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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-23
(45)【発行日】2025-01-07
(54)【発明の名称】天板付き家具及び家具システム
(51)【国際特許分類】
   A47B 85/00 20060101AFI20241224BHJP
   A47B 83/02 20060101ALI20241224BHJP
   A47B 91/06 20060101ALI20241224BHJP
   A47B 83/04 20060101ALI20241224BHJP
   A47C 13/00 20060101ALN20241224BHJP
【FI】
A47B85/00
A47B83/02
A47B91/06
A47B83/04
A47C13/00 B
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2021109025
(22)【出願日】2021-06-30
(65)【公開番号】P2023006432
(43)【公開日】2023-01-18
【審査請求日】2024-05-09
(73)【特許権者】
【識別番号】000001351
【氏名又は名称】コクヨ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100085338
【弁理士】
【氏名又は名称】赤澤 一博
(72)【発明者】
【氏名】渡邉 聡
(72)【発明者】
【氏名】長町 圭祐
(72)【発明者】
【氏名】加納 隆芳
(72)【発明者】
【氏名】楠亀 早江子
【審査官】野尻 悠平
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-81070(JP,A)
【文献】特開2020-39823(JP,A)
【文献】実開平6-57242(JP,U)
【文献】実開平6-86568(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47B 85/00
A47B 83/02
A47B 91/06
A47B 83/04
A47C 13/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
天板を有する家具本体と、前記天板よりも低位置に段床を有し前記家具本体の天板下空間に対して出没可能に配されたスライド構体とを備え、前記スライド構体が家具本体の天板下空間に没入したテーブルタイプのモードと、前記スライド構体の段床が天板下空間の外に突出した展開タイプのモードとを選択的にとり得るように構成されたひな壇ユニットを複数組具備してなり、
前記各ひな壇ユニットが、相互に異なったモードに設定することができるように構成されている天板付き家具。
【請求項2】
前記各ひな壇ユニットが、段床の高さが相互に異なる複数のスライド構体をテレスコープ状に配してなり、前記展開タイプのモードにおいて、これらスライド構体の段床と前記天板とが所定の落差をもって階段状に展開されるように構成されている請求項1記載の天板付き家具。
【請求項3】
平面視左右対称形状をなす一対のひな壇ユニットを備えたものであり、それらのひな壇ユニットを左右に入れ替えてレイアウト変更することによって、全体の平面視形状が変化するように構成されている請求項1又は2記載の天板付き家具。
【請求項4】
前記両ひな壇ユニットにおけるスライド構体の出没方向が平行となるストレート型レイアウトと、前記両ひな壇ユニットにおけるスライド構体の出没方向が前方に向かって漸次接近するように傾斜したウイング型レイアウトとを選択的にとり得るように構成されている請求項3記載の天板付き家具。
【請求項5】
前記各ひな壇ユニットは、前記展開タイプのモードにおいて平面視略台形状の輪郭線内に収まる形態をなし、一対のひな壇ユニットが、各輪郭線の側辺同士を密接させた状態で左右に隣接配置されたものであって、
一方のひな壇ユニットの輪郭線は、前記出没方向に対して傾斜した左側辺と、前記出没方向に対して平行な右側辺とを備えた平面視形状をなし、他方のひな壇ユニットの輪郭線は、前記出没方向に対して平行な左側辺と、前記出没方向に対して傾斜した右側辺とを備えた平面視形状をなすものである請求項4記載の天板付き家具。
【請求項6】
前記各ひな壇ユニットにおける前記展開タイプのモードが、一部の段床のみを外部に突出させる第1のモード態様と、全部の段床を外部に突出させる第2のモード態様とを含んでいる請求項2、3、4又は5記載の天板付き家具。
【請求項7】
請求項1、2、3、4、5又は6記載の天板付き家具の少なくとも一側に、サイドユニットを隣接配置してなる家具システムであって、
前記サイドユニットは、前記天板付き家具の前記天板及び前記段床よりも背の高い部分を有する形態をなし、前記天板付き家具における前記スライド構体の出没方向と同じ方向に伸縮させ得るように構成されている家具システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、オフィスやロビーの共有スペース等において好適に使用される天板付き家具及びこのような天板付き家具を有する家具システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、オフィスやロビーの共有スペース等に配される天板付き家具として、複数人が同時に使用可能なカウンタータイプのテーブル等が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
ところが、従来のものは、基本的に特定の専用家具、例えば、テーブルとしての用途に特化されており、他の目的で使用することは想定されていない。
【0004】
