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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-23
(45)【発行日】2025-01-07
(54)【発明の名称】トレー型紙容器
(51)【国際特許分類】
   B65D 5/24 20060101AFI20241224BHJP
【FI】
B65D5/24 H
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2021088297
(22)【出願日】2021-05-26
(65)【公開番号】P2022181380
(43)【公開日】2022-12-08
【審査請求日】2024-04-22
(73)【特許権者】
【識別番号】000003193
【氏名又は名称】TOPPANホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【弁理士】
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100169063
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 洋平
(72)【発明者】
【氏名】谷口 正幸
【審査官】矢澤 周一郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-260621(JP,A)
【文献】英国特許出願公告第1436205(GB,A)
【文献】特表2016-520671(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 5/24
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
表面にヒートシール性を有する接着剤を塗布した薄紙と、予め必要な打ち抜きを施した板紙とが積層された積層体を打ち抜いて作成されるブランクシートを、前記接着剤層が容器の内面側となるように成型してなるトレー型の紙容器であって、
前記ブランクシートは、正八角形を縦方向と横方向に引き伸ばした形状の底面板を有し、底面板の引き伸ばされていない4辺には、それぞれ山折罫線を介して長方形状のコーナー板が連設されており、
底面板の他の辺には、それぞれ山折罫線を介して逆台形形状の側面板が連設され、各側面板には谷折罫線を介して縁片が連設されており、
各コーナー板と側面板および各コーナー板と縁片との間には、板紙が打ち抜かれて薄紙と接着剤層のみが存在する部分があり、
成型に当たっては、各側面板の先端部と縁片が、各コーナー板の内側に折り込まれて、それぞれの先端同士が重ならないように成型されて、
縁片は、側面板の上端に連続して、底面に平行に紙容器の開口部の周囲を囲む、水平で段差がなく、平坦なフランジ部を形成しており、
前記板紙の厚さをA(μm)、薄紙の厚さをB(μm)とした時、
(A-B)≧150μm、かつ(A-3B)≦200μm
であることを特徴とするトレー型紙容器。
【請求項2】
前記板紙の厚さをA(μm)、薄紙の厚さをB(μm)とした時、
(A-B)≧200μm、かつ(A-3B)≦150μm
であることを特徴とする請求項1に記載のトレー型紙容器。
【請求項3】
前記接着剤は、自然界において、生分解性または加水分解性を有することを特徴とする請求項1または2に記載のトレー型紙容器。
【請求項4】
前記接着剤は、変性ポリオレフィン樹脂の水性分散体であることを特徴とする請求項1~3のいずれか1項に記載のトレー型紙容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、トレー形状の紙容器に関し、特に紙の比率が高く、自然界における生分解性に優れた紙容器に関する。
【背景技術】
【0002】
内面に防水処理を施したトレー状ないしは箱型の紙容器が広く用いられている。簡単なものでは、厚紙の内面に合成樹脂フィルムを貼り合わせる等の防水処理を施した積層体を、単に箱型に組み立てただけのものが、汁気の少ない弁当やつまみ類を収納するための容器として用いられている。これらの容器では、さしたる耐水性は必要とされず、水平状態での使用が前提となっているため、蓋についても単なる被せ蓋が用いられている例も見受けられる。
【0003】
