(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-23
(45)【発行日】2025-01-07
(54)【発明の名称】エレベーターのドアの状態判定装置およびエレベーターのドアの制御装置
(51)【国際特許分類】
B66B 13/28 20060101AFI20241224BHJP
【FI】
B66B13/28 F
(21)【出願番号】P 2021039640
(22)【出願日】2021-03-11
【審査請求日】2023-10-12
(73)【特許権者】
【識別番号】000006013
【氏名又は名称】三菱電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003199
【氏名又は名称】弁理士法人高田・高橋国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】垂石 圭悟
(72)【発明者】
【氏名】湯浅 英治
【審査官】板澤 敏明
(56)【参考文献】
【文献】特開2004-299875(JP,A)
【文献】特表2009-515798(JP,A)
【文献】特開2011-241044(JP,A)
【文献】特開2012-079140(JP,A)
【文献】特開2007-210710(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B66B 13/00-13/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
エレベーターのドアの出入口を囲うドアフレームまたは前記出入口で開閉するドアパネルの少なくとも一方において前記ドアパネルの開閉方向に沿う面に設けられ、被検出体に押されるときに押圧位置を検出するセンサと、
前記センサが検出する前記被検出体の押圧位置の変化を時系列データとして記憶する記憶部と、
前記記憶部が記憶する前記時系列データに基づいて、前記被検出体の押圧位置の連続的な移動を検出するときに、前記被検出体の押圧位置の
前記センサ上の移動方向を算出する演算部と、
前記演算部が算出する前記被検出体の押圧位置の移動方向に基づいて、前記被検出体によるエレベーターのドアの状態の変化を判定する判定部と、
を備えるエレベーターのドアの状態判定装置。
【請求項2】
前記センサは、前記ドアフレームまたは前記ドアパネルに着脱可能に取り付けられる
請求項1に記載のエレベーターのドアの状態判定装置。
【請求項3】
前記判定部は、前記ドアパネルの開閉動作の間に前記演算部が前記被検出体の押圧位置の連続的な移動を検出するときに、前記被検出体によるエレベーターのドアの状態が異常な状態になったと判定する
請求項1または請求項2に記載のエレベーターのドアの状態判定装置。
【請求項4】
前記センサは、前記ドアパネルに設けられ、
前記判定部は、前記ドアパネルの開閉動作の間に前記演算部が前記被検出体の押圧位置の連続的な移動を検出するときに、前記演算部の算出する前記被検出体の押圧位置の移動方向が前記ドアパネルの開閉動作の方向の逆方向である場合に、異常な状態として前記被検出体がこすれている状態になったと判定する
請求項3に記載のエレベーターのドアの状態判定装置。
【請求項5】
前記センサは、前記ドアパネルに設けられ、
前記判定部は、前記ドアパネルの開閉動作の間に前記演算部が前記出入口の外側における前記被検出体の押圧位置の連続的な移動を検出するときに、前記演算部の算出する前記被検出体の押圧位置の移動方向が前記ドアパネルの開閉動作の方向の逆方向である場合に、異常な状態として前記被検出体が引き込まれている状態になったと判定する
請求項3または請求項4に記載のエレベーターのドアの状態判定装置。
【請求項6】
前記センサは、前記ドアフレームに設けられ、
前記判定部は、前記ドアパネルの開閉動作の間に前記演算部が前記被検出体の押圧位置の連続的な移動を検出するときに、前記演算部の算出する前記被検出体の押圧位置の移動方向が前記ドアパネルの開閉動作の方向の同方向である場合に、異常な状態として前記被検出体が引き込まれている状態になったと判定する
請求項3に記載のエレベーターのドアの状態判定装置。
【請求項7】
請求項1から請求項6のいずれか一項に記載のエレベーターのドアの状態判定装置と、
前記状態判定装置が判定するドアの状態の変化に基づいて、前記ドアパネルの開閉動作を制御する制御部と、
