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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-23
(45)【発行日】2025-01-07
(54)【発明の名称】硬貨収納庫
(51)【国際特許分類】
   G07D 11/00 20190101AFI20241224BHJP
   G07D 3/00 20060101ALI20241224BHJP
【FI】
G07D11/00
G07D3/00 E
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2020176826
(22)【出願日】2020-10-21
(65)【公開番号】P2022067943
(43)【公開日】2022-05-09
【審査請求日】2023-09-13
(73)【特許権者】
【識別番号】000005234
【氏名又は名称】富士電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】大岩 武
(72)【発明者】
【氏名】中西 伸也
(72)【発明者】
【氏名】山根 拓也
(72)【発明者】
【氏名】福島 慶之
(72)【発明者】
【氏名】隠塚 将二郎
(72)【発明者】
【氏名】柴田 義人
(72)【発明者】
【氏名】益田 真次
(72)【発明者】
【氏名】千國 量也
(72)【発明者】
【氏名】松ヶ野 朋亨
【審査官】大光 太朗
(56)【参考文献】
【文献】特開平05-274517(JP,A)
【文献】特開平06-162308(JP,A)
【文献】特開2013-101541(JP,A)
【文献】特開2006-309467(JP,A)
【文献】実開平6-75060(JP,U)
【文献】実開平6-19066(JP,U)
【文献】実開昭63-68075(JP,U)
【文献】特開2020-87090(JP,A)
【文献】国際公開第03/013994(WO,A1)
【文献】中国特許出願公開第101923747(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G07D 11/00-11/60
G07D 3/00-3/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
入金されて正貨と識別されるとともに金種毎に振り分けられた硬貨を収納する一方、出金指令が与えられた場合に所定枚数の該当硬貨を繰り出す硬貨収納庫であって、
金種毎にユニット化された複数の収納ユニットが並設されて構成され、
前記収納ユニットは、
ユニット本体に対して左右一対の搬出プーリの間で無端状に張設された搬出ベルトにより構成され、かつ該搬出ベルトに前記硬貨を積層した状態で収納するとともに、該搬出ベルトが変位する場合に前記硬貨を搬出する収納部と、
前記ユニット本体において前記搬出ベルトの搬出方向下流側に無端状に張設された払出ベルトにより構成され、前記出金指令に応じて前記払出ベルトが変位する場合に、前記収納部に収納された硬貨を1枚ずつ払い出す払出部と、
前記ユニット本体において前記払出ベルトの払出方向下流側に無端状に張設された繰出ベルトにより構成され、前記払出ベルトの変位により払い出された硬貨の真偽を判定しつつ所定枚数の硬貨を下流側の出金搬送部に繰り出す繰出部と
を備え
前記ユニット本体を構成する後側本体壁部における前記収納部の後方側となる収納部対応部分は、前記ユニット本体よりも後方側となる他のユニット本体の後側本体壁部の収納部対応部分の前面と対向可能であり、かつ後側本体壁部の収納部対応部分の前面及び後面には、前記搬出ベルトにおける上方プーリ間延在部分と平行となる態様で2本の長尺凸状部が形成されていることを特徴とする硬貨収納庫。
【請求項2】
前記複数の収納ユニットにおいて前記搬出ベルトを変位させる駆動プーリに形成された軸孔を貫通する共通の伝達ロッドと、
前記伝達ロッドを該伝達ロッドの中心軸回りに回転させることにより前記駆動プーリを回転させる駆動源と
を備えたことを特徴とする請求項1に記載の硬貨収納庫。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、硬貨収納庫に関し、より詳細には、例えば釣銭機に適用される硬貨収納庫に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、釣銭機に適用される硬貨収納庫として、収納部と、払出部と、繰出部とを備えたものが知られている。
【0003】
収納部は、収納庫本体に金種毎に隣接する態様で区画されて設けられている。これら収納部は、入金されて正貨と識別され、かつ金種別に振り分けられた硬貨を収納するものであり、無端状に張設された搬出ベルトに硬貨を積層した状態で収納している。
【0004】
払出部は、収納部に対応して設置され、対応する収納部の搬出ベルトの搬出方向下流側に無端状に張設された払出ベルトにより構成されている。これら払出部は、出金指令に応じて駆動するものであり、駆動する場合に、該当する収納部に収納された硬貨を1枚ずつ払い出すものである。かかる払出部は、対応する収納部が上述したように他の金種の収納部に隣接する態様で収納庫本体に設けられていることから、結果的に他の金種の払出部とユニット化されて構成されている。
