(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-23
(45)【発行日】2025-01-07
(54)【発明の名称】車両制御装置、車両制御装置を備えた車両、車両制御方法及び車両制御プログラム
(51)【国際特許分類】
B60W 30/09 20120101AFI20241224BHJP
B60W 30/095 20120101ALI20241224BHJP
G08G 1/16 20060101ALI20241224BHJP
B62D 6/00 20060101ALI20241224BHJP
B62D 101/00 20060101ALN20241224BHJP
B62D 113/00 20060101ALN20241224BHJP
【FI】
B60W30/09
B60W30/095
G08G1/16 C
B62D6/00
B62D101:00
B62D113:00
(21)【出願番号】P 2021060057
(22)【出願日】2021-03-31
【審査請求日】2023-02-28
(73)【特許権者】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000213
【氏名又は名称】弁理士法人プロスペック特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】掛下 真舟
(72)【発明者】
【氏名】嶋中 由美
(72)【発明者】
【氏名】橋本 翔
(72)【発明者】
【氏名】宮原 謙太
【審査官】吉村 俊厚
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-072570(JP,A)
【文献】特開2009-208559(JP,A)
【文献】特開2007-072629(JP,A)
【文献】国際公開第2017/203694(WO,A1)
【文献】特開2009-090840(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60W 10/00- 60/00
G08G 1/00- 99/00
B62D 6/00- 6/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
自車両と前方の物体との衝突可能性に基づいた制御を実施する車両制御装置であって、 前記自車両の運転者による前記自車両のハンドルの把持状態及び前記自車両の運転者の顔画像に基づいて、前記運転者が前記自車両の前方の物体を回避可能な状態であるか否かを判定し、
前記自車両の運転者の顔画像に基づいて前記運転者が前記自車両の前方の物体を視認可能な状態であると判定され、かつ、前記自車両の運転者の前記自車両のハンドル把持状態が所定の状態でないと判定された場合は、前記制御の開始タイミングを、前記運転者が前記自車両の前方の物体を回避可能な状態であると判定した場合よりも早い
第1のタイミングに設定
し、
前記自車両の運転者の顔画像に基づいて前記運転者が前記自車両の前方の物体を視認可能な状態ではないと判定された場合は、前記運転者が前記自車両のハンドルの把持状態に関わらず、前記制御の開始タイミングを、前記運転者が前記自車両の前方の物体を回避可能な状態であると判定した場合よりも早い第2のタイミングであって前記第1のタイミングよりも早い第2のタイミングに設定する、
ように構成されている、車両制御装置。
【請求項2】
請求項1に記載の車両制御装置において、
前記制御の内容は、前記自車両に強制的に制動力を付加する強制制動制御である、
車両制御装置。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載の車両制御装置を備えた車両。
【請求項4】
自車両と前方の物体との衝突可能性に基づいた制御を実施する車両制御方法であって、 前記自車両の運転者による前記自車両のハンドルの把持状態及び前記自車両の運転者の顔画像に基づいて、前記運転者が前記自車両の前方の物体を回避可能な状態であるか否かを判定する工程と、
前記自車両の運転者の顔画像に基づいて前記運転者が前記自車両の前方の物体を視認可能な状態であると判定され、かつ、前記自車両の運転者の前記自車両のハンドル把持状態が所定の状態でないと判定された場合は、前記制御の開始タイミングを、前記運転者が前記自車両の前方の物体を回避可能な状態であると判定した場合よりも早い第1のタイミングに設定する工程と、
前記自車両の運転者の顔画像に基づいて前記運転者が前記自車両の前方の物体を視認可能な状態ではないと判定された場合は、前記運転者が前記自車両のハンドルの把持状態に関わらず、前記制御の開始タイミングを、前記運転者が前記自車両の前方の物体を回避可能な状態であると判定した場合よりも早い第2のタイミングであって前記第1のタイミングよりも早い第2のタイミングに設定する工程と、
を具備する車両制御方法。
【請求項5】
自車両と前方の物体との衝突可能性に基づいた制御を実施する車両制御プログラムであって、
前記自車両の運転者による前記自車両のハンドルの把持状態及び前記自車両の運転者の顔画像に基づいて、前記運転者が前記自車両の前方の物体を回避可能な状態であるか否かを判定し、
前記自車両の運転者の顔画像に基づいて前記運転者が前記自車両の前方の物体を視認可能な状態であると判定され、かつ、前記自車両の運転者の前記自車両のハンドル把持状態が所定の状態でないと判定された場合は、前記制御の開始タイミングを、前記運転者が前記自車両の前方の物体を回避可能な状態であると判定した場合よりも早い第1のタイミングに設定し、
前記自車両の運転者の顔画像に基づいて前記運転者が前記自車両の前方の物体を視認可能な状態ではないと判定された場合は、前記運転者が前記自車両のハンドルの把持状態に関わらず、前記制御の開始タイミングを、前記運転者が前記自車両の前方の物体を回避可能な状態であると判定した場合よりも早い第2のタイミングであって前記第1のタイミングよりも早い第2のタイミングに設定する、
ように構成されている車両制御プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両制御装置、車両制御装置を備えた車両、車両制御方法及び車両制御プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
自車両とその前方の物体との衝突を回避するための強制操舵制御及び強制制動制御を含む衝突回避制御を実施可能に構成された車両衝突回避支援装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。強制操舵制御は、自車両によるハンドル操作がなくても、自車両を強制的に操舵することにより自車両と物体との衝突を回避するための制御であり、強制制動制御は、自車両の運転者によるブレーキペダル操作がなくても、自車両に制動力を強制的に付加することにより自車両と物体との衝突を回避するための制御である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【0004】
車両衝突回避支援装置は、自車両がその前方の物体(前方物体)に近づき、所定のタイミングになると衝突回避制御を開始する。衝突回避制御により自車両と前方物体との衝突をより確実に回避するためには、衝突回避制御の開始タイミングが早いことが好ましい。ところが、衝突回避制御の開始タイミングが早すぎると、自車両の運転者が自車両と前方物体との衝突を回避するための運転操作(例えば、ブレーキペダルの踏込操作やハンドルの回転操作)を開始しなければならないほど自車両が前方物体に近づいていないと考えているうちに、衝突回避制御が開始されてしまい、運転者に違和感を与えてしまう可能性がある。かといって、衝突回避制御の開始タイミングが遅すぎれば、衝突回避制御を実施しても、自車両と前方物体との衝突を回避することができない可能性がある。