を備えるエレベーターのドアの制御装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、エレベーターのドアの状態判定装置およびエレベーターのドアの制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、エレベーターのドアの例を開示する。ドアにおいて、ドアパネルに複数の圧力センサが配置される。圧力センサによって、ドアへの異物の挟み込みが検出される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1のエレベーターのドアにおいて、圧力センサは、ドアパネルの戸先側の端部に配置される。このため、紐または利用者の手などの被検出体がドアパネルの戸先に当たらない場合に、被検出体によるドアの状態の変化が判定されない。
【0005】
本開示は、このような課題の解決に係るものである。本開示は、エレベーターのドアのドアパネルの戸先に当たらない被検出体によるドアの状態の変化を判定できる状態判定装置および制御装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示に係るエレベーターのドアの状態判定装置は、エレベーターのドアの出入口を囲うドアフレームまたは前記出入口で開閉するドアパネルの少なくとも一方において前記ドアパネルの開閉方向に沿う面に設けられ、被検出体に押されるときに押圧位置を検出するセンサと、前記センサが検出する前記被検出体の押圧位置の変化を時系列データとして記憶する記憶部と、前記記憶部が記憶する前記時系列データに基づいて、前記被検出体の押圧位置の連続的な移動を検出するときに、前記被検出体の押圧位置の前記センサ上の移動方向を算出する演算部と、前記演算部が算出する前記被検出体の押圧位置の移動方向に基づいて、前記被検出体によるエレベーターのドアの状態の変化を判定する判定部と、を備える。
【0007】
本開示に係るエレベーターのドアの制御装置は、上記のエレベーターのドアの状態判定装置と、前記状態判定装置が判定するドアの状態の変化に基づいて、前記ドアパネルの開閉動作を制御する制御部と、を備える。
【発明の効果】
【0008】
本開示に係る状態判定装置または制御装置であれば、エレベーターのドアのドアパネルの戸先に当たらない被検出体によるドアの状態の変化を判定できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】実施の形態1に係るエレベーターの構成図である。
【
図2】実施の形態1に係るかごドアの斜視図である。
【
図3】実施の形態1に係るかごドアの斜視図である。
【
図4】実施の形態1に係る制御装置の動作の例を示すフローチャートである。
【
図5】実施の形態1に係る制御装置の主要部のハードウェア構成図である。
【
図6】実施の形態2に係るかごドアの斜視図である。
【
図7】実施の形態3に係るかごドアの斜視図である。
【
図8】実施の形態3に係るかごドアの斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本開示の対象を実施するための形態について添付の図面を参照しながら説明する。各図において、同一または相当する部分には同一の符号を付して、重複する説明は適宜に簡略化または省略する。なお、本開示の対象は以下の実施の形態に限定されることなく、本開示の趣旨を逸脱しない範囲において、実施の形態の任意の構成要素の変形、または実施の形態の任意の構成要素の省略が可能である。
【0011】
実施の形態1.
図1は、実施の形態1に係るエレベーター1の構成図である。
【0012】
エレベーター1は、複数の階床を有する建物に適用される。建物において、昇降路2が設けられる。昇降路2は、複数の階床にわたる上下方向に長い空間である。各々の階床において、エレベーター1の乗場3が設けられる。乗場3は、昇降路2に隣接する場所である。各々の階床の乗場3において、乗場出入口4が設けられる。乗場出入口4は、乗場3から昇降路2に通じる開口である。各々の乗場3において、乗場ドア5が設けられる。乗場ドア5は、エレベーター1のドアの例である。乗場ドア5は、三方枠6と、乗場ドアパネル7と、を備える。三方枠6は、乗場出入口4を囲う枠である。三方枠6は、エレベーター1のドアのドアフレームの例である。乗場ドアパネル7は、乗場出入口4に配置される。乗場ドアパネル7は、乗場出入口4において開閉することで、乗場3および昇降路2を区画する機器である。この例において、乗場ドアパネル7は、左右方向に開閉する。乗場ドアパネル7は、エレベーター1のドアのドアパネルの例である。