トレー状の紙容器を密封容器として用いようとした場合、容器本体の密封性のみならず、蓋材との密封性をも考慮する必要がある。このためには、紙容器の上縁に水平なフランジ部を設けて、このフランジ部に蓋材を密着シールする方法が採用される。
【0004】
特許文献1に記載されたトレー容器用ブランクは、方形の底面板の四辺に側面板を立ち上げ、各側面板の先端に縁片を延設して、4つの縁片がフランジ部を形成するようにしたものである。フランジ部が形成されたトレー状の紙容器は、蓋材をシールすることにより、密閉容器として使用することが可能となる。
【0005】
この発明では、従来側面板同士の交点と縁片の交差する部分に微細な孔があいて液汁が漏れ出すことがあるという問題があったものを、フランジ部先端の舌片の端縁に小突起を設けることによって解消したものである。
【0006】
しかしながら、特許文献1に記載されたトレー容器用ブランクを組み立てた容器においては、構造上フランジ部に積層体の段差が生じることが避けられなかった。フランジ部の上面に段差があると、蓋材をシールした場合に段差部分にピンホールが発生する危険性があった。
【0007】
一方、近年プラスチック製の容器による環境汚染、特に海洋汚染の問題が明らかになりつつある。この問題に対処するため、廃棄された場合でも生分解性を有する紙を用いた容器が注目されている。
【0008】
従来の紙容器は、防水性や密封性を担保するために、紙以外に合成樹脂フィルム材料を少なからず併用しており、中には紙容器として認定される限度である50%未満の限界ぎりぎりまで使用する例もある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【文献】特許第3687396号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明の解決しようとする課題は、合成樹脂フィルム材料を一切使用せず、紙素材のみを用いながら、成型性、密封性、意匠性、さらには生産性にも優れたトレー型紙容器を提案するものである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記の課題を解決するための手段として、請求項1に記載の発明は、表面にヒートシール性を有する接着剤を塗布した薄紙と、予め必要な打ち抜きを施した板紙とが積層された積層体を打ち抜いて作成されるブランクシートを、前記接着剤層が容器の内面側となるように成型してなるトレー型の紙容器であって、
前記ブランクシートは、正八角形を縦方向と横方向に引き伸ばした形状の底面板を有し、底面板の引き伸ばされていない4辺には、それぞれ山折罫線を介して長方形状のコーナー板が連設されており、
底面板の他の辺には、それぞれ山折罫線を介して逆台形形状の側面板が連設され、各側面板には谷折罫線を介して縁片が連設されており、
各コーナー板と側面板および各コーナー板と縁片との間には、板紙が打ち抜かれて薄紙と接着剤層のみが存在する部分があり、
成型に当たっては、各側面板の先端部と縁片が、各コーナー板の内側に折り込まれて、それぞれの先端同士が重ならないように成型されて、
縁片は、側面板の上端に連続して、底面に平行に紙容器の開口部の周囲を囲む、水平で段差がなく、平坦なフランジ部を形成しており、
前記板紙の厚さをA(μm)、薄紙の厚さをB(μm)とした時、
(A-B)≧150μm、かつ(A-3B)≦200μm
であることを特徴とするトレー型紙容器である。
【0012】
本発明に係るトレー型紙容器は、紙素材以外の、合成樹脂フィルム類を一切使用していないため、万一自然界に廃棄された場合であっても分解性に優れている。
【0013】
また、請求項2に記載の発明は、前記板紙の厚さをA(μm)、薄紙の厚さをB(μm)とした時、(A-B)≧200μm、かつ(A-3B)≦150μm
であることを特徴とする請求項1に記載のトレー型紙容器である。
【0014】
また、請求項3に記載の発明は、前記接着剤が、自然界において、生分解性または加水分解性を有することを特徴とする請求項1または2に記載のトレー型紙容器である。
【0015】
また、請求項4に記載の発明は、前記接着剤が、変性ポリオレフィン樹脂の水性分散体であることを特徴とする請求項1~3のいずれか1項に記載のトレー型紙容器である。
【発明の効果】
【0016】
本発明に係るトレー型紙容器は、紙以外に一般的に使用される合成樹脂フィルムを一切使用していないため、万一自然界に廃棄されたとしても、比較的短時間で確実に分解される。
【0017】