一方、共有スペースに配される家具として、種々の高さに着座することができる壇状のものも知られているが(例えば、非特許文献1参照)、この家具も基本的な形態を変更して用途を変えることができるようなものではない。すなわち、この種の家具は、その壇状形態を維持したままで、使い方を種々工夫することによって、オープンな議論の場を創出したり、講義やプレゼンテーションに適した空間を演出したりすることのできる優れた家具であるが、その壇状をなす基本形態を適宜変更しながら使用することは予定されていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2020-48924号公報
【非特許文献】
【0006】
【文献】三井不動産株式会社、“JINSとKOKUYOの出会いから、オフィスの未来系が生まれました。|&Life-Biz”、[online]、平成28年、三井不動産株式会社、[令和3年1月25日検索]、インターネット<URL:https://www.and-life-biz.jp/column/jins-kokuyo.html>
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、基本形態を変えることによって、専用家具では応えられない用途変更に対応することができ、しかも、比較的大きなスケールで実施してもきめ細かな要望にも応えることが容易な天板付き家具及び家具システムを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1記載の発明に係る天板付き家具は、天板を有する家具本体と、前記天板よりも低位置に段床を有し前記家具本体の天板下空間に対して出没可能に配されたスライド構体とを備え、前記スライド構体が家具本体の天板下空間に没入したテーブルタイプのモードと、前記スライド構体の段床が天板下空間の外に突出した展開タイプのモードとを選択的にとり得るように構成されたひな壇ユニットを複数組具備してなり、前記各ひな壇ユニットが、相互に異なったモードに設定することができるように構成されているものである。
【0009】
請求項2記載の発明に係る天板付き家具は、請求項1記載のものであって、前記各ひな壇ユニットが、段床の高さが相互に異なる複数のスライド構体をテレスコープ状に配してなり、前記展開タイプのモードにおいて、これらスライド構体の段床と前記天板とが所定の落差をもって階段状に展開されるように構成されているものである。
【0010】
請求項3記載の発明に係る天板付き家具は、請求項1又は2記載のものであって、平面視左右対称形状をなす一対のひな壇ユニットを備えたものであり、それらのひな壇ユニットを左右に入れ替えてレイアウト変更することによって、全体の平面視形状が変化するように構成されているものである。
【0011】
請求項4記載の発明に係る天板付き家具は、請求項3記載のものであって、前記両ひな壇ユニットにおけるスライド構体の出没方向が平行となるストレート型レイアウトと、前記両ひな壇ユニットにおけるスライド構体の出没方向が前方に向かって漸次接近するように傾斜したウイング型レイアウトとを選択的にとり得るように構成されているものである。
【0012】
請求項5記載の発明に係る天板付き家具は、請求項4記載のものであって、前記各ひな壇ユニットは、前記展開タイプのモードにおいて平面視略台形状の輪郭線内に収まる形態をなし、一対のひな壇ユニットが、各輪郭線の側辺同士を密接させた状態で左右に隣接配置されたものであって、一方のひな壇ユニットの輪郭線は、前記出没方向に対して傾斜した左側辺と、前記出没方向に対して平行な右側辺とを備えた平面視形状をなし、他方のひな壇ユニットの輪郭線は、前記出没方向に対して平行な左側辺と、前記出没方向に対して傾斜した右側辺とを備えた平面視形状をなすものである。
【0013】
請求項6記載の発明に係る天板付き家具は、請求項2、3、4又は5記載のものであって、前記各ひな壇ユニットにおける前記展開タイプのモードが、一部の段床のみを外部に突出させる第1のモード態様と、全部の段床を外部に突出させる第2のモード態様とを含んでいるものである。
【0014】
請求項7記載の発明に係る家具システムは、請求項1、2、3、4、5又は6記載の天板付き家具の少なくとも一側に、サイドユニットを隣接配置してなる家具システムであって、前記サイドユニットは、前記天板付き家具の前記天板及び前記段床よりも背の高い部分を有する形態をなし、前記天板付き家具における前記スライド構体の出没方向と同じ方向に伸縮させ得るように構成されているものである。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、基本形態を変えることによって、専用家具では応えられない用途変更に対応することができ、比較的大規模なスケールで実施することも容易な天板付き家具及び家具システムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明の一実施形態に係る家具システムを示す斜視図。
図2】同実施形態に係る家具システムを示す平面図。
図3】同実施形態に係るひな壇ユニットを示す斜視図。
図4】同実施形態に係るひな壇ユニットを示す斜視図。
図5】同実施形態に係るひな壇ユニットを示す正面図。
図6】同実施形態に係るひな壇ユニットを示す右側面図。
図7】同実施形態に係るひな壇ユニットを示す平面図。
図8】同実施形態に係るひな壇ユニットを示す底面図。
図9】同実施形態に係る家具システムを示す斜視図。
図10】同実施形態に係る家具システムを示す平面図。
図11】同実施形態に係るひな壇ユニットを示す斜視図。
図12】同実施形態に係るひな壇ユニットを示す斜視図。
図13】同実施形態に係るひな壇ユニットを示す正面図。
図14】同実施形態に係るひな壇ユニットを示す右側面図。
図15】同実施形態に係るひな壇ユニットを示す平面図。
図16】同実施形態に係るひな壇ユニットを示す底面図。
図17】同実施形態に係る家具システムを示す斜視図。
図18】同実施形態に係る家具システムを示す平面図。
図19】同実施形態に係るひな壇ユニットを示す斜視図。
図20】同実施形態に係るひな壇ユニットを示す斜視図。
図21】同実施形態に係るひな壇ユニットを示す正面図。
図22】同実施形態に係るひな壇ユニットを示す右側面図。
図23】同実施形態に係るひな壇ユニットを示す平面図。
図24】同実施形態に係るひな壇ユニットを示す底面図。
