(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-23
(45)【発行日】2025-01-07
(54)【発明の名称】コネクタ
(51)【国際特許分類】
H01R 13/7193 20110101AFI20241224BHJP
【FI】
H01R13/7193
(21)【出願番号】P 2021158935
(22)【出願日】2021-09-29
【審査請求日】2024-01-30
(73)【特許権者】
【識別番号】000183406
【氏名又は名称】住友電装株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000497
【氏名又は名称】弁理士法人グランダム特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】岡野 弘紀
(72)【発明者】
【氏名】延國 貴司
【審査官】岡▲さき▼ 潤
(56)【参考文献】
【文献】特表2014-525111(JP,A)
【文献】特開2012-069270(JP,A)
【文献】特開2005-044643(JP,A)
【文献】特開2014-149934(JP,A)
【文献】独国特許出願公開第102009001079(DE,A1)
【文献】特開2021-072552(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01R 13/7193
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
フェライトコアと、
前記フェライトコアを収容する収容部を有するハウジングと、を備え、
前記収容部の内側面と前記フェライトコアの外周面とのうち少なくとも一方には、他方と接触して前記フェライトコアを前記収容部内に保持する凸部が設けられてお
り、
前記フェライトコアは、前記収容部内に後方から収容され、
前記収容部は、外側に撓み変形可能な撓み部を有し、
前記撓み部は、前後両端部が支持された両持ち形状をなしており、
前記凸部は、前記撓み部の内側面に設けられており、
前記撓み部は、前記凸部が前記他方と接触した状態で、前記フェライトコアを押圧して前記収容部内に保持する
コネクタ。
【請求項2】
フェライトコアと、
前記フェライトコアを収容する収容部を有するハウジングと、を備え、
前記収容部の内側面と前記フェライトコアの外周面とのうち少なくとも一方には、他方と接触して前記フェライトコアを前記収容部内に保持する凸部が設けられてお
り、
前記収容部の内側面は、互いに対向する第1内側面と第2内側面とを有し、
前記フェライトコアと前記凸部とは、前記第1内側面と前記第2内側面との間に配置され、
前記ハウジングは、前記第1内側面と前記第2内側面とが対向する側とは異なる側に、前記収容部内を開放する開放部を有し、
前記第1内側面と前記第2内側面のうちの少なくとも片方と、前記フェライトコアの外周面における前記少なくとも片方に対向する面とは、前記凸部とは別に、前記フェライトコアの前記開放部への変位を規制するように互いに凹凸嵌合する部分を有している
コネクタ。
【請求項3】
前記凸部は、前記収容部の内側面と前記フェライトコアの外周面とのうち、前記収容部の内側面のみから突出している
請求項1又は請求項2に記載のコネクタ。
【請求項4】
前記収容部は、前記収容部内に収容された前記フェライトコアの外周面を前記ハウジングの外部に露出させる開口部を有する
請求項1から請求項3のいずれか一項に記載のコネクタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、コネクタに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、フェライトコア(電気部品)を備えるコネクタが開示されている。このフェライトコアは、ハウジング(コネクタハウジング)の収納部に収納される。フェライトコアには、貫通孔が設けられており、貫通孔には、端子金具(ソケットコンタクト)が挿入される。その後、蓋がハウジングに係止されることで、フェライトコア及び端子金具の後方への抜けが防止される。なお、フェライトコアを備えるコネクタは、特許文献2にも開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2005-44643号公報
【文献】特開2007-87681号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の構成では、フェライトコアが貫通孔内で保持されていないため、蓋がハウジングに取り付けられる前の段階において、フェライトコアが後方へ抜けやすいという問題がある。また、蓋が取り付けられた後においても、フェライトコアは、貫通孔内でがたつくおそれがある。