本発明に係るトレー型紙容器は、薄紙層に塗布された接着剤層が防水層の役割を果たすため、容器としての防水性を満たしており、板紙が切り欠かれた部分にも薄紙層が存在するため、成型後の折り込み部分の防水性にも優れている。
【0018】
本発明に係るトレー型紙容器は、水平で段差がなく、平坦なフランジ部を有するため、蓋材を接着した場合の密封性に優れている。
【0019】
請求項1に記載の発明のように、板紙の厚さA(μm)と薄紙の厚さB(μm)とを、厚さの差が150μm以上であり、A-3Bが200μm以下であるようにした場合には、成型性が良好であり、フランジ部の段差も少なくなり、蓋材の密封性も高まる。
【0020】
請求項2に記載したように、板紙の厚さA(μm)と薄紙の厚さB(μm)とを、厚さの差が200μm以上であり、A-3Bが150μm以下であるようにした場合には、さらに良い結果が得られる。
【0021】
請求項3に記載の発明のように、接着剤が、自然界において、生分解性または加水分解性を有するものである場合には、廃棄された場合の分解速度はさらに高まる。
【0022】
請求項4に記載の発明のように、接着剤が、変性ポリオレフィン樹脂の水性分散体である場合には、トレー型紙容器が密封性、シール性、分解性ともに、より優れたものとなる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1図1は、本発明に係るトレー型紙容器の一例を示した斜視図である。
図2図2は、図1に示したトレー型紙容器のブランクシートの平面模式図である。
図3図3は、本発明に係るトレー型紙容器のブランクシートの層構成の一例を示した断面模式図であり、図2のZ-Z´断面に相当する部分の断面を模式的に示したものである。
図4図4は、図3のブランクシートを成型した状態を示した断面模式図であり、図1のXY断面に相当する部分の断面を模式的に示したものである。
図5図5は、実施例に記載のトレー型紙容器のブランクシートの層構成を示した断面模式図であり、図2のZ-Z´断面に相当する部分の断面を模式的に示したものである。
図6図6は、実施例に記載のトレー型紙容器のブランクシートを成型した状態を示した断面模式図であり、図1のXY断面に相当する部分の断面を模式的に示したものである。
図7図7は、本発明に係るトレー型紙容器に用いる積層体の製造方法の一例を示した断面説明図であり、平面プレス機の熱盤が開いた状態で、接着剤を塗布した板紙の上に接着剤層を形成済みの薄紙を載置した状態を示した断面説明図である。
図8図8は、図7の状態から熱盤を圧締した状態を示した断面説明図である。
図9図9~12は、本発明に係るトレー型紙容器のブランクシートを枚葉方式で作成する工程を示したものであり、図9は、板紙層に必要な打ち抜きを施した状態を示した平面説明図である。
図10図10は、全面に接着剤層を形成し、所定寸法にカットした薄紙を示した平面説明図である。
図11図11は、図9に示した打ち抜きを施した板紙と図10に示した薄紙層とを貼り合わせて積層体とした状態を示した平面説明図である。
図12図12は、図11に示した積層体を打ち抜いてブランクシートとした状態を示した平面説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、図面を参照しながら、本発明に係るトレー型紙容器10について詳細に説明する
図1は、本発明に係るトレー型紙容器10の一例を示した斜視図である。図2は、図1に示したトレー型紙容器10のブランクシート(BL)の平面模式図である。また図3は、本発明に係るトレー型紙容器のブランクシート(BL)の断面模式図であり、図2のZ-Z´断面に相当する部分の断面を模式的に示したものである。また図4は、図3のブランクシートを成型した状態を示した断面模式図であり、図1のXY断面に相当する部分の断面を模式的に示したものである。以下これらの図を参照しながら本発明に係るトレー型紙容器について説明する。
【0025】
本発明に係るトレー型紙容器10は、請求項1に記載の通り、表面にヒートシール性を有する接着剤4を塗布した薄紙3と、予め必要な打ち抜き11を施した板紙2とが積層された積層体1を打ち抜いて作成されるブランクシート(BL)を、接着剤層4が容器の内面側となるように成型してなるトレー型の紙容器である。
【0026】