図25】同実施形態に係る家具システムの使用態様を示す説明図。
図26】同実施形態に係るサイドユニットを示す全体斜視図。
図27】同実施形態に係るサイドユニットを示す全体斜視図。
図28】同実施形態に係るサイドユニットを示す分解斜視図。
図29】同実施形態に係るサイドユニットを示す分解斜視図。
図30】同実施形態に係る家具システムを示す斜視図。
図31】同実施形態に係る家具システムを示す平面図。
図32】同実施形態に係る家具システムを示す斜視図。
図33】同実施形態に係る家具システムを示す平面図。
図34】同実施形態に係る家具システムを示す斜視図。
図35】同実施形態に係る家具システムを示す平面図。
図36】同実施形態に係る家具システムの使用態様を示す説明図。
図37】本発明の他の実施形態に係る家具システムを示す斜視図。
図38】同実施形態に係る家具システムを示す斜視図。
図39】同実施形態に係る家具システムを示す斜視図。
図40】同実施形態に係る家具システムを示す平面図。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の一実施形態を図1図36を参照して説明する。
<家具システム(天板付き家具とサイドユニット)>
この実施形態の家具システムSは、本発明に係る天板付き家具Tの少なくとも一側に、サイドユニットVを隣接配置してなるものであって、サイドユニットVは、天板付き家具Tの天板5及び段床23、33、43よりも背の高い部分を有する形態をなし、天板付き家具Tにおけるスライド構体2、3、4の出没方向(図中の矢印X、Y方向)と同じ方向に伸縮させ得るように構成されている。
<天板付き家具(複数組のひな壇ユニット)>
この実施形態の天板付き家具Tは、天板5を有する家具本体1と、天板5よりも低位置に段床23、33、43を有し家具本体1の天板下空間S1に対して出没可能に配されたスライド構体2、3、4とを備え、スライド構体2、3、4が家具本体1の天板下空間S1に没入したテーブルタイプのモードと、スライド構体2、3、4の段床23、33、43が天板下空間の外に突出した展開タイプのモードとを選択的にとり得るように構成されたひな壇ユニットUを複数組具備してなる。そして、各ひな壇ユニットUが、相互に異なったモードに設定することができるように構成されている。
【0018】
この天板付き家具Tは、図1図25及び図30図36に示すように、各ひな壇ユニットUが、段床23、33、43の高さが相互に異なる複数のスライド構体2、3、4をテレスコープ状に配してなり、展開タイプのモードにおいて、これらスライド構体2、3、4の段床23、33、43と天板5とが所定の落差をもって階段状に展開されるように構成されている。
<ひな壇ユニット(家具本体と複数のスライド構体)>
すなわち、この天板付き家具Tの各ひな檀ユニットUは、図1図8図30及び図31に示すようなテーブルモード(P)(テーブルタイプのモード)と、図9図16図32及び図33に示すようなソファーモード(Q1)(展開タイプのモードの第1モード態様)と、図17図24図34及び図35に示すようなスタジアムモード(Q2)(展開タイプのモードの第2モード態様)とを選択的に採り得るように構成されている。
【0019】
以下、具体的に説明するが、その説明においてはスライド構体2、3、4が突没する側を「正面」とし、スライド構体2、3、4が突出する動作を「前進」、没入する動作を「後退」と認識して記述を行う。この実施形態の場合、家具本体1の下に、上段のスライド構体2と、中段のスライド構体3と、下段のスライド構体4とがテレスコープ状に配されている。
【0020】
家具本体1は、図4図8図12図16図20及び図24に示すように、平行に配された左右一対の脚ベース11と、これら脚ベース11の基端部(後端部)にそれぞれ立設された左右一対の支柱12と、これら支柱12上に使用端5a側を支持された天板5とを具備してなる。脚ベース11は前後方向に転動する車輪等の転動体111を備えている。この家具本体1は、転動体111を利用して移動可能になっているが、所望の接地箇所で移動を禁止するための図示しない制動機構を設けておくのが望ましい。左右の支柱12は、それぞれ角柱パイプ状のもので、図示しない補強材によって相互に剛結されている。左右の支柱12に天板5を支持させるための補強構造についても、通常のものであるため図示を省略する。14は前幕板、15は後幕板である。
【0021】
天板5は、平面視台形状をなすものである。すなわち、この天板5は、使用端5aと反使用端5bとが平行で、一方の側端5cがこれら使用端5a及び反使用端5bと直角をなしている。そして、他方の側端5dは、反使用端5bが使用端5aより短くなる方向に傾斜させてある。しかして、この実施形態の天板付き家具Tは、平面視左右対称形状をなす一対のひな壇ユニットUを備えたものであり、後述するように、それらのひな壇ユニットUを左右に入れ替えてレイアウト変更することによって、全体の平面視形状が変化するように構成されている。そのため、図1図25において左に位置するひな壇ユニットU(以下、「第1のひな壇ユニットUA」とよぶ場合がある)の天板5については、その左側端が傾斜しており、右側端が使用端5a及び反使用端5bと直角をなしている。すなわち、右側端が前述した一方の側端5c、左側端が前述した他方の側端5dである。一方、図1図25において右に位置するひな壇ユニットU(以下、「第2のひな壇ユニットUB」とよぶ場合がある)の天板5については、その右側端が傾斜しており、左側端が使用端5a及び反使用端5bと直交している。すなわち、左側端が前述した一方の側端5c、右側端が前述した他方の側端5dである。
【0022】
上段のスライド構体2は、図4図8図12図16図20及び図24に示すように、平行に配された左右一対の脚ベース21と、これら脚ベース21の基端部(後端部)にそれぞれ立設された左右一対の支柱22と、これら支柱22上に使用端側を支持された段床23とを具備してなる。脚ベース21は前後方向に転動する車輪等の転動体211を備えている。この上段のスライド構体2は、転動体211を利用して移動可能になっている。左右の支柱22は、それぞれ角柱パイプ状のもので、図示しない補強材によって相互に剛結されている。左右の支柱22に段床23を支持させるための補強構造についても、通常のものであるため図示を省略する。24は前幕板である。