【0005】
本発明の目的は、自車両の運転者に違和感を与えることなく、自車両と前方物体との衝突をより確実に回避することができるタイミングで衝突可能性に基づいた制御を開始することができる車両制御装置、車両制御装置を備えた車両、車両制御方法及び車両制御プログラムを提供することにある。
【0006】
本発明に係る車両制御装置は、自車両と前方の物体との衝突可能性に基づいた制御を実施する。更に、本発明に係る車両制御装置は、前記自車両の運転者による前記自車両のハンドルの把持状態及び前記自車両の運転者の顔画像に基づいて、前記運転者が衝突を回避できる所定の状態であるか否かを判定し、前記自車両の運転者の顔画像に基づいて前記運転者が前記自車両の前方の物体を視認可能な状態であると判定され、かつ、前記自車両の運転者の前記自車両のハンドル把持状態が所定の状態でないと判定された場合は、前記制御の開始タイミングを、前記運転者が前記自車両の前方の物体を回避可能な状態であると判定した場合よりも早い第1のタイミングに設定するように構成されている。
更に、本発明に係る車両制御装置は、前記自車両の運転者の顔画像に基づいて前記運転者が前記自車両の前方の物体を視認可能な状態ではないと判定された場合は、前記運転者が前記自車両のハンドルの把持状態に関わらず、前記制御の開始タイミングを、前記運転者が前記自車両の前方の物体を回避可能な状態であると判定した場合よりも早い第2のタイミングであって前記第1のタイミングよりも早い第2のタイミングに設定するように構成されている。
【0007】
本発明によれば、運転者が衝突を回避できる所定の状態ではない場合には、自車両と前方の物体との衝突可能性に基づいた制御が比較的早いタイミングで開始され、運転者が衝突を回避できる所定の状態である場合には、自車両と前方の物体との衝突可能性に基づいた制御が比較的遅いタイミングで開始される。このため、自車両の運転者に違和感を与えることなく、自車両と物体との衝突をより確実に回避することができるタイミングで衝突可能性に基づいた制御を開始させることができる。
【0008】
尚、本発明に係る車両制御装置において、前記制御の内容は、例えば、前記自車両に強制的に制動力を付加する強制制動制御である。
【0010】
又、本発明に係る車両は、本発明に係る車両制御装置を備えている。
【0011】
更に、本発明に係る車両制御方法は、自車両と前方の物体との衝突可能性に基づいた制御を実施する方法であり、前記自車両の運転者による前記自車両のハンドルの把持状態及び前記自車両の運転者の顔画像に基づいて、前記運転者が前記自車両の前方の物体を回避可能な状態であるか否かを判定する工程と、前記自車両の運転者の顔画像に基づいて前記運転者が前記自車両の前方の物体を視認可能な状態であると判定され、かつ、前記自車両の運転者の前記自車両のハンドル把持状態が所定の状態でないと判定された場合は、前記制御の開始タイミングを、前記運転者が前記自車両の前方の物体を回避可能な状態であると判定した場合よりも早い第1のタイミングに設定する工程と、を具備している。
更に、本発明に係る車両制御方法は、前記自車両の運転者の顔画像に基づいて前記運転者が前記自車両の前方の物体を視認可能な状態ではないと判定された場合は、前記運転者が前記自車両のハンドルの把持状態に関わらず、前記制御の開始タイミングを、前記運転者が前記自車両の前方の物体を回避可能な状態であると判定した場合よりも早い第2のタイミングであって前記第1のタイミングよりも早い第2のタイミングに設定する工程を具備している。
【0012】
更に、本発明に係る車両制御プログラムは、自車両と前方の物体との衝突可能性に基づいた制御を実施するプログラムであって、前記自車両の運転者による前記自車両のハンドルの把持状態及び前記自車両の運転者の顔画像に基づいて、前記運転者が前記自車両の前方の物体を回避可能な状態であるか否かを判定し、前記自車両の運転者の顔画像に基づいて前記運転者が前記自車両の前方の物体を視認可能な状態であると判定され、かつ、前記自車両の運転者の前記自車両のハンドル把持状態が所定の状態でないと判定された場合は、前記制御の開始タイミングを、前記運転者が前記自車両の前方の物体を回避可能な状態であると判定した場合よりも早い第1のタイミングに設定するように構成されている。
更に、本発明に係る車両制御プログラムは、前記自車両の運転者の顔画像に基づいて前記運転者が前記自車両の前方の物体を視認可能な状態ではないと判定された場合は、前記運転者が前記自車両のハンドルの把持状態に関わらず、前記制御の開始タイミングを、前記運転者が前記自車両の前方の物体を回避可能な状態であると判定した場合よりも早い第2のタイミングであって前記第1のタイミングよりも早い第2のタイミングに設定するように構成されている。
【0024】
本発明の構成要素は、図面を参照しつつ後述する本発明の実施形態に限定されるものではない。本発明の他の目的、他の特徴及び付随する利点は、本発明の実施形態についての説明から容易に理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【
図1】
図1は、本発明の実施形態に係る車両衝突回避支援装置及びその車両衝突回避支援装置が搭載された車両(自車両)を示した図である。
【
図2】
図2は、自車両とその前方の物体(車両)との間の距離等を示した図である。
【
図3】
図3の(A)は、自車両の予測走行領域を示した図であり、
図3の(B)は、自車両の予測走行領域に物体(車両)が存在している場面を示した図である。
【
図4】
図4の(A)は、自車両の予測走行領域に存在する物体(車両)に自車両が近づいた場面を示した図であり、
図4の(B)は、回避経路を示した図である。
【
図5】
図5の(A)は、強制操舵制御の開始タイミングが到来した場面を示した図であり、
図5の(B)は、強制操舵制御における目標回避経路を示した図である。
【
図6】
図6の(A)は、強制操舵制御により自車両が目標回避経路に沿って旋回し始めた場面を示した図であり、
図6の(B)は、強制操舵制御により自車両が前方物体(車両)の横を通過する場面を示した図であり、
図6の(C)は、自車両が前方物体(車両)を通過して強制操舵制御が終了された場面を示した図である。
【
図7】
図7は、自車両のハンドルの規定部分を示した図である。
【
図8】
図8の(A)は、強制制動制御の開始タイミングが到来した場面を示した図であり、
図8の(B)は、強制制動制御により自車両に制動力が付加され始めた場面を示した図であり、
図8の(C)は、自車両が前方物体(車両)の手前で停止し、強制制動制御が終了された場面を示した図である。
【
図9】
図9は、本発明の実施形態に係る車両衝突回避支援装置が実行するルーチンを示したフローチャートである。
【
図10】
図10は、本発明の実施形態の第1変形例に係る車両衝突回避支援装置が実行するルーチンを示したフローチャートである。
【
図11】
図11は、本発明の実施形態の第2変形例に係る車両衝突回避支援装置が実行するルーチンを示したフローチャートである。
【
図12】