【0013】
エレベーター1は、かご8と、制御盤9と、を備える。
【0014】
かご8は、昇降路2を上下方向に走行することで、内部に乗車している利用者などを複数の階床の間で輸送する装置である。かご8において、かご出入口10が設けられる。かご出入口10は、かご8の内部から外部に通じる開口である。かご8は、かごドア11を備える。かごドア11は、エレベーター1のドアの例である。かごドア11は、袖壁12と、かごドアパネル13と、ドア装置14と、を備える。袖壁12は、かご出入口10を囲う枠をなす。袖壁12は、エレベーター1のドアのドアフレームの例である。かごドアパネル13は、かご出入口10に配置される。かごドアパネル13は、かご出入口10において開閉することで、かご8の内部および外部を区画する機器である。この例において、かごドアパネル13は、左右方向に開閉する。かごドアパネル13は、エレベーター1のドアのドアパネルの例である。ドア装置14は、かごドアパネル13を開閉させる装置である。この例において、ドア装置14は、かごドアパネル13の上方に配置される。かごドアパネル13は、かご8がいずれかの階床に停止するときに、当該階床に設けられた乗場ドアパネル7に対向する。
【0015】
制御盤9は、エレベーター1の動作を制御する装置である。制御盤9によって制御されるエレベーター1の動作は、例えばかご8の走行、およびエレベーター1のドアのドアパネルの開閉などを含む。エレベーター1のドアのドアパネルの開閉は、例えばドア装置14を通じて次のように行われる。かご8がいずれかの階床に停止するときに、ドア装置14は、制御盤9からの制御信号に基づいてかごドアパネル13を開閉させる。このとき、かごドアパネル13は、当該階床において対向している乗場ドアパネル7を連動させて開閉させる。
【0016】
図2は、実施の形態1に係るかごドア11の斜視図である。
図2において、かごドアパネル13の前方から見た斜視図が示される。
この例において、かご8の内部からかごドアパネル13の正面に向かう方向を前方とする。
【0017】
かごドア11は、2枚のかごドアパネル13を備える。一方のかごドアパネル13は、かごドア11の左側に配置される。他方のかごドアパネル13は、かごドア11の右側に配置される。各々のかごドアパネル13において、左右方向の外側が戸尻側である。各々のかごドアパネル13において、左右方向の内側が戸先側である。各々のかごドアパネル13は、開動作の際に戸尻側に平行移動して戸袋に収められる。戸袋は、かごドアパネル13が全開しているときに収納される空間である。戸袋は、例えば袖壁12より乗場3側の空間である。各々のドアパネルは、閉動作の際に戸袋から出て戸先側に平行移動する。
【0018】
ドア装置14は、ドアモータ15と、制御部16と、を備える。ドアモータ15は、かごドアパネル13を開閉させるための駆動力を発生させる機器である。制御部16は、ドアモータ15の動作などの制御を行う部分である。制御部16は、例えば制御盤9からの制御信号などに基づいて、駆動力を発生させるようにドアモータ15を制御する。
【0019】
エレベーター1において、ドアの制御装置17が適用される。ドアの制御装置17は、かごドア11およびかごドア11に連動する乗場ドア5においてドアパネルの開閉などの制御を行う部分である。制御装置17は、ドア装置14を含む。制御装置17は、状態判定装置18を備える。状態判定装置18は、感圧シート19と、記憶部20と、演算部21と、判定部22と、を備える。記憶部20、演算部21、および判定部22は、例えば状態判定装置18の処理回路に搭載される。
【0020】
感圧シート19は、エレベーター1のドアに設けられるシート状のセンサである。感圧シート19は、かごドア11および乗場ドア5の少なくともいずれかに設けられる。感圧シート19は、エレベーター1のドアにおいて、ドアパネルおよびドアフレームの少なくともいずれかに設けられる。
【0021】
