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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-23
(45)【発行日】2025-01-07
(54)【発明の名称】物品搬送装置および物品位置調整装置
(51)【国際特許分類】
   B65G 47/88 20060101AFI20241224BHJP
【FI】
B65G47/88 B
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2021184305
(22)【出願日】2021-11-11
(65)【公開番号】P2023071485
(43)【公開日】2023-05-23
【審査請求日】2023-12-26
(73)【特許権者】
【識別番号】000003643
【氏名又は名称】株式会社ダイフク
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】清川 渉
(72)【発明者】
【氏名】古屋 春仁
【審査官】内田 茉李
(56)【参考文献】
【文献】特開昭48-030499(JP,A)
【文献】特開2018-177524(JP,A)
【文献】実開昭60-093624(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65G 47/88
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
物品を支持する支持部を有し、当該物品を上下方向と交差した横方向に搬送する搬送機構と、
前記物品としての第一物品と接触し、前記支持部上で、前記第一物品の前記横方向への移動を制限するか、または当該支持部に対して相対的に前記横方向へ前記第一物品を動かす、可撓性を有した第一部材と、
前記支持部の上方で前記第一部材を保持する保持部材と、
を備え、
前記第一部材は、前記保持部材から前記支持部に向けて延び、前記第一物品の前記横方向としての第一方向への移動を制限するか、または前記支持部に対して相対的に前記第一物品を前記横方向としての第一方向の反対方向へ動かし、
前記第一部材の少なくとも下部は、下方に対して前記第一方向に傾斜した方向に延びた、物品搬送装置。
【請求項2】
物品を支持する支持部を有し、当該物品を上下方向と交差した横方向に搬送する搬送機構と、
前記物品としての第一物品と接触し、前記支持部上で、前記第一物品の前記横方向への移動を制限するか、または当該支持部に対して相対的に前記横方向へ前記第一物品を動かす、可撓性を有した第一部材と、
前記支持部の上方で前記第一部材を保持する保持部材と、
前記支持部による前記物品の支持面からの高さが前記第一物品よりも高い前記物品としての第三物品と接触し、前記支持部上で、前記第三物品の前記横方向への移動を制限するか、または当該支持部に対して相対的に前記横方向へ前記第三物品を動かす、第二部材と、
を備え、
前記第一部材は、前記保持部材から前記支持部に向けて延び
前記第二部材は、前記保持部材の少なくとも一部であるか、または前記保持部材と固定された、物品搬送装置。
【請求項3】
前記第一部材は、前記物品または前記支持部との接触により弾性的に屈曲可能である、請求項1または2に記載の物品搬送装置。
【請求項4】
前記第一部材の下端は前記支持部による前記物品の支持面に到達する位置まで延びるか、または前記下端と前記支持面との間に前記支持面からの前記第一物品の高さよりも低い隙間が設けられた、請求項1~3のうちいずれか一つに記載の物品搬送装置。
【請求項5】
前記第一部材は、ブラシ状構造を有した、請求項1~4のうちいずれか一つに記載の物品搬送装置。
【請求項6】
前記第一部材は、シート状構造を有した、請求項1~4のうちいずれか一つに記載の物品搬送装置。
【請求項7】
前記第一部材は、前記支持部による前記物品の支持面からの高さが前記第一物品よりも低い前記物品としての第二物品の、当該第一部材に対する相対的な前記横方向への移動を許容するよう構成された、請求項1~6のうちいずれか一つに記載の物品搬送装置。
【請求項8】
前記第一物品は、前記第二物品上に載せられた、請求項7に記載の物品搬送装置。
【請求項9】
前記第二物品は、平面視で前記第一物品よりも広い、請求項8に記載の物品搬送装置。
【請求項10】
前記第一部材の下端は前記第二物品と接触する位置まで延びるか、または前記下端と前記第二物品との間に隙間が設けられた、請求項7~9のうちいずれか一つに記載の物品搬送装置。
【請求項11】
物品を搬送する搬送機構において当該物品を支持する支持部上で、前記物品としての第一物品と接触し、当該第一物品の上下方向と交差した横方向への移動を制限するか、または当該支持部に対して相対的に前記横方向へ前記第一物品を動かす、可撓性を有した第一部材と、
前記第一部材を保持する保持部材と、
を備え、
前記第一部材は、前記保持部材から延び、前記第一物品の前記横方向としての第一方向への移動を制限するか、または前記支持部に対して相対的に前記第一物品を前記横方向としての第一方向の反対方向へ動かし、
前記第一部材の少なくとも下部は、下方に対して前記第一方向に傾斜した方向に延びた物品位置調整装置。
【請求項12】
物品を搬送する搬送機構において当該物品を支持する支持部上で、前記物品としての第一物品と接触し、当該第一物品の上下方向と交差した横方向への移動を制限するか、または当該支持部に対して相対的に前記横方向へ前記第一物品を動かす、可撓性を有した第一部材と、
前記第一部材を保持する保持部材と、
前記支持部による前記物品の支持面からの高さが前記第一物品よりも高い前記物品としての第三物品と接触し、前記支持部上で、前記第三物品の前記横方向への移動を制限するか、または当該支持部に対して相対的に前記横方向へ前記第三物品を動かす、第二部材と、
を備え、
前記第一部材は、前記保持部材から延び