図12は、本発明の実施形態、第1変形例及び第2変形例に係る車両衝突回避支援装置が実行するルーチンを示したフローチャートである。
【
図13】
図13は、本発明の実施形態、第1変形例及び第2変形例に係る車両衝突回避支援装置が実行するルーチンを示したフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施形態に係る
車両制御装置、車両制御装置を備えた車両、車両制御方法及び車両制御プログラムについて説明する。
図1に示したように、本発明の実施形態に係る
車両制御装置の車両衝突回避支援装置10は、自車両100に搭載されている。
【0027】
<ECU>
車両衝突回避支援装置10は、ECU90を備えている。ECUは、エレクトロニックコントロールユニットの略称である。ECU90は、マイクロコンピュータを主要部として備える。マイクロコンピュータは、CPU、ROM、RAM、不揮発性メモリ及びインターフェース等を含む。CPUは、ROMに格納されたインストラクション又はプログラム又はルーチンを実行することにより、各種機能を実現するようになっている。
【0028】
<駆動装置等>
又、自車両100には、駆動装置21、制動装置22及び操舵装置23が搭載されている。
【0029】
<駆動装置>
駆動装置21は、自車両100を走行させるために自車両100に与えられる駆動トルクTQ_D(駆動力)を出力する装置であり、例えば、内燃機関及びモータ等である。駆動装置21は、ECU90に電気的に接続されている。ECU90は、駆動装置21の作動を制御することにより駆動装置21から出力される駆動トルクTQ_Dを制御することができる。
【0030】
<制動装置>
制動装置22は、自車両100を制動するために自車両100に与えられる制動トルクTQ_B(制動力)を出力する装置であり、例えば、ブレーキ装置である。制動装置22は、ECU90に電気的に接続されている。ECU90は、制動装置22の作動を制御することにより制動装置22から出力される制動トルクTQ_Bを制御することができる。
【0031】
<操舵装置>
操舵装置23は、自車両100を操舵するために自車両100に与えられる操舵トルクTQs(操舵力)を出力する装置であり、例えば、パワーステアリング装置である。操舵装置23は、ECU90に電気的に接続されている。ECU90は、操舵装置23の作動を制御することにより操舵装置23から出力される操舵トルクTQsを制御することができる。
【0032】
<センサ等>
更に、自車両100には、アクセルペダル31、アクセルペダル操作量センサ32、ブレーキペダル33、ブレーキペダル操作量センサ34、ハンドル35、ステアリングシャフト36、操舵角センサ37、操舵トルクセンサ38、把持状態検出装置40、車両運動量検出装置50、周辺情報検出装置60及び覚醒状態検出装置70が搭載されている。
【0033】
<アクセルペダル操作量センサ>
アクセルペダル操作量センサ32は、アクセルペダル31の操作量を検出するセンサである。アクセルペダル操作量センサ32は、ECU90に電気的に接続されている。アクセルペダル操作量センサ32は、検出したアクセルペダル31の操作量の情報をECU90に送信する。ECU90は、その情報に基づいてアクセルペダル31の操作量をアクセルペダル操作量APとして取得する。
【0034】
ECU90は、アクセルペダル操作量AP及び自車両100の車速V100に基づいて要求駆動トルクTQ_D_req(要求駆動力)を演算により取得する。要求駆動トルクTQ_D_reqは、駆動装置21に出力が要求されている駆動トルクTQ_Dである。ECU90は、要求駆動トルクTQ_D_reqが出力されるように駆動装置21の作動を制御する。
【0035】
<ブレーキペダル操作量センサ>
ブレーキペダル操作量センサ34は、ブレーキペダル33の操作量を検出するセンサである。ブレーキペダル操作量センサ34は、ECU90に電気的に接続されている。ブレーキペダル操作量センサ34は、検出したブレーキペダル33の操作量の情報をECU90に送信する。ECU90は、その情報に基づいてブレーキペダル33の操作量をブレーキペダル操作量BPとして取得する。
【0036】
ECU90は、ブレーキペダル操作量BPに基づいて要求制動トルクTQ_B_req(要求制動力)を演算により取得する。要求制動トルクTQ_B_reqは、制動装置22に出力が要求されている制動トルクTQ_Bである。ECU90は、要求制動トルクTQ_B_reqが出力されるように制動装置22の作動を制御する。
【0037】
<操舵角センサ>
操舵角センサ37は、中立位置に対するステアリングシャフト36の回転角度を検出するセンサである。操舵角センサ37は、ECU90に電気的に接続されている。操舵角センサ37は、検出したステアリングシャフト36の回転角度の情報をECU90に送信する。ECU90は、その情報に基づいてステアリングシャフト36の回転角度を操舵角θsteerとして取得する。
【0038】
<操舵トルクセンサ>
操舵トルクセンサ38は、運転者がハンドル35を介してステアリングシャフト36に入力したトルクを検出するセンサである。操舵トルクセンサ38は、ECU90に電気的に接続されている。操舵トルクセンサ38は、検出したトルクの情報をECU90に送信する。ECU90は、その情報に基づいて運転者がハンドル35を介してステアリングシャフト36に入力したトルク(ドライバー入力トルクTQs_driver)を取得する。
【0039】
<把持状態検出装置>
把持状態検出装置40は、自車両100の運転者によるハンドル35の把持状態を検出する装置であり、本例においては、ハンドル35に設置されたタッチセンサ41である。
【0040】
<タッチセンサ>
タッチセンサ41は、自車両100の運転者がハンドル35に触れたことを検出するセンサである。タッチセンサ41は、ECU90に電気的に接続されている。タッチセンサ41は、自車両100の運転者がハンドル35に触れたことを検出すると、自車両100の運転者が触れたハンドル35の部分に係る情報(信号)をECU90に送信する。ECU90は、その情報(信号)に基づいて自車両100の運転者が触れているハンドル35の部分を認識することができる。
【0041】
<車両運動量検出装置>
車両運動量検出装置50は、自車両100の運動量を検出する装置であり、本例においては、車速検出装置51、縦加速度センサ52、横加速度センサ53及びヨーレートセンサ54を備えている。
【0042】
<車速検出装置>
車速検出装置51は、自車両100の車速を検出する装置であり、例えば、車輪速センサである。車速検出装置51は、ECU90に電気的に接続されている。車速検出装置51は、検出した自車両100の車速の情報をECU90に送信する。ECU90は、その情報に基づいて自車両100の車速V100を取得する。
【0043】
ECU90は、取得した操舵角θsteer、ドライバー入力トルクTQs_driver及び車速V100に基づいて要求操舵トルクTQs_reqを演算により取得する。要求操舵トルクTQs_reqは、操舵装置23に出力が要求されている操舵トルクTQsである。ECU90は、要求操舵トルクTQs_reqが操舵装置23から出力されるように操舵装置23の作動を制御する。尚、ECU90は、後述する強制操舵を行う場合、操舵角θsteer等にかかわりなく、自車両100を目標回避経路Rtgtに沿って走行させるのに必要な操舵トルクTQsを要求操舵トルクTQs_reqとして適宜決定し、その要求操舵トルクTQs_reqが出力されるように操舵装置23の作動を制御する。