【0023】
中段のスライド構体3は、図4図8図12図16図20及び図24に示すように、平行に配された左右一対の脚ベース31と、これら脚ベース31の基端部(後端部)にそれぞれ立設された左右一対の支柱32と、これら支柱32上に使用端側を支持された段床33とを具備してなる。脚ベース31は前後方向に転動する車輪等の転動体311を備えている。この中段のスライド構体3は、転動体311を利用して移動可能になっている。左右の支柱32は、それぞれ角柱パイプ状のもので、図示しない補強材によって相互に剛結されている。左右の支柱32に段床33を支持させるための補強構造についても、通常のものであるため図示を省略する。34は前幕板である。
【0024】
下段のスライド構体4は、図4図8図12図16図20及び図24に示すように、平行に配された左右一対の脚ベース41と、これら脚ベース41の基端部(後端部)にそれぞれ立設された左右一対の支柱42と、これら支柱42上に使用端側を支持された段床43とを具備してなる。脚ベース41は前後方向に転動する車輪等の転動体411を備えている。この下段のスライド構体4は、転動体411を利用して移動可能になっている。左右の支柱42は、それぞれ角柱パイプ状のもので、図示しない補強材によって相互に剛結されている。左右の支柱42に段床43を支持させるための補強構造についても、通常のものであるため図示を省略する。44は前幕板、45は側幕板である。
【0025】
以上のようにしてなる上段のスライド構体2と、中段のスライド構体3と、下段のスライド構体4とは、図17に示すように、テレスコープ状に組み合わされて家具本体1の天板下空間S1に突没可能に配されている。すなわち、下段のスライド構体4は、左右の脚ベース41を中段のスライド構体3の左右の脚ベース31の内側に位置させて前後方向にスライド移動し得るように組立てられる。また、中段のスライド構体3は、左右の脚ベース31を上段のスライド構体2の左右の脚ベース21の内側に位置させて前後方向にスライド移動し得るように組立てられる。そして、上段のスライド構体2は、左右の脚ベース21を家具本体1の左右の脚ベース11の内側に位置させて前後方向にスライド移動し得るように組立てられる。そして、この実施形態の場合、上段のスライド構体2における段床23の略全域、及び、下段のスライド構体4における段床43の主要領域は着座用のものであり、例えば、クッション6が載置されている。一方、中段のスライド構体3における段床33の全域は、移動用あるいは足載せ用の領域として設定されている。
【0026】
各ひな壇ユニットUA、UBは、下段のスライド構体4と中段のスライド構体3との間に図示しない前端側のロック機構が設けられ、中段のスライド構体3と上段のスライド構体2との間に図示しない中間前側のロック機構が設けられ、上段のスライド構体2と家具本体1との間に図示しない中間後側のロック機構が設けられ、家具本体1と中段のスライド構体3との間に図示しない後端側のロック機構が設けられている。
【0027】
前端側のロック機構は、中段のスライド構体3に対して下段のスライド構体4が最も前進した位置でバネ等の働きにより自動的にロック状態となり、下段のスライド構体4の中段のスライド構体3に対する相対移動が禁止される。そして、このロック状態は遠隔からの操作により解除し得るようになっている。中間前側のロック機構は、上段のスライド構体2に対して中段のスライド構体3が最前進した段階で自動的にロック状態となり、中段のスライド構体3の上段のスライド構体2に対する後退動作が禁止される。このロック状態は、下段のスライド構体4の後方へのスライド動作を利用して解除される。そして、中間後側のロック機構は、家具本体1に対して上段のスライド構体2が最前進した段階で自動的にロック状態となり、上段のスライド構体2の家具本体1に対する後退動作が禁止される。このロック状態は、下段のスライド構体4の後方へのスライド動作を利用して解除される。後端側のロック機構は、テーブルモード(P)において家具本体1と下段のスライド構体4とを相対移動不能にロックするとともに、ソファーモード(Q1)においては家具本体1と中段のスライド構体3とを相対移動不能にロックするためのもので、例えば家具本体1と中段のスライド構体3との双方に係合するロック位置といずれかの係合が外れるロック解除位置との間で移動可能な閂材を備えている。
【0028】
また、家具本体1と上段のスライド構体2との間には、上段のスライド構体2が所定の突出幅を上回って前進するのを規制するための図示しないストッパが設けられている。上段のスライド構体2と中段のスライド構体3との間には、中段のスライド構体3が所定の突出幅を上回って前進するのを規制するための図示しないストッパが設けられている。中段のスライド構体3と下段のスライド構体4との間には、下段のスライド構体4が所定の突出幅を上回って前進するのを規制するための図示しないストッパが設けられている。
【0029】
また、家具本体1及びスライド構体2、3、4の脚ベース11、21、31、41の延伸方向は、天板5の使用端5a及び反使用端5bに直交する方向に設定されており、各スライド構体2、3、4は、対応する天板5の使用端5a及び反使用端5bと直交する向き(図中矢印X、Y方向)に出没し得るように構成されている。
<サイドユニット>
以上説明した左右一対のひな壇ユニットUA、UBを備えた天板付き家具Tの両側には、サイドユニットVが隣接配置されている。サイドユニットVは、図1図9及び図17に示すように、天板付き家具Tの天板5及び段床23、33、43よりも背の高い部分を有する形態をなし、天板付き家具Tにおけるスライド構体2、3、4の出没方向(図中の矢印X、Y方向)と同じ方向に伸縮させ得るように構成されている。具体的に説明すれば、このサイドユニットVは、図26図29に示すように、静止棚V1と、この静止棚V1に対して前後方向に進退可能な可動棚V2とを具備してなる。
【0030】