板紙層2と薄紙層3とを積層するために図3の例では、薄紙層3の裏面側全面に接着剤層4´を形成して積層している。図5に示した例では、打ち抜きを施した板紙の裏面に接着剤層4´を形成して積層している。このように、積層用の接着剤層4´は、板紙層、薄紙層のいずれの側に形成してもかまわない。また、特に図示はしないが、その両方の面に形成しても良い。
【0027】
積層用の接着剤層4´としては、自然界において、生分解性または加水分解性を有するものであることが望ましい。本発明に係るトレー型紙容器においては、通常一般的に用いられる合成樹脂フィルム材料を一切使用しておらず、紙素材のみから構成されているため、接着剤として一般的に使用される酢酸ビニル系接着剤やエチレン酢酸ビニル共重合体(EVA)系接着剤、アクリルエマルジョン系接着剤等を使用した場合であっても、自然界において容易に分解するが、接着剤4´として生分解性または加水分解性を有するものを用いた場合には、さらに分解が促進され、自然界に対する負荷が小さくなる。
【0028】
薄紙3の表面に塗布する接着剤層4としては、紙容器を成型する上で、ヒートシール性を有することが必要である。このような接着剤の例としては、先に記載した酢酸ビニル系接着剤やエチレン酢酸ビニル共重合体(EVA)系接着剤、アクリルエマルジョン系接着剤等の接着剤を使用することができるが、特に変性ポリオレフィン樹脂の水性分散体(ディスパージョン)は、好適に使用できる。
【0029】
なお、薄紙3の表面全面に塗布する接着剤4と、薄紙3と板紙2とを積層するために用いる接着剤4´とは、同一の接着剤でも良いし、異なるものでも良い。
【0030】
本発明に係るトレー型紙容器に用いるブランクシート(BL)は、図2に示したように、正八角形を縦方向と横方向に引き伸ばした形状の底面板5を有する。底面板5の引き伸ばされていない4辺には、それぞれ山折罫線e、f、g、hを介して長方形状のコーナー板6、6、6、6が連設されている。
【0031】
底面板5の他の辺には、それぞれ山折罫線a、b、c、dを介して逆台形形状の側面板7、7、7、7が連設され、各側面板には谷折罫線i、j、k、lを介して縁片8、8、8、8が連設されている。
【0032】
各コーナー板6と側面板7および各コーナー板6と縁片8との間には、板紙層2が打ち抜かれて薄紙層3と接着剤層4のみが存在する部分11がある。
【0033】
通常容器の外側に当たる板紙層2には印刷表示が行われ、積層体1の表面側となる。従って板紙層2側が山となる折罫線が山折罫線であり、板紙層2側が谷となる折罫線が谷折罫線である。図2において山折罫線は点線で表示され、谷折罫線は一点鎖線で表示されている。従って図2は、ブランクシート(BL)を表面側から見た状態を示している。
【0034】
成型に当たっては、各側面板7の先端部と縁片8が、各コーナー板6の内側に折り込まれて、それぞれの先端同士が重ならないように成型されて、縁片8は、側面板7の上端に連続して、底面5に平行に紙容器の開口部の周囲を囲む、水平で段差がなく、平坦なフランジ部9を形成していることを特徴とする。
【0035】
このようなトレー型紙容器において、板紙層2と薄紙層3の組み合わせについて種々検討した結果、板紙層2の厚さをA(μm)、薄紙層3の厚さをB(μm)とした時、(A-B)≧150μm、かつ(A-3B)≦200μmであることが、紙トレーの成型適性や、フランジ部の段差すなわち蓋材の密封性にとって重要であることが判明したのである。
【0036】
なお、A(μm)とB(μm)の関係において、(A-B)≧200μm、かつ(A-3B)≦150μmである場合においては、さらに良好な結果が得られることも判明している。
【0037】
次に本発明に係るトレー型紙容器10の製造方法について説明する。図7は、本発明に係るトレー型紙容器10に用いる積層体1の製造方法の一例を示した断面説明図であり、平面プレス機20の熱盤21が開いた状態で、接着剤4´を塗布した板紙2の上に接着剤層4を形成済みの薄紙3を載置した状態を示した断面説明図である。また図8は、図7の状態から熱盤21を圧締した状態を示した断面説明図である。
【0038】
図7、8では1セットのみ圧締されているが、複数枚のセットを離形フィルム等を介して堆積し、圧締して接着する場合もある。また図ではクッションや離形フィルム等は省略されている。
【0039】
積層体1を作成する方法としては、図7図8に示したように、枚葉方式で作成することもできるし、特に図示しないが巻取り方式で連続的に作成することもできる。巻取り方式による製造は、大量生産に適しており、枚葉方式による製造は、多品種少量生産に適している。