【0044】
<縦加速度センサ>
縦加速度センサ52は、自車両100の前後方向の加速度を検出するセンサである。縦加速度センサ52は、ECU90に電気的に接続されている。縦加速度センサ52は、検出した加速度の情報をECU90に送信する。ECU90は、その情報に基づいて自車両100の前後方向の加速度を縦加速度Gxとして取得する。
【0045】
<横加速度センサ>
横加速度センサ53は、自車両100の横方向(幅方向)の加速度を検出するセンサである。横加速度センサ53は、ECU90に電気的に接続されている。横加速度センサ53は、検出した加速度の情報をECU90に送信する。ECU90は、その情報に基づいて自車両100の横方向の加速度を横加速度Gyとして取得する。
【0046】
<ヨーレートセンサ>
ヨーレートセンサ54は、自車両100のヨーレートYRを検出するセンサである。ヨーレートセンサ54は、ECU90に電気的に接続されている。ヨーレートセンサ54は、検出したヨーレートYRの情報をECU90に送信する。ECU90は、その情報に基づいて自車両100のヨーレートYRを取得する。
<周辺情報検出装置>
周辺情報検出装置60は、自車両100の周辺の情報を検出する装置であり、本例においては、電波センサ61及び画像センサ62を備えている。電波センサ61は、例えば、レーダセンサ(ミリ波レーダ等)である。画像センサ62は、例えば、カメラである。尚、周辺情報検出装置60は、超音波センサ(クリアランスソナー)等の音波センサやレーザーレーダ(LiDAR)等の光センサを備えていてもよい。
【0047】
<電波センサ>
電波センサ61は、ECU90に電気的に接続されている。電波センサ61は、電波を発信するとともに、物体で反射した電波(反射波)を受信する。電波センサ61は、発信した電波及び受信した電波(反射波)に係る情報(検知結果)をECU90に送信する。別の言い方をすると、電波センサ61は、自車両100の周辺に存在する物体を検知し、その検知した物体に係る情報(検知結果)をECU90に送信する。ECU90は、その情報(電波情報)に基づいて自車両100の周辺に存在する物体に係る情報(周辺検出情報I_D)を取得することができる。
【0048】
尚、本例において、物体は、車両、自動二輪車、自転車及び人等である。
【0049】
<画像センサ>
画像センサ62も、ECU90に電気的に接続されている。画像センサ62は、自車両100の周辺を撮像し、撮像した画像に係る情報をECU90に送信する。ECU90は、その情報(画像情報)に基づいて自車両100の周辺に関する情報(周辺検出情報I_D)を取得することができる。
【0050】
ECU90は、
図2に示したように、自車両100の前方に物体(前方物体200)が存在する場合、その前方物体200を周辺検出情報I_Dに基づいて検知する。尚、前方物体200は、車両、自動二輪車、自転車及び人等であり、
図2に示した例においては、車両である。
【0051】
ECU90は、前方物体200を検知した場合、例えば、周辺検出情報I_Dに基づいて「その前方物体200と自車両100との間の距離(物体距離D200)」及び「前方物体200に対する自車両100の速度(相対速度ΔV200)」等を取得することができる。
【0052】
更に、ECU90は、周辺検出情報I_Dに基づいて「自車両100の走行車線(自車線LN)を規定する左側の区画線LM_L及び右側の区画線LM_R」を認識する。ECU90は、認識した左右区画線LM(即ち、左側の区画線LM_L及び右側の区画線LM_R)に基づいて自車線LNの範囲を特定することができる。
【0053】
<覚醒状態検出装置>
覚醒状態検出装置70は、自車両100の運転者の意識状態を検出する装置であり、本例においては、ドライバーモニターカメラ71である。ドライバーモニターカメラ71は、自車両100の運転者の顔を撮像することができるように自車両100の運転者に向けて自車両100の室内に設けられている。
【0054】
<ドライバーモニターカメラ>
ドライバーモニターカメラ71は、自車両100の運転者の顔を撮像するカメラである。ドライバーモニターカメラ71は、ECU90に電気的に接続されている。ドライバーモニターカメラ71は、撮像した運転者の顔の画像に係る情報(画像データ)をECU90に送信する。ECU90は、その情報に基づいて自車両100の運転者の目が開いているか否か(即ち、自車両100の運転者が覚醒しているか否か)を判定することができる。
【0055】
尚、ECU90は、自車両100の運転者の体温、脈拍及び血圧等のいわゆるバイタルデータを取得し、それら取得したバイタルデータに基づいて自車両100の運転者に意識があるか否か(即ち、自車両100の運転者が覚醒しているか否か)を判定するようになっていてもよい。
【0056】
<車両衝突回避支援装置の作動の概要>
次に、車両衝突回避支援装置10の作動の概要について説明する。
【0057】
車両衝突回避支援装置10は、自車両100の走行中、周辺検出情報I_Dに基づいて自車両100の進行方向前方の車両等の物体を検知するための処理を行っている。車両衝突回避支援装置10は、自車両100の進行方向前方の物体を検知していない間は、通常走行制御を実行している。
【0058】
通常走行制御は、要求駆動トルクTQ_D_req(要求駆動力)がゼロよりも大きい場合、その要求駆動トルクTQ_D_reqが駆動装置21から出力されるように駆動装置21の作動を制御し、要求制動トルクTQ_B_req(要求制動力)がゼロよりも大きい場合、その要求制動トルクTQ_B_reqが制動装置22から出力されるように制動装置22の作動を制御し、要求操舵トルクTQs_req(要求操舵力)がゼロよりも大きい場合、その要求操舵トルクTQs_reqが操舵装置23から出力されるように操舵装置23の作動を制御する制御である。
【0059】
車両衝突回避支援装置10は、自車両100の進行方向前方の物体(前方物体200)を検知すると、その物体が予測走行領域A100内に存在するか否かを周辺検出情報I_Dに基づいて判定する。
【0060】
予測走行領域A100は、
図3の(A)に示したように、自車両100の予測走行ルートR100を中心として自車両100の幅に等しい幅を有する領域である。予測走行ルートR100は、自車両100がその時点の操舵角θsteerを維持したまま走行したときに自車両100が今後、走行するものと予測される走行ルートである。従って、
図3の(A)に示した予測走行ルートR100は、直線であるが、状況によっては、曲線であることもある。
【0061】
車両衝突回避支援装置10は、検知した前方物体200が予測走行領域A100内に存在しない場合、通常走行制御を継続する。
【0062】
一方、車両衝突回避支援装置10は、検知した前方物体200が予測走行領域A100内に存在すると判定すると、自車両100がその前方物体200に衝突する可能性(衝突可能性)を判定する。
【0063】
本例において、車両衝突回避支援装置10は、前方物体200と自車両100との間の距離(物体距離D200)を取得し、その取得した物体距離D200が所定の距離(衝突可能性判定距離Dth)以下であるか否かに基づいて衝突可能性を判定する。
【0064】
<回避経路の取得>
車両衝突回避支援装置10は、
図4の(A)に示したように自車両100が前方物体200に近づき、物体距離D200が衝突可能性判定距離Dthまで短くなり、物体距離D200が衝突可能性判定距離Dth以下であると判定すると、回避経路取得条件Crouteが成立したと判定する。