静止棚V1は、外側方に向けて開放された静止棚本体V11と、この静止棚本体V11上に固設され上方に開放された植栽ボックスV12とを具備してなる。静止棚本体V111は、アジャスタV131を有する底板V13と、この底板V13の前端及び後端に立設された前、後の端板V14、V15と、これら端板V14、V15の奥端間を塞ぐ上、下の背板V16、V17とを備えたもので、その上の背板V16及び両端板V14、V15の上端には植栽ボックスV12が固設されている。静止棚本体V11は、内部に棚板V18を有しており、例えば、備品やモバイルバッテリー等を収納することができる。植栽ボックスV12は、主としてプランター等を収容するためのものである。植栽ボックスV12の後端面は静止棚本体V11の後端面と面一に設定されているが、植栽ボックスV12の前端V12a側は、静止棚本体V11の前端V11aよりも前方に延出させてある。この植栽ボックスV12の前方延出部の下面には、可動棚V2を案内するための案内溝V12bが形成されている。
【0031】
可動棚V2は、キャスタV211を有する底板V21と、この底板V21の前端及び後端に立設された前、後の端板V22、V23と、これら端板V22、V23の奥端間を塞ぐ背板V24と、前後の端板V22、V23及び背板V24の上端を塞ぐ上板V25とを備えたもので、上板V25の後端部上面には、植栽ボックスV12の案内溝V12bにスライド可能に係合する被案内突起V26が設けられている。この可動棚V2の前、後の端板V22、V23間には棚板V27が架設されている。また、背板V24は後の端板V23よりも後方に延出させてあり、この背板V24の延出端部には、静止棚本体V1の上、下の背板V16、V17間に形成される段差を閉塞するための目隠突条V28が突設されている。また、可動棚V2の延出部下縁には、後の端板V23と目隠突条V28との間に位置させて補助底板V29が使用位置と収納位置との間で略90度だけ回動し得るように配されている。補助底板V29は、使用位置で底板V21と連続する姿勢となり(図27図29参照)、略90度だけ上方に回動させると可動棚V2の背板V24に平行となり、目隠突条V28とともに、静止棚V1の上下の背板V16、V17間に形成される段差内に収容されるようになっている(図27図28の想像線参照)。補助底板V29の回動端部下面には、アジャスタV291が設けられている。
<左右一対のひな壇ユニットのレイアウト>
この実施形態における天板付き家具Tは、サイドユニットV間に配置された左右一対のひな壇ユニットUA、UBを備えたものであり、それら両ひな壇ユニットUA、UBは、平面視において左右対称形状をなしている。そして、この天板付き家具Tにおいては、両ひな壇ユニットUA、UBにおけるスライド構体2、3、4の出没方向(図中の矢印X、Y方向)が平行となるストレート型レイアウト(K)(図1図25参照)と、両ひな壇ユニットUA、UBにおけるスライド構体2、3、4の出没方向(図中の矢印X、Y方向)が前方に向かって漸次接近するように傾斜したウイング型レイアウト(L)(図30図36参照)とを選択的にとり得るように構成されている。
【0032】
また、各ひな壇ユニットUA、UBは、展開タイプのモードすなわちソファーモード(Q1)及びスタジアムモード(Q2)において平面視略台形状の輪郭線R1、R2内に収まる形態をなしており、これら一対のひな壇ユニットUA、UBが、各輪郭線R1、R2の側辺R1c、R1d、R2c、R2d同士を密接させた状態で左右に隣接配置されている。特に、スタジアムモード(Q2)においては、図18の(b)及び図35の(b)に示すように、各ひな壇ユニットUA、UBは、それぞれ平面視略台形状の輪郭線R1、R2内に収まる形態をなしている。
【0033】
第1のひな壇ユニットUAの輪郭線R1は、出没方向(図中の矢印X方向)に対して傾斜した左側辺R1dと、出没方向に対して平行な右側辺R1cとを備えた平面視形状をなしている。第2のひな壇ユニットUBの輪郭線R2は、出没方向(図中の矢印Y方向)に対して平行な左側辺R2cと、出没方向に対して傾斜した右側辺R2dとを備えた平面視形状をなしている。
【0034】
図1図25は、左に第1のひな壇ユニットUAを配するとともに、右に第2のひな壇ユニットUBを配してなるストレート型レイアウト(K)を採用した場合のものである。このストレート型レイアウト(K)において、各ひな壇ユニットUA、UBは、図1図8に示すようなテーブルモード(P)(テーブルタイプのモード)と、図9図16に示すようなソファーモード(Q1)(展開タイプのモードの第1モード態様)と、図17図24に示すようなスタジアムモード(Q2)(展開タイプのモードの第2モード態様)とを選択的に採り得るように構成されている。
【0035】
そして、第1のひな壇ユニットUAと第2のひな壇ユニットUBとは、相互に異なったモードに設定することができるように構成されている。すなわち、第1のひな壇ユニットUAの各スライド構体2、3、4と、第2のひな壇ユニットUBの各スライド構体2、3、4とは、相互に独立しており各別に進退動作させることができるようになっている。そして、各ひな壇ユニットUA、UBのスライド構体2、3、4に設けられているロック機構及びストッパも相互に独立させてある。そのため、第1のひな壇ユニットUAと第2のひな壇ユニットUBとは、3種類のモードをそれぞれ独自に採り得るものであり、組み合わせると9種類の配置が可能となる。図1図24は、両ひな壇ユニットUA、UBが同じモードに設定された3種類の配置を示しているが、それ以外に、図25の(a)~(f)に示すように、6種類の配置が可能である。すなわち、図25(a)は、第1のひな壇ユニットUAをテーブルモード(P)、第2のひな壇ユニットUBをソファーモード(Q1)とした状態である。同図の(b)は、第1のひな壇ユニットUAをテーブルモード(P)、第2のひな壇ユニットUBをスタジアムモード(Q2)とした状態である。同図の(c)は、第1のひな壇ユニットUAをソファーモード(Q1)、第2のひな壇ユニットUBをテーブルモード(P)とした状態である。同図の(d)は、第1のひな壇ユニットUAをソファーモード(Q1)、第2のひな壇ユニットUBをスタジアムモード(Q2)とした状態である。同図の(e)は、第1のひな壇ユニットUAをスタジアムモード(Q2)、第2のひな壇ユニットUBをテーブルモード(P)とした状態である。同図の(f)は、第1のひな壇ユニットUAをスタジアムモード(Q2)、第2のひな壇ユニットUBをソファーモード(Q1)とした状態である。