【0005】
そこで、本開示は、ハウジング内にフェライトコアを安定して配置させることが可能な技術を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示のコネクタは、フェライトコアと、前記フェライトコアを収容する収容部を有するハウジングと、を備え、前記収容部の内側面と前記フェライトコアの外周面とのうち少なくとも一方には、他方と接触して前記フェライトコアを前記収容部内に保持する凸部が設けられている。
【発明の効果】
【0007】
本開示によれば、ハウジング内にフェライトコアを安定して配置することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、実施形態1のコネクタの斜視図である。
【
図2】
図2は、実施形態1のコネクタの分解斜視図である。
【
図4】
図4は、
図3のA-A線で切断した切断面において、収容部にフェライトコアが収容される途中の状態をあらわした断面図である。
【
図6】
図6は、
図3のA-A線で切断した切断面において、収容部にフェライトコアが収容された状態をあらわした断面図である。
【
図7】
図7は、
図3のB-B線で切断した切断面において、第1孔部及び第2孔部からなるキャビティ内に端子金具が挿入される途中の状態をあらわした断面図である。
【
図9】
図9は、
図3のB-B線で切断した切断面において、第1孔部及び第2孔部からなるキャビティ内に端子金具が挿入された状態をあらわした断面図である。
【
図10】
図10は、ハウジングにフェライトコア及び端子金具が組み付けられた状態の平面図である。
【
図11】
図11は、ハウジングにフェライトコア及び端子金具が組み付けられた状態の背面図である。
【
図12】
図12は、ハウジングにフェライトコア、端子金具及びカバー部材が組み付けられた状態の斜視図である。
【
図13】
図13は、
図11のE-E線で切断した切断面において、ハウジングに検知部材が仮係止された状態をあらわした断面図である。
【
図14】
図14は、コネクタが相手側コネクタに嵌合された状態の側断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
[本開示の実施形態の説明]
最初に本開示の実施態様を列記して説明する。
本開示のコネクタは、
(1)フェライトコアと、前記フェライトコアを収容する収容部を有するハウジングと、を備え、前記収容部の内側面と前記フェライトコアの外周面とのうち少なくとも一方には、他方と接触して前記フェライトコアを前記収容部内に保持する凸部が設けられている。
【0010】
上記コネクタによれば、ハウジングの収容部内にフェライトコアを安定して配置することができる。
【0011】
(2)前記凸部は、前記収容部の内側面と前記フェライトコアの外周面とのうち、前記収容部の内側面のみから突出していることが好ましい。
【0012】
フェライトコアに凸部を設ける必要がないので、フェライトコアの構造が複雑化するのを回避することができる。
【0013】
(3)前記収容部は、外側に撓み変形可能な撓み部を有し、前記撓み部は、前記凸部が前記他方と接触した状態で、前記フェライトコアを押圧して前記収容部内に保持することが好ましい。
【0014】
上記コネクタによれば、収容部内にフェライトコアが収容される際、撓み部が凸部を介してフェライトコアの外周面から押圧されて外側に撓み、収容の際に生じる摩擦力を低減させることができる。しかも、上記コネクタは、撓み部の弾性復帰力によってフェライトコアを保持する保持力を向上させることができる。
【0015】
(4)前記収容部は、前記収容部内に収容された前記フェライトコアの外周面を前記ハウジングの外部に露出させる開口部を有することが好ましい。
【0016】
上記コネクタによれば、開口部を通して、収容部にフェライトコアが配置されているか否かを外部から確認することが可能となる。
【0017】
(5)前記収容部の内側面は、互いに対向する第1内側面と第2内側面とを有し、前記フェライトコアと前記凸部とは、前記第1内側面と前記第2内側面との間に配置され、前記ハウジングは、前記第1内側面と前記第2内側面とが対向する側とは異なる側に、前記収容部内を開放する開放部を有し、前記第1内側面と前記第2内側面のうちの少なくとも片方と、前記フェライトコアの外周面における前記少なくとも片方に対向する面とは、前記フェライトコアの前記開放部への変位を規制するように互いに凹凸嵌合する部分を有していることが好ましい。
【0018】
