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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-23
(45)【発行日】2025-01-07
(54)【発明の名称】シート回転装置
(51)【国際特許分類】
   B60N 2/14 20060101AFI20241224BHJP
【FI】
B60N2/14
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2021069493
(22)【出願日】2021-04-16
(65)【公開番号】P2022164171
(43)【公開日】2022-10-27
【審査請求日】2023-10-12
(73)【特許権者】
【識別番号】000241500
【氏名又は名称】トヨタ紡織株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】伊東 定夫
(72)【発明者】
【氏名】岡本 尚也
(72)【発明者】
【氏名】塩谷 亮祐
【審査官】井出 和水
(56)【参考文献】
【文献】実開昭62-076036(JP,U)
【文献】特開2004-042781(JP,A)
【文献】特開2020-147186(JP,A)
【文献】特開平11-129797(JP,A)
【文献】特開2006-076482(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2010/0052392(US,A1)
【文献】独国特許出願公開第102011102080(DE,A1)
【文献】韓国公開特許第10-2020-0133454(KR,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61G 3/00 - A61G 3/08
B60N 2/00 - B60N 2/90
A47C 1/00 - A47C 1/16
A47C 3/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
シート本体が車両の前方を向く着座位置と前記シート本体が前記車両のドアの開口部を向く乗降位置との間で前記シート本体を回転させることが可能なシート回転装置であって、
フロア側に固定されるベースプレートと、
前記シート本体に対して相対回転しないように前記シート本体の下面に固定される回転プレートと、
前記着座位置と前記乗降位置との間で前記ベースプレートに対して前記回転プレートが回転可能となるように前記ベースプレートと前記回転プレートとを連結する連結ユニットと、
前記連結ユニットを駆動する駆動ユニットと、を備え、
前記連結ユニットは、
前記ベースプレートと前記回転プレートとを連結するリンクと、
前記ベースプレートに設けられており、直線状に延びる形状を有する案内部と、
前記案内部に沿って移動可能な移動体であって、当該移動体に対して前記回転プレートが相対回転可能となるように前記回転プレートを支持する前記移動体と、を有し、
前記駆動ユニットは、前記案内部に沿って前記移動体を移動させることが可能であり、
前記リンクは、
前記ベースプレートに対して相対回転可能となるように前記ベースプレートに固定された固定端部と、
前記固定端部を回転中心として前記ベースプレートに対して回動可能であり、かつ、前記回転プレートに対して相対回転可能となるように前記回転プレートに固定された回転端部と、を有し、
前記案内部は、前記固定端部及び前記回転端部間の距離の2倍の長さを半径とし、かつ、前記固定端部を中心とする仮想円の直径に沿って直線状に延びる形状を有し、
前記移動体は、前記回転プレートのうち前記回転端部と固定された部位から離間した部位を、前記回転プレートが前記着座位置から前記乗降位置に移動するときに前記回転端部に対して前記回転プレートが回転する方向と同じ方向に当該移動体に対して相対回転させつつ前記案内部に沿って移動させ、
前記案内部は、
前記ベースプレートに固定されており、前記車両の前後方向に対して交差する方向でかつ前記仮想円の直径に沿って直線状に延びる形状を有するロアレールと、
前記ベースプレートに形成されており、前記ロアレールに対して交差する方向でかつ前記仮想円の直径に沿って直線状に延びる形状を有する長溝と、を含み
前記移動体は、
前記ロアレールに沿って移動可能なアッパースライダと、
前記長溝に沿って移動可能な溝スライダと、を含む、シート回転装置。
【請求項2】
前記アッパースライダは、当該アッパースライダに対して前記回転プレートが相対回転可能となるように前記回転プレートを支持している、請求項1に記載のシート回転装置。
【請求項3】
前記駆動ユニットは、
前記ロアレール内に配置されており、前記ロアレールに対して相対回転可能な送りねじと、
前記送りねじに対して相対回転しながら前記送りねじの長手方向に移動可能であり、前記アッパースライダに固定されたナット部材と、