【0036】
一方、図30図36は、左に第2のひな壇ユニットUBを配するとともに、右に第1のひな壇ユニットUAを配してなるウイング型レイアウト(L)を採用した場合のものである。このウイング型レイアウト(L)においても、各ひな壇ユニットは、図30及び図31に示すようなテーブルモード(P)(テーブルタイプのモード)と、図32及び図33に示すようなソファーモード(Q1)(展開タイプのモードの第1モード態様)と、図34及び図35に示すようなスタジアムモード(Q2)(展開タイプのモードの第2モード態様)とを選択的に採り得る。
【0037】
そして、このウイング型レイアウト(L)の場合も、第1のひな壇ユニットUAと第2のひな壇ユニットUBとは、相互に異なったモード(テーブルモード(P)、ソファーモード(Q1)、スタジアムモード(Q2))に設定することができるように構成されている。すなわち、第1のひな壇ユニットUAの各スライド構体2、3、4と、第2のひな壇ユニットUBの各スライド構体2、3、4とは、相互に独立しており各別に進退動作させることができるようになっている。そして、各ひな壇ユニットUA、UBのスライド構体2、3、4に設けられているロック機構及びストッパも相互に独立させてある。そのため、第1のひな壇ユニットUAと第2のひな壇ユニットUBとは、3種類のモードをそれぞれ独自に採り得るものであり、組み合わせると9種類の配置が可能となる。図30図35は、両ひな壇ユニットUA、UBが同じモードに設定された3種類の配置を示しているが、それ以外に、図36の(a)~(f)に示すように、6種類の配置が可能である。なお、図30図36では、天板付き家具Tの両側に配されるサイドユニットVは図示を省略している。すなわち、図36の(a)は、第2のひな壇ユニットUBをテーブルモード(P)、第1のひな壇ユニットUAをソファーモード(Q1)とした状態である。同図の(b)は、第2のひな壇ユニットUBをテーブルモード(P)、第1のひな壇ユニットUAをスタジアムモード(Q2)とした状態である。同図の(c)は、第2のひな壇ユニットUBをソファーモード(Q1)、第1のひな壇ユニットUAをテーブルモード(P)とした状態である。同図の(d)は、第2のひな壇ユニットUBをソファーモード(Q1)、第1のひな壇ユニットUAをスタジアムモード(Q2)とした状態である。同図の(e)は、第2のひな壇ユニットUBをスタジアムモード(Q2)、第1のひな壇ユニットUAをテーブルモード(P)とした状態である。同図の(f)は、第2のひな壇ユニットUBをスタジアムモード(Q2)、第1のひな壇ユニットUAをソファーモード(Q1)とした状態である。
【0038】
ここで、図1は天板付き家具Tにストレート型レイアウト(K)を採用し各ひな壇ユニットUA、UBをテーブルモード(P)とした家具システムSを示す全体斜視図であり、図2は同平面図である。図3はテーブルモード(P)をとるひな壇ユニットUを示す上方からの斜視図である。図4は同下方からの斜視図である。図5は同正面図である。図6は同右側面図である。図7は同平面図である。図8は同底面図である。図9は天板付き家具Tにストレート型レイアウト(K)を採用し各ひな壇ユニットUA、UBをソファーモード(Q1)とした家具システムSを示す全体斜視図であり、図10は同平面図である。図11はソファーモード(Q1)をとるひな壇ユニットUを示す上方からの斜視図である。図12は同下方からの斜視図である。図13は同正面図である。図14は同右側面図である。図15は同平面図である。図16は同底面図である。図17は天板付き家具Tにストレート型レイアウト(K)を採用し各ひな壇ユニットUA、UBをスタジアムモード(Q2)とした家具システムSを示す全体斜視図であり、図18は同平面図である。図19はスタジアムモード(Q2)をとるひな壇ユニットUを示す上方からの斜視図である。図20は同下方からの斜視図である。図21は同正面図である。図22は同右側面図である。図23は同平面図である。図24は同底面図である。図25はストレート型レイアウト(K)を採用した天板付き家具Tの各ひな壇ユニットUA、UBを相互に異なったモードに設定した状態の平面図である。図26は本実施形態に係るサイドユニットVの可動棚V2を静止棚V1の下方に収納した状態を示す斜視図である。図27は同サイドユニットVの可動棚V2を前方に引き出した状態を示す斜視図である。図28は同サイドユニットVの上方からの分解斜視図である。図29は同サイドユニットVの下方からの分解斜視図である。図30はウイング型レイアウト(L)を採用し各ひな壇ユニットUA、UBをテーブルモード(P)とした天板付き家具Tを示す全体斜視図であり、図31は同平面図である。図32はウイング型レイアウト(L)を採用し各ひな壇ユニットUA、UBをソファーモード(Q1)とした天板付き家具Tを示す全体斜視図であり、図33は同平面図である。図34はウイング型レイアウト(L)を採用し各ひな壇ユニットUA、UBをスタジアムモード(Q2)とした天板付き家具Tを示す全体斜視図であり、図35は同平面図である。図36はウイング型レイアウト(L)を採用した天板付き家具Tの各ひな壇ユニットUA、UBを相互に異なったモードに設定した状態の平面図である。
<本実施形態の作用効果>
このような天板付き家具Tの作動を説明すれば次の通りである。上段、中段及び下段のスライド構体2、3、4を天板5の下に没入させたテーブルモード(P)をとらせた場合には、天板4の前後両側から複数人がカウンターテーブルを使用するような態様で適宜使用することができ、多目的に周囲の空間を活用できるフレキシブルワークエリアを構築することができる。
【0039】