【0040】
図9~12は、本発明に係るトレー型紙容器10のブランクシート(BL)を枚葉方式で作成する工程を示したものであり、図9は、板紙層2に必要な打ち抜き11を施した状態を示した平面説明図である。図10は、全面に接着剤層4を形成し、所定寸法にカットした薄紙3を示した平面説明図である。図11は、図9に示した打ち抜きを施した板紙2と図10に示した薄紙3とを貼り合わせて積層体1とした状態を示した平面説明図である。図12は、図11に示した積層体1を打ち抜いてブランクシート(BL)とした状態を示した平面説明図である。以下実施例に基づいて本発明に係るトレー型紙容器10について具体的に説明する。
【実施例
【0041】
<実施例1>
所定寸法に裁断した板紙(三菱製紙社製、パールカード、坪量400g/m、厚さ450μm)に必要な打ち抜きを施した後、平面プレス機を用いて薄紙(日本製紙社製、晒クラフト、坪量100g/m、厚さ150μm)と貼り合わて積層体を作成した。薄紙には予め全面に接着剤(変性ポリエチレン樹脂水性分散体 ユニチカ社製アローベース)を塗布、乾燥してあり、貼り合わせ用の接着剤としては、同じ接着剤を板紙の打ち抜き部を除く接着面に塗布して貼り合わせを行った。
【0042】
板紙の厚さをA(μm)、薄紙の厚さをB(μm)とした場合、A-B=300μm、A-3×B=0μmである。
【0043】
積層体を打ち抜いて図2に示したようなブランクシートを作成した。図5は、図2のZ-Z´断面における積層体の層構成を模式的に示した断面模式図である。次にこのブランクシートに加熱加圧成型を行って図1に示したような形状のトレー型紙容器を作成した。図6は、この紙容器における図1のXY断面を模式的に示した断面模式図である。
【0044】
このトレー型紙容器について、成型時の成型適性(皺の有無)、フランジ部の段差、蓋材シール後の漏れの有無を評価した。
【0045】
<実施例2>
薄紙として厚さ100μmのもの(日本製紙社製、晒クラフト、坪量80g/m)を使用した以外は、実施例1と同様にしてトレー型紙容器を作成し、同様に評価した。A-B=350μm、A-3×B=150μmである。
【0046】
<実施例3>
板紙として厚さ350μmのもの(三菱製紙社製、パールカード、坪量300g/m)を使用した以外は、実施例1と同様にしてトレー型紙容器を作成し、同様に評価した。A-B=200μm、A-3×B=-100μmである。
【0047】
<実施例4>
板紙として厚さ350μmのもの(三菱製紙社製、パールカード、坪量300g/m)を使用し、薄紙として厚さ100μmのもの(日本製紙社製、晒クラフト、坪量80g/m)を使用した以外は、実施例1と同様にしてトレー型紙容器を作成し、同様に評価した。A-B=250μm、A-3×B=50μmである。
【0048】
<実施例5>
板紙として厚さ350μmのもの(三菱製紙社製、パールカード、坪量300g/m)を使用し、薄紙として厚さ80μmのもの(日本製紙社製、晒クラフト、坪量60g/m)を使用した以外は、実施例1と同様にしてトレー型紙容器を作成し、同様に評価した。A-B=270μm、A-3×B=110μmである。
【0049】
<実施例6>
板紙として厚さ350μmのもの(三菱製紙社製、パールカード、坪量300g/m)を使用し、薄紙として厚さ60μmのもの(日本製紙社製、晒クラフト、坪量50g/m)を使用した以外は、実施例1と同様にしてトレー型紙容器を作成し、同様に評価した。A-B=290μm、A-3×B=170μmである。
【0050】
<実施例7>
板紙として厚さ310μmのもの(三菱製紙社製、パールカード、坪量270g/m)を使用し、薄紙として厚さ100μmのもの(日本製紙社製、晒クラフト、坪量80g/m)を使用した以外は、実施例1と同様にしてトレー型紙容器を作成し、同様に評価した。A-B=210μm、A-3×B=10μmである。
【0051】
<実施例8>
板紙として厚さ310μmのもの(三菱製紙社製、パールカード、坪量270g/m)を使用し、薄紙として厚さ80μmのもの(日本製紙社製、晒クラフト、坪量60g/m)を使用した以外は、実施例1と同様にしてトレー型紙容器を作成し、同様に評価した。A-B=230μm、A-3×B=70μmである。
【0052】
<実施例9>
板紙として厚さ310μmのもの(三菱製紙社製、パールカード、坪量270g/m)を使用し、薄紙として厚さ60μmのもの(日本製紙社製、晒クラフト、坪量50g/m)を使用した以外は、実施例1と同様にしてトレー型紙容器を作成し、同様に評価した。A-B=250μm、A-3×B=130μmである。
