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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-23
(45)【発行日】2025-01-07
(54)【発明の名称】発泡用部材および発泡方法
(51)【国際特許分類】
   B65D 85/73 20060101AFI20241224BHJP
   B65D 25/48 20060101ALI20241224BHJP
【FI】
B65D85/73
B65D25/48 A
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2021019997
(22)【出願日】2021-02-10
(65)【公開番号】P2021175679
(43)【公開日】2021-11-04
【審査請求日】2024-01-24
(31)【優先権主張番号】P 2020078404
(32)【優先日】2020-04-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000003193
【氏名又は名称】TOPPANホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【弁理士】
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100139686
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 史朗
(74)【代理人】
【識別番号】100169764
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 雄一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100147267
【弁理士】
【氏名又は名称】大槻 真紀子
(72)【発明者】
【氏名】落合 功
(72)【発明者】
【氏名】河野 光太郎
(72)【発明者】
【氏名】加納 博明
(72)【発明者】
【氏名】村上 正昭
【審査官】杉田 剛謙
(56)【参考文献】
【文献】特開2004-123233(JP,A)
【文献】実開昭56-094729(JP,U)
【文献】特開平02-098550(JP,A)
【文献】特開平06-345097(JP,A)
【文献】特開2020-189661(JP,A)
【文献】特開2019-137415(JP,A)
【文献】米国特許第05823384(US,A)
【文献】実開昭48-041658(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 85/73
B65D 25/48
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
炭酸飲料を収納する収納容器の注ぎ口側の一端に配置され、炭酸飲料の発泡を促進する発泡用部材であって、
収納容器の注ぎ口側の一端に固定可能な固定部と、前記固定部に連結され、炭酸飲料をその表面に接触させつつ流下させながら発泡させる発泡部を有し、
前記発泡部の幅方向の中心線が前記注ぎ口の開口面に対してなす角度が、80°以上170°以下であり、
前記固定部が、使用者が炭酸飲料を注ぐときに収納容器を保持する部位に設けられていることを特徴とする発泡用部材。
【請求項2】
前記発泡部の幅方向の中心線が前記注ぎ口の開口面に対してなす角度が、より好ましくは、100°以上130°以下であることを特徴とする請求項1に記載の発泡用部材。
【請求項3】
前記発泡部の前記表面が、微小な凹凸構造を有する部材からなることを特徴とする請求項1または2に記載の発泡用部材。
【請求項4】
前記微小な凹凸構造を有する部材が濾紙又は不織布、もしくは粗面化加工された紙、樹脂フィルム又は樹脂シートであることを特徴とする請求項3に記載の発泡用部材。
【請求項5】
炭酸飲料が溜まるポケット部をさらに有することを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の発泡用部材。
【請求項6】
前記発泡部が、前記表面側に凹の形状となる様に幅方向で湾曲または屈曲していることを特徴とする請求項1から5のいずれかに記載の発泡用部材。
【請求項7】