【0005】
繰出部は、無端状に張設された繰出ベルトにより構成され、該繰出ベルトが変位することにより、対応する払出部により搬出された硬貨の真偽を判定しつつ所定枚数の硬貨を下流側の出金搬送部に繰り出すものである。この繰出部は、他の金種の繰出部と一体化されて構成されており、対応する払出部の下流側に設置されるように収納庫本体に取り付けられている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2019-185509号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上述した硬貨収納庫においては、各収納部を構成する搬出ベルトや各払出部を構成する払出ベルトが収納庫本体に取り付けられるとともに、他の金種の繰出部と一体化されて構成された繰出部が対応する払出部の下流側に設置されるように収納庫本体に取り付けられているために、次のような問題があった。
【0008】
すなわち、収納庫本体に対して搬出ベルト及び払出ベルトを取り付ける際には、対象となる硬貨の厚み等に応じた高い寸法精度が要求され、かつ他の繰出部と一体化された繰出部を収納庫本体に取り付ける際にも、繰出部を構成する繰出ベルトと払出ベルトとの隙間について対象となる硬貨の厚み等に応じた高い寸法精度が要求されるので、収納庫本体に各ベルトを配置する際には、硬貨毎に隙間等を調整する必要があり、結果的に、組立作業等が煩雑なものとなる虞れがあった。
【0009】
本発明は、上記実情に鑑みて、組立作業を容易なものとすることができる硬貨収納庫を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するために、本発明に係る硬貨収納庫は、入金されて正貨と識別されるとともに金種毎に振り分けられた硬貨を収納する一方、出金指令が与えられた場合に所定枚数の該当硬貨を繰り出す硬貨収納庫であって、金種毎にユニット化された複数の収納ユニットが並設されて構成され、前記収納ユニットは、ユニット本体に対して無端状に張設された搬出ベルトにより構成され、かつ該搬出ベルトに前記硬貨を積層した状態で収納するとともに、該搬出ベルトが変位する場合に前記硬貨を搬出する収納部と、前記ユニット本体において前記搬出ベルトの搬出方向下流側に無端状に張設された払出ベルトにより構成され、前記出金指令に応じて前記払出ベルトが変位する場合に、前記収納部に収納された硬貨を1枚ずつ払い出す払出部と、前記ユニット本体において前記払出ベルトの払出方向下流側に無端状に張設された繰出ベルトにより構成され、前記払出ベルトの変位により払い出された硬貨の真偽を判定しつつ所定枚数の硬貨を下流側の出金搬送部に繰り出す繰出部とを備えたことを特徴とする。
【0011】
また本発明は、上記硬貨収納庫において、前記複数の収納ユニットにおいて前記搬出ベルトを変位させる駆動プーリに形成された軸孔を貫通する共通の伝達ロッドと、前記伝達ロッドを該伝達ロッドの中心軸回りに回転させることにより前記駆動プーリを回転させる駆動源とを備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、金種毎にユニット化された収納ユニットは、ユニット本体に対して無端状に張設された搬出ベルトにより構成され、かつ該搬出ベルトに硬貨を積層した状態で収納するとともに、該搬出ベルトが変位する場合に硬貨を搬出する収納部と、ユニット本体において搬出ベルトの搬出方向下流側に無端状に張設された払出ベルトにより構成され、出金指令に応じて払出ベルトが変位する場合に、収納部に収納された硬貨を1枚ずつ払い出す払出部と、ユニット本体において払出ベルトの払出方向下流側に無端状に張設された繰出ベルトにより構成され、払出ベルトの変位により払い出された硬貨の真偽を判定しつつ所定枚数の硬貨を下流側の出金搬送部に繰り出す繰出部とを備えているので、収納対象となる硬貨に応じた寸法で各ベルト等をユニット本体に配設すればよく、そのような収納ユニットを並設させるだけで硬貨収納庫を構成でき、組立作業を容易なものとすることができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1図1は、本発明の実施の形態である硬貨収納庫が適用された硬貨処理装置の構成を示す平面図である。
図2図2は、本発明の実施の形態である硬貨収納庫が適用された硬貨処理装置の構成を示す正面図である。
図3図3は、図1及び図2に示した硬貨処理装置の内部構成を模式的に示す模式図である。
図4図4は、図3に示した硬貨収納庫、すなわち本発明の実施の形態である硬貨収納庫の外観構成を示す斜視図である。
図5図5は、図4に示した1つの収納ユニット、すなわち100円硬貨を収納する収納ユニットの構成を示す分解斜視図である。
図6図6は、図4に示した1つの収納ユニット、すなわち100円硬貨を収納する収納ユニットの構成を示す分解斜視図である。
図7図7は、図4に示した1つの収納ユニット、すなわち100円硬貨を収納する収納ユニットの構成を示す縦断面図である。