この例において、感圧シート19は、かごドア11のかごドアパネル13に設けられる。感圧シート19は、かごドアパネル13の正面に取り付けられる。かごドアパネル13の正面は、左右方向に沿う面である。感圧シート19は、被検出体に押されるときに押圧位置を検出する機能を搭載する。被検出体は、例えば利用者の手もしくは指または利用者が所持する物などである。感圧シート19は、例えば押圧による圧力を検知可能な図示されない線状の検知部を縦横に等ピッチで組み合わせたものなどである。感圧シート19は、圧力を検知した縦および横の検知部の組み合わせなどによって押圧位置を検出する。
【0022】
記憶部20は、情報を記憶する部分である。記憶部20において、感圧シート19が検出した押圧位置の変化を表す時系列データが記憶される。ここで、時系列データは、時間経過に従って計測された複数のデータの系列である。時系列データは、例えば予め設定された時間間隔で取得された複数のデータの系列である。時系列データに含まれる各々のデータは、感圧シート19が検出した押圧位置を表すデータである。
【0023】
演算部21は、押圧位置の変化を表す時系列データに基づいて、押圧位置の連続的な移動を検出する機能を搭載する。演算部21は、押圧位置の変化を表す時系列データを記憶部20から読み込む。演算部21は、押圧位置の連続的な移動を検出するときに、押圧位置の移動方向を算出する。例えば押圧位置が左側に連続的に移動するときに、演算部21は、押圧位置の移動方向を左側と算出する。また、押圧位置が右側に連続的に移動するときに、演算部21は、押圧位置の移動方向を右側と算出する。この間に、押圧位置は下方向にも合わせて連続的に移動していてもよい。
【0024】
判定部22は、演算部21が算出する押圧位置の移動方向に基づいて、被検出体によるエレベーター1のドアの状態の変化を判定する。この例において、判定部22は、被検出体によるかごドア11の状態の変化を判定する。かごドア11の状態は、例えば通常状態、および異常状態を含む。通常状態は、通常運転におけるかごドア11の状態である。通常状態は、例えばかごドアパネル13に被検出体が当たらない状態などである。異常状態は、通常状態ではない状態である。異常状態は、操作状態を含む。操作状態は、かごドア11に対して利用者が操作を行っている状態などである。このとき、被検出体は、当該操作を行っている利用者の手などである。利用者による操作は、例えばかごドアパネル13の開閉の緊急停止、または反転などを含む。異常状態は、例えば、かごドアパネル13に被検出体がこすれている状態、または戸袋に被検出体が引き込まれている状態などの利用者の意図によらない状態を含んでもよい。
【0025】
エレベーター1において、かご操作盤23が設けられる。かご操作盤23は、かご8の内部において利用者による操作を受け付ける部分である。かご操作盤23が受け付ける操作は、かご呼びの登録の操作、およびかごドアパネル13の開閉の操作などを含む。かご操作盤23は、例えば袖壁12に設けられる。かご操作盤23は、受け付けた操作に基づく制御信号をドア装置14の制御部16などに出力する。かご操作盤23は、制御盤9などを通じて制御信号を出力してもよい。
【0026】
図3は、実施の形態1に係るかごドア11の斜視図である。
図3において、
図2の状態からかごドアパネル13が開いている途中の図が示される。
【0027】
エレベーター1において、利用者が所持しているものまたは利用者の手などが開いているかごドアパネル13に接触しているときに、利用者の手などがかごドアパネル13とともに戸袋に引き込まれそうになることがありうる。このような場合に、当該利用者または他の利用者は、かごドアパネル13の開動作を停止させ、または反転させる操作を行おうとする。操作を行うとする利用者は、例えばかご操作盤23を通じてかごドアパネル13の開動作に対する操作を行う。
【0028】
一方、混雑時または緊急時などにおいて、操作を行おうとする利用者の手がかご操作盤23に届かないことがある。このとき、当該利用者は、例えば次のようにかごドアパネル13に設けられた感圧シート19を通じてかごドアパネル13の開動作に対する操作を行う。
【0029】
利用者は、感圧シート19に手を触れて正面から乗場3側に押し込む。利用者が感圧シート19を押し込んでいる間、押圧位置は移動しない。このとき、感圧シート19は、利用者による押圧を検出する。記憶部20は、検出された押圧位置の時系列データを記憶する。演算部21は、記憶部20が記憶した時系列データに基づいて、押圧位置が移動していないことを検出する。判定部22は、演算部21の検出結果に基づいて、かごドア11の状態が通常状態から利用者の押し込み操作に対応する操作状態に変化したと判定する。判定部22は、判定結果をドア装置14の制御部16に出力する。あるいは、判定部22は、制御盤9を通じて判定結果をドア装置14の制御部16に出力してもよい。押し込み操作に対応する操作状態への変化の判定結果を受け付けた制御部16は、かごドアパネル13の開動作を停止させる。