請求項1から6のいずれかに記載の発泡用部材の固定部を炭酸飲料の収納容器の注ぎ口側の一端に固定し、炭酸飲料を注ぎ口から注出させて前記発泡用部材の発泡部の表面に接触させて発泡させながら流下させて飲用容器に注入する、炭酸飲料の発泡方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ビール、コーラ等の炭酸飲料を、容器から注出する際に泡立たせるための発泡用部材に関する。
【背景技術】
【0002】
ビール等の炭酸を含んだ飲料をコップ等の飲用容器に注いだとき、泡立ちが良いことが好まれている。泡立ちが良いとは、注いだときに細かく均一な、いわゆるクリーミーな泡が形成されることとされる。業務用などのビールサーバーではこのような泡立ち機能が実現されているが、業務用のビールサーバーは構造が大きく複雑で、低価格で提供することが難しい上に、洗浄等の手入れ作業も面倒である。そのため例えば特許文献1の様に、飲料缶に泡立て器を装着する方法が提案されている。これらの泡立て器は、多孔質である陶器の気孔に内包される空気によって、ビール等の飲料内の飽和ガスのガス化を助長して泡を細かく出す様にしている。
【0003】
また特許文献2には、缶に装着されるキャップであって、缶の開口部に対向する部位に多数の気孔のある紙部を設けたキャップが開示され、注出された開口部から注出された飲料が紙部に接触することで細かい泡が発生するとしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2002-332052号公報
【文献】特開2007-297129号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、特許文献1に記載されたような陶器を利用した発泡注出器は、陶器が破損する恐れがあり、構造もなお複雑であり、コストがかかるという問題があった。また特許文献2のキャップでは開口部と紙部が近接しすぎていて発泡の効率が悪く、キャップからの注ぎ口と開口部が反対側となるため飲料を完全に注ぎ出し難いという問題があった。
【0006】
そこで本発明は、より簡便な構造で、注ぎやすく、低コストの発泡用部材を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するための本発明の一側面は、炭酸飲料を収納する収納容器の注ぎ口側の一端に配置され、炭酸飲料の発泡を促進する発泡用部材であって、
収納容器の注ぎ口側の一端に固定可能な固定部と、前記固定部に連結され、炭酸飲料をその表面に接触させつつ流下させながら発泡させる発泡部を有し、
前記発泡部の幅方向の中心線が前記注ぎ口の開口面に対してなす角度が、80°以上170°以下であり、
前記固定部が、使用者が炭酸飲料を注ぐときに収納容器を保持する部位に設けられていることを特徴とする発泡用部材である。
【0008】
炭酸飲料が注ぎ口から注出され、発泡部を流下するときに、注ぎ口の開口面に対して所定の角度となる様に設けられた発泡部の表面に接触しながら流下することで発泡が促進され、泡立ち良く注出することができる。
【0009】
上記発泡用部材において、前記発泡部の幅方向の中心線が前記注ぎ口の開口面に対してなす角度が、100°以上130°以下であるとより好ましい。収納容器を傾ける角度が
小さくて済み、注ぎやすい。
【0010】
上記発泡用部材において、前記発泡部の前記表面が、微小な凹凸構造を有する部材からなると好ましい。泡立ちがより起きやすくなる。
【0011】
上記発泡用部材において、前記微小な凹凸構造を有する部材が濾紙又は不織布、もしくは粗面化加工された紙、樹脂フィルム又は樹脂シートであると好ましい。凹凸構造が緻密で均一であり、きれいな泡立てがしやすく、入手しやすく、コストも低い。
【0012】
上記発泡用部材において、炭酸飲料が溜まるポケット部をさらに有すると好ましい。注ぎ終わった収納容器を正立させたとき発泡部に残留した飲料がポケット部に貯留することで飲料が収納容器の底部側に漏れ出ることがない。
【0013】
上記発泡用部材において、前記発泡部が、前記表面側に凹となる様に幅方向で湾曲または屈曲している形状であると好ましい。発泡部が収納容器の注ぎ口側の一端に取り付けると、発泡部が収納容器の側面に沿って外側に凸の形状に湾曲または折れ曲がった形状となり、変形しにくく、注出された飲料が零れにくい。
【0015】