【0065】
車両衝突回避支援装置10は、回避経路取得条件Crouteが成立したと判定すると、周辺検出情報I_Dに基づいて回避経路Rの取得を開始する。
【0066】
回避経路Rは、自車両100と前方物体200との衝突を回避するために自車両100を走行させる経路であって、
図4の(B)に示したように、自車両100が自車線LN内を走行しつつ前方物体200の横を通過することができる経路である。
【0067】
尚、
図4の(B)に示した例においては、回避経路Rは、前方物体200の右横を通る経路であるが、前方物体200の左横に自車両100が自車線LN内を走行しつつ前方物体200の横を通過することができるスペースが存在する場合、前方物体200の左横を通る経路が回避経路Rとして取得されることもある。
【0068】
<強制操舵制御の開始タイミングの判定>
更に、車両衝突回避支援装置10は、物体距離D200が衝突可能性判定距離Dth以下となり、衝突可能性があると判定した場合、強制操舵開始判定条件Cd_steerが成立したと判定する。
【0069】
車両衝突回避支援装置10は、強制操舵開始判定条件Cd_steerが成立したと判定すると、強制操舵制御を開始するタイミング(強制操舵開始タイミングTs_steer)を判定する。
【0070】
本例において、車両衝突回避支援装置10は、予測到達時間TTCに基づいて強制操舵開始タイミングTs_steerを判定する。予測到達時間TTCは、自車両100が前方物体200に到達するまでに要すると予測される時間である。車両衝突回避支援装置10は、物体距離D200を相対速度ΔV200で除算することにより予測到達時間TTCを取得する(TTC=D200/dV200)。
【0071】
車両衝突回避支援装置10は、予測走行領域A100内に前方物体200が存在すると判定している間、物体距離D200、相対速度ΔV200及び予測到達時間TTCの取得を所定演算周期で行う。
【0072】
車両衝突回避支援装置10は、予測到達時間TTCが所定の時間(衝突判定時間TTCth)まで短くなったか否かを判定する。尚、予測到達時間TTCは、相対速度ΔV200が一定である場合、自車両100が前方物体200に近づくほど短くなる。
【0073】
車両衝突回避支援装置10は、予測到達時間TTCが衝突判定時間TTCthよりも長い間は、通常走行制御を継続する。
【0074】
一方、その後、
図5の(A)に示したように、自車両100の運転者による衝突回避ハンドル操作(自車両100と前方物体200との衝突を避けるためにハンドル35に加える操作)が行われないまま、自車両100が前方物体200に近づき、予測到達時間TTCが衝突判定時間TTCthまで短くなると、車両衝突回避支援装置10は、そのまま自車両100を走行させると自車両100が前方物体200に衝突すると判断する。車両衝突回避支援装置10は、そのように判断した場合、強制操舵制御を実施する条件(強制操舵実施条件Cs_steer)が成立したと判定し、強制操舵開始タイミングTs_steerが到来したと判定する。
【0075】
車両衝突回避支援装置10は、強制操舵開始タイミングTs_steerが到来したと判定すると、その時点で取得し或いはその時点で取得してある回避経路Rを目標回避経路Rtgtとして設定し、その目標回避経路Rtgtに沿って自車両100が走行するように自車両100に付加する操舵力を制御する強制操舵制御を開始する。
【0076】
車両衝突回避支援装置10は、強制操舵制御の実施中、縦加速度Gx、横加速度Gy、ヨーレートYR及び左右区画線LM等に基づいて自車両100の現在位置を取得し、取得した自車両100の現在位置に基づいて自車両100を目標回避経路Rtgtに沿って走行させるように自車両100に付加する操舵力を制御する。
【0077】
これにより、自車両100は、まず、
図6の(A)に示したように旋回し始め、その直後、反対方向に旋回してその進行方向が自車線LNに対して平行となり、
図6の(B)に示したように前方物体200の横を通過する。これにより、自車両100と前方物体200との衝突が回避される。そして、車両衝突回避支援装置10は、
図6の(C)に示したように自車両100が前方物体200の横を通過すると、強制操舵制御を終了する。
【0078】
尚、車両衝突回避支援装置10は、強制操舵開始タイミングTs_steerが到来した時点で、前方物体200の横に自車両100を通過させるスペースが存在しない等の理由により回避経路Rを取得することができない場合、強制操舵制御を実施しない。
【0079】
又、車両衝突回避支援装置10は、強制操舵制御を実施するとともに、自車両100に付加する駆動力を低下させ或いは一定値以下に制限して自車両100を減速させるように構成されていてもよい。
【0080】
又、車両衝突回避支援装置10は、強制操舵制御を実施するとともに、自車両100に制動力を付加して自車両100を減速させ、停止させるように構成されていてもよい。この場合、車両衝突回避支援装置10は、自車両100が停止したときに強制操舵制御を終了するように構成される。
【0081】
又、車両衝突回避支援装置10は、強制操舵制御の実施中にドライバー入力トルクTQs_driverが比較的大きい所定トルクTQth以上となった場合(別の言い方をすると、強制操舵制御の実施中に自車両100の運転者によるハンドル35に対する操作量が所定量以上となった場合)、強制操舵制御を中止するように構成されていてもよい。
【0082】
<強制操舵開始タイミングの設定>
ところで、強制操舵制御により自車両100と前方物体200との衝突をより確実に回避するためには、強制操舵制御の開始タイミングが早いことが好ましい。ところが、強制操舵制御の開始タイミングが早すぎると、自車両100の運転者が衝突回避ハンドル操作(自車両100と前方物体200との衝突を回避するためのハンドル35に対する回転操作)を開始しなければならないほど自車両100が前方物体200に近づいていないと考えているうちに、強制操舵制御が開始されてしまい、運転者に違和感を与えてしまう可能性がある。かといって、強制操舵制御の開始タイミングが遅すぎれば、強制操舵制御を実施しても、自車両100と前方物体200との衝突を回避することができない可能性がある。
【0083】
ところで、自車両100の運転者が眠気や失神等が原因で目を閉じている場合、自車両100が前方物体200に衝突しそうになっても、その運転者は、そのことに気づかず、従って、衝突回避ハンドル操作(衝突回避操舵操作)を行わない可能性が高い。こうした場合、早いタイミングで強制操舵制御が開始されても、運転者に違和感を与えることはない。
【0084】
又、運転者がハンドル35を握っていなかったり、握っていても片手だけで握っていたりしているとき等、運転者がハンドル操作を行ったとしても、自車両100と前方物体200との衝突を回避することができる程度のハンドル操作を行えないような状況においては、早いタイミングで強制操舵制御を開始することが好ましい。
【0085】
そこで、車両衝突回避支援装置10は、運転者の状況に応じて以下に説明するようにして強制操舵開始タイミングTs_steerを設定する。本例において、車両衝突回避支援装置10は、運転者の状況に応じた衝突判定時間TTCthを設定することにより、運転者の状況に応じた強制操舵開始タイミングTs_steerを設定する。
【0086】