図8図8は、図4に示した2つの収納ユニット、すなわち100円硬貨を収納する収納ユニットと10円硬貨を収納する収納ユニットとを示す斜視図である。
図9図9は、図5図7に示した左側の繰出プーリの構成を示す分解斜視図である。
図10図10は、図5図7に示した左側の繰出プーリの構成を示す分解斜視図である。
図11図11は、収納ユニットにおける動作を模式的に示す断面正面図である。
図12図12は、収納ユニットにおける動作を模式的に示す断面正面図である。
図13図13は、図5図8に示した収納ユニットの要部を示す斜視図である。
図14図14は、図5図8に示した収納ユニットの要部を示す分解斜視図である。
図15図15は、図5図8に示した収納ユニットの要部を示す断面左側面図である。
図16図16は、図5図8に示した収納ユニットの要部を示す斜視図である。
図17図17は、図5図8に示した収納ユニットの要部を示す斜視図である。
図18図18は、図5図8に示した収納ユニットの要部を示す斜視図である。
図19図19は、図5図8に示した収納ユニットの要部を示す斜視図である。
図20図20は、図5図8に示した収納ユニットの要部を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下に添付図面を参照して、本発明に係る硬貨収納庫の好適な実施の形態について詳細に説明する。
【0015】
図1及び図2は、それぞれ本発明の実施の形態である硬貨収納庫が適用された硬貨処理装置の構成を示すものであり、図1は平面図、図2は正面図である。ここで例示する硬貨処理装置1は、例えばスーパーマーケットやコンビニエンスストア等の店舗においてPOSレジスタ装置に接続される自動釣銭機として適用されるものであり、装置本体2を備えている。
【0016】
装置本体2は、略直方状を成す筐体であり、投入口3、操作表示部4、出金口7及び返却口8を備えている。投入口3は、装置本体2の前端上面の右側に設けてあり、投入された硬貨を装置本体2の内部に受け入れるための開口である。この投入口3は、例えば顧客等の利用者からの預り金を一時保持する一時保持部として機能する。
【0017】
操作表示部4は、装置本体2の前端上面の左側に設けてあり、表示部5及び操作部6を有している。表示部5は各種情報を表示するものであり、操作部6は例えばテンキー等で構成されて各種の操作入力を行う入力手段である。
【0018】
出金口7は、装置本体2の前面左側に設けてある。この出金口7は、装置本体2の内部に収納された硬貨を払い出すための開口であり、装置本体2に取り付けられた出金トレイ9に硬貨を払い出すものである。返却口8は、装置本体2の前面右側に設けてある。この返却口8は、硬貨を返却するための開口である。
【0019】
図3は、図1及び図2に示した硬貨処理装置1の内部構成を模式的に示す模式図である。この図3を用いて硬貨処理装置1の内部構成を機能別に説明する。装置本体2の内部には、硬貨搬送機構10及び制御部20が設けてある。この硬貨搬送機構10は、入金搬送部11、一時保留部12、硬貨振分部13、硬貨収納庫30、出金搬送部14及び切換ゲート群15を有している。
【0020】
入金搬送部11は、投入口3より投入されるとともに図示せぬ投入検出センサによって検出された硬貨を搬送するものであり、検銭部16が設けてある。検銭部16は、硬貨の真贋及び金種を鑑別し、その結果を制御部20に送出するものである。
【0021】
一時保留部12は、検銭部16で正貨と判定された硬貨を一時的に保留するものである。硬貨振分部13は、一時保留部12で保留されてから搬送された硬貨を金種毎に振り分けるものである。
【0022】
硬貨収納庫30は、硬貨振分部13により振り分けられた硬貨を収納するものである。かかる硬貨収納庫30の構成については後述する。この硬貨収納庫30は、制御部20から与えられる指令に応じて収納する硬貨を繰り出す機能を有している。
【0023】
出金搬送部14は、硬貨収納庫30から繰り出された硬貨を前方に向けて搬送するものである。つまり出金搬送部14は、硬貨収納庫30から繰り出された硬貨を、出金口7に連通する出金シュート17に向けて前方に搬送するものである。
【0024】
切換ゲート群15は、第1切換ゲート15a、第2切換ゲート15b及び第3切換ゲート15cを備えている。第1切換ゲート15aは、入金搬送部11の搬送方向下流側に設けてある。この第1切換ゲート15aは、入金搬送部11で搬送された硬貨を一時保留部12に搬送させる状態と、該硬貨を出金口7に搬送させる状態との間で択一的に切換可能なものである。
【0025】
第2切換ゲート15bは、一時保留部12の搬送方向下流側に設けてある。この第2切換ゲート15bは、一時保留部12で保留された硬貨を硬貨振分部13に送出させる状態と、該硬貨を返却口8に送出させる状態との間で択一的に切換可能なものである。かかる第2切換ゲート15bは、常態においては、一時保留部12で保留された硬貨を硬貨振分部13に送出させる状態となっている。
【0026】