前記送りねじを回転させることが可能なモータと、を有する、請求項2に記載のシート回転装置。
【請求項4】
前記モータは、前記ベースプレート及び前記回転プレート間で、かつ、前記ロアレールの長手方向における前記ロアレールの側方に配置されている、請求項3に記載のシート回転装置。
【請求項5】
前記ベースプレートは、
前記ロアレールを受けるレール受け部と、
前記モータを受けるモータ受け部と、を有し、
前記モータ受け部は、前記レール受け部よりも低い位置に形成されている、請求項3又は4に記載のシート回転装置。
【請求項6】
前記駆動ユニットは、
ピニオンと、
前記ピニオンを回転させることが可能なモータと、を有し、
前記リンクは、前記ピニオンと噛み合うギア部をさらに有し、
前記ギア部は、前記ピニオンの回転に伴って前記固定端部まわりに前記回転端部を前記ベースプレートに対して相対回転させる、請求項2に記載のシート回転装置。
【請求項7】
前記長溝は、前記車両の前後方向に対して傾斜している、請求項1から6のいずれかに記載のシート回転装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、シート回転装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、シート本体を着座位置と乗降位置との間で回転させることが可能なシート回転装置が知られている。例えば、特開2006-76482号公報には、ベース材に固定された直線レール及び曲線レールと、直線レールに沿って移動可能な直線摺動子と、曲線レールに沿って移動可能な曲線摺動子と、直線レールと曲線レールとの間に配置された歯列形成部材と、座席本体を支持する支持部材と、支持部材に設けられたモータと、モータに接続されてたピニオンと、を備える車両用シートの回転スライド装置が開示されている。歯列形成部材は、ピニオンと噛み合う第1円弧状歯列及び第2円弧状歯列を有している。
【0003】
この装置では、モータの駆動によりピニオンが歯列形成部材の各円弧状歯列に噛み合いながら移動することに伴い、直線摺動子が直線レールに沿って移動するとともに曲線摺動子が曲線レールに沿って移動する。これにより、支持部材及びこれに支持された座席本体は、ベース材に対して回転しながらスライドする。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2006-76482号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特開2006-76482号公報に記載の回転スライド装置では、曲線レールの正確な軌道を計算する必要があるとともに、この曲線レールに沿った曲線摺動子の滑らかな移動を確保するためには、曲線レール及び曲線摺動子に精密な加工が求められる。また、歯列形成部材の各円弧状歯列にピニオンが円滑に噛み合うようにするためには、特に、第1円弧状歯列と第2円弧状歯列との移行部分の形状を正確に計算し、加工することが必要となる。
【0006】
本発明の目的は、精密な軌跡の計算を省略可能で、比較的簡素な構造でシート本体を回転させることが可能なシート回転装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明の一局面に従ったシート回転装置は、シート本体が車両の前方を向く着座位置と前記シート本体が前記車両のドアの開口部を向く乗降位置との間で前記シート本体を回転させることが可能なシート回転装置であって、フロア側に固定されるベースプレートと、前記シート本体に対して相対回転しないように前記シート本体の下面に固定される回転プレートと、前記着座位置と前記乗降位置との間で前記ベースプレートに対して前記回転プレートが回転可能となるように前記ベースプレートと前記回転プレートとを連結する連結ユニットと、前記連結ユニットを駆動する駆動ユニットと、を備え、前記連結ユニットは、前記ベースプレートと前記回転プレートとを連結するリンクと、前記ベースプレートに設けられており、直線状に延びる形状を有する案内部と、前記案内部に沿って移動可能な移動体であって、当該移動体に対して前記回転プレートが相対回転可能となるように前記回転プレートを支持する前記移動体と、を有し、前記駆動ユニットは、前記案内部に沿って前記移動体を移動させることが可能であり、前記リンクは、前記ベースプレートに対して相対回転可能となるように前記ベースプレートに固定された固定端部と、前記固定端部を回転中心として前記ベースプレートに対して回動可能であり、かつ、前記回転プレートに対して相対回転可能となるように前記回転プレートに固定された回転端部と、を有し、前記案内部は、前記固定端部及び前記回転端部間の距離の2倍の長さを半径とし、かつ、前記固定端部を中心とする仮想円の直径に沿って直線状に延びる形状を有し、前記移動体は、前記回転プレートのうち前記回転端部と固定された部位から離間した部位を、前記回転プレートが前記着座位置から前記乗降位置に移動するときに前記回転端部に対して前記回転プレートが回転する方向と同じ方向に当該移動体に対して相対回転させつつ前記案内部に沿って移動させる。
