(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-23
(45)【発行日】2025-01-07
(54)【発明の名称】記録装置、及び記録システム
(51)【国際特許分類】
G06F 3/12 20060101AFI20241224BHJP
B41J 29/00 20060101ALI20241224BHJP
B41J 29/38 20060101ALI20241224BHJP
G03G 21/14 20060101ALI20241224BHJP
G03G 21/00 20060101ALI20241224BHJP
H04N 1/00 20060101ALI20241224BHJP
【FI】
G06F3/12 339
G06F3/12 303
G06F3/12 329
G06F3/12 385
B41J29/00 Z
B41J29/38 401
B41J29/38 204
B41J29/38 104
G03G21/14
G03G21/00 390
G03G21/00 396
H04N1/00 127A
(21)【出願番号】P 2021060126
(22)【出願日】2021-03-31
【審査請求日】2024-03-12
(73)【特許権者】
【識別番号】000005267
【氏名又は名称】ブラザー工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000992
【氏名又は名称】弁理士法人ネクスト
(72)【発明者】
【氏名】奥野 哲也
【審査官】木村 雅也
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-058312(JP,A)
【文献】特開2016-194903(JP,A)
【文献】特開2018-072909(JP,A)
【文献】特開2010-113658(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 3/12
B41J 29/00
B41J 29/38
G03G 21/14
G03G 21/00
H04N 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
記録媒体に記録動作を実行する記録部と、
前記記録部による記録の可否に係わる記録装置側記録可否情報を記憶する記憶部と、
サーバと通信可能な通信部と、
制御部と、
を備え、
前記記録装置側記録可否情報は、
前記記録部による記録を許可する記録許可量に係わる情報を含み、
前記サーバは、
前記記録装置側記録可否情報に対応するサーバ側記録可否情報を記憶し、
前記制御部は、
前記記憶部の前記記録装置側記録可否情報が示す前記記録許可量の範囲で前記記録部による記録を実行する記録処理と、
前記記録許可量に応じて、前記サーバ側記録可否情報及び自装置の前記記録装置側記録可否情報のうち、一方の記録可否情報に基づいて他方の記録可否情報の更新を実行するタイミングの条件を変更するタイミング条件変更処理と、
を実行する、記録装置。
【請求項2】
前記制御部は、
前記タイミング条件変更処理において、前記記録許可量が閾値許可量以上である場合、前記記録部による記録の実行が終了したタイミングに前記更新を実行する第1条件を設定する、請求項1に記載の記録装置。
【請求項3】
前記制御部は、
前記タイミング条件変更処理において、前記記録許可量が前記閾値許可量より少ない場合、前記第1条件に加え、前記記録部による記録の実行を指示する記録指示を受け付けた後から記録の実行を開始する前までの間に前記更新を実行する第2条件を設定する、請求項2に記載の記録装置。
【請求項4】
前記制御部は、
前記記録装置を所定の消費電力で動作させる通常モードと、前記通常モードよりも消費電力を低減させて前記記録装置を動作させる省電力モードとを切り替え可能であって、前記記録部による記録を指示する記録指示を所定時間だけ受け付けないことに基づいて、前記通常モードから前記省電力モードへ前記記録装置を移行させ、
前記タイミング条件変更処理において、前記記録許可量が前記閾値許可量より少ない場合、前記第1条件に加え、前記省電力モードから復帰したタイミングで前記更新を実行する第3条件を設定する、請求項2又は請求項3に記載の記録装置。
【請求項5】
前記制御部は、
前記タイミング条件変更処理において、前記記録許可量が閾値許可量以上である場合、所定の時間毎に前記更新を実行し、前記記録許可量が前記閾値許可量より少ない場合、所定の時間毎の前記更新の実行に加え、前記記録部による記録の実行が終了したタイミングに前記更新を実行する条件を設定する、請求項1に記載の記録装置。
【請求項6】
前記記録部は、
着色剤を用いて記録媒体に印刷を実行する印刷部であり、
前記記録装置側記録可否情報は、
前記記録許可量の他に、前記着色剤の残量に係わる情報を含み、
前記制御部は、
前記記録許可量に応じて、前記サーバ側記録可否情報と自装置の前記記録装置側記録可否情報との前記更新を実行する際に、前記記録許可量及び前記着色剤の残量の情報を更新する、請求項1から請求項5の何れか1項に記載の記録装置。
【請求項7】
前記制御部は、
前記タイミング条件変更処理において、前記記録許可量の変化に応じて、前記更新を実行するタイミングの条件の数を変更する、請求項1から請求項6の何れか1項に記載の記録装置。
【請求項8】
前記サーバは、
前記記録許可量を増加させる指示を受け付け、指示の受け付けに基づいて、前記記録装置側記録可否情報に含まれる前記記録許可量を増加させる処理を実行する、請求項1から請求項7の何れか1項に記載の記録装置。
【請求項9】
記録装置と、
サーバと、
を備える記録システムであって、
前記記録装置は、
記録媒体に記録動作を実行する記録部と、
前記記録部による記録の可否に係わる記録装置側記録可否情報を記憶する記憶部と、
サーバと通信可能な通信部と、
を備え、
前記記録装置側記録可否情報は、
前記記録部による記録を許可する記録許可量に係わる情報を含み、
前記サーバは、
前記記録装置側記録可否情報に対応するサーバ側記録可否情報を記憶し、
前記記録装置は、
前記記憶部の前記記録装置側記録可否情報が示す前記記録許可量の範囲で前記記録部による記録を実行する記録処理を実行し、
前記記録システムは、
前記記録許可量に応じて、前記サーバ側記録可否情報及び前記記録装置側記録可否情報のうち、一方の記録可否情報に基づいて他方の記録可否情報の更新を実行するタイミングの条件を変更するタイミング条件変更処理を実行する、記録システム。
【請求項10】
前記記録装置が、
前記タイミング条件変更処理を実行する、請求項9に記載の記録システム。
【請求項11】
前記サーバが、
前記タイミング条件変更処理を実行し、前記サーバ側記録可否情報に含まれる前記記録許可量に応じて、前記更新を実行するタイミングの条件を変更する指示を、前記記録装置へ通知する、請求項9に記載の記録システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、記録装置、及び記録システムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、複数の印刷装置の印刷可能枚数を管理する情報処理システムについて記載されている。特許文献1の情報処理システムは、印刷装置毎及び登録ユーザ毎の印刷可能枚数を印刷上限対象リストとして作成し、各印刷装置が保持している。印刷装置は、自装置の印刷上限対象リストと、他の印刷装置の印刷上限対象リストとを同期させる処理を実行する。印刷装置は、印刷終了時や予め定められた時刻に、他の印刷装置との間で同期を実行する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2014-69553号公報(
図3、段落0039、0040)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述した特許文献1の情報処理システムでは、予め設定された条件に基づいて印刷可能枚数の更新を実行している。このため、印刷の実行などに応じて変動する印刷可能枚数の状態と、更新のタイミングが適切でなくなる虞があった。
【0005】
本願は、上記した課題を解決するためになされたものであって、記録許可量の状態に応じたタイミングで、記録可否情報を更新できる記録装置、及び記録システムを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本明細書によって開示される記録装置は、記録媒体に記録動作を実行する記録部と、前記記録部による記録の可否に係わる記録装置側記録可否情報を記憶する記憶部と、サーバと通信可能な通信部と、制御部と、を備え、前記記録装置側記録可否情報は、前記記録部による記録を許可する記録許可量に係わる情報を含み、前記サーバは、前記記録装置側記録可否情報に対応するサーバ側記録可否情報を記憶し、前記制御部は、前記記憶部の前記記録装置側記録可否情報が示す前記記録許可量の範囲で前記記録部による記録を実行する記録処理と、前記記録許可量に応じて、前記サーバ側記録可否情報及び自装置の前記記録装置側記録可否情報のうち、一方の記録可否情報に基づいて他方の記録可否情報の更新を実行するタイミングの条件を変更するタイミング条件変更処理と、を実行する。
【0007】
また、本願に開示の内容は、記録装置としての実施に限らず、例えば、記録装置とサーバとを備える記録システムとして実施しても有益である。
【発明の効果】
【0008】
上記構成の記録装置、記録システムによれば、記録許可量の状態に応じたタイミングで、記録可否情報を更新できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】実施形態に係る印刷システムの構成図である。
【
図2】
図1に示すプリンタ管理テーブルの説明図である。
【
図3】
図1に示すサーバ管理テーブルの説明図である。
【
図4】初期デバイス設定処理が実行された場合のシーケンス図である。
【
図6】プリンタが実行するタイミング条件変更処理のフローチャートである。
【
図7】別例1のプリンタが実行するタイミング条件変更処理のフローチャートである。
【
図8】別例2のプリンタが実行するタイミング条件変更処理のフローチャートである。
【
図9】携帯端末装置が実行する印刷処理のフローチャートである。
【
図10】
図9に示す印刷処理が実行された場合におけるシーケンス図である。
【
図11】プリンタが実行する非印刷時同期処理のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
(印刷システム1の構成)
以下、本願の記録システムを具体化した一実施形態について、図面を参照しつつ説明する。