車両衝突回避支援装置10は、自己衝突回避可能性を判定する。自己衝突回避可能性は、自車両100の運転者自身によるハンドル操作(自車両100に対する運転操作)により自車両100と前方物体200との衝突を回避することができる可能性である。
【0087】
車両衝突回避支援装置10は、自己衝突回避可能性がないと判定した場合、強制操舵開始タイミングTs_steerを、自己衝突回避可能性があると判定した場合よりも、早いタイミングに設定する。強制操舵開始タイミングTs_steerは、衝突判定時間TTCthを長くすることにより、早いタイミングとなる。従って、本例において、車両衝突回避支援装置10は、自己衝突回避可能性がないと判定した場合、衝突判定時間TTCthを、自己衝突回避可能性があると判定した場合よりも、長い時間に設定する。
【0088】
自己衝突回避可能性は、運転者の覚醒状態及び運転者のハンドル把持状態に基づいて判定される。
【0089】
本例において、運転者の覚醒状態は、自車両100の運転者の目が開いているか否か(即ち、運転者が覚醒しているか否か)である。車両衝突回避支援装置10は、運転者の覚醒状態を、ドライバーモニターカメラ71から提供される情報に基づいて判定する。
【0090】
車両衝突回避支援装置10は、運転者の覚醒状態に基づく自己衝突回避可能性の判定を、強制操舵開始判定条件Cd_steerが成立したときに行うように構成されていてもよいが、本例においては、強制操舵開始判定条件Cd_steerの成立の有無を問わず、所定周期で行うようになっている。
【0091】
車両衝突回避支援装置10は、運転者が覚醒していると判定した場合、自己衝突回避可能性があると判定し、運転者が覚醒していないと判定した場合、自己衝突回避可能性がないと判定する。
【0092】
一方、運転者のハンドル把持状態は、運転者が両手でハンドル35を握っており且つ運転者が握っているハンドル35の部分が規定部分35Pであるか否かである。車両衝突回避支援装置10は、運転者のハンドル把持状態(特に、運転者が握っているハンドル35の部分)を、タッチセンサ41から提供される情報に基づいて判定する。
【0093】
本例において、規定部分35Pは、
図7に示したように、ハンドル35が中立位置にあるときにハンドル35の最上部中央35Cから右回りに60度の位置を中心にした所定角度θpの範囲の部分35PRと、ハンドル35の最上部中央35Cから左回りに60度の位置を中心にした所定角度θpの範囲の部分35PLと、の2つの部分である。
【0094】
車両衝突回避支援装置10は、運転者のハンドル把持状態に基づく自己衝突回避可能性の判定を、強制操舵開始判定条件Cd_steerが成立したときに行うように構成されていてもよいが、本例においては、強制操舵開始判定条件Cd_steerの成立の有無を問わず、所定周期で行うようになっている。
【0095】
車両衝突回避支援装置10は、運転者が両手でハンドル35の規定部分35Pを握っている場合、自己衝突回避可能性があると判定し、運転者が両手でハンドル35の規定部分35Pを両手で握っていない場合、自己衝突回避可能性がないと判定する。
【0096】
そして、車両衝突回避支援装置10は、運転者の覚醒状態に基づいて自己衝突回避可能性があると判定し且つ運転者のハンドル把持状態に基づいて自己衝突回避可能性があると判定した場合、衝突判定時間TTCthを第1時間TTC_1に設定する。本例において、第1時間TTC_1は、標準的な時間に設定されている。従って、衝突判定時間TTCthが第1時間TTC_1に設定された場合、強制操舵開始タイミングTs_steerは、標準的なタイミングとなる。
【0097】
一方、車両衝突回避支援装置10は、運転者の覚醒状態に基づいて自己衝突回避可能性があると判定したが、運転者のハンドル把持状態に基づいて自己衝突回避可能性がないと判定した場合、衝突判定時間TTCthを第2時間TTC_2に設定する。第2時間TTC_2は、第1時間TTC_1よりも長い時間に設定されている。従って、衝突判定時間TTCthが第2時間TTC_2に設定された場合、強制操舵開始タイミングTs_steerは、衝突判定時間TTCthが第1時間TTC_1に設定された場合よりも、早いタイミングとなる。
【0098】
又、車両衝突回避支援装置10は、運転者の覚醒状態に基づいて自己衝突回避可能性がないと判定した場合、運転者のハンドル把持状態に基づく自己衝突回避可能性の有無を問わず、衝突判定時間TTCthを第3時間TTC_3に設定する。第3時間TTC_3は、第2時間TTC_2よりも長い時間に設定されている。従って、衝突判定時間TTCthが第3時間TTC_3に設定された場合、強制操舵開始タイミングTs_steerは、衝突判定時間TTCthが第2時間TTC_2に設定された場合よりも、早いタイミングとなる。
【0099】
以上が車両衝突回避支援装置10の作動の概要である。これによれば、自車両100の運転者が自身のハンドル操作により自車両100と前方物体200との衝突を回避することができる可能性に応じたタイミングで強制操舵制御が開始される。このため、運転者に違和感を与えることなく、適切なタイミングで強制操舵制御を開始することができる。
【0100】
<第1変形例>
尚、車両衝突回避支援装置10は、運転者の覚醒状態又はハンドル把持状態の何れかに基づいて自己衝突回避可能性がないと判定した場合、強制操舵開始タイミングTs_steerを、運転者の覚醒状態に基づいてもハンドル把持状態に基づいても自己衝突回避可能性があると判定した場合よりも、早いタイミングに設定するように構成されてもよい。
【0101】
このように構成された本発明の実施形態の第1変形例に係る車両衝突回避支援装置10は、運転者の覚醒状態に基づいても運転者のハンドル把持状態に基づいても自己衝突回避可能性があると判定した場合、衝突判定時間TTCthを第1時間TTC_1に設定する。
【0102】
第1変形例において、第1時間TTC_1は、先に述べた実施形態の第1時間TTC_1とは異なる時間であってもよいが、本例においては、実施形態の第1時間TTC_1と同じ時間である。
【0103】
一方、第1変形例に係る車両衝突回避支援装置10は、運転者の覚醒状態に基づいて自己衝突回避可能性がないと判定するか或いはハンドル把持状態に基づいて自己衝突回避可能性がないと判定した場合、衝突判定時間TTCthを第2時間TTC_2に設定する。
【0104】
第1変形例において、第2時間TTC_2は、少なくとも、第1時間TTC_1よりも長い時間であればよい。従って、例えば、第1変形例の第2時間TTC_2は、先に述べた実施形態の第2時間TTC_2と同じ時間であっても異なる時間であってもよい。尚、第1変形例においては、第2時間TTC_2は、先に述べた実施形態の第3時間TTC_3と同じ時間である。
【0105】
<第2変形例>
又、車両衝突回避支援装置10は、自車両100の運転者がハンドル35を握っているか否か、運転者がハンドル35を握っている場合において運転者が両手でハンドル35を握っているか否か、運転者がハンドル35を握っている場合において運転者がハンドル35の規定部分35Pを握っているか否か、に応じて強制操舵開始タイミングTs_steerをそれぞれ設定するように構成されてもよい。
【0106】
このように構成された本発明の実施形態の第2変形例に係る車両衝突回避支援装置10は、運転者の覚醒状態に基づいて自己衝突回避可能性があると判定し且つ運転者が両手でハンドル35の規定部分35Pをそれぞれ握っている(即ち、運転者のハンドル把持状態に基づいて自己衝突回避可能性がある)と判定した場合、衝突判定時間TTCthを第1時間TTC_1に設定する。