また、この状態から下段のスライド構体4のみを前方に前進させてソファーモード(Q1)に形態を変化させると、その下段のスライド構体4をソファー7として使用することが可能となる。そのため、低集中ワークや、少人数でのコミュニケーションができるリフレッシュラウンジエリアを構築することができる。
【0040】
さらに、家具本体1に対して上段、中段及び下段のスライド構体2、3、4を前方に目いっぱい突出させてスタジアムモード(Q2)に変化させると、家具本体1の天板5と各スライド構体2、3、4の段床23、33、43とが階段状に展開されることになる。そのため、参加人数を絞った形式でのオープンイノベーションセミナーなども開催できるコラボレーションエリアを構築することができる。
【0041】
すなわち、このような構成の天板付き家具Tを有する家具システムSであれば、その基本形態を大きく変化させることができ、その変化によって、従来の専用家具では応えられない用途変更に対応することができる。そのため、複数種類の専用家具を用意して適宜取替使用するのと同等の使用感を一種類の天板付き家具Tにより確保することができる。しかも、このようなものであれば、スライド構体2、3、4を家具本体1に対してスライド移動させるだけで、その基本形態を変更することができるため、専用家具を取り替える場合のような手間や時間は要しない。
【0042】
しかも、この天板付き家具Tは、以上のようなひな壇ユニットUA、UBを複数組備えているため、比較的コンパクトな家具システムSだけでなく、組み合わせるユニット数を増加させて大規模な家具システムを構築することもできる。その上、複数組のひな壇ユニットUA、UBは、相互に異なったモードに設定することも可能であるため、よりきめの細かい展開仕様を実現することができ、環境やテーマ等に応じて種々の演出が可能となる。
【0043】
また、各ひな壇ユニットUが、段床23、33、43の高さが相互に異なる複数のスライド構体2、3、4をテレスコープ状に配しており、展開タイプのモードすなわちソファーモード(Q1)及びスタジアムモード(Q2)において、これらスライド構体2、3、4の段床23、33、43と天板5とが所定の落差をもって階段状に展開されるように構成されているので、展開した状態では広大なひな壇状の形態を実現することができるにも拘わらず、これらのスライド構体2、3、4を家具本体1の天板5の下にコンパクトに収納することができ、基本形態のダイナミックな変更を実現することが可能となる。
【0044】
また、本天板付き家具Tは、複数組のひな壇ユニットUA、UBの相対位置を変更することによって、より多様な家具システムを構築することができるものであり、特に、本実施形態のものは、左、右一対のひな壇ユニットUA、UBを左右に入れ替えることによって、ストレート型レイアウト(K)とウイング型レイアウト(L)の何れかに切り替えることができる。しかして、ストレート型レイアウト(K)は、ひな壇の外部から人が入り易い形状を実現することができ、偶発的なコミュニケーションが生まれやすくなる。一方、ウイング型レイアウト(L)は、囲まれ感が生まれ、グループディスカッション等を実施し易い形状となる。この天板付き家具Tは、かかる有益なレイアウトの切り替えを、多くの部品を追加したり削減したりすることなしに実施することができるものであり、種々のシーンを大掛かりな部材変更を伴うことなしに構築することができるものである。
【0045】
加えて、各ひな壇ユニットUA、UBは、スタジアムモード(Q2)において平面視略台形状の輪郭線R1、R2内に収まる形態をなし、一対のひな壇ユニットUA、UBが、各輪郭線R1、R2の側辺R1c、R1d、R2c、R2d同士を密接させた状態で左右に隣接配置されたもので、第1のひな壇ユニットUAの輪郭線R1が、出没方向(図中の矢印X方向)に対して傾斜した左側辺R1dと、出没方向に対して平行な右側辺R1cとを備えた平面視形状をなし、第2のひな壇ユニットUBの輪郭線R2が、出没方向(図中の矢印Y方向)に対して平行な左側辺R1cと、出没方向に対して傾斜した右側辺R1dとを備えた平面視形状をなすものであるので、輪郭線R1、R2に沿って各ひな壇ユニットUA、UBをレイアウトすることが可能となる。
【0046】
さらに、本家具システムSにおいては、複数組のひな壇ユニットUA、UBからなる天板付き家具Tの両側にサイドユニットVを隣接配置しているので、天板5上の物品が側方に転倒したり、展開モード(ソファーモード(Q1)及びスタジアムモード(Q2))において、段床23、33、43上の使用者等が側方に転倒したりするのを有効に防止することができる。すなわち、このサイドユニットVは、天板付き家具Tの天板5及び段床23、33、43よりも背の高い部分を有する形態をなしているので、当該サイドユニットVにより天板5上の物品や段床23、33、43上の人などが側方に転倒するのを防止又は抑制することができる。しかも、このサイドユニットVは、天板付き家具Tにおけるスライド構体2、3、4の出没方向(矢印X、Y方向)と同じ方向に伸縮させ得るように構成されている。そのため、テーブルモード(P)において前後方向寸法が大きすぎたり、スタジアムモード(Q2)等において前後方向寸法が足りなかったりする不具合を有効に防止することができる。
【0047】
なお、本発明は、以上説明した実施形態のものに限定されないのは勿論であり、その趣旨を逸脱しない範囲で種々変形が可能である。
【0048】
例えば、前述した実施形態では、展開モードとして2種類のモード態様を備えている場合について説明したが、展開モードは、ソファーモード又はスタジアムモードのいずれか一方のみであってもよい。
【0049】
また、スライド構体の種類も3種類に限らず、2種類あるいは4種類以上のものであってもよい。スライド構体の種類を多くすれば、展開モードの形態もさらに増加させることも可能となる。
【0050】
さらに、図示例では、各スライド構体がそれぞれ1枚の段床を備えている場合について説明したが、1つのスライド構体が、高さの異なる2枚或いは3枚以上の段床を有するものであてもよい。
【0051】