第3切換ゲート15cは、出金搬送部14の搬送方向下流側に設けてある。この第3切換ゲート15cは、出金搬送部14で搬送された硬貨を、出金シュート17を経由して出金口7に搬送させる搬送状態と、該硬貨を一時保留部12に搬送させる循環状態との間で択一的に切換可能なものである。かかる第3切換ゲート15cは、常態においては、搬送状態となっている。
【0027】
つまり、第3切換ゲート15cは、第2切換ゲート15bとともに切換部を構成しており、出金搬送部14により搬送された硬貨を出金口7まで搬送させる第1状態と、出金搬送部14により搬送された硬貨を硬貨振分部13まで搬送させる第2状態との間で択一的に切換可能である。
【0028】
制御部20は、表示部5、操作部6、硬貨搬送機構10、検銭部16に電気的に接続してあるとともに、POSレジスタ装置等の上位装置(図示せず)に電気的に接続してある。この制御部20は、操作部6を通じて指令が与えられた場合、あるいは検銭部16から検出信号が与えられた場合、更には上位装置から各種指令が与えられた場合、図示せぬ記憶部に記憶されたプログラムやデータに基づいて硬貨搬送機構10の動作を統括的に制御するものである。
【0029】
このような硬貨処理装置1の概要動作について説明する。投入口3に投入された硬貨は、上位装置からの入金許可指令を受け、投入検出センサによって検出された後、入金搬送部11によって搬送され、検銭部16により真贋及び金種が判定される。搬送された硬貨が正貨であると判定された場合、一時保留部12に保留される。一方、搬送された硬貨が正貨でないと判定された場合、第1切換ゲート15aを介して出金口7に搬送され、出金トレイ9に返却される。尚、上位装置からの返却指示があった場合、一時保留部12に保留された硬貨は、第2切換ゲート15bを介して返却口8に返却される。
【0030】
一時保留部12に保留された硬貨は、硬貨振分部13に搬送され、後方に向けて搬送されながら金種(1円硬貨、50円硬貨、5円硬貨、100円硬貨、10円硬貨、500円硬貨)毎に振り分けられる。硬貨振分部13によって振り分けられた硬貨は、金種に応じて硬貨収納庫30に収納される。
【0031】
上位装置からの出金指令が与えられた場合に、該出金指令に応じた金種の硬貨が硬貨収納庫30から繰り出されて出金搬送部14により前方に向けて搬送され、第3切換ゲート15cを介して出金口7から装置本体2の外部に払い出される。
【0032】
図4は、図3に示した硬貨収納庫30、すなわち本発明の実施の形態である硬貨収納庫30の外観構成を示す斜視図である。
【0033】
ここで例示する硬貨収納庫30は、収納ベース部材31に載置されるとともに前後一対の収納支持部材32,33に挟まれる態様で、複数の収納ユニット34が前後方向に沿って並設されて構成してある。収納ユニット34は、対象となる硬貨を収納するためのもので、それぞれ前後方向及び左右方向の寸法は同じである。これら収納ユニット34は、前方のものから順に、1円硬貨、50円硬貨、5円硬貨、100円硬貨、10円硬貨、500円硬貨を収納するものである。
【0034】
図5図7は、それぞれ図4に示した1つの収納ユニット34、すなわち100円硬貨を収納する収納ユニット34の構成を示すもので、図5及び図6が分解斜視図、図7が縦断面図である。尚、ここでは100円硬貨を収納する収納ユニット34を例にして説明するが、他の硬貨を収納する収納ユニット34も略同一の構成である。
【0035】
これら図5図7に示すように、収納ユニット34は、上面に開口を有する筐体である樹脂製のユニット本体40を備えている。ユニット本体40は、前後一対となる前側本体壁部41と後側本体壁部42とが結合して構成してある。
【0036】
前側本体壁部41の前面部分における所定の個所には、複数の前側嵌合突部41aが形成してあるとともに、後側本体壁部42の後面部分における所定の個所には、複数の後側嵌合凹部42aが形成してある。前側嵌合突部41aは、他の収納ユニット34を構成するユニット本体40(以下、他のユニット本体40ともいう)の構成要素である後側本体壁部42(以下、他の後側本体壁部42ともいう)に形成された後側嵌合凹部42aに相対的に進入して嵌合可能である。一方、後側嵌合凹部42aは、他のユニット本体40の他の構成要素である前側本体壁部41(以下、他の前側本体壁部41ともいう)に形成された前側嵌合突部41aによる相対的な進入を許容して該前側嵌合突部41aと嵌合可能である。
【0037】
これにより収納ユニット34は、他の収納ユニット34との間で、互いの前側嵌合突部41aと後側嵌合凹部42aとが嵌合することで連結可能であり、図4に示したように、前方から1円硬貨を収納する収納ユニット34、50円硬貨を収納する収納ユニット34、5円硬貨を収納する収納ユニット34、100円硬貨を収納する収納ユニット(以下、100円硬貨収納ユニットともいう)34、10円硬貨を収納する収納ユニット(以下、10円硬貨収納ユニットともいう)34、500円硬貨を収納する収納ユニット34の順で連結して硬貨収納庫30を構成している。
【0038】
そのような収納ユニット34は、図5図7に示したように、前側本体壁部41と後側本体壁部42との間に収納部50、払出部60及び繰出部70を備えている。
【0039】