上記コネクタによれば、フェライトコアの開放部への位置ずれを抑制することができ、凸部が他方と接触する状態を維持することができる。
【0019】
[本開示の実施形態の詳細]
本開示の具体例を、以下に図面を参照しつつ説明する。なお、本発明はこれらの例示に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【0020】
[実施形態1]
図1には、実施形態1のコネクタ10が開示されている。コネクタ10は、
図14に示すように、相手側コネクタ90と嵌合する。以下の説明では、コネクタ10が相手側コネクタ90に嵌合する方向をコネクタ10の前方とし、その反対方向をコネクタ10の後方とする。また、
図3~
図9、
図11、
図14にあらわれる上下方向を、そのままコネクタ10の上下方向とする。また、前方から左右方向をコネクタ10の左右方向とする。
【0021】
コネクタ10は、
図2に示すように、ハウジング11と、フェライトコア12と、端子金具13と、カバー部材14と、検知部材15と、を備えている。
【0022】
<端子金具13>
端子金具13は、金属製であり、例えば金属板を曲げ加工して形成されている。端子金具13は、
図2及び
図14に示すように、雌型である。端子金具13は、L字型をなしている。端子金具13は、筒部70と、屈曲部71と、電線接続部72と、を有している。筒部70は、筒状(本実施形態では角筒状)をなしており、前後方向に沿って延びている。屈曲部71は、筒部70と電線接続部72との間に設けられている。電線接続部72は、上下方向に沿って延びている。電線接続部72には、被覆電線73の導体74が圧着などによって電気的に接続される。端子金具13は、
図11に示すように、複数(本実施形態では2本)設けられており、左右方向に間隔を空けて配置される。
【0023】
<フェライトコア12>
フェライトコア12は、
図2に示すように、第1孔部80と、嵌合溝81と、を有している。第1孔部80は、フェライトコア12を前後方向に貫通している。第1孔部80は、左右方向に間隔を空けて複数(本実施形態では2つ)設けられている。第1孔部80には、それぞれ端子金具13が挿通される。嵌合溝81は、フェライトコア12の外周面12Aの上下両側に設けられている。嵌合溝81は、前後方向に沿って延びている。嵌合溝81は、フェライトコア12の前後方向の全領域に亘って形成されている。
【0024】
<ハウジング11>
ハウジング11は、合成樹脂製であり、絶縁性を有する。ハウジング11は、
図3に示すように、収容部20と、第1凸部21と、嵌合凸部22と、を有している。
【0025】
収容部20の内部空間は、
図4に示すように、後方に開放されている。収容部20には、後方からフェライトコア12が収容される。収容部20は、
図4及び
図5に示すように、内側面23と、奥面24と、を有している。収容部20の内側面23は、第1内側面25と、第2内側面26と、を有している。第1内側面25は、上側に設けられ、下方を向いている。第2内側面26は、下側に設けられ、上方を向いている。第1内側面25は、左右方向に間隔を空けて複数(本実施形態では2つ)設けられている。第2内側面26は、左右方向において、左側の第1内側面25の左端と、右側の第1内側面25の右端との間に配置されている。収容部20の内部空間は、左右方向に開放されている。ハウジング11は、収容部20の内部空間の左右両側に、開放部27を有している。開放部27は、
図13に示すように、収容部20に収容されたフェライトコア12の外周面12Aにおける左右両側の端面と、後述する第1弾性係止部43との間に、検知部材15の後述する第2弾性係止部61を進入させることが可能な空間である。奥面24には、後述する第2孔部30が形成されている。第2孔部30は、左右方向に間隔を空けて複数(本実施形態では2つ)設けられている。
【0026】
第1凸部21は、「凸部」に相当する。第1凸部21は、
図4及び
図5に示すように、第1内側面25から突出している。第1凸部21は、左右方向に間隔を空けて複数設けられている。第1凸部21は、収容部20の奥面24側に配置されている。第1凸部21は、前後方向に沿って延びている。第1凸部21の前端は、奥面24に連続している。第1凸部21の左右方向の幅寸法は、第1内側面25の左右方向の幅寸法よりも小さい。第1凸部21は、第1前側凸部21Aと、第1後側凸部21Bと、を有している。第1前側凸部21Aは、左右方向中央が張り出すように下方に湾曲している。第1前側凸部21Aの前端は、奥面24に連続している。第1前側凸部21Aの突出寸法は、前後方向に一定である。第1後側凸部21Bの前端は、第1前側凸部21Aの後端に連続している。第1後側凸部21Bの突出寸法は、後方に向かうにつれて小さくなっている。第1凸部21は、左端の第2孔部30よりも左方に設けられており、右端の第2孔部30よりも右方にも設けられている。フェライトコア12の外周面12Aの上下方向の最大寸法をX1とし、第1内側面25と第2内側面26との上下方向の間隔をX2とし、第1凸部21の最大突出寸法(言い換えると、第1前側凸部21Aの突出寸法)をX3とした場合、X2-X3<X1の関係が成り立つ。