【0030】
あるいは、利用者は、感圧シート19に手を触れてかごドアパネル13が開く方向の反対方向に感圧シート19上で手を動かしてもよい。利用者のスワイプ操作により、すなわち利用者が感圧シート19上で手を動かすことにより、押圧位置は連続的に移動する。この間、感圧シート19は、利用者による押圧を検出する。記憶部20は、検出された押圧位置の時系列データを記憶する。演算部21は、記憶部20が記憶した時系列データに基づいて、押圧位置の連続的な移動を検出する。演算部21は、押圧位置の移動方向を算出する。判定部22は、演算部21の検出結果に基づいて、かごドア11の状態が通常状態から開閉方向の反対側への利用者のスワイプ操作に対応する操作状態に変化したと判定する。判定部22は、判定結果をドア装置14の制御部16に出力する。あるいは、判定部22は、制御盤9を通じて判定結果をドア装置14の制御部16に出力してもよい。開閉方向の反対側へのスワイプ操作に対応する操作状態への変化の判定結果を受け付けた制御部16は、かごドアパネル13の開動作を反転させる。
【0031】
状態判定装置18は、利用者の意図的な操作の有無に関わらず、同様の判定を行う。すなわち、状態判定装置18は、開閉方向の反対側へのスワイプ操作に対応する操作状態への変化の判定と同様に、かごドアパネル13に利用者の手などの被検出体がこすれている状態への変化を判定してもよい。このとき、判定部22は、開閉方向の反対側へのスワイプ操作に対応する操作状態と、かごドアパネル13に被検出体がこすれている状態と、を区別せずに扱ってもよい。
【0032】
状態判定装置18は、かごドアパネル13が閉動作を行うときにおいても、同様の判定を行う。制御装置17は、かごドアパネル13が閉動作を行うときにおいても、状態判定装置18の判定に基づく同様の制御を行う。
【0033】
また、状態判定装置18は、利用者が所持しているものまたは利用者の手などが戸袋に引き込まれるときに、被検出体が戸袋に引き込まれる状態を例えば次のように検出する。被検出体が戸袋に引き込まれるときに、押圧位置は戸袋の内側、すなわちかご出入口10の左右方向の外側となる。判定部22は、感圧シート19上の押圧位置およびかごドアパネル13自体の位置などに基づいて、押圧位置がかご出入口10の外側にあると判定する。被検出体が戸袋に引き込まれるときに、被検出体はかごドアパネル13にこすれているので、押圧位置はかごドアパネル13上を連続的に移動している。このため、押圧位置がかご出入口10の外側にあり、かつ、押圧位置が連続的に移動しているときに、判定部22は、被検出体が戸袋に引き込まれる状態への変化を判定する。判定部22は、判定結果をドア装置14の制御部16に出力する。あるいは、判定部22は、制御盤9を通じて判定結果をドア装置14の制御部16に出力してもよい。被検出体が戸袋に引き込まれる状態への変化の判定結果を受け付けた制御部16は、かごドアパネル13の開動作を一時停止した後に反転させる。
【0034】
なお、感圧シート19は、乗場ドア5の乗場ドアパネル7に設けられてもよい。このとき、状態判定装置18および制御装置17は、かごドア11のかごドアパネル13に感圧シート19が設けられる場合と同様に動作する。感圧シート19は、かごドアパネル13および乗場ドアパネル7の両方に設けられてもよい。
【0035】
図4は、実施の形態1に係る制御装置17の動作の例を示すフローチャートである。
図4の処理は、例えばかごドアパネル13の開閉動作時に開始する。
【0036】
ステップS1において、感圧シート19は、被検出体による押圧を検出する。このとき、検出された押圧位置の時系列データが記憶部20に記憶される。その後、制御装置17は、ステップS2の処理に進む。
【0037】
ステップS2において、判定部22は、戸袋の内側において押圧位置が連続的に移動しているかを判定する。判定結果がYesの場合に、制御装置17は、ステップS3の処理に進む。判定結果がNoの場合に、制御装置17は、ステップS4の処理に進む。
【0038】