そして、家具本体の天板は、1枚物に限定されず、複数枚のものであってもよい。その際には、複数枚の天井の取付位置を相対的に移動させ得るようにしてもよい。また、天板の高さも、床面から800mm~1050mmに限定されないが、この範囲に設定しておけば、使い勝手を犠牲にすることなく、複数のスライド構体を収納することができるという効果が得られる。すなわち、800mm未満に設定すると、スライド構体を2台以上収納するのが難しくなり、1050mmを上回ると起立姿勢でも高すぎて使い難くなる使用者が多くなる。
【0052】
加えて、図示実施形態では、本発明に係る天板付き家具の両側にサイドユニットを隣接配置した場合について説明しているが、かかるサイドユニットは、天板付き家具の片側だけに設けてもよい。図示実施形態のサイドユニットは、前述したように天板付き家具の天板及び段床よりも背の高い部分を有する形態をなしているため、天板上の物品が側方に転倒したり展開モードにおいて段床上の使用者等が側方に転倒したりするのを有効に防止することができるようになっているが、天板付き家具の天板及び段床よりも背の高い部分を有しないものを採用してもよい。その場合でも、棚として物品を収納する機能を利用することは可能であるからである。また、請求項1乃至6記載の天板付き家具に対しては、かかるサイドユニットに代えて単なる側板や手摺り等を設けてもよい。
【0053】
さらに、図示本実施形態では、平面視左右対称形状をなす一対のひな壇ユニットを備えたものであり、それらのひな壇ユニットを左右に入れ替えてレイアウト変更することによって、全体の平面視形状が変化するように構成されているが、例えば平面視矩形状をなすひな壇ユニットのみを利用する態様等を採用してもよい。
【0054】
また、図示実施形態の天板付き家具は、2組のひな壇ユニットを備えたものについて説明したが、天板付き家具は、3組以上のひな壇ユニットを隣接配置したものであってもよい。図37図40に示す天板付き家具T2は、3組のひな檀ユニットを備えたものである。すなわち、この天板付き家具T2は、図中左側から順に、第2のひな壇ユニットUB、第3のひな壇ユニットUC及び第1のひな壇ユニットUAを隣接は位置してなる。また、この天板付き家具T2は、その両側に隣接配置したサイドユニットVとともに家具システムS2を構成している。
【0055】
第1及び第2のひな壇ユニットUA、UBは、それぞれ前述した天板付き家具Tにおける第1及び第2のひな壇ユニットUA、UBと同様の構成及び機能を有しているので、対応する部位には同一の符号を付し、詳細な説明は省略する。
【0056】
第3のひな壇ユニットUCも、前述した天板付き家具Tにおけるひな壇ユニットUと略同様の構成を有しているが、以下の点で天板付き家具Tにおけるものと異なる。すなわち、第3のひな壇ユニットUCの天板5は、平面視台形状をなすものであり、この天板5は、使用端5aと半使用端5bとが平行であるが、左右対称な形状をなしており、両側端を、いずれも反使用端5bが使用端5aより短くなる方向に傾斜させてある。すなわち、両側端は、いずれも出没方向(図中の矢印Z方向)に対して傾斜している。その他、対応する部位には同一の符号を付し、詳細な説明は省略する。
【0057】
ここで、図37は第1~第3のひな壇ユニットUA、UB、UCをいずれもテーブルモード(P)と(テーブルタイプのモード)する態様を示す全体斜視図である。図38は第1~第3のひな壇ユニットUA、UB、UCをいずれもソファーモード(Q1)(展開タイプのモードの第1モード態様)とする態様を示す全体斜視図である。図39は、第1~第3のひな壇ユニットUA、UB、UCをいずれもスタジアムモード(Q2)(展開タイプのモードの第2モード態様)とする態様を示す全体斜視図であり、図40は同平面図である。
【0058】
そして、図37図40は、第1~第3のひな壇ユニットUA、UB、UCがいずれも同じモードに設定された使用態様を示しているが、これら第1~第3のひな壇ユニットUA、UB、UCのうち1つ、あるいは全て異なるモードに設定して使用することも可能である。
【0059】
以上のような実施形態によっても、以下に述べる本発明の最も主要な効果を得ることができる。すなわち、このような構成の天板付き家具T2を有する家具システムS2であっても、その基本形態を大きく変化させることができ、その変化によって、従来の専用家具では応えられない用途変更に対応することができる。そのため、複数種類の専用家具を用意して適宜取替使用するのと同等の使用感を一種類の天板付き家具T2により確保することができる。しかも、このようなものであれば、スライド構体2、3、4を家具本体1に対してスライド移動させるだけで、その基本形態を変更することができるため、専用家具を取り替える場合のような手間や時間は要しない。
【0060】
しかも、この天板付き家具T2も、以上のような3つのひな壇ユニットUA、UB、UCを備えており、これらのひな壇ユニットUA、UB、UCは、相互に異なったモードに設定することも可能であるため、よりきめの細かい展開仕様を実現することができ、環境やテーマ等に応じて種々の演出が可能となる。
【0061】
そして、天板付き家具全体の幅寸法も図示例のようなものに限られないのはもちろんであり、種々変更が可能である。また、所定の幅寸法を有する本発明に係る複数台の天板付き家具を幅方向に連結して使用することを可能なものにしてもよい。
【0062】
その他、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、種々変更が可能である。
【符号の説明】
【0063】
S…家具システム
T、T2…天板付き家具
U…ひな壇ユニット
1…家具本体
2、3、4…スライド構体
23、33、43…段床
5…天板
S1…天板下空間
R1、R2…輪郭線
X、Y…出没方向
(P)…テーブルモード(テーブルタイプのモード)
(Q1)…ソファーモード(展開タイプのモードの第1モード態様)
(Q2)…スタジアムモード(展開タイプのモードの第2モード態様)
(K)…ストレート型レイアウト
(L)…ウイング型レイアウト
V…サイドユニット
図1
図2
図3
図4
図5
図6
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