図1は、本実施形態に係る印刷システム1の構成図である。印刷システム1は、例えば、複数のプリンタ20や携帯端末装置10を備え、ユーザに印刷サービスを提供する。印刷サービスは、プリンタ20によって印刷可能な用紙の枚数である印刷可能枚数に対してユーザが課金することにより、ユーザが印刷可能となるサービスである。例えば、ユーザがこの印刷サービスを申し込むときに初期費用を支払うことにより、ユーザに対して所定の印刷可能枚数(例えば2000枚)が付与される。以下の説明では、印刷可能枚数を設定することや、追加で課金して印刷可能枚数を増加させることを、「チャージする」という場合がある。
【0011】
また、本実施形態においてプリンタ20は、例えば、インクジェットプリンタである。ベンダからユーザに送付されるプリンタ20には、ユーザに対して付与された所定の印刷可能枚数以上(例えば2000枚+α枚)の印刷をするために必要な量のインクが充填されている。このため、本印刷サービスでは、ユーザは、プリンタ20を入手した後、初期費用を支払うことにより付与された印刷可能枚数の印刷を行うまでの間に、プリンタ20にインクを充填したり、インクカートリッジを交換したりする手間が不要となる。従って、本印刷サービスは、プリンタ20へのインクの補充作業が不要となり、ユーザにとっての利便性が高いサービスである。
【0012】
また、ユーザが初期費用の支払いにより付与された所定の印刷可能枚数を超えて印刷を行いたい場合は、追加の費用を支払う。そして、追加の印刷可能枚数を購入することにより、ユーザはプリンタ20を継続して利用可能である。ユーザが追加の印刷枚数の購入を繰り返したために、初期費用の支払いにより入手したプリンタ20のインク残量が少なくなった場合には、プリンタ20の交換をユーザが申請することによりプリンタ20が交換されることによって、印刷サービスが継続される。
【0013】
図1に示すように、印刷システム1は、携帯端末装置10、プリンタ20及びサーバ30を備えている。尚、図面が煩雑となるのを避けるため、
図1には、1台の携帯端末装置10と1台のプリンタ20のみを図示している。携帯端末装置10とプリンタ20とは、ルータ2を介して相互に通信可能に接続されている。また、携帯端末装置10及びプリンタ20は、ルータ2及びインターネット3を介してサーバ30と相互に通信可能に接続されている。尚、上記したネットワークの構成は、一例である。例えば、サーバ30をLAN内に配置し、携帯端末装置10及びプリンタ20を、インターネット3を介さずにサーバ30に接続しても良い。また、サーバ30に接続される携帯端末装置10やプリンタ20は、1台でも複数台でも良くい。また、複数の携帯端末装置10で1つのプリンタ20を共用して使用しても良く、1つの携帯端末装置10が、複数のプリンタ20を使い分けても良い。
【0014】
(携帯端末装置10の構成)
携帯端末装置10は、用紙(本願の記録媒体の一例)に対して画像の印刷をプリンタ20に実行させるものである。携帯端末装置10は、例えば、スマートフォンである。携帯端末装置10は、端末制御部11、近距離通信部13、タッチパネル14、及び、外部通信部16を備えている。これらの構成要素は、バス19を介して互いに通信可能とされている。
【0015】
端末制御部11は、端末CPU17、端末記憶部18を備えている。端末記憶部18は、例えば、RAM、ROM、フラッシュメモリ等を組み合わせて構成されている。端末記憶部18には、端末プログラム18A、アプリケーションプログラム(以下、アプリケーションという場合がある)18B、印刷可能枚数18Cが記憶されている。端末プログラム18A、アプリケーション18B、印刷可能枚数18Cは、例えば、端末記憶部18における読み取り及び書き込みが可能なフラッシュメモリやSSDなどのROMに記憶されている。端末プログラム18Aは、携帯端末装置10を統括的に制御するプログラムであり、アプリケーション18Bに基本的な機能やサービスを提供する。端末プログラム18Aは、例えば、Android(登録商標)OSやiOS(登録商標)である。また、携帯端末装置10が例えばPCである場合、端末プログラム18Aは、Windows(登録商標)OSなどである。
【0016】
アプリケーション18Bは、例えば、プリンタ20のベンダから提供されるプログラムであり、端末プログラム18Aの機能等を利用して、プリンタ20に対する設定処理や印刷指示、サーバ30に対するチャージ指示等の各種処理を実行するプログラムである。端末制御部11は、端末プログラム18Aやアプリケーション18Bを端末CPU17で実行し、携帯端末装置10を統括的に制御する。印刷可能枚数18Cは、プリンタ20の印刷可能枚数(
図2参照)の情報を、携帯端末装置10側で記憶した情報である。携帯端末装置10は、例えば、プリンタ20へ印刷指示を受け付ける画面で、現在の印刷可能枚数18Cを表示する。
【0017】
尚、以下の説明では、端末プログラム18Aやアプリケーション18Bを端末CPU17で実行する端末制御部11のことを、単に装置名で記載する場合がある。例えば、「携帯端末装置10は」という記載は、「端末プログラム18Aやアプリケーション18Bを端末CPU17で実行する端末制御部11は」ということを意味する場合がある。また、本明細書では、主に、プログラムに記述された命令に従った端末CPU17の処理を示す。即ち、以下の説明における「判断」、「送信」等の処理は、端末CPU17の処理を表している。端末CPU17による処理は、ハードウェア制御も含む。また、後述するプリンタプログラム26B1をプリンタCPU26Aで実行するプリンタ制御部26(プリンタ20)や、サーバプログラム32B1をサーバCPU32Aで実行するサーバ制御部32(サーバ30)についても同様である。また、本明細書中の「データ」とは、コンピュータに読取可能なビット列で表される。そして、実質的な意味内容が同じでフォーマットが異なるデータは、同一のデータとして扱われるものとする。本明細書中の「情報」についても同様である。
【0018】
また、プログラム(端末プログラム18A、アプリケーション18B)を記憶する端末記憶部18は、コンピュータが読み取り可能なストレージ媒体であってもよい。コンピュータが読み取り可能なストレージ媒体とは、non-transitoryな媒体である。non-transitoryな媒体には、上記の例の他に、CD-ROM、DVD-ROM等の記録媒体も含まれる。また、non-transitoryな媒体は、tangibleな媒体でもある。一方、インターネット上のサーバなどからダウンロードされるプログラムを搬送する電気信号は、コンピュータが読み取り可能な媒体の一種である信号媒体であるが、non-transitoryなストレージ媒体には含まれない。尚、後述するプリンタプログラム26B1を記憶するプリンタ記憶部26B、サーバプログラム32B1を記憶するサーバ記憶部32Bについても同様である。
【0019】
近距離通信部13は、例えば、Bluetooth(登録商標)やNFC(Near Field Communicationの略)などの近距離無線が可能な通信インタフェースである。タッチパネル14は、例えば、液晶パネルや液晶パネルの表面に貼り合わされた接触感知膜等を備え、端末制御部11の制御に基づいて液晶パネルの表示内容を変更する。また、タッチパネル14は、ユーザからの操作入力を受け付け、操作入力に応じた信号を端末制御部11に出力する。尚、携帯端末装置10は、タッチパネル14の他に、電源ボタン等を備えても良い。また、携帯端末装置10が備えるユーザインタフェースは、タッチパネル14に限らない。例えば、携帯端末装置10は、LCDや有機ELディスプレイ等の表示装置と、押しボタンスイッチ、スライドスイッチ等の入力装置を別々に備えても良い。
【0020】
外部通信部16は、例えば、Wi-Fi(登録商標)の通信規格に準じた無線通信が可能な通信インタフェースである。携帯端末装置10は、外部通信部16を介してルータ2に接続されている。ルータ2は、インターネット3を介してサーバ30に接続されている。尚、外部通信部16は、無線方式の通信インタフェースに限らず、LANケーブル等の有線ケーブルが接続可能な有線方式の通信インタフェースでも良い。
【0021】
(プリンタ20の構成)
プリンタ20は、例えば、インクジェット方式のカラー印刷機である。プリンタ20は、近距離通信部21、外部通信部22、タンク部23、インク残量検出部24、印刷部25、ユーザIF(インタフェースの略)27及び、プリンタ制御部26を備えている。近距離通信部21は、例えば、Bluetooth(登録商標)やNFCなどの近距離無線が可能な通信インタフェースである。プリンタ20は、近距離通信部21を介して近距離通信部13と通信可能であり、携帯端末装置10から設定情報や、印刷指示を取得する。本願における「取得」とは、要求を必須とはしない概念で用いる。即ち、プリンタ20が要求することなく指示を受信するという処理も、「プリンタ20が指示を取得する」という概念に含まれる。
【0022】
外部通信部22は、例えば、Wi-Fi(登録商標)の通信規格に準じた無線通信が可能な通信インタフェース、及びLANケーブルが接続可能な有線方式の通信インタフェースをそれぞれ備えている。プリンタ20は、外部通信部22を介してルータ2に接続される。尚、外部通信部22は、無線方式の通信インタフェース又は有線方式の通信インタフェースの一方のみを備える構成でも良い。
【0023】
タンク部23は、インクを貯留するものである。本実施形態においてインクは4種類あり(マゼンタM、シアンC、イエローY及びブラックBK)、タンク部23は、インクの種類毎に複数設けられている。即ち、プリンタ20は、複数のタンク部23を用いて4種類のインクそれぞれを独立させて貯留する。尚、プリンタ20は、モノクロ印刷のプリンタでも良い。また、本実施形態において、ベンダからユーザにプリンタ20が供給される際には、複数のタンク部23それぞれには、例えば、単色カバレッジを5%とした場合において、所定枚数の用紙を印刷可能なインクの量が充填されている。所定枚数とは、印刷サービスを申し込んだユーザに付与される印刷可能枚数よりも多い枚数であり、印刷サービスを提供するベンダが適宜設定可能である。
【0024】
また、タンク部23は、ユーザがインクを充填不能に設けられている。具体的には、タンク部23は、ユーザによっては触れることができない位置に配置されている。また、タンク部23は、プリンタ20に着脱不能に固定されている。インク残量検出部24は、タンク部23に貯留されたインクの残量であるインク残量を検出するものである。インク残量検出部24は、タンク部23に配置され、インクの液面の高さを検出することにより、インク残量を検出する光学センサである。インク残量検出部24は、複数のタンク部23のそれぞれに配置され、複数のタンク部23のそれぞれのインク残量を検出する。尚、プリンタ20は、タンク部23をユーザが交換可能な構成でも良い。