収納部50は、左右一対の搬出プーリ51,52の間で無端状に張設された搬出ベルト53を備えて構成してある。これら搬出プーリ51,52は、ともに自身の中心軸回りに回転可能となる態様でユニット本体40に設けてあり、左側の搬出プーリ51は、右側の搬出プーリ52よりも上方に配置してある。これにより搬出ベルト53は、左方に向かうに連れて漸次上方に傾斜している。
【0040】
そして、左側の搬出プーリ51の中心軸部分には、2つのフラット面を有する内面が形成された軸孔51aが形成してある。この軸孔51aは、ユニット本体40(前側本体壁部41及び後側本体壁部42)に形成された貫通孔41b,42bを通じて外部に露出している。
【0041】
そのような軸孔51aには、図8に示すように、該軸孔51aの内面に適合する外面を有する伝達ロッド54が貫通している。この伝達ロッド54は、図8に示したように、100円硬貨収納ユニット34とその後側に連結された10円硬貨収納ユニット34の軸孔51aだけを貫通するのではなく、前後方向に沿って並設されたすべての収納ユニット34の軸孔51aを貫通する長尺状部材である。
【0042】
かかる伝達ロッド54の前端部分には、伝達ギア等を介して駆動源である搬出モータ(図4参照)55が機械的に接続してある。搬出モータ55は、制御部20から与えられる指令に応じて正逆回転駆動するものである。この搬出モータ55は、正回転駆動する場合に、伝達ロッド54をその中心軸回りに前方から見て反時計回りに回転させるもの、すなわち各収納ユニット34における左側の搬出プーリ51を前方から見て反時計回りに回転させるものである。
【0043】
このように左側の搬出プーリ51が前方から見て反時計回りに回転することで、搬出ベルト53は、上方プーリ間延在部分が左方に向けて変位しつつ下方プーリ間延在部分が右方に向けて変位し、この搬出ベルト53の変位に応じて右側の搬出プーリ52も前方から見て反時計回りに回転する。つまり、左側の搬出プーリ51が駆動プーリであり、右側の搬出プーリ52が従動プーリであり、左方が搬出方向下流側となる。
【0044】
一方、搬出モータ55は、逆回転駆動する場合に、伝達ロッド54をその中心軸回りに前方から見て時計回りに回転させるもの、すなわち各収納ユニット34における左側の搬出プーリ51を前方から見て時計回りに回転させるものである。
【0045】
そのような収納部50は、硬貨振分部13により振り分けられた硬貨を、搬出プーリ51,52の上方プーリ間延在部分に積層した状態で収納しており、搬出モータ55の駆動により収納する硬貨を左方に向けて搬出するものである。
【0046】
払出部60は、搬出ベルト53の搬出方向下流側において、左右一対の払出プーリ61,62の間で無端状に張設された払出ベルト63を備えて構成してある。これら払出プーリ61,62は、ともに自身の中心軸回りに回転可能となる態様でユニット本体40に設けてある。
【0047】
右側の払出プーリ62は、左側の搬出プーリ51よりも左方下部に配置してあり、左側の払出プーリ61は、右側の払出プーリ62よりも上方に配置してある。これにより払出ベルト63は、左方に向かうに連れて漸次上方に傾斜しており、その傾斜角度は搬出ベルト53の傾斜角度よりも大きい。この払出ベルト63は、幅寸法である前後方向の長さが、搬出ベルト53の幅寸法よりも小さく、その表面には、無数の突起63aが形成してある。
【0048】
左側の払出プーリ61は、連係手段64を介して駆動源である払出モータ65に連係してある。払出モータ65は、ユニット本体40に設置してあり、制御部20から与えられる指令に応じて駆動するものである。この払出モータ65は、駆動する場合に、左側の払出プーリ61を前方から見て反時計回りに回転させるものである。このように左側の払出プーリ61が前方から見て反時計回りに回転することで、払出ベルト63は、上方プーリ間延在部分が左方に向けて変位しつつ下方プーリ間延在部分が右方に向けて変位し、この払出ベルト63の変位に応じて右側の払出プーリ62も前方から見て反時計回りに回転する。つまり、左側の払出プーリ61が駆動プーリであり、右側の払出プーリ62が従動プーリであり、左方が払出方向下流側となる。
【0049】
上記払出部60は、上記払出ベルト63の他に、リバースローラ66及びガイド部材67を備えて構成してある。リバースローラ66は、払出ベルト63における上方プーリ間延在部分に対向して設置してある。このリバースローラ66は、ユニット本体40において自身の中心軸回りに回転可能に配設してあり、上方プーリ間延在部分との離間距離が、払出ベルト63により払い出される硬貨の厚みよりも僅かに大きいものである。
【0050】
ガイド部材67は、前側本体壁部41と後側本体壁部42とに挟持されることでユニット本体40に設置してある。このガイド部材67は、下端部分の作用面67aがリバースローラ66よりも払出方向下流側に配置しており、払出ベルト63の上方プーリ間延在部分に対向している。
【0051】
かかるガイド部材67は、収納ユニット34の対象硬貨に応じてその大きさが決められた硬貨特有のものであり、図5図7等に示した例では、100円硬貨特有のものである。ガイド部材67は、作用面67aと、払出ベルト63の上方プーリ間延在部分とのギャップ寸法が対象となる硬貨(図示の例では100円硬貨)の厚み程度に調整している。