【発明の効果】
【0008】
この発明によれば、精密な軌跡の計算を省略可能で、比較的簡素な構造でシート本体を回転させることが可能なシート回転装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の第1実施形態の着座位置における回転シートの斜視図である。
図2】乗降位置における回転シートの斜視図である。
図3】着座位置におけるシート回転装置の斜視図である。
図4】乗降位置におけるシート回転装置の斜視図である。
図5】シート回転装置の分解斜視図である。
図6】着座位置におけるベースプレート、連結ユニット及び駆動ユニットの位置関係を示す図である。
図7】ベース部におけるレール受け部とモータ受け部とを示す斜視図である。
図8】アッパースライダの近傍の拡大斜視図である。
図9】着座位置におけるシート回転装置をベースプレートの裏面側から見た状態の斜視図である。
図10】着座位置におけるベースプレート、回転プレート及び連結ユニットの位置関係を概略的に示す図である。
図11】乗降位置におけるベースプレート、回転プレート及び連結ユニットの位置関係を概略的に示す図である。
図12】本発明の第2実施形態の着座位置におけるシート回転装置の斜視図である。
図13】乗降位置におけるシート回転装置の斜視図である。
図14】第2実施形態のシート回転装置の分解斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
この発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、以下で参照する図面では、同一又はそれに相当する部材には、同じ番号が付されている。
【0011】
(第1実施形態)
図1は、本発明の第1実施形態の着座位置における回転シートの斜視図である。図2は、乗降位置における回転シートの斜視図である。この回転シート1は、乗り物用シート、特に、車両用シートとして機能する。
【0012】
図1及び図2に示されるように、本実施形態の回転シート1は、シート本体2と、シート回転装置10と、を備えている。
【0013】
シート本体2は、シートクッション2aと、シートバック2bと、を有している。シートクッション2aは、座部を構成する。シートバック2bは、シートクッション2aに着座した乗員の背部を支持する。シート本体2は、車両のフロアFL上に配置される。
【0014】
フロアFLには、シート本体2をフロアFLに対して車両の前後方向にスライドさせるシートスライダ3が取り付けられている。シートスライダ3は、ロアレール3aと、アッパーレール3bと、を有している。
【0015】
ロアレール3aは、車両の前後方向と平行となる姿勢でフロアFLに固定されている。アッパーレール3bは、ロアレール3aに対して車両の前後方向(ロアレール3aの長手方向)に相対変位可能である。
【0016】
シート回転装置10は、着座位置(図1に示される位置)と乗降位置(図2に示される位置)との間でシート本体2を回転させることが可能である。着座位置は、シート本体2が車両の前方を向く位置である。乗降位置は、シート本体2が車両のドアの開口部を向く位置である。シート回転装置10は、シート本体2の下面に固定されている。
【0017】
図3は、着座位置におけるシート回転装置の斜視図である。図4は、乗降位置におけるシート回転装置の斜視図である。図5は、シート回転装置の分解斜視図である。
【0018】
図3図5に示されるように、シート回転装置10は、ベースプレート100と、回転プレート300と、連結ユニット400と、駆動ユニット500と、を備えている。
【0019】
ベースプレート100は、車両のフロアFLに直接又は他の部材を介して間接的に固定される。ベースプレート100は、ベース部110と、起立部120と、アッパーレール接続部130と、を有している。
【0020】
ベース部110は、実質的に平板状に形成されている。本実施形態では、ベース部110は、前後方向に長い矩形状に形成されている。
【0021】
起立部120は、幅方向におけるベース部110の両端部から起立している。
【0022】
アッパーレール接続部130は、起立部120の上端部から車両の幅方向における外側に向かって張り出す形状を有している。アッパーレール接続部130は、シートスライダ3のアッパーレール3bに接続されている。このため、ベースプレート100は、アッパーレール3bとともにロアレール3aに対して車両の前後方向に移動可能である。
【0023】
アッパーレール接続部130には、ベースプレート100に対する回転プレート300の移動をガイドするガイド突起132が接続されている。ガイド突起132は、アッパーレール接続部130から立ち上がる形状を有している。本実施形態では、ガイド突起132は、円柱状に形成されている。ガイド突起132の上部には、ガイド突起132の径方向における外向きに張り出すフランジ部133が設けられている。
【0024】