前記第二部材は、前記保持部材の少なくとも一部であるか、または前記保持部材と固定された、物品位置調整装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、物品搬送装置および物品位置調整装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、コンベヤのような搬送機構上で物品の動きを制限するストッパを備えた物品搬送装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。特許文献1では、ストッパは、比較的硬い部材で作られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】実開平5-37764号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
この種の物品搬送装置において、ストッパを搬送機構の上側にしか設けることができない場合、当該ストッパは物品に搬送機構の上側から近付くことになる。この場合において、さらに、ストッパによる動きの制限の対象となる物品の高さが低い場合には、ストッパの設定が難しくなる。すなわち、ストッパは、搬送機構に近過ぎると当該搬送機構と干渉する虞があり、逆に搬送機構から遠過ぎると物品の動きを制限し難くなるため、ストッパと搬送機構との干渉の回避と、ストッパによる物品の動きの制限と、の両立が難しくなる虞がある。また、ストッパと搬送機構との間の間隔の、より厳密な管理が必要となり、その分、物品搬送装置の製造やメンテナンスの手間やコストが増大する虞もある。
【0005】
そこで、本発明の課題は、例えば、物品と接触することにより当該物品の動きを制限したり当該物品を動かしたりする部材を備えた、新規な改善された物品搬送装置および物品位置調整装置を得ることである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の物品搬送装置は、例えば、物品を支持する支持部を有し、当該物品を上下方向と交差した横方向に搬送する搬送機構と、前記物品としての第一物品と接触し、前記支持部上で、前記第一物品の前記横方向への移動を制限するか、または当該支持部に対して相対的に前記横方向へ前記第一物品を動かす、可撓性を有した第一部材と、前記支持部の上方で前記第一部材を保持する保持部材と、を備え、前記第一部材は、前記保持部材から前記支持部に向けて延びる。
【0007】
また、本発明の物品位置調整装置は、例えば、第一物品と接触し、当該第一物品を支持する支持部上で、前記第一物品の上下方向と交差した横方向への移動を制限するか、または当該支持部に対して相対的に前記横方向へ前記第一物品を動かす、可撓性を有した第一部材と、前記第一部材を保持する保持部材と、を備え、前記第一部材は、前記保持部材から延びるとともに、前記第一物品または前記支持部との接触により弾性的に屈曲可能である。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、実施形態の物品搬送装置による搬送の対象としての二つの物品の例示的かつ模式的な平面図である。
図2図2は、図1の二つの物品の例示的かつ模式的な側面図である。
図3図3は、実施形態の物品搬送装置による搬送の対象としての二つの物品の図1,2とは異なる組み合わせの例示的かつ模式的な平面図である。
図4図4は、図3の二つの物品の例示的かつ模式的な側面図である。
図5図5は、第1実施形態の物品搬送装置の例示的かつ模式的な側面図である。
図6図6は、第1実施形態の物品搬送装置に含まれる位置決め機構の例示的かつ模式的な側面図である。
図7図7は、実施形態の物品搬送装置の例示的なブロック図である。
図8図8は、実施形態の物品搬送装置による物品の位置決めおよび搬送の手順の一例を示すフローチャートである。
図9図9は、第1実施形態の物品搬送装置の一部の例示的かつ模式的な側面図であって、位置決め機構により図1および2に示される二つの物品が位置決めされる前の状態を示す図である。
図10図10は、第1実施形態の物品搬送装置の一部の例示的かつ模式的な側面図であって、位置決め機構により図1および2に示される二つの物品のうちの一つの物品のみが位置決めされた状態を示す図である。
図11図11は、第1実施形態の物品搬送装置の一部の例示的かつ模式的な側面図であって、位置決め機構により図1および2に示される二つの物品の双方が位置決めされた状態を示す図である。
図12図12は、第1実施形態の物品搬送装置の一部の例示的かつ模式的な側面図であって、図1の二つの物品のうちの一つの物品が単独で搬送され位置決めされた状態を示す図である。
図13図13は、第1実施形態の物品搬送装置の一部の例示的かつ模式的な側面図であって、位置決め機構により図3および4に示される二つの物品が位置決めされる前の状態を示す図である。
図14図14は、第1実施形態の物品搬送装置の一部の例示的かつ模式的な側面図であって、位置決め機構により図3および4に示される二つの物品のうちの一つの物品のみが位置決めされた状態を示す図である。
図15図15は、第1実施形態の物品搬送装置の一部の例示的かつ模式的な側面図であって、位置決め機構により図3および4に示される二つの物品の双方が位置決めされた状態を示す図である。
図16図16は、第2実施形態の物品搬送装置の一部の例示的かつ模式的な側面図であって、位置決め機構により図3および4に示される二つの物品の双方が位置決めされた状態を示す図である。
図17図17は、第3実施形態の物品搬送装置の一部の例示的かつ模式的な側面図であって、位置決め機構により図1および2に示される二つの物品の双方が位置決めされた状態を示す図である。
図18図18は、第4実施形態の物品搬送装置の一部の例示的かつ模式的な側面図であって、位置決め機構により図1および2に示される二つの物品の双方が位置決めされた状態を示す図である。