【0052】
そのような払出部60は、払出モータ65が駆動する場合に、収納部50に収納されて搬出ベルト53により搬出された硬貨を、1枚ずつ払い出すものである。
【0053】
繰出部70は、払出ベルト63の払出方向下流側において、左右一対の繰出プーリ71,72の間で無端状に張設された繰出ベルト73を備えて構成してある。これら繰出プーリ71,72は、ともに自身の中心軸回りに回転可能となる態様でユニット本体40に設けてある。特に左側の繰出プーリ71は、前端部分及び後端部分が開放された状態で、ユニット本体40(後側本体壁部42)に設けられた支持孔42cを貫通することで自身の中心軸回りに回転可能に設けてある。
【0054】
右側の繰出プーリ72は、左側の払出プーリ61よりも右方上部に配置してあり、左側の繰出プーリ71は、右側の繰出プーリ72よりも上方に配置してある。これにより繰出ベルト73は、左方に向かうに連れて漸次上方に傾斜しており、その傾斜角度は搬出ベルト53の傾斜角度よりも大きく、払出ベルト63の傾斜角度よりも小さい。この繰出ベルト73は、幅寸法である前後方向の長さが、払出ベルト63の幅寸法よりも小さく、下方プーリ間延在部分がユニット本体40に設けられたガイド面43に対向することで、硬貨の繰出路43aを形成している。
【0055】
左側の繰出プーリ71は、図9及び図10に示すように、前後方向が長手方向となる長尺状部材であり、拡径部分71aに繰出ベルト73が接している。この左側の繰出プーリ71は、後端部分に十字状突部71bが形成してあるとともに、前端部分に上記十字状突部71bに嵌合可能な十字状凹部71cが形成してある。
【0056】
そのような左側の繰出プーリ71は、他のユニット本体40に回転可能に設けられた他の左側の繰出プーリ71と嵌合して連結してある。これら左側の繰出プーリ71のうち、最も後方に配置された500円硬貨を収納する収納ユニット34に配置された左側の繰出プーリ71が伝達ギア等を介して駆動源である繰出モータ75(図4参照)に機械的に接続してある。繰出モータ75は、制御部20から与えられる指令に応じて駆動するものであり、駆動する場合に、各収納ユニット34における左側の繰出プーリ71を前方から見て時計回りに回転させるものである。
【0057】
このように左側の繰出プーリ71が前方から見て時計回りに回転することで、繰出ベルト73は、下方プーリ間延在部分が左方に向けて変位しつつ上方プーリ間延在部分が右方に向けて変位し、この繰出ベルト73の変位に応じて右側の繰出プーリ72も前方から見て時計回りに回転する。つまり、左側の繰出プーリ71が駆動プーリであり、右側の繰出プーリ72が従動プーリであり、左方が繰出方向下流側となる。
【0058】
上記繰出部70は、上記繰出ベルト73の他に、繰出検知部76を備えている。繰出検知部76は、繰出路43aを形成するガイド面43の下部に設置してあり、繰出路43aを通過する硬貨の真偽及び枚数を検知するセンサにより構成してある。この繰出検知部76は、検知結果を制御部20に出力するものである。
【0059】
そのような繰出部70は、払出ベルト63の変位により払い出された硬貨の真偽を判定しつつ所定枚数の硬貨を下流側の出金搬送部14に繰り出すものである。これにより、上記収納ユニット34は、収納部50、払出部60及び繰出部70を有し、金種毎にユニット化されて構成されている。
【0060】
以上のような構成を有する硬貨収納庫30においては、上位装置から出金指令が与えられた場合、制御部20からの指令により搬出モータ55が正回転駆動するとともに繰出モータ75が駆動し、更に該当金種の硬貨を収納する収納ユニット34の払出モータ65が駆動する。
【0061】
このように搬出モータ55が正回転駆動することにより、伝達ロッド54が前方から見て反時計回りに回転し、これによりすべての収納ユニット34における左側の搬出プーリ51が前方から見て反時計回りに回転する。このようにして左側の搬出プーリ51が回転することで、搬出ベルト53は、上方プーリ間延在部分が左方に変位しつつ下方プーリ間延在部分が右方に変位する。
【0062】
また繰出モータ75が駆動することにより、すべての収納ユニット34における左側の繰出プーリ71が前方から見て時計回りに回転する。このようにして左側の繰出プーリ71が回転することで、繰出ベルト73は、下方プーリ間延在部分が左方に変位しつつ上方プーリ間延在部分が右方に変位する。
【0063】
ところで、該当金種の硬貨を収納しない収納ユニット34においては、図11に示すように、払出モータ65が駆動しない。そのため、収納部50に収納された硬貨は、搬出ベルト53の変位により左方に向けて搬出されるが、払出ベルト63が変位しないため、収納部50に滞留することになる。
【0064】
一方、該当金種の硬貨を収納する収納ユニット34においては、図12に示すように、払出モータ65が駆動する。このように払出モータ65が駆動することにより、左側の払出プーリ61が前方から見て反時計回りに回転する。このように左側の払出プーリ61が前方から見て反時計回りに回転することで、払出ベルト63は、上方プーリ間延在部分が左方に向けて変位しつつ下方プーリ間延在部分が右方に向けて変位する。