本実施形態では、ベースプレート100には、当該ベースプレート100に対する回転プレート300の相対移動を安定させるためのローラ140が取り付けられている。
【0025】
回転プレート300は、シート本体2に対して相対回転しないようにシート本体2の下面に固定されている。図3図5に示されるように、回転プレート300には、ガイド突起132を挿通させるスリット300Sが設けられている。スリット300Sは、回転プレート300が着座位置と乗降位置との間を移動する際にガイド突起132と干渉せず、かつ、フランジ部133の挿通を禁止する形状に形成されている。このため、車両の前突時など、シート本体2を介して回転プレート300に上向きの力が作用した際に、回転プレート300がベースプレート100から離間することが抑制される。
【0026】
連結ユニット400は、着座位置と乗降位置との間でベースプレート100に対して回転プレート300が回転可能となるようにベースプレート100と回転プレート300とを連結している。
【0027】
連結ユニット400は、リンク410と、案内部420と、移動体430と、を有している。
【0028】
リンク410は、ベースプレート100と回転プレート300とを連結している。より詳細には、リンク410は、ベース部110と回転プレート300とを連結している。リンク410は、固定端部411と、回転端部412と、中間部413と、を有している。
【0029】
固定端部411は、ベースプレート100に対して相対回転可能となるようにベースプレート100に固定されている。図7及び図9に示されるように、固定端部411は、締結部材Bによってベース部110に固定される被固定部411aを有している。固定端部411は、後述するベース部110のモータ受け部114(図6及び図7を参照)に対してベース部110の裏側から締結部材Bによって固定されている。固定端部411は、リンク410の一端部で構成されている。
【0030】
回転端部412は、固定端部411を回転中心としてベースプレート100に対して回動可能であり、かつ、回転プレート300に対して相対回転可能となるように回転プレート300に固定されている。図5等に示されるように、回転端部412は、回転プレート300を回転可能に支持する支持部412aを有している。支持部412aは、締結部材Bによって回転プレート300に固定されている。以下、回転プレート300のうち支持部412aにより支持された部位を「被支持部302」(図4及び図5を参照)と表記する。回転端部412は、ベース部110の表側に位置している。回転端部412は、リンク410の他端部で構成されている。
【0031】
中間部413は、固定端部411と回転端部412との中間に位置する部位である。中間部413は、固定端部411と回転端部412とを連結している。中間部413は、ベース部110の裏側からベース部110の表側に至るように延びる形状を有している。ベース部110には、中間部413を挿通させる挿通孔110hが形成されている。挿通孔110hは、円弧状に形成されている。
【0032】
案内部420は、ベースプレート100に設けられている。案内部420は、直線状に延びる形状を有している。案内部420は、固定端部411及び回転端部412間の距離の2倍の長さを半径とし、かつ、固定端部411を中心とする仮想円A1(図10及び図11を参照)の直径に沿って直線状に延びる形状を有している。仮想円A1は、固定端部411の被固定部411a及び回転端部412の支持部412a間の距離の2倍の長さを半径とし、かつ、被固定部411aを中心とする円である。なお、図10及び図11では、被固定部411a及び支持部412a間の長さを半径とし、かつ、支持部412aを中心とする円A2及び仮想円A1が一点鎖線で示されている。
【0033】
図5図7に示されるように、案内部420は、ロアレール421と、長溝422と、を有している。
【0034】
ロアレール421は、ベースプレート100に固定されている。具体的に、ロアレール421は、ベース部110に固定されている。図10及び図11に示されるように、ロアレール421は、車両の前後方向に対して交差する方向でかつ仮想円A1の直径に沿って直線状に延びる形状を有している。ロアレール421は、車両の前方に向かうにしたがって次第にドアの開口部に近づくように前後方向に対して傾斜している。
【0035】
長溝422は、ベースプレート100に形成されている。図5図7に示されるように、長溝422は、起立部120に形成されている。図10及び図11に示されるように、長溝422は、ロアレール421に対して交差する方向でかつ仮想円A1の直径に沿って直線状に延びる形状を有している。本実施形態では、図10及び図11に示されるように、長溝422は、シートスライダ3の長手方向(前後方向)に対して僅かに傾斜している。
【0036】
