及び清掃ユニット70を含めて、装置幅方向に沿って移動可能に、画像形成装置10の本体11(以下、「画像形成装置本体11」という)に設けられている。具体的には、清掃装置本体40は、
図8に示される接近位置と、
図9に示される離間位置と、に装置幅方向に沿って移動可能とされている。
【0090】
図8に示される接近位置は、対向胴250の外周面に対する接近位置である。該接近位置では、ブラシ72に対向胴250の外周面が対向している場合に、ブラシ72が対向胴250の外周面に接触する。また、封止材78に対向胴250の外周面が対向している場合に、封止材78が対向胴250の外周面に接触する。
図9に示される離間位置は、対向胴250の外周面に対する離間位置である。該離間位置では、ブラシ72が対向胴250の外周面から離間する。
【0091】
取付部44は、
図8に示されるように、移動機構50の後述の引張バネ52が取り付けられる部分である。取付部44は、筐体42の側壁42Bにおいて、対向胴250とは反対側(
図8における左側)に2つ設けられている。
【0092】
移動機構50は、清掃装置本体40を
図8に示される接近位置と、
図9に示される離間位置とに移動させる機構である。具体的には、移動機構50は、
図8に示されるように、2つの引張バネ52と、カム54と、を有している。2つの引張バネ52の各々は、一端部が取付部44に取り付けられ、他端部が、画像形成装置本体11に設けられた取付部13に取り付けられている。これにより、2つの引張バネ52は、接近位置に対する離間位置側(
図8における左側)へ清掃装置本体40を引っ張っている。カム54は、揺動軸54A周りに揺動可能に画像形成装置本体11に設けられている。
【0093】
移動機構50では、停止モードから回転モードに移行する場合に、カム54が揺動し、カム54の長径部分が筐体42の側壁42Bに接触することで、引張バネ52の弾性力に対抗して、清掃装置本体40を
図8に示される接近位置に移動させる。
【0094】
また、移動機構50では、回転モードから停止モードに移行する場合に、カム54が揺動し、カム54の短径部分が筐体42の側壁42B側を向くと、引張バネ52の弾性力によって、清掃装置本体40を
図9に示される離間位置に移動させる。これにより、移動機構50は、対向胴250の回転が停止した状態において、ブラシ72を対向胴250の外周面から離間させる。
【0095】
このため、ブラシ72の対向胴250の外周面への接触による変形が回避されるので、対向胴250の回転が停止した状態において、ブラシ72が対向胴250の外周面に接触している構成に比べ、ブラシ72のへたりが抑制される。
【0096】
また、本変形例では、ブラシ72及びフリッカ74を含む清掃装置本体40の全体が移動するため、
図9に示される離間位置への移動の前後で、ブラシ72とフリッカ74の位置関係は変わらない。すなわち、移動機構50は、ブラシ72とフリッカ74との位置関係を変えずに、ブラシ72を対向胴250の外周面から離間させる。このため、ブラシ72を対向胴250の外周面から離間させる際に、ブラシ72とフリッカ74との位置関係が変わる構成に比べ、フリッカ74がブラシ72に付着した異物を落下させる性能が変動しにくい。
【0097】
また、本変形例では、凹部254がブラシ72に対向する位置でブレーキ18が対向胴250の回転を停止させることで、ブラシ72を対向胴250の外周面から離間させて場合と異なり、凹部254の位置に関わらず、ブラシ72を対向胴250の外周面から離間させられる。したがって、ブラシ72を対向胴250の外周面から離間させる際に、対向胴250の回転位置の制御が不要となる。
【0098】
さらに本変形例では、移動機構50は、対向胴250の回転状態、すなわち回転モードにおいて、異物の除去を実行しない場合に、ブラシ72を対向胴250の外周面から離間させる。
【0099】
回転モードにおいて異物の除去を実行しない場合とは、画像形成処理を実行する場合において異物の対向胴250への付着が発生しにくい場合である。具体的には、記録媒体Pに形成する画像の画像領域が、予め定められた領域よりも狭い場合が該当する。この場合では、第1実施形態ではインクの吐出量が少なく、第2実施形態ではトナーの使用量が少ないため、異物の対向胴250への付着が発生しにくい。
【0100】
この構成によれば、対向胴250の回転状態においてブラシ72が対向胴250の外周面に常に接触している構成に比べ、ブラシ72のへたりが抑制される。
【0101】
さらに、第2実施形態において、回転モードにおいて異物の除去を実行しない場合とは、例えば、記録媒体Pの大きさが予め定められた大きさ以上である場合であってもよい。この場合では、転写胴251の外周面に配置される記録媒体Pの面積が大きいため、転写胴251の外周面に付着するトナー(いわゆる、かぶりトナー)が少なくなる。
【0102】
この構成によれば、記録媒体Pの大きさに関わらず、対向胴250の回転状態においてブラシ72が対向胴250の外周面に常に接触している構成に比べ、ブラシ72のへたりが抑制される。
【0103】
なお、回転装置16としては、ブレーキ18と移動機構50との両方を備える構成であってもよい。この構成では、ブレーキ18と移動機構50とが選択的に用いられる。例えば、回転モードから停止モードに移行する場合に、ブレーキ18を用いて、ブラシ72を対向胴250の外周面から離間させ、回転モードにおいて異物の除去を実行しない場合に、移動機構50を用いて、ブラシ72を対向胴250の外周面から離間させる構成としてもよい。
【0104】
(他の変形例)
第1、第2実施形態では、ブラシ72が対向胴250の回転方向に対する順方向へ回転していたが、これに限られない。例えば、ブラシ72が対向胴250の回転方向に対する逆方向へ回転する構成であってもよい。また、ブラシ72が回転しない構成であってもよい。この場合では、例えば、フリッカ74は不要となる。
【0105】
また、第1、第2実施形態では、対向胴250に対するブラシ72の周速比が、1を超えていたがこれに限られない。対向胴250に対するブラシ72の周速比が、1以下である構成であってもよい。
【0106】
また、第1、第2実施形態では、フリッカ74を有していたが、フリッカ74を有さない構成であってもよい。
【0107】
また、第1、第2実施形態では、
図5に示されるように、ブラシ72のフリッカ74に対する食い込み量をKAとし、ブラシ72の対向胴250に対する食い込み量をKBとした場合において、KA>KBの関係を有していたが、これに限られない。例えば、KA≦KBの関係を有する構成であってもよい。
【0108】
また、第1、第2実施形態では、清掃装置15は、ダクト91、92を備える構成であったがこれに限られない。例えば、清掃装置15がダクト91又はダクト92の一方のみを備える構成であってもよい。
【0109】
第2実施形態では、転写部の一例として、中間転写体としての転写ベルト213を用いたが、これに限られない。転写部の一例としては、感光体などであってもよく、直接転写型の転写部を用いてもよい。
【0110】
本発明は、上記の実施形態に限るものではなく、その主旨を逸脱しない範囲内において種々の変形、変更、改良が可能である。例えば、上記に示した変形例は、適宜、複数を組み合わせて構成してもよい。
【符号の説明】
【0111】
10 画像形成装置
16 回転装置
18 ブレーキ(離間機構の一例、停止部の一例)
50 移動機構(離間機構の一例)
72 ブラシ
74 フリッカ(接触部材の一例)
213 転写ベルト(転写部の一例)
250 対向胴(回転体の一例)
251 転写胴(回転体の一例)
254 凹部
P 記録媒体