ステップS3において、制御部16は、かごドアパネル13の開閉動作を一時停止する。その後、制御部16は、かごドアパネル13の開閉動作を反転させる。その後、制御装置17は、かごドアパネル13の開閉動作時のかごドア11の状態の変化の判定に係る処理を終了する。
【0039】
ステップS4において、判定部22は、開閉方向の反対側に押圧位置が連続的に移動しているかを判定する。判定結果がYesの場合に、制御装置17は、ステップS5の処理に進む。判定結果がNoの場合に、制御装置17は、ステップS6の処理に進む。
【0040】
ステップS5において、制御部16は、かごドアパネル13の開閉動作を反転させる。その後、制御装置17は、かごドアパネル13の開閉動作時のかごドア11の状態の変化の判定に係る処理を終了する。
【0041】
ステップS6において、制御部16は、かごドアパネル13の開閉動作を一時停止する。その後、制御装置17は、かごドアパネル13の開閉動作時のかごドア11の状態の変化の判定に係る処理を終了する。
【0042】
以上に説明したように、実施の形態1に係る制御装置17は、状態判定装置18と、制御部16と、を備える。状態判定装置18は、感圧シート19と、記憶部20と、演算部21と、判定部22と、を備える。感圧シート19は、ドアパネルの開閉方向に沿う面に設けられるセンサである。感圧シート19は、被検出体に押されるときに押圧位置を検出する。記憶部20は、感圧シート19が検出する被検出体の押圧位置の変化を時系列データとして記憶する。演算部21は、記憶部20が記憶する時系列データに基づいて、被検出体の押圧位置の連続的な移動を検出するときに、被検出体の押圧位置の移動方向を算出する。判定部22は、演算部21が算出する被検出体の押圧位置の移動方向に基づいて、被検出体によるかごドア11の状態の変化を判定する。制御部16は、状態判定装置18が判定するドアの状態の変化に基づいて、かごドアパネル13の開閉動作を制御する。
【0043】
このような構成により、かごドアパネル13の正面などに設けられる感圧シート19によって、かごドアパネル13の戸先に当たらない被検出体によるかごドア11の状態の変化が判定できるようになる。このため、かごドア11などのエレベーター1のドアの制御が、かごドアパネル13の正面などに当たる被検出体による状態の変化を反映したものとなる。また、かごドアパネル13に設けられた感圧シート19を通じてかごドアパネル13の開閉動作に対する操作ができるようになるので、かご操作盤23から離れた位置にいる利用者であっても当該操作ができるようになる。また、かごドアパネル13の戸先に触れる必要がないため、利用者による当該操作への心理的な抵抗を低減できる。
【0044】
また、判定部22は、かごドアパネル13の開閉動作の間に演算部21が被検出体の押圧位置の連続的な移動を検出するときに、被検出体によるかごドア11の状態が異常な状態になったと判定する。
【0045】
このような構成により、スワイプ操作などの直感的なインターフェイスによるかごドアパネル13の開閉動作に対する操作が可能になる。
【0046】
また、かごドアパネル13の開閉動作の間に演算部21が被検出体の押圧位置の連続的な移動を判定部22が検出することがある。このとき、判定部22は、演算部21の算出する被検出体の押圧位置の移動方向がかごドアパネル13の開閉動作の方向の逆方向である場合に、異常な状態として被検出体がこすれている状態になったと判定する。
【0047】
このような構成により、利用者などの人または物がかごドアパネル13にこすれていることが検出されるようになる。このため、かごドア11などのドアの制御は、人または物がかごドアパネル13にこすれているような状態などの状況に応じたものとなる。
【0048】
また、かごドアパネル13の開閉動作の間に演算部21がかご出入口10の外側における被検出体の押圧位置の連続的な移動を検出することがある。このとき、判定部22は、演算部21の算出する被検出体の押圧位置の移動方向がかごドアパネル13の開閉動作の方向の逆方向である場合に、異常な状態として被検出体が引き込まれている状態になったと判定する。
【0049】
このような構成により、利用者などの人または物がかごドアパネル13によって引き込まれていることが検出されるようになる。このため、かごドア11などのドアの制御は、人または物が引き込まれている状態などの状況に応じたものとなる。
【0050】
続いて、
図5を用いて、制御装置17のハードウェア構成の例について説明する。