移動体430は、案内部420に沿って移動可能である。移動体430は、当該移動体430に対して回転プレート300が相対回転可能となるように回転プレート300を支持している。移動体430は、回転プレート300のうち回転端部412に支持された被支持部302(図4及び図5を参照)から離間した部位を、回転プレート300が着座位置から乗降位置に移動するときに回転端部412に対して回転プレート300が回転する方向(図10における右回り)と同じ方向に当該移動体430に対して相対回転させつつ案内部420に沿って移動させる。
【0037】
図5等に示されるように、移動体430は、アッパースライダ431と、溝スライダ432と、を有している。
【0038】
アッパースライダ431は、ロアレール421に沿って移動可能である。アッパースライダ431は、当該アッパースライダ431に対して回転プレート300が相対回転可能となるように回転プレート300を支持している。図5等に示されるように、アッパースライダ431は、回転プレート300を支持する第1支持部431aを有している。第1支持部431aは、回転プレート300のうち被支持部302から離間した部位(以下、「第1被支持部310」と表記する。)を支持している。第1支持部431aは、締結部材Bによって回転プレート300に固定されている。アッパースライダ431は、第1被支持部310を、回転プレート300が着座位置から乗降位置に移動するときに回転端部412に対して回転プレート300が回転する方向と同じ方向に第1支持部431aに対して相対回転させつつロアレール421に沿って前方に移動させる。
【0039】
図10及び図11に示されるように、第1支持部431aの移動軌跡、つまり、着座位置における第1支持部431aの位置と乗降位置における第1支持部431aの位置とを結ぶ線分は、仮想円A1の中心である被固定部411aよりも前方に位置している。
【0040】
図3図5に示されるように、第1被支持部310は、回転プレート300の中央部に相当する。
【0041】
アッパースライダ431は、シート本体2が着座位置から乗降位置に移動するときに、円A2が仮想円A1に内接しながら回転するときにおける円A2上の点の軌跡(仮想円A1の直径)に沿うように移動する。前記円A2上の点は、第1支持部431aに対応している。
【0042】
図8に示されるように、ロアレール421の長手方向及び上下方向の双方と直交する方向におけるアッパースライダ431の両側には、樹脂等からなる滑り部材461と、ベアリング462と、がそれぞれ千鳥状に配置されている。このため、ロアレール421の短手方向及び上下方向の双方についてのアッパースライダ431のがたつきが有効に抑制される。
【0043】
溝スライダ432は、長溝422に沿って移動可能である。溝スライダ432は、当該溝スライダ432に対して回転プレート300が相対回転可能となるように回転プレート300を支持している。図5等に示されるように、溝スライダ432は、回転プレート300を支持する第2支持部432aを有している。第2支持部432aは、回転プレート300のうち被支持部302及び第1被支持部310の双方から離間した部位(以下、「第2被支持部320」と表記する。)を支持している。第2支持部432aは、締結部材Bによって回転プレート300に固定されている。溝スライダ432は、第2被支持部320を、回転プレート300が着座位置から乗降位置に移動するときに回転端部412に対して回転プレート300が回転する方向と同じ方向に第2支持部432aに対して相対回転させつつ長溝422に沿って前方に移動させる。溝スライダ432は、プレート463及び締結部材464によって起立部120に固定されている。
【0044】
図10及び図11に示されるように、第2支持部432aの移動軌跡上に仮想円A1の中心である被固定部411aが位置している。つまり、着座位置における第2支持部432aの位置は、被固定部411aよりも後方に位置し、乗降位置における第2支持部432aの位置は、被固定部411aよりも前方に位置している。
【0045】
図3図5に示されるように、第2被支持部320は、回転プレート300の後方でかつ幅方向における内側の端部に相当する。
【0046】
溝スライダ432は、シート本体2が着座位置から乗降位置に移動するときに、円A2が仮想円A1に内接しながら回転するときにおける円A2上の点の軌跡(仮想円A1の直径)に沿うように移動する。前記円A2上の点は、第2支持部432aに対応している。
【0047】
なお、図10及び図11に示されるように、ロアレール421に沿って移動する第1支持部431aの移動軌跡の延長線と、長溝422に沿って移動する第2支持部432aの移動軌跡とは、被固定部411aで交差する。また、支持部412a、第1支持部431a及び第2支持部432aは、実質的に正三角形を形成する位置に設定されることが好ましい。
【0048】
駆動ユニット500は、連結ユニット400を駆動する。駆動ユニット500は、案内部420に沿って移動体430を移動させることが可能である。図5に示されるように、駆動ユニット500は、送りねじ510と、ナット部材520と、モータ530と、を有している。