【0065】
これにより搬出ベルト53により左方側に向けて搬出された硬貨は、払出ベルト63の変位により左方に向けて送られるが、その途中でリバースローラ66により払出ベルト63の上方プーリ間延在部分で硬貨同士が重なりあうことが規制され、更にガイド部材67により払出ベルト63の上方プーリ間延在部分に1枚ずつ載置された状態で払い出される。
【0066】
このようにして払出部60より1枚ずつ払い出された硬貨は、繰出ベルト73の変位により繰出路43aを通過して出金搬送部14に繰り出される。かかる繰出路43aを通過する硬貨については繰出検知部76により真偽及び枚数が検知され、所定枚数の硬貨が繰り出されたことが繰出検知部76により検知された場合、制御部20が搬出モータ55及び繰出モータ75に指令を与えて駆動停止にさえるとともに、駆動中の払出モータ65に指令を与えて駆動停止にさせる。
【0067】
これにより硬貨収納庫30は、出金指令に応じた所定枚数の該当硬貨を出金搬送部14に繰り出すことができる。
【0068】
以上説明したように、本発明の実施の形態である硬貨収納庫30によれば、収納ユニット34が収納部50、払出部60及び繰出部70を有して金種毎にユニット化されて構成されているので、適用される硬貨処理装置1の運用に応じて必要とされる金種の収納ユニット34のみで構成することができる。つまり、硬貨処理装置1が例えば1円硬貨等の特定の金種を取り扱わない場合には、該特定の金種の収納ユニット34を排除してデッドスペースが形成されてしまうことを防止することができ、しかも硬貨処理装置1が例えば10円硬貨等の特定の金種の収納数を増大させたい場合には、該特定の金種の収納ユニット34の数を増大させることで達成することができる。これにより弾力的な運用を可能とするとともに、収納効率の向上を図ることができる。
【0069】
上記硬貨収納庫30によれば、金種毎にユニット化された収納ユニット34は、ユニット本体40に対して無端状に張設された搬出ベルト53により構成され、かつ該搬出ベルト53に硬貨を積層した状態で収納する収納部50と、ユニット本体40において搬出ベルト53の搬出方向下流側に無端状に張設された払出ベルト63により構成され、出金指令に応じて払出ベルト63が変位する場合に、収納部50に収納された硬貨を1枚ずつ払い出す払出部60と、ユニット本体40において払出ベルト63の払出方向下流側に無端状に張設された繰出ベルト73により構成され、払出ベルト63の変位により払い出された硬貨の真偽を判定しつつ所定枚数の硬貨を下流側の出金搬送部14に繰り出す繰出部70とを備えているので、収納対象となる硬貨に応じた寸法で各ベルト53等をユニット本体40に配設すればよい。そして、そのような収納ユニット34を並設させるだけで硬貨収納庫30を構成でき、組立作業を容易なものとすることができる。
【0070】
上記硬貨収納庫30によれば、伝達ロッド54が、前後方向に沿って並設されたすべての収納ユニット34における左側の搬出プーリ51の軸孔51aを貫通し、搬出モータ55の駆動により自身の中心軸回りに回転して該左側の搬出プーリ51を回転させるので、駆動源を共通化させることができ、部品点数の削減により製造コストの増大化を抑制することができる。しかも左側の搬出プーリ51同士を連結等させることなく、伝達ロッド54を貫通させるようにしているので、搬出モータ55の駆動力を効率よくそれぞれの搬出プーリ51に伝達することができ、硬貨が積層された状態で収納される収納部50においても搬出ベルト53を良好に変位させることができる。
【0071】
上記硬貨収納庫30によれば、各収納ユニット34を構成する左側の繰出プーリ71は、他の収納ユニット34における左側の繰出プーリ71と連結してあるので、繰出モータ75の駆動によりすべての収納ユニット34における左側の繰出プーリ71を回転させて繰出ベルト73を変位させることができる。これにより駆動源を共通化させることができ、部品点数の削減により製造コストの増大化を抑制することができる。
【0072】
上記硬貨収納庫30においては、ユニット本体40が次のように構成してある。
【0073】
図13に示すように、ユニット本体40は、右側の搬出プーリ52の上方側に、湾曲状部分44が形成してある。この湾曲状部分44は、収納部50の右端部分を構成するものであり、下方に向けて段付きの壁44aが形成してある。そして、湾曲状部分44における前後方向の中央部分に形成された段付きの壁44aは、下端部が搬出ベルト53に近接しており、該搬出ベルト53との隙間が硬貨の厚みよりも小さい大きさとされている。
【0074】
これに対し従来は、収納部の右端部分を構成する領域において、搬出ベルトに対して近接するように複数のリブが設けられたものが知られている。しかしながら、リブが摩耗等により変形してしまうと、リブ間やリブと搬出ベルトとの間に硬貨が進入してしまう虞れがあり、好ましいものではなかった。
【0075】
その点、上記湾曲部分では段付きの壁44aが形成してあるので、摩耗等により変形する虞れもなく、硬貨が湾曲状部分44と搬出ベルト53との間に入り込むことを防止することができる。
【0076】