【0027】
嵌合凸部22は、第2内側面26に設けられている。嵌合凸部22は、前後方向に沿って延びている。嵌合凸部22は、左右方向中央が張り出して上方に湾曲している。嵌合凸部22の突出寸法は、前後方向に一定である。嵌合凸部22は、左右方向において、2つの第1凸部21の間に配置されており、2つの第2孔部30の間に配置されている。
【0028】
収容部20は、
図4及び
図5に示すように、第1撓み部28を有している。第1撓み部28は、「撓み部」に相当する。第1撓み部28は、前後両端部が支持された両持ち形状をなしており、外側に撓み変形可能となっている。第1撓み部28の前端は、収容部20の奥面24を構成する壁部に連結して支持されている。第1撓み部28の後端は、後述する架設部40の下端に連結して支持されている。第1撓み部28は、左右方向に間隔を空けて複数(本実施形態では2つ)設けられている。第1撓み部28の内側面は、収容部20の内側面23の一部を構成している。複数の第1撓み部28の各々の内側面には、第1凸部21が設けられている。第1凸部21の前端は、第1撓み部28の前端と前後方向の位置が揃っている。第1凸部21の後端は、第1撓み部28の後端と前後方向の位置が揃っている。なお、第1凸部21の後端は、第1撓み部28の後端よりも前方に配置されていてもよい。
【0029】
収容部20は、
図5及び
図10に示すように、第1開口部29を有している。第1開口部29は、「開口部」に相当する。第1開口部29は、収容部20に収容されたフェライトコア12の外周面12Aをハウジング11の外部に露出させる第1開口部29は、2つの第1撓み部28の間に設けられている。
【0030】
ハウジング11は、
図7及び
図8に示すように、第2孔部30と、第2凸部31と、第2撓み部32と、第2開口部33と、前壁34と、挿通孔35と、を有している。
【0031】
第2孔部30は、
図7に示すように、収容部20の内部空間に連通し、収容部20の内部空間から前方に延びている。第2孔部30は、収容部20内に収容されたフェライトコア12の第1孔部80の前方に配置される。第2孔部30は、第1孔部80とともに、前後方向に沿って延びるキャビティを構成する。第2孔部30の内周面30Aの上下寸法は第1孔部80の内周面の上下寸法と同じであり、第2孔部30の内周面30Aの左右寸法は第1孔部80の内周面の左右寸法と同じである。第1孔部80の後方から挿入された端子金具13は、第2孔部30まで挿入される。第2孔部30の前側には前壁34が設けられている。前壁34は、第2孔部30内に配置された端子金具13の前方への移動を規制する。挿通孔35は、前壁34を前後方向に貫通している。第2孔部30は、挿通孔35に連通している。第2孔部30内に配置された端子金具13には、挿通孔35を通じて外部から挿通された相手側コネクタ90の相手側端子金具92が電気的に接続される(
図14参照)。第2孔部30の内周面30Aは、第1面37と、第2面38と、を有している。第1面37は、上側に設けられ、下方を向いている。第2面38は、下側に設けられ、上方を向いている。第1面37及び第2面38は互いに対向している。
【0032】
第2凸部31は、
図7及び
図8に示すように、第2孔部30の第1面37から突出している。第2凸部31は、第2孔部30の前端側に配置されている。第2凸部31は、前後方向に沿って延びている。第2凸部31の前端は、前壁34の後端に連続している。第2凸部31の左右方向の幅寸法は、第1面37の左右方向の幅寸法よりも小さい。第2凸部31は、第2前側凸部31Aと、第2後側凸部31Bと、を有している。第2前側凸部31Aは、左右方向中央が張り出すように下方に湾曲している。第2前側凸部31Aの前端は、前壁34の後端に連続している。第2前側凸部31Aの突出寸法は、前後方向に一定である。第2後側凸部31Bの前端は、第2前側凸部31Aの後端に連続している。第2後側凸部31Bの突出寸法は、後方に向かうにつれて小さくなっている。端子金具13における筒部70の上下方向の最大寸法をY1とし、第1面37と第2面38との上下方向の間隔をY2とし、第2凸部31の最大突出寸法(言い換えると、第2前側凸部31Aの突出寸法)をY3とした場合、Y2-Y3<Y1の関係が成り立つ。