【0049】
送りねじ510は、ロアレール421内に配置されている。送りねじ510は、ロアレール421に対して相対回転可能である。具体的に、送りねじ510は、当該送りねじ510を相対回転可能に保持する保持部材515(図5を参照)に保持されており、保持部材515は、ベース部110に固定されている。
【0050】
ナット部材520は、送りねじ510に対して相対回転しながら送りねじ510の長手方向に移動可能である。ナット部材520は、アッパースライダ431に固定されている。このため、アッパースライダ431は、ナット部材520とともに送りねじ510の長手方向(ロアレール421の長手方向)に移動する。
【0051】
モータ530は、送りねじ510を回転させることが可能である。モータ530の出力軸は、ギア(ヘリカルギア等)を介して送りねじ510に接続されている。図3に示されるように、モータ530は、ベースプレート100及び回転プレート300間に配置されている。図4及び図6に示されるように、モータ530は、ロアレール421の長手方向におけるロアレール421の側方に配置されている。
【0052】
図6及び図7に示されるように、ベース部110は、ロアレール421を受けるレール受け部112と、モータ530を受けるモータ受け部114と、を有しており、モータ530は、モータ受け部114に配置されている。レール受け部112は、平板状に形成されている。モータ受け部114は、レール受け部112よりも低い位置に形成されている。
【0053】
次に、図10及び図11を参照しながら、シート回転装置10の動作について説明する。図10は、着座位置におけるベースプレート、回転プレート及び連結ユニットの位置関係を概略的に示す図である。図11は、乗降位置におけるベースプレート、回転プレート及び連結ユニットの位置関係を概略的に示す図である。図10及び図11における上方に車両の乗降口が設けられている。なお、図10及び図11では、回転プレート300が二点鎖線で示されている。
【0054】
図10に示される着座位置では、リンク410は、挿通孔110hの後端部に近接ないし接触しており、アッパースライダ431は、ロアレール421の後端部に位置しており、溝スライダ432は、長溝422の後端部に位置している。なお、回転プレート300の第1被支持部310及び第2被支持部320は、円A2上に位置している。
【0055】
図11に示される乗降位置では、リンク410は、挿通孔110hの前端部に近接ないし接触しており、アッパースライダ431は、ロアレール421の前端部に位置しており、溝スライダ432は、長溝422の前端部に位置している。
【0056】
以下、回転プレート300を着座位置から乗降位置に移動させる場合について説明する。この場合、モータ530は、ロアレール421に対してナット部材520が前方に移動する方向に送りねじ510を回転させる。
【0057】
そうすると、図10及び図11に示されるように、アッパースライダ431がロアレール421に沿って前方へ移動するのに合わせて、回転端部412の支持部412aが固定端部411の被固定部411aを中心として回動するとともに、溝スライダ432が長溝422に沿って前方へ移動する。これにより、回転プレート300は、前方に移動しながら乗降口に向けて回転する。
【0058】
具体的には、回転プレート300のうち回転端部412により支持された被支持部302は、回転端部412の支持部412aに対して乗降口に向けて回転しながら、固定端部411を回転中心とする回転端部412の円弧状の移動軌跡に沿って前方へ移動する。第1被支持部310は、回転端部412に対して回転プレート300が回転する方向(図10及び図11では右回り)と同じ方向に第1支持部431aに対して回転しながら、ロアレール421に沿ってアッパースライダ431とともに前方へ移動する。第2被支持部320は、回転端部412に対して回転プレート300が回転する方向(図10及び図11では右回り)と同じ方向に第2支持部432aに対して回転しながら長溝422に沿って溝スライダ432とともに前方へ移動する。これにより、回転プレート300は、乗降位置に移動する。
【0059】
以上に説明したシート回転装置10では、案内部420が仮想円A1の直径に沿って直線状に延びる形状を有していることにより、移動体430は、回転プレート300(シート本体2)が着座位置から乗降位置に移動するときに、前記円A2が仮想円A1に内接しながら回転するときにおける前記円A2上の点の軌跡(仮想円A1の直径)に沿うように移動する。すなわち、リンク410は、固定端部411を回転中心とする円弧に沿って移動し、移動体430は、仮想円A1の直径に沿って直線状に移動する。このため、精密な軌跡の計算を省略可能で、かつ、比較的簡素な構造でシート本体2を回転させることが可能となる。
【0060】
また、このシート回転装置10は、シート本体2を前方に移動させつつ乗降口に向けて回転させるため、車両に設けられた柱4(図1を参照)を回避することが可能である。