図19図19は、第5実施形態の物品搬送装置に含まれる位置決め機構の例示的かつ模式的な側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の例示的な実施形態が開示される。以下に示される実施形態の構成、ならびに当該構成から得られる作用および結果(効果)は、一例である。本発明は、以下の実施形態に開示される構成以外によっても実現可能である。また、本発明によれば、下記の構成によって得られる種々の効果(派生的な効果も含む)のうち少なくとも一つを得ることが可能である。
【0010】
なお、本明細書において、序数は、物品や、部材、方向等を区別するために便宜上付与されており、優先順位や順番を示すものではない。
【0011】
また、各図中には、物品搬送装置における各方向が矢印で示されている。X方向、Y方向、およびZ方向は、互いに交差するとともに、互いに直交している。Z方向は、鉛直方向に略沿っており、矢印Zは、鉛直上方を指している。X方向およびY方向は、水平方向に略沿っている。また、X方向は、搬送方向、前後方向、あるいは長手方向と称され、Y方向は、幅方向、左右方向、あるいは短手方向と称され、Z方向は、厚さ方向、高さ方向、あるいは上下方向と称されうる。
【0012】
また、各図において、物品の各位置を示す符号は、当該物品を示す符号に付随して括弧内に示される場合がある。
【0013】
[第1実施形態]
図1は、物品搬送装置100の搬送機構110(図5参照)による搬送の対象となる物品11,12(10)の平面図であり、図2は、図1の物品11,12の側面図である。
【0014】
図1,2は、いずれも物品11,12が搬送機構110によって搬送される状態を示している。図1,2から明らかとなるように、物品12は、物品11上に載せられた状態で搬送される。また、図1から明らかとなるように、平面視において、物品11は、物品12よりも広く、言い換えると、物品12は、物品11よりも狭い。また、図2から明らかとなるように、搬送状態において、搬送機構110の支持面Pnからの物品11の高さは、支持面Pnからの物品12の高さよりも低い。物品11は、第二物品の一例であり、物品12は、第一物品の一例である。
【0015】
物品11は、略四角形状の形状を有するとともに、板状またはシート状の形状を有している。物品11は、例えば、紙や、シート、フィルム等であって、具体的には、厚紙や、段ボール、封筒用シート等である。物品11には、気泡緩衝材のような緩衝材が貼り付けられてもよい。また、物品11は、搬送機構110によって搬送された先の成形装置や包装装置(不図示)で折り畳まれ、物品12を収容するまたは覆う封筒や、バッグ、箱の形態に成形されてもよい。なお、本実施形態では、物品11は、平坦であるが、これには限定されず、例えば、僅かに屈曲していてもよい。
【0016】
他方、物品12は、例えば、比較的薄く、比較的低背で、直方体状の形状を有している。物品12は、例えば、カードや、カードを保持した厚紙、比較的厚い封筒、比較的薄い箱等である。物品12は、フィルムや、紙等によって包装されたものであってもよい。なお、図2から明らかとなるように、本実施形態では、物品12は、物品11よりも厚いが、これには限定されない。
【0017】
図3は、物品搬送装置100の搬送機構110による搬送の対象となる物品11,13(10)の平面図であり、図4は、図3の物品11,13の側面図である。
【0018】
図3,4は、いずれも物品11,13が搬送機構110によって搬送される状態を示している。図3,4から明らかとなるように、物品13は、物品11上に載せられた状態で搬送される。また、図3から明らかとなるように、平面視において、物品11は、物品13よりも広く、言い換えると、物品13は、物品11よりも狭い。また、図4から明らかとなるように、搬送状態において、搬送機構110の支持面Pnからの物品11の高さは、支持面Pnからの物品13の高さよりも低い。物品13は、第三物品の一例である。
【0019】
物品13は、例えば、直方体状の形状を有している。物品12は、例えば、箱である。物品13は、フィルムや、紙等によって包装されたものであってもよい。また、図4に示されるように、物品13は、物品11よりも厚い。そして、図2,4の比較から明らかとなるように、物品13は、物品12よりも厚く、支持面Pnからの物品13の高さは、支持面Pnからの物品12の高さよりも高い。
【0020】
搬送機構110は、図1,2に示されるような物品12が載せられた物品11、および図3,4に示されるような物品13が載せられた物品11の双方を、搬送することができる。言い換えると、搬送機構110は、物品12が載せられた物品11の搬送と、物品13が載せられた物品11の搬送とで、共用される。また、搬送機構110上において、物品12が載せられた物品11と、物品13が載せられた物品11とが、規則的にあるいはランダムに混在してもよい。なお、物品11上には、例えば、物品11と物品12,13との間や、物品12,13の上等に、物品12,13とは別の物品が載せられてもよい。当該別の物品は、例えば、書面や、チラシ、フライヤのような、紙であってもよい。
【0021】
図5は、物品搬送装置100A(100)の側面図である。物品搬送装置100Aは、図1,2または図3,4の形態で物品11,12,13(10)を搬送する搬送機構110と、物品12,13を位置決めする位置決め機構120F,120R(120)と、物品11を位置決めする位置決め機構130F,130R(130)と、を備えている。
【0022】
搬送機構110は、物品10を、略水平方向に沿うX方向およびX方向の反対方向に搬送することができる。搬送機構110としては、例えば、ベルトコンベヤや、ローラコンベヤ、チェーンコンベヤのような、種々のコンベヤを採用することができる。搬送機構110は、物品10を支持する支持部110aを有している。支持部110aは、搬送機構110の種類によって異なる。例えば、搬送機構110がベルトコンベヤである場合、支持部110aはベルトであり、搬送機構110がローラコンベヤである場合、支持部110aはローラである。搬送機構110は、支持部110aによって支持した物品10を搬送する。なお、搬送機構110による物品の搬送方向は、略水平方向には限定されず、例えば、略水平方向に対して傾斜した方向であってもよい。水平方向および水平方向に対して傾斜した方向は、上下方向と交差した横方向の一例である。