【0025】
印刷部25は、タンク部23に貯留されたインクを用いて印刷を実行する。印刷部25は、例えば、インクジェットヘッドなどを備え、携帯端末装置10から取得した印刷指示に含まれる画像データを、既知のインクジェット方式で用紙に印刷する。ユーザIF27は、例えば、タッチパネル、電源ボタン等を含み、ユーザからの操作入力の受け付けや各種の情報の表示を行う。尚、プリンタ20は、タッチパネル等のユーザIF27を備えない構成でも良い。
【0026】
プリンタ制御部26は、プリンタ20を統括制御するものである。プリンタ制御部26は、プリンタCPU26A、プリンタ記憶部26Bを備えている。プリンタCPU26Aは、プリンタ記憶部26B内のプリンタプログラム26B1を実行することで、プリンタ20の動作を制御する。プリンタプログラム26B1は、プリンタ20を統括的に制御するプログラムであり、プリンタ20に各種処理を実行させるプログラムである。プリンタ記憶部26Bは、例えば、RAM、ROM、フラッシュメモリ、HDDなどが組み合わされて構成されている。プリンタプログラム26B1は、例えば、プリンタ記憶部26Bの書き換え可能なROM(フラッシュメモリ等)に記憶されている。
【0027】
また、プリンタ記憶部26Bには、プリンタ管理テーブルPTが記憶されている。プリンタ管理テーブルPTは、例えば、プリンタ記憶部26Bの書き換え可能なROMに記憶されている。プリンタ管理テーブルPTは、印刷サービスの利用に関して、プリンタ20に関する情報が記憶されたデータである。
図2に示すように、プリンタ管理テーブルPTには、デバイスID、印刷可能枚数、インク残量、アクティベーション情報、デバイス設定、及び同期日時が対応付けられて記憶されている。デバイスIDは、例えば、プリンタ20のベンダによって設定されたシリアル番号であり、任意のプリンタ20を他のプリンタ20と識別できる固有の情報である。尚、デバイスIDは、シリアル番号に限らず、例えば、近距離通信部21や外部通信部22のMACアドレスなど、他の装置固有の情報でも良い。
【0028】
印刷可能枚数は、プリンタ20によって印刷を実行可能な用紙の枚数を示すものである。プリンタ20を利用するユーザは、プリンタ管理テーブルPTに記憶された印刷可能枚数の範囲で(枚数だけ)印刷することができる。印刷可能枚数は、ユーザによって課金されることにより、課金された額に応じた枚数が加算(チャージ)される。一方、印刷可能枚数は、プリンタ20の印刷によって使用された用紙の枚数が減算される。プリンタ20は、例えば、印刷可能枚数がゼロ以下となると、印刷が実行できない状態となる。プリンタ20は、例えば、印刷指示を受け付けるごとに印刷を実行して、印刷枚数を印刷可能枚数から減算し、印刷可能枚数がゼロになるまで印刷を実行する。プリンタ20は、印刷可能枚数がゼロになると印刷の実行を禁止し、エラーを携帯端末装置10に通知等する。尚、プリンタ20は、印刷指示を受け付けた時点で、その印刷指示の印刷枚数が印刷可能枚数以上であった場合、印刷を実行せずに印刷可能枚数を残したままエラーを携帯端末装置10に通知しても良い。
【0029】
インク残量は、インク残量検出部24によって検出されたインク残量を示すものである。プリンタ20は、例えば、インクジェットヘッドへのインクの補充、ノズルチェック、印刷等のインクを使用する動作を実行した後、インク残量検出部24によって検出したインク残量をプリンタ管理テーブルPTに記憶する。アクティベーション情報は、オン状態に設定された場合に印刷部25による印刷の実行が許容され、オフ状態に設定された場合に印刷部25による印刷の実行が制限されることを示すものである。印刷の実行の制限とは、例えば、印刷部25によって印刷できない状態にプリンタ20をすることをいう。尚、
図2、
図3に示す「〇」はオン状態に設定されていることを示し、「×」は、オフ状態に設定されていることを示している。デバイス設定は、プリンタ20の機能(印刷等)、各機能の設定(用紙サイズ、カラー、倍率等)、及びユーザIF27に表示する言語等の設定情報である。
【0030】
同期日時は、サーバ30との間で、前回(直近)の同期処理を実行した日時である。ここでいう同期処理とは、例えば、サーバ30とプリンタ20の印刷可能枚数を一致させる処理である。尚、本実施形態における同期処理は、本願の「サーバ側記録可否情報及び記録装置側記録可否情報のうち、一方の記録可否情報に基づいて他方の記録可否情報を更新する処理」の一例である。本願の更新とは、印刷可能枚数、印刷済の枚数(後述する
図12参照)、及びインク残量など、印刷部25(本願の記録部の一例)による記録の可否に係わる記録可否情報に関し、サーバ30とプリンタ20との間で通信して一方の記録可否情報に基づいて他方の情報を更新することをいう。従って、更新とは、同期のような同じ記録可否情報(印刷可能枚数やインク残量)をサーバ30とプリンタ20の両方で持つ(一致させる)処理に限らず、一方の情報に基づいて他方の情報を更新した結果、記録可否情報を新しい情報にする処理を含む概念である(
図12の場合など)。
【0031】
また、
図1に示すように、プリンタ記憶部26Bには、タイミング条件情報26B2、閾値枚数26B3が記憶されている。タイミング条件情報26B2は、サーバ30との間で同期処理を実行するタイミングの条件(以下、タイミング条件という場合がある)の情報である。タイミング条件情報26B2には、同期処理を実行するタイミング条件として複数の条件が設定されている(
図5参照)。閾値枚数26B3は、印刷可能枚数を判断するための閾値である。プリンタ20は、印刷可能枚数と閾値枚数26B3とを比較した結果に応じて、タイミング条件情報26B2のうち、同期処理を実行するタイミング条件を変更する。タイミング条件を変更する処理の詳細については後述する。
【0032】
(サーバ30の構成)
図1に示すように、サーバ30は、外部通信部31及びサーバ制御部32を備えている。外部通信部31は、インターネット3を介して接続された携帯端末装置10やプリンタ20と通信を実行する。サーバ制御部32は、サーバCPU32A及びサーバ記憶部32Bを備えている。サーバCPU32Aは、サーバ記憶部32B内のサーバプログラム32B1を実行することで、サーバ30の動作を統括的に制御する。サーバプログラム32B1は、サーバ30を統括的に制御するプログラムであり、サーバ30に各種処理を実行させるプログラムである。
【0033】
サーバ記憶部32Bは、例えば、RAM、ROM、フラッシュメモリ、HDD等を組み合わせて構成されている。また、サーバ記憶部32Bには、サーバ管理テーブルSTが記憶されている。サーバ管理テーブルSTは、印刷サービスを利用するにあたって必要な情報が記憶されたデータである。サーバ管理テーブルSTは、印刷サービスを利用する各プリンタ20の情報が、プリンタ20のデバイスIDに関連付けて記憶され、ベンダによって管理されている。
【0034】
図3に示すように、サーバ管理テーブルSTには、デバイスID、印刷可能枚数、インク残量、アクティベーション情報及びチャージ予定枚数が対応付けられて記憶されている。デバイスID、印刷可能枚数、インク残量、アクティベーション情報は、上述したプリンタ管理テーブルPTと同じデータであり、同じデバイスIDに対応するプリンタ管理テーブルPTのデータが記憶される。本実施形態のサーバ30は、印刷サービスを利用する複数のプリンタ20について、デバイスIDと印刷可能枚数を関連付けたサーバ管理テーブルSTによって、各プリンタ20の印刷可能枚数を管理する。サーバ30は、携帯端末装置10の印刷指示やチャージ指示に応じて増減する印刷可能枚数を、プリンタ20との間で同期する処理を実行し、最新の印刷可能枚数をサーバ管理テーブルSTで管理する。また、サーバ30は、同期処理によって最新のインク残量の情報をプリンタ20から収集する。サーバ30は、インク残量が所定の閾値以下になると、プリンタ20の交換を携帯端末装置10に通知する。これにより、ユーザは、使用中のプリンタ20のインク残量がなくなって印刷ができなくなる前に、プリンタ20の交換を申請して新しいプリンタ20を受け取ることができる。
【0035】
チャージ予定枚数は、ユーザによってチャージされた印刷可能枚数で、まだプリンタ20に反映していない印刷可能枚数である。例えば、印刷システム1は、携帯端末装置10のアプリケーション18Bを用いてチャージの指示をサーバ30へ送信することができる。詳述すると、ユーザは、アプリケーション18Bを操作してチャージ対象のプリンタ20を選択した後、タッチパネル14に表示されたチャージ枚数からチャージしたい枚数を選ぶ、あるいは、チャージしたいチャージ枚数を入力するなどし、チャージ指示をサーバ30へ送信する。サーバ30は、チャージ指示を携帯端末装置10から受け付けると、チャージ指示で指定されたチャージ枚数をチャージ予定枚数として、指定されたプリンタ20(デバイスID)に関連付けてサーバ管理テーブルSTに記憶する。また、サーバ30は、チャージ枚数に応じた料金をユーザから徴収する。サーバ30は、チャージ枚数をプリンタ20へ通知し、プリンタ管理テーブルPTの印刷可能枚数にチャージ枚数を加算させる。プリンタ20は、加算後の印刷可能枚数をサーバ30に送信する。サーバ30は、加算後の印刷可能枚数をプリンタ20から取得すると、取得した印刷可能枚数でサーバ管理テーブルSTの印刷可能枚数を更新し、チャージ予定枚数をゼロにする。これにより、印刷可能枚数のチャージを実行することができる。
【0036】
(初期デバイス設定処理)
次に、プリンタ20の初期デバイス設定処理におけるユーザの作業、各装置の処理の内容について説明する。ユーザは、プリンタ20を初めて購入し、ベンダからプリンタ20が到着すると、
図4に示す作業を行う。携帯端末装置10、プリンタ20、サーバ30の各装置は、ユーザの作業に応じて各処理を実行する。尚、
図4以降のシーケンス図では、ユーザ(人)による作業は、斜め下向きの矢印で示している。また、
図4以降に示す処理、作業の内容や順番は、一例である。また、プリンタ20として、デバイスIDが「dv1」(
図2参照)のプリンタ20を設定する場合について説明する。
【0037】
まず、
図4のステップ(以下、単にSと記載する)11において、ユーザは、プリンタ20の電源を投入する(S11)。プリンタ20は、電源が投入されると、プリンタプログラム26B1をプリンタCPU26Aで実行し、プリンタ20のシステムを起動する(S13)。プリンタ20は、システムを起動すると初期導入等を実行する。ここでいう、初期導入とは、例えば、印刷部25による印刷を実行するための準備処理であり、印刷部25のインクの充填処理、ノズルの詰まりのチェック処理などである。また、プリンタ20は、初期導入が完了すると、印刷部25のインク残量を印刷部25で検出する。この時点では、インク残量ink1(