【0033】
第2撓み部32は、
図7、
図8及び
図10に示すように、前後両端部が支持された両持ち形状をなしており、外側に撓み変形可能となっている。第2撓み部32の前端部は前壁34に支持されており、第2撓み部32の後端部は収容部20の奥面24を構成する壁部に支持されている。第2撓み部32の内側面は、第2孔部30の内周面30Aの一部を構成している。第2撓み部32の内側面には、第2凸部31が設けられている。第2凸部31の前端は、第2撓み部32の前端と前後方向の位置が揃っている。第2凸部31の後端は、第2撓み部32の後端よりも前方に配置されている。なお、第2凸部31の後端は、第2撓み部32の後端と前後方向の位置が揃っていてもよい。
【0034】
第2開口部33は、
図8及び
図10に示すように、第2孔部30内に配置された筒部70をハウジング11の外部に露出させる。第2開口部33は、筒部70の前端をハウジング11の外部に露出させる。第2開口部33は、第2撓み部32の左右両側に設けられている。
【0035】
ハウジング11は、
図12に示すように、架設部40と、規制部41と、誘導部42と、を有している。架設部40は、収容部20の上端部の左右両側を互いにつないでいる。架設部40は、収容部20の左右両側からそれぞれ上方に延びる脚部40Aと、左右両側の脚部40A同士を連結させる連結部40Bと、左右両側の脚部40Aから左右方向外側に延びる延設部40Cと、を有している。規制部41は、連結部40Bの下側に設けられている。規制部41は、検知部材15の前方への移動を規制する。誘導部42は、規制部41の下側に設けられている。誘導部42は、検知部材15の後述する一対のロックアーム62を左右方向外側に広げるように誘導する。
【0036】
ハウジング11は、
図12及び
図13に示すように、第1弾性係止部43を有している。第1弾性係止部43は、ハウジング11の左右両側の端部に対をなして設けられている。第1弾性係止部43は、架設部40の左右両側の延設部40Cの下面に連結されており、それぞれ前方に片持ち状に延びている。第1弾性係止部43は、収容部20の左右両側を覆う。第1弾性係止部43は、第1弾性板部43Aと、第1仮係止部43Bと、第1本係止部43Cと、を有している。第1弾性板部43Aは、架設部40から前方に向けて片持ち状に延びており、左右方向に厚さを有する板状をなしている。第1仮係止部43B及び第1本係止部43Cは、第1弾性板部43Aの左右方向内側に設けられている。第1仮係止部43Bは、第1本係止部43Cよりも後方に配置されている。第1弾性係止部43には、検知部材15が係止される。
【0037】
ハウジング11は、
図2に示すように、垂下部44を有している。垂下部44は、収容部20の後端部から垂下している。垂下部44は、前後方向に厚さを有する壁状をなしている。垂下部44は、カバー用係止部44Aを有している。
【0038】
<カバー部材14>
カバー部材14は、
図2に示すように、カバー本体50と、第1貫通孔51と、第2貫通孔52と、カバー側係止部53と、を有している。カバー本体50は、前後方向に厚さを有する壁状をなしている。第1貫通孔51は、カバー本体50を前後方向に貫通している。第1貫通孔51は、カバー本体50の左右両側に対をなして設けられている。第2貫通孔52は、カバー本体50を前後方向に貫通している。第2貫通孔52は、カバー本体50の左右両側に対をなして設けられている。対をなす第2貫通孔52は、左右両側の第1貫通孔51よりも左右方向内側に配置されている。カバー側係止部53は、撓み変形可能であり、ハウジング11のカバー用係止部44Aに係止される。
【0039】
<検知部材15>
検知部材15は、
図2に示すように、ベース部60と、第2弾性係止部61と、ロックアーム62と、干渉部63と、を有している。ベース部60は、前後方向に厚さを有する板状をなしている。第2弾性係止部61は、ベース部60から前方に向けて片持ち状に延びている。第2弾性係止部61は、左右に対をなして設けられている。第2弾性係止部61は、
図2及び
図13に示すように、第2弾性板部61Aと、第2仮係止部61Bと、第2本係止部61Cと、を有している。第2弾性板部61Aは、ベース部60から前方に向けて片持ち状に延びており、左右方向に厚さを有する板状をなしている。第2仮係止部61B及び第2本係止部61Cは、第2弾性板部61Aの左右方向の外側に設けられている。第2仮係止部61Bは、第2本係止部61Cよりも後方に配置されている。第2仮係止部61Bは、ハウジング11の第1仮係止部43Bに係止される。これにより、検知部材15がハウジング11に仮係止される。第2本係止部61Cは、ハウジング11の第1本係止部43Cに係止される。これにより、検知部材15がハウジング11に本係止される。