【0107】
第2変形例の第1時間TTC_1は、先に述べた実施形態の第1時間TTC_1とは異なる時間であってもよいが、本例においては、実施形態の第1時間TTC_1と同じ時間である。
【0108】
一方、第2変形例に係る車両衝突回避支援装置10は、運転者の覚醒状態に基づいて自己衝突回避可能性があると判定した場合において、運転者が両手でハンドル35を握っているが、運転者が握っているハンドル35の部分がハンドル35の規定部分35Pではないときには、衝突判定時間TTCthを第2時間TTC_2に設定する。
【0109】
第2変形例において、第2時間TTC_2は、少なくとも、第1時間TTC_1よりも長い時間であればよい。従って、例えば、第2変形例の第2時間TTC_2は、先に述べた実施形態の第2時間TTC_2と同じ時間であっても異なる時間であってもよい。
【0110】
又、車両衝突回避支援装置10は、運転者の覚醒状態に基づいて自己衝突回避可能性があると判定した場合において、運転者が片手でしかハンドル35を握っていないが、運転者が握っているハンドル35の部分がハンドル35の規定部分35Pであるときには、衝突判定時間TTCthを第3時間TTC_3に設定する。
【0111】
第2変形例において、第3時間TTC_3は、少なくとも、第2時間TTC_2よりも長い時間であればよい。従って、例えば、第2変形例の第3時間TTC_3は、先に述べた実施形態の第3時間TTC_3と同じ時間であっても異なる時間であってもよい。
【0112】
又、車両衝突回避支援装置10は、運転者の覚醒状態に基づいて自己衝突回避可能性があると判定した場合において、運転者がハンドル35を握っていないときには、衝突判定時間TTCthを第4時間TTC_4に設定する。
【0113】
第2変形例において、第4時間TTC_4は、少なくとも、第3時間TTC_3よりも長い時間であればよい。
【0114】
そして、車両衝突回避支援装置10は、運転者の覚醒状態に基づいて自己衝突回避可能性があると判定した場合、運転者のハンドル把持状態に基づく自己衝突回避可能性を問わず、衝突判定時間TTCthを第5時間TTC_5に設定する。
【0115】
第2変形例において、第5時間TTC_5は、少なくとも、第4時間TTC_4よりも長い時間であればよい。第2変形例においては、第5時間TTC_5は、先に述べた実施形態の第3時間TTC_3と同じ時間である。
【0116】
又、車両衝突回避支援装置10は、強制操舵制御に加え或いはそれに代えて、強制制動制御を実行するように構成されていてもよい。強制制動制御は、自車両100に強制的に制動力を付加して前方物体200の手前で自車両100を停止させることにより自車両100と前方物体200との衝突を回避するための制御である。
【0117】
この場合も、
図8の(A)に示したように、自車両100の運転者による衝突回避ハンドル操作が行われないまま、自車両100が前方物体200に近づき、予測到達時間TTCが衝突判定時間TTCthまで短くなると、車両衝突回避支援装置10は、そのまま自車両100を走行させると自車両100が前方物体200に衝突すると判断する。車両衝突回避支援装置10は、そのように判断した場合、強制制動制御を実施する条件(強制制動実施条件Cs_brake)が成立したと判定し、強制制動開始タイミングTs_brakeが到来したと判定する。
【0118】
車両衝突回避支援装置10は、強制制動開始タイミングTs_brakeが到来したと判定すると、前方物体200の手前で自車両100を停止させるために必要な自車両100の減速度を目標減速度Gtgtとして設定し、その目標減速度Gtgtで自車両100が減速するように自車両100に付加する制動力を制御する強制制動制御を開始する。
【0119】
これにより、自車両100は、
図8の(B)に示したように制動され始め、その後、
図8の(C)に示したように前方物体200の手前で停止する。これにより、自車両100と前方物体200との衝突が回避される。そして、車両衝突回避支援装置10は、自車両100が前方物体200の手前で停止すると、強制制動制御を終了する。
【0120】
車両衝突回避支援装置10は、このように強制制動制御を実施するように構成されている場合において、先に述べたようにして衝突判定時間TTCthを自己衝突回避可能性に応じて設定することにより、強制制動の開始タイミングを調整するように構成されてもよい。
【0121】
即ち、車両衝突回避支援装置10は、自車両100と前方物体200との衝突を回避するための衝突回避制御として強制操舵制御及び/又は強制制動制御を実施するように構成され、自己衝突回避可能性を判定し、自己衝突回避可能性がないと判定した場合、衝突回避制御の開始タイミングを、自己衝突回避可能性があると判定した場合よりも、早いタイミングに設定するように構成されていてもよい。
【0122】
<車両衝突回避支援装置の具体的な作動>
次に、車両衝突回避支援装置10の具体的な作動について説明する。本発明の実施形態に係る車両衝突回避支援装置10のECU90のCPUは、
図9に示したルーチンを所定演算周期で実行するようになっている。従って、所定のタイミングになると、CPUは、
図9のステップ900から処理を開始し、その処理をステップ905に進め、運転者が覚醒しているか否かを判定する。即ち、CPUは、運転者の覚醒状態に基づいて自己衝突回避可能性があるか否かを判定する。
【0123】
CPUは、ステップ905にて「Yes」と判定した場合、処理をステップ910に進め、自車両100の運転者のハンドル把持状態が規定状態(即ち、両手でハンドル35の規定部分35Pを握っている状態)にあるか否かを判定する。即ち、CPUは、ハンドル把持状態に基づいて自己衝突回避可能性があるか否かを判定する。
【0124】
CPUは、ステップ910にて「Yes」と判定した場合、処理をステップ915に進め、第1時間TTC_1を衝突判定時間TTCthとして設定する。次いで、CPUは、処理をステップ995に進め、本ルーチンを一旦終了する。
【0125】
一方、CPUは、ステップ910にて「No」と判定した場合、処理をステップ920に進め、第2時間TTC_2を衝突判定時間TTCthとして設定する。次いで、CPUは、処理をステップ995に進め、本ルーチンを一旦終了する。
【0126】
又、CPUは、ステップ905にて「No」と判定した場合、処理をステップ925に進め、第3時間TTC_3を衝突判定時間TTCthとして設定する。次いで、CPUは、処理をステップ995に進め、本ルーチンを一旦終了する。
【0127】
又、第1変形例に係る車両衝突回避支援装置10のECU90のCPUは、
図10に示したルーチンを所定演算周期で実行するようになっている。従って、所定のタイミングになると、CPUは、
図10のステップ1000から処理を開始し、その処理をステップ1005に進め、運転者が覚醒しているか否かを判定する。即ち、CPUは、運転者の覚醒状態に基づいて自己衝突回避可能性があるか否かを判定する。
【0128】
CPUは、ステップ1005にて「Yes」と判定した場合、処理をステップ1010に進め、運転者のハンドル把持状態が規定状態(即ち、両手でハンドル35の規定部分35Pを握っている状態)にあるか否かを判定する。即ち、CPUは、ハンドル把持状態に基づいて自己衝突回避可能性があるか否かを判定する。
【0129】
CPUは、ステップ1010にて「Yes」と判定した場合、処理をステップ1015に進め、第1時間TTC_1を衝突判定時間TTCthとして設定する。次いで、CPUは、処理をステップ1095に進め、本ルーチンを一旦終了する。