【0023】
ここで、本実施形態では、搬送機構110によって物品10を支持する支持面Pnを定義する。支持面Pnは、物品10を載置する面である。支持面Pnは、搬送機構110の種類によって異なる。例えば、搬送機構110がベルトコンベヤである場合、支持面Pnは、ベルトの表面である。また、搬送機構110がローラコンベヤである場合、支持面Pnは、ローラの上端の包絡面(仮想面)とする。支持面Pnは、物品10の底面(下端)の移動軌跡と略重なる。
【0024】
位置決め機構120は、上下方向と交差した横方向において、物品12を位置決めする。ここで、上述したように、本実施形態では、物品12は物品11上に載せられ、かつ物品11は物品12よりも広い。このため、位置決め機構120は、物品11の下方から物品12に近付くのが難しい。そこで、本実施形態では、位置決め機構120は、物品11および搬送機構110の支持部110aよりも上方に設けられ、物品11および支持部110aの上方から物品12に近付き、当該物品12に対する位置決めの作動を実行する。
【0025】
物品搬送装置100Aは、位置決め機構120として、X方向に離間した二つの位置決め機構120F,120Rを備えている。位置決め機構120F,120Rは、それぞれ、少なくとも位置Piと位置Paとの間で移動可能に構成されている。位置Piは、搬送機構110の支持面Pn(支持部110a)から上方に離間した位置であり、物品10の搬送に支障を来さないよう、搬送機構110によって搬送される物品10と干渉しない待避位置である。位置Piは、初期位置や待機位置とも称されうる。他方、位置Paは、位置Piよりも支持面Pnに近く、当該支持面Pnと近接した位置であり、かつ物品12と接触し干渉することにより当該物品10の移動を制限する位置である。位置Paは、進出位置や作動位置とも称されうる。
【0026】
位置決め機構120Fは、位置Paに位置した状態で、物品12のX方向の端部12aと接触することにより、支持部110a上での物品12のX方向への移動を制限し、これにより当該位置決め機構120Fと接触した位置に、物品12を位置決めする。他方、位置決め機構120Rは、位置Paに位置した状態で、物品12のX方向の反対方向の端部12bと接触することにより、支持部110a上での物品12のX方向の反対方向への移動を制限し、これにより当該位置決め機構120Rと接触した位置に、物品12を位置決めする。
【0027】
図6は、位置Paに位置した位置決め機構120Fの一部の拡大した側面図である。なお、隙間gの明示のため、図6では、物品11の図示を省略している。物品11(図6では不図示)は、支持面Pnと物品12との間に位置している。支持部110aの少なくとも一部は、X方向へ移動し、これにより、物品12を載せた物品11が、X方向へ搬送される。位置決め機構120Fは、物品11上の物品12と接触することにより、当該物品12のX方向への移動を制限する。位置決め機構120Fにおいて、X方向は、第一方向の一例である。
【0028】
位置決め機構120Fは、接触部材121と、保持部材122と、を有している。保持部材122は、接触部材121の上方、すなわち当該接触部材121よりも支持部110aから離れた位置で、当該接触部材121を保持する。接触部材121は、保持部材122から下方に向けて、すなわち支持部110aに近付くように、延びている。
【0029】
接触部材121は、保持部材122に片持ち支持されている。接触部材121のうち保持部材122によって保持された上端は固定端であり、上端とは反対側の下端121aは自由端である。なお、下端121aは、先端とも称されうる。
【0030】
接触部材121は、本実施形態では、複数の細い毛材または線材が束ねられたブラシ状構造を有している。毛材または線材は、それぞれ、例えば、合成樹脂材料のような弾性材料で作られている。このため、接触部材121は、可撓性を有し、物品12との接触により、弾性的に屈曲する(不図示)。具体的に、図6の場合、物品12のX方向への移動を制限する位置決め機構120Fの接触部材121は、物品12から作用するX方向への力により、X方向に僅かに湾曲する。接触部材121のスペックは、物品12から作用する力を受けて弾性的に曲がった状態で接触した物品12を支持し、かつ当該物品12の移動を制限することができるよう、適宜に設定される。なお、接触部材121の屈曲量は、当該接触部材121や物品12のスペック、物品12の質量、接触部材121と物品12との相対速度や加速度等に応じて定まる。接触部材121は、第一部材の一例である。
【0031】
下端121aと支持面Pnとの間には、隙間gが設定されている。当該隙間gにより、下端121aがX方向に移動する支持部110aと干渉するのを回避することができ、支持部110aのX方向への移動において、下端121aとの接触伴うエネルギロスが生じない。また、隙間gの大きさδは、物品12の支持面Pnからの高さh2よりも低く設定されている。これにより、接触部材121は、物品12を、より確実に支持することができる。
【0032】
さらに、下端121aは、物品11と接触しなくてもよい。すなわち、下端121aと物品11との間にも隙間(不図示)が設けられてもよい。このような隙間が設定されることにより、下端121aがX方向に搬送される物品11と干渉するのを回避することができ、物品11のX方向への移動において、下端121aとの接触伴うエネルギロスが生じない。
【0033】