図2参照)は、ほぼ満タンの残量となる。また、印刷可能枚数pr1(
図2参照)は、何も設定されていないブランクの状態又はゼロ枚である。
【0038】
プリンタ20は、システムの起動等を実行すると、通信設定を受け付け可能な状態へ移行し(S15)、近距離通信部21や外部通信部22へ電力を供給し、外部装置と通信可能な状態へ移行する。一方、携帯端末装置10は、例えば、電源を投入されると、端末プログラム18Aを実行してシステムを起動した後、タッチパネル14に対する操作入力等に応じてアプリケーション18Bを実行し、アプリケーションプログラムを起動する(S17)。
【0039】
また、ユーザは、プリンタ20と携帯端末装置10に対し、通信設定を適宜実行する。例えば、ユーザは、ルータ2のSSIDや暗号化キーの入力等を携帯端末装置10やプリンタ20に対して行い、Wi-Fi(登録商標)の通信規格に応じた無線通信でプリンタ20と携帯端末装置10をルータ2に接続する(S15、S17)。尚、プリンタ20と携帯端末装置10とを、Bluetooth(登録商標)等の近距離無線通信でSSID等を交換させ、通信可能な状態にしても良い。
【0040】
携帯端末装置10は、例えば、同一ネットワーク内で検出したプリンタ20の一覧をタッチパネル14に表示し、プリンタ20の選択を受け付ける(S19)。携帯端末装置10は、例えば、選択されたプリンタ20の情報を要求し(S19)、デバイスID「dv1」、インク残量「ink1」、デバイス設定「dc1」をプリンタ20から取得する(S21)。プリンタ20は、例えば、ベンダから発送された段階では、プリンタ管理テーブルPTにデータを記憶していない状態となっている。プリンタ20は、デバイスIDやデバイス設定をプリンタ管理テーブルPT以外のプリンタ記憶部26Bの記憶領域に記憶して発送される。プリンタ20は、S21において、このプリンタ記憶部26Bに記憶されたデバイスIDやデバイス設定を送信する。また、プリンタ20は、インク残量検出部24で検出したインク残量を送信する。
【0041】
携帯端末装置10は、取得したデバイスID等の情報を端末記憶部18に記憶しておき、ユーザへの表示処理等に使用する。携帯端末装置10は、プリンタ管理テーブルPTへ各項目を記憶するプリンタ管理テーブル登録指示をプリンタ20に送信する(S23)。プリンタ20は、S23の指示を取得したことに応じて、プリンタ管理テーブルPTに、デバイスID「dv1」と、S13で検出したインク残量「ink1」と、デバイス設定「dc1」とを対応付けて登録(記憶)する(S27)。また、プリンタ20は、プリンタ管理テーブルPTの印刷可能枚数pr1を、初期導入後のブランク状態のまま維持する。また、プリンタ20は、プリンタ管理テーブルPTのアクティベーション情報をオフ状態に設定する。プリンタ20は、同期日時「cd1」を、ブランク状態に設定する。これにより、プリンタ管理テーブルPTの登録が完了する。尚、プリンタ20は、ベンダから発送される段階でデバイスIDやデバイス設定をプリンタ管理テーブルPTに設定された状態でも良い。
【0042】
また、携帯端末装置10は、S29において、タッチパネル14を介してユーザ情報を受け付ける。携帯端末装置10は、例えば、アプリケーション18Bのユーザ登録が未登録であった場合などに、S29のユーザ情報の受付を実行する。このユーザ情報は、例えば、アプリケーション18Bにログインするためのログインユーザの情報や、プリンタ20を使用するユーザに関する情報であり、ユーザID、パスワード、ユーザの氏名、料金の支払い方法等である。
【0043】
携帯端末装置10は、S29でユーザ情報を受け付けると、受け付けたユーザ情報をサーバ30へ送信する(S31)。サーバ30は、携帯端末装置10からユーザ情報を取得すると、取得したユーザ情報をサーバ記憶部32Bに記憶する(S33)。これにより、プリンタ20を使用するユーザの情報がサーバ30に登録される。サーバ30は、サーバ管理テーブルSTとは別にユーザ情報を管理しても良く、サーバ管理テーブルSTのデバイスIDに関連付けて管理しても良い。
【0044】
また、プリンタ20は、S27を実行しプリンタ管理テーブルPTの登録を完了させると、サーバ30へアクセスし、登録処理を実行する(S35)。プリンタ20は、例えば、予めプリンタ記憶部26Bに記憶されたサーバ30のURLへアクセスする。プリンタ20は、サーバ30へのアクセスに成功すると、サーバ30との間で通信可能な状態となる(S35)。プリンタ20は、例えば、デバイスID、印刷可能枚数、アクティベーション情報の登録を依頼する指示を、サーバ30へ送信する。サーバ30は、取得したデバイスIDについて、予め登録されたベンダのシリアル番号との照合を実行し、一致するデバイスIDを検出すると、取得したデバイスID等の情報を関連付けてサーバ管理テーブルSTに登録する(S35)。尚、プリンタ登録処理(S35)を、携帯端末装置10が実行しても良い。
【0045】
また、ユーザは、S29のユーザ情報の登録を完了させると、選択中のプリンタ20に対するサービスの申し込みを実行する(S37)。携帯端末装置10は、タッチパネル14の操作に基づいて、登録済みのユーザ情報、S19で選択したプリンタ20の情報、選択したプリンタ20について料金を支払う方法などの登録を、サーバ30に対して実行する(S37)。料金を支払う方法は、S31で登録した支払い方法から選択しても良く、改めてクレジットカードの情報等を新規に登録しても良い。これにより、ユーザ情報、課金方法が、課金対象のプリンタ20の情報(デバイスIDなど)と関連付けられサーバ30に登録される。
【0046】
また、サーバ30は、サーバ管理テーブルSTへの登録が初登録であるプリンタ20に対して、所定の印刷可能枚数(例えば、2000枚)を初回チャージとして無料でチャージする(S39)。例えば、サーバ30は、S37によってサービスの申し込みが完了したユーザで、且つ、サーバ管理テーブルSTへの登録が初登録であるプリンタ20のデバイスIDに関連付けられた印刷可能枚数について、所定の枚数を自動で初回チャージする。サーバ30は、初回のチャージ処理が完了すると、チャージの完了通知を携帯端末装置10へ送信する(S41)。尚、初回チャージの印刷可能枚数を、ベンダからユーザにプリンタ20を送付する時点で、プリンタ管理テーブルPTに設定しても良い。
【0047】
携帯端末装置10は、S41の完了通知を取得すると、初回チャージの印刷可能枚数を、サーバ30との間で同期させる同期開始指示を、プリンタ20に送信する(S43)。尚、携帯端末装置10は、完了通知を取得したことをタッチパネル14に表示して、プリンタ20に同期を実行させるか、ユーザの指示を受け付けても良い。プリンタ20は、S43の初期同期開始指示を取得すると、サーバ30との間で、印刷可能枚数を同期する初期同期処理を実行する(S45)。プリンタ20は、例えば、S39の初回チャージでチャージされた印刷可能枚数をサーバ30へ問い合わせる。サーバ30は、デバイスIDに基づいて、初回チャージされた印刷可能枚数を、プリンタ20へ応答する。プリンタ20は、サーバ30から取得した印刷可能枚数で、プリンタ管理テーブルPTの印刷可能枚数を上書きすることで、印刷可能枚数の同期する初期同期処理を実行する。プリンタ20は、初期同期処理を完了させると、プリンタ管理テーブルPTの同期日時「cd1」を、現在の日時に更新する(S45)。尚、初期同期処理を開始する条件は、上記した携帯端末装置10からプリンタ20への指示の送信に限らない。例えば、プリンタ20は、タッチパネル14に対する所定の操作入力に基づいて初期同期処理を開始しても良い。
【0048】
サーバ30は、S45の初期同期処理を完了させると、プリンタ20を印刷が可能な状態へ移行させる設定を行う(S47)。サーバ30は、サーバ管理テーブルSTにおいて、S45で初回チャージを完了させたプリンタ20のデバイスIDに関連付けられたアクティベーション情報をオン状態(
図3の「○」)にする。サーバ30は、サーバ管理テーブルSTのアクティベーション情報を更新すると、アクティベーション情報をオン状態にするアクティベーション指示を、プリンタ20へ送信する(S49)。プリンタ20は、S49のアクティベーション指示を、サーバ30から取得すると、自装置のプリンタ管理テーブルPTのアクティベーション情報をオン状態にする。これにより、プリンタ20は、携帯端末装置10から取得した印刷指示等を印刷可能な状態となる。尚、サーバ30は、プリンタ20のアクティベーション情報を制御しなくとも良い。この場合、プリンタ管理テーブルPTは、アクティベーション情報を備えなくとも良い。
【0049】
プリンタ20は、アクティベーション情報をオン状態にすると、完了通知を携帯端末装置10へ送信する(S50)。携帯端末装置10は、S50の完了通知を取得すると、例えば、メニュー画面51に、印刷可能な状態になったことを表示する。尚、上記した
図4に示す初期デバイス設定処理の内容は、一例である。例えば、プリンタ20へ追加で印刷可能枚数をチャージする予定がない場合、ユーザは、ユーザ情報の登録、クレジットカードの登録等を実行しなくとも良い。この場合、初回チャージの印刷可能枚数だけプリンタ20にチャージしても良い。また、プリンタ20は、ベンダや製造工場から出荷される時点で、初回チャージ分等の印刷可能枚数がチャージされていても良い。
【0050】
(同期処理のタイミング条件)
次に、本実施形態のプリンタ20が、タイミング条件情報26B2を用いて同期処理を実行するタイミング条件について説明する。プリンタ20は、プリンタ記憶部26Bに記憶されたタイミング条件情報26B2と閾値枚数26B3に基づいて、同期処理を実行するタイミング条件を変更する。プリンタ20は、後述するように、同期処理を実行すると、プリンタ管理テーブルPTの印刷可能枚数及びインク残量をサーバ30に送信し、サーバ30のサーバ管理テーブルSTの印刷可能枚数及びインク残量を更新する。また、プリンタ管理テーブルPTに反映されていないチャージ予定枚数があった場合は、印刷可能枚数にチャージ予定枚数を反映した上で、同期処理を実行する。
【0051】
図5は、タイミング条件の一覧を示している。
図5に示すように、プリンタ20は、タイミング条件として複数(本実施形態では6つ)のタイミング条件を設定可能となっている。
図5の表の1列目は、タイミング条件の識別番号を示している。2列目は、タイミング条件がユーザの操作に基づいて実行される条件(図中の「手動」)、又はプリンタ20が条件の成立を判断して自動で実行する条件(図中の「自動」)であるのかを示している。3列目は、タイミング条件の内容を示している。