【0061】
また、アッパースライダ431の移動軌跡は、仮想円A1の中心である被固定部411aよりも前方に位置しているため、回転プレート300の着座位置から乗降位置への移動及び乗降位置から着座位置への移動の双方は、リンク410の一方向への回動により達成される。このため、作動効率が高くなる。
【0062】
さらに、送りねじ510及びナット部材520がロアレール421側に設けられているため、送りねじ510及びナット部材520が長溝422側に設けられる場合に比べ、移動体(アッパースライダ431)の移動距離が小さくなる。
【0063】
また、送りねじ510及びナット部材520には、回転プレート300の移動時には軸力のみが作用するため、比較的大きな荷重に耐え得る。
【0064】
また、この実施形態では、回転プレート300が、回転端部412、アッパースライダ431及び溝スライダ432の3点で支持されるため、シート本体2が安定的に支持される。なお、アッパースライダ431及び溝スライダ432のいずれか一方は、省略されてもよい。アッパースライダ431が省略される場合、ロアレール421も省略され、溝スライダ432が省略される場合、長溝422も省略される。また、アッパースライダ431及びロアレール421が省略される場合、駆動ユニット500は、溝スライダ432を駆動するように構成される。
【0065】
(第2実施形態)
次に、図12から図14を参照しながら、本発明の第2実施形態の回転シート1について説明する。図12は、本発明の第2実施形態の着座位置におけるシート回転装置の斜視図である。図13は、乗降位置におけるシート回転装置の斜視図である。図14は、第2実施形態のシート回転装置の分解斜視図である。なお、第2実施形態では、第1実施形態と異なる部分についてのみ説明を行い、第1実施形態と同じ構造、作用及び効果の説明は繰り返さない。
【0066】
本実施形態では、駆動ユニット500は、モータ530の出力軸に固定されたピニオン540(図14を参照)をさらに有しており、リンク410は、ピニオン540に噛み合うギア部415をさらに有している。
【0067】
駆動ユニット500は、回転プレート300上に固定されている。つまり、本実施形態では、駆動ユニット500は、回転プレート300とともにベースプレート100に対して相対移動する。ピニオン540は、回転プレート300に形成された貫通孔300h(図14を参照)に挿通されている。
【0068】
ギア部415は、リンク410の中間部413に設けられている。ギア部415は、ピニオン540の回転に伴って固定端部411まわりに回転端部412をベースプレート100に対して相対回転させる。ギア部415は、第2支持部432aから離間する向きに凸となる円弧状に形成されている。
【0069】
なお、本実施形態では、図14に示されるように、被固定部411aは、ベースプレート100の上面から上方に突出しており、固定端部411は、ベースプレート100の上面に固定されている。
【0070】
本実施形態では、モータ530が回転すると、ピニオン540が回転する。このピニオン540にギア部415が噛み合っているため、リンク410は、固定端部411まわりにベースプレート100に対して相対回転する。このリンク410の回転に合わせて、アッパースライダ431がロアレール421に沿って移動するとともに、溝スライダ432が長溝422に沿って移動する。このため、回転プレート300及びシート本体2は、着座位置及び乗降位置間を移動する。
【0071】
上述した例示的な実施形態は、以下の態様の具体例であることが当業者により理解される。
【0072】
上記実施形態におけるシート回転装置は、シート本体が車両の前方を向く着座位置と前記シート本体が前記車両のドアの開口部を向く乗降位置との間で前記シート本体を回転させることが可能なシート回転装置であって、フロア側に固定されるベースプレートと、前記シート本体に対して相対回転しないように前記シート本体の下面に固定される回転プレートと、前記着座位置と前記乗降位置との間で前記ベースプレートに対して前記回転プレートが回転可能となるように前記ベースプレートと前記回転プレートとを連結する連結ユニットと、前記連結ユニットを駆動する駆動ユニットと、を備え、前記連結ユニットは、前記ベースプレートと前記回転プレートとを連結するリンクと、前記ベースプレートに設けられており、直線状に延びる形状を有する案内部と、前記案内部に沿って移動可能な移動体であって、当該移動体に対して前記回転プレートが相対回転可能となるように前記回転プレートを支持する前記移動体と、を有し、前記駆動ユニットは、前記案内部に沿って前記移動体を移動させることが可能であり、前記リンクは、前記ベースプレートに対して相対回転可能となるように前記ベースプレートに固定された固定端部と、前記固定端部を回転中心として前記ベースプレートに対して回動可能であり、かつ、前記回転プレートに対して相対回転可能となるように前記回転プレートに固定された回転端部と、を有し、前記案内部は、前記固定端部及び前記回転端部間の距離の2倍の長さを半径とし、かつ、前記固定端部を中心とする仮想円の直径に沿って直線状に延びる形状を有し、前記移動体は、前記回転プレートのうち前記回転端部と固定された部位から離間した部位を、前記回転プレートが前記着座位置から前記乗降位置に移動するときに前記回転端部に対して前記回転プレートが回転する方向と同じ方向に当該移動体に対して相対回転させつつ前記案内部に沿って移動させる。