ただし、接触部材121の下端121aは、物品11と接触してもよいし、支持面Pnに到達する位置まで延びてもよい。後者の場合、下端121aは、搬送機構110の構造によっては、支持部110aと接触する。ここで、仮に、接触部材121が、可撓性を有さない硬質の材料で構成されていた場合、下端121aが物品11や支持部110aと接触すると、接触部材121によっては位置決めをしない物品11が当該接触部材121によって不本意に位置決めされたり、支持部110aの作動が停止したり、搬送機構110が損傷したり、といった不都合が生じる虞がある。この点、本実施形態では、接触部材121は、可撓性を有し、物品11や支持部110aと接触した場合には、弾性的に屈曲し、物品11や支持部110aを移動方向に逃がすように構成されている。すなわち、本実施形態では、接触部材121を含む物品搬送装置100の各部のスペックを適宜に設定することにより、下端121aが物品11や支持部110aと接触した場合にあっても、接触部材121による物品12の移動の制限に影響を及ぼすことなく、かつ物品11や支持部110aのX方向への移動を制限しない状態で撓むよう、すなわち比較的容易に弾性的に屈曲するよう、構成されている。
【0034】
さらに、本実施形態では、物品12のX方向への移動を制限する接触部材121は、下方(Z方向)に対して当該X方向に傾斜した方向に延びている。この場合において、仮に、上述したように下端121aが物品11または支持部110aと接触すると、当該下端121aは、接触した物品11または支持部110aからX方向に受けた力によって、図6中に矢印Bで示すように、当該物品11または支持部110aから離れやすくなる。よって、この場合、下端121aは、物品11または支持部110aの移動の抵抗となり難くなる。なお、本実施形態では、接触部材121は、全体的に、下方に対してX方向に傾斜した方向に延びているが、これには限定されず、接触部材121の下端121aに近い部位や下端121aを含む区間が、部分的に、下方に対して当該X方向に傾斜した方向に延びてもよい。すなわち、接触部材121の少なくとも下部が、下方(Z方向)に対して当該X方向に傾斜した方向に延びればよい。
【0035】
また、物品のX方向の反対方向への移動を制限する位置決め機構120Rは、図5に示されるように、当該図5の視線において位置決め機構120Fとは鏡像関係にあるものの、当該位置決め機構120Fとは基本的に同様の構造を有している。よって、位置決め機構120Rにおいても、位置決め機構120Fと同様の作用および効果が得られる。また、図5に示されるように、位置決め機構120Rにおいて、物品12のX方向の反対方向への移動を制限する接触部材121は、下方(Z方向)に対して当該X方向の反対方向に傾斜した方向に延びており、位置決め機構120Fと同様の作用および効果が得られる。この位置決め機構120Rにおいても、接触部材121の少なくとも下部が、下方(Z方向)に対して当該X方向の反対方向に傾斜した方向に延びればよい。位置決め機構120Rにおいては、X方向の反対方向は、第一方向の一例である。
【0036】
また、位置決め機構120Fの保持部材122は、物品13と接触することにより支持部110a上での物品13のX方向への移動を制限することができる。また、位置決め機構120Rの保持部材122は、物品13と接触することにより支持部110a上での物品13のX方向の反対方向への移動を制限することができる。保持部材122による物品13の位置決めについては、後述する。保持部材122は、第二部材の一例である。
【0037】
位置決め機構130は、X方向において、物品11を位置決めする。物品搬送装置100Aは、位置決め機構130として、X方向に離間した二つの位置決め機構130F,130Rを備えている。位置決め機構130F,130Rは、それぞれ、少なくとも位置Piと、位置Paと、の間で移動可能に構成されている。位置Piは、搬送機構110の支持面Pnから下方に離間した位置であり、物品10の搬送に支障を来さないよう、搬送機構110によって搬送される物品10と干渉しない待避位置である。また、位置Paは、支持面Pnよりも上方に突出した位置であり、物品10と干渉することにより当該物品11の移動を制限する位置である。なお、本実施形態では、位置決め機構130の位置Piは、支持面Pn(支持部110a)よりも下方に設定されたが、これには限定されず、位置決め機構120と同様に、支持面Pnより上方に設定されてもよい。
【0038】
位置決め機構130Fは、位置Paに位置した状態で、物品11のX方向の端部11aと接触することにより、支持部110a上での物品11のX方向への移動を制限し、これにより当該位置決め機構130Fと接触した位置に、物品11を位置決めする。また、位置決め機構130Rは、位置Paに位置した状態で、物品11のX方向の反対方向の端部11bと接触することにより、支持部110a上での物品11のX方向の反対方向への移動を制限し、これにより当該位置決め機構130Rと接触した位置に、物品11を位置決めする。
【0039】
図7は、実施形態の物品搬送装置100のブロック図である。図7に示されるように、物品搬送装置100は、搬送機構110の他、センサ201と、制御装置200と、駆動機構140と、を備えている。
【0040】
センサ201は、物品10の有無や、物品10の位置を検出するセンサであり、例えば、画像センサや光電式センサによって構成することができる。また、センサ201は、物品11に対する物品12,13のずれを検出できるよう、構成されてもよい。駆動機構140は、位置決め機構120,130のそれぞれの位置を動かす機構であって、制御装置200からの制御信号に応じて電気的に作動することができる。駆動機構140は、アクチュエータとして、例えば、モータ等を有する。さらに、駆動機構140は、運動変換機構や、減速機構等を有してもよい。駆動機構140は、位置決め機構120F,120R,130F,130Rのそれぞれに対応して設けられる。
【0041】
制御装置200は、例えば、CPUのようなコントローラ(回路)と、RAMやROMのような主記憶部と、HDDやSSDのような補助記憶部と、を有したコンピュータとして構成される。制御装置200のコントローラは、インストールされたプログラムにしたがって、各処理を実行する。コントローラは、センサ201の検出信号に応じて、位置決めの要否を判定するとともに実行する位置決め処理を決定し、当該決定した位置決め処理を位置決め機構120,130が実行するよう、駆動機構140を制御する。