【0052】
タイミング条件1は、待機状態において電源ボタンを押下する条件である。プリンタ20は、例えば、電源を投入され、且つ印刷等の処理を実行しない待機状態において、ユーザIF27の電源ボタンが所定時間よりも長く継続して押下、所謂、長押しされるとタイミング条件1が成立したと判断する。所定時間は、例えば、数秒である。上記したボタン操作は一例である。例えば、プリンタ20は、複数のボタンを同時に押される条件を、タイミング条件1として処理しても良い。
【0053】
タイミング条件2は、アプリケーション18Bからの指示を受け付ける条件である。アプリケーション18Bは、例えば、携帯端末装置10で実行された状態において、タッチパネル14に対する所定の操作入力に応じて、プリンタ20に対して同期指示を送信する。プリンタ20は、このアプリケーション18Bからの同期指示を取得すると、タイミング条件2が成立したと判断する。
【0054】
タイミング条件3は、印刷指示の実行が終了する条件である。プリンタ20は、例えば、携帯端末装置10のアプリケーション18B等から印刷指示を取得する。印刷指示には、例えば、印刷する対象の画像データや印刷設定の情報が含まれている。印刷設定の情報は、印刷枚数、印刷色、倍率等の情報である。プリンタ20は、この印刷指示に基づいた印刷が終了するとタイミング条件3が成立したと判断する。例えば、1部が3枚の原稿を2部だけ印刷する印刷指示を取得した場合、プリンタ20は、6枚の用紙の印刷を完了すると、タイミング条件3が成立したと判断する。尚、上記したタイミング条件3は一例である。例えば、プリンタ20は、1つの印刷指示が完了する前に他の印刷指示を受け付けた場合、複数の印刷指示を全て完了させると、タイミング条件3が成立したと判断しても良い。
【0055】
タイミング条件4は、電源が投入される条件である。プリンタ20は、例えば、ユーザIF27の電源ボタンが操作され、電源を投入された後、プリンタプログラム26B1をプリンタCPU26Aで実行しシステムを起動すると、タイミング条件4が成立したと判断する。
【0056】
タイミング条件5は、省電力モードから復帰する条件である。プリンタ20は、例えば、印刷指示を待つ状態、印刷指示を実行する状態、ユーザIF27に対する操作入力を受け付ける状態など、起動時において処理内容に応じた所定の消費電力で動作するモード(以下、通常モードという場合がある)を備えている。また、プリンタ20は、例えば、通常モードにおいて一定時間だけ印刷指示やユーザIF27に対する操作入力等を受け付けなかった場合、プリンタ20の各装置へ供給する電力を減らし、通常モードよりも消費電力を低減する省電力モードへ移行する。電力を低減する制御方法は、特に限定されないが、例えば、ユーザIF27のタッチパネルを非表示にする制御、印刷部25への電力供給を停止する制御などでも良い。プリンタ20は、省電力モードへ移行した後、所定の条件の成立に基づいて、通常モードに復帰する。所定の条件は、例えば、印刷指示を受ける条件、ユーザIF27に対する操作入力を受け付ける条件、アプリケーション18Bから情報の要求を受け付ける条件などである。即ち、プリンタ20は、所定の条件に基づいて、通常モードと、通常モードより省電力を低減する省電力モードとを切り替え可能となっている。そして、プリンタ20は、例えば、この省電力モードから復帰すると条件が成立した場合に、タイミング条件5が成立したと判断する。
【0057】
タイミング条件6は、印刷指示の実行を開始する条件である。プリンタ20は、例えば、携帯端末装置10からの印刷指示や、ユーザIF27に対する操作入力に基づく印刷指示を受け付け、受け付けた印刷指示を実行する処理を開始すると、タイミング条件6が成立したと判断する。あるいは、プリンタ20は、新たな印刷指示を受け付けた時点で、タイミング条件6が成立したと判断しても良い。また、プリンタ20は、印刷指示を受け付けた後から印刷の実行を開始する前までの任意のタイミング(用紙の給紙を開始するタイミングなど)を、タイミング条件6の成立条件としても良い。
【0058】
また、
図5の4列目、5列目は、各条件を適用するか適用しないかを示している。図中の「ON」は、適用することを示しており、「OFF」は、適用しないことを示している。タイミング条件情報26B2には、例えば、上記した「タイミング条件1~6を示す情報」と、「各条件について同期処理を実行すべきか否かを示す情報」(上記した「ON」「OFF」に対応する情報)が記憶されている。より具体的には、例えば、「タイミング条件を示す情報」としては、プリンタ記憶部26Bの所定の記憶領域に、タイミング条件1~6を示す識別情報がそれぞれ記憶されている。また、「各条件について同期処理を実行すべきか否かを示す情報」としては、タイミング条件1~6の識別情報に対応付けて「ON(1)」又は「OFF(0)」の情報が記憶されている。プリンタ20は、例えば、自装置の状態を監視し、タイミング条件1~6の何れかが成立すると、タイミング条件情報26B2を参照して同期処理を実行すべきか否かを判断する。
【0059】
また、4列目、5列目に示すように、プリンタ20は、同期処理を実行するタイミング条件を印刷可能枚数に基づいて変更する。
図6は、プリンタ20が実行するタイミング条件変更処理の内容を示している。プリンタ20は、印刷可能枚数の増減が発生すると、
図6に示す処理を開始する。ここでいう印刷枚数の増減とは、例えば、印刷指示の実行にともなう印刷可能枚数の減算、チャージにともなう印刷可能枚数の加算である。また、プリンタ20は、印刷枚数が増減する条件以外に、例えば、電源の投入時に、
図6の処理を実行しても良い。
【0060】
図6に示す処理を開始すると、プリンタ20は、プリンタ管理テーブルPTの印刷可能枚数がプリンタ記憶部26Bの閾値枚数26B3以上であるか否かを判断する(S51)。プリンタ20は、印刷可能枚数が閾値枚数26B3以上である場合(S51:YES)、S52において、タイミング条件1~5の各々について、そのタイミング条件が成立した場合に同期処理を実行することを示す情報をタイミング条件情報26B2に設定する(以下、「タイミング条件1~5を設定する」という場合がある)。これにより、タイミング条件情報26B2には、タイミング条件1~5で同期処理を実行し、タイミング条件6では同期処理を実行しない設定情報が記憶される。プリンタ20は、S52を実行すると、
図6に示す処理を終了する。
【0061】
一方、プリンタ20は、印刷可能枚数が閾値枚数26B3より少ない場合(S51:NO)、タイミング条件1~5に加え、タイミング条件6をタイミング条件情報26B2に設定する(S53)。タイミング条件情報26B2には、タイミング条件1~6で同期処理を実行する設定情報が記憶される。従って、プリンタ20は、印刷可能枚数が閾値枚数26B3よりも少なくなると、同期処理を実行するタイミング条件として、印刷前に同期処理を実行するタイミング条件6を追加する。ここでいうタイミング条件6の追加とは、例えば、上記したように、タイミング条件情報26B2として、タイミング条件1~6の識別情報と、その識別情報に対応付けて「ON(1)」又は「OFF(0)」の情報を記憶する記憶方法を採用する場合、プリンタ記憶部26Bの記憶領域におけるタイミング条件6に対応する記憶領域に「1」を書き込む(「ON」にする)、という処理に相当する。即ち、本実施形態ではタイミング条件6がONになる。
【0062】
ここで、プリンタ記憶部26Bにおける印刷指示のデータを記憶する記憶容量が小さい場合や印刷指示のデータが大きい場合、プリンタ20は、印刷指示を実行する前に、印刷指示のデータを全てプリンタ記憶部26Bに蓄積することができず、その印刷指示で印刷する合計の印刷枚数を判断できない可能性がある。この場合、プリンタ20は、印刷可能枚数より多い印刷指示を受け付けると、印刷途中で印刷可能枚数が不足して印刷できない状態となる。一方で、例えば、携帯端末装置10からサーバ30へチャージ指示が送信されたものの、プリンタ20の電源が入っていなかった場合やインターネット3の通信エラーなどが発生すると、チャージ枚数がプリンタ管理テーブルPTの印刷可能枚数に反映されていない虞がある。これに対し、プリンタ20は、印刷可能枚数が閾値枚数26B3より少なくなった場合に、タイミング条件6を追加することで、印刷前に印刷可能枚数の同期を実行し、プリンタ20からサーバ30へ接続してチャージ枚数を印刷可能枚数に反映させることができる。これにより、印刷の途中に印刷可能枚数が不足する事態の発生を抑制できる。
【0063】
従って、S51で用いる閾値枚数26B3は、印刷中に印刷可能枚数が不足すると考えられる枚数である。プリンタ20は、例えば、閾値枚数26B3の値をユーザから受け付ける。あるいは、プリンタ20は、1つの印刷指示当たりの平均的な印刷枚数を演算し、平均印刷枚数を閾値枚数26B3として設定しても良い。また、プリンタ20は、閾値枚数26B3をサーバ30から取得しても良い。
【0064】
また、タイミング条件を変更する判断を、サーバ30が実行しても良い。例えば、サーバ30は、サーバ管理テーブルSTに登録されているプリンタ20の各々について、印刷可能枚数と閾値枚数26B3とを比較し、印刷可能枚数が閾値枚数26B3より少なくなった場合に、タイミング条件を、タイミング条件1~5からタイミング条件1~6に変更する指示をプリンタ20へ通知しても良い。
【0065】
尚、上記した同期処理のタイミング条件は、一例である。例えば、プリンタ20は、印刷中に、印刷可能枚数と閾値枚数26B3の比較を実行し、印刷可能枚数が閾値枚数26B3より少なくなった場合に、同期処理を実行しても良い。この場合、プリンタ20は、同期処理が完了するまで、印刷を一時中断しても良い。また、プリンタ20は、ルータ2やインターネット3に接続するネットワークの設定がされるまでの間、即ち、サーバ30と直接通信できない場合、携帯端末装置10を介して同期処理を実行しても良い。
【0066】
(別例1のタイミング条件変更処理)
尚、
図6に示すタイミング条件変更処理の処理内容は、一例である。
図6に示すタイミング条件変更処理では、1つの閾値枚数26B3を用いて、S52又はS53を実行したが、これに限らない。例えば、
図7に示すように、複数の閾値枚数26B3を用いてタイミング条件を切り替えても良い。尚、以下の説明では、上記した
図6と同様の内容については、その説明を適宜省略する。
【0067】