【0040】
<相手側コネクタ90>
相手側コネクタ90は、
図14~
図16に示すように、相手側ハウジング91と、相手側端子金具92と、短絡用端子93と、を有している。相手側ハウジング91は、アウタハウジング94と、インナハウジング95と、を有している。インナハウジング95は、ロック受け部96を有している。相手側端子金具92は、複数(本実施形態では2本)設けられている。相手側コネクタ90がコネクタ10に嵌合される前の状態では、短絡用端子93は、2本の相手側端子金具92のそれぞれに電気的に接続されている。
【0041】
<コネクタ10の組み付け>
図4に示すように、ハウジング11の収容部20内に後方からフェライトコア12が収容される。収容の序盤では、フェライトコア12が収容部20内の第1凸部21に干渉しないため、フェライトコア12に加わる摩擦抵抗が小さく、円滑に挿入される。フェライトコア12が第1後側凸部21Bに干渉すると、前方に移動するにつれてフェライトコア12に加わる摩擦抵抗が徐々に大きくなる。このとき、フェライトコア12は、第1撓み部28を外側に撓ませながら前方へ移動する。フェライトコア12は、更に前方へ移動すると、第1前側凸部21Aに干渉し、フェライトコア12の外周面12Aにおける平坦な上面が第1前側凸部21Aに強く接触する。第1撓み部28の前端は固定されているため、前方に移動するにつれてフェライトコア12に加わる摩擦抵抗が更に大きくなる。フェライトコア12は、正規収容位置まで移動すると、
図6に示すように、第1凸部21と第2内側面26に挟まれ、フェライトコア12のがた付きが規制された状態で保持される。これにより、フェライトコア12が、収容部20内に収容された状態となる。収容部20内に収容されたフェライトコア12は、
図10に示すように、第1開口部29を通じてハウジング11の外部に露出する。
【0042】
また、フェライトコア12が、収容部20内に収容される際、
図11に示すように、フェライトコア12の下側の嵌合溝81が、収容部20の嵌合凸部22に嵌合するように収容される。これにより、フェライトコア12の左右方向への位置ずれが抑制される。
【0043】
続いて、
図7に示すように、収容部20内に保持されたフェライトコア12の第1孔部80内に、端子金具13の筒部70が後方から挿入される。第1孔部80内には、第2凸部31が設けられていない。このため、筒部70の前端が第1孔部80を抜けるまでは、筒部70に加わる摩擦抵抗が小さく、円滑に挿入される。
【0044】
筒部70の前端は、第1孔部80を抜けた後、
図9に示すように、第1孔部80の前方に配置される第2孔部30内に挿入される。第2孔部30の上下寸法及び左右寸法は、第1孔部80と同じであるため、フェライトコア12の位置が定まらないと、筒部70が第2孔部30の後端の周縁部に突き当たるおそれがある。この点、コネクタ10は、フェライトコア12が第1凸部21と第2内側面26に挟まれて保持されているため、第1孔部80と第2孔部30が前後に揃いやすい。このため、筒部70が第2孔部30の後端の周縁部に突き当たりにくく、第2孔部30内に円滑に挿入されやすい。筒部70が第2孔部30内に挿入される際には、途中から筒部70が第2後側凸部31Bに干渉する。筒部70が第2後側凸部31Bに干渉すると、前方に移動するにつれて筒部70に加わる摩擦抵抗が徐々に大きくなる。このとき、筒部70は、第2撓み部32を外側に撓ませながら前方へ移動する。筒部70は、更に前方へ移動すると、第2前側凸部31Aに干渉し、筒部70の外周面70Aにおける平坦な上面が第2前側凸部31Aに強く接触する。第2撓み部32の前端は固定されているため、前方に移動するにつれて筒部70に加わる摩擦抵抗が更に大きくなる。筒部70は、正規挿入位置まで移動すると、第2凸部31と第2面38に挟まれ、がた付きが規制された状態で保持される。これにより、筒部70が第1孔部80内から第2孔部30内に亘って配置された状態となる。第2孔部30内に配置された筒部70は、
図10に示すように、第2開口部33を通じてハウジング11の外部に露出する。
【0045】
続いて、
図12に示すように、ハウジング11に対してカバー部材14が取り付けられ、端子金具13の後方が覆われる。そして、
図13に示すように、検知部材15が、ハウジング11に仮係止される。仮係止される際、検知部材15の一対の第2弾性係止部61がそれぞれカバー部材14の一対の第1貫通孔51に挿通され。検知部材15の一対のロックアーム62がそれぞれカバー部材14の一対の第2貫通孔52に挿通される。一対の第2弾性係止部61は、ハウジング11の収容部20と一対の第1弾性係止部43との間に配置される。そして、