図5は、実施の形態1に係る制御装置17の主要部のハードウェア構成図である。
【0051】
状態判定装置18を含む制御装置17の各機能は、処理回路により実現し得る。処理回路は、少なくとも1つのプロセッサ100aと少なくとも1つのメモリ100bとを備える。処理回路は、プロセッサ100aおよびメモリ100bと共に、あるいはそれらの代用として、少なくとも1つの専用ハードウェア200を備えてもよい。
【0052】
処理回路がプロセッサ100aとメモリ100bとを備える場合、制御装置17の各機能は、ソフトウェア、ファームウェア、またはソフトウェアとファームウェアとの組み合わせで実現される。ソフトウェアおよびファームウェアの少なくとも一方は、プログラムとして記述される。そのプログラムはメモリ100bに格納される。プロセッサ100aは、メモリ100bに記憶されたプログラムを読み出して実行することにより、制御装置17の各機能を実現する。
【0053】
プロセッサ100aは、CPU(Central Processing Unit)、処理装置、演算装置、マイクロプロセッサ、マイクロコンピュータ、DSPともいう。メモリ100bは、例えば、RAM、ROM、フラッシュメモリ、EPROM、EEPROMなどの、不揮発性または揮発性の半導体メモリなどにより構成される。
【0054】
処理回路が専用ハードウェア200を備える場合、処理回路は、例えば、単一回路、複合回路、プログラム化したプロセッサ、並列プログラム化したプロセッサ、ASIC、FPGA、またはこれらの組み合わせで実現される。
【0055】
制御装置17の各機能は、それぞれ処理回路で実現することができる。あるいは、制御装置17の各機能は、まとめて処理回路で実現することもできる。制御装置17の各機能について、一部を専用ハードウェア200で実現し、他部をソフトウェアまたはファームウェアで実現してもよい。このように、処理回路は、専用ハードウェア200、ソフトウェア、ファームウェア、またはこれらの組み合わせで制御装置17の各機能を実現する。
【0056】
実施の形態2.
実施の形態2において、実施の形態1で開示される例と相違する点について特に詳しく説明する。実施の形態2で説明しない特徴については、実施の形態1で開示される例のいずれの特徴が採用されてもよい。
【0057】
図6は、実施の形態2に係るかごドア11の斜視図である。
図6において、左側のかごドアパネル13および左側の袖壁12が示される。
【0058】
この例において、感圧シート19は、かごドア11のかごドアパネル13および袖壁12に設けられる。かごドアパネル13に設けられる感圧シート19は、かごドアパネル13の正面に取り付けられる。かごドアパネル13の正面は、左右方向に沿う面である。袖壁12に設けられる感圧シート19は、袖壁12においてかごドアパネル13に対向する戸袋の内面に取り付けられる。袖壁12の戸袋の内面は、左右方向に沿う面である。
【0059】
状態判定装置18は、利用者が所持しているものまたは利用者の手などが戸袋に引き込まれるときに、被検出体が戸袋に引き込まれる状態を例えば次のように検出する。被検出体が戸袋に引き込まれるときに、押圧位置は戸袋の内側、すなわちかご出入口10の左右方向の外側となる。判定部22は、かごドアパネル13に設けられた感圧シート19上の押圧位置およびかごドアパネル13自体の位置などに基づいて、押圧位置がかご出入口10の外側にあると判定する。また、袖壁12に設けられた感圧シート19は戸袋の内側にあるので、当該感圧シート19において検出される押圧位置は、かご出入口10の外側にあると判定する。被検出体が戸袋に引き込まれるときに、被検出体はかごドアパネル13と共に移動しているので、押圧位置は袖壁12に設けられた感圧シート19上をかごドアパネル13と同方向に連続的に移動している。このため、押圧位置がかご出入口10の外側にあり、かつ、押圧位置が連続的に移動しているときに、判定部22は、被検出体が戸袋に引き込まれる状態への変化を判定する。判定部22は、判定結果をドア装置14の制御部16に出力する。あるいは、判定部22は、制御盤9を通じて判定結果をドア装置14の制御部16に出力してもよい。被検出体が戸袋に引き込まれる状態への変化の判定結果を受け付けた制御部16は、かごドアパネル13の開動作を一時停止した後に反転させる。
【0060】