図7に示す別例のタイミング条件変更処理では、2つの閾値枚数26B3(以下、第1閾値枚数、第2閾値枚数という)を用いている。第1閾値枚数は、第2閾値枚数よりも多い所定の枚数である。プリンタ20は、プリンタ管理テーブルPTの印刷可能枚数が第1閾値枚数以上である場合(S55:YES)、タイミング条件としてタイミング条件1~4を設定する(S56)。また、プリンタ20は、印刷可能枚数が第1閾値枚数より少ない場合(S55:NO)、印刷可能枚数が第2閾値枚数以上であるか判断する(S57)。
【0068】
プリンタ20は、印刷可能枚数が第2閾値枚数以上である場合(S57:YES)、タイミング条件1~5を設定し(S58)、印刷可能枚数が第2閾値枚数より少ない場合(S57:NO)、タイミング条件1~4、6を設定する(S59)。このように、プリンタ20は、印刷可能枚数の増減に応じて、タイミング条件を段階的に追加、削減、変更(入れ替え)等しても良い。これにより、印刷可能枚数に応じて、より適切なタイミングで同期処理を実行することができる。
【0069】
尚、上記した複数の閾値枚数26B3を用いたタイミング条件の変更内容は、一例である。例えば、プリンタ20は、印刷可能枚数の減少に応じて、タイミング条件1、タイミング条件1,2、タイミング条件1~3・・・・・タイミング条件1~6と、タイミング条件を順番に増やしても良い。あるいは、例えば、プリンタ20は、S56でタイミング条件1~4、S58でタイミング条件5、S59でタイミング条件6を設定しても良い。
【0070】
(別例2のタイミング条件変更処理)
また、プリンタ20は、
図5に示すタイミング条件以外の条件を用いても良い。
図8は、別例2のタイミング条件変更処理の内容を示している。例えば、
図8に示すように、プリンタ20は、印刷可能枚数が閾値枚数26B3以上の場合(S61:YES)、所定時間毎に同期処理を実行するタイミング条件を設定する(S62)。プリンタ20は、S62を実行した場合、例えば、電源を投入された後、所定時間毎にサーバ30との間で、印刷可能枚数及びインク残量を同期させる同期処理を実行する。
【0071】
一方、プリンタ20は、印刷可能枚数が閾値枚数26B3よりも少なくなった場合(S61:NO)、所定時間ごとの同期処理に加え、タイミング条件3を設定する(S63)。プリンタ20は、所定時間ごとに同期処理を実行し、且つ、印刷実行後にも同期処理を実行する。これにより、印刷可能枚数が減った場合のみ印刷後の同期処理を実行し、印刷後の同期処理の回数を低減できる。尚、
図8の処理内容は一例であり、例えば、プリンタ20は、S63において、所定時間ごとのタイミング条件に加え、タイミング条件1~6の少なくとも1つを追加しても良い。
【0072】
(印刷処理)
次に、携帯端末装置10が実行する印刷理について、
図9に示すフローチャートを用いて説明する。携帯端末装置10は、例えば、アプリケーション18Bが起動されると、
図9に示す印刷処理を実行する。プリンタ20は、
図5に示すように、印刷可能枚数が閾値枚数26B3以上である場合、印刷指示の実行後に同期処理を実行し(タイミング条件3)、印刷可能枚数が閾値枚数26B3より少なくなると、印刷後に加え、印刷前(タイミング条件6)にも同期処理を実行する。
【0073】
図9に示すように、まず、S71において、携帯端末装置10は、印刷実行操作がされたか否かを判断する。携帯端末装置10は、例えば、アプリケーション18Bの操作画面において所定の操作入力を受け付けると、印刷実行操作を受け付けたと判断する(S71:YES)。携帯端末装置10は、印刷実行操作がなされるまで(S71:NO)、S71の判断処理を実行し、印刷実行操作がなされると(S71:YES)、タッチパネル14に印刷実行画面(図示省略)を表示し、印刷する画像データや印刷設定を受け付ける。印刷設定は、印刷に使用する用紙の枚数、印刷する色、印刷する用紙のサイズなどの設定である。以下、印刷実行画面において指定された用紙の枚数を印刷指定枚数と記載する。また、携帯端末装置10は、印刷実行操作がなされると(S71:YES)、アクティベーション情報を取得するためのアクティベーション情報要求をプリンタ20に送信する(S73)。
【0074】
携帯端末装置10は、S73を実行すると、S73の要求に応じてプリンタ20から取得したアクティベーション情報がオン状態であるか否かを判断する(S75)。携帯端末装置10は、アクティベーション情報がオフ状態である場合(S75:NO)、印刷処理を中止する(S77)。この場合、携帯端末装置10は、アクティベーション情報がオフ状態であるため、初期デバイス設定処理を促す旨をタッチパネル14に表示しても良い。
【0075】
一方、携帯端末装置10は、アクティベーション情報がオン状態で(S75:YES)、且つ、印刷実行画面で印刷の実行指示を受け付けると、印刷指示をプリンタ20に送信し、プリンタ20に印刷を実行させる(S79)。印刷指示の情報は、上記した印刷実行画面で受け付けた画像データや印刷設定(印刷指定枚数など)の情報を含み、画像データを印刷設定で印刷させる指示の情報である。
【0076】
携帯端末装置10は、S79で印刷指示を送信した後、印刷が完了したか否かを判断する(S81)。携帯端末装置10は、印刷完了通知をプリンタ20から取得するまでの間、S81で否定判断し(S81:NO)、印刷完了通知を取得すると(S81:YES)、印刷可能枚数をプリンタ20から取得する(S83)。プリンタ20は、印刷を実行すると、印刷枚数に応じて印刷可能枚数を減算する。携帯端末装置10は、印刷完了通知を取得すると、減算後の印刷可能枚数をプリンタ20から取得し、端末記憶部12の印刷可能枚数18Cを更新し(S83)、
図9に示す処理を終了する。例えば、携帯端末装置10は、メニュー画面や印刷実行画面で表示する印刷可能枚数の情報として、取得した更新後の情報を用いる。尚、携帯端末装置10は、印刷完了通知に応じて、インク残量の情報などの他の情報をプリンタ20から取得しても良い。
【0077】
(印刷処理における印刷システム1の動作)
次に、上述した印刷処理における印刷システム1の動作について
図10を用いて説明する。以下の説明では、印刷可能枚数が閾値枚数26B3以上で、アクティベーション情報がオン状態である場合について説明する。また、印刷可能枚数が閾値枚数26B3より少ない場合については、図中の破線の矢印で図示しており、印刷可能枚数が閾値枚数26B3以上の場合の説明後に説明する。
【0078】
まず、S91では、携帯端末装置10は、ユーザによる印刷実行操作を受け付け、
図9のS71で肯定判断する(S71:YES)。携帯端末装置10は、印刷実行操作を受け付けたことに応じて、アクティベーション情報要求をプリンタ20に送信する(S73)。プリンタ20は、S73の要求に応じて、プリンタ管理テーブルPTのアクティベーション情報を送信する(S93)。携帯端末装置10は、S93で取得したアクティベーション情報を判断する(S75)。携帯端末装置10は、アクティベーション情報がオン状態であり(S75:YES)、印刷実行画面で印刷の実行指示を受け付けると、印刷指示をプリンタ20へ送信する(S79)。尚、携帯端末装置10で、予めプリンタ20から印刷可能枚数を取得して印刷可能枚数が印刷指定枚数以上であるか否かを判断しても良い。
【0079】
プリンタ20は、S79の印刷指示を取得すると、印刷部25を制御して、印刷指示の印刷設定に基づいて画像データを印刷する(S95、本願の印刷処理の一例)。プリンタ20は、仮に印刷中に印刷可能枚数が不足した場合、実行中の印刷を中止し、エラーを携帯端末装置10へ通知等する。プリンタ20は、印刷の実行を完了させると、プリンタ管理テーブルPTの印刷可能枚数及びインク残量を更新する(S97)。プリンタ20は、印刷の実行で使用した用紙の枚数、例えば、印刷エラー等が発生しない場合には印刷指示の印刷指定枚数を、プリンタ管理テーブルPTの印刷可能枚数から減算する。また、プリンタ20は、インク残量検出部24で検出したインク残量、即ち、印刷後のインク残量の値で、プリンタ管理テーブルPTのインク残量を更新する。プリンタ20は、印刷が完了したことに応じて、その旨を示す印刷完了通知を携帯端末装置10に送信する(S99)。また、プリンタ20は、S99で印刷完了通知を送信すると、S97で更新した後の印刷可能枚数を携帯端末装置10へ送信する(S101)。尚、プリンタ20は、更新後のインク残量の情報も携帯端末装置10へ送信しても良い。
【0080】
また、印刷可能枚数が閾値枚数26B3以上である場合、
図5のタイミング条件3が設定される。プリンタ20は、印刷指示を実行した後の同期処理を、S103~S106で実行する。まず、プリンタ20は、印刷可能枚数及びインク残量を同期させる同期指示を、サーバ30へ送信する(S103)。プリンタ20は、S97で更新した後の印刷可能枚数及びインク残量の情報を、サーバ30へ送信する。サーバ30は、S103の同期指示をプリンタ20から取得すると、サーバ管理テーブルSTにおいて、送信元のプリンタ20のデバイスIDに対応する印刷可能枚数を、取得した印刷可能枚数で更新(上書き)する(S104)。これにより、サーバ管理テーブルSTの印刷可能枚数が、印刷実行後のプリンタ20の印刷可能枚数に一致する。同様に、サーバ30は、サーバ管理テーブルSTのインク残量を、取得したインク残量で更新する(S104)。サーバ30は、S104の更新処理を完了させると、完了した旨の同期完了通知をプリンタ20へ送信する(S105)。プリンタ20は、S105の完了通知を取得すると、プリンタ管理テーブルPTの同期日時を、現在の日時に更新する(S106)。
【0081】
尚、サーバ30は、S103の同期指示を取得した際に、対象のプリンタ20のチャージ予定枚数がゼロでなかった場合、即ち、反映されていないチャージ枚数が残っていた場合、チャージ予定枚数を反映する処理を実行する。例えば、サーバ30は、携帯端末装置10から取得したチャージ指示に基づいてチャージ予定枚数を設定した後、プリンタ20の印刷可能枚数に反映する前に、S103の同期指示を取得すると、S104で印刷可能枚数を更新した後、チャージ枚数(チャージ予定枚数)をプリンタ20へ送信する(S105)。プリンタ20は、サーバ30からチャージ枚数を取得すると、プリンタ管理テーブルPTの印刷可能枚数にチャージ枚数を加算させる。これにより、同期処理に伴ってチャージ枚数を印刷可能枚数に反映させることができる。また、図面が煩雑となるため図示は省略するが、プリンタ20は、加算後の印刷可能枚数をサーバ30に通知する。そして、サーバ30は、プリンタ20から取得した印刷可能枚数でサーバ管理テーブルSTの印刷可能枚数を更新し、チャージ予定枚数をゼロにする。
【0082】
また、上記したS103~S106の同期処理の内容は、一例である。例えば、プリンタ20は、携帯端末装置10を介して同期処理を実行しても良い。例えば、プリンタ20は、サーバ30と通信できない場合、印刷可能枚数及びインク残量の情報と、同期を要求する指示を携帯端末装置10へ送信する。携帯端末装置10は、プリンタ20から指示を取得しことに基づいて、サーバ30との間で印刷可能枚数等の同期処理を実行しても良い。