【0042】
図8は、物品搬送装置100による位置決め処理および搬送処理の一例を示すフローチャートである。図8の例では、制御装置200のコントローラは、まず、検出部として作動し、センサ201の検出信号に基づいて、搬送機構110による搬送物、すなわち、物品11と当該物品11上に載せられた物品12または物品13とを含む搬送物について、物品12または物品13の物品11に対するずれの方向および大きさを検出する(S1)。
【0043】
次に、コントローラは判定部として作動し、S1で算出したずれの大きさと閾値とを比較することにより、位置決めの要否、すなわち物品12,13の位置の補正の要否を判定する(S2)。
【0044】
S2において、判定部は、物品12,13のずれの大きさが閾値以上であった場合には、位置決めが必要であると判定し(S3でYes)、物品12,13のずれの大きさが閾値未満であった場合には、位置決めが不要であると判定する(S3でNo)。なお、S2,S3において、閾値は、物品12,13毎に定められてもよいし、ずれの方向毎に定められてもよい。
【0045】
S3でYesであった場合、コントローラは、駆動制御部として作動し、ずれの補正、すなわち位置決めを実行するよう、搬送機構110および駆動機構140を制御する(S4)。このS4については後述する。
【0046】
他方、S3でNoであった場合、およびS4による位置決め制御が完了した後において、コントローラは、搬送制御部として作動し、搬送物を後段に搬送する(S5)。なお、S5は、位置決め機構120および位置決め機構130がそれぞれ位置Piに位置された状態で実行される。
【0047】
図9~11は、物品11に対する物品12のX方向へのずれが所定の閾値以上であった場合の位置決め処理、すなわちずれの補正処理における、物品11,12の位置の変化を示す側面図である。
【0048】
図8のS2,S3において、物品12が物品11に対してX方向に閾値以上ずれていた場合、制御装置200のコントローラは、駆動制御部として作動し、図9に示されるように、位置決め機構120Fおよび位置決め機構130Fが、それぞれ位置Piから位置Paへ移動するよう、位置決め機構120Fおよび位置決め機構130Fのそれぞれの駆動機構140を制御する。
【0049】
また、コントローラは、物品11がX方向に移動するよう、搬送機構110を制御する。これにより、図10に示されるように、位置決め機構120Fの接触部材121が、物品12のX方向の端部12aと接触し、物品12のX方向への移動を制限する。こうして、物品12は、位置Psに位置決めされる。
【0050】
引き続き、コントローラは、物品11がX方向に移動するよう、搬送機構110を制御する。ここで、本実施形態では、図10,11に示されるように、支持部110aがX方向へ移動する状態において、接触部材121は、物品12のX方向への移動を制限し、かつ物品11のX方向への移動を許容する。よって、当該物品11は、支持部110aとともにX方向へ移動する。なお、図10,11の作動において、接触部材121は、支持部110aおよび物品11に対して、物品12を相対的にスライド、すなわち相対的に動かしていると言うことができる。また、当該作動において、接触部材121は、物品11の当該接触部材121に対する相対的なスライド、すなわち相対的な移動を許容していると言うことができる。
【0051】
図9~11に示される作動を得るには、物品11の上面11cと当該上面11c上に載せられた物品12の下面12fとが滑り易く、接触部材121の下端121aと当該下端121aと面した物品11の上面11cとが接触しないかあるいは滑り易く、かつ、支持部110aと当該支持部110a上に載せられた物品11の下面11dとが滑りにくいことが、必要となる。このため、物品11,12の質量や、上面11c、下面11d、および下面12fの性状等に合わせて、接触部材121や支持部110aのスペックが適宜に設定される。
【0052】
接触部材121には、適度な弾性が必要となる。当該弾性は、物品12から上面11cと下面12fとの間の摩擦力と略同じ大きさでX方向に押圧された場合にも、撓み過ぎず、物品12を位置Psに留めておくことを可能とする弾性である。
【0053】
また、各部の摩擦に関しては、下端121aと上面11cとの間の摩擦力の大きさと、下面12fと上面11cとの間の摩擦力の大きさと、の合計値が、下面11dと支持部110aとの間の摩擦力の大きさよりも小さくなるように設定することが必要である。
【0054】
下端121aと上面11cとの間の摩擦力の低減の観点から、下端121aは、上面11cとは接触しないよう構成するのが好ましい。ただし、下端121aと上面11cとが接触した場合にあっても、各部のスペックの適宜な設定により、図9~11に示される作動は実現可能である。下端121aの摩擦係数をより小さくするため、例えば、接触部材121が摩擦係数の比較的小さい材料で作られたり、下端121aが球面状に形成されたり、下端121aが摩擦低減用のコーティングで覆われたりしてもよい。
【0055】
下面11dと支持部110aとの間の摩擦力の増大の観点から、支持部110aの摩擦係数は、より大きく設定するのが好ましい。このため、支持部110aの表面には、滑り止め用の部材が設けられたり、滑り止め用のコーティングが施されたりしてもよい。
【0056】
また、位置決め機構130Fは、図11に示されるように、物品11のX方向の端部11aと接触し、物品11のX方向への移動を制限する。これにより、物品11は、位置Psに位置決めされる。
【0057】