【0073】
このシート回転装置では、案内部が前記仮想円の直径に沿って直線状に延びる形状を有していることにより、移動体は、回転プレート(シート本体)が着座位置から乗降位置に移動するときに、固定端部及び回転端部間の長さを半径とし、かつ、回転端部を中心とする円が前記仮想円に内接しながら回転するときにおける前記円上の点の軌跡(仮想円の直径)に沿うように移動する。すなわち、リンクは、固定端部を回転中心とする円弧に沿って移動し、移動体は、前記仮想円の直径に沿って直線状に移動するため、精密な軌跡の計算を省略可能で、かつ、比較的簡素な構造でシート本体を回転させることが可能となる。
【0074】
また、前記案内部は、前記ベースプレートに固定されており、前記車両の前後方向に対して交差する方向でかつ前記仮想円の直径に沿って直線状に延びる形状を有するロアレールを含み、前記移動体は、前記ロアレールに沿って移動可能なアッパースライダを含み、前記アッパースライダは、当該アッパースライダに対して前記回転プレートが相対回転可能となるように前記回転プレートを支持していることが好ましい。
【0075】
また、前記駆動ユニットは、前記ロアレール内に配置されており、前記ロアレールに対して相対回転可能な送りねじと、前記送りねじに対して相対回転しながら前記送りねじの長手方向に移動可能であり、前記アッパースライダに固定されたナット部材と、前記送りねじを回転させることが可能なモータと、を有していてもよい。
【0076】
この態様では、ロアレール内に送りねじが配置されるため、アッパースライダを移動させる機構の配置スペースが低減される。
【0077】
また、前記モータは、前記ベースプレート及び前記回転プレート間で、かつ、前記ロアレールの長手方向における前記ロアレールの側方に配置されていることが好ましい。
【0078】
また、前記ベースプレートは、前記ロアレールを受けるレール受け部と、前記モータを受けるモータ受け部と、を有し、前記モータ受け部は、前記レール受け部よりも低い位置に形成されていることが好ましい。
【0079】
このようにすれば、シート回転装置の厚みがより低減される。
【0080】
また、前記駆動ユニットは、ピニオンと、前記ピニオンを回転させることが可能なモータと、を有し、前記リンクは、前記ピニオンと噛み合うギア部をさらに有し、前記ギア部は、前記ピニオンの回転に伴って前記固定端部まわりに前記回転端部を前記ベースプレートに対して相対回転させてもよい。
【0081】
また、前記案内部は、前記ベースプレートに形成されており、前記ロアレールに対して交差する方向でかつ前記仮想円の直径に沿って直線状に延びる形状を有する長溝をさらに含み、前記移動体は、前記長溝に沿って移動可能な溝スライダをさらに含むことが好ましい。
【0082】
この態様では、回転プレートが回転端部、アッパースライダ及び溝スライダの3点で支持されるため、回転プレートの姿勢が安定する。
【0083】
この場合において、前記長溝は、前記車両の前後方向に対して傾斜していることが好ましい。
【0084】
このようにすれば、長溝が前後方向と平行に形成される場合に比べて、着座位置における溝スライダの位置が前方となるため、前後方向における回転プレートの長さが短縮される。
【0085】
なお、今回開示された実施形態はすべての点で例示であって、制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施形態の説明ではなく特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれる。
【符号の説明】
【0086】
1 回転シート、2 シート本体、3 シートスライダ、10 シート回転装置、100 ベースプレート、110 ベース部、110h 挿通孔、112 レール受け部、114 モータ受け部、120 起立部、130 アッパーレール接続部、300 回転プレート、302 被支持部、310 第1被支持部、320 第2被支持部、400 連結ユニット、410 リンク、411 固定端部、411a 被固定部、412 回転端部、412a 支持部、413 中間部、415 ギア部、420 案内部、421 ロアレール、422 長溝、430 移動体、431 アッパースライダ、431a 第1支持部、432 溝スライダ、432a 第2支持部、500 駆動ユニット、510 送りねじ、520 ナット部材、530 モータ、540 ピニオン、A1 仮想円、A1 円、FL フロア。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14