上記発泡用部材は、固定部が、使用者が炭酸飲料を注ぐときに収納容器を保持する部位に設けられているため、収納容器を持つときに同時に発泡用部材を保持でき、固定のための特別な部材が不要で、発泡用部材の位置調整が容易である。
【0016】
上記発泡用部材において、前記発泡部と、収納容器の注ぎ口の距離が、5mm以上離れていると好ましい。飲料の落下速度が増して発泡が起きやすい。
【0017】
また本発明の一側面は、上記発泡用部材の固定部を炭酸飲料の収納容器の注ぎ口側の一端に固定し、炭酸飲料を注ぎ口から注出させて上記発泡用部材の発泡部の表面に接触させて発泡させながら流下させて飲用容器に注入する、炭酸飲料の発泡方法である。
【発明の効果】
【0018】
本発明の発泡用部材によれば、収納容器の注ぎ口から注出された炭酸飲料が発泡部を流下するときに、発泡部の表面に接触しながら流下することで発泡が促進され、泡立ち良く注出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本発明の発泡用部材の一実施形態の展開図である。
図2】本発明の発泡用部材の一実施形態をビール缶に装着した状態の側面図である。
図3】缶ビールを注出する様子の説明図である。
図4】本発明の発泡用部材の第二の実施形態の説明図である。
図5】本発明の発泡用部材の第三の実施形態の説明図である。
図6】本発明の発泡用部材の第四の実施形態の説明図である。
図7】本発明の発泡用部材の第五の実施形態の説明図である。
図8】本発明の発泡用部材の第六の実施形態の説明図である。
図9】本発明の発泡用部材の第七の実施形態の展開図である。
図10】本発明の発泡用部材の第七の実施形態をビール缶に装着した状態の側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の実施の形態を、図面を参照しながら詳細に説明する。なお本発明は以下に説明する実施形態に限定されるものではない。また以下に示す実施形態では、発明を実施するために技術的に好ましい限定がなされているが、この限定は本発明の必須要件ではない。
【0021】
図1は、発明の発泡用部材の一実施形態の展開図である。発泡用部材10は炭酸飲料の収納容器の注ぎ口側の端部に装着するための帯状の固定部12と、注ぎ口から注出される炭酸飲料を飲用容器にガイドしながら発泡を促進する舌片状の発泡部11を有している。固定部12と発泡部11は連結部13で連結されて一体となっている。炭酸飲料の典型的なものとしてはビールが挙げられるため、以下ではビールとして説明する。
【0022】
発泡部11の表面、すなわち注出されるビールが流下してゆく表面には、微小な凹凸構造を有する部材である濾紙14が装着されている。濾紙14の装着は公知の接着方法を適宜採用して行えば良い。なお微小な凹凸構造を有する部材としては、濾紙に限定されるものではなく、表面に微小な凹凸構造が形成された材料であればいずれも好適に使用でき、例えば、濾紙以外の紙、不織布、樹脂フィルム又はシートの表面を粗面化加工をしたものなどが例示できるが、濾紙は表面に緻密で均一な凹凸構造が形成されており、入手が容易で加工性が良く、安価でもあるので特に好ましい。
【0023】
発泡部11はまた、矢印Aの方向を幅方向として、中心線16の部分が底となる様に表面側が凹となる様に幅方向で湾曲している。中心線16の部分が折れ目となって屈曲していても良い。折れ目は中心線16以外に複数設けられても良い。こうすることでビールを流下させたときに側方に零れにくくできる。発泡部11の幅方向に直交する方向、すなわちビールが流下する方向の、ビール缶に装着したときのビール缶の縁から先端までの長さ(図2に示す長さL)は30~80mmが好ましく、40~60mmがより好ましい。短すぎると発泡の効果が弱くなり、長すぎると取り扱い難くなり、また変形しやすくなる。
【0024】
固定部12はビール缶の注ぎ口側の端部に巻き付けて固定できるように帯状となっている。固定部12には折り畳んで収納しやすい様に折り目15を設けても良い。図2は発泡用部材10をビール缶100の注ぎ口が設けられている面101側の端部に装着した状態の側面図である。また図3は缶ビールを注出する様子の説明図である。ビール缶100の注ぎ口側の端部には若干外側に膨出した縁106が周回していることが多く、縁106に引っ掛ける様にして固定することで固定部12が外れにくくできるため、ひっかけやすい様に固定部12の一方の側を波型にしている。固定部12をビール缶に巻き付けて固定するためには、例えば固定部の一端に粘着シール17を設けて反対側の端部と貼り合わせる様にしても良く、またこれに限定されず、例えば互いに噛み合うような切れ目を両端に設ける、固定部12のビール缶100に接する側の面に粘着剤層を設けてビール缶100に貼着するなどしても良い。また発泡部材が樹脂からなる場合、熱圧着でもよい。