【0130】
一方、CPUは、ステップ1010にて「No」と判定した場合、処理をステップ1020に進め、第2時間TTC_2を衝突判定時間TTCthとして設定する。次いで、CPUは、処理をステップ1095に進め、本ルーチンを一旦終了する。
【0131】
又、CPUは、ステップ1005にて「No」と判定した場合も、処理をステップ1020に進め、第2時間TTC_2を衝突判定時間TTCthとして設定する。次いで、CPUは、処理をステップ1095に進め、本ルーチンを一旦終了する。
【0132】
又、第2変形例に係る車両衝突回避支援装置10のECU90のCPUは、
図11に示したルーチンを所定演算周期で実行するようになっている。従って、所定のタイミングになると、CPUは、
図11のステップ1100から処理を開始し、その処理をステップ1105に進め、運転者が覚醒しているか否かを判定する。即ち、CPUは、運転者の覚醒状態に基づいて自己衝突回避可能性があるか否かを判定する。
【0133】
CPUは、ステップ1105にて「Yes」と判定した場合、処理をステップ1110に進め、把持レベルLvが第1レベルLv_1であるか否かを判定する。第1レベルLv_1は、自車両100の運転者が両手でハンドル35の規定部分35Pを握っているときのレベルである。
【0134】
CPUは、ステップ1110にて「Yes」と判定した場合、処理をステップ1115に進め、第1時間TTC_1を衝突判定時間TTCthとして設定する。次いで、CPUは、処理をステップ1195に進め、本ルーチンを一旦終了する。
【0135】
一方、CPUは、ステップ1110にて「No」と判定した場合、処理をステップ1120に進め、把持レベルLvが第2レベルLv_2であるか否かを判定する。第2レベルLv_2は、運転者が両手でハンドル35を握っているが、運転者が握っているハンドル35の部分がハンドル35の規定部分35Pではないときのレベルである。
【0136】
CPUは、ステップ1120にて「Yes」と判定した場合、処理をステップ1125に進め、第2時間TTC_2を衝突判定時間TTCthとして設定する。次いで、CPUは、処理をステップ1195に進め、本ルーチンを一旦終了する。
【0137】
一方、CPUは、ステップ1120にて「No」と判定した場合、処理をステップ1130に進め、把持レベルLvが第3レベルLv_3であるか否かを判定する。第3レベルLv_3は、運転者が片手でしかハンドル35を握っていないが、運転者が握っているハンドル35の部分がハンドル35の規定部分35Pであるときのレベルである。
【0138】
CPUは、ステップ1130にて「Yes」と判定した場合、処理をステップ1135に進め、第3時間TTC_3を衝突判定時間TTCthとして設定する。次いで、CPUは、処理をステップ1195に進め、本ルーチンを一旦終了する。
【0139】
一方、CPUは、ステップ1130にて「No」と判定した場合、処理をステップ1140に進め、第4時間TTC_4を衝突判定時間TTCthとして設定する。次いで、CPUは、処理をステップ1195に進め、本ルーチンを一旦終了する。
【0140】
又、CPUは、ステップ1105にて「No」と判定した場合、処理をステップ1145に進め、第5時間TTC_5を衝突判定時間TTCthとして設定する。次いで、CPUは、処理をステップ1195に進め、本ルーチンを一旦終了する。
【0141】
更に、CPUは、
図12に示したルーチンを所定演算周期で実行するようになっている。従って、所定のタイミングになると、CPUは、
図12のステップ1200から処理を開始し、その処理をステップ1205に進め、回避経路取得条件Croute及び強制操舵開始判定条件Cd_steerが成立しているか否かを判定する。より具体的には、CPUは、物体距離D200が衝突可能性判定距離Dth以下であるか否かを判定する。
【0142】
CPUは、ステップ1205にて「Yes」と判定した場合、処理をステップ1210に進め、回避経路Rを取得する。次いで、CPUは、処理をステップ1215に進め、予測到達時間TTCを取得する。次いで、CPUは、処理をステップ1220に進め、強制操舵実施条件Cs_steerが成立しているか否かを判定する。より具体的には、CPUは、予測到達時間TTCが衝突判定時間TTCth以下であるか否かを判定する。
【0143】
CPUは、ステップ1220にて「Yes」と判定した場合、処理をステップ1225に進め、回避経路Rを取得できているか否かを判定する。
【0144】
CPUは、ステップ1225にて「Yes」と判定した場合、取得できている回避経路Rを目標回避経路Rtgtとして設定する。次いで、CPUは、処理をステップ1235に進め、強制操舵制御を実施する。次いで、CPUは、処理をステップ1295に進め、本ルーチンを一旦終了する。
【0145】
一方、CPUは、ステップ1225にて「No」と判定した場合、処理をステップ1295に直接進め、本ルーチンを一旦終了する。この場合、強制操舵制御は、実施されない。
【0146】
又、CPUは、ステップ1205又はステップ1220にて「No」と判定した場合も、処理をステップ1295に直接進め、本ルーチンを一旦終了する。この場合も、強制操舵制御は、実施されない。
【0147】
尚、車両衝突回避支援装置10が強制操舵制御に代えて強制制動制御を実施するように構成されている場合、CPUは、
図13に示したルーチンを所定演算周期で実行するようになっている。従って、所定のタイミングになると、CPUは、
図13のステップ1300から処理を開始し、その処理をステップ1305に進め、強制制動開始タイミング判定条件が成立しているか否かを判定する。より具体的には、CPUは、物体距離D200が衝突可能性判定距離Dth以下であるか否かを判定する。
【0148】
CPUは、ステップ1305にて「Yes」と判定した場合、処理をステップ1310に進め、予測到達時間TTCを取得する。次いで、CPUは、処理をステップ1315に進め、強制制動実施条件Cs_brakeが成立しているか否かを判定する。より具体的には、CPUは、予測到達時間TTCが衝突判定時間TTCth以下であるか否かを判定する。
【0149】
CPUは、ステップ1315にて「Yes」と判定した場合、処理をステップ1320に進め、目標減速度Gtgtを取得する。次いで、CPUは、処理をステップ1325に進め、強制制動制御を実施する。次いで、CPUは、処理をステップ1395に進め、本ルーチンを一旦終了する。
【0150】
一方、CPUは、ステップ1315にて「No」と判定した場合、処理をステップ1395に直接進め、本ルーチンを一旦終了する。この場合、強制制動制御は、実施されない。
【0151】
又、CPUは、ステップ1305にて「No」と判定した場合も、処理をステップ1395に直接進め、本ルーチンを一旦終了する。
【0152】
以上が車両衝突回避支援装置10の具体的な作動である。
【0153】
尚、本発明は、上記実施形態及び変形例に限定されることはなく、本発明の範囲内において種々の変形例を採用することができる。
【符号の説明】
【0154】
10…車両衝突回避支援装置、35…ハンドル、40…把持状態検出装置、41…タッチセンサ、60…周辺情報検出装置、61…電波センサ、62…画像センサ、70…覚醒状態検出装置、71…ドライバーモニターカメラ、90…ECU、100…自車両、200…前方物体