図17に示すように、コネクタ10が相手側コネクタ90に嵌合された後、検知部材15がハウジング11に対して本係止される。このとき検知部材15のロックアーム62は、
図15に示すように、相手側コネクタ90のロック受け部96に係止される。また、
図14に示すように、ロックアーム62は、相手側端子金具92と短絡用端子93との電気的な接続を解除する。また、一対の第2弾性係止部61は、
図15に示すように、収容部20内に配置されたフェライトコア12と一対の第1弾性係止部43との間に形成される隙間を埋める。
【0046】
なお、コネクタ10が相手側コネクタ90に正規に嵌合されていない状態で検知部材15を仮係止位置から本係止位置へ移動させようとすると、一対のロックアーム62が誘導部42によって左右方向に広げられた後、ロック受け部96によって広がりが維持されず、閉じてしまう(
図16及び
図17参照)。その結果、規制部41が干渉部63に干渉して、検知部材15の前方への移動が規制される。つまり、検知部材15が相手側コネクタ90に係止されたことをもって、コネクタ10が相手側コネクタ90に対して正規に嵌合されたことを確認することができる。
【0047】
<コネクタ10の効果>
コネクタ10によれば、ハウジング11の収容部20内に配置されたフェライトコア12が、第1凸部21と第2内側面26とに挟まれた状態で保持される。また、これによりフェライトコア12が位置決めされるため、フェライトコア12の第1孔部80への端子金具13の挿入が容易になり、第1孔部80の前方に配置される第2孔部30への挿入も容易になる。しかも、第1凸部21は、収容部20内の上側にのみ設けられるため、上下両側に設けられる構成と比較して、上下方向の位置が安定しやすい。
【0048】
更に、第1凸部21は収容部20の奥面24側に配置されているため、挿入の終盤でのみフェライトコア12を第1凸部21に干渉させることができ、その結果、挿入の序盤での摩擦力の低減を図ることができる。
【0049】
更に、第1凸部21は、第1撓み部28の内側面から突出している。このため、収容部20内にフェライトコア12が収容される際、第1撓み部28が第1凸部21を介してフェライトコア12の外周面12Aから押圧されて外側に撓み、収容の際に生じる摩擦力を低減させることができる。しかも、コネクタ10は、第1撓み部28の弾性復帰力によってフェライトコア12を保持する保持力を向上させることができる。
【0050】
更に、収容部20に収容されたフェライトコア12の外周面12Aは、第1開口部29を通じてハウジング11の外部に露出する。このため、第1開口部29を通して、収容部20にフェライトコア12が配置されているか否かを外部から目視などによって確認することが可能となっている。
【0051】
更に、フェライトコア12の外周面12Aには、嵌合溝81が設けられており、収容部20の第2内側面26には、嵌合凸部22が設けられている。このため、嵌合溝81に嵌合凸部22が嵌合することで、フェライトコア12の左右方向(開放部27)への位置ずれを抑制することができ、第1凸部21とフェライトコア12の外周面12Aとが接触する状態を維持することができる。
【0052】
更に、端子金具13の筒部70が第2孔部30内で保持されるため、フェライトコア12を貫通する第1孔部80内に配置された端子金具13を保持することができる。また、これにより端子金具13が位置決めされるため、相手側端子金具92との接続が容易になる。しかも、第2凸部31は、第2孔部30の上側にのみ設けられるため、上下両側に設けられる構成と比較して、上下方向の位置が安定しやすい。
【0053】
更に、第2凸部31は、第2孔部30の内周面30Aと筒部70の外周面70Aとのうち、第2孔部30の内周面30Aのみから突出している。第2凸部31が筒部70の外周面70Aから突出している場合、端子金具13が第1孔部80内に挿通される際に第2凸部31がフェライトコア12の内周面を削るおそれがある。しかし、コネクタ10によれば、第2凸部31がハウジング11側にのみ設けられているため、このような問題を回避することができる。また、端子金具13と第2凸部31との干渉は第1孔部80内では生じないため、端子金具13を第1孔部80内に挿入する際に端子金具13に加わる摩擦力を低減することができる。
【0054】
更に、第2凸部31は、第2撓み部32から突出している。このため、第2孔部30内に端子金具13が挿入される際、第2撓み部32が第2凸部31を介して筒部70から押圧されて外側に撓み、挿入の際に生じる摩擦力を低減させることができる。しかも、コネクタ10は、第2撓み部32の弾性力によって端子金具13を保持する保持力を向上させることができる。