【0025】
濾紙14が装着される発泡部11の本体、発泡部11に連結された連結部13および固定部12の材料は、耐水性のある薄片状の素材であれば特に制限はなく、例えばプラスチックシート、厚紙、合成紙、ラミネート紙、金属箔、ゴムシート、木材などから適宜選択できる。
【0026】
発泡用部材10をビール缶100に装着する際は、連結部13をビール缶100に対して外側に折り返し、発泡部11を再度折り返して装着する。こうすることで、発泡部11の中心線16の部位と注ぎ口の開口面(注ぎ口が設けられている面101と略同一である)との角度θを調節しやすくできると共に、連結部13と発泡部11に挟まれた窪んだ領域をポケット部18として利用できる。角度θは、図2に示す様に80°以上170°以下であり、100°以上130°以下とすると注出したビールが注ぎやすくなりより好ましい。
【0027】
ビール缶100のプルタブを開けて、注ぎ口102からビールを注出するときは、まず発泡用部材10を装着しない状態で飲用容器200の約70%に通常の液状のビールを注ぎ、液状のビール層104とする。次いで、発泡用部材10を装着し、残りの30%を注出する。このとき注出されたビール103は、発泡部11の表面に落下し、表面に接しながら流下してゆき、表面に設けられた濾紙14により発泡が促進され、細かな泡となって飲用容器200に注がれ、きめの細かい泡の層105が形成される。一般に液状の部分と泡の部分の比率は70:30が良いとされるため、上記の様な手順とするが、この比率は消費者の好みに応じて適宜変えても良いことは言うまでもない。
【0028】
ポケット部18は、図2及び3に示す様にビール缶100を傾けてビールを注出した後、ビール缶100を正立させたとき、発泡部11上に残留していた僅かなビールが逆方向に流れるが、その逆流したビールを受け止めることでビール缶100の底部側に漏れ出るのを防ぐ効果がある。注出されたビールは主に発泡部11の幅方向の中央部付近を流下し、また残留する分量はわずかであるので十分受け止めることができる。
【0029】
図4は、本発明の発泡用部材の第二の実施形態の説明図である。本実施形態の発泡部材20では、発泡部材20がボックス状に形成され、底の部分にビール缶100を挿入できる孔が設けられ、ビール缶100の注ぎ口側の一端に被せる様に固定される。固定部22の固定機構としてはフラップ状の部分を設けて縁106に引っ掛けるなどすればよい。ボックスの天面部にジッパー部などで区画されて発泡部21が形成さており、ジッパー部を切り裂いて発泡部21を立ち上げることで所定の角度の発泡部21とすることができる。注ぎ方は上述の形態と同様、発泡用部材20を取り付けない状態で70%程度まで液状のビールを注ぎ、その後発泡用部材20を装着して発泡させながら泡状のビールを注ぐ。
【0030】
図5は、本発明の発泡用部材の第三の実施形態の説明図である。本形態の発泡用部材30は、コート紙などの厚紙を左側の図のように打ち抜き、オーバル形部分を固定部32とし、舌片状に張り出した部分に濾紙を貼着して発泡部31としたものである。ビール缶100に装着するときには、発泡部31が注ぎ口102の部位に来るように固定部32をビール缶100の胴部に巻き付け、ビール缶100と共に手で把持して固定する。発泡用部材30の位置調整が容易である。
【0031】
図6は、本発明の発泡用部材の第四の実施形態の説明図である。本形態の発泡用部材40は、コート紙などの厚紙を左側の図のように打ち抜き、下側の帯状部分を固定部42とし、舌片状に張り出した部分に濾紙を貼着して発泡部41としたものである。固定部42の左右両端を貼り合わせて円筒状とし、上述と同様に液状のビールを注ぎ終わった後にビール缶100の胴部に円筒状の固定部42を装着し、発泡部42の表面でビールを発泡させながら注出する。円筒状とした固定部42でビール缶100の胴部に装着できるので、装着が安定する。
【0032】