なお、感圧シート19は、乗場ドア5の乗場ドアパネル7および三方枠6に設けられてもよい。このとき、状態判定装置18および制御装置17は、かごドア11のかごドアパネル13および袖壁12に感圧シート19が設けられる場合と同様に動作する。感圧シート19は、かごドア11および乗場ドア5の両方に設けられてもよい。
【0061】
以上に説明したように、実施の形態2に係る状態判定装置18は、感圧シート19と、記憶部20と、演算部21と、判定部22と、を備える。感圧シート19は、かごドアパネル13および袖壁12においてかごドアパネル13の開閉方向に沿う面に設けられるセンサである。感圧シート19は、被検出体に押されるときに押圧位置を検出する。記憶部20は、感圧シート19が検出する被検出体の押圧位置の変化を時系列データとして記憶する。演算部21は、記憶部20が記憶する時系列データに基づいて、被検出体の押圧位置の連続的な移動を検出するときに、被検出体の押圧位置の移動方向を算出する。判定部22は、演算部21が算出する被検出体の押圧位置の移動方向に基づいて、被検出体によるかごドア11の状態の変化を判定する。
また、感圧シート19は、袖壁12に設けられる。かごドアパネル13の開閉動作の間に演算部21が被検出体の押圧位置の連続的な移動を検出することがある。このとき、判定部22は、演算部21の算出する被検出体の押圧位置の移動方向がドアパネルの開閉動作の方向の同方向である場合に、異常な状態として被検出体が引き込まれている状態になったと判定する。
【0062】
このような構成により、利用者などの人または物がかごドアパネル13によって引き込まれていることが検出されるようになる。このため、かごドア11などのドアの制御は、人または物が引き込まれている状態などの状況に応じたものとなる。
【0063】
実施の形態3.
実施の形態3において、実施の形態1および実施の形態2で開示される例と相違する点について特に詳しく説明する。実施の形態3で説明しない特徴については、実施の形態1および実施の形態2で開示される例のいずれの特徴が採用されてもよい。
【0064】
図7は、実施の形態3に係るかごドア11の斜視図である。
図7において、左側のかごドアパネル13が示される。
【0065】
状態判定装置18は、取付部24aを備える。取付部24aは、かごドアパネル13の正面に着脱可能に取り付けられる板状の部材である。取付部24aは、締結具25によってかごドアパネル13に取り付けられる。締結具25は、例えばネジである。感圧シート19は、取付部24aに取り付けられる。これにより、感圧シート19は、取付部24aを介してかごドアパネル13に着脱可能に取り付けられている。
【0066】
また、
図8は、実施の形態3に係るかごドア11の斜視図である。
図8において、左側の袖壁12が示される。
【0067】
状態判定装置18は、取付部24bを備える。取付部24bは、L字状に折り曲げられた板状の部材である。取付部24bのL字状に折り曲げられた面の一方は、袖壁12においてかごドアパネル13に対向する戸袋の内面に着脱可能に取り付けられる。取付部24bは、締結具25によって袖壁12に取り付けられる。締結具25は、例えばネジである。この例において、締結具25は、袖壁12の左右方向に垂直な面に取付部24bを取り付ける。感圧シート19は、取付部24bに取り付けられる。これにより、感圧シート19は、取付部24bを介して袖壁12に着脱可能に取り付けられている。
【0068】
なお、感圧シート19は、乗場ドア5の乗場ドアパネル7および三方枠6に同様に着脱可能に取り付けられていてもよい。
【0069】
以上に説明したように、実施の形態3に係る状態判定装置18の感圧シート19は、袖壁12またはかごドアパネル13に着脱可能に取り付けられる。
【0070】
このような構成により、感圧シート19の取付けが容易になる。このため、既設のエレベーター1などへの状態判定装置18の適用が容易になる。
【符号の説明】
【0071】
1 エレベーター、 2 昇降路、 3 乗場、 4 乗場出入口、 5 乗場ドア、 6 三方枠、 7 乗場ドアパネル、 8 かご、 9 制御盤、 10 かご出入口、 11 かごドア、 12 袖壁、 13 かごドアパネル、 14 ドア装置、 15 ドアモータ、 16 制御部、 17 制御装置、 18 状態判定装置、 19 感圧シート、 20 記憶部、 21 演算部、 22 判定部、 23 かご操作盤、 24a、24b 取付部、 25 締結具、 100a プロセッサ、 100b メモリ、 200 専用ハードウェア