図9~11の作動において、まずは、位置決め機構120Fによって物品12が物品搬送装置100における所定の位置Psに位置決めされ、次に、位置決め機構130Fによって物品11が物品搬送装置100における所定の位置Psに位置決めされる。これにより、物品11,12は、相対的な所期の位置関係に位置決めされる。図9~11の作動は、物品11のX方向の端部11aと物品12のX方向の端部12aとの間の距離を長くする補正と言うことができる。上述したように、本実施形態では、このような物品11,12の位置決め、すなわちずれの補正には、位置決め機構120F,130Fの作動とともに、物品12を載せた物品11を動かす搬送機構110の作動が必要である。すなわち、位置決め機構120F,130Fおよび搬送機構110は、物品11,12の位置調整装置を構成している。
【0058】
また、図示しないが、物品11に対する物品12のX方向の反対方向へのずれが所定の閾値以上であった場合、物品12を載せた物品11の搬送機構110によるX方向の反対方向への搬送と、位置決め機構120R,130Rの図9~11と同様の作動とによって、物品11,12を、相対的な所期の位置関係に位置決めすることができる。この場合は、位置決め機構120R,130Rおよび搬送機構110は、物品11,12の位置調整装置を構成している。
【0059】
なお、本実施形態では、物品搬送装置100Aは、物品11に対する物品12のX方向へのずれを補正する位置決め機構120F,130Fと、物品11に対する物品12のX方向の反対方向へのずれを補正する位置決め機構120R,130Rと、を備えたが、これには限定されず、物品搬送装置100は、それらのうちいずれか一方のみ、例えば、位置決め機構120F,130Fのみか、または位置決め機構120R,130Rのみを、備えてもよい。
【0060】
また、図12は、物品12が物品11上に載せられず、搬送機構110の支持部110a上に直接載せられた場合の側面図である。この場合のように、物品12がX方向に単独で搬送される場合にあっても、位置決め機構120Fは、当該物品12と接触することにより当該物品12のX方向への移動を制限し、当該物品12を位置決めすることができる。また、図示しないが、物品12がX方向の反対方向に単独で搬送される場合にあっても、位置決め機構120Rは、当該物品12と接触することにより当該物品12のX方向の反対方向への移動を制限し、当該物品12を位置決めすることができる。このような作動は、例えば、物品12上の所定位置にラベルを貼るなどの作業が行われるような場合に、利用できる。
【0061】
図13~15は、物品11に対する物品13のX方向へのずれが所定の閾値以上であった場合の位置決め処理、すなわちずれの補正処理における、物品11,13の位置の変化を示す側面図である。物品13は、図9~11に示された物品12の場合と同様に、搬送機構110、および位置決め機構120の作動によって、位置決めされる。
【0062】
図14,15から明らかとなるように、本実施形態では、位置決め機構120Fの保持部材122が、物品13(第三物品)のX方向の端部13aと接触することにより、支持部110a上で、物品13のX方向への移動を制限しており、これにより、物品13が位置Psに位置決めされている。このような構成によれば、位置決め機構120とは別に物品13用の位置決め機構を設ける場合に比べて、物品搬送装置100Aをよりコンパクトに構成できたり、製造やメンテナンスの手間やコストをより削減できたり、といった利点が得られる。なお、第二部材は、保持部材122の全体である必要はなく、保持部材122の一部であってもよい。すなわち、保持部材122の少なくとも一部が、物品13の移動を制限すればよい。また、図示しないが、位置決め機構120Rの保持部材122は、物品13のX方向の反対方向への移動を制限することができる。保持部材122は、第二部材の一例である。
【0063】
以上、説明したように、本実施形態によれば、物品搬送装置100A(100)は、搬送機構110の支持部110a上で物品12(第一物品)の移動を制限する接触部材121(第一部材)を、備えており、当該接触部材121は、可撓性を有し、支持部110aまたは物品11,12との接触により弾性的に屈曲可能に構成されている。よって、接触部材121を、物品12の移動を制限した状態で、支持部110aや物品11と接触した場合にあっても、支持部110aの作動に支障を来すことなく、かつ当該支持部110aや物品11の移動を制限しないよう、構成することができる。また、接触部材121の支持部110aや物品11とのある程度の(比較的軽い)接触が許容されることにより、接触部材121と支持部110aや物品11との距離を厳密に管理せずに済み、その分、物品搬送装置100Aの製造やメンテナンスの手間やコストを低減することができるという利点が得られる。
【0064】
このような接触部材121を備えた物品搬送装置100Aは、本実施形態のように、例えば、搬送物において、物品12が、物品11(第二物品)上に載せられている場合や、さらに当該物品11が平面視で物品12よりも広い場合のように、接触部材121が物品12に下側から近付き難いような場合に、有効である。
【0065】
また、本実施形態では、接触部材121は、ブラシ状構造を有している。このような構成によれば、ブラシを構成する毛材または線材のスペックの調整や、当該毛材や線材の長さ、本数のようなブラシとしてのスペックの調整によって、上述した作用および効果を得ることができる接触部材121を、比較的容易に実現することができる。
【0066】
[第2実施形態]