図7は、本発明の発泡用部材の第五の実施形態の説明図である。本形態の発泡用部材40は、コート紙などの厚紙を左側の図のように打ち抜き、濾紙を貼着して発泡部51とし、その一端の両側に紐52を取り付けて固定部としたものである。紐52の材質は特に限定されず、例えばタコ糸、ビニール紐、ゴム紐などが例示できる。ビール缶100に装着する際には紐52をプルタブ107に引っ掛ける様にしてビール缶100に装着する。注ぎ方は上述の実施形態と同様である。
【0033】
図8は、本発明の発泡用部材の第六の実施形態の説明図である。本形態の発泡用部材60は、コート紙などの厚紙を扇型に打ち抜き、これを丸めて端部を貼り合わせて漏斗状に形成する。漏斗状部分の内面に濾紙を貼着して発泡部61とする。漏斗状部分の直径が大きい端部を固定部62とし、ビール缶100の端部に嵌め込むようにして装着する。固定部62には固定のためのフラップ構造などを設けても良い。注ぎ方は上述の実施形態と同様である。
【0034】
図9は本発明の発泡用部材の第七の実施形態の展開図である。本形態の発泡用部材70は、濾紙などの厚紙を中央部が3cm~7cm突出する帯状に打ち抜き、これを丸めてリング状に形成する。濾紙で作成すれば、発泡部を別途設ける必要はない。そして、リング状の部分をビール缶の縁106に嵌め込むようにして装着する。図10は、ビール缶100に嵌め込んだ状態の側面図である。なお、流通時には突出を有する位置を中心として2つ折りし、平面にすることができる。なお、図9に示すように、突出を有する位置7に中心線76を設けてもよい。中心線から折ることにより、発泡部がV字状となり、ビールを中心線の延長方向に注ぎやすくなる。また、図9において、77は発泡用部材70の一端に設けた糊代を示している。
【0035】
以上説明したように、本発明の発泡用部材によれば、収納容器の注ぎ口から注出されたビールなどの炭酸飲料が発泡部を流下するときに、発泡部の表面に接触しながら流下することで濾紙などにより発泡が促進され、泡立ち良く注出することができる。
【実施例
【0036】
<実施例1~21>
図1に例示した形状の発泡用部材をコート紙で作製し、発泡部に濾紙を貼り付けた。
・缶ビールを開栓し、コップの容量の約70%までなるべく泡立てない様に液状のビールを注いだ。
・缶ビールの缶の注ぎ口側の端部に発泡用部材を装着し、発泡部の注ぎ口の開口面に対する角度(θ)を5~200°となる様に約10°刻みで傾け、ビールを発泡部で発泡させながら流下させて注いだ。それぞれの実施例につき、下記評価を行った。
・コップに形成された泡の層の厚み(泡立ち)を計測(mm)した。
・泡のきめ細かさを目視にて評価した(◎:非常に良い、〇:良い、△:可、×:不可)。なお、きめ細かな泡は、きめの粗い泡に比べて長い間存在する。
・注ぎやすさ 缶ビールをコップに注ぎやすいか否かを評価した(◎:非常に良い、〇:良い、△:可、×:不可)。
・総合評価 上記3項目を総合した評価を行った(◎:非常に良い、〇:良い、△:可、×:不可)。
【0037】
結果を表1に示す。なお、表中の距離とは、注ぎ口から発泡部のビールが当たる部分までの距離をいう。
【0038】
【表1】
【0039】
<実施例22~26>
図4~8に例示した形状の発泡用部材をコート紙で作製し、発泡部に濾紙を貼り付けた。
・それ以外は実施例1~21と同様にして注出、計測、評価を行った。
・結果を表2に示す。
【0040】
【表2】
【0041】
<実施例27>
図9~10に例示した形状の発泡用部材70を濾紙で作成した。
・それ以外は実施例1~26と同様にして注出、計測、評価を行った。
・結果を表3に示す。
【0042】
【表3】
【0043】
よって、発泡部の幅方向の中心線が前記注ぎ口の開口面に対してなす角度が、80°以上170°以下であれば泡立ちやきめ細やかさが良好で、さらに、100°以上130°以下であれば注ぎやすいことが判明した。
【符号の説明】
【0044】
10、20、30、40、50、60、70・・・発泡用部材
11、21、31、41、51、61・・・発泡部
12、22、32、42、52、62・・・固定部
13・・・連結部
14・・・濾紙
15・・・折り目
16・・・中心線
17・・・粘着シール
18・・・ポケット部
76・・・中心線
77・・・糊代
100・・・ビール缶
101・・・注ぎ口が設けられている面
102・・・注ぎ口
103・・・ビール
104・・・液状のビール層
105・・・泡の層
200・・・飲用容器
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10