【0053】
<実施例10>
板紙として厚さ280μmのもの(三菱製紙社製、パールカード、坪量240g/m)を使用し、薄紙として厚さ80μmのもの(日本製紙社製、晒クラフト、坪量60g/m)を使用した以外は、実施例1と同様にしてトレー型紙容器を作成し、同様に評価した。A-B=200μm、A-3×B=40μmである。
【0054】
<実施例11>
板紙として厚さ280μmのもの(三菱製紙社製、パールカード、坪量240g/m)を使用し、薄紙として厚さ60μmのもの(日本製紙社製、晒クラフト、坪量50g/m)を使用した以外は、実施例1と同様にしてトレー型紙容器を作成し、同様に評価した。A-B=220μm、A-3×B=100μmである。
【0055】
<実施例12> 板紙として厚さ260μmのもの(三菱製紙社製、パールカード、坪量220g/m)を使用し、薄紙として厚さ80μmのもの(日本製紙社製、晒クラフト、坪量60g/m)を使用した以外は、実施例1と同様にしてトレー型紙容器を作成し、同様に評価した。A-B=180μm、A-3×B=20μmである。
【0056】
<実施例13>
板紙として厚さ260μmのもの(三菱製紙社製、パールカード、坪量220g/m)を使用し、薄紙として厚さ60μmのもの(日本製紙社製、晒クラフト、坪量50g/m)を使用した以外は、実施例1と同様にしてトレー型紙容器を作成し、同様に評価した。A-B=200μm、A-3×B=80μmである。
【0057】
<比較例1>
薄紙として厚さ60μmのもの(日本製紙社製、晒クラフト、坪量50g/m)を使用した以外は、実施例1と同様にしてトレー型紙容器を作成し、同様に評価した。A-B=390μm、A-3×B=270μmである。
【0058】
<比較例2>
板紙として厚さ280μmのもの(三菱製紙社製、パールカード、坪量240g/m)を使用し、薄紙として厚さ150μmのもの(日本製紙社製、晒クラフト、坪量100g/m)を使用した以外は、実施例1と同様にしてトレー型紙容器を作成し、同様に評価した。A-B=130μm、A-3×B=-170μmである。
【0059】
<比較例3>
板紙として厚さ260μmのもの(三菱製紙社製、パールカード、坪量220g/m)を使用し、薄紙として厚さ150μmのもの(日本製紙社製、晒クラフト、坪量100g/m)を使用した以外は、実施例1と同様にしてトレー型紙容器を作成し、同様に評価した。A-B=110μm、A-3×B=-190μmである。
【0060】
<比較例4>
板紙として厚さ180μmのもの(三菱製紙社製、パールカード、坪量160g/m
を使用し、薄紙として厚さ150μmのもの(日本製紙社製、晒クラフト、坪量100g/m)を使用した以外は、実施例1と同様にしてトレー型紙容器を作成し、同様に評価した。A-B=30μm、A-3×B=-270μmである。
【0061】
<比較例5>
板紙として厚さ180μmのもの(三菱製紙社製、パールカード、坪量160g/m)を使用し、薄紙として厚さ100μmのもの(日本製紙社製、晒クラフト、坪量80g/m)を使用した以外は、実施例1と同様にしてトレー型紙容器を作成し、同様に評価した。A-B=80μm、A-3×B=-120μmである。
【0062】
<比較例6>
板紙として厚さ180μmのもの(三菱製紙社製、パールカード、坪量160g/m)を使用し、薄紙として厚さ80μmのもの(日本製紙社製、晒クラフト、坪量60g/m)を使用した以外は、実施例1と同様にしてトレー型紙容器を作成し、同様に評価した。A-B=100μm、A-3×B=-60μmである。
【0063】
以上の結果を表1にまとめた。
【0064】
【表1】
【0065】
表1の結果から、本発明に係るトレー型紙容器は、成型適性に優れ、フランジ部の段差も少なく、蓋材シール後の漏れもないことが分かる。
【符号の説明】
【0066】
1・・・積層体
2・・・板紙層
3・・・薄紙層
4、4´・・・接着剤層
BL・・・ブランクシート
5・・・底面板
6・・・コーナー板
7・・・側面板
8・・・縁片
9・・・フランジ部
10・・・トレー型紙容器
11・・・打ち抜き部
a~l・・・折罫線
20・・・平面プレス機
21・・・熱盤
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12