【0083】
また、プリンタ20は、S106で同期日時を更新すると、同期が完了した旨の通知を、携帯端末装置10へ送信する(S109)。そして、プリンタ20は、印刷処理によって印刷可能枚数が増減したため、
図6に示すタイミング条件変更処理を実行する(S111)。プリンタ20は、印刷可能枚数の減少により印刷可能枚数が閾値枚数26B3より少なくなっていた場合、タイミング条件6を追加する(
図6のS53)。一方、チャージにより印刷可能枚数が閾値枚数26B3以上となった場合、プリンタ20は、タイミング条件1~5を設定する(S52)。これにより、印刷可能枚数に応じてタイミング条件を変更できる。
【0084】
また、印刷可能枚数が閾値枚数26B3よりも少ない場合、プリンタ20は、
図6のタイミング条件変更処理によりタイミング条件6を追加することで、
図10の破線の矢印で示すS113~S116の同期処理を、印刷後のS103~S106とは別に実行する。プリンタ20は、例えば、S79の印刷指示を取得すると、S95の印刷を開始する前に、S113~S116を実行する。プリンタ20は、S103~S106と同様に、同期指示をサーバ30へ送信する(S113)。サーバ30は、サーバ管理テーブルSTの印刷可能枚数及びインク残量を更新し(S114)、同期完了通知をプリンタ20へ送信する(S115)。プリンタ20は、プリンタ管理テーブルPTの同期日時を更新する(S116)。尚、サーバ30は、S103~S106と同様に、チャージ予定枚数がゼロでなかった場合、チャージ枚数を印刷可能枚数に反映させる処理を実行する(S115等)これにより、印刷前に、チャージ枚数を印刷可能枚数に反映させることができる。
【0085】
(非印刷時同期処理)
次に、プリンタ20が実行する非印刷時の同期処理である非印刷時同期処理について
図11に示すフローチャートを用いて説明する。非印刷時同期処理は、印刷を実行していない状態において、プリンタ20がサーバ30との間で印刷可能枚数の同期を実行する処理である。プリンタ20は、例えば、
図5に示すタイミング条件1、2、4、5が成立した場合に、
図11に示す非印刷時同期処理を実行する。
【0086】
まず、プリンタ20は、サーバ30との間で通信可能か否かを判断する(S121)。プリンタ20は、例えば、サーバ30の所定のURLにアクセスし、正常にアクセスできた場合に、通信可能であると判断する(S121:YES)。あるいは、プリンタ20は、通信可能か否かを確認するデータをサーバ30へ送信し、サーバ30からの応答に基づいて、通信可能か否かを判断しても良い。プリンタ20は、サーバ30と通信可能である場合(S121:YES)、サーバ30との間で印刷可能枚数及びインク残量の同期処理を実行する(S123)。プリンタ20は、
図10のS103~S106と同様に、プリンタ管理テーブルPTの印刷可能枚数及びインク残量をサーバ30へ通知してサーバ管理テーブルSTの印刷可能枚数及びインク残量を更新する。また、サーバ30は、S103~S106と同様に、反映前のチャージ予定枚数があれば、印刷可能枚数に反映させる。プリンタ20は、
図11に示す処理を終了する。また、プリンタ20は、サーバ30と通信できない場合(S121:NO)、
図11に示す処理を終了する。
【0087】
尚、上記した非印刷時同期処理の内容は、一例である。例えば、
図5に示すタイミング条件1、2はユーザによる手動操作に基づく同期処理であるのに対し、タイミング条件4、5は、プリンタ20が自動で実行する同期処理である。このため、プリンタ20は、タイミング条件4、5が成立した場合、プリンタ管理テーブルPTの同期日時から一定時間経過した場合のみ、サーバ30との同期処理を実行しても良い。この一定期間は、同期処理を繰り返し実行する期間であり、例えば、数十分や数時間である。プリンタ20は、同期日時から一定期間だけ経過していない場合、即ち、前回の同期処理から一定期間だけ経過していない場合、同期処理を実行しなくとも良い。これにより、同期処理に係る通信費用を低減できる。また、例えば、プリンタ20は、印刷中において、タイミング条件1、2(手動操作)の条件が成立した場合、印刷を中断して同期処理を実行しても良い。
【0088】
また、例えば、上記したプリンタ20が主体となって実行する同期処理に加え、サーバ30が主体となって同期処理を実行しても良い。サーバ30は、特定の通信ポート(TCPのハイポートなど)をプリンタ20と常時接続した状態を維持し、プリンタ20に対して定期的な通信を実行して、印刷可能枚数の同期処理を実行しても良い。例えば、サーバ30は、所定期間ごとに、同期処理を実行可能であるか否かをプリンタ20に問い合わせ、実行可能である旨の応答を取得したことに基づいてプリンタ20との間で同期処理を実行しても良い。サーバ30は、プリンタ20の同期日時と同様に、前回の同期処理から一定期間だけ経過すると、プリンタ20から印刷可能枚数及びインク残量を取得してサーバ管理テーブルSTの印刷可能枚数を更新しても良い。この場合、プリンタ20は、サーバ30から問い合わせを取得した際に、印刷部25による印刷を実行中又は印刷の実行予定である場合、同期処理を実行しなくとも良い。例えば、プリンタ20は、印刷中にサーバ30から問い合わせがあった場合に、同期処理を実行できない旨をサーバ30に応答しても良い。
【0089】
このようなサーバ30側から同期処理を実行する場合にも、通信の切断等によって、特定の通信ポートによるサーバ30とプリンタ20との接続が切断される可能性がある。このような場合に、所定のタイミング条件に基づいて、プリンタ20から同期処理を実行することで、プリンタ20とサーバ30を再接続することができる。サーバ30は、再接続したプリンタ20に対して、定期的な同期処理を実行することができる。
【0090】
因みに、プリンタ20は、記録装置の一例である。外部通信部22は、通信部の一例である。印刷部25は、記録部の一例である。プリンタ管理テーブルPTの印刷可能枚数及びインク残量は、記録装置側記録可否情報の一例である。印刷可能枚数は、記録許可量の一例である。サーバ管理テーブルSTの印刷可能枚数及びインク残量は、サーバ側記録可否情報の一例である。プリンタ制御部26は、制御部の一例である。プリンタ記憶部26Bは、記憶部の一例である。閾値枚数26B3は、閾値許可量の一例である。S95は、印刷処理の一例である。
【0091】
(効果)上記した実施形態によれば、以下の効果を奏する。
(1)上記実施形態において、プリンタ20は、プリンタ管理テーブルPTの印刷可能枚数の範囲で印刷部25による印刷を実行する(S95)。また、プリンタ20は、印刷可能枚数に応じて、サーバ管理テーブルSTと自装置のプリンタ管理テーブルPTとの同期処理を実行するタイミング条件を変更する(
図6参照)。これによれば、印刷の実行によって印刷可能枚数が増減した場合、増減した印刷可能枚数に応じてタイミング条件を変更できる。その結果、印刷可能枚数に応じたタイミングで同期処理を実行できる。
【0092】
(2)プリンタ20は、
図6の処理において、印刷可能枚数が閾値枚数26B3以上である場合(S51:YES)、印刷部25による印刷の実行が終了したタイミングに同期処理を実行するタイミング条件3(本願の第1条件の一例)を設定する(S52)。印刷可能枚数やインク残量は、印刷を実行する毎に減る。このため、印刷実行の終了に合せて、減った後の印刷可能枚数及びインク残量を同期させることで、適切なタイミングで同期を実行できる。
【0093】
(3)プリンタ20は、
図6の処理において、印刷可能枚数が閾値枚数26B3より少ない場合(S51:NO)、タイミング条件3に加え、印刷指示を受け付けた後から印刷の実行を開始する前までの間に同期処理を実行するタイミング条件6(本願の第2条件の一例)を設定する(S53)。これによれば、印刷可能枚数が閾値枚数26B3より少ない場合に同期処理を実行することで、サーバ30側に反映前のチャージ予定枚数が存在した場合、そのチャージ予定枚数をプリンタ20側に反映させることができる。印刷中に印刷可能枚数の不足が発生することを抑制できる。また、印刷可能枚数が閾値枚数26B3より少なくなった場合のみタイミング条件6を追加することで、常時、印刷前に同期処理を実行する場合に比べて、同期処理により発生するサーバ30との通信料を低減(節約)できる。
【0094】
(4)プリンタ20は、所定の消費電力で動作する通常モードと、通常モードよりも消費電力を低減させてる省電力モードとを切り替え可能となっている。プリンタ20は、印刷指示を所定時間だけ受け付けないことに基づいて、通常モードから省電力モードへ移行する。
図5に示す例では、印刷可能枚数に係わらず、タイミング条件5を設定した。しかしながら、プリンタ20は、
図7に示すように、例えば、印刷可能枚数が第1閾値枚数以上の場合、タイミング条件1~4を設定し(S56)、印刷可能枚数が第1閾値枚数より少ない(第2閾値枚数以上の)場合、省電力モードから復帰したタイミングで同期処理を実行するタイミング条件5(本願の第3条件の一例)を設定しても良い(S58)。ユーザの使用方法によっては、通常モードと省電力モードの切り替え頻度が高い可能性がある。このような場合に、切り替えの度に同期処理を実行すると、同期処理によるサーバ30の処理負荷の増加や、同期処理に係わるサーバ30との通信料の増加を招く虞がある。そこで、印刷可能枚数が第1閾値枚数以下の場合のみ同期処理を実行することで、サーバ30の処理負荷の低減や通信料の低減を図ることができる。
【0095】
(5)また、プリンタ20は、
図8に示すように、印刷可能枚数が閾値枚数26B3以上である場合(S61:YES)、所定時間毎に同期処理を実行し(S62)、印刷可能枚数が閾値枚数26B3より少ない場合(S61:NO)、所定時間毎の同期処理の実行に加え、タイミング条件3を設定する(S63)。これによれば、印刷可能枚数が減った場合のみ印刷後の同期処理を実行し、印刷後の同期処理の回数を低減できる。例えば、連続した複数の印刷指示を実行するプリンタ20における同期処理の負荷を低減できる。その結果、複数の印刷指示をより迅速に実行できる。
【0096】
(6)プリンタ管理テーブルPTは、印刷可能枚数の他に、インク残量を含む。プリンタ20は、印刷可能枚数に応じて、サーバ管理テーブルSTとプリンタ管理テーブルPTの同期処理を実行する際に、印刷可能枚数及びインク残量の情報を同期する。これによれば、印刷の実行に応じて低減するインク残量を、印刷可能枚数とともに同期できる。サーバ30は、各プリンタ20のインク残量の最新情報を把握できることで、プリンタ20の交換時期をユーザへ適切なタイミングで通知できる。ユーザは、インク残量がなくなってプリンタ20が使えなくなる前に、交換用の新しいプリンタ20を受け取ることができる。