図14に示すように、ユニット本体40における搬出ベルト53の上方プーリ間延在部分を載置するベース部45には、左右方向に沿って延在する複数(図示の例では2つ)の長尺状リブ45aが形成してある。
【0077】
このような長尺状リブ45aは、次のような寸法を有している。図15に示すように、後方側の長尺状リブ45aと搬出ベルト53の後端部分との離間距離がL1であり、後方側の長尺状リブ45aと前方側の長尺状リブ45aの離間距離がL2であり、前方側の長尺状リブ45aと搬出ベルト53の前端部分との離間距離がL3であり、これらL1~L3は、いずれも搬出ベルト53の積層される硬貨の外径よりも小さいものである。
【0078】
これにより搬出ベルト53の上方プーリ間延在部分に載置される硬貨は、いずれかの長尺状リブ45aの上方域に配置されることとなり、搬出ベルト53が変位する際にベース部45と摺接することによる摩耗等の変形を抑制することができ、耐久性の向上を図ることができる。
【0079】
図16及び図17に示すように、ユニット本体40においては、前側本体壁部41における収納部50の前方側となる収納部対応部分411よりも後側本体壁部42における収納部50の後方側となる収納部対応部分421の方が上方に突出するように形成してある。これにより後側本体壁部42の収納部対応部分421は、図15にも示すように、該ユニット本体40よりも後方側となる他のユニット本体40の後側本体壁部42の収納部対応部分421の前面と対向可能であり、該収納部対応部分421と収納部50の前後寸法を規定している。
【0080】
このような後側本体壁部42の収納部対応部分421の前面及び後面には、搬出ベルト53における上方プーリ間延在部分と平行となる態様で2本の長尺凸状部421aが形成してある。これら2本の長尺凸状部421aの離間距離は、最も外径の小さい硬貨(例えば1円硬貨)の外径よりも小さいものとされる。
【0081】
このように後側本体壁部42の収納部対応部分421の前面及び後面に長尺凸状部421aが形成してあることにより、収納部50に積層された状態で収納された硬貨が起立姿勢で該収納部対応部分421の前面若しくは後面に接触する際に、該収納部対応部分421の前面若しくは後面に表面張力等により張り付くことを防止することができる。
【0082】
しかも後側本体壁部42の収納部対応部分421の前面及び後面で収納部50の前後寸法を規定することができ、収納部50の容積を増大化させることができる。
【0083】
図18及び図19に示すように、ユニット本体40においては、払出部60を構成する払出ベルト63の上方プーリ間延在部分の前側部分461及び後側部分462が、搬出ベルト53の前後寸法よりも拡径となりつつ、払出方向下流側に向けて前後寸法が漸次小さくなるように構成してある。また前側部分461及び後側部分462は、該上方プーリ間延在部分と略同一の平面を構成している。
【0084】
これに対し従来は、上記前側部分及び上記後側部分が払出ベルトから離隔するに連れて漸次上方に傾斜する傾斜部分となるものが知られている。この場合、払出ベルトが変位しても傾斜部分によりかかった硬貨がそのまま回転し続けることで払い出すことができず、結果的に、硬貨が滞留してしまう虞れがあった。
【0085】
その点、上記ユニット本体40においては、上記前側部分461及び上記後側部分462が搬出ベルト53の前後寸法より拡径となることにより、搬出ベルト53より搬出された硬貨をスムーズに受け入れることができる。しかも、上記前側部分461及び上記後側部分462が、払出方向下流側に向けて前後方向が漸次小さくなるように構成しつつ、払出ベルト63の上方プーリ間延在部分と略同一の平面を構成しているので、図20に示すように、硬貨がよりかかって回転することもなく、繰出部70に向けて払い出すことができる。
【0086】
以上、本発明の好適な実施の形態について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、種々の変更を行うことができる。
【0087】
上述した実施の形態では、ユニット本体40同士を連結させて収納ユニット34を並設させていたが、本発明においては、ユニット本体同士を係合手段を用いて係合させるようにして、収納ユニットを並設させるようにしてもよい。
【符号の説明】
【0088】
1…硬貨処理装置、10…硬貨搬送機構、11…入金搬送部、12…一時保留部、13…硬貨振分部、14…出金搬送部、15…切換ゲート群、16…検銭部、20…制御部、30…硬貨収納庫、34…収納ユニット、40…ユニット本体、41…前側本体壁部、42…後側本体壁部、50…収納部、51,52…搬出プーリ、53…搬出ベルト、54…伝達ロッド、55…搬出モータ、60…払出部、61,62…払出プーリ、63…払出ベルト、65…払出モータ、66…リバースローラ、67…ガイド部材、70…繰出部、71,72…繰出プーリ、73…繰出ベルト、75…繰出モータ、76…繰出検知部。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
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