【0055】
更に、筒部70は、第2開口部33を通してハウジング11の外部に露出する。このため、第2開口部33を通して、第2孔部30内に筒部70が配置されているか否かを外部から目視などによって確認することが可能となっている。
【0056】
[本開示の他の実施形態]
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えるべきである。
(1)上記実施形態では、第1凸部が収容部の内側面の上側に設けられる構成であったが、下側に設けられる構成であってもよいし、左側に設けられる構成であってもよいし、右側に設けられる構成であってもよい。また、第1凸部が収容部の内側面の上下両側に設けられる構成であってもよいし、左右両側に設けられる構成であってもよいし、上下左右に設けられる構成であってもよい。
(2)上記実施形態では、第2凸部が第2孔部の内周面の上側に設けられる構成であったが、下側に設けられる構成であってもよいし、左側に設けられる構成であってもよいし、右側に設けられる構成であってもよい。また、第2凸部が第2孔部の内周面の上下両側に設けられる構成であってもよいし、左右両側に設けられる構成であってもよいし、上下左右に設けられる構成であってもよい。
(3)上記実施形態では、第1凸部がハウジングに設けられる構成であったが、フェライトコアに設けられる構成であってもよいし、ハウジングとフェライトコアの両方に設けられる構成であってもよい。
(4)上記実施形態では、第2凸部がハウジングに設けられる構成であったが、端子金具に設けられる構成であってもよいし、ハウジングと端子金具の両方に設けられる構成であってもよい。
(5)上記実施形態では、コネクタが第1撓み部を有する構成であったが、第1撓み部を有さない構成であってもよい。
(6)上記実施形態では、コネクタが第2撓み部を有する構成であったが、第2撓み部を有さない構成であってもよい。
(7)上記実施形態では、コネクタが第1開口部を有する構成であったが、第1開口部を有さない構成であってもよい。
(8)上記実施形態では、コネクタが第2開口部を有する構成であったが、第2開口部を有さない構成であってもよい。
(9)上記実施形態では、フェライトコアが嵌合溝を有し、収容部が嵌合凸部を有する構成であったが、別の構成であってもよい。例えば、フェライトコアが嵌合凸部を有し、収容部が嵌合溝を有する構成であってもよい。また、フェライトコアが嵌合溝と嵌合凸部の両方を有し、収容部が嵌合溝と嵌合凸部の両方を有する構成であってもよい。また、フェライトコアは嵌合溝と嵌合凸部のいずれも有していなくてもよく、収容部は嵌合溝と嵌合凸部のいずれも有していなくてもよい。
(10)上記実施形態では、コネクタが第2凸部を有する構成であったが、
図18に示すように、第2凸部を有さない構成であってもよい。
【符号の説明】
【0057】
10…コネクタ
11…ハウジング
12…フェライトコア
12A…フェライトコアの外周面
13…端子金具
14…カバー部材
15…検知部材
20…収容部
21…第1凸部(凸部)
21A…第1前側凸部
21B…第1後側凸部
22…嵌合凸部
23…収容部の内側面
24…収容部の奥面
25…第1内側面
26…第2内側面
27…開放部
28…第1撓み部(撓み部)
29…第1開口部(開口部)
30…第2孔部
30A…第2孔部の内周面
31…第2凸部
31A…第2前側凸部
31B…第2後側凸部
32…第2撓み部
33…第2開口部
34…前壁
35…挿通孔
37…第1面
38…第2面
40…架設部
40A…脚部
40B…連結部
40C…延設部
41…規制部
42…誘導部
43…第1弾性係止部
43A…第1弾性板部
43B…第1仮係止部
43C…第1本係止部
44…垂下部
44A…カバー用係止部
50…カバー本体
51…第1貫通孔
52…第2貫通孔
53…カバー側係止部
60…ベース部
61…第2弾性係止部
61A…第2弾性板部
61B…第2仮係止部
61C…第2本係止部
62…ロックアーム
63…干渉部
70…筒部
70A…筒部の外周面
71…屈曲部
72…電線接続部
73…電線
74…導体
80…第1孔部
81…嵌合溝
90…相手側コネクタ
91…相手側ハウジング
92…相手側端子金具
93…短絡用端子
94…アウタハウジング
95…インナハウジング
96…ロック受け部
X1…フェライトコアの外周面の上下方向の最大寸法
X2…第1内側面と第2内側面との上下方向の間隔
X3…第1凸部の最大突出寸法
Y1…端子金具における筒部の上下方向の最大寸法
Y2…第1面と第2面との上下方向の間隔
Y3…第2凸部の最大突出寸法