【0097】
(7)プリンタ20は、
図7に示すように、印刷可能枚数の増減(変化)に応じて、同期処理を実行するタイミング条件の数を変更しても良い。これによれば、印刷可能枚数の低減に応じてタイミング条件を増やして同期の機会を増やす、あるいは、印刷可能枚数の状態に応じたタイミング条件を設定するなどし、より適切なタイミングで同期処理を実行できる。例えば、手動によるタイミング条件1、2は常に実行し、印刷可能枚数の状態に応じてタイミング条件3~6を入れ替える、増加させるなどの対応が可能となる。
【0098】
(8)サーバ30は、印刷可能枚数を増加させるチャージの指示を携帯端末装置10のアプリケーション18Bから受け付け、指示の受け付けに基づいて、プリンタ管理テーブルPTの印刷可能枚数を増加させるチャージ処理を実行する。このような形態では、インターネット3の通信状態等によって、プリンタ20で印刷が開始される前にチャージ枚数が印刷可能枚数に反映されない可能性がある。これに対し、印刷可能枚数が閾値枚数26B3より少なくなると、印刷前に同期処理を実行することで、印刷中に印刷可能枚数が不足することを抑制できる。従って、サーバ30側でチャージ指示を受け付ける印刷システム1において、印刷可能枚数に応じてタイミング条件を変更することは極めて有効である。
【0099】
(9)上記実施形態では、プリンタ20が、タイミング条件変更処理を実行した。これによれば、印刷動作に応じて低減する印刷可能枚数、即ち、最新の印刷可能枚数の情報を持つプリンタ20側で同期処理のタイミングを設定することができる。
【0100】
(10)あるいは、サーバ30が、
図5のタイミング条件変更処理を実行しても良い。サーバ30は、サーバ管理テーブルSTの印刷可能枚数と閾値枚数26B3とを比較し、タイミング条件1~6を変更する指示をプリンタ20へ通知しても良い。これによれば、印刷可能枚数と閾値枚数26B3との比較処理におけるプリンタ20の負荷を軽減できる。また、サーバ30の閾値枚数26B3を変更することで、複数のプリンタ20に対して閾値枚数26B3の変更を一括して実施することができる。即ち、タイミング条件の変更条件をまとめて変更できる。
【0101】
(その他の実施形態)
上記実施形態では、プリンタ20とサーバ30との間で、印刷により減算した後の残りの印刷可能枚数を同期(一致)させる形態を説明したが、本願の記録可否情報(記録許可量)の更新は、印刷可能枚数を一致させる処理に限らない。
図12は、その他の実施形態の印刷システム1Aを示している。尚、以下の説明では、上記実施形態と同様の構成については、同一符号を付し、その説明を適宜省略する。
【0102】
図12に示すように、例えば、印刷システム1Aのサーバ30は、印刷済枚数151、チャージ済枚数152をサーバ記憶部32Bに記憶している。また、プリンタ20は、印刷済枚数153、チャージ済枚数154をプリンタ記憶部26Bに記憶している。印刷済枚数151,153は、プリンタ20によって印刷された印刷枚数の総計である。即ち、印刷済枚数151,153は、上記実施形態の印刷可能枚数とは異なり、印刷回数が増えるごとに増加する枚数である。チャージ済枚数152,154は、携帯端末装置10によってチャージされたチャージ枚数の総計である。即ち、チャージ済枚数152,154は、携帯端末装置10からチャージされるごとに増加する枚数である。この場合、印刷可能枚数(本願の記録許可量)は、チャージ済枚数152,154から印刷済枚数151,153を減算した値となる。プリンタ20とサーバ30は、この印刷済枚数151,153とチャージ済枚数152,154について、一方の情報に基づいて他方の情報を更新する更新処理を実行する。印刷済枚数151、チャージ済枚数152は、サーバ側記可否情報(記録許可量)の一例である。印刷済枚数153、チャージ済枚数154は、記録装置側記録可否情報(記録許可量)の一例である。
【0103】
詳述すると、例えば、プリンタ20には、チャージ済枚数154の初期値として、購入時に5000枚がチャージされる。プリンタ20は、例えば、印刷中において、印刷済枚数153に印刷枚数(実行中の印刷で印刷した枚数)を加算し、加算した値がチャージ済枚数154以上になると、それ以降の印刷動作を中止する。そして、プリンタ20は、印刷が終了すると、印刷枚数だけ印刷済枚数153を増加させる(S307)。従って、本実施形態では、印刷可能枚数(本願の記録許可量の一例)自体を装置が記憶せずとも、演算によって管理することができる。
【0104】
また、例えば、サーバ30は、携帯端末装置10からチャージ指示を取得すると(S301)、チャージ指示で指示されたチャージ枚数(例えば、1000枚)をチャージ済枚数152に加算する(S303)。サーバ30は、加算後のチャージ済枚数152で、プリンタ20のチャージ済枚数154を更新(上書き)する(S305)。これにより、プリンタ20のチャージ済枚数154に、チャージ枚数が加算される(例えば、5000+1000=6000枚)。尚、サーバ30は、チャージ済枚数154を上書きせずに、上記実施形態のように、加算するチャージ枚数をプリンタ20へ通知し、加算処理をプリンタ20に実行させても良い。
【0105】
プリンタ20は、更新後のチャージ済枚数154(例えば、6000枚)を上限値として設定し、携帯端末装置10等から印刷指示を取得すると(S310)、印刷済枚数153に印刷枚数(実行中の印刷で印刷した枚数)を加算した値が、チャージ済枚数154以上となるまで印刷を実行する。プリンタ20は、印刷後に、印刷枚数だけ印刷済枚数153を増加させる(S307)。そして、プリンタ20は、増加させた後の印刷済枚数153で、サーバ30の印刷済枚数151を更新(上書き)する更新処理を実行する(S309)。また、サーバ30及びプリンタ20は、上記したタイミング条件1~6に基づいて、S305,S309の更新処理を実行する。
【0106】
(変形例)
以上、本願の具体例を詳細に説明したが、これらは例示にすぎず、特許請求の範囲を限定するものではない。特許請求の範囲に記載の技術には、以上に例示した具体例を様々に変形、変更したものが含まれる。
例えば、上記実施形態では、本願の記録装置側記録可否情報として、印刷可能枚数及びインク残量を採用したが、印刷可能枚数だけを採用しても良い。即ち、印刷可能枚数の更新処理だけをタイミング条件に基づいて実行しても良い。あるいは、インク残量の更新処理だけをタイミング条件に基づいて実行しても良い。
プリンタ20は、省電力モードを備えなくとも良い。
また、プリンタ20に対する印刷指示やサーバ30に対するチャージの指示を実行する端末は、スマートフォンに限らず、デスクトップPC、ノートPC、タブレットPC等の情報処理端末を採用できる。
また、1つのプリンタ20に対して、複数の携帯端末装置10から印刷指示やチャージを実行しても良い。
また、印刷システム1は、1台の携帯端末装置10と、1台のプリンタ20だけを備える構成でも良い。また、印刷システム1は、1台の携帯端末装置10と、複数台のプリンタ20を備える構成や、複数台の携帯端末装置10と、1台のプリンタ20を備える構成でも良い。
また、本実施形態では一つの携帯端末装置10とサーバ30が通信する例を示したが、複数の携帯端末装置10とサーバ30が通信するようにしても良い。例えば、サーバ30は、複数の携帯端末装置10からチャージの指示を受け付け、各携帯端末装置10からのチャージ指示に基づいて各プリンタ20に対応付けた印刷可能枚数にチャージ枚数を加算し、サーバ記憶部32Bに記憶するようにしても良い。これにより、各ユーザが、個人のプリンタ20や共用のプリンタ20へ任意の場所からチャージを実行することができる。この場合、サーバ30は各携帯端末装置10に対し、更新された印刷可能枚数を通知するようにしても良い。
プリンタ20は、ユーザがインクを補充可能(タンク部23の各インクタンクを交換可能)な構成でも良い。また、インクなどの消耗品を補充するための手段としては、他にはタンク部23に対してインクなどが入ったボトルから注入可能にする構成などが挙げられる。
また、本願の記録装置として、インクジェット方式のプリンタ20を採用したが、レーザ方式やサーマル方式のプリンタでも良い。また、記録装置は、個人ユーザ向けのプリンタに限らず、商業用・産業用の印刷機でも良い。また、記録装置は、印刷機能の他に、スキャン機能、コピー機能、FAX機能等を備える複合機でも良い。また、記録許可量は、印刷可能枚数に限らず、スキャンやFAXの実行許可回数でも良い。また、記録装置は、金属部材等に対して、レーザによりマーカを行うレーザマーカでも良い。従って、本願の記録媒体は、用紙に限らず、金属部材等でも良い。また、記録許可量は、印刷可能枚数に限らず、レーザ加工の実行許可回数でも良い。
また、本願における記録可否情報の記録許可量は、印刷枚数に限らない。例えば、記録許可量は、インクやトナーの消費量でも良い。記録許可量は、何ドット(ピクセル)だけインクの吐出を許可する量、インクの使用を許可する量(何mlなど)でも良い。あるいは、記録許可量は、感光体ドラム等の印刷動作にともなって回転する部材の回転数で規定しても良い。
【0107】
また、プリンタ20は、プリンタ管理テーブルPTを、プリンタ記憶部26Bに記憶する構成であったが、これに限らない。例えば、プリンタ20は、ICカードやメモリカード等を読み取り可能な読み取りIFを備えても良い。そして、プリンタ20は、読み取りIFに装着されたICカード等から、デバイスIDや印刷可能枚数などのプリンタ管理テーブルPTの情報を読み取って用いても良い。即ち、プリンタ20は、プリンタ管理テーブルPTを、ICカード等で管理される構成でも良い。
あるいは、プリンタ20は、印刷可能枚数等のプリンタ管理テーブルPTの情報を、タンク部23のインクタンクに設けられたメモリ、レーザプリンタの場合であれば、トナーカートリッジのメモリ、感光体ドラムのメモリなど、プリンタプログラム26B1が記憶された記憶部以外のメモリ等に記憶して管理しても良い。
また、上記した印刷システム1では、印刷可能枚数をデバイスIDに関連付けて記憶・管理等するシステムであったが、これに限らない。印刷システム1は、印刷可能枚数をユーザID、アプリケーション18BのアプリケーションID、あるいは携帯端末装置10の端末IDなどに関連付けて管理等しても良い。
【符号の説明】
【0108】
20 プリンタ(記録装置)、22 外部通信部(通信部)、25 印刷部(記録部)、26 プリンタ制御部(制御部)、26B プリンタ記憶部(記憶部)、26B3 閾値枚数(閾値許可量)、30 サーバ。