図16は、第2実施形態の物品搬送装置100B(100)の一部の側面図である。図16に示されるように、本実施形態では、物品13と接触することにより支持部110a上で物品13の移動を制限する接触部材123が、保持部材122に取り付けられ、当該保持部材122と固定されている。このような構成によれば、保持部材122を利用して接触部材123を設けることができるため、例えば、位置決め機構120Fとは別に接触部材123を有した位置決め機構を設ける場合に比べて、物品搬送装置100Bの構成をより簡素化することができ、ひいては、物品搬送装置100Bの製造やメンテナンスの手間やコストを削減することができる。また、このような構成によれば、X方向において、接触部材121と接触部材123とを任意の位置に設定することにより、物品12,13を、それらの大きさや配置等に応じて、それぞれ別の位置Psに位置決めすることができる。接触部材123は、第二部材の一例である。さらに、この場合、保持部材122と接触部材123との間に、例えば、雄ねじと当該雄ねじに噛み合う雌ねじとを有した伸縮機構を設けるなどにより、保持部材122と接触部材123との位置を変更可能に構成してもよい。伸縮機構は、位置可変機構とも称されうる。
【0067】
[第3実施形態]
図17は、第3実施形態の物品搬送装置100C(100)の一部の側面図である。図17に示されるように、本実施形態でも、物品搬送装置100Cは、上記実施形態と同様の接触部材121および保持部材122を有した位置決め機構120Fを備えている。ただし、本実施形態では、位置決め機構120Fは、上下方向(Z方向およびZ方向の反対方向)に移動可能に構成されるとともに、横方向(水平方向、X方向およびX方向の反対方向)にも移動可能に構成される。そして、位置決め機構120Fは、位置Piから、当該位置Piよりも下方の位置Ppを経由して、当該位置PpよりもX方向の反対方向へ離間した位置Paへ移動することにより、物品12を、より大きくずれた位置から、所期の位置Psに向けて、X方向の反対方向へ動かす。位置Ppから位置Paへの移動に際し、接触部材121は、支持部110aおよび物品11に対して相対的に物品12を動かしている。本実施形態でも、物品12を所期の位置Psに位置決めすることができる。この場合も、X方向は、第一方向の一例である。なお、物品11が位置Psに位置決めされた後は、搬送機構110の支持部110aは、X方向に移動してもよいし、停止してもよい。また、図示しないが、位置決め機構120R(図5参照)も、本実施形態の位置決め機構120Fと同様に作動し、位置Piより下方の位置PpからX方向へ離間した位置Paへ移動することにより物品12をX方向へ動かし、物品12の物品11に対するX方向の反対方向へのずれを補正することができる。
【0068】
[第4実施形態]
図18は、第4実施形態の物品搬送装置100D(100)の一部の側面図である。図18に示されるように、本実施形態では、物品搬送装置100Dは、位置決め機構120として、Y方向において物品12を位置決めする位置決め機構120S1,120S2を備えている。位置決め機構120S1,120S2は、上記第3実施形態と同様、上下方向に移動可能であるとともに、横方向にも移動可能である。ただし、本実施形態では、位置決め機構120S1,120S2は、Y方向およびY方向の反対方向に移動可能である。位置決め機構120S1の接触部材121は、物品12のY方向の反対方向の端部12dと接触し、当該端部12dをY方向に押圧することにより、物品12を、支持部110aおよび物品11上で位置PsまでY方向に動かすことができる。他方、位置決め機構120S2の接触部材121は、物品12のY方向の端部12cと接触し、当該端部12cをY方向の反対方向に押圧することにより、物品12を、支持部110aおよび物品11上で位置PsまでY方向の反対方向に動かすことができる。本実施形態によれば、物品12を、支持部110aおよび物品11に対して、幅方向に位置決めすることができる。なお、物品搬送装置100Dは、位置決め機構120S1,120S2とともに、物品12を長手方向に位置決めする上記実施形態の位置決め機構120F,120Rを備えてもよい。
【0069】
[第5実施形態]
図19は、第5実施形態の物品搬送装置100E(100)の一部の側面図である。図19に示されるように、本実施形態では、位置決め機構120F(120)の接触部材121Eは、ブラシ状構造ではなく、シート状構造を有している。接触部材121Eは、例えば、可撓性を有し合成樹脂材料で作られた所定の厚さのシートあるいはフィルム等である。厚さや、長さ等のスペックを調整することにより、本実施形態の接触部材121Eによっても、上記実施形態のブラシ状構造を有した接触部材121と同様の作用および効果が得られる。なお、接触部材121Eは、複数枚のシート状の部材を含んでもよい。また、本実施形態でも、接触部材121Eは、下方に対してX方向(第一方向)に傾斜した方向に延びている。よって、本実施形態によっても、下端121aは、物品11または支持部110aの移動の抵抗となり難くなる。
【0070】
以上、本発明の実施形態が例示されたが、上記実施形態は一例であって、発明の範囲を限定することは意図していない。上記実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、組み合わせ、変更を行うことができる。また、各構成や、形状、等のスペック(構造、種類、方向、型式、大きさ、長さ、幅、厚さ、高さ、数、配置、位置、材質等)は、適宜に変更して実施することができる。
【符号の説明】
【0071】
10…物品
11…物品(第二物品)
11a,11b…端部
11c…上面
11d…下面
12…物品(第一物品)
12a,12b,12c,12d…端部
12e…上面
12f…下面
13…物品(第三物品)
13a…端部
100,100A~100E…物品搬送装置
110…搬送機構(物品位置調整装置)
110a…支持部(物品位置調整装置)
120,120F,120R,120S1,120S2…位置決め機構(物品位置調整装置)
121,121E…接触部材(第一部材)
121a…下端(先端)
122…保持部材(第二部材)
123…接触部材(第二部材)
130,130F,130R…位置決め機構
140…駆動機構
200…制御装置
201…センサ
B…方向
g…隙間
h2…高さ
Pi,Pp,Pa,Ps…位置
Pn…支持面
X…方向(第一方向)
Y…方